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特表2025-502095移植拒絶反応のリスクを処置または低減する方法
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  • 特表-移植拒絶反応のリスクを処置または低減する方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】移植拒絶反応のリスクを処置または低減する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250117BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250117BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P37/06
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/00
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541033
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-05
(86)【国際出願番号】 US2023060358
(87)【国際公開番号】W WO2023133577
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/298,133
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/307,911
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/327,986
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524167094
【氏名又は名称】キニクサ・ファーマシューティカルズ,ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】510043043
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ メリーランド,ボルティモア
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】パオリーニ,ジョン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】モヒウディン,ムハンマド・エム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB08
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片(例えば、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片)などの、CD40またはCD154を標的とするアンタゴニストを投与することによって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法に関する。移植片は、同種移植片または異種移植片(例えば、細胞、組織、もしくは臓器、またはそれらの一部)であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植を受けているか、または移植を受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法であって、前記移植の約10時間~約24時間前に抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、前記移植後の約1時間~約24時間以内に、かつ前記対象が止血を達成したら、前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、を含み、ここで、前記抗体またはその抗原結合断片が、皮下投与または静脈内投与される、方法。
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合断片が、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
移植を受けているか、または移植を受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法であって、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することを含み、ここで、前記抗体またはその抗原結合性断片が、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で皮下投与または静脈内投与される、方法。
【請求項5】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
重鎖が、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植の前に投与される、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植の約10時間~約24時間前に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植と同じ日に投与される、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植の後に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植後の約1時間~約24時間以内に、かつ前記対象が止血を達成したら投与される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または1年後に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体またはその抗原結合断片が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体またはその抗原結合断片が、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または毎月、投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象におけるB細胞を枯渇または減少させる第1の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の治療剤が、前記移植の前に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の治療剤が、前記移植の約10時間~約24時間前に投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の治療剤が、前記移植の後に投与される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の治療剤が、前記移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の治療剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の治療剤が、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の治療剤が、約1mg/kg~約40mg/kgの投与量で投与される、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の治療剤が、約10mg/kgの投与量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の治療剤が、静脈内投与される、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の治療剤がリツキシマブである、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記リツキシマブが、約250mg/m2~約500mg/m2の投与量で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リツキシマブが、約375mg/m2の投与量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象におけるT細胞を枯渇または減少させる第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の治療剤が、前記移植前に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の治療剤が、前記移植の約10時間~約24時間前に投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の治療剤が、前記移植と同じ日に投与される、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の治療剤が、前記移植後に投与される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の治療剤が、前記移植後の約1時間~約24時間以内に、かつ前記対象が止血を達成したら投与される、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の治療剤が、前記移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の治療剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の治療剤が、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の治療剤が、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の治療剤が、約2mg/kgの投与量で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の治療剤が、静脈内投与される、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の治療剤が、抗胸腺細胞グロブリンである、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗体またはその抗原結合断片が、約10mg/kgの投与量で投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記移植片が、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、腸、胸腺、皮膚、眼、子宮、幹細胞、骨、腱、角膜、心臓弁、神経、静脈、またはその一部を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記移植片が同種移植片である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記移植片が異種移植片である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記異種移植が、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、またはヒト以外の霊長類(例えば、マカク、ヒヒ、マーモセット、サル、チンパンジー、もしくはゴリラ)由来の細胞、組織、もしくは臓器またはその一部を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記異種移植片が、ブタ心臓を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記異種移植片が、異種反応性抗原などの1つ以上の抗原を追加、除去、または改変するように遺伝子操作された宿主動物由来の細胞、組織、もしくは臓器、またはその一部を含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ステロイド、抗ヒスタミン薬、H2受容体遮断薬、抗ウイルス剤、補体阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗凝固薬、および抗生物質のうちの1つ以上を投与することをさらに含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ブタ心臓異種移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法であって、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することを含み、ここで、前記抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、方法。
【請求項51】
前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が、前記対象におけるB細胞を枯渇または減少させる第1の治療剤を投与された、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の治療剤がリツキシマブを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、前記対象におけるT細胞を枯渇または減少させる第2の治療剤を投与された、請求項50~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の治療剤が、抗胸腺細胞グロブリンを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
異種移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法であって、
(a)それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を、移植の約10時間~約24時間前に、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で皮下または静脈内投与することと、かつ
(b)前記移植の約10時間~約24時間前に、約1mg/kg~約40mg/kgの投与量でリツキシマブを静脈内投与することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記抗体またはその抗原結合断片を、前記移植と同じ日に投与することをさらに含む、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記移植後に、前記抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記抗体またはその抗原結合断片が、前記移植後、前記対象が止血に達してから約1時間~約24時間以内に投与される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記移植後に、前記抗体またはその抗原結合断片を、週に1回、隔週に1回、3週間に1回、または月に1回投与することをさらに含む、請求項56~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記リツキシマブが、前記移植後に投与される、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記リツキシマブが、前記移植の3日後、7日後、および/または14日後に投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
抗胸腺細胞グロブリンを、前記移植と同じ日に、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で静脈内投与することをさらに含む、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記移植の前および/または後に、ステロイド、抗ヒスタミン薬、H2受容体遮断薬、抗ウイルス剤、補体阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗凝固薬、および抗生物質のうちの1つ以上を前記対象に投与することをさらに含む、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記異種移植片が、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、またはヒト以外の霊長類(例えば、マカク、ヒヒ、マーモセット、サル、チンパンジー、もしくはゴリラ)由来の細胞、組織、もしくは臓器またはその一部を含む、請求項56~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記異種移植片が、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、腸、胸腺、皮膚、眼、子宮、幹細胞、骨、腱、角膜、心臓弁、神経、静脈、またはその一部であるか、またはそれらを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記異種移植片が、ブタ心臓を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記異種移植片が、異種反応性抗原などの1つ以上の抗原を追加、除去、または改変するように遺伝子操作された宿主動物由来の細胞、組織、もしくは臓器、またはその一部を含む、請求項56~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法であって、
(a)移植の約10時間~約24時間前に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の用量および移植後に対象が止血を達成したら投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の用量を含む導入用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を静脈内または皮下投与することと、かつ
(b)少なくとも1か月の治療期間の間、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で、維持用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を皮下または静脈内投与することと、を含む、方法。
【請求項71】
前記維持用量が、少なくとも150μg/mlの前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するために提供される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載される前記アミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号8に記載される前記アミノ酸配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記重鎖が、配列番号9に記載される前記アミノ酸配列を含み、前記軽鎖が、配列番号10に記載される前記アミノ酸配列を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象におけるB細胞を枯渇または減少させる第1の治療剤を投与することをさらに含む、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の治療剤が、前記移植の前に投与される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の治療剤が、前記移植の約10時間~約24時間前に投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の治療剤が、前記移植の後に投与される、請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の治療剤が、前記移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の治療剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される、請求項76~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記第1の治療剤が、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される、請求項76~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の治療剤が、約1mg/kg~約40mg/kgの投与量で投与される、請求項76~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記第1の治療剤が、約10mg/kgの投与量で投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の治療剤が、静脈内投与される、請求項76~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の治療剤がリツキシマブである、請求項76~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記対象におけるT細胞を枯渇または減少させる第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項70~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の治療剤が、前記移植前に投与される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の治療剤が、前記移植の約10時間~約24時間前に投与される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第2の治療剤が、前記移植と同じ日に投与される、請求項87~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記第2の治療剤が、前記移植後に投与される、請求項87~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記第2の治療剤が、前記移植後の約1時間~約24時間以内に、かつ対象が止血を達成したら投与される、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
前記第2の治療剤が、前記移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与される、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
前記第2の治療剤が、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の治療剤が、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される、請求項91~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の治療剤が、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で投与される、請求項87~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記第2の治療剤が、約2mg/kgの投与量で投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記第2の治療剤が、静脈内投与される、請求項87~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記第2の治療剤が、抗胸腺細胞グロブリンである、請求項87~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法であって、
(a)移植の約1時間~約24時間前に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の分割用量および移植後の約24時間以内に対象が止血を達成したら投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の分割用量を含む第1の導入用量、ならびに移植後の約1日~約14日以内に対象が止血を達成したら投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の分割用量および第2の導入用量の前記第1の分割用量の投与後の約1時間~約12時間以内に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の分割用量を含む第2の導入用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を静脈内または皮下投与することと、
(b)少なくとも1か月の治療期間の間、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で、維持用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を皮下または静脈内投与することと、を含む、方法。
【請求項101】
前記維持用量が、少なくとも10μg/mlの前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するために提供される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
ステップ(b)の前に、前記第2の導入用量から約1日~約14日以内に、約1mg/kg~約20mg/kgの第3の導入用量の前記抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
ステップ(b)の前に、前記第3の導入用量から約1日~約14日以内に、約1mg/kg~約20mg/kgの第4の導入用量の前記抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法であって、
(a)移植の約10時間~約24時間前の約1mg/kg~約20mg/kgのコンディショニング用量および移植後の時点かつ対象が止血を達成した後の約1mg/kg~約20mg/kgの第1の導入用量を含む導入用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を静脈内または皮下投与することと、
(b)少なくとも1か月の治療期間の間、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で、維持用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を皮下または静脈内投与することと、を含む、方法。
【請求項105】
