(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】振動打ち込みのためのパイル装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/18 20060101AFI20250117BHJP
E02D 5/54 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E02D7/18
E02D5/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541156
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2023050827
(87)【国際公開番号】W WO2023135282
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513010767
【氏名又は名称】コーパワー オーシャン アーベー
【氏名又は名称原語表記】CORPOWER OCEAN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デントン、イアン
(72)【発明者】
【氏名】モーラー、パトリック
【テーマコード(参考)】
2D041
2D050
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA11
2D041BA33
2D041BA35
2D041CA01
2D041CB01
2D041CB06
2D041FA00
2D050AA01
2D050CB31
2D050EE15
(57)【要約】
振動打ち込みのためのパイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びるステムであって、第1の端部は、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に、又は近接して配置されたベース構造体を備える。ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称的に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されている。各セルは、セルを画定している最も短いセル壁の長手方向の長さをセルの断面の有効距離で割ったものとして計算される高さ対幅の比を有する。高さ対幅の比は、1~30であり、有効距離は、非三角形の断面を有するセルについては、断面の2つの互いに隣接しない辺の間の最短距離によって構成されており、三角形の断面を有するセルについては、断面三角形の底辺及び高さのうちの最も短い方によって構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動打ち込みのためのパイル装置(1)であって、
第1の端部(2a)と第2の端部(2b)との間で長手方向に延びているステム(2)であって、第1の端部(2a)は、前記パイル装置(1)の打ち込み中に前記第2の端部(2b)の下に位置するように配置されている、ステム(2)と、
前記第1の端部(2a)に、又は前記第1の端部(2a)に近接して配置されたベース構造体(3)であって、ベース構造体(3)は、長手方向に開放した複数のセル(6)を備え、セルは、前記ベース構造体(3)の断面において前記ステム(2)の周りに対称的に配置されており、各セル(6)は、前記長手方向に延びている複数のセル壁(4,5)によって画定されている、ベース構造体(3)と、を備え、
各セル(6)は、前記セル(6)を画定している最も短い前記セル壁(4,5)の前記長手方向の長さを前記セル(6)の断面の有効距離(Sd)で割ったものとして計算される高さ対幅の比を有し、高さ対幅の比は、1~30、好ましくは2~18、最も好ましくは3~12の範囲内であり、
前記有効距離(Sd)は、
-非三角形の断面を有するセル(6)については、前記断面の2つの互いに隣接しない辺の間の最短距離によって構成されており、
-三角形の断面を有するセル(806)については、断面三角形の底辺及び高さのうちの最も短い方によって構成されている、パイル装置(1)。
【請求項2】
前記ベース構造体(3)は、前記長手方向に延びて、前記ステム(2)の長手方向軸と同心円状に配置された少なくとも2つの管状壁(4)と、半径方向及び前記長手方向に延びている少なくとも2つの半径方向壁(5)と、を備え、各セル(6)は、2つの互いに隣接する管状壁(4)及び2つの互いに隣接する半径方向壁(5)によって画定されており、前記有効距離(Sd)は、前記管状壁(4)間の最短半径方向距離及び前記半径方向壁(5)間の最短円周方向距離のうちの最短のものである、請求項1に記載のパイル装置。
【請求項3】
各セル(6)について、前記有効距離(Sd)は、前記管状壁(4)間の前記最短半径方向距離である、請求項2に記載のパイル装置。
【請求項4】
前記管状壁(4)は円筒形である、請求項2または3に記載のパイル装置。
【請求項5】
前記円筒形壁(4)及び前記半径方向壁(5)は、断面積がすべてのセル(6)について本質的に等しくなるように配置される、請求項4に記載のパイル装置。
【請求項6】
パイル装置は、前記ステム及びすべてのセルを画定している前記セル壁の前記長手方向に対し垂直な累積閉断面積を、前記ステム及びすべてのセルの累積開断面積で除算して計算される閉面積比を示し、閉面積比は、0.01~0.4、好ましくは0.015~0.3、最も好ましくは0.02~0.1の範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項7】
最短セル壁の前記長手方向の長さと前記セルの開断面積の平方根との比は、1~40、好ましくは2~20、最も好ましくは3~12の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項8】
各セル(6)について、前記セル(6)を画定している前記セル壁(4,5)の累積内部面積と前記セル(6)の開断面積との比は、4~100、好ましくは10~40、最も好ましくは15~35の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項9】
すべてのセル(6)について、最大セル断面積と最小セル断面積との比は、5:1以下、好ましくは2.5:1以下、最も好ましくは1.2:1以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項10】
前記長手方向の長さと半径方向において最も外側の円筒形壁(4)の直径との比は、0.1~4、好ましくは0.2~1.2、最も好ましくは0.25~0.7の範囲にある、請求項4から9のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項11】
前記ステム(2)の前記第1の端部(2a)は、前記ベース構造体(3)を越えて長手方向に突出している、請求項1から10のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項12】
各管状壁(4)が、前記第1の端部(2a)の近位にある第1の縁部(4a)と、前記第1の端部(2a)の遠位にある第2の縁部(4b)と、を備え、
-少なくとも2つの管状壁(4)の前記第1の縁部(4a)が、前記第1の端部(2a)から互いに異なる距離に配置され、かつ/又は、
-少なくとも2つの管状壁(4)の前記第2の縁部(4b)が、前記第1の端部(2a)から互いに異なる距離に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項13】
前記第2の端部における又は前記第2の端部に近接した前記ステム(2)は、前記パイル装置が所定の埋設深さまで打ち込まれるときに地面又は海底の表面の高さの位置に配置される有効頂部をなし、前記パイル装置は、前記有効頂部と前記ベース構造体(3)の近位部分との間の長手方向距離を最も外側の円筒形壁(4)の外径で割ったものとして定義される埋設深さ比を呈し、前記埋設深さ比は、1以上、好ましくは2以上、最も好ましくは5以上である、請求項4から12のいずれか一項に記載のパイル装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のパイル装置(1)を地面又は海底に振動打ち込みする方法であって、
-振動誘発発振装置(23)を前記ステム(2)の前記第2の端部(2b)に取り付ける又は前記第2の端部(2b)に近接して取り付けるステップと、
-前記発振装置(23)を備える前記パイル装置(1)を荷重支持装置(21)から吊り下げるステップと、
-前記第1の端部(2a)が前記第2の端部(2b)と本質的に垂直に整列して前記第2の端部(2b)の下に位置するように前記パイル装置(1)を向けて、前記第1の端部(2a)が前記地面又は海底と接触するまで前記パイル装置(1)を下降させるステップと、
-前記振動誘発装置(23)を作動させることなく、前記地面又は海底への前記第1の端部(2a)の初期重力打ち込み貫入を達成するステップと、
-前記発振装置(23)を作動させて、前記パイル装置(1)を所定の振動周波数範囲で振動させるステップと、
-前記発振装置(23)を作動させたまま、前記パイル装置(1)を下降させ、それによって前記パイル装置(1)を前記地面又は海底に更に打ち込むステップと、
-前記パイル装置(1)の前記更なる打ち込み中に、前記ステム(2)の傾き、前記荷重支持装置(21)から吊り下げられた垂直荷重、前記パイル装置(1)の振動周波数、及び前記ステムの前記第1の端部(2a)の前記地面又は海底への貫入深さを監視するステップと、
-前記パイル装置(1)の前記更なる打ち込み中に繰り返し、監視されている値がそれぞれの所定の公称範囲から逸脱するときに、前記ステム(2)の前記傾き、前記荷重支持装置(21)から吊り下げられた前記垂直荷重、及び前記振動周波数を調整するステップと、
-前記ステム(2)の前記第1の端部(2a)が前記地面又は海底における所定の貫入深さに到達したときに、前記発振装置(23)を停止させるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
-前記第1の端部(2a)の前記貫入深さが前記所定の値に達したときに、パイル-土壌-発振装置-システムの第1のシステム固有周波数を決定するステップと、
-前記発振装置(23)によって、所定の第1の期間の間、前記第1のシステム固有周波数で前記パイル装置(1)を振動させるステップと、
-前記第1の期間の後、前記パイル-土壌-発振装置-システムの第2のシステム固有周波数を決定するステップと、
-所定の第2の期間にわたって、前記第2のシステム固有周波数で前記パイル装置(1)を振動させるステップと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して杭打ちの分野に関し、より具体的には、地面又は海底へのパイルの振動打ち込みに関する。特に、本開示は、そのような振動杭打ちのためのパイル装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
杭打ちは、地面又は海底に埋め込まれた基礎又はアンカーの耐荷重能力を増大させるために、建設工学において頻繁に使用される。典型的には、杭打ちは、地表又はその近傍の地面又は海底の物質が、浅い土壌アンカーによって加えられた荷重を支持するのに十分な剛性を有していない状況で使用される。プラットフォーム、浮体式風力タービン、又は波エネルギー変換ブイなどの海上構造物への確実なアンカーリングを提供するために、パイルは、支持されるべき下向き又は上向きの荷重がパイルに加えられたときに、パイルの埋設長さに沿って蓄積された、周囲の土壌材料とパイルとの間に作用する端部支承力及び摩擦力が、パイルをその埋設位置に維持するのに十分に高くなる埋設深さに到達するまで、海底に打ち込まれてもよい。
【0003】
従来技術は、地面又は海底にパイルを打ち込み、必要な荷重容量を提供するための様々な技術を提案している。このような打ち込み方法の例は、スクリュー式杭打ち、サクション式杭打ち、押込式杭打ち及び衝撃式杭打ちである。パイルを打ち込む別の方法は、いわゆる振動打ち込みであり、バイブロ打ち込み又はバイブロハンマ工法と呼ばれることもある。このような振動打ち込みにおいて、打ち込まれるパイルは、典型的には長手方向、垂直方向にパイルを振動させる振動力にさらされながら、パイルに作用する重力及びバイブロハンマからの付加的なバイアス質量が、パイルを地面又は海底へと垂直下方に変位させることを可能にする。典型的には、パイルに加えられる振動運動は、5~35mmの振幅及び20~50Hzの周波数を有することができる。このような振動杭打ちでは、パイルの振動運動が周囲の物質と相互作用して、物質とパイルの露出面との間に作用する静止摩擦力が大幅に低減され、それによって、パイル及びバイブロハンマの自重が抵抗力に打ち勝ってパイルを地面又は海底へと下向きに打ち込むことができる。抵抗力のそのような減少は、振動運動が維持されている間にのみ生じ、パイルが意図された深さに到達したとき、振動が停止され、それによって周囲の物質とパイルとの間の抵抗力が働き、到達した位置にパイルを維持するように作用する。
【0004】
典型的には、そのような振動打ち込みにおいて、パイルは、クレーン、杭打ちリグ等から吊り下げられてもよく、振動誘発装置は、パイルの上端に取り付けられてもよく、多くの場合、パイルのための組み合わせられたバイブロハンマ及び持ち上げツールとしての機能を果たす。したがって、打ち込み動作中、重力は、パイル及び振動誘発装置の蓄積された質量に作用し得る。クレーン又はリグによって加えられる持ち上げ力を制御することによって、パイルに作用する結果として生じる下向きの力が制御されてもよく、バイブロハンマの周波数及び/又は偏心モーメントの設定と組み合わされて、パイルの下向きの打ち込み速度が制御され得る。
【0005】
従来技術において、このような振動打ち込みパイルは、打ち込まれるパイルの下端に長手方向に開放したセルの構造体を配置することによって強化され得ることが示唆されている。特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、そのような既知のパイル装置を示している。
【0006】
