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特表2025-502219スクリュー圧縮機用の可変容量バイパス弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】スクリュー圧縮機用の可変容量バイパス弁
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20250117BHJP
   F04C 28/26 20060101ALI20250117BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F04C18/16 P
F04C28/26 B
F04C29/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541836
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2022013169
(87)【国際公開番号】W WO2023140851
(87)【国際公開日】2023-07-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189747
【氏名又は名称】ヒタチグローバルエアパワー ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バットドルフ,ジョナサン ディー
(72)【発明者】
【氏名】藤元 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル, エドワード
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA17
3H129AB05
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC13
3H129CC23
(57)【要約】
スクリュー圧縮機およびスクリュー圧縮機用の可変容量バイパス弁が提供される。可変容量バイパス弁は、圧縮室の圧縮室出口端の上流で圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、ボアキャビティを塞ぐようにボアに挿入されたスライド弁部材であって、弁部材は、スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を圧縮室の流体入口に戻すように構成されたバイパス室と圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、ボアに沿って半径方向に弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と、を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮室を画定する圧縮機ハウジングを有するスクリュー圧縮機用の可変容量バイパス弁であって、
前記圧縮室の圧縮室出口端の上流で前記圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、
前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面内に形成されたキャビティを塞ぐように前記ボアに挿入されたスライド弁部材であって、前記スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、
前記弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を前記圧縮室の流体入口に戻すように構成されたバイパス室と前記圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、前記ボアに沿って半径方向に前記弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と
を含む、可変容量バイパス弁。
【請求項2】
前記シール面は、前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面である、請求項1に記載の可変容量バイパス弁。
【請求項3】
前記弁部材は、前記シール面が前記ロータボア排出面から前記圧縮室へ外方に突出するように前記ボア内において位置合わせされる、請求項2に記載の可変容量バイパス弁。
【請求項4】
前記弁部材は、開口した領域が前記シール面の反対側にある、部分円筒形状を有する、請求項1に記載の可変容量バイパス弁。
【請求項5】
前記シール面は、前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面である、請求項4に記載の可変容量バイパス弁。
