(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】プラスチック熱分解反応器
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20250117BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20250117BHJP
C10B 53/07 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C10G1/10 ZAB
C08J11/12
C10B53/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541186
(86)(22)【出願日】2023-01-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2023060633
(87)【国際公開番号】W WO2023137430
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522005594
【氏名又は名称】ルーマス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギモン,デビッド,リー
(72)【発明者】
【氏名】フェルナルド,ダニエル,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルバネク,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ジブ,リチャード,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ,スディプト
(72)【発明者】
【氏名】コンブス,ジョニー,ドイル
(72)【発明者】
【氏名】リンジー,ボディ,リン
(72)【発明者】
【氏名】メイズ,ザカリー,アラン
【テーマコード(参考)】
4F401
4H012
4H129
【Fターム(参考)】
4F401BA02
4F401BA06
4F401CA70
4F401CB34
4F401CB35
4H012HB00
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC18
4H129NA20
4H129NA21
(57)【要約】
廃プラスチック材料を石油化学製品に変換するためのシステム。システムは、供給入口及び分配器ゾーン、供給入口及び分配器ゾーンの下方に位置するすくい角フィルム反応セクション、並びにすくい角フィルム反応セクションの下方に位置する攪拌タンク反応セクションを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック材料を石油化学製品に変換するためのシステムであって、
供給入口及び分配器セクションと、
前記供給入口及び分配器セクションの下方に位置するすくい角付きフィルム反応セクションと、
前記すくい角付きフィルム反応セクションの下方に位置する攪拌タンク反応セクションと、を備える、システム。
【請求項2】
前記供給入口及び分配器セクションが、
廃プラスチック材料供給ストリームを受容するように構成された1つ以上の供給入口パイプと、
堰内に溶融プラスチック材料を収集し、前記溶融プラスチック材料を前記すくい角付きフィルム反応セクションの内壁に分配するように構成された分配器アセンブリと、
前記すくい角付きフィルム反応セクションにおいて生成された蒸気流出物を収集し、除去するように構成された蒸気出口と、を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムが、
前記すくい角付きフィルム反応セクション及び前記攪拌タンク反応セクションの各々の外面の周りに位置する1つ以上の加熱ゾーンであって、前記すくい角付きフィルム反応セクション及び前記攪拌タンク反応セクションに熱を提供するように構成されている、1つ以上の加熱ゾーンを更に備え、
前記1つ以上の加熱ゾーンが、電気加熱要素、煙道ガスジャケット、又はこれらの組み合わせを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記すくい角付きフィルム反応セクションが、
前記すくい角付きフィルム反応セクションの中心軸に沿って位置する回転子シャフトと、
前記回転子シャフトに結合された1つ以上のすくい角アームと、
前記1つ以上のすくい角アームの端部に配設された1つ以上のすくい角と、
前記すくい角フィルム反応セクションの外面の周りに位置する1つ以上の加熱ゾーンであって、前記すくい角フィルム反応セクションに熱を供給するように構成されている、1つ以上の加熱ゾーンと、
前記1つ以上の加熱ゾーンと前記内壁との間に位置する熱伝導ジャケットであって、前記内壁に沿って前記熱を均等に広げるように構成されている、熱伝導ジャケットと、を更に含み、
前記1つ以上のすくい角が、前記内壁を削るように構成され、それによって、前記内壁を下に流れる前記溶融プラスチック材料を混合する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のすくい角が、1つ以上のばねを更に含み、前記1つ以上のばねが、前記1つ以上のすくい角アームを前記内壁と接触させ続けるように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記すくい角付きフィルム反応セクションの外面の周りに位置する前記1つ以上の加熱ゾーンが、煙道ガスジャケット、電気加熱要素、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記攪拌タンク反応セクションが、