ステップ(b)の前に、前記第1の導入用量から約1日~約14日以内に、約1mg/kg~約20mg/kgの少なくとも1回分以上の追加の導入用量の前記抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になると、ステップ(b)が開始される、請求項105に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は、XML形式で電子的に出願された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年12月29日に作成された前記XMLコピーは、51383-008WO4_Sequence_Listing_12_29_22.XMLと名付けられ、サイズは10,397バイトである。
【背景技術】
【0002】
組織および臓器移植は、それを必要とする対象において、損傷または欠陥のある臓器または組織を交換するための強力な治療ツールである。しかしながら、移植後の重大な問題は、レシピエントの免疫系が移植片を攻撃し、移植拒絶および障害をもたらす場合に発生する。組織および臓器移植を目的とするヒト組織および臓器は極めて不足している。
【0003】
ヒト以外の種からヒトレシピエントへの臓器または組織の移植である異種移植は、ヒトドナー材料の不足に対処するのに役立ち得る。異種移植は、非ヒトドナー臓器上の特定の抗原がヒトレシピエントによる免疫応答を誘発する可能性があり、移植された物質の急性拒絶反応につながるため、重大な障害を呈する。
【0004】
したがって、移植(例えば、同種移植または異種移植)を受けるヒト対象において、移植拒絶反応のリスクもしくは可能性を処置もしくは低減するために、または移植拒絶反応が発生するまでの時間を延長させるために、免疫系を抑制するための新規の方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様は、移植(例えば、異種移植)を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。方法は、移植の約1時間~約24時間(例えば、約3時間~約24時間、または約10時間~約24時間)前に抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、移植後の約1時間~約24時間以内に、例えば、対象が止血を達成したら、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、を含む。特定の実施形態では、方法は、移植片の超急性拒絶反応、急性拒絶反応、もしくは慢性拒絶反応のリスクを処置するか、低減するか、またはこれらの拒絶反応の発生前の期間を延長する。抗体またはその抗原結合断片は、皮下投与または静脈内投与されてもよい。
【0006】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0007】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量)で投与される。
【0008】
第2の態様は、移植(例えば、異種移植)を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。方法は、抗CD40抗体または抗原結合断片(例えば、ヒト化抗CD40抗体または抗原結合断片)を投与することを含む。特定の実施形態では、方法は、移植片の超急性拒絶反応、急性拒絶反応、および/もしくは慢性拒絶反応のリスクを処置するか、低減するか、またはこれらの拒絶反応の発生前の期間を延長する。抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域を含む。抗体またはその抗原結合断片は、例えば、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量(例えば、約10mg/kgの投与量)で皮下または静脈内投与されてもよい。
【0009】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植前に(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前に)投与される。
【0011】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植と同じ日に投与される。
【0012】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植後に投与される。
【0013】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植後の約1時間~約24時間以内に(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内に)、例えば、対象が止血を達成したら投与される。
【0014】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または1年後に投与される。
【0015】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与される。
【0016】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、投与される。
【0017】
一部の実施形態では、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の抗体またはその抗原結合断片が投与される。
【0018】
一部の実施形態では、方法は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の用量(例えば、約10mg/kgの用量)と、投与後の約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内)に(例えば、対象が止血を達成したら)投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の用量(例えば、約10mg/kgの投与量)との2回分の用量を含む導入用量の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。一実施形態では、対象が止血を達成したら、第2の用量が投与される。本発明の特定の態様では、移植前に投与される導入用量は、移植前に抗CD40抗体またはその抗原結合断片によって対象の免疫系を予防的に抑制または調整する機能を果たす「コンディショニング用量」である。方法は、後続する、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kgの用量)の抗体またはその抗原結合断片が1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回(例えば、2州週間または3週間に1回)投与される、維持用量の投与(例えば、導入用量の後に続く抗体またはその抗原結合断片の用量)で対象を処置することをさらに含む。特定の実施形態では、維持用量の投与は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片が、再現可能(例えば、標的治療域の範囲内で)または予測可能な薬物動態(PK)を有したら開始される。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。
【0019】
一部の実施形態では、導入用量は、抗体またはその抗原結合断片の単回分の未分割用量を含む。あるいは、導入用量は、少なくとも2回分の用量を含む、抗体またはその抗原結合断片を分割用量した用量を含み得る。例えば、一部の実施形態では、導入用量は、約1時間~約24時間の間隔(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の間隔、例えば、約1~約12時間の間隔)で投与される抗体またはその抗原結合断片の第1の用量および第2の用量を含む、分割用量された用量である。例えば、導入用量の第1の分割用量は、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片の投与を要し得、導入用量の第2の分割用量は、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片の投与を要し得る。導入用量の第2の分割用量は、対象が導入用量の第1の分割用量を受けた後、約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間、例えば約1~約12時間以内)に投与されてもよい。例えば、方法は、導入用量の分割用量による20mg/kgの抗CD40抗体またはその抗原結合断片の投与を要し、第1の分割用量は、約10mg/kgの抗体またはその抗原結合断片を提供し、第2の分割用量は、約10mg/kgの抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0020】
方法は、複数の導入用量(例えば、未分割用量または分割用量のいずれか)の投与を含み得る。例えば、一部の実施形態では、方法は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回分、またはそれ以上の導入用量(例えば、約1回~約5回分の導入用量、例えば、約3回または約4回分の導入用量)を投与することを含む。一部の実施形態では、各導入用量(例えば、第1の導入用量、第2の導入用量、第3の導入用量、第4の導入用量、またはそれ以上)は、例えば、1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与される抗体またはその抗原結合断片の第1および第2の用量(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量の第1または第2の各用量)を含む、分割用量される用量である。あるいは、第1の導入用量は、分割用量された用量であり、任意の追加の導入用量(例えば、第1、第2、第3、第4、またはさらに続く導入用量)は、抗体もしくはその抗原結合断片を分割用量した用量(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量で投与された、少なくとも2回分の分割用量された用量であって、各用量が、例えば、1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与された、分割用量された用量)、または抗体もしくはその抗原結合断片を分割せずに投与した用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kgの量の単回投与)のいずれかとして投与される。別の実施形態では、第1の導入用量は、分割用量された用量(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量で投与された、少なくとも2回分の分割用量された用量であって、各用量が、例えば、1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与された、分割用量された用量)であり、任意の追加の導入用量(例えば、第1、第2、第3、第4、またはさらに続く導入用量)は、分割用量された用量(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量の少なくとも2回分の用量を含む)として投与される。一部の実施形態では、第2の導入用量は、第1の導入用量の投与から約1日~約14日後(例えば、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後)に投与される。他の実施形態では、第2、第3、第4、および/または第5の導入用量が、約1日~約14日の間隔(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日の間隔)で、任意選択的に第1の導入用量の投与後の1~30日以内に投与される。
【0021】
一部の実施形態では、導入用量は、抗体またはその抗原結合断片の所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を達成または維持するために提供される。例えば、一部の実施形態では、少なくとも約20μg/mL(例えば、少なくとも30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300ug/mL(例えば、約20ug/mL~約150ug/mL、約150μg/mL~約300μg/mL、約150μg/mL~約200μg/mL、または約20μg/mL~約300μg/mLの範囲)の抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度(例えば、トラフ濃度)を維持することが望ましい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、経時的な抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度をモニタリングすることと、を含んでもよい。濃度が最小閾値に近づいたら(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、または約150μg/mL(または約20μg/mL~約150μg/mLの範囲の濃度)、例えば、最小閾値の約10%、20%、30%、40%、または50%以内)、方法は、さらなる導入用量(例えば、維持用量の投与を確立する前、例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量で)の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含んでもよい。
【0022】
一部の実施形態では、対象は、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPK(例えば、ピークおよびトラフ濃度)が複製可能または予測可能になるまで(例えば、Cトラフおよび/またはCmaxレベルが用量間で一貫して現れるときなど、所望の治療域で)、1回分以上の導入用量を投与される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0023】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。
【0024】
別の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0025】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0026】
対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKが所望の治療域で複製可能または予測可能になると、対象は、導入投与から維持投与に移行し得る。特定の実施形態では、(i)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測され、または予測可能であり、かつ/あるいは(ii)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測される、または予測可能であるとき、対象は、導入投与から維持投与に移行する。
【0027】
任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCトラフおよび/またはCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0028】
一部の実施形態では、維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するように提供される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の少なくとも約20μg/mL(例えば、少なくとも30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL(例えば、約20ug/mL~約150ug/mL、約150μg/mL~約300μg/mL、約150μg/mL~約200μg/mL、または約20μg/mL~約300μg/mLの範囲)の最小濃度(例えば、トラフ濃度)を維持することが望ましい。したがって、方法は、導入または維持用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定すること(例えば、濃度は、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または1週間に1回決定される)とを含んでもよい。濃度が最小閾値に近づいたら(例えば約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、または約150μg/mL(または約20μg/mL~約150μg/mLの範囲の濃度)、例えば、最小閾値の約10%、20%、30%、40%、または50%以内)、方法は、維持用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含んでもよい。これらの維持用量は、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を150μg/mL超に維持するために、例えば、週に1回、2週に1回、3週に1回、もしくは1か月に1回(例えば、2もしくは3週に1回)、または必要に応じて、移植後に繰り返し投与することができる。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。維持用量の投与タイミングおよび/または維持投与間のタイミングは、例えば、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKプロファイルに基づいて選択され得る。方法は、(例えば、最終導入用量の後)1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回(例えば、2または3週間に1回)投与される、約1mg/kg~約20mg/kg、または約5mg/kg~約10mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)の維持用量の抗体またはその抗原結合断片で対象を処置することをさらに含む。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、方法は、対象におけるB細胞を枯渇もしくは減少させる第1の治療剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)、および/または対象におけるT細胞を枯渇もしくは減少させる第2の治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)もしくはATGAM(登録商標)、または抗IL-2Rα受容体抗体)を投与することをさらに含む。
【0030】
第1の治療剤は、移植前(例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。第1の治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。
【0031】
一部の実施形態では、第1の治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、第1の治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される。
【0032】
一部の実施形態では、第1の治療剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)は、約1mg/kg~約40mg/kg(例えば、約10mg/kg)の投与量で投与される。一部の実施形態では、第1の治療剤は、静脈内投与される。
【0033】
一部の実施形態では、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)は、約250mg/m~約500mg/mの投与量、例えば、約375mg/mの投与量で投与される。
【0034】
一部の実施形態では、第1の治療剤は、リツキシマブである。
【0035】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植前(例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。
【0036】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植と同じ日に投与される。
【0037】
第2の治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。一部の実施形態では、第2の治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される。
【0038】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植後の約1時間~約24時間以内に、かつ対象が止血を達成したら投与される。
【0039】
一部の実施形態では、第2の治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)もしくはATGAM(登録商標)、または抗IL-2Rα受容体抗体)は、約1mg/kg~約10mg/kg、例えば、約2mg/kgまたは約5mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、THYMOGLOBULIN(登録商標)であり、約2mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、ATGAM(登録商標)であり、約5mg/kgの投与量で投与される。第2の治療剤は、静脈内投与されてもよい。
【0040】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、抗胸腺細胞グロブリンである。
【0041】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約10mg/kgの投与量で投与される。
【0042】
本明細書に記載される態様のいずれかの一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、静脈内投与される。
【0043】
本明細書に記載される態様のいずれかの一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、皮下投与される。
【0044】
本明細書に記載される態様のいずれかの一部の実施形態では、移植は同種移植である。本明細書に記載される態様のいずれかの他の実施形態では、移植は異種移植である。移植は、細胞、組織、または臓器移植であってもよい。移植は、例えば、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、腸、胸腺、皮膚、眼、子宮、幹細胞、骨、腱、角膜、心臓弁、神経、静脈、またはその一部であってもよく、またはそれらを含んでもよい。一部の実施形態では、異種移植は、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ヒト以外の霊長類(例えば、マカク(例えば、アカゲザルもしくはカニクイザル)、ヒヒ、マーモセット、サル、およびチンパンジー)、またはゴリラ由来の臓器またはその一部を含む。異種移植は、ブタ心臓を含み得る。異種移植は、ブタ腎臓を含み得る。一部の実施形態では、異種移植は、例えば、1種以上の異種反応性抗原を追加、改変、または除去するように遺伝子操作されている。一部の実施形態では、異種移植は、例えば、1種以上の異種反応性抗原を追加、改変、または除去するように遺伝子操作された宿主動物由来の臓器またはその一部を含む。
【0045】
上記の態様のいずれかの一部の実施形態では、方法は、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、H2受容体遮断薬(例えば、ファモチジン)、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビル)、補体阻害剤(例えば、C1エステラーゼ阻害剤)、免疫抑制剤(例えば、トシリズマブおよび/またはミコフェノール酸モフェチル)、抗炎症剤(例えば、エタネルセプト、または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID、例えばアスピリンおよびナプロキセン)、抗凝固薬(例えば、ヘパリン、アスピリンまたは他の公知の薬剤)、抗生物質(例えば、セフトリアキソンまたは他の公知の薬剤)のうちの1つ以上を投与することをさらに含む。
【0046】
一部の実施形態では、方法は、メチルプレドニゾロンなどのステロイドを投与することをさらに含む。一部の実施形態では、メチルプレドニゾロンは、1日に1回または1日に2回投与される。メチルプレドニゾロンは、約2mg/kgの投与量で投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植前に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植の1日前に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植と同じ日に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植後に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、および/または6か月後に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0047】
一部の実施形態では、方法は、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬を投与することをさらに含む。ジフェンヒドラミンは、約50mgの投与量で投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、静脈内投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植前に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植の1日前に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植後に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、方法は、ファモチジンなどのH2受容体遮断薬を投与することをさらに含む。ファモチジンは、約20mgの投与量で投与されてもよい。ファモチジンは、1日に1回または1日に2回投与されてもよい。ファモチジンは、移植前に投与されてもよい。ファモチジンは、移植の1日前に投与されてもよい。ファモチジンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ファモチジンは、移植後に投与されてもよい。ファモチジンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、および/または8週間後に投与されてもよい。ファモチジンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0049】
