(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】清澄化セットアップを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20250117BHJP
C12N 1/02 20060101ALI20250117BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20250117BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20250117BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20250117BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12N1/02
C12M3/00 Z
C12N5/10
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541748
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2023010590
(87)【国際公開番号】W WO2023137058
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140984
【氏名又は名称】ザルトリウス・ステディム・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sartorius Stedim North America Inc.
【住所又は居所原語表記】565 Johnson Avenue, Bohemia, New York 11716, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト ゼルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス アウスターヨスト
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA02
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG08
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4B029FA11
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4B029HA09
4B065AA90X
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4B065BC17
4B065BD15
4B065BD16
4B065BD18
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、バイオプロセス設備(2)の清澄化セットアップ(1)を操作するための方法であって、清澄化セットアップ(1)が、流動床遠心分離機(3)とポンピング装置(4)とを含み、流動床遠心分離機(3)は、幾何学的な遠心分離機軸線(6)を中心として回転させられている少なくとも1つの遠心分離機チャンバ(5)を含み、バイオプロセス設備(2)は、流動床遠心分離機(3)およびポンピング装置(4)を制御するための電子プロセス制御装置(7)を含み、流動床遠心分離機(3)は、粒子ローディングサイクル(8)および/または粒子洗浄サイクル(9)のための順方向操作と、粒子排出サイクル(10)のための逆方向操作と、で操作されており、粒子ローディングサイクル(8)が設けられている場合、遠心分離機チャンバ(5)にローディングされた細胞ブロスが、遠心分離機チャンバ(5)において、成長する粒子集積を形成するように進行し、清澄化セットアップ(1)は、電子プロセス制御装置(7)に送信される監視センサデータを生成するための少なくとも1つの光学センサ(12)を備えた監視センサ装置(11)を含む、方法を対象とする。監視ルーチン(13)において、遠心分離機チャンバ内容物(16)の光学画像(15)を表す画像関連データ(14)が、監視センサ装置(11)によって生成されており、粒子充填レベル(17)が、計算モデル(18)に基づいて画像関連データ(14)から電子プロセス制御装置(7)によって計算されていることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセス設備(2)の清澄化セットアップ(1)を操作するための方法であって、前記清澄化セットアップ(1)は、遠心分離による細胞ブロスの清澄化のための流動床遠心分離機(3)と、前記流動床遠心分離機(3)に割り当てられたポンピング装置(4)と、を含み、前記流動床遠心分離機(3)は、幾何学的な遠心分離機軸線(6)を中心として回転させられている少なくとも1つの遠心分離機チャンバ(5)を含み、前記バイオプロセス設備(2)は、少なくとも前記流動床遠心分離機(3)および前記ポンピング装置(4)を制御するための電子プロセス制御装置(7)を含み、前記流動床遠心分離機(3)は、粒子ローディングサイクル(8)および/または粒子洗浄サイクル(9)のための順方向操作と、粒子排出サイクル(10)のための逆方向操作と、で操作されており、粒子ローディングサイクル(8)が設けられている場合、前記粒子ローディングサイクル(8)中、前記遠心分離機チャンバ(5)にローディングされた細胞ブロスは、前記遠心分離機チャンバ(5)において、成長する粒子集積を形成するように進行し、前記清澄化セットアップ(1)は、前記電子プロセス制御装置(7)に送信される監視センサデータを生成するための少なくとも1つの光学センサ(12)を備えた監視センサ装置(11)を含む方法において、
監視ルーチン(13)において、遠心分離機チャンバ内容物(16)の光学画像(15)を表す画像関連データ(14)は、前記監視センサ装置(11)によって生成されており、粒子充填レベル(17)は、計算モデル(18)に基づいて前記画像関連データ(14)から前記電子プロセス制御装置(7)によって計算されていることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記監視ルーチン(13)において、前記計算モデル(18)に従って、前記粒子充填レベル(17)は、前記粒子集積内外の前記遠心分離機チャンバ内容物(16)の異なる光学特性、特に異なる半透明性、異なる色および/または異なる明るさに基づいて計算されていることを特徴とする、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記監視ルーチン(13)において、前記計算モデル(18)に従って、前記遠心分離機チャンバ内容物(16)の前記粒子集積と、粒子を含まない残りの部分と、の間の相境界(19)は、前記光学画像(15)において検出され、前記粒子充填レベル(17)は、前記計算モデル(18)に基づいて前記相境界(19)の位置から計算されていることを特徴とする、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記遠心分離機チャンバ(5)自体は、半透明材料で作られており、前記監視センサ装置(11)は、前記遠心分離機チャンバ(5)の前記半透明材料を通して前記遠心分離機チャンバ内容物(16)の前記光学画像(15)を検出していることを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記監視センサ装置(11)の前記少なくとも1つの光学センサ(12)は、カメラユニット、好ましくは2Dもしくは3Dカメラであり、かつ/または、前記カメラユニットの視認方向は、前記幾何学的な遠心分離機軸線(6)に対して基本的に平行または傾斜していることを特徴とする、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
