(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ステント挿入装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20250117BHJP
B65H 75/38 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61F2/966
B65H75/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540736
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 AU2022051599
(87)【国際公開番号】W WO2023130157
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524252378
【氏名又は名称】ジフィーステント ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIFFYSTENT PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イスキア, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】フライ, ドナルド
【テーマコード(参考)】
3F068
4C267
【Fターム(参考)】
3F068AA14
3F068BA12
3F068CA02
3F068DA02
3F068FA01
4C267AA28
4C267AA56
4C267AA77
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB37
4C267BB53
4C267CC26
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH22
(57)【要約】
本発明は、包括的には、ステントを、人間の身体の中の所望のロケーションに配置するための装置に関する。排他的ではないが特に、装置は、ステントを、尿管内、又は人間の身体の中の他の通路若しくは空間内に配置するように構成される。本発明は、ステントを対象の身体構造に挿入するための装置であって、ステントガイドワイヤと、ステントガイドワイヤを対象の身体構造に向けて移動させるように構成された第1の移動手段と、ステントガイドワイヤの周りに配設されたステントプッシャと、ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させるように構成された第2の移動手段と、を備える、装置として具現化することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントを対象の身体構造に挿入するための装置であって、
ステントガイドワイヤと、
前記ステントガイドワイヤを対象の身体構造に向けて移動させるように構成された第1の移動手段と、
前記ステントガイドワイヤの周りに配設されたステントプッシャと、
前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し前記ステントプッシャを移動させるように構成された第2の移動手段と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャが、共に相互に依存した方式で、共に移動可能であるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の移動手段が、前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャが、共に相互に依存した方式で、共に移動可能であるように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
交互に、(i)前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し前記ステントプッシャを移動させ、(ii)前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャを相互に依存した方式で移動させるように構成された、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2の移動手段が、交互に、(i)前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し前記ステントプッシャを移動させ、(ii)前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャを相互に依存した方式で移動させるように構成される、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
交互に、(i)前記ステントプッシャが前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し移動可能であり、(ii)前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャが相互に依存した方式で移動可能であるように、前記第1及び第2の移動手段を、交互に、互いに対しロックし、互いからロック解除するように構成された機構を備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の移動手段が、或る方向における移動を阻止するように独立してロック可能である、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び/又は第2の移動手段が移動可能であり、前記第1の移動手段の移動が、前記身体構造に向けた前記ステントガイドワイヤの移動を引き起こし、前記第2の移動手段の移動が、前記ステントガイドワイヤに沿った前記ステントプッシャの移動を引き起こす、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
交互に、(i)前記ステントプッシャが前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し移動可能であり、(ii)前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントプッシャが相互に依存した方式で移動可能であるように、前記第1及び第2の移動手段を、交互に、互いに対しロックし、互いからロック解除するように構成された機構を備え、前記機構は、ロック解除されたとき、前記第1及び第2の移動手段が互いから独立して移動することを可能にし、ロックされたとき、前記第1及び第2の移動手段が互いから独立して移動することを阻止する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び/又は第2の移動手段が回転方向に移動可能である、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の移動手段が、回転軸線の周りで回転方向に移動可能であり、前記第1及び/又は第2の移動手段が、前記回転軸線を取り囲む外側に面する表面を有し、前記ステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャが、前記第1及び/又は第2の移動手段の前記外側に面する表面上に巻かれる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の移動手段が、円形の断面を有する構造体であり、ステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャが前記構造体の外側に巻かれる、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記円形の断面を有する前記構造体が、車輪、スプール、リール、ボビン、ドラム、又はその機能的等価物である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の移動手段の回転軸線が一致している、請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2の移動手段が、手動で、又はモータ、付勢手段若しくはばねを備える機構によって移動可能であるように構成された、請求項8~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1及び/又は第2の移動手段によって移動可能な前記ステントガイドワイヤ及び/又は前記ステントプッシャの挿入距離を制限するように構成された、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1及び/又は第2の移動手段によって移動可能な前記ステントガイドワイヤ及び/又は前記ステントプッシャの前記挿入距離に対する制限が調整可能であるように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ステントガイドワイヤ及び/又は前記ステントプッシャの前記挿入距離を制限するように構成された係止部材又は機械的機構を備え、前記係止部材又は前記機械的機構が、前記第1及び/又は第2の移動手段の移動を制限するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
