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特表2025-502158効率的な発酵ブロスリサイクルの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】効率的な発酵ブロスリサイクルの方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/06 20060101AFI20250117BHJP
   A23K 10/10 20160101ALI20250117BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20250117BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
C12P7/06 ZNA
A23K10/10
C12N9/02
C12N1/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541636
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2023060490
(87)【国際公開番号】W WO2023137333
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,426
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519225303
【氏名又は名称】シナタ バイオ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】キーティング、デイヴィッド ハーヴィー
(72)【発明者】
【氏名】キッシンジャー、マシュー セオドア
【テーマコード(参考)】
2B150
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA05
2B150AA07
2B150AC01
2B150DD12
2B150DD21
4B064AC03
4B064BA01
4B064BB07
4B064BB20
4B064BB23
4B064BJ01
4B064CA02
4B064CB17
4B064CC15
4B064DA16
4B064DA20
4B065AA01X
4B065AA23X
4B065AB01
4B065BA02
4B065BC01
4B065BC11
4B065BC12
4B065CA06
4B065CA43
4B065CA55
(57)【要約】
開示するのは、効率的な発酵ブロスリサイクルの方法、ボトムズリサイクルを改善する方法、並びにCO、CO、および任意にHをエタノールおよび他の酸素化生成物に変換する方法であって、該方法は、バイオリアクターにCO、CO、および任意にHを含むガス状基質、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌、並びに液体栄養培地を提供すること、並びに該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含む。また開示するのは、動物飼料を調製する方法および肥料を調製する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
効率的な発酵ブロスリサイクルの方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【請求項2】
酸素化生成物がエタノールである、請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌が配列番号3を含まない、請求項1の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌が、配列番号2と少なくとも95%の同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが、配列番号1と少なくとも約90%の配列同一性を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌におけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridiumautoethanogenum)におけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが同様の培養条件下で発現するよりも少なくとも約1.5倍多く発現する、請求項1の方法。
【請求項7】
同様の培養条件下でクロストリジウム・オートエタノゲナムが産生する少なくとも1つの酸素化生成物の量と比較して、少なくとも約5%多い少なくとも1つの酸素化生成物が産生される、請求項1の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌をバイオリアクター中で培養して、酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物を産生する、請求項1の方法。
【請求項9】
酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物が継続的に、少なくとも1つの酸素化生成物を約24時間を超えて産生する、請求項8の方法。
【請求項10】
さらに:
(c)バイオリアクターブロスをバイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと;並びに
(f)該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターに提供すること
を含む、請求項8の方法。
【請求項11】
取り出しブロスの1リットルあたり、少なくとも約1グラムの少なくとも1つの酸素化生成物が産生される、請求項10の方法。
【請求項12】
酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスの約80%以上がバイオリアクターに提供される、請求項10の方法。
【請求項13】
取り出された細胞が動物飼料としての使用について有効である、請求項10~12のいずれか1項の方法。
【請求項14】
取り出された細胞が肥料としての使用について有効である、請求項10~13のいずれか1項の方法。
【請求項15】
ボトムズリサイクルを改善する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【請求項16】
CO、CO、および任意にHをエタノールに変換する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【請求項17】
動物飼料を調製する方法であって、該方法は:
(c)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;
(d)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し;
(c)該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;並びに
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと
を含み、
ここで、該取り出した細胞は、動物飼料としての使用について有効である、方法。
【請求項18】
肥料を調製する方法であって、該方法は:
(e)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;
(f)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターの上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し;
(c)該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;並びに
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと
を含み、
ここで、該取り出した細胞は、肥料としての使用について有効である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2022年1月11日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第63/298,426号の利益を主張する。
【0002】
電子的に提出した資料の参照による組込み
その全体が参照により本明細書に組み込まれるのは、本明細書と同時に提出しおよび以下のように:2023年1月6日付の「766306.xml」と名付けられた1つの16,539バイトのXMLファイルとして特定するコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
