IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アウトセット・メディカル・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】透析システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61M1/16 161
A61M1/16 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541801
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 US2023060575
(87)【国際公開番号】W WO2023137392
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,916
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516325121
【氏名又は名称】アウトセット・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OUTSET MEDICAL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】フー,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】キム,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,スティーブン・エム
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC08
4C077GG09
4C077JJ02
(57)【要約】
いくつかの特徴を含み得る透析システムおよび方法が説明される。説明される本透析システムは、自宅にいながらにして患者に透析療法を提供することであり得る。本透析システムは、透析液溶液を作成するために使用される浄水を水道水供給源からリアルタイムで調製するように構成され得る。説明される本透析システムはまた、患者が自己投与療法を行うのを容易にする特徴を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析システムであって、
患者に透析療法を提供するように構成される透析コンソールと、
前記透析コンソールと界面を接するように構成されるモジュール式プラットフォームであって、前記モジュール式プラットフォームは、前記透析コンソールへの流体および/または電力接続を含み、前記モジュール式プラットフォームは、ろ過および/または流体能力を前記透析コンソールに追加するように構成される1つまたは複数のモジュール式構成要素を受容するようにさらに構成される、モジュール式プラットフォームと、
を備える、透析システム。
【請求項2】
前記透析コンソールは、前記モジュール式プラットフォームの上に載るように構成される、請求項1に記載の透析システム。
【請求項3】
前記モジュール式プラットフォームは、複数のホイールをさらに備える、請求項1に記載の透析システム。
【請求項4】
前記モジュール式プラットフォームは、前記1つまたは複数のモジュール式構成要素を受容するように構成される1つまたは複数のスロットを含む、請求項1に記載の透析システム。
【請求項5】
前記モジュール式プラットフォームは、前記1つまたは複数のモジュール式構成要素の対応する電気接続と嵌合するように構成される電気接続を含む、請求項1に記載の透析システム。
【請求項6】
前記電気接続は、前記ホイール付きプラットフォームに対して内部にある、請求項1に記載の透析システム。
【請求項7】
前記電気接続は、前記モジュール式プラットフォームまたは透析コンソールの外側にある、請求項1に記載の透析システム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のモジュール式構成要素は、前記1つまたは複数のモジュール式構成要素を前記スロット内へ挿入し、前記1つまたは複数のモジュール式構成要素を予め設定された角度だけ回転させることによって、前記1つまたは複数のスロット内で電気的および流体的に結合されるように構成される、請求項4に記載の透析システム。
【請求項9】
前記予め設定された角度は、最大90度まで含む、請求項8に記載の透析システム。
【請求項10】
前記予め設定された角度は、最大45度まで含む、請求項8に記載の透析システム。
【請求項11】
前記予め設定された角度は、1~360度を含む、請求項8に記載の透析システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のモジュール式構成要素は、外側ハンドルを含む、請求項1に記載の透析システム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のモジュール式構成要素は、第1のろ過構成要素および第2のろ過構成要素を含む、請求項1に記載の透析システム。
【請求項14】
前記第1のろ過構成要素は、フィルタを備え、前記第2のろ過構成要素は、ポンプを備える、請求項13に記載の透析システム。
【請求項15】
前記第1のろ過構成要素は、第1のフィルタを備え、前記第2のろ過構成要素は、第2のフィルタを備える、請求項13に記載の透析システム。
【請求項16】
前記フィルタ、第1のフィルタ、または第2のフィルタは、堆積物フィルタ、炭素フィルタ、逆浸透フィルタ、または限外ろ過装置を備える、請求項14または15に記載の透析システム。
【請求項17】
前記1つまたは複数のモジュール式構成要素は、入ってくる水を複数のストリームに向けるように構成されるマニホールドを含む、請求項13に記載の透析システム。
【請求項18】
前記モジュール式プラットフォームは、水道水の供給源に結合されるように構成される流体入口ライン、および前記透析コンソールの流体入口ラインに結合されるように構成される流体出口ラインを備える、請求項1に記載の透析システム。
【請求項19】
前記透析コンソールは、排水管に結合されるように構成される流体出口ラインをさらに備える、請求項18に記載の透析システム。
【請求項20】
前記透析コンソールは、前記モジュール式プラットフォームの排水管流入ラインに結合されるように構成される流体出口ラインをさらに備える、請求項18に記載の透析システム。
【請求項21】
流体源から、透析システムとは別個であるがこれに流体的に結合されるモジュール式プラットフォーム内への流体の流れを受容するステップと、
前記モジュール式プラットフォーム内で前記流体をフィルタにより浄化するステップと、
前記モジュール式プラットフォーム内で前記流体をポンプにより前記モジュール式プラットフォームから前記透析システムへ圧送するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2022年1月12日出願の米国仮出願第63/298,916号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