光装置(20,21)は、前記遠心分離機チャンバ内容物(16)を通って前記監視センサ装置(11)に照射される光で、または前記遠心分離機チャンバ内容物(16)に照射され、前記監視センサ装置(11)に反射される光で、前記監視センサ装置(11)に割り当てられており、かつ/または、前記監視センサ装置(11)および/もしくは前記光装置(20,21)は、前記少なくとも1つの遠心分離機チャンバ(5)の回転と同期化されていることを特徴とする、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記粒子充填レベル(17)は、前記遠心分離機チャンバ(5)の粒子を含まない状態と、最大粒子集積状態と、の間の範囲を表し、前記粒子充填レベル(17)は、粒子破過への境界線であり、前記粒子充填レベル(17)には、前記ローディングサイクル(8)の進行時に粒子破過が続き、好ましくは、前記最大粒子集積状態は、絶対最大粒子充填レベルに対応し、かつ/または、前記遠心分離機チャンバ(5)の前記粒子を含まない状態は、絶対ゼロ粒子充填レベルに対応することを特徴とする、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記流動床遠心分離機(3)は、前記遠心分離機チャンバ内容物(16)を監視することができる監視パネルの監視開口部(22)を含み、前記監視ルーチン(13)において、前記計算モデル(18)に従って、前記粒子充填レベル(17)は、前記計算モデル(18)に基づいて、前記監視開口部(22)上の明るさおよび/または色の分布から計算されており、好ましくは、前記監視開口部(22)は、前記幾何学的な遠心分離機軸線(6)に対して半径方向に沿って延在することを特徴とする、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記清澄化セットアップ(1)は、前記電子プロセス制御装置(7)に送信される較正センサデータを生成するための少なくとも1つの較正センサ(24)を備えた較正センサ装置(23)を含み、前記較正センサ装置(23)は、好ましくは前記ローディングサイクル(8)および/または前記洗浄サイクル(9)中、前記流動床遠心分離機(3)の下流の液体ライン(25)内の粒子の存在および/または流量を検出し、好ましくは、較正ルーチンにおいて、前記計算モデル(18)の精度を向上させ、かつ/または、絶対最大粒子充填レベルを導出するために、前記監視センサ装置(11)の前記画像関連データ(14)は、前記較正センサ装置(23)の前記較正センサデータと相関されていることを特徴とする、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
較正ルーチンにおいて、ローディングサイクル(8)は、粒子破過の時点までかつその時点を超えて進行し、前記粒子破過の時点で計算された前記粒子充填レベル(17)は、前記電子プロセス制御装置(7)において絶対最大粒子充填レベルとして記憶されていることを特徴とする、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
調整ルーチンにおいて、前記清澄化セットアップ(1)の少なくとも1つのパラメータは、予め定義された調整ストラテジーに従って、前記遠心分離機チャンバ(5)の前記粒子充填レベル(17)に基づいて前記電子プロセス制御装置(7)によって調整されており、かつ/または、自動化ルーチンにおいて、前記電子プロセス制御装置(7)は、計算された前記粒子充填レベル(17)に基づいて、予め定義された自動化ストラテジーに従って遠心分離サイクルを開始することを特徴とする、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
公称最大粒子充填レベルは、前記電子プロセス制御装置(7)に記憶され、前記公称最大粒子充填レベルは、好ましくは、予め定義された上限オフセットだけ絶対最大粒子充填レベルを下回り、前記自動化ストラテジーに従って、前記ローディングサイクル(8)中に前記公称最大粒子充填レベルが近づくと、前記ローディングサイクル(8)は、終了され、好ましくは、前記洗浄サイクル(9)および/もしくは前記排出サイクル(10)は、前記電子プロセス制御装置(7)によって開始され、かつ/または、公称ゼロ粒子充填レベルは、前記電子プロセス制御装置(7)に記憶され、前記公称ゼロ粒子充填レベルは、予め定義された下限オフセットだけ絶対ゼロ粒子充填レベルを上回り、前記自動化ストラテジーに従って、前記排出サイクル(10)中に前記公称ゼロ粒子充填レベルが近づくと、前記排出サイクル(10)は、終了され、好ましくは、前記ローディングサイクル(8)は、前記電子プロセス制御装置(7)によって開始されることを特徴とする、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記バイオプロセス設備(2)は、少なくとも1つの下流ユニット(35)を備えた下流セットアップ(34)を含み、適応ルーチンにおいて、前記電子プロセス制御装置(7)は、予め定義された適応ストラテジーに基づいて、前記画像関連データ(14)に従って、前記下流セットアップ(34)の少なくとも1つのパラメータを適応させることを特徴とする、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
分析ルーチンにおいて、不純物、好ましくは汚染生物の存在に帰属する不規則性状態は、前記光学画像(15)の予め定義された不規則性特徴に基づいて検出されることを特徴とする、
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実施するためのバイオプロセス設備(2)の清澄化セットアップ(1)であって、前記清澄化セットアップ(1)は、遠心分離による細胞ブロスの清澄化のための流動床遠心分離機(3)と、前記流動床遠心分離機(3)に割り当てられたポンピング装置(4)と、を含み、前記流動床遠心分離機(3)は、幾何学的な遠心分離機軸線(6)を中心として回転させられている少なくとも1つの遠心分離機チャンバ(5)を含み、前記バイオプロセス設備(2)は、少なくとも前記流動床遠心分離機(3)および前記ポンピング装置(4)を制御するための電子プロセス制御装置(7)を含み、前記流動床遠心分離機(3)は、粒子ローディングサイクル(8)および/または粒子洗浄サイクル(9)のための順方向操作と、粒子排出サイクル(10)のための逆方向操作と、で操作されており、粒子ローディングサイクル(8)が設けられている場合、前記粒子ローディングサイクル(8)中、前記遠心分離機チャンバ(5)にローディングされた細胞ブロスは、前記遠心分離機チャンバ(5)において、成長する粒子集積を形成するように進行し、前記清澄化セットアップ(1)は、前記電子プロセス制御装置(7)に送信される監視センサデータを生成するための少なくとも1つの光学センサ(12)を備えた監視センサ装置(11)を含む清澄化セットアップ(1)において、
監視ルーチン(13)において、前記遠心分離機チャンバ内容物(16)の光学画像(15)を表す画像関連データ(14)は、前記監視センサ装置(11)によって生成されており、粒子充填レベル(17)は、計算モデル(18)に基づいて前記画像関連データ(14)から前記電子プロセス制御装置(7)によって計算されていることを特徴とする、