産業廃棄ガスまたは合成ガスなどの、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、および/または水素(H)を含有するガスを、発酵を使用して燃料および化学物質などの、さまざまな製品に変換するために微生物を使用することは、望ましい。CO、CO、およびHを消費することができる生物の低いエタノール耐性は、連続発酵技術の使用を必要とし、それによりエタノール、酢酸塩、および細胞を含有するブロスを発酵槽から取り出しおよび新しい増殖培地を添加する。エタノールおよび細胞は次いで、取り出したブロスから回収する。エタノールが枯渇した取り出しブロスは次いで、放出前に廃水処理に供する必要があり、これは、資本コストおよびプロセスコストを著しく増加させる。例えば、商業規模のバイオリアクターは、100万リットルを超える水性ブロスを含有し得、エタノールが枯渇した取り出しブロスの全てを処理する廃水処理システムを作り出すことは、著しい資本コストを必要とするであろう。
【0004】
従って、連続発酵に関連する高価な廃水処理および高い水使用についての要請を低下させる方法についてのニーズが依然としてある。この廃水処理の負担を低下させることへの1つのアプローチは、取り出したブロスを発酵槽にリサイクルして戻すことである(ボトムズリサイクルとして呼ばれる)。しかしながら、発酵槽に再導入することができる取り出しブロスの割合は、このリサイクルブロスについての微生物の耐性によって制限される。従って、より効率的な廃水リサイクルを可能にする改善された微生物が、有利である。
【発明の概要】
【0005】
発明の簡単な概要
本発明の一態様は、効率的な発酵ブロスリサイクルの方法を提供し、該方法は、バイオリアクターにCO、CO、および任意にHを含むガス状基質、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌、並びに液体栄養培地を提供すること、並びに該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0006】
本発明の別の態様は、ボトムズリサイクルを改善する方法を提供し、該方法は、バイオリアクターにCO、CO、および任意にHを含むガス状基質少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌、並びに液体栄養培地を提供すること、並びに該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0007】
本発明のさらなる態様は、CO、CO、および任意にHをエタノールに変換する方法を提供し、該方法は、バイオリアクターにCO、CO、および任意にHを含むガス状基質少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌、並びに液体栄養培地を提供すること、並びに該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0008】
追加の態様は、動物飼料を調製する方法および肥料を調製する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面(複数可)のいくつかの視点の簡単な説明
図1図1Aおよび1Bは、生物SB1(SB1は、本発明の一態様における細菌である)(図1A)およびクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)(図1B)における遺伝子クラスターの平均読取密度のプロットを示す画像である(RNA-seq解析によって決定)。以下の遺伝子を、図1Aおよび1Bに例示する:fdhH、moeA、moeB、fdhD、nuoE、nuoF、nuoG、hydN、およびヒドロゲナーゼ-1。プロット上のより高い線は、遺伝子発現の高いレベルに比例している。
図2図2Aおよび図2Bは、生物SB1(図2A)およびC. autoethanogenum(図2B)におけるヒドロゲナーゼ-1およびギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての遺伝子発現の平均量を示すグラフである。ギ酸デヒドロゲナーゼは、ギ酸デヒドロゲナーゼに関連する遺伝子(fdhH-fdhD)の平均遺伝子発現を表し、およびヒドロゲナーゼ-1は、ヒドロゲナーゼに関連する遺伝子(nuoE-hydN)の平均遺伝子発現を表す。
図3図3は、合成ガスの存在下での発酵中のC. autoethanogenum(C. auto)の水素取込みを経時的に示すグラフである。558時間後(矢印)、細胞培地を、発酵ブロスの85%ボトムズリサイクルに切り替えた。
図4図4は、合成ガスの存在下での発酵中のSB1の水素取込みを経時的に示すグラフである。143時間時点で(矢印)、細胞培地を、発酵ブロスの75%ボトムズリサイクルに切り替え、および307時間時点で、ボトムズリサイクルの割合を、89%に増加させた。
図5図5は、発酵ブロス中の酢酸塩(acetate)濃度を経時的に示すグラフであり、ここで、C. autoethanogenum(C. auto)は、図3において記載する合成ガスの存在下にある。
図6図6は、発酵ブロス中の酢酸塩濃度を経時的に示すグラフであり、ここで、SB1は、図4に記載する合成ガスの存在下にある。
図7図7Aおよび7Bは、SB1(図7A)およびC. autoethanogenum(図7B)におけるギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子についての平均汎遺伝子発現を示す棒グラフである。
図8図8は、SB1およびC. autoethanogenumにおけるエタノールおよび酢酸塩の量的生産性を示す棒グラフである。
図9図9は、SB1およびC. autoethanogenumにおけるCO、水素、およびCO取込みの速度を示す棒グラフである。
図10図10は、ウッド・リュングダール(Wood-Ljungdahl)経路の概略図である。
図11A図11Aは、本発明の一態様によるプラスミドの概略図である。pSyn63は、プラスミドpMTL83151中にクローニングしたC. autoethanogenumからの遺伝子間(I.G)領域(配列番号3)およびnuoEの最初の100bpを含有する。プラスミドpSyn64は、SB1からの遺伝子間領域(配列番号2)およびnuoEの最初の100bpを含有する。nuoEの最初の100bpは、C. autoethanogenumおよびSB1の両方において同一である。
図11B図11Bは、SB1株中に形質転換したpSyn63およびpSyn64におけるnuoE遺伝子の発現のプロットを示す。プラスミドpMTl83151は、それがnuoE遺伝子を含有しないという点で陰性対照として使用した。エラーバーは、標準偏差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
上で注記したように、連続発酵に関連する廃水処理コストおよび高い水使用を低下させることへの1つのアプローチは、取り出したブロスをリアクターにリサイクルして戻すことである。酢酸塩は、またCO、COおよびHの発酵中に産生されおよび、エタノールとは異なり、蒸留などの方法によって発酵ブロスから効率的に取り出されない。従って、微生物による変換の不在下では、培地中の酢酸塩は、発酵ブロスのリサイクル中に増加し、これは、毒性および低下した発酵性能に至るであろう。発酵ブロスは、酢酸塩の濃度が過剰になった事象においては廃棄することができるであろうが、発酵についての栄養素もまた失われるであろう。さらに、酢酸塩は、失われた収益、および廃水処理の増加した負担を表す。
【0011】
図10は、合成ガスからのエタノールの産生の間のウッド・リュングダール経路および一次分岐ヒドロゲナーゼを例示する。ヒドロゲナーゼは、エタノールの産生において2つの役割を果たす。第一に、それは、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH;矢印によって示す)によるCOからのギ酸の産生についての還元当量を提供する。第二に、それは、還元型フェレドキシン並びに酢酸塩をアセトアルデヒドに変換する(アルデヒド酸化還元酵素(AOR)を介して)のに使用されおよびそのエタノールへの変換(アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を介して)に使用されるNADPHを産生する。NADPHからADHへの点線は、ADHがNADPHまたは(NADPHから産生し得る)NADHを使用し得ることを表すために使用している。従って、水素の取込みが、酢酸塩からエタノールへの効率的な変換について、および取り出したブロスの効率的なリサイクルについて必要とされる。酢酸塩は、示すようにウッド・リュングダール経路から直接産生し得、またはリサイクルした細胞ブロス(ボトムズリサイクル)中に存在し得る。THF4-は、テトラヒドロ葉酸を指す。