一部の実施形態では、方法は、ガンシクロビルなどの抗ウイルス剤を投与することをさらに含む。ガンシクロビルは、約5mg/kgの投与量で投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植前に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植の1日前に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植と同じ日に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植後に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ガンシクロビルは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ガンシクロビルは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0050】
一部の実施形態では、方法は、C1エステラーゼ阻害剤などの補体阻害剤を投与することをさらに含む。C1エステラーゼ阻害剤は、約20U/kgの投与量で投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植前に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植の1日前に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植と同じ日に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植後に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、および/または1週間後に投与されてもよい。
【0051】
一部の実施形態では、方法は、トシリズマブなどの免疫抑制剤を投与することをさらに含む。トシリズマブは、約8mg/kgの投与量で投与されてもよい。トシリズマブは、静脈内投与されてもよい。トシリズマブは、移植と同じ日に投与されてもよい。トシリズマブは、移植後に投与されてもよい。トシリズマブは、移植の1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または12か月後に投与されてもよい。トシリズマブは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。トシリズマブは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎月投与されてもよい。
【0052】
一部の実施形態では、方法は、エタネルセプトなどの抗炎症剤を投与することをさらに含む。エタネルセプトは、約0.7IU/kgの投与量で投与されてもよい。エタネルセプトは、皮下投与されてもよい。エタネルセプトは、移植と同じ日に投与されてもよい。エタネルセプトは、移植後に投与されてもよい。エタネルセプトは、移植の1週間後、2週間後、3週間後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または12か月後に投与されてもよい。エタネルセプトは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。エタネルセプトは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎週投与されてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、方法は、ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制剤を投与することをさらに含む。ミコフェノール酸モフェチルは、約20mg/kgの投与量で投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、静脈内投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、1日に1回または1日に2回投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植と同じ日に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植後に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0054】
一部の実施形態では、方法は、ヘパリンなどの抗凝固薬を投与することをさらに含む。ヘパリンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ヘパリンは、移植後に投与されてもよい。ヘパリンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ヘパリンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ヘパリンは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0055】
一部の実施形態では、方法は、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を投与することをさらに含む。アスピリンは、約81mgの投与量で投与されてもよい。アスピリンは、移植後に投与されてもよい。アスピリンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。アスピリンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。アスピリンは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0056】
一部の実施形態では、方法は、セフトリアキソンなどの抗生物質を投与することをさらに含む。セフトリアキソンは、約50mg/kgの投与量で投与されてもよい。セフトリアキソンは、移植後に投与されてもよい。セフトリアキソンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、および/または2週間後に投与されてもよい。セフトリアキソンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、または2週間の治療期間の間、投与されてもよい。セフトリアキソンは、1週間の治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0057】
第3の態様は、ブタ心臓異種移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。方法は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む。方法は、移植の約1時間~約24時間前(例えば、約10時間~約24時間前)に抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、移植後の約1時間~約24時間以内に、例えば、対象が止血を達成したら、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、を含む。抗体またはその抗原結合断片は、皮下投与または静脈内投与されてもよい。
【0058】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植後の約1時間~約24時間以内に(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内に)、例えば、対象が止血を達成したら投与される。
【0059】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または1年後に投与される。
【0060】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与される。
【0061】
一部の実施形態では、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の抗体またはその抗原結合断片が投与される。
【0062】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、投与される。
【0063】
一部の実施形態では、方法は、導入用量として、例えば、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の用量(例えば、約10mg/kgの用量)と、投与後の約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内)に(例えば、対象が止血を達成したら)投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の用量(例えば、約10mg/kgの投与量)との少なくとも2回分の用量を含む分割用量される用量として、抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。
【0064】
特定の実施形態では、移植前に投与される導入用量は、移植前に、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を用いて対象の免疫系を予防的に抑制するように機能する「コンディショニング用量」である。したがって、第1の導入用量は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与される約1mg/kg~約20mg/kgのコンディショニング用量(例えば、約10mg/kgの用量)と、移植後の約1時間~約24時間以内に(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内に)(例えば、対象が止血を達成したら)投与される約1mg/kg~約20mg/kgの導入用量(例えば、約10mg/kgの投与量)との少なくとも2回分の用量を含む分割用量される用量として投与することができる。
【0065】
あるいは、移植前および移植後に投与される2つの分割された導入用量は、約1mg/kg~約20mg/kgの単回分の未分割用量で(例えば、移植前または移植後(例えば、患者が止血を達成した後)のいずれかで)投与することができる。一実施形態では、対象は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に約1mg/kg~約20mg/kgのコンディショニング用量を投与される。
【0066】
方法は、任意選択的に、第2の導入用量の抗体またはその抗原結合断片を(例えば、2回分の用量が、少なくとも1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与される分割用量で、または単回投与で)、約1mg/kg~約20mg/kgの量(例えば、約10mg/kgの用量)で、移植の約1日~約10日後(例えば、約1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、または10日後)(例えば、第1の導入用量の投与後)に投与することを含んでもよい。方法は、任意選択的に、約1mg/kg~約20mg/kgの量(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)で、第3の導入用量を(例えば、少なくとも2回分の別個の用量が、例えば、1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与される分割用量で、または単回投与で)投与することを含んでもよい。第2および/または第3の導入用量は、例えば、移植後2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10日目に投与されてもよい(例えば、第1の導入用量の投与後の第2の導入用量および第2の導入用量の投与後の第3の導入用量)。追加の導入用量(例えば、第4、第5などの導入用量)はまた、分割用量または単回投与で(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)で)投与されてもよい。単回投与で投与される場合、第2、第3、第4、および/または第5の導入用量などは、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)で投与されてもよい。
【0067】
一部の実施形態では、対象は、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPK(例えば、ピークおよびトラフ濃度)が複製可能または予測可能になる(例えば、所望の治療域で)まで、1回分以上の導入用量を投与される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0068】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。
【0069】
別の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0070】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0071】
対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKが所望の治療域で複製可能または予測可能になると、対象は、導入投与から維持投与に移行し得る。特定の実施形態では、(i)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測され、または予測可能であり、かつ/あるいは(ii)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測される、または予測可能であるとき、対象は、導入投与から維持投与に移行する。
【0072】
任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCトラフおよび/またはCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。方法は、例えば、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回(例えば、2週間に1回または3週間に1回)投与される、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)の抗体またはその抗原結合断片の後続する維持用量(例えば、最後の導入用量の投与後)で対象を処置することをさらに含む。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。
【0073】
一部の実施形態では、維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するように提供される。例えば、一部の実施形態では、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の最小濃度(例えば、トラフ濃度)を、少なくとも20μg/mL(例えば、少なくとも30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、または150μg/mL(例えば、少なくとも160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL、例えば、約150μg/mL~約300μg/mL))など、約20μg/mL~約200μg/mLの範囲内に維持することが望ましい。したがって、方法は、導入用量または維持用量を投与することと、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度をモニタリングすることと、を含み得る。濃度が最小閾値に近づいたら(例えば、約150μg/mLもしくは約20μg/mL、または、例えば、最小閾値の約10%、20%、30%、40%、もしくは50%以内)、方法は、維持用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含んでもよい。これらの維持用量は、移植後に、例えば、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回(例えば、2週間に1回または3週間に1回)、繰り返し投与することができる。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。維持用量の投与タイミングおよび/または維持投与間のタイミングは、例えば、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKプロファイルに基づいて選択され得る。
【0074】
対象は、対象におけるB細胞を枯渇または減少させる治療剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)を投与されていてもよい。対象は、対象におけるT細胞を枯渇または減少させる治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリンまたは抗IL-2Rα受容体抗体)を投与されていてもよい。
【0075】
一部の実施形態では、方法は、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、H2受容体遮断薬(例えば、ファモチジン)、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビル)、補体阻害剤(例えば、C1エステラーゼ阻害剤)、免疫抑制剤(例えば、トシリズマブおよび/またはミコフェノール酸モフェチル)、抗炎症剤(例えば、エタネルセプト、または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID、例えばアスピリンおよびナプロキセン)、抗凝固薬(例えば、ヘパリンおよびアスピリン、または他の公知の薬剤)、ならびに抗生物質(例えば、セフトリアキソンまたは他の公知の薬剤)のうちの1つ以上を、移植の前および/または後に、対象に投与することをさらに含む。
【0076】
第4の態様は、異種移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法を特徴とする。方法は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、および配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有するヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。抗体またはその抗原結合断片は、例えば、移植の約10時間~約24時間前に、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kg)の投与量で、皮下または静脈内投与されてもよい。方法は、抗体またはその抗原結合断片を、移植と同じ日に投与することをさらに含み得る。方法は、移植後に、抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含み得る。抗体またはその抗原結合断片は、移植後、対象が止血に達してから約1時間~約24時間以内に投与されてもよい。方法は、移植後、抗体またはその抗原結合断片を週に1回、隔週に1回、3週間に1回、または月に1回投与することをさらに含み得る。
【0077】
方法は、例えば、移植の約10時間~約24時間前に、例えば、約1mg/kg~約40mg/kgの投与量で、リツキシマブなどの抗CD20抗体を静脈内投与することをさらに含み得る。抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植後に、例えば、移植の3日後、7日後、および/または14日後に投与されてもよい。方法は、抗胸腺細胞グロブリンまたは抗IL-2Rα受容体抗体を、移植と同じ日に、約1mg/kg~約10mg/kgの投与量で静脈内投与することをさらに含み得る。
【0078】
一部の実施形態では、方法は、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、H2受容体遮断薬(例えば、ファモチジン)、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビル)、補体阻害剤(例えば、C1エステラーゼ阻害剤)、免疫抑制剤(例えば、トシリズマブおよび/またはミコフェノール酸モフェチル)、抗炎症剤(例えば、エタネルセプト、または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID、例えばアスピリンおよびナプロキセン)、抗凝固薬(例えば、ヘパリンおよびアスピリン、または他の公知の薬剤)、ならびに抗生物質(例えば、セフトリアキソンまたは他の公知の薬剤)のうちの1つ以上を、移植の前および/または後に、対象に投与することをさらに含む。
【0079】
一部の実施形態では、異種移植は、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ヒト以外の霊長類(例えば、マカク(例えば、アカゲザルまたはカニクイザル)、ヒヒ、マーモセット、サル、およびチンパンジー)、またはゴリラ由来の細胞、組織、もしくは臓器、またはその一部を含む。異種移植は、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、腸、胸腺、皮膚、眼、子宮、幹細胞、骨、腱、角膜、心臓弁、神経、静脈、またはその一部であってもよく、またはそれらを含んでもよい。一部の実施形態では、異種移植は、ブタ心臓を含む。一部の実施形態では、異種移植は、1つ以上の異種反応性抗原を追加、除去、または改変するように遺伝子操作されている。
【0080】
一部の実施形態では、異種移植は、1つ以上の異種反応性抗原を追加、除去、または改変するように遺伝子操作された宿主動物由来の臓器またはその一部を含む。
【0081】
第5の態様は、移植(例えば、同種または異種移植)を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。方法は、a)約1mg/kg~約20mg/kgの第1の用量(移植の約10時間~約24時間前)および約1mg/kg~約20mg/kgの第2の用量(移植後、対象が止血を達成したら)を含む導入用量のヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を、分割用量で静脈内または皮下投与することと、b)維持用量のヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を、約1mg/kg~約20mg/kgの投与量で、少なくとも1か月の治療期間の間、皮下または静脈内投与することと、を含む。
【0082】
導入用量(例えば、第1の導入用量)は、代替的に、単回分の未分割用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kgまたは20mg/kg))として投与されてもよい。あるいは、導入用量(例えば、第1の導入用量)は、少なくとも2回分の用量を分割した用量(例えば、分割用量の各用量は、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kgを含有する)として投与されてもよく、各用量は、約1時間~約24時間の間隔、例えば、1時間~12時間の間隔で投与される。
【0083】
一部の実施形態では、対象は、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPK(例えば、ピークおよびトラフ濃度)が(例えば、所望の治療域で)複製可能または予測可能になるまで、1回分以上の追加の導入用量(例えば、分割用量または単回投与で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回分の追加の導入用量など)を投与される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0084】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。
【0085】
別の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0086】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0087】
対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKが所望の治療域で複製可能または予測可能になると、対象は、導入投与から維持投与に移行し得る。特定の実施形態では、(i)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測され、または予測可能であり、かつ/あるいは(ii)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測される、または予測可能であるとき、対象は、導入投与から維持投与に移行する。
【0088】
任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCトラフおよび/またはCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0089】
方法は、(例えば、最終導入用量の後)1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回(例えば、2または3週間に1回)投与される、約1mg/kg~約20mg/kg、または約5mg/kg~約10mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)の維持用量の抗体またはその抗原結合断片で対象を処置することをさらに含む。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。
【0090】
一部の実施形態では、維持用量は、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を少なくとも150μg/mLに維持するために提供される。一部の実施形態では、維持用量は、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を少なくとも約20μg/mL~約200μg/mLの範囲内、例えば少なくとも20μg/mLに維持するために提供される。
【0091】
一部の実施形態では、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を使用して、維持投与中の再投与を誘導する。例えば、血清中濃度が、所望のまたは所定の閾値または範囲(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mL)未満に低下する場合、対象は、維持用量を投与されてもよい。血清中濃度が、例えば、所定の閾値または範囲よりも10%超、例えば、20%超、30%超、40%超、またはそれ以上下回って低下する場合、対象は、血清中濃度を所望の治療レベル(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mLの濃度)まで上昇させるために、1回分以上の「再負荷用量」を投与されてもよい。一部の実施形態では、維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量(例えば、10mg/kgまたは20mg/kg超の用量)よりも多い投与量で投与されてもよい。一部の実施形態では、1回分以上の維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量よりも短い投与間隔で投与されてもよい。