特許文献4も、振動打ち込みのためのそのようなパイル装置を開示している。この装置は、パイルと、パイルの下部の周りに同心円状に配置されたチューブと、パイルとチューブとの間に延びている複数の半径方向リブとを備える。これによって、パイル、チューブ及びリブは、複数の下向き及び上向きに開放したセルを画定する壁を形成している。特許文献4によれば、チューブの上部直径は、セルが上方に向かってテーパ状になるように、その下部直径よりも小さくなければならない。加えて、特許文献4は、各セルの垂直高さが、セルの底部領域の直径又は最大対角線と少なくとも同じ大きさでなければならないことを明記している。特許文献4は更に、この装置が、振動打設時には低いエンベロープ抵抗(envelope resistance)を示すが、打設後には静的荷重下で高い耐荷重能力を示すことを主張している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3683633号明細書
【特許文献2】国際公開第2021/045626号
【特許文献3】特開2013-256791号公報
【特許文献4】国際公開第95/35416号
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、振動打ち込みのための改良されたパイル装置を提供することであり、パイル装置は、長手方向に高い荷重容量を呈する。
別の目的は、打設中の迅速かつ信頼性の高い打ち込みを可能にし、意図された埋設深さまで打ち込まれた後にパイルの高い荷重容量を提供するようなパイル装置を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、構造が簡単であり、土壌中での荷重容量に関して比較的少ない材料を使用して比較的低コストで製造することができるようなパイル装置を提供することである。
【0010】
更に別の目的は、土壌におけるその荷重容量に対して比較的低質量及び小型サイズを有し、トラック、クレーン及び船舶などの比較的小型の低コスト機器で持ち上げて取り扱うことを可能にする構造設計を有するようなパイル装置を提供することである。
【0011】
別の目的は、土壌への比較的低い貫入深さで必要とされる保持能力を達成して、限られた土壌深さを有する場所での信頼性の高いアンカーリングを可能にするようなパイル装置を提供することである。
【0012】
更に別の目的は、プロジェクトの撤去段階中に低コストで引き抜くことができるようなパイル装置を提供することである。
更なる目的は、ピーク動的荷重に対する平均荷重の比が、海洋構造物におけるパイルの典型的な使用の場合よりもはるかに低く、パイルの長手方向に全体的ではないにしても主に作用するような、風力タービン又は波エネルギー装置などの浮体構造物に典型的である周期的荷重の影響に対して耐性があるパイル装置を提供することである。
【0013】
更に別の目的は、静的荷重、(時には準静的荷重と呼ばれることもある5~25秒周期の荷重サイクル時間範囲内の)波周波数荷重、並びに5秒以下であるが、浮遊風、潮汐、又は波エネルギー変換装置などの特定の海洋構造物をアンカーリングするときに発生する可能性が高い、振動ハンマに典型的な0.05秒の荷重サイクル時間周期よりも長い時間周期にわたって発生し得る動的荷重、の組合せに抵抗することができるようなパイル装置を提供することである。
【0014】
更なる目的は、バイブロハンマが取り付けられた上端から、ベース構造体が配置され得る下端に振動エネルギーが効率的に伝播することを可能にするようなパイル装置を提供することである。
【0015】
特定の実施形態の更なる目的は、そのようなパイル装置の水平(半径方向)荷重容量を増大させることである。
概して、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で別段明示的に定義されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a/an/the)要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」へのすべての言及は、別段明示的に定義されない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例を指すものとして広く解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられていない限り、開示される正確な順序で実施される必要はない。
【0016】
第1の態様によれば、本開示は、添付の請求項1に記載されるようなパイル装置を提供する。パイル装置は、振動打ち込みを対象としている。パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムを備え、第1の端部は、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている。ベース構造体は、第1の端部に、又は第1の端部に近接して配置されており、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称的に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されている。各セルは、セルを画定している最も短いセル壁の長手方向の長さをセルの断面の有効距離で割ったものとして計算される高さ対幅の比を有し、この高さ対幅の比は、1~30、好ましくは2~18、最も好ましくは3~12の範囲内であり、ここで、有効距離は、
-非三角形の断面を有するセルについては、断面の2つの隣接しない辺の間の最短距離によって構成されており、
-三角形の断面を有するセルについては、断面三角形の底辺及び高さのうちの最も短い方によって構成されている。
【0017】
したがって、第1の態様は、ステムの下部に配置された長手方向に開放した複数のセルを備えるベース構造体を有する振動打ち込み可能なパイルに関する。このような開放セル構造体は、このような開放セル構造体を有しない従来のパイルと比較して、特にステムの長手方向に沿った上向き及び下向きの荷重力に対して、パイルの耐荷重能力を大幅に向上させることが証明されている。このようなパイルが、意図された埋設深さまで地面又は海底に正確に打ち込まれ、パイルの振動が停止されると、セル内に受け入れられた微粒子又は粒状物質は、各セル内に固体プラグを形成する傾向がある。これによって、ベース構造体の断面にわたって分散された中詰めされた複数のセルを備えるベース構造体は、地面又は海底に埋め込まれた固体プレートと同等物を形成する。
【0018】
ベース構造体の断面積に等しい断面積を有するプレートは、荷重保持能力の2つの機構を動かすために簡単な形態で理論的に説明される。第1に、逆円錐台(錐台)の形態の剪断面に沿って、その切頭ベースがプレートの領域によって画定され、その頂部が地面又は海底の表面に配置され、第2に、その理論上の円錐内に土壌の塊が収容される。プレート状の装置が2つの組み合わされた機構によって加えられた荷重に抵抗するという事実は、したがって、パイルが、そのような開放セルベース構造体のない、土壌とステムの壁との間の界面摩擦のみに主に依存する従来のパイルよりも、かなり高い上向きの荷重を支えることができるようになる。
【0019】
長手方向に開放したセルを備えるベース構造体が設けられたパイルは、パイルがステムの長手方向に沿って大きな上向き又は下向きの荷重にさらされる用途に特に適している。大きな垂直荷重容量を必要とするそのような用途のいくつかの例は、浮体式風力タービン、波エネルギー変換器、プラットフォームなどの海上及び海洋ベースの設備並びに様々な陸上ベースの用途のためのアンカーリング装置である。
【0020】
中詰めされたベース構造体の下側面によって画定されている支持面積の増大はまた、そのようなベース構造体を伴わないパイルと比較して、下向き荷重容量を増大させる。下向きの荷重では、パイルの下の粒状物質によって加えられる上向きの垂直力が、中詰めされた開放セルベース構造体によって画定された増大した下向き表面に作用する。したがって、そのようなパイルは、ステムの断面積に限定された下向き支持面を有する、ベース構造体を有しないパイルと比較して、かなり高い下向き荷重も支える。
【0021】
このような開放セルのパイル装置を振動打ち込みするときの重要な態様は、打設中の打ち込み能力と打設後の荷重容量との間のバランスを作り出すことである。打ち込み能力は、振動中に周囲の物質と装置の露出面との間の摩擦を減少させるパイル装置の能力により増大する。他方、打設後の荷重容量は、振動作用を停止した後に開放セル内に受け入れられた材料の剛性プラグを形成して維持する装置の能力により増大する。文献では、打ち込み中にステム及びベース構造体を含むパイル装置に対して周囲の物質が滑らかに動く能力は、コアリングと呼ばれることがある。これに対応して、ステム及び元々開いているセル内に物質の剛性プラグを形成するパイル装置の能力は、しばしば中詰めと呼ばれる。
【0022】
従来技術では、コアリング及び中詰めのこれらの相互に対抗する能力は両方とも、開放セルベース構造体の形状に依存することが認識されている。特許文献4は、セルの壁の高さとセルの断面積における特定の長さとの間の関係、並びにセル壁の垂直の向きが、打ち込み能力と荷重容量との間、すなわちコアリングと中詰めとの間の有利なバランスを求める際に重要であることを開示している。特許文献4によれば、重要なのは、セルの壁の高さとセルの断面積の最大対角線又は直径との間の関係であり、特許文献4は、壁の高さが少なくともこの最大対角線と同じ大きさであるべきであると主張している。加えて、特許文献4は、セルが上向きにテーパ状になるように、セル壁をステムに対して傾斜させるべきであると主張している。
【0023】
特許文献4によって提案されていることとは全く反対に、本開示の第1の態様によるパイル装置は、ステムの長手方向に延びているセルが画定している壁を有し、その結果、開放セルの断面積は、各セルの高さ全体にわたって本質的に一定である。加えて、本開示によれば、打ち込み能力と荷重容量との間の最適なバランスを見つける際に重要なのは、セル壁の高さとセルの断面積における最短有効距離との間の関係である。
【0024】
コアリングと中詰めとの間の最適なバランスを求める場合、重要なのは、主に、セルの高さと最大対角線によって表されるセルの断面積との間の関係ではないことが分かった。代わりに、重要なのは、セルの高さと、セルの断面積において最も狭い又は最も制限された通路を形成する2つのセル壁間の距離との間の関係であることが分かった。セルの断面の最も狭い通路を画定している2つの壁の間のこの距離は、本明細書では有効距離と呼ばれる。簡潔にするために、セル高さと有効距離との間の適切な関係は、本明細書では高さ対幅比と呼ばれ、セルを画定している最も短い壁の長手方向高さをセルの有効距離で割ることによって計算される。
【0025】
ベース構造体は、以下で更に説明するように、多くの異なる断面形状を有することができる。セルの断面が、多角形である場合、又は複数の曲線若しくは曲線と直線の組合せによって形成されている場合、有効距離は、2つの隣接していないセル壁の間の最短距離として表すことができる。セルの断面が三角形である場合、有効距離は、三角形の高さ及び底辺のうちの最も短いものによって構成される。
【0026】
セル高さとこの有効距離との間の正確な関係を見つけることによって、パイル装置は、振動打ち込み中に良好なコアリングを提供するとともに、パイル装置が打設深さ又は埋設深さに到達して振動が停止した後に信頼性の高い中詰めを提供することが分かった。したがって、セル高さと有効距離との間の正しい関係は、良好な打ち込み性と良好な荷重容量とを組み合わせ、静的荷重及び周期的荷重の両方に抵抗するパイル装置を提供する。
【0027】
有効距離に対してセルの高さが大きすぎる場合、パイル装置は、バイブロ打ち込みに対する高い抵抗(早期の中詰め)により、不十分なコアリングをもたらし、それによって劣った打ち込み性をもたらす。一方、セルの高さが有効距離に対して小さすぎる場合、パイル装置は、打設後に不十分な中詰めをもたらし、それによって低い荷重容量をもたらす。
【0028】
一般に、高さ対幅の比が1:1~30:1、好ましくは2:1~18:1、最も好ましくは3:1~12:1である場合に、コアリング能力と中詰め能力との有利なバランスが達成され得ることが分かった。
【0029】
しかしながら、最適な高さ対幅比は、パイル装置が打ち込まれる土壌のタイプに依存する。土壌が主に遊離砂から形成されている場合、比率は、好ましくは高い範囲、例えば10:1~30:1であってもよい。土壌が中密度砂及び類似の物質から主に形成されている場合、この比は、好ましくは、3:1及び12:1などのおおよそ中間範囲であってもよい。土壌が主に高密度砂、粘土又は他の同様の物質の混合物から形成されている場合、比率は、好ましくは、1:1~6:1などのより低い範囲であってもよい。
【0030】
開示されたパイル装置の実験室試験及び実地試験において、同じ寸法のプレーンパイルと比較して、長手方向において少なくとも4~5倍高い保持能力を示した。更に、特定の高さ対幅比は、長手方向に開放したセルを有するベース構造体を備えた以前の既知のパイル構造体と比較して、改善された剛性、改善された周期的荷重抵抗、及び改善された静的保持能力をもたらすことも示されている。
【0031】
第1の態様の実施形態では、ベース構造体は、長手方向に延びて、ステムの長手方向軸と同心円状に配置された少なくとも2つの管状壁と、半径方向及び長手方向に延びている少なくとも2つの半径方向壁と、を備えてもよく、各セルは、2つの互いに隣接する管状壁及び2つの互いに隣接する半径方向壁によって画定されており、有効距離は、管状壁間の最短半径方向距離及び半径方向壁間の最短円周方向距離のうちの最短のものである。
【0032】
そのような実施形態では、各セルについて、有効距離は、管状壁間の最短半径方向距離であってもよい。
いくつかの実施形態では、管状壁は円筒形である。
【0033】
円筒形壁及び半径方向壁は、断面積がすべてのセルについて本質的に等しくなるように構成することができる。
更に、ベース構造体とセルとの他の幾何学的関係が特定の範囲内にあるようにベース構造体を設計することによっても、コアリングと中詰めとの間の有利なバランスが達成され得ることが分かった。
【0034】
したがって、第2の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、パイル装置は、ステム及びすべてのセルを画定しているセル壁の長手方向に対し垂直な累積閉断面積を、ステム及びすべてのセルの累積開断面積で除算して計算される閉面積比を示し、この閉面積比は、0.01~0.4、好ましくは0.015~0.3、最も好ましくは0.02~0.1の範囲にある。
