(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】表面プラズモン共鳴イメージングによって生物学的対象を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/41 20060101AFI20250117BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G01N21/41 101
G01N33/543 595
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541136
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2023050532
(87)【国際公開番号】W WO2023135163
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522013153
【氏名又は名称】アリベール
(71)【出願人】
【識別番号】510325651
【氏名又は名称】コミサリヤ ア レネルジ アトミク エ ウ エネルジ アルタナティブ
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】519077687
【氏名又は名称】ウニベルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ-カシアナ アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】シリル エルリエ
(72)【発明者】
【氏名】サミ スリマニ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンシア ホ-ブロティン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ モロー
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー リバチェ
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059BB13
2G059BB14
2G059CC16
2G059DD12
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ11
2G059JJ19
2G059KK04
(57)【要約】
本発明は、官能化表面(5)がガスに曝露されたときに、官能化表面(5)上にプラズモン共鳴を生成するように構成された光学測定装置(10)を備えるSPRイメージング検出システム(1)によって、生物学的対象を検出するための方法に関し、本方法は、官能化表面(5)を、生物学的対象を含有する水性キャリア液体から形成された目的の試料に曝露することによる、同化ステップと、官能化表面(5)と接触している液体を除去し、生物学的対象を含有しないガスにその表面を曝露するステップであって、当該対象が、官能化表面(5)の感応部位のリガンドに結合したままである、ステップと、感応部位の画像を取得するステップと、取得された画像から生物学的対象を検出するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン共鳴イメージング検出システム(1)によって生物学的対象を検出するための方法であって、前記表面プラズモン共鳴イメージング検出システム(1)が、生物学的対象に結合するように適合されたリガンドから形成された少なくとも1つの感応部位を有する官能化表面(5)と、前記表面がガスに曝露されたときに、前記官能化表面(5)で表面プラズモン共鳴を生成するように構成され、前記感応部位の画像を取得するように適合された、光学測定装置(10)と、を備え、前記方法が、
○前記生物学的対象を含有する水性キャリア液体から形成された目的の試料に前記官能化表面(5)を曝露し、次いで、前記生物学的対象が前記リガンドに結合することを含む、同化ステップと、
○前記光学測定装置(10)によって前記感応部位の画像を取得するステップと、
○取得された前記画像から生物学的対象を検出するステップと、を含み、
○前記方法が、前記同化ステップと前記取得ステップとの間に実行される、前記官能化表面(5)と接触している前記液体を除去し、前記官能化表面(5)を、前記生物学的対象を含有していないガスに曝露するステップを含み、前記生物学的対象が前記リガンドに結合したままであり、次いで、前記生物学的対象が前記リガンドに結合し、前記ガスが前記官能化表面(5)と接触している間に、前記取得ステップが実行されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記生物学的対象が、前記検出システム(1)の所定の空間分解能よりも小さく、好ましくは最大200倍小さい、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記生物学的対象が、50nm~50μmのサイズを有する、請求項1又は2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記検出システム(1)が、少なくとも5μmの空間分解能を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項5】
前記同化ステップと前記除去ステップとの間に実行される、前記官能化表面(5)を少なくとも1つの液体でリンスするステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項6】
前記同化ステップ中に、前記目的の試料を担持する前記液体が、連続相又は分散相にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項7】
前記除去ステップ中に、前記ガスが、少なくとも50%の相対湿度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項8】
前記生物学的対象が、ウイルス粒子、バクテリオファージ、細菌及びそれらの胞子、古細菌、顕微鏡的真菌及びそれらの胞子、単細胞原生動物、血液又は非循環細胞、循環小胞、エキソソーム、花粉、少なくとも1つのリガンド又は生物学的タンパク質が結合する合成粒子を含む生物学的対象から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、表面プラズモン共鳴イメージング検出システムを使用して生物学的対象を検出することである。生物学的対象は、特に検出システムの空間分解能に関して、小さく、例えば、100ナノメートル~数マイクロメートル程度であり得る。
【背景技術】
【0002】
生物学的対象、特に、ウイルス又は細菌のような微生物などの小さなものを検出する能力は、特に、ヘルスケア部門、並びに農業食品及び環境部門においてますます重要な問題となっている。このような生物学的対象の検出は、表面プラズモン共鳴イメージング(Surface Plasmon Resonance Imaging、SPRi)検出システムを使用して実行することができ、これは、生物学的対象が現像液で予め標識されていない無標識検出技術であるという利点を有する。
【0003】
