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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】階段昇降能力を強化した機械式台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B62B5/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541900
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 US2023010615
(87)【国際公開番号】W WO2023137072
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】17/944,375
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/330,795
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/322,709
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/298,952
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524261521
【氏名又は名称】フリードマン,エライザー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,エライザー
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD01
3D050EE04
3D050EE13
3D050KK04
(57)【要約】
第1端と第2端を有するフレームと、前記第1端に隣接するハンドルと、第2端から延びる踏み台とを有する台車。前記第2端に隣接する車輪は、回転移動のために前記フレームおよび踏み台を支持する。第1端を有するレバー部材は、前記第1端および前記第2自由端において前記フレームに枢動可能に接続される。位置安定化部材は、前記第2端に近接する前記フレームの各側に枢動可能に接続され、各シューアセンブリは、それぞれの車輪の下方に延びる支持位置に枢動する。前記レバー部材の自由端は、表面に対して配置され、各シューアセンブリのシュー部分が前記支持位置に移動することにより、前記フレームがその周りに枢動する。自動制動システムにより、不要な下方への移動が防止される。再位置決めされたレバー部材および複数の共通にヒンジを介したレバー部材により、完全な階段昇降と前記位置安定化部材の廃止が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1端および第2端を有するフレーム;
b)前記フレームの前記第1端に隣接する少なくとも1つのハンドル;
c)前記フレームの正面から延び、前記第2端に近接し、荷重を支持するように構成された少なくとも1つの荷重支持要素;
d)任意に、前記フレームの前記第2端に隣接し、回転移動のために前記フレームおよび前記荷重支持要素を支持するように構成された少なくとも2つの車輪;および
e)前記フレームの後方に前記台車上の前記荷重の重心移動により影響を繰り返し受けるように構成された機構を備え、
前記機構は、重心移動の結果生じる加えられた重量の圧力をハンドルに向かって後方に受けると、前記台車を後方に移動させることにより、前記台車の持ち上げを容易にする台車。
【請求項2】
前記台車は、重心が戻される間、前記台車および当該台車によって運搬された荷重を持ち上げられた位置で支持し安定させるように構成された安定化支持構造をさらに備え、
前記安定化支持構造は、前記第2端に近接する前記フレームの各側面に駆動可能に接続されたシューアセンブリの1つを備え、各シューアセンブリは、そのシュー部分が、それぞれの車輪の下方に延び、前記フレームから離れる方向に延びる支持位置に駆動するように構成されており、
前記フレームに平行に配置され、前記荷重に対向する細長い三角形構成、を備え、
前記三角形構成が回転したときに、前記三角形構成の側面が支持面として機能する、請求項1に記載の台車。
【請求項3】
重心移動に影響される前記機構は、任意に長さ調節可能なレバー部材を備え、当該レバー部材は、前記フレームの第1端に近接して前記フレームに駆動可能に接続された第1端と、第2自由端とを有し、
前記レバー部材の前記自由端は、表面に対して配置されるように構成され、前記フレームが、前記レバー部材上近傍において駆動するように構成されている、請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記レバー部材の前記自由端は、段差の表面に直接圧縮係合しているときは前記レバー部材と整列した位置を維持し、前記表面から係合解除して段差の立ち上がり部に係合しているときは屈曲可能であり、レバー部材と整列しない可動ブーツ部材を備え、
前記可動ブーツ部材は、その使用者による前記ハンドルの手動制御を解除することなく、前記レバー部材と整列して展開可能であり、前記レバー部材と整列せずに移動可能である、請求項3に記載の台車。
【請求項5】
1)前記台車および当該台車によって運搬される荷重を第1の車輪支持面からレバー位置にレバーに持ち上げることを可能にする、より高い段に係合するためのレバー位置に展開可能な一体型レバー部材と、
2)前記一体型レバー部材が第2の車輪支持面への第2レバー持ち上げのために解除可能な延長要素で長くされている間、
前記台車および当該台車によって運搬される荷重を持ち上げられた位置で支持し安定させるように構成された安定化支持構造と、
3)前記台車の車輪に係合して、前記台車の上方への移動を妨げることなく下方への移動を阻止する制動機構と、を備え、
前記安定化支持構造は、前記台車の上方方向への移動を妨げず、前記一体型レバー部材、前記解除可能な延長要素および安定化支持構造は、レバー、持ち上げおよび支持操作を繰り返すために係合解除可能である、請求項1に記載の台車。
【請求項6】
前記台車は、前記機構が安定位置未満への持ち上げを可能にするときに、前記台車の元の位置への復帰を防止する位置保持構造を備え、これにより前記機構の復帰をリセットすることが、達成された持ち上げられた位置を失うことなく達成されることを特徴とする、請求項1に記載の台車。
【請求項7】
重心移動によって影響を受ける前記機構は、前記台車の操作者が前記台車の前記ハンドルを解除することなく、更なる持ち上げのための復帰とそれに続く重心移動でリセット可能な自動作動構造を備える、請求項1記載の台車。
【請求項8】
前記台車は、前記台車が少なくとも2つの車輪を有し、少なくとも1つの車輪が、所望の方向への回転を可能にする一方で、望ましくない方向への車輪の回転を防止するように構成されている、車輪の回転が制御された停止制動構造を備える、請求項1記載の台車。
【請求項9】
前記停止制動構造は、効果的な制動により車輪と自動的に係合し、車輪の望ましくない方向への回転の開始とともに、前記車輪の回転とともに係合に引き込まれるように構成されている、請求項8記載の台車。
【請求項10】
前記停止制動構造は、台車の下向きの移動中に台車が段差に着地すると同時に自動的に作動するように構成されている、請求項8に記載の台車。
【請求項11】
前記停止制動構造は、手動制御なしに所望のように制動するために停止制動操作を制御するように構成された機構を備え、
前記台車の操作者が前記台車のハンドルの制御を解除する必要なしに、所望のときに停止制動構造を作動または解除することができる制御機構を備える安定化機構が設けられている、請求項8に記載の台車。
【請求項12】
2組のハンドルが、前記フレームの前記第1端に隣接し、前記フレームの長さに沿って互いに間隔をあけて配置され、
前記2組のハンドルが、荷重の運搬中に前記台車が階段を昇降する移動の間に台車の取り扱いおよび制御を容易にするように配置および構成されている、請求項1に記載の台車。
