(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】機能性向上バインダーが適用されたフィルターおよびこれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/10 20060101AFI20250117BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20250117BHJP
A24D 3/02 20060101ALI20250117BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20250117BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20250117BHJP
D06M 15/09 20060101ALI20250117BHJP
D06M 15/11 20060101ALI20250117BHJP
D06M 15/356 20060101ALI20250117BHJP
D06M 15/507 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A24D3/10
A24D3/14
A24D3/02
D06M13/144
D06M13/224
D06M15/09
D06M15/11
D06M15/356
D06M15/507
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540711
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2023001567
(87)【国際公開番号】W WO2023204406
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049268
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】524213047
【氏名又は名称】コロン インダストリーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ、スン フーン
(72)【発明者】
【氏名】マ、キェン バエ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ボン ス
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ソ イェオン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、セウン ドン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェオン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン チェオル
(72)【発明者】
【氏名】ジン、サン ウー
(72)【発明者】
【氏名】フワン、イェオン ナム
【テーマコード(参考)】
4B045
4L033
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BB05
4B045BB10
4B045BC04
4B045BC13
4L033AA02
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA11
4L033BA21
4L033CA02
4L033CA05
4L033CA06
4L033CA11
4L033CA45
(57)【要約】
本発明は、複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウ、フェノール類関連機能性物質およびバインダーを含む喫煙物品用フィルターおよびその製造方法を提供し、前記喫煙物品用フィルターを含む喫煙物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウを含む喫煙物品用フィルターであって、
フェノール類関連機能性物質およびバインダーを含有するバインダー溶液を含む喫煙物品用フィルター。
【請求項2】
前記バインダー溶液は、フェノール類関連機能性物質を20~50重量%含む請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項3】
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(Triethyl citrate;TEC)およびトリアセチン(Triacetin;TA)からなる群から選ばれた1つ以上である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項4】
前記バインダーは、親水性バインダーおよび両性バインダーからなる群から選ばれた1つ以上である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項5】
前記バインダーは、ポリエステル(Polyester)およびデンプン系からなる群から選ばれた1つ以上の親水性バインダーであり、
前記喫煙物品用フィルターは、乳化剤をさらに含む請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項6】
前記乳化剤は、モノグリセリド(Monoglyceride)、ジグリセリド(Diglyceride)およびトリグリセリド(Triglyceride)からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上である請求項5に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項7】
前記バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上の両性バインダーであり、
前記セルロース系バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記ビニル系バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項8】
前記バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上のビニル系バインダーである請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項9】
前記バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項10】
喫煙物品用フィルターは、アルコールをさらに含む請求項4から9のいずれか一項に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項11】
前記アルコールは、プロピレングリコール(PG)である請求項10に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項12】
タバコ媒質部およびフィルター部を含む喫煙物品であって、
複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウ、フェノール類関連機能性物質、両性バインダーおよびアルコールを含み、