【請求項6】
前記弁部材は、前記シール面が前記ロータボア排出面から前記圧縮室へ外方に突出するように前記ボア内において位置合わせされる、請求項5に記載の可変容量バイパス弁。
【請求項7】
スクリュー圧縮機であって、
圧縮室出口端を有する圧縮室と前記圧縮室と連通する複数のバイパスポートとを画定する、圧縮機ハウジングと、
前記圧縮室と連通する前記複数のバイパスポートに隣り合って配置された螺旋弁であって、回転位置に基づいて前記複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を選択的に開閉するように構成されたシャッタを含む、螺旋弁と、
可変容量バイパス弁と
を備え、前記可変容量バイパス弁は、
前記圧縮室の圧縮室出口端の上流で前記圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、
前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面内に形成されたキャビティを塞ぐように前記ボアに挿入されたスライド弁部材であって、前記スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、
前記弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を前記圧縮室の流体入口に戻すように構成された、前記螺旋弁を収容するバイパス室と、前記圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、前記ボアに沿って半径方向に前記弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と
を含む、スクリュー圧縮機。
【請求項8】
前記可変容量バイパス弁の前記シール面は、前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面である、請求項7に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項9】
前記可変容量バイパス弁の前記弁部材は、前記シール面が前記ロータボア排出面から前記圧縮室へ外方に突出するように前記ボア内において位置合わせされる、請求項8に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項10】
前記可変容量バイパス弁の前記弁部材は、開口した領域が前記シール面の反対側にある、部分円筒形状を有する、請求項7に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項11】
前記可変容量バイパス弁の前記シール面は、前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面である、請求項10に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項12】
前記可変容量バイパス弁の前記弁部材は、前記シール面が前記ロータボア排出面から前記圧縮室へ外方に突出するように前記ボア内において位置合わせされる、請求項11に記載のスクリュー圧縮機。
【請求項13】
複数の可変容量バイパス弁をさらに備え、各可変容量バイパス弁は、
前記圧縮室の圧縮室出口端の上流で前記圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、
前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面内に形成されたキャビティを塞ぐように前記ボアに挿入されたスライド弁部材であって、前記スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、
前記弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を前記圧縮室の流体入口に戻すように構成された、前記螺旋弁を収容するバイパス室と、前記圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、前記ボアに沿って半径方向に前記弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と
を含み、