出力ポートを備え、前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントが前記出力ポートを通過する、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記出力ポートが細長い構造体と連通し、前記ステントガイドワイヤ及び前記ステントが前記細長い構造体を通過する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記細長い構造体が、自然な身体開口部又は人工的に作成された身体開口部を介して対象の身体に導入されるように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記細長い構造体が、男性又は女性の尿道を通じて膀胱に通されるように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記細長い構造体が、電子光学撮像デバイスと、前記撮像デバイスによって覆われるフィールドを照明するように構成された照明デバイスとを備える、請求項20~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記撮像デバイスから、視覚表示スクリーンを備える電子デバイスに画像符号化信号を送信するように構成された有線又は無線インタフェースを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
視覚表示スクリーンを備える前記電子デバイスが、前記装置と別個であるか又は一体でない、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
視覚表示スクリーンを備える前記電子デバイスが、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はデスクトップコンピュータである、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
前記モバイルデバイス、前記スマートフォン、前記タブレットコンピュータ、前記ラップトップコンピュータ、又は前記デスクトップコンピュータが、格納されたメモリに、前記撮像デバイスからの画像符号化信号を受信及び復号し、前記符号化された画像を、視覚表示スクリーンを備える前記電子デバイス上に表示するためのソフトウェア命令を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記ガイドワイヤの周りに配設され、前記ステントプッシャに動作可能に関連付けられたステントを備える、請求項1~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記ステントが、前記身体の流体導管内に配置されるように構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記流体導通本体が尿道である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ステントが、非線形構造に付勢された部分を備え、前記ガイドワイヤが、前記部分の線形構造を維持し、前記ガイドワイヤを前記ステントから回収することにより、前記部分が非線形構造を想定することが可能になる、請求項28~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記ステントがダブルJ尿管ステントである、請求項28~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
ハウジングを備える、請求項1~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記ハウジングが、ハンドル又は把持面を提供する、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記ハウジングが、モバイルデバイスを保持するための保持具を提供する、請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
ステントを対象の身体構造に挿入するための方法であって、
請求項1~35のいずれか一項に記載の装置を用意するステップと、
前記ステントガイドワイヤ及びステントを前記対象の身体内に導入するステップと、
遠位終端が、ステント留置術が必要な前記対象の身体構造内に又はその周りに位置するまで、前記ステントガイドワイヤを移動させるように第1の移動手段を動作させるステップと、
前記遠位終端が、ステント留置術が必要な前記身体構造内に又はその周りに位置するまで前記ステントを押すために、前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し前記ステントプッシャを移動させるように第2の移動手段を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項37】
ステントを対象の身体構造に挿入するための方法であって、
請求項1~35のいずれか一項に記載の装置を用意するステップと、
前記ステントガイドワイヤの周りにステントを配設するステップと、
前記ステントガイドワイヤ及びステントを前記対象の身体内に導入するステップと、
遠位終端が、ステント留置術が必要な対象の身体構造内に又はその周りに位置するまで、前記ステントガイドワイヤをステント留置術が必要な前記対象の身体構造に向けて移動させるように第1及び第2の移動手段を動作させるステップと、
前記遠位終端が、ステント留置術が必要な前記身体構造内に又はその周りに位置するまで前記ステントを押すために、前記ステントガイドワイヤとは独立して、前記ステントガイドワイヤに対し前記ステントプッシャを移動させるように第2の移動手段を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項38】
前記ステントが、ステント留置術が必要な前記身体構造内に又はその周りに留まることを可能にしながら、前記ステントから前記ステントガイドワイヤを回収するために前記第1の移動手段を動作させるステップを含む、請求項36又は37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は、包括的には、ステントを、人間の身体の中の所望のロケーションに配置するための装置に関する。排他的ではないが特に、装置は、ステントを、尿管内、又は人間の身体の中の他の通路若しくは空間内に配置するように構成される。
【発明の背景】
【0002】
[002]ステントは、人体内に配置されて通路を開存性に戻し、以て体液が流れることを可能にする管状構造体である。他の用途において、ステントは、身体内の通路の断面拡張を助長するために用いられる。また更なる用途において、ステントは閉塞を防ぐために予防的に用いられてもよい。
【0003】
[003]ステント配置の一般的な部位は尿管内である。尿管は、尿が腎臓から膀胱へ排出されることを可能にするために、開存性のままでなくてはならない。尿管の閉塞は、多くの場合、疼痛、熱及び嘔吐を含む症状を呈する。閉塞の進行は、感染及び深刻な腎障害につながる可能性がある。
【0004】
[004]尿管は、尿管結石等の内部障害物によって閉塞又は部分的に遮蔽される場合がある。代替的に、腫瘍、リンパ節又は線維症等の外部物質が尿管を圧迫する場合がある。他の状況では、尿管がねじれるか、又は壁が肥厚化する。尿管ステントは、腎臓結石砕石等の処置によって生じる閉塞を阻止するように配置されてもよい。
【0005】
[005]尿管ステントは、一般的に、可撓性プラスチックから製造された中空管の形態をとる。成人の対象のために用いられるステントの長さは、通常、長さが約45cmであり、約22cm~30cmの長さの直線状セクションと、各終端におけるコイル状セクションとを有する。コイル状セクションはステントを適所に保持する。一方の終端におけるコイルは腎盂内に位置し、他方の終端は膀胱内に位置する。
【0006】
[006]尿管ステント挿入は、多くの場合、全身麻酔下で行われる。造影剤を尿管内に注入するために、まず膀胱鏡検査が行われる。蛍光透視法によってリアルタイム画像が得られ、腎臓から膀胱への蓄尿系の概要が得られる。ガイドワイヤが尿管に挿入され、端部が腎盂内に前進される。ステントがワイヤにわたって配置され、プッシャを用いて腎盂に向けて前進されるとき、ワイヤによって概ね線形に保持される。ステントの終端が腎盂内に配置されると、ガイドワイヤが回収され、以てステントの各端部が、通常のコイル状構成を想定することが可能になる。
【0007】
[007]尿管ステント挿入の既存の方法は、複数の問題を呈する。
【0008】