前記すくい角付きフィルム反応セクションからの液体流出物をかき混ぜるように構成された前記攪拌タンク反応セクションの内部に位置するアジテータと、
前記攪拌タンク反応セクションの外面の周りに位置する1つ以上の加熱ゾーンであって、前記攪拌タンク反応セクションに加熱を提供するように構成されており、前記攪拌タンク反応セクションの外面の周りの前記1つ以上の加熱ゾーンが、煙道ガスジャケット、電気加熱要素、又はこれらの組み合わせを含む、1つ以上の加熱ゾーンと、
前記攪拌タンク反応セクションの前記内部に位置する加熱コイルであって、前記攪拌タンク反応セクションの前記外面の周りに位置する前記1つ以上の加熱ゾーンとは別に、前記攪拌タンク反応セクション内の前記液体流出物を独立して加熱するように構成されている、加熱コイルと、
前記攪拌タンク反応セクションにおいて生成されたピッチ生成物を除去するように構成されたピッチオーガと、を更に含む、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項8】
前記分配器アセンブリが、前記回転子シャフトに結合されている、請求項4~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記回転子シャフトに結合された回転子ギアボックスであって、前記回転子シャフトに回転トルクを供給するように構成されている、回転子ギアボックスと、
前記回転子ギアボックスに結合された回転子モータであって、前記回転子ギアボックスに回転入力を供給するように構成されている、回転子モータと、を更に備える、請求項4~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記アジテータに結合されたアジテータギアボックスであって、前記アジテータに回転トルクを供給するように構成されている、アジテータギアボックスと、
前記アジテータギアボックスに結合されたアジテータモータであって、前記アジテータギアボックスに回転入力を供給するように構成されている、アジテータモータと、を更に備える、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記回転子シャフトを前記アジテータに取り外し可能に結合するように構成された回転子/アジテータ軸方向結合を更に備え、前記システムが、前記供給入口及び分配器ゾーンの外面に位置する上部ヘッド本体フランジを更に備え、前記上部ヘッド本体フランジが、前記回転子/アジテータ軸方向結合が切り離されたときに、前記供給入口及び分配器ゾーン及び前記すくい角付きフィルム反応セクションの取り外しを可能にするように構成されている、請求項7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
アジテータが前記回転子シャフトに結合されており、前記システムが、
前記回転子シャフトに結合されたギアボックスであって、前記回転子シャフト及び前記アジテータに回転トルクを供給するように構成されている、ギアボックスと、
前記ギアボックスに結合されたモータであって、前記ギアボックスに回転入力を供給するように構成されている、モータと、を更に備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
前記煙道ガスジャケットの各々が、高温煙道ガス入口及び煙道ガス出口を含み、各煙道ガス入口が、前記蒸気流出物の一部分の燃焼生成物を含む煙道ガスを受容するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項14】
廃プラスチック材料を石油化学製品に変換するためのシステムであって、
供給入口及び分配器セクションと、
前記供給入口及び分配器セクションの下方に位置する攪拌タンク反応セクションと、を備える、システム。
【請求項15】
前記供給入口及び分配器セクションが、
廃プラスチック材料供給ストリームを受容するように構成された1つ以上の供給入口パイプと、
前記攪拌タンク反応セクションにおいて生成された蒸気流出物を収集し、除去するように構成された蒸気排出口と、を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記攪拌タンク反応セクションが、
前記攪拌タンク反応セクションの中心軸に沿って位置する回転オーガと、
前記攪拌タンク反応セクションの外面の周りに位置する1つ以上の加熱要素であって、前記攪拌タンク反応セクションに熱を提供するように構成されている、1つ以上の加熱要素と、
前記1つ以上の加熱要素と内壁との間に位置する熱伝導ジャケットであって、前記内壁に沿って前記熱を均等に広げるように構成されている、熱伝導ジャケットと、を含み、
前記回転オーガが、前記内壁を削るように構成され、それによって、前記内壁を下に流れる溶融プラスチック材料を混合する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記攪拌タンク反応セクションの外面の周りに位置する前記1つ以上の加熱要素が、煙道ガスジャケット、電気加熱要素、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
各煙道ガスジャケットが、高温煙道ガス入口及び煙道ガス出口を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記攪拌タンク反応セクションが、
前記攪拌タンク反応セクションにおいて生成されたピッチ生成物を除去するように構成されたピッチ出口を更に含む、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記回転オーガに結合された回転子ギアボックスであって、前記回転オーガに回転トルクを供給するように構成されている、回転子ギアボックスと、
