(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61N5/10 E
A61N5/10 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540655
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2022021307
(87)【国際公開番号】W WO2023128517
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0000349
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522416217
【氏名又は名称】ラデクセル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RADEXEL INC.
【住所又は居所原語表記】301-ho, 10, Chunghon-gil 52beon-gil, Chuncheon-si, Gangwon-do 24437, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヌリ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミンシク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC06
4C082AE01
4C082AG12
4C082AT01
(57)【要約】
本発明は、電子線治療装置及びシステムに関し、本発明に係る装置は、電子線を発生及び加速させて出力する電子線出力部と、一側が前記電子線出力部と接続し、前記電子線出力部から出力された電子線の印加を受けてカテーテルの中空トンネルを介して通過させるカテーテル部と、前記カテーテルの中空トンネルを介して通過する電子線を屈折させるための磁場を発生させる磁場発生部と、前記電子線出力部、前記カテーテル及び前記磁場発生部の有機的な動きの自由度を提供する関節駆動部とを含み、前記カテーテル部は、制御部の制御に応答して前記カテーテルの移動及び回転角度を調節できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を発生及び加速させて出力する電子線出力部と、
一側が前記電子線出力部と接続し、前記電子線出力部から出力された電子線の印加を受けてカテーテルの中空トンネルを介して通過させるカテーテル部と、
前記カテーテルの中空トンネルを介して通過する電子線を屈折させるための磁場を発生させる磁場発生部と、
前記電子線出力部、前記カテーテル及び前記磁場発生部の有機的な動きの自由度を提供する関節駆動部と、
を含み、
前記カテーテル部は、制御部の制御に応答して前記カテーテルの移動及び回転角度を調節することを特徴とする、
電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項2】
前記カテーテル部は、
前記制御部の制御に応答して前記カテーテルの位置を一定の深さで固定させた状態で、前記磁場発生部の屈折角度を調節して治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節することを特徴とする、請求項1に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項3】
前記カテーテル部は、
前記制御部の制御に応答して前記磁場発生部を前記カテーテルの上下移動、左右移動及び回転によって共に移動させながら治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節できることを特徴とする、請求項1に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項4】
前記電子線出力部は、
ペンシルビーム状の電子線を出力することを特徴とする、請求項1に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項5】
前記磁場発生部は、
前記カテーテルの一側の両端に永久磁石、電磁石及び前記永久磁石と電磁石が共に用いられるハイブリッドのうちの何れか1つの形態の第1磁極及び第2磁極がそれぞれ装着されることを特徴とする、請求項2に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項6】
前記磁場発生部は、
前記永久磁石の形態の場合、前記第1磁極と第2磁極の位置及び前記第1磁極と第2磁極との間の距離調節によって前記電子線の屈折角度を調節することを特徴とする、請求項5に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項7】
前記磁場発生部は、
