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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】床敷物
(51)【国際特許分類】
   A47G 27/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A47G27/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541795
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 US2022035299
(87)【国際公開番号】W WO2023136857
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】17/573,811
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515156290
【氏名又は名称】ヒギンス リサーチ アンド ディベロップメント,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HIGGINS RESEARCH & DEVELOPMENT, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ケネス ビー.
【テーマコード(参考)】
3B120
【Fターム(参考)】
3B120DB02
3B120EB19
(57)【要約】
タフティング加工された基布と補強用バッキングシステムを含む床敷物を作る方法。強化繊維層が糸のステッチの端部に配置される。複数のアプリケータが、任意選択で一次バッキング基材へ向けて接着剤が強化繊維層の中へ押し込まれるように連結され、また略同時に接着剤は複数のアプリケータの間に接着剤だまりを形成するように送られ、略同時に接着剤だまりの一部が強化繊維層の上に接着剤による層として塗布される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床敷物の製造方法であって、
第1方向に延びる、表面および前記表面の反対側である裏面を有する一次バッキング基材を有するタフティング加工された基布と、前記一次バッキング基材を貫いてタフティング加工された複数の糸であって、前記糸のそれぞれの一部が前記一次バッキング基材の前記裏面に配置される端部を有するステッチ部分を形成する糸と、前記ステッチ部分の間に存在する空間と、を含む構成要素から成るグループから前記床敷物を製造するステップと、
前記ステッチ部分の前記端部の上に強化繊維層を形成して、前記強化繊維層を前記第1方向へ移動させるステップと、
前記強化繊維層の方へ移動可能な第1アプリケータを前記強化繊維層の方へ移動可能な第2アプリケータに動作可能に連結し、接着剤だまりのためのハウジングを形成して、前記接着剤だまりの形成を可能とするため前記第1アプリケータに通路を形成するステップと、
前記第1アプリケータを用いて制御された圧力を加え、略同時に前記ハウジング内に前記接着剤だまりを形成するための前記通路を用いて接着剤を前記一次バッキング基材の前記裏面の上の前記ステッチ部分の中およびその間へ押し込むと共に略同時に前記第2アプリケータを用いて前記強化繊維層の上に前記接着剤から成るカバー層を形成するステップと、
を含む、床敷物の製造方法。
【請求項2】
前記接着剤を圧迫し、同時に前記一次バッキング基材の方へ前記強化繊維層を移動させるステップをさらに含む、請求項1に記載の床敷物の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤を圧迫する前に前記接着剤を乾燥させて、前記接着剤に硬さを与えるステップをさらに含む、請求項2に記載の床敷物の製造方法。
【請求項4】
床敷物の製造方法であって、
第1方向に動かされる、表面および前記表面の反対側である裏面を有する一次バッキング基材を有するタフティング加工された基布と、前記一次バッキング基材を貫いてタフティング加工された複数の糸であって、前記糸のそれぞれの一部が前記一次バッキング基材の前記裏面に配置される端部を有するステッチ部分を形成する糸と、前記ステッチ部分の間に存在する空間と、を含む構成要素から成るグループから前記床敷物を製造するステップと、
前記ステッチ部分の前記端部の上に強化繊維層を形成して、前記強化繊維層を前記第1方向へ移動させるステップと、