【0035】
「閉断面積」という用語は、本明細書では、セル壁、中空ステムの管状壁、又は中実ステムの全断面など、パイル装置の一部を形成する材料によって占有されているパイル装置の断面積の部分を意味するために使用される。「開断面積」という用語は、パイル装置の一部を形成する材料によって占有されていない断面積の部分、すなわち、打ち込み中にベース構造体及び中空ステムを通る土壌の長手方向の流れを可能にするパイル装置の断面積の部分を意味する。
【0036】
開断面セル面積に対してより高い累積断面セル壁面積を有するベース構造体は、2つの適した機構の組合せによって、より高い打ち込み抵抗を示す。第1に、セル壁で構成される、ベース構造体の全断面の割合が高いほど、ベース構造体が土壌を通って下向きに貫通されるときに、残りの開放領域を通して土壌を移動させるために、より多くの土壌の圧縮が行われなければならず、したがって、セル内の土壌における横方向応力が増大する。第2に、セルを通して移動される土壌質量は一定である。したがって、ベース構造体の閉端面又は非開放端面の増大は、開放セルを通して移動される土壌のより高い圧縮率につながる。この結果、いわゆる先端抵抗が高くなる。したがって、開放セル面積に対して壁厚が大きいほど、振動作用下で土壌をコアリングすることがより困難になり、先端抵抗又は中詰めのいずれかに起因して、打ち込み中の早期拒止の可能性がより高くなる。比が高すぎると、早期に中詰めとなり、打ち込み中に拒止をもたらし、比が低すぎると、静的荷重、波周波数荷重、又は動的荷重の下で中詰めされたままにすることがより困難になる可能性がある。他方では、経済的な観点から、壁の厚さを構造的に可能な限り薄く保つことが有利であり、これによりベース構造体のための材料の使用を減少させるとともに、打ち込み抵抗を減少させ、より少ないエネルギー消費で、より小さくかつより安価な振動ハンマを使用することを可能にする。上記の比率範囲は、多くの異なる用途において特に有利であることが分かった。
【0037】
第3の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、最短セル壁の長手方向の長さとセルの開断面積の平方根との比は、1~40、好ましくは2~20、最も好ましくは3~12の範囲である。
【0038】
第4の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、各セルについて、セルを画定しているセル壁の累積内部面積とセルの開断面積との比は、4~100、好ましくは10~40、最も好ましくは15~35の範囲である。
【0039】
第3及び第4の態様によるパイル装置はまた、ステムの下端に配置された長手方向に開放したセルを備える以前から知られているパイル装置と比較して、振動打ち込み中のコアリングと打設後の信頼性の高い中詰めとの間の向上したバランスを呈することが証明されている。
【0040】
第5の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部は、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、すべてのセルについて、最大セル断面積と最小セル断面積との比は、5:1以下、好ましくは2.5:1以下、最も好ましくは1.2:1以下である。
【0041】
ほぼ等しい断面積のセルを有することの利点は、同心円状に配置されたベース構造体に対して、これが半径方向外向きの方向に不等幅を提供し、これが、ステムに最も近いセルの早期コアリングを阻止し得る、荷重下での有益な応力分散を提供することである。
【0042】
第6の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、ベース構造体は、円筒形であり、ステムの周りに同心円状に配置されたセル壁を備え、長手方向の長さと半径方向において最も外側の円筒形壁の直径との比は、0.1~4、好ましくは0.2~1.2、最も好ましくは0.25~0.7の範囲にある。
【0043】
セルが十分に中詰めされ、パイル装置が周期的な垂直荷重にさらされるように、パイル装置が振動打ち込みによって打設された場合、土壌粒子は、セルを通って移動するだけでなく、ベース構造体の上部領域と下部領域との間でベース構造体の外側を移動する傾向がある。上向きの周期的荷重では、粒子は上部領域から下部領域に向かって移動する傾向があり、下向きの周期的荷重では、粒子は下部領域から上部領域に移動する傾向がある。このような土壌粒子の移動により、時間の経過とともに、パイル装置をその意図された打設深さから抜けさせ、それによってパイル装置の垂直荷重容量を減少させる可能性がある。上記範囲内で規定されたベース構造体の外側高さと外径との間の比でベース構造体を構成することによって、パイル装置は、打設後に加えられる周期的荷重で土壌粒子の移動を依然として最小限に抑えながら、有利なコアリング及び打ち込み能力を呈することが分かった。上述したベース構造体高さ対外径比を用いて、ベース構造体は、開放セル面積に対するセル壁の厚さが低く保たれ、それによってコアリングを促進し得る、構造的に効率的な様式で設計され得ることも証明されている。加えて、指定の範囲は、比較的大きい剛性を有するベース構造体を設計することを可能にし、その結果、振動打ち込み中に、ステムの上側の第2端部で誘発される振動が、ベース構造体全体を通して半径方向外向きに、ベース構造体の外壁に効率的に伝達される。
【0044】
第7の態様によれば、振動打ち込みのためのパイル装置が提供され、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、ステムの第1の端部は、ベース構造体を越えて長手方向に突出している。
【0045】
これによって、ステムの突出部分は、ベース構造体が土壌の表面に到達する前に、振動前又は振動中に土壌に貫入する、パイルガイド又はグランドスパイクを形成している。それにより、ステムの突出部分は、連続した打ち込み手順中にステム及びベース構造体を垂直方向下向きに案内し、パイル装置が意図された垂直方向又は他の意図された打ち込み方向から逸脱することを防止する。これによって、打ち込み中に支持クレーンを水平面内で移動させることによって達成される複雑で時間のかかる傾斜調整を排除又は低減することができる。それはまた、海底又は地面上で外部パイルガイドフレームを使用することなく打設手順を可能にし得る。
【0046】
第7の態様の実施形態では、打設中の打ち込み抵抗を低減するために、ステムの突出部分を尖らせることができる。ステムが管状である場合、そのような鋭利化は、ステムの環状壁の突出縁部を面取りするか、又はステムの突出端に向かってテーパ状にすることによって達成されてもよい。
【0047】
第8の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下方に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体であって、長手方向に開放した複数のセルであって、セルが、パイルと同心円状に配置された少なくとも2つの管状壁によって画定されており、各管状壁が、第1の端部の近位にある第1の縁部と、第1の端部の遠位にある第2の縁部と、を備える、セルと、複数の半径方向壁と、を備える、ベース構造体と、を備え、
-少なくとも2つの管状壁の第1の縁部が、第1の端部から互いに異なる長手方向距離に配置されており、かつ/又は
-少なくとも2つの管状壁の第2の縁部が、第1の端部から互いに異なる長手方向距離に配置されている。
【0048】
振動打ち込み中及び打ち込み後のパイル装置が、長手方向軸を垂直方向にして方向づけられるとき、同心円状に配置された管状壁の第1の下側縁部は、ベース構造体の下向きの底面を画定しており、第2の上側縁部は、ベース構造体の上向きの上面を画定している。第1の下側縁部をステムの第1の下端から異なる長手方向距離に(すなわち、異なる垂直高さ位置に)配置することによって、底面は、長手方向に対して概して傾斜するように構成され得る。これに対応して、第2の上縁部をステムの第1の下端から異なる長手方向距離に配置することによって、上面は、長手方向に対して概して傾斜するように構成され得る。このような傾斜した底部及び上部ベース構造体表面は、それぞれ下向き及び上向きの垂直荷重に対する荷重容量を増大させる。
【0049】
有利には、同心円状に配置された管状壁は、壁の垂直高さが、半径方向における最も内側の壁から半径方向における最も外側の壁へ減少するように構成されるべきである。そのような装置では、底面は、下向きの表面を形成し、表面の半径方向中心は、底面の半径方向周縁よりもステムの下側の第1端部に長手方向に近接して配置されており、及び/又は上面は、上向きの表面を形成し、上面の半径方向中心は、上面の半径方向周縁よりもステムの上側の第2端部に近接して配置されている。
【0050】
このような傾斜した底面を有するパイル装置では、パイル装置に下向きに加えられた力が、ベース構造体の下の土壌に二重剪断面を作り出す。そのような二重剪断面は、下向きの荷重に対して増大した容量を提供するように、ベース構造体からベース構造体の下の土壌に伝達される荷重が分散される結果をもたらす。これに対応して、傾斜した上面を有するパイル装置では、パイル装置に上向きに加えられた力は、ベース構造体の上の土壌に二重剪断面を作り出す。そのような二重剪断面は、上向きの荷重に対して増大した荷重容量を提供するように、ベース構造体からベース構造体の上の土壌に荷重が伝達される結果をもたらす。
【0051】
ベース構造体の傾斜した底面又は上面の構成は、ベース構造体の下及び上にそれぞれ配置された円錐台の頂角を増大させると言うことができ、この円錐は、打設後の使用時にパイル装置に加えられた垂直荷重が伝達される土壌を収容する。
【0052】
ベース構造体の概して傾斜した底面及び/又は上面の配置はまた、ステムからベース構造体への移行部における構造インピーダンスのより緩やかな変化率をもたらす。構造インピーダンスの急速な変化が、応力波の構造体を通過する能力を低下させ、したがって打ち込み能力を妨げることが知られているので、これによって、振動打ち込み中に振動をステムからベース構造体の半径方向における最も外側の部分を含むすべての部分に伝達するベース構造体の能力が向上する。更に、ベース構造体のそのような概して傾斜した底面及び/又は上面は、ベース構造体の全体的な構造効率を向上させる。傾斜した底面及び/又は上面は、同心円状に配置された管状壁をステムに接続する半径方向壁の垂直方向長さが、中心ステムから半径方向外向きの方向に減少することを可能にする。これによって、同心円状に配置された管状壁からの累積荷重を支える半径方向壁の能力は、ステムに向かって半径方向内側方向に増大する。この結果、半径方向壁の厚さ、したがって半径方向壁の断面積を比較的小さく保つことができ、それにより、ベース構造体によって引き起こされる全体的な打ち込み抵抗、並びにパイル装置の全体的な重量及びコストを低減することができる。
【0053】
ベース構造体に概して傾斜した底面を設けることは、そのように形成された下向きのベース構造体が、土壌への初期貫入中にパイル装置のための段階的なガイド手段として機能することができるという追加の利点をもたらす。そのような装置では、パイル装置が土壌に接触して貫入し始めるときに土壌によってもたらされる初期貫入抵抗が低減され、それに応じて下向きの打ち込み力を低減することができる。次に、これは、必要とされる力がより低いため、土壌への初期貫入中にパイル装置の垂直又は他の意図された向きを維持することを容易にする。加えて、ベースが土壌と接触する領域にわたって空間的に分散する土壌剛性の任意の差異は、より低い力の不均衡をもたらし、それは、その意図された垂直経路からパイルを不安定にし得る転倒モーメントをもたらし得る。
【0054】
開示されたパイル装置の実験室試験及び実地試験は、ベース構造体の傾斜した上面及び底面が、平坦な上面及び底面を有する同じ装置と比較して、剛性、周期的荷重抵抗、及び最終的な静的保持能力の著しい改善を提供することを示した。更に、傾斜面が打ち込み能力を改善することも示された。
【0055】
本発明の第8の態様の実施形態では、ベース構造体の底面は概して傾斜している。
各管状壁の第1の縁部は、第1の端部から、半径方向外側に配置された隣接する管状壁の第1の縁部よりも小さい長手方向距離に配置されてもよい。
【0056】
そのような実施形態では、管状壁の第1の縁部は、第1の端部に向かってテーパ状の第1の円錐形状を画定してもよい。
あるいは、第1の縁部は、凹状又は凸状である第1の回転対称面を画定してもよい。
【0057】
第1の円錐形状又は第1の回転対称凹面若しくは凸面の全体的な傾斜は、底面傾斜角度によって画定されてもよく、この角度は、パイル装置の長手方向平面内に延びて、最も内側の管状壁の第1の縁部と最も外側の管状壁の第1の縁部とを接続している直線と、長手方向と、の間の角度として画定されており、底面傾斜角度は、20~80°、好ましくは40~70°、最も好ましくは50~65°の範囲内にある。
【0058】
本発明の第8の態様の他の実施形態では、ベース構造体の上面は概して傾斜している。
各管状壁の第2の縁部は、第1の端部から、半径方向外側に配置された隣接する管状壁の第2の縁部よりも大きい長手方向距離に配置されてもよい。
【0059】
そのような実施形態では、管状壁の第2の縁部は、第2の端部に向かってテーパ状の第2の円錐形状を画定してもよい。
あるいは、第2の縁部は、凹状又は凸状である第2の回転対称面を画定してもよい。
【0060】
第2の円錐形状又は第2の回転対称凹面若しくは凸面の全体的な傾斜は、上面傾斜角度によって画定されてもよく、この角度は、パイル装置の長手方向平面内に延びて、最も内側の管状壁の第2の縁部と最も外側の管状壁の第2の縁部とを接続している直線と、長手方向と、の間の角度として画定されており、底面傾斜角度は、20~80°、好ましくは40~70°、最も好ましくは50~65°の範囲内にある。
【0061】
第9の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ステムと同心円状に配置された少なくとも2つの管状壁及び複数の半径方向壁によって画定されており、半径方向壁の半径方向断面積は、半径方向外向きに減少している。
【0062】