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(TEC)およびトリアセチン(TA)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記両性バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上である喫煙物品。
【請求項13】
前記両性バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上のビニル系バインダーである請求項12に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記両性バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である請求項12に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記アルコールは、プロピレングリコール(PG)である請求項12から14のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項16】
喫煙物品用フィルターの製造方法であって、
a)複数のリヨセル繊維束を含むリヨセルトウを準備する段階と、
b)両性バインダーとアルコールを混合した後、フェノール類関連機能性物質を混合する段階と、
c)前記混合した溶液を前記リヨセルトウに分散させる段階と、を含み、
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(TEC)およびトリアセチン(TA)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記両性バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記アルコールは、プロピレングリコール(PG)であるタバコ用フィルターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性向上バインダーが適用されたフィルターおよびこれを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
リヨセル(Lyocell)は、主成分がセルロースであり、セルロースアセテート(Cellulose acetate;CA)とは異なって、人体に無害な可塑剤がほとんど存在しない。このような理由から、リヨセルを利用してフィルターを製造し、一定レベル以上の硬度を付与するためには、バインダー溶液を使用しなければならない。リヨセルフィルターを従来使用されるバインダー溶液と共にトリエチルシトレート(Triethyl citrate;TEC)およびトリアセチン(Triacetin;TA)のような物質を共に混合した場合、溶液の層分離現象が発生する。このような溶液を使用すると、リヨセルトウにバインダー溶液とTEC、TAのような物質を均一に噴射できないという問題点が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これより、前述のような従来技術の問題点および/または限界点を克服するために、本発明は、リヨセル(Lyocell)繊維に、トリエチルシトレート(Triethyl citrate;TEC)および/またはトリアセチン(Triacetin;TA)のような物質と、バインダーを均一(homogeneous)に混合して製造した喫煙物品用リヨセルフィルターおよびこれを含む喫煙物品を提供することを目的とする。
【0004】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から該当技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例によれば、複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウを含む喫煙物品用フィルターであって、
フェノール類関連機能性物質およびバインダーを含むことを特徴とする喫煙物品用フィルターを提供する。
【0006】
一態様によれば、タバコ媒質部およびフィルター部を含む喫煙物品であって、
前記複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウ、フェノール類関連機能性物質、両性バインダーおよびアルコールを含み、
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(TEC)およびトリアセチン(TA)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記両性バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする喫煙物品を提供する。
【0007】
他の態様によれば、喫煙物品用フィルターの製造方法であって、
a)複数のリヨセル繊維束を含むリヨセルトウを準備する段階と、
b)両性バインダーとアルコールを混合した後、フェノール類関連機能性物質を混合する段階と、
c)前記混合した溶液を前記リヨセルトウに分散させる段階と、を含み、
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(TEC)およびトリアセチン(TA)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記両性バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記アルコールは、プロピレングリコール(PG)であることを特徴とするタバコ用フィルターの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、脂溶性のトリエチルシトレート(Triethyl citrate;TEC)および/またはトリアセチン(Triacetin;TA)などの物質がより均一に混合されたリヨセルフィルターを提供することができ、これを通じて、喫煙中タバコの煙成分内に存在するフェノール類などの成分をより効果的に除去することができるという長所がある。また、リヨセルトウを使用することによって、環境に優しいフィルターを製作することができる。
【0009】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例による喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例によってラッパーを含む喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかしながら、実施例には、様々な変更が加えられることができ、特許出願の権利範囲がこのような実施例により制限または限定されるものではない。実施例に対するすべての変更、均等物や代替物が権利範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0012】
実施例において使用した用語は、ただ説明を目的に使用されたものであり、限定しようとする意図と解釈すべきものではない。単数の表現は、門脈上明白に相異に意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0013】
別途定義しない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の門脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解釈されない。