[008]重大な問題は、専門の泌尿器科医が必要とされること、及び専用機器が手術室においてのみ通常利用可能であることを鑑みて、尿管ステントの挿入を、救急診療部又は一般的な臨床設定において行うことができないというものである。尿管ステント挿入は、通常、非専門の医療従事者の技能を超えている。複雑なマルチステッププロセスの状況において専用機器を動作させるためには、専門知識及び経験が第1に必要とされる。遠位のコイル状部分が腎盂内に位置するようにステントが十分前進されるが、ガイドワイヤ又はステントが腎盂組織を傷つけず、ステントが尿管内で完全に見失われない程度まで前進されることを確実にするために、更なる専門知識及び経験が必要とされる。したがって、ステント挿入は、多くの場合、泌尿器科医を含む必要な専門家チームを招集する必要性と、撮像装置一式へのアクセスの調整とを鑑みると、最大で全日遅延する。その時間に、対象は著しい疼痛を有し、尿管閉塞により生じる腎盂損傷のリスクにある場合がある。
【0009】
[009]更なる問題は、専門家の手であっても、尿管ステントが適切な挿入が困難であり得ることである。ガイドワイヤ及びステントプッシャを精密に操作するには、高レベルの手先の器用さが必要である。蛍光透視法による誘導を用いても、対象が、ワイヤ又はステントが腎臓内に過度に前進されることに起因した何らかの腎盂損傷を被る可能性がある。
【0010】
[010]本発明の態様は、ステント、特に尿管ステントを挿入するための従来技術の装置及び方法に対する改善を提供することである。本発明の更なる態様は、ステント、特に尿管ステントを挿入するための従来技術の装置及び方法に対する有用な代替策を提供することである。
【0011】
[011]文書、行為、材料、デバイス、物品等の論述は本明細書において、単に本発明に関する状況を提供する目的のためのものにすぎない。これらの事項のいずれも、従来技術の基礎の一部を成したか、又は、本出願の各請求項の優先日前に存在した、本発明に関係する分野での共通の一般知識であったと示唆又は意味するものではない。
【発明の概要】
【0012】
[012]必ずしも最も広い態様ではなく第1の態様において、本発明は、ステントを対象の身体構造に挿入するための装置であって、
ステントガイドワイヤと、
ステントガイドワイヤを対象の身体構造に向けて移動させるように構成された第1の移動手段と、
ステントガイドワイヤの周りに配設されたステントプッシャと、
ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させるように構成された第2の移動手段と、
を備える、装置を提供する。
【0013】
[013]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、ステントガイドワイヤ及びステントプッシャが、共に相互に依存した方式で、共に移動可能であるように構成される。
【0014】
[014]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は、ステントガイドワイヤ及びステントプッシャが、共に相互に依存した方式で、共に移動可能であるように構成される。
【0015】
[015]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、交互に、(i)ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させ、(ii)ステントガイドワイヤ及びステントプッシャを相互に依存した方式で移動させるように構成される。
【0016】
[016]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は、交互に、(i)ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させ、(ii)ステントガイドワイヤ及びステントプッシャを相互に依存した方式で移動させるように構成される。
【0017】
[017]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、交互に、(i)ステントプッシャがステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対し移動可能であり、(ii)ステントガイドワイヤ及びステントプッシャが相互に依存した方式で移動可能であるように、第1及び第2の移動手段を、交互に、互いに対しロックし、互いからロック解除するように構成された機構を備える。
【0018】
[018]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び第2の移動手段は、或る方向における移動を阻止するように独立してロック可能である。
【0019】
[019]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は移動可能であり、第1の移動手段の移動は、身体構造に向けたステントガイドワイヤの移動を引き起こし、第2の移動手段の移動は、ステントガイドワイヤに沿ったステントプッシャの移動を引き起こす。
【0020】
[020]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、交互に、(i)ステントプッシャがステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対し移動可能であり、(ii)ステントガイドワイヤ及びステントプッシャが相互に依存した方式で移動可能であるように、第1及び第2の移動手段を、交互に、互いに対しロックし、互いからロック解除するように構成された機構を備え、機構は、ロック解除されたとき、第1及び第2の移動手段が互いから独立して移動することを可能にし、ロックされたとき、第1及び第2の移動手段が互いから独立して移動することを阻止する。
【0021】
[021]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は回転方向に移動可能である。
【0022】
[022]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は、回転軸線の周りで回転方向に移動可能であり、第1及び/又は第2の移動手段は、回転軸線を取り囲む外側に面する表面を有し、ステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャは、第1及び/又は第2の移動手段の外側に面する表面上に巻かれる。
【0023】
[023]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び/又は第2の移動手段は、円形の断面を有する構造体であり、ステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャは構造体の外側に巻かれる。
【0024】
[024]第1の態様の1つの実施形態において、円形の断面を有する構造体は、車輪、スプール、リール、ボビン、ドラム、又はその機能的等価物である。
【0025】
[025]第1の態様の1つの実施形態において、第1及び第2の移動手段の回転軸線は一致している。
【0026】
[026]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、第1及び/又は第2の移動手段が、手動で、又はモータ、付勢手段若しくはばねを備える機構によって移動可能であるように構成される。
【0027】
[027]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、第1及び/又は第2の移動手段によって移動可能なステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャの挿入距離を制限するように構成される。
【0028】
[028]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、第1及び/又は第2の移動手段によって移動可能なステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャの挿入距離に対する制限が調整可能であるように構成される。
【0029】
[029]第1の態様の1つの実施形態において、ステントガイドワイヤ及び/又はステントプッシャの挿入距離を制限するように構成された係止部材又は機械的機構を備え、係止部材又は機械的機構は、第1及び/又は第2の移動手段の移動を制限するように構成される。
【0030】
[030]第1の態様の1つの実施形態において、装置は出力ポートを備え、ステントガイドワイヤ及びステントは出力ポートを通過する。
【0031】
[031]第1の態様の1つの実施形態において、出力ポートは細長い構造体と連通し、ステントガイドワイヤ及びステントが細長い構造体を通過する。
【0032】
[032]第1の態様の1つの実施形態において、細長い構造体は、自然な身体開口部又は人工的に作成された身体開口部を介して対象の身体に導入されるように構成される。
【0033】
[033]第1の態様の1つの実施形態において、細長い構造体は、男性又は女性の尿道を通じて膀胱に通されるように構成される。
