(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】並進移動のために構成されているガントリー
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540763
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 US2022054153
(87)【国際公開番号】W WO2023132960
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147706
【氏名又は名称】メビオン・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリット・タウンゼント・ツワート
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・クーリー
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC04
4C082AE03
4C082AG12
4C082AJ08
4C082AJ14
4C082AP07
4C082AT10
(57)【要約】
例示的なシステムは、ビームライン構造体を含むガントリーを含み、ビームライン構造体は、粒子加速器の出力から処置位置における照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くように構成されている。ビームライン構造体は、ビームライン構造体の長さの少なくとも一部に沿って粒子ビームを曲げるための磁気的な曲げエレメントを含む。ビームライン構造体の少なくとも一部がその上に保持されるマウントは、照射ターゲットに対するビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動を可能にするように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
ビームライン構造体を含むガントリーであって、前記ビームライン構造体は、粒子加速器の出力から処置位置における照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くように構成されており、前記ビームライン構造体は、前記ビームライン構造体の長さの少なくとも一部に沿って前記粒子ビームを曲げるための磁気的な曲げエレメントを含む、ガントリーと;
マウントであって、前記ビームライン構造体の少なくとも一部が前記マウントの上に保持されており、前記マウントは、前記照射ターゲットに対する前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の並進移動を可能にするように構成されている、マウントと
を含む、システム。
【請求項2】
前記並進移動は、前記ガントリーの長手方向寸法に沿った移動を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記並進移動は、前記粒子加速器に向けた移動または前記粒子加速器から離れる移動を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記粒子加速器をさらに含み;
前記マウントは、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部とともに前記粒子加速器の移動を可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マウントは、前記照射ターゲットに対する前記ビームライン構造体の全体の移動を可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マウントは、前記ガントリーの長手方向寸法に沿った前記ビームライン構造体の全体の移動を可能にするように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記マウントは、前記粒子ビームのビームラインの少なくとも一部に沿って、前記粒子加速器に向けたまたは前記粒子加速器から離れる前記ビームライン構造体全体の移動を可能にするように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記並進移動は、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部が前記粒子加速器から離れるように移動することおよび前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部と前記粒子加速器との間に空気ギャップを作り出すことを引き起こし、前記粒子ビームが前記粒子加速器から前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部へ前記空気ギャップを横断することを引き起こす、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部は、前記ビームライン構造体の第1のパーツであり、前記ビームライン構造体は、前記ビームライン構造体の前記第1のパーツおよび第2のパーツを含み;
前記並進移動は、前記第1のパーツが前記第2のパーツから離れるように移動することおよび前記第1のパーツと前記第2のパーツとの間に空気ギャップを作り出すことを引き起こし、前記粒子ビームが前記第2のパーツから前記第1のパーツへ前記空気ギャップを横断することを引き起こす、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2のパーツは、前記粒子加速器に取り付けられており、前記粒子加速器に対して移動可能でない、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部は、出力チャネルを含み、前記出力チャネルは、少なくとも90°だけ前記粒子ビームを曲げるように直列に配置されている磁気双極子を含み;
前記ガントリーは、リング構造体を含み、前記出力チャネルは、前記照射ターゲットの周りでの回転のために、前記リング構造体の上に装着されており;
前記並進移動は、前記出力チャネルが前記リング構造体の上でその周りに回転する回転軸線に対して平行である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記並進移動は、少なくとも30センチメートルにわたるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記並進移動は、30センチメートルから1メートルの間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、
前記照射ターゲットに対して移動可能であるイメージングシステムと;
前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部を前記照射ターゲットに近接した場所から離れるように移動させるように、および、前記場所に向けた前記イメージングシステムの移動を制御するように、前記マウントまたは前記ガントリーの前記少なくとも一部を制御するための制御システムと
をさらに含み、
前記照射ターゲットを保持するカウチは、前記イメージングシステムの移動の間に、および、前記マウントまたは前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の移動の間に、静止したままであるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記マウントは、第1のマウントであり、前記システムは、前記照射ターゲットに対する前記イメージングシステムの回転移動を可能にするように構成された第2のマウントを含み;
前記制御システムは、前記第2のマウントの並進移動を制御することによって、前記イメージングシステムの移動を制御するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記イメージングシステムは、前記第2のマウントによって定義される回転軸線の周りに回転可能であり;
前記第2のマウントの前記並進移動は、前記回転軸線に対して平行である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御システムは、前記場所から離れる前記イメージングシステムの移動を制御するように構成されており、また、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部を前記場所に向けて移動させるように、前記マウントまたは前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部を制御するように構成されており;
前記照射ターゲットを保持する前記カウチは、前記イメージングシステムの移動の間に、および、前記マウントまたは前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の移動の間に、静止したままであるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記マウントは、第1のマウントであり、前記システムは、前記照射ターゲットに対する前記イメージングシステムの回転移動を可能にするように構成された第2のマウントを含み;
前記制御システムは、前記第2のマウントの並進移動を制御することによって、前記イメージングシステムの移動を制御するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記イメージングシステムは、前記第2のマウントによって定義される回転軸線の周りに回転可能であり;
前記第2のマウントの前記並進移動は、前記回転軸線に対して平行である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記マウントは、1つまたは複数のレールを含み、前記1つまたは複数のレールは、移動可能であり、または、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部は、前記1つまたは複数のレールに沿って移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記マウントは、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部に接続されている1つまたは複数のローラーまたはホイールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部は、ノズルを含み、前記ノズルは、エネルギーデグレーダまたはコリメータのうちの少なくとも1つを保持している、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムは、
前記照射ターゲットに対して移動可能であるイメージングシステムと;
前記ノズルを前記照射ターゲットに近接した場所から離れるように移動させるように、および、前記場所に向けた前記イメージングシステムの移動を制御するように、前記マウントまたは前記ノズルを制御するための制御システムと
をさらに含み、
前記照射ターゲットを保持するカウチは、前記イメージングシステムの移動の間に、および、前記マウントまたは前記ノズルの移動の間に、静止したままであるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記マウントは、レール装着型の引き出しを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記マウントは、前記ノズルをテレスコピックに移動させるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
粒子線治療システムの上で実装される方法であって、
ターゲットビームフィールドのサイズを表すデータを受信するステップと;
前記データに基づいて照射ターゲットに対する前記粒子線治療システムの中のガントリーのビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動を制御するステップであって、前記ビームライン構造体は、粒子加速器の出力から前記照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くように構成されており、前記ビームライン構造体は、前記ビームライン構造体の長さの少なくとも一部に沿って前記粒子ビームを曲げるための磁気的な曲げエレメントを含む、ステップと;
前記データに基づいて、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の異なる並進位置において、前記照射ターゲットに粒子ビームを照射するように前記粒子加速器を制御するステップであって、ここで、前記照射ターゲットを保持するカウチは、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の前記並進移動および前記粒子ビームの照射の間に、静止したままであることとなる、ステップと
を含む、方法。
【請求項27】
前記照射ターゲットに対する前記ビームライン構造体の少なくとも一部の回転移動を制御するステップであって、ここで、前記カウチは、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の前記回転移動の間に静止したままであるように制御される、ステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記並進移動は、前記照射ターゲットに沿った別々の位置への前記ガントリーの長手方向寸法に沿った移動を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記並進移動は、前記粒子ビームのビームラインの少なくとも一部に沿って、前記粒子加速器に向けた移動または前記粒子加速器から離れる移動を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ビームライン構造体は、出力チャネルを含み、前記出力チャネルは、少なくとも90°だけ前記粒子ビームを曲げるように直列に配置されている磁気双極子を含み;
前記ガントリーは、リング構造体を含み、前記出力チャネルは、前記照射ターゲットの周りでの回転のために、前記リング構造体の上に装着されており;
前記並進移動は、前記出力チャネルが前記リング構造体の上でその周りに回転する回転軸線に対して平行である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記照射ターゲットが静止したままであるように制御されている間に、前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部の前記並進移動に基づいてイメージングシステムの移動を制御するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ビームライン構造体の前記少なくとも一部は、予め定義された位置から移動するように制御され、前記イメージングシステムは、前記ガントリーの少なくとも一部の移動に続いて、前記予め定義された位置に移動するように制御される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記イメージングシステムは、前記予め定義された位置から移動するように制御され、前記ビームライン構造体は、前記予め定義された位置からの前記イメージングシステムの移動に続いて、前記予め定義された位置に移動するように制御される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ターゲットビームフィールドのサイズは、前記ガントリーの少なくとも一部の前記並進移動がないときに前記ガントリーによって少なくとも部分的に定義される予め定義されたビームフィールドのサイズよりも大きい、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記ターゲットビームフィールドのサイズは、前記予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも1.5倍である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ターゲットビームフィールドのサイズは、前記予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも2倍である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ターゲットビームフィールドのサイズは、前記予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも5倍である、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月5日に出願された米国仮出願第63/296,610号の優先権を主張する。米国仮出願第63/296,610号は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、粒子線治療システムおよびそれとともに使用するためのガントリーの例を説明する。
【背景技術】
【0003】
粒子線治療システムは、苦痛(たとえば、腫瘍など)を処置するための粒子ビームを発生させるために粒子加速器を使用する。粒子線治療システムは、複数の角度から患者に向けて粒子ビームを導くためにガントリーを使用することが可能である。いくつかの例において、ガントリーは、処置の間に放射線送達装置を支持するデバイスを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,675,487号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0128746号
【特許文献3】米国特許第8,791,656号
【特許文献4】米国特許第8,975,836号
【特許文献5】米国特許第9,730,308号
【特許文献6】米国特許出願公開第2020/0298025号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的なシステムは、ビームライン構造体を含むガントリーを含み、ビームライン構造体は、粒子加速器の出力から処置位置における照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くように構成されている。ビームライン構造体は、ビームライン構造体の長さの少なくとも一部に沿って粒子ビームを曲げるための磁気的な曲げエレメントを含む。ビームライン構造体の少なくとも一部がその上に保持されるマウントは、照射ターゲットに対するビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動を可能にするように構成されている。システムは、単独または組み合わせのいずれかで、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0006】
並進移動は、ガントリーの長手方向寸法に沿った移動を含むことが可能である。並進移動は、粒子加速器に向けた移動または粒子加速器から離れる移動を含むことが可能である。システムは、粒子加速器を含むことが可能であり、マウントは、ビームライン構造体の少なくとも一部の移動とともに粒子加速器の移動を可能にするように構成されることが可能である。マウントは、照射ターゲットに対するビームライン構造体の全体の移動を可能にするように構成されることが可能である。マウントは、ガントリーの長手方向寸法に沿ったビームライン構造体の全体の移動を可能にするように構成されることが可能である。マウントは、粒子ビームのビームラインの少なくとも一部に沿って、粒子加速器に向けたまたは粒子加速器から離れるビームライン構造体全体の移動を可能にするように構成されることが可能である。
【0007】
並進移動は、ビームライン構造体の少なくとも一部が粒子加速器から離れるように移動することおよびビームライン構造体の少なくとも一部と粒子加速器との間に空気ギャップを作り出すことを引き起こすことが可能である。粒子ビームは、粒子加速器からビームライン構造体の少なくとも一部へ空気ギャップを横断することが可能である。並進移動を受けるビームライン構造体の少なくとも一部は、ビームライン構造体の第1のパーツを含むことが可能である。ビームライン構造体は、第1のパーツおよび第2のパーツを含むことが可能である。並進移動は、第1のパーツが第2のパーツから離れるように移動することおよび第1のパーツと第2のパーツとの間に空気ギャップを作り出すことを引き起こすことが可能である。粒子ビームは、空気ギャップを横断することが可能である。並進移動を受けない第2のパーツは、粒子加速器に取り付けられることが可能であり、粒子加速器に対して移動可能である必要はない。
【0008】
並進移動を受けるビームライン構造体の少なくとも一部は、出力チャネルを含むことが可能である。出力チャネルは、少なくとも90°だけ粒子ビームを曲げるように直列に配置されている磁気双極子を含むことが可能である。ガントリーは、リング構造体を含むことが可能であり、出力チャネルは、照射ターゲットの周りでの回転のために、リング構造体の上に装着されている。ビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動は、出力チャネルがリング構造体の上でその周りに回転する回転軸線に対して平行であることが可能である。並進移動は、少なくとも30センチメートルにわたるものであることが可能である。並進移動は、30センチメートルから1メートルの移動であることが可能である。並進移動は、1メートルの移動を超えることが可能である。
【0009】
システムは、照射ターゲットに対して移動可能であるイメージングシステムと、ビームライン構造体の少なくとも一部を照射ターゲットに近接した場所から離れるように移動させるように、および、その場所に向けたイメージングシステムの移動を制御するように、マウントまたはガントリーの少なくとも一部を制御するための制御システムとを含むことが可能である。照射ターゲットを保持するためのカウチまたはシートは、イメージングシステムの移動の間に、および、マウントまたはビームライン構造体の少なくとも一部の移動の間に、静止したままであるように構成されることが可能である。
【0010】
マウントは、第1のマウントであることが可能であり、システムは、照射ターゲットに対するイメージングシステムの回転移動を可能にするように構成された第2のマウントを含むことが可能である。制御システムは、第2のマウントの並進移動を制御することによって、イメージングシステムの移動を制御するように構成されることが可能である。イメージングシステムは、たとえば、第2のマウントによって定義される回転軸線の周りに回転可能であり得る。第2のマウントの並進移動は、この回転軸線に対して平行であることが可能である。制御システムは、照射ターゲットに近接した場所から離れるイメージングシステムの移動を制御するように構成されることが可能であり、また、ビームライン構造体の少なくとも一部をその場所に向けて移動させるように、第1のマウントまたはビームライン構造体の少なくとも一部を制御するように構成されることが可能である。照射ターゲットを保持するためのカウチは、イメージングシステムの移動の間に、および、第1のマウントまたはビームライン構造体の少なくとも一部の移動の間に、静止したままであるように構成されることが可能である。制御システムは、第2のマウントの並進移動を制御することによって、イメージングシステムの移動を制御するように構成されることが可能である。イメージングシステムは、第2のマウントによって定義される回転軸線の周りに回転可能であり得、第2のマウントの並進移動は、この回転軸線に対して平行であることが可能である。
【0011】
ビームライン構造体の少なくとも一部がその上に保持される第1のマウントは、1つまたは複数のレールを含むことが可能である。1つまたは複数のレールは、移動可能であり得、または、ビームライン構造体の少なくとも一部は、1つまたは複数のレールに沿って移動可能であり得る。ビームライン構造体の少なくとも一部がその上に保持される第1のマウントは、ビームライン構造体の少なくとも一部に接続されている1つまたは複数のローラーまたはホイールを含むことが可能である。
【0012】