清澄化セットアップ(1)。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法を実施するための、自体半透明材料で作られた遠心分離機チャンバ(5)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2023年1月11日付けPCT国際特許出願として、すべての国を指定する出願人である米国国内法人Sartorius Stedim North America Inc.社、ならびにすべての国を指定する発明者および出願人であるドイツ国民のRobert Soeldnerおよびドイツ国民のJonas Austerjostの名義で出願されている。本出願は、2022年1月11日に出願されたEP出願第22151042.3号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、請求項1の概要部分に記載の、バイオプロセス設備の清澄化セットアップを操作するための方法、請求項15に記載の清澄化セットアップおよび請求項16に記載の、前述の方法を実施するための遠心分離機チャンバの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
「バイオプロセス」という用語は、現在のところ、あらゆる種類のバイオテクノロジープロセス、特にバイオ医薬品プロセスを表す。そのようなバイオプロセスの例は、所与の条件下で微生物または哺乳動物細胞を培養するためのバイオリアクターの使用であり、細胞ブロスがバイオリアクターから下流プロセスに移送される。この文脈における「バイオリアクター」という用語は、少なくとも1つのパラメータの監視および制御を可能にすることで生物学的環境をサポートする任意の製造されたデバイスまたはシステムを意味する。「バイオ生産物」という用語は、現在のところ、そのようなバイオプロセスで生産されたあらゆる種類の化合物を表す。そのようなバイオ生産物の例は、タンパク質、特に抗体、成長因子またはホルモン、代謝産物またはその他の任意の分子、ならびに細胞または細胞成分、例えばオルガネラである。
【0004】
清澄化セットアップを操作するための当該方法は、バイオテクノロジーの様々な分野に適用することができる。この分野での高効率は、バイオ調合薬などのバイオ製品の需要の増加によって推進されてきた。この意味での効率は、使用される成分の費用対効果だけでなく、それに関連するプロセスの制御性にも関わる。当該方法は、バイオプロセスの制御性だけでなく時間効率も最適化するために、遠心分離機チャンバ充填レベル決定に依存している。
【0005】
清澄化セットアップを操作するための公知の方法(欧州特許第2310486号明細書)は、チャンバ入口とチャンバ出口とがそれぞれ割り当てられている多数の遠心分離機チャンバを備えた流動床遠心分離機を含む。清澄化セットアップはまた、流動床遠心分離機に割り当てられたポンピング装置と、清澄化される細胞ブロスである液体を輸送するための液体ネットワークと、を含む。最後に、清澄化セットアップは、少なくとも流動床遠心分離機とポンピング装置とを制御するための電子プロセス制御装置を含む。
【0006】
流動床遠心分離プロセスにおける遠心分離機チャンバの粒子充填レベルを正確に決定するために、現在のところ、所与の時点におけるそれぞれの粒子充填レベルを計算すべく、細胞直径、細胞濃度などの細胞懸濁液特性だけでなく、少なくとも流体流量スループットも提供する必要がある。
【0007】
「粒子」という用語は広義に理解されるべきであり、特に細胞、細胞破片、タンパク質、(磁性)マイクロビーズなど、生物学的または非生物学的起源のものであり得る任意の粒子状固体化合物を意味する。
【0008】
「粒子充填レベル」という用語は広義に理解されるべきである。粒子充填レベルは、遠心分離機チャンバの充填の指標であり、遠心分離機チャンバの粒子充填率、特定の粒子質量、体積、濃度などによって反映させることができる。さらに、粒子充填レベルは、所与の時間における特定の粒子充填レベルによって、または粒子充填レベルの経時的変化として表すことができ、それによって、粒子充填速度にも反映される。
【0009】
しかしながら、これは近似値としてしか機能せず、流動床遠心分離プロセスにおいて充填レベルが過小評価された場合、システムは誤って過充填となり、細胞が後続の下流プロセスに導入される可能性があるため、流動床遠心分離プロセスは非効率となる。一方、充填レベルが過大評価された場合、特定のバイオリアクター容積などの特定の容積を処理するために必要な遠心分離サイクルの回数が多くなることに起因して、流動床遠心分離プロセスは非効率となる。
【0010】
公知の方法の範囲内では、充填レベルの計算に時間がかかり、あまり正確ですらないため、制御性が多少損なわれる。これにより、プロセス全体の効率と再現性とは、それぞれある一定のレベルにしか達することができない。
【0011】
本発明の出発点である別の既知の方法(「Operation and Maintenance Manual kSep400」, Sartorius Stedim Biotech社)は、カメラセンサからの監視センサデータの生成に依存しており、この監視センサデータはユーザによって手動で分析される。このユーザの経験に基づいて、それらの監視センサデータは、清澄化セットアップを操作するために利用されている。ここでも、この方法には時間がかかり、再現性は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、可能な限り少ない労力でバイオプロセス効率および再現性が改善されるように、清澄化セットアップを操作するための公知の方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題は、請求項1の概要部分に記載の、清澄化セットアップを操作するための方法において、請求項1の特徴部分の特徴によって解決される。
【0014】
遠心分離機チャンバ内での粒子の浮遊状態に起因して、粒子集積が規則正しく再現可能な方法で進行する。広い範囲において、この効果は、処理される媒体とは無関係に起こっている。特に、これは目に見える相境界をもたらし、この相境界は進行中の粒子凝集とともに遠心分離機チャンバを横切って移動し、相境界の位置は遠心分離機チャンバの目標充填レベルを表していることが見出された。公知の非流動床遠心分離機とは対照的に、提案された発明は、遠心分離された細胞をそのような高い加速力にさらすことなく、目に見える相境界をもたらすことが実現されたのは特に興味深い。そのような高い加速力は、その他の点では細胞損傷、さらには細胞死につながる可能性がある。したがって、細胞はより穏やかな条件下でここでは分離され、より高い生存率につながり、このことは、細胞をその後のバイオプロセスで再利用する場合に極めて重要である。さらに、提案された発明により、遠心分離機チャンバ内の細胞数をより正確に推定することができる。これは、非流動床条件下での粒子凝集が、細胞に作用する加速力がはるかに大きいため根本的に異なるという事実に起因している。このため、提案された解決手段では、粒子凝集の細胞は、非流動床条件下の場合ほど密に充填されない。それによって、粒子充填レベルをより正確に計算することができる。また、このことは、後に続く可能性のあるバイオプロセスに接種するために必要な所要細胞数をより正確に計算するために特に有利である。さらに、上述した体系的な粒子凝集により、計算モデルに基づいて充填レベルを体系的に計算することが可能になり、これは、リアルタイムで実施できることも見出された。
【0015】
詳細には、監視ルーチンにおいて、遠心分離機チャンバ内容物の光学画像を表す画像関連データが、監視センサ装置によって生成されており、粒子充填レベルが、計算モデルに基づいて画像関連データから電子プロセス制御装置によって計算されていることが提案される。
【0016】
本発明の達成は、カメラによる充填レベルの自動決定、好ましくはリアルタイムでの決定であり、生物に依存しない、費用対効果の高い、非侵襲的な方法で製造プロセスを加速させることである。遠心分離機チャンバ負荷をリアルタイムで決定することにより、不要な待ち時間が減らされ、バイオリアクター容積を処理するのに必要な遠心分離サイクルの回数が最小限に抑えられ、貴重な細胞の粒子破過が防止される。「粒子破過」という用語は、流動床遠心分離プロセス中に少なくとも1つの遠心分離機チャンバが、粒子、好ましくは細胞で容量一杯になり、遠心分離機チャンバのローディングを継続すると、前述の遠心分離機チャンバの過充填につながる時点に関する。