【0092】
特定の実施形態では、導入投与または維持投与中に、対象が、移植拒絶反応の兆候または症状(例えば、トロポニン値の上昇または心エコー図の異常)を有する場合、対象は、(i)1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の救助的投与、(ii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された用量レベルに対する、1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の増加投与、または(iii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された投与頻度に対して増加した投与頻度の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片、あるいは(i)~(iii)の組み合わせを投与されてもよい。例えば、週に1回、約10mg/kgの用量を受けている対象は、例えば、週に1回、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、または20mg/kgの増加した用量を受けることができる。別法で、または追加的に、投与頻度は、例えば、10mg/kgを1週間に1回または2週間に1回から10mg/kgを1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、または1週間に7回(例えば、1日1回)に増加させてもよい。
【0093】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域を含む。
【0094】
一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0095】
一部の実施形態では、方法は、対象におけるB細胞を枯渇もしくは減少させる第1の治療剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)、および/または対象におけるT細胞を枯渇もしくは減少させる第2の治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)もしくはATGAM(登録商標)、または抗IL-2Rα受容体抗体)を投与することをさらに含む。
【0096】
第1の治療剤は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、約10時間~約24時間前、例えば、約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。第1の治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。
【0097】
一部の実施形態では、第1の治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、第1の治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される。
【0098】
一部の実施形態では、第1の治療剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)は、約1mg/kg~約40mg/kg(例えば、約10mg/kg)の投与量で投与される。一部の実施形態では、第1の治療剤は、静脈内投与される。
【0099】
一部の実施形態では、第1の治療剤は、リツキシマブである。
【0100】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植前(例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。
【0101】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植と同じ日に投与される。
【0102】
第2の治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。一部の実施形態では、第2の治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週1回投与される。
【0103】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、移植後の約1時間~約24時間以内に、対象が止血を達成した後に(例えば、対象が止血を達成したら)投与される。
【0104】
一部の実施形態では、第2の治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)もしくはATGAM(登録商標)、または抗IL-2Rα受容体抗体)は、約1mg/kg~約10mg/kg、例えば、約2mg/kgまたは約5mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、THYMOGLOBULIN(登録商標)であり、約2mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、第2の治療剤は、ATGAM(登録商標)であり、約5mg/kgの投与量で投与される。第2の治療剤は、静脈内投与されてもよい。一部の実施形態では、第2の治療剤は、抗胸腺細胞グロブリンである。
【0105】
第6の態様は、ブタ腎臓異種移植を受けているか、または受けたヒト対象において、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。方法は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片を(例えば、導入用量(例えば、コンディショニング用量として)または維持用量として)投与することを含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、重鎖は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0106】
方法は、移植の約1時間~約24時間前(例えば、約10時間~約24時間前)に、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を(例えば、コンディショニング用量である導入用量として)投与することと、移植後の約1時間~約24時間以内に、例えば、対象が止血を達成したら、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、を含む。抗体またはその抗原結合断片は、皮下投与または静脈内投与されてもよい。導入用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、分割用量(例えば、各用量が約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)である、少なくとも2回分の用量)で、または未分割用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の用量)で投与されてもよい。
【0107】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(例えば、導入用量として)移植後の約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内)に、例えば、対象が止血を達成したら投与される。
【0108】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または1年後に投与される。
【0109】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与される。
【0110】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、投与される。
【0111】
一部の実施形態では、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の抗体またはその抗原結合断片が投与される。
【0112】
一部の実施形態では、対象は、抗体またはその抗原結合断片の薬物動態(PK)が複製可能または予測可能になるまで、1回分以上の追加の導入用量(例えば、分割用量または未分割用量で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回分の追加の導入用量)を投与される。一部の実施形態では、対象は、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPK(例えば、ピークおよびトラフ濃度)が(所望の治療域内で)複製可能または予測可能になるまで、1回分以上の導入用量を投与される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0113】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。
【0114】
別の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL,160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0115】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0116】
対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKが所望の治療域で複製可能または予測可能になると、対象は、導入投与から維持投与に移行し得る。特定の実施形態では、(i)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測され、または予測可能であり、かつ/あるいは(ii)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL;または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測される、または予測可能であるとき、対象は、導入投与から維持投与に移行する。
【0117】
任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCトラフおよび/またはCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0118】
一部の実施形態では、少なくとも150μg/mLのヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するために、維持用量が提供される。一部の実施形態では、維持用量は、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を少なくとも約20μg/mL~約200μg/mLの範囲内、例えば少なくとも20μg/mLに維持するために提供される。
【0119】
一部の実施形態では、ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血清中濃度を使用して、維持投与中の再投与を誘導する。例えば、血清中濃度が、所望のまたは所定の閾値または範囲(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mL)未満に低下する場合、対象は、維持用量を投与されてもよい。血清中濃度が、例えば、所定の閾値または範囲よりも10%超、例えば、20%超、30%超、40%超、またはそれ以上下回って低下する場合、対象は、血清中濃度を所望の治療レベル(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mLの濃度)まで上昇させるために、1回分以上の「再負荷用量」を投与されてもよい。一部の実施形態では、維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量(例えば、10mg/kgまたは20mg/kg超の用量)よりも多い投与量で投与されてもよい。一部の実施形態では、1回分以上の維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量よりも短い投与間隔で投与されてもよい。
【0120】
特定の実施形態では、導入投与または維持投与中に、対象が移植拒絶反応の兆候または症状を有する場合(例えば、トロポニン値の上昇または心エコー図の異常)を有する場合、対象は、(i)1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の救助的投与、(ii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された用量レベルに対する、1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の増加投与、または(iii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された投与頻度に対して増加した投与頻度の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片、あるいは(i)~(iii)の組み合わせを投与されてもよい。例えば、週に1回、約10mg/kgの用量を受けている対象は、例えば、週に1回、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、または20mg/kgの増加した用量を受けることができる。別法で、または追加的に、投与頻度は、例えば、10mg/kgを1週間に1回または2週間に1回から10mg/kgを1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、または1週間に7回(例えば、1日1回)に増加させてもよい。
【0121】
上述の態様のいずれかにおいて、方法は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の代わりに、CD40リガンド(CD40L、すなわちCD154)を標的とする抗体もしくはその抗原結合断片、またはCD154を標的とするアンタゴニストを投与することを含んでもよい。CD154を標的とする好適な抗体またはその抗原結合断片およびアンタゴニストとしては、例えば、ダピロリズマブ、VIB4920、AT-1501、およびSAR441344(INX021)が挙げられる。
【0122】
上述の態様のいずれかにおいて、方法は、対象の周術期または術後ケア中などの移植手技中または移植手技後の手技の結果としてのその喪失または希釈に応答して、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の投与量をモニタリングおよび/または調整することを含み得る。ある実施形態では、対象は、血液または他の液体の喪失または注入による体積シフトの結果として、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度の低下を経験し得る。こうした実施形態では、方法は、対象における抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を増加させるために、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を再投与することを含み得る。例えば、対象は、透析、体外式膜型人工肺(ECMO)、持続的静脈-静脈血液濾過(CVVHW)、腎代替療法(例えば、持続的血液濾過および血液透析、間欠的血液透析および腹膜透析)など、あるいは液体、例えば、対象の血液、血漿、もしくは血清中の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片のレベルを低下させ得るか、または抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、もしくは血清中濃度を希釈し得るアルブミンまたはクリスタロイドの注入などの追加の治療的介入で処置されてもよい。別の実施形態では、対象は、胸水を経験し得、例えば、胸腔穿刺などの手技を受けて、肺から流体を除去してもよい。抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、胸水中に存在してもよく、したがって抗CD40抗体またはその抗原結合断片は循環から除去される。他の例では、対象は、対象の血液から分離される血漿(およびその中に含有される抗体)を除去する血漿交換を必要とし得る。これらの治療的介入、および/または外部器具の使用により、対象における抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血液、血漿、または血清中の累積量または濃度が(直接的または間接的に)低減され得、抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片または他の治療剤の再投与または用量レベルもしくは投与頻度の調整を必要とする場合がある。これらの手技および/または外部器具の使用による血液もしくは他の液体の喪失またはそれらの希釈が原因となった、対象における抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を回復または増加させるために、必要に応じて、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を、対象に再投与してもよく、または抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の投与量および/もしくは投与頻度を増加させてもよい。
【0123】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、列挙された値の+/-10%を意味する。
【0124】
本明細書で使用される場合、「投与」とは、ある投与量の医薬組成物(例えば、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合断片、または本明細書に記載される他の薬剤のいずれか)を与える方法を意味する。本明細書に記載の方法において利用される組成物は、特定の薬剤について当該技術分野で既知の方法にしたがって、例えば、静脈内および皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼内、経口的に、局所的に、吸入によって、注射によって、注入によって、持続注入によって、直接的な標的細胞の局所灌流浴によって、カテーテルによって、洗浄によって、胃管栄養法によって、クリーム中で、または脂質組成物中で投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される組成物の成分および治療される状態の重症度)に応じて、かつ投与される薬剤の公知のガイダンスを使用することによって変化し得る。
【0125】
「抗体」および「免疫グロブリン(Ig)」という用語は、最も広い意味で互換的に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長またはインタクトモノクローナル抗体)およびポリクローナル抗体を含み、また特定の抗体断片も含み得る。抗体は、典型的には、「軽鎖」および「重鎖」の両方を含む。任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に別個のタイプのうちの1つに割り当てることができる。
【0126】
「止血」とは、血液の流れが実質的にまたは完全に停止した(例えば、出血が明らかでない)外科的手技後の(例えば、移植手術後の(例えば、外科医によって胸腔が縫合された後の))対象の状態を意味する。
【0127】
「医薬組成物」とは、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合断片、または本明細書に記載される他の任意の薬剤などの治療的または生物学的に活性な薬剤を含有する任意の組成物を意味する。本開示の目的のために、医薬組成物は、活性剤と、治療剤または生物活性剤の送達に適していることが当該技術分野で既知の1種以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。
【0128】
「配列同一性」または「配列類似性」とは、2つ以上のアミノ酸配列または2つ以上のヌクレオチド配列間の同一性または類似性が、それぞれ、配列間の同一性または類似性によって表されることを意味する。配列同一性は、より高いパーセンテージが、配列間で共有されるより高い同一性を示す「同一性パーセンテージ(%)」によって測定することができる。配列類似性は、類似度パーセンテージ(保存的アミノ酸置換を考慮に入れる)によって測定することができ、パーセンテージが高いほど、配列間で共有される類似性が高くなる。核酸またはアミノ酸配列のホモログまたはオルソログは、標準的な方法を使用して整列された場合、比較的高い程度の配列同一性/類似性を有する。配列同一性は、デフォルト設定での配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705)を使用して測定することができる。こうしたソフトウェアは、様々な置換、欠失、および他の改変に相同性の程度を割り当てることによって、類似の配列と一致させることができる。配列同一性/類似性は、比較した2つ以上の配列のすべてまたは規定部分にわたって決定することができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合」という語句は、例えば、抗体またはその抗原結合断片によって特異的に認識される、タンパク質および他の生体分子の不均一集団における抗原の存在を決定する結合反応を指す。抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、100nM未満のKDで抗原に結合する。例えば、抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、最大100nM(例えば、1pM~100nM)のKDで抗原に結合する。特定の抗原またはそのエピトープへの特異的結合を示さない抗体またはその抗原結合断片は、その特定の抗原またはそのエピトープに対して100nM超(例えば、500nm、1μM、100μM、500μM、または1mM超)のKDを呈する。様々なイムノアッセイフォーマットを使用して、特定のタンパク質または炭水化物に対して特異的に免疫反応性の抗体を選択してもよい。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質または炭水化物に対して特異的に免疫反応性の抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用できるイムノアッセイのフォーマットおよび条件の説明については、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, New York(1988)およびHarlow & Lane, Using Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, New York(1999)を参照されたい。
【0130】
対象は、哺乳類(例えば、霊長類およびヒト、特に細胞、組織、または臓器の移植を必要とする基礎疾患(例えば、心血管疾患)を有するヒト)などの脊椎動物である。本明細書に記載される方法に従って治療される対象(例えば、ヒト)は、細胞、組織、または臓器移植を必要とする対象である。診断は、任意の好適な手段によって実施され得る。当業者であれば、本開示に従って治療される対象が、標準的な試験を受けていた場合があるか、または検査なしで、組織もしくは臓器不全の疑いを有する対象または細胞、組織、もしくは臓器機能の修復を必要とする対象として特定されている場合があることを理解するであろう。本明細書に記載される組成物(例えば、KPL-404)でヒト対象を治療する方法は、細胞、組織、もしくは臓器移植拒絶反応のリスクの処置、低減、および/または細胞、組織、もしくは臓器移植拒絶反応の緩和もしくは阻害において特に有用である。
【0131】
本明細書で使用される場合、当該技術分野で十分に理解されるように、治療は、臨床結果などの有益または所望の結果を得るためのアプローチである。有益または所望の結果には、検出可能であろうと検出不可能であろうと、限定されないが、移植拒絶反応(例えば、細胞、組織、もしくは臓器移植の拒絶反応)の1つ以上の症状もしくはその発症の軽減もしくは改善、移植拒絶反応の程度の衰退もしくはその発症前の期間の延長、移植した細胞、組織、もしくは臓器の安定化(例えば、悪化しない)、または細胞、組織、もしくは臓器の移植拒絶反応の進行の遅延もしくは減速が含まれ得る。治療は、本明細書に記載される1種以上の組成物などの1種以上の治療剤、および/または1種以上の追加の治療剤を含み得る。追加の治療剤は、免疫応答を阻害する薬剤(例えば、抗炎症剤、ステロイド、H2受容体遮断薬など)を含み得る。処置は、手術などの1つ以上の治療的介入を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1】異種心臓移植と比較した、-1日目、0日目、1日目、および3日目に実施された末梢血単球(PBMC)のフローサイトメトリー分析を示すグラフのセットである。以下の投与量は、フローサイトメトリーのための血液サンプル採取の指定時点で対象に投与された各薬物の累積用量を示す。-1日目:リツキシマブ375mg/m、0日目:後の状態(s/p):リツキシマブ375mg/m、1日目:s/p:リツキシマブ375mg/mおよびs/p 1mg/kg ATG、投与3日後:s/p リツキシマブ375mg/m、s/p 2mg/kg ATG。
図2】異種心臓移植後(2日目)の胸部閉鎖前に実施されたリンパ節のフローサイトメトリー分析を示すグラフである。胸部閉鎖時:s/p累積投与量:リツキシマブ 375mg/m、s/p 2mg/kg ATG。
図3】異種心臓移植後の1日当たりのトロポニンレベル(ng/mL)を示すグラフである。
図4】時間の関数としてのKPL-404の血清中濃度を示すグラフである。上の曲線は、普通の健常被験者における第I相試験のデータを提供する。下の曲線は、異種心臓移植後のヒト対象におけるデータを提供する。
図5】心臓移植(異種移植に対応する水平線)に関連する、時間の関数としてのKPL-404の血清中濃度の時間経過を示すグラフである。腹部手術、持続的静脈-静脈血液濾過(CVVHW)(血液濾過)、および体外式膜型人工肺(ECMO)の時間経過も水平線として示される。
図6A】ヒヒにおける心臓移植後の末梢血中のB細胞数およびT細胞数を示すグラフである。図6Aは、総血中リンパ球数に対する末梢血中のT細胞およびB細胞のパーセンテージを示す。