【0034】
[034]第1の態様の1つの実施形態において、細長い構造体は、電子光学撮像デバイスと、撮像デバイスによって覆われるフィールドを照明するように構成された照明デバイスとを備える。
【0035】
[035]第1の態様の1つの実施形態において、装置は、撮像デバイスから、視覚表示スクリーンを備える電子デバイスに画像符号化信号を送信するように構成された有線又は無線インタフェースを備える。
【0036】
[036]第1の態様の1つの実施形態において、視覚表示スクリーンを備える電子デバイスは、装置と別個であるか又は一体でない。
【0037】
[037]第1の態様の1つの実施形態において、視覚表示スクリーンを備える電子デバイスは、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はデスクトップコンピュータである。
【0038】
[038]第1の態様の1つの実施形態において、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はデスクトップコンピュータは、格納されたメモリに、撮像デバイスからの画像符号化信号を受信及び復号し、符号化された画像を、視覚表示スクリーンを備える電子デバイス上に表示するためのソフトウェア命令を含む。
【0039】
[039]第1の態様の1つの実施形態において、ガイドワイヤの周りに配設され、ステントプッシャに動作可能に関連付けられたステントを備える。
【0040】
[040]第1の態様の1つの実施形態において、ステントは、身体の流体導管内に配置されるように構成される。
【0041】
[041]第1の態様の1つの実施形態において、流体導通本体は尿管である。
【0042】
[042]第1の態様の1つの実施形態において、ステントは、非線形構造に付勢された部分を備え、ガイドワイヤは、部分の線形構造を維持し、ガイドワイヤをステントから回収することにより、部分が非線形構造を想定することが可能になる。
【0043】
[043]第1の態様の1つの実施形態において、ステントはダブルJ尿管ステントである。
【0044】
[044]第1の態様の1つの実施形態において、装置はハウジングを備える。
【0045】
[045]第1の態様の1つの実施形態において、ハウジングはハンドル又は把持面を提供する。
【0046】
[046]第1の態様の1つの実施形態において、ハウジングはモバイルデバイスを保持するための保持具を提供する。
【0047】
[047]第2の態様において、本発明は、ステントを対象の身体構造に挿入するための方法であって、
第1の態様の任意の実施形態の装置を用意することと、
ステントガイドワイヤ及びステントを対象の身体に導入することと、
遠位終端が、ステント留置術が必要な対象の身体構造内に又はその周りに位置するまで、ステントガイドワイヤを移動させるための第1の移動手段の動作と、
遠位終端が、ステント留置術が必要な身体構造内に又はその周りに位置するまでステントを押すために、ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させるための第2の移動手段の動作と、
を含む、方法を提供する。
【0048】
[048]第3の態様において、本発明は、ステントを対象の身体構造に挿入するための方法であって、
ステントガイドワイヤ及びステントプッシャが、共に相互に依存した方式で、共に移動可能であるように構成された、第1の態様の任意の実施形態の装置を用意することと、
ステントガイドワイヤの周りにステントを配設することと、
ステントガイドワイヤ及びステントを対象の身体内に導入することと、
遠位終端が、ステント留置術が必要な対象の身体構造内に又はその周りに位置するまで、ステントガイドワイヤを、ステント留置術が必要な対象の身体構造に向けて移動させるための第1の移動手段の動作と、
遠位終端が、ステント留置術が必要な身体構造内に又はその周りに位置するまでステントを押すために、ステントガイドワイヤとは独立して、ステントガイドワイヤに対しステントプッシャを移動させるための第2の移動手段の動作と、
を含む、方法を提供する。
【0049】
[049]第3の態様の1つの実施形態において、方法は、ステントが、ステント留置術が必要な身体構造内に又はその周りに留まることを可能にしながら、ステントからステントガイドワイヤを回収するための第1の移動手段の動作を含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の高度に好ましい装置の展開図を示す。装置は、必ずしも完全ではないが、基本動作に必要な構成要素を示す。
【
図2A】
図1にマーキングされた断面A-A’を示す。
【
図2B】
図2Aの再現であるが、プラグの構造をより明確に示すために内部構成要素が除去されている。
【
図3A】本発明の特に好ましい装置を側面図で示す。
【
図3C】ラッチ機構の動作を実証する3つの連続図を示す。
【
図4A】係止部材に接触することが不可能であるように各々が係合解除された位置にある、径方向に移動可能なタブを示す。インセットは、係止部材に接触することが可能であるように係合された位置に移動されたタブ「T」を示す。
【
図4B】各々の直交方向に延びる壁をより明確に示すために、斜視図において
図4Aの径方向に移動可能なタブを示す。
【0051】
[058]別段の指示がない限り、同じ符号でラベル付けされた図面の特徴は、異なる図面にわたって用いられるとき、同じ特徴、又は少なくとも機能的に類似した特徴であると解釈される。
【0052】
[059]図面は、任意の特定のスケール又は寸法で準備されたものではなく、様々な実施形態の完全に正確な提示として提示されるものではない。
【発明の詳細な説明及びその好ましい実施形態】
【0053】
[060]この説明を検討した後、当業者には、本発明が様々な代替的な実施形態及び代替の用途においてどのように実施されるかが明らかとなろう。しかしながら、本明細書において本発明の様々な実施形態が説明されるが、これらの実施形態は例としてのみ提示され、限定ではないことが理解される。したがって、様々な代替的な実施形態のこの説明は、本発明の範囲又は広さを制限すると解釈されるべきでない。更に、利点又は他の態様に関する記述は、必ずしも全ての実施形態ではなく、特定の例示的な実施形態に、又は実際には特許請求の範囲によってカバーされる任意の実施形態に適用される。
【0054】
[061]本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、「含む」という語、及び「含んでいる」(「comprising」及び「comprises」)等の語の変形は、他の追加物、構成要素、整数又はステップを除外するように意図したものではない。
【0055】
[062]本明細書全体を通じた、「1つの実施形態」又は「一実施形態」に対する参照は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体を通じた、様々な箇所における「1つの実施形態にでは」、「実施形態では」という語句の体裁は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照するものではないが、参照する場合もある。
【0056】
[063]本明細書において用いられるとき、別段の指示がない限り、「近位」及び「遠位」等の相対語は、本発明の装置と共に用いられるとき、基準点として用いられる。このため、「近位端」という用語は、装置に近いことを意味し、「遠位端」は、装置から離れていることを意味する。
【0057】
[064]本明細書において用いられるとき、「移動させる」、「移動」及び類似の用語は、ガイドワイヤ又はステントプッシャに関して用いられるとき、ガイドワイヤ又はステントプッシャの遠位終端が移動されることを意味する。
【0058】
[065]構造体又は構造体の組み合わせ又は構成体が、或る特定の機能を実行するように「構成される」と記載される場合、この構成は、以下:形状、寸法、向き、製造材料、重量、柔軟性、弾性、変形可能性、耐性、剛性、軟性、粗さ、平滑性、ひねり性、耐熱性、耐冷性、伝導性(熱又は電気)、伝導耐性(熱又は電気)、又は必要とされる機能的結果を求める当業者に明らかな任意の他のパラメータ、のうちの任意の1つ又は複数の観点におけるものであり得る。「構成される」という用語は、ハードウェアアイテムが或る特定の機能を提供するためのコンピュータプログラム命令の使用等の非物理的パラメータも指してもよい。
【0059】
[066]本発明は、ガイドワイヤ及びステントプッシャを独立して移動させることが可能な装置が用いられる場合、ステント(特に、尿管ステント)の挿入が改善されるという本発明者らの発見に少なくとも部分的に基づいて予測される。いくつかの実施形態では、装置は、ガイドワイヤ及びステントプッシャを共に動かすように構成される。本装置の使用により、ステントを挿入する臨床医は、手動でワイヤ及びステントプッシャを独立して操作することも共に操作することも必要とされないため、ステント挿入のプロセスが簡略化される。ステント挿入、特に尿管ステント挿入は、本装置が用いられるとき、専門家でない臨床医の能力内にあることが提案される。