【請求項13】
少なくとも2つの車輪を有し、前記車輪を接続する車軸が、延長部を有する前記車輪を越えて延びるとき、前記シューアセンブリが前記車軸の前記延長部に支持されている、請求項2に記載の台車。
【請求項14】
各シューは、前記台車が階段の最上段及び短い踊り場に到達したときに、前記フレームに対して折り畳まれるように構成されることにより、前記台車の幅よりも広い運搬される荷重を有する前記台車の拡張された幅によって移動が制限されている、請求項2に記載の台車。
【請求項15】
細長いレバー部材が焦点にヒンジを介して取り付けられた前記ハンドルは、前記フレーム内の軌道に沿って前記フレームの長手方向高さに対して調節可能である、請求項3に記載の台車。
【請求項16】
チェーン内のバネは、前記停止制動構造の展開を制御するのに役立ち、
前記安定化機構は、前記安定化機構が段差の縁または段差の障害部に係合したとき、前記停止制動要素をロックするように展開され、
前記安定化機構が前記段差の前記縁または前記障害部から遠ざかったときに、前記バネが前記停止制動を解除する、請求項11に記載の台車。
【請求項17】
車輪付き装置のための停止制動構造であって、
前記停止制動構造は、所望の方向への車輪の回転を許容する一方で、所望でない方向への車輪の回転を防止するように構成された、制御された車輪の回転を備え、
前記停止制動構造は、効果的な制動を伴って、車輪と自動的に係合し、前記車輪の回転に伴って係合状態に引き込まれるように構成されており、
手動制御の有無にかかわらず、望まれない方向への車輪の転動の開始とともに、前記停止制動が、所望のように制動するために構造の停止制動動作を制御するように構成された機構によって自動的に作動するように構成されており、
前記停止制動構造は、制御要素を有する車輪付き装置上で、所望のときに、前記車輪付き装置の操作者が前記制御要素の制御を解除する必要なしに、停止制動構造を作動または作動不能にすることができる制御機構を有する安定化機構を備える、車輪付き装置のための停止制動構造。
【請求項18】
前記安定化機構は、前記制動機構上に配置され、一端に突出部を有するレバー要素を備え、当該突出部はチェーンを制御したバネに挿入され、
前記レバー要素は、自由なレバー第2端を有し、当該レバー第2端は階段の縁または段差の障害部に係合する結果持ち上げられるように構成されていることにより、
前記レバー第2端が持ち上げられると、前記突出部は前記チェーンおよびブレーキを制動位置に押圧し、持ち上げられた状態から前記レバー端の解除は、制動位置から制動機構の解除をもたらす、請求項17に記載の停止制動構造。
【請求項19】
前記台車は、前記台車上の荷重の重心移動によって影響されるように展開されるように構成された前記フレームの後部にレバー機構をさらに備え、
前記機構は、重心の連続する移動の結果生じる加えられた重量の圧力を、前記ハンドルに向かって後方に受けるとき、前記台車は後方に移動することにより、
前記台車を第1立ち上がり部高さより上に持ち上げ、支持された荷重を有する前記台車を次の階段または支持面まで移動させることを容易にする、請求項1に記載の台車。
【請求項20】
前記レバー機構は、その後部で前記フレームにヒンジを介して取り付けられた少なくとも2つの細長いレバー部材を備え、
前記レバー部材は、前記フレームから連続的に離間され、前記レバー部材の高さは、連続的に短くなることにより、前記細長いレバー部材は、階段の連続する上面に係合して、前記第1立ち上がり部高さよりも上に支持された荷重を有する前記台車の同時または連続的なレバーによる持ち上げを効果的にすることができる、請求項19に記載の台車。
【請求項21】
前記レバー機構は、少なくとも1つのハンドルに近接する焦点位置で前記フレームの後部にヒンジを介して取り付けられた3つの細長いレバー部材を備え、前記細長いレバー部材の各々は、任意に、同時または連続のレバーによる持ち上げを効果的にするために前記階段の連続する上面に係合するそれぞれの前記レバー部材の高さの調節を可能にする高さ調節構造を備える、請求項19に記載の台車。
【請求項22】
各々が立ち上がり部高さを有する階段の段差の上に荷重を容易に持ち上げるための台車であって、
前記台車は、
a)第1端および第2端を有するフレーム;
b)前記フレームの前記第1端に隣接する少なくとも1つのハンドル;
c)前記フレームの正面から延び、前部第2端に近接し、荷重を支持するように構成された少なくとも1つの荷重支持要素;および
d)任意に、前記フレームの前記第2端に隣接し、回転移動のために前記フレームおよび前記荷重支持要素を支持するように構成された少なくとも2つの車輪;を備え、
前記台車は、前記台車上の荷重の重心移動によって影響されるように展開されるように構成された前記フレームの後部に分離されたレバー機構をさらに備え、
前記機構は、重心の連続する移動の結果生じる加えられた重量の圧力を、前記ハンドルに向かって後方に受けるとき、前記台車は後方に移動することにより、
前記台車を段差の第1立ち上がり部高さより上に持ち上げ、支持された荷重を有する前記台車を次の階段または支持面まで移動させることを容易にし、
前記レバー機構は、
i)少なくとも1つのハンドルに隣接し、その上部端に近接して前記フレームにヒンジを介して取り付けられた上部レバー要素;
ii)その下部第2端に近接する下部レバー要素;および
iii)前記フレームの前記下部第2端および前記下部第2端にヒンジを介して取り付けられた前記下部レバー要素にヒンジを介して取り付けられた持ち上げ要素を備え、
前記持ち上げ要素は、前記下部レバー要素を十分に持ち上げて、前記第1立ち上がり部高さの隣接立ち上がりを通過し、前記レバー要素がレバー構成になることを可能にするように構成されている、台車。
【請求項23】
前記レバー要素は、前記第2端から前記フレームの高さの下部部分に配置され、
前記レバー要素は、前記レバー要素に近接する立ち上がり部による閉塞を回避することを可能にしながら、段差面および次の立ち上がり部間の接点に向けて段差から段差に向かうにつれて上昇させることを可能にする機構を備える、請求項22に記載の台車。
【請求項24】
前記台車の能力を向上させるための機械的方法であって、大容量重量荷重を階段の上まで移動させ、階段を制御可能に降りることができるようにするための方法であって、
前記台車は、第1端および第2端を有する支持フレームで構成され、前記第1端に制御ハンドルが設けられ、前記第2端に要素を支持する荷重支持要素が設けられており、
前記方法は、以下のステップを含む:
a)前記フレームの前記第1端に枢動可能に接続された第1端を有するレバー部材を、
前記レバー部材の第2端が自由である状態で、前記レバー部材の第1端で提供し、前記レバー部材の自由端は、表面に対して配置されるように構成され、前記フレームは、前記レバー部材近傍で枢動される、ステップ;
b)係合可能かつ係合解除可能な中間重量支持体または位置安定を有する台車を提供し、前記中間重量支持体または位置安定は、最初のレバー引き上げの後に展開可能に構成され、前記台車の下方への移動なしに、一体型ヒンジ付きレバー部材を伸長するために係合解除して、連続する追加のレバー持ち上げを提供することを可能にするステップ;
および
c)前記台車の上方への移動中に前記台車の下方への移動を遅らせ、下方への移動を制御するように構成された、係合可能かつ係合解除可能な制動構造を有する前記台車を提供するステップ。
【請求項25】
請求項24に記載の方法は、以下のステップをさらに含む:
i.前記台車を、第1の階段に隣接する表面上または平面上に、前記第1の階段の立ち上がり部に近接させるステップ;
ii.一体型ヒンジ付き細長いレバー部材を前記台車から離れる方向に延ばし、自由端をより高い第2の階段の段差部に支持係合させ、前記レバー部材をレバーとして使用して前記第1の階段の立ち上がり部に対して前記荷重を上げるステップ;
iii.さらにレバーによる引き上げ能力を追加するために、前記レバー部材が伸長している間、前記荷重を所定の位置に保持するための荷重支持構造を展開するステップ;