前記強化繊維層の方へ移動可能な第1アプリケータを前記強化繊維層の方へ移動可能な第2アプリケータに動作可能に連結し、接着剤だまりのためのハウジングを形成して、接着剤が前記第1アプリケータを通って前記第1アプリケータと前記第2アプリケータの間に前記接着剤だまりを形成するのを可能とするための通路を形成するステップと、
前記第1アプリケータを前記強化繊維層の上に浮かせ、前記第1アプリケータを用いて制御された圧力を加えて前記接着剤を前記ステッチ部分の中およびその間へ押し込み、前記第1アプリケータと前記第2アプリケータの間の隙間を維持し、略同時に前記ハウジング内に前記接着剤だまりを形成するための前記通路を用いて、前記第2アプリケータを用いて略同時に前記強化繊維層の上に前記接着剤から成るカバー層を形成するステップと、
を含む、床敷物の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤を圧迫して、前記一次バッキング基材の方へ前記強化繊維層を移動させるステップをさらに含む、請求項4に記載の床敷物の製造方法。
【請求項6】
前記強化繊維を分配して配置し、パターン付けされた強化繊維層を形成するステップをさらに含む、請求項4に記載の床敷物の製造方法。
【請求項7】
前記接着剤を圧迫する前に前記接着剤を乾燥させて、前記接着剤に硬さを与えるステップをさらに含む、請求項5に記載の床敷物の製造方法。
【請求項8】
床敷物の製造方法であって、
表面および前記表面の反対側である裏面を有する一次バッキング基材を有し、前記一次バッキング基材を第1方向に移動させる、タフティング加工された基布と、前記一次バッキング基材を貫いてタフティング加工された複数の糸であって、前記糸のそれぞれの一部が前記一次バッキング基材の前記裏面に配置される端部を有するステッチ部分を形成する糸と、前記ステッチ部分の間に存在する空間と、を含む構成要素から成るグループから前記床敷物を製造するステップと、
接着剤の中に複数の空隙を形成するステップと、
前記ステッチ部分の前記端部の上に強化繊維層を形成して、前記強化繊維をパターン付けされた強化繊維層を形成するように配置し、前記パターン付けされた強化繊維層を前記第1方向へ移動させるステップと、
前記強化繊維層から離間されている端部を有する第1アプリケータを前記強化繊維層から離間されている端部を有する第2アプリケータへ動作可能なように連結し、前記接着剤のたまりのためのハウジングを形成し、前記第1アプリケータおよび前記第2アプリケータの端部と前記強化繊維層の間に隙間を形成し、前記第1アプリケータは前記接着剤が前記第1アプリケータと前記第2アプリケータの間に前記接着剤だまりを形成するために前記第1アプリケータを越えて移動するのを可能とする通路を提供する、ステップと、
前記第1アプリケータを前記強化繊維層の上に浮かせ、前記第1アプリケータを用いて制御された圧力を加えて前記接着剤を前記ステッチ部分の中およびその間へ押し込み、前記第1アプリケータと前記第2アプリケータの間の前記隙間を維持し、略同時に前記接着剤が前記第1アプリケータを通って前記接着剤だまりを形成するのを可能とするための前記通路を用いて、前記第2アプリケータを用いて略同時に前記強化繊維層の上に前記接着剤から成るカバー層を形成するステップと、
前記接着剤の中の前記複数の空隙を除去することなく前記接着剤の層を硬化させるステップと、
前記接着剤の層を圧迫すると同時に前記接着剤の中の前記複数の空隙をつぶし、前記強化繊維層を前記一次バッキング基材の方へ移動させるステップと、
を含む、床敷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広幅織りカーペットやモジュール式カーペットタイルなどの織物床敷物の分野を対象とする。より詳細には、本明細書で提供される1つまたは複数の態様によれば、本開示はタフティング加工された基布および補強用バッキングシステムを含む床敷物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
タフティング設備の出現により、床敷物は織物カーペットから今日使用されているタフティング加工されたカーペットへと時間とともに進化した。機械式タフティングは、ミシンと同様に、一本の針を使って始まった。針が一次バッキング基材を貫いて糸を運び、これにより一次バッキング基材に隣接した裏面にステッチ(縫い目)が作られる。表面では、ルーパーが糸を一次バッキング基材の上の特定の高さで保持することで、カーペットのパイルが形成される。タフティング加工された糸および一次バッキング基材は、まとめて、タフティング加工された基布と呼ばれる。