半径方向壁の外側に向かって減少する断面積のそのような配置は、振動打ち込み中に、ステムに固定された振動誘発装置からベース構造体のすべての部分への振動の伝達を向上させる。振動打ち込み中、応力波は、ステム及びベース構造体の半径方向壁を通して、同心円状に配置された管状壁に伝達される。構造体を通るそのような応力波の伝達は、伝達経路に沿った構造インピーダンスの急激な変化によって妨げられる可能性がある。構造インピーダンスのそのような急激な変化において、波は、構造体を通って波の起点の場所に向かって反射され得る。構造インピーダンスは、波が伝達される構造体の断面積の関数である。徐々に減少する半径方向断面積を有するベース構造体の半径方向壁を配置することによって、半径方向壁に沿った半径方向の構造インピーダンスのそのような急激な変化は、効率的に排除又は低減され得る。これによって、ステムから外側管状壁に伝達される応力波の伝達率が向上し、それにより、パイル装置の打ち込みがより高い効率で達成され得る。
【0063】
更に、外側に向かって減少する半径方向断面積を有する半径方向壁を配置することにより、ベース構造体の構造効率も向上する。打ち込み中及び打設後の両方において、同心円状に配置された管状壁が受ける累積荷重は、半径方向壁を介して中心ステムに伝達される。これにより、半径方向壁の半径方向内側部分は、外側部分よりも高い荷重にさらされる。外側に向かって減少する断面積を有する半径方向壁を配置することによって、半径方向壁の荷重支持能力は、半径方向壁の各部分によって支えられる累積荷重に対応して内側に向かって増大する。したがって、外側に向かって減少する半径方向壁の断面積は、半径方向壁を形成するために必要とされる全体的な材料が、半径方向壁の十分な荷重容量を依然として確立すると同時に、最小限に保たれ得ることを可能にする。その結果、ベース構造体の全体的な重量及びコストも低減され得る。
【0064】
第9の態様によるパイル装置の一実施形態では、半径方向壁の(ベース構造体の円周方向における)半径方向断面厚さは、中心ステムから半径方向外向きの方向に徐々に減少する。これによって、半径方向壁の十分な荷重支持能力を依然として確立しながら、半径方向壁の長手方向断面積を最小に保つことができる。この結果、振動打ち込み中の半径方向壁によって生じる打ち込み抵抗が小さく抑えられ、それにより、打ち込み効率が向上する。
【0065】
別の実施形態では、半径方向断面高さ、すなわち、ステムの長手方向における半径方向壁の長さは、ステムから半径方向外向きの方向に徐々に減少する。
更なる実施形態では、半径方向壁の半径方向断面厚さ及び半径方向断面高さの両方が、ステムから半径方向外向きの方向に徐々に減少する。
【0066】
第10の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びている円筒形ステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、円筒形ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体であって、長手方向に開放した複数のセルであって、セルが、パイルと同心円状に配置された少なくとも2つの円筒形壁によって画定されており、各円筒形壁が、ステムの長手方向と平行に延びている、セルと、複数の半径方向壁と、を備える、ベース構造体と、を備え、半径方向に最も外側の円筒形壁の直径とステムの外径との比は、1.1~8、好ましくは1.5~5、最も好ましくは2~4の範囲内にある。
【0067】
ステムの外径に対するベース構造体の外径のそのような配置は、前述したプレート型土壌機構の最適な進展をもたらす。直径が非常に類似している(比率が低い)場合、プレート型アンカーに典型的な土壌機構は動かず、本質的にパイル装置は従来の管状パイルのように挙動する。直径の比が大きすぎる場合、ベース構造体は、打設中により高い抵抗力を有し、ベースの表面にわたる荷重の相対的蓄積は、ベースとステムとの間の接合部に、より高い応力をもたらす。上述した間隔は、多くの用途において有利なバランスを提供することが証明されている。
【0068】
第11の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体であって、長手方向に開放した複数のセルであって、セルが、ステムと同心円状に配置された少なくとも2つの円筒形壁によって画定されており、各円筒形壁が、ステムの長手方向と平行に延びており、各管状壁が、第1の端部の近位にある第1の縁部と、第2の端部の近位にある第2の縁部とを有し、第1の縁部が、ベース構造体の第1の端面を画定しており、第2の縁部が、ベース構造体の第2の端面を画定している、セルと、複数の半径方向壁と、を備える、ベース構造体と、を備え、第2の端部における又は第2の端部に近接したステムは、パイル装置が所定の埋設深さまで打ち込まれるときに地面又は海底の表面の高さ位置に配置される有効頂部をなし、パイル装置は、有効頂部とベース構造体の第2の端面との間の長手方向平均距離を最も外側の円筒形壁の外径で割ったものとして定義される埋設深さ比を呈し、埋設深さ比は、1以上、好ましくは2以上、最も好ましくは5以上である。
【0069】
ベース構造体の第2の端面が平坦であり、長手方向に対し垂直である場合、有効頂部と第2の表面との間の長手方向平均距離は、有効頂部から管状壁の各第2の縁部までの長手方向距離に等しい。しかしながら、いくつかの実施形態では、ベース構造体は、傾斜した第2の表面を示してもよく、この表面は、異なる長手方向の高さ位置に配置された第2の縁部によって画定されている。そのような実施形態では、長手方向平均距離は、有効頂部と各第2の縁部との間の長手方向距離の平均値によって構成されている。
【0070】
パイル装置の打設後、ベース構造体の上方に配置された逆円錐台の体積は、重力の影響によって中詰めされたベース構造体に作用する土壌物質を含み、埋設深さ及びベース構造体の直径に比例する。上述した埋設深さ比の範囲でパイル装置を構成することにより、様々な埋設深さ及び様々な土壌品質において、打ち込み能力及び構造効率を最適化するとともに、パイル装置の十分な上向き垂直荷重容量を提供することが証明されている。十分な土壌深さが利用可能であると仮定すると、パイル装置のベース構造体がより深く埋設されるほど、所与のベース構造体によってより高い容量がもたらされ、したがって、最も好ましい装置は、直径に対する埋設長さ(L)(L/D比)が5以上のものである。
【0071】
第12の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムであって、第1の端部が、パイル装置の打ち込み中に第2の端部の下に位置するように配置されている、ステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、ステムの長手方向に平行に延びている、長手方向に開放した複数のセルを含み、パイル装置は、第2の端部において又は第2の端部に近接してステムから半径方向外向きに突出している上部構造体を更に備える。
【0072】
このような上部構造体が設けられたパイル装置は、向上した水平荷重容量を提供する。上部構造体は、パイル装置がその最終的な埋設深さに到達したときに上部構造体が少なくとも部分的に土壌に埋設されるような、ステムの第1の端部からの長手方向の距離に配置されている。したがって、半径方向に突出する上部構造体は、水平荷重成分が周囲の土壌に伝達され、周囲の土壌によって吸収されるように周囲の土壌に作用する。
【0073】
パイル装置にこのような上部構造体を設けることによって、ステムが比較的小さい外径及び壁厚を有する場合にも、水平荷重容量を増大させることができる。増大した水平荷重容量によって提供される利点に加えて、そのような細長いパイル装置はまた、ステムによって抵抗される必要がある曲げモーメントが、水平荷重の大部分を受けるそのような上部構造体によって大幅に低減され得るため、ステム壁内の低減された応力に起因して、薄壁ステムを使用してもよい。そのような細長い薄壁のパイル装置は、打ち込みコストを低減し、低質量設計を可能にし、比較的低コストで製造することができる、優れた打ち込み性を示す。
【0074】
第12の態様によるパイル装置の実施形態では、上部構造体は、ステムから半径方向に延びている複数のフィンを備えることができる。
フィンは、ステムの周縁に対称的に分散されてもよい。
【0075】
フィンは、ステムの長手方向と本質的に平行に延びてもよい。
いくつかの実施形態では、上部構造体は、ステムの周りに同心円状に配置され、複数の半径方向フィンによってステムに固定された少なくとも1つの管状壁を備える。
【0076】
そのような実施形態では、1つ又は複数の管状壁及び半径方向フィンは共に、長手方向に開放した上部構造体セルを形成することができる。
そのような上部構造体セルは、パイル装置の振動打ち込み中にセルを通る振動誘発コアリングを可能にするように構成されてもよい。それらはまた、パイル装置が意図された埋設深さに到達し、振動打ち込みが停止されたときに上部構造体セルの中詰めを可能にするように構成されてもよい。
【0077】
上部構造体は、異なる断面形状を有する長手方向の開放ベース構造体セルを備えるベース構造体を有する、パイル装置に適用されてもよい。そのような開放ベース構造体セル形状の例は、以下の詳細な説明において説明される。
【0078】
第13の態様によれば、本開示は、振動打ち込みのためのパイル装置を提供し、パイル装置は、それぞれの第1の端部とそれぞれの第2の端部との間で長手方向に平行に延びている複数のステムであって、第1の端部は、パイル装置の打ち込み中にそれぞれの第2の端部の垂直方向下方に位置するように配置されている、複数のステムと、それぞれの第1の端部において又は第1の端部に近接してステムに固定されたベース構造体であって、ステムの長手方向に平行に延びている長手方向に開放した複数のセルを備える、ベース構造体と、を備える。
【0079】
複数のステム構成を有するそのようなパイル装置では、開放セルベース構造体によって提供される向上した垂直荷重容量は、ステム間に分散される。ステムの第2の上端は、個々の荷重支持点又はアンカーリング点として機能してもよく、それによってステムに加えられる全荷重がベース構造体によって支持される。そのような複数のステム装置は、ステムの方向に荷重容量の大部分を提供するベース構造体と、外部装置へのアンカー接続点として作用する上端との間の接続が、単一ステム装置と比較して、より少ない材料及びより低い製造コストを必要とする、複数のステム構造体によって接続され得るので、特定のアンカーリング用途において向上した構造効率を提供し得る。
【0080】
第13の態様によるパイル装置の一実施形態では、ステムの第2の上端は、各第2の端部に固定された接続部材によって互いに相互接続されている。
パイル装置は、パイル装置が意図された埋設深さに到達したときに、接続部材が地面又は海底面の、わずかに上に、又はわずかに下に位置するように配置されてもよい。
【0081】
接続部材には、長手方向に対して横方向に突出し、パイル装置が意図された埋設深さに到達したときに周囲の土壌に作用し、それによってパイル装置の水平荷重容量を増大させるフィンが設けられてもよい。
【0082】
代替として、又は組み合わせて、接続部材は、長手方向と平行に延びている少なくとも1つの管状壁を備えてもよく、管状壁は、パイル装置が意図された埋設深さに到達したときに周囲の土壌に埋設されるように配置されており、それによって、パイル装置の水平荷重容量を増大させる。
【0083】
接続部材は、パイル装置の振動打ち込み中に、接続部材に取り付けられた振動誘発装置からの振動をステムに伝達するために接続部材に固定されており、振動打ち込みの完了後に接続部材を取り外すことができるように、ステムの第2の上端に解放可能に固定することができる。
【0084】
第14の態様によれば、本開示は、第1の態様によるパイル装置を地面又は海底に振動打ち込みする方法を提供する。この方法は、
-振動誘発発振装置をステムの第2の端部に取り付ける又は第2の端部に近接して取り付けるステップと、
-発振装置を備えるパイル装置を荷重支持装置から吊り下げるステップと、
-第1の端部が第2の端部と本質的に垂直に整列して第2の端部の下に位置するようにパイル装置を向けて、第1の端部が地面又は海底と接触するまでパイル装置を下降させるステップと、
-振動誘発装置を作動させることなく、地面又は海底への第1の端部の初期重力打ち込み貫入を達成するステップと、
-発振装置を作動させて、パイル装置を所定の振動周波数範囲で振動させるステップと、
-発振装置を作動させたまま、パイル装置を下降させ、それによってパイル装置を地面又は海底に更に打ち込むステップと、
-パイル装置の更なる打ち込み中に、ステムの傾き、荷重支持装置から吊り下げられた垂直荷重、パイル装置の振動周波数、及びステムの第1の端部の地面又は海底への貫入深さを監視するステップと、
-パイル装置の更なる打ち込み中に繰り返し、監視されている値がそれぞれの所定の公称範囲から逸脱するときに、ステムの傾き、荷重支持装置から吊り下げられた垂直荷重、及び振動周波数を調整するステップと、
-ステムの第1の端部が地面又は海底における所定の貫入深さに到達したときに、発振装置を停止させるステップと、
を含む。
【0085】
パイル装置を打ち込むそのような方法は、振動打ち込みプロセスの適切な制御及び連続的な調整を提供する。これによって、予期しない土壌特性が振動打ち込みに悪影響を及ぼすリスク、又は振動打ち込みの中断を引き起こすリスクを依然として最小限に抑えながら、大きく異なる未知の特性を示す地面又は海底において打ち込みを行うことができる。
【0086】
加えて、本方法は、振動周波数の正確な制御によって、ベース構造体のセルを通る土壌のコアリングを維持しながら、パイル装置を土壌に打ち込むことができ、典型的には毎秒数ミリメートルの高い打設速度を提供するという点で更なる利点を提供する。
【0087】
第14の態様による方法の一実施形態では、方法は更に
-第1の端部の貫入深さが所定の値に達したときに、パイル-土壌-発振装置-システムの第1のシステム固有周波数を決定するステップと、
-発振装置によって、所定の第1の期間の間、第1のシステム固有周波数でパイル装置を振動させるステップと、
-第1の期間の後、パイル-土壌-発振装置-システムの第2のシステム固有周波数を決定するステップと、
-所定の第2の期間にわたって第2のシステム固有周波数でパイル装置を振動させるステップと、
を更に含む。
【0088】