図6B図6Bは、総血中CD4およびCD8 T細胞計数に対する末梢血中のCD4およびCD8 T細胞のパーセンテージを示す。
図6C図6Cは、総血中Treg細胞計数に対する末梢血中のTreg細胞のパーセンテージを示す。
図6D図6Dは、末梢血中のT細胞およびB細胞の絶対数を示す。
図6E図6Eは、末梢血中のCD4およびCD8 T細胞の絶対数を示す。
図6F図6Fは、末梢血中のTreg細胞の絶対数を示す。これらのグラフは、移植時にT細胞が依然として動物に存在していることと、移植直後にT細胞数が経時的に着実に増加した一方で、B細胞数は移植後も低いままであったことと、を示す。
図7】心臓移植(異種移植に対応する水平線)に関連する、時間の関数としてのKPL-404の血清中濃度の延長された時間経過(図5と比較して)を示すグラフである。腹部手術、持続的静脈-静脈血液濾過(CVVHW)(血液濾過)、および体外式膜型人工肺(ECMO)の時間経過も水平線として示される。
図8A】ヒト対象における心臓移植後の末梢血中のB細胞数およびT細胞数を示すグラフである。図8Aは、総血中リンパ球数に対する末梢血中のT細胞(CD3+)およびB細胞(CD20+)のパーセンテージを示す。
図8B図8Bは、総血中CD4+およびCD8+T細胞計数に対する末梢血中のCD4+およびCD8+T細胞のパーセンテージを示す。
図9】ドナー特異的内皮IgM、IgG、およびトロポニンIレベルについての術後経過中の臨床上の詳細を上部x軸に標示して示す。
【発明を実施するための形態】
【0133】
本開示は、ヒト対象における移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長する方法を特徴とする。対象は、細胞、臓器、または組織移植などの移植を受けていてもよく、または受けている。移植は、同種移植であっても異種移植片移植であってもよい。一般に、方法は、CD40またはCD154を標的とするアンタゴニストの投与を含む。例えば、方法は、例えば、移植前、移植日、および/または移植後に、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することを含み得る。アンタゴニストは、抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片であってもよく、またはアンタゴニストは、例えば、CD154に結合する抗体もしくはその抗原結合断片であってもよい。アンタゴニストは、CD40を発現する細胞(例えば、B細胞)を活性化することなく、CD154に結合するCD40の能力を遮断することができ、したがって、免疫系を抑制して、移植拒絶反応を治療または阻害する。本明細書に記載される方法は、対象におけるB細胞を枯渇または減少させる薬剤(例えば、リツキシマブ)および/または対象におけるT細胞を枯渇または減少させる薬剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン)の投与をさらに含み得る。抗体またはその抗原結合断片は、例えば、PCT公開WO2012/125569およびWO2017/040932(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、マウス2C10抗体およびそのヒト化変異体に由来するものであってもよい。前記特許文献中で使用された方法および医薬組成物については、以下でより詳細に説明する。
【0134】
CD40またはCD154を標的とする抗体およびその抗原結合断片ならびにアンタゴニスト
本明細書に記載される方法は、CD40-CD154相互作用を破壊するアンタゴニスト(例えば、抗体またはその抗原結合断片)の投与を含む。アンタゴニストは、CD40を標的とすることも、CD154を標的とすることもできる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、マウス2C10抗体に由来する抗体またはその抗原結合断片の投与を含む。本明細書に記載される特定の抗CD40抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域、およびCDRを表1に示す。
【表1】
【0135】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7に記載される重鎖可変領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む(例えば、これからなる)。
【0136】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8に記載される軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む(例えば、これからなる)。
【0137】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7に記載される重鎖可変領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列と、配列番号8に記載される可変軽鎖のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域との両方を含む(例えば、これらからなる)。
【0138】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖領域と、配列番号10に記載される軽鎖アミノ酸配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖領域と、を含む(例えば、これらからなる)。
【0139】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域は、KPL-404抗体の重鎖可変領域のCDR(それぞれ配列番号1、2、3に記載されるCDR1、CDR2およびCDR3)に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一である相補性決定領域(CDR)を含む。
【0140】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域は、KPL-404抗体の軽鎖可変領域のCDR(それぞれ配列番号4、5、6に記載されるCDR1、CDR2およびCDR3)に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一であるCDRを含む。
【0141】
特定の実施形態では、重鎖は、それぞれ配列番号1~3に記載されるCDRを含み、軽鎖は、それぞれ配列番号4~6に記載されるCDRを含む。
【0142】
特定の実施形態では、重鎖は、配列番号7に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性、およびそれぞれ配列番号1~3に記載されるCDRを有し、軽鎖は、配列番号8に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性、およびそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRを有する。
【0143】
他の例示的な抗CD40抗体またはその抗体断片には、例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列および核酸配列を含む、米国特許第8,591,900号に記載されるBI 55064、米国特許第8,828,396号に記載されるイソカリマブ、米国特許第9,125,893号およびPCT公開WO2017100305に記載されるブレセルマブ、米国特許出願公開第US20210054090号およびPCT公開WO2021236546に記載されるBMS-986325(前述の各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)がある。
【0144】
一部の態様では、CD40リガンド(CD40L、すなわち、CD154)を標的とする抗体またはその抗原結合断片は、本開示の範囲内で企図され得る。また、CD154を標的とするアンタゴニストも企図される。CD154を標的とする好適な抗体またはその抗原結合断片およびアンタゴニストとしては、例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列および核酸配列を含む、米国特許第8,293,237号に記載されるダピロリズマブ、米国特許第10,000,553号に記載されるVIB4920、米国特許第10,106,618号に記載されるAT-1501、および米国特許出願公開第20210145966号に記載されるSAR441344(INX021)(前述の各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。また、特定のアミノ酸が置換、欠失、または付加された抗体またはその抗原結合断片も本開示の範囲内に含まれる。これらの変更は、結合活性などのペプチドの生物学的特性に実質的な効果を有しない。例えば、抗体は、抗原への結合を改善するなどのために、フレームワーク領域にアミノ酸置換を有してもよい。別の例では、選択された少数のアクセプターフレームワーク残基は、対応するドナーアミノ酸によって置換され得る。ドナーフレームワークは、成熟もしくは生殖系列ヒト抗体フレームワーク配列またはコンセンサス配列であり得る。表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関するガイダンスは、例えば、Bowie et al.(Science, 247: 1306-1310, 1990)、Cunningham et al.(Science, 244: 1081-1085, 1989)、Ausubel(ed.)(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc., 1994)、T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)、Pearson(Methods Mol. Biol. 243:307-31, 1994)、およびGonnet et al.(Science 256:1443-45, 1992)に記載されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本明細書に記載されるポリペプチドは、例えば、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%または約1%未満のアミノ酸残基が置換または欠失しているが、本質的に同じ免疫学的性質(CD40への結合を含むがこれに限定されない)を持つ、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片の機能的に活性な変異体であってもよい。
【0146】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片の解離定数(K)は、約1×10-8M未満、例えば、約1×10-9M未満である。
【0147】
抗体またはその抗原結合断片はまた、アミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸、無関係な生物系においてのみ自然に発生するアミノ酸、哺乳類系由来の修飾アミノ酸などを含む)、置換された結合を有するポリペプチド、ならびに当該技術分野で既知の他の修飾物質のうちの1つ以上を含有してもよい。
【0148】
方法
本明細書に記載される方法は、細胞、臓器、または組織移植(例えば、異種移植)などの移植を受けているか、または受けた対象への、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片(例えば、抗体またはその抗原結合断片は、CD154に結合するCD40の能力を遮断することができる)を含有する医薬組成物の投与を含む。方法は、対象における移植拒絶反応を治療もしくは阻害するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長し得る。例えば、方法は、その期間を(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上)延長させ得る。本方法は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、または対象の生涯にわたって移植拒絶反応を阻害し得る。
【0149】
本明細書に記載される方法は、対象に、導入療法を投与することを含んでもよく、その間、対象は、移植の超急性拒絶反応および急性拒絶反応のリスクが最も高い期間として移植直後相をカバーする周術期に、1回分以上の用量(例えば、導入用量)の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与される。一部の実施形態では、導入療法は、対象が、固定または所定の投与間隔で、固定または体重換算用量レベルの抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与される、固定投与レジメンを含む。他の実施形態では、導入療法は、対象が、対象におけるCD40活性を阻害または抑制するのに十分な抗CD40抗体またはその抗原結合断片の所望の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度(例えば、ピークおよび/またはトラフ濃度)を達成するために抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与される、薬物動態(PK)標的ベースの投与レジメンを含む。一部の実施形態では、導入療法は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片が、対象において複製可能または予測可能なPKを達成するまで継続する。
【0150】
「複製可能」なPKとは、所与の用量および投与間隔で、投与間に一貫性がある場合に、Cトラフが所望の範囲(例えば、治療域)またはその近くで観察され、Cmaxが所望の範囲またはその近くで観察され、いずれの場合も、抗体またはその抗原結合断片が2回以上にわたって連続投与されることを意味する。抗CD40抗体またはその抗原結合断片が、対象において複製可能または予測可能なPKを有すると、維持療法が対象に投与される。
【0151】
PKが予測可能であるかどうかを決定する方法は、当該技術分野において既知である。薬物動態研究者は、PKパラメータを推定するための標準的、効率的、かつ効果的な方法である、ノンコンパートメント解析(NCA)などの、対象における薬物のPK挙動を予測するためのPK解析を生成する方法を日常的に採用し、対象における薬物のPKを説明するモデルを開発する。PK解析の実施において、薬物動態研究者は、PKモデルを生成するには不十分なため除外されるべきデータを特定する。データを除外する理由には、例えば、異常な濃度値、曝露が予期されたときの曝露の欠如、および投与の失敗が含まれる。
【0152】
方法は、移植の約1時間~約24時間前に、例えば、約10時間~約24時間前に、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、投与後の1時間~24時間以内に、例えば、対象が止血を達成したら、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を投与することと、を含み得る。抗体またはその抗原結合断片は、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量で皮下または静脈内投与されてもよい。
【0153】
抗体またはその抗原結合断片は、移植前、例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、移植の約10時間~約24時間前、例えば、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前に投与されてもよい。抗体またはその抗原結合断片は、移植と同じ日に投与されてもよい。抗体またはその抗原結合断片は、移植後に投与されてもよい。例えば、抗体またはその抗原結合断片は、移植後に、移植後の約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内)に、例えば、対象が止血を達成したら、投与されてもよい。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植後に、対象が止血を達成したら投与される。
【0154】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または1年後に投与される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与される。
【0155】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、少なくとも週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回、投与される。
【0156】
本明細書に記載される方法は、抗体またはその抗原結合性断片を、2つの用量:移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、約10時間~役24時間前、例えば、移植の約1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第1の用量(例えば約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量)と投与後の約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間以内)に(例えば、対象が止血を達成したら)投与される約1mg/kg~約20mg/kgの第2の用量(約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量)とを含む導入用量として投与することを含み得る。移植前に対象に投与される用量は、本明細書では「コンディショニング用量」とも称される。コンディショニング用量は、移植前に、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を用いて対象の免疫系を予防的に抑制するように機能する導入療法の一部である。
【0157】
あるいは、導入用量は、単回分の分割されていない用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kgの用量(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの用量))の抗体またはその抗原結合断片として投与されてもよい。上述のように、導入用量はまた、少なくとも2回分の用量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を含む、分割用量される用量として投与されてもよい。導入用量が、単回分の未分割用量か、分割用量かで投与されるかどうかは、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の投与制限、例えば、薬剤の処方情報によって設定される制限、あるいは、関連する臨床使用経験によって課される設定または該当する規制当局によって課される制限に依存するであろう。例えば、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の標的とする血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度が望ましいが、単回用量としてこの標的濃度を達成するために必要な用量レベルが、薬剤の処方情報によって設定された制限または単回用量を投与する臨床経験の欠如により推奨されない場合、薬剤を分割用量で投与して標的濃度を達成することができる。特定の実施形態では、分割用量される導入用量は、約1時間~約24時間の間隔、例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の間隔、例えば、約1~約12時間の間隔で投与される、第1の用量および第2の用量の抗体またはその抗原結合断片として投与されてもよい。例えば、導入用量の第1の分割用量は、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片の投与を要し得、導入用量の第2の分割用量は、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片の投与を要し得る。導入用量の第2の分割用量は、対象が導入用量の第1の分割用量を受けた後、約1時間~約24時間以内(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間、例えば約1~約12時間以内)に投与されてもよい。例えば、方法は、20mg/kgの分割用量による導入用量の抗体またはその抗原結合断片の投与を要し得、第1の分割用量は、約10mg/kgの抗体またはその抗原結合断片を提供し、第2の分割用量は、約10mg/kgの抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0158】
方法は、複数の導入用量(例えば、未分割用量または分割用量のいずれか)の投与を含み得る。上述のように、導入療法は、移植の超急性拒絶反応または急性拒絶反応のリスクが最も高い期間とする移植直後期を網羅するために周術期間中に投与され、本発明によれば、抗CD40抗体またはその抗原結合断片が複製可能または予測可能なPKプロファイルを達成する前に実施される。任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、移植の日、およびその数日後、数週間後、またはさらには数か月後から開始して、薬剤は、例えば、移植を受けている対象における標的媒介性薬物動態(TMDD)の結果として、対象において複製可能または予測可能なPKプロファイルを達成しない場合がある。周術期ケアはまた、限定されないが、外科的介入(移植手技中、および移植後に必要とされる任意の手術または手技の両方)の結果としての体液喪失、対象の体液を循環させ、例えば装置の管類および/もしくはフィルタに非特異的に結合する薬物によって、ならびに/または対象の体液の容量を増加させること(例えば、クリスタロイドまたはアルブミンを投与することによって薬物の血中濃度、血清中濃度、または血漿中濃度を低下させることによって)によって対象における薬物のPKに影響を及ぼす医療機器(例えば、体外式膜型人工肺、持続的静脈-静脈血液濾過、透析、治療用血漿交換、プラズマフェレシス、血液希釈など)を含む、対象における薬物の可変かつ予測不可能なPKプロファイルに寄与し得る。また、胸水を減少させるために胸腔穿刺を使用してもよく、胸水の喪失によって抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血清中濃度、または血漿中濃度の低下をもたらし得る。
【0159】
例えば、方法は、1回分、2回分、3回分、4回分、5回分、6回分、7回分、8回分、9回分、10回分、またはそれ以上の導入用量(例えば、約3回分または約4回分の導入用量など、約1~約5回分の導入用量)を投与することを含み得る。一部の実施形態では、各導入用量(例えば、第1の導入用量、第2の導入用量、第3の導入用量、および/または第4の導入用量、または後続する導入用量)は、例えば、1~24時間の間隔(例えば、1~12時間の間隔)で投与される抗体またはその抗原結合断片分割(例えば、用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの量)の第1および第2の用量を含む分割用量である。あるいは、第1の導入用量は、分割された用量であり、任意の追加の導入用量(例えば、第1、第2、第3、および/もしくは第4、またはさらに後続する導入用量)は、抗体もしくはその抗原結合断片の分割用量(例えば、各導入用量は、抗体もしくはその抗原結合断片の量が用量当たり約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、5mg/kgもしくは10mg/kg)の、少なくとも2回分の用量を含む)、または抗体もしくはその抗原結合断片の単回投与(例えば、各導入用量は、抗体もしくはその抗原結合断片の量が約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、5mg/kgもしくは10mg/kg)の単回分の用量である)のいずれかで投与される。別の実施形態では、第1の導入用量は、分割された用量であり、任意の追加の導入用量(例えば、第1、第2、第3、および/もしくは第4、またはさらに後続する導入用量)は、分割用量で投与される(例えば、各導入用量は、抗体またはその抗原結合断片の量が用量当たり約1mg/kg~約20mg/kgの、少なくとも2回分の用量を含む)。別の実施形態では、第1の導入用量は、分割された用量であり、任意の追加の導入用量(例えば、第1、第2、第3、および/もしくは第4、またはさらに後続する導入用量)は、単回投与で投与される(例えば、各導入用量は、抗体またはその抗原結合断片の量が約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、5mg/kgまたは10mg/kg)の単回分の用量である)。一部の実施形態では、第2の導入用量は、第1の導入用量の投与から約1日~約14日後(例えば、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、または14日後)に投与される。他の実施形態では、第2、第3、第4、および/または第5の導入用量は、約1日~約14日の間隔(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日の間隔)で投与される。
【0160】
一部の実施形態では、対象は、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の薬物動態(PK)(例えば、ピークおよびトラフ濃度)が複製可能または予測可能(例えば、所望の治療域)になるまで、1回分以上の導入用量を投与される。例えば、一部の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、2回以上の投与後に決定される対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じか、もしくは類似の範囲である、または同じか、もしくは類似の範囲であり得る。
【0161】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。
【0162】
別の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の導入用量が(本明細書に記載されるとおりに)投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、または300ug/mL)と同じであるか、または類似の範囲であると予測される、または予測可能である。
【0163】
他の実施形態では、対象の血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片のPKが複製可能または予測可能になるまで、複数回の(本明細書に記載の)導入用量が投与され、ここで、2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、約20%以内、例えば、15%、10%、5%またはそれ以下の間隔であると予測される、または予測可能である。任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0164】