前記複数の可変容量バイパス弁の前記ボアは、前記圧縮室内に配置された少なくとも1つのスクリューの回転方向において前記圧縮機ハウジングの前記ロータボア排出面の周りに周方向に配置される、請求項7に記載のスクリュー圧縮機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリュー圧縮機、特に、可変容量バイパス弁を有するスクリュー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリューガス圧縮機は、関連技術において知られているものである。関連技術では、スクリュー圧縮機は、圧縮機ハウジングを含み得、2つの圧縮スクリューのうちの一方(例えば、第1の圧縮スクリュー)を駆動するのにモータ(例えば、永久磁石ロータ/ステータモータ)が使用される。2つの圧縮スクリューのうちの第2のものは、モータによって駆動される圧縮スクリューに機械的に連結され得る。したがって、第2の圧縮スクリューは、第1の圧縮スクリューによって駆動され得る。関連技術では、ガスが入口を通って圧縮機に引き込まれ、これら2つの圧縮スクリューが回転する際にこれらの間で圧縮され、ガス入口および圧縮スクリューの下流にある出口を通って押し出され得る。
【0003】
一部の関連技術では、ガス圧縮機は、圧縮スクリューの長さに沿った過加圧または過圧縮を制御または防止するようにガスが圧縮機ハウジングを出ることを可能にするために、圧縮機ハウジングまたはロータカウリング内に形成された1つまたは複数のバイパスポートまたは弁開口を提供する機械的な容量制御機構を含み得る。関連技術では、1つまたは複数のバイパスポートまたは弁開口は、バイパスポートが露出され、バイパスポートのうちの1つまたは複数がバイパス室と連通することで圧縮機の圧縮長さを変えることを可能にするポイントまで回転されるシャッタによってバイパスポートまたは弁開口の開閉を制御する螺旋弁に隣り合って配置され得る。
【0004】
しかしながら、一部の関連技術では、螺旋弁が備わった圧縮機の効率は、50%よりも高い容量減少(ターンダウン)レベルで大幅に低下する可能性がある。これは、弁が動作する必要があるところに生じる、より高い圧力が、螺旋弁シャッタとロータハウジング窓との間の隙間にオイルによって形成されたシールに勝ることに起因し得る。
【0005】
さらに、一部の関連技術では、ポペット弁もしくはリフト弁または軸方向スライド弁などの、他の可変容量制御(VCC)デバイスが使用され得るが、これらのデバイスもまた、螺旋弁よりも優れたシールが存在し得るとしても、より高い圧力で漏れがより多くなる。さらに、リフト弁も軸方向スライド弁もともに、製造コストがより高く、組み立てが困難であり、維持がより困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの難点は、移動するシール面の複雑な形状と、移動するシール面がその複雑な嵌合面と一致する状況とに起因し得る。さらに、リフト弁設計は、ロータアペックスシールが本来的に幅狭であるとともにリフト弁が本来的に幅広であるため、ロータ設計に不利に働く可能性がある。さらに、弁は、大きな圧力差を有する隣り合ったロータねじ山に架かることで、リフト弁がターンダウンを正確に制御することを困難にし得る。本明細書において説明する例示的な実施は、これらの課題に対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様は、圧縮室を画定する圧縮機ハウジングを有するスクリュー圧縮機用の可変容量バイパス弁を含み得る。可変容量バイパス弁は、圧縮室の圧縮室出口端の上流で圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたキャビティを塞ぐようにボアに挿入されたスライド弁部材であって、スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を圧縮室の流体入口に戻すように構成されたバイパス室と圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、ボアに沿って半径方向に弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と、を含み得る。
【0008】
さらに、本開示の態様はまた、スクリュー圧縮機を含み、スクリュー圧縮機は、圧縮室出口端を有する圧縮室と圧縮室と連通する複数のバイパスポートとを画定する圧縮機ハウジングと、圧縮室と連通する複数のバイパスポートに隣り合って配置された螺旋弁であって、回転位置に基づいて複数のバイパスポートのうちの1つまたは複数を選択的に開閉するように構成されたシャッタを含む、螺旋弁と、可変容量バイパス弁と、を有する。可変容量バイパス弁は、圧縮室の圧縮室出口端の上流で圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたボアと、圧縮機ハウジングのロータボア排出面内に形成されたキャビティを塞ぐようにボアに挿入されたスライド弁部材であって、スクリュー圧縮機の動作時に圧縮機スクリューのねじ山と相互作用するように構成されたシール面を有する、スライド弁部材と、弁部材に連結されたアクチュエータ構造部であって、圧縮された流体を圧縮室の流体入口に戻すように構成された、螺旋弁を収容するバイパス室と、圧縮室とを連通可能に連結する流体経路を開くために、ボアに沿って半径方向に弁部材を移動させるように配向された、アクチュエータ構造部と、を含み得る。