前記回転子ギアボックスに結合された回転子モータであって、前記回転子ギアボックスに回転入力を供給するように構成されている、回転子モータと、を更に備える、請求項16~19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、廃プラスチックを石油化学製品に変換するための反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック廃棄物の回収及びリサイクルの必要性について、急速かつ高まっている環境上の懸念がある。
【0003】
熱分解は、熱による化合物の解離又は分解を指し、特に、酸素の不在下での熱分解(クラッキング)によって長い分子が液体燃料に変換されるように記載されているプロセスである。プラスチック廃棄物の熱分解中、例えば、プラスチック廃棄物は、典型的には、不活性環境下で、チャンバ内で最初に溶融される。次いで、溶融材料を加熱し、反応させて、より軽い分子を形成し、そのうちのいくつかは、気体状態であってもよい。
【0004】
プラスチックの熱分解は、多くの場合、バッチプロセスで行われ、バッチは、バッチの反応が完了するまで、単一の設定点温度に達するか、又は一定の熱入力速度で提供される。他のプロセスは、ゾーンごとに定義された設定温度及び滞留時間も使用して、一連の加熱ゾーンを介して供給をステップ化する。
【0005】
例えば、US7883605は、炭化水素材料を熱分解するためのプロセスを記載し、それによって、熱速度は、0.25~27kW/kgの範囲の反応器充填に基づいて定義される。
【0006】
半バッチプロセスにおいて、US10421911(Alterra)は、(更なる)不安定化及び脱ハロゲン化のためのゾーン、並びに熱分解された炭化水素材料の熱分解及び脱揮発のためのゾーンを含む押出器セクション(少なくとも3つのゾーンを有する)及びマルチゾーン窯反応器(少なくとも2つのゾーンを有する)を記載する。
【0007】
熱分解後、次いで熱い熱分解ガスを1つ以上の凝縮器に凝縮して、直鎖及び分枝鎖脂肪酸、環状脂肪酸、及び芳香族炭化水素を含む炭化水素蒸留物を生成する。従来、得られた混合物は、添加剤の配置及び他のマイナーな下流処理アクションの実装後の通常のディーゼル燃料とほぼ同等である。
【0008】
典型的には、熱分解システムは、ほぼ等しい速度で協働する2つの熱分解チャンバを使用する。既存の熱分解チャンバの設定に関する特定の問題には、燃料がバッチタイプベースでのみ製造され得ることがある。両方のチャンバが一斉に廃棄物の熱分解を完了すると、各チャンバの内側から不要な炭素質炭を除去することができるようになるまで、各々が冷却するのを待つ必要がある。したがって、現在、各チャンバが冷却され、炭が手で洗浄されるのを待ってから、チャンバを第2のバッチ及びその後のバッチに再び使用できるようにする必要がある。
【0009】
水平又はわずかに傾斜したスクリューコンベアは、固体原材料の輸送及び加熱/冷却のために以前に使用されてきた。例えば、米国特許第9321964号、米国特許第10731081号、米国特許第8728282号、及び米国特許出願公開第2018/0355256号は、異なるタイプの水平又はわずかに傾斜したスクリューコンベア又は窯タイプのシステムを開示している。これらのシステムは、主に、材料を、炉を通して移動させるための搬送デバイスとして回転子を使用する。これらの参考文献はまた、様々な蒸気回収システムを有するが、蒸気が長さに沿って又は窯出口で連続的に窯から回収されるという共通の特徴を有する。
【0010】
窯を通して材料を移動させるためにスクリューコンベアを使用することに加えて、他の参考文献は、攪拌タンク反応器(STR)を使用するバッチ又はセミバッチプロセスを開示する。例えば、米国特許第10131847号、米国特許第10208253号、及び米国特許第9920255号は、プラスチック廃棄物の熱分解のためにSTRを使用するバッチ又はセミバッチシステムを記載している。米国特許第9920255号は、攪拌タンク内の熱伝達は、溶融プラスチックの低い熱伝導率及び高い粘度によって制限されることに留意する。この制限を克服するためには、化石源からの大量(>50%)の重油でプラスチック溶融物を希釈する必要があった。
【0011】
既存の熱分解システムの更なる問題には、チャンバのより高い頻度の掃除回数、廃棄物原料自体内の不良な熱伝達が充填当たりのプロセス時間を増加させること、並びにまた消耗触媒の費用及び汚損がある。最後の問題は、いくつかの燃料ポンプ及び噴射器に見られる、接触する固体表面の摩耗を低減するディーゼル燃料の能力の尺度を含む、最終的な燃料製品の品質である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記を考慮すると、本発明の目的は、廃プラスチック原料を使用して、一貫した品質の炭化水素のスループットが増加した熱分解反応器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本明細書に開示する1つ以上の実施形態は、廃プラスチック材料を石油化学製品に変換するためのシステムに関する。システムは、供給入口及び分配器ゾーン、供給入口及び分配器ゾーンの下方に位置するすくい角フィルム反応セクション、並びにすくい角フィルム反応セクションの下方に位置する攪拌タンク反応セクションを含む。
【0014】
本明細書に開示する他の実施形態は、廃プラスチック材料を石油化学製品に変換するためのシステムに関する。システムは、供給入口及び分配器ゾーン、並びに供給入口及び分配器ゾーンの下方に位置する攪拌タンク反応セクションを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、システムの反応器設計を示す。
【