【0012】
発酵ブロスリサイクルの効率における増加は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含む上流領域配列を含む酢酸生成カルボキシド栄養性細菌を使用することによって達成することができることが、発見された。該上流領域配列は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスター(例えば、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスター)の発現を増加させおよびそれにより該酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がより多くのヒドロゲナーゼ酵素を産生することを可能にして、より多くのヒドロゲナーゼ酵素は、NAD(P)Hおよび還元型フェロドキシンの上昇した産生に至ることが期待されるであろう。
【0013】
本発明の一態様は、効率的な発酵ブロスリサイクルの方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含み、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0014】
本発明の一態様は、効率的な発酵ブロスリサイクルの方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0015】
一態様においては、酸素化生成物は、酢酸(「酢酸」および「酢酸塩」は、本明細書においては互換的に使用する)、酪酸塩(butyrate)、ブタノール、プロパノールである。一態様においては、該生成物は、エタノールである。
【0016】
一態様においては、CO、CO、および任意にHを含むガス状基質は、石炭若しくは製油所残留物のガス化、バイオマス若しくはリグノセルロース系材料のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガス(syngas)などの、合成ガス(synthesis gas)(合成ガス(syngas))である。別の態様においては、合成ガス(syngas)は、都市固形廃棄物または産業固形廃棄物のガス化から取得し得る。
【0017】
ガス状基質は、少なくとも、約1、約2、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100モル%のCOなどの、COを含み得る。ガス状基質は、約20から約80、約30から約70、または約40から約60モル%のCOなどの、ある範囲のCOを含み得る。好ましくは、基質は、約40から約70モル%のCO(例えば、製鉄所ガスまたは高炉ガス)、約20から約30モル%のCO(例えば、塩基性酸素炉ガス)、または約15から約45モル%のCO(例えば、合成ガス)を含む。いくつかの態様においては、ガス状基質は、約1から約10または約1から約20モル%のCOなどの、比較的低い量のCOを含み得る。いくつかの態様においては、ガス状基質は、COを何ら含まないまたは実質的に何ら含まない(<約1モル%)。
【0018】
ガス状基質は任意に、Hを含み得る。例えば、ガス状基質は、約1、約2、約5、約10、約15、約20、または約30モル%のHを含み得る。いくつかの態様においては、ガス状基質は、約60、約70、約80、または約90モル%のHなどの、比較的高い量のHを含み得る。別の態様においては、ガス状基質は、Hを何ら含まないまたは実質的に何ら含まない(<約1モル%)(例えば、製鉄所ガスに由来するとき)。Hは、電極を使用するHの形成を含む、任意の適切なプロセスに由来し得またはそれによって産生し得る。
【0019】
ガス状基質は、COを含み得る。例えば、ガス状基質は、約1から約80、約1から約70、約1から約60、約1から約50、約1から約40、約1から約30、約1から約25、約1から約20、約1から約15、約1から約10、約1から約5、約1から約4、約1から約3、または約2から約3モル%のCOを含み得る。いくつかの態様においては、ガス状基質は、約20、約15、約10、または約5モル%未満のCOを含み得る。別の態様においては、ガス状基質は、COを何ら含まないまたは実質的に何ら含まない(<約1モル%)。
【0020】
一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、配列taaatacttcaccctcccatttgaatattataattgatttcccccttaaaatattagaaggaataagatattagctctaaaccaaagatttgagcctctatacttaagaaataattttaaaacatataacacatttaatttaaaattattttaattaccttatttaaaaattaaaatataaacttagtcctatttaattagggactaattattaacattaaatattatattatttttatataactatatgattaattttttaagattatattcaaaaatatgttaacagaaatta(配列番号3)を含む。一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、配列番号3と約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%同一である配列を含まない。
【0021】
一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性は、(taatttctgctaatacatttttaaataaggtaattaaaataattttaaattaaatatgttatatgttttaaaattatttcttaagcatagaggctcaaatctttgatttagagctaatatcttattccttctaatattttaagggggaaatcaattataatattcaaatgggagggtgaagtattta)配列番号2と少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%の同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含む。
【0022】
一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性は、配列番号1と少なくとも約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%の配列同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターを含む。一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性は、配列番号4~9のいずれか1つ以上と少なくとも約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%の配列同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターを含む。一態様においては、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、遺伝子fdhH、moeA、moeB、fdhD、nuoE、nuoF、nuoG、hydN、および/またはヒドロゲナーゼ-1を含む。別の態様においては、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、遺伝子nuoE、nuoF、nuoG、hydN、および/またはヒドロゲナーゼ-1を含む。
【0023】
本明細書において使用するように、配列は、それが他の配列に対して5’の位置にあるとき、他の配列の上流にある。配列は、それが他の配列に対して3’の位置にあるとき、他の配列の下流とみなされる。
【0024】
同一性(例えば、相同性パーセント)は、例えば、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)のBlastNソフトウェアを含む、任意の相同性比較ソフトウェアを使用して決定することができる。本発明の一態様によれば、同一性は、グローバル同一性、すなわち、本発明の一態様のアミノ酸配列または核酸配列全体にわたる同一性でありおよびその一部にわたる同一性ではない。例えば、配列番号2および配列番号3を比較するとき、配列全体にわたる同一性パーセントを使用することは、2つの配列間の差異の正確な見解(すなわち、配列番号2は、配列番号3の一部である配列を欠いている)を提供する。