【0060】
[067]他の実施形態において、装置は、停止される前に、ガイドワイヤ及び/又はステントが或る特定の量のみ遠位に動かされることを可能にするように構成される。臨床医は、ガイドワイヤ及び/又はステントがステント挿入処置中に対象にどれだけ前進されるかに関する判断を用いることを必要とされていない。ここでもまた、本装置の使用に関して、ステント挿入、特に尿管ステント挿入は、専門家でない臨床医の能力内にあることが提案される。
【0061】
[068]更に、本装置の使用により、撮像機器が、要求される位置を想定するために、身体の構造体に向けた、構造体を通じた、又は構造体内へのガイドワイヤ及び/又はステントの経路を視覚化する必要性がなくなることが提案される。例えば、ステントが尿管ステントである場合、臨床医は、本装置の単純な操作のみを用いて、蛍光透視法による誘導を必要とすることなく、ガイドワイヤ及びステントの遠位終端を腎盂内に前進させることができる。
【0062】
[069]本装置によって、ガイドワイヤ及びステントは、遠位方向において共に前進させることができる。当業者には理解されるように、ステントは、当該技術分野において既知のように、プッシャを用いてワイヤに対して移動される。プッシャはステントと別個であり、ステントの近位端に接触するように機能し、それによって、プッシャが装置によって遠位方向に移動されるとき、ステントも遠位方向に移動される。臨床医がガイドワイヤ及びステントを、尿管等、対象の身体における所望のロケーションに前進させているとき、ガイドワイヤ及びステントプッシャ(及びしたがってステント)が共に移動することが必要とされる。
【0063】
[070]本装置によって、ステントに対するガイドワイヤの移動をもたらすことができ、ステントは、対象の身体における要求された目的地(尿管等)において(ステントプッシャをロックすることによって)定位置に留まり、ガイドワイヤは、ステント内から装置に戻るように回収される。
【0064】
[071]ここで、図に示す非限定的な例を参照して本発明がより詳細に説明される。
【0065】
[072]まず、本発明の好ましい実施形態を示す装置(10)を示す
図1の展開図を参照する。装置は、第1のスプール(15)(第1の移動手段である)と、第2のスプール(20)(第2の移動手段である)と、ハウジング(25)とを備える。
【0066】
[073]ガイドワイヤ(30)は、第1のスプール(15)に固定され、第1のスプール(15)に巻きつけられる。記載されるように、ガイドワイヤ(30)は、第1のスプール(15)の外周縁面に形成されたチャネル(40)内に着座する。ガイドワイヤ(30)の遠位終端は、第1のスプール(15)の(図示のような)反時計周りの回転において遠位方向に前進される。
【0067】
[074]第1のスプール(15)は、第2のスプール(20)内に形成された円形の孔(45)の内部に嵌まるサイズに設定され、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の回転軸線の任意の材料位置合わせ不良を防ぎながら、孔(45)内で第1のスプール(15)が回転することを可能にするようにする。ガイドワイヤ(30)はチャネル(40)内に着座し、したがって、孔(45)の内周面に接触しない。
【0068】
[075]第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、共通回転軸線(50)を共有し、互いに対し軸線(50)の周りで回転することが可能である。
【0069】
[076]ガイドワイヤ(30)は、第1のスプール(15)から、第2のスプール(20)に形成された通路(55)を通じて第2のスプール(20)に延びる。通路(55)を出た後、ガイドワイヤは第2のスプール(20)に形成された通路(55)に入る。ガイドワイヤが通路(55)を出てチャネル(60)に移行する際のガイドワイヤ(30)の屈曲を制限するために、通路(55)が、孔(45)の内周縁面と形成された接線に対し浅い角度を形成することに留意されたい。
【0070】
[077]ガイドワイヤ(30)は、第2のスプール(20)の周りで巻かれ、チャネル(60)内に留まる。1つの点において、ガイドワイヤは、ガイドワイヤと同軸のプッシャ(65)の管腔に入る。プッシャ(65)は第2のスプール(20)に固定される。プッシャ(65)の遠位終端(66)は、第2のスプール(20)の(図示のような)反時計周りの回転において遠位方向に前進される。
【0071】
[078]第2のスプール(20)はハウジング(25)の空間(70)内に着座する。プッシャ(65)(ガイドワイヤ(30)を含有する)は溝(60)内に着座し、したがって、空間(70)の周方向の内面と接触しない。
【0072】
[079]第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、互いに対する、またハウジング(25)に対する、独立した回転が可能である。ハウジング(25)は、通常、臨床医によってハンドル(75)で保持され、したがって、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)が回転されている間、静止したままである。
【0073】
[080]プッシャ(65)(ガイドワイヤ(30)を含有する)は、ハウジング(25)内に形成された通路(図示せず)を介して第2のスプール(20)から離れる。通路の経路は、破線(80)で示される。
【0074】
[081]プッシャ(65)(ガイドワイヤ(30)を含有する)は、通路(80)から、吻(85)の形態の細長い構造体の管腔へ通過する。ステント(90)は、吻(85)の管腔も通過する。吻(85)は切断された形態で描かれている。実際には、吻は、その遠位終端を、ステントを受ける本体内のロケーションに十分近づけることができるように十分長い。例えば、装置が尿管ステントの送達のためのものである場合、吻は、吻(85)の遠位端が膀胱内に入るまで尿管を通過するのに十分長くなくてはならない。
【0075】
[082]吻(85)は、通常、臨床医が吻(85)の終端の位置を変えることを可能にするために、剛体又は半剛体である。例えば、装置が尿管ステントの挿入のためのものである場合、臨床医は、吻(85)の終端が、ステント留置術が行われる尿管の開口部に向けられるまで、吻(85)の角度を変えることができる。代替的に、吻(85)は、可撓性であるが、当業者に既知の機構を用いて「操縦可能」であってもよい。
【0076】
[083]吻(85)は、吻(85)内にぴったり挿入される終端プラグ(86)を備えてもよい。構造体、及び装置の他の構成要素に対するその配置の更なる詳細は、
図1の線A-A’を通る断面図である
図2Aに見られる。
図2Bは、その構造体をより明確に実証するたに、終端プラグ(86)を単独で示す。
【0077】
[084]終端プラグ(86)は、対象の身体の内部の解剖学的構造の視覚化を可能にする、一体化されたLEDライト(88)を有するビデオカメラを受ける第1の軸方向空間(87)を有する。カメラ及びライト(88)のための電力入力及び信号出力ワイヤ(図示せず)は、終端プラグの後部を通過し、吻(85)管腔を通って、吻(85)の近位端の直前の装置ケース内のキャビティに保持された電源(図示せず)及び電子機器(図示せず)まで進む。
【0078】
[085]終端プラグ(86)は、ガイドワイヤ(30)及びステント(90)(ステントが展開される前)を収容する第2の軸方向空間(89)を有する。
図2Aの断面図において、ステントプッシャ(65)はステント(90)の後ろに位置するため、見えない。
【0079】
[086]終端プラグは、吻(85)管腔内部から、カメラ及びライト(88)の近位の外部領域へのフラッシング液の通過を可能にする第3及び第4の軸方向空間(91a、91b)を有する。以下に論じられるように、フラッシング液は、カメラの視覚に干渉する任意の浮遊固形物を一掃するのに用いられてもよい。
【0080】
[087]装置が尿管のステント留置のために用いられる場合、カメラ及びライト(88)は、臨床医によって、膀胱の内面を視覚化し、尿管の開口部を位置特定するのに用いられる。位置特定されると、吻の遠位端が、吻(85)内に保持されるステント(90)の挿入を可能にするために、尿管開口部に近づけられる。ガイドワイヤ(30)は、吻(85)内にある間にステント(90)を通して挿入される。
【0081】
[088]膀胱内の尿は、血液、円柱、結晶、組織残屑、微生物のコロニー等の不溶性懸濁物質を有して濁っている場合がある。したがって、視認性を改善するためにそのような物質をカメラ(88)レンズからフラッシングするいくつかの手段が望ましい。そのために、本装置(10)は、フラッシング液を吻(85)管腔に通すためのポート(100)を備えてもよい。液体は、重力下で、又は何らかの能動的輸送手段により、ポート(100)を介して装置(10)内に進み、管腔(85)の終端まで進み、そこで主に第3及び第4の軸方向空間(91a、91b)を介して出る。理解されるように、フラッシングに用いられる液体は、生体適合性でなくてはならず、滅菌された通常の生理食塩水が一般的に好ましい。
【0082】