図2】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、システムの反応器設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書の実施形態は、廃プラスチックを有用な石油化学製品及び他の中間体又は最終生成物に変換するための熱化学プロセスのための1つ以上の熱分解反応器設計に向けられている。
【0017】
本明細書の実施形態は、廃プラスチックを有用な油、ガス、及びピッチに変換し得る熱分解反応器に関する。油は、燃料を製造するために、燃料とブレンドするために、又は他の炭化水素製品を製造するために使用することができる。反応器は、固体混合プラスチック廃棄物を予熱し、塩化物などの汚染物質を除去するための溶融処理(一次溶融タンク及び押出器を使用して)、同様に反応器流出物を有用な生成物流に分離するための反応後分離システムを含む、モジュール式システムであり得る。反応器は、高いスループットを有し、プラスチックから熱分解生成物へのほとんどの変換を提供する高い熱伝達速度のおかげで、連続モードで動作し得る。残渣の管理は、更なる変換のために攪拌タンク型反応器(STR)セクションを使用することによって促進され、いくつかの実施形態では、アスファルトへの添加剤として使用され得る追加の有用な生成物を潜在的に生成する。
【0018】
一般に、垂直方向の、加熱された、ジャケット状の圧力容器反応器は、1つ以上の実施形態で使用され得る。加熱源には、煙道ガス加熱、電気加熱、又は煙道ガス及び電気加熱の組み合わせが含まれる。このタイプの反応器は、内部の軸方向に配向された回転アセンブリを利用して、供給分配器及びフィルムすくい角デバイスの両方として機能し得る。供給は、回転するすくい角がフィルムをかき混ぜてその平均移動速度を設定する、又は再度述べると、反応器内の流体の平均滞留時間を制御し、それによって熱伝達を増加させ、加熱面の清浄度を維持する、容器の内壁上にフィルムを形成するように迂回され得る。蒸気及びガスは、容器の中心に向かってフィルムを出て、そこで上昇し、容器の上部を出る。液体レベルは、蒸気/ガスへの変換を完了するために容器の底部に維持され、液体ピッチが収集され得、底部から抽出され得て、重い残渣生成物を生成し得る。生成された蒸気及びガスは、1つ以上の生成物流に分離するために蒸留プロセスに送られてもよい。
【0019】
以前の設計とは対照的に、本明細書に開示された1つ以上の実施形態は、回転すくい角デバイスを使用して、流体が重力の下で、反応器容器の加熱された内面に沿って垂直に下に流れるときに流体を混合し得る。すくい角は壁に十分に近いため、コークス/灰の堆積物を継続的に除去し、反応容器の内面全体を溶融プラスチックで濡らす。溶融プラスチックの薄いフィルムの熱伝達抵抗は、特に先行技術における大量の固体又は液体材料と比較して、例外的に低い場合がある。伝熱抵抗は、回転子の作用によって更に低減され得る。
【0020】
蒸気生成物が、落下する溶融プラスチックフィルムへの逆流流れで反応器の上部から出るとき、反応器の底部で生成された蒸気は、冷却溶融プラスチックが反応器を下って移動すると熱を交換することになる。実際には、上昇する蒸気は、落下し再生成するプラスチックを連続的に加熱する。プラスチックの熱分解による生成された蒸気の熱及び質量の交換は、先行技術の気体生成物及び重油成分のみと比較して、生成された軽油の量を増加させる内部リサイクルを生成する。
【0021】
バッチタイプシステムとは対照的に、開示される1つ以上の実施形態は、約420~490℃などのより低い温度及び2~10分などの短い滞留時間を有するすくい角付きフィルム反応器(RFR)セクションを使用し、続いて約440~490℃などのわずかに高い温度及び20~60分などのより長い滞留時間でのSTRセクションを使用する。RFRセクションは、反応溶融物を熱分解温度まで急速に予熱し、ポリマーの30~80%を熱分解生成物に変換することができる。残りの未反応材料は、気相から再凝縮及びリサイクルされた任意の材料とともに、STRセクションに供給される。STRセクション内の材料は、よりゆっくりと変換され得る。
【0022】
1つ以上の実施形態では、いずれかの反応器タイプを使用して、加熱ジャケットは、反応器内壁と、STRの高さに沿って1つ以上の高温煙道ガス経路に接続された外側円筒形ハウジングとの間で使用されてもよい。外側ハウジングは、異なる供給特性に適合するように各ゾーンへの熱速度を調整することを可能にするために、異なるゾーンに分割されてもよい。1つ以上の実施形態では、加熱ジャケットは、反応器内壁と外側円筒形ハウジングとの間の溶融金属を使用し得る。溶融金属の高い熱容量は、プラスチックフィルムが各ゾーン内で均一かつ連続的に加熱されることを確実にし得る。
【0023】
したがって、開示される1つ以上の実施形態は、以下に記載する反応器システムの詳細を用いて、一般的に説明されるであろう。1つ以上の実施形態では、熱熱分解反応器は、概して、垂直方向のジャケット付き圧力容器であってもよい。上部では、溶融プラスチック供給は、ある供給温度及び流量で供給チューブを介して反応器に入る。液体供給物は、液体を均等に分配して、反応器容器の内部サイドシェル上に360度の薄いフィルムを形成する回転分配器デバイス内に垂直に流れ込む。
【0024】
重力は、材料の流れを船の側面に流れ込ませることになる。圧力シェルの外側の加熱ジャケット(複数可)は、加熱及び液体供給の反応のための熱エネルギーを提供する。溶融プラスチックが壁を流れるにつれて、粘度が低下する。熱分解プロセスは、壁に形成される硬質残渣を形成し、緩和されないままにすると、熱伝達を阻害する。内面上の流体を連続的にかき混ぜる/すくう要素を有する回転すくい角アセンブリは、反応器の中心を中心に回転する。回転子シャフトは、上部分配器、同様にすくい角サポートアームの配列の両方を回転させる。回転子のRPMは、壁を下に流れる流体フィルムの平均滞留時間(平均垂直移動速度)を制御又は設定するように調整される。すくい角作用はまた、壁から流体への熱伝達を増加させることができる。