参照による組み込み
[0002]本明細書に記載されるすべての刊行物および特許出願は、各々個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的および個々に示されたかのようにそれと同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本開示は、概して、透析システムに関する。より詳細には、本開示は、透析治療中にリアルタイムで透析液を作成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0004]現在、米国内には末期腎疾患を患う患者が何十万人も存在する。それらの患者の大半は、生きるために透析を必要とする。多くの患者は、透析センターで透析治療を受けるが、それは、患者に対して過酷で制限的で疲れるスケジュールを課し得る。センター内透析を受ける患者は、典型的には、少なくとも週に3回センターへ通って、毒素および過剰な流体が血液からろ過される間、毎回3~4時間にわたって椅子に座らなければならない。治療後、患者は、針部位が止血し、血圧が正常に戻るまで待たなければならず、これは、患者の日常生活における他のより充実した活動からさらに多くの時間を奪うことを必要とする。さらには、典型的なセンターは、一日を通して3~5シフトの患者を治療するため、センター内患者は、融通の利かないスケジュールに従わなければならない。その結果、週に3回透析をする多くの人々は、セッション後の少なくとも数時間は疲労感を訴える。
【0004】
[0005]市場の多くの透析システムは、透析療法の前、最中、および後に、技師からの著しい入力および注意を必要とする。療法前、技師は、多くの場合、患者血液チューブセットを透析システム上へ手動で設置し、そのチューブセットを患者および透析器に接続し、チューブセットを手動でプライミングして療法前にチューブセットから空気を除去することが求められる。療法中、技師は、典型的には、静脈圧および流体レベルを監視し、患者に生理食塩水および/またはヘパリンのボーラスを投与することが求められる。療法後、技師は、多くの場合、チューブセット内の血液を患者に戻し、透析システムを排水することが求められる。大半の透析システムの非効率性およびプロセスにおけるかなりの技師関与の必要性は、患者が大型治療センターから離れて透析療法を受けることをさらに困難にする。
【0005】
[0006]センター内透析の過酷な性質を考え、多くの患者は、選択肢として在宅透析へと踏み切った。在宅透析は、患者が治療時間を、通勤または家族の世話などの他の活動に合うように選択することを可能にするため、スケジューリングの柔軟性を患者に提供する。残念ながら、現在の透析システムは、概して、患者の自宅での使用には適していない。これの1つの理由は、現在のシステムがあまりに大きく嵩張るために一般的な家には納まらないことである。現在の透析システムはまた、適切な使用のために大量の水を加熱するために大量のエネルギーを使用するという点においてエネルギー効率が悪い。一部の在宅透析システムは利用可能ではあるが、それらは、概して、設定および使用が難しい。その結果、慢性患者のための大半の透析治療は、透析センターで実施される。
【0006】
[0007]血液透析はまた、入院している現在の透析患者、または急性腎傷害を患う患者のいずれかのために、急性期病院環境において実施される。これらの治療環境、典型的には病室において、透析液を作成するのに十分な純度の水は、容易に手に入らない。したがって、急性期環境における血液透析装置は、大量の予め混合された透析液に依拠し、これらは典型的には、大きなバッグで提供され、職員が取り扱うには厄介である。代替的に、血液透析装置は、携帯型RO(逆浸透)装置、または他の同様の浄水デバイスに接続され得る。これは、管理、輸送、および殺菌されなければならない別の独立した設備をもたらす。
【0007】
[0008]透析装置は、病室、専用クリニック、および患者の自宅を含む、様々な環境で使用される。在宅またはクリニック環境など、いくつかの環境においては、最小の可動性要件が必要とされる。病室などの他の環境においては、可動性は非常に重要であり得る。装置は、長距離、廊下、またはさらに建物から建物へ続く外表面を輸送される必要があり得る。追加的に、病室内では、空間は重視され、高い操縦性、例えば、独自の軸の周りを回転する能力が望ましい。しかしながら、1つの環境のために最適化される可動性ソリューションは、他の環境においては、サイズ、設置面積、または費用の理由からうまく機能しない場合がある。したがって、単一の透析装置が可動性ソリューションの選択肢を有し得る、好ましくは、モジュール式可動性ソリューションの設置が最小限の負担である、モジュール式手法が必要とされる。
【0008】
[0009]事前構成した透析装置は、逆浸透システムなどの搭載型浄水ハードウェアを有するものである。これらのシステムは、多くの場合、透析液を作成するために後で使用される水を浄化する堆積物、炭素、および限外ろ過装置などのいくつかの水フィルタを有する。入ってくる水の品質は、これらのフィルタの多くの寿命に著しい影響を有する。堆積物含量、塩素/クロラミン濃度、硬度、pH、アルカリ度、および温度などの因子が、フィルタの寿命を短くし得、および/またはろ過された後の水の品質に影響を及ぼし得る。入ってくる水の非常に多様な性質に起因して、水を処理するための異なる選択肢が所望される。幅広い範囲の入力変数を取り扱うことができる単一の水処理システムを生産することが考えられ得るが、そうすることは、サイズ、重量、費用、または保守の観点から手が出せない場合がある。したがって、浄水のためのモジュール式手法、および好ましくは、フィルタの交換などの保守が最小限の負担であるものが必要とされている。
【0009】
[0010]透析装置の可動性は、歴史的には、キャスタにより提供されてきた。典型的には、これらのキャスタは、動きが所望されないときに装置にブレーキをかけて動きを防ぐためにロックされ得る。4つすべてのキャスタがそれらの軸の周りを回転することが許される場合、装置は、狭い空間内で高い操縦性を有する。しかしながら、長距離を移動するとき、装置は、その軸の周りを回転する傾向を有し得、制御が困難であり得る。キャスタがその弧に沿って回ることを可能にする必要性は、大きな間隙、またはホイールウェルを作成する必要性も必要とし、このことが装置のサイズを最小限にする能力を制限する。キャスタのうちの少なくとも1つを回転しないように固定することは、狭い場所での操縦性を犠牲にして制御問題を改善し得る。一部のキャスタは、それらを自由回転から固定へと切り替えることを可能にする「方向ロック」機能を有する。
【0010】