前記電磁石の形態の場合、パルス型電磁石として電子線パルスと同期化されて磁場を発生させ、前記発生した磁場の強度及び方向調節によって前記電子線の屈折角度を調節することを特徴とする、請求項5に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置。
【請求項8】
電子線を発生及び加速させてペンシルビーム状に出力し、前記出力された電子線をカテーテルの中空トンネルを通過させて治療ターゲットに照射する電子線治療装置と、
前記電子線治療装置と離間して前記電子線治療装置を遠隔制御する制御部と、
前記制御部の制御に応答して前記電子線治療装置に必要な電源電圧を供給する電源部と、
を含み、
前記電子線治療装置は、前記制御部の制御に応答して前記カテーテルの移動及び回転角度を調節することを特徴とする、
電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記電子線のエネルギー強度、線量、速度及び出力タイミング、前記電子線治療装置内の磁場発生部で発生する磁場の強度、方向及び出力タイミングを制御することを特徴とする、請求項8に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項10】
前記制御部は、
前記カテーテルの位置が一定の深さで固定された状態で前記磁場発生部の屈折角度が調節されて、治療ターゲットに照射される電子線の分布が調節されるように制御することを特徴とする、請求項9に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項11】
前記制御部は、
前記磁場発生部が前記カテーテルの上下移動、左右移動及び回転によって共に移動しながら治療ターゲットに照射される電子線の分布が調節されるように制御することを特徴とする、請求項9に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項12】
前記磁場発生部は、
前記カテーテルの一側の両端に永久磁石、電磁石及び前記永久磁石と電磁石が共に用いられるハイブリッドのうちの何れか1つの形態の第1磁極及び第2磁極がそれぞれ装着されることを特徴とする、請求項9に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項13】
前記磁場発生部は、
前記永久磁石の形態の場合、前記第1磁極と前記第2磁極の位置及び前記第1磁極と前記第2磁極との間の距離調節によって前記電子線の屈折角度を調節することを特徴とする、請求項12に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項14】
前記磁場発生部は、
前記電磁石の形態の場合、パルス型電磁石として電子線パルスと同期化されて磁場を発生させ、前記発生した磁場の強度及び方向調節によって前記電子線の屈折角度を調節することを特徴とする、請求項12に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【請求項15】
前記電子線治療装置は、
前記電子線を出力する電子線出力部と離間した状態で、前記電子線出力部を通じて前記電子線の印加を受けられるモジュール型装置として製作可能であることを特徴とする、請求項8に記載の電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線治療装置及びシステムに関し、特に患者の人体における皮下深部と球状の曲面部位など電子線の直線照射範囲から外れた部位まで電子線の方向と線量を調節しながら電子線の照射が可能であり、損失する電子線を最小化して消費電力を低減できる電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化時代の到来に伴い、国民の生活水準が向上するにつれ、健康な生活を営むための病気の早期診断と治療への関心が次第に高まっている傾向にある。
【0003】
特に、放射線治療装置は、病気の治療に放射線を用いる医療機器であって、X線、電子線、陽子線などの放射線を用いて癌のような悪性腫瘍組織の成長を遅延させるか、又は破壊する治療装置である。
【0004】
ところが、人体の正常組織に高エネルギーを持つ放射線が過剰に照射される場合、正常な組織細胞が死滅するか、又は遺伝的な欠陥を招いたり、癌を発生させたりもする。
【0005】
正常組織と腫瘍組織が近接している場合、放射線の副作用により放射線治療の線量を十分に照射できない不具合が発生する。
【0006】
そのため、放射線治療の際に破壊する腫瘍が十分な放射線を受けるようにし、腫瘍を取り囲んでいる正常組織に対する損傷を最小化するように調節される必要がある。
【0007】
腫瘍を治療する際の放射線治療の一種である電子線治療は、X線治療と比較したとき、人体の表面である皮膚及び皮膚層の下部である深部(例えば、皮下1~5cm)に高い放射線量を伝達できる。
【0008】
また、治療ターゲットの深さよりも更に深い部位の正常組織に照射される放射線量を最小化できるという長所がある。
【0009】