[089]第1のスプール(15)、第2のスプール(20)及びハウジング(25)は、通常、いくつかの更なる構成要素(図示せず)によって相対的相互位置に維持される。例えば、ハウジング(25)から、(図示されるように)第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の前方に提示される面上に延びるタブが設けられてもよい。タブは、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の回転を可能にしながら、装置(10)の構成要素(15)(20)(25)の離脱を防ぐ。別の例として、ハウジング(25)を補完し、(図示されるように)ハウジング(25)の前方に提示される面上に適合する更なるハウジング部分が設けられる。ここでもまた、更なるハウジング部分は、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の回転を実質的に妨げない。
【0083】
[090]図面の好ましい実施形態において、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、構成要素の密に適合する特性により、相互に同軸の回転関係に維持される。第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の中心を通って延びる軸線の使用等の他の代替形態が利用可能である。
【0084】
[091]装置(10)は、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)が手動で回転可能であるように構成されてもよい。手動の回転を容易にするために、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)は、手の指又は他の部分の親指を受けるための1つ又は複数の孔又は陥凹部を設けられてもよい。代替的に、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)は、手の指又は他の部分の親指との係合を容易にするための1つ又は複数の突起部を設けられてもよい。別の代替形態において、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)を回すためのクランクが設けられてもよい。
【0085】
[092]手動回転に対する代替として、装置は、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)を回転させるように構成された小型電気モータを備えてもよい。モータは、ギア装置を介してそのシャフトの回転運動をスプール(15)(20)に伝達することができる。モータは、ステントガイドワイヤ(30)及びステント(90)が前進される際に身体の解剖学的構造に損傷を与える機会を制限するために、制御された方式でスプール(15)(20)を回転させるように構成されたステッパモータであってもよい。
【0086】
[093]第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、独立して回転可能であってもよく、この場合、図示される実施形態の変更は必要とされない。そのような動作は、例えば、ガイドワイヤ(30)がステント(90)内から回収される場合に必要とされる。
【0087】
[094]いくつかの状況において、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)を共にロックすることが望ましい場合がある。そのような動作は、例えば、ステント(90)を身体の要求されたロケーションに配置するために、ガイドワイヤ(30)及びステント(90)が共に身体内に前進される場合に必要とされる。スプール(15)(20)は、単純なU字形状ピンによって共にロックされてもよく、その第1の脚部は第1のスプール(15)に形成されたアパーチャに挿入され、その第2の脚部は第2のスプール(20)に形成されたアパーチャに挿入される。ピンは、スプール(15)(20)の独立した回転を可能にするように除去されてもよい。
【0088】
[095]装置(10)は、ステントガイドワイヤ(30)又はステント(90)の所定の長さが身体内に前進されると、第1のスプール(15)及び/又は第2のスプール(20)の更なる回転を阻止するように構成されてもよい。例えば、装置(10)が尿管ステントの挿入のためのものである場合、対象の尿管の予測長さ又は既知の長さに整合する、ステントガイドワイヤ(30)又はステント(90)の或る長さが装置(10)から出た後、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の回転を停止してもよい。或る種の係止機構の使用により、尿管(又は他の身体構造)へのステント(90)の過度の長さの挿入が阻止され、以て、組織への損傷、又は尿管への過剰な挿入が回避され、以て、コイル状の端部が膀胱内に固定されることを阻止する。
【0089】
[096]係止機構は、単純な機械的装置として具現化することができる。例えば第1の係止部材はハウジング(25)から延び、第2の係止部材はスプール(15)(20)から延びてもよく、第1及び第2の係止部材は、スプール(15)(20)が所定の量だけ回転すると衝突する。装置(10)を出るガイドワイヤ(30)及びステント(90)の長さを調整するために、係止部材のうちの1つは移動可能であり、適所にロック可能であってもよい。そのような調整は、尿管長等の対象の解剖学的特性に従って要求され得る。
【0090】
[097]スプール(15)(20)がステッパモータによって回転される場合、ステッパモータは、臨床医によって入力されたデータに従って回転を制限するために機能し、以て、対象に導入されるガイドワイヤ(30)及びステント(90)の長さを制限するように機能してもよい。理解されるように、ステッパモータは、装置(10)と一体であるか又は遠隔に位置するマイクロプロセッサによる命令を必要とする。
【0091】
[098]更なる係止機構は、電子的性質であってもよく、装置(10)から前進されるステント(90)又はステントプッシャ(65)又はガイドワイヤ(30)の長さを監視するように機能してもよい。例えば、装置(10)は、ローラが回った回転数に関するデジタル又はアナログ信号を出力するように構成されたローラを備えてもよい。装置(10)から前進されるステント(90)又はステントプッシャ(65)又はガイドワイヤ(30)は、ローラを回し、したがって、前進した長さに関する計算又は推測を行うことができる。所定の長さが達成されると、(ソレノイド作動クランプ等の)ロック機構が作動されてもよく、又は可聴警告信号が与えられてもよい。ここでもまた、これらの機能を有効にするためにマイクロコントローラが必要とされる。
【0092】
[099]延ばされるガイドワイヤ(30)の長さは可変であるが、好ましい実施形態において、ステント(90)の近位端は、同じ距離、すなわち吻(85)の端部まで延びることになる。ステント(90)は、その開始位置から、第1のスプールの回転に対する任意の制限とは無関係に、同じ距離前進されることになる。このため、単なる例として、ガイドワイヤ(30)が30cm前進される場合、ステント(90)はあと30cm(合計60cm)前進することになる。別の例として、ガイドワイヤ(30)が15cmのみ前進される場合、ステント(90)は更に45cm(合計60cm)前進することになる。任意の事象において、ステント挿入プロセスの終了時に、ステント(90)の近位終端は、吻(85)の端部と平らになる。
【0093】
[100]いくつかの実施形態では、装置(10)は、吻(85)内のビデオカメラを、カメラによって捕捉されたビデオストリームを表示することが可能なスクリーンに接続する手段を備える。好ましくは、表示スクリーンは、スマートフォン(Android(商標)、iOS(商標)等)又はタブレットコンピュータデバイス(Windows(商標)、Linux(商標)、Android(商標)、iOS(商標)等)のモバイルデバイスによって提供される。したがって、装置(10)は、モバイルデバイスを装置(10)に接続するためのインタフェースを提供することができる。インタフェースは、有線インタフェース(USBインタフェース等)又は無線インタフェース(Bluetooth(商標)又はWiFi(商標)インタフェース等)であってもよい。
【0094】
[101]装置の動作が、動作のためにマイクロプロセッサを必要とする場合、マイクロプロセッサはモバイルデバイスによって提供されてもよい。装置とモバイルデバイスとの間のデータ交換は、上記で詳述した有線又は無線手段によって達成されてもよい。
【0095】
[102]装置の動作がデータ入力(例えば、尿管長の入力)を必要とする場合、モバイルデバイスは、ユーザインタフェースとして機能してもよい。装置の動作がデータ出力(例えば、装置によって前進されたステントの長さ)を伴う場合、装置とモバイルデバイスとの間のデータ交換は、上記で詳述した有線又は無線手段によって達成されてもよい。
【0096】