【0025】
すくい角はまた、壁上の厚い又は硬いスケーリングの蓄積を低減し、洗浄又はメンテナンスサイクルの間の時間を増加させ、一貫した熱性能を維持する。
【0026】
反応によって生成された蒸気及びガスは、分配器アセンブリ内のダクトを介して、かつ反応器容器の上部に位置するノズルから反応器を出る。蒸気が上方に移動するにつれて、蒸気の一部が再凝縮されて加熱された壁に戻され、落下するフィルムに混合され得る。この内部還流効果は、生成される生成物の量を増加させ、廃棄物炭の量を低減させ得る。
【0027】
垂直圧力容器反応器の底部セグメントは、ほぼ完全に反応した高温溶融プラスチック/油の液体レベルを収集する。この液体は、反応した重油、プラスチック、灰、及び他の有機材料のブレンドであり、揮発及び気相/気相への遷移を達成しなかった。熱は、反応器壁の熱源、及び底部反転ヘッド上の他の表面によって、液体に継続的に添加される。近接型インペラを備えたアジテータなどの下部アジテータは、重力下で密度の高い材料が排出されることを可能にしながら、このセクションの液体を壁で混合し続けて熱伝達を促進するために使用され得る。反応の加熱及び滞留時間を制御することによって、このシステムは、廃棄物である乾燥炭の生成を回避し得る。
【0028】
本明細書の実施形態による反応器設計の図を
図1に示す。1つ以上の供給入口パイプ1は、溶融プラスチック供給材料をゾーンA内の頭上の蒸気空間を通して導入し、新鮮な溶融プラスチックを分配器2の液体レベルプールに送達し得る。各入口供給パイプ1はまた、巻き込まれた蒸気又はガスを上流加熱プロセスから切り離す役割を果たし得、その結果、蒸気又はガスは、反応器の本体内を横断することなく、頭上の蒸気空間内に残る。
【0029】
分配器2は、任意の既知の分配器配置からの形態をとり得、回転子アセンブリ又は静的とともに回転し得る。例えば、分配器2は、回転する回転子アセンブリに固定され得、堰を装備され得る。分配器2は、供給パイプ1が、反応器上に移動する蒸気及びガスが供給チューブ1に入ることができないように、供給を液体の最上部レベルよりも下に送達するように、十分に高いレベルで液体を保持してもよい。分配器2が回転すると、堰によって保持された溶融液体プラスチックは、周縁を越えて流れ、反応器シェル3の内部シェル表面上に液体プラスチックのフィルムを形成し得る。分配器2の全直径は、反応器シェル3の内径よりもちょうど小さい場合がある。そのような狭い直径の差は、反応器シェル3の内壁上に均一で連続的なフィルム層を形成することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、堰を装備した分配器2は、堰の上部又は周縁に沿った1つ以上のノッチ(図示せず)を含んでもよく、反応器シェル3の内部シェル表面上への溶融液体プラスチックの流れを制御するのに役立つ。分配器2はまた、分配器2の中心に、堰によって分配器2に保持された溶融した液体プラスチックに接触することなく、以下の反応空間から頭上の蒸気空間に蒸気及びガスを誘導する開口部を備えてもよい。この構成は、反応器出口20を介してシステムから生成された蒸気を一定に除去することを可能にしてもよい。
【0030】
供給チューブ1、分配器2を含む反応器容器の上部部分(ゾーンA及びB、一緒に「供給入口及び分配器セクション」と呼ばれる)では、反応器シェルは、1つ以上の加熱ジャケットによってアクティブに加熱されない。代わりに、ゾーンA及びゾーンBは、熱エネルギー損失を制限するためにのみ絶縁され得る。残りのゾーンC、D、及びEにおいて、反応器シェル3は、プラスチック供給物を加熱し、熱分解油、蒸気、及びガスに変換するために必要なエネルギーを送達する熱伝達表面として機能し得る。本明細書で言及されるように、ゾーンC及びDは、「すくい角フィルム反応セクション」と呼ばれ得、ゾーンEは、「攪拌タンク反応セクション」と呼ばれ得る。
【0031】
したがって、ゾーンC、D、及びEは、容器の外側にあり、反応器シェル3の外側に取り付けられた熱伝導ジャケット4を装備してもよい。熱源は、1つ以上の加熱ゾーンに分割されてもよく、熱源は、煙道ガスジャケット、又は電気抵抗加熱源(電気加熱要素)であってもよい。電気加熱要素及び煙道ガスジャケットの組み合わせも使用され得る。いくつかの実施形態では、加熱要素を含む第1の加熱ゾーン及び煙道ガスジャケットを含む第2の加熱ゾーンが使用され得る。他の実施形態では、第1の加熱ゾーン又は第2の加熱ゾーンのみが使用されてもよい。
図1に示される実施形態では、この熱伝導ジャケット4は、1つ以上の煙道ガスジャケット5と熱接触してもよく、1つ以上の煙道ガスジャケット5から熱を受容してもよい。熱伝導ジャケット4は、熱を反応器シェル3にわたって広げる。ゾーンC、D、及びEは、1つ以上の煙道ガスジャケット5を有し得る。各煙道ガスジャケット5は、各セクションに異なるレベルの加熱負荷を提供し得る。このような方式では、各セクション内の特定の目標温度は、煙道ガスからの廃熱などの流れる気相熱源から熱伝導ジャケット4への熱伝達によって独立して達成され得る。この環状空間の入口と出口との間に温度勾配が存在し、熱伝導ジャケット4は、反応器シェル3がこの勾配の影響を受けにくく、各ゾーン内の加熱さえ達成され得るように、その熱エネルギーを広げ得る。
【0032】