この実施形態の追加の方法ステップを実行することによって、打設されたパイル装置の耐荷重能力を著しく増大させることができる。パイル-土壌-発振装置-システムによって引き起こされる少なくとも第1のシステム固有周波数及びその後の第2のシステム固有周波数でパイル装置を振動させることにより、多くの土壌タイプにおいて土壌高密度化を効率的に提供し、これは剛性の増大に寄与する。それはまた、所定の振動周波数での初期振動打ち込み後に土壌に生じるいわゆるアーチ効果を低減することができる。それによって、振動打ち込みの完了後の土壌とパイル装置のステム及びベース構造体との間に作用する摩擦力が増大され、その結果、打設されたパイル装置の荷重容量が、セルの土壌中詰めを外部荷重に対してより耐性のあるものにすることによって増大される。特に、パイル-土壌-発振装置-システムの第1の固有周波数、第2の固有周波数、及び場合によっては任意の更なるシステム固有周波数でのパイル装置の追加的な振動は、ベース構造体の開放セルの内部で発生するそのようなアーチ効果を効率的に低減又は排除する。これによって、セルの有利な中詰めが、比較的容易かつ費用効果の高い方法で促進される。パイル-土壌-発振装置-システムという用語は、本明細書では、パイル装置と、発振装置と、土壌とを備え、発振装置がパイル装置を振動させるために作動しているときに質量が移動しているシステムを意味する。パイル装置のこのような振動中、発振装置及びパイル装置が振動するだけでなく、振動運動がパイル装置の周囲の土壌にも伝達される。したがって、パイル-土壌-発振装置-システムは、パイル装置の振動中に移動する土壌も含む。
【0089】
パイル-土壌-発振装置-システムのシステム固有周波数は、当業者にそれ自体知られている様々な異なる方法によって決定されてもよい。システムのシステム固有周波数を決定する1つのそのような方法は、振動ハンマによってシステムに入力される励起エネルギーの結果として、パイル装置を取り囲む土壌の表面における土壌垂直速度の応答を求めることである。この応答振幅は、例えば、パイル装置に近接して土壌の表面上に受振器を配置することによって測定することができる。励起エネルギーの周波数に関連して土壌垂直速度の応答がその最大値に達するとき、パイル装置は、パイル-土壌-発振装置-システムの固有周波数で振動している。したがって、パイル-土壌-発振装置-システムの第1の固有周波数、第2の固有周波数、及び任意の更なる固有周波数は、50Hzから1Hzまでなどの様々な振動周波数でパイル装置を振動させ、パイル装置に近接する土壌表面の垂直速度を連続的に監視し、どの入力周波数で応答振幅がその最大値に達するかを記録することによって、決定することができる。発振装置上で測定された振動振幅及び加速度などの他の信号も、システムの固有周波数又は共振周期の識別に使用することができる。
【0090】
第14の態様による方法の更なる実施形態では、方法は
-1つのサイクルから次のサイクルまでにシステム固有周波数の大きな変化が検出されなくなるまで、上記ステップを繰り返すステップ、
を含む。
【0091】
第15の態様によれば、本開示は、パイル装置を地面又は海底に打設する方法を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称的に配置されている。この方法は、
-パイル装置の長手方向を本質的に垂直に保ちながら、ステムの第2の端部に取り付けられた又は第2の端部に近接して取り付けられた発振装置によって、パイル装置を所定の埋設深さまで地面又は海底に振動打ち込みするステップと、
-パイル装置の長手方向が垂直方向から外れるように、ステムの第2の端部に横方向の力を加え、それによって、ステムを通って延びている水平枢動軸を中心にパイル装置を枢動させることによって、パイル装置の向きを変更するステップと、
を含む。
【0092】
本方法は、パイル装置によって支えられるべき外部荷重が垂直方向に向けられていない打設において有利に使用され得る。そのような打設では、パイル装置の長手方向が、使用中にパイル装置に加えられる外部荷重の方向と本質的に一致するように、パイル装置の向きを変更することが有利であり得る。パイル装置の長手方向が荷重方向とこのように一致することにより、中詰めされた開放セルベース構造体の有利な荷重容量増大特性が最適に利用される。これは、中詰めされた開放セルベース構造体の耐荷重能力が、パイル装置の長手方向において最大であるために達成される。特に、本方法は、有利には、パイル装置によって支えられるべき荷重が、海面から海底の表面に配置された又は表面に近接して配置されたステムの第2の端部まで横断方向に延びている係留ラインによってパイル装置に伝達される沖合係留用途に使用されてもよい。このような用途では、パイル装置の長手方向は、係留ラインの主に生じる長手方向の向きと有利に整列され得る。
【0093】
第15の態様による方法の一実施形態では、発振装置によって誘発されたパイル装置の振動は、方法の向き変更ステップ中に維持される。これによって、パイル装置の維持された振動動作によって達成されるコアリングは、所望の向き変更を達成するために必要とされる横方向力成分の大きさを低減する。
【0094】
他の実施形態では、横方向力は、パイル装置の同時振動なしに第2の端部に加えられてもよい。そのような実施形態では、発振装置は、向き変更が容易になるように、向きを変更する非垂直力を加える前に、パイル装置から除去されてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、横方向の向き変更力は、ワイヤ、ロッド、又は対応する力伝達装置によって第2の端部に接続される、クレーン、車両、又は船舶等の外部マニピュレータによって加えられてもよい。そのような実施形態は、加えられる非垂直の向き変更力の方向及び大きさの正確な制御を可能にする。加えて、そのような実施形態は、パイル装置の向き変更された角度が、外部操作荷重をパイル装置に接続する前に検証及び実証され得ることを可能にする。
【0096】
他の実施形態では、横方向の向き変更力は、アンカーリングされる実際の構造体によってステムの第2の端部に加えられてもよく、その荷重は、パイル装置の打設完了後に連続的に維持されるように意図されている。例えば、浮体式波力エネルギー変換ブイ又は浮体式風力タービンは、意図された埋設深さへの振動打ち込みの完了後にパイル装置が依然として垂直に向けられているときに、係留ラインによってステムの第2の端部に接続されてもよい。その後、係留ラインを介して第2の端部に加えられ、浮体式ブイ又は風力タービンに作用する海の波から生じる横方向の力は、ステムの長手方向が係留ラインの主に発生する長手方向と整列するようにステムの向きを変更することができる。そのような実施形態は、意図された埋設深さへの振動打ち込みが達成された後に、いかなる追加のマニピュレータも追加の特定の向き変更ステップも必要としないという利点を呈する。
【0097】
第16の態様によれば、本開示は、パイル装置を地面又は海底に打設する更なる方法を提供し、パイル装置は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムと、第1の端部に配置された又は第1の端部に近接して配置されたベース構造体と、を備え、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称的に配置されている。この方法は、
-パイルガイド装置を地面又は海底に配置するステップであって、パイルガイド装置は、ステムの長手方向が垂直方向から外れた意図された打設方向と一致するようにステムを支持するように構成されたガイド構造体を示す、ステップと、
-ステムがガイド構造体によって支持されるように、パイルガイド装置上にパイル装置を配置するステップと、
-ステムが支持構造体に沿って地面又は海底へと摺動することを可能にしながら、ステムの第2の端部に取り付けられた又は第2の端部に近接して取り付けられた発振装置によってパイル装置を振動させるステップと、
-パイル装置が地面又は海底における所定の埋設長さに到達するまで、パイル装置の振動を維持するステップと、
-その後、パイル装置の振動を終了させ、ガイド装置を取り外すステップと、
を含む。
【0098】
第16の態様による方法は、有利には、第15の態様による方法の用途と同様の用途で使用されてもよく、ここで、パイル装置の長手方向は、打設完了後に非垂直であるべきである。本方法は、打設完了後に到達するパイル装置の最終的な長手方向の向きの非常に正確な制御を可能にするという利点を提供する。
【0099】
第17の態様によれば、本開示は、第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延びているステムと、ベース構造体と、を備えるパイル装置を、撤去する方法を提供し、ベース構造体は、長手方向に開放した複数のセルを備え、セルは、ベース構造体の断面においてステムの周りに対称的に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁によって画定されており、パイル装置は、第1の端部が第2の端部の下に位置した状態で地面又は海底に振動打ち込みされている。この方法は、
-振動誘発発振装置をステムの第2の端部に取り付ける又は第2の端部に近接して取り付けるステップと、
-発振装置を備えたパイル装置を荷重支持装置に接続するステップと、
-パイル装置を所定の振動周波数範囲で振動させるために、発振装置を作動するステップと、
-発振装置を作動させたまま、荷重支持装置によってパイル装置を持ち上げ、それによってパイル装置を地面又は海底から引き出すステップと、
を含む。
【0100】
実際には、パイル装置を撤去する方法は、振動打ち込みによってパイル装置を打設する上述の方法のステップのいくつかを逆にしたものとみなすことができる。撤去する方法は、地面又は海底から以前に打設されたパイル装置を引き抜くための、信頼性が高く、迅速で、費用効率の高い方法を提供する。
【0101】
一実施形態において、撤去する方法は、更なる、
-パイル-土壌-発振装置-システムのシステム固有周波数を決定するステップと、
-所定の振動周波数範囲を、パイル-土壌-発振装置-システムの決定されたシステム固有周波数よりも高く、好ましくは少なくとも1.5倍に設定するステップと、
を含む。
【0102】
パイル装置の引き抜き中に、パイル-土壌-発振装置-システムの固有周波数よりも十分に高い周波数、例えば固有周波数の1.5倍の周波数でパイル装置を振動させることにより、パイル装置と土壌との間のより高い相対運動が可能になる。これにより、パイル装置は、より高い速度及び低減されたコストで引き抜かれ得る。
【0103】
種々の態様及び実施形態では、ステムの外側表面は、ベース構造体の最も内側の管状壁又は円筒形壁等のベース構造体のセル壁を形成してもよい。
様々な態様によるパイル装置及び方法は、シルト、粘土、砂、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、様々なタイプの土壌において有用であることが証明されている。
【0104】
様々な態様の更なる目的及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
次に、添付の図面を参照して、態様及び実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【
図1】第1の態様によるパイル装置の海底への振動打ち込みを概略的に示す側面図である。
【
図2A】
図1に示すパイル装置を概略的に示す斜視図である。
【
図2B】
図1に示すパイル装置を概略的に示す側面図である。
【
図2C】
図1に示すパイル装置を概略的に示す上面図である。
【
図3A】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3B】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す側面図である。
【
図3C】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す上面図である。
【
図4A】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図4B】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す側面図である。
【
図4C】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す上面図である。
【
図5A】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図5B】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す側面図である。
【
図5C】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す上面図である。
【
図6A】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図6B】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す側面図である。
【
図6C】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す上面図である。
【
図7A】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図7B】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す側面図である。
【
図7C】パイル装置の代替的な実施形態を概略的に示す上面図である。
【
図8A】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8B】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8C】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8D】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8E】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8F】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8G】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図9A】パイル装置の更なる実施形態の側面図及び上面図を概略的に示す。