【0017】
画像処理による自動充填レベル判定を使用することにより、各チャンバの正確な信号を取得することができる。画像に関連したアプローチとして、判定された充填レベルは、生存細胞の量、細胞タイプおよび細胞直径などのブロス組成から独立しており、不純物または死細胞の存在さえも反映することができる。
【0018】
請求項2および3は、監視ルーチンにおいて使用される計算モデルの好ましい実施形態を対象としている。これらの実施形態によれば、遠心分離機チャンバ内の異なる光学特性または相境界が、生物に依存しない方法で粒子充填レベルを判定する問題を解決するために使用される。
【0019】
請求項4では、遠心分離機チャンバの半透明特性に関する特に好ましい実施形態が規定される。そのような設計により、非侵襲的な方法で粒子充填レベルを判定することが可能になる。特に、半透明特性に起因して、各遠心分離機チャンバに窓などを設ける必要がない。
【0020】
請求項5および6に記載の好ましい実施形態は、監視センサ装置の少なくとも1つの監視センサとしてのカメラユニットの異なる設計および装置オプションに言及しており、これにより、カメラの選択だけでなく、それぞれの装置に関する柔軟性の向上が可能になる。
【0021】
請求項7および8では、粒子充填レベルの定義および計算に関する特に好ましい実施形態が規定される。これらの仕様により、粒子充填レベルの最適化および簡略化された判定が可能になる。
【0022】
請求項9および10は、較正センサ装置および較正ルーチンのオプションに関する好ましい実施形態を対象としている。これらの特徴は、監視センサ装置を較正するために特に有利であり、したがって、計算モデルの精度だけでなく、絶対最大粒子充填レベルの判定も向上させる。
【0023】
請求項11の第1の代替案の特に好ましい実施形態によれば、清澄化セットアップの少なくとも1つのパラメータが、粒子充填レベルに基づいて電子プロセス制御装置によって調整されており、各遠心分離機チャンバの均一な充填を可能にしている。これにより、すべての遠心分離機チャンバの同時排出が可能になり、したがって、少ない労力で遠心分離機チャンバ容量をより効率的に使用することが可能になる。
【0024】
請求項11の第2の代替案による好ましい実施形態は、電子プロセス制御装置が遠心分離サイクルを開始する基準となる判定ポイントに言及している。
【0025】
請求項12の好ましい実施形態によれば、公称最大粒子充填レベルおよび/または公称ゼロ粒子充填レベルが電子プロセス制御装置に記憶され、粒子破過だけでなく、不要な待ち時間も高い効率で防止するためのオフセットをそれぞれ定義する。
【0026】
請求項13に記載の好ましい実施形態は、バイオプロセス設備に下流セットアップが存在し、電子プロセス制御装置が、予め定義された適応ストラテジーに基づいて、適応ルーチンにおいて下流セットアップの少なくとも1つのパラメータを適応させることを対象としている。これは、後続の下流ユニットの選択に関する柔軟性の向上だけでなく、待ち時間の短縮も伴う下流の方法を可能にすることから、特に有利である。それによって、後続のバイオ生産物精製を特定のバイオ生産物の必要性に応じて個別にカスタマイズすることができ、高い柔軟性でバイオプロセス効率の向上およびプロセスコストの低減がもたらされる。
【0027】
請求項14は、分析ルーチンにおいて汚染物質の存在が検出される好ましい実施形態を対象としている。これらの仕様により、例えば、後続のバイオプロセスで再利用するために必要な細胞数を決定するために不可欠な、生細胞および死細胞だけでなく、汚染物質も区別するのに役立つ追加レベルの情報を得ることが可能になる。
【0028】
請求項15による第2の独立請求項の教示によれば、提案された方法を実施するための清澄化セットアップが自体請求される。提案された方法について与えられたすべての説明は、提案された清澄化セットアップに完全に適用可能である。
【0029】
請求項16に記載の第3の独立請求項の教示は、提案された方法を実施するための提案された遠心分離機チャンバの使用を対象としている。前で与えられたすべての説明は、提案された遠心分離機チャンバに完全に適用可能である。
【0030】
第4の教示は、独立請求項として記載されてよく、電子プロセス制御装置を対象としている。この電子プロセス制御装置は、先の請求項のいずれか1項による提案された方法を実施するように設計されている。ここでも、前で与えられたすべての説明は、この提案された第4の教示に完全に適用される。電子プロセス制御装置は、好ましくは、提案された方法を実現するためのデータ処理システムを含む。
【0031】
第5の教示は、同様に独立請求項として記載されてよいが、提案された電子プロセス制御装置のためのコンピュータプログラム製品を対象としている。このコンピュータプログラム製品は、提案された方法を実現するように、特に、上述のルーチンを実現するように構成されている。ここでも、提案された方法について与えられたすべての説明は、提案されたコンピュータプログラム製品にも完全に適用可能である。
【0032】
第6の教示は、同様に独立請求項として記載されてよいが、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を対象としている。ここでも、提案された方法について与えられたすべての説明は、提案された可読記憶媒体に完全に適用可能である。
【0033】
以下では、本発明の一実施形態を図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】提案された方法が実施可能な、提案されたバイオプロセス設備の好ましい実施形態の概略図である。
【
図2】
図1に従って提案された方法の動作原理の透視図である。
【
図3】
図1に従って提案された方法の好ましいコア動作原理を表すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
バイオプロセス設備2の清澄化セットアップ1を操作するための提案された方法は、好ましくは、液体、特に、細胞培養および/またはバイオ生産のための細胞ブロスを処理するバイオプロセスの上流および下流プロセスに割り当てられる。
【0036】
「液体」という用語は、広義に理解されるべきである。純粋な液体だけでなく、エマルジョンおよび懸濁液、例えば、少なくとも2つの異なる液体の不均質な混合物または固体粒子と液体との不均質な混合物も含まれる。
【0037】
「細胞ブロス」という用語は、溶媒中の粒子の懸濁液、特に、培地中の細胞および/または細胞破片を指す。それは特に、培養培地全体および培養培地中で培養されたそれぞれの生物を説明する。
【0038】
「上流プロセス」という用語は、細胞バンク、接種材料(シードトレイン)開発、培地開発、成長速度の最適化および培養プロセスそのもの、ならびに対応するプロセス内制御に関連するすべてのステップを含む。細胞の採取は、上流処理の一部と下流処理の一部との両方としてみなすことができる。「下流プロセス」という用語は、動物もしくは植物組織または細胞ブロスなどの天然源から、バイオ生産物、特にバイオ医薬品の回収および精製に関連するすべてのステップを含み、これには、回収可能な成分のリサイクルならびに廃棄物の適切な処理および処分が含まれる。
【0039】
一般に、細胞の培養は現在、バイオ医薬品、特に、タンパク質、例えばヒトインスリン、成長因子、ホルモン、ワクチン、または抗体、抗体誘導体などの製造に使用されている。バイオ生産物は、非生物医薬品、例えば、食品加工用酵素、洗濯洗剤用酵素、生分解性プラスチックまたはバイオ燃料である場合もある。本発明の焦点は、細胞から上清に分泌されるバイオ医薬製品、例えば抗体またはエクソソームである。追加的または代替的に、生産物は、細胞そのもの、特に幹細胞を含む哺乳動物細胞または癌治療用のCAR-T細胞などの免疫細胞とすることもできる。