iv.延長された前記レバー部材を使用して、前記台車の車輪がさらに上方に移動し、前記第2の階段の前記段差上に移動できるように、前記台車をその荷重支持保持場所からレバーで持ち上げるステップ;
v.前記レバー部材を元の長さに戻し、荷重圧力を解除するステップ;および
vi.前記台車が最上階を通過して踊り場に出るまでステップii~vを繰り返し、前記制動構造が、上方階段移動中の不要な後方移動を防止するステップ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、それぞれ2022年1月12日、2022年3月23日、および2022年4月14日に出願された仮特許出願シリアル番号63/298952、63/322709、および63/330795から優先権を取得するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、階段昇降能力を強化した機械式台車に関するもので、特に重い荷重に使用される場合に有効である。
【0003】
〔背景技術〕
”階段を登る”と説明される台車は、従来技術において周知である。多くの事例において、階段昇降台車は、主要な一組の車輪の後方に配置されたレール状部材に依存しており、このようなレール状部材は、次の平坦な表面上または階段上での車輪の係合が生じるまで、台車を階段の段差の端部上で引くことおよび/または滑らせることを可能にする。この型の階段昇降台車の例は、Restadらに対する米国特許第4,046,391号明細書、McPeakらに対する米国特許第4,570,953号、およびCuscheraに対する米国特許第4,962,992号に見出される。
【0004】
従来の先行技術に対する改良ではあるが、これらの開示された改良は、主輪が水平面上にないとき、階段を昇りおよび/または降る移動の特定の地点で、荷重の重量の大部分をそこにいる人が運ばなければならないという点で、台車を使用する人にとって多大な労力を依然として必要とする。他の人々は、電動機能または電気機能を使用することでこの問題を克服しようとしてきた。しかしながら、電動機能または電気機能を台車に追加することは、台車のコストを著しく増加させ、また、台車を燃料、バッテリーまたは他の電力源のような消耗品の入手可能性および費用に依存させる。
【0005】
〔発明の概要〕
従って、本発明の目的は、必要に応じて係合または係合解除できる有利な直ちに利用可能な機械的特徴を有する改良された台車構造を提供することにある。これにより、電動機能または電気的機能を使用することなく、階段で荷重を持ち上げたり降ろしたり、または平坦面もしくは傾斜面で従来の台車操作を行う際に、操作者を支援することができる。従来の台車の技術を拡張することにより、階段上でより容易に使用することができる。
【0006】
一般に、本発明は、連続して関連する操作された位置決めにおいて1つ以上のレバー要素を利用することによって、または、長さ調節可能なレバー要素と中間重量支持体との組合せを有する実施形態において、または、高さ位置安定装置を有する実施形態において、手動重量操作およびこのような移動を効果的に行うための装置を最小化しながら、特に階段上で、かつ、階段下で制御可能にすることができる大容量重量荷重を移動させることができる車輪付き台車の能力を増強するための機械的方法および機械的装置を備える。自動制御された制動システムは、階段上および階段下の両方において不要な動作を最小化して台車を安定させ、追加の制御を提供し労力を最小化する。台車装置は機械的荷重搬送で作動するが、本発明の作動を効果的にするために使用される制御装置には、機械的作動と電気的作動の両方が含まれることが理解される。
【0007】
この方法は以下の方法からなる:
a)前記台車上の前記荷重の重心移動によって影響を繰り返し受けるように構成された機構を前記フレームの後部に備えた従来技術の台車(種々の実施形態では、前記機構は、前記フレームの上部もしくはその近傍、または中部もしくはその近傍にヒンジを介して取り付けられている)を提供し、
前記機構が、重心移動の結果生じる加えられた重量の圧力を前記ハンドルに向かって後方に受けると、前記台車を後方に移動させることによって、前記台車の持ち上げを容易にする。重心移動の影響を受ける機構の一実施形態は、重心移動に伴うレバー持ち上げをもたらすために、(運搬された荷重に対して)後方に移動され、階段の段差のような、より高い、通常は平面状の表面に係合されるように構成された自由端を有する、少なくとも1つの一体型ヒンジ付き細長いレバー部材を備え、
b)後述するように、位置決め、レバーによる持ち上げの範囲、およびレバー要素の数に応じて、前記台車は、さらに任意に、係合可能および係合解除可能な中間重量支持体または位置安定装置(特に、レバーによる持ち上げが階段立ち上がり部高さより小さい増分で行われる場合)を備え、この位置安定装置は、最初のレバーによる持ち上げの後に展開可能であり、一体型ヒンジ付きレバー部材が下方に移動することなく伸長するために係合解除されることを可能にし、階段または段差のクリアランスのための連続する追加のレバーによる持ち上げを提供する;および
c)特に、制御可能な下降操作のため、および安定化された持ち上げのために、前記台車に、安定化のための前記台車の上昇移動中に前記台車の下方または後方への移動を遅らせ、かつ下方への移動を制御するように構成された係合可能および係合解除可能なブレーキ構造(好ましくは、自動的に作動する)を設ける。
【0008】
一般に、階段の階段上に荷重を移動させるための、第1の実施形態における、構成されたような前記台車の使用は、以下のステップによってもたらされる:前記台車の車輪を、階段の第1の階段に隣接する表面または平面領域上で、前記第1の階段の立ち上がり部に近接して移動させる(あるいは、前記台車を前記第1の階段に隣接させる);
i.重心移動によって影響される機構、例えば、一体型ヒンジ付き細長いレバー部材を傾斜した前記台車から離して伸長させ、前記自由端をより高い第2の階段の段差部に支持係合させ、前記レバー部材をレバーとして使用して前記第1の階段の立ち上がり部に対して前記荷重を上昇させる;
ii.前記レバー部材が伸長している間、前記荷重を所定の位置に保持するための荷重支持構造を(自動または手動で)展開し、レバーによる引き上げ能力を実現する;
iii.延長された前記レバー部材を使用して、前記台車の車輪がさらに上方に移動し、前記第2の階段の段差上に移動できるように、前記台車をその荷重支持保持場所からレバーで持ち上げる;
iv.自らの意志で(または手動で)前記荷重支持構造を解放し、前記レバー部材を元の長さに戻す;および
v.前記台車が最上階の階段を通過して踊り場に出るまでステップiiからivを繰り返し、前記制動構造が前記階段の上昇移動中または下降移動中に伴う不要な後方移動を防止する。
【0009】
台車装置の少なくとも1つの実施形態において、本発明は、第1端および前記フレームの第1端に隣接する少なくとも1つのハンドルを有する第2端を有するフレームと、前記第2端に近接して前記フレームから延びる少なくとも1つの踏み台または支持要素とを含む台車を提供する。典型的なように、前記フレームの前記第2端に隣接する少なくとも2つの車輪は、回転運動のために前記フレームおよび前記踏み台を支持するように構成される。車輪それ自体は、本発明には必要ではなく(ブレーキ展開を除いて)、単に既存の台車の典型的なものであることが理解される(以下の議論では、このような慣例で「車輪」と呼ぶ)。前記新型台車は、前記フレーム上部または中間部から下部に近接して前記フレームに枢動可能に接続された第1端、および第2の自由端を有するレバー部材(単一または複数のレバー要素からなる)を有する。
【0010】
前記レバー部材の展開が部分的な階段昇降をもたらす場合、係合可能なシューアセンブリは、前記第2端に隣接する前記フレームの各側に枢動可能に接続され、各シューアセンブリは、そのシュー部分が、所望のときに、それぞれの車輪の下方に延びる支持位置に枢動するように構成される。従って、非標準的な小さい階段高さの場合、前記シューアセンブリの使用は不要であり、本明細書で説明したように、前記レバー部材の係合と使用のみで、場合によってはレバーの伸長なしで、前記荷重の上昇を処理することができることを忘れてはならない。逆に標準的な階段高さでは、操作者は前記レバーを無効にし、前記シューアセンブリの段差寸法縮小のみに依存するという選択肢もある。