【0014】
また、添付の図面を参照して説明するに際して、図面符号に関係なく、同じ構成要素は、同じ参照符号を付与し、これに関する重複する説明を省略する。実施例を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が実施例の要旨を不明確にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0015】
また、実施例の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、ただ当該構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。
【0016】
いずれか1つの実施例に含まれた構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施例において同じ名称を使用して説明することとする。反対となる記載がない限り、いずれか1つの実施例に記載した説明は、他の実施例にも適用することができ、重複する範囲で具体的な説明を省略する。
【0017】
明細書全般において「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができるものを意味し得る。喫煙物品は、エアロゾル生成物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。
【0018】
また、 明細書全般において「上流」または「上流方向」は、喫煙物品1を喫煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」または「下流方向」は、喫煙物品1を喫煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。例えば、
図1、
図2に示された喫煙物品1において、タバコ物質部10は、タバコ用フィルター部20の上流または上流方向に位置する。
【0019】
また、本明細書において、喫煙物品1の燃焼型シガレットである場合を例にあげて説明したが、これに限定されず、喫煙物品1は、電子タバコ装置などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに使用される加熱式シガレットなどに該当することもできる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウを含む喫煙物品用フィルターであって、
フェノール類関連機能性物質およびバインダーを含有するバインダー溶液を含むことを特徴とする喫煙物品用フィルターを提供する。
【0021】
フェノール類関連機能性物質は、喫煙時に発生するフェノール類を特異的に減少させることができる物質に該当するものであり、その例として、トリエチルシトレート(Triethyl citrate;TEC)、またはトリアセチン(Triacetin;TA)が挙げられ、これらのすべてに該当することもできる。
【0022】
前記TECまたはTAがバインダー溶液に含まれる場合、その含有量は、20~50重量%であってもよく、前記20重量%未満である場合には、フェノール類減少効果が弱くなり、50重量%を超過する場合には、バインダー溶液の接着力が非常に低下する問題が発生して、適切なフィルター硬度の具現が難しいことがある。
【0023】
前記喫煙物品用フィルターに含まれるバインダーは、フィルターが製造される方法によってその種類が一部異なっていてもよく、親水性バインダー、および/または水溶性と脂溶性の性質を全部有する両性バインダーに該当することができる。
【0024】
前記喫煙物品用フィルターが親水性バインダーを含む場合には、前記喫煙物品用フィルターの製造時、脂溶性のTEC、TAなどのようなフェノール類関連機能性物質と親水性バインダーが容易に混合されることができず、溶液の層が分離する現象が発生する。したがって、この場合には、フィルターの製造時に乳化剤をさらに添加することが好ましく、これによって、製造される喫煙物品用フィルターは、乳化剤をさらに含むこととなる。
【0025】
前記乳化剤の種類としては、喫煙者の健康および環境への優しさなどを理由で、食品用乳化剤であることが好ましく、具体的な例としては、モノグリセリド(Monoglyceride)、ジグリセリド(Diglyceride)、および/またはトリグリセリド(Triglyceride)に該当することができる。
【0026】
前記喫煙物品用フィルターが両性バインダーを含む場合には、リヨセルフィルターの製造に使用される環境に優しい水溶性溶液と脂溶性のTEC、TAなどのようなフェノール類関連機能性物質が均一(homogeneous)に混合されることができ、これを通じて、フェノール類関連機能性物質がリヨセルトウに均一に分散して、喫煙中タバコの煙成分内に存在するフェノールなどの成分の効果的な低減が可能である。
【0027】
このような両性バインダーの種類としては、セルロース系バインダーおよび/またはビニル系バインダーを含んでもよいし、前記セルロース系バインダーの具体的な例では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群から選ばれた1つ以上であってもよく、前記ビニル系バインダーの具体的な例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0028】
なお、前記両性バインダーの種類のうちでも、ビニル系バインダーを含むことがより好ましく、より好ましくは、ポリビニルピロリドン(PVP)であってもよい。
【0029】
両性バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を使用する場合には、他の両性バインダーに比べて、脂溶性のフェノール類関連機能性物質と混合するとき、粘度が低いため、脂溶性のフェノール類関連機能性物質がより均一に良好に混合されることができ、ひいては、喫煙物品用フィルターの製造時にも、リヨセルトウにフェノール類関連機能性物質が均一に分散したフィルターを容易に製造することができるという効果がある。
【0030】
また、前記バインダーとフェノール類関連機能性物質以外にも、バインダー溶液内微生物および菌類の増殖を防止するために、アルコールをさらに含ませて混合することができ、前記アルコールの種類としては、多価アルコール、エチルアルコールのような1価アルコール、またはこれらの混合物に該当することができ、好ましくは、多価アルコールのうちプロピレングリコール(PG)を含むことが好ましい。
【0031】
なお、前記プロピレングリコール(PG)を使用する場合、プロピレングリコール(PG)が離型剤の役割をして、フィルター設備ロールとロールにリヨセルトウが接着してくっついてしまう現象が減少するので、フィルター製造工程の効率が上昇する。
【0032】
1価アルコールとしてエチルアルコールを使用する場合には、5~10重量%が使用でき、多価アルコールとしてプロピレングリコールを使用する場合には、20~50重量%が使用できる。
【0033】
その他にも、前記喫煙物品用フィルターは、製造時に用途(燃焼型シガレット、電子タバコなど)および必要に応じて、内部に香りを担持したカプセルをさらに含んだり、保湿剤などをさらに含んでもよい。
【0034】
このような香り担持カプセルを含む場合、様々な香味経験、不快臭のマスキング効果などを示して、喫煙者にとって満足感を向上させることができ、前記保湿剤を含むことによって、従来喫煙物品に比べて霧化量をより効果的に増進させることができる。