【0025】
一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌におけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、C. autoethanogenumにおけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが同様の培養条件下で発現するよりも少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.75倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.25倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.75倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.25倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.75倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.25倍、または少なくとも約5倍多く発現する。
【0026】
一態様においては、C. autoethanogenumが同様の培養条件下で産生する少なくとも1つの酸素化生成物の量と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約25%多くの少なくとも1つの酸素化生成物が産生される。
【0027】
一態様においては、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌をバイオリアクター中で培養して、酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物を産生する。一態様においては、酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物は継続的に、少なくとも1つの酸素化生成物を、約24時間を超えて、約36時間、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約144時間、約168時間、約192時間、約216時間、約250時間、約300時間、約400時間、約500時間、約600時間、約700時間、約800時間、約900時間、約1,000、1,100時間、約1,200時間、約1,300時間、約1,400時間、約1,500時間、約1,600時間、約1,700時間、約1,800時間、約1,900時間、約2,000時間、約2,500時間、または約3,000時間産生する。
【0028】
一態様においては、本方法はさらに、バイオリアクターからバイオリアクターブロスを取り出して、取り出しブロスを産生することを含む。
【0029】
一態様においては、本方法はさらに、少なくとも1つの酸素化生成物を取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生することを含む。酸素化生成物は、発酵ブロスから、例えば、分別蒸留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および、例えば、液-液抽出を含む、抽出発酵を含む、当該技術分野において既知の任意の方法または方法の組合せを使用して、分離しまたは精製し得る。特定の態様においては、標的生成物は、発酵ブロスから、ブロスの一部をバイオリアクターから連続的に取り出すこと、細胞をブロスから分離すること(例えば、遠心分離または濾過)、および1つ以上の酸素化生成物を発酵ブロスから回収することによって回収する。アルコールは、例えば、蒸留によって回収し得る。
【0030】
一態様においては、本方法はさらに、酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、取り出しブロスおよび/または酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すことを含む。細胞の取り出しは、任意の適切な手段で、例えば、サイクロン、濾過、または遠心分離によって行うことができる。細胞は無傷の細胞であり得、または細胞は溶解していることもあり得、取り出しは、溶解した細胞成分の取り出しを含み得る。
【0031】
一態様においては、本方法はさらに、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターに提供することを含む。追加の栄養素(例えば、ビタミンおよび金属)を、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターに戻す前に、取り出しブロスに添加して、それを補充し得る。
【0032】
一態様においては、取り出しブロスの1リットルあたり、少なくとも約1グラム、約2グラム、約3グラム、約4グラム、約5グラム、約6グラム、約7グラム、約8グラム、約9グラム、約10グラム、約11グラム、約12グラム、約13グラム、約14グラム、約15グラム、または約20グラムの少なくとも1つの生成物が、産生される。
【0033】
一態様においては、約30%を超える、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%の酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを、バイオリアクターに提供し戻す。この点については、約1%から約30%の酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを、バイオリアクターに提供し戻し、例えば、約1%から約35%、約1%から約40%、約1%から約45%、約1%から約50%、約1%から約55%、約1%から約60%、約1%から約65%、約1%から約70%、約1%から約75%、または約1%から約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%の取り出しブロスを、バイオリアクターに提供し戻す。代替的な態様においては、約50%から約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%の酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを、バイオリアクターに提供し戻す。
【0034】
本発明の一態様はさらに、ボトムズリサイクルを改善する方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含み、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0035】
本発明の一態様はさらに、ボトムズリサイクルを改善する方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0036】
本発明の一態様はさらに、CO、CO、および任意にHをエタノールに変換する方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含み、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0037】
本発明の一態様はさらに、CO、CO、および任意にHをエタノールに変換する方法を提供し、該方法は:(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供することを含み、ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す。
【0038】
一態様においては、上流領域配列は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターに作動可能に連結している。別の態様においては、上流領域配列は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターの少なくとも第一の遺伝子に作動可能に連結している。一態様においては、上流領域配列は、プロモーターである。一態様においては、上流領域配列は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターの少なくとも第一の遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターである。
【0039】
本明細書において使用する用語「プロモーター」は、遺伝子の翻訳開始コドンの上流(すなわち、5’)に位置し(一般に約1から1000bp、好ましくは1~500bp、特に1~100bp内の)および該遺伝子の転写の開始を制御するまたはそれに影響を与える未転写配列を指す。