表面プラズモン共鳴は、波長、偏光、及び入射角の特定の条件下で、光シグナルが金属-誘電体界面を照射すると生じる。この界面は、プリズムの表面上の薄い金属層によって、及び分析物を含有する流体によって形成され得る。それは、分析物に特異的に結合するように適合されたリガンドを含むことができ、したがって、官能化表面を形成する。これらの条件が満たされると、金属層の表面上の自由電子が入射光子を吸収し、それらを表面プラズモン波に変換する。これらのプラズモン共鳴の条件は、具体的には、金属層の表面での屈折率に依存する。したがって、リガンドと分析物との間で吸着/脱着相互作用が生じる場合、屈折率が変化し、プラズモン共鳴条件が改変される。これにより、標識を必要とせずに、吸着/脱着相互作用をリアルタイムで監視することが可能になる。
【0004】
図1Aは、具体的には、文書国際公開第2018/158458(A1)号に記載されている先行技術の例によるSPRイメージング検出システム1の概略部分図である。それは、プリズム4の1つの面上に位置し、吸着によって液体試料中に存在する生物学的対象を捕捉するように適合された複数の感応部位を含む官能化表面5と、感応部位の画像を取得するように適合された光学測定装置10とを備える。これはまた、例えば、光学測定装置10によって供給される画像に基づいて、生物学的対象の存在を検出するための処理ユニット6を含む。液体試料を官能化表面5と接触させるために、流体管理装置(図示せず)が提供され得る。光学測定装置10は、光源11と、光造形装置(ここではコリメートレンズ12及び偏光子13によって形成される)と、光学イメージング装置14と、マトリックス光検出器15(画像センサ)と、を備える。
【0005】
図1B及び
図1Cは、官能化表面5の一例の概略部分図、斜視図(
図1B)、及び断面図(
図1C)である。ここで、官能化表面5は、プリズム4の1つの面を被覆する金属層3の表面である。生物学的対象を吸着するように適合されたリガンドは、いくつかの別個のゾーンに配置され、次いで、これらのゾーンは、官能化表面5の感応部位(又はプローブ)を形成する。リガンドは、同一であってもよく、又は感応部位ごとに異なっていてもよい。
【0006】
図1Dは、SPR曲線の例を示す。すなわち、ここでは、いわゆる反射率照合の文脈における、官能化表面上の励起シグナルの入射角θの関数としての反射率Rの進展を示す。光源は、作用角θ
Rとして知られる入射角で感応部位を照射する励起シグナルを発し、表面プラズモンを生成することを可能にし、したがって、検出システムの感度を最適化する。反射率R、すなわち、受信された測定シグナルの強度と発された励起シグナルの強度の比が決定される。反射率Rの値は、官能化表面の光学指数に局所的に依存する。光学指数は、次に、生成される表面プラズモンと吸着された物質の量(リガンドとの吸着/脱着相互作用の結果として経時的に変化する)とに依存する。
【0007】
図1Eは、反射率Rの時間的進展(センサグラムとも呼ばれる)の例を示す。光学測定装置は、官能化表面が液体に曝露されたときに、官能化表面で表面プラズモン共鳴が生成されるように予め構成されている(いわゆる液相構成又は「液体モード」)。作用角θ
Rは、検出システムの感度が最適となる角度範囲で定義される。第1のステップでは、参照液体、例えば、生物学的対象を含有しない緩衝溶液が注入される。次いで、反射率Rは、初期値R
iを有する。第2のステップでは、今や生物学的対象を含有する緩衝溶液から形成された液体試料が注入される。次いで、後者は、吸着によってリガンドに結合し、感応部位の表面での光学指数の変動を引き起こし、定常値R
fへの反射率の増加をもたらす。次いで、吸着された生物学的対象は、誘導反射率ΔRの変動の値によって特徴付けることができる。
【0008】
しかしながら、生物学的対象の検出は特に困難であり、特に、感度及び空間分解能に関して高性能検出システムの使用を必要とするようである。実際、生物学的対象は、それらを含有する緩衝溶液の屈折率に近い屈折率を有する可能性がある。これは、検出システムが高感度でなければならないことを意味する。加えて、それらは、例えば、ミクロン程度と小さい可能性があるため、官能化表面上に吸着された個々の生物学的対象を検出することを困難にし、検出システムが高い空間分解能を有することを必要とする。
【0009】
Laplatine et al.によるSpatial resolution in prism-based surface plasmon resonance microscopy,Opt.Express 22(19)22771-22785(2014)と題する論文は、空間分解能が、プラズモン波の伝搬長に依存するが、プリズムにおける光シグナルの伝送に関連する光学収差にも依存することを示している。それは、最適化されたプリズム、拡大レンズを含むイメージングシステム、並びに走査処理及び画像処理による画像面再構成の使用によって、空間分解能のために最適化された検出システムを提案する。次いで、得られる空間分解能は、広い観察視野にわたって、プラズモン波の伝搬方向に対してそれぞれ垂直な軸及び平行な軸に沿って1.7μm及び2.8μmに等しい。
【0010】
更に、Boulade et al.によるEarly detection of bacteria using SPR imaging and event counting:experiments with Listeria monocytogenes and Listeria innocua,RSC Adv.,2019,9,15554と題する論文は、プラズモン波の伝搬方向に平行な軸に沿って6μm程度の最適化された空間分解能を有するSPR検出システムの使用を記載している。細菌の検出は、空間分解能の大きさ程度のサイズで、吸着された各細菌を同定することを可能にするように行われる。
【0011】
結果として、検出システムの空間分解能のために、SPRイメージングによる小さな生物学的対象の検出には問題がある。したがって、広い観察視野(例えば、1~100mm2)を維持しながら空間分解能を最適化するために複雑化した検出システムに頼る必要がなく、感応部位に吸着されたありとあらゆる生物学的対象を検出すること(具体的には、これらの生物学的吸着事象を計数すること)ができる必要がある。また、空間分解能に関して小さいサイズの生物学的対象を検出することができることも必要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、先行技術の欠点を少なくとも部分的に克服することであり、より詳細には、空間分解能を最適化するために複雑な検出システムに頼る必要がないという意味で、従来のSPRイメージング検出システムを使用して生物学的対象を検出する方法を提供することである。検出方法はまた、空間分解能に関して小さいサイズの生物学的対象を同定するために使用され得る。
【0013】
この目的のために、本発明の目的は、表面プラズモン共鳴イメージング検出システムによる検出方法であり、生物学的対象に結合するように適合されたリガンドから形成された少なくとも1つの感応部位を有する、官能化表面と、当該表面がガスに曝露されたときに官能化表面で表面プラズモン共鳴を生成するように構成され、感応部位の画像を取得するように適合された、光学測定装置と、を備える。本方法は、
-生物学的対象を含有する水性キャリア液体から形成された目的の試料に官能化表面を曝露し、次いで、生物学的対象がリガンドに結合することを含む、同化ステップと、
-光学測定装置によって感応部位の画像を取得するステップと、
-取得された画像から生物学的対象を検出するステップと、を含む。
【0014】
本発明によれば、本方法は、同化ステップと取得ステップとの間に実行される、官能化表面と接触している液体を除去し、生物学的対象を含有しないガスに官能化表面を曝露するステップを含み、生物学的対象が、リガンドに結合したままであり、次いで、取得ステップが、生物学的対象がリガンドに結合し、ガスが官能化表面と接触している間に実行される。