【0003】
単一針の構成は並んで動作する多数の針へと進化し、タフティング加工されたカーペットは現在このようにして作られる。16フィートのタフティング幅がこの設備では可能であり、カーペットがこの幅で販売される場合は、業界では「広幅織り」カーペットと呼ばれる。この種のカーペットは今日の居住用住宅および商業ビルでは好ましい床仕上げ材である。
【0004】
「モジュール式」のカーペット製品(カーペットタイル)は、広幅織りカーペット製品で直面する問題のいくつかに対処するために導入された。設備の個々のタイルは汚れたり摩耗した場合に取り外して交換することができるため、モジュール式カーペットは、広幅織りカーペットでは非実用的であるオフィス、空港、および他の人通りの多い場所などの用途で有益であった。
【0005】
広幅織りカーペットおよびタイルカーペットの設計は、いずれも安定性および製造コストの問題に直面してきた。たとえば、通常の広幅織りカーペットの設計では、望ましくない伸びを引き起こす「クリープ」を起こす可能性がある。重いバッキング層を有するモジュール式タイルは堅く、製造コストが高い。結果として、モジュール式タイルはお椀状の形になったり丸まったりする可能性がある。モジュール式タイルおよび広幅織りカーペットの他の課題は、厚さおよび重さの変動に関連する問題のために生じる。床敷物の製造業者は、多数のバッキング層および/またはあらかじめ成形された補強層を加工して基布へ付着させることに関連する、多大な材料費および製造費を有する。
【0006】
本明細書に記載される発明は主に米国特許第10920354号に関連し、また本発明は「‘354特許」の“Background”部分で参照される特許にも関連する。本願は、補強用バッキングシステムを有するカーペットの製造に関連する方法を開示し、この方法への権利を請求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カーペット業界では、カーペットの機械方向が寸法安定性の問題に最も大きく寄与することが知られている。「機械方向」は、糸がタフティング加工される方向であると考えられる。機械方向に連続した一連のループを形成する糸は、特に熱および/または水分にさらされた場合に、本質的に不安定である。さらに、床敷物の一次バッキング基材は、機械方向により大きく収縮しやすい。したがって、機械方向はほとんどの場合、床敷物がより不安定となる方向である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、繊維強化されたバッキングシステムを有する床敷物を含む。床敷物は、広幅織り製品、または任意の様々なモジュール式製品で使用されることがある。製造方法およびその結果生まれる製品には、一次バッキング基材および一次バッキング基材を貫いてタフティング加工される複数の糸を有する、タフティング加工された基布が含まれる。一次バッキング基材は表面と表面の反対側である裏面とを含み、それぞれの糸の一部は一次バッキング基材の裏面に配置されるステッチを形成する。
【0009】
製造工程は、接着剤を調整して接着剤の中に複数の空隙を形成することを含む。調整後に接着剤は第1アプリケータの方へ送られ、第1アプリケータは制御された方法で圧力を加えて一次バッキング基材の裏面に対して接着剤を押し付ける。接着剤は、一次バッキング基材の裏面に配置されるステッチの中およびステッチの間へ押し込まれる。接着剤の動きは第1アプリケータ、および一次バッキング基材の表面に適用される真空により制御される。
【0010】
調整された接着剤を塗布する前に、離間された強化繊維の束が選択的に切断されて、所望の長さを有する複数の別々の強化繊維を形成する。切断された強化繊維は分配され、糸のステッチが機械方向へ移動するにつれて、糸のステッチの端部で所望のパターンとなるよう配置される。強化繊維を分配して配置することで、糸のステッチの端部の上にパターン付けされた強化繊維層が形成される。
【0011】
パターン付けされた強化繊維層が糸のステッチの端部の上に形成された後に、接着剤が第1アプリケータに向けて塗布される。好ましい実施形態では、第1アプリケータが一次バッキング基材の裏面に対して接着剤を押し付けている間に、接着剤が第1アプリケータを通過する。第2アプリケータは、パターン付けされた強化繊維層を覆うように接着剤を押し付ける。第1アプリケータと第2アプリケータは離間され、動作可能なように連結されている。また、第1アプリケータと第2アプリケータは、第1アプリケータを通り抜ける接着剤で形成される接着剤だまりのための空間およびハウジングを形成する。