【0009】
本開示の態様はまた、シール面が、圧縮機ハウジングのロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面であることを含み得る。
【0010】
本開示の態様はまた、弁部材が、シール面がロータボア排出面から圧縮室へ外方に突出するようにボア内において位置合わせされることを含み得る。
【0011】
本開示の態様はまた、弁部材が、開口した領域がシール面の反対側にある、部分円筒形状を有することを含み得る。
【0012】
本開示の態様はまた、シール面が、圧縮機ハウジングのロータボア排出面に対して平行に延びる平坦シール面であることを含み得る。
【0013】
本開示の態様はまた、弁部材が、シール面がロータボア排出面から圧縮室へ外方に突出するようにボア内において位置合わせされることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、本開示の様々な特徴を実施する一般的なアーキテクチャを、図面を参照しながら説明する。図面および関連する説明は、本開示の例示的な実施を示すために提供され、本開示の範囲を限定するためではない。図面全体を通じて、参照される要素間の対応を示すために参照番号が繰り返し用いられる。
【0015】
図1】本出願の例示的な実施による、螺旋弁構造と可変容量バイパス弁とを有するスクリュー圧縮機の斜視図を示す。
図2】本出願の例示的な実施によるスクリュー圧縮機の側面図を示す。
図3】本出願の例示的な実施によるスクリュー圧縮機の上面図を示す。
図4図3のIV-IV’線に沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
図5図3のV―V’線に沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
図6図5のVI-VI’線に沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
図7図5のVII-VII’線に沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
図8図5のVIII-VIII’線に沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
図9A図4のIX-IX’線に沿った断面図である。
図9B図4のIX-IX’線に沿った断面図である。
図9C図4のIX-IX’線に沿った断面図である。
図9D図4のIX-IX’線に沿った断面図である。
図10A図4のX-X’線に沿った断面図である。
図10B図4のX-X’線に沿った断面図である。
図11】弁部材が完全に後退した位置にある、可変容量バイパス弁の上部を示す。
図12】弁部材が部分的に延出した位置にある、可変容量バイパス弁の上部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、本開示の図および例示的な実施のさらなる詳細を提供する。図間の重複する要素の参照番号および説明は、明確にするために省略される。説明全体を通じて使用される用語は、例として提供され、限定することを意図するものではない。例えば、「自動的な」という用語の使用は、本開示の実施を行う当業者の所望の実施に応じて、完全に自動的な実施、または、実施の特定の態様に対するユーザもしくはオペレータの制御を伴う半自動的な実施を含み得る。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」などのような順序を表す用語は、説明および特許請求の範囲において、単に標識付けのために使用されることがあり、説明される動作または項目が記載の順序で行われることを指すことに限定されるべきではない。動作または項目は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順番に順序付けられてもまたは並行もしくは動的に行われてもよい。
【0017】
上記で説明したように、一部の関連技術では、ガス圧縮機は、圧縮スクリューの長さに沿った過加圧または過圧縮を制御または防止するようにガスが圧縮ハウジングを出ることを可能にするために、圧縮機ハウジングまたはロータカウリング内に形成された1つまたは複数のバイパスポートまたは弁開口を提供する機械的な容量制御機構を含み得る。これらの1つまたは複数のバイパスポートまたは弁開口は、バイパスポートが露出され、バイパスポートのうちの1つまたは複数がバイパス室と連通することで圧縮機の圧縮長さを変えることを可能にするポイントまで回転されるシャッタによってバイパスポートまたは弁開口の開閉を制御する螺旋弁に隣り合って配置され得る。しかしながら、螺旋弁が備わった圧縮機の効率は、弁が動作する必要があるところに生じる、より高い圧力が、螺旋弁シャッタとロータハウジング窓との間の隙間にオイルによって形成されたシールに勝ることに起因して、50%よりも高い容量減少(ターンダウン)レベルで大幅に低下する可能性がある。