【0015】
この検出方法のいくつかの好ましいが非限定的な態様は、以下のとおりである。
【0016】
生物学的対象は、検出システムの所定の空間分解能よりも小さく、好ましくは最大200倍小さくすることができる。
【0017】
生物学的対象は、50nm~50μmのサイズであり得る。
【0018】
検出システムは、少なくとも5μmの空間分解能を有し得る。
【0019】
検出方法は、同化ステップと除去ステップとの間に実行される、少なくとも1つの液体で官能化表面をリンスするためのステップを含み得る。
【0020】
流体注入ステップ(同化ステップ)の間、目的の試料を担持する液体は、連続相又は分散相であり得る。
【0021】
除去ステップ中、ガスは、少なくとも50%の相対湿度を有し得る。
【0022】
生物学的対象は、ウイルス粒子、バクテリオファージ、細菌及びそれらの胞子、古細菌、顕微鏡的真菌及びそれらの胞子、単細胞原生動物、血液又は非循環細胞、循環小胞、エキソソーム、花粉、少なくとも1つのリガンド又は生物学的タンパク質が結合する合成粒子を含む生物学的対象から選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の他の態様、目的、利点、及び特徴は、非限定的な例として与えられ、添付の図面を参照して行われる、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1A】既に説明した、先行技術の例によるSPRイメージング検出システムの部分概略断面図である。
【
図1B】既に説明した、
図1Aの検出システムの官能化表面の斜視図及び断面図の概略部分図である。
【
図1C】既に説明した、
図1Aの検出システムの官能化表面の斜視図及び断面図の概略部分図である。
【
図1D】既に説明した、SPR曲線の例、すなわち、励起シグナルの入射角θの関数としての反射率Rの変化を示す。
【
図1E】既に説明した、検出システムの光学測定装置の「液体モード」での予備構成中の、及び生物学的対象の検出方法の同化ステップ中のセンサグラム(すなわち、反射率Rの時間的進展)の例を示す。
【
図2】一実施形態による検出方法で使用される検出システムの部分概略図である。
【
図3A】各々、「液体モード」における光学測定装置の事前構成中(
図3A)の、及び空間分解能のために最適化された検出システムを使用する必要がある検出方法の同化ステップ中(
図3B)の、官能化表面及びSPR曲線(この例では、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図3B】各々、「液体モード」における光学測定装置の事前構成中(
図3A)の、及び空間分解能のために最適化された検出システムを使用する必要がある検出方法の同化ステップ中(
図3B)の、官能化表面及びSPR曲線(この例では、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図4A】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図4A)で構成された、第1の実施形態による検出方法の異なるステップ、すなわち、同化ステップ(
図4B)、リンスステップ(
図4C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図4D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図4B】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図4A)で構成された、第1の実施形態による検出方法の異なるステップ、すなわち、同化ステップ(
図4B)、リンスステップ(
図4C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図4D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図4C】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図4A)で構成された、第1の実施形態による検出方法の異なるステップ、すなわち、同化ステップ(
図4B)、リンスステップ(
図4C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図4D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図4D】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図4A)で構成された、第1の実施形態による検出方法の異なるステップ、すなわち、同化ステップ(
図4B)、リンスステップ(
図4C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図4D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図5A】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図5A)で構成された、第2の実施形態による検出方法の様々なステップ、すなわち、同化ステップ(
図5B)、リンスステップ(
図5C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図5D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図5B】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図5A)で構成された、第2の実施形態による検出方法の様々なステップ、すなわち、同化ステップ(
図5B)、リンスステップ(
図5C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図5D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図5C】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図5A)で構成された、第2の実施形態による検出方法の様々なステップ、すなわち、同化ステップ(
図5B)、リンスステップ(
図5C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図5D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図5D】各々、空間分解能に関して標準的な性能を有し、ここでは「ガスモード」(
図5A)で構成された、第2の実施形態による検出方法の様々なステップ、すなわち、同化ステップ(
図5B)、リンスステップ(
図5C)、並びに検出画像の除去及び取得のステップ(
図5D)についての検出システムに関連する、官能化表面及びSPR曲線(ここでは、局所屈折率nの関数としての反射率Rの進展)を示す。
【
図6A】第1の実施形態による検出方法の異なるステップ中、すなわち、同化ステップ前(
図6A)、同化ステップ後のリンスステップ中(
図6B)、並びに除去及び検出画像の取得ステップ中(
図6C)に取得された画像を示し、ここで、生物学的対象は、SARS-CoV-2ウイルス粒子である。
【