しかし、従来の電子線治療は、治療ターゲットの平面部位のみ治療が可能であり、子宮癌のような狭い通路への進入が必要な場合と、口腔癌のような電子線の直線照射範囲から外れた死角領域である部位への曲げ方向に照射が必要な場合は、治療が不可能であるという限界があった。
【0010】
また、治療ターゲットの位置別に腫瘍の大きさや病気の進行の程度が異なり、放射線量を調節する必要があるが、従来の電子線治療は、位置別に放射線量の調節が難しいという短所があった。
【0011】
特に、電子線を用いた手術中の放射線治療(electron intraoperative radiation therapy、electron IORT)の場合、乳癌、脳腫瘍などで治療ターゲットの表面に球状又はU字状に形成された曲面空間や、前立腺、肺、肝臓、膵臓、大腸などの臓器に対する最小限の切開手術、腹腔鏡/胸腔鏡手術、ロボット手術などで狭い通路を通じた深部空間に対する電子線治療が難しいという問題があった。
【0012】
図1及び
図2は、従来の電子線治療装置の動作を説明するそれぞれの断面図であって、
図1は、電子線出力部10、電子散乱部20、第1アプリケータ(electron applicator/cone)30、皮膚及び治療ターゲットを含み、
図2は、電子線出力部10、電子散乱部20、第2アプリケータ40、皮膚及び治療ターゲットを含む。
【0013】
まず、
図1において、電子線出力部10は、電子線を生成して加速させて出力し、電子線出力部10の下部に位置する電子散乱部20にてこれの印加を受けて電子を散乱させて複数の電子線を放射する。
【0014】
電子散乱部20の下部に位置する第1アプリケータ30は、電子散乱部20で散乱させた複数の電子線の印加を受けてガイドし、電子線治療装置の外部に電子線が放射されないように遮蔽する。
【0015】
第1アプリケータ30を介してガイドされた複数の電子線は、皮膚及び治療ターゲットに照射される。
【0016】
このとき、照射される複数の電子線の中には、
図1に示すように、電子散乱部20及び第1アプリケータ30に吸収される電子線が多数存在して出力損失を招くという問題があった。
【0017】
このような出力損失を勘案して、治療ターゲットに一定強度以上の電子線が到達するためには、電子線出力部10で多くの電力が必要になり得る。
【0018】
また、
図1によると、治療ターゲット以外の皮膚や皮下組織に到達する電子線が多数存在し、正常組織に放射線がばく露することによって、患者の人体に有害であるという問題があった。
【0019】
更に、
図2によると、
図1とは異なり、第2アプリケータ40の幅が狭すぎて治療ターゲットの全領域にガイド及び照射されず、一部にのみガイド及び照射されることによって、電子線治療が不十分になるという限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、患者の人体における治療ターゲットのうち、皮下深部と球状の曲面部位、狭い通路への進入が必要な場合、電子線の直線照射範囲から外れた死角領域である部位まで電子線照射が必要な場合にも電子線の方向と線量を調節しながら治療が可能な電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置及びシステムを提供することにある。
【0021】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及していない更に他の課題は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した技術的課題を達成するための本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置は、電子線を発生及び加速させて出力する電子線出力部と、一側が前記電子線出力部と接続し、前記電子線出力部から出力された電子線の印加を受けてカテーテルの中空トンネルを介して通過させるカテーテル部と、前記カテーテルの中空トンネルを介して通過する電子線を屈折させるための磁場を発生させる磁場発生部と、前記電子線出力部、前記カテーテル及び前記磁場発生部の有機的な動きの自由度を提供する関節駆動部とを含み、前記カテーテル部は、制御部の制御に応答して前記カテーテルの移動及び回転角度を調節できる。
【0023】
このとき、前記カテーテル部は、前記制御部の制御に応答して前記カテーテルの位置を一定の深さで固定させた状態で、前記磁場発生部の屈折角度を調節して治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節できる。
【0024】
また、前記カテーテル部は、前記制御部の制御に応答して前記磁場発生部を前記カテーテルの上下移動、左右移動及び回転によって共に移動させながら治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節できる。
【0025】
一方、前記電子線出力部は、ペンシルビーム状の電子線を出力できる。
【0026】