【0018】
これらの課題に対処するために、例示的な実施は、ターンダウン延長部(turn down extender)として螺旋弁または他のVCCデバイスと併せて可変容量バイパス弁(VCBV)を提供し得る。代替的に、本出願の例示的な実施において示すVCBVデバイスはまた、スタンドアローン容量制御システムとして使用され得る。
【0019】
いくつかの例示的な実施では、VCBVは、ロータハウジング排出面に周辺的に位置付けられた円筒形状弁であり得、そのため、外方に移動されると、入口に戻す通路を開く。以下で説明するように、VCBVは、雄型、雌型、またはそれら両方のロータボア面に適用され得、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、電子ソレノイド、または他の同様のアクチュエータにより作動され得る。例示的な実施では、単一の弁を使用することが費用面での利点を提供し得るのに対し、複数の弁を使用することがより大きなターンダウンおよび/またはより優れた性能を提供し得る。弁は、ロータハウジングにおいて周辺的に位置付けられるため、ベアリングまたは他の圧縮機構成要素に通常用いられないスペースを利用し、排出ガスに必要とされる通常経路を占有しない。
【0020】
図1は、本出願の例示的な実施による、螺旋状弁構造および可変容量バイパス弁を有するスクリュー圧縮機100の斜視図を示す。さらに、図2および図3はそれぞれ、本出願の例示的な実施によるスクリュー圧縮機100の側面図および上面図を示す。図示のように、スクリュー圧縮機100は、圧縮機内部構造を囲むとともに圧縮室3(図1図3には示さず、図4図8に示す)を形成する圧縮機ハウジング10を有する。ハウジング10は、スクリュー圧縮機100を支持するとともにスクリュー圧縮機100が床または他の支持プラットフォームに固定されることを可能にする1つまたは複数の取り付けブラケットまたは脚部2を含み得る。例えば、脚部2は、スクリュー圧縮機100が運搬可能な支持プラットフォームまたはトレーラに取り付けられることを可能にし得る。
【0021】
ハウジング10はまた、主ガス流入口26と、主ガス流排出口28とを画定している。スクリュー圧縮機100を通るガス流を示すために矢印が提示されている。加えて、圧縮機ハウジング10は、駆動シャフト15が圧縮機内部構造(図4図8に示す)から圧縮機100を囲む領域にかけて通ることを可能にし得る。
【0022】
駆動シャフト15を用いて、スクリュー圧縮機100をモータまたはエンジンに機械的に連結してスクリュー圧縮機100を駆動することができる。スクリュー圧縮機100は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、または、当業者に明らかであろう任意の他のタイプのエンジンなどの、ICエンジンによって駆動することができる。スクリュー圧縮機100はまた、電気モータ、または、当業者に明らかであろう、回転動力を供給する任意のタイプの機械によって駆動することができる。
【0023】
さらに、アクチュエータモジュール5が、圧縮機ハウジング10に取り付けられ、圧縮機ハウジング10内に配置される螺旋状弁構造(図4図8に示す)を制御することができる。アクチュエータモジュール5は、螺旋弁に連結されるギアボックスに連結された電気モータを含み得る。加えて、アクチュエータモジュール5はまた、自動で、ユーザ入力に部分的に基づいて半自動で、または、ユーザ入力に全面的に基づいて手動でアクチュエータモジュール5を制御するオンボード制御論理を有し得る統合プロセッサ構成要素を含み得る。1つまたは複数の別個のアクチュエータモジュールを用いて、図5図8図9A図9D、および図10A図10Bに示すように、可変容量バイパス弁(VCBV)を制御することもできる。
【0024】
図4図8は、スクリュー圧縮機の断面図を示す。具体的には、図4および図5は、図2のIV-IV’線およびV―V’線にそれぞれ沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。さらに、図6図8は、図5のVI-VI’線、VII-VII’線、およびVIII-VIII’線にそれぞれ沿った、スクリュー圧縮機の断面図を示す。
【0025】