図6B】第1の実施形態による検出方法の異なるステップ中、すなわち、同化ステップ前(
図6A)、同化ステップ後のリンスステップ中(
図6B)、並びに除去及び検出画像の取得ステップ中(
図6C)に取得された画像を示し、ここで、生物学的対象は、SARS-CoV-2ウイルス粒子である。
【
図6C】第1の実施形態による検出方法の異なるステップ中、すなわち、同化ステップ前(
図6A)、同化ステップ後のリンスステップ中(
図6B)、並びに除去及び検出画像の取得ステップ中(
図6C)に取得された画像を示し、ここで、生物学的対象は、SARS-CoV-2ウイルス粒子である。
【
図7A】第1の実施形態による検出方法の一部として取得された検出画像を示し、ここで、生物学的対象は、SARS-CoV-2ウイルス粒子である。
【
図7B】リガンドが異なるタイプである感応部位を示す。
【
図7C】リガンドが異なるタイプである感応部位を示す。
【
図7D】リガンドが異なるタイプである感応部位を示す。
【
図8A】各々、異なる種類の生物学的対象、すなわち、修飾ポリスチレンビーズ(
図8A)、SARS-CoV-2ウイルス粒子(
図8B)、及び細菌(
図8C)についての、第1の実施形態による検出方法の一部として取得された検出画像の感応部位を示す。
【
図8B】各々、異なる種類の生物学的対象、すなわち、修飾ポリスチレンビーズ(
図8A)、SARS-CoV-2ウイルス粒子(
図8B)、及び細菌(
図8C)についての、第1の実施形態による検出方法の一部として取得された検出画像の感応部位を示す。
【
図8C】各々、異なる種類の生物学的対象、すなわち、修飾ポリスチレンビーズ(
図8A)、SARS-CoV-2ウイルス粒子(
図8B)、及び細菌(
図8C)についての、第1の実施形態による検出方法の一部として取得された検出画像の感応部位を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面及び残りの説明では、同じ参照符号は、同一又は類似の要素を表す。加えて、様々な要素は、明確にするために、一定の縮尺で示されていない。更に、様々な実施形態及び変形形態は、互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができる。別段の指示がない限り、「実質的に」、「およそ」、「程度」という用語は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。更に、「~と~との間」という単語及び均等物は、特に明記しない限り、境界値が含まれることを意味する。
【0025】
図2は、既に簡単に説明した
図1A及び
図1Bに関連して、一実施形態による検出方法の一部として使用される検出システム1を示す。したがって、検出システム1は、ここでは測定チャンバ2内に位置する官能化表面5、光学測定装置10、場合によっては処理ユニット6、及び場合によっては流体管理装置20を備える。
【0026】
以下でより詳細に説明するように、本発明に記載の検出方法は、特に、空間分解能に関して標準的な性能を有する検出システム1の使用を可能にし、官能化表面5上に吸着された生物学的対象の各々の検出を、それらが空間分解能よりもサイズが小さい場合であっても可能にする。次いで、吸着された生物学的対象を計数し、存在する様々なリガンドに対するそれらの親和性に関して特徴付けることができる。
【0027】
空間分解能は、検出システム1によって区別することができる官能化表面上の2点間の最小距離として定義される。具体的には、それは、プラズモン波の伝搬長Lxによって、及び光学測定装置10のプリズムを通る光学シグナルの伝送に関連する任意の光学収差によって制限される。標準的な検出システムは、一般に、約5~10μmの空間分解能を有する。これらのSPRイメージング検出システムは、上述のLaplatine et al.(2014)による論文に記載されているように、空間分解能のために最適化することができ、したがって、数ミクロン程度の空間分解能を提供する。本発明に従って実装される検出方法は、そのサイズが空間分解能よりもはるかに小さい可能性がある生物学的対象を検出することが目的であっても、標準的な検出システムの使用を可能にする。
【0028】
ここで検出される生物学的対象は、完全又は不完全なSARS-CoV-2などのウイルス粒子、バクテリオファージ、細菌、細菌胞子、古細菌、顕微鏡的真菌(酵母及びカビ)及びそれらの胞子、単細胞原生動物、血液又は非循環細胞、循環小胞、エキソソーム、花粉などの天然の生物学的対象、リガンド又は生物学的タンパク質で装飾されたナノ粒子又はマイクロ粒子(例えば、抗体で被覆されたビオチン化粒子)などの合成の生物学的対象である。それらは、植物、動物、又はヒト起源の原核生物又は真核生物、単細胞生物又は多細胞生物であり得る。微生物は生きていてもよく、すなわち、増殖することができる。
【0029】
生物学的対象は、数十ナノメートルから数十ミクロン程度、例えば、約50nm~約50μm、例えば、100nm~10μmのサイズを有し得る。生物学的対象のサイズは、その最大寸法、例えば、それが円形の形状を有する場合はその直径、又はそれが細長い形状を有する場合はその大きい寸法として定義される。サイズは、ウイルスの場合は100ナノメートル程度であり得、細菌の場合はマイクロメートル程度であり得る。
【0030】
生物学的対象のサイズは、検出システム1の空間分解能よりも小さくても、ほぼ等しくても、又は更に大きくてもよい。好ましくは、生物学的対象は、空間分解能よりも小さいサイズを有し、好ましくは最大200倍小さい、又は最大100倍小さい、又は更に最大50倍若しくは10倍小さい。例として、(プラズモン波の伝搬軸に沿って)約10μmに等しい空間分解能の場合、生物学的対象のサイズは、約50nm~10μm、好ましくは100nm、200nm、500nm、1μm...、及び10μmであり得る。以下に詳述するように、生物学的対象のサイズが空間分解能よりも小さい可能性があるという事実にもかかわらず、本発明による検出方法は、空間分解能に関して標準的であり、すなわち、必ずしも最適化された空間分解能を有しない検出システムの使用を可能にする。
【0031】
生物学的対象は、目的の試料の水性キャリア液体中に含有され、キャリア液体を含まないガス状試料には含有されない。キャリア液体は、具体的には、緩衝溶液であり得る。より広義には、目的の試料は、とりわけ、生物学的試料(生きている又は以前に生きていた生物からの)、食品試料(食品からの)、水試料(廃水、淡水など)、又は培養液(ウイルス若しくは微生物からの)であり得る。目的の試料を運ぶ液体は、目的の試料が液体試料であるように連続相であってもよく、又は液体分散相(この場合、試料は液体であると言われる)若しくは気相(この場合、試料はミスト若しくはエアロゾルであると言われる)に配置された生物学的対象を含有する液滴として分散相であってもよい。
【0032】
したがって、検出システム1は、少なくとも1つの感応部位(プローブ)、ここでは互いに異なる複数の感応部位から形成された金属層3(均質又は非均質)の官能化表面5を備える。ここで、官能化表面5は、プリズム3の上面に位置する。感応部位は、検出される生物学的対象と相互作用することができるリガンドを含有する。感応部位は、検出される生物学的対象とのリガンドの親和性に関して、同一又は互いに異なっていてもよい。官能化表面5は、当業者に既知の方法によって、具体的には、PEG(ポリエチレングリコール)又はウシ血清アルブミンなどのタンパク質を使用して不動態化され得る。ここで、官能化表面5は、測定チャンバ2内に配置されるが、代替的に、官能化表面5は、流体チャンバ内に配置されなくてもよく、したがって、周囲のガスに曝露され得る。