また、前記磁場発生部は、前記カテーテルの一側の両端に永久磁石、電磁石及び前記永久磁石と電磁石が共に用いられるハイブリッドのうちの何れか1つの形態の第1磁極及び第2磁極をそれぞれ装着することができる。即ち、前記磁場発生部は、前記永久磁石の形態の場合、前記第1磁極と第2磁極の位置及び前記第1磁極と第2磁極との間の距離調節によって前記電子線の屈折角度を調節できる。更に、前記磁場発生部は、前記電磁石の形態の場合、パルス型電磁石として電子線パルスと同期化されて磁場を発生させ、前記発生した磁場の強度及び方向調節によって前記電子線の屈折角度を調節できる。
【0027】
また、上述した技術的課題を達成するための本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システムは、電子線を発生及び加速させてペンシルビーム状に出力し、前記出力された電子線をカテーテルの中空トンネルを通過させて治療ターゲットに照射する電子線治療装置と、前記電子線治療装置と離間して前記電子線治療装置を遠隔制御する制御部と、前記制御部の制御に応答して電子線治療装置に必要な電源電圧を供給する電源部とを含み、前記電子線治療装置は、前記制御部の制御に応答して前記カテーテルの移動及び回転角度を調節して前記カテーテルを駆動させることができる。
【0028】
このとき、前記制御部は、前記電子線のエネルギー強度、線量、速度及び出力タイミング、前記電子線治療装置内の磁場発生部で発生する磁場の強度、方向及び出力タイミングを制御できる。
【0029】
また、前記制御部は、前記カテーテルの位置が一定の深さで固定された状態で前記磁場発生部の屈折角度を調節して、治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節するように制御できる。
【0030】
更に、前記制御部は、前記磁場発生部が前記カテーテルの上下移動、左右移動及び回転によって共に移動しながら治療ターゲットに照射される電子線の分布を調節するように制御できる。
【0031】
また、前記磁場発生部は、前記カテーテルの一側の両端に永久磁石、電磁石及び前記永久磁石と電磁石が共に用いられるハイブリッドのうちの何れか1つの形態の第1磁極及び第2磁極をそれぞれ装着することができる。即ち、前記磁場発生部は、前記永久磁石の形態の場合、前記第1磁極と第2磁極の位置及び前記第1磁極と第2磁極との間の距離調節によって前記電子線の屈折角度を調節できる。更に、前記磁場発生部は、前記電磁石の形態の場合、パルス型電磁石として電子線パルスと同期化されて磁場を発生させ、前記発生した磁場の強度及び方向調節によって前記電子線の屈折角度を調節できる。
【0032】
また、前記電子線治療装置は、前記電子線を出力する電子線出力部と離間した状態で、前記電子線出力部を通じて前記電子線の印加を受けられるモジュール型装置として製作可能である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、電子散乱部及びアプリケータが不要であることにより、損失又は漏洩する電子線を最小化できるため、同一の電子線の出力を目標とする場合は、電子線出力部で消費する電力を低減でき、同一の電力消費時には、電子線の出力を向上させることができるという効果を奏する。
【0034】
また、患者の人体における平面部位だけでなく、皮下深部と球状の曲面部位までも十分に電子線治療が可能になり、治療ターゲット領域のうち医療従事者が意図する領域に対して放射線量を調節しながら正確かつ適切に電子線治療を行えるという効果を奏する。
【0035】
更に、ペンシルビーム状の電子線を生成するので、磁場が必要な空間の大きさが小さくなって磁場発生部の小型化が可能になることにより、患者の人体内部の狭い空間にも治療装置の進入が可能になるという効果を奏する。
【0036】
また、手術中の放射線治療時に用いられる場合、漏洩電子線の減少により患者及び医療従事者に対する放射線ばく露のリスクが軽減し、電子線の出力増加により手術中の放射線治療時間が短縮するという効果を奏する。
【0037】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない更に他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来の電子線治療装置の動作を説明する断面図である。
【
図2】従来の電子線治療装置の動作を説明する断面図である。
【
図3】本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システムの概略的な構成図である。
【
図4】本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置の動作を説明する概略的な断面図である。
【
図5】
図4に示した磁気調整電子線治療装置100と曲面治療ターゲットに対して製作した実験模型を示す図である。
【
図6】
図4に示した磁気調整電子線治療装置内の磁場発生部140の上下移動によって平面治療ターゲットa及び曲面治療ターゲットbに照射される電子線の多様な態様による断面図である。