[0011]水処理カートは、透析装置の携帯型浄水を提供するために、当該技術分野において知られている。これらは、非常に嵩張り、操縦が困難である傾向がある。それらがサーブする透析装置は、典型的には、独自の搭載水ろ過を有さないため、水処理カートは、典型的には、すべての水ろ過機能を実施する。水接続を必要とする事前構成した透析装置の場合、補足的な水処理のみが必要であり、これがより小さい形状因子を可能にし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0012]患者に透析療法を提供するように構成される透析コンソールと、透析コンソールと界面を接するように構成されるモジュール式プラットフォームであって、モジュール式プラットフォームは、透析コンソールへの流体および/または電力接続を含み、モジュール式プラットフォームは、ろ過および/または流体能力を透析コンソールに追加するように構成される1つまたは複数のモジュール式構成要素を受容するようにさらに構成される、モジュール式プラットフォームとを備える、透析システムが提供される。
【0012】
[0013]いくつかの実施形態において、透析コンソールは、モジュール式プラットフォームの上に載るように構成される。
[0014]いくつかの例において、モジュール式プラットフォームは、複数のホイールをさらに備える。
【0013】
[0015]1つの実施形態において、モジュール式プラットフォームは、1つまたは複数のモジュール式構成要素を受容するように構成される1つまたは複数のスロットを含む。
[0016]いくつかの例において、モジュール式プラットフォームは、1つまたは複数のモジュール式構成要素の対応する電気接続と嵌合するように構成される電気接続を含む。
【0014】
[0017]いくつかの実施形態において、電気接続は、ホイール付きプラットフォームに対して内部にある。
[0018]1つの例において、電気接続は、モジュール式プラットフォームまたは透析コンソールの外側にある。
【0015】
[0019]いくつかの例において、1つまたは複数のモジュール式構成要素は、1つまたは複数のモジュール式構成要素をスロット内へ挿入し、1つまたは複数のモジュール式構成要素を予め設定された角度だけ回転させることによって、1つまたは複数のスロット内で電気的および流体的に結合されるように構成される。1つの実施形態において、予め設定された角度は、最大90度まで含む。他の実施形態において、予め設定された角度は、最大45度まで含む。いくつかの例において、予め設定された角度は、1~360度を含む。
【0016】
[0020]いくつかの実施形態において、1つまたは複数のモジュール式構成要素は、外側ハンドルを含む。
[0021]いくつかの例において、1つまたは複数のモジュール式構成要素は、第1のろ過構成要素および第2のろ過構成要素を含む。
【0017】
[0022]1つの実施形態において、第1のろ過構成要素は、フィルタを備え、第2のろ過構成要素は、ポンプを備える。
[0023]別の実施形態において、第1のろ過構成要素は、第1のフィルタを備え、第2のろ過構成要素は、第2のフィルタを備える。いくつかの例において、フィルタ、第1のフィルタ、または第2のフィルタは、堆積物フィルタ、炭素フィルタ、逆浸透フィルタ、または限外ろ過装置を備える。
【0018】
[0024]いくつかの例において、1つまたは複数のモジュール式構成要素は、入ってくる水を複数のストリームに向けるように構成されるマニホールドを含む。
[0025]いくつかの実施形態において、モジュール式プラットフォームは、水道水の供給源に結合されるように構成される流体入口ライン、および透析コンソールの流体入口ラインに結合されるように構成される流体出口ラインを備える。
【0019】
[0026]1つの実施形態において、透析コンソールは、排水管に結合されるように構成される流体出口ラインをさらに備える。
[0027]いくつかの例において、透析コンソールは、モジュール式プラットフォームの排水管流入ラインに結合されるように構成される流体出口ラインをさらに備える。
【0020】
[0028]流体源から、透析システムとは別個であるがこれに流体的に結合されるモジュール式プラットフォーム内への流体の流れを受容するステップと、モジュール式プラットフォーム内で流体をフィルタにより浄化するステップと、モジュール式プラットフォーム内で流体をポンプによりモジュール式プラットフォームから透析システムへ圧送するステップとを含む方法が提供される。
【0021】
[0029]本発明の新規性のある特徴(features)は、後に続くクレームにおいて具体的に明記される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例証的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】[0030]透析システムの1つの実施形態を示す図である。
図2】[0031]透析システムの浄水システムの1つの実施形態を例示する図である。
図3】[0032]透析システムの透析送達システムの1つの実施形態を例示する図である。
図4A】[0033]図4Aは、モジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるように構成されるホイール付きプラットフォームを有する透析システムの1つの実施形態を例示する図である。
図4B図4Bは、モジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるように構成されるホイール付きプラットフォームを有する透析システムの1つの実施形態を例示する図である。
図4C図4Cは、モジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるように構成されるホイール付きプラットフォームを有する透析システムの1つの実施形態を例示する図である。
図4D図4Dは、モジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるように構成されるホイール付きプラットフォームを有する透析システムの1つの実施形態を例示する図である。
図4E図4Eは、モジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるように構成されるホイール付きプラットフォームを有する透析システムの1つの実施形態を例示する図である。
図5A】[0034]ホイール付きプラットフォームおよびモジュール式透析システム構成要素の別の実施形態を示す図である。
図5B】[0035]モジュール式透析システム構成要素を受け入れるように構成される透析システムの1つの実施形態を示す図である。
図6A】[0036]図6Aは、モジュール式透析システムの別の実施形態を例示する図である。
図6B図6Bは、モジュール式透析システムの別の実施形態を例示する図である。
図7】[0037]モジュール式透析システム内で有効にされる流体回路の1つの例を示す図である。
図8】[0038]1つまたは複数のモジュール式構成要素またはモジュール式プラットフォームを有する透析システムの電力図である。
図9A】[0039]透析システムへの流体接続を例示する図である。
図9B】[0039]透析システムへの流体接続を例示する図である。