【0040】
「効率を増加させること」、「増加した効率」等は、少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌の増殖にネガティブに強い影響を与えることなしにバイオリアクターに提供することができる、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスの量を増加させることが含むが、これに限定されない。
【0041】
典型的には、培養は、バイオリアクター中で実施する。用語「バイオリアクター」は、連続撹拌タンクリアクター(CSTR)、固定化細胞リアクター(ICR)、トリクルベッドリアクター(TBR)、バブルカラム、ガスリフト発酵槽、スタティックミキサー、または気-液接触に適した他の容器または他のデバイスなどの、1つ以上の容器、塔、または配管配置からなる培養/発酵デバイスを含む。特定の態様においては、バイオリアクターは、第一の増殖リアクターおよび第二の培養/発酵リアクターを含み得る。基質は、これらのリアクターの一方または両方に提供し得る。本明細書において使用する用語「培養」および「発酵」は、互換的に使用する。これらの用語は、培養/発酵プロセスの増殖段階および生成物生合成段階の両方を包含する。
【0042】
本明細書において使用する「バイオリアクター」は、バイオリアクターアセンブリを指す。バイオリアクターアセンブリは、バイオ変換のための水性ブロスおよび微生物を含有するのに適した、1つ以上の容器の一群である。バイオリアクターアセンブリは、インジェクター、リサイクルループ、および撹拌機などの関連する装置を含有し得る。本明細書において使用する「酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターに提供すること」は、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターアセンブリの任意の部分に添加することができることを意味する。例えば、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスは、リサイクルループに、水性ブロスを含有する容器に、またはバイオリアクターアセンブリ内の任意の便利な位置に添加し得る。酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスは、一つのバイオリアクターアセンブリから取り出しおよび後に別のバイオリアクターアセンブリに添加し得る。
【0043】
任意の適切なバイオリアクターアセンブリを、この発明のプロセスにおいて使用し得る。バイオリアクターアセンブリは、合成ガスのバイオ変換について使用するバイオリアクターアセンブリであり得るか、またはバイオリアクターアセンブリは、別個であり得る。この発明のプロセスにおける使用のためのバイオリアクターアセンブリは、カラムリアクター;バブルカラム;ジェットループリアクター;撹拌タンクリアクター;流動床リアクター;トリクルベッドリアクター;膜バイオリアクターを含むが、これに限定されないバイオフィルムリアクター;およびパイプリアクターを含むが、これに限定されないスタティックミキサーリアクターを含むが、これらに限定されない。1つ以上のバイオリアクターを使用し得、および2つ以上のバイオリアクターを使用するとき、それらは、並列操作または連続操作であり得る。バイオリアクターアセンブリは、熱交換器;遠心分離機、沈殿池およびフィルターなどの固体分離単位操作;気/液分離単位操作;ポンプ;並びにバイオリアクターアセンブリの監視および制御について有用な装置を含み得るが、必ずしも必要とされない。
【0044】
別個のバイオリアクターアセンブリを、所望により、合成ガスの酸素化有機化合物へのバイオ変換のための設備中に統合することができる。例えば、設備が蒸留アセンブリを含有する場合、該蒸留アセンブリを使用して、酸素化生成物の少なくとも一部を取り出し得および水性発酵ブロスを変性させ得る。
【0045】
本明細書において使用する「バイオマス」は、生きている、または最近生きている植物および動物の生物学的材料を指し並びに少なくとも水素、酸素、および炭素を含有する。バイオマスは典型的にはまた、窒素、リン、硫黄、ナトリウム、カリウム、および微量金属を含有する。バイオマスの化学組成は、供給源ごとにおよび供給源内でさえ異なり得る。バイオマスの供給源は、木材、刈り草および庭くず、スイッチグラス、トウモロコシ(トウモロコシの茎葉を含む)、麻、ソルガム、サトウキビ(バガスを含む)などの収穫した植物;並びにゴミおよび都市固形廃棄物などの廃棄物を含むが、これらに限定されない。バイオマスは、石炭、天然ガス、および石油などの化石燃料を含まない。
【0046】
化石炭素質材料、または化石燃料は、天然ガス;石油コークスを含むが、これに限定されない、石油の精製または他の加工からの炭素質の流れを含む、石油、褐炭、および石炭を含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において使用する「水性ブロス」または「水性発酵ブロス」は、水素、一酸化炭素、および二酸化炭素を含むが、これらに限定されない溶解化合物を含有し得る、液体の水相を指す。
【0048】
断続的には、ときどきを意味し、および規則的な時間間隔でまたは不規則な時間間隔でであり得る。
【0049】
合成ガスは、供給源に関係なく、水素および一酸化炭素の少なくとも1つを含有し並びに二酸化炭素を含有し得、および通常は含有する、ガスを意味する。
【0050】
合成ガスは、多くの炭素質原料から作製することができる。これらは、天然ガス、バイオガス、バイオマス、特に木質バイオマス、炭化水素含有材料を改質することによって生じるガス、泥炭、石油コークス、石炭、建設および解体からのがれきなどの廃棄物、都市固形廃棄物、並びに埋立地ガスなどの、炭化水素の供給源を含む。合成ガスは典型的には、ガス化装置または改質装置(水蒸気、自己熱または部分酸化)によって産生する。前述のバイオマス源のいずれも、合成ガスを産生するのに適している。それにより産生される合成ガスは典型的には、約10から約60モル%のCO、約10から約25モル%のCO並びに約10から約75、しばしば少なくとも約30、および好ましくは約35と約65との間の、モル%のHを含有するであろう。合成ガスはまた、NおよびCH並びにHSおよびCOS、NHおよびHCNなどの微量成分を含有し得る。ガス基質の他の供給源は、石油および石油化学加工中に生じるガス並びに工業プロセスから生じるガスを含む。これらのガスは、典型的な合成ガスとは実質的に異なる組成を有し得、および本質的に純粋な水素または本質的に純粋な一酸化炭素であり得る。ガス基質は、ガス化からまたは石油および石油化学加工若しくは工業プロセスから直接取得し得るかまたは2つ以上の流れをブレンドすることによって取得し得る。また、ガス基質を処理して、化学的または物理的収着、膜分離、水-ガスシフト、および選択的反応によって成分を除去することを含むが、これらに限定されない、組成を除去し得るまたは変更し得る。
【0051】
この発明のプロセスにおいて産生する生成物酸素化有機化合物は、発酵について使用する微生物または微生物の組合せおよび発酵の条件に依存するであろう。
【0052】
特許請求の範囲に記載する特徴を有する任意の適切な微生物を、用い得る。
【0053】
水性ブロスは、適切な温度、例えば、約25℃と約60℃との間、または約30℃から約40℃の範囲中を含む嫌気性発酵条件下で維持する。微生物の密度および水性発酵ブロス組成を含む、発酵の条件は好ましくは、水素および一酸化炭素の求める変換効率を達成するのに十分である。水性ブロスのpHは、酸性で、例えば約4と約6.5との間である。
【0054】
定常状態条件下の合成ガスのバイオリアクターへの供給の速度は好ましくは、一酸化炭素および水素の液相への移動の速度が、一酸化炭素および水素がバイオ変換される速度と一致するようなものである。一酸化炭素および水素が消費され得る速度は、微生物の性質、水性発酵ブロス中の微生物の濃度および発酵条件によって影響を受けるであろう。一酸化炭素および水素の水性発酵ブロスへの移動の速度は、操作についてのパラメータであるため、気相と液相との間の界面表面積および駆動力などの、移動の速度に影響を及ぼす条件が、重要である。好ましくは、供給ガスは、バイオリアクター中にマイクロバブルの形態で導入する。しばしば、マイクロバブルは、約0.01から約0.5、または約0.02から約0.3ミリメートルの範囲の直径を有する。
【0055】