【
図7】
図4に示した磁気調整電子線治療装置内の磁場発生部140の左右移動によって治療ターゲットに照射される電子線の多様な様態による断面図である。
【
図8】
図4に示した磁気調整電子線治療装置内の磁場発生部140の屈折角度によって平面治療ターゲットa及び曲面治療ターゲットbに照射される電子線の多様な態様による断面図である。
【
図9a】
図4に示した磁気調整電子線治療装置をモジュール型に製作して磁場発生部を装着した状態を多角度で示す図である。
【
図9b】
図4に示した磁気調整電子線治療装置をモジュール型に製作して磁場発生部を装着した状態を多角度で示す図である。
【
図9c】
図4に示した磁気調整電子線治療装置をモジュール型に製作して磁場発生部を装着した状態を多角度で示す図である。
【
図10】
図4に示した電子線出力部110及びカテーテル130、磁場発生部140を用いて磁場による電子線を多角度に屈折させることができることを示す図である。
【
図11a】
図8に示した実験結果、被写体400に表示された電子線の痕跡を示す図である。
【
図11b】
図8に示した実験結果、被写体400に表示された電子線の痕跡を示す図である。
【
図11c】
図8に示した実験結果、被写体400に表示された電子線の痕跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0040】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0041】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0042】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置かれることができる。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0043】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0044】
図3は、本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システムの概略的な構成図であって、電子線治療装置100、制御部200及び電源部300を含む。
【0045】
電子線治療装置100は、電子線出力部110、カテーテル部120、カテーテル130、磁場発生部140及び関節駆動部150を含む。
【0046】
図3を参照して、本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療システムを概略的に説明すると、以下の通りである。
【0047】
電子線治療装置100は、ペンシルビーム状の電子線を生成及び加速させ、カテーテル130の中空トンネルを通過させて治療ターゲットに照射する。
【0048】
制御部200は、電子線治療装置100と離間して電子線治療装置100及び電源部300を遠隔制御できるユーザ端末であって、キーボード、マウスなどの入力手段とディスプレイ部などの出力手段を備える。
【0049】
即ち、制御部200は、電子線出力部110から出力される電子線のエネルギー強度、線量、速度及び出力タイミングと、電子線治療装置100内の磁場発生部140から発生する磁場の強度、方向及び出力タイミングを制御する。
【0050】
電源部300は、制御部200の制御に応答して電子線治療装置100に必要な電源電圧を供給する。
【0051】
図4は、本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置の動作を説明する概略的な断面図であって、電子線出力部110、カテーテル部120、カテーテル130、磁場発生部140、皮膚及び治療ターゲットを含む。
【0052】
図5は、
図4に示した電子線治療装置100と曲面治療ターゲットTに対して製作した実験模型の写真であって、電子線出力部110、カテーテル部120、カテーテル130、磁場発生部140及び治療ターゲット模型を含む。
【0053】
治療ターゲット模型において、下部に位置するU字状の白色領域は、患者の身体内部の空間を模型化したものであり、白色領域内部の黄緑色領域Tは、放射線治療が必要な治療ターゲットを模型化したものである。
【0054】
図6は、
図4に示した磁気調整電子線治療装置100内の磁場発生部140の上下移動によって平面治療ターゲットa及び曲面治療ターゲットbに照射される電子線の多様な様態による断面図であって、磁場発生部140-1~140-6、皮膚及び治療ターゲットを含む。
【0055】
図7は、
図4に示した磁気調整電子線治療装置100内の磁場発生部140の左右移動によって治療ターゲットに照射される電子線の多様な態様による断面図であって、磁場発生部140-1'~140-3'、皮膚及び治療ターゲットを含む。
【0056】
図8は、
図4に示した磁気調整電子線治療装置内の磁場発生部140の屈折角度によって平面治療ターゲットa及び曲面治療ターゲットbに照射される電子線の多様な様態による断面図であって、磁場発生部140-7、140-8、皮膚及び治療ターゲットを含む。