【0033】
リガンドは、検出される生物学的対象を特異的に捕捉(結合)するように適合される。生物学的対象に結合するために使用され得るリガンドの例については、国際公開第2012073202(A1)号を参照されたい。これらは、生物学的対象、タンパク質、バクテリオファージ又は不活化され得る全ウイルス、免疫グロブリン(例えば、抗体及びそれらの断片)、合成化合物などに対する天然の受容体を含み得る。それらはまた、異なるサイズのDARpinであってもよく、小分子、ペプチド、タンパク質、多糖、脂質、化学基、又は粒子などの生物学的分子の付加を伴うか又は伴わない、天然又は非天然アミノ酸から構成され得る。それらはまた、キメラアプローチ(例えば、免疫グロブリンのFcドメインへの融合)によって、変異誘発によって、非天然アミノ酸の挿入によって、又は化学基若しくは粒子の付加によって改変された受容体であり得る。それらはまた、化学基又は粒子の付加を伴うか又は伴わない、天然又は非天然アミノ酸を含む、生物学的対象を固定する合成ペプチドであり得る。それはまた、ペプチド配列、脂質、多糖鎖、又はペプチドグリカンを含む追加のドメイン、分子、又は粒子を含有するか又は含有しない、微生物によって、又は別の物理化学的刺激によって切断可能な基質であり得る。また、生きた細胞又は固定された細胞であり得る。
【0034】
更に、リガンドは、官能化表面と接触して存在する液体を除去するステップの間に、場合によっては当該表面をリンスするステップの後に、生物学的対象がリガンドに結合したままであることを確実にするために、生物学的対象に対して十分に強い親和性を有する。分析物A(ここでは生物学的対象)とリガンドLとの間の相互作用は、Langmuirモデルによって説明され得る可逆的現象であり、化合物LA(リガンド-分析物)を形成するための分析物AとリガンドLとの会合に関連する会合定数ka、及び化合物LAの解離に関連する解離定数kdによって特徴付けられることに注意されたい。この関係は、次のように表される。
【0035】
【0036】
本発明の文脈では、生物学的対象とリガンドとの間の親和性は、官能化表面5上に存在する液体のリンス及び除去ステップ中に生物学的対象がリガンドに結合したままであるのに十分に強い。換言すれば、比ka/kdは、1より大きく、好ましくは非常に大きい。更に、生物学的対象は、同じ感応部位でいくつかのリガンドに結合され得、官能化表面5へのその接着を増加させる。
【0037】
いくつかの感応部位は、リガンドと同様の性質であるが、生物学的対象に対する親和性を有しない受容体を含み得、したがって、陰性対照として機能する。換言すれば、生物学的対象上のこれらの非特異的受容体は、測定ノイズ、又はプローブドリフトさえも決定するために使用することができ、したがって、受信された測定シグナルの検証に寄与することができる。
【0038】
光学測定装置10は、表面プラズモンを生成するために励起シグナルを官能化表面5に照射し、官能化表面5によって反射された測定シグナルを受信し、その画像、より正確には感応部位の画像を取得するように適合される。画像取得は、リアルタイムで、高い取得頻度で行われ得るか、又は生物学的対象とリガンドとの会合レジームが定常状態に達したとみなされる場合に行われ得る。
【0039】
したがって、光学測定装置10は、所定の波長、偏光、及び入射角を有する励起光シグナルを感応部位の方向に送信し、したがって、官能化表面5で表面プラズモンを生成するように適合された光源11を備える。光源11は、好ましくは単色の発光ダイオード又はレーザダイオードを含み得る。それはまた、1つ以上のコリメートレンズ12及び偏光子13のような光励起シグナルを整形するための光学要素を含む。
【0040】
光学測定装置10はまた、官能化表面をマトリックス光検出器の受光面に共役させるための光学要素(光学イメージング装置14)を含んでもよく、したがって、官能化表面5がマトリックス光検出器15の受光面上に結像されることを可能にする。
【0041】
光学測定装置10は、画像センサ15、すなわち、官能化表面5の画像、より正確には感応部位の画像を取得するためのマトリックス光検出器を含む。このようにして、感応部位から来る測定シグナルの光ビームは、同じ画像センサ15によって取得される画像の形態で、一緒にリアルタイムで検出される。画像センサ15は、CCD又はCMOSセンサであり得る。それは、いくつかのピクセルが同じ感応部位から測定シグナルを取得するような空間分解能であるピクセルのマトリックスを含む。一例として、約300μmの感応部位寸法は、約150ピクセルによってカバーされ得る。
【0042】
検出システム1は、具体的には、国際公開第2020/141281(A1)号に記載されているように、画像センサ15によって取得された画像を任意選択的に処理して、生物学的対象の検出を容易にするために、例えば、フィルタリングによって、取得された画像の鮮明度を改善するために、又は更にいくつかの基本画像を平均化して生物学的対象が検出される最終画像を形成するために、光学測定装置10に接続された処理ユニット6を含み得る。処理ユニット6はまた、検出方法におけるステップのうちの少なくともいくつかを実装するために、流体管理装置に接続され得る。
【0043】
本発明による検出方法は、官能化表面5を異なる流体に曝露する連続ステップを含む。曝露とは、流体が官能化表面5と接触することを意味する。これらの曝露ステップは、
図2に示される専用の流体装置による制御された様式で実行することができる。したがって、流体は、例えば、ポンプ、シリンジなどによって能動的に供給され得る。しかしながら、代替的に、これらの曝露ステップは、専用の流体装置を必要とすることなく実行され得る。このようにして、ガスを自然な方法で、例えば、単純拡散又は自然対流によって官能化表面5と接触させることができる。加えて、官能化表面5(及びここではプリズム)を問題の液体に導入することによって、液体を官能化表面5と接触させることができる。同様に、官能化表面5上に存在する液体を除去するステップは、以下に説明するように、専用の流体装置によって実行することができ、又はユーザによって、例えば、重力流、シリンジを使用する吸引、ガス流の注入、キャピラリポンピングなどによって実行することができる。
【0044】
この例では、検出システム1は、官能化表面5を異なる流体に連続的に曝露するように適合された流体管理装置20を含む。この例では、「ガスモード」における光学測定装置10の以前の構成は、流体装置20を使用して実行される。もちろん、任意の他の流体装置を使用してもよい。したがって、この例では、流体管理装置20は、官能化表面5を、ここではリザーバなどの供給源からの、又は検出システム1の環境からの、参照ガスと呼ばれる第1のガスG1に曝露するように適合される(この場合、参照ガスG1は周囲空気であり得る)。この参照ガスG1は、検出システム1が最適な感度を示すように、表面プラズモンを生成する励起シグナルの作用入射角を決定するために使用される。検出システム1の感度は、ここでは、生物学的対象の吸着又は脱着事象に応答した、測定されたシグナル(この場合は反射率R)の相対変動であることに留意されたい。参照ガスG1は、乾燥した空気、湿った空気(例えば、室内空気)、又はアルゴン若しくは窒素などの任意の他のガスであってもよい。
【0045】
流体管理装置20はまた、後続の同化ステップでは、官能化表面5を、ここではリザーバなどの供給源からの、生物学的対象が存在する水性キャリア液体を含有する目的の試料Eに曝露するように適合される。前述したように、キャリア液体は、連続相であっても分散相であってもよい。