図9C】[0039]透析システムへの流体接続を例示する図である。
図10A】[0040]図10Aは、従来型のろ過カートリッジを例示する図である。
図10B図10Bは、従来型のろ過カートリッジを例示する図である。
図11A】[0041]図11Aは、新規性のあるろ過カートリッジを例示する図である。
図11B図11Bは、新規性のあるろ過カートリッジを例示する図である。
図11C図11Cは、新規性のあるろ過カートリッジを例示する図である。
図12】[0042]新規性のあるろ過カートリッジの1つの特定の実施形態を示す図である。
図13】[0043]5つのモジュール式ろ過構成要素を有する透析システムのシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0044]本開示は、使用するのが簡単であり、透析療法中の技師関与の必要性を排除または低減する自動化機能を含む透析システムを含む、透析療法に関連するシステム、デバイス、および方法を説明する。いくつかの実施形態において、本透析システムは、自宅透析システムであり得る。本透析システムの実施形態は、自動化される、ならびに透析療法の性能、効率、および安全性を改善する様々な機能を含み得る。
【0024】
[0045]いくつかの実施形態において、急性および慢性透析療法をユーザに提供することができる透析システムが説明される。本システムは、利用可能な水源を使用してリアルタイムで透析療法における使用のための水を調製するように構成される浄水システム、および透析療法のための透析液を調製するように構成される透析送達システムを含み得る。本透析システムは、使い捨てカートリッジ、およびユーザからの血液を回収および送達するために透析療法中にユーザへ接続するためのチューブセットを含み得る。
【0025】
[0046]図1は、臨床環境またはユーザの自宅などの非臨床環境のいずれかにおいて、ユーザに透析治療を提供するように構成される透析システム100の1つの実施形態を例示する。透析システム100は、ハウジング106内に配設される浄水システム102および透析送達システム104を備え得る。浄水システム102は、透析療法のためにリアルタイムで水源を浄化するように構成され得る。例えば、浄水システムは、住宅水源(例えば、水道水)に接続され、リアルタイムで浄水を調製し得る。次いで、低温殺菌水は、浄水方法論と典型的に関連付けられる大量の一括の水を加熱および冷却する必要なしに、透析療法のために使用され得る(例えば、透析送達システムを用いて)。
【0026】
[0047]透析システム100はまた、本システムのハウジング106に取り外し可能に結合され得るカートリッジ120を含み得る。カートリッジは、オーガナイザに装着される患者チューブセットを含み得る。無菌の使い捨て式の1回使用の構成要素であり得るカートリッジおよびチューブセットは、療法前に本透析システムに接続するように構成される。この接続は、透析療法前に、カートリッジ、チューブセット、および透析システムの間の対応する構成要素を正しく整列させる。例えば、チューブセットは、カートリッジが本透析システムに結合されるとき、ユーザの血液を、チューブセットを通じて引き込み、圧送するため、1つまたは複数のポンプ(例えば、蠕動ポンプ)、クランプ、およびセンサと自動的に関連付けられる。チューブセットはまた、療法前の自動プライミングおよび空気除去のため、本透析システムの生理食塩水源と関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、カートリッジおよびチューブセットは、本透析システムの透析器126に接続され得る。他の実施形態において、カートリッジおよびチューブセットは、チューブセットに予め装着される埋め込み型透析器を含み得る。ユーザまたは患者は、ディスプレイを含むユーザインターフェース113を介して本透析システムと対話し得る。
【0027】
[0048]図2図3は、透析システム100の1つの実施形態の浄水システム102および透析送達システム104をそれぞれ例示する。2つのシステムは、説明を容易にするため、別個に例示および説明されるが、両方のシステムが本透析システムの単一のハウジング106に含まれ得るということを理解されたい。図2は、前ドア105(開位置で示される)を含み得るハウジング106内に含まれる浄水システム102の1つの実施形態を例示する。前ドア105は、堆積物フィルタ108、炭素フィルタ110、および逆浸透(RO)フィルタ112を含む1つまたは複数のフィルタなどの浄水システムと関連付けられた特徴部へのアクセスを提供し得る。フィルタは、浄水システム102と流体連通状態にある水源(水道水など)からの水を浄化することを支援するように構成され得る。浄水システムは、低温殺菌してシステム内の流体温度を制御するように構成される熱交換器を含む、加熱および冷却素子をさらに含み得、これについては以下により詳細に説明されるものとする。本システムは、任意選択的に、塩素含量を測定するための流体の試料を提供するために、塩素試料ポート195を含み得る。
【0028】
[0049]図3において、ハウジング106内に含まれる透析送達システム104は、共に開位置で示される上蓋109および前ドア111を含み得る。上蓋109は、ユーザインターフェース113(例えば、電子制御器およびタッチスクリーンなどのディスプレイを含むコンピューティングデバイス)および透析液容器117など、本透析システムの様々な特徴部へのアクセスを可能にするために開いていてもよい。前ドア111は、前パネル210へのアクセスを可能にするために開くおよび閉じることができ、前パネル210は、カートリッジ120を透析システム100に結合するように構成される整列および装着特徴部を含む、カートリッジ120およびその関連チューブセットと相互作用するように構成される様々な特徴部を含み得る。透析器126は、前ドア111内または前パネル上に取り付けられ得、透析器を調製された透析液、透析液濃縮物、液体濃縮物など、ならびにカートリッジのチューブセットに接続するラインまたはポートを含み得る。以下により詳細に説明される1つの実装形態において、透析装置および/または透析器は、透析液調製および送達のための複数の粉状および/または液体区画を含む使い捨て貯蔵器に接続するように構成されるラインまたはポートを含み得る。
【0029】
[0050]1つの実施形態において、図4A図4Eを参照すると、ホイール付きプラットフォーム401が提供され、その上には事前構成した透析システム400(図1の透析システム100など)が取り付けられ得る。図4Aは、透析システム400とは別個のホイール付きプラットフォーム401を示し、図4B図4Cは、ホイール付きプラットフォーム上に取り付けられる透析システムを示す。
【0030】