並進移動を受けるビームライン構造体の少なくとも一部は、ノズルを含むことが可能である。ノズルは、エネルギーデグレーダまたはコリメータのうちの少なくとも1つを保持するためのものであることが可能である。システムは、照射ターゲットに対して移動可能であるイメージングシステムと、ノズルを照射ターゲットに近接した場所から離れるように移動させるように、および、その場所に向けたイメージングシステムの移動を制御するように、ノズルを保持するマウントまたはノズルを制御するための制御システムとを含むことが可能である。照射ターゲットを保持するためのカウチまたはシートは、イメージングシステムの移動の間に、および、マウントまたはノズルの移動の間に、静止したままであるように構成されることが可能である。ノズルを保持するマウントは、レール装着型の引き出しを含むことが可能である。ノズルを保持するマウントは、ノズルをテレスコピックに移動させるように構成されることが可能である。
【0013】
例示的な方法が、粒子線治療システムの上で実装されることが可能である。本方法は、1つまたは複数の処理デバイスを使用して実装されることが可能である。本方法における動作は、ターゲットビームフィールドのサイズを表すデータを受信するステップと、データに基づいて照射ターゲットに対する粒子線治療システムの中のガントリーのビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動を制御するステップとを含むことが可能である。ビームライン構造体は、粒子加速器の出力から照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くように構成されることが可能である。ビームライン構造体は、ビームライン構造体の長さの少なくとも一部に沿って粒子ビームを曲げるための磁気的な曲げエレメントを含むことが可能である。動作は、データに基づいて、ビームライン構造体の少なくとも一部の異なる並進位置において、照射ターゲットに粒子ビームを照射するように粒子加速器を制御するステップを含むことが可能である。照射ターゲットを保持するカウチは、ビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動および粒子ビームの照射の間に、静止したままであることが可能である。本方法は、単独または組み合わせのいずれかで、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0014】
本方法は、照射ターゲットに対するビームライン構造体の少なくとも一部の回転移動を制御するステップを含むことが可能である。カウチは、ビームライン構造体の少なくとも一部の回転移動の間に静止したままであるように構成されることが可能である。本方法における並進移動は、照射ターゲットに沿った別々の位置へのガントリーの長手方向寸法に沿ったビームライン構造体の少なくとも一部の移動を含むことが可能である。方法における並進移動は、粒子ビームのビームラインの少なくとも一部に沿って、粒子加速器に向けたまたは粒子加速器から離れる、ビームライン構造体の少なくとも一部の移動を含むことが可能である。
【0015】
ビームライン構造体は、出力チャネルを含むことが可能である。出力チャネルは、少なくとも90°だけ粒子ビームを曲げるように直列に配置されている磁気双極子を含むことが可能である。ガントリーは、リング構造体を含むことが可能であり、出力チャネルは、照射ターゲットの周りでの回転のために、リング構造体の上に装着されている。ビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動は、出力チャネルがリング構造体の上でその周りに回転する回転軸線に対して平行であることが可能である。
【0016】
本方法は、照射ターゲットが静止したままであるように制御または構成されている間に、ビームライン構造体の少なくとも一部の並進移動に基づいてイメージングシステムの移動を制御するステップを含むことが可能である。ビームライン構造体の少なくとも一部は、予め定義された位置から移動するように制御されることが可能であり、イメージングシステムは、ガントリーの少なくとも一部の移動に続いて、予め定義された位置に移動するように制御されることが可能である。イメージングシステムは、予め定義された位置から移動するように制御されることが可能であり、ビームライン構造体は、予め定義された位置からのイメージングシステムの移動に続いて、予め定義された位置に移動して戻るように制御されることが可能である。ターゲットビームフィールドのサイズは、ガントリーの少なくとも一部の並進移動がないときにガントリーによって少なくとも部分的に定義される予め定義されたビームフィールドのサイズよりも大きくなっていることが可能である。ターゲットビームフィールドのサイズは、予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも1.5倍であることが可能である。ターゲットビームフィールドのサイズは、予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも2倍であることが可能である。ターゲットビームフィールドのサイズは、予め定義されたビームフィールドのサイズの少なくとも5倍である。
【0017】
本明細書(この発明の概要の章を含む)において説明されている特徴のうちの任意の2つ以上は、本明細書に具体的には説明されていない実装形態を形成するように組み合わせられることが可能である。
【0018】
本明細書で説明されているさまざまなシステムまたはその一部分の制御は、インストラクションを含むコンピュータープログラム製品を介して実装されることが可能であり、インストラクションは、1つまたは複数の非一時的な機械可読ストレージ媒体の上に記憶されており、また、1つまたは複数の処理デバイス(たとえば、マイクロプロセッサー、特殊用途向け集積回路、または、フィールドプログラマブルゲートアレイなどのようなプログラムされたロジックなど)の上で実行可能である。本明細書で説明されているシステムまたはその一部分は、1つまたは複数の処理デバイスと、記載された機能の制御を実装するための実行可能なインストラクションを記憶するためのコンピューターメモリーとを含むことが可能である装置、方法、または医療システムとして実装されることが可能である。本明細書で説明されているデバイス、システム、および/またはコンポーネントは、たとえば、設計、構築、組成、配置、設置、プログラミング、動作、活性化、非活性化、および/または制御を通して構成されることが可能である。
【0019】
1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに、特許請求の範囲からあきらかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本明細書で説明されているタイプの例示的なガントリーを有する例示的な粒子線治療システムの部分的に透明な斜視図を示すダイアグラムである。
【
図2】例示的なガントリーを含む、
図1に示されている粒子線治療システムのコンポーネントの切り欠き側面図である。
【
図3】
図1に示されているガントリーの一部であり得るノズルおよび例示的なビームライン構造体の中に含まれるコンポーネントの切り欠き拡大側面図である。
【
図4】
図1に示されているガントリーの一部であり得る例示的なノズルおよびビームライン構造体の中に含まれるコンポーネントの切り欠き拡大側面図である。
【
図5】2つの直交する次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な走査磁石の正面図である。
【
図6】
図1に示されているガントリーの一部であり得る例示的なノズルおよびビームライン構造体の中に含まれるコンポーネントの切り欠き拡大側面図である。
【
図7】単一の次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な走査磁石の正面図である。
【
図8】単一の次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な走査磁石の正面図である。
【
図9】
図1に示されているガントリーの一部であり得る例示的なノズルおよびビームライン構造体の中に含まれるコンポーネントの切り欠き拡大側面図である。
【
図10】
図1に示されているガントリーの一部であり得る例示的なノズルおよびビームライン構造体の中に含まれるコンポーネントの切り欠き拡大側面図である。
【
図11】2つの直交する次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な超伝導走査磁石の正面図である。
【
図12a】単一の次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な超伝導走査磁石の正面図である。
【
図12b】
図12aの次元と直交する単一の次元において粒子ビームを走査するように構成されている例示的な超伝導走査磁石の正面図である。
【
図13】
図1の粒子線治療システムの一部であり得る例示的な構成可能なコリメータの斜視図を示す図面である。
【
図14】
図13の構成可能なコリメータの部分的に透明な正面図を示す図面である。
【
図15】
図13および
図14の構成可能なコリメータの部分的に透明な斜視図を示す図面である。
【
図16】
図1の粒子線治療システムのすべてまたは一部を収容するように構成されている例示的な処置スペースのブロック図である。
【
図17】本明細書で説明されている例示的なガントリーを使用して作り出される例示的な水平方向(x)および垂直方向(y)の粒子ビームエンベロープを示すグラフである。
【
図18】本明細書で説明されている例示的なガントリーのビームラインのための例示的なアクロマチック格子設計を示すグラフである。
【
図19】本明細書で説明されている例示的なガントリーを使用して水平方向(x)および垂直方向(y)の平面において粒子ビームを走査することによって作り出される結果を示すグラフである。
【
図20】本明細書で説明されている粒子線治療システムとともに使用され得る例示的な粒子加速器の中のコンポーネントの切り欠き側面図である。
【
図21】例示的なエネルギーデグレーダの斜視図である。
【
図22】
図1の粒子線治療システムの中の走査磁石として使用され得る例示的な超伝導磁石の正面切断図である。
【
図23】コイルへと巻かれることが可能であり、
図1の粒子線治療システムの中の走査磁石として使用され得る例示的な超伝導テープの切り欠き図である。
【
図24】ガントリーの少なくとも一部が並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図25】ガントリービームライン構造体が並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図26】ガントリービームライン構造体の一部が並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図27】ガントリービームライン構造体および粒子加速器がタンデム並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図28】ガントリーの少なくとも一部が、ローラーまたはホイールを含むマウントを使用して、並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図29】ガントリーノズルが並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図30】ガントリーノズルが並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図31】ガントリーノズルがテレスコピックな並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図32】ガントリーノズルがテレスコピックな並進移動のために構成されている、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図33】粒子線治療システムによって実現可能なビームフィールドを効果的に拡張するために、長手方向寸法におけるガントリー並進移動が使用される、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図34】粒子線治療システムによって実現可能なビームフィールドを効果的に拡張するために、長手方向寸法におけるガントリー並進移動が使用される、例示的な粒子線治療システムのブロックダイアグラム側面図である。
【
図35】粒子線治療システムによって実現可能なビームフィールドを効果的に拡張するために、長手方向寸法におけるガントリー並進移動を制御するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
異なる図における同様の参照番号は、同様のエレメントを示す。
【0022】
本明細書で説明されているのは、同じスペースの中に患者および加速器を収容することができる例示的な粒子線治療システムである。例示的なシステムは、粒子加速器を含み、粒子加速器は、それに限定されないが、シンクロサイクロトロンであることが可能であり、シンクロサイクロトロンは、低い放射線漏出を有しており、また、標準的な線形加速器(LINAC)ボールトの中にフィットするのに十分に小さい。また、システムは、医療用ガントリーを含み、医療用ガントリーは、患者の中の腫瘍または他の条件を処置するために加速器から出力される荷電粒子ビーム(たとえば、陽子またはイオンなど)を送達するように構成されている。ガントリーは、加速器から処置位置へ粒子ビームを導くために、および、粒子ビームを処置位置に送達するために、ビームライン構造体を含む。ビームライン構造体は、処置位置に向けて粒子ビームを導くための磁気部品(たとえば、1つまたは複数の磁気双極子および1つまたは複数の磁気四極子など)を含む。処置のために使用される同じスペースの中で、とりわけ、標準的なLINACボールトなどのような比較的に小さなスペースの中で、粒子ビームの送達を可能にするために、ビームライン構造体の中の磁気部品のうちの少なくともいくつかは、直角にまたは鈍角に粒子ビームを曲げるように構成されている。一例では、磁気部品は、90°以上だけ粒子ビームを曲げるように構成および配置されている。
【0023】
また、本明細書で説明されている粒子線治療システムの実装形態は、マウントを含み、ガントリーの少なくとも一部がマウントの上に保持される。マウントは、予め定義された基準(たとえば、照射ターゲット、処置位置、または粒子加速器など)に対するガントリーの少なくとも一部の自動化されたおよび電動化された並進移動を可能にするように構成されている。たとえば、マウントは、ローラーまたは1つまたは複数のレールを含むことが可能であり、ビームライン構造体のすべてまたは一部がその上に装着される。また、加速器は、ビームライン構造体とのタンデム移動を可能にするために、ローラーまたはレールの上に装着される(または、ローラーまたはレールに接続される)ことが可能である。並進移動は、(加速器を備えたまたは加速器を備えない)ガントリーの少なくとも一部が長手方向寸法に(たとえば、その回転軸線に対して平行に)移動することを可能にすることができる。たとえば、ビームライン構造体は、処置位置から移動されることが可能であり、1つまたは複数のイメージングシステムは、その場所に移動されることが可能である。
【0024】
イメージングシステムは、処置位置におけるターゲット(たとえば、患者の中の腫瘍など)のイメージをキャプチャーすることが可能である。イメージキャプチャーに続いて、イメージングシステムは、その元の位置に移動されて戻されることが可能であり、それは、ガントリーおよび処置経路の邪魔にならないところにある。次いで、ガントリーの少なくとも一部(たとえば、ビームライン構造体の少なくとも一部(それは、ノズルであるかまたはノズルを含むことが可能である))が、処置位置へと移動されて戻されることが可能である。その位置において、ガントリーは、処置位置におけるターゲットを処置するために使用されることが可能である。ガントリーおよびイメージングシステムのこれらの移動の間に、処置位置にいる患者は、静止したままであることが可能である。たとえば、患者は、カウチの上に位置決めされることが可能であり、それは、ガントリーおよびイメージングシステムの移動の間に移動しない。たとえば、患者自身は、カウチの上で移動しないことが可能である。患者がカウチの上で移動する機会を低減させることは、処置が誤って送達されることとなる可能性、または、カウチが移動を補償するために再位置決めされる必要が生じ得る可能性を低減させる。
【0025】
そのうえ、ガントリーの少なくとも一部の並進移動は、システムのビームフィールドを拡張することが可能である。一例では、ビームフィールドは、患者を移動させることなく、ガントリーの所与の位置に対して処置位置の上のまたは処置位置に対して平行の平面を横切って粒子ビームが移動されることが可能である最大範囲を含む。本明細書で説明されているようなガントリーを移動させることによって、ビームフィールドのサイズが増加されることが可能であり、それによって、患者を移動させることなく、または、並進移動することができないガントリーを使用するときに必要とされるよりも患者を移動させずに済むことによって、全脳全脊髄照射(全脳全脊髄照射では、患者の脳および脊柱全体が処置される)などのような処置をサポートすることが可能である。
【0026】
また、本明細書で説明されている粒子線治療システムの実装形態は、大口径超伝導磁石の機能性と上流走査磁石の使用とを組み合わせ、粒子線治療システムを比較的にコンパクトにする。構築に関してコンパクトであるが、例示的な粒子線治療システムは、下記に説明されているように、ビーム集束、ビーム走査、ビーム曲げ、およびビーム回転を可能にするように構成されている。
【0027】
図1は、先行する段落において説明されたタイプの粒子線治療システム10の例のコンポーネントを示している。
図1に示されているように、粒子線治療システム10は、粒子加速器12を含み、粒子加速器12の例は、本明細書で説明されている。この例では、粒子加速器12は、2.5テスラ(T)以上または3T以上の最大磁場強度を発生させる超伝導電磁構造体を有するシンクロサイクロトロンである。この点において、超伝導体は、ニオブ-スズ(Nb
3Sn)などのような元素または金属合金であり、それは、閾値温度を下回って冷却されるときに、ほとんどの(すべてではないとしても)電気抵抗を喪失する。結果として、電流は、実質的に妨げられずに超伝導体を通って流れる。したがって、超伝導コイルは、その超伝導状態において、同じサイズの通常の電線よりも大きな電流を伝導させることができる。それらが伝導させることができる高い量の電流に起因して、超伝導コイルは、粒子線治療の用途においてとりわけ有用である。
【0028】
例示的なシンクロサイクロトロンは、150メガ電子ボルト(MeV)以上のエネルギーレベルを有する単一エネルギーの粒子ビームとして、陽子またはイオンを出力するように構成されている。例示的なシンクロサイクロトロンは、4.5立方メートル(m3)以下の体積、および、30トン(T)以下の重量を有している。そのサイズに起因して、このタイプの粒子加速器は、「コンパクト」と称される。しかし、本明細書で説明されているように、これら以外の重量、寸法、磁場、および/またはエネルギーレベルを有するシンクロサイクロトロンまたは他のタイプの粒子加速器も、粒子線治療システム10において使用されることが可能である。
【0029】
また、粒子線治療システム10は、ガントリー14を含む。ガントリー14は、リング形状のまたは円形の支持構造体15およびビームライン構造体16を含む。支持構造体15およびビームライン構造体16の組み合わせは、その比較的に小さなサイズに起因して「コンパクトガントリー」と称されることが可能である。ビームライン構造体16は、支持構造体15に装着する出力チャネル17と、粒子ビームを出力チャネルに導く導管18とを含む。また、ガントリー14は、支持構造体15の周りで処置位置19に対して出力チャネル17を移動させるための1つまたは複数のモーター(図示せず)を含む。処置位置は、システムアイソセンターを含むことが可能であり、システムアイソセンターでは、患者が処置のために患者カウチの上に位置決めされることが可能である。一例では、モーターは、構造体15の上のトラックに沿って出力チャネル17を移動させることが可能であり、処置位置19に対する出力チャネル17の回転を結果として生じさせる。一例では、出力チャネル17が取り付けられている支持構造体は、処置位置19に対して回転することが可能であり、処置位置に対する出力チャネル17の回転を結果として生じさせる。いくつかの実装形態において、ガントリー14によって可能にされる回転は、出力チャネル17が処置位置に対して任意の角度で位置決めされることを可能にする。たとえば、出力チャネル17は、360°にわたって回転することが可能であり、そうであるので、出力チャネル17は、0°に、90°に、270°に、および0°/360°に戻って位置決めされるか、または、これらの回転位置の間の任意の角度に位置決めされることが可能である。
【0030】
以前に述べられたように、ビームライン構造体16は、加速器12から処置位置19へ粒子ビームを導くように構成されている。この目的のために、出力チャネル17は、粒子ビームを処置位置に向けて曲げるための磁気部品を含む。加えて、ビームライン構造体16は、粒子加速器12から出力チャネル17へ粒子ビームを導くビームラインに沿って磁気部品を含有する導管18を含む。
【0031】
図2および
図3を参照すると、例示的なビームライン構造体16の導管18は、非超伝導磁気四極子21および22ならびに超伝導磁気双極子23を含む。また、ビームライン構造体は、電磁気的に遮蔽された外側シェルを含むことが可能である。
図3を参照すると、磁気四極子21および22は、ビームライン構造体16の中で粒子ビームが集束されて真っ直ぐにまたは実質的に真っ直ぐに(たとえば、真っ直ぐから5%以下の偏差で)トラベルする状態に維持するように構成されている。磁気四極子21および22は、粒子ビームの実質的に一貫した断面積を維持するように(たとえば、±5%の公差以内に)粒子ビームを集束させるように構成されている。磁気双極子23は、図に示されているように、出力チャネル17に向けて粒子ビームを曲げるように構成されている。一例では、磁気双極子23は、水平方向24に対して20°から80°の範囲内のどこかに粒子ビームを曲げるように構成されることが可能である。一般的に、より大きな曲げ角度は、粒子加速器12と処置位置19またはシステムアイソセンターとの間の距離を低減させ、それによって、ガントリーを収容するために必要とされるスペースを低減させ、ひいては、粒子線治療システムのサイズを低減させることが可能である。たとえば、80°以上(たとえば、90°以上)粒子ビームを曲げる1つまたは複数の超伝導磁気双極子と磁気双極子23を交換することは、粒子加速器12から支持構造体15への、ひいては、処置位置19およびアイソセンターへの距離をさらに低減させることが可能である。
【0032】
いくつかの実装形態において、本明細書で説明されている任意の磁気四極子の代わりに、または、それに加えて、より高次の磁気部品が使用されることが可能である。たとえば、ビームライン構造体は、磁気四極子の代わりに、または、それに加えて、1つまたは複数の磁気六極子を含むことが可能である。磁気六極子は、ビームライン構造体16の中で粒子ビームが集束されて真っ直ぐにまたは実質的に真っ直ぐに(たとえば、真っ直ぐから5%以下の偏差で)トラベルする状態に維持するように構成されている。また、磁気六極子は、粒子ビームの一貫した断面積を(たとえば、±5%の公差以内に)維持するように構成されることが可能である。また、六極子磁石は、四極子磁石のクロマチック効果を補正することが可能である。
【0033】
図3を参照すると、この例では、ビームライン構造体16の導管18は、2つの非超伝導磁気四極子26および27も含む。磁気四極子26および27は、ビームライン構造体16の中で粒子ビームが集束されて真っ直ぐにまたは実質的に真っ直ぐに(たとえば、真っ直ぐから5%以下の偏差で)トラベルする状態に維持するように構成されている。磁気四極子26および27は、粒子ビームの一貫した断面積を(たとえば、±5%の公差以内に)維持するように構成されている。以前に説明されたように、集束を改善するために、より高次の磁気部品が、磁気四極子のうちの1つまたは複数と置換されることも可能である。
【0034】
また、粒子線治療システム10は、粒子ビームの経路の中に1つまたは複数の走査磁石30を含み、それは、照射ターゲットのすべてまたは一部(すなわち、少なくとも一部)をカバーするビームフィールドの少なくとも一部を横切って粒子ビームを移動させるように構成されている。ビームフィールドを横切る粒子ビームの移動は、処置位置19における照射ターゲットの少なくとも一部を横切る移動を結果として生じさせる。走査磁石は、20センチメートル(cm)×20cm以上の面積を有するビームフィールドを横切って粒子ビームを移動させるようにサイズ決めおよび構成されることが可能であるが、システム10は、任意の特定のビームフィールドサイズまたは形状に限定されない。たとえば、走査磁石は、20cm×20cm以下または以上のアパーチャーを有することが可能であるが、走査磁石は、任意の特定のアパーチャーサイズに限定されない。たとえば、ビームフィールドは、長方形、円形、正方形、または、走査磁石によって支持される任意の形状であることが可能である。