【0046】
流体管理装置20は、測定チャンバ2から、したがって、官能化表面5から目的の試料を除去するように適合され得る。これは、同化ステップの後に実行されるリンスステップで行うことができ、その間に、官能化表面5は、少なくとも1つのリンス液体Lr(緩衝溶液、洗剤、超純水など)が官能化表面5上を流れるように、少なくとも1つのリンス液体Lrに曝露される。リンス液体Lrは、官能化表面5上に存在し、当該表面に特異的に結合しておらず、スプリアスシグナルを生成する可能性がある任意の粒子、塩、又は他の物質の除去を可能にする。リンス液体Lrは、好ましくは水性である。ここで、特異的に認識された生物学的対象は、このリンスステップの間、リガンドに結合したままであり、したがって、測定チャンバ2から排出されないことに注意されたい。代替的に、上述したように、この除去ステップは、流体装置20によってではなく、ユーザによって行われ得る。
【0047】
流体管理装置20は、目的の試料からの液体又はリンス液体であるかにかかわらず、官能化表面5と接触したままである任意の液体を除去し、官能化表面5を第2のガスG
2に曝露するように適合される。好ましくは、
図2に示される例のように、第2のガスG
1は、参照ガスG
1と同一であり、したがって、湿った若しくは乾燥した空気、又はアルゴン若しくは窒素であり得る。それは、能動的に(例えば、ガス注入)又は受動的に(例えば、拡散又は自然対流)のいずれかで測定チャンバ2に導入され得る。次いで、生物学的対象は、この第2のガスの環境内にあり、官能化表面と接触している。代替的に、上述したように、この除去ステップは、流体装置20によってではなく、ユーザによって行われ得る。
【0048】
本発明の実施形態による検出方法を提示する前に、ここで、
図3A及び
図3Bを参照して、生物学的対象を検出するための方法を詳述する。この方法は、この場合、特に、空間分解能及び感度に関して、性能が向上した検出システムの必要性を示す。
【0049】
図3A及び
図3Bの各々は、左側に官能化表面5を示し、右側に、官能化表面での局所屈折率の関数として受信された測定シグナルに関連する反射率Rの進展を示す曲線を示す。したがって、この曲線は、
図1Eに示される古典的なSPR曲線と同等である。
【0050】
図3Aは、光学測定装置10の予備構成を示しており、官能化表面5が液体に曝露されると、官能化表面5で表面プラズモンを生成する(「液体モード」構成)。したがって、官能化表面5は、生物学的対象を含有しない参照液体(例えば、緩衝溶液)に曝露され、次いで、作動角θ
Rの値は、光学測定装置10が最適な感度を示すように選択される。これは、励起シグナルの波長及び作用角θ
Rが変化しないままであるという意味で、反射照合による検出である。
【0051】
SPR曲線が示すように、感応部位で測定された反射率Rは、主に参照液体の屈折率nref,lに関連付けられる(もちろん、リガンドの屈折率にも関連付けられる)値Riを有する。Ri値は、各感応部位で実質的に均一であり、この場合、感応部位は、約300μmの直径を有する円形サイズを有し得る。代替的に、参照液体は、屈折率nref,lが1.33に等しい緩衝溶液であり得る。
【0052】
図3Bは、官能化表面5が、この場合はキャリア液体及び生物学的対象からなる目的の試料に曝露される、生物学的対象の検出方法における同化ステップを示す。キャリア液体は、参照液体と類似又は同一であってもよく、この場合、同じ緩衝液である。生物学的対象は、キャリア液体の屈折率に近くあり得る屈折率n
ob(例えば、1.4)を有するが、キャリア液体の屈折率は、1.33であり、その差は0.07である。加えて、生物学的対象は、約100nmのサイズを有するウイルス、又は約1μmのサイズを有する細菌など、小さいものであり得る。このステップの間、生物学的対象は、リガンドに結合する。
【0053】
SPR曲線によって示されるように、各感応部位で測定された反射率Rは、2つの値、すなわち、吸着された生物学的対象に関連する局所的な値Robと、生物学的対象の周りのキャリア液体に関連する連続値Riと、を有する。換言すれば、光学測定装置10によって取得された画像では、値Riの空間的に均一なバックグラウンドと、値Robのより小さくより明るいスポットとが、各感応部位で観察され得る。
【0054】
しかしながら、検出システム1は、屈折率nobとnref,lとの間の非常に小さい差(ここでは0.07に等しい)に起因して、生物学的対象を検出することができるように特に高感度でなければならないと思われる。感度が不十分であると、ΔR反射率の変動が小さくなりすぎて、生物学的対象の吸着に関連する測定シグナルと測定ノイズ(生物学的対象の吸着に関連しない反射率の変動)を区別することができなくなる。換言すれば、生物学的対象で測定された反射率Robと生物学的対象以外の感応部位で測定された反射率Riとの間の比(Rob-Ri)/(Rob+Ri)として定義されるコントラストCは、生物学的対象の効果的な検出には不十分である可能性がある。
【0055】
更に、より明るいRob反射率スポットが生物学的対象の寸法に近い寸法を有すると、計数のために感応部位で吸着されたありとあらゆる生物学的対象を検出することができるとすれば、非常に高い空間分解能を有する検出システムが必要となる。マイクロメートルサイズの細菌の場合、2μm程度の空間分解能を有する、Laplatine et al.の論文(2014)に記載されているような高空間分解能の検出システムを使用する必要がある。しかしながら、そのような検出システムの使用をしても、例えば、約100nmのサイズのウイルスの場合のように、生物学的対象のサイズが空間分解能をはるかに下回る場合、個々の生物学的対象を区別することができない。
【0056】
先行技術の方法とは対照的に、本発明による生物学的対象を検出するための方法は、生物学的対象がキャリア液体との屈折率の差が小さく、サイズが小さく、好ましくは検出システム1の空間分解能の最大200倍未満である場合でも、感応部位に吸着された生物学的対象の各々が、感度及び空間分解能に関して標準的な性能を有する検出システム1によって検出することを可能にする。一例として、検出方法は、検出システムの空間分解能が10μm程度であっても、100nm程度のサイズを有する、同じ感応部位に吸着されたウイルスを検出し、区別することができる。
【0057】
図4A~
図4Dは、
図1A及び
図1B並びに
図2に示される検出システムを使用する、第1の実施形態による検出方法におけるステップを示す。この例では、生物学的対象を含有する目的の試料は、液体試料である。
【0058】
図4Aは、光学測定装置10の予備構成を示しており、官能化表面5がガスに曝露されると、官能化表面5で表面プラズモンを生成する(「ガスモード」構成)。この構成は、検出方法の前に実行されるという意味で予備的であると言われる。これを達成するために、官能化表面5は、測定チャンバ2内に導入される参照ガスG
1に曝露される。参照ガスは、流体管理装置20によって、又は任意の他の流体装置によって導入され得る。したがって、参照ガスG
1は、官能化表面5と接触する。参照ガスG
1は、生物学的対象を含有せず、好ましくは、リガンドに結合することができる又は特定の測定シグナルを生成することができるいかなる要素も含有しない。それは、1に等しい屈折率n
ref,gを有する。作用角θ
Rは、検出システム1が最適な感度を有するように、表面プラズモンを生成するように設定される。
【0059】