[0051]示されるように、ホイール付きプラットフォーム401は、ホイール付きプラットフォームが本システムと係合されるとき、追加の操縦性および/または可動性を本透析システムに提供するように構成される複数のホイール403を含み得る。透析システム自体が、携帯性のために2つ以上のホイール404を有し得るが、これらのホイールは、典型的には、本システムの操縦性を実に制限する、上に説明されるような欠点を伴うということを理解されたい。埋込み型ホイール404を含め、本透析システム全体は、ホイール付きプラットフォーム内に納まるように、これに接続するように、またはこれと嵌合するように構成される。いくつかの実施形態において、本透析システムは、それをホイール付きプラットフォームに取り付けるために取り外される必要のない独自のホイールを有する。いくつかの実施形態において、ホイール付きプラットフォームのホイールは、透析装置のホイールよりも大きく、より頑丈である。例えば、本透析装置の直径は、10.16cm(4インチ)以下であり得、ホイール付きプラットフォームのホイール直径は、12.7cm(5インチ)以上であり得る。サイズの増加は、ホイール付きプラットフォームが敷居または不整地などの障害物をより容易に乗り越えることを可能にする。ホイール付きプラットフォームはまた、改善した安定性を提供するために、本透析装置よりも幅広いホイールベースを有し得る。
【0031】
[0052]本透析装置は、そのホイール、本透析装置を留める目的のために設計されるなんらかの他の取り付け特徴部のいずれかによって、プラットフォームにしっかりとおよび堅く留められ得る。いくつかの実施形態において、ホイール付きプラットフォーム401は、ねじ接続、クイックリリース接続、磁石、または同様のものを用いて本透析装置に接続され得る。いくつかの実施形態におけるホイール付きプラットフォーム401は、本透析システムのホイール404に装着される。これに嵌合する、およびまたはこれと接続するように構成され得るシュラウド405を有する。いくつかの実施形態において、シュラウド405は、シームレスな見た目を促進するため、効果的に透析装置のホイール404を視覚的に隠し得る。追加的に、本透析装置からパネルを取り外すことに関与する本透析装置上で実行される必要がある任意のサービス活動は、本装置がホイール付きプラットフォーム401に取り付けられている間に実施され得る。したがって、ホイール付きプラットフォームは、それらのパネルが取り外されることを防がないように、本透析システムに特別に合うように形成され得る。代替的に、ホイール付きプラットフォーム自体が、本透析システムのすべてのパネルの取り外しを可能にする取り外し可能なパネルを有し得る。
【0032】
[0053]以下により詳細に説明されるように、図4D図4Eを参照すると、ホイール付きプラットフォーム401は、ホイール付きプラットフォームに取り付けられると本透析システムの機能性を拡大または強化するモジュール式透析システム構成要素を収納する、または受け入れるようにさらに構成され得る。図4D図4Eにおいて、ホイール付きプラットフォームは、本透析システムの機能性を拡大および強化するように構成される増強モジュール407を含む。いくつかの実施形態において、増強モジュールは、ホイール付きプラットフォーム401から取り外し可能/挿入可能である。増強モジュールがホイール付きプラットフォームから取り外されるとき、増強モジュール内の個々の構成要素は、アクセス、サービス提供、または交換され得る。増強モジュールがホイール付きプラットフォーム401内に挿入されるとき、増強モジュールによって提供される追加の機能性は、本透析システムによって自動的に検出され活性化され得る。
【0033】
[0054]いくつかの実施形態において、増強モジュール407は、水処理設備(例えば、水フィルタ、限外ろ過装置、炭素フィルタなど)、ポンピング設備(例えば、追加のポンプ)、透析/透析液設備(例えば、透析器、追加の透析器、点滴チャンバ、空気除去システム、プライミング流体など)、廃棄物管理設備(例えば、使用済み透析液または血液廃棄物のための廃棄物容器)、ろ過設備など、またはそれらの何らかの組合せを備え得、本透析装置および壁(電力および水)の両方への流体および電気接続の両方を含み得る。ホイール付きプラットフォームと本透析システムとの間の電気接続は、データ転送および/または電力転送の一方または両方をさらに含み得る。追加的に、増強モジュール407は、任意選択的にディスプレイを含み得るユーザインターフェース409を含み得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、増強モジュール式構成要素の機能性に関してユーザに情報を提供し得る。
【0034】
[0055]図4Eに示されるように、1つの特定の実施形態において、増強モジュール407は、数ある特徴部の中でも、フィルタ(例えば、堆積物および塩素変異体)を含み得る水前処理モジュール、従来の透析システムにおいて見られるフィルタに対して増加したろ過および/または処理能力、任意選択の増圧ポンプ、ならびにpH平衡システムを統合する能力を含み得る。
【0035】
[0056]他の実施形態において、ホイール付きプラットフォームは、上に説明されるような取り外し可能な増強モジュールを含まないが、代わりに、透析システムの機能性を増強させるための特定のモジュール式構成要素を直接受容するように構成される。図5Aを参照すると、ホイール付きプラットフォーム501は、取り外し可能なモジュール式構成要素509を受容するように構成され得る。さらには、ホイール付きプラットフォーム501内の追加の空間511は、取り外し可能ではない他のモジュール式透析構成要素(図示せず)専用であり得る。例えば、ホイール付きプラットフォームは、バッテリ、ポンプ、センサ、またはフィルタカートリッジなどの永続的な構成要素を含み得る。例えば、固定式増圧ポンプが、弁、および水処理機能性の性能を監視するためのセンサと一緒に、ホイール付きプラットフォームに統合され得る。別の例として、圧力センサが、ホイール付きプラットフォームに統合され、ベース内のフィルタにおける圧力降下を監視するように構成され得る。追加的に、取り外し可能なフィルタがベースに統合され得、ホイール付きプラットフォームの外側または本透析システムのコンソール上の視覚インジケータが、残りのフィルタ寿命の指標をユーザに提供し得る。代替的に、ホイール付きプラットフォームは、それがワイヤレス、またはホイール付きプラットフォームと本透析システムとの間の有線接続を介してのいずれかで接続される本透析装置と通信することができる1つまたは複数のマイクロプロセッサを備え得る、または含み得る。本透析装置上のファームウェアは、ホイール付きプラットフォーム内のマイクロプロセッサによって送信される信号を解釈し、本透析装置のGUI上にステータスを表示するか、さもなければ警告を発するように構成され得る。マイクロプロセッサはまた、水ろ過の性能のステータスを提供するために遠隔サーバまたは他のデバイスと遠隔的にワイヤレス通信し得る。
【0036】
[0057]いくつかの実施形態において、モジュール式構成要素は、任意選択である。本透析装置に埋め込まれた水処理機能性が十分であるいくつかの場合において、本装置は、別個のホイール付きプラットフォームによって生じた改善した可動性から依然として利益を得ることができる。これらの場合、ホイール付きプラットフォーム内の容積は空であり得、代わりにストレージのために使用され得る。例えば、ホイール付きプラットフォーム内のストレージ領域は、例えば、引き出しまたは開き戸によってアクセスされ得る。