圧縮機ハウジング10は、ユニットが組み立てられ機能すると、2つの隣り合うボア6および8を画定する圧縮室3を形成し、これら隣り合うボアのそれぞれが、ツインスクリューガス圧縮機100のスクリュー7、9を含む。各スクリュー7、9は、複数のローブ305/310/315/320から構成される。図示のように、スクリューのうちの一方のスクリュー9(駆動スクリューとしても知られる)は、従動ギア210に取り付けられ、従動ギア205によってシャフト15に機械的に連結される。スクリューガス圧縮機を駆動するモータまたはエンジンは、シャフト15に連結される。他方のスクリュー7(従動スクリューとしても知られる)は、駆動スクリュー9によって駆動される。スクリュー7、9は両方ともそれぞれ、ローラベアリング、または、当業者に明らかであろう任意の他のタイプのベアリングもしくはブシュなどの、ベアリング群225によって支持することができる。
【0026】
さらに、いくつかの例示的な実施では、スクリューのうちの一方は、雌ローブ構成を有し得、スクリューのうちの他方は、雄ローブ構成を有し得る。換言すると、スクリューのうちの一方は、雌型の圧縮機スクリューであり得、他方のスクリューは、雌型の圧縮機スクリューと相互作用する雄型の圧縮機スクリューであり得る。例えば、駆動スクリュー9が雄型の圧縮スクリューであり得、従動スクリュー7が雌型の圧縮スクリューであり得る。当業者に明らかであろうように、本出願の例示的な実施は、この構成に限定されず、いくつかの例示的な実施は、代替的な構成を有してもよい(例えば、駆動スクリュー9が雌型の圧縮スクリューであってもよく、従動スクリュー7が雄型の圧縮スクリューであってもよい)。
【0027】
圧縮機ハウジング10の端は、入口26と流体連通する出口28を含む(図1図3に示す)。ガス流チャネル215、220が各ボア6、8を入口26と接続して、ガスが各ボア6、8に流入することを可能にすることができる。各ボア6および8はまた、数字12a~12jによってまとめて表された1つまたは複数のバイパスポートを含む。図示のバイパスポート12a~12fは、従動スクリュー7に関連付けられたボア6内に形成されている。さらに、同様のバイパスポート12g~12jが、駆動スクリュー9に関連付けられたボア8内に形成されている。図示のように、各バイパスポート12a~12jは、軸24に沿って回転可能である螺旋弁20を収容するバイパス室22と流体連通する。バイパスポート12a~12jに関連付けられた各ボア6、8の長さは、バイパス窓245と呼ばれることがある。
【0028】
上述したように、圧縮機ハウジング10は、ガス入口26と、ガス出口28とを有する。圧縮機ハウジング内において、ガス流チャネル215、220が、入口26と圧縮室3との間に流体連通を提供する。スクリュー7および9が圧縮室3のそれぞれのボア6、8内で回転するにつれ、圧縮室3の内部でガスが圧縮される。圧縮室3は、圧縮室入口230、235と圧縮室出口端240との間にわたる長さを有する。次いで、圧縮されたガスが、ガス出口28を通って押し出される。矢印は、圧縮室3を通るガス流を示す。
【0029】
図5図8に示すように、螺旋弁20は、螺旋弁20の回転位置に応じて、バイパスポート12a~12jを選択的に閉鎖する(閉じる)または開くシャッタ335を含む。螺旋弁20を、バイパスポート12a~12jのうちの1つまたは複数が螺旋弁チャンバ22と流体連通することを可能にするポイントまで回転させるにつれ、より短い圧縮室長さに起因して、圧縮室3の有効な圧縮量を減らすことができる。
【0030】
例えば、バイパスポート12c~12eを開いて流れを示すようにすることができ、バイパスポート12aおよび12bを閉じて流れを示さないようにすることができる。少なくとも1つのバイパスポート12c~12eが開いている場合、圧縮室3の有効な圧縮長さは、圧縮室出口端240に最も近い開いたバイパスポートと、圧縮室出口端240それ自体との間の距離によって画定される。
【0031】
有効な圧縮量がこのようにして減らされると、トルクが低減し、このことが電力を節約し、効率を高め、ガス圧縮機の構成要素の寿命を延ばす。しかしながら、上記で説明したように、より高い動作圧力が、螺旋弁シャッタ305とロータハウジング窓245との間の隙間にオイルによって形成されたシールに勝る可能性があるため、容量の減少が50%を超えると、螺旋弁の効率が大幅に下がる可能性がある。以下で論じる可変容量バイパス弁600が、この欠陥に対処することができる。
【0032】
螺旋弁20が、螺旋弁20のシャッタ335の回転および位置を制御するアクチュエータモジュール5に連結される。図示のように、アクチュエータモジュール5は、ギアボックス330に機械的に連結されるモータ325を含む。ギアボックス330は、モータ325を螺旋弁20に機械的に連結する。したがって、ギアボックス330によって、モータからのトルクを螺旋弁20のシャッタ335に伝達し、シャッタ335を回転させることができる。モータ325は、螺旋弁の回転速度および回転位置の正確な制御を行う電気アクチュエータモータとすることができる。