SPR曲線が示すように、感応部位で測定された反射率は、ほぼ空間的に均一なR
i値を有する。したがって、ここでは、本発明による検出方法で使用される検出システム1の光学測定装置10は、光学測定装置が「液体モード」で構成されている
図3A及び
図3Bの検出方法で使用される検出システムとは異なり、「ガスモード」で構成されていることに留意されたい。
【0060】
図4Bは、検出方法における同化ステップを示す。この目的のために、流体管理装置20は、官能化表面5を、測定チャンバ2内に導入された目的の試料に曝露する。目的の試料は、生物学的対象が位置する水性キャリア液体を含む。ここで、キャリア液体は連続相にあるため、目的の試料は、液体試料であり、ミスト又はエアロゾルではない。キャリア液体は、例えば、1.33に等しい屈折率n
iを有し、緩衝溶液であり得る。生物学的対象は、ここでは1.4に等しい屈折率n
obを有し、例えば、約100nmのサイズを有するSARS-CoV-2などのウイルスであり得る。この例では、測定システムの空間分解能は、生成されたプラズモン波の伝播方向に応じて、10μm程度である。このステップの間、キャリア液体は、官能化表面5と接触し、生物学的対象は、リガンドに結合する。
【0061】
SPR曲線によって示されるように、各感応部位で測定された反射率Rは、屈折率niのキャリア液体及び屈折率nobの生物学的対象の両方に関連して、感応部位の空間範囲全体にわたって実質的に均一な同じRf値を有する。このRf値は、屈折率niと屈折率nref,gとの間の差Δnが大きい限り、SPR曲線の最大値となり得、この場合は、0.33程度である。もちろん、このステップでは生物学的対象を検出することはできない。
【0062】
図4Cは、任意選択的であるが有利なリンスステップを示す。リンスは、官能化表面5上にリンス液体又はいくつかの液体を連続して流すことからなり、したがって、リガンドに特異的に結合せず、測定ノイズ又はスプリアスシグナル(検出される生物学的対象に関連しない反射率の変動)を誘導する可能性が高い粒子、物体、分子などを除去する。これは、スプリアスシグナル源を低減することによって、検出品質、具体的には、シグナル対ノイズ比(signal-to-noise ratio、SNR)を改善する。例えば、リンスステップ中に、洗剤を含む緩衝溶液を注入し、続いて、キャリア液体と同一の緩衝溶液(ただし、明らかに生物学的対象は含まれていない)を注入し、最後に、超純水を注入して、緩衝溶液中に存在する任意の塩を除去することができる。生物学的対象は、リガンドとのそれらの強い親和性及び低い解離のために、このリンスステップの間に特異的に吸着されたままであることに注意されたい。
【0063】
図4Dは、官能化表面5との接触から液体を除去する次のステップを示す。これを行うために、存在する液体は、例えば、重力、吸引、毛管作用などによって測定チャンバ2から除去され、官能化表面5は、明らかに生物学的対象が含有されていない第2のガスG
2に曝露される。この第2のガスG
2は、特に、化学組成に関して、以前に使用された参照ガスと同様又は同一であり得、n
ref,gに近い又は同一の屈折率を有する。測定シグナルに影響を与える粒子を含有しないことが好ましい。ここでも、生物学的対象は、この除去ステップ中に吸着されたままであり、そのため、官能化表面と接触している第2のガス中に位置する(
図3A及び
図3Bの検出方法のように液体中には位置しない)。好ましくは第2のガスG
2は、湿ったガスであり、0でない相対湿度、好ましくは少なくとも50%の相対湿度を有する。
【0064】
除去ステップに続いて、光学測定装置10は、官能化表面5の検出画像を取得する。したがって、取得された画像は、感応部位の各々の画像を含み、生物学的対象を検出することができる。
【0065】
SPR曲線が示すように、各感応部位で測定された反射率Rは、2つの値、すなわち、吸着された生物学的対象に関連する局所値R
fと、屈折率n
ref,gのガスに関連する連続値R
iと、を有する。換言すれば、光学測定装置10によって取得された画像では、値R
iの空間的に均一なバックグラウンドと、値R
fのはるかに明るいスポットとが、各感応部位で観察され得る。したがって、反射率Rの値R
fが、局所屈折率nの変動範囲におけるSPR曲線の最大可能値(反射率飽和)に近いか又は更には等しい限り、輝点は、非常に高い強度(反射率R)を有する。このようにして、反射率差ΔR、したがって、コントラストCが、
図3Bの状況と比較して増加するため、生物学的対象の検出が大幅に改善される。これは、屈折率間の差Δnが、ここでは0.07ではなく0.33程度(ほぼ400%の増加)であるからである。
【0066】
加えて、本発明者らは、生物学的対象に関連する光スポットが、生物学的対象の有効サイズ(物理的サイズ)を十分に超える空間的広がり、例えば、有効サイズが100nm程度であるSARS-CoV-2ウイルスの場合は、15~20μm程度の面積を有することを見出した。これは、一方では、各生物学的対象に結合した水の薄膜(生物学的水層又は水和層としても知られる)の存在に起因し、他方では、生物学的対象及びその水膜によって反射されたシグナルの散乱の光学現象に起因するようである。水分子は電気極性を有し、ウイルス及び細菌などの生物学的対象に結合することができることを想起されたい。これは、測定チャンバ2から排出されるバルク水とは対照的に、生物学的水である。このような生物学的水の膜は、Pal et al.によるBiological water at the protein surface:Dynamical solvation probed directly with femtosecond resolution,PNAS vol.99,no.4,1763-1768,2002と題する論文に記載されている。この生物学的水の膜は、具体的には、リンスステップが行われない場合は目的の試料の水性キャリア液から、及び/又は水性リンス液から生じ得る。それはまた、少なくとも部分的に、除去ステップ中に導入される第2のガス中の水分子に由来し得る(この場合、この第2のガスG2は、好ましくは少なくとも50%の相対湿度を有する)。結果として、それらのサイズ(例えば、100nm又は1μm程度)が検出システムの空間分解能(例えば、10μm程度)をはるかに下回る場合であっても、同じ感応部位に存在するありとあらゆる生物学的対象を検出することが可能である。
【0067】
図5A~
図5Dは、「ガスモード」で構成された検出システム1を使用する第2の実施形態による検出方法のステップを示す。この例では、生物学的対象を含有する目的の試料はミストであり、これは、ガス(分散相)と、生物学的対象を含有する液滴(分散相)の形態の水性キャリア液体と、からなる。この手順は、
図4A~
図4Dを参照して説明したものと同様であり、異なるステップのみを詳述する。
【0068】
図5Aに示されるように、光学測定装置10は、第1の実施形態による検出方法(
図4A)と同様に「ガスモード」で構成されており、「液体モード」ではない。リンスステップ(
図5C)、除去及び取得ステップ(
図5D)は、上記のステップと同一又は同様である。対照的に、官能化表面5が目的の試料に曝露される同化ステップ(
図5B)の間、目的の試料は測定チャンバ2に導入され、一方、キャリア液体は分散相にある。このようにして、例えば、100立方マイクロメートル程度又はそれ以上の体積を有する生物学的対象を含有する液滴が、官能化表面5上に堆積され、生物学的対象が、リガンドに結合することができる。
【0069】