【0037】
[0058]別の実施形態において、図5Bを参照すると、本透析装置自体は、本透析装置上の引き出しまたは戸513からアクセスされ得るモジュール式透析システム構成要素509を受け入れるように構成され得る。
【0038】
[0059]図6A図6Bを参照すると、また上で述べたように、いくつかの実施形態において、モジュール式透析構成要素609は、ホイール付きプラットフォームへの(または直接的に本透析装置への)電気接続615を含み得る。1つの実施形態において、図6Aに示されるように、電気接続615は、モジュール式構成要素の前部分にあり得、ホイール付きプラットフォーム(または本透析装置)上の対応する電気接続617にプラグ接続する、またはこれに電気的に接続されるように構成され得る。他の実施形態において、電気接続は、モジュール式構成要素がホイール付きプラットフォームまたは透析装置内へ挿入されるときに自動的にもたらされ得る。例えば、モジュール式構成要素の裏側の電気的接触または接続は、ホイール付きプラットフォームまたは透析装置の内側の対応する電気的接触または接続と電気的に嵌合するように構成され得る。
【0039】
[0060]図6Bを参照すると、モジュール式構成要素はまた、1つまたは複数の流体接続616を含み得る。流体接続616は、以下により詳細に説明されるように、フィルタまたは流体貯蔵器618および流体(例えば、水道水)の供給源などのモジュール式構成要素ならびに/または本透析装置の間に流体連通を提供し得る。この例では、モジュール式構成要素がホイール付きプラットフォームまたは透析装置内へ挿入されるとき、流体接続は、モジュール式構成要素、ホイール付きプラットフォーム、本透析装置、および/または流体の供給源の間に自動的にもたらされ得る。
【0040】
[0061]モジュールは、単純なフロースルーフィルタであってもよく、またはそれらは、電子部品(ポンプ、弁、センサ)を有し得る。例えば、1つのモジュールは、流体を水中に注入してそれを処理する低流量給水ポンプを伴う化学物質貯蔵器であり得る。コネクタをプラグ接続することによって、それはまた、どんなタイプのモジュールが挿入されているかを識別するのに役立ち得る。
【0041】
[0062]図7は、本明細書および上に説明されるようなモジュール式構成要素を含む透析システム内の流体回路700の1つの実施形態を示す概略図である。1つの例において、透析装置は、ホイール付きプラットフォーム上に取り付けられ得、入ってくる水を取り入れて透析液を生産するように構成され得る。水は、ホイール付きプラットフォーム内の流体モジュール式構成要素を経由され得る。動作条件下で、入ってくる水は、1つまたは複数のフィルタ、ポンプ、弁、および/またはセンサを含み得る流体モジュール式構成要素を通過する。例えば、増圧ポンプは、入ってくる水の圧力を増加させるためにモジュール式構成要素のうちの1つまたは複数に提供され得、これは、流体モジュール式構成要素のろ過媒体および/または本透析装置自体の上もしくは中のろ過媒体に十分な流れを作り出すのに役立ち得る。
【0042】
[0063]図7は、2つのフィルタを備える流体モジュール式構成要素の基本フロー図である。他の実施形態は、1つのフィルタまたは3つ以上のフィルタを含め、任意の数のフィルタを含み得るということを理解されたい。入ってくる水は、逆流防止器702を通過し得る。増圧ポンプ704は、モジュール式構成要素のうちの1つまたは複数に含まれ得、2つのフィルタ706に対する圧力を強めるように構成され得る。2つのフィルタは、必要に応じて、直列または並列に配置され得る。好ましくは、フィルタは、例えば、手動弁により、並列構成と直列構成とで切り替えられ得る。
【0043】
[0064]フィルタ706にわたる圧力降下は、圧力計PG1およびPG2によって測定され得る。いくつかの実施形態において、圧力計は、モジュール式構成要素内に統合され得る。他の実施形態において、圧力計は、本透析システムまたはホイール付きプラットフォーム内に永続的に位置し得る。圧力測定値は、フィルタにわたる圧力降下を決定するために本システムのマイクロプロセッサまたはコントローラによって使用され得る。圧力降下が過剰である場合、比例弁V1が開かれ得、これにより、流体モジュール内のフィルタを迂回して、入ってくる水を、独自のフィルタを有する本透析装置へ直接送り、V1は、比例弁であり得、それが開かれる度合い(および故に、フィルタに送られる水の量に対する、本透析装置に直接送られる水の量)は、フィルタにおける圧力降下に応じて変化し得る。1つの例において、ポンプ704は、圧力制御モードに設定され得、この場合、PG2における標的圧力が所望される。本透析装置によって流体モジュールから求められる水がない場合、例えば、本透析装置が電源オフである場合、PG2は、公称圧力に達し、ポンプは停止する。弁V2は、それが電力供給されないときに開いているように、通常開いているように構成される別のバイパス弁である。この様式では、流体モジュールが電力を供給されない場合、入ってくる水は、本透析装置へ直接流れ得、電源の入っていないポンプによって遮られない。本システムが流れなし条件で圧力を保持することを可能にする逆止弁が含まれ得る。任意選択的に、一連の逆止弁または減圧区域アセンブリなどの逆流防止策が、すべての機能の上流に提供され得る。タンク708が、dP/dTを制御するために使用され得、また本システム内の圧力スパイクに対処し得る。
【0044】
[0065]本透析装置、および本透析装置が取り付けられるホイール付きプラットフォームの流体モジュールは、共に電気接続を含み得る。1つの実施形態において、図8を参照すると、壁への単一の電源コードは、本透析装置および流体モジュール/ホイール付きプラットフォームの両方に電力を供給するように構成され得る。ホイール付きプラットフォームおよび流体モジュールに接続されないとしても、本透析装置は、独自の電力接続および電源を有する。好ましくは、壁コンセントからの電力コードは、流体モジュールの電源INに接続し、それに電力を供給する(スイッチSWを介して)。そこから、流体モジュールまたは電力コードはまた、本透析システムの電力への直接接続を有する電力出力(OUT)を含み得、そこから第2の電力コードが、流体モジュールから本透析装置の電力コネクタへ接続する。流体モジュールの電源は、印刷回路アセンブリ(PCA)に電力を供給し、そして、このPCAが電力を様々な構成要素へ分配する。PCAは、上に説明されるホイール付きプラットフォーム内に存在し得る。PCAはまた、拡張性、例えば、ワイヤレス通信モジュール、または記録した圧力もしくは他のデータを格納することができるメモリデバイスのために活用され得るUSB接続を有し得る。
【0045】