【0033】
アクチュエータモジュール5を圧縮機ハウジング10に取り付けて、圧縮機ハウジング10内に配置された螺旋弁構造を制御することができる。加えて、アクチュエータモジュール5はまた、自動で、ユーザ入力に部分的に基づいて半自動で、または、ユーザ入力に全面的に基づいて手動でモータ325のモジュールを制御するオンボード制御論理を有し得る統合プロセッサ構成要素を含み得る。
【0034】
螺旋弁20は、完全に開いた位置(バイパスポートのすべてが開いている)から、完全に閉じられた位置(バイパスポートのすべてが閉じられている)、およびそれら位置間におけるすべてのポイントまで、その軸24に沿って回転(または作動)することができる。図5図8において、流れは、圧縮室3からバイパス室22へのガスの部分的なバイパスを可能にするポイントまで螺旋弁20を回転させたように示されている。具体的には、バイパスポート12i~12jが、ガスが圧縮室3からバイパス室22に流れることを可能にする。
【0035】
加えて、スクリュー圧縮機100はまた、圧縮室3の圧縮室出口端240の近くに位置付けられた可変容量バイパス弁(VCBV)600を含み得る。VCBVは、圧縮室出口端240の上流でハウジング10の排出面610内に形成された1つまたは複数のボア605を含み得る。1つまたは複数のボア605は、形状を円筒形とすることができ、内部に挿入された半円筒形スライド弁部材615を受け入れている。さらに、バイパス室と接続する流体経路を開くために、スクリュー圧縮機100の動作時にボア605をシールおよびシール解除するようにボア605内において弁部材615を半径方向に関節運動させるよう、アクチュエータ620を圧縮室3の下に配置することができる。アクチュエータ620は、リニアアクチュエータ、回転アクチュエータ、ステッパモータまたは当業者に明らかであろう任意の他のアクチュエータとすることができる。さらに、アクチュエータ620は、油圧作動、電子作動、空気圧作動、または当業者に明らかであろう任意の方式で作動させることができる。
【0036】
図6図8によって示すように、VCBV600が開かれると、空気が、バイパス室22に逆流し、バイパス室で循環して圧縮室3のガス流チャネル215、220に戻ることができる。VCBV600の動作および実施を、図9A図9Dおよび図10A図10Bに関して以下でより詳細に論じる。
【0037】
図9A図9Dおよび図10A図10Bは、可変容量バイパス弁600およびツインスクリュー7、9の様々な状態を示すスクリュー圧縮機の断面図を示す。具体的には、図9A図9Bは、ツインスクリュー7、9が回転する際に可変容量バイパス弁600が閉状態にある、図4のIX-IX’線に沿った断面図である。さらに、図9C図9Dは、ツインスクリュー7、9が回転する際に可変容量バイパス弁600が開状態にある、図4のIX-IX’線に沿った断面図である。さらに、図10Aは、可変容量バイパス弁600が閉状態にある、図4のX-X’線に沿った断面図である。図6図8によって示すように、VCBV600が開かれると、空気が、バイパス室22に逆流し、バイパス室で循環して圧縮室3のガス流チャネル215、220に戻ることができる。さらに、図10Bは、可変容量バイパス弁600が開状態にある、図4のX-X’線に沿った断面図である。
【0038】
VCBV600は、1つまたは複数のボア605が雄型、雌型、またはそれら両方のロータボア排出面610に設けられて実施され得る。図示のように、VCBV600は、複数のボア605がスクリュー7、9の回転方向において圧縮機ハウジング10のロータボア排出面610の周りに周方向に配置されるものとして実施され得る。しかしながら、弁部材615が所望の流れおよびターンダウンに対して十分に大きい場合、排出面にボア605が1つだけあればよいであろう。雄スクリュー9および雌スクリュー7のローブ320が噛合し、同じ圧力キャビティに接続されるため、単一のVCBV600構成が可能である。VCBV600を雄側にのみ配置することで、ボア605をその設計がロータ設計と連携するようにサイズ決めし得るとともに、より大きな雄ローブがVCBV600を完全に覆い、そのため、より低い圧力のねじ山に対するいかなる漏れも排除するという、利点を与え得る。
【0039】
したがって、図示のように、ボア605は、圧縮室3の側にではなく排出面610に形成され、そのため、スクリュー9のローブ320が、スクリューが圧縮室で回転する際にボア605を覆う。さらに、ボア605は、スクリュー9のローブ320の幅よりも小さい幅を有し、そのため、ローブ320が、スクリュー9が回転する際にボア605を完全に覆う。このことは、流体がボア605を通ってローブの周りに逆流することを防止する。
【0040】