【
図9B】パイル装置の更なる実施形態の側面図及び上面図を概略的に示す。
【
図10A】本開示による方法の実施形態を示す概略側面図である。
【
図10B】本開示による方法の実施形態を示す概略側面図である。
【
図11A】本開示による方法の別の実施形態を示す概略側面図である。
【
図11B】本開示による方法の別の実施形態を示す概略側面図である。
【
図12】本開示による方法の更なる実施形態を示す概略側面図である。
【
図13A】更なる実施形態によるパイル装置を概略的に示す斜視図である。
【
図13B】更なる実施形態によるパイル装置を概略的に示す上面図である。
【
図14】パイル装置の更なる実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図15A】更なる実施形態によるパイル装置の下部を概略的に示す側面図である。
【
図15B】更なる実施形態によるパイル装置の下部を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本開示の態様は、特定の実施形態が示される添付の図面を参照して、以下により十分に説明される。
しかしながら、これらの態様は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明のすべての態様の範囲を当業者に十分に伝えるために、例として提供される。同様の番号は、説明全体を通して同様の要素を指す。
【0107】
図1は、第1の態様によるパイル装置1の海底への振動打ち込みによる打設を概略的に示す。パイル装置1は、
図2A~
図2Cにより詳細に示されている。パイル装置1は、第1の端部2a及び第2の端部2bを有する細長い円筒形ステム2を備える。振動打ち込み中には、第1の端部2aは、第2の端部2bに垂直に整列されて下方に配置される。パイル装置は、第1の端部2aに近接してステム2の周りに同心円状に配置されたベース構造体3を更に備える。
【0108】
図1は、海底にパイル装置を打設するときに使用される打設装置を更に概略的に示す。打設装置は、クレーン21と油圧パワーユニット22とを有する船舶20を備える。クレーン21には、ワイヤ24によって振動誘発発振装置23が吊り下げられている。発振装置は、油圧クランプ(図示せず)によってステム2の第2の端部2bに固定されており、油圧ホース25によって油圧パワーユニット22に接続されている。パイル装置の振動打ち込みのために使用され得る発振装置は、それ自体が知られている。このような発振装置は、振動ハンマ又はバイブロハンマと呼ばれることがある。それらは、油圧モータによって駆動される1つ又はいくつかの回転偏心質量を有し得る。本明細書に開示されるパイル装置の振動打ち込みのために、発振装置は、ステム2に振動運動を引き起こすことができなければならず、この振動運動は、主にステムの長手方向に向けられ、20~50Hzの周波数範囲及び5~35mmの振幅範囲を有する。出力電力は、200kW~2000kWの範囲であってもよい。
【0109】
パイル装置が発振装置23及びワイヤ24を介してクレーン21から吊り下げられるとき、パイル装置は、ステム2の長手方向が重力の影響下で垂直になるように向けられる。
パイル装置の寸法は、用途に応じて大きく変化し得る。
図1及び
図2a~
図2cに示す例では、ステム2は、管状であり、約22mの長手方向長さ、約1.6mの外径、約0.03mの壁厚を有する。
【0110】
図3A~
図3Cは、
図1及び
図2A~
図2Cに示されたパイル装置の下部を示す。
図3A~
図3Cに最もよく見られるように、ベース構造体3は、長手方向に(図に見られるように垂直に)延び、ステム2の下側の第1の端部2aに近接してステム2の周りに同心円状に配置された、5つの円筒形壁4を備える。円筒形壁4は、等しい板厚を有する鋼板で形成されている。円筒形壁の長手方向高さは、最も内側の円筒形壁が最大高さを有し、最も外側の円筒形壁4が最小高さを有するように、半径方向外向きに直線的に減少している。円筒形壁4は、それらの垂直中心が共通の水平面内に配置されるように水平に整列されている。
【0111】
ベース構造体3は、12個の半径方向壁5を更に備え、半径方向壁5の各々は、等しい厚さを有する鋼板から形成されており、それぞれの垂直面内で、ステム2から最も外側の円筒形壁4まで半径方向に延びている。半径方向壁5は、ステム2の円周にわたって均一に分散されている。各半径方向壁の垂直高さは、ステムに固定された半径方向の最も内側の縁部から、最も外側の円筒形壁4に固定された最外縁部まで減少する。また、半径方向壁5は、それらの垂直中心が共通の水平面内に配置されるように水平に整列されている。半径方向壁5は更に、すべての円筒形壁4及びすべての半径方向壁5の垂直中心が共通の水平面内に配置されるように、円筒形壁4と水平に整列されている。
【0112】
以下で更に詳細に説明するように、円筒形壁及び半径方向壁は、実際には、いくつかの異なる方法で形成及び製造することができる。
円筒形壁4及び半径方向壁5は、ステム2の外面と共に、多数の長手方向(すなわち、図に示すように垂直方向)に開放したセル6を形成している。ベース構造体3が5つの円筒形壁と12個の半径方向壁とを備える
図1~
図3に示す例では、合計5×12=60個の長手方向に開放したセル6が形成されている。各セル6の長手方向断面は、それぞれの半径方向壁5の半径方向断面を形成する2つの互いに対向する直線と、それぞれの円形壁4の円周方向セグメントを形成する2つの互いに対向する円セグメントとによって画定されている。
【0113】
この例では、隣接する円筒形壁4間の半径方向距離は、半径方向外向きに減少している。これにより、すべてのセル6の断面積は本質的に等しい。
上記の概要でより詳細に説明したように、セルの特定の幾何学的比率が、パイル装置の振動打ち込み中及び振動打ち込み後のコアリングと中詰めとの間の有利なバランスを達成するために非常に重要であることが示された。第1の態様によれば、高さ対幅の比を一定の限度内に保つことが重要である。上述したように、高さ対幅の比は、セルの高さと、セルの断面を画定している壁間の有効距離との比として定義される。一般に、有効距離は、セルの断面を画定している2つの隣接しない壁の間の最短距離によって構成されている。
図1~
図3に示す例では、各セルの最短距離は、セルを画定している2つの隣接する円筒形壁間の半径方向距離である。したがって、
図1~
図3に示すベース装置3では、第1の態様による高さ対幅比は、各セルについて、セルを画定している外側の下部円筒形壁の垂直高さをセルの半径方向の長さで割ったものである。示された例では、この比はすべてのセルについて10に近い。
【0114】
この比は、3~12の範囲内に十分に入り、これは、特に中密度砂と同様の特性を有する土壌タイプに使用されるときに、パイル装置の振動打ち込みによる打設中及び打設後のコアリングと中詰めとの間の良好なバランスをもたらすことが証明されている。
【0115】
円形壁4は、ステム2の下側の第1の端部2aの近位にあるそれぞれの下側の第1縁部4aと、上側の第2の端部2bの近位、すなわちステム2の第1の端部2aの遠位にある上側の第2縁部4bとを呈する。上述したように、水平に整列された円形壁4の高さは、最も内側の下側の第1縁部4aが、最も外側の下側の第1縁部4aよりも第1の端部2aに垂直方向において近接して配置されるように、半径方向外向きに減少している。中間部の下側の第1縁部4aは、最も内側の下側の第1縁部4aと最も外側の下側の第1縁部4aとを結ぶ直線上に配置されている。これに対応して、最も内側の上側の第2縁部4bは、最も外側の上側の第2縁部4bよりも第2の端部2aに垂直方向において近接して配置されている。また、中間部の上側の第2縁部4aは、最も内側の上側の第2縁部4bと最も外側の上側の第2縁部4bとを結ぶ直線上に配置されている。これにより、下側の第1縁部4a及び上側の第2縁部4bは、それぞれの円錐面を画定している。下側の第1縁部4aは、ベース構造体3の下向きの円錐形底面を画定しており、上側の第2縁部4bは、ベース構造体3の上向きの上面を画定している。
【0116】
上記の「発明の概要」において第8の態様に関連して説明したように、ベース構造体3のそのような傾斜した底面及び上面は、特にパイル装置の長手方向に加えられる荷重に対して、パイル装置の荷重容量を大幅に増大させる。
図1~
図3に示す例では、上面及び底面は円錐形である。
図4A~
図4Cに示す実施形態のようないくつかの例では、ベース構造体の傾斜した底面及び/又は上面は、円錐形の代わりに双曲線であってもよい。他の図示されていない実施形態では、下側の第1縁部及び/又は上側の第2縁部は、底面及び/又は上面がそれぞれ放物線状であるように、凸線上に配置されてもよい。
【0117】
図15A~
図15Bは、そのような円錐状及び双曲線状の上面及び底面を概略的に示す。
図15Aに示される実施形態では、パイル装置は、円筒形ステム1702及びベース構造体1703を備える。ベース構造体1703は、最も内側の円筒形壁1704’、最も外側の円筒形壁1704’’及び3つの中間円筒形壁を含む同心円状に配置された多数の円筒形壁を備える。より明確にするために、半径方向壁は
図15A及び
図15Bに示されていない。各円筒形壁は、下側の第1縁部1704a’、1704a’’と、上側の第2縁部1704b’、1704b’’とを有する。ここで、中間円筒形壁を含むすべての円筒形壁の下側の第1縁部1704a’、1704a’’は、パイル装置の長手方向平面内に延びている共通直線L1上にある。したがって、底面は、この例では円錐形である。一般的な底面傾斜角度Abは、この線L1とパイル装置の長手方向Ldとの間の角度として定義される。
図17Aに示す例では、底面傾斜角度Abは約45°である。
【0118】
これに対応して、中間部の上側の第2縁部を含むすべての上側の第2縁部1704b’、1704b’’は、パイル装置の長手方向平面内に延びている共通の直線L2上に配置されている。したがって、上面も円錐形であり、この例では、上面傾斜角Atは約60°である。
【0119】
図15Bは、ベース構造体の上面及び底面が双曲線である例を概略的に示す。ここで、パイル装置は、ステム1802と、最も内側の円筒形壁1804’、最も外側の円筒形壁1804’’及びいくつかの中間円筒形壁を備えるベース構造体1803とを備える。この例では、すべての円筒形壁の上側の第2縁部1804b’、1804b’’は、直線上ではなく、凹線Lc上に配置されており、その結果、ベース構造体1803の上面は双曲線状である。上面の全体的な傾斜は、長手方向Ldと直線L3との間の角度Atとして定義され、直線L3は、長手方向平面内に延びており、最も内側の円筒形壁1804’の上側の第2縁部1804b’と最も外側の円筒形壁1804’’の上側の第2縁部1804b’’とを結んでいるが、中間円筒形壁の上側の第2縁部は結んでいない。
図17Bに示す例では、上面傾斜角Atは約45°である。図に示されているように、線によって示されてはいないが、底面も約45度の底面傾斜角度を有する双曲線状である。
【0120】
再び
図1~
図3を参照すると、
図1~
図3に示されるパイル装置はまた、上述の様々な態様に従って以下の好ましい幾何学的比率を呈する。
第2の態様によれば、パイル装置は、0.051の範囲の閉面積比を呈する。
【0121】
第3の態様によれば、最も短いセル壁の長手方向の長さとセル6の断面積の平方根との間の比は、
図3cに示されるすべてのセル6について、4.1~6.7の間にある。
第4の態様によれば、セル6を画定しているセル壁4、5の累積内部面積とセル6の断面積との間の比は、
図3cに示されるすべてのセルについて、21~29の間にある。
【0122】
第5の態様によれば、この実施形態のベース構造体3は、すべてのセル6について本質的に等しいセル断面積で設計されているため、すべてのセルについて、セル6の断面積の変動は3%未満である。
【0123】
第6の態様によれば、最も外側の円筒形壁4の長手方向の長さと直径との比は0.41である。
第7の態様によれば、ステム2の第1の端部2aは、ベース構造体3を越えて長手方向に突出しており、それによって、上述のように海底への最初の打ち込みを容易にするグランドスパイクを形成している。
【0124】
第10の態様によれば、半径方向の最も外側の円筒形壁4の直径とステム2の外径との比は2.19である。
上に列挙した幾何学的比率を示すことによって、
図1~
図3Cに示されるパイル装置1は、振動打ち込み中のコアリングと振動打ち込みの完了後のセル6の中詰めとの間の有利なバランスを呈することが証明されている。これは、打設時の高い荷重容量と組み合わせて優れた打ち込み能力をもたらす。
【0125】
図4A~
図4Cは、パイル装置101の第2の実施形態を示す。このパイル装置101は、ステム102と、その第1の端部102aにおいてステム102の周りに同心円状に配置されたベース構造体103とを備える。ベース構造体103は、12個の半径方向壁によって支持された同心円状に配置された5つの円筒形壁104を備える。断面形状は、
図3aに示されるものと同様であり、本質的に等しい断面積を呈する60個の長手方向に開放したセル106を備える。
【0126】
パイル装置106は、ベース構造体103がステム102の第1の端部102aに配置されているという点で、
図1~
図3Cに示されるものとは異なる。これによって、パイル装置106は、ステムの下向きに突出する部分によって形成されるいかなるグランドスパイクも呈しない。しかしながら、この実施形態においても、円筒形壁104及び半径方向壁105の垂直高さは、半径方向外向きに減少している。これにより、円筒形壁104の下側の第1縁部104aは、ベース構造体103の傾斜底面を画定している。この実施形態では、下側の第1縁部104は、最も内側の下側の第1縁部104aと最も外側の下側の第1縁部104aとを結んでいる凹線上に位置する。これにより、下側の第1縁部104によって画定されている底面は、双曲線形状を呈する。これに対応して、円筒形壁104の上側の第2縁部104bは、ベース構造体103の双曲線状の上面を画定している。
【0127】
図1~
図3Cに示すパイル装置1の円錐状の上面及び底面と同様に、ベース構造体103の双曲線状の上面及び底面は、特に垂直方向の荷重について、打設後のパイル装置101の荷重容量を大幅に向上させる。
【0128】