[0066]本透析システムおよびホイール付きプラットフォームは、外部流体供給源(水道水供給源など)への様々な流体接続をさらに含み得る。図9Aを参照すると、本透析装置は、流体/水道水を本システムに提供するための流体供給ライン902、および使用済み流体/透析液を廃棄するための排水ライン904を含み得る。これらの接続は、本透析装置に対して直接行われる。図9Bは、本透析装置が上に説明されるホイール付きプラットフォームに接続されるか、またはこれと嵌合されるときの実施形態を示す。この例では、ホイール付きプラットフォームは、流体供給流入ライン906を含み、この流体供給流入ライン906は、本透析装置の流体供給ライン902に直接的に接続する、対応する流体供給流出ライン908を有する。同様に、本透析装置の排水ライン904は、ホイール付きプラットフォームの排水ラインに流体結合され、そして、この排水ラインは、使用済み流体/透析液の廃棄のため、ホイール付きプラットフォームの対応する排水流出ラインに流体接続される。
【0046】
[0067]別の例では、図9Cを参照すると、本透析システムの排水流出ライン904は、ホイール付きプラットフォームを通過せず、代わりに排水管へ直行する。この構成では、水は、水源から、流体供給流入ライン906を通ってホイール付きプラットフォームへ入り、本透析システムの供給ライン902に流体結合され、本透析システムの排水ライン904から排水管へ直行する。
【0047】
[0068]本開示はまた、ホイール付きプラットフォーム内、またはモジュール式ろ過構成要素としてなど、上に説明される本システムおよび実施形態のいずれかにおいて使用され得る新規性のあるろ過カートリッジを提供する。図10A図10Bは、フィルタハウジング1001およびフィルタ媒体1003を含む従来のろ過カートリッジ100の1つの例を示す。この例では、ろ過カートリッジは、入ってくる水のための入口1002を含み得、そして入ってくる水は、矢印1004によって示されるカートリッジ内の1つまたは複数のろ過媒体を半径方向に通過する。ろ過した水は、次いで、中心を通ってカートリッジ内の出口1006から出る。図10Bに示されるように、複数のろ過媒体は、異なるフィルタ媒体タイプに適応するために直径方向に分離され得る。
【0048】
[0069]図11A図11Cは、本明細書に説明されるホイール付きプラットフォームおよび/または透析システムと併せて使用され得るモジュール式フィルタ構成要素の1つの実施形態を例示する。上で述べたように、モジュール式構成要素は、ろ過能力を含め、本透析システム/ホイール付きプラットフォームに追加の機能性を提供し得る。追加的に、モジュール式構成要素は、電気接続を含み得る。本開示に説明される新規性のある水ろ過システムは、共通ハウジング設計を軸として展開する。水フィルタは、共通の大サイズ筺体1101を使用するが、フィルタの最後にハンドル1103を追加する(図11A図11Bに示されるように)。フィルタカートリッジの後部にハンドルを有することにより、フィルタにサービス提供するためにフィルタ間に空間を有する必要性(手に必要な物理的空間のため)を除去する。したがって、フィルタ上のハンドルは、複数のフィルタの位置付けが互いと非常に近接していることを可能にする。これは、本システム内で求められる空間を低減し、各フィルタ間の流体接続ライン長を最小限にする。図11Bは、ハンドルをカートリッジに追加することによって有効にされる空間を示す一方、図11Cは、ハンドルがない場合に必要とされる空間を示す。これは、ハンドルがない場合よりも多くのカートリッジをより小さい空間(ホイール付きプラットフォーム内など)に詰め込むことを可能にする。
【0049】
[0070]図11A内のモジュール式フィルタ構成要素の前部は、同心および半同心開口部を作成することによって流体流のための最大で3ストリーム入口/出口を可能にするように構成されるフィルタヘッド1105を含み得る。フィルタヘッドの先端に至るまで次第に直径が減少している多層フィルタヘッド(図11Aに示される)を使用すると、各層は、各層間に対応する密閉機構(例えば、径方向Oリング)を伴う新規流路を作成するために使用され得る。
【0050】
[0071]マニホールド接続システムは、フィルタカートリッジの前部を全般的な流体システムに接続するために利用され得る。マニホールドシステムへの通路は、接続箇所において急斜面階段を含み得る。フィルタの他方の端においてハンドルと結合されるこれらの斜面階段のうちのいくつかは、カートリッジフィルタ(マニホールドの内側)の円滑な90度係止および非係止機能を可能にする。
【0051】
[0072]モジュール式フィルタ構成要素のハウジングサイズは、水ろ過システム内に柔軟性を追加するために様々なフィルタ媒体/コアタイプに適応し得る。様々なフィルタ媒体コアの寿命およびサイズを伴う、方程式の均衡は、すべての水仕様要件を包含する共通体積を見つけることが必要とされる。いくつかの実施形態において、単一の大きいフィルタハウジングが、大空間およびハウジング構造を利用することによって2つの異なるタイプの媒体コアを分離および収納するために使用され得る。
【0052】
[0073]1つの例において、多重媒体コアが、図11Cに示される共通同心分離に配置され得る。このタイプの構造は、実際のフィルタ媒体コアを使用して互いを包み込む。多重媒体コアは、フィルタ媒体/コアによって維持され得る。これらのきつく包まれた媒体コアは、通常のフィルタ媒体タイプ(例えば、炭素、堆積物、RO)にのみ適用され得るということに留意されたい。
【0053】
[0074]別の実施形態において、第2のタイプの多重媒体コアは、フィルタのハウジングを利用してコアを分離する2区域媒体/コアを備えるハウジング内に提供され得る。この構成は、図12に示される。流路を作成するために、フィルタコアを迂回するように入口から流路を作成する方法において、フィルタハウジングの構造を構築することにより、第2のタイプの多重媒体コアは、単一のハウジング内に含まれ得る。矢印は、流れの入力/出力の物理的なポートを示さないということに留意されたい。さらには、本実施形態および本開示において記されるすべてのフィルタは、図11Aに示されるフィルタヘッドの周りに集中した入口および出口(流れのための)を有し得る。
【0054】
[0075]フィルタハウジング内の多重媒体コアは、水ろ過システムに必要とされる様々なモジュールに適応し得る。図12に提示される例示の目的のため、フィルタの「予備」部分は、フィルタハウジング区画内の割り当てられた空間に挿入され得る任意のタイプのモジュール、部品、システム、または電子機器を表し得る。これらの2つの多重媒体コア選択肢のうちのいずれか一方は、製造のために最適化され、特定のニーズに合わせた、最適化多重媒体フィルタシステムを作成するために使用され得る。
【0055】