別の態様においては、本開示は、動物飼料を調製する方法を提供する。本明細書において使用する動物飼料は、例えば、水産養殖(魚の飼料)、家禽飼料、牛の飼料、豚の飼料、鳥の飼料などの、任意の適切なタイプの動物飼料であり得る。一態様においては、取り出した細胞は、動物飼料としての使用について有効である。さらなる態様においては、本開示は、動物飼料を調製する方法を提供し、該方法は:バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含み、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し、該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること、少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること、並びに酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すことを含み、ここで、該取り出した細胞は、動物飼料としての使用について有効である。さらなる態様においては、本開示は、動物飼料を調製する方法を提供し、該方法は:バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し、該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること、少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること、並びに酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すことを含み、ここで、該取り出した細胞は、動物飼料としての使用について有効である。いくつかの実施態様においては、動物飼料を調製する方法は、比較的低い量の、水銀、鉄、ニッケルなどの、1つ以上の有毒金属を含有する水性培養物を産生するのに有用である。
【0056】
別の態様においては、本開示は、肥料を調製する方法を提供する。一態様においては、取り出した細胞は、肥料としての使用について有効である。さらなる態様においては、本開示は、肥料を調製する方法を提供し、該方法は:バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を含み、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し、該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること、少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること、並びに酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すことを含み、ここで、該取り出した細胞は、肥料としての使用について有効である。さらなる態様においては、本開示は、肥料を調製する方法を提供し、該方法は:バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し、該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること、少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること、並びに酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すことを含み、ここで、該取り出した細胞は、肥料としての使用について有効である。
【0057】
一態様においては、取り出した細胞は、肥料または動物飼料として埋立地適用または土地適用について有効である。一態様においては、肥料、動物飼料、埋立地適用、および/または土地適用について有用な取り出した細胞は、タンパク質、脂肪、炭水化物、および/またはミネラル、例えば、86%のタンパク質、2%の脂肪、2%のミネラル、10%の炭水化物を含有する。取り出した細胞は、肥料、または水産養殖(魚の飼料)、家禽飼料、牛の飼料、豚の飼料などの、動物用飼料として埋立地適用(例えば、クラスA固体に対する)、土地適用について有効であり得る。魚の飼料の場合においては、有利なことに、いくつかの実施態様においては、該魚の飼料は、従来の魚粉と比較して、より少ない総有毒金属を含有する。
【0058】
いくつかの態様においては、取り出した細胞は、約25から約40重量%の固体などの、約25から約50重量%の固体を含有する。回収した固体の量は、それが、植物および動物にとって栄養価の高いタンパク質、炭水化物、ミネラル、および潜在的にはビタミンを含有するので有利である。
【0059】
取り出した細胞は、湿れた状態でまたは乾いた状態で使用することができる。例えば、いくつかの態様においては、取り出した細胞は、湿った肥料としての使用について有効である。いくつかの態様においては、本方法はさらに、取り出した細胞を乾燥して「乾燥ケーキ」を形成することを含み、および結果として生じる乾燥ケーキは、乾燥肥料、動物飼料若しくは魚の飼料、またはそれらの任意の組合せとしての使用について有効である。取り出しれた細胞の乾燥はまた、該取り出した細胞を濃縮する手段として使用することができる。しかしながら、取り出した細胞は、任意の適切な手段を使用して乾燥することができる。
【0060】
動物飼料および肥料のそれぞれの組成は一般に、それらが主に微生物タンパク質および/または炭水化物で構成されているため、類似している。いくつかの実施態様においては、動物飼料および/または肥料は、タンパク質(例えば約60重量%から約90重量%などの、約30重量%から約90重量%)、脂肪(例えば約1重量%から約3重量%などの、約1重量%から約12重量%)、炭水化物(例えば約15重量%から約60重量%、または約5重量%から約15重量%などの、約5重量%から約60重量%)および/またはナトリウム、カリウム、銅などのミネラル(例えば約1重量%から約3重量%などの、約1重量%から約20重量%)を含有する。例えば、動物飼料および/または肥料は、約86%のタンパク質、約2%の脂肪、約2%のミネラル、および約10%の炭水化物を含有し得る。
【0061】
本開示の非限定的な態様の例
【0062】
本明細書において記載する本主題の、実施態様を含む、態様は、単独でまたは、1つ以上の他の態様若しくは態様と、組み合わせて、有益であり得る。前述の説明を限定することなしに、1~18の番号付けをした本開示の特定の非限定的な態様を、以下に提供する。この開示を読めば当業者に明らかであろうように、個別に番号付けした態様のそれぞれは、先行するまたは次に続く個別に番号付けした態様のいずれかと使用し得るかまたは組み合わせ得る。これは、全てのそのような態様の組合せについてのサポートを提供することを意図しおよび以下に明示的に提供する態様の組合せに限定されない:
【0063】
(1)効率的な発酵ブロスリサイクルの方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;
(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【0064】
(2)酸素化生成物がエタノールである、態様(1)の方法。
【0065】
(3)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌が配列番号3を含まない、態様(1)の方法。
【0066】
(4)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌が、配列番号2と少なくとも約95%の同一性を含むヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含む、態様(1)の方法。
【0067】
(5)ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが、配列番号1と少なくとも約90%の配列同一性を含む、態様(1)の方法。
【0068】
(6)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌におけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)におけるヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターが同様の培養条件下で発現するよりも少なくとも約1.5倍多く発現する、態様(1)の方法。
【0069】
(7)同様の培養条件下でクロストリジウム・オートエタノゲナムが産生する少なくとも1つの生成物の量と比較して、少なくとも約5%多い少なくとも1つの酸素化生成物が産生される、態様(1)の方法。
【0070】
(8)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌をバイオリアクター中で培養して、酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物を産生する、態様(1)の方法。