したがって、図9A図9B、および図10Aに示すように、VCBV600が閉じられる(ロータボア排出面610内に形成されたキャビティ635を塞ぐように弁部材615が完全に延出する)と、圧縮された流体は、圧縮室出口240に達するまでスクリュー9のローブ320の高圧側に留まり、それから圧縮機出口28を出ることができる。逆に、図9C図9D、および図10Bに示すように、VCBV600が開かれる(弁部材615が後退する)と、圧縮された流体の一部が、圧縮室3を出ることができ、バイパス室22に放出され、圧縮室の圧縮室出口240を出る代わりにバイパス室で循環して圧縮室3のガス流入口215、220に戻ることができる。図11および図12において説明するように、弁部材615は、シール効率を向上させるために特定の形状特徴を有し得る。
【0041】
図11は、弁部材615が完全に後退した位置にある、VCBV600の上部を示す。図12は、弁部材615が部分的に延出した位置にある、VCBV600の上部を示す。図示のように、スクリュー9に対してより良好にシールするために、弁部材615は、入口に戻る流路を閉鎖する弁座に組み込まれたシール625に対して配置され得る。さらに、弁部材615は、スクリュー9のローブ320と相互作用するための平坦面630を提供する半円筒形状を有する。平坦面630は、ロータボア排出面に対して平行に延びるように配置され得る。さらに、弁部材615は、平坦面630をロータボア排出面から圧縮室3へ外方に突出させるようにボア605内において中心からずれて配置または位置合わせされ得る。このことは、圧縮機効率を下げる空隙を形成することなく、弁部材615がロータボア排出面610内に配置されることを可能にする。弁体のこの平坦面630の移動するシール面は、リフト弁または軸方向スライド弁の複雑な移動するシール面よりも、製造、組み立て、および維持が容易であり得る。
【0042】
さらに、弁部材615は、僅かに中心からずらされてロータボアに延出するようにボア605内に配置され得る。弁部材615がロータボア内に部分的にあることにより、ローブ320の低圧側に対してロータアペックスシールを越えてガス漏れを引き起こす、ロータボアの表面におけるいかなる空隙も塞ぐために、弁栓625が提供され得る。弁栓625はまた、ロータ運動を妨げないように弁配向を維持するのに使用される。
【0043】
さらに、いくつかの例示的な実施では、弁部材615は、開口した領域640を平坦面630の反対側に有し得、これは、VCBV600が開かれるとVCBV600を通る圧縮された流体の流れを増加させるためにシール面を形成する。これらの実施では、上述したように、弁部材615が下がると、圧縮された流体が平坦面630の上面の上を流れて開口した領域640に入り、弁部材615の長さを下ってバイパス室220に入ることができる。このことは、これらの例示的な実施において、VCBV600が開いている間、圧縮された流体がVCBV600を通って流れることを可能にする。他の例示的な実施では、弁部材615は、平坦面630の後部側がソリッド(solid)であり得る。
【0044】
本発明は、修正および代替形態が可能であるが、その様々な特定の実施形態は、図面において例として示されており、本明細書において詳細に説明されている。しかしながら、本明細書における特定の実施形態の説明は、開示される特定の形態に本発明を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。さらに、例示的な実施は、工業的な場所または一定の場所に限定されず、運搬可能な構成は、車両、トレーラまたは他の運搬可能な構造にスクリュー圧縮機100を取り付けることによって達成することができる。
【0045】
上述の詳細な説明では、図、略図、および例を用いることにより、デバイスおよび/またはプロセスの様々な例示的な実施を述べた。そのような図、略図、および例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限りにおいて、そのような図または例における各機能および/または動作は、多様な構造によって、個別的および/または集合的に実施することができる。特定の例示的な実施が記載されてきたが、これら実施は、単に例として提示されており、保護の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書において説明される新規の方法および装置は、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書において説明されるデバイスおよびシステムの形態の様々な省略、置き換えおよび変更が、保護の趣旨から逸脱することなくなされてもよい。添付の特許請求の範囲およびその均等物は、保護の範囲および趣旨内に該当するそのような形態または修正を包含することが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12
【国際調査報告】