【0035】
本発明の他の態様によれば、タバコ媒質部およびフィルター部を含む喫煙物品であって、
前記複数個のリヨセル繊維を含むリヨセルトウ、フェノール類関連機能性物質、両性バインダーおよびアルコールを含み、
前記フェノール類関連機能性物質は、トリエチルシトレート(TEC)およびトリアセチン(TA)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記両性バインダーは、セルロース系バインダーおよびビニル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする喫煙物品を提供する。
【0036】
ここで記載された、両性バインダーおよびアルコールは、前述のような喫煙物品用フィルターに含まれる両性バインダーの種類と実質的に同一であり、好ましくは、ポリビニルピロリドン(PVP)の両性バインダーおよびプロピレングリコール(PG)のアルコールを含むものであってもよい。
【0037】
なお、前記タバコ媒質部は、通常、葉タバコのようにニコチンを含むタバコ物質を含み、バインダーやその他添加剤などのような賦形剤をさらに含んでもよいし、一例として、本発明のタバコ媒質部に含まれるタバコ媒質は、タバコ物質および賦形剤などを含む顆粒の形態で製造することができる。
【0038】
本発明においてタバコ物質は、エアロゾル発生基材を形成する物質であり、タバコ葉切れ、タバコ幹、タバコ処理中に発生したタバコ粉塵および/またはタバコ葉の葉片ストリップであってもよい。タバコ葉は、黄色種、バーレー種、オリエント種、シガー葉およびトーストの中から選ばれた少なくとも1つ以上てあってもよいが、これに制限されるものではない。
【0039】
また、本発明の一実施例による喫煙物品のフィルター部は、2以上のセグメントに分けられ、第1フィルター部、第2フィルター部などに分画されることができ、配置される位置に関係なく、前記2以上のセグメント中の1つが本発明の一実施例による喫煙物品用フィルターに該当する場合、本発明の範囲に含まれ得る。
【0040】
また、喫煙物品には、タバコ媒質部およびフィルター部以外にも、前記構成部を包むラッパーを含んでもよいし、前記ラッパーは、一般的なフィルター巻紙で製作することができる。また、タバコ媒質部とフィルターを結合するティッピングラッパーには、外部空気が流入したり内部気体が流出できるように、選択的に周方向に沿って1つ以上の穿孔が形成されていてもよく、これを通じて、シガレットの空気希釈率を具現し、主流煙成分の移行量を調節することができるという効果がある。
【0041】
以下、実施例と比較例に基づいて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
-実施例
1)リヨセルフィルターの製造方法
繊維1本が約3.0デニールであるリヨセル繊維を利用して、トウ繊維束が約35000デニールであるリヨセルトウを使用した。また、バインダーとTECおよび溶媒の混合物であるバインダー溶液を製造した。具体的には、前記バインダー溶液は、バインダー溶液の全重量を基準として10重量%のPVP(Polyvinylpyrrolidone)を60重量%の溶媒(40重量%のプロピレングリコールと10重量%のエタノール、10重量%の水の混合溶媒)と30%TECに添加して製造された。製造されたバインダー溶液をブラッシュ方式の噴霧を通じてリヨセルトウに噴霧した。前記バインダー溶液をリヨセルトウの重量を基準として10または15重量%を噴霧して製造した。乾燥したリヨセルトウを巻紙で包んで、軸方向の長さが約108mmであり、円周が約24.20mmであるタバコフィルターを製造した。
【0043】
2)バインダーの種類による粘度差
本発明者は、本発明の一実施例によるビニル(Vinyl)系バインダー中の1つであるポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース系バインダー中の1つであるヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropyl methylcellulose;HPMC)およびポリエステル(Polyester)の温度別の粘度差を比較して示した(表1)。
【0044】
【0045】
セルロース系バインダーであるHPMCとビニル系バインダーであるPVPは、いずれも、両性バインダーに該当するものであり、前記バインダーは、いずれも、脂溶性のTECと混合されることができるが、前記表1に示されたように、HPMCは、PVPに比べて、溶解時に粘度が高いため、フィルター製造工程で均一に分散せず、ロール機にトウが接着して巻き込まれ、その結果、トウが切れるなどの問題点が発生する。これに対し、PVPの場合、HPMCに比べて粘度が低いため、フィルターの製造工程上、問題点が発生せず、TEC物質が均一にリヨセルトウに分散することができるという長所がある。
【0046】
なお、ポリエステル(Polyester)は、PVPと同様に、低い粘度を有するが、フェノール類関連機能性物質であるTECと均一な混合が不可能で、界面活性剤または乳化剤を使用して均一に分散させなければならないという限界点があり、前記界面活性剤または乳化剤を使用する場合(界面活性剤または乳化剤を含むポリエステルバインダー溶液にTECを分散させる場合)には、かえって粘度が増加するという短所がある。
【0047】
3)ポリエステル(Polyester)バインダーおよびポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone;PVP)バインダー溶液の製造および適用フィルターの効果の確認
ポリエステルバインダーと水、プロピレングリコール(PG)、エチルアルコール(EtOH)を共に混合して、ポリエステルバインダー溶液を製造し、PVPバインダーと水、PG、EtOHおよびTECを共に混合して、PVPバインダー溶液を製造した。ポリエステルの場合、TECを共に混合する場合、層分離が発生するので、均一なバインダー溶液を製造することが難しいが、PVPの場合、両性バインダーとしてTECと容易に混合されるので、容易にバインダー溶液を製造することができる。
【0048】
前記2つの種類のバインダー溶液が適用されたリヨセルフィルターを使用してシガレットを製造し、各シガレットのフェノール(Phenol)煙成分を測定して比較し、その結果を下記表2に示す。
【0049】
【0050】
前記表2に示されたように、Polyesterバインダー溶液をリヨセルフィルターに適用した場合に比べて、PVPバインダー溶液をリヨセルフィルターに適用した場合、フェノール成分の低減効果が約30%大きく示されることを確認することができる。
【0051】
以上のように実施例がたとえ限定された図面により説明されたが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、上記に基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で行われたり、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合されるかまたは組み合わせられたり、他の構成要素または均等物によって代替または置換されても、適切な結果を達成することができる。
【0052】
したがって、他の具現、他の実施例および特許請求範囲と均等なものも、後述する請求範囲の範囲に属する。
【国際調査報告】