【0040】
図1~
図3に示すように、すべての実施形態によれば、バイオプロセス設備2の清澄化セットアップ1を操作するための提案された方法は、遠心分離による細胞ブロスの清澄化のための少なくとも1つの流動床遠心分離機3と、流動床遠心分離機3に割り当てられたポンピング装置4と、を採用する。ポンピング装置4は、少なくとも1つのポンプを含む。流動床遠心分離機3は、少なくとも1つの遠心分離機チャンバ5、好ましくは偶数の遠心分離機チャンバ5、さらに好ましくはちょうど4つの遠心分離機チャンバ5を含み、これらは幾何学的な遠心分離機軸線6を中心として回転させられ、通常の操作中に流動床を生じさせる。好ましくは、各遠心分離機チャンバ5は、チャンバに液体を出し入れするための、少なくとも1つの割り当てられたポンプを含む。バイオプロセス設備2は、少なくとも流動床遠心分離機3およびポンピング装置4を制御するための電子プロセス制御装置7をさらに含む。
【0041】
「遠心分離」とは、遠心力によって人工的に作り出された重力場中での粒子の沈降に関する用語であり、大きな加速力によって分離時間の大幅な短縮が達成される。
【0042】
ここで、遠心分離機は、連続的な遠心分離プロセスを実施するための流動床遠心分離機3として設計されている。流動床遠心分離機3の好ましいセットアップは、欧州特許出願公開第2485846号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
流動床遠心分離機3は、少なくとも1つの遠心分離機チャンバ5が取り付けられたロータを含み、このロータは、好ましくは電気モータによって遠心分離機軸線6を中心として回転することができる。遠心分離機の回転速度およびポンプ速度は、流動床遠心分離機3において細胞または細胞破片などの粒子の流動床を確立することを目的として、電子プロセス制御装置7によって調整可能である。流動床は、粒子にかかる遠心力が対向する流体流の力に等しく、粒子にかかる正味の力がゼロになるときに達成される。
【0044】
図1によれば、細胞ブロスは、流動床遠心分離機3に導かれている。流動床遠心分離機3は、ローディングサイクル8および/または洗浄サイクル9では順方向操作で操作され、粒子排出サイクル10では逆方向操作で操作されている。
【0045】
「順方向操作」とは、流動床遠心分離機において可能な2つの流体流れ方向のうちの1つを意味し、培地および細胞などの液体と固体粒子との分離につながる操作を説明する。この「順方向操作」により、一方では、分離した細胞を緩衝液または培地、好ましくは培養培地、さらに好ましくは濃縮培地で洗浄することおよび/または他方では、細胞ブロスの清澄化が可能になる。ここでの目標は、細胞、細胞破片などの固体粒子から液体上清を清澄化することであり、これらの固体粒子はバイオマスとみなされる。この順方向操作で得られる生産物は、目的のバイオ生産物、例えば組換えタンパク質、特に抗体を含有する細胞ブロスの上清である。
【0046】
「濃縮培地」という用語は、より高濃度のビタミン、成長因子、微量栄養素、ならびに炭素源、窒素源および/またはアミノ酸濃度などを含み、好ましくは、最適化された栄養素濃度に起因して、それぞれの生物がその最大成長速度で成長することを可能にする培地を説明する。成長因子および微量栄養素は、必要なビタミンのすべてを自ら生産することができない生物用の培地に含まれる。鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデンおよびコバルトなどの微量元素を含む無機栄養素は、典型的には、未精製の炭素源および窒素源に含まれているが、精製された炭素源および窒素源が使用される場合は追加しなければならない場合がある。
【0047】
ローディングサイクルとは、流動床遠心分離機3の順方向操作において、遠心分離される細胞ブロスをそれぞれの遠心分離機チャンバ5にローディングするサイクルのことを指す。したがって、粒子ローディングサイクル8中、遠心分離機チャンバ5にローディングされた細胞ブロスは、遠心分離機チャンバ5において、成長する粒子集積を形成するように進行する。
【0048】
洗浄サイクルとは、流動床遠心分離機3の順方向操作において、それぞれの遠心分離機チャンバ5を培地または緩衝液で洗浄するサイクルのことを指す。この洗浄サイクルは、好ましくは細胞に新鮮な栄養素を供給する役割を果たす。
【0049】
代替的に、流動床遠心分離機3は逆方向操作で操作することもできる。「逆方向操作」とは、流動床遠心分離機3における2つの可能な流体流れ方向のうちの第2の方向を意味し、分離された固体粒子、好ましくは細胞の排出につながる操作を説明する。逆方向操作で得られる生産物は、細胞ブロス中の細胞である。
【0050】
したがって、排出サイクルとは、流動床遠心分離機3に割り当てられたサイクルを指し、逆方向操作では、遠心分離機チャンバ5から固体粒子、好ましくは細胞が排出される。この排出サイクル10は、とりわけ、後続のバイオプロセスにおける細胞の再利用に役立つ。
【0051】
さらに、清澄化セットアップ1は、少なくとも1つの、ここでは好ましくは光学センサ12を備えた監視センサ装置11を含み、監視センサデータが生成され、これは、電子プロセス制御装置7に送信される。光学センサ12は、
図1に示すように、それぞれの遠心分離機チャンバ5に向けられている。
【0052】
本発明にとって特に重要なことは、監視ルーチン13において、遠心分離機チャンバ内容物16の光学画像15を表す画像関連データ14の形態の監視センサデータが、監視センサ装置11によって生成されていることである。これらの画像関連データ14から、電子プロセス制御装置7は、計算モデル18に基づいて粒子充填レベル17を計算する。
【0053】
計算モデル18は、後で説明するように、画像関連データ14に基づいて充填レベル17を計算するためのルールシステムとして理解されるべきである。好ましい実施形態では、計算モデル18は、2つの異なる操作インスタンス間で、または1つの同じ操作インスタンス内でさえ交換することができる。さらに、計算モデルは、異なるコントラスト、異なる明るさ、異なる密度などをもたらす可能性のある、使用される培養培地の選択に関するものなど、変更された光学特性をもたらす異なるバイオプロセス設定に高度に適応可能である。別の好ましい実施形態によれば、計算モデルは、異なる粒子サイズ、異なる形状、異なる濃度などを含む異なる細胞タイプに適応させることができる。この適応性により、提案された方法は非常に柔軟なものとなる。
【0054】
「画像関連データ」という用語は、広義に理解されるべきである。それは少なくとも1つの画像を表し、この意味では通常の写真表現であり得る。さらに、「画像関連データ」という用語は、液体の他の特性に関する監視センサ装置11の他のセンサの監視センサデータを含むことができる。そのような特性は、例えば、流動重量、流速、細胞タイプ、炭素源濃度、窒素源濃度、アミノ酸濃度、pH、温度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、導電率、圧力、DNA濃度、タンパク質濃度またはバイオマス濃度であり得る。
【0055】
監視ルーチン13または他の提案されたルーチンは、好ましくは、共通の予め定義されたストラテジーまたは個々の予め定義されたストラテジーに従って開始される。例えば、監視ルーチン13は、一般に、ローディングサイクル8が開始されるときに開始され得る。しかしながら、監視ルーチン13を、一定量の粒子凝集が起こる前ではなく、例えば、予め定義された量のローディング時間の後に開始させることが、より効果的であることさえあり得る。
【0056】