底面が第1の端部102に近接して配置されている、ベース構造体103の双曲線状の底面は、地面又は海底への初期貫入中にグランドスパイクとして更に機能する。傾斜した底面は、結果として、地面又は海底への初期貫入中にパイル装置101が受ける打ち込み抵抗を徐々に増大させる。これは、振動打ち込みの初期段階の間、パイル装置の垂直方向の向きを維持することを容易にする。
【0129】
図5A~
図5Cに示すパイル装置201の実施形態は、ステム202と、ステム202の第1の端部202aに近接して配置されたベース構造体203とを備える。ベース構造体203は、202の周りに同心円状に配置された3つの円筒形壁204と、複数の半径方向壁205とを備える。この実施形態では、円筒形壁204間の半径方向距離は、ベース構造体203全体において等しく、複数の半径方向壁205は、円筒形204及び半径方向壁205によって画定されている、すべての長手方向に開放したセル206が本質的に等しい断面積を呈するように、円周方向に分散されている。
【0130】
更に、この実施形態では、すべての円筒形壁204及び垂直壁205は、ベース構造体203が平坦な底面及び平坦な上面を示し、両方の表面がステム202の長手方向に対し垂直な水平面に配置されるように、等しい長手方向の高さを呈する。第1の端部202aは、ベース構造体203の底面を越えていくらか突出しており、それによって比較的短いグランドスパイクを形成している。
【0131】
図6A~
図6Cに示す実施形態では、パイル装置301は、ステム302と、ステム302の第1の端部302aに配置されたベース構造体303とを備える。
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Cに示す実施形態と同様に、ベース構造体303は、隣接する円筒形壁の各対間で外向きに減少する半径方向距離によって分離された、同心円状に配置された5つの円筒形壁304と、12個の半径方向壁305とを備える。円筒形壁304及び半径方向壁305は、等しい断面積を有する長手方向に開放したセル306を画定している。この実施形態では、すべての円筒形壁304は同じ高さであり、その結果、円筒形壁の下側の第1縁部及び上側の第2縁部304bによって画定されている底面及び上面は、平坦であり、水平に向けられている。
【0132】
しかしながら、この実施形態では、半径方向壁305の垂直高さは、半径方向外向きに減少している。これにより、半径方向壁305の半径方向断面積もまた、ステム302から半径方向外向きに減少している。半径方向壁305のそのような配置は、第9の態様に関連して上述した構造インピーダンスの連続的変化及び構造効率に関連する利点を提供する。
【0133】
図7A~
図7Cに示す実施形態では、パイル装置401は、ステム402及びベース構造体403を備える。ベース構造体は、等しい半径方向距離によって分離された、同心円状に配置された5つの円筒形壁404と、12個の半径方向壁405とを備え、壁404、405は、ステム402と共に、60個の長手方向に開放したセル406を画定している。この実施形態では、セルの断面積は、半径方向外向きに増大している。円筒形壁404及び半径方向壁405は、円筒形壁404の下側の第1縁部及び上側の第2縁部404bによって画定されている底面及び上面が平坦で水平に配置されるように、等しい一定の高さを有する。
【0134】
図1~
図7Cに示されるすべての実施形態について、各セルを画定している2つの隣接しない壁の間の最短距離は、セルを画定している2つの円筒形壁の間の半径方向距離であることに留意されたい。したがって、各セルについて、有効距離は、セルを画定している2つの円筒形壁の間の半径方向距離によって構成される。したがって、これらの実施形態におけるセルの高さ対幅比を計算するとき、セルを画定している最も短い壁の高さは、セルを画定している2つの円筒形壁の間の半径方向距離で除算される。
【0135】
図8A~
図8Gは、更なる実施形態によるパイル装置におけるベース構造体の代替的な断面形状を示す。図において、いくつかの例示的なセルの有効距離は、参照符号Sdを与えられている。
【0136】
図8Aに示すパイル装置は、円筒形ステム502と、ステム502の周りに同心円状に配置されたベース構造体503とを備える。ベース構造体は、同心円状に配置された5つの円筒形壁504と、ステム502と共に60個の長手方向に開放したセル506を画定している12個の半径方向壁505とを備える。円筒形壁504間の半径方向距離は、半径方向外向きに減少している。各セル506の有効距離Sd1~Sd5は、セル506を画定している2つの円筒形壁504の間の半径方向距離によって構成されている。半径方向壁505の周方向の厚さは、半径方向外向きに徐々に減少する。加えて、円筒形壁504の半径方向厚さは、半径方向外向きに壁ごとに減少する。壁504、505の厚さ、したがって断面積のそのような減少は、第9の態様を参照して上述したように、構造インピーダンス及び構造効率の観点から有利である。
【0137】
図8Bに示すパイル装置は、円筒形ステム602と、ステム602の周りに同心円状に配置されたベース構造体603とを備える。ベース構造体603は、等しい半径方向距離によって分離された、同心円状に配置された3つの円筒形壁604を備える。円筒形壁604の半径方向の厚さは、半径方向外向きに壁ごとに減少している。ベース構造体603は、複数の半径方向壁605を更に備える。各半径方向壁605の円周方向厚さは、半径方向外向きに減少している。円筒形壁604及び半径方向壁605は、ステム602と共に、長手方向に開放した複数のセル606を画定している。各セル606の有効距離Sd1~Sd3は、ここでは、セル506を画定している2つの半径方向壁605間の円周方向距離によって構成される。第5の態様によれば、セル606の断面積は、ベース構造体603内のすべてのセル606の間において10%未満で変化する。
【0138】
図8Cに示されるパイル装置は、円筒形ステム702及びベース構造体703を備え、その断面は概ね、ステム702の周りに対称的に配置された六角形を形成している。ベース構造体703は、ステム702の周りに対称的に分散された長手方向に開放した複数のセル706を備える。各セル706は、各セル706が正六角形断面を呈するように、断面平面において等しい長さを有する6つの壁によって画定されている。この実施形態では、断面積はすべてのセル706について等しく、各セル706の有効距離Sdは、2つの隣接しない壁の間の最短距離であり、この場合、セルの六角形断面の辺の長さに等しい。
【0139】
図8Dに概略的に示されるパイル装置は、正方形断面を有する管状ステム802と、ベース構造体803とを備える。ベース構造体は、正方形断面を有する2つの管状壁804を備え、管状壁804は、ステム802の周囲に同心円状に配置されている。管状壁804は、横方向に延びている仕切り壁805によって接続されている。管状壁804及び仕切り壁805は、管状ステム802と共に、長手方向に開放した複数のセル806a、806bを画定している。これにより、セル806aの一部は略L字型の断面を有し、他のセル806bは矩形の断面を有する。この実施形態では、各セル806a、806bの有効距離Sdは、2つの管状壁805の間、又はステム802と最も内側の管状壁805との間の最短距離によって構成されており、この場合の距離は、仕切り壁805の断面平面内の長さに等しい。
【0140】
図8Eに概略的に示されるパイル装置は、正三角形を形成する断面を有する管状ステム902と、ベース構造体903とを備える。ベース構造体は、管状ステム902の外側に同心円状に配置された正三角形を形成する断面を有する1つの管状壁904を備える。ベース構造体はまた、管状壁904及びステム802と共に長手方向に開放した複数のセル906を形成するように配置された、複数の仕切り壁905を備える。各セル806は、正三角形の形状を有する断面を呈する。この実施形態では、有効距離は、三角形断面のセル806における底辺及び高さのうちの最も短い方によって構成されている。この実施形態におけるセル906の断面は等辺であるため、有効距離Sdは断面三角形の高さによって構成されている。
【0141】
図8Fに概略的に示されるパイル装置は、八角形断面を有する管状ステム1002と、ベース構造体1003とを備える。ベース構造体1003は、八角形の断面を有し、ステム1002の周りに同心円状に配置された2つの管状壁1004を備える。ベース構造体1003は、ステム1002から最も外側の管状壁1004まで延びている複数の半径方向壁1005を更に備える。管状壁1004及び半径方向壁1005は、ステム1002と共に、傾斜した断面を有する長手方向に開放した複数のセル1006を画定している。この実施形態では、有効距離Sdは、すべてのセル1006について等しく、ステム1002と内側管状壁との間の半径方向距離、及び内側管状壁と外側管状壁との間の半径方向距離によってそれぞれ構成されている。
【0142】
図8Gに概略的に示されるパイル装置は、円筒形ステム1102及びベース構造体1103を備える。ベース構造体1103は、内側管状壁1104a及び外側管状壁1104bを備える。管状壁1104a、1104bは両方とも、正方形断面を有し、ステム1102の周りに同心円状に配置されている。ベース構造体は、複数の仕切り壁1105を更に備え、これらの仕切り壁はすべて、断面平面において等しい長さを有する。内側管状壁1104aは、ステム1102の周りに均等に分散された4つの内側仕切り壁1105aによってステムに接続されている。これにより、内側管状壁1104a及び内側仕切り壁1105aは、ステム1102と共に4つの内側の長手方向に開放したセル1106aを画定している。更に、内側管状壁1104a及び外側管状壁1104bは、外側仕切り壁1105bと共に、外側の長手方向に開放した複数のセル1106bを画定しており、そのうちのいくつかは、長方形断面及び一部が角度付きの断面を有する。この実施形態では、内側セル1106a及び外側セル1106bのそれぞれについての有効距離Sd1、Sd2は、内側仕切り壁1105a及び外側仕切り壁1105bの長さによってそれぞれ構成されている。内側仕切り壁1105a及び外側仕切り壁1105bは、断面において等しい長さを有するので、有効距離Sd1、Sd2は、すべてのセル1106a、1106bについて等しい。
【0143】
図9A及び
図9Bは、上述した第12の態様によるそれぞれのパイル装置1301、1401を概略的に示す。
図9A及び
図9Bの両方は、海底に打設された後のそれぞれのパイル装置1301、1401を側面図及び線A-Aからの断面図で示す。
【0144】
両方のパイル装置は、円筒形ステム1302、1402と、ステム1302、1402の第1の端部1302a、1402aに近接してステム1302、1402の周りに同心円状に配置されたベース構造体1303、1403とを備える。ステム1302、1402及びベース構造体1303、1402は、
図1~
図3Cに示すステム2及びベース構造体3と本質的に同一であり、ここでは更に説明しない。
【0145】
しかしながら、パイル装置1301、1401は、それぞれがステム1302、1402の上側の第2の端部1302b、1402bに近接して配置された上部構造体1310、1410を備えるという点で、前述のパイル装置とは異なる。
【0146】
図9Aに示す実施形態では、上部構造体1310は、ステム1302の上部に、すなわちステム1302の上側の第2の端部1302bに近接して固定された4つのフィン1311a~1311dを備える。各フィン1311a~1311cは、ステム1302の長手方向に平行に延び、かつステム1302から半径方向に突出するように配置された長方形の鋼板を備える。フィン1311a~1311cは更に、ステム1302の周縁に沿って対称的に分散している。海底へのパイル装置1301の打設時に、パイル装置は、フィン1311a~1311dが少なくとも部分的に海底に埋め込まれる埋設深さまで振動打ち込みされる。これによって、フィンは、水平荷重を周囲の土壌に伝達し、それによって、第12の態様を参照して上記の発明の概要で更に詳細に説明したように、パイル装置1301の水平荷重容量が大幅に向上する。
【0147】
図9Bに示される実施形態では、上部構造体1410はまた、本質的に
図9aに示されるフィン1311a~1311dのように成形及び配置される4つのフィン1411a~1411dを備える。フィン1411a~1411dに加えて、上部構造体1410は、ステム14012の周りに同心円状に配置され、フィン1411a~1411dの半径方向外側の縁部に固定された円筒形壁1412を更に備える。これにより、フィン1411a~1411c及び円筒形壁1412は、ステム1402と共に、長手方向に開放した4つのセル1413a~1413dを画定している。上部構造体1401は、好ましくは、パイル装置1401の振動打ち込み中に開放セル1413a~1413dがコアリングを促進し、打設後にセル1413a~1413dの中詰めを促進するように設計されてもよい。また、
図9bに示される上部構造体1410の利点は、第12の態様を参照して上記の発明の概要において更に説明される。
【0148】
図13A~
図14は、第16の態様によるパイル装置を概略的に示す。これらの実施形態では、パイル装置は、上述したような長手方向に開放したセルを有するベース構造体1503、1603を備える。これらの実施形態は、概して、パイル装置が複数のステム1502a~1502c、1602a~1602cを備えるという点で、上述の実施形態とは異なる。各ステムは、先の実施形態と同様に、打設時に第2の端部の下に配置されるように意図された第1の端部の間に延びている。しかしながら、ここでは、各ステム1502a~1502c、1602a~1602cは、上述のステムよりも細い。ベース構造体1503、1603は、ステム1502a~1502c、1602a~1602cの第1の端部に配置されている。
【0149】
図13A~
図13Bに示す実施形態では、ステム1502a~1502cの第2の端部は相互接続されておらず、パイル装置が打設されたときに係留ラインなどをアンカーリングすることができる独立したアンカーリングポイントを形成している。
【0150】
図14に示す実施形態では、ステム1602a~1602cの第2の上端は、パイル装置の単一のアンカーリング構造体を形成するように互いに接続されている。