【0035】
走査磁石は、粒子線治療システムの中の異なる位置に位置付けされることが可能である。たとえば、
図4に示されているビームライン構造体16aでは(それは、ビームライン構造体16の変形例である)、走査磁石30aのすべてが、出力チャネル17aと処置位置との間の粒子ビームの経路の上において、エネルギーデグレーダ41aおよびコリメータ44a(両方とも下記に説明されている)とともに、ノズル40aの中に位置付けされることが可能である。
図5を参照すると、例示的な走査磁石43は、2次元(たとえば、デカルトXY次元)において制御可能であり、それらの2次元において粒子ビームを位置決めし、照射ターゲットの少なくとも一部を横切って粒子ビームを移動させる。この例では、走査磁石43は、第1のセット45の2つのコイルと、第2のセット46の2つのコイルとを含み、第1のセット45の2つのコイルは、定義された座標系のデカルトX次元において粒子ビーム移動を制御し、第2のセット46の2つのコイルは、第1のセットの2つのコイルに直交しており、デカルトY次元において粒子ビーム移動を制御する。粒子ビームの移動に対する制御は、一方または両方のセットのコイルを通る電流を変化させ、それによって、それによって作り出される磁場を変化させることによって実現されることが可能である。磁場を適当に変化させることによって、磁場は、粒子ビームに作用し、ビームフィールドを横切って、ひいては、照射ターゲットを横切って、X次元および/またはY次元において粒子ビームを移動させる。
【0036】
いくつかの実装形態において、2つ以上の走査磁石が存在していることが可能である。粒子ビームの経路に沿って異なるポイントにあり、空気または構造体(たとえば、磁石またはビーム吸収プレートなど)によって分離されている、複数の走査磁石を含む実装形態は、スプリット走査システムと称されることが可能である。たとえば、
図6に示されているビームライン構造体16bでは(それは、ビームライン構造体16の変形例である)、出力チャネル17bと処置位置との間に複数の(たとえば、2つの)走査磁石30b1および30b2が存在していることが可能である。走査磁石は、出力チャネル17bと処置位置との間の粒子ビームの経路の上において、エネルギーデグレーダ41bおよびコリメータ44bとともに、ノズル40bの中に位置付けされることが可能である。走査磁石は、別個の場所にあり、空気またはエネルギー劣化構造体によって分離されることが可能である。たとえば、この実装形態では、第1の走査磁石30b1は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させることが可能であり、第2の走査磁石30b2は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させることが可能である。この例では、走査磁石30b1および30b2は、
図5に示されている走査磁石と同じ構築および動作を有することが可能である。それぞれの磁石30b1および30b2は、ビームを部分的に移動させることが可能であり、2つの磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の移動を作り出す。
【0037】
図6の実装形態の変形例では、走査磁石30b1は、1次元(たとえば、デカルトX次元)のみにおいて粒子ビームを移動させることが可能であり、走査磁石30b2は、1次元(たとえば、デカルトY次元)のみにおいて粒子ビームを移動させることが可能である。一方の磁石30b1は、図に示されているように、粒子加速器に対して、他方の磁石30b2の上流にあることが可能である。両者は、上記に述べられたように、空気またはエネルギー劣化構造体によって分離されることが可能である。
図7および
図8は、異なる次元において粒子ビームを移動させるための直交するコイル(コイル90aは、コイル91aと直交している)を有する例示的な磁石90および91をそれぞれ示している。この例では、走査磁石30b1は、
図7に示されているタイプのものであり、第1のセットのコイル90aを含むことが可能であり、走査磁石30b2は、
図8に示されているタイプのものであり、コイル90aと直交している第2のセットのコイル91aを含むことが可能である。それぞれの磁石30b1、30b2は、ビームを部分的に移動させることが可能であり、2つの磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の移動を作り出す。
【0038】
いくつかの実装形態において、走査磁石のうちの1つまたは複数(たとえば、すべて、または、すべてよりも少ない)が、ビームライン構造体の中に位置付けされることが可能である。たとえば、
図9に示されているビームライン構造体16cでは(それは、ビームライン構造体16の変形例である)、第1の走査磁石30c1と第2の走査磁石30c2とを含む複数の(たとえば、2つの)走査磁石が存在していることが可能であり、第1の走査磁石30c1は、ビームライン構造体16cの導管18の中に位置付けされており、第2の走査磁石30c2は、出力チャネル17と処置位置との間において、エネルギーデグレーダ41cおよびコリメータ44cとともに、ノズル40cの中に位置付けされている。第1の走査磁石30c1は、ビームライン構造体16cの中に含まれる磁気部品の間に位置付けされることが可能である。たとえば、第1の走査磁石30c1は、粒子加速器に対して磁気双極子32cの上流において、出力チャネル17cの中に位置付けされることが可能であり、または、
図9に示されているように、第1の走査磁石30c1は、粒子加速器に対して出力チャネル17cの上流に位置付けされることが可能である。一例では、第1の走査磁石30c1は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させるように構成されることが可能であり、第2の走査磁石30c2は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。この例では、走査磁石30c1および30c2は、
図5に示されている走査磁石と同じ構築および動作を有することが可能である。それぞれの磁石30c1および30c2は、ビームを部分的に移動させることが可能であり、2つの磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の移動を作り出す。
【0039】
図9の実装形態の変形例では、第1の走査磁石30c1は、1次元(たとえば、デカルトX次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されることが可能であり、第2の走査磁石30c2は、1次元(たとえば、デカルトY次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。この例では、走査磁石30c1は、第1のセットのコイルを含むことが可能であり、走査磁石30c2は、第1のセットのコイルと直交している第2のセットのコイルを含むことが可能である。磁石30c1および30c2は、この例では、
図7および
図8に示されている磁石と同様の構成を有することが可能である。それぞれの磁石30c1および30c2は、ビームを部分的に移動させるように構成されることが可能であり、2つの磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の移動を作り出す。
【0040】
いくつかの実装形態において、走査磁石のすべては、ノズルの上流においてビームライン構造体の中に位置付けされることが可能である。
図10のスプリット走査システムに示されているように、第1の走査磁石30d1および第2の走査磁石30d2の両方は、ノズルの上流においてビームライン構造体16dの中に位置付けされることが可能である。走査磁石は、ノズル40dの中に位置付けされていなくてもよく、ノズル40dは、この例では、エネルギーデグレーダ41dおよびコリメータ44dを含む。他の例では、ノズルの中にも1つまたは複数の走査磁石が存在していることが可能である。第1の走査磁石30d1および第2の走査磁石30d2は、ノズルの上流においてビームライン構造体16dの中に含まれる磁気部品の間に位置付けされることが可能である。たとえば、
図10に示されているように、第1の走査磁石30d1は、粒子加速器に対して磁気双極子32dの上流において、出力チャネル17dの中に位置付けされることが可能であり、または、第1の走査磁石は、粒子加速器に対して出力チャネル17dの上流に位置付けされることが可能である。第2の走査磁石30d2は、粒子加速器に対して第1の走査磁石30d1の上流に位置付けされることが可能である。
図10に示されている例では、第2の走査磁石30d2は、ビームラインの中の出力チャネル17dに先行している。走査磁石は、ビームライン構造体の中の別個の場所にあり、ビームライン構造体の中の磁気部品(たとえば、双極子または四極子など)および/または空気によって分離されることが可能である。別個の場所は、粒子ビームの経路またはビームライン構造体の長さに沿って直列の異なるポイントまたは場所を含むことが可能である。たとえば、
図10に示されているように、磁気双極子31dは、第1の走査磁石30d1と第2の走査磁石30d2との間にある。別の例では、走査磁石30d1は、磁気双極子32dの後に移動させられることが可能であり、磁気双極子31dおよび32dの両方が、走査磁石30d1と30d2との間にあるようになっている。別の例では、走査磁石30d1および30d2の両方は、出力チャネル17dの中にあることが可能であり、磁気双極子31dおよび32dは、走査磁石30d1と30d2とを取り囲むことが可能である。一例では、第1の走査磁石30d1は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させるように構成されることが可能であり、第2の走査磁石30d2は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。この例では、走査磁石30d1および30d2は、
図5に示されている走査磁石と同じ構築および動作を有することが可能である。それぞれの磁石30d1および30d2は、粒子ビームを部分的に移動させることが可能であり、2つの走査磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の粒子ビーム移動を作り出す。
【0041】
図10の実装形態の変形例では、第1の走査磁石30d1は、1次元(たとえば、デカルトX次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されることが可能であり、第2の走査磁石30d2は、1次元(たとえば、デカルトY次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。この例では、走査磁石30d1は、第1のセットのコイルを含むことが可能であり、走査磁石30d2は、第1のセットのコイルと直交している第2のセットのコイルを含むことが可能である。磁石30d1および30d2は、この例では、
図7および
図8に示されている磁石と同様の構成を有することが可能である。それぞれの磁石30d1および30d2は、ビームを部分的に移動させるように構成されることが可能であり、2つの磁石によって作り出される組み合わせられた移動が、処置計画において特定される所望の移動を作り出す。
【0042】
いくつかの実装形態において、ビームライン構造体の中に位置付けされており、および/または、出力チャネルの出力と処置位置との間に位置付けされている、3つ以上の走査磁石が存在していることが可能である。たとえば、ビームライン構造体の中のさまざまな別個の場所に位置付けされている3つ以上の走査磁石が存在していることが可能である。たとえば、出力チャネルの出力と処置位置との間のさまざまな別個の場所に位置付けされている3つ以上の走査磁石が存在していることが可能である。それぞれのケースにおいて、走査磁石は、直列に配置されることが可能である。
【0043】
いくつかの実装形態において、出力チャネルの出力の上流においてまたは他のどこかにおいてビームライン構造体の中に位置付けされている単一の走査磁石が存在していることが可能である。たとえば、
図2および
図3に示されているように、走査磁石30は、粒子加速器に対して出力チャネル17の上流に、および、出力チャネル17の入力に位置付けされることが可能である。走査磁石30は、2次元(たとえば、デカルトX次元およびY次元)において粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。この例では、走査磁石30は、
図5に示されている走査磁石と同じ構築および動作を有することが可能である。この例では、すべての粒子ビーム移動は、単一の走査磁石の1つまたは複数のコイルを通る電流を制御することによって実装される。
【0044】
この点において、ノズルの上流においてビームライン構造体の中に走査磁石のうちのすべてまたはいくつかを位置決めすることによって、ガントリーの外部において走査を実装するシステムに対して、粒子線治療システムのサイズを低減させることが可能である可能性がある。
【0045】
いくつかの実装形態において、本明細書で説明されている1つまたは複数の走査磁石は、超伝導であることが可能である。たとえば、出力チャネルの下流の走査磁石のうちの1つまたは複数(すべてを含む)は、超伝導であることが可能である。たとえば、ノズルの上流においてビームライン構造体の中の走査磁石のうちの1つまたは複数(すべてを含む)は、超伝導であることが可能である。この点において、高い磁場(ビームライン構造体の中に見出されるものなど)の存在下において粒子ビームを正確に移動させることは困難である可能性がある。走査のための超伝導磁石の使用は、2.5T以上または3T以上の磁場の発生が粒子ビームを移動させることを可能にし、それは、ビームライン構造体によって作り出される高い磁場(たとえば、2.5T以上または3T以上など)の粒子ビームへの影響を克服することが可能である。
【0046】
図11は、2次元において粒子ビームを移動させるように構成されている超伝導走査磁石92の例示的な実装形態を示しており、それは、本明細書で説明されている走査実装形態において使用されることが可能である。この例では、走査磁石92は、
図5に示されている走査磁石43と同じ構築および動作を有することが可能である。超伝導磁石92は、高温超伝導コイル92aおよび92bのセットを含み、それらは、構築に関して、
図5のコイル46および45とそれぞれ同様である。高温超伝導体の例は、それに限定されないが、YBCO(イットリウムバリウム銅酸化物)およびBSCCO(ビスマスストロンチウムカルシウム銅酸化物)を含む。走査磁石92は、クライオスタット94の中に含有されており、クライオスタット94は、超伝導温度(たとえば、77°ケルビン(K)を超える温度、または、90°Kを超える温度)に超伝導磁石を維持する。クライオスタットは、極低温度に超伝導コイルを維持するように構成されているデバイスを含むことが可能である。クライオスタットは、超伝導コイルを室温から熱的に隔離することによって温度を維持することが可能である。これは、一般的に、放射熱伝達を低減させるための真空断熱、熱放射シールド、および/または超断熱を使用して、ならびに、室温と極低温度との間の低熱伝導率の接続を使用して実施される。いくつかの例において、たとえば、伝導冷却または浸漬冷却を使用して、クライオスタットの中で超伝導温度までコイルを冷却するために、液体ヘリウムが使用されることが可能である。伝導冷却では、熱伝導体を使用して超伝導コイルから離れるように熱が伝達される。浸漬冷却では、超伝導コイルは、クライオジェン(たとえば、液体ヘリウムなど)と直接的に接触していることが可能である。動作時に、電流がコイル92aおよび92bに印加され、走査のために使用される磁場を発生させる。
【0047】
図12aは、1次元のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されている超伝導磁石95の例を示しており、それは、本明細書で説明されている走査実装形態において使用されることが可能である。超伝導磁石は、高温超伝導コイルセット95aを含み、高温超伝導コイルセット95aは、1次元(たとえば、デカルトX次元またはY次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されている。高温超伝導体の例は、それに限定されないが、YBCOおよびBSCCOを含む。超伝導磁石95は、超伝導温度(たとえば、77°ケルビン(K)を超える温度)に超伝導磁石を維持するクライオスタット96の中に含有されている。たとえば、コイルを超伝導温度まで冷却するために、液体ヘリウムが使用されることが可能である。電流がコイル95aに印加され、走査のために使用される磁場を発生させる。
図12bは、1次元のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されている超伝導走査磁石97の例を示している。その次元は、
図12aの磁石95が粒子ビームを移動させる次元とは異なる(たとえば、それと直交しているなど)。超伝導磁石97は、高温超伝導コイルセット97aを含み、高温超伝導コイルセット97aは、1次元(たとえば、デカルトX次元またはY次元)のみにおいて粒子ビームを移動させるように構成されている。高温超伝導体の例は、それに限定されないが、YBCOおよびBSCCOを含む。超伝導磁石95は、超伝導温度(たとえば、77°ケルビン(K)を超える温度)に超伝導磁石を維持するクライオスタット98の中に含有されている。たとえば、コイルを超伝導温度まで冷却するために、液体ヘリウムが使用されることが可能である。電流がコイル97aに印加され、走査のために使用される磁場を発生させる。
【0048】
図22は、2次元において粒子ビームを移動させるように構成されている超伝導走査磁石150の別の例示的な実装形態の正面切断図を示しており、それは、本明細書で説明されている走査実装形態において使用されることが可能である。この例では、走査磁石150は、超伝導磁石を超伝導温度(たとえば、この例では、30°Kから40°Kの間)に維持するために、クライオスタット(図示せず)(たとえば、上記に説明されているものなどなど)の中に含有されることが可能であるが、クライオスタットは、これらの温度に限定されない。クライオスタットの温度を超伝導温度に維持するために、クライオクーラーが使用されることが可能である。クライオクーラーは、極低温度までの超伝導コイルのアクティブ冷却を提供するためのデバイスを含む。クライオクーラーは、本明細書で説明されている制御システムによって制御されることが可能である。
【0049】
図22において、グリッド151は、デカルトX次元およびY次元(それぞれ153および154)の両方における走査ビームアパーチャーを示している。たとえば、グリッド151は、走査磁石150が、基準0,0ポイント155に対して、X次元において±5cmおよびY次元において±5cm、粒子ビームを移動させることが可能であるということを示している。他の実装形態において、走査磁石は、X次元において±5cmおよびY次元において±5cmよりも多いかまたは少ない長さにわたって、粒子ビームを移動させるように構成されることが可能である。
図22では、超伝導コイル158および159のセットは、電気的に非伝導性の材料または電気的に非超伝導の材料160の周りに巻かれ、グリッド151を含有するアパーチャー161を生成させる。内側超伝導コイル158は、電気的に非伝導性の材料または電気的に非超伝導の材料162によって、外側超伝導コイル159から分離されることが可能である。超伝導コイル158は、それによって発生させられる磁場が超伝導コイル159によって発生させられる磁場と直交するように構成されることが可能である。そして、超伝導コイル159は、それによって発生させられる磁場が超伝導コイル158によって発生させられる磁場と直交するように構成されることが可能である。たとえば、超伝導コイル158および159の巻線は、互いに直交することが可能である。いくつかの実装形態において、超伝導コイル158および159によって発生させられる磁場は、直交する必要はなく、むしろ、異なっていてもよく(たとえば、互いに90°未満の角度にあってもよい)、さらに、依然としてグリッド151などのようなグリッドにおける走査を可能にする。
【0050】
この例では、超伝導コイル158は、X次元における粒子ビームの移動を制御する。たとえば、電流は、それらの超伝導コイルを通って走り、磁場を作り出す。その磁場の強度は、超伝導コイルを通って走る電流の量に比例する。そして、磁場の強度は、走査の間に粒子ビームがX次元において移動する量に比例する。この例では、超伝導コイル159は、Y次元における粒子ビームの移動を制御する。たとえば、電流は、それらの超伝導コイルを通って走り、磁場を作り出す。その磁場の強度は、超伝導コイルを通って走る電流の量に比例する。そして、磁場の強度は、走査の間に粒子ビームがX次元において移動する量に比例する。電流は、同時に超伝導コイル158および159を通って走り、X次元およびY次元の両方において粒子ビームを移動させる累積的な磁場を作り出すことが可能である。電流は、異なる時間に超伝導コイル158および159を通って走ることが可能であり、粒子ビームが別個の時間にX次元またはY次元において移動するようになっているが、依然としてターゲット場所に到達するようになっている。
【0051】
走査磁石150の中に含まれ得る電気的に非超伝導の材料の例は、銅である。しかし、走査磁石150は、銅の使用に限定されない。電気的に非超伝導の材料は、たとえば、超伝導コイル158および159のクエンチの間に、熱放散を推進し得る。
【0052】
図23は、超伝導コイル158および159のそれぞれを実装するためにコイルへと巻かれてもよい高温度超伝導テープ165の断面を示している。超伝導テープ165は、超伝導テープ165の他の層を包むかまたは取り囲む銅(Cu)安定化層166を含む。また、超伝導テープ165は、銀(Ag)キャップ層167と、銀キャップ層に隣接し、銀キャップ層と接触している希土類バリウム銅酸化物(ReBCO)超伝導層168(または、他の高温超伝導材料の層)と、酸化物と金属基板との間の相互拡散を防止するために、ReBCO超伝導層に隣接し、ReBCO超伝導層と接触しているバッファー層スタック169と、バッファー層スタックに隣接し、バッファー層スタックと接触している基板層170とを含む。基板層の中に含まれ得る材料の例は、それに限定されないが、導電性金属(たとえば、銅、ニッケル、またはアルミニウムなど)を含む。バッファー層スタックの中に含まれ得る材料の例は、それに限定されないが、SrRuO
3(ルテニウム酸ストロンチウム - SRO)およびLaNiO
3(LNO)を含む。超伝導テープ165は、示されているものとは異なる構成を有することが可能であり、または、示されているものとは異なる材料を含むことが可能である。たとえば、銅安定化層は省略されることが可能であり、または、銅以外の材料が使用されることが可能である。YBCOおよび/またはBSCCOなどのような、他のタイプの超伝導材料が使用されることも可能である。
【0053】
図3に戻って参照すると、ビームライン構造体16の出力チャネル17部分は、大口径超伝導磁気双極子32と直列に配置されている大口径超伝導磁気双極子31を含む。大口径の例は、それに限定されないが、10cm×10cm、20cm×20cm、および30cm×30cmなどを含む。磁気双極子31と磁気双極子32との間に位置付けされているのは、複数の大口径超伝導磁気四極子33、34、および35である。この例では、磁気四極子33、34、および35は、代替的に、粒子ビームの実質的に一貫した断面積を実現するために、粒子ビームをそれぞれ集束させるおよびデフォーカスさせるための1つまたは複数のフォーカシング磁石および1つまたは複数のデフォーカシング磁石を含む。この点において、磁気四極子の交番磁場勾配を通過する粒子への正味の効果は、ビームが集束すること(すなわち、集束すること)を引き起こすことである。いくつかの実装形態において、磁気四極子33は、デフォーカシング磁石を含み、磁気四極子34は、フォーカシング磁石を含み、磁気四極子35は、デフォーカシング磁石を含む。いくつかの実装形態において、磁気四極子33は、フォーカシング磁石を含み、磁気四極子34は、デフォーカシング磁石を含み、磁気四極子35は、フォーカシング磁石を含む。いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、異なる構成にある異なる数の磁気四極子、および/または、異なる構成にある異なる数の磁気双極子を含むことが可能である。いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、示されている磁気四極子の代わりに、または、それに加えて、より高次の磁気部品(たとえば、六極子など)を含むことが可能である。