図2による実施形態では、ここでは好ましくは監視ルーチン13において、計算モデル18に従って、粒子充填レベル17が、遠心分離機チャンバ内容物16の異なる光学特性に基づいて計算されている。これらの異なる光学特性は、特に、粒子集積内外の遠心分離機チャンバ内容物16の異なる半透明性、異なる色および/または異なる明るさである。これは、例えば、粒子集積内外の異なる濁度、色、明るさおよび/または密度の差などの、ある特定の粒子タイプ、好ましくは細胞タイプに特異的な特性によって引き起こされる固体粒子、好ましくは細胞の異なる色であってもよい。
【0057】
「粒子集積」という用語は、ここでは遠心分離機チャンバ5内に集積した粒子の質量を意味する。
【0058】
好ましい実施形態では、監視ルーチン13において、計算モデル18に従って、遠心分離機チャンバ内容物16の粒子集積と、粒子を含まない残りの部分と、の間の相境界19が、光学画像15において検出される。そのような相境界19は、密度の差、親和性の差、例えば親水性または疎水性の特性の差、色、半透明性および/または明るさの差などの、遠心分離機チャンバ内容物16の粒子集積と、粒子を含まない残りの部分と、の組成の差に起因して生じる可能性がある。その後、計算モデル18に基づいて、相境界19の位置から粒子充填レベル17が計算される。相境界は、画像処理、例えば線認識のアルゴリズムによって検出することができる。また、単に、遠心分離機チャンバ内容物16を表す光学画像15内のコントラスト、明るさなどの光学特性の異なる2つの領域を決定することによって検出することもできる。これらの異なる光学特性は、好ましくは、遠心分離機チャンバ内容物16の、一方では粒子凝集(例えば、より低い明るさを含む)を表し、他方では粒子を含まない残りの部分(例えば、より高い明るさを含む)を表す。
【0059】
別の計算モデル18によれば、充填レベル17は、画像関連データ14に相関関数を適用することによって計算され、この結果、それぞれの光学画像15における遠心分離機チャンバ内容物16の粒子凝集の面積と、粒子を含まない残りの部分の面積と、の間のサイズの関係に関する表示が得られる。
【0060】
図2による別の好ましい実施形態では、遠心分離機チャンバ5自体は半透明材料で作られている。好ましくは、遠心分離機チャンバ5は、好ましくは、PE、PP、PS、PVC、PET、PURなどのような、半透明で生体適合性のあるプラスチックまたはバイオプラスチック材料で作られた単一使用部品として設計されている。したがって、監視センサ装置11は、遠心分離機チャンバ5の半透明材料を通して遠心分離機チャンバ内容物16の光学画像15を検出している。これは、各遠心分離機チャンバ5に光学センサ12のための覗き窓を導入する必要がないため、コスト効率が良いだけでなく、セットアップを変更することなく、遠心分離機チャンバ内容物16の異なる領域を光学センサ12で見ることができるため、非常に柔軟性もある。
【0061】
別の好ましい実施形態によれば、
図1および
図2に見られるように、監視センサ装置11の少なくとも1つの光学センサ12は、カメラユニット、好ましくは2Dまたは3Dカメラである。使用される例示的な2Dカメラは、ビデオカメラおよびデジタルカメラに使用される2次元CCDアレイセンサならびにスマートフォンおよびタブレットに使用されるCMOSセンサである。光学センサ12は、好ましくは、流動床遠心分離機3の内部または外部、さらに好ましくは遠心分離機ロータチャンバの内部または外部に配置されている。
【0062】
光学センサ12、ここでは好ましくはカメラユニットの視野方向は、好ましくは幾何学的な遠心分離機軸線6に基本的に平行である。しかしながら、それは傾斜していてもよく、これは、利用可能なスペースの最適化された使用の点で有利であり得る。「基本的に平行」という用語は、ここでは数学的な意味での理想的な平行線ではなく、口語的な意味で、カメラユニットが幾何学的な遠心分離機軸線6に対してより良好な部分において平行に配置されている(
図2を参照されたい)ことを意味する。
【0063】
図2では、光装置20,21の2つの選択肢が表示されている。最初の選択肢では、光装置21の光は、遠心分離機チャンバ内容物16を透過して監視センサ装置11に照射される。これにより、その他の任意の周辺条件とは無関係に、光学センサ12による測定の再現性が向上する。この好ましい代替案では、光装置21は、監視センサ装置11の基本的に反対側に位置決めされている。「基本的に反対側」という用語は、ここでは数学的な意味での理想的な対向配置ではなく、口語的な意味での対向配置を意味し、光装置21は、より良好な部分については、監視センサ装置11の反対側に配置されている。これは、遠心分離機チャンバ5にローディングされた細胞ブロスが光装置21の光によって透過されることを意味し、このことは、粒子凝集領域の明確な検出をサポートする。
【0064】
図2に含まれる代替実施形態では、光装置20の光が、遠心分離機チャンバ内容物16に照射され、監視センサ装置11に反射されている。反射は、好ましくは、鏡、反射器などの反射要素によって実現される。光装置20,21の光源は、好ましくは少なくとも1つのLEDであり、さらに好ましくは少なくとも1つのストロボLEDである。
【0065】
好ましくは、監視センサ装置11および/または光装置20,21は、少なくとも1つの遠心分離機チャンバ5の回転と同期化されている。「同期化」とは、システムを一体的に操作するための双方向の時間的なイベントの調整を意味する。
【0066】
特に好ましい実施形態によれば、ストロボスコープLEDまたはLEDのアレイおよび/またはカメラユニットは、少なくとも1つの遠心分離機チャンバ5の回転と同期化されている。特に、監視センサ装置11の同期化された操作は、遠心分離機チャンバ5自体に関連しない任意の光学情報を確実にフェードアウトさせる。
【0067】
図2による別の好ましい実施形態では、粒子充填レベル17は、遠心分離機チャンバ5の粒子を含まない状態と、最大粒子集積の状態と、の間の範囲を表す。この最大粒子集積の状態は、粒子破過の境界線であり、ローディングサイクル8を進めると、粒子破過が続く状態によって定義される。特に好ましい実施形態によれば、最大粒子集積状態は、絶対最大粒子充填レベルに対応し、かつ/または遠心分離機チャンバ5の粒子を含まない状態は、絶対ゼロ粒子充填レベルに対応する。絶対ゼロ粒子充填レベルは、遠心分離機チャンバ5に粒子、特に細胞が完全に存在しないことに対応する。絶対最大粒子充填レベルは、ローディングサイクル8中の粒子破過直前の最大粒子充填レベルに対応する。
【0068】
図2に示される別の好ましい実施形態によれば、流動床遠心分離機3は、監視パネルに監視開口部22を含み、この開口部22を通して遠心分離機チャンバ内容物16を監視することができる。監視開口部22は光学センサ12に割り当てられ、位置合わせされる。流動床遠心分離機3は、すべての遠心分離機チャンバ5の遠心分離機チャンバ内容物16を監視するために、監視パネルにちょうど1つの監視開口部22を含むことが好ましい。この場合、監視開口部22を備えた監視パネルは、好ましくは、遠心分離機チャンバ5が遠心分離機軸線6を中心として回転させられている間、固定される。
【0069】
代替的に、特に好ましい実施形態によれば、流動床遠心分離機3は、各遠心分離機チャンバ5用の監視パネルに1つの監視開口部22を含み、各監視開口部22は、割り当てられた遠心分離機チャンバ5に位置合わせされている。この好ましい実施形態では、各監視パネルの各監視開口部22は、それぞれの遠心分離機チャンバ5とともに遠心分離機軸線6を中心として移動している。
【0070】
ここでは好ましくは、監視ルーチン13において、計算モデル18に従って、粒子充填レベル17が、計算モデル18に基づく監視開口部22上の明るさおよび/または色の分布から計算されている。
【0071】
監視開口部22は、幾何学的な遠心分離機軸線6に対して半径方向に沿って延在することが特に好ましい。そのような監視開口部22の実現により、監視開口部22に対する画像処理が低減され、したがって、画像処理がかなり単純化される。特に、監視開口部22内の相境界19の検出が、少ない技術的労力で可能である。
【0072】
別の実施形態では、