対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のPKが所望の治療域で複製可能または予測可能になると、対象は、導入投与から維持投与に移行し得る。特定の実施形態では、(i)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCトラフが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL、または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測され、または予測可能であり、かつ/あるいは(ii)2回以上の投与後に決定された、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の2つ以上のCmaxが、同一または類似の範囲(例えば、約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、もしくは250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL、または約20%以内、例えば、約15%、10%、5%もしくはそれ以下の間隔)であると予測される、または予測可能であるとき、対象は、導入投与から維持投与に移行する。
【0165】
任意選択的に、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片のCトラフおよび/またはCmaxは、例えば、1~7日、1~14日、1~21日、または1~28日の期間にわたって決定されてもよい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、対象の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度を決定することと、を含み得る(例えば、濃度は、6時間ごと、12時間ごと、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または週に1回決定される)。
【0166】
一部の実施形態では、導入用量は、抗体またはその抗原結合断片の所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するように提供される。例えば、一部の実施形態では、少なくとも約20μg/mL(例えば、少なくとも30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、または250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、300μg/mL(例えば、約20ug/mL~約150ug/mL、約150μg/mL~約300μg/mL、約150μg/mL~約200μg/mL、または約20μg/mL~約300μg/mL))の血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の最小濃度(例えば、トラフ濃度)を維持することが望ましい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度をモニタリングすることと、を含んでもよい。濃度が最小閾値に近づいたら(例えば約20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、または約150μg/mL(または約20μg/mL~約150μg/mLの範囲の濃度)、例えば、最小閾値の約10%、20%、30%、40%、または50%以内)、方法は、さらなる導入用量の、例えば、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の抗体またはその抗原結合断片を、例えば、維持投与の確立前に投与することを含んでもよい。
【0167】
方法は、例えば、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または月1回(例えば、2週間に1回または3週間に1回)投与される、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kg)の1回分以上の後続の維持用量(例えば、導入投与後の)の抗体またはその抗原結合断片で対象を治療することをさらに含む。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。
【0168】
一部の実施形態では、維持用量は、抗体またはその抗原結合断片の所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を維持するように提供される。例えば、一部の実施形態では、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の少なくとも150μg/mL(例えば、少なくとも160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、または200μg/mL、例えば、約150μg/mL~約200μg/mL)の最小濃度(例えば、トラフ濃度)を維持することが望ましい。したがって、方法は、導入用量を投与することと、抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度をモニタリングすることと、を含んでもよい。方法は、維持用量を投与することと、血液、血漿、または血清中の抗体またはその抗原結合断片の濃度をモニタリングすることと、を含み得る。濃度が最小閾値に近づいたら(例えば、約150μg/mL、または任意選択的に20μg/mL、例えば、最小閾値の約10%、20%、30%、40%、または50%以内)、方法は、維持用量(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約5mg/kgまたは約10mg/kgの投与量)の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含んでもよい。維持用量は、移植後に、例えば、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回(例えば、2週間に1回または3週間に1回)、繰り返し投与することができる。維持用量は、少なくとも1か月の治療期間の間(例えば、少なくとも2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間)、対象に投与されてもよい。維持投与のタイミングおよび/または維持投与間の時間は、移植患者における抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片のPKプロファイル、または処置される特定の対象におけるPKプロファイルに基づいて選択され得る。さらに、用量および/またはタイミングは、必要または要望に応じて漸増することができる。
【0169】
当業者であれば、一部の実施形態では、血液、血漿、または血清中の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の最小濃度(例えば、トラフ濃度)が、所望の閾値濃度、例えば少なくとも10μg/mL(例えば、約10μg/mL~約200μg/mL、例えば、約20μg/mL~約150μg/mL、例えば、少なくとも20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、またはそれ以上)を下回って変動および/または一時的に低下し得ることを理解するであろう。
【0170】
ヒト化抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中、血漿中、または血清中濃度を使用して、維持投与を誘導してもよい。例えば、血清中濃度が、所望のまたは所定の閾値または範囲(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mL)未満に低下する場合、対象は、維持用量を投与されてもよい。血清中濃度が、例えば、所定の閾値または範囲よりも10%超、例えば、20%超、30%超、40%超、またはそれ以上下回って低下する場合、対象は、血清中濃度を所望の治療レベル(例えば、約20μg/mL~約300μg/mL、例えば、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約150μg/mL、または約80μg/mL~約150μg/mLの濃度)まで上昇させるために、1回分以上の「再負荷用量」を投与されてもよい。一部の実施形態では、維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量(例えば、10mg/kgまたは20mg/kg超の用量)よりも多い投与量で投与されてもよい。一部の実施形態では、1回分以上の維持用量は、所望の最小血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を下回る(例えば、約150μg/mL未満または約20μg/mL未満への)低下後に投与される場合、前の維持用量よりも短い投与間隔で投与されてもよい。
【0171】
特定の実施形態では、導入投与または維持投与中に、対象が移植拒絶反応の兆候または症状を有する場合(例えば、トロポニン値の上昇または心エコー図の異常)を有する場合、対象は、(i)1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の救助的投与、(ii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された用量レベルに対する、1回以上の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の増加投与、または(iii)移植拒絶反応の兆候もしくは症状の前に対象に投与された投与頻度に対して増加した投与頻度の抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片、あるいは(i)~(iii)の組み合わせを投与されてもよい。
【0172】
抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度は、イムノアッセイを使用して抗体の投与後に測定されてもよい。イムノアッセイは、抗ID抗体でコーティングされたプレートを捕捉抗原として使用してもよい。較正標準および品質管理(QC)サンプルは、抗体またはその抗原結合断片の保存溶液を非希釈ヒト血清に希釈し、その後、非希釈ヒト血清で所望の抗体濃度まで連続希釈することによって調製され得る。調製されたキャリブレーター、品質管理サンプル、および試験用ヒト血清サンプルは、予めコーティングされたプレートに乗せる前に、アッセイ希釈剤を使用して、1:200の最低希釈倍率(MRD)まで希釈され得る。プレートをインキュベートして、サンプル中に存在する抗体が標的に結合することを可能にし、その後、洗浄して非結合物質を除去した。次いで、マウス抗Hu IgG4 pFc HRPをプレートに添加して、抗体に結合してもよい。プレートをさらにインキュベートしてもよく、次いで洗浄して、全ての非結合材料を除去することができる。次いで、TMB基材をプレートに添加し、次いで、1N HSOを添加することによって反応を停止することができる。プレートは、例えば、SPECTRAMAX(登録商標)Plus 384(検出には450nm、バックグラウンドには650nmで)マイクロプレートリーダーを使用して、即座に読み取ることができる。較正標準から得られたOD値(450nmでの検出ODから650nmでバックグラウンドODを差し引いた値)を、1/y2を用いた4-PLロジスティック方程式を使用して適合させ、品質管理サンプルおよび試験サンプル中の抗体濃度を計算することができる。
【0173】
この方法の較正曲線範囲は、例えば、100%ヒト血清中で8000ng/mL~80.0ng/mLであってもよい。100%ヒト血清中の10000ng/mLおよび40.0ng/mLでのアッセイの評価範囲外のキャリブレーターは、曲線適合を促進するためのアンカーポイントとして含まれ得る。
【0174】
本明細書に記載される方法は、投与後の喪失に応答して抗CD40抗体またはその抗原結合断片の投与量を調節することを含み得る。例えば、移植手技中、または移植後の別の手技中、例えば、対象の術後ケア中、対象は、対象における抗CD40抗体またはその抗原結合断片の濃度低下を軽減するために再投与を必要とする可能性のある著しい失血(例えば、移植手術または別の外科手技の結果として)を経験し得る。さらに、対象は、透析、体外式膜型人工肺(ECMO)、持続的静脈-静脈血液濾過(CVVHW)、機械的換気などの追加の治療的介入、または抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、もしくは血清中濃度を希釈し得る液体、例えばアルブミンもしくはクリスタロイドの注入で治療されてもよい。一部の例では、対象は、胸水を経験することがあり、例えば、肺から流体を除去するために胸腔穿刺を受けてもよい。抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、胸水中に存在してもよい。他の例では、対象は、対象の血液から分離される血漿(およびその中に含有される抗体)を除去する血漿交換を必要とし得る。これらの治療的介入、および/または外部器具の使用により、対象における抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度が(直接的または間接的に)低下する場合があり、抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片または他の治療剤の再投与あるいはそれらの用量レベルまたは投与頻度の調整を必要とし得る。したがって、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血清レベルは、これらの1つ以上の手技の間、またはその結果として、劇的に低減されることが可能である。したがって、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度は、これらの1つ以上の手技の前に、その間、またはその後にモニタリングされてもよい。必要に応じて、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を対象に再投与し、または抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片の投与量および/もしくは投与頻度を増加させ、抗CD40抗体またはその抗原結合断片の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を回復または増加させ、これらの1つ以上の手技および/または外部器具の使用による血液もしくは他の流体の喪失、血液希釈、または喪失を明らかにすることができる。他の治療剤のレベルも、喪失についてモニタリングし、必要に応じて再投与することができる。
【0175】
本明細書に記載される特定の方法では、対象は、周術期に、例えば、Yin et al. Chin. Med. J. 124:1928-1932, 2011、またはAmer. J. Transplantation, 9: Suppl 3, 2009, S1-155(これらは、それぞれ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される標準ケアによって治療されてもよい。
【0176】
移植
本明細書に記載される方法は、対象において移植(例えば、細胞、臓器、または組織移植)を行うことを含む。移植方法は周知であり、当業者によって実施され得る。移植片は、同種移植片であってもよい。他の実施形態では、移植片は、異種移植片、例えば、異なる種由来の細胞、臓器、または組織であってもよい。移植片は、心臓、腎臓、肺、肝臓、膵臓、腸、胸腺、皮膚、眼、子宮、幹細胞、骨、腱、角膜、心臓弁、神経、静脈、またはその一部を含み得る。異種移植片は、例えば、1種以上の異種反応性抗原を付加、改変、または除去するように遺伝子操作された細胞、臓器、または組織であってもよい。一部の実施形態では、移植片は、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ヒト以外の霊長類(例えば、マカク(例えば、アカゲザルもしくはカニクイザル)、ヒヒ、マーモセット、サル、およびチンパンジー)、またはゴリラ由来の細胞、臓器(もしくはその一部)、または組織を含む異種移植片である。異種移植片は、ブタ心臓であってもよい。異種移植片は、ブタ腎臓であってもよい。一部の実施形態では、異種移植片は、例えば、1種以上の異種反応性抗原を付加、改変、または除去するように遺伝子操作された宿主動物由来の細胞、臓器もしくはその一部、または組織を含む。こうした遺伝子操作された動物は、例えば、Lu, et al. Front. Immunol. 10, 3060, 2020(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている(表2も参照されたい)。例えば、米国特許第10,912,863号および同第11,179,496号ならびにUS 2018/0249688(それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0177】
細胞、組織、または臓器移植片は、当該技術分野において既知の方法に従って調製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、臓器移植片は、異種移植片、例えば、ブタ由来の臓器(例えば、心臓)であり、宿主動物は、遺伝子操作されている。宿主は、例えば、移植拒絶反応を予防するために、1つ以上の異種反応性抗原を追加、除去、または改変するように操作されていてもよい。好適なシステムおよび方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第11,179,496号および同第10,912,863号、ならびに米国特許公開第2018/0249688号に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0178】
対象が移植を受けるとき、対象の組織または臓器の重大な外傷および/または出血が発生し得る。したがって、一部の実施形態では、特定の医薬組成物(例えば、抗CD40抗体もしくはその抗原結合断片、または本明細書に記載される任意の他の治療剤、例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体、および/または抗胸腺細胞グロブリンおよび/または抗IL-2Rα受容体抗体)は、例えば、移植と同じ日に、または移植後に、対象が止血を達成したら投与されてもよい。外科医は、明らかな出血が見られなくなれば手術を終了し、次いで、明らかな失血が検出されないときに皮膚切開を閉じる。対象は、他の血行力学的理由から血圧を支持するために、昇圧薬を引き続き投薬することがある。したがって、止血は、外科医による視覚的または定性的評価を含み得る。止血後、対象は手術室を出て回復室に移ることができる場合がある。
【0179】
本明細書に記載の方法は、移植拒絶反応のリスクを処置または低減するために使用することができる。一般に、移植拒絶反応は、超急性拒絶反応、急性拒絶反応、または慢性拒絶反応として特徴付けられ得る。超急性拒絶反応は、移植の直後から移植の約48時間後(例えば、移植片がレシピエントに対して不適合な抗原を含むとき)に起こる。急性拒絶反応は、移植から約2日後~約3か月後に発生する。慢性拒絶反応は、免疫系が経時的に移植片を攻撃し続け、移植片の機能を最終的に低下させるか、または永久的に損傷するときに起こる。本明細書に記載される方法は、超急性移植拒絶反応のリスクを処置または低減するために使用することができる。本明細書に記載される方法はまた、急性移植拒絶反応および/または慢性移植拒絶反応のリスクを処置または低減するためにも使用することができる。
【0180】
移植拒絶反応は、心エコー検査および/またはトロポニンレベルの測定もしくは検出などの当該技術分野において公知の方法を使用して測定することができる。トロポニンは、移植拒絶反応のバイオマーカーであり、損傷に応答して心臓の筋細胞によって放出される。したがって、トロポニンレベルは、心機能のマーカーとして使用することができる。トロポニンの血清レベルの上昇は、心臓移植拒絶反応のリスクの増加を示す。
【0181】
対象が移植拒絶反応の兆候または症状を示している場合、抗CD40抗体またはその抗原結合断片のスケジュールされている投与または予想されている投与の変更が必要となり得る。例えば、より高い血漿濃度に達するように、薬物を再投入し、かつ/または導入用量もしくは維持用量を増加させるか、もしくは投与頻度を増加させ、それによって移植された組織内に存在する薬物の量を増加させることが有益であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、導入投与または維持投与中にトロポニンレベルが増加する場合、対象は、(i)スケジュールまたは予想されている用量に加えて、1回分以上の救助的導入用量または維持用量それぞれの抗体または抗原結合断片、(ii)トロポニンレベルの増加の前に対象に投与された用量レベルに対して増加された1回分以上の用量の抗体または抗原結合断片、(iii)トロポニンレベルの増加の前に対象に投与された投与頻度に対して増加された投与頻度の抗体または抗原結合断片を投与されてもよい。同様に、他の実施形態では、導入投与または維持投与中に、対象が移植拒絶反応の兆候または症状を有する場合、対象は、(i)スケジュールまたは予想されている用量に加えて、救助的導入用量または維持用量それぞれの抗体または抗原結合断片、(ii)移植拒絶反応の兆候または症状の前に対象に投与された用量レベルに対して増加された1回分以上の用量の抗体または抗原結合断片、(iii)移植拒絶反応の兆候または症状の前に対象に投与された投与頻度に対して増加された投与頻度の抗体または抗原結合断片、あるいは(i)~(iii)の組み合わせを投与されてもよい。移植された組織の拒絶反応を証明する他のバイオマーカー(例えば、心エコー図)は、当該技術分野で周知である。
【0182】
B細胞の減少
本明細書に記載される方法は、対象におけるB細胞を枯渇または減少させる治療剤を投与することをさらに含み得る。治療剤は、例えばリツキシマブであってもよい。治療剤は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、約3時間~約24時間前、例えば、約10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。一部の実施形態では、治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週に1回投与される。一部の実施形態では、治療剤(例えば、リツキシマブ)は、約1mg/kg~約40mg/kg(例えば、約10mg/kg)の投与量で投与される。一部の実施形態では、治療剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、リツキシマブは、約250mg/m~約500mg/mの投与量、例えば、約375mg/mの投与量で投与される。
【0183】
T細胞の減少
本明細書に記載される方法は、対象におけるT細胞を枯渇または減少させる治療剤を投与することをさらに含み得る。治療剤は、例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)またはATGAM(登録商標)であってもよい。治療剤は、移植前(例えば、移植の約1時間~約24時間前、例えば、約3時間~約24時間前、例えば、約10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前、18時間前、19時間前、20時間前、21時間前、22時間前、23時間前、または24時間前)に投与されてもよい。一部の実施形態では、治療剤は、移植と同じ日に投与される。治療剤は、移植後(例えば、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後)に投与されてもよい。一部の実施形態では、治療剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、投与される。一部の実施形態では、治療剤は、1週間、2週間、3週間、または4週間の治療期間の間、毎日、毎週、または隔週に1回投与される。一部の実施形態では、治療剤は、移植後の約1時間~約24時間以内に、対象が止血を達成したら投与される。
【0184】
一部の実施形態では、治療剤(例えば、抗胸腺細胞グロブリン、例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)もしくはATGAM(登録商標)、または抗IL-2Rα受容体抗体)は、約1mg/kg~約10mg/kg、例えば、約2mg/kgまたは約5mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、治療剤は、THYMOGLOBULIN(登録商標)であり、約2mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、治療剤は、ATGAM(登録商標)であり、約5mg/kgの投与量で投与される。治療剤は、静脈内投与されてもよい。
【0185】
追加の治療剤
本明細書に記載される方法は、例えば、移植の前、移植と同じ日、または移植の後に、追加の治療剤の投与をさらに含み得る。方法は、免疫系の抑制を維持するか、または術後の回復を促進するために必要な任意の薬物の投与を含み得る。方法は、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、H2受容体遮断薬(例えば、ファモチジン)、抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビル)、補体阻害剤(例えば、C1エステラーゼ阻害剤)、免疫抑制剤(例えば、トシリズマブおよび/またはミコフェノール酸モフェチルなどの抗IL-6R抗体)、抗炎症剤(例えば、TNFαタンパク質、例えばエタネルセプト、または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID、例えばアスピリンおよびナプロキセン)、抗凝固薬(例えば、ヘパリンおよびアスピリン、または他の公知の薬剤)、ならびに抗生物質(例えば、セフトリアキソンまたは他の公知の薬剤)のうちの1つ以上を投与することをさらに含んでもよい。例えば、方法は、メチルプレドニゾロン、ジフェンヒドラミン、ファモチジン、ガンシクロビル、C1エステラーゼ阻害剤、トシリズマブ、エタネルセプト、ミコフェノール酸モフェチル、ヘパリン、アスピリン、およびセフトリアキソンのうちの1つ以上を投与することを含み得る。
【0186】