煙道ガスジャケット5の各セクションは、高温煙道ガス入口17及び煙道ガス出口11を備えてもよい。煙道ガスが高温煙道ガス入口17に入ると、煙道ガスは、反応器シェル3の外面と接触する。次に、前述のように、熱が熱伝導ジャケット4に伝導され、反応器容器内部に熱を提供する。高温ガスジャケット5の各々は、各ゾーンで必要とされる熱負荷に応じて、同じ煙道ガス源から、又は異なる煙道ガス源から供給されてもよい。いずれの実施形態でも、各煙道ガスジャケット5に入る煙道ガスの量は、バルブ(図示せず)を開閉するか、又は送風機(図示せず)の速度を調整することによって制御され得る。所与の煙道ガスジャケット5に入る煙道ガスの量を制御することによって、各ゾーンC、D、及びE内の加熱量を制御することができる。
【0033】
煙道ガスジャケット5内の煙道ガスは、天然ガス、プロセスから生成されたガス、又はその両方の燃焼からのものであり得る。最初に、天然ガスを使用してプロセスを開始してもよい。天然ガスは、燃焼のためにバーナーに供給され得る。しばらくして、プラスチック熱分解プロセスによって生成された不凝縮性ガスは、燃焼ガスとして使用され得る。十分な供給が可能な場合、天然ガスの流れを遮断し、生成されたガスをバーナーに供給して燃焼させ、システムを加熱することになる。バーナーは、送風機を介して燃焼反応を完了するために空気を供給される。
【0034】
熱伝導ジャケットの使用に関して上述したが、本明細書の実施形態は、追加的に、煙道ガスジャケットを介した反応器の内面の直接の加熱、電気加熱要素からの放射エネルギー、又はこれらの組み合わせを企図する。例えば、十分な厚さ及び導電性(熱容量)のシェルを有する反応器は、煙道ガス又は電気加熱要素からの熱を受容し、溶融ポリマーに均等に分散させることができ、中間熱伝導ジャケットの必要性を排除することができる。したがって、本明細書の実施形態による反応器は、すくい角付きフィルム反応セクション及び攪拌タンク反応セクションのうちの1つ又はそれぞれの外面の周りに位置する1つ以上の加熱ゾーンを含んでもよい。そのような実施形態における1つ以上の加熱ゾーンは、それぞれのすくい角付きフィルム反応セクション又は攪拌タンク反応セクションに熱を提供するように構成され、熱は、電気加熱要素、煙道ガスジャケット、又はこれらの組み合わせによって提供され得る。
【0035】
ゾーンC及びゾーンDの内部セクションは、すくい角6を備えてもよい。すくい角6は、回転子シャフト8によって分配器2とともに回転する回転子アセンブリの一部として回転すくい角アーム7に固定されてもよい。すくい角6は、反応器シェル3の内壁上の流動材料の機械的スクレイピングを提供して、反応器シェル壁上の炭化材料の堆積を防止し得る。このようにして、回転すくい角6は、落下するフィルム又は液体材料をかき混ぜ、熱伝導ジャケット4が一貫した加熱面を提供することを可能にする。すくい角は壁に非常に近いか、壁に触れている必要がある。すくい角が壁に接触している場合、すくい角を反応器シェル3内壁と接触させ続けるために、すくい角は、1つ以上のばねを備えてもよく、又はすくい角自体がばねとして機能するように壁に固定されてもよい。スプリングは、フィルム厚さのわずかな変動が存在する場合に、壁上にすくい角又はスクレイピング作用を維持することができる。
【0036】
反応器容器は、回転子シャフト8及び各々が回転すくい角6をまとめて構成するすくい角アームの遠位端に配設されたすくい角を有する1つ以上のすくい角アーム7を備えてもよい。回転子シャフト8は、反応器容器の中心軸に位置付けられ、垂直方向に配向される。すくい角アーム7は、固定された構造部材を形成するように、回転子シャフト8に固定されている。すくい角アーム7は、鋳造、溶接、フランジ、又はボルトを含むがこれらに限定されない任意の既知の方法を介して、回転子シャフト8に固定されてもよい。3つのすくい角アーム7で示されているが、すくい角6は、反応器設計に応じて任意の数のすくい角アーム7を装備してもよい。更に、すくい角アーム7の幾何学形状は、容器壁上の特定の厚さのフィルムを提供するように、同様に、反応器容器壁の角度に従うように変更されてもよい。分配器2は、すくい角6が回転するにつれて、分配器2が同じ速度で回転するように、回転子シャフト8に固定されてもよい。
【0037】
回転子シャフト8の上部は、シャフトシール及びベアリングアセンブリ21を通過し、ギアボックス22に結合されている。回転子シャフト8は、回転子モータ23からの入力を受容する回転子ギアボックス22から駆動トルクを受容する。回転子モータ23は、任意の既知のタイプのモータであってもよい。1つ以上の実施形態では、回転子モータは、反応器のすくい角付きフィルムセクション(ゾーンC及びD)の動作に必要な回転速度トルク、同様にトルクフィードバックを提供することができる、可変周波数駆動モータであってもよい。回転子シャフト8の下端は、回転子/アジテータ軸方向カップリング9を介してアジテータ10によって半径方向に安定化され、かつ支持されてもよい。
【0038】
反応器容器はまた、分配器に近接する高さで、ゾーンAとゾーンBとの間に位置する上部ヘッド本体フランジ19を装備してもよい。回転子/軸方向カップリング9が係合解除(結合解除)されると、上部熱本体フランジ19は、頭上のクレーンが回転子アセンブリ全体(回転子モータ23、回転子ギアボックス22、回転子シャフトシール及びベアリングアセンブリ21、回転子シャフト8、すくい角アーム7、及びすくい角6を含む)を反応器シェルから持ち上げることを可能にし得る。
【0039】
回転子モータ23は、回転子ギアボックス22及び回転子シャフトシール及びベアリングアセンブリ21を通って、変化したすくい角速度を提供してもよく、これは、反応器容器に供給される固体材料の量、材料のタイプ、内壁上の炭の蓄積の量、及び必要とされる加熱の量に基づいて制御されてもよい。更に、すくい角速度及びすくい角アーム7の量及び幾何学形状を変化させることによって、ゾーンC及びDにおける材料の滞留時間は、材料の高い変換を達成するように調整され得る。
【0040】