図1によれば、清澄化セットアップ1は、電子プロセス制御装置7に送信される較正センサデータを生成するための少なくとも1つの較正センサ24を備えた較正センサ装置23を含む。ここでは好ましくは、較正センサ装置23は、流動床遠心分離機3の下流の液体ライン25内の粒子の存在を検出する。追加的または代替的に、較正センサ装置23は、流動床遠心分離機3の下流の液体ライン25内の粒子の流量を検出する。これらの検出は、好ましくは、ローディングサイクル8および/または洗浄サイクル9中に行われる。したがって、少なくとも1つの較正センサ24は、好ましくは、粒子センサ、さらに好ましくは細胞検出センサおよび/または流量センサとして設計されている。
【0073】
好ましくは、
図1によれば、較正ルーチンにおいて、計算モデル18の精度を向上させるために、監視センサ装置11の監視センサデータは、較正センサ装置23の較正センサデータと相関されている。例えば、監視センサ装置11が特定の粒子充填レベル17を検出し、次いで、これが較正センサデータと相関される。較正センサ装置23が粒子、好ましくは細胞の非存在を検出した場合、相関は、粒子の破過が発生しなかったという情報を与える。追加的または代替的に、絶対最大粒子充填レベルが導出される。
【0074】
追加的または代替的に、上記の較正ルーチンまたは別の較正ルーチンであってもよい較正ルーチンにおいて、ローディングサイクル8は、粒子破過の時点までおよびその時点を超えて進行する。粒子破過の時点で計算された粒子充填レベル17は、絶対最大粒子充填レベルとして電子プロセス制御装置7に記憶される。このシナリオでは、較正センサ装置23が粒子、好ましくは細胞の存在および/または流量を検出した場合、これは、粒子破過が実際に発生したという情報を与える。次いで、この特定の粒子充填レベル17は、絶対最大粒子充填レベルとして電子プロセス制御装置7に保存される。
【0075】
特に好ましい実施形態によれば、調整ルーチンにおいて、清澄化セットアップ1の少なくとも1つのパラメータが、予め定義された調整ストラテジーに従って、遠心分離機チャンバ5の粒子充填レベル17に基づいて電子プロセス制御装置7によって調整されている。清澄化セットアップ1の少なくとも1つの調整パラメータは、好ましくは、流動床遠心分離機3のロータの遠心分離速度および/または遠心分離機チャンバ5に割り当てられるポンピング装置4の少なくとも1つのポンプ、好ましくは、すべてのポンプの容積流量である。
【0076】
図3によれば、別の好ましい実施形態では、判定ポイント26に基づき、電子プロセス制御装置7は、自動化ルーチンにおいて、計算された粒子充填レベル17に基づき、予め定義された自動化ストラテジーに従って遠心分離サイクルを開始する。流動床遠心分離機3は、ローディング、洗浄および排出サイクルを含むそのような「遠心分離サイクル」において操作されている。
【0077】
例えば、計算された粒子充填レベル17に基づく上述の予め定義された自動化ストラテジーに従って、遠心分離機チャンバ5の測定された粒子充填レベル17が絶対最大粒子充填レベルに対応することを監視センサ装置11が検出した場合、電子プロセス制御装置7は、粒子破過を防止するために、洗浄サイクルおよび/または排出サイクルを開始する(
図3)。別の実施例によれば、遠心分離機チャンバ5の測定粒子充填レベル17が絶対ゼロ粒子充填レベルに対応する場合、電子プロセス制御装置7は、不要な待ち時間を防止するために、遠心分離ローディングサイクル8を開始する。
【0078】
別の特に好ましい実施形態では、
図1によれば、バイオプロセス設備2は、バイオ生産物を生産するための少なくとも1つの上流ユニット28を備えた培養セットアップ27、特にバイオリアクターを含む。一般に、灌流培養などの連続的な上流プロセスを使用する場合、上流ユニット28の細胞ブロスレベルは好ましくは静的であり、したがって、細胞および/または生産物を含有する連続的な液体流を流動床遠心分離機3に供給することができる。しかしながら、特に、連続的な上流プロセスが停止している場合、またはバッチもしくは流加プロセスなどの不連続的な上流プロセスが使用されている場合、上流ユニット28は、上流ユニット28の充填レベルセンサデータ30を生成するための少なくとも充填レベルセンサ29を含むことが好ましい。
【0079】
充填レベルセンサ29は、上流ユニット28内の細胞ブロス充填レベルを検出するように設定されている。それによって、上流ユニット28の採取は、充填レベルが予め定義された下限充填レベル閾値を下回ると、電子プロセス制御装置7によって自動的に終了することができる。充填レベルセンサ29は、静電容量センサ、光学センサ、気泡センサなどのような、細胞ブロスの存在を定性的および/または定量的に決定するための任意のセンサであり得る。
【0080】
図3によれば、情報検索31において、電子プロセス制御装置7は、充填レベルセンサ29によって生成された充填レベルセンサデータ30から、上流ユニット28の少なくともバイオマス状態32を検索する。それによって、バイオマス状態32は、処理対象の上流ユニット28に細胞ブロスがまだ存在するか否かを示す。その後、電子プロセス制御装置7は、導出されたバイオマス状態32に基づいて、監視ルーチン13、または洗浄サイクル9および/もしくは排出サイクル10を開始する。
【0081】
ここでは好ましくは、
図3に見られるように、情報検索31において、電子プロセス制御装置7は、上流ユニット28のバイオマス状態32を検索し、判定ポイント33に基づいて、細胞ブロスが完全に処理されているか、まだ処理されていないかを決定する。検索された情報に従って、細胞ブロスが完全に処理された場合(
図3の「はい」を参照)、電子プロセス制御装置7は、洗浄サイクル9および/または排出サイクル10を開始する。
【0082】
しかしながら、細胞ブロスがまだ完全に処理されていない場合(
図3の「いいえ」を参照)、電子プロセス制御装置7は監視ルーチン13に進む。
【0083】
追加的または代替的に、特に好ましい実施形態によれば、上流ユニット28は、上流ユニット28のバイオマスセンサデータを生成するためのバイオマスセンサを含む。バイオマスセンサは、静電容量センサ、光学センサなどのような、上流ユニット28のバイオマスの存在を定性的および/または定量的に決定するための任意のセンサである可能性がある。上流ユニット28の電子プロセス制御装置7によって情報検索31で検索されたバイオマス状態32が、細胞密度閾値などの予め定義されたバイオマス閾値に達した場合、電子プロセス制御装置7は、ローディングサイクル8を開始する。それによって、予め定義されたバイオマス下限閾値を超えると、上流ユニット28の採取を自動的に開始することができ、これは、細胞が好ましくは増殖状態に維持される流加または灌流プロセスにとって特に有利である。充填レベルセンサ29および/またはバイオマスセンサを採用するこの自動化アプローチは、提案された方法を非常に柔軟なものにする。
【0084】
好ましくは、公称最大粒子充填レベルが電子プロセス制御装置7に記憶される。この公称最大粒子充填レベルは、好ましくは、予め定義された上限オフセットだけ絶対最大粒子充填レベルを下回る。この上限オフセットは、全遠心分離機チャンバ容積の、好ましくは最大25%、さらに好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%、さらに好ましくは最大1%である。判定ポイント26では、自動化ストラテジーに従って、ローディングサイクル8中に公称最大粒子充填レベルに近づくと、ローディングサイクル8は終了され、好ましくは、電子プロセス制御装置7によって洗浄サイクル9または排出サイクル10が開始される。
【0085】