【0057】
図3乃至
図8を参照して、本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置の各構成要素の構成と機能を概略的に説明すると、以下の通りである。
【0058】
電子線出力部110は、電子線を生成して加速させて出力する。
【0059】
カテーテル部120は、一側(上側)が電子線出力部110の下部と接続し、他側(下側)がカテーテル130と接続し、電子線出力部110から出力された電子線の印加を受けて、カテーテル130の中空トンネル135を介して通過させる。
【0060】
磁場発生部140は、カテーテル130の一側(下側)に接続し、カテーテル130の中空トンネル135を介して通過する電子線を屈折させるための磁場を発生させる。
【0061】
関節駆動部150は、一側が電子線出力部110に接続し、電子線出力部110、カテーテル130及び磁場発生部140の有機的な動きの自由度を提供する。
【0062】
このとき、カテーテル部120は、制御部200の制御に応答してカテーテル130の移動及び回転角度を調節してカテーテル130を駆動させる。
【0063】
図9a乃至
図9cは、
図4に示した磁気調整電子線治療装置をモジュール型に製作して磁場発生部を装着した状態を多角度で示す図であって、
図9aは、
図4に示した磁気調整電子線治療装置のうち磁場発生部の位置を所定の(又は既に設定された)角度で側部を下方撮影した状態を示し、
図9bは、所定の(又は既に設定された)角度で上部を下方撮影した状態を示し、
図9cは、正面から磁気調整電子線治療装置の下部を撮影した状態を示すものであって、カテーテル130及び磁場発生部140を含み、磁場発生部140は、第1及び第2磁極141、142を含む。
【0064】
図10は、
図4に示した電子線出力部110及びカテーテル130、磁場発生部140を用いて磁場による電子線を多様な角度で屈折させることができることを示すものであって、電子線出力部110、カテーテル130、磁場発生部140及び被写体400を含む。
【0065】
図11は、
図10に示した実験結果、被写体400に表示された電子線の痕跡に対する写真である。
【0066】
図3乃至
図11を参照して、本発明に係る電子線ペンシルビーム基盤の磁気調整電子線治療装置を詳細に説明すると、以下の通りである。
【0067】
図3において、電子線出力部110は、電子線をペンシルビーム状に生成し、前記生成されたペンシルビーム状の電子線を加速させて出力する。
【0068】
このとき、電子線のエネルギーは1~15MeVに設定でき、直径は0.1~3cmに設定できる。
【0069】
カテーテル部120は、電子線出力部110の下部に接続し、電子線出力部110から出力された電子線の印加を受けてカテーテル130の移動及び回転角度を調節し、磁場発生部140の屈折角度を調節する。
【0070】
カテーテル130は、中央部に円筒形の空き空間である中空トンネル135を備え、カテーテル部120の下部に接続し、
図4に示すように、カテーテル部120の制御に応答して回転運動しながら電子線ビームを通過させる。
【0071】
このとき、カテーテル130は、モジュール形態で電子線出力部110と独立して駆動されて個別に動くこともでき、電子線出力部110に一体型に固定されて共に上下移動しながら動くこともできる。
【0072】
また、カテーテル130の内部を介して通過する電子線ビームの散乱を低減するために、ヘリウムガス又は真空などに気体組成の変更が可能である。
【0073】
磁場発生部140は、カテーテル130の一端に接続し、カテーテル部120の制御に応答して屈折角度を調節するようにカテーテル130の内部空間を介して通過する電子線を屈折させるための磁場を発生させる。
【0074】
磁場発生部140で発生した磁場によって屈折角度が調節される電子線は、
図4に示すように、治療ターゲットの多様な部位に均一に照射され、電子線照射の分布が調節される。
【0075】
このとき、磁場発生部140は、カテーテル130の上下移動によって共に移動しながら電子線照射の分布を調節することもでき、カテーテル130の位置を一定の深さで固定させた状態で屈折角度が調節されながら電子線照射の分布を調節することもできる。
【0076】
即ち、
図6の(a)に示すように、治療ターゲットが患者の身体部位の表面に存在する場合(例えば、皮膚癌、大きなサイズの臓器手術など)に、カテーテル130の上下移動によって磁場発生部140の位置が第1深さ乃至第3深さ140-1~140-3に変動して電子線の照射が行われることにより、平面形状を有する治療ターゲットの全ての部位に均一に治療を行うことができる。
【0077】
また、
図6の(b)に示すように、治療ターゲットが患者の皮下から特定の深さに離れた位置にて球状の曲面に存在する場合(例えば、乳癌、脳腫瘍など)、カテーテル130の上下移動によって磁場発生部140の位置が第4深さ乃至第6深さ140-4~140-6に変動して電子線の照射が行われることにより、治療ターゲットの全ての部位に均一に治療を行うことができる。