【0012】
パターン付けされた強化繊維層が糸のステッチの端部の上に配置された後に、3つのステップが略同時に行われる。第1ステップは、接着剤を一次バッキング基材の裏面に対して押し付けてパターン付けされた強化繊維層の中へ押し込むことである。第2ステップは、接着剤を押し付けて第1アプリケータと第2アプリケータの間の空間に接着剤だまりを形成することである。第3ステップは、第2アプリケータを用いて、パターン付けされた強化繊維層の上に接着剤から成るカバー層を形成することであり、接着剤から成るカバー層のための接着剤は第1アプリケータと第2アプリケータの間の接着剤だまりからもたらされる。
【0013】
結果として生じる接着剤と強化繊維の混合物は、炉の中を通して乾燥、調整、または硬化させることができる。炉によりもたらされる乾燥、調整、または硬化は、接着剤の中の複数の空隙を除去することはなく、混合物を乾燥させることは接着剤に硬さをもたらすのを助ける。
【0014】
炉の中を通した後、エンボス加工機が接着剤と強化繊維の混合物に制御された方法で圧力を加える。混合物はエンボス加工機により圧迫されて、糸のステッチの端部が平坦化される。エンボス加工機によりもたらされる圧迫により、接着剤がつぶされる。接着剤をつぶすことで、接着剤の中の複数の空隙により占められている体積が除去される。これにより、より薄くて比較的硬い構造物が形成される。また、強化繊維は、エンボス加工機により動かされて糸のステッチの平坦化された端面に係合および付着すると同時に、一次バッキング基材により近い最終位置へと動かされる。
【0015】
本発明のこれらの特徴および利益、ならびに他の特徴および利益は、以下の説明および添付の請求項を参照することでより良く理解されるであろう。本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態を示しており、記載される説明と共に、本発明の方法および製品の原理を説明する。
本方法、およびその結果生まれる製品の、その最良の態様を含む完全で実施を可能とする開示は、当業者を対象として本明細書に記載され、本明細書は添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】繊維および接着性補強用バッキングをタフティング加工された基布へ付着させるための設備の配置の概略図である。
図2】本発明を示す、繊維および接着性補強用バッキングをタフティング加工された基布へ付着させるための設備の配置の拡大された概略図である。
図3】第1アプリケータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで本発明の方法および設備の実施形態について参照すると、実施形態の1つまたは複数の例が図面に示されている。それぞれの例は本発明を説明する目的のため提供されており、本発明の制限として提供されているわけではない。本発明の範囲または趣旨を逸脱することなく、本発明において様々な改良および変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は添付の請求項およびその均等物の範囲に含まれるそのような改良及および変更を網羅することが意図されている。
【0018】
図1は、接着剤および強化繊維をタフティング加工された基布へ付着させて補強用バッキングシステムを形成するための、本発明に係る配置の概略図である。床敷物は、一次バッキング基材22を貫いてタフティング加工された糸で作られた、タフティング加工された基布10を含む。知られているように、一次バッキング基材22は表面および表面の反対側である裏面を有する。糸は一次バッキング基材22の裏面にステッチ12を形成し、各糸の間には隙間の空間が存在する。
【0019】
本明細書で開示される製造工程は、接着剤14を調整して接着剤14の中に複数の空隙16を形成することにより始まる。好ましい実施形態では、接着剤14は熱可塑性接着剤である。接着剤14は、熱にさらされる、または圧迫された場合に可鍛性があって修正可能な特性を有することが好ましい。また、接着剤14は、後でさらに説明されるように製造工程で助けとなるように水性であることが好ましい。たとえば、製造工程の間に接着剤14を希望通りに圧迫できるようにするため、水性接着剤14へ空気を注入して気泡の形の複数の空隙を作り出すことが可能である。
【0020】