追加的または代替的に、公称ゼロ粒子充填レベルが電子プロセス制御装置7に記憶される。この公称ゼロ粒子充填レベルは、絶対ゼロ粒子充填レベルを予め定義された下限オフセットだけ上回る。この下限オフセットは、全遠心分離機チャンバ容積の、好ましくは最大25%、さらに好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%、さらに好ましくは最大1%である。判定ポイント26に基づき、自動化ストラテジーに従って、排出サイクル10中に公称ゼロ粒子充填レベルに近づくと、排出サイクル10は終了され、好ましくは、ローディングサイクル8が開始される。
【0086】
図1によって示されるように、バイオプロセス設備2は、少なくとも1つの下流ユニット35を備えた下流セットアップ34を含む。この下流セットアップ34は、好ましくは、濾過セットアップ、ウイルス不活性化セットアップ、クロマトグラフィーセットアップおよび/またはウイルス濾過セットアップの群のうちの少なくとも1つである。少なくとも1つの下流ユニット35は、好ましくは、精密濾過ユニット、限外濾過ユニット、捕捉クロマトグラフィーユニット、ウイルス不活性化ユニット、透析濾過ユニット、中間(精製)クロマトグラフィーユニット、ポリッシングクロマトグラフィーユニット、ウイルス濾過ユニットおよび/または滅菌濾過ユニットの群のうちの少なくとも1つである。
【0087】
適応ルーチンにおいて、電子プロセス制御装置7は、予め定義された適応ストラテジーに基づいて、画像関連データ14に従って下流セットアップ34の少なくとも1つのパラメータを適応させる。特に好ましい実施形態によれば、単に例として理解されるように、この少なくとも1つの個別に適応可能なパラメータは、好ましくは、クロマトグラフィーカラムのタイプの選択、必要なカラム容積、必要な流量、クロマトグラフィーカラムの必要な固定相および/またはフィルタのタイプの選択、必要なフィルタ孔径および/またはウイルス不活性化のためのpHの選択、ウイルス不活性化の持続時間などである。
【0088】
好ましいタイプのクロマトグラフィーカラムは、アフィニティークロマトグラフィー、特にProtein Aアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)または陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)などのイオン交換クロマトグラフィー(IEX)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、または任意の他のタイプのクロマトグラフィーである。さらに、これらのクロマトグラフィータイプは、軸流または半径流で操作することができる。少なくとも1つの下流ユニット35は、マルチカラム擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーのためにセットアップされた少なくとも1つのクロマトグラフィーカラム、好ましくは複数のクロマトグラフィーカラムを含む。
【0089】
別の好ましい実施形態によれば、分析ルーチンにおいて、不純物、好ましくは汚染生物の存在に帰属する不規則性状態が、光学画像15における予め定義された不規則性特徴に基づいて検出される。
【0090】
光学画像15における不規則性特徴は、液体内の特徴的な濁度と連動しており、これは、光学的なコントラストおよび/または粒子の凝集、粒子雲、色および/または明るさの変化などとして、カメラユニットによって容易に検出され得る。好ましくは、帰属する不規則性状態は「汚染」である。
【0091】
好ましくは、清澄化セットアップ1の少なくとも1つの構成要素、特に流動床遠心分離機3、遠心分離機チャンバ5、上流ユニット28および/または下流セットアップ34、さらに好ましくはバイオプロセス設備2のすべての構成要素は、使い捨て構成要素として設計されている。
【0092】
別の独立した教示によれば、上述の方法を実施するためのバイオプロセス設備2の清澄化セットアップ1が自体特許請求されているように、遠心分離による細胞ブロスの清澄化のための流動床遠心分離機3と、流動床遠心分離機3に割り当てられたポンピング装置4と、を備えている。流動床遠心分離機3は、幾何学的な遠心分離機軸線6を中心として回転させられている少なくとも1つの遠心分離機チャンバ5を含む。さらに、バイオプロセス設備2は、少なくとも流動床遠心分離機3およびポンピング装置4を制御するための電子プロセス制御装置7を含む。流動床遠心分離機3は、ローディングサイクル8および/または粒子洗浄サイクル9のために準方向操作され、粒子排出サイクル10のために逆方向操作されている。ここでは好ましくは、ローディングサイクル8中、遠心分離機チャンバ5にローディングされた細胞ブロスは、遠心分離機チャンバ5において、成長する粒子集積を形成するように進行する。清澄化セットアップ1は、電子プロセス制御装置7に送信される監視センサデータを生成するための少なくとも1つの光学センサ12を備えた監視センサ装置11を含む。先に述べたすべての説明を参照されたい。
【0093】
監視ルーチン13において、遠心分離機チャンバ内容物16の光学画像15を表す画像関連データ14が監視センサ装置11によって生成されており、電子プロセス制御装置7によって画像関連データ14から粒子充填レベル17が計算されることが非常に重要である。
【0094】
別の独立した教示によれば、上述の方法を実施するために、半透明材料で作られた遠心分離機チャンバ5を使用することが自体特許請求されている。先に述べたすべての説明を参照されたい。
【0095】
特許請求された方法を実施するためのバイオプロセス設備2の電子プロセス制御装置7も自体特許請求され得る。ここでも、先に述べたすべての説明を参照されたい。
【0096】
電子プロセス制御装置7は、少なくとも流動床遠心分離機3およびポンピング装置4を制御することによって、提案された方法を実施するように設計されていることが非常に重要である。
【0097】
好ましくは、電子プロセス制御装置7は、上流ユニット28、流動床遠心分離機3を備えた清澄化セットアップ1および/または下流ユニット35を備えた下流セットアップ34を制御することによって、提案された方法を実施するように設計されている。電子プロセス制御装置7は、バイオプロセス設備2のすべての構成要素または少なくとも大部分の構成要素を制御する中央ユニットとして実現することができる。電子プロセス制御装置7はまた、多数の分散型ユニットを含む分散型構造で実現することもできる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電子プロセス制御装置7は、1つ以上のバルブ35の開閉、直接もしくはモータを介したロータの回転速度および/またはバイオリアクターなどの上流ユニット28からの流体および/または粒子の流れ方向および/または速度を指示する。
【0098】
そのような電子プロセス制御装置7は、例えば、少なくとも1つのデジタル制御ユニット(DCU)および/または少なくとも1つのマルチ発酵槽制御システム(MFCS)を含み、これは、ローカルプロセッサユニットおよびローカルデータ記憶装置自体を含む。MFCSはまた、集中型プロセス管理システムを提供し、要求をデジタル制御ユニットに送る。追加的または代替的に、そのような電子プロセス制御装置7は、好ましくはコンピュータおよび/またはサーバーおよび/またはスマートフォンなどを含む。ここでは好ましくは、電子プロセス制御装置7は、個々に調整可能であり、かつ/またはプログラム可能であり、かつ/またはソフトウェアが実施され得る少なくとも1つのマイクロプロセッサを含む。先に述べたすべての説明は、この教示に完全に適用可能である。
【0099】
好ましくは、電子プロセス制御装置7は、上述の方法を実現するためのデータ処理システムを含み、好ましくは、ローカルデータ記憶装置およびローカルプロセッサユニットを含む。
【0100】
最後に、独立した教示は、電子プロセス制御装置7のためのコンピュータプログラム製品およびコンピュータプログラム製品が、好ましくは不揮発性で格納される、コンピュータ可読記憶媒体を対象とすることができる。
【国際調査報告】