本明細書に記載の方法は、メチルプレドニゾロンなどのステロイド、または当該技術分野で既知の他のステロイドを投与することをさらに含み得る。一部の実施形態では、メチルプレドニゾロンは、1日に1回または1日に2回投与される。メチルプレドニゾロンは、約2mg/kgの投与量で投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植前に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植の1日前に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植と同じ日に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植後に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、および/または6か月後に投与されてもよい。メチルプレドニゾロンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0187】
本明細書に記載の方法は、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬、または当該技術分野で既知の他の抗ヒスタミン薬を投与することをさらに含み得る。ジフェンヒドラミンは、約50mgの投与量で投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、静脈内投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植前に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植の1日前に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植後に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、および/または4週間後に投与されてもよい。ジフェンヒドラミンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0188】
本明細書に記載の方法は、ファモチジンなどのH2受容体遮断薬、または当該技術分野で既知の他のH2受容体遮断薬を投与することをさらに含み得る。ファモチジンは、約20mgの投与量で投与されてもよい。ファモチジンは、1日に1回または1日に2回投与されてもよい。ファモチジンは、移植前に投与されてもよい。ファモチジンは、移植の1日前に投与されてもよい。ファモチジンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ファモチジンは、移植後に投与されてもよい。ファモチジンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、および/または8週間後に投与されてもよい。ファモチジンは、2か月、7週間、6週間、5週間、4週間、3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日の治療期間の間、投与されてもよい。
【0189】
本明細書に記載の方法は、ガンシクロビルなどの抗ウイルス剤、または当該技術分野で既知の別の抗ウイルス剤を投与することをさらに含み得る。ガンシクロビルは、約5mg/kgの投与量で投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植前に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植の1日前に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植と同じ日に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植後に投与されてもよい。ガンシクロビルは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ガンシクロビルは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ガンシクロビルは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0190】
本明細書に記載の方法は、C1エステラーゼ阻害剤などの補体阻害剤、または当該技術分野で既知の他の補体阻害剤を投与することをさらに含み得る。C1エステラーゼ阻害剤は、約20U/kgの投与量で投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植前に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植の1日前に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植と同じ日に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植後に投与されてもよい。C1エステラーゼ阻害剤は、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、および/または1週間後に投与されてもよい。
【0191】
本明細書に記載の方法は、トシリズマブなどの免疫抑制剤、または当該技術分野で既知の別の免疫抑制剤を投与することをさらに含み得る。トシリズマブは、約8mg/kgの投与量で投与されてもよい。トシリズマブは、静脈内投与されてもよい。トシリズマブは、移植と同じ日に投与されてもよい。トシリズマブは、移植後に投与されてもよい。トシリズマブは、移植の1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または12か月後に投与されてもよい。トシリズマブは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。トシリズマブは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎月投与されてもよい。
【0192】
本明細書に記載の方法は、エタネルセプトなどの抗炎症剤、または当該技術分野で既知の別の抗炎症剤を投与することをさらに含み得る。エタネルセプトは、約0.7IU/kgの投与量で投与されてもよい。エタネルセプトは、皮下投与されてもよい。エタネルセプトは、移植と同じ日に投与されてもよい。エタネルセプトは、移植後に投与されてもよい。エタネルセプトは、移植の1週間後、2週間後、3週間後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、および/または12か月後に投与されてもよい。エタネルセプトは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。エタネルセプトは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎週投与されてもよい。
【0193】
本明細書に記載の方法は、ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制剤、または当該技術分野で既知の別の免疫抑制剤を投与することをさらに含み得る。ミコフェノール酸モフェチルは、約20mg/kgの投与量で投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、静脈内投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、1日に1回または1日に2回投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植と同じ日に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植後に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ミコフェノール酸モフェチルは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0194】
本明細書に記載の方法は、ヘパリンなどの抗凝固薬、または当該技術分野で既知の別の抗凝固薬を投与することをさらに含み得る。ヘパリンは、移植と同じ日に投与されてもよい。ヘパリンは、移植後に投与されてもよい。ヘパリンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。ヘパリンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。ヘパリンは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0195】
本明細書に記載の方法は、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を投与することをさらに含んでもよい。アスピリンは、約81mgの投与量で投与されてもよい。アスピリンは、移植後に投与されてもよい。アスピリンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、1年後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、および/または10年後に投与されてもよい。アスピリンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年の、または対象の生涯にわたる治療期間の間、投与されてもよい。アスピリンは、少なくとも1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、または対象の生涯にわたる治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0196】
本明細書に記載の方法は、セフトリアキソンなどの抗生物質、または当該技術分野で既知の別の抗生物質を投与することをさらに含み得る。セフトリアキソンは、約50mg/kgの投与量で投与されてもよい。セフトリアキソンは、移植後に投与されてもよい。セフトリアキソンは、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、および/または2週間後に投与されてもよい。セフトリアキソンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、または2週間の治療期間の間、投与されてもよい。セフトリアキソンは、1週間の治療期間の間、毎日投与されてもよい。
【0197】
医薬組成物
本明細書に記載されるもの(例えば、配列番号1~3に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号4~6に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合断片、例えば、配列番号7または9に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号8または10に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片)などの抗CD40抗体またはその抗原結合断片を含有する医薬組成物を投与することによって、移植拒絶反応のリスクを処置もしくは低減するか、または移植拒絶反応が発生する前の期間を延長させる方法を特徴とする。抗体またはその抗原結合断片は、約50~約300mg/mLの濃度および任意選択的に約0.5mL~約2.0mL(例えば、約1.0mL)の容量で、医薬組成物中に配合され得る。
【0198】
抗体またはその抗原結合断片(例えば、KPL-404)は、医薬組成物(例えば、約50mg/mL~約300mg/mL、例えば約100mg/mLまたは約200mg/mLなどの濃度)に組み込まれ得る。組成物は、極性賦形剤、例えば、糖、ポリオール、またはアミノ酸を含んでもよい。一部の実施形態では、糖は、例えば、スクロース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、デキストロース、またはマンニトールである。一部の実施形態では、ポリオールは、例えば、ポリエチレングリコールまたはソルビトールである。一部の実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、カルニチン、シトルリン、オルニチン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンのうちの1つ以上である。組成物はまた、例えば、酢酸ナトリウム(例えば、塩形態)またはそのイオン形態のアセテートを含んでもよい。一部の実施形態では、組成物は、例えば、スクロース、アルギニン、グルタミン酸塩、ソルビトール、またはそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、賦形剤は、スクロースである。一部の実施形態では、極性賦形剤は、アルギニンである。一部の実施形態では、賦形剤は、グルタミン酸塩である。一部の実施形態では、賦形剤は、アルギニンおよびグルタミン酸塩の混合物である。一部の実施形態では、賦形剤は、ソルビトールである。
【0199】
医薬組成物は、例えば、ある量の、例えば、約50mg/mL~約300mg/mLなどの量の、本明細書に記載の抗CD40抗体またはその抗原結合断片(例えば、KPL-404)を含むことができる。
【0200】
抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される医薬組成物を含む容器内に供給され得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、例えば、状態を治療するために効果的な、本明細書に記載されるような医薬組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してもよい。例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい。容器上の、または容器に関連付けられたラベルは、組成物が選択した状態の治療に使用されることを示す。キットは、リン酸緩衝生理食塩液、リンゲル液、およびブドウ糖溶液などの薬学的に許容可能な緩衝液を有する第2の容器をさらに含んでもよい。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書を備えた添付文書など、商業的かつユーザーの観点から望ましい他の物品をさらに含んでもよい。
【0201】
抗体またはその抗原結合断片は、約100mg/mLまたは約200mg/mLの濃度など、約50mg/mL~約300mg/mL(例えば、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、160mg/mL、170mg/mL、180mg/mL、190mg/mL、200mg/mL、210mg/mL、220mg/mL、230mg/mL、240mg/mL、250mg/mL、260mg/mL、270mg/mL、280mg/mL、290mg/mL、または300mg/mL)の濃度で容器中に存在し得る。
【0202】
組成物は、約1.0mLまたは2.0mLの抽出可能容量を有する単回使用バイアル中で製剤化されてもよい。組成物は、約1.0mLの体積など、約0.1mL~約2.0mL(例えば、0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1.0mL、1.1mL、1.2mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.8mL、1.9mL、または2.0mL)の容量で製剤化することができる。
【実施例
【0203】
本開示を実施するための特定の態様の以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、いかなる方法でも本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0204】
抗CD40抗体KPL-404を使用して、異種移植拒絶反応のリスクを処置または低減(例えば、阻害または予防)することができ、治療は、追加の免疫抑制療法と併せて実施することができる。方法は、体液性および細胞性免疫応答反応を誘発することが知られている抗原の発現を排除する10個の遺伝子改変を含むように遺伝子操作されたブタ由来の心臓の移植を受けたヒヒを使用して、ブタ対ヒヒ同所性異種心臓移植モデルで実施された。
【0205】
動物モデル
体重15~30kgの従来のPapio aubisヒヒをスクリーニングして、目的の特異的病原体を除去し、レシピエントとして使用した。表2に記載される遺伝的性質を有する、体重が一致したドイツランドレースブタを、心臓ドナーとして使用した(Revivicor Inc.(バージニア州ブラックスバーグ)から供給)。同所性ブタ心臓移植をヒヒで行った。
【表2-1】
【表2-2】
【0206】
免疫抑制レジメン
レシピエントのヒヒに対する免疫抑制レジメンは、表3に示すように、導入療法および維持療法を含んでいた。導入免疫療法には、T細胞およびB細胞抑制のための抗胸腺細胞グロブリン(THYMOGLOBULIN(登録商標))、抗CD20抗体(RITUXAN(登録商標))、ならびにCD40/CD154副刺激経路を遮断するためのヒト化抗CD40抗体(KPL-404)、ならびに抗炎症薬トシリズマブおよびエタネルセプトが含まれる。C1エステラーゼ阻害剤(ベリナート)を使用して、補体活性化を阻害した。維持免疫療法には、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)および抗CD40抗体(KPL-404)、ならびに抗炎症薬トシリズマブおよびエタネルセプトの投与が含まれた。ヒヒは、活性凝固時間(ACT)レベルをベースラインの2倍に維持するために、持続的なヘパリン注入を受けた。ガンシクロビルを毎日投与して、サイトメガロウイルス(CMV)感染を予防した。他の薬剤としては、エポジェンおよびセファゾリンが挙げられる。
【表3】
【0207】
移植手技
移植が不可とみなされる解剖学的異常のない適切な心機能を確保するために、術前経胸壁心エコー図(TTE)を実施した。ドナーブタ心臓の調達は、導入時保存のためのXVIVO(著作権)心臓保護液(XHS)を有する30cc/kgの血液心筋保護液(XVIVO(著作権)灌流液(Gothenburg、Sweden))を使用して実施された。
【0208】
心臓の保存は、8℃のXHS心筋保護液を有するXVIVO(著作権)灌流系を使用して実施され、大動脈起始部における灌流圧20mmHgおよび生理学的pH(7.2~7.6)を維持した。生命維持異種心臓移植は、ヒヒレシピエントに大動脈-両大静脈心肺バイパス(CPB)を施した後に実施された。ドナーブタ異種移植片を、両心房吻合技術を使用した天然心臓外移植後に、同所性位置に置いた。
【0209】
結果
移植片機能は、テレメトリおよび定期的心エコー検査を介してモニタリングされた。血液検査を毎週実施し、トロポニン、ACT、化学的性質、およびCBCを測定した。心内膜心筋生検を定期的に行った。拒絶は、トロポニンレベルの上昇、テレメトリ上での圧力の低下、および心エコー検査での移植片機能の喪失によって決定された。ヒヒが麻酔されるたびに、または任意の理由のために、血液検査も実施された。存在する場合、拒絶は、組織学的検査および免疫組織化学検査によって評価された。
【0210】
上述の血液検査のために血液を採取するたびに、通常の方法に従って別の血液サンプルを採取し、薬物動態アッセイおよび抗薬物抗体(ADA)アッセイを使用する後の評価のために保存した。血液サンプルはまた、PKおよびADA分析について評価された。
【0211】
術後33日目の時点で、心機能のマーカーである心エコー図およびトロポニンレベルによって測定した結果、ヒヒは、移植拒絶反応の兆候なしに回復している。心エコー図は、正常機能を示し、トロポニン血漿レベルは正常であった。
【0212】
治療は、レシピエントヒヒにおけるT細胞を完全には消滅させなかった。ATGAM(登録商標)は、T細胞のレベルを、治療前のレベルの約10%まで低下させる。したがって、抗CD40処置およびミコフェノール酸モフェチル(MMF)処置の抗増殖剤を使用して、T細胞の細胞毒性などのT細胞機能を減弱させた(例えば、抗原提示細胞上のCD40遮断を介して)。同様に、THYMOGLOBULIN(登録商標)は、ヒトにおいて実施される同等の手技において、T細胞を約1~10%に縮小させることが予想される。したがって、移植(同種であろうと異種であろうと)を受けるヒト対象における抗CD40処置は、処置が対象におけるこれらの細胞を完全には切除しないことを考慮して、残りの任意のB細胞またはT細胞によって引き起こされる移植拒絶反応を軽減するであろうことが期待される。抗CD40治療はまた、B細胞およびT細胞還元剤治療が停止または漸減された後に、B細胞およびT細胞が再生し始めるため、移植拒絶反応を低減または阻害すると予想される。
【0213】
ヒヒは、高用量のKPL-404抗体(例えば、25~50mg/kg)を投与されたが、これは、移植拒絶反応のリスクを処置または低減するために必要と思われる量を超える過剰の抗体を確保するために行われた。したがって、移植拒絶反応のリスクの低減は、対象(例えば、約1mg/kg~約20mg/kg(例えば、5mg/kgまたは10mg/kg)の投与量など、25~50mg/kg未満の投与量のKPL-404を受けるヒト対象)において達成され得ることが理解されるであろう。
【0214】
B細胞数およびT細胞数を、移植後に評価した。図6A~6Cは、総血中リンパ球数に対する末梢血中のB細胞およびT細胞の各計数のパーセンテージを示し、図6D~6Fは、末梢血中のB細胞およびT細胞の絶対数を示す。これらのグラフは、移植時にT細胞が依然として動物に存在し、移植直後にT細胞数は経時的に着実に増加した一方で、B細胞数は移植後も低いままであり、これは可能性としては、B細胞枯渇抗体であるリツキシマブの作用に起因する。
【実施例2】
【0215】
本発明者らは、10個の個々の遺伝子編集を有する遺伝子改変ブタソース動物から心臓を移植された、従来の同種移植片を含む標準的な治療薬の候補なしに静動脈体外式膜型人工肺に依存する非虚血性心筋症を有する57歳の男性を記載する。免疫抑制は、CD40遮断に基づいた。患者はECMOから離脱することができ、急性両心室肥大および拡張不全を発症したとき、異種移植片は通常48日間機能した。支持器は、術後日数(POD)60日目に取り除かれた。剖検では、異種移植片は浮腫性であり、重量がほぼ2倍であった。組織学的検査により、微小血管血栓症の証拠なしに、散在性筋細胞壊死、間質性浮腫、赤血球の血管外漏出、および顕著な内皮核が明らかになり、典型的な移植拒絶反応と一致しなかった。
【0216】
患者は、慢性的な軽度の血小板減少症、高血圧、非虚血性心筋症(NICM)、および以前の僧帽弁修復を呈した。この患者は、左心室駆出分画率(LVEF)が10%の重度の心不全により入院が必要であった。この患者のケアは、複数の静脈内変力物質を含むように段階的に増大され、大動脈内バルーンポンプの装着は、入院日数(HOD)11日目に追加された。これにもかかわらず、患者は、蘇生を必要とする停止を伴う複数の心室性不整脈を患い、HOD23日目に末梢静動脈(VA)体外式膜型人工肺(ECMO)に緊急で取り付けられた。
【0217】
重度のサルコペニアおよび3週間の歩行不可能な状態のため、患者は同種移植または心室補助装置(VAD)の基準を満たしていなかった。また、心室性不整脈を伴う重度の両心室不全のため、VADの有効性についても懸念があった。単一の臓器不全を考慮して、患者は実験的な異種移植を検討された。両室不全にもかかわらず、患者は腎機能の保持を示し、軽度の低酸素症のための断続的な鼻カニューレのみを必要とした。移植前のICU経過は、副腎不全、胃腸出血、抗菌療法で除去された菌血症、および薬物誘発性白血球減少症にとって重要であった。患者は、遺伝子改変ブタソース動物から異種心臓移植を受けた。ヒト対象は、一般に、以下のプロトコルに従って、異種ブタ心臓移植片の移植を受けた。
【表4】

【表5】
【表6】
【0218】
方法
遺伝子操作されたブタソース動物
ブタは、Revivicor, Inc.によって供給され、10個の遺伝子編集を含む細胞株である線維芽細胞からクローン的に誘導され(例えば、米国特許第10,912,863号および同第11,179,496号ならびにUS 2018/0249688(それら各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、異種心臓移植片をヒトへの移植により適合させる。
【0219】
異種移植片の保存
ブタの心臓は、ソース動物から調達された。XVIVO系を使用した328gmのブタ心臓の非虚血性灌流は、114分間継続した。灌流液を摂氏8度に冷却した。これは、レシピエントとタイプ一致した1部のヒト血液と混合された4部のスティーン心臓用溶液から構成されていた。灌流を大動脈起始部において20mmHgに固定した。流量が148cc/分から194cc/分に増加したことから、冠動脈弛緩が示唆される。合計低温虚血時間は150分であった。インプラントは63分を必要とし、回路から採取されたXVIVO灌流液を用いた間欠的心停止のために3回中断された。大動脈遮断によって引き起こされるA型大動脈解離の修復のために、最初の心臓の蘇生後に13分の追加の循環停止時間を必要とした。第1および第2の循環停止と復温との両方の後、心臓は、心外膜ペーシングを一時的にのみ必要とする状態で、自発的に拍動し始めた。
【0220】
外科技術
【0221】
XVIVO系を、研究所の手術室から病院の手術室に移した。麻酔をかけた患者の再胸骨切開(redo sternotomy)は、ドナー心臓が送達されるまで遅延した。移植は、両房吻合術(biatrial anastomosis)を使用して実施され、その後、異種移植後に心肺バイパスから分離された。
【0222】
免疫抑制およびモニタリング
リツキシマブおよび抗胸腺細胞グロブリン(ATG)を、それぞれB細胞およびT細胞の枯渇に使用し、補体C1エステラーゼ阻害剤(ベリナート、King of Prussia, PA)を補体阻害に使用した。ヒト化モノクローナル抗体(KPL-404、Kiniksa Pharmaceuticals、Hamilton、Hamilton, Bermuda)を投与して、CD40共刺激を遮断した。パルス用量のメチルプレドニゾロン(1,000mg、異種移植日)も投与された。維持免疫抑制には、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、KPL-404、および短期間で漸減されたメチルプレドニゾロン(125mgから30mgへの漸減、毎日)が含まれていた。PBMCを、B(CD20+)およびT(CD3+)リンパ球について、フローサイトメトリーによってモニタリングした。KPL-404レベルを、ピーク、トラフ、および長手方向で経時的にモニタリングした。移植前、ドナー特異的IgMおよびIgG抗体レベルは許容可能に低かった。
【0223】
Phillips EPIQ CVx UltrasoundシステムおよびX5-1トランスデューサーを使用した連続経胸壁心エコー検査(TTE)を少なくとも週に2回実施して、異種移植片を綿密にモニタリングした。右心室の心内膜心筋生検(embx)および圧迫に対する右心カテーテルを、定期的な監視のために計画し、必要に応じて、臨床状態によって許可した。組織学的検査を、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色によって行い、免疫組織化学検査(IHC)を、embx検体上のCD3、CD20、CD68、CD3d、およびCD4dマーカーについて行った。
【0224】