接着剤14を調整して複数の空隙16を作った後に、第1アプリケータ18により接着剤14を制御された方法で係合して、一次バッキング基材22の裏面に対して接着剤14を押し付けることができる。接着剤14はステッチ12の中へ押し込まれ、またステッチ12の間の空間へ押し込まれる。接着剤14の動きは一次バッキング基材22の表面に適用される真空20によりさらに制御される。アプリケータ18および真空20により所望の厚さの、機械方向へ移動可能な接着剤14の層が形成される。
【0021】
図1を参照すると、強化繊維28の1つまたは複数の束24が、移動しているステッチ12および移動している一次バッキング基材22に対して配置される。切断機構26が繊維の束24を切断し、複数の別々の強化繊維28にする。各強化繊維28は所望の長さに切断される。切断された強化繊維28は、分散配置装置30により分配されて所望のパターンに配置される。
【0022】
強化繊維28に対する分散配置装置30は、図1図2に概略的に示されている。束24から切断された後に、切断された強化繊維28は機械方向の構成に配置される。図1図2は、強化繊維28が束24から切断された後にステッチ12の端部の上に略機械方向に配置された強化繊維28の一例を示す。
【0023】
まず強化繊維28が略機械方向となっている構成に配置された後、分散配置装置30が使用されて、切断された強化繊維28が所望のパターンに配置される。たとえば、所望のパターンには強化繊維28の機械方向への配置、および機械方向に対して様々な他の角度での強化繊維の配置が含まれうる。さらに、強化繊維28は、強化繊維28を曲げる、または丸めて、曲げられた、または丸められた繊維28が2つ以上の方向に延びるのに充分な長さを有する。
【0024】
強化繊維28および接着剤14から成る補強用バッキングは、炉38の中を通して乾燥、調整、または硬化させることができる。炉38によりもたらされる乾燥、調整、または硬化が接着剤14の中の複数の空隙16を除去しないことは意図されている。炉38によりもたらされる乾燥処理は水を除去し、接着剤に望ましい硬さを与える。好ましい接着剤は、たとえば空気の細孔を含む水性で熱可塑性であるので、可鍛性を維持して修正可能なままとしたままで接着剤から水を除去して、いくらかの硬さを与えるために接着剤を乾燥させるのが望ましい。
【0025】
図1および図2に示されるように、炉38の中を通した後に、第3アプリケータ40が強化繊維28および接着剤14から成る補強用バッキングに対して制御された方法で圧力を加える。第3アプリケータ40は、接着剤14および強化繊維28を(44において示されるように)圧迫してステッチ12の端部を(42において示されるように)平坦化する、エンボス加工機とすることができる。
【0026】
第3アプリケータ40によりもたらされる圧迫で、44において示されるように乾燥した接着剤14の比較的硬い層がつぶされる。圧迫してつぶす動作により、接着剤14の層の中の複数の空隙16により占められている体積が小さくなる。これにより、圧迫されてつぶされた接着剤14および強化繊維28から成る、より薄く比較的硬い構造物44が形成される。また、これと同時に結果として生じる強化繊維28と接着剤14の層44は第3アプリケータ40により動かされて糸のステッチ12の平坦化された端面42に係合および付着する。さらに、図1および図2に示されるように、強化繊維28および接着剤14の層44は一次バッキング基材22により近い、または係合する最終位置へと動かされる。
【0027】
図1および図2は、接着剤14を一次バッキング基材22に対して押し付けて略同時に強化繊維28を接着剤14で覆う、本発明の塗布アセンブリ50を示す。開示される実施形態では、塗布アセンブリ50は第1アプリケータ18と第2アプリケータ36を支持するために52に取り付けられており、その結果、一次バッキング基材22から離間している。さらに、第1アプリケータ18および第2アプリケータ36は、図1および図2に概略的に示され、後でより詳細に説明されるように、動作可能なように互いに連結されている。
【0028】
アプリケータ18は、一次バッキング基材22へ向けて、また離れるように、選択的に移動可能である。アプリケータ18は釣り合い重り53を備え、アプリケータ18をより重くすることでアプリケータ18は一次バッキング基材22の方へ移動可能となり、より軽量な釣り合い重り53によりアプリケータ18の端部を強化繊維28の層の上、または近くに浮かせることが可能となる。アプリケータ18が選択的にその動作位置に配置される場合、アプリケータ18の端部は典型的には強化繊維28と係合するよう配置される。