【0054】
いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、ビームライン構造体の中の2.5T、3T、またはそれ以上の磁場の存在下において、粒子ビームを曲げるように構成されている。たとえば、磁場は、ビームライン構造体の中の磁石の中の1つまたは複数のコイルを通して電流を走らせることによって発生させられることが可能であり、それは、2.5T以上、3T以上、4T以上、5T以上、6T以上、7T以上、8T以上、9T以上、10T以上、11T以上、12T以上、13T以上、14T以上、または15T以上のオーダーであることが可能である。これらのような磁場の存在下において、出力チャネル17の中の磁気部品は、90°から170°の範囲の中のどこかにおいて(たとえば、90°、95°、100°、105°、110°、115°、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°、または170°)、粒子ビームの組み合わせられた合計曲げ角度を作り出すように構成されている。代替的に、いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、90°未満のまたは170°よりも大きい(たとえば、180°以上)組み合わせられた合計曲げ角度で、粒子ビームを曲げるように構成されている。
図1から
図3において、出力チャネル17は、線38に対して約150°の組み合わせられた合計曲げ角度で粒子ビームを曲げるように構成されている。110°から170°の値を有する曲げの大きさを実現するために、磁気双極子31は、線38に対して20°から85°の範囲内で、粒子ビームを曲げるように構成されることが可能であり、磁気双極子32は、水平方向線38に対して20°から85°の範囲内で、粒子ビームを曲げるように構成されることが可能である。
【0055】
いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、異なる構成にある異なる数の磁気構造体を含むことが可能である。たとえば、出力チャネル17は、本明細書で説明されているタイプの磁気双極子を含むことが可能であり、本明細書で説明されているタイプの3つの交番磁気四極子がそれに続き、磁気双極子がそれに続き、本明細書で説明されているタイプの3つの交番磁気四極子がそれに続き、本明細書で説明されているタイプの磁気双極子がそれに続く。たとえば、粒子ビームが曲がる場所および曲がる量を変化させるために、追加的な磁気部品が使用されることが可能である。また、より長い距離にわたって粒子ビームを集束させるために、追加的な磁気構造体が使用されることも可能である。逆に、たとえば、
図1に示されているように、より短い距離にわたって粒子ビームを集束させるために、より少ない数の磁気構造体が使用されることも可能である。
【0056】
ノズル40(
図1)は、ビームライン構造体出力チャネル17に接続されており、ビームライン構造体出力チャネル17の出力または退出口に位置付けされている。ノズルは、ビームライン構造体の一部(たとえば、ビームライン構造体のエクステンション)と考えられることが可能である。その理由は、出力チャネルからの粒子ビームが、処置場所への途中でノズルを通って移動するからである。
図1の例では、ノズル40は、出力チャネル17とは別個の構造体であり、適用可能な場合に、出力チャネルとともに移動する。いくつかの実装形態において、ノズル40は、出力チャネル一体パーツであることが可能である。ノズル40は、粒子ビーム出力デバイスの例である。この例では、ノズル40は、出力チャネル17から粒子ビームを受け取り、いくつかの実装形態にでは、処置位置またはアイソセンターにおいて、照射ターゲット(たとえば、患者の中の腫瘍など)への出力のために粒子ビームを調整する。この点において、述べられているように、出力チャネル17は、少なくとも90°だけ粒子ビームを曲げる。したがって、粒子ビームは、それが出力チャネル17を退出するときに、処置位置またはアイソセンターに向けて導かれる。加えて、本明細書で説明されているように、走査磁石30は、平面の中で粒子ビームを移動させ、照射ターゲットを横切って粒子ビームを移動させることが可能である。
【0057】
この点において、以前に説明されたように、ノズルは、1つまたは複数の走査磁石を含有することが可能である。エネルギーデグレーダは、走査磁石の下流にあり、コリメータは、走査磁石の下流にある。
図2および
図3において、エネルギーデグレーダ41は、走査または移動している粒子ビームを走査磁石から受け取る。この例では、エネルギーデグレーダ41は、出力チャネル17と処置位置19における照射ターゲットとの間おいて(ノズル40を介して)ガントリー14に装着されている。エネルギーデグレーダ41は、粒子ビームが照射ターゲットに到達する前に、粒子ビームのエネルギーを変化させるように構成されており、また、変化させるようにいる制御可能である。いくつかの実装形態において、エネルギーデグレーダは、粒子ビームが照射ターゲットに到達する前に、粒子ビームのエネルギーの変化をアクティブに制御するための唯一のメカニズムである。いくつかの実装形態において、粒子ビームのエネルギーは、粒子ビームが粒子加速器によって出力された後に、および、粒子ビームがエネルギーデグレーダに到達する前に、アクティブに制御可能でない。たとえば、そのような実装形態では、粒子加速器とエネルギーデグレーダとの間のガントリーのコンポーネントは、ビームエネルギーをアクティブに制御せず、また、制御するように構成されていない。さらに別の言い方をすれば、ガントリーまたはそのビームライン導管は、粒子ビームが粒子加速器によって出力された後に、および、粒子ビームがエネルギーデグレーダに到達する前に、粒子ビームエネルギーをアクティブに制御するように構成されていない。いくつかのケースでは、ビームライン構造体を通る移動によって引き起こされるエネルギーのいくらかの偶発的な変化が存在する可能性があるが、しかし、それらの変化は、アクティブに制御されない。
【0058】
以前に述べられたように、加速器によって出力される粒子ビームは、単一エネルギーであることが可能であり、エネルギーデグレーダは、照射ターゲットの処置の間にビームエネルギーを変化させるための単独の/唯一のビークルまたは1次的なビークルである。例示的な単一エネルギーの粒子ビームは、単一の固定エネルギーレベル(たとえば、100MeV、150Mev、200Mev、250Mevなど)を有する粒子ビームを含む。単一エネルギーの粒子ビームは、所定の量(たとえば、±10%、±5%、±2%、または±1%など)だけ、固定エネルギーレベルから逸脱する可能性があり、依然として単一エネルギーと考えられることが可能である。処置の間に粒子ビームエネルギーを切り替えることを必要とされるように、処置の間に加速器の動作を切り替えることは、過剰な迷走中性子を作り出し、遮蔽体の増加の必要性を結果として生じさせ、ビームライン効率を低減させる可能性がある。中性子は、粒子加速器によって、および/または、ビームライン構造体に沿った磁気部品によって発生させられることが可能である。処置の間に単一エネルギーである粒子ビームを使用することによって、および、ビームエネルギーを変化させるためにエネルギーデグレーダに依存することによって、迷走中性子の生産は低減または最小化されることが可能であり、ビームライン構造体の効率は増加されることが可能である。
【0059】
一例では、エネルギーデグレーダは、粒子ビームの経路の中へまたは粒子ビームの経路から外へ移動可能なプレートを含むことが可能である。別の例では、エネルギーデグレーダは、ウェッジを含むことが可能であり、ウェッジは、少なくとも部分的に重なっており、ウェッジは、粒子ビームの経路の中で移動可能である。例示的なウェッジは、2つの三角形および3つの台形の面によって定義される多面体である。いずれの構成においても、可変の量の材料が、粒子ビームの経路の中へ移動可能である。その材料は、粒子ビームからエネルギーを吸収し、低減されたエネルギービーム出力を結果として生じさせる。粒子ビームの経路の中に材料が多く存在すればするほど、粒子ビームが有することとなるエネルギーが少なくなる。いくつかの実装形態において、エネルギー吸収構造体は、ビームフィールドのすべてを横切って移動可能であり、または、ビームフィールドの一部のみを横切って移動可能である。述べられているように、いくつかの例において、ビームフィールドは、コンパクトガントリーの所与の位置に対して、粒子ビームが患者の上の処置エリアに対して平行な平面を横切って移動され得る最大範囲を含む。
【0060】
図21を参照すると、一例では、エネルギーデグレーダ46は、レンジ変調器であり、レンジ変調器は、粒子ビームの経路の中へ(および、粒子ビームの経路から外へ)構造体42を移動させるように制御可能であり、粒子ビームのエネルギーを変化させ、ひいては、粒子ビームの線量が照射ターゲットの中に堆積されることとなる深さを変化させる。そのようなエネルギー吸収構造体の例は、それに限定されないが、プレート;ウェッジ、四面体、またはトロイダル多面体などのような、多面体;および、円柱、球、または円錐などのような、湾曲した3次元形状を含む。このように、エネルギーデグレーダは、ターゲットの層またはカラムを処置するために、粒子ビームが照射ターゲットの内部の中に放射線の線量を堆積させることを引き起こすことが可能である。この点において、特定のエネルギーにおける陽子が組織を通って移動するときに、陽子は、組織の原子をイオン化し、主に、そのエネルギーに対応する予め定義された組織深さにおいて線量を堆積させる。したがって、エネルギーデグレーダは、ターゲットを通して、デカルトZ次元において、粒子ビームを移動させるように構成されており、それによって、走査磁石がデカルトX次元およびY次元に加えて第3の次元(デカルトZ)において走査を実施することを可能にする。いくつかの実装形態において、エネルギーデグレーダ(たとえば、プレートまたはウェッジなど)のエネルギー吸収構造体は、粒子ビームの移動(走査)の間に移動するように、および、移動の間の粒子ビームを追跡または追尾するように構成されることが可能である。粒子ビーム移動を追跡または追尾する例示的なエネルギーデグレーダは、「High-Speed Energy Switching」という標題の米国特許第10,675,487号(Zwart)に説明されている。米国特許第10,675,487号の内容、とりわけ、粒子ビーム移動を追跡または追尾するエネルギーデグレーダに関係付けられる内容(たとえば、米国特許第10,675,487号の
図36から
図46、および、付随する説明)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0061】
ブラッグピークは、組織を通るトラベルの間のイオン化放射線のエネルギー損失をプロットするブラッグ曲線の上の顕著なピークである。ブラッグピークは、ほとんどの放射線が組織の中で堆積する深さを表す。陽子に関して、ブラッグピークは、粒子が静止する直前に起こる。したがって、粒子ビームのエネルギーは、そのブラッグピークの場所、ひいては、陽子の線量の大部分が組織の中の深さで堆積することとなる場所を変化させるように変化されることが可能である。この点において、粒子加速器は、固定エネルギー粒子加速器であることが可能である。固定エネルギー粒子加速器では、粒子ビームは、同じ(または、おおよそ同じ)エネルギー(たとえば、予期されるまたはターゲットエネルギーから10%、5%、または1%偏差以下の中)で、粒子加速器を常に退出する。固定エネルギー粒子加速器では、エネルギーデグレーダは、患者の中の照射ターゲットに印加されるビームのエネルギーを変化させるための1次的なビークルまたは唯一のビークルである。いくつかの実装形態において、本明細書で説明されている粒子加速器は、約100MeVから約300MeVの間の(たとえば、115MeVから250MeVの間の)範囲の中で、単一のエネルギーにおいて、または、2つ以上のエネルギーにおいて、粒子ビームを出力するように構成されている。固定エネルギー出力は、その範囲の中にあることが可能であり(たとえば、250MeV)、または、いくつかの例では、その範囲の上方または下方にあることが可能である。
【0062】
いくつかの実装形態において、粒子加速器は、デュアルエネルギー加速器である。デュアルエネルギー粒子加速器では、粒子ビームは、2つの異なるエネルギーレベル(高エネルギーレベルまたは低エネルギーレベル)のうちの1つにおいて粒子加速器を退出する。「高い」および「低い」という用語は、特定の数値的な意味合いを有しておらず、むしろ、相対的な大きさを伝えることを意図している。いくつかの実装形態において、本明細書で説明されている粒子加速器は、約100MeVから約300MeVの間の範囲内にある2つのエネルギーにおいて、粒子ビームを出力するように構成されている。高エネルギー出力および低エネルギー出力は、その範囲内の値であることが可能であり、または、いくつかの例では、その範囲の上方または下方の値であることが可能である。本明細書で説明されているエネルギーデグレーダは、2つのエネルギーレベルのうちの一方の下方に粒子ビームのエネルギーを低減させるために、および/または、2つのエネルギーレベルの間で微調節するために、デュアルエネルギー粒子加速器とともに使用されることが可能である。
【0063】
図において、ノズル40は、また、粒子加速器に対してエネルギーデグレーダ41の下流に(すなわち、照射ターゲットのより近くに)コリメータ44を含む。一例では、コリメータは、いくらかの放射線がターゲットに至ることを可能にし、いくらかの放射線が患者に至ることを阻止するように制御可能な構造体である。典型的に、通過する放射線は、処置されることとなる照射ターゲットに導かれ、阻止される放射線は、そうでなければ、健康な患者組織にぶつかり、潜在的にそれを損傷させることとなる。動作時に、コリメータは、出力チャネル17と照射ターゲットとの間の放射線経路の中に設置されており、適当なサイズおよび形状の開口部を作り出すように制御され、いくらかの放射線が開口部を通過して照射ターゲットに至ることを可能にし、一方では、構造体の残りの部分が、いくらかの放射線が隣接する組織に到達することを阻止する。
【0064】
コリメータは構成可能であり、たとえば、そのアパーチャーは、処置の間に制御および変化されることが可能である。コリメータは、固定されることが可能であり、または、変化可能でなくてもよい。たとえば、コリメータは、変更できない固定された形状を有することが可能である。
【0065】
いくつかの実装形態において、例示的な構成可能なコリメータのコンポーネントは、複数のリーフを含み、複数のリーフによって画定されるエッジの形状を変化させるために、複数のリーフは、粒子ビームの移動の間に動的に再構成可能である。エッジは、粒子ビームの少なくとも一部分と粒子ビームのターゲットとの間で移動可能であり、エッジの第1の側にある粒子ビームの第1のパーツが、複数のリーフによって少なくとも部分的に阻止されるようになっており、また、エッジの第2の側にある粒子ビームの第2のパーツが、ターゲットに至ることを許容されるようになっている。
【0066】
図13、
図14、および
図15は、構成可能なコリメータ44aの例示的な実装形態を示しており、それは、本明細書で説明されている粒子線治療システムとともに使用されることが可能である。コリメータ44aは、キャリッジ113、114、および115を含み、キャリッジ113、114、および115は、照射ターゲットに対して垂直方向および水平方向の両方に、上記に説明されているリーフを保持する(および、移動させる)ように構成されている。示されているように、垂直方向の移動は、デカルトZ次元117における移動を含み、水平方向の移動は、デカルトX次元118における移動を含む(デカルトY次元は、
図13および
図14において、ページの中へ(または、ページから外へ)の方向である)。
図14および
図15は、ハウジングの内側のコンポーネントを示すために、キャリッジハウジングの一部を透明なものとして示しているが、しかし、ハウジングは、実際には透明でない。
【0067】
キャリッジ113は、本明細書では1次キャリッジと称されており、キャリッジ114および115は、本明細書では2次キャリッジと称されている。2次キャリッジ114、115は、
図13から
図15に示されているように、1次キャリッジ113に連結されている。この例では、2次キャリッジ114、115は、対応する部材118、119を介して1次キャリッジ115に固定されているハウジングをそれぞれ含む。この例では、1次キャリッジ113は、照射ターゲットに対して、および、粒子加速器に対して、トラック120に沿って垂直方向(Z次元)に移動可能である。また、1次キャリッジ113の垂直方向の移動は、2次キャリッジが垂直方向に移動することを引き起こす。いくつかの実装形態において、2次キャリッジは、協調して垂直方向に移動する。
【0068】
図13から
図15に示されているように、それぞれの2次キャリッジ114、115は、対応するロッドまたはレール122、123に接続されており、2次キャリッジは、ロッドまたはレール122、123に沿って移動する。より具体的には、この例では、モーター125は、2次キャリッジ115に向けてまたは2次キャリッジ115から離れるようにロッド122に沿って移動するように、2次キャリッジ114を駆動する。同様に、この例では、モーター126は、2次キャリッジ114に向けてまたは2次キャリッジ114から離れるようにロッド123に沿って移動するように、2次キャリッジ115を駆動する。1次的なおよび2次キャリッジの移動に対する制御は、本明細書で説明されているように、照射ターゲットに対してリーフを位置決めするために実装される。加えて、リーフ自身も、同様に本明細書で説明されているように、キャリッジの中におよびキャリッジから外に移動するように構成されている。
【0069】
図15に示されているように、モーター130は、1次キャリッジ113の垂直方向の移動を駆動する。たとえば、
図15に示されているように、リードスクリュー131は、ハウジング132に連結されており、ハウジング132は、対応する2次キャリッジ114、115を駆動するモーター125、126を保持しており、ハウジング132は、トラック120の上に装着されている。リードスクリュー131は、モーター130に連結されており、モーター130によって垂直方向に駆動される。すなわち、モーター130は、垂直方向(デカルトZ次元)にリードスクリュー131を駆動する。リードスクリュー131はハウジング132に固定されているので、この移動は、また、照射ターゲットに向けてまたは照射ターゲットから離れるようにのいずれかに、ハウジング132(ひいては、2次キャリッジ114、115)がトラック120に沿って移動することを引き起こす。
【0070】
この例示的な実装形態では、7つのリーフ135、136が、それぞれの2次キャリッジ114、115の上に装着されている。それぞれの2次キャリッジは、そのリーフを処置エリアの中へ(または、処置エリアから外に)水平方向に移動させるように構成されることが可能である。リニアモーターを使用して、それぞれの2次キャリッジの上の個々のリーフは、同じ2次キャリッジの上の他のリーフに対して、X次元において独立しておよび線形的に移動可能であってもよい。いくつかの実装形態において、リーフは、Y次元において移動するように構成されることが可能である。そのうえ、2次キャリッジ114の上のリーフは、他の2次キャリッジ115の上のリーフから独立して移動可能であってもよい。2次キャリッジの上のリーフのこれらの独立した移動は、1次キャリッジによって可能にされる垂直方向の移動とともに、リーフがさまざまな構成へと移動されることを可能にする。結果として、リーフは水平方向および垂直方向の両方の次元に関してランダムに形状決めされている処置エリアに、水平方向および垂直方向の両方において一致することが可能である。リーフのサイズおよび形状は、異なる一致を生成させるように変化させられることが可能である。たとえば、単一のビームスポット(ひいては、単一のカラム)を処置するために、サイズおよび形状が変化させられることが可能である。いくつかの実装形態において、それぞれの2次キャリッジの上の個々のリーフは、同じ2次キャリッジの上の他のリーに対してX次元においてリードスクリューを駆動する電気モーターを使用して、独立しておよび線形的に移動可能であってもよい。
【0071】
リーフは、放射線の透過を防止または抑制する任意の適当な材料から作製されることが可能である。使用される放射線のタイプは、どのような材料がリーフの中に使用されるかを決定付ける可能性がある。たとえば、放射線がX線である場合には、リーフは鉛から作製されることが可能である。本明細書で説明されている例では、放射線は、陽子ビームまたはイオンビームである。したがって、異なるタイプの金属または他の材料が、リーフのために使用されることが可能である。たとえば、リーフは、ニッケル、タングステン、鉛、真鍮、スチール、鉄、または、それらの任意の適当な組み合わせから作製されることが可能である。それぞれのリーフの高さは、どの程度そのリーフが放射線の透過を抑制するかを決定することが可能である。
【0072】
図13から
図15に関して説明されている構成可能なコリメータの実装形態は、「Adaptive Aperture」という標題の米国特許出願公開第2017/0128746号(Zwart)に説明されている。米国特許出願公開第2017/0128746号の内容、とりわけ、適合性のアパーチャーの説明に関する内容(たとえば、米国特許出願公開第2017/0128746号の
図1から
図7、および、付随する説明)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0073】
図1に戻って参照すると、述べられているように、例示的な粒子線治療システムは、サイズがコンパクトなアイソセントリックガントリーを含み、それは、全体的なシステムサイズを低減させる。コンパクトガントリー14の実装形態において、支持構造体15の直径は、6メートル(m)未満、5m未満、または4m未満であることが可能である。一例では、支持構造体15の直径は、4.8mである。ビームライン構造体の長さは、加速器の出力およびシステムアイソセンターから測定され、加速器の出力とシステムアイソセンターとの間の距離に等しくなっていることが可能である。コンパクトガントリー14の実装形態において、ビームライン構造体16の長さは、6メートル(m)未満、5m未満、4.5m未満、または4m未満であることが可能である。一例では、ビームライン構造体16の長さは、4.2mである。この点において、粒子加速器とシステムアイソセンターまたは処置位置との間の距離は、6m未満、5m未満、4.5m未満、または4m未満であることが可能である。コンパクトガントリー14の実装形態において、出力チャネル17の出力とシステムアイソセンターまたは処置位置との間の距離は、2m以下、1.5m以下、または1m以下である。コンパクトガントリー14の実装形態において、出力チャネル17の出力とシステムアイソセンターまたは処置位置との間の距離は、0.8mから14mの間にある。一例では、出力チャネル17の出力とシステムアイソセンターまたは処置位置との間の距離は、1.01mである。他の実装形態は、ここで列挙されているものとは異なる寸法を有することが可能である。
【0074】
いくつかの実装形態において、粒子線治療システムは、93平方メートル(m
2)以下のまたは75m
2以下の設置面積を有している。いくつかの実装形態において、粒子線治療システムは、LINAC用に設計されているボールトの中にフィットするように構成されている。たとえば、
図1から
図3のコンポーネントは、以下の寸法:25フィート(7.62m)以下の長さ、20フィート(6.09m)以下の幅、および、11フィート(3.35m)以下の高さを有するボールトの中にフィットするのに十分に小さくなっていることが可能であり、また、そのボールトの中にフィットする寸法を有することが可能である。たとえば、
図1から
図3のコンポーネントは、以下の寸法:25フィート(7.62m)以下の長さ、26フィート(7.92m)以下の幅、および、10フィート(3.05m)以下の高さを有するボールトの中にフィットするのに十分に小さくなっていることが可能であり、また、そのボールトの中にフィットする寸法を有することが可能である。たとえば、