[103]本装置と組み合わせたモバイルデバイスの使用は、通常、デバイスが、アプリケーションソフトウェアをデバイスにインストールすることを必要とする。ソフトウェアは通常、モバイルデバイスと装置との間の接続性及びデータ交換を容易にするように構成される。アプリケーションソフトウェアは、リモートデータベースから、対象の識別を可能にする対象データ、又は以前に測定された尿管長の詳細、又は推測尿管長を索出するように更に構成されてもよい。アプリケーションソフトウェアは、新たな対象が、臨床医によってリモートデータベースに加えられることを可能にするように構成されてもよい。
【0097】
[104]臨床医は、アプリケーションソフトウェアによって、ステント除去を含む、必要な後続の動作等、新たな又は既存の対象のエントリに対し、情報をリモートデータベースに追加することを更に可能にされてもよい。そのようなエントリは、ステント除去の日付等、日付構成要素を有してもよい。アプリケーションソフトウェア(又は別のソフトウェアアイテム)は、例えば、後続の動作が必要とされていることのリマインダとしてのプッシュ通知、電子メール又はSMSテキストメッセージ等のデータベースに記録された日付におけるメッセージを出力するように構成されてもよい。一般的ではないが、対象における尿管ステントの存在が忘れられる可能性がある。
【0098】
[105]アプリケーションソフトウェアは、リモートデータベースにおいて、対象の連絡先の詳細を入力することを可能にすることができる。いくつか例を挙げると、携帯電話番号、電子メールアドレス、又はメッセージングアプリアドレス等の対象の連絡先の詳細は、電子的連絡を可能にすることができる。アプリケーションソフトウェア(又はソフトウェアの別のアイテム)は、教材又は予約のリマインダを対象のデバイスに配信してもよい。
【0099】
[106]アプリケーションソフトウェアは、提案されるステント挿入手順に関連して、クライアントからインフォームドコンセントを得るように構成されてもよい。アプリケーションソフトウェアは、第1に、インフォームドコンセントに必要な情報を出力し、第2に、対象から、対象が情報を理解し、ステント挿入処置に同意することの確認を入力として受理するように構成されてもよい。そのような入力/出力は、グラフィックユーザインタフェースによるものであってもよい。
【0100】
[107]装置(10)は、装置(10)上に又は装置(10)の周りにモバイルデバイスを保持するための手段を提供してもよい。通常、保持手段は、モバイルデバイスの表示スクリーンが吻(85)から離れる方に面するように配置され、臨床医が吻を対象内に前進させるときに臨床医によって容易に視認可能であるようにする。適切な保持手段は、ブラケット、ポケット、凹部、クランプ、面ファスナー取り付け手段の片側、磁石、感圧接着剤等を含む。
【0101】
[108]ここまで装置について説明してきたが、次に、尿管ステント挿入である好ましい用途を参照して説明される、装置の動作に注目する。
【0102】
[109]装置(10)は、尿管挿入処置を始めるのに必要とされる状態において描かれている。ガイドワイヤ(30)は完全に吻(85)内にあり、その遠位端は吻(85)の遠位端にある。ステント(90)の遠位終端は、或る距離だけガイドワイヤ(30)の遠位終端から後退され、それによって、ガイドワイヤ(30)の遠位部分が露出される。距離は予め定められていてもよく、約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40cmよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、距離は、約20cm~約30cmの範囲内にある。
【0103】
[110]臨床医は、吻(85)を対象の尿管に挿入し、遠位端を膀胱内に前進させる。視認下で(すなわち、吻(85)の遠位端におけるビデオカメラの支援を用いて)、臨床医は、影響を受ける尿管の開口部を視覚化し、吻の遠位端が尿管の開口部に隣接し、この開口部に向けて方向付けられるように吻を操作する。第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、臨床医が第1のスプール(15)を回転させる際、第2スプール(20)が同じ方向に回転され、第1に、ガイドワイヤ(30)の露出した遠位部分を尿管内に前進させ、ステント(90)を吻(85)の端部に向けて前進させるように、この接合部において結合される。第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)の回転は、ガイドワイヤ(30)の遠位端が腎盂内に配置されるまで、ステント(90)及びガイドワイヤ(30)が共に尿管内に前進されるように継続される。適切なロケーションは、対象の予測尿管長に従って推測されてもよく、又は代替的に、蛍光透視法又は超音波等の撮像技法によって推測されてもよい。
【0104】
[111]いくつかの実施形態において、装置は、予め定められた距離を超えたガイドワイヤ(30)の更なる前進を阻止するために第1のスプール(15)の更なる回転を阻止する係止部を備える。一般的に、所定の距離は、概ね又は厳密に、既知の又は推測される尿管長である。第2のスプール(20)は、第1のスプール(15)から結合解除され、したがって、ガイドワイヤ(30)に沿ってステント(90)を押すように独立して回転可能である。第1のスプールの回転は係止部によって阻止され、このため、この段階において前進されるのはステント(90)のみである。予め定められた距離を超える第2のスプールの回転(吻(85)の管腔の端部と平らになったステントの近位端に対応する)は、係止部によって阻止される。そのポイントにおいて、ステント(90)は適切に配置されており、すなわち、ステント(90)の遠位端が腎盂内にあり、ステント(90)の近位端が膀胱内にある。
【0105】
[112]ステント(90)が適切に配置された状態で、ガイドワイヤ(30)は、第1のスプール(15)の反対方向の回転によりステント(90)内から回収される一方、第2のスプール(20)は静止したままである。1つの実施形態において、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)は、自動的に結合解除され、第1のスプール(15)が回転可能は回転可能なままにされる一方、第2のスプールは静止している。このため、ガイドワイヤが除去され、ステントは尿管内の適所に残される。
【0106】
[113]ガイドワイヤ(30)の回収時、ステント(90)の遠位端は、付勢されたコイル状の構造を想定し、以てこの遠位端を腎盂内に固定する。ガイドワイヤ(30)がステント(90)から完全に回収されると、ステント(90)の近位端も、付勢されたコイル状の構造を想定し、以てこの近位端を膀胱内の適所に固定する。
【0107】
[114]ガイドワイヤ(30)は、その遠位端が吻(85)内に入るまで回収される。次に、臨床医は、尿管を通じて吻(85)を回収し、対象の身体から取り払う。
【0108】
[115]ここで、スプールの過剰回転を阻止するように構成された係止機構の更なる検討を行い、
図3A及び
図3Bの実施形態が参照される。
【0109】
[116]第1の係止機構が、第1のスプール(15)から延びる永久装着ピン(110)によって提供される。
図3Aに示すように、ピン(110)は係止部材(115)に当接し、第1のスプール(15)の任意の更なる時計回りの回転を阻止する。この第1の係止機構は、ガイドワイヤ(30)が吻(85)内に回収されることを可能にするが、ガイドワイヤ(30)の端部が吻(85)の近位端を通ってハウジング(25)内に回収されるほどまでは可能にしない。ガイドワイヤ(30)の端部が吻から意図せずに回収された場合、これを吻(85)管腔内に再導入することは不可能である場合がある。
【0110】
[117]第2の係止機構が第1のスプール(15)のために提供される。第2の係止機構は、対象の推定尿管長に基づいて、3つの異なる係止設定のうちの1つの選択を可能にする。一般的に、尿管長は、対象の身長に概ね比例し、したがって、3つの設定は、「低」、「中」、及び「高」と呼ばれる。設定は、第1のスプール(15)に形成された3つのアパーチャ(125a、125b、125c)のうちの1つにピン(120)を挿入することによって選択される。アパーチャ(125a)は、対象が低身長である場合に選択され、アパーチャ(125b)は、対象が中身長である場合に選択され、アパーチャ(125c)は対象が高身長である場合に選択される。
図3Aにおいて、対象は中身長であるため、ピン(120)がアパーチャ(125b)に挿入される。
【0111】
[118]当然ながら、4、5、6、7、8、9、10以上等の4つ以上の係止設定が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、各係止設定は、数値インジケータでマーキングされる。例えば、予期又は予測尿管長を反映するように間隔長における複数の設定が用いられてもよい(20cm、22cm、24cm、28cm、30cm等)。代替的に、150cm~164cm、165cm~179cm及び180~184cm等の身長の範囲が、係止設定を示すのに用いられてもよい。
【0112】