【0078】
または、
図7に示すように、カテーテル130の左右移動によって磁場発生部140の位置が第1位置乃至第3位置140-1'~140-3'に変動し、磁場発生部140で発生する放射線量を既に設定された少なくとも1つの基準よりも小さい低線量又は前記基準よりも大きい高線量に調節するか、特定領域を回避しながら電子線の照射が行われることによって、平面形状(又は曲面形状)を有する治療ターゲット部位に位置別に異なる強度で治療を行うことができる。
【0079】
または、
図8の(a)に示すように、治療ターゲットが患者の皮膚表面に存在する場合であっても、カテーテル130の位置を既に設定された深さ140-7に固定させた状態で磁場発生部140の屈折角度を多様に調節しながら電子線の照射が行われることによって、平面形状を有する治療ターゲットの全ての部位に均一に治療を行うことができる。
【0080】
また、
図8の(b)に示すように、治療ターゲットが患者の皮下から特定深さ離れた位置において球状の曲面に存在する場合であっても、カテーテル130の位置を既に設定された深さ140-8に固定させた状態で磁場発生部140の屈折角度を多様に調節しながら電子線の照射が行われることによって、球形の曲面形状を有する治療ターゲットの全ての部位に均一に治療を行うことができる。
【0081】
これにより、患者の人体における皮下深部と球状の曲面部位までも十分に電子線の治療が可能になり、治療ターゲット領域のうち医療従事者が意図する領域を全体的又は一部的に放射線量を調節しながら正確かつ適切に電子線治療を行えることになる。
【0082】
このとき、十分な治療空間の確保のために、治療ターゲットと近接した空間に風船やプラスチック多面体などの補助医療機器を取り付けることもできる。
【0083】
また、医療従事者に対する放射線ばく露のリスクのため、一般的に手術中の放射線治療の際に、医療従事者は患者と離れた別の空間にいなければならないことによって、手術中の放射線治療の時間が長くなるほど患者の危険度が増加するが、本発明による場合、手術中の放射線治療時間が短縮し、患者のリスクを軽減し得る。
【0084】
磁場発生部140は、永久磁石、電磁石及び前記永久磁石と電磁石が共に用いられるハイブリッドのうちの何れか1つの形態で構成されることができる。
【0085】
このとき、磁場発生部140が永久磁石の形態で構成される場合、電子線出力部110で生成される電子線の速度調節によって前記電子線の屈折角度は調節できる。
【0086】
また、磁場発生部140が永久磁石の形態で構成される場合、第1及び第2磁極(magnetic pole)141、142の位置を調節して、第1及び第2磁極141、142が、電子線の通過する経路から外れるようにすることによって、電子線に及ぼす磁場発生部140での磁場の影響を低減させることができる。
【0087】
更に、磁場発生部140が永久磁石の形態で構成される場合、第1及び第2磁極(magnetic pole)141、142の間の距離を調節して、前記電子線の屈折角度を調節できる。即ち、第1及び第2磁極141、142の間の距離を調節して、距離を遠くすると、磁場の強度が減少し、距離を近くすると、磁場の強度が増加する。
【0088】
一方、磁場発生部140が電磁石で構成される場合、パルス型電磁石として電子線パルスと同期化されて磁場を発生させ、前記発生した磁場の強度及び方向調節によって前記電子線の屈折角度を調節できる。
【0089】
これにより、同一の磁場の発生時に発熱を減少させることができ、同一の発熱条件の場合には、磁場の出力を増加させることができる。
【0090】
磁場発生部140で発生する磁場の強度は、0.1~1.0テスラ(Tesla)に設定できる。
【0091】
制御部200は、電子線出力部110及び磁場発生部140の動作を制御するだけでなく、カテーテル130の移動距離及び速度、回転角度及び角速度、磁場発生部140の屈折角度を調節し、治療ターゲットの各部位に既に設定された放射線量が伝達されるように患部の位置別の放射線量を調節する。これにより、従来の電子線治療装置により治療が不可能であった球状、狭い通路、曲がった部位など多様な形状と位置の部位に対する電子線の治療が可能になる。
【0092】
関節駆動部150は、一側が電子線出力部110に接続され、他側が電源部300に接続され、電子線出力部110、カテーテル130及び磁場発生部140が有機的に動くように自由度を提供する。
【0093】
このように、本発明の磁気調整電子線治療装置には、従来の電子線治療装置に備えられていた電子散乱部及びアプリケータが不要であることにより、電子線出力部110で発生する電子線のうち、電子散乱部及びアプリケータに吸収される電子線が存在せず、損失する電子線を最小化できるため、同一の出力を目標とする際には、電子線出力部110で消費する電力を低減でき、同一の電力消費時には、電子線の出力を向上させることができる。