図1から
図3のコンポーネントは、16.40フィート(5m)以下の高さを有する26.09フィート(11m)以下×29.62フィート(9m)以下の設置面積を有するLINACボールトの中にフィットするのに十分に小さくなっていることが可能であり、また、そのボールトの中にフィットする寸法を有することが可能である。しかし、述べられているように、粒子線治療システムのいくつかの実装形態は、それに限定されないが、直径、高さ、幅、および長さを含む、異なる寸法を有することが可能である。いくつかの実装形態において、既存のLINACボールトの天井は、ガントリーのまたはガントリーの周りの完全な360°回転をサポートするのに十分に高くなっていない可能性がある。そのような実装形態では、回転を可能にするために、ピット90(
図1)がLINACボールトのフロアの下に掘られることが可能である。
【0075】
図1および
図16は、処置スペース49および50の例を示しており、粒子線治療システム10およびその変形例は、処置スペース49および50の中に収容されることが可能である。処置スペースは、これらの例では、LINACボールトの中に実装されており、LINACボールトは、鉛または他の適当な材料(たとえば、コンクリート、ホウ酸塩ポリエチレン、および/またはスチールなど)を使用して遮蔽されることが可能である。この点において、粒子加速器によって生成されるが照射ターゲットに到達しない粒子(たとえば、陽子など)は、高エネルギー中性子の生産を通して2次放射線を生成させる。一例では、粒子加速器12および/またはガントリーは、粒子ビームによって送達される1グレイの線量当たり10ミリシーベルト以下のそのような中性子を発生させる。
【0076】
単一エネルギーの粒子ビームの使用、および、ビームライン構造体の中の磁気部品の外側にあるエネルギーデグレーダへの依存は、ビームラインの中の磁気部品がビームを効率的に導くことを可能にする。より具体的には、ビームラインの中のビームエネルギーの変化は、迷走中性子の生産を増加させ、ひいては、ビームラインの中の粒子ビームの損失を増加させ、それによって、その効率を悪化させる。本明細書で説明されているシステムの実装形態において使用される単一エネルギーの粒子ビームは、ビームラインの中の磁気構造体と組み合わせられて、効率の増加につながる可能性がある。いくつかのケースでは、ビームライン構造体の長さの減少も、効率を増加させる可能性がある。いくつかの実装形態において、本明細書で説明されているビームライン構造体の変形例は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上の効率を有している。いくつかの例において、効率は、ビームライン構造体から出力される粒子のうち、粒子加速器から出力される粒子のパーセンテージの尺度である。したがって、10%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の10%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;20%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の20%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;30%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の30%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;40%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の40%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;50%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の50%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;60%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の60%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;70%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の70%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;80%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の80%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む;90%以上の効率は、粒子加速器から出力される粒子の90%以上がビームライン構造体から出力されるということを含む。一例では、本明細書で説明されている粒子加速器およびガントリーは、加速器のより低い範囲におけるエネルギーにおいても、陽子ビームの70%以上を患者に送信する。
【0077】
本明細書で説明されているタイプのビームライン効率は、「シングルルーム」解決策を可能にし、そこでは、上記に説明されているように、粒子加速器、ガントリー、および患者が、すべて単一のボールトの中に存在する。このボールトの中では、粒子加速器自身は、遮蔽体を含むことが可能であるが、患者および粒子加速器をそれぞれ含有するボールトの中の別個のコンパートメント60および61(
図16を参照)は、互いに遮蔽される必要がない。換言すれば、いくつかの実装形態において、粒子加速器を患者から分離する、粒子加速器およびガントリーの外部にある電磁遮蔽体は存在していない。システムによって放出される中性子の低いレベルに起因して、遮蔽体は必要とされない可能性がある。いくつかの実装形態において、別個のコンパートメント60と61との間に最小の遮蔽体が存在していてもよい。たとえば、遮蔽体は、30cm以下の厚さ、20cm以下の厚さ、または、10cm以下の厚さになっていることが可能である。
【0078】
また、
図1を参照すると、粒子線治療システム10は、処置カウチ51も含む。処置カウチ51は、システムアイソセンターまたは処置位置に患者を位置決めするために、ガントリー14の中のまたはガントリー14を通る孔部53に対して移動するように構成されている。この例では、処置カウチ51は、ロボットアーム54に装着されている。アーム54は、第1のセグメント55、第2のセグメント56、および第3のセグメント57を含む。第1のセグメント55は、第2のセグメント56に回転可能に連結されており、第2のセグメント56は、第3のセグメント57に回転可能に連結されている。処置カウチ51は、図に示されているように、第3のセグメント57に連結されている。アーム54は、処置のためにカウチの上に横たわっている患者を位置決めするために(すなわち、患者を処置位置へと移動させるために)、孔部53の中におよび孔部53を通して処置カウチ51を移動させるように制御可能である。いくつかの実装形態において、アーム54は、2自由度で、3自由度で、4自由度で、5自由度、または6自由度で、患者を位置決めすることが可能である。2自由度の例は、前後移動および左右移動であり;3自由度の例は、前後移動、左右移動、および上下移動であり;4自由度の例は、前後移動、左右移動、上下移動、および、ピッチ移動、ヨー移動、またはロール移動のうちの1つであり;5自由度の例は、前後移動、左右移動、上下移動、および、ピッチ移動、ヨー移動、またはロール移動のうちの2つであり;6自由度の例は、前後移動、左右移動、上下移動、ピッチ移動、ヨー移動、およびロール移動である。いくつかの実装形態において、処置カウチは、少なくとも部分的に傾斜するかもしくは椅子に変換可能であり、また、処置のために患者を位置決めするために2自由度、3自由度、4自由度、5自由度、もしくは6自由度で依然として制御可能なカウチによって交換されることが可能であり、または、それを含むことが可能である。いくつかの実装形態において、アーム54は、
図1に示されているものとは異なる構成を有することが可能である。たとえば、アーム54は、2つのセグメントまたは4つ以上のセグメントを有することが可能である。水力学、ロボット工学、またはその両方は、処置カウチの非平面的な移動を制御または実装することが可能である。
【0079】
いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、支持構造体15の周りで少なくとも部分的に(全面的を含む)回転することが可能であり、または、出力チャネルは、支持構造体15の上に固定されたままであることが可能であり、そして、支持構造体15のすべてまたは一部が、処置位置の周りに回転することが可能である。いくつかの実装形態において、出力チャネル17は、支持構造体15の周りに回転しなくてもよく、支持構造体は、患者の周りで回転しなくてもよい。その代わりに、出力チャネルは、静止したままであることが可能であり、それによって、1つの方向に固定されている粒子ビームを提供することが可能である。これらのような実装形態では、処置カウチまたは他のシートは、処置の間に固定ビームに対して移動する。本明細書で説明されているいくつかのシステムでは、粒子ビームの場所は、ガントリーの回転を通して設定されることが可能であり、その後に、ビームは、照射ターゲットを横切る走査移動を除いて固定されたままであり、処置カウチまたは他のシートは、処置の間に移動する。いくつかの実装形態において、処置は、ガントリー移動および処置カウチ(または、他のシート移動)の組み合わせを使用して実装されることが可能である。たとえば、出力チャネルが位置決めされることが可能であり、ビームが一時的に固定されることが可能であり、その時間の間に、処置カウチは、処置を実装するように移動する。その後に、出力チャネルは、新しい位置にビームを一時的に固定するために再位置決めされることが可能である。処置は、カウチ移動を通して新しい位置において実装されることが可能である。これらの動作は、粒子線治療システムを伴う使用のために立案された処置計画によって定義されるように繰り返されることが可能である。
【0080】
粒子線治療システム10は、強度変調陽子線治療(IMPT)システムであることが可能である。IMPTシステムは、可変のエネルギーおよび/または強度を有することが可能である陽子の限局性ビームの空間制御を可能にする。IMPTは、粒子ビーム変数の変調と組み合わせられた荷電された粒子ブラッグピーク(述べられているように、粒子の送達範囲の端部における線量の特徴的なピーク)を利用し、処置計画に記載された目的を実現する線量のターゲット-ローカル変調を生成させる。IMPTは、ターゲットを処置するために、異なる角度および異なる強度で照射ターゲットに向けて粒子ビームを導くことを含むことが可能である。いくつかの実装形態において、粒子ビームは、照射ターゲットの層を横切って走査される(たとえば、移動される)ことが可能であり、それぞれの層は、同じまたは異なる角度から1回または複数回処置される。走査を実装するために照射ターゲットを横切って移動することは、本明細書で説明されている走査磁石を使用して実施されることが可能である。
【0081】
図17は、本明細書で説明されているコンパクトガントリーの長さ29に沿った例示的な水平方向(x)のビームエンベロープ63および垂直方向(y)のビームエンベロープ64(たとえば、断面)を示している。ビームスポット断面のX次元およびY次元は、磁気四極子21および22、磁気双極子23、磁気四極子26および27、磁気双極子31、磁気四極子33、34、および35、ならびに磁気双極子32に関して決定される。ビームサイズは、粒子加速器12の退出口における測定ビームパラメーター、および、すべてのビームライン磁石の設計パラメーターを使用するビーム光学の計算に基づいて決定される。いくつかの実装形態において、アイソセンター(たとえば、処置位置)におけるビームスポット半径は、xおよびyの両方に関して、おおよそ3ミリメートル(mm)である。いくつかの実装形態において、アイソセンター(たとえば、処置位置)におけるビームスポット半径は、xおよびyの両方に関して、おおよそ4mmである。いくつかの実装形態において、200MeVから230MeVの陽子ビームに関して、ビームライン構造体16の中の磁気双極子における磁場は、4T以下であり、磁気双極子のそれぞれにおけるビームの曲げ半径は、おおよそ0.6メートルである。いくつかの実装形態において、200MeVから230MeVの陽子ビームに関して、ビームライン構造体16の中の磁気双極子における磁場は、少なくとも3T(すなわち、3T以上)である。述べられているように、本明細書で説明されているシステムは、これらのパラメーター値に限定されず、いくつかの実装形態は、異なる寸法、エネルギー、および磁場を有することが可能である。
【0082】
色収差補正は、分散領域の中に双極子磁石および複数の補正器を含むことによって発生させられる分散を有するビームラインの中に起こる可能性がある。アクロマートの標準的な定義は、空間分散(R16)および角度分散(R26)に関してゼロ値を有するビーム輸送ラインである。
図18を参照すると、コンパクトガントリーの実装形態における磁気部品は、アクロマートになるように構成されることが可能である(たとえば、アイソセンター(それは、ビームライン構造体長さ68(X軸)に沿って0mにあるかまたは0mの近くにある)においてゼロに等しいビームトランスファーマトリックスエレメントのR16 65およびR26 66の両方)。空間ビーム分散および角度ビーム分散を低減または最小化することは、本明細書で説明されている粒子線治療システムによって実装されるペンシルビーム走査技法にとって重要である可能性がある。この点において、いくつかのペンシルビーム走査技法では、粒子ビームの断面は、アイソセンターにおいて実質的に丸形であることを必要とされる。そうであるので、xおよびy(
図18)平面の両方におけるビームスポットサイズは、アイソセンター67において近くなっているべきである。ビーム走査の間に、走査エリア全体にわたるビーム形状およびビーム直径に対する変化は、低減または最小化されるべきであり、そうでなければ、異なるエネルギーの異なるビーム粒子が、曲げ平面において異なる場所に着地する可能性がある。これは、ビーム形状およびビームサイズが別の平面において異なることを引き起こす可能性がある。
【0083】
図19は、X次元69およびY次元70におけるビーム走査の例を示している。走査磁石の点火(firing)は、走査磁石のフィールド強度に比例する角度までビーム粒子が偏向されることを可能にする。
図19の例では、20cm×20cmのビームフィールドエリアを完全にカバーするビーム走査範囲が、走査磁石からおおよそ±20ミリラジアン(mrad)および±30mradのビーム偏向角度で示されている。この例では、供給源-アイソセンター距離(SAD: source-to-isocenter distance)(すなわち、加速器からアイソセンターへの距離)は、おおよそ4メートルである。いくつかの実装形態において、走査磁石から出力チャネル17の退出口へ、ビーム曲げ角度は、110°から170°と同程度の大きさであることが可能である。
【0084】
図24は、ガントリー201を含有する粒子線治療システム200の例を示している。粒子線治療システム200および/またはガントリー201は、
図1から
図23に関して本明細書で説明されている特徴のうちのいずれかを含むことが可能である。たとえば、ガントリー201は、
図1から
図4、
図6、
図9、
図10に関して説明されているガントリーおよび本明細書で説明されているそれらの変形例であることが可能であり、または、それらの特徴のうちのすべてもしくはいくつかを含むことが可能である。この点において、
図1に関して説明されているように、ガントリー201は、リング形状のまたは円形の支持構造体202と、ビームライン構造体204とを含む。ビームライン構造体204は、支持構造体202に装着する出力チャネル205と、粒子ビームを出力チャネルへ導く導管206と、粒子ビームを調整するノズル255とを含む。述べられているように、ノズルは、ビームライン構造体の一部(たとえば、ビームラインのエクステンション)と考えられることが可能であり、単に図示のためだけに、別個のエレメントとして言及される。
【0085】
ガントリー201は、粒子加速器208に機械的に接続しており、それによって、粒子ビームが粒子加速器208からガントリー201を通過して処置位置210におけるターゲットに至ることを可能にする。粒子加速器208は、本明細書で説明されている粒子加速器のいずれか(たとえば、
図1の粒子加速器12など)であることが可能である。いくつかの実装形態において、ガントリー201は、粒子加速器に接続するように、および、粒子加速器から切り離すように構成されることが可能である。たとえば、ガントリーの上の機械的コネクター211aは、粒子加速器の上の相手側コネクター211bに嵌合することが可能である。コネクターは、ロックするプッシュプルコネクターであることが可能である。たとえば、コネクターは、印加される軸線方向力を使用して、係合および係合解除することが可能である。結果として生じる生成された接続は、気密であることが可能である。
【0086】
ビームライン構造体204は、円形の支持構造体202の周りで(ひいては、カウチ214における処置位置210の周りで)回転方向に移動するように構成されることが可能である。この回転移動は、矢印216によって表されている。また、ビームライン構造体204は、処置位置210に対して矢印217の前後方向に並進的に移動するように構成されている。このタイプの並進移動は、ビームライン構造体の長手方向寸法に沿っているものとして、ビームラインに沿っているものとして、または、円形の支持構造体202の周りの回転軸線に沿っている(すなわち、円形の支持構造体202の中心を通過する軸線218に対して平行である)ものとして特徴付けられることが可能である。
図24では、円形の支持構造体202の一部は、フロア220の下方にあり、フロアにはカットアウト(図示せず)が存在しており、ビームライン構造体204の少なくとも一部は、円形の支持構造体202の周りでの回転の間にカットアウトを通過する。
【0087】
並進移動を実装するために、ビームライン構造体204は、マウント222の上に保持されることが可能である。一例では、マウント222は、
図24に示されているように、1つまたは複数のトラックまたはレールを含むことが可能である。ビームライン構造体204は、ビームライン構造体の移動を可能にするために、レールに物理的に接続されることが可能である。いくつかの実装形態において、ビームライン構造体は、レールに沿って移動することが可能である。いくつかの実装形態において、レール自身が移動することが可能であり、それによって、ビームライン構造体の移動を実装する。支持構造体202は、ビームライン構造体と支持構造体との間の交差部のポイントにおいて、ローラーまたはレールの集合体を含むことが可能であり、ビームライン構造体が支持構造体に対しておよび/または支持構造体を通って並進的に移動することを可能にする。
【0088】
モーター224は、処置位置210に向けて粒子加速器208から離れるように移動するように、および、処置位置210から離れるように粒子加速器208に向けて移動して戻るように、ビームライン構造体204の移動を制御する。1つのモーター224が示されているが、マウント222に沿った移動を実装するために、複数のモーターが使用されることも可能である。モーター224は、レールに沿ったビームライン構造体204の移動を制御することが可能であり、または、述べられているように、ビームライン構造体204は、レールに固定されることが可能であり、モーターが、レールの移動を制御し、それによって、ビームライン構造体の移動を制御することが可能である。制御システム(たとえば、本明細書で説明されているものなど)は、モーター224の動作を制御することが可能である。
【0089】
また、粒子線治療システム200は、マウント226を含み、マウント226は、1つまたは複数のイメージングデバイス227aおよび227b(その例は、下記に説明されている)から構成されたイメージングシステム227を保持するように構成されており、処置位置における照射ターゲットに対するイメージングデバイスの回転移動を可能にするように構成されている。2つのイメージングデバイスのみが
図24に示されているが、任意の適当な数のイメージングデバイスが使用されることが可能である。回転移動は、
図24において矢印230によって表されている。第2のマウント226は、中心軸線234を有するリング形状のまたは円形の支持構造体232を含むことが可能であり、イメージングデバイスは、中心軸線234の周りに回転するように構成されている。モーター235は、回転を実装することが可能である。また、第2のマウントは、中心軸線234においてまたは中心軸線234の近くにおいて、トラックまたはレール237を含むことが可能である。円形の支持構造体232は、処置位置210に対する中心軸線234に沿った支持構造体232の並進移動(ひいては、イメージングシステム227の並進移動)を可能にするように、レール237に機械的に接続されることが可能である。この並進移動は、矢印240によって表されている。モーター235は、処置位置210に向けて粒子加速器208から離れるように移動するように、および、処置位置210から離れて粒子加速器208に向けて移動して戻るように、支持構造体232の移動を制御する。
【0090】
図24および
図25の例では(コネクター211a、211bが
図25から省略されている)、ビームライン構造体204の全体(それは、この例では並進移動のために構成されているガントリー201のパーツである)は、矢印217の方向に移動するように制御可能である。ノズル255(それは、ビームライン構造体204に接続されており、ビームライン構造体204の一部と考えられる)は、ビームライン構造体204の残りの部分とともに移動する。移動を実装するために、制御システム(それは、本明細書で説明されている制御システム特徴のいずれかを含むことが可能である)は、処置位置210から離れるようにビームライン構造体204を移動させるようにモーター224に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印246の方向に処置位置210から離れる、および、その後に矢印245(下記に説明されている)の方向に処置位置210に向けて戻る、ビームライン構造体204の並進移動は、少なくとも30cmにわたるものであるか、30cmから1mの間にわたるものであるか、または、1mを超えるものである。一般的に、任意の適当な量の並進移動が実装されることが可能である。矢印246の方向への移動を実装するために、モーターは、ガントリー201の上のコネクター211a(
図24にのみ示されている)が粒子加速器208の上のその相手側コネクター211b(
図24にのみ示されている)から係合解除することを引き起こすのに十分な力を発生させる。
【0091】
図25の例では、支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の全体が、矢印247の方向に処置位置210に向けて移動するように制御される。移動を実装するために、制御システムは、処置位置210に向けて支持構造体232を移動させるようにモーター235に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印247の方向に処置位置210に向かう、および、その後に矢印248(下記に説明されている)の方向に加速器に向けて戻る、支持構造体の並進移動は、少なくとも30cmにわたるものであるか、30cmから1mの間にわたるものであるか、または、1mを超えるものである。一般的に、任意の適当な量の並進移動が実装されることが可能である。
【0092】
図24および
図25の例では、制御システムは、処置位置210に近接する(たとえば、処置位置210の上方の)領域から移動するように、ビームライン構造体204を制御し、その領域の中へ(たとえば、処置位置210の上方に)移動するように(
図25)、イメージングシステム227を制御する。これは、イメージングシステムが処置位置における患者の中の照射ターゲットのイメージをキャプチャーすることができるように、イメージングシステムの邪魔にならないところにガントリーを移動させるために行われる。そのうえ、ビームライン構造体204の移動の間に、イメージングシステム227の移動の間に、および、イメージングシステムによって実施されるイメージキャプチャー動作の間に、カウチ214は、移動しないように、すなわち、静止したままであるように、制御システムによって制御される。また、患者は、可能な限り、カウチの上で静止したままであるように、この時間の間に物理的に制御される。キャプチャーされたイメージは、分析のために制御システムに送られる。分析結果は、処置計画を発生させるために、および/または、既存の処置計画を修正するために使用されることが可能である。