【0011】
前記レバー部材は、長さに関して様々に調整することができ、また自由端ブーツを含むため、前記レバー部材の自由端が可撓性を有し、レバーを提供するために表面に対して様々に配置されるように構成することができる。前記フレームは、各シューアセンブリの係合した前記シュー部分が荷重支持位置に移動するように、必要に応じて有利に駆動させることができる。追加的なブレーキシステムの特徴は、階段上で荷重を安全かつ制御可能に昇降させるのを補助するものとして、車輪付き台車について記載されている。さらに、前記ブレーキシステムは、各階段に着地した後、下降中に前記ブレーキを制御する安定機構を含み、前記台車に自動的にブレーキをかける。これにより、前記台車が前記階段を滑り落ちるのを防ぐ。その後、前記ブレーキが解除され前記台車が下降を続けられるようになる。
【0012】
従って、前記台車装置は一実施形態では、車輪付き台車を備える:車輪付き台車は、
a)第1端と第2端を有するフレーム;
b)前記フレームの前記第1端に隣接する少なくとも1つのハンドルで、通常は前記フレームの背面から延びるか、またはアクセスできる;
c)前記フレームの正面から延び、前記第2端に近接し、荷重を支持するように構成された少なくとも1つの踏み台または支持要素;
d)任意で、前記フレームの前記第2端に隣接し、回転移動のために前記フレームおよび前記踏み台を支持するように構成された少なくとも2つの車輪(外部または他の手段は、昇降部位への移動のために本明細書に含まれる);
e)前記台車上の前記荷重の重心移動による影響を繰り返し受けるように構成された前記フレームの後部に設けられた機構であって、前記機構が重心移動に起因する加重の圧力を前記ハンドルに向かって後方に受けると、前記台車を後方に移動させ、前記台車の持ち上げを容易にする機構;および
f)重心が戻される間、前記台車および当該台車よって運搬される荷重を持ち上げられた位置で支持および安定させるように構成された安定化支持構造体を備える。
【0013】
この実施形態のさらなる変形では、前記台車装置は、
a.重心移動による影響を受けるように構成された、一体型レバー部材、当該一体型レバー部材は、前記台車および当該台車によって運搬される荷重を第1の車輪支持面からレバー位置にレバーに持ち上げることを可能にする、より高い段に係合するためのレバー位置に展開可能である;
b.前記一体型レバー部材が第2の車輪支持面への第2レバー持ち上げのために解除可能な延長要素で長くされている間、前記台車および当該台車によって運搬される荷重をレバー位置で支持し安定させるように構成された安定化支持構造;および
c.前記台車の車輪に係合して、前記台車の上方への移動を妨げることなく下方への移動を阻止する制動機構を備え、
前記安定化支持構造は、前記台車の上方方向への移動を妨げず、前記一体型レバー部材、前記解除可能な延長要素および前記安定化支持構造は、レバー、持ち上げおよび支持操作を繰り返すために係合解除可能である。
【0014】
本発明のさらなる態様として、ブレーキシステムおよび機構が、車椅子、自転車、ショッピングカート、ベビーカー、乳母車など、他の多くの動く車輪付き用途の安全装置または制御装置として、独立して一般的に利用可能である。
【0015】
さらなる実施形態では、一連のレバー要素が連続使用され、立ち上がり部の距離全体にわたって台車による持ち上げが行われ、前記支持安定装置の使用が省略される。
【0016】
この実施形態は、第1の実施形態のような中間位置安定化部材または支持シュー要素を必要とすることなく、立ち上がり部高さまで全レバーによる引き上げを実現する重量荷重レバー台車を提供する。さらなる目的は、荷重が段差から段差へ連続的なレバー駆動で持ち上げられる構造を有する重量荷重レバー台車を提供することにある。
【0017】
この実施形態は、(必要に応じて)調節可能な長さの異なる複数の隣接するがヒンジを介して分離されたレバー部材を用いて、階段立ち上がり部の高さを通過するのに十分な複数のレバーによる持ち上げを密接に連続的に行うための方法および装置を備える。レバー部材は、第1の実施形態の単一のレバー部材と同様の方法で、前記台車フレームの上部に、共通の焦点取付け部を用いて、連続的にヒンジを介して取り付けられる。前記レバー部材の高低差は、一般的な立ち上がり部の高さ程度である。前記台車に最も近い前記レバー部材は最も長く、最初の台車位置に隣接する第1の段差の水平面に係合するように構成され、前記台車が載っている基準面から第1の立ち上がり部高さのすぐ上まで延びている。前記第2のレバー部材は前記第1のレバー部材より階段立ち上がり部の高さだけ短く、前記台車が載っている基準面から約2.25段立ち上がり部高さだけ延びており、第3のレバー部材は第2のレバー部材より追加の階段立ち上がり部の高さだけ短く、基準面から約3.5段立ち上がり部高さだけ延びている。
【0018】
このような配置により、前記第1のレバー部材は、第1の実施形態と同様に、隣接する階段の平坦面に係合し、階段立ち上がり部高さの一部に相当する距離だけ前記荷重をレバーにより持ち上げるように、前記台車から前記台車使用者の方へヒンジを介して後方移動される。次に、ヒンジ付き2番目の短いレバー部材は、次の連続する階段の平坦面に係合され、2番目のレバー部材は、前記台車および前記積荷を、立ち上がり部高さの追加的な距離まで枢動させるために使用される。次に連続する第3の短いレバー部材は、同様に次の連続する階段の平坦面に対して展開される。第3の短いレバー部材は、台車を前記最初の段差の平坦面上に転がすか移動させることができるように、前記荷重を立ち上がり部と等しい高さまで持ってくるためのレバー駆動を提供するために使用される。このようなクリアランスにより、それぞれのレバー部材は段差表面から係合解除し、次の展開のために互いに倒れる。それぞれのレバー部材は、ヒンジを介して分離された状態で、少なくともわずかに分離された状態を維持するためにバネのような取り付け部材で制御可能に緩く取り付けられ、また、過度に分離されることを防止するためにチェーンのような取り付け部材で制御可能に緩く取り付けられる。
【0019】
この実施形態では、前記台車の高さは、使用者または操作者が追加のレバー配置により快適になる必要性に対応するために、標準的な台車の高さより高くなっている。完全な立ち上がり部高さの持ち上げを実現するために2つのレバー部材が使用され得るが、それは前記台車の厄介な改造を伴うかもしれない。3つのレバー部材は、迅速な立ち上がり部高さの持ち上げのための構造的な構成を提供する。しかしながら、より少ない追加のレバー部材も本発明の範囲内であることが理解される。
【0020】
実施形態の一態様では、前記ハンドルは、レバー部材の焦点取付けにより、通常位置および伸長位置に移動およびロックされ得る伸縮配置で前記台車フレームに取り付けられている。あるいは、所望であれば、伸縮式配置は、所望の高さに達したとき、歯車が噛み合って所望の高さ位置にロックされるように、噛み合う歯車歯を備えている。
【0021】
異なる立ち上がり部高さ、階段の欠落、および階段の最上部での展開(係合面が欠落しているか、または制限されている)といった様々な条件に対応するために、前記レバー部材は、第1の実施形態の前記台車における単一のレバー部材の単一の長さのブーツとは対照的に、長さが変化する構造を備える。実施形態のさらなる変形では、前記レバー部材の長さの変化は、前記レバー部材が、係合した歯車で移動可能な伸縮要素で構成されることで実現され得る。所望の長さに達すると、噛み合わされた前記歯車は所定の位置にロックされる。一般に、配置決めし、区分された持ち上げを効果的にするための3つのレバー部材の典型的な相対的高さは、前記台車が載っている基準面より上の、(台車に最も近い)第1のレバー部材について約1階段立ち上がり部高さ(典型的には8”)であり、第2のレバー部材(基準面より約2および1/4上)について(角度のある位置決めに対応するため)追加の約1および1/4階段立ち上がり部高さより短い、および第3のレバー部材(基準面より約3および1/2上)について追加の約1および1/4階段立ち上がり部高さより短い。