[119]第1のスプール(15)が、ガイドワイヤ(30)を尿管内に前進させるために反時計回りで回転される際、ピン(120)は、係止部材(115)と接触するまで、第1のスプール(15)と共に移動する。そのポイントにおいて、第1のスプール(15)は、更に回転させることができず、以て、ガイドワイヤ(30)の過剰な長さが尿管内に前進されることが阻止される。理解されるように、ピン(120)がアパーチャ(125c)内に配置された場合、より長い尿管を有する、より身長の高い対象に必要とされるように、第1のスプール(15)は、ガイドワイヤ(30)の更なる長さが尿管内に前進されることを可能にするように更に回転され得る。同様に、より身長の低い対象のためにピン(120)が設定された場合、ガイドワイヤのより短い長さのみが前進され得る。
【0113】
[120]上記で詳述したピン及びアパーチャの構成に対する代替が
図4A及び
図4Bに示されている。一連の摺動タブ(130a、130b、130c)タブが、アパーチャ(125a、125b及び125c)の場合と同じ周方向位置において第1のスプールに装着される。タブは、タブ(130c)について重ね合わされた矢印によって示されているように(「T」=高身長)、径方向に外方に摺動させることによって選択される。
【0114】
[121]
図4Bから、各タブ(130a、130b、130c)は、そこから直交方向に延びる低い壁(135a、135b、135c)を有することがより容易にわかる。タブ(130a、130b、130c)が選択されていないとき、壁(135a、135b、135c)は、図示されるように、すなわち、第1のスプール(15)の外縁部に対し遠位に配置される。
図4Aに対するインセットに示されるように、タブ(130a、130b、又は130c)が選択されるとき、壁(135a、135b、又は135c)は、第1のスプール(15)の外周の近位に移動される。インセットに示す位置において、壁(135a、135b、又は135c)は、装置ハウジングから延びる係止部材(図示せず)に接触し、以て更なる回転を阻止することが可能である。タブ(130a、130b、130c0が元の位置(すなわち、スプール(15)外縁部に対し遠位)にあるとき、係止部材との接触は不可能であり、したがって更なる回転が可能にされる。
【0115】
[122]当然ながら、代替的な機能は、ステップ部材の位置が適切に配置されている限り、径方向に内方に摺動させることによってタブが選択されることを可能にする。
【0116】
[123]
図3Bに進むと、装置(10)の反対側の第2のスプール(20)及びピンロック(145)から延びるピン(140)を備えるラッチ機構が参照される。このラッチ機構は、双方向における回転を阻止するために、第2のスプール(20)をキャッチし、ロックする。このロックにより、第1のスプール(15)が、第2のスプール(20)を静止したままにし、ステント(90)及びステントプッシャ(65)を適所に留めながら、ガイドワイヤ(30)を回収するために逆方向に回転することが可能になる。
【0117】
[124]ここで、
図3A及び
図3Bの実施形態を、臨床医による通常動作過程を参照することによって説明する。
【0118】
[125]上記で説明したように、吻(85)は、尿管を介して膀胱に挿入される。ガイドワイヤ(30)の遠位部分が尿管開口部に挿入されると、臨床医は、スポーク(22をマーキングされたもの)の周りで第2のスプール(20)を把持する。第2のスプール(20)は、臨床医によって反時計回りに回転される。単純な摩擦力により、第1のスプール(15)及び第2のスプール(20)が結合され、これにより第1のスプール(15)が第2のスプール(20)と共に回転する。双方のスプール(15、20)が回転しているとすると、ガイドワイヤ(30)、ステントプッシャ(65)及びステント(90)は全て、同じ速度で共に吻(85)から出て前進され、尿管に入る。ガイドワイヤ(30)が(第1のスプール(15)の更なる回転を阻止する任意の係止機構によって管理されて)可能な限り延ばされているとき、第2のスプール(20)の更なる回転のみが依然として許可される。なぜなら、スプール(15、20)間の摩擦力は、臨床医が第2のスプール(20)を回し続けることによって克服されるためである。更なる回転により、ステントプッシャ(65)が、ステント(90)の遠位端の短い部分を、ガイドワイヤ(30)の遠位端を越えて押す。
【0119】
[126]第2のスプール(20)の回転は、ラッチ機構によって最終的に停止される。特に、ピン(140)は、第2のスプール(20)が回転される際に、ピンロック(140)の可撓性部分(140a)を変形させる。回転は、ピン(140)が表面(140b)に接触することによって停止され、その時点において、可撓性部分(140a)が元の位置に回復し、以てピン(140)をトラップする。ここで第2のスプール(20)が固定され、臨床医は、ステント(90)及びステントプッシャ(65)を適所に留めながら、ガイドワイヤ(30)を回収するために、第1のスプール(15)を逆方向に回転させることができる。ガイドワイヤ(30)の回収により、ステント(90)が各端部においてコイル状の構造を仮定することが可能になる。
【0120】
[127]これまで記載した本発明の実施形態は、ガイドワイヤ又はステントプッシャを、要求される距離(近位方向又は遠位方向に)移動させるために、第1及び第2のスプールが1回転よりも多く回転することを必要としない。本発明の代替的な実施形態において、スプールの一方又は双方は、複数の回転が必要とされるように動作可能であってもよい。通常、双方のスプールが、複数回転が必要とされるように動作可能である。この代替的な実施形態において、スプールの半径は、本明細書に記載の装置のものよりも大幅に小さくてもよい。
【0121】
[128]スプールの各々は概ね樽型であり、一方のスプールが他方の内側に着座するネスト式で配置される。スプールは、一方が他方とは独立して回ることができるように、相互にねじ係合されている。手動の回転を容易にするために、各スプールは、指がスプールと係合することを可能にする把持構造を有してもよい。把持構造は、一方のスプールが静止して保持されている間、他方が回転されている/ことを更に可能にすることができる。
【0122】
[129]手動の動作に対する代替として、一方又は双方のスプールは、ソフトウェア命令に対するアクセスを有するプロセッサの制御下でモータ(ステッパモータ等)によって回転させることができ、この場合、スプールは、例えば、スプールがモータによって駆動されることを可能にするために、歯又は溝を形成されてもよい。ソフトウェア命令は、いずれのスプールが過剰回転されることも阻止し、以て任意の物理的係止装置の必要性をなくすことができる。
【0123】
[130]各スプール上に単一の溝を有する描かれた実施形態と比較して、スプールの各々は、2つの開始螺旋溝を含んでもよい。スプールは、ネスト式で配列され、内側スプールがガイドワイヤを収容するように溝を形成され、外側スプールが、ステント及びステントプッシャを収容するように溝を形成される。各スプール上の第2の開始螺旋溝は、ワイヤを内側スプールから外側スプールに移送し、また、ガイドワイヤ並びにステント及びステントプッシャを吻に移送するのに必要とされる横方向の力を提供するために、ACMEねじ又はそれに類似したものの形態をとってもよい。
【0124】
[131]理解されるように、本装置のいくつか又は大部分又は全ての構成要素は、滅菌も可能な医療グレードの材料から製造されてもよい。デバイスマットのホーシングは一般的に封止され、ユーザによって開放可能でない。通常、装置は、単回使用のみが意図される。
【0125】
[132]本発明は、主に尿管ステントの挿入のための装置を参照して詳述された。本発明は、その用途に関する装置及び方法に限定されると解釈されるものではない。本明細書の利点を所与として、当業者は、他の用途を日常的に考案し、更に、他の用途を容易にすることができる、描かれた実施形態及びその説明に対する変更を考案することになる。
【0126】
[133]本発明の様々な特徴が、図面を参照して、特に、図面の符号付き構成要素を参照して説明されている。図面の任意の構成要素が、描かれる実施形態の文脈から外れてもよく、描かれているものと異なる実施形態と組み合わせて用いられてもよいことが意図される。例えば、描かれる実施形態の特徴は、本明細書における発明の概要セクション、詳細な説明セクション、又は特許請求の範囲において定義される任意の特徴と組み合わされてもよい。
【0127】
[134]当業者であれば、本明細書に記載の本発明は、具体的に記載されたもの以外の更なる変形及び変更が可能であることを理解するであろう。本発明は、本発明の趣旨及び範囲内に入る全ての変形及び変更を含むことが理解される。
【0128】
[135]本発明は、詳細に示され、説明される好ましい実施形態との関係で開示されたが、それに対する様々な変更及び改善は当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0129】
[136]したがって、本発明の趣旨及び範囲は上記の例に限定されるものではなく、法律によって認められる最も広い意味で理解されるものとする。
【国際調査報告】