【0093】
イメージキャプチャーに続いて、
図25の構成では、支持構造体232の全体(ひいては、イメージングシステム227)が、加速器208に向けて矢印248の方向に移動するように制御される。この移動は、
図24に示されているその元の位置250にイメージングシステム227を再位置決めすることを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、支持構造体232を加速器208に向けて移動させるようにモーター235を指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。上記のケースと同様に、いくつかの実装形態において、矢印248の方向への加速器に向けた支持構造体232の並進移動は、少なくとも30cmにわたるものであるか、30cmから1mの間にわたるものであるか、または、1mを超えるものである。一般的に、矢印248の方向への移動の量は、矢印247の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。
【0094】
また、イメージキャプチャーに続いて、ビームライン構造体204は、加速器208に再接続するために矢印245の方向に移動するように制御される。この移動は、
図24に示されている位置にビームライン構造体204を再位置決めすることを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、ビームライン構造体204を処置位置210に向けて移動させるようにモーター224に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。一般的に、矢印245の方向への移動の量は、矢印246の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。矢印245の方向への移動を実装するために、モーター224は、ガントリー201の上のコネクター211a(
図24)が粒子加速器208の上のその相手側コネクター211b(
図24)と再係合することを引き起こすのに十分な力を発生させる。いくつかの実装形態において、制御システムは、加速器に向けて戻る移動の量を指示する必要はなく、むしろ、コネクターをモニタリングし、コネクターが再係合したときに移動を停止させることが可能である。
【0095】
図24および
図25に関して説明されている動作の間に、イメージングシステムおよびビームライン構造体は、同時にまたはシーケンスで移動することが可能である。
図25を参照すると、例示的なシーケンシャルな移動において、ビームライン構造体204は、処置位置210から離れるように矢印246の方向に位置254へ移動することが可能である。次いで、支持構造体232は、イメージングシステムをその元の位置250(
図24)から矢印247の方向に移動させることが可能であり、それが処置位置210と整合するようになっている。次いで、イメージングシステムがイメージキャプチャー動作を実施した後に、支持構造体232は、イメージングシステム227を、処置位置210から離れるように、矢印248の方向に、
図24に示されているその元の位置250へ移動させて戻すことが可能である。次いで、ビームライン構造体204は、矢印245の方向に移動することが可能であり、それが、
図24に示されているように、処置位置210に整合し、粒子加速器に接続するようになっている。
【0096】
同時移動のシナリオにおいて、ビームライン構造体204は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印247の方向に処置位置210に向けて移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印246の方向に位置254(
図25)へ移動する。イメージングシステムによるイメージキャプチャーに続いて、ビームライン構造体204は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印248の方向にその元の位置250に向けて移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印245の方向に処置位置210に向けて移動する。ビームライン構造体204および支持構造体232は、支持構造体232と同じ速度で移動することが可能であり、または、それらの速度は、ビームライン構造体および支持構造体が移動の間に衝突しないことを保証するように制御されることが可能である。
【0097】
下記の
図26から
図34の例では、示されて説明されているコンポーネントは、別段の説明がない限り、
図24および
図25に関して示されて説明されているコンポーネントと実質的に同じ構造および機能を有することが可能である。この点において、異なる図における同じ参照番号は、同じコンポーネントを示している。
【0098】
図26の粒子線治療システム300では、ビームライン構造体302のパーツ301のみが、矢印304および305の方向に並進的に移動するように制御可能であり、一方では、ビームライン構造体302の残りのパーツ306は、粒子加速器208に接続されたままである。この構成では、移動するガントリー310の量は、
図25に示されている構成において移動する量よりも少なく、したがって、それよりも軽い。結果として、より小さなモーター324が使用されることが可能であり、より少ないエネルギーが消費されることが可能である。いくつかの実装形態において、パーツ301は、例示的な4.2mのビームライン構造体のためのビームラインに沿った長さに関して、1m、2m、3m、またはそれ以下であることが可能である。しかし、一般的に、パーツ301は、任意の適当な長さを有することが可能である。この例では、コネクター311a、311bは、コネクター211a、211bと同じであることが可能である。しかし、このケースでは、嵌合コネクター311bは、加速器208に接続されたままであるガントリーのパーツ306の上にあり、加速器自身の上にはない。それらのコネクターの動作は、
図24および
図25に関して説明されている。
【0099】
ガントリーパーツ301の並進移動を実装するために、制御システムは、ガントリーパーツ301を処置位置210から離れるように移動させるようにモーター324に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印304の方向に加速器から離れる、および、その後に矢印305の方向に加速器に向けて戻る、ガントリーパーツ301の並進移動は、少なくとも30cmにわたるものであるか、30cmから1mの間にわたるものであるか、または、1mを超えるものである。一般的に、任意の適当な量の並進移動が実装されることが可能である。矢印304の方向への移動を実装するために、モーターは、ガントリーパーツ301の上のコネクター311aがガントリーパーツ306の上のその相手側コネクター311bから係合解除することを引き起こすのに十分な力を発生させる。
【0100】
図26に示されている矢印247の方向への支持構造体202(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。上記に説明されているように、ガントリーパーツ301の移動の間に、イメージングシステム227の移動の間に、および、イメージキャプチャーの間に、カウチ214は、静止したままであるように制御システムによって制御される。また、患者は、可能な限り、カウチの上に静止したままであるように、この時間の間に制御される。
【0101】
イメージキャプチャーに続いて、支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)は、処置位置210における照射ターゲットの処置のためにガントリーが再位置決めされることを可能にするために、矢印248の方向に移動するように制御される。イメージキャプチャーに続く矢印248の方向への支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。
【0102】
また、イメージキャプチャーに続いて、ガントリーパーツ301が、矢印305の方向に処置位置210に向けて移動するように制御され、また、ガントリーパーツ306に再接続するように制御される。この移動は、
図24に示されているガントリー構成と基本的に同じものを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、ガントリーパーツ301を処置位置210に向けて移動させるようにモーター324に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。一般的に、矢印305の方向への移動の量は、矢印304の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。矢印305の方向への移動を実装するために、モーター324は、ガントリーパーツ301の上のコネクター311aがガントリーパーツ306の上のその相手側コネクター311bに再係合することを引き起こすのに十分な力を発生させる。いくつかの実装形態において、制御システムは、加速器に向けて戻る移動の量を指示する必要はなく、むしろ、コネクターをモニタリングし、コネクターが再係合したときに移動を停止させることが可能である。
【0103】
図26を参照すると、シーケンシャルな移動の例では、ガントリーパーツ301は、処置位置210から離れるように矢印304の方向に位置320へ移動することが可能である。次いで、支持構造体232は、イメージングシステムをその元の位置250(
図24)から処置位置210の中へ矢印247の方向に移動させることが可能である。次いで、イメージングシステムがイメージキャプチャー動作を実施した後に、支持構造体232は、イメージングシステム227を、処置位置210から離れるように、矢印248の方向に、
図24に示されているその元の位置250へ移動させて戻すことが可能である。次いで、ガントリーパーツ301は、矢印305の方向に移動して戻ることが可能であり、それが、処置位置210に整合し、ガントリーパーツ306に接続するようになっており、
図24の構成と同様の構成を作り出す。
【0104】
同時移動のシナリオにおいて、ガントリーパーツ301は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印247の方向に処置位置210へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の少なくとも一部の間に、矢印304の方向に位置320へ移動する。イメージングシステムによるイメージキャプチャーに続いて、ガントリーパーツ301は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印248の方向にその元の位置250(
図24)へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の少なくとも一部の間に、処置位置210と整合するように矢印305の方向に移動する。ガントリーパーツ301および支持構造体232は、同じ速度で移動することが可能であり、または、それらの速度は、ガントリーパーツおよび支持構造体が移動の間に衝突しないことを保証するように制御されることが可能である。
【0105】
図27の例示的な粒子線治療システム410では、ビームライン構造体204および加速器208の両方が、矢印400および401の方向に移動するように制御される。この構成は、それがガントリーを加速器から切り離すことおよび再接続することを必要としないという点において、有利である。ビームライン構造体204および加速器208を一緒に(すなわち、タンデムで)移動させることを実装するために、加速器208は、レール222または加速器の並進移動を可能にする任意の他の適当なメカニズムに物理的に接続されることが可能である。いくつかの実装形態において、ビームライン構造体204と加速器208との間の接続は、ビームライン構造体204の並進移動が加速器208の等しい並進移動を引き起こすのに十分に強力である。すなわち、加速器は、外れることなくガントリーとともに移動する。いくつかの実装形態において、追加的な別個のモーター(図示せず)が、レール222に沿って粒子加速器208を駆動することを支援するために、粒子加速器208に接続されることが可能である。
【0106】
ビームライン構造体204および加速器208の並進移動を実装するために、制御システムは、ビームライン構造体204および加速器208を矢印401の方向に移動させるようにモーター224に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印401の方向への、および、その後の矢印400の方向へのビームライン構造体204および加速器208の並進移動は、少なくとも30cmにわたるものであるか、30cmから1mの間にわたるものであるか、または、1mを超えるものである。一般的に、任意の適当な量の並進移動が実装されることが可能である。
【0107】
図27に示されている矢印247の方向への支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。ビームライン構造体204および加速器208の移動の間に、イメージングシステム227の移動の間に、および、イメージキャプチャーの間に、カウチ214は、静止したままであるように制御システムによって制御される。また、患者は、可能な限り、カウチの上に静止したままであるように、この時間の間に制御される。
【0108】
イメージキャプチャーに続いて、支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)は、処置位置210における照射ターゲットの処置のためにガントリーが再位置決めされることを可能にするために、矢印248の方向に移動するように制御される。イメージキャプチャーに続く矢印248の方向への支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。
【0109】
また、イメージキャプチャーに続いて、ビームライン構造体204および加速器208が、矢印400の方向に移動するように制御される。この移動は、
図24に示されているガントリーおよび加速器構成と基本的に同じものを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、ビームライン構造体204および加速器208を移動させるようにモーター224(および、任意の他のモーター)に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。一般的に、矢印400の方向への移動の量は、矢印401の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。
【0110】
図27を参照すると、例示的なシーケンシャルな移動において、ビームライン構造体204および加速器208は、処置位置210から離れるように矢印401の方向に位置403へ移動することが可能である。次いで、支持構造体232は、イメージングシステムをその元の位置250(
図24)から矢印247の方向に移動させ、処置位置210と整合させることが可能である。次いで、イメージングシステムがイメージキャプチャー動作を実施した後に、支持構造体232は、イメージングシステム227を、処置位置210から離れるように、矢印248の方向に、
図24に示されているその元の位置250へ移動させて戻すことが可能である。次いで、ビームライン構造体204および加速器208は、矢印400の方向に移動することが可能であり、ノズル255が、
図24に示されているような処置位置210に整合するようになっている。
【0111】
同時移動のシナリオにおいて、ビームライン構造体204および加速器208は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印247の方向に処置位置210へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印401の方向に位置403へ移動する。イメージングシステムによるイメージキャプチャーに続いて、ビームライン構造体204および加速器208は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印248の方向に
図24に示されているその元の位置250へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印400の方向に移動し、ノズル255が処置位置210に整合するようになっている。ビームライン構造体204/加速器208および支持構造体232は、同じ速度で移動することが可能であり、または、それらの速度は、システムコンポーネントの衝突を回避するように制御されることが可能である。
【0112】
図28は、
図24に示されているタイプの粒子線治療システム500を示している。粒子線治療システム500の中のマウントは、
図24から
図27に関して説明されているトラックまたはレールの代わりに(または、それに加えて)、ホイールまたはローラー501の集合体を含む。
図28に示されているマウントまたはそのコンポーネント(たとえば、個々のローラー)は、
図24に示されているようなビームライン構造体の全体を移動させるために、
図26に示されているようなビームライン構造体の一部を移動させるために、または、
図26に示されているようなタンデムになっている加速器およびビームライン構造体の両方(もしくは、加速器およびビームライン構造体の一部の両方)を移動させるために、本明細書で説明されている構成のいずれかで使用されることが可能である。モーター524は、制御システムからのコマンドに従って、ホイールまたはローラー501の動作を制御することが可能である。
【0113】
本明細書で説明されているシステムは、本明細書で説明されているマウントに限定されない。むしろ、移動する(または、ガントリーの少なくとも一部および/または加速器の移動を可能にする)任意の適当な構造体が使用されることが可能である。
【0114】
図29から
図32の例では、移動するように構成されているガントリー/ビームライン構造体の一部は、ノズル255である。たとえば、
図29および
図30に示されているように、ノズル255は、処置位置に対してガントリーの長手方向に沿って(たとえば、ビームラインまたはビームラインの回転軸線に対して平行に)移動するように構成されることが可能である。たとえば、
図31および
図32に示されているように、ノズル255は、ビームラインまたはビームライン回転軸線に対して垂直に、処置位置に対して移動するように構成されることが可能である。
図31および
図32に示されている移動は、他の図に示されているものとは別の例タイプの並進移動である。
図29から
図32に関して説明されているノズルの移動は、追加的な移動自由度を提供するために、
図24から
図28に関して説明されているビームライン構造体の残りの部分の移動のいずれかと組み合わせられることが可能である。
【0115】
図29および
図30を参照すると、例示的な粒子線治療システム600において、ノズル255は、矢印601の方向に並進的に移動するように構成されている引き出しの一部であることが可能である。たとえば、ノズル255は、トラック602の上に装着され、並進移動を実装するためにモーター604によって制御されることが可能である。モーターは、ノズルの移動を制御するために、制御システムからのインストラクションに応答することが可能である。ノズル255の並進移動を実装するために、制御システムは、ノズル255を処置位置210から離れるように矢印606の方向(
図30)に移動させるようにモーター604に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印606の方向に処置位置210から離れる、および、その後に矢印607の方向に処置位置210に向けて戻る、ノズル255の並進移動は、数十センチメートルのオーダーである(たとえば、10cm、20cm、30cm、および40cmなど)。しかし、任意の適当な移動が実装されることが可能である。
図30に示されているように、矢印606の方向へのノズル255の移動は、処置位置とのアライメント状態からノズルを移動させ、処置位置におけるイメージをキャプチャーするために、イメージングシステムが処置位置まで移動すること(処置位置とアライメント状態になること)を可能にする。
【0116】
図29および
図39に示されている矢印247の方向への支持構造体202(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。上記に説明されているように、ノズル255の移動の間に、イメージングシステム227の移動の間に、および、イメージキャプチャーの間に、カウチ214は、静止したままであるように制御システムによって制御される。また、患者は、可能な限り、カウチの上に静止したままであるように、この時間の間に制御される。
【0117】
イメージキャプチャーに続いて、支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)は、処置位置210における照射ターゲットの処置のためにノズル255が再位置決めされることを可能にするために、矢印248の方向に移動するように制御される。イメージキャプチャーに続く矢印248の方向への支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。
【0118】
また、イメージキャプチャーに続いて、ノズル255が、矢印607の方向に移動するように制御され、ノズル255を処置位置210の上に(および、処置位置210とアライメント状態に)再位置決めする。この移動は、
図24に示されているガントリー構成と基本的に同じものを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、ノズル255を処置位置210に向けてレール602に沿って移動させるようにモーター604に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。一般的に、矢印607の方向への移動の量は、矢印606の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。
【0119】
図30を参照すると、例示的なシーケンシャルな移動において、ノズル255は、処置位置210から離れるように矢印606の方向に位置610へ移動することが可能である。次いで、支持構造体232は、イメージングシステムをその元の位置250(
図24)から処置位置210とアライメントした状態へ矢印247の方向に移動させることが可能である。次いで、イメージングシステムがイメージキャプチャー動作を実施した後に、支持構造体232は、イメージングシステム227を、処置位置210から離れるように、矢印248の方向に、
図24に示されているその元の位置250へ移動させて戻すことが可能である。次いで、ノズル255は、矢印607の方向に移動することが可能であり、ノズル255が、
図24に示されているように処置位置210に整合し、処置位置における処置を可能にするようになっている。
【0120】
同時移動のシナリオにおいて、ノズル255は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印247の方向に処置位置210に向けて移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印606の方向に位置610へ移動する。イメージングシステムによるイメージキャプチャーに続いて、ノズル255は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印248の方向に
図24に示されているその元の位置250へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印607の方向に移動し、ノズル255が処置位置210に整合するようになっている。ノズル255は、支持構造体232と同じ速度で移動することが可能であり、または、両者の速度は、衝突を回避するために制御システムによって制御されることが可能である。
【0121】
図31および