図14に示す実施形態では、ステム1602a~1602cの第2の端部は、第2の端部が円筒形スリーブ1616の外周に固定されるように、ステム1602a~1602cの第2の上端部の間に配置された円筒形スリーブ1616によって相互接続されている。一般に、上述した様々な実施形態によるパイル装置のステム及び/又はベース構造体は、好ましくは、例えば、鋼又は繊維強化複合材料などの構造的に剛性の材料、あるいは打設中及び動作中に受ける荷重に対して十分な強度及び疲労を呈する他の材料で製造されてもよい。
【0151】
ベース構造体及び/又はステムは、シート金属を巻いて、シートの長手方向縁部を共に溶接し、真っ直ぐな中空パイプ又は円筒を形成することによって製造することができる。そのような中空パイプ又は円筒は、ベース構造体の円筒形壁を形成するために使用されてもよい。ステムを形成するために、いくつかのそのように形成された中空パイプを、例えば突合せ溶接によって長手方向に互いに接合して、完成ステムの長手方向セクションを形成することができる。特にステムを形成する別の方法は、細長い矩形の金属シートを螺旋溶接することによるものであり、このシートは、螺旋状に巻かれ、その長手方向縁部に沿って螺旋状に溶接される。
【0152】
あるいは、ベース構造体及び/又はステムは、フィラメントワインディングプロセス又は繊維強化パイプセクションのための他の自動化された付加製造プロセスを使用して、繊維強化プラスチックから製造されてもよい。パイプセクションの壁は、最小量の層及び壁厚を使用して、垂直張力及び圧縮荷重並びに曲げ及びねじり荷重に抵抗することができるパイプセクションを形成するために、積み重ねられた層において組み合わせられた複数の繊維方向を有する複合マトリックスを形成するように、繊維及び樹脂/プリプレグを混合することによって層ごとに構築されてもよい。
【0153】
ベース構造体はまた、シート金属のセグメントを曲げ、セグメントをベース構造体のオープンセル構成に溶接することによって形成されてもよい。ベース構造体は、ステム上に半径方向セグメントを溶接し、続いて、リングを形成するために、シートを曲げて、半径方向セグメントに溶接されるか又は他の方法で堅く接合される円形セグメントにして、同心リングセグメントをそれに追加することによって、形成されてもよい。各セグメントはまた、ベース構造体の断面平面において略L字型であってもよい。L字型セグメントの一方の脚部は、セルの半径方向壁を形成するように直線であってもよく、他方の脚部は、同じセルの外側円形壁セグメントを形成する円形セグメントを形成するように湾曲していてもよい。その後、複数のこのようなL字型セグメントをステムの周縁に円周方向に溶接して、セグメントの湾曲した脚部が共にベース構造体の最も内側の円形壁を形成するセルの半径方向の最も内側のリングを形成することができる。このように形成された最も内側の円形壁の外側に追加の同様のセグメントを順に追加することによって、ベース構造体を、L字型セグメントの直線脚部によって半径方向に分離された任意の所望の数の同心円状に配置された円形壁を備えるように、完成させることができる。
【0154】
ベース構造体はまた、最初に、異なる直径を有する多数のシート金属シリンダと、多数の真直ぐな長方形シート金属壁とを形成することによって製造されてもよい。その後、完成したベース構造体の長手方向に延びるスリットが、円筒形壁及び直線壁に切り込まれてもよい。好ましくは、スリットは、垂直高さの約半分にわたって延びてもよく、円筒形壁及び直線壁のそれぞれの対向する縁部から切り込まれてもよい。その後、ベース構造体は、円筒形壁をステムの周りに同心円状に配置し、直線壁をステムから半径方向外側に配置することによって形成され、これらの壁が交差する箇所において、円筒形壁が半径方向壁のスリット内に受け入れられ、その逆も同様である。最後に、交差部は溶接によって固定されてもよい。
【0155】
ベース構造体は、ベース構造体が製造されるプロセスの一部として、又はその後に、完成したベース構造体をステムに接合して、ベース構造体の少なくとも1つの半径方向壁をステムの外壁表面上に溶接することによって、ステムに取り付けられてもよい。
【0156】
代替的に、ベース構造体は、3D印刷、鋳造、及び/又は繊維材料を保持する型内への樹脂の注入によって形成されてもよい。これらの方法のいずれか、例えば鋳造によってベース構造体を形成する場合、ベース構造体の高さ内にあるステムの一部分を同じプロセスで鋳造することができ、次いで、ステム部分を有するそのようなベース構造体をステムの第2の部品と接合してステム全体を形成することによって、パイル装置を形成することができる。
【0157】
再び
図1を参照して、パイル装置1を海底に振動打ち込みする例示的な方法をここで説明する。上述したように、パイル装置は、第1の端部2aと第2の端部2bとの間で長手方向に延びているステム2と、第1の端部2aに配置された又は第1の端部2aに近接して配置されたベース構造体3と、を備え、ベース構造体3は、長手方向に開放した複数のセル6(
図2a~
図2c参照)を備え、セルは、ベース構造体3の断面においてステム2の周りに対称的に配置されており、各セルは、長手方向に延びている複数のセル壁4、5によって画定されている。この方法は、以下のステップを含む。
【0158】
-振動誘発発振装置23をステム2の第2の端部2bに取り付ける又は第2の端部2bに近接して取り付けるステップ。
発振装置23は、例えばバイブロハンマを備えてもよく、ステム2の円筒形壁の上縁を把持する油圧クランプ(図示せず)によってステム2の第2の端部に取り付けられてもよい。
【0159】
-発振装置23を備えたパイル装置1を荷重支持装置21から吊り下げるステップ。
図示の例では、発振装置23を備えたパイル装置1は、ワイヤ24を介して3軸クレーン21から吊り下げられている。
【0160】
-第1の端部2aが第2の端部2bと本質的に垂直に整列して第2の端部2bの下に位置するようにパイル装置1を向けて、第1の端部2aが地面又は海底と接触するまでパイル装置1を下降させるステップ。
【0161】
図示の例では、発振装置23を備えたパイル装置1は、パイル装置1に作用する重力の影響下で垂直方向に自ら向く。
-振動誘発装置を作動させることなく、地面又は海底への第1の端部の初期重力打ち込み貫入を達成するステップ。
【0162】
図示の例では、ステム2の第1の端部2aは、ベース構造体3の底面の下に垂直に突出している。これによって、ステム2の下向きに突出する部分が、第1の端部2aを垂直方向下向きに案内するグランドスパイクを形成するので、貫入の初期部分が容易になる。
【0163】
-発振装置23を作動させて、パイル装置1を所定の振動周波数範囲で振動させるステップ。
所定の周波数範囲は、パイル装置及び発振装置の重量、並びにパイル装置が打ち込まれる土壌の密度及び他の特性などの多くの要因に応じて変化する。通常、振動周波数は、パイル装置-土壌-発振装置-システムの固有周波数の約1.5倍に保たれるべきである。典型的には、所定の振動周波数範囲は20~50Hz程度であってもよい。
【0164】
-発振装置23を作動させたまま、パイル装置1を下降させ、それによってパイル装置を地面又は海底に更に打ち込むステップ。
通常、この段階の間、下向きの打ち込み速度は、重力がパイル装置1及びパイル装置1を下向きに引っ張るための発振装置の質量全体に作用しないように、クレーン21から吊り下げられた荷重を制御することによって調整される。
【0165】
-パイル装置の更なる打ち込み中に、ステムの傾き、荷重支持装置から吊り下げられた垂直荷重、パイル装置の振動周波数、及びステムの第1の端部の地面又は海底への貫入深さを監視するステップ。
【0166】
ステム1の傾斜は、視覚(人間の目、カメラ)及び傾斜計測定装置の組合せを使用することによって監視されてもよい。吊り荷重は、ロードセル又は同等の荷重センサを使用することによって監視されてもよい。使用される最大吊り荷重は、システムの湿潤質量(海中打設の場合)又は乾燥質量(陸上)と同等であってもよい。ワイヤに吊り下げられた質量を有するこの最大吊り荷重を加えることは、ベース構造体3がそれ以上貫通することを効果的に防止する。一方、吊り荷重を0に保つことは、システムの全重量を、ベース構造体3の底面に作用する下向きの力として効果的に残す。
【0167】
-パイル装置の更なる打ち込み中に繰り返し、監視されている値がそれぞれの所定の公称範囲から逸脱するときに、ステムの傾き、荷重支持装置から吊り下げられた垂直荷重、及び振動周波数を調整するステップ。
【0168】
重要な打ち込みパラメータのそのような繰り返し調整によって、非常に未知の特性を有する地面又は海底においても、意図しない中断又は故障なしに打ち込みを容易に完了することができる。
【0169】
-ステムの第1の端部が地面又は海底における所定の貫入深さに到達したときに、発振装置を停止させるステップ。
いくつかの用途では、打設後のパイル装置は、ステムの長手方向が垂直方向から逸脱するように向けられることが有利であり得る。そのような用途の一例は、パイル装置が、波エネルギー変換器ブイなどの浮遊構造体のための海中係留具として使用される場合である。このような用途では、パイル装置によって支えられる荷重は、通常、係留ワイヤによってステムに伝達される非垂直引張力として、ステムの上側の第2の端部に加えられる。このような非垂直荷重に耐えるパイル装置の能力を増大させるために、力をパイル装置に伝達するときに係留ワイヤが延びている方向にステムが概ね整列するようにステムを向けることが有利であり得る。
【0170】
図10A~
図12は、パイル装置のそのような向き変更を達成するための3つの異なる方法を概略的に示す。これらの方法で使用される例示的なパイル装置1は、
図1~
図3cに示されるパイル装置1と本質的に同一であり、ここでは再度詳細に説明しない。
【0171】
図10A~
図10Bに示す方法では、パイル装置1は、最初に、発振装置23によって、所定の埋設深さまで垂直方向に振動打ち込みされる。この初期打ち込みは、
図1を参照して上述した方法によって達成することができる。このような初期打ち込みの後、パイル装置1は、
図10Aに示される位置及び垂直向きに達する。初期打ち込み後、ワイヤ26を発振装置23及び船舶27に固定する。その後、パイル装置1の向き変更は、発振装置23を作動状態に維持し、それによって向き変更段階中にパイル装置を所定の周波数で連続的に振動させることによって達成される。
図10Bに示すように、実際の向き変更は、非垂直な引張力がワイヤ26を介してパイル装置1の頂部に伝達されるように、船舶27をパイル装置から水平に離れるように駆動することによって達成される。これによって、パイル装置は、パイル装置が
図10bに示される非垂直な向きをとるように、ステム2を通って延びている水平枢動軸を中心に枢動する。向き変更が完了した後、発振装置23はパイル装置1から取り外される。上述した向き変更方法において、向き変更段階中のパイル装置1の連続的な振動は、パイル装置と周囲の土壌との間の摩擦を低減し、その結果、ワイヤを介して船舶によって加えられる引張力が、パイル装置の同時振動を伴わない対応する向き変更動作と比較して、更に大きく低減され得る。上述の向き変更方法は、ステム及びベース構造体が比較的大きな直径を有するパイル装置に有利に適用することができる。
【0172】
図11A~
図11Bに示される向き変更方法では、パイル装置はまた、最初に、
図11Aに示される所定の埋設深さまで垂直に振動打ち込みされている。その後、発振装置が取り外され、船舶がワイヤ26を介してパイル装置1のステム2の第2の端部2aに接続される。ワイヤが船舶27及びパイル装置1に接続されると、非垂直な引張力がステム2の第2の端部2bに加えられるように、船舶27をパイル装置1から離れるように駆動することによって、上述の方式と同様の方式で向き変更動作が実行される。これによって、パイル装置は、パイル装置が
図11Bに示される向きに達するまで、ステムを通って延びている水平枢動軸を中心に枢動される。しかしながら、
図11A~
図11Bに示す向き変更方法は、向き変更段階中にパイル装置に振動が加えられないという点で、
図10A~
図10Bに示すものとは異なる。この非振動向き変更方法は、向き変更中に発振装置のいかなる操作も必要としないという利点を呈する。この後者の向き変更方法は、ステム及びベース構造体の直径が比較的小さい、細長いパイル装置に有利に使用することができる。
【0173】
図10A~
図11Bを参照して上述された向き変更方法の更なる詳細は、第15の態様を参照して上記の概要において説明されている。
図12は、パイル装置1を海底に非垂直方向に打ち込む方法を概略的に示す。例示的なパイル装置1は、
図1~
図3Cに示されるパイル装置1と本質的に同一であり、ここでは再度詳細に説明しない。
【0174】
図12に示すように、この方法は、ベース31と、ベース31に対して枢動可能であり、打ち込まれるパイル装置1のステム2を支持するように装置されたガイド構造体32とを備えるパイルガイド装置30を利用する。ベース31とガイド構造体32との間の枢動角度を調整することによって、非垂直な打ち込み角度を任意の所望の値に設定することができる。
【0175】
この方法は、まず、海底又は地面上の所望の位置にパイルガイド装置を配置し、ガイド構造体が所望の打設角度をとるように枢動角度を調整することによって実行される。その後又はその前に、パイル装置1は、ステム2がガイド構造体32によって支持されるようにパイルガイド装置30上に配置される。次に、パイル装置を所定の周波数で振動させるために、ステムの第2の端部2bに取り付けられた発振装置23を作動させる。振動を作動状態に維持しながら、パイル装置が、ガイド構造体32に沿って地面又は海底へと摺動することを可能にする。いくつかの用途では、そのような摺動は、単に、パイル装置1及び発振装置23に作用する重力の影響のみによって達成されてもよい。他の用途では、打ち込み力装置(図示せず)によってステムの長手方向に追加の打ち込み力を加えることが必要な場合がある。振動は、パイル装置1が地面又は海底における所定の埋設深さに到達するまで維持され、その後、振動は停止され、パイルガイド装置30が打設場所から取り外される。
【0176】
上述の方法は、例えば、打設角度が高精度で制御され得ることを可能にするという点で有利である。
図12を参照して上述した方法は、第16の態様を参照して上記の概要において更に説明されている。
【0177】
以上、本開示の態様について、主にそれらのいくつかの実施形態及び実施例を参照しながら説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記に開示された実施形態以外の実施形態も添付の特許請求の範囲内で同様に可能である。
【国際調査報告】