【0071】
(9)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物が継続的に、少なくとも1つの酸素化生成物を約24時間を超えて産生する、態様(8)の方法。
【0072】
(10)さらに:
(c)バイオリアクターブロスをバイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと;並びに
(f)該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスをバイオリアクターに提供すること
を含む、態様(8)の方法。
【0073】
(11)取り出しブロスの1リットルあたり、少なくとも約1グラムの少なくとも1つの酸素化生成物が産生される、態様(10)の方法。
【0074】
(12)酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスの約80%以上がバイオリアクターに提供される、態様(10)の方法。
【0075】
(13)取り出された細胞が動物飼料としての使用について有効である、請求項10~12のいずれか1項の方法。
【0076】
(14)取り出された細胞が肥料としての使用について有効である、請求項10~13のいずれか1項の方法。
【0077】
(15)ボトムズリサイクルを改善する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【0078】
(16)CO、CO、および任意にHをエタノールに変換する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;並びに
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、および任意にHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること
を含み、
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出す、方法。
【0079】
(17)動物飼料を調製する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し;
(c)該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;並びに
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと
を含み、
ここで、該取り出した細胞は、動物飼料としての使用について有効である、方法。
【0080】
(18)肥料を調製する方法であって、該方法は:
(a)バイオリアクターに:(1)CO、CO、および任意にHを含むガス状基質;(2)少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌;並びに(3)液体栄養培地を提供すること;
(b)該バイオリアクター内に該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌がCO、CO、およびHを少なくとも1つの酸素化生成物に変換するための条件を提供すること;
ここで、該少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性細菌は、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターの上流領域配列を含み、
該ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターは、少なくとも第一の遺伝子を含み、
該上流領域配列は、該第一の遺伝子の上流にあり、
該上流領域配列は、配列番号2と少なくとも約90%の同一性を含み、および該バイオリアクター内の該条件は、バイオリアクターブロスを作り出し;
(c)該バイオリアクターブロスを該バイオリアクターから取り出して、取り出しブロスを産生すること;
(d)少なくとも1つの酸素化生成物を該取り出しブロスから取り去って、酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスを産生すること;並びに
(e)酢酸生成カルボキシド栄養性細菌培養物の細胞を、該取り出しブロスおよび/または該酸素化生成物が枯渇した取り出しブロスから取り出すこと
を含み、
ここで、該取り出した細胞は、肥料としての使用について有効である、方法。
【実施例
【0081】
以下の実施例は、さらに本発明を例示するが、もちろん、決してその範囲を限定するとして解釈されるべきでない。
【0082】
実施例1
この実施例は、SB1のヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターにおける遺伝子発現の量が、C. autoethanogenumのそれとは異なることを実証する。
【0083】
SB1およびC. autoethanogenumを、同一の定常状態条件下で培養しおよび次いでRNAseq解析を使用して解析して、9遺伝子の発現のレベルを決定した。遺伝子(タンパク質、機能)は、以下のとおりである:fdhH(ギ酸デヒドロゲナーゼH、酸化還元酵素)、moeA(モリブドプテリンモリブデン転移酵素)、moeB(モリブドプテリン-グアニンジヌクレオチド生合成アダプタータンパク質)、fdhD(ギ酸デヒドロゲナーゼアクセサリータンパク質FdhD)、nuoE(NADH-キノン酸化還元酵素サブユニットE)、nuoF(NADH-キノン酸化還元酵素サブユニットF)、nuoG(NADH-キノン酸化還元酵素サブユニットG)、hydN(電子輸送タンパク質hydN)、ヒドロゲナーゼ-1(ヒドロゲナーゼ)。
【0084】
各生物についての、RNAseqデータから導き出した読取密度(これは、遺伝子発現のレベルに比例している)を、プロットした。図1Aおよび1Bに見られるように、読取密度のレベルは、SB1とC. autoethanogenumとの間で異なる。プロット上のより高い値は、遺伝子発現のより高いレベルを表す。図2Aおよび2Bは、生物SB1(図2A)およびC. autoethanogenum(図2B)におけるヒドロゲナーゼ-1遺伝子クラスターおよびギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての遺伝子発現の平均量を示すグラフである。ギ酸デヒドロゲナーゼは、ギ酸デヒドロゲナーゼに関与する遺伝子(fdhH-fdhD)の平均遺伝子発現を表し、およびヒドロゲナーゼ-1は、ヒドロゲナーゼに関与する遺伝子(nuoE-hydN)の平均遺伝子発現を表す。図2Aは、図1Aを生成するために使用したデータの解析から導き出したデータのプロットであり、および図2Bは、図1Bを生成するために使用したデータの解析から導き出したデータのプロットである。SB1においては、ヒドロゲナーゼ-1遺伝子クラスターについての平均遺伝子発現は、ギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての平均遺伝子発現よりも高い。C. autoethanogenumにおいては、平均遺伝子発現は、ギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについてよりヒドロゲナーゼ-1遺伝子クラスターについて低い。
【0085】
実施例2
この実施例は、SB1が高いレベルのボトムズリサイクルを許容することを実証する。
【0086】
SB1を合成ガスの存在下で発酵容器中に置き、および水素取込みの量(ミリモル/L/Hr)を記録した。図4に見られるように、143時間時点で(矢印)、細胞培地を、75%ボトムズリサイクルに切り替えた。307時間時点で(矢印)、細胞培地を、89%ボトムズリサイクルに切り替えた。SB1の水素取込みは、少なくとも次の700時間安定していた。図6に見られるように、酢酸塩濃度は、少なくとも次の500時間安定していた。
【0087】
データは、ボトムズリサイクルを増加させることは、SB1の増殖または生産性にネガティブに強い影響を与えることはなかったこと、およびSB1は、ネガティブな強い影響なしに少なくとも89%のボトムズリサイクルを許容し得ることを示す。
【0088】
比較例3
この実施例は、C. autoethanogenumが85%ボトムズリサイクルを許容しないことを実証する。
【0089】
C. autoethanogenumを、合成ガスの存在下で発酵容器中に置いた。558時間時点で、細胞培地を、85%ボトムズリサイクルに切り替えた。
【0090】