トロポニンIの血清レベルを、長手方向に後続して行った。異種移植片由来セルフリーDNA(xd-cfDNA)を毎週採取し、CareDx(カリフォルニア州ブリスベン)によってオフサイト決定した。
【0225】
ドナー特異的抗体(DSA)アッセイ
非働化患者血清を、10GEソース動物の大動脈内皮細胞(pAEC)と一緒に4℃で2時間インキュベートした。未処置pAECを陰性アッセイ対照として使用した。高レベル(高ヒトレベル)および低レベル(低ヒトレベル)の抗非gal抗体を有することが知られている健康な対象由来の非働化血清サンプルは、対照としての役割を果たした。インキュベーション後、pAECをPBSで2回洗浄し、非特異的タンパク質結合部位を、10%正常ヤギ血清(Abcam、MA, USA)を用いて4℃で20分間遮断した。次いで、蛍光コンジュゲートされた(FITCまたはAlexa-Fluor 488)ヤギ抗ヒトIgMおよびIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories、PA, USA)を添加し(PBS中1:100の最終濃度)、4℃で60分間インキュベートさせた。インキュベーション後、pAECをPBSで2回洗浄し、再懸濁してフローサイトメトリー(BD Accuri C6 Plus、CA, USA)を行った。サンプル当たり1万個の事象を計数し、FlowJoソフトウェア(FlowJo LLC、OR, USA)を使用してサンプルを分析した。
【0226】
結果
臓器移植は成功し、対象は手術から回復し、手術の3日後に異種移植超急性拒絶反応または急性拒絶反応の兆候がないことが観察された。
【0227】
手術後、様々な分析を行った。術後の対象における動態の変化の結果として、上記の表4~6に対する投与プロトコルを、移植の前、移植中、および移植後に変更した。
【0228】
移植手術中、失血は3リットル超になると推定された(KPL-404は止血後に投与された)。術中に、セルセーバー1800cc(洗浄された濃厚赤血球)を投与した。注入された血液製剤には、注入された補体を説明するために、8単位のPRBC、4単位の血小板、6単位のFFP(注入された補体を明らかにする、追加のC1エステラーゼ阻害剤(ベリナート)を含む)、341ccのCryo、24mcgのデスモプレシン(DDAVP(登録商標))、および2226mgのフィブリノゲンが含まれていた(表7および8)。
【表7】
【表8】
【0229】
正味出力は3,767mL(合計入力13,997mL-合計出力10,230mL)であった。
【0230】
約4~5リットルのクリスタロイドを使用して、失われた再捕捉/赤血球を術中/周術期中に再懸濁および再注入した。1単位のクリオプレシピテート(余分なC1エステラーゼ阻害剤(ベリナート)の後状態(s/p)の予備FFP)、1単位のpRBC、および5単位の血小板を含む、追加の単位の外因性PRBCを術中および術後の輸液として与えた。術前および術後の両方のB細胞数およびT細胞数(および/またはリンパ球数)を、-1日目から7日目まで測定した(図1)。以下の投与量は、フローサイトメトリーのための血液サンプル採取の指定時点で対象に投与された各薬物の累積用量を示す:-1日目:導入前;0日目:s/p合計:リツキシマブ375mg/m;1日目:s/p合計:リツキシマブ375mg/mおよびs/p 1mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン;3日目:s/p リツキシマブ375mg/m、s/p 2mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン。末梢血流のフローサイトメトリー分析は、0日目までにB細胞の枯渇を示し(四分円3を参照)、3日目までにT細胞の枯渇を示した(四分円1を参照)。特に、この場合、ATGは手術後(1日目)まで投与されなかったため、0日目および1日目に、図1の四分円1に示されるように、T細胞は手術直後に依然として存在していた。B細胞は、大部分が末梢で切除されたが、移植拒絶反応に寄与し得るCD40の他の供給源が存在する。CD40は、抗原提示細胞(APC)を含むいくつかの他の細胞型上に存在し、これはT細胞の活性化および移植拒絶反応に寄与し得る。さらに、外科手術の結果としての血小板由来CD154(CD40L)放出は、この分子の任意の細胞源とは無関係に移植拒絶反応を開始するのに十分であり得る(Xu et al., J. Clin. Invest. 2006;116(3):769-774)。CD154は、CD40に結合する活性化T細胞上に発現される細胞表面分子であり、移植片拒絶反応を促進すると考えられているAPC上の活性化分子である。まとめて、これは、末梢B細胞および/またはT細胞の切除を受けた対象においてさえも、移植拒絶反応のリスクを減少させるCD40遮断の役割を支持する。処置された対象における移植拒絶反応、特に超急性拒絶反応および急性拒絶反応の非存在は、CD40遮断を媒介し、移植拒絶反応を軽減する上でのKPL-404の有効性を示す。
【0231】
心臓移植後に対象の胸部を閉じた日(2日目)に対象から抜去されたリンパ節についてフローサイトメトリー分析を実施した。胸部閉鎖時に、対象に投与された各薬物の累積用量は、以下の通りであった:s/p合計:リツキシマブ375mg/m、s/p 2mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン(図2)。特に、フローサイトメトリー分析は、2日目の胸部閉鎖の直前のリンパ節におけるB細胞(四分位3)およびT細胞(四分位1)の存在を示し、リツキシマブおよび抗胸腺細胞グロブリンが、細胞が血流中で枯渇したにもかかわらず、固形組織においてB細胞またはT細胞を完全に枯渇させなかったことを(予想通り)示唆する(図 1)。
【0232】
リツキシマブおよび抗胸腺細胞グロブリンは、KPL-404との比較として、以下のレジメンで投与された:
・-1日目 WBC 3、Plt 90~100 CD3:採取せず
・0日目WBC 3.2、Plt 65;手術室からの退出;s/pリツキシマブおよびKPL-404 -1日目
・1日目WBC 5.8、Plt 78;1mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン、開始MMF 500mg、1日2回
・2日目WBC 12.6、Plt 74;胸部閉鎖後、1mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン、スケジュールに従ってMMFおよびステロイド離脱を継続、CD3 23(絶対値)、CD4 17(絶対値)、CD8 <10
・3日目WBC 16.9、Plt 93;止血後、2mg/kgの抗胸腺細胞グロブリン、s/p胸部閉鎖および安心させる血小板、CD3絶対値<10、CD4絶対値<10、CD8<10
【0233】
KPL-404調製物については、各用量に9個のバイアルを使用し、850mg(10mg/kg)で8.5mlまで吸引した。
【0234】
ヘパリンは0日目に(30,000単位のボーラス)投与され、手術室を出る前に250mgのプロタミンが投与された。実行された部分トロンボプラスチン時間(PTT)は45~55秒であった。1.5×ULNを、ビバルルジン約0.06mcg/kg/分と共に過去3日間投与した。体外式膜型人工肺(ECMO)を4日目に取り外した。
【0235】
移植後、対象においてトロポニンレベルを測定した(図3)。トロポニンは、移植拒絶反応のバイオマーカーであり、損傷に応答して心臓の筋細胞によって放出される。対象は、術後に血清トロポニンIレベルの増加を示したが、これらのレベルはPOD24によってベースラインまで減少し、心臓が外科的手技から回復し、移植手技後に移植拒絶反応が生じなかったことが示唆される。トロポニンIレベルは、POD35までに増加し始めたが、抗体の兆候も急性細胞拒絶反応の兆候もなかったため、これは拒絶反応の結果ではないと思われることが、後に心内膜心筋生検(POD50)によって決定された(国際心臓肺移植学会(ISHLT)グレード0)。
【0236】
左心室駆出分画率(LVEF)は、術後の経過中にわたって、正常または筋力過多のままであった。左心室(LV)と右心室(RV)の厚さ、LV腔サイズ(LV拡張末期径)、および長軸方向グローバルストレイン(GLS)が変化した。LVの厚さは、基底心室中隔および後壁に沿って1.2~1.4cmで測定され、一方、RVは短軸像上1.0~1.1cmで測定された。GLSは、ベースラインで非常に適合していることが指摘され、GLSスコアは、造影剤なしで、-15~-22の範囲であった。
【0237】
POD34では、embxは拒絶反応の証拠を示さず、心臓は、5mmHgの右室圧、25/15mmHgの肺動脈圧、2.7の心係数(L/分/BSA)、および65%(Hgb 8.1gm/dL)の混合静脈飽和度を明らかにした。患者は、一切の心血管系補助なしでリハビリテーションすることができ、異種移植片は、拒絶反応の証拠なしに正常に機能した。
【0238】
POD43に、患者は、より傾眠状態になり、挿管され、低血圧を発症したが、これは、流体およびバソプレシン投与に応答した。胸部X線検査により、左下葉の虚脱および右肺の浸潤影の悪化が示唆された。気管支鏡検査により、持続的な予防にもかかわらず、右主気道および二次気道全体に、ウイルス性または菌性病因を示唆するびまん性の浅い潰瘍が明らかになった。気管支鏡所見、敗血症を示唆する臨床的低下、および重度の低ガンマグロブリン血症(総IgG 185mg/dL)を考慮すると、抗菌範囲は拡大しており、患者は1gm/kg IVIg(80gm)を投与された。抗ウイルス療法をガンシクロビルからシドホビルに変更した。これらの気道病変の生検を実施したが、ウイルス細胞変性効果もウイルス含有も一切示さず、GMS染色は陰性であった。約5日後に実施された反復気管支鏡検査では、びまん性気道潰瘍化の改善が示された。患者は最終的に、抜管され、室内リハビリテーションを再開した。
【0239】
POD49に、患者の血清乳酸は、4mg/dLから11.2mg/dLに増加した。患者は低血圧症になり、昇圧薬を必要とし、挿管された。患者は、先端チアノーゼを発症し、移植以来初めて心拍出量の低下が示唆された。患者は、陰性試験開腹術を受けた。新たに配置された肺動脈カテーテルは、33%の混合静脈飽和度を明らかにした。心エコー図は、65~70%のEFを明らかにしたが、LV壁の厚さ(1.7cm)の劇的な増加が観察され、RVの厚さ(1.4cm)が確認された。LV壁とRV壁の両方は、左室拡張末期容積および負荷条件とは無関係に、持続的に肥厚されたままであった。GLSは劇的により陽性となった。患者は、VA-ECMOによる生命維持を実行する間、再度カニューレを挿入された。
【0240】
心内膜心筋生検(POD50)は、抗体または急性細胞性拒絶反応を実証しなかった(国際心肺移植学会(ISHLT)グレード0)。赤血球の血管外漏出および浮腫を伴う巣状毛細血管損傷があった。毛細血管にはIgMよりも多くの抗体染色性IgGが存在していたが、C3dまたはC4dに対しては陰性であった。CD3+またはCD68+染色によるH&EまたはIHCのいずれにも、単一の虚血性筋細胞が存在し、細胞浸潤はなかった。トロポニンIは上昇しており(図9)、異種移植片特異的IgGのxd-cfDNAおよび血清レベル、ならびにより少ない程度でIgMがピーク形成していることも決定された。抗体介在性拒絶反応の非定型症例が疑われたため、血漿交換(5日間にわたって、最初に1.5倍血漿量の交換、続いて1.0倍血漿量の交換による3回の追加のセッション)、IVIg 1gm/kg(60gm)、補体阻害(ベリナート×2、エクリズマブ×1)、およびB細胞枯渇(リツキシマブ375mg/m2)による治療を開始した。患者は、ECMOのサポートを継続して受けた。
【0241】
56日目に、反復embxにより、ISHLT pAMR1(IgGおよびIgMの改善された毛細血管染色だが、現在はC4d染色が存在する)が明らかになった。間質性の赤血球の血管外漏出および浮腫の間隔減少があったが、embxは40%の筋細胞壊死を明らかにした。繰り返しになるが、細胞性拒絶反応の証拠はなかったが、C4d、IgG、およびIgMは弱陽性であり、非特異的結合を示していた可能性がある壊死性筋細胞の増加した領域(40%)でより顕著であった。顕著な筋細胞間浮腫内の赤血球および間質細胞の血管外漏出を伴う巣状毛細血管損傷があった。繰り返し心エコー図は、>70%のEF、正常なRV機能、および改善された長軸方向ストレイン(-19.2)を示した。二心室壁の肥厚はわずかに改善した。患者は、カテコールアミンの補助を必要とせずに、4.5L/分のVA-ECMOの流れから3L/分までゆっくりと離脱することができた。さらに、心エコー計は、壁厚またはGLSの改善を示さず、ECMOは2L/分未満で離脱することができなかった。
【0242】
異種移植片への不可逆的な損傷が観察され、支持器を思いやりに引き抜いた。心臓の予備剖検は、移植時の328gmから最大600gmまでの心臓重量の増加を明らかにした。心筋細胞は、線維症の薄い帯によって分離された中心核にて広い間隔で配置されていた。筋細胞の壊死が散在し、筋細胞の完全性の喪失とともに観察された。小口径血管は、顕著な内皮核を示した。赤血球は、血管外漏出と一致するパターンで、筋細胞間の間質空間全体にわたって散在していたことが観察された。この損傷をもたらす病態生理学的機構を特徴付けるために、追加の研究が進行中である。
【0243】
KPL-404の血清中濃度の測定
KPL-404の血清中濃度を、抗体の投与後に測定した(図4)。用量1(第1の導入用量の第1部)の後、血清中濃度は、後続の第2の用量(第1の導入用量の第2部)が投与される前に、約100μg/mLの最大(ピーク)濃度および約20μg/mLの最小(トラフ)濃度に達した。これは、正規化された血清中濃度が同様の時点で250μg/mL超であった以前の第I相試験とは対照的である。
【0244】
延長された時間経過を図5に示し、20μg/mLの最小KPL-404濃度が、移植拒絶反応を防止するのに十分であったことを示す。
【0245】
KPL-404の血清中濃度を、イムノアッセイを使用して決定した。KPL-404イムノアッセイは、捕捉抗原として抗ID抗体でコーティングされたプレートを用いた。較正標準および品質管理(QC)サンプルは、KPL-404の保存溶液を非希釈ヒト血清に希釈し、その後、非希釈ヒト血清で所望のKPL-404濃度まで連続希釈することによって調製される。調製されたキャリブレーター、品質管理サンプル、および試験用ヒト血清サンプルを、予めコーティングされたプレートに乗せる前に、アッセイ希釈剤を使用して、1:200の最低希釈倍率(MRD)まで希釈した。プレートをインキュベートして、サンプル中に存在するKPL-404が標的に結合することを可能にし、続けて、洗浄して非結合物質を除去した。次いで、マウス抗Hu IgG4 pFc HRPをプレートに添加して、KPL-404に結合させた。プレートをさらにインキュベートし、次いで洗浄して非結合物質を除去した。次いで、TMB基質をプレートに添加し、次いで、1N HSOを添加することによって反応を停止した。プレートを、SPECTRAMAX(登録商標)Plus 384(検出には450nm、バックグラウンドには650nmで)マイクロプレートリーダーを使用して、即座に読み取った。較正標準から得られたOD値(450nmでの検出ODから650nmでバックグラウンドODを差し引いた値)を、1/y2を用いた4-PLロジスティック方程式を使用して適合させ、品質管理サンプルおよび試験サンプル中のKPL-404濃度を計算した。
【0246】
この方法の較正曲線範囲は、100%ヒト血清中で8000ng/mL~80.0ng/mLであった。100%ヒト血清中の10000ng/mLおよび40.0ng/mLでのアッセイの評価範囲外のキャリブレーターは、曲線適合を促進するためのアンカーポイントとして含まれ得る。
【0247】
60日間にわたる最新の延長された時間経過を図7に示し、この時点では、対象に移植拒絶反応の兆候は観察されなかった。図7に示される時間に対応する治療的投与の時間経過を表9に提供する。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【0248】
図7の点線は、(例えば、図5に示す)KPL-404の濃度の元の計算に対応する。アッセイにおけるわずかな不一致のため、これらのサンプルを、同じプロトコルを使用して再実行したが、異なる機械で再実行した。再分析の結果を実線で示す。全体的な傾向は点線と実線で類似しているが、ピークにわずかな変化がある。不一致の一つの仮説としては、元のアッセイは感受性が低く、したがって、実際に存在していたよりも高度の読み出しをもたらしたという可能性がある。
【0249】
図7に示すように、44日目に、対象を胸腔穿刺で処置して胸水を除去し、これにより、KPL-404抗体レベルが約100μg/mLに低下した。対象の肺から1.6Lの胸水が採取された。胸水中に存在するKPL-404の濃度は、予想外なことに、対象の血漿中に存在する濃度とほぼ同じであった。51、53、および54日目に、対象は血漿交換を受け、血漿を、対象の残りの血液成分から分離した。血漿を除去し、したがって、KPL-404抗体レベルの約50~75μg/mLへの低下をもたらした。
【0250】
B細胞数およびT細胞数を、移植後に評価した。図8Aおよび図8Bは、総血液リンパ球数に対する末梢血中のB細胞数およびT細胞数のパーセンテージを示す。これらのグラフは、移植時にT細胞が依然として対象に存在し、移植直後、T細胞数が経時的に着実に増加したことを示す。対照的に、B細胞数は、可能性としてB細胞枯渇抗体であるリツキシマブの作用に起因して、移植後も低いままであった。CD40ベースの免疫調節レジメンおよび遺伝子改変異種移植片の使用は、術直後の期間における超急性拒絶反応を回避した。さらに、異種移植片の心内膜心筋生検は、急性細胞性拒絶反応を示さなかった。抗体介在性拒絶反応は、POD 56の穏やかなC4d染色(無傷心筋、単細胞浸潤、および線維症による心筋肥厚を伴う内皮炎のIgM/IgG染色およびC4d染色を含む)を除いて、ISHLT基準によって検出されなかった。ヒト以外の霊長類の研究では、微小血栓、大量の細胞内出血、濃縮した核を有する筋細胞壊死、および不定期の細胞浸潤が、抗体介在性拒絶反応を有する異種移植片に一般的に存在し、これはこの場合には存在しなかった。予備的剖検では、異種移植および連動する治療に関連する心臓外の病理の証拠は観察されなかった。
【0251】
IVIgは、患者の術後経過中に2回投与された(図7および表9)。POD43の初回投与は、感染性の懸念のためのものである。POD 50の2回目の投与は、最初の治療用血漿交換後の、推定される抗体介在性拒絶反応の治療のためのものである。特に、両方の投与は、レシピエントドナー特異的IgGの増加と一致し、より少ない程度のIgMと一致した。この時点では、IVIgが異種移植毛細血管損傷に寄与したかどうかは不明である。単一の報告では、IVIgは、インビトロまたはインビボでブタ異種組織に対する補体依存性細胞傷害性を有することは示されていない(Yamamoto et al., Sci Rep 2020;10(1):11747)。しかしながら、ドナー特異的細胞への結合は、本発明者らのものを含む2か所の研究所で観察された。将来、IVIgが必要とみなされる場合、ロットを試験して、最小限の異種移植片特異的抗体介在性細胞傷害性を示すロットを選択するべきである。
【0252】
異種移植片および動物疾患の両方の術後モニタリングを、従来の臨床モニタリングを使用して実施し、新規の高感受性cfDNAアッセイを含めた。また、長軸方向異種移植片特異的抗体アッセイも使用して、誘発されたドナー特異的抗体応答の検出を補助した。これらの結果は、ソース動物の大動脈内皮細胞の細胞培養物の増殖、これらの細胞の、レシピエント血清とのインキュベート、およびフローサイトメトリーによる抗体結合の分析に依存するため、概して1週間遅延した。ポイントオブケアトロポニンI試験が、データが瞬間的であり、NHP研究によって事前に検証されていたため、主な早期異種移植片損傷を検出するのに最も有用であった(図 9)。
【0253】
ドナー脾臓は、pCMVについて陽性であり、ドナーがpCMVに潜伏感染した可能性が高いことを示した。レシピエントPBMCも陽性であった。血漿mcf-DNAおよび/またはPCR検査を介したpCMVの検出が、1)異種移植片におけるウイルスの複製、または2)レシピエントにおけるウイルスの複製、または3)異種移植片からの遺伝物質の脱落を表すかどうかは不明である。NHPレシピエントから体外移植された異種移植片におけるpCMVの存在は、pCMVを有しないものよりも不良な転帰と相関しているが、その理由は現在不明である(Denner et al.,Sci Rep 2020;10(1):17531)。ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)もこの患者の肺洗浄で検出されたため、さらなるウイルス試験が必要である。HHV6は、pCMVと交差反応することが示されており、HHV6は、同種移植拒絶反応の有意な原因である(Gu et al., Virology 2014;460-461:165-72;およびFiebig et al., Viruses 2017;9(11):317)。
【実施例3】
【0254】
ヒト対象は、同種肝移植のために選択される。対象は、移植前(例えば、移植前1~24時間以内)に、125mgのメチルプレドニゾロン、10mg/kgのリツキシマブ、20U/kgのC1エステラーゼ阻害剤、および10mg/kgのKPL-404を含む治療薬のレジメン(例えば、導入療法)で投与されてもよい。
【0255】
対象は移植を受け、手術中に1000mgのメチルプレドニゾロンを投与されてもよい。移植後に対象が止血に達したら、対象は、10mg/kgのKPL-404、20U/kgのC1エステラーゼ阻害剤、および2mg/kgの抗胸腺細胞グロブリンを含む治療薬のレジメン(例えば、維持療法)も受けてよい。
【0256】
翌日(手術の24時間後)、対象は、20U/kgのC1エステラーゼ阻害剤および2mg/kgの抗胸腺細胞グロブリンを含む追加の治療薬のレジメンを受けてもよい。
【0257】
移植の1週間後から開始して、対象は、10mg/kgの投与量(例えば、2週間または3週間に少なくとも1回分の用量)でKPL-404の定期的な静脈内注入を受けてもよい。対象の血液を定期的に分析して、対象のKPL-404の血清中濃度を測定する。対象のKPL-404の血清中濃度が150μg/mLの10%以内(すなわち、165μg/mL未満に低下する)である場合、KPL-404の維持用量を静脈内投与して、対象のKPL-404血清中濃度をブーストしてもよい。維持投与間の時間は、対象のPKプロファイル、ならびにKPL-404のピーク値およびトラフ値に基づいて経験的に決定され得る。
【実施例4】
【0258】
ヒト対象は、異種腎臓移植のために選択される。腎臓移植は、移植前、移植時、または移植直後に開始された生物学的リンパ球除去剤を用いた導入療法を含み得る。例えば、対象は、例えば、Yin et al. Chin. Med. J. 124:1928-1932, 2011、またはAmer. J. Transplantation, 9: Suppl 3, 2009, S1-155(その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される、リツキシマブおよび抗胸腺細胞グロブリン療法を含む、免疫抑制の標準ケアによって治療されてもよい。対象は、移植前(例えば、移植前1~24時間以内)に、B細胞および/またはT細胞除去剤を含む治療薬のレジメン(例えば、導入療法)で投与されてもよい。B細胞除去剤またはT細胞除去剤の投与後、対象は、1~20mg/kg(例えば、5mg/kgまたは10mg/kg)のKPL-404の第1の導入用量(すなわち、コンディショニング用量)を皮下または静脈内投与されてもよい。対象は、手術中の移植中に1種以上の追加の薬剤(例えば、メチルプレドニゾロン(例えば、約1000mg))を投与されてもよい。
【0259】
移植後、対象が止血に達したら、対象はまた、1~20mg/kg(例えば、5mg/kgまたは10mg/kg)のKPL-404の第2の用量(例えば、導入用量)と、任意選択的に20U/kgのC1エステラーゼ阻害剤および/またはT細胞除去剤とを皮下投与または静脈内投与されてもよい。
【0260】
翌日(手術の24時間後)、対象は、T細胞除去剤を含む追加の治療薬のレジメンを任意選択的に受けてもよい。
【0261】
対象はまた、1~24時間の間隔で投与される1~20mg/kg(例えば、用量当たり5mg/kgまたは10mg/kg)の少なくとも2回分の用量の分割用量として、または1~20mg/kg(例えば、用量当たり5mg/kgまたは10mg/kg)の単回分の未分割用量としてのいずれかで、手術の2~10日後に投与されるKPL-404の第2の導入用量の静脈内投与または皮下投与を受けてもよい。KPL-404のPKが対象において複製可能または予測可能になるまで(対象の血液、血漿、または血清中のKPL-404濃度の定期的な測定によって決定される)、KPL-404のCトラフを治療レベル以上に維持するために、必要に応じて、追加の導入用量のKPL-404が対象に送達される。
【0262】
対象の血液、血漿、または血清中のKPL-404のPKが複製可能または予測可能になれば、対象は、10mg/kgの投与量(すなわち、維持用量、例えば、1、2、または3週間に少なくとも1回分の用量)でKPL-404の定期的な静脈注入を受けることができる。任意選択的に、対象の血液は、KPL-404の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度を測定するために定期的に分析される。対象のKPL-404の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度が、10μg/mLの10%以内(すなわち、11μg/mL未満に低下する)である場合、KPL-404の維持用量を静脈内投与して、対象のKPL-404の血中濃度、血漿中濃度、または血清中濃度をブーストしてもよい。維持投与間の最適な時間は、対象のPKプロファイル、ならびにKPL-404のピーク値およびトラフ値に基づいて経験的に決定され得る。
【0263】
対象のトロポニンレベルを定期的に測定して、移植拒絶反応のレベルを決定することができる。トロポニンレベルが増加する場合、対象は、本明細書にさらに記載されるように、KPL-404の注入液または増加した投与量のKPL-404を投与されてもよい。
【0264】
その他の実施形態
【0265】
本発明の特定の態様を説明し、例示してきたが、こうした態様は、本発明の例示のみであり、添付の特許請求の範囲に従って解釈される本発明を限定するものとみなされるべきではない。
【0266】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が、全ての目的について参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、全ての目的についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。前述の発明は、理解の明瞭化の目的で例示および実施例によってある程度詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正を行うことができることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図9
【配列表】
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【国際調査報告】