【0029】
前述したように、切断された強化繊維28は、最初は移動している糸のステッチ12の端部の上に分散される。強化繊維28は成形する、またはパターン付けすることで強化繊維28の層となる。調整された接着剤14がアプリケータ18の一方の側に塗布され、アプリケータ18は、制御された圧力を加えて接着剤14をステッチ12の中へ押し込むと共に、接着剤14をステッチ12の間の空間へ押し込む。
【0030】
ここで図2および図3を参照すると、第1アプリケータ18は、アプリケータ18の一方の側から反対側へと接着剤14が通り抜けることができるように、少なくとも1つの開口または通路を備える。接着剤14は少なくとも1つの開口を通り抜けて、略同時にアプリケータ18とアプリケータ36の間に接着剤だまりを形成する。また、形成される接着剤だまりは、略同時に強化繊維28を図2に示されるように覆うように塗布される。
【0031】
図3は、異なる向きおよび大きさの開口54および56を有する、湾曲した第1アプリケータ18を示す。これらの開口の形状、大きさ、および位置は、前述したように、接着剤14がアプリケータ18を通り抜けて強化繊維28を覆うのに用いられる接着剤だまりを形成するのを可能とする方法の例に過ぎない。
【0032】
図1および図2で説明され示されたように、第1アプリケータ18および第2アプリケータ36は、動作可能なように組み立てられ、連結され、制御されて、略同時に以下を行う:(a)接着剤14の一部を一次バッキング基材22の裏面に対して押し付けて強化繊維28の層を通す、(b)接着剤14の一部を押し付けて第1アプリケータ18の中の通路を通し、第1アプリケータ18と第2アプリケータ36の間の空間に接着剤14のたまりを形成する、(c)第2アプリケータ36を用いて、強化繊維28の層の上に接着剤14から成るカバー層を形成する。
【0033】
第1アプリケータ18の端部は、最初は強化繊維28の層に係合する、または近くの好ましい位置へ配置することができる。第2アプリケータ36は、第2アプリケータ36の端部と強化繊維28の間の距離よりも第1アプリケータ18の端部が強化繊維28に近くなるように配置される。つまり、第1アプリケータ18の端部と第2アプリケータ36の端部の間に隙間が形成される。さらに、アプリケータ18とアプリケータ36の表面は、第1アプリケータ18の通路開口を通って流れる接着剤14のたまりのためのハウジングを作り出す。
【0034】
アプリケータ18の端部とアプリケータ36の端部の間の隙間、アプリケータ18を貫通する開口または通路、および動作可能なように連結されたアプリケータ18とアプリケータ36の間にハウジングを作成すること、を組み合わせることで、接着剤14を一次バッキング基材22に対して押し付けて強化繊維28を通すと共に略同時に強化繊維28の上に接着性カバーを形成することが可能となる。
【0035】
さらに、アプリケータ18の先端は強化繊維14の上、たとえば上下に浮くことが可能であるため、かつ第1アプリケータ18の端部と第2アプリケータ36の端部の間の隙間は設定された後は固定される、または変化しないために、第1アプリケータ18と第2アプリケータ36の間のあらかじめ設定された隙間を同じままで維持するようにこれらのアプリケータが動作可能なように連結されている結果として、第1アプリケータ18による一次バッキング基材22へ向けた、または離れる任意の動作は、自動的に第2アプリケータ36の端部による同様の動作へ移行される。
【0036】
前述したように、接着剤14のたまりが動作可能なように連結されたアプリケータ18とアプリケータ36の間に形成される。形成された接着剤14のたまりの大きさ、形状、または体積は、アプリケータ18を貫通する通路の位置、アプリケータ18とアプリケータ36の間の隙間の距離、一次バッキング基材22の移動の速度を含む要因に応じて選択的に変動する。接着剤14のたまりは、アプリケータ36が接着剤14を糸のステッチ12の間の隙間の空間へ押し込むのと略同時に、強化繊維28の上に所望のカバーを形成するのに必要とされる接着剤14の必要量を与えるように制御される。
【0037】
本発明は、本発明の趣旨および本質的な特性から逸脱することなく他の形態で具現化することが可能であり、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、上述の明細書だけではなく、添付の請求項も参照されるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】