【0094】
そして、本発明の電子線治療装置100は、電子線ペンシルビームを基にするが、一般に広い全体面積(例えば、40×40cm2以上)を同時に治療していた従来の電子線治療に対して、本発明に係るペンシルビーム基盤の電子線治療は、狭い単位面積(例えば、0.5×0.5cm2以下)を集中照射した後、順次、以後の位置に照射して全体面積を治療することに特徴がある。
【0095】
また、従来の電子散乱部で放射線量の吸収比率が50%前後であり、同時に、治療される面積が6、400倍(従来の治療40×40cm2面積に対してペンシルビーム治療面積0.5×0.5cm2の倍数)減少することを考慮すると、各単位面積(0.5×0.5cm2)を基準に治療速度が従来よりも10、000倍ほど増加することが分かる。
【0096】
そのため、一般的な放射線治療の出力が0.1Gy/sであり、特殊な条件では10Gy/s程度であることを考慮すると、電子線ペンシルビームを基にする本発明の電子線治療装置100は1、000-100、000Gy/sの出力が可能であり、40Gy/s以上の速度で治療時に発生すると知られているフラッシュ(flash)効果が得られ、出力を一部下げると、小型に製作することが可能であり、移動が可能であるので、手術中の放射線治療にも利用できる。
【0097】
電子線ペンシルビームは、カテーテル130を介して狭い空間への進入が可能であり、電子線ペンシルビームが小さい直径で照射されることによって、磁場が必要な空間の大きさも小さくなり、磁場発生部140の小型化も可能であり、カテーテルと磁場発生部の何れも患者の人体内部の狭い空間にも進入が可能になる。
【0098】
なお、本発明の電子線治療装置100は、
図9a乃至
図9cに示すように、電子線出力部110を含む単独型装置として製作できるだけでなく、
図5に示すように、既存の電子線発生装置に離間して電子線の印加を受けられるモジュール型装置としても製作が可能であるという利点がある。
【0099】
また、
図9a乃至
図9cに示すように、一定の形状を有するカテーテル130の一側の両端に、磁場発生部140の第1及び第2磁極141、142をそれぞれ装着する。
【0100】
図10に示すように、本発明の電子線治療装置100を電子線出力部110と一体化させた状態で電子線を発生し、制御部200で磁場発生部140の屈折角度を多様に調節しながら電子線を照射できる。
【0101】
図10に示すように、電子線治療装置100が電子線出力部110と一体になった場合、カテーテル130及び磁場発生部140の回転は、カテーテル部120で制御され、上下移動は、電子線モジュール型治療装置100全体が共に動く。
【0102】
図11aに示すように、磁場が発生していない場合、被写体に表示された電子線の痕跡は、最も低い位置である第1位置P1に表示される。
【0103】
図11bに示すように、制御部200の制御に応答して磁場発生部140で磁場が発生した場合は、中間の高さである位置第2位置P2に表示される。
【0104】
図11cに示すように、制御部200の制御によって磁場発生部140の屈折角度を調節するか、及び/又は磁場発生部140の位置を調節して電子線が照射される高さを1.5cm上方に移動して電子線が照射された場合には、最も高い位置である第3位置P3に表示されることが確認できる。
【0105】
このように、本発明は患者の人体における治療ターゲットのうち、皮下深部と球状の曲面部位、狭い通路への進入が必要な場合、電子線の直線照射範囲から外れた死角領域である部位まで電子線の照射が必要な場合にも電子線の方向と線量を調節しながら治療が可能な電子線ペンシルビーム基盤の電子線治療装置及びシステムを提供する。
【0106】
これにより、電子散乱部及びアプリケータが不要であり、損失又は漏洩する電子線を最小化できるため、同一の電子線の出力を目標とする際には、電子線出力部で消費する電力を低減でき、同一の電力消費時には、電子線の出力を向上させることができる。
【0107】
また、患者の人体における平面部位だけでなく、皮下深部と球状の曲面部位までも十分に電子線の治療が可能になり、治療ターゲット領域のうち医療従事者が意図する領域に対して放射線量を調節しながら正確かつ適切に電子線治療を行えることになる。
【0108】
更に、ペンシルビーム状の電子線を生成するので、磁場が必要な空間の大きさが小さくなって磁場発生部の小型化が可能になることにより、患者の人体内部の狭い空間にも治療装置の進入が可能になる。
【0109】
また、手術中の放射線治療時に用いられる場合、漏洩電子線の減少により患者及び医療従事者に対する放射線ばく露のリスクが軽減し、電子線の出力増加により手術中の放射線治療時間が短縮する。
【0110】
以上、添付の図面を参照して、本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できるということが理解できる。従って、以上で述べた実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
【国際調査報告】