回転子/アジテータ軸方向カップリング9は、回転子シャフト8又はアジテータ10のいずれかに剛性的に固定されてもよいが、両方に剛性的に固定されていなくてもよい。回転子シャフト8及びアジテータ10の両方に剛性的に接続されないことによって、回転子/アジテータ軸方向カップリング9は、回転子シャフト8及びアジテータ10が異なる回転速度、回転方向、又はその両方で動作することを可能にする。
【0041】
他の実施形態では、回転子モータ23及びギアボックス22などの単一のモータ及びギアボックスのみが提供され得る。そのような実施形態では、回転子シャフト8は、すくい角アーム7及びアジテータ10の両方に結合され得る。したがって、ギアボックス及びモータは、すくい角アーム及びアジテータを同じ速度及び同じ方向に回転させるための回転トルクを供給するように構成されてもよい。追加のモータ及びギアボックスのための資本及び運用費用は節約され得るが、反応ゾーン内の混合時間及び滞留時間を別々に制御する能力は犠牲にされ得る。
【0042】
アジテータ10は、反応器の攪拌タンクセクションとも呼ばれるゾーンEに存在する液体体積と相互作用する。かき混ぜは、反応器容器の下部部分内で液体が冷却及び固化しないようにするのに役立ち得る。かき混ぜは、アジテータモータ14及びアジテータギアボックス15によって提供されてもよい。アジテータモータ14は、アジテータの最適な動作のために必要な回転速度、及びトルク、同様にトルクフィードバックを提供できる、可変周波数駆動モータなどの任意の既知のタイプのモータのうちの1つであってもよい。
【0043】
反応器容器はまた、底部ヘッドアセンブリ12を装備してもよい。底部加熱アセンブリ12の直径及び高さは、利用可能な加熱表面積と液体容積ゾーンEとの比率を制御するように最適化することができる。1つ以上の実施形態では、底部ヘッドアセンブリの熱源は、煙道ガス(1つ以上の煙道ガスジャケット5で使用される煙道ガスなど)、異なる循環高温流体、又は電気加熱要素であってもよい。底部ヘッドアセンブリ12全体は、アジテータ10、アジテータシール及びベアリングアセンブリ18、アジテータモータ14、並びにアジテータギアボックス15を含むモジュール式サブシステムであり得る。
【0044】
下部ヘッドアセンブリは、加熱コイル13及びピッチオーガ16を含んでもよい。加熱コイル13は、ゾーンE内の液相における継続的な反応に必要な任意の補助熱を供給してもよい。別個の加熱コイル13は、ゾーンE内の煙道ガスジャケット5、並びにゾーンC及びD内の煙道ガスジャケット5内の熱源から分離された、底部ヘッドアセンブリ12内の独立した加熱を提供する。
【0045】
ピッチは、プラスチック供給材料の分解中にガス又は蒸気に揮発しない破片、炭、灰、及びその他の残留物として、ゾーンC、D、及びEに形成される。ピッチオーガ16は、底部ヘッドアセンブリの底部部分から固体材料を除去することを回転させることによって、このピッチを反応器から除去するように構成されている。ピッチオーガ16が回転する速度は、どのくらいのピッチが除去されるかを規定し、反応器容器への特定の原料及び回転子ギアボックス22及びアジテータギアボックス15の両方のフィードバックトルクの関数であり得る。回収されたピッチは、更なる下流処理のための原料であり得る。ピッチオーガ16は、いくつかの実施形態では、ポンプ(図示せず)で補完され得るか、より粘性の低いピッチが生成される実施形態では、ポンプで置換され得る。
【0046】
1つ以上の実施形態では、反応器容器は、真っ直ぐな壁を有し得る。他の実施形態では、反応器容器は、テーパ状の壁又は傾斜壁を有し得る。示されるように、この反応器容器は、円筒形ではなく円錐形を形成する壁に対して傾斜したテーパを有し得る。円錐形状は、反応器の上部から反応器の底部までの反応容器の直径を低減させる。直壁容器又は円錐形壁容器は、液体が反応器容器内の蒸気に変換されるときに所望の膜厚を維持するために選択され得る。
【0047】
ここで
図2に進むと、
図2は、本明細書の実施形態による反応器の設計を示す。
【0048】
図2の実施形態では、1つ以上の供給入口パイプ101は、頭上の蒸気空間を通して溶融プラスチック供給材料を導入し、新鮮な溶融プラスチックをアジテータドラム111の内部に送達してもよい。溶融プラスチックリフトオーガ112は、回転すると、溶融プラスチックを反応器シェル114の内壁の側部からこすり落とし、その結果、溶融プラスチックが反応器容器の内部で混合される。この構成は、反応器出口115を介してシステムから生成された蒸気を一定に除去することを可能にしてもよい。上部シャフトシール及びベアリング119は、オーガ112の両方の支持を提供し得、発生したガスが出口115を通過することを除いて反応器から脱出するのを防止し得る。
【0049】
反応器シェル114は、容器の外側にあり、反応器シェル114の外側に取り付けられた熱伝導ジャケット103を装備してもよい。この熱伝導ジャケット103は、1つ以上の高温ガスジャケット113と熱接触してもよく、1つ以上の高温ガスジャケット113から熱を受容してもよい。熱伝導ジャケット103は、熱を反応器シェル114にわたって広げる。煙道ガスジャケット113は、排煙ガスを高温排煙ガス入口110に供給し、排煙ガス出口102から排煙ガスを除去することによって、反応器に熱負荷を提供し得る。煙道ガスが高温煙道ガス入口110に入ると、煙道ガスは、反応器シェル114の外面と接触する。次に、前述のように、熱が熱伝導ジャケット103に伝導され、反応器容器内部に熱を提供する。1つ以上の実施形態では、煙道ガスジャケット113に入る煙道ガスの量は、バルブ(図示せず)を開閉することによって制御され得る。煙道ガスジャケット113に入る煙道ガスの量を制御することにより、反応器内の加熱量を制御することができる。