図32を参照すると、例示的な粒子線治療システム700では、ノズル255が、テレスコピックマウント701に接続されることが可能であり、テレスコピックマウント701は、矢印702、703の方向に並進的に移動するように構成されている。たとえば、モーター706が、並進移動を実装することが可能である。モーターは、カウチ214に向けたまたはカウチ214から離れるようなノズルの移動を制御するために、制御システムからのインストラクションに応答することが可能である。
図31は、カウチ214に向けた移動を示しており、
図32は、カウチ214から離れる移動を示している。
【0122】
ノズル255の並進移動を実装するために、制御システムは、カウチに対してノズル255を移動させるようにモーター706に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。いくつかの実装形態において、矢印702の方向にカウチから離れる、および、その後に矢印703の方向にカウチに向けて戻る、ノズル255の並進移動は、数十センチメートルのオーダーである(たとえば、10cm、20cm、30cm、および40cmなど)。しかし、任意の適当な移動が実装されることが可能である。
【0123】
図31に示されている矢印247の方向への支持構造体202(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。上記に説明されているように、ノズル255の移動の間に、イメージングシステム227の移動の間に、および、イメージキャプチャーの間に、カウチ214は、静止したままであるように制御システムによって制御される。また、患者は、可能な限り、カウチの上に静止したままであるように、この時間の間に制御される。また、患者カウチは、静止したままであることも可能である。
【0124】
イメージキャプチャーに続いて、支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)は、処置位置210における照射ターゲットの処置のためにノズル255が再位置決めされることを可能にするために、矢印248の方向に移動するように制御される。イメージキャプチャーに続く矢印248の方向への支持構造体232(ひいては、イメージングシステム227)の移動に対する制御は、
図24および
図25に関して説明されている通りである。
【0125】
また、イメージキャプチャーに続いて、ノズル255が、処置のために矢印703の方向に患者カウチ214に向けて移動するように制御される(
図31)。この移動は、
図24に示されているガントリー構成と基本的に同じものを結果として生じさせる。移動を実装するために、制御システムは、ノズル255を患者カウチ214に向けて(ひいては、処置位置に向けて)移動させるようにモーター706に指示し、また、その移動の量を指示することが可能である。一般的に、矢印703の方向への移動の量は、矢印702の方向への移動の量に等しく、その反対であるべきである。
【0126】
例示的なシーケンシャルな移動において、ノズル255は、処置位置210から離れるように矢印702の方向に
図32の構成へ移動することが可能である。次いで、支持構造体232は、イメージングシステムをその元の位置250(
図24)から処置位置210へ矢印247の方向に移動させることが可能である。次いで、イメージングシステムがイメージキャプチャー動作を実施した後に、支持構造体232は、イメージングシステム227を、処置位置210から離れるように、矢印248の方向に、
図24に示されているその元の位置250へ移動させて戻すことが可能である。次いで、ノズル255は、
図31に示されているように、処置位置210のより近くに矢印703の方向に移動することが可能である。一般的に、ノズルを処置位置のより近くに持って行くことは、空気ベースのビーム広がりを低減させ、より正確なスポットサイズ、ひいては、処置を提供することが可能である。
【0127】
同時移動のシナリオにおいて、ノズル255は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印247の方向に処置位置210へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印702の方向に
図32に示されている位置へ移動する。イメージングシステムによるイメージキャプチャーに続いて、ノズル255は、支持構造体232がイメージングシステム227を矢印248の方向に
図24に示されているその元の位置250へ移動させるのと同時に、または、それと同じ時間の一部の間に、矢印702の方向に
図31に示されている位置に向けて移動する。ノズル255は、支持構造体232と同じ速度で移動することが可能であり、または、両者の速度は、衝突を回避するために制御システムによって制御されることが可能である。
【0128】
並進式ガントリーを有する別の動機は、粒子(たとえば、陽子)送達の有効ビームフィールドサイズを拡張することである。ビームフィールドサイズ(たとえば、陽子システムがガントリーの単一の位置に関して患者を移動させることなく単一の処置フィールドまたはビームを送達することができる最大の領域)は、ビームラインの設計の間に行われる多くの設計上の選択(たとえば、走査磁石の強度、ビームライン磁石のアパーチャー、レンジシフタープレート(range shifter plate)のサイズおよびトラベルの範囲、ならびに、コリメータの中のコリメータエレメントのトラベルの範囲など)によって制限される可能性がある。1つまたは複数の並進の運動度をガントリーに追加することは、このフィールドサイズを効果的に拡張することが可能であり、ガントリーが1つの位置にある状態でフィールドの1つのパーツに陽子が送達されることを可能にし、次いで、ガントリーが異なる位置にある状態でフィールドの異なるパーツに陽子が送達されることを可能にする。このように、ビームラインエレメント(たとえば、曲げ磁石、集束磁石、走査磁石、レンジシフタープレート、自動コリメータ運動軸(automated collimator motion axes))の多くは、より小さなビームフィールドサイズのために設計されることが可能である。多くのケースでは、これは、これらのビームラインエレメントのコスト、サイズ、および複雑さを低減させることとなる。
【0129】
また、有効フィールドサイズを拡張することは、粒子線治療システムの処置機能性を改善することが可能である。その理由は、多くの処置がより大きなフィールドサイズにより良好に適しているからである。たとえば、陽子は、患者の脳および脊柱全体がすべて処置される全脳全脊髄照射を送達するために使用されることが多い。そのような処置は、1つの方向に長過ぎて典型的なフィールドの内側にフィットすることができず、これらは、フィールド間のカウチの上の患者の運動を伴って、一緒につなぎ合わせられる多くのフィールドによって処置されることが多い。並進式ガントリーは、フィールドが患者の運動なしに送達されることを可能にすることとなる。
【0130】
ビームフィールドのサイズの効果的な増加を実装するための並進的なガントリー移動が、
図24の構成に関して説明されている。しかし、ビームフィールドのサイズの効果的な増加を実装するための並進的なガントリー移動は、並進移動を実装する本明細書で説明されている任意の適当な構成またはそれらの組み合わせを使用して実装されることが可能である。
【0131】
図33は、第1の位置710にあるビームライン構造体204を示しており、それは、第1のビームフィールド712を作り出す。
図34は、並進移動に続いて第2の位置715にあるビームライン構造体204を示しており、それは、第2のビームフィールド716を作り出す。この第2の位置では、ガントリー201は、加速器208から切り離されることが可能であり、両者の間に空気ギャップ724を作り出し、それは、処置の間に粒子ビーム725によって横断される。第1のビームフィールド712およびビームフィールド716は、重なっていてもよく、または、重なっていなくてもよい。いずれのケースにおいても、ガントリーの並進移動は、カウチまたはカウチの上の患者を移動させることなく処置が提供され得る範囲を拡張する。
【0132】
図33および
図34は、異なる2つの位置のみにあるガントリーを示している。しかし、ガントリーの少なくとも一部は、たとえば、単一の回転位置に関して、3つの、4つの、5つの、またはそれ以上の位置へと並進的に移動可能であり、ビームフィールドの有効サイズのさらなる増加を提供することが可能である。いずれのケースにおいても、結果として生じるビームフィールドの有効サイズは、ガントリーの並進移動なしに作り出され得るビームフィールドの予め定義されたサイズよりも大きくなっていることが可能である。ビームフィールドの有効サイズは、ガントリーが移動され得る量および移動の細かさに基づいて、予め定義されたサイズよりも1.5倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも2倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも3倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも4倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも5倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも6倍大きくなっているか、予め定義されたサイズよりも7倍大きくなっているか、またはそれ以上であることが可能である。
【0133】
図24から
図34に関して説明されている特徴のいずれかが組み合わせられることが可能である。たとえば、有効ビームフィールドを増加させるために、ガントリーの一部のみが、
図26に示されているように移動されることを必要とし、または、ガントリーおよび加速器の両方が、
図27に示されているように移動されることが可能である。別の例では、
図29から
図32のノズル移動は、
図24から
図28、
図33、および
図34の任意のガントリー移動と組み合わせられることが可能である。さらに別の例では、ビームフィールド716(それは、処置のために使用される第1のビームフィールドであることが可能である)を使用するガントリーによって患者が処置されている間に、イメージングシステムが、処置位置210の上の位置へ移動され、処置が実施されるのと同時にイメージングを実施することが可能である。
【0134】
図35は、ビームフィールドサイズを制御するための例示的な動作シーケンス750を示している。制御システムは、ターゲットビームフィールドのサイズを表すデータを受信する(751)。このデータは、ユーザーによって入力されることが可能であり、または、制御システムに供給される処置計画の一部であることが可能である。制御システムは、データに基づいて照射ターゲットに対するガントリーの少なくとも一部(たとえば、ビームライン構造体の少なくとも一部)の2つ以上の並進移動を実装するために、本明細書で説明されているモーターおよび/または他のコンポーネントを制御する(752)。別々の並進位置のそれぞれにおいて、必要な場合には、制御システムは、データに基づいてガントリーの少なくとも一部(たとえば、出力チャネル)の回転移動を実装するために、本明細書で説明されているモーターおよび/または他のコンポーネントを制御し(753)、照射ターゲットを処置するためにノズルを位置決めする。制御システムは、処置計画に基づいて、特定の回転位置においてそれぞれの別々の位置において照射ターゲットに粒子ビームを照射する(754)ように、粒子加速器を制御する。並進移動、回転移動、および処置の間に、カウチおよび患者が、静止したままであるように制御される。ビームライン構造体のそれぞれの並進位置における個々のビームフィールドは、ターゲットビームフィールドを作り出すために組み合わせられる。
【0135】
臨床ユーザーは、患者がその処置位置にまたはその近くに位置決めされた状態で、患者の高品質体積イメージングを行うことを好む可能性がある。これは、イメージングと処置との間で必要とされる患者の運動の量を低減させることが可能である。処置ガントリーを備えた多くの陽子線治療システムにおいて、ガントリーおよびその上に装着されたノズルは、患者に近付く可能性があり、イメージャーにとって利用可能なスペースの量を制限する。ガントリーが本明細書で説明されているように並進することが可能であるとき、それは、邪魔にならないところに移動されることが可能であり、イメージングシステムが処置スペースの中へ配備され得るようになっている。このように、カウチの上の患者がその第1の処置位置の近くに位置決めされることが可能であり、ガントリーが邪魔にならないところに並進されることが可能であり、イメージャーが配備され、イメージが獲得され、イメージングシステムが収納され、ガントリーが処置位置に戻され、イメージベースの補正が適用され、処置が送達されることが可能である。特に興味深いのは、イメージングデバイス(たとえば、診断用CTスキャナ)が非常に速い走査速度(たとえば、10秒未満でのイメージ獲得)を有するということ、および、ガントリー回転軸線と同軸の回転軸線を有するということである。
【0136】
いくつかの実装形態において、イメージングは、処置の前におよび/または処置の間に実施され、患者の中の照射ターゲットに粒子ビームを導くために、患者の中のターゲット場所を識別し、および/または、ガントリーおよび走査の動作を制御することが可能である。例示的なイメージングシステムは、コンピューター断層撮影(CT)スキャナ、2次元(2D)X線デバイス、磁気共鳴イメージング(MRI)デバイス、ファンビームCTスキャナ、2Dカメラ、3次元(3D)カメラ、表面イメージングデバイス、またはコーンビームCTスキャナのうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0137】
いくつかの実装形態において、2D画像誘導放射線治療(IGRT)を可能にするために、2つの2Dイメージングデバイスが、直交する平面において支持構造体232に装着されている。IGRTは、放射線処置の間のイメージングの使用を含み、処置送達の精密度および精度を改善する。IGRTは、移動する身体のエリア(たとえば、肺など)における腫瘍を処置するために使用されることが可能である。2Dイメージングデバイスは、コーンビームCTイメージング(同時に獲得されるデュアルエネルギーイメージングを含む)を可能にするように回転させられることが可能である。イメージングデバイスは、同様にまたは代替的に、コーンビームCTイメージ獲得のためのX線供給源およびイメージパネル、または、ファンビーム診断品質CTイメージングデバイスを含むことが可能である。代替的に、1つの平面は、コーンビームCTイメージングデバイスを含むことが可能であり、別の平面は、ファンビーム診断品質CTイメージングデバイスを含むことが可能である。
【0138】
本明細書で説明されているように、例示的な陽子線治療システムは、悪性組織を破壊するために、照射ターゲットを横切って3次元に陽子ビームを走査する。
図20は、陽子線治療システムにおいて粒子(たとえば、陽子)ビームを提供するために使用され得る例示的な超伝導シンクロサイクロトロンのコンポーネント75の断面を示している。この例では、コンポーネント75は、超伝導磁石77を含む。超伝導磁石は、超伝導コイル78および79を含む。超伝導コイルは、複数の一体化された伝導体から形成されており、そのそれぞれは、中心ストランドの周りに巻かれた超伝導ストランド(たとえば、4つのストランドまたは6つのストランド)を含み、中心ストランドは、それ自体が超伝導または非超伝導であることが可能である。超伝導コイル78、79のそれぞれは、磁場(B)を発生させる電流を伝導させるためのものである。磁気ヨーク80、81またはより小さな磁極ピースは、粒子がその中で加速されるキャビティー84の中のその磁場を形状決めする。一例では、クライオスタット(図示せず)は、液体ヘリウム(He)を使用し、それぞれのコイルを低温超伝導温度(たとえば、おおよそ4°ケルビン(K))まで伝導的に冷却する。
【0139】
いくつかの実装形態において、粒子加速器は、イオン化されたプラズマカラムをキャビティー84に提供するために、粒子供給源85(たとえば、Penning Ion Gauge (PIG)供給源など)を含む。水素ガス、または、水素ガスおよび希ガスの組み合わせが、プラズマカラムを作り出すためにイオン化される。電圧供給源は、変化するラジオ周波数(RF)電圧をキャビティー84に提供し、キャビティーの中のプラズマカラムからの粒子を加速させる。述べられているように、一例では、粒子加速器は、シンクロサイクロトロンである。したがって、RF電圧は、加速度キャビティーの中で粒子を加速するときに、粒子への相対論的効果(たとえば、増加する粒子質量など)を考慮するために、周波数の範囲を横切って掃引される。RF電圧は、キャビティーの中に含有されているディープレート(dee plate)を駆動し、陽子の相対論的質量の増加および磁場の減少を考慮するために、加速サイクルの間に下向きに掃引される周波数を有している。ダミーディープレートは、ディープレートのための接地基準として作用する。超伝導コイルを通して電流を走らせることによって作り出される磁場は、掃引RF電圧とともに、プラズマカラムからの粒子がキャビティーの中で軌道的に加速すること、および、ターンの数が増加するにつれてエネルギーを増加させることを引き起こす。最も外側の軌道の中の粒子は、抽出チャネル(図示せず)に導かれ、粒子ビームとしてシンクロサイクロトロンから出力される。シンクロサイクロトロンでは、粒子ビームは、粒子の束が定期的に出力されるようにパルス化される。
【0140】
キャビティーの中の磁場は、上記に説明されているように、粒子がキャビティーの中で軌道的に移動することを引き起こすように形状決めされている。例示的なシンクロサイクロトロンは、磁場を用いており、その磁場は、回転角度に関して均一であり、半径が増加するにつれて強度が落ちる。いくつかの実装形態において、超伝導(メイン)コイルによって作り出される最大磁場は、キャビティーの中心において、2.5Tから20Tの範囲内にあることが可能であり、それは、半径が増加するにつれて落ちる。たとえば、超伝導コイルは、以下の大きさのうちの1つまたは複数における(または、それを超える)磁場を発生させる際に使用されることが可能である:2.5T、3.0T、3.1T、3.2T、3.3T、3.4T、3.5T、3.6T、3.7T、3.8T、3.9T、4.0T、4.1T、4.2T、4.3T、4.4T、4.5T、4.6T、4.7T、4.8T、4.9T、5.0T、5.1T、5.2T、5.3T、5.4T、5.5T、5.6T、5.7T、5.8T、5.9T、6.0T、6.1T、6.2T、6.3T、6.4T、6.5T、6.6T、6.7T、6.8T、6.9T、7.0T、7.1T、7.2T、7.3T、7.4T、7.5T、7.6T、7.7T、7.8T、7.9T、8.0T、8.1T、8.2T、8.3T、8.4T、8.5T、8.6T、8.7T、8.8T、8.9T、9.0T、9.1T、9.2T、9.3T、9.4T、9.5T、9.6T、9.7T、9.8T、9.9T、10.0T、10.1T、10.2T、10.3T、10.4T、10.5T、10.6T、10.7T、10.8T、10.9T、11.0T、11.1T、11.2T、11.3T、11.4T、11.5T、11.6T、11.7T、11.8T、11.9T、12.0T、12.1T、12.2T、12.3T、12.4T、12.5T、12.6T、12.7T、12.8T、12.9T、13.0T、13.1T、13.2T、13.3T、13.4T、13.5T、13.6T、13.7T、13.8T、13.9T、14.0T、14.1T、14.2T、14.3T、14.4T、14.5T、14.6T、14.7T、14.8T、14.9T、15.0T、15.1T、15.2T、15.3T、15.4T、15.5T、15.6T、15.7T、15.8T、15.9T、16.0T、16.1T、16.2T、16.3T、16.4T、16.5T、16.6T、16.7T、16.8T、16.9T、17.0T、17.1T、17.2T、17.3T、17.4T、17.5T、17.6T、17.7T、17.8T、17.9T、18.0T、18.1T、18.2T、18.3T、18.4T、18.5T、18.6T、18.7T、18.8T、18.9T、19.0T、19.1T、19.2T、19.3T、19.4T、19.5T、19.6T、19.7T、19.8T、19.9T、20.0T、20.1T、20.2T、20.3T、20.4T、20.5T、20.6T、20.7T、20.8T、20.9T、またはそれ以上。そのうえ、超伝導コイルは、2.5Tから20Tの範囲の外側にある磁場、または、3Tから20Tの範囲内にあるが本明細書には具体的には列挙されていない磁場を発生させる際に使用されることが可能である。
【0141】
上記に説明されているものなどのような大きさを有する高い磁場を発生させることによって、キャビティー84の中で軌道を辿る粒子の曲げ半径が低減されることが可能である。曲げ半径の低減の結果として、所与のサイズのキャビティーの中で、より大きな数の粒子軌道が作製されることが可能である。したがって、同じ数の軌道が、より小さなキャビティーの中にフィットされることが可能である。キャビティーのサイズを低減させることは、一般的に、粒子加速器のサイズを低減させる。その理由は、より小さなキャビティーが、他のコンポーネントのなかでも、より小さな磁気ヨークまたはポールピースを必要とするからである。いくつかの実装形態において、粒子加速器のサイズまたは体積は、4m3以下、3m3以下、または2m3以下であることが可能である。
【0142】
いくつかの実装形態(たとえば、
図20に示されている実装形態など)において、比較的に大きな強磁性の磁気ヨーク80、81は、超伝導コイルによって作り出される浮遊磁場のための磁気リターンとして作用する。いくつかのシステムでは、磁気シールド(図示せず)は、ヨークを取り囲む。リターンヨークおよびシールドは、浮遊磁場を低減させるように一緒に作用し、それによって、浮遊磁場が粒子加速器の動作に悪影響を与えることとなる可能性を低減させる。
【0143】
いくつかの実装形態において、リターンヨークおよび/またはシールドは、アクティブリターンシステムによって交換されるか、または、アクティブリターンシステムによって増強されることが可能である。例示的なアクティブリターンシステムは、メイン超伝導コイルを通る電流とは反対の方向に電流を伝導させる1つまたは複数のアクティブリターンコイルを含む。いくつかの実装形態において、それぞれの超伝導メインコイルのためのアクティブリターンコイルが存在しており、たとえば、それぞれのメイン超伝導コイルに対して1つずつ、2つのアクティブリターンコイルが存在している。また、それぞれのアクティブリターンコイルは、対応するメイン超伝導コイルの外側を同心円状に取り囲む超伝導コイルであることが可能である。いくつかの実装形態において、アクティブリターンコイルは、非超伝導コイルであるか、または、非超伝導コイルを含むことが可能である。アクティブリターンシステムを使用することによって、比較的に大きな強磁性の磁気ヨーク80、81が、より小さくてより軽量の磁極ピースと交換されることが可能である。したがって、シンクロサイクロトロンのサイズおよび重量は、性能を犠牲にすることなくさらに低減されることが可能である。使用され得るアクティブリターンシステムの例は、「Active Return System」という標題の米国特許第8,791,656号(Zwart)に説明されている。米国特許第8,791,656号の内容、とりわけ、リターンコイル構成に関係付けられる内容(たとえば、米国特許第8,791,656号の
図2、
図4、および
図5、ならびに、付随する説明)、は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0144】
本明細書における粒子線治療システムにおいて使用され得る粒子加速器の別の例は、「Ultra-Light Magnetically Shielded High-Current, Compact Cyclotron」という標題の米国特許第8,975,836号(Bromberg)に説明されている。米国特許第8,975,836号の内容、とりわけ、米国特許第8,975,836号の
図4、
図17、および
図18の「サイクロトロン11」または「鉄フリーのサイクロトロン11」に関係付けられる内容および付随する説明は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0145】