【0022】
前記レバー部材の高さまたは長さの変更は、他のレバー部材の邪魔にならないように行う。
【0023】
様々な実施形態における、各々が立ち上がり部高さを有する階段を昇る荷重を容易に持ち上げるための台車は、概して、以下の構成からなる:
a) 第1端と第2端を有するフレーム;
b) 前記フレームの前記第1端に隣接する少なくとも1つのハンドル;
c) 前記フレームの正面から延び、前記第2端に近接し、前記荷重を支持するように構成された少なくとも1つの踏み台または支持要素;および
d)任意で、前記フレームの前記第2端に隣接し、回転移動のために前記フレームおよび前記踏み台を支持するように構成された少なくとも2つの車輪。
【0024】
実施形態によると、前記台車は、前記台車上の前記荷重の重心移動による影響を受けるように展開されるように構成された前記フレームの後部にレバー機構をさらに備える。従って、前記機構が、重心の連続的な移動の結果生じる、ハンドルに向かって後方への、加えられた重量の圧力を受けると、前記台車は、後方へ移動させられることにより、前記台車の完全な立ち上がり部高さより上への持ち上げと、支持された荷重を有する台車の次の階段または支持面への移動とを容易にする。
【0025】
第3の実施形態では、二重レバー要素が台車のフレーム上に構成され配置され、立ち上がり部の距離全体にわたって持ち上げを行う。この第3の実施形態では、台車の構造をさらに簡略化して、2つのレバー要素による単一の連続的なレバー移動が、重い荷重を載せた階段の高さいっぱいのリフトに十分なリフトを提供する機械的機構を提供することが目的である。
【0026】
この実施形態は、先の実施形態と同様に、台車フレームの上部端に近接してヒンジを介して取り付けられた上部レバー要素(調節可能な長さを有するか、単一の標準的な長さを有する)を有する台車と、ハンドルとを備える。第2のレバー機構は、前記台車フレームの標準的な台車の高さ(高さ位置は、しかしながら、第2機構のスパン位置に依存する)の約3分の1の高さ、または台車が支持されるベース表面から標準的な3段差(約26インチ)をわずかに超える高さにおいて、台車フレームにヒンジを介して取り付けられている。
【0027】
第2のレバー機構は、回転可能で、前記台車が載っている前記面の上方にある第1の段差面の後端まで延びるのに十分な長さの、自由に回転可能なレバー要素で構成されている。前記レバー要素は、レバー要素を、次の段差面上に展開するために近接する階段立ち上がり部の縁を通過できる位置まで持ち上げる持ち上げ部材に取り付けられている。配置されると、前記レバー要素は、一方向のレバー位置に固定配置される。この実施形態の1つの変形では、前記レバー要素は、前記持ち上げ要素にヒンジを介して取り付けられ、後者は前記台車のフレームにヒンジを介して取り付けられている。このような実施形態では、持ち上げ要素およびレバー要素は、このような固定位置決めにより同軸のレバー長さを提供する。
【0028】
操作では、荷重を備える台車を階段に近づける。レバー要素は折り畳まれ、隣接する階段の立ち上がり部の高さより上に持ち上げられ、次にレバー要素はレバー位置に固定配置され、立ち上がり部より上の段差の表面を横断して次の立ち上がり部またはそれに隣接する段の表面の端まで延ばされる。次に台車は、前記上部レバー要素が前記下部レバー要素の係合面より多くの場合2段上の段差面に係合するまで、レバー要素上で旋回される(1段または3段も可能だが、あまり多くない)。前記台車の車輪またはベースが最初の立ち上がり部を通過するまで、台車は上部レバー要素上でレバーまたは駆動され続ける。その後、前記台車は前方への移動で整えられ、各段ごとに配置およびレバー操作が繰り返される。最上段では、長さを調節した後、使用者は単に踊り場で後方に移動し、上部レバー要素の配置を可能にする。
【0029】
本発明の上記の目的、特徴および利点は、図面および考察からより明らかになるであろう:
〔図面の簡単な説明〕
添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の現在好ましい実施形態を説明するものであり、上述した一般的説明および以下に示す詳細な説明とともに、図面における本発明の特徴を説明するのに役立つものである:
図1は、本発明の実施形態に係る台車の正面透視図である。
【0030】
図2は、図1の台車の背面立面図である;
図3は、図1の台車の右側面透視図であり、左側面はその鏡像である;
図4は、図1の台車の上部ハンドル部分の正面立面図である;
図5は、図1の台車の背面立面図である;
図6は、図1の台車の下部の背面透視図である;
図7は、図1の台車の下部の右側面透視図であり、左側面はその鏡像である;
図8は、図1の台車の例示的な制動、安定装置およびシューアセンブリの透視図である;
図9は、台車が階段の段差の1/2立ち上がり部まで移動したときの、例示的な制動およびシューアセンブリの正面透視図である;
図10図15および図17は、本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である;
図16は、台車アセンブリの車輪が階段の踏面上に移動しているときの制動とシューアセンブリの正面透視図である;
図18は、本発明の実施形態による、階段から踊り場への例示的な台車のレバー位置決めおよび連続移動の1つの操作方法を示す側面立面図である;
図19A-Eは、分離された可撓性ブーツおよびレバー部材(19A)が、自由状態(19B)、係合状態(19C)、階段案内(19D)、およびレバー部材の自由端を伸ばすように構成され使用される階段(19E)で係合されるときを示している;
図20A-Cは、制動を制御する安定装置を備えた制動システムを、分解図(20A)、台車・ベース上の係合図(20B)、および階段上での操作図(20C)で別々に示す。
【0031】
図21および図21A-Eは、一時的な位置安定保持・支持機構とその展開方法の第2実施形態を示す;
図22A-Fは、複数のレバー部材を備えた本発明の台車の第2の実施形態の動作を、中間持ち上げ支持安定装置なしで荷重を階段で持ち上げる際に、3つのレバー部材の構造を図示しながら連続的に写したものである。
【0032】
図23A-23Eは、本発明の台車の第3の実施形態の構造および連続動作を示しており、中間持ち上げ支持安定装置なしで二重レバー部材とともに元の配置から(図23A)、段差立ち上がり部を通過するためのレバー要素の持ち上げ(図23B)、レバー要素のレバー配置(図23C)、台車の最初のレバー持ち上げ(図23D)および台車の完成したレバー持ち上げ(図23E)から構成されている。
【0033】
〔発明の詳細な説明〕
図面において、同様の数字は全体を通して同様の要素を示す。本明細書において、特定の用語は便宜上使用されているに過ぎず、本発明を限定するものとして捉えられるものではない。以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかしながら、本開示に基づいて、本発明は、本明細書に記載される好ましい実施形態によって限定されないことが理解されるべきである。
【0034】
〔単一のレバーと中間支持機構とを備えた実施形態〕