SPR曲線によって示されるように、各感応部位で測定された反射率Rは、2つの値、液滴に関連するRf値、及び目的の試料のガス(分散相)に関連する連続Ri値を有し得る。換言すれば、光学測定装置10によって取得された画像上で、値Riの空間的に均一なバックグラウンドと、液滴に対応する値Rfのより大きくより明るいスポットとが観察され得る。
【0070】
この実施形態では、リンスステップは、官能化表面5と接触して存在する液体の除去を促進し、次いで、生物学的対象の検出を可能にする画像取得ステップを実行することができる。この実施形態でも、官能化表面5と接触して存在する任意の液体の除去に続いて、結合した生物学的水の膜が各生物学的対象のレベルで存在し、生物学的対象のサイズが検出システムの空間分解能未満であっても、生物学的対象を互いに区別することができるようになることに留意されたい。
【0071】
図6A~
図6Cは、第1の実施形態による検出方法の異なるステップで取得された官能化表面5の画像である。この例では、生物学的対象は、不活化SARS-CoV-2ウイルスである。
【0072】
図6Aは、参照ガスG
1が測定チャンバに導入されるときに取得された画像を示す(
図4Aを参照)。これは、検出方法の同化ステップの上流にある。参照ガスG
1は、周囲空気である。ここで、官能化表面5は、3つの感応部位(ここでは点線によって区切られている)の3つのセットのマトリックスを含み、リガンドは、1つのセットでは同一であるが、セットごとに異なる。左列及び右列の感応部位は、陽性対照リガンド(すなわち、ウイルスに特異的に結合するように適合されたリガンド)を含有し、この場合、左列については抗S抗体、右列については抗S抗体を含有する。中央列の感応部位は、陰性対照受容体(すなわち、ウイルスに特異的に結合しないように適合された受容体)を含有し、この場合、抗KLH(Keyhole Limpetヘモシアニン)抗体を含有する。選択された作用角に対して、反射率Rは、各感応部位について非常に低いことが分かる。したがって、SPR曲線の反射率のトラフ値に近い。感応部位におけるR
in,moy反射率及び感応部位の外側のR
out反射率に基づく比(R
in,moy-R
out)/(R
in,moy+R
out)としてここで定義されるコントラストは、非常に低い。
【0073】
図6Bは、リンス液体(この場合は超純水)が官能化表面5と接触しているときの、リンスステップ中に取得された画像を示す。
図4Cに示されるように、反射率は、官能化表面5全体にわたって非常に高い。この場合、感応部位又はもちろんウイルスを区別することは不可能である。
【0074】
図6Cは、官能化表面5と接触している任意の液体が除去された後の、取得ステップ中に取得された画像を示す。左側の列の感応部位は非常に明るいスポット(上部及び中央部位)を示し、右側の列の感応部位(中央及び下部部位)も同様であることに留意されたい。対照的に、中央列(陰性対照)の感応部位は、非常に明確な染色を示さない。
【0075】
図4Dと一致して、ここでの反射率は、感応部位の外側では、最小値R
minを有し、感応部位であるがウイルスの外側では、この最小値R
minよりも高い値R
iを有し、ウイルスが吸着される場所では、最大値に近い非常に高い値R
fを有する。したがって、ウイルス感応部位に関連するR
f反射率と非ウイルス感応部位に関連するR
i反射率との間のコントラストは非常に高く、ウイルスの有効な検出を可能にするが、R
f反射率とR
min反射率との間では更に高い。更に、ウイルスは、ここでは、直径300μmの感応部位において、約15~20μmの空間範囲を有する非常に明るいスポットとして現れるが、SARS-Cov-2ウイルスは約100nmのサイズである。このようにして、検出システムが空間分解能に関して標準的な性能(この場合、5~10μm程度)を有する場合であっても、各ウイルスをその隣接ウイルスから区別することができ、吸着されたウイルスの数を計数することができる。これらの光スポットとウイルス粒子の存在との対応は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)観察により確認された。
【0076】
図7A及び
図7B~
図7Cは、第1の実施形態による検出方法の除去ステップの後に取得された官能化表面5の画像である。この例では、生物学的対象はまた、不活化SARS-CoV-2ウイルスである。
【0077】
図7Aは、官能化表面を示し、左側の列の感応部位は、陰性対照受容体(ここでは抗KLH抗体)を特徴とし、中央の列の感応部位は、陽性対照リガンド(ここでは抗N抗体)を特徴とし、右側の列の感応部位は、陽性対照リガンド(ここでは抗S抗体)を特徴とする。
【0078】
抗KLH抗体に感受性の部位は、ウイルスの存在に特徴的な非常に明確な染色を示さないが、陽性対照抗体を有する部位は示すことに留意されたい。
【0079】
図7Bは、S1抗KLH抗体感応部位の図を示す。ここで、反射率は、8ビットグレースケール、すなわち、0~255で変化する。反射率は、R
minに近い、非常に低い均一値を有する。
【0080】
図7Cは、抗N抗体感応部位S2の図を示す。反射率は、感応部位の外側の最小値R
min、並びに吸着されたウイルスの存在を表す感応部位におけるピークを示す。コントラストがより高く、ピークがウイルスの有効サイズよりもはるかに大きい空間範囲を有することが注目に値する。
【0081】
図7Dは、SV205抗S抗体に対する感応部位S3の図を示す。反射率はまた、吸着されたウイルスの存在を表すいくつかのピークを示すが、
図7Cよりも数が少ない。
【0082】
図8A~
図8Cは、生物学的対象の異なる例について、第1の実施形態による検出方法の除去ステップの後に取得された官能化表面の画像である。これらの画像は、8ビットグレースケールにおける反射率の空間的進展を示す。
【0083】
図8Aは、リガンドがビオチンである感応部位の画像を示す。ここで、生物学的対象は、サイズが約200nmのストレプトアビジン修飾ポリスチレンビーズである。反射率は、修飾ポリスチレンビーズの吸着を表す局所ピークを示し、その強度及び空間範囲によって検出及び計数が可能になる。
【0084】
図8Bは、抗Sリガンドを有する感応部位の画像を示す。ここでの生物学的対象は、約100nmのサイズの不活化SARS-Cov-2ウイルス粒子である。反射率はまた、吸着されたウイルスの存在を表す局所ピークを示し、その強度及び空間範囲によって検出及び計数が可能になる。ピークの外側の感応部位に関連する平均反射率レベルの変化は、同じリガンドによって認識される可溶性ウイルスタンパク質の存在に起因し得る。
【0085】
図8Cは、リガンドが抗E.Coliである感応部位の画像を示す。ここでの生物学的対象は、約1~2μmのサイズのE.ColiK12細菌である。ここでも、反射率は、吸着された細菌の存在を表す局所ピークを示し、その強度及び空間範囲によって検出及び計数が可能になる。ここで、ピークの外側の反射率の平均レベルは、標的化細菌からの分子断片に関連する。
【0086】
結果として、本発明による検出方法は、空間分解能及び感度に関して標準的な性能を提供する検出システムを用いて、感応部位に吸着された生物学的対象の各々の効率的な検出を可能にする。これは、具体的には、生物学的対象がキャリア液体中で官能化表面と接触している間に、光学測定装置が予め「ガスモード」で構成され、生物学的対象がガス環境にある間に、検出画像の取得が実行されるという事実による。
【0087】
以上、特定の実施形態実施形態について説明した。異なる変形形態及び修正形態が当業者に明らかになるであろう。
【国際調査報告】