いくつかの実装形態において、本明細書で説明されている陽子線治療システムにおいて使用されるシンクロサイクロトロンは、可変エネルギーシンクロサイクロトロンであることが可能である。いくつかの実装形態において、可変エネルギーシンクロサイクロトロンは、粒子ビームがその中で加速される磁場を変化させることによって、出力粒子ビームのエネルギーを変化させるように構成されている。たとえば、電流は、対応する磁場を作り出すために、複数の値のいずれかに設定されることが可能である。たとえば、電流は、以前に説明されたデュアルエネルギー粒子加速器を作り出すために、2つの値のうちの1つに設定されることが可能である。一例では示的な実装形態、1つまたは複数のセットの超伝導コイルは、可変電流を受け入れ、キャビティーの中の可変磁場を作り出す。いくつかの例において、1セットのコイルが、固定電流を受け入れ、一方では、1つまたは複数の他のセットのコイルは、可変電流を受け入れ、コイルセットによって受け入れられる合計電流が変化するようになっている。いくつかの実装形態において、すべてのセットのコイルが超伝導である。いくつかの実装形態において、いくつかのセットのコイル(たとえば、固定電流のためのセットなど)は、超伝導であり、一方では、他のセットのコイル(たとえば、可変電流のための1つまたは複数のセットなど)は、非超伝導(たとえば、銅)コイルである。
【0146】
一般的に、可変エネルギーシンクロサイクロトロンでは、磁場の大きさは、電流の大きさに伴ってスケーラブルである。所定の範囲においてコイルの合計電流を調節することは、対応する所定の範囲において変化する磁場を発生させることが可能である。いくつかの例において、電流の連続的な調節は、磁場の連続的な変化、および、出力ビームエネルギーの連続的な変化につながることが可能である。代替的に、コイルに印加される電流が非連続的でステップワイズな様式で調節されるときには、磁場および出力ビームエネルギーも、それに従って非連続的な(ステップワイズな)様式で変化する。ステップワイズな調節は、以前に説明されたデュアルエネルギーを作り出すことが可能である。いくつかの実装形態において、それぞれのステップは、サイズに関して10MeVから80MeVの間にある。電流に対する磁場のスケーリングは、ビームエネルギーの変化が比較的に精密に実施されることを可能にし、したがって、エネルギーデグレーダの必要性を低減させることが可能である。本明細書で説明されている粒子線治療システムにおいて使用され得る可変エネルギーシンクロサイクロトロンの例は、「Particle Accelerator That Produces Charged Particles Having Variable Energies」という標題の米国特許第9,730,308号に説明されている。米国特許第9,730,308号の内容は、参照により本明細書に組み込まれており、とりわけ、可変エネルギーにおいてシンクロサイクロトロンの動作を可能にする内容(米国特許第9,730,308号の第5欄から第7欄および
図13ならびにその付随する説明に説明されている内容を含む)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0147】
可変エネルギーシンクロサイクロトロンを使用する粒子線治療システムの実装形態では、照射ターゲットの一部分を処置するために粒子ビームのエネルギーを制御することは、シンクロサイクロトロンによって出力される粒子ビームのエネルギーを変化させることによって、処置計画に従って実施されることが可能である。そのような実装形態では、エネルギーデグレーダは、使用されてもよく、または、使用されなくてもよい。たとえば、粒子ビームのエネルギーを制御することは、シンクロサイクロトロンメインコイルの中の電流を複数の値のうちの1つに設定することを含むことが可能であり、複数の値のそれぞれは、粒子ビームがシンクロサイクロトロンから出力される異なるエネルギーに対応している。エネルギーデグレーダは、可変エネルギーシンクロサイクロトロンとともに使用され、たとえば、シンクロサイクロトロンによって提供される別々のエネルギーレベルの間で、エネルギーの追加的な変化を提供することが可能である。
【0148】
本明細書で説明されている粒子線治療システムおよびその変形例は、放射線の超高線量率(いわゆる、放射線の「FLASH」線量率)を患者の中の照射ターゲットに適用するために使用されることが可能である。この点において、放射線治療における実験結果は、処置線量が超高(FLASH)線量率で送達されるときに放射線を受ける健康な組織の条件の改善を示している。一例では、10グレイ(Gy)から20グレイにおける放射線の線量を500ミリ秒(me)未満のパルスで送達し、20グレイ毎秒(Gy/S)から100グレイ毎秒の有効線量率に到達するときに、健康な組織は、より長い時間スケールにわたって同じ線量を照射されるときよりも少ない損傷を経験し、一方では、腫瘍は、同様の有効性を伴って処置される。この「FLASH効果」を説明することができる理論は、組織に対する放射線損傷が組織の中の酸素供給量に比例するという事実に基づいている。健康な組織では、超高線量率は、より長い時間スケールにわたって酸素を複数回ラジカル化する線量適用とは対照的に、酸素を1回だけラジカル化する。これは、超高線量率を使用して、健康な組織の中のより少ない損傷につながる可能性がある。
【0149】
いくつかの例において、上記に述べられているように、放射線の超高線量率は、500ms未満の持続期間にわたって1グレイ毎秒を超える放射線の線量を含むことが可能である。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、10msから5sの間の持続期間にわたって1グレイ毎秒を超える放射線の線量を含むことが可能である。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、5s未満の持続期間にわたって1グレイ毎秒を超える放射線の線量を含むことが可能である。
【0150】
いくつかの例において、放射線の超高線量率は、500ms未満の持続期間にわたって以下の線量のうちの1つを超える放射線の線量を含む:2グレイ毎秒、3グレイ毎秒、4グレイ毎秒、5グレイ毎秒、6グレイ毎秒、7グレイ毎秒、8グレイ毎秒、9グレイ毎秒、10グレイ毎秒、11グレイ毎秒、12グレイ毎秒、13グレイ毎秒、14グレイ毎秒、15グレイ毎秒、16グレイ毎秒、17グレイ毎秒、18グレイ毎秒、19グレイ毎秒、20グレイ毎秒、30グレイ毎秒、40グレイ毎秒、50グレイ毎秒、60グレイ毎秒、70グレイ毎秒、80グレイ毎秒、90グレイ毎秒、または100グレイ毎秒。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、10msから5sの間の持続期間にわたって以下の線量のうちの1つを超える放射線の線量を含む:2グレイ毎秒、3グレイ毎秒、4グレイ毎秒、5グレイ毎秒、6グレイ毎秒、7グレイ毎秒、8グレイ毎秒、9グレイ毎秒、10グレイ毎秒、11グレイ毎秒、12グレイ毎秒、13グレイ毎秒、14グレイ毎秒、15グレイ毎秒、16グレイ毎秒、17グレイ毎秒、18グレイ毎秒、19グレイ毎秒、20グレイ毎秒、30グレイ毎秒、40グレイ毎秒、50グレイ毎秒、60グレイ毎秒、70グレイ毎秒、80グレイ毎秒、90グレイ毎秒、または100グレイ毎秒。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、5s未満の持続期間にわたって以下の線量のうちの1つを超える放射線の線量を含む:2グレイ毎秒、3グレイ毎秒、4グレイ毎秒、5グレイ毎秒、6グレイ毎秒、7グレイ毎秒、8グレイ毎秒、9グレイ毎秒、10グレイ毎秒、11グレイ毎秒、12グレイ毎秒、13グレイ毎秒、14グレイ毎秒、15グレイ毎秒、16グレイ毎秒、17グレイ毎秒、18グレイ毎秒、19グレイ毎秒、20グレイ毎秒、30グレイ毎秒、40グレイ毎秒、50グレイ毎秒、60グレイ毎秒、70グレイ毎秒、80グレイ毎秒、90グレイ毎秒、または100グレイ毎秒。
【0151】
いくつかの例において、放射線の超高線量率は、500ms未満の持続期間にわたって、10msから5sの間の持続期間にわたって、または、5s未満の持続期間にわたって、以下の線量のうちの1つまたは複数を超える放射線の線量を含む:100グレイ毎秒、200グレイ毎秒、300グレイ毎秒、400グレイ毎秒、または500グレイ毎秒。
【0152】
いくつかの例において、放射線の超高線量率は、500ms未満の持続期間にわたって、20グレイ毎秒から100グレイ毎秒の間の放射線の線量を含む。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、10msから5sの間の持続期間にわたって、20グレイ毎秒から100グレイ毎秒の間の放射線の線量を含む。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、5s未満の持続期間にわたって、20グレイ毎秒から100グレイ毎秒の間の放射線の線量を含む。いくつかの例において、放射線の超高線量率は、所定の時間期間(たとえば、5s未満など)にわたって、40グレイ毎秒から120グレイ毎秒の間の放射線の線量を含む。時間期間の他の例は、上記に提供されているものである。
【0153】
いくつかの実装形態において、粒子線治療システムは、超高線量率放射線(放射線のFLASH線量)を使用して、ターゲットの3次元カラムを処置することが可能である。これらのシステムは、ペンシルビーム走査を使用して、ターゲットへの超高線量率送達をスケーリングする。いくつかの例において、ペンシルビーム走査は、固有の方向、エネルギー、および電荷をそれぞれ有することができる粒子放射線の一連の小さなビームを送達することを含む。これらの個々のビームからの線量を組み合わせることによって、3次元のターゲット処置体積は、放射線によって処置されることが可能である。そのうえ、一定のエネルギーにおいて処置を層の中へ編成する代わりに、システムは、静止ビームの方向によって定義されるカラムの中へ処置を編成する。ビームの方向は、ターゲットの表面に向いていてもよい。
【0154】
いくつかの実装形態において、カラムのすべてまたは一部は、粒子ビームが照射ターゲットを通して別の経路に沿って導かれる前に処置される。いくつかの実装形態において、ターゲットを通る経路は、ターゲットを通る全方向または部分的な方向である。一例では、粒子ビームは、ターゲットを通る経路に沿って導かれ、その経路から逸脱しないことが可能である。その経路に沿って導かれる間に、粒子ビームのエネルギーは変化される。粒子ビームは、そのエネルギーが変化するにつれて移動せず、結果として、粒子ビームは、粒子ビームの長さに沿っておよびビームスポットの幅に沿って延在するターゲットの内部部分のすべてまたは一部を処置する。したがって、処置は、ビームの長手方向に沿って深さ方向に行われる。たとえば、処置されるターゲットの一部分は、ターゲットの表面におけるビームのスポットから、ターゲットの内部のすべてまたは一部を通って下に延在することが可能である。その結果は、粒子ビームが、放射線の超高線量率を使用して、ターゲットの3次元カラム状部分を処置するということである。いくつかの例において、粒子ビームは、2回以上、同じ3次元カラム状部分に沿って決して再び導かれない可能性がある。
【0155】
いくつかの実装形態において、照射ターゲットは、微小体積に分割されることが可能である。立方体の微小体積が使用されることが可能であるが、微小体積は、3次元直方体、規則的な湾曲した形状、または、不規則なもしくは非晶質の形状などのような、任意の適当な形状を有することが可能である。この例では、それぞれの微小体積は、本明細書で説明されている様式で、カラムごとにFLASH放射線の送達を通して処置される。たとえば、微小体積のカラム深さは、ビームエネルギーを変化させるためにエネルギーデグレーダプレートを使用することによって、または、ビームエネルギーを変化させるために可変エネルギーシンクロサイクロトロンを制御することによって、放射線によって処置されることが可能である。個々の微小体積が処置された後に、次の微小体積が処置され、照射ターゲット全体が処置されるまで繰り返される。微小体積の処置は、任意の適当な順序またはシーケンスで行われることが可能である。
【0156】
本明細書で説明されている粒子線治療システムにおいて使用され得るFLASH線量を送達するための技法の例が、「Delivery Of Radiation By Column And Generating A Treatment Plan Therefor」という標題の米国特許出願公開第2020/0298025号に説明されている。米国特許出願公開第2020/0298025号の内容は、参照により本明細書に組み込まれており、とりわけ、FLASH線量を送達することを説明する内容(
図11から
図19および
図30から
図43Bおよびそれらの付随する説明に関して説明されている内容を含む)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0157】
いくつかの実装形態において、シンクロサイクロトロン以外の粒子加速器は、本明細書で説明されている粒子線治療システムにおいて使用されることが可能である。たとえば、サイクロトロン、シンクロトロン、または線形加速器などは、本明細書で説明されている粒子線治療システムにおいてシンクロサイクロトロンと置換されることが可能である。
【0158】
いくつかの実装形態において、走査磁石は、散乱フォイルと交換されることが可能であり、エネルギーデグレーダは、レンジ変調器であることが可能である。このような実装形態では、散乱フォイルは、処置エリアを横切って粒子ビームを散乱させ、散乱されたビームが照射される深さは、レンジ変調器によって制御される。構成可能なコリメータは、散乱されたビームのエッジをトリミングするために適切な場所にあるままであることが可能である。
【0159】
本明細書で説明されている例示的な粒子治療システムの動作、および、そのすべてのまたはいくつかのコンポーネントの動作は、1つまたは複数のデータ処理装置(たとえば、プログラマブルプロセッサー、コンピューター、複数のコンピューター、および/またはプログラマブルロジックコンポーネント)による実行のために、または、その動作を制御するために、1つまたは複数のコンピュータープログラム製品(たとえば、1つまたは複数の非一時的な機械可読媒体の中に有形に具現化されている1つまたは複数のコンピュータープログラム)を実行するように構成されている制御システム192(
図1)を使用して、(少なくとも部分的に)制御されることが可能である。制御システムは、粒子線治療システムの残りの部分から隔離されることが可能であり、および/または、それは、さまざまな場所(粒子線治療システムの上を含む)において分配されることが可能である。
【0160】
本明細書に説明されているシステムのすべてまたは一部、および、それらのさまざまな修正例は、1つまたは複数の情報キャリアの中に(たとえば、1つまたは複数の非一時的な機械可読ストレージ媒体の中などに)有形に具現化されている1つまたは複数のコンピュータープログラムを使用して、制御システム192などのような1つまたは複数のコンピューターによって、少なくとも部分的に構成または制御されることが可能である。コンピュータープログラムは、(コンパイル型言語またはインタープリタ型言語を含む)任意の形態のプログラミング言語で記述されることが可能であり、それは、任意の形態で配備されることが可能である(スタンドアロンプログラムとして、または、コンピューティング環境における使用に適切なモジュール、パーツ、サブルーチン、もしくは他のユニットとして配備されることを含む)。コンピュータープログラムは、1つのコンピューターの上で実行されるように配備されるか、または、1つのサイトにおいて複数のコンピューターの上で実行されるように配備されるか、または、複数のサイトに分配され、ネットワークによって相互接続されることが可能である。
【0161】
本明細書で説明されているシステムを構成または制御することに関連付けられるアクションは、本明細書で説明されている動作のすべてまたはいくつかを制御または実施するために1つまたは複数のコンピュータープログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサーによって実施されることが可能である。システムおよびプロセスのすべてまたは一部は、専用論理回路(たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)および/もしくはASIC(特殊用途向け集積回路)、または、インストルメントハードウェアにローカライズされた埋め込みマイクロプロセッサーなど)によって構成もしくは制御されることが可能である。
【0162】
コンピュータープログラムの実行に適切なプロセッサーは、例として、汎用マイクロプロセッサーおよび専用マイクロプロセッサーの両方、ならびに、あらゆる種類のデジタルコンピューターの任意の1つまたは複数のプロセッサーを含む。一般的に、プロセッサーは、リードオンリーストレージエリアもしくはランダムアクセスストレージエリアまたはその両方から、インストラクションおよびデータを受け取ることとなる。コンピューターのエレメントは、インストラクションを実行するための1つまたは複数のプロセッサーと、インストラクションおよびデータを記憶するための1つまたは複数のストレージエリアデバイスとを含む。一般的に、コンピューターは、また、データを記憶するための大容量ストレージデバイス(たとえば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなど)などのような1つまたは複数の機械可読ストレージ媒体を含むこととなり、または、それからデータを受信するために、もしくは、それにデータを転送するために、または、その両方のために動作可能に連結されることとなる。コンピュータープログラムインストラクションおよびデータを具現化するのに適切な非一時的な機械可読ストレージ媒体は、すべての不揮発性のストレージエリアを含み、それは、例として、半導体ストレージエリアデバイス、たとえば、EPROM(消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリー)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリー)、およびフラッシュストレージエリアデバイスなど;磁気ディスク、たとえば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスクなど;光磁気ディスク;ならびに、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリーメモリー)およびDVD-ROM(デジタル多用途ディスクリードオンリーメモリー)を含む。
【0163】
説明されている異なる実装形態のエレメントは、以前に具体的には記載されていない他の実装形態を形成するように組み合わせられることが可能である。エレメントは、それらの動作または全体的にシステムの動作に悪影響を与えることなく、以前に説明されたシステムから除かれることが可能である。そのうえ、さまざまな別個のエレメントは、本明細書に説明されている機能を果たすために、1つまたは複数の個々のエレメントの中へ組み込まれることが可能である。
【0164】
本明細書において具体的には説明されていない他の実装形態も、以下の特許請求の範囲の中にある。
【符号の説明】
【0165】
10 粒子線治療システム
12 粒子加速器
14 ガントリー
15 支持構造体
16 ビームライン構造体
16a ビームライン構造体
16b ビームライン構造体
16c ビームライン構造体
16d ビームライン構造体
17 出力チャネル、ビームライン構造体出力チャネル
17a 出力チャネル
17b 出力チャネル
17c 出力チャネル
17d 出力チャネル
18 導管
19 処置位置
21 非超伝導磁気四極子
22 非超伝導磁気四極子
23 超伝導磁気双極子
24 水平方向
26 非超伝導磁気四極子
27 非超伝導磁気四極子
29 コンパクトガントリーの長さ
30 走査磁石
30a 走査磁石
30b1 第1の走査磁石
30b2 第2の走査磁石
30c1 第1の走査磁石
30c2 第2の走査磁石
30d1 第1の走査磁石
30d2 第2の走査磁石
31 磁気双極子(大口径超伝導磁気双極子)
31d 磁気双極子
32 磁気双極子(大口径超伝導磁気双極子)
32c 磁気双極子
32d 磁気双極子
33 磁気四極子(大口径超伝導磁気四極子)
34 磁気四極子(大口径超伝導磁気四極子)
35 磁気四極子(大口径超伝導磁気四極子)
38 水平方向線
40 ノズル
40a ノズル
40b ノズル
40c ノズル
40d ノズル
41 エネルギーデグレーダ
41a エネルギーデグレーダ
41b エネルギーデグレーダ
41c エネルギーデグレーダ
41d エネルギーデグレーダ
42 構造体
43 走査磁石
44 コリメータ
44a コリメータ
44b コリメータ
44c コリメータ
44d コリメータ
45 第1のセット(の2つのコイル)
46 第2のセット(の2つのコイル)
46 エネルギーデグレーダ
49 処置スペース
50 処置スペース
51 処置カウチ
53 孔部
54 ロボットアーム
55 第1のセグメント
56 第2のセグメント
57 第3のセグメント
60 コンパートメント
61 コンパートメント
63 水平方向(x)のビームエンベロープ
64 垂直方向(y)のビームエンベロープ
65 ビームトランスファーマトリックスエレメントのR16
66 ビームトランスファーマトリックスエレメントのR26
67 アイソセンター
68 ビームライン構造体長さ
69 X次元
70 Y次元
75 コンポーネント
77 超伝導磁石
78 超伝導コイル
79 超伝導コイル
80 磁気ヨーク
81 磁気ヨーク
84 キャビティー
85 粒子供給源
90 ピット、磁石
90a 第1のセットのコイル
91 磁石
91a 第2のセットのコイル
92 超伝導走査磁石
92a 高温超伝導コイル
92b 高温超伝導コイル
94 クライオスタット
95 超伝導磁石
95a 高温超伝導コイルセット
96 クライオスタット
97 超伝導走査磁石
97a 高温超伝導コイルセット
98 クライオスタット
113 1次キャリッジ
114 2次キャリッジ
115 2次キャリッジ
117 デカルトZ次元
118 デカルトX次元、対応する部材
119 対応する部材
120 トラック
122 ロッド、レール
123 ロッド、レール
125 モーター
126 モーター
130 モーター
131 リードスクリュー
132 ハウジング
135 リーフ
136 リーフ
150 超伝導走査磁石
151 グリッド
153 デカルトX次元
154 デカルトY次元
155 基準0,0ポイント
158 内側超伝導コイル
159 外側超伝導コイル
160 電気的に非伝導性の材料、電気的に非超伝導の材料
161 アパーチャー
162 電気的に非伝導性の材料、電気的に非超伝導の材料
165 高温度超伝導テープ
166 銅(Cu)安定化層
167 銀(Ag)キャップ層
168 希土類バリウム銅酸化物(ReBCO)超伝導層
169 バッファー層スタック
170 基板層
192 制御システム
200 粒子線治療システム
201 ガントリー
202 支持構造体
204 ビームライン構造体
205 出力チャネル
206 導管
208 粒子加速器
210 処置位置
211a 機械的コネクター
211b 相手側コネクター
214 患者カウチ
216 回転移動、矢印
217 前後方向、矢印
218 軸線
220 フロア
222 マウント
224 モーター
226 マウント
227 イメージングシステム
227a イメージングデバイス
227b イメージングデバイス
230 回転移動、矢印
232 支持構造体
234 中心軸線
235 モーター
237 レール
240 並進移動、矢印
245 矢印
246 矢印
247 矢印
248 矢印
250 元の位置
254 位置
255 ノズル
300 粒子線治療システム
301 ビームライン構造体302のパーツ、ガントリーパーツ
302 ビームライン構造体
304 矢印
305 矢印
306 ビームライン構造体302の残りのパーツ、ガントリーパーツ
310 ガントリー
311a コネクター
311b コネクター
320 位置
324 モーター
400 矢印
401 矢印
403 位置
410 粒子線治療システム
500 粒子線治療システム
501 ホイール、ローラー
524 モーター
600 粒子線治療システム
601 矢印
602 トラック
604 モーター
606 矢印
607 矢印
610 位置
700 粒子線治療システム
701 テレスコピックマウント
702 矢印
703 矢印
706 モーター
710 第1の位置
712 第1のビームフィールド
715 第2の位置
716 第2のビームフィールド
724 空気ギャップ
725 粒子ビーム
【国際調査報告】