図1-9を参照して、本発明の第1の実施形態による例示的な階段昇降台車10を説明する。図1-4を参照すると、図示された台車10は、典型的な概してレバー状のメインフレーム12を含む。メインフレーム12は、メインフレーム12の片側に設けられた少なくとも2つの直立部12aと、直立部12aの間を概ね垂直に延びる複数のクロス部材12bとを含む。フレーム32bに近接する第1端には、台車10の移動中、特に階段の昇降中に台車10を把持することを可能にする一対のハンドル38がある。追加の一組の下部ハンドル18もまた、必要に応じて使用するために提供される。図示されていないが、一対のハンドルは、機能的に等しい単一のハンドルセット、例えば、フレームの幅を横断して延び、両手で把持可能な円弧形状のハンドルセットに置き換えられてもよい。少なくとも2つの車輪14は、フレーム12の第2端に近接するフレーム12と回転可能に係合するように示されている。好ましくは、車輪14は、フレーム12の直立部12aから外側に延びており、台車10を表面(図示せず)に沿って回転することを可能にする。第2端に近接するフレーム12の正面から外向きに延びるのは、持ち上げ面すなわち踏み台16である。好ましくは、踏み台16の少なくとも一部は、箱(図示せず)のような物体の運搬および輸送を可能にするために、フレーム12の正面で概ね垂直に延びている。
【0035】
図2図3図6および図7を参照すると、任意に一対の標準の昇降アセンブリ20がフレーム12の第2端の背面に支持されている。各標準の昇降アセンブリ20は、それぞれの直立部12aから延びる二次フレーム部材22を含む。トラック24は、各二次フレーム部材22によって支持されており、トラック24の周りに連続ベルト26が延びている。ベアリング27などは、ベルト26がトラック24の周りを移動可能であるように、トラック24およびベルト26の間に延びている。台車10が階段踏面等に対して傾けられるとき、標準的な昇降アセンブリ20は、踏面に接触するベルト26に対して移動する台車10を補助する。特定の実施形態では、二次フレーム部材24および連続ベルト26は、標準的な昇降アセンブリ20と一体であってもよいし、標準の昇降アセンブリ20の代わりになっていてもよい。台車10の2組のハンドル以外のこの部分は、概して、上記で特定された先行技術の装置に記載されている通りである。しかしながら、このような装置は、主車輪が水平面上にないとき、階段の昇りおよび/または降りの移動のある時点で、荷重の重量の大部分をその人が運ばなければならないという点で、台車を使用する人による多大な努力を依然として必要とする。以下に説明するレバーアセンブリ30およびシューアセンブリ50は、階段などを昇る台車10の移動を補助する。先行技術の台車は、レバーアセンブリ30および/またはシューアセンブリ50を追加するように改良されてもよく、または、台車10は、好ましくはレバーアセンブリ30およびシューアセンブリ50の両方がフレーム12などに直接組み込まれた均一な装置として製造されてもよい。
【0036】
図1図6を参照して、本発明の実施形態に係るレバーアセンブリ30について説明する。本実施形態において、レバーアセンブリ30は、一対の直立部32aおよび少なくとも1つのクロス部材32bを有するメインフレーム12から延びるレバーフレーム32を含む。一対の駆動ハンドル38は、レバーフレーム32から延びており、ヒンジ37でクロス部材32bに枢動可能に取り付けられたレバー部材40に対して台車10を枢動させるように構成されている。本実施形態は、レバーフレーム32および駆動ハンドル38を含むが、レバー部材40は、代替的に、メインフレーム12のクロス部材12bの1つに直接ヒンジ付けされ、主ハンドル18が枢動のために利用されてもよいことが理解される。すなわち、メインフレーム12およびレバーフレーム32が全体のフレームを規定するのとは対照的に、メインフレーム12が全体のフレームを規定してもよい。
【0037】
レバー部材40は、好ましくは、ロック可能な接合部42で伸縮自在に相互接続された第1の管部材40aおよび第2の管部材40bを有する。本実施形態では、歯付きバー44が、管部材40aに沿って延び、接合部42によって支持されたハンドル46aによって係合される。ハンドル46aは、ロック解除位置とロック位置との間で移動可能である。ここで、ロック解除位置は、ハンドル46aが歯付きバー44に係合せず、管部材40aおよび40bがレバー部材40の長さを調節するために互いに相対的に軸方向に移動可能な位置である。ロック位置は、ハンドル46aの一部が歯付きバー44の歯に係合することによって、管40aおよび40bの相対的な軸方向の位置をロックし、それによってレバー部材40の長さを固定する位置である。レバーハンドルまたはクロスバー36は、レバー部材40から延びており、ハンドルを離すことなくレバー部材40の揺動を制御するために利用することができる。好ましくは、レバーハンドル36は、駆動ハンドル38に近接しているため、使用者は、以下に説明されるように、昇降中にハンドル36および38の間で指を容易に動かすことができる。本実施形態は歯付きバー44を含むが、伸縮自在に相互接続された管部材40aおよび40bは、クランプ式またはラチェット式のロックまたはピンのような、操作中に調節が容易な任意のロック可能な伸縮機構によって固定されてもよく、また他の任意の長さ調節機構も同様に使用できることが認識される。さらに、必要なレバーの長さが分かる場合、ブーツを有する1つの全長レバーは、大抵の階段の条件に対して十分である。標準的な階段寸法に関して一実施形態では、台車・フレームは、レバー長さが約41インチから約60インチの間に達する約60インチの標準的な高さであることに留意されたい。
【0038】
レバー部材40の自由端41は、枢動ピン43を介してブーツ46に延在し、枢動可能に接続されている。ピン43は、好ましくは、自由端41を貫通する軸方向スロット49a(図6図19A~E参照)を貫通して延び、ブーツ46がレバー部材40に対して揺動可能かつ軸方向に移動可能であるようになっている。第2のピン45は、ブーツ46を横断して延び、レバー部材40の自由端41の横ノッチ49に係合して、レバー部材40とブーツ46を軸方向に整列させてロックし、後述するように、その間の揺動を防止するように構成されている。ブーツ46の自由端は、好ましくはゴムのような滑り止め材質の接触面48を規定する。
【0039】
図6図9を参照して、本発明の実施形態による例示的なシューアセンブリ50について説明する。各シューアセンブリ50は、メインフレーム12に対して回転するように構成された支持ブロック52を含む。図示の実施形態では、共通の車軸55が、各車輪14および各支持ブロック52を貫通して延びている。従って、台車10の重量は、以下に説明されるように、車軸55を貫通してメインフレーム12から車輪14または支持ブロック52のいずれか、ひいてはシューアセンブリ50に渡される。
【0040】
本発明の階段昇降の実施形態では、運搬される荷重を垂直に積み重ねて荷重の重心を高くすることによってレバー部材40によるレバーを大きくすることが望まれることがある。従って、階段昇降のための特定の実施形態では、本発明の利点を最大にするために、運搬される荷重の重心をできるだけ高く、可能な限りフレーム12に近づけることが好ましい。
【0041】
接続ブラケット54が各支持ブロック52に固定され、それとともに回転するように構成されている。ヒンジ56が、接続ブラケット54とそれぞれのシュー60との間に延びている。各シュー60は、支持フレーム62と接触面64とを含む。図示された実施形態では、支持フレーム62は、中央支持プレート63(図9参照)を有する三角形の構成を有する。ただし、支持フレーム62は、積載された台車10の重量を支持するのに適した他の構成を有してもよい。支持ブロック52、ブラケット54およびシュー60は、シュー接触面64が表面に係合するとき、車輪14が表面から間隔をあけて支持されるように構成されている。一例として、車輪14は、標準的な階段立ち上がり部高さの約半分である表面から約4インチ支持されることがある。従って、非標準的な小さい階段高さの場合、シューアセンブリの使用は不要であり、本明細書で上述したように係合され使用されるレバー部材のみで、荷重の上昇を進めることができることを忘れてはならない。逆に標準的な階段高さの場合、操作者はレバーを無効にし、シューアセンブリの段差縮小のみに依存するという選択肢もある。
【0042】