図3に見られるように、85%ボトムズリサイクルへの切替えの100時間以内に、水素取込み(ミリモル/L/hr)は、減少し始めた。図5に見られるように、酢酸塩レベルは、増加し始めた。これらのデータは、C. autoethanogenumの増殖および生産性における低下および85%ボトムスリサイクルの劣った耐性を示す。
【0091】
実施例4
SB1およびC. autoethanogenum(DSM 10061株)を、同一の定常状態条件下で培養しおよび次いで解析した。
【0092】
C. autoethanogenumとSB1との間の直接発現比較は、Pan-genomeアプローチ(Medini, et al., Current Opinion in Genetics & Development, 15(6): 589-594(2005)を参照)を使用して、Igenbio,Inc(Chicago,IL)によって行った。ERGOTMゲノム解析および発見システム(Overbeek et al., Nucleic Acids Research, 31(1): 164-171(2003)を参照)を使用して、C. autoethanogenumとSB1との間の双方向ベストヒットを同定し、およびコアゲノムを生成した。C. autoethanogenumおよびSB1からのRNA-Seqデータは、双方向ベストヒットを含有するコアゲノムを用いた解析について使用した。
【0093】
図7Aおよび7Bは、SB1(図7A)およびC. autoethanogenum(図7B)におけるギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子およびヒドロゲナーゼ遺伝子についての平均遺伝子発現を示す棒グラフである。ギ酸デヒドロゲナーゼ(fdhH-fdhD)およびヒドロゲナーゼ遺伝子クラスター(nuoE-hydN)における遺伝子についての遺伝子発現を、次いで平均してプロットした。SB1においては、ヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての平均遺伝子発現は、ギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについての平均遺伝子発現より高い。C. autoethanogenumにおいては、平均遺伝子発現は、ギ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子クラスターについてよりヒドロゲナーゼについて低い。さらに、ヒドロゲナーゼ発現は、C. autoethanogenumにおいてよりSB1において高いのに対して、反対が、ギ酸デヒドロゲナーゼ発現については真実である。
【0094】
図8は、SB1およびC. autoethanogenumにおけるエタノールおよび酢酸の量的生産性を示す。値は、発酵ブロス中のブロスエタノール濃度および酢酸塩濃度から導き出した(ガスクロマトグラフィーによって測定した)。図9は、SB1およびC. autoethanogenumにおけるCO、水素、およびCO取込みの速度を示す。ガス取込みは、プロセス質量分析によって測定した。CO取込みは、2つの生物についてほとんど同一であるのに対して、水素取込みは、SB1についてより高い。CO取込みもまた、C. autoethanogenumと比較してSB1についてより高い。
【0095】
実施例5
この実施例は、SB1からの遺伝子間領域がヒドロゲナーゼの上昇した発現に十分であることを実証する。C. autoethanogenum(C. auto)およびSB1からのnuoEの遺伝子間(I.G)(上流)領域および最初の100bpに相当する断片を、PCRを介して増幅した。nuoEは、一次分岐ヒドロゲナーゼをコードするクラスターの最初の遺伝子であり、および両株からのnuoE遺伝子の最初の100bpは、配列において同一である。C. autoethanogenumおよびSB1株からの遺伝子間nuoE領域を次いでプラスミドpMTL83151中にクローニングして、それぞれ、プラスミドpSyn63およびpSyn64を形成した(図11A)。プラスミドを次いで、SB1株中に形質転換しおよび2ug/mlのチアンフェニコールを使用するために選択した。プラスミドpMTL83151はまた、陰性対照として形質転換した。
【0096】
pSyn63、pSyn64、およびpMTL83151を含有する細胞を、フルクトース培地(Mock, et al., J. Bacteriol., 197(18): 2965-2980(2015))中で培養した。細胞を、洗浄し、次いで炭素およびエネルギー源としての合成ガスの存在下、同じ培地中で培養した。細胞を次いで液体窒素中で凍結することによって捕捉し、RNAを抽出し、cDNAに変換し、およびnuoE発現を、プラスミド特異的qPCRを使用して定量した(図11B)。チアンフェニコール耐性をコードする、catPの発現を、また同様に定量し、発現を標準化するために使用した。図11Aおよび11Bは一緒に、SB1の遺伝子間領域がヒドロゲナーゼ遺伝子のより高い発現に十分であることを示す。
【0097】
これらの結果は、SB1からの遺伝子間領域が、C. autoethanogenumからの遺伝子間領域より高いレベルのnuoE発現を産生するのに十分であることを示し、これは、遺伝子発現における差異がこの遺伝子間領域に由来することを示す。
【0098】
本明細書において引用する刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照により組み込まれるよう個別にかつ具体的に示されておりおよびその全体が本明細書に記載されているかのように同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの」および同様の指示対照の使用は、本明細書において他に示さない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。1つ以上の項目のリスト(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)によって続かれる用語「少なくとも1つ」の使用は、本明細書において他に示さない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙した項目から選択される1つの項目(AまたはB)または列挙した項目の2つ以上の任意の組合せ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。用語「からなる(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、他に注記しない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は単に、本明細書において他に示さない限り、該範囲内に入る各別個の値を個別に指す簡単な方法として機能することを意図しており、および各別個の値は、あたかもそれが本明細書において個別に列挙されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書において記載する全ての方法は、本明細書において他に示さない限りまたはさもなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書において提供するありとあらゆる実施例、または例示的な術語(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図し、および他に特許請求の範囲に記載しない限り、本発明の範囲上に制限を課さない。本明細書中の術語はいずれも、特許請求の範囲に記載していないいかなる要素をも本発明の実施に必須であるとして示すとして解釈されるべきでない。
【0100】
この発明の好ましい態様を、本発明を行うための本発明者らに知られている最良の様式を含め、本明細書において記載する。それらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読めば当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜用いることを期待し、および本発明者らは、本発明を本明細書において具体的に記載するのとは別の方法で実施することを意図する。従って、この発明は、適用される法律によって許可される、本明細書に添付する特許請求の範囲において列挙する主題の全ての変更および均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形における上述の要素の任意の組合せは、本明細書において他に示さない限りまたはさもなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
【配列表】
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【国際調査報告】