[0076]これらの大きいフィルタハウジングは、様々なタイプのフィルタコア(単一および多重媒体コアの両方)および内部構成要素に適応し得る。フィルタハウジングを使用して水流路を制御することによって、他のタイプのモジュールが、流路内の管を模倣するハウジングコア内に組み込まれ得る。追加のモジュールが、様々な水ろ過システムのニーズに適応するために、フィルタハウジングのある区域に入れられ得る。これらのモジュールは、(限定されるものではないが)水ろ過システムなしに流量を制御するための流体ポンプ、水pHを制御するための注入システム、およびさらには電子機器を含み得る。図12を参照すると、ポンプ、電子機器、または注入システムなどのこれらのモジュールは、モジュール式構成要素内の「予備」スロットに位置付けられ得、堆積物フィルタなどのろ過構成要素は、ハウジング内の他の場所に位置付けられるということを理解されたい。他のタイプのろ過媒体も同様に、「堆積物」位置で使用され得る。
【0056】
[0077]ろ過システム内の任意の所与の電子機器に適応するため、2つの異なるタイプの接続のうちの一方が使用され得る。第1の選択肢は、初期90度回転を可能にするハンドルの強制配向が理由で適応され得る適切な構造引き込み線を伴うブラインド接続である。90度回転/係止機構と一緒にフィルタカートリッジの既定の配向は、ブラインド接続を作成するのに十分な制御を可能にする。第2の選択肢は、フィルタカートリッジのハンドル領域上に端コネクタを有することである。雌または雄接続点は、電子接続を接続するためにカートリッジ(後部)キャップ領域上へ置かれ得る。端コネクタの1つの例は、図6A図6Bの実施形態に示される。
【0057】
[0078]図13は、上に説明される概念を含む多重カートリッジろ過水システムの1つの例を例示する。このシステムは、水ろ過システム内の様々な構成および柔軟性をもたらし得る。複数のフィルタをライン内に置くことによって、単一の媒体コアおよび多重媒体コアの組合せが、最適化された水ろ過システムをもたらすように配置され得る。上に説明されるホイール付きプラットフォームおよび/または透析システムの、複数のモジュール式構成要素を受容する能力により、多数の構造および可能性が、本開示により有効にされる。
【0058】
[0079]例えば、図13を参照すると、この実施形態は、合計5つのモジュール式構成要素またはカートリッジを有する水ろ過システムを含む。これらの構成要素は、その後透析システムに結合されるホイール付きプラットフォーム内へ挿入され得る。代替的に、図5Bに例証されるように、モジュール式構成要素は、本透析システムの直接上の対応するスロット内へ直接挿入され得る。図13において、第1のモジュール式構成要素1301は、第1および第2の予備スロットを含み得る。これらのスロットの正確な目的はこの例では規定されないが、これらの予備スロットは、ろ過を含む任意の所望の目的を提供し得るということを理解されたい。マニホールドは、直接的に予備スロットの各々に水の二重入力ストリームを提供し得るということに留意されたい。追加的に、予備スロットは、直列に配置され得るため、第1の予備スロットの出力は、第2の予備スロット内へ入り、そしてこの第2の予備スロットが、第2のモジュール式構成要素1302への出力を提供する。第2のモジュール式構成要素1302は、5.0μmおよび1.0μmなどの様々な孔サイズを有する第1および第2の堆積物フィルタ媒体を含み得る。これらは、示されるように、直列に配置され得る。このモジュール式構成要素からの出力は、炭素フィルタを備え得る第3のモジュール式構成要素1303に提供され得る。次に、この出力は、例えば、直列に配置される冗長炭素フィルタおよびUV光を含み得る、第4のモジュール式構成要素1304に提供され得る。最後に、第5のモジュール式構成要素1305は、逆浸透フィルタ、および流体をフィルタから引き込み、それを逆浸透フィルタ内へ戻す給水ポンプを含み得る。これらすべてのモジュール式構成要素からの出力は、任意選択的に、限外ろ過装置、および次いで塩素センサに通され得る。いくつかの実施形態において、限外ろ過装置/センサは、モジュール式構成要素内に配設され得、他の実施形態において、これらは、ホイール付きプラットフォームまたは透析システム内に配設され得る。このろ過システムの結果は、透析療法のための本透析システムによる使用に好適な超高純度の清浄水である。
【0059】
[0080]本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、特許請求される本発明の範囲または特許請求され得るものの範囲に対する限定と解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に説明される特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴はまた、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な部分組合せで実装され得る。さらには、特徴は、特定の組合せにおいて作用するものとして上に説明され得、またそのように最初は特許請求され得るが、特許請求された組合せからの1つまたは複数の特徴が、場合によっては、その組合せから削除され得、特許請求された組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変形を対象とし得る。同様に、動作は、特定の順序で図面に描写されるが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序もしくは順次に実施されること、またはすべての例証された動作が実施されることを必要とするものと理解されるべきではない。いくつかの例および実装形態のみが開示される。説明された例および実装形態ならびに他の実装形態に対する変形、修正、および強化は、開示されるものに基づいてなされ得る。
【0060】
[0081]本発明に関する追加の詳細事項について、材料および製造技術は、当業者のレベル内として採用され得る。同じことが、一般的または論理的に採用される追加の行為に関して、本発明の方法ベースの態様に対して当てはまり得る。また、説明される本発明の変異形のいかなる任意選択の特徴も、独立して、または本明細書に説明される特徴のうちの任意の1つまたは複数と組み合わせて、明記および特許請求され得ることが企図される。同様に、単数事項への言及は、同じ事項が複数存在する可能性を含む。より詳細には、本明細書および添付のクレームにおいて使用される場合、単数形「a」、「および」、「前記」、および「the」は、文脈が別のことを明白に示さない限り、複数言及を含む。クレームは、いかなる任意選択の要素も除外するために書かれ得ることにさらに留意されたい。そのようなものとして、この記載は、クレーム要素の記述に関連した「唯一(solely)」、「のみ(only)」、および同様のものとしてのそのような排他的用語の使用、または「否定的」限定の使用に対する先行根拠としての役割を果たすことが意図される。本明細書に別途規定のない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の広がりは、本明細書によって限定されるものではなく、むしろ採用されるクレーム用語の明白な意味によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13
【国際調査報告】