各シュー60は、好ましくは、シュー60が車輪14の通常の動作に干渉しない非係合配置(図10および図11)から、シュー60が表面に静止するか(例えば図16参照)、または図9に図示された位置まで駆動することができる係合可能配置まで、ヒンジ56周りに駆動するように構成される。シュー60は、a)ロックして閉じた状態、b)展開準備中、c)展開した状態、およびd)邪魔にならない所にヒンジで移動した状態の4つの位置のうちの1つにあり、最小限の輪郭と階段および踊り場構造との最小限の干渉を提供する。
【0043】
図示された実施形態では、紐65が各シュー60からコネクタ68(図1参照)まで延びている。コネクタ68は、メインフレーム12の上部接続点67またはメインフレーム12の下部接続点69に接続することができる。紐65が上部接続点67に接続されると、シュー60は非係合配置に維持され、コードコネクタ68が下部接続点69に移動すると、シュー60は係合可能な配置に配置される。本明細書ではコードについて説明するが、シュー60を所望の配置に維持するために、例えばレバー、ピンなどの他の機構を利用してもよい。様々な実施形態において、シュー60の係合は任意であり、階段の高さ、運搬する荷重の重量、および操作スペースに基づいて係合することができる。いくつかの実施形態では、コードはその長さの一部としてバネ66を含み、荷重がある位置から踊り場まで移動するときにシューの係合を解除するのを容易にする。図18を参照すると、より高い位置に紐65を配置することで、伸張が増大した状態で、バネ66のより大きな張力を提供する。したがって、台車が平坦な表面から持ち上げられると、シューは自動的に折り畳まれる。シューの支持面からの支持距離は、一般に、ブーツの距離と同じである。平坦な表面で台車を使用している間、使用の邪魔にならないように、シューはずっと上方に折り畳むことができる。
【0044】
図示された台車10はまた、各車輪14に関連する制動部材70および安定バー80を含む。図8を参照すると、各制動部材70は、一対のサイド部材72とその間に延びる接触面74とを有するU字形(車輪の形状に応じて異なる形状とすることができる)の構成を有する。サイド部材72は、制動部材70が、接触面74が車輪14から離間している非係合位置と、接触面74が車輪14の下半球(その一方はゴムなどの滑り止め材料であることが好ましい)に接触している係合位置との間で揺動可能であるように、枢動ピン73を介して副フレーム22(または車輪の後方の任意のブラケット)に駆動可能に接続されており、そのため、階段を下るような前方方向への回転は防止される一方、階段を上るような後方方向への移動は許容される。このようにして、制動部材70は、階段を転がり落ちるような望ましくない前方への移動を防止する。
【0045】
チェーン75(その一部がバネ76であってもよい)は、制動部材70から接触面74に近接して、メインフレーム12の上部接続点77またはメインフレーム12の下部接続点79に接続され得るコネクタ78(図1参照)まで延びている。チェーン75が上部接続点77に接続されると、制動部材70は係合解除位置に維持され、チェーンコネクタ78が下部接続点79に移動されると、制動部材70は係合位置に配置される。このようにして、制動部材70は、階段を昇るときには係合させ、階段を下りるときや平面上を移動するときなど、前進が望まれるときには係合を解除することができる。本明細書ではチェーンについて説明するが、制動部材70を所望の位置に維持するために、例えばレバー、ピンなどの他の機構を利用してもよい。
【0046】
図7図8図20のA、B、およびCを参照すると、安定バー80は、駆動点82でメインフレーム12に駆動可能に接続されている。安定バー80は、制動部材チェーン75に係合可能なノッチ86(階段を降りるときのみ使用)を含む。ノッチ86が制動部材チェーン75に接続されている間に、安定装置・バー80の背部80b(台車の背部から突き出ている)が80aで上部段差の縁に係合すると、降下する台車10が制動された位置で着地することになる。これは、安定装置の後端80bが台車とともに下降することができないためである。
【0047】
スタビ立ち上がり部は駆動点82で回転し、安定装置86の前端が下方に移動することによって、安定装置が上部の接続点に接続された状態で、自動的にチェーン75を引き下げる(チェーンはその中心にあるバネ76のために、これほど低く引き下げることができる)。この操作は、例えばチェーンが下部接続点に接続されているときと同じ制動位置となり、フル制動位置となる。台車が(下降中に)下部階段のそれぞれに着地すると、台車を立位に向かって前方に押すことにより、安定装置が上部階段の縁から解除される。その後、バネ76がチェーン75を引き上げ、車輪を制動から解除する。これにより、残りの階段にさらに安全に着地することができる。
【0048】
上記の制動システムは、台車の実施形態に関して具体的に説明されているが、特定の車輪付き装置の車輪および構成に適合された同様の構造は、所望するときに自動制動動作を提供するために、いかなる車輪付き装置または搬送物にも組み込むことができる。
【0049】
例示的な台車10の構成要素を概ね説明したため、図9-16を参照してその動作を説明する。図10および図11を参照すると、台車10は、各紐65が、シュー60が非係合配置にあるように上部接続点67に接続され、各チェーン75が、制動部材70が非係合位置にあるように上部接続点77に接続されるという点で、通常の非上昇操作のために構成されている。台車10は、車輪14を介して、およびハンドル18を介してフレーム12を傾けることによって、表面100に対して車輪で移動(または他の方法で移動)することができる。図11に示されるように、台車10は、ベルト26が最初の段差102aに隣接して配置された一組の階段101の基部の近くに配置されるように、矢印Aの方向に移動され得る。各段差102a、b、c...は、立ち上がり部103および踏面104を含む。台車10がそのように位置決めされた状態で、レバーアセンブリ30およびシューアセンブリ50は、台車10を一組の階段101上に移動させる、すなわち登るのを助けるために利用され得る。
【0050】
図12を参照すると、台車10が登れるようにするために、シューアセンブリ50および制動部材70は、紐65およびチェーン75を動かすことによって調整される。すなわち、各紐65は、シュー60が係合可能な配置にあるように、矢印Bで示されるように下部接続点69に移動される。また、各チェーン75は、制動部材70が係合位置にあるように、矢印Cで示されるように下部接続点79に移動される。台車は現在、操作者に対して角度のある位置にある(レバー部材は台車と同じ方向に配置されるべきである)。一連の上昇は、その後熟練した操作者によるレバー部材のレバー位置の選択によって、非常に助けられる。従って、図12に示すように、一実施形態では、レバーハンドル36は、自由端41が第2の段差102bの踏面104に近接して位置するように、レバー部材40をヒンジ37周りに駆動させるために使用される。第1の段差102aは、持ち上げられたシーケンスの初期部分中に車輪14が踏面104に移動するように、通過したままにされる。自由端41が第3段差102cの踏面に近接して配置されることも可能である。
【0051】
この実施形態では、対象位置の選択は、縁に近い段差の前半分にある。近接して位置決めされると、管40aおよび40bは、矢印Eで示すように、自由端41が踏面104上に位置するまで互いに調整される。ハンドル46aは、レバー部材40の長さが固定されるように、歯付きバー44に再び係合される。この段階で、ブーツ46は、ブーツ46が踏面104に沿って平面になるように、好ましくは台車10の方を向くように、枢動ピン43の周りに回転されることに留意されたい。当業者は、レバー部材40、歯付きバー44、およびブーツ46は、階段の高さ、階段の奥行き、および運搬される荷重の重量に基づいて調整および位置決めされ、操作者から操作者までおよび荷重から荷重まで、好みの観点により変えることができる所望のレバーおよび持ち上げを得ることができることを理解するだろう。ブーツ46を備えたレバー部材40の長さは、一部の実施形態では、階段の欠落を補填するため、または、高さ寸法が異なる階段と共に使用するために、寸法を設定することができる。ブーツ46の枢動移動と面圧ロックとによってもたらされる剛性拡張は、ハンドルの手動係合を外すことなく、展開または解除することができる。