【0050】
説明したように、アジテータドラム111は、反応器の中心軸を中心に回転するオーガ112を装備してもよい。オーガは、一般に、中心シャフト又はパイプの周りに螺旋状に巻かれた傾斜面で構成されている。オーガ112が回転すると、材料は、材料が重力に対して方向に移動している場合には摩擦のために、又は材料が反対方向に横断している場合には含まれる平面の機械的力のいずれかによって、回転の方向に引きずられる。オーガ112が回転すると、オーガ112は、反応器シェル114内壁上の流動材料の機械的スクレイピングを提供して、反応器シェル壁上の焦げた材料の蓄積を防止し得る。このようにして、オーガは、落下するフィルム又は液体材料をかき混ぜ、熱伝導ジャケット103がプラスチック材料を溶融するための一貫した加熱面を提供することを可能にする。
【0051】
更に、煙道ガスジャケット113内の煙道ガスと同じであっても異なっていてもよい高温ガスは、煙道ガス入口117を介してオーガの内部に供給されてもよく、オーガの内部入口109に供給されてもよい。この高温ガスは、オーガの内部を横断し、アジテータシャフトスリップリング118上の高温ガス出口116を通ってオーガを出ることになる。オーガは大きな金属片であり得るため、溶融プラスチックがオーガの外面上で冷却し、凝固する傾向があり得る。オーガの内部を加熱することにより、この冷却効果を低減するか、又は排除することができる。
【0052】
オーガ112の底部は、ドラムシャフト107に接続されてもよい。ドラムシャフト107は、下部シャフトシール及びベアリング108を通過し、ギアボックス105に結合されている。ドラムシャフト107は、モータ106からの入力を受容するギアボックス105から駆動トルクを受容する。モータ106は、任意の既知のタイプのモータであってもよい。1つ以上の実施形態では、モータは、オーガの動作に必要な回転速度トルク、同様にトルクフィードバックを提供することができる、可変周波数駆動モータであってもよい。
【0053】
モータ106は、回転子ギアボックス105及びドラムシャフト107を通って、変化した回転速度を提供してもよく、これは、反応器容器に供給される固体材料の量、材料のタイプ、内壁上の炭の蓄積の量、及び必要とされる加熱の量に基づいて制御されてもよい。更に、オーガ112の回転速度及び幾何学形状を変化させることによって、アジテータドラム111内の材料の滞留時間は、材料の高い変換を達成するように調整され得る。
【0054】
図1の反応器の場合のように、
図2の反応器容器は、ピッチオーガ104を装備してもよい。ピッチオーガ104は、反応器の底部の底部部分から固体材料を回転させて除去することによって、反応器からこのピッチを除去するように構成されている。ピッチオーガ104が回転する速度は、どのくらいのピッチが除去されるかを規定し、反応器容器への特定の原料及びギアボックス105の両方のフィードバックトルクの関数であり得る。回収されたピッチは、更なる下流処理のための原料であり得る。
【0055】
上述したように、本明細書の実施形態に係るシステムは、モジュール式であってもよく、すくい角付きフィルムセクションにおける高い加熱速度に起因する高いスループットを提供し、溶融プラスチックを加熱された表面上の薄いフィルムに変換することによって連続的な動作を容易にし、加熱された表面の皮膚温度を低下させることによって炭化物形成の速度を低下させ、滞留時間及び温度を変化させることによって多様なタイプの混合プラスチック廃棄物を許容する柔軟性、並びに反応器内壁の連続的なスクレイピング/洗浄、それによって熱伝達表面を維持し、洗浄のための反応器の停止を回避する。
【0056】
別途定義されない限り、使用される全ての技術用語及び科学用語は、これらのシステム、装置、方法、プロセス、及び組成物が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0057】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数参照を含む。
【0058】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprise)」、「有する(has)」、及び「含む(include)」という用語、並びにこれらの全ての文法的変形はそれぞれ、追加の要素又はステップを除外しない開放的な非限定的な意味を有することが意図される。
【0059】
「任意選択で(optionally)」は、続いて記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味する。その説明は、その事象又は状況が生じる場合及び生じない場合を含む。
【0060】
「約(approximately)」又は「約(about)」という単語が使用されるとき、この用語は、最大±10%、最大5%、最大2%、最大1%、最大0.5%、最大0.1%、又は最大0.01%の値の変動があり得ることを意味し得る。
【0061】
範囲は、約1つの特定の値から約別の特定の値(これを含む)までとして表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から他の特定の値までであり、この範囲内の全ての特定の値及びこれらの組み合わせとともにあることを理解されたい。
【0062】
本開示は、限られた数の実施形態を含むが、本開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを理解するであろう。したがって、範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
米国の特許証によって保護されることが望まれている新しいものとして主張されているものは次のとおりである。
【国際調査報告】