【0052】
上記配置の選択下のもとで図13を参照すると、このように配置されたレバー部材40を有し、揺動力は矢印Fで示すように駆動ハンドル38に適用される。レバー部材40の自由端41が踏面104に係合し、ベルト26および車輪14が第1の段差102aの立ち上がり部103に当接した状態で、駆動力は、矢印Gで示すように、台車10を上方に移動させる。台車10が上方に移動すると、シュー60は、接触面64が表面100上に位置し、台車10が支持フレーム63および支持ブロック52によって図9および図13に示すように上昇維持されるまで、それぞれのヒンジ56周りを自由に駆動する。
【0053】
上記位置の選択下のもとで再び図14を参照すると、台車10が矢印Hで示される方向に駆動ハンドル38を介して駆動される。台車10が枢動されると、シューアセンブリ50は接触を維持し、フレーム12に対する支持ブロック52の枢動接続に基づく枢動を可能にする。
【0054】
台車10が矢印Hで示されるように前方に揺動されると、レバー部材40は矢印Iで示されるように自動的に持ち上げられ、ブーツ46は、接触面48が踏面104上に静止するまで自由端41に対して揺動する。ハンドル36を使用して、レバーとブーツの位置決めを制御し、方向づけることができる。図19A-Eにより明確に描かれているように、レバー部材40の自由端41は、ブーツ46のピン45と係合する。ブーツ46は、ブーツを通して踏面に圧力がかかり続ける限り、レバーの一部と一体であるかのように完全に静止し、剛性となる(このような圧力を解除すると、ブーツ46を元の位置へ駆動させることができる)。従って、揺動力は、レバー部材40およびブーツ46を介して、接触面48に伝わる。接触面48は、保持ピン45に対して所定の位置に保持される、係合の圧力で、踏面104と係合する。ブーツ46は、好ましくは、シュー60の高さにほぼ等しい高さを有し、レバー部材40およびブーツ46が共に、ブーツ46およびシューのない元のレバーアームと同様のレバーアームを規定する。
【0055】
図15をさらに参照すると、第1の段差102aの踏面104上に台車10の移動を完了するために、矢印Jで示すように、駆動ハンドル38に再び枢動力が加えられる。従って、枢動力により、台車10は矢印Kで示すように上方に移動する。台車10が上方に移動すると、車輪14は第1の段差102aの立ち上がり部103を取り除き、車輪14は第2の段差102bの踏面104上に自由に移動する。支持ブロック52の駆動性により、台車10が第1の段差102aの踏面104上に移動すると、図15および図16に示すように、シューアセンブリ50は単に枢動する。図17を参照すると、台車10が第1の段差102aの踏面104上に完全に載ると、他の段差に上向きに移動するためにこの手順を繰り返すことができる。
【0056】
レバー部材40の自由端41を第2の段差102b上に配置することが好ましいが、特定の実施形態では、自由端41の配置は、所望のレバー、空間の制約、および当業者にとって理解されうる他の操作上の考慮事項に基づいて変化させることができる。いかなる位置決め戦略の下でも、レバーの位置決めの操作者の選択は、段差ごとに、特に荷重が段差から踊り場へ移動するとき、異なる可能性があることに留意されたい。
【0057】
このような点で、操作者は、図18に示すように、位置決め戦略を調整しやすくするためにレバーを長くすることができる。図18では、シューの紐65はその中心にバネ66を含む。このバネ(または同様の部材)は、スペースが限られた踊り場に台車を持ち上げるときに有用である。
【0058】
踊り場はスペースが限られているため、台車は底面および幅の広い荷重間のシューを開けるためのスペースの損失を引き起こす立った状態で立てられなければならず、バネ66は、踊り場の下の段からシューを持ち上げるときに、シューを自動的に閉じさせる。図18に示すように、台車がシューを開いた状態で配置されると、紐65はバネ66を伸ばすより高い接続点に取り付けられるため、(台車を持ち上げることにより)荷重圧力から解除されると、シューが自動的に閉じられる。台車が小さな貸し出しの上に持ち上げられる位置にあるとき、レバーは通常よりも非常に延ばされ、2つ半の欠けた段差の高さを置き換える。この場合、レバーは通常のように傾斜して配置されるのではなく、わずかに反対側の斜めに配置される。この位置は、スペースが足りないという問題を解決するために必要なものであり、台車を傾斜した位置に曲げるために必要なものである。この着地点にいるある種の操作者は、いずれにせよ、より低い高さにある第2の一組のハンドルバーの利用可能性も有用であると理解するかもしれない。この第2の一組のハンドルバーもまた、地表面または他の表面での荷重の表面移動における台車の従来の操作を容易にする。
【0059】
図21を参照すると、台車は、前述した安定化シュー構造50に代えて、シューの実施形態で上述したように、レバー伸長中に台車が後退するのを防止するための安定化要素として、台車の上および後部を横断して、ならびに車輪の上および車輪に隣接して配置された安定化三角形状要素150を、ヒンジを介して備える。三角形要素150は、バネ151によってバネ負荷されるバネであり、チェーン152(図21Aにおいてより明瞭に理解される)によって反転が防止される。
【0060】
図21A-Eは、150bにおいてブラケット20に枢動可能に接続された三角形要素150がレバー部材40の伸長中に位置安定を提供する台車10の持ち上げ操作を連続的に描いている。図21Aに示すように、三角形要素150は、バネ圧縮で階段縁102aに支持され、段差104を水平にする台車の上方移動を妨げない。レバー部材40を介して及ぼされるレバーにより、下縁150aが階段の縁102aを通過すると、圧縮ばね151が三角形要素150を押圧し、図21Bに示す段差104係合位置まで三角形要素150を回転させる。
【0061】
これにより、図21Cに示すレバー部材40の解除中(移動Hを伴う)、台車10および荷重の下方または後方への移動が、セクション46で長くするために遅延または阻止する。図21Dに示されるように、台車が段差104まで持ち上げられると、段差縁102bは三角形部150を、その後のさらなる上方移動を妨げない後退位置に押し戻す。
【0062】
先の実施形態と同様に、長くされたレバー部材は、レバー部材40が圧力から解除され、図21Eに示されるように、延長部46が元の位置に戻された状態で、より高い、すなわち第2の階段までレバーを使って台車をさらに上昇させるために使用される。
【0063】
レバーを使った引き上げ、位置安定、第2レバー昇降によるレバー部材の伸長動作は、台車が段差を通過するまで継続する。制動手順および制動要素は、先の実施形態と同様に、後方への滑落防止および荷重を載せた階段の下降に伴う制御の効果を発揮し、台車が下降動作であるときには後退するように構成されている。
〔複数のレバー要素を備えた実施形態〕
図22A-Fは、典型的な台車110の第2の実施形態を示し、この台車110は、操作を容易にするために、標準的な高さのハンドル138bの上方に伸長可能な延長部138aが上げられたハンドルと、台車フレーム110aの上部に137でヒンジを介して取り付けられた3つのレバー機構140とを備えたレバー持ち上げ機構を備えている。図示されているように、3つのレバー機構140は、共通のヒンジ式焦点137を有し、それぞれのレバー部材(高さが変化し、おおよその段差立ち上がり部高さによって連続的に短くなる140a、140b、140c)の長さは、それぞれの図面の順序に示されているように、それぞれハンドル146a、146b、146cによって調節可能に構成され、それぞれ後続の段差114、116、117に係合する。
【0064】
図22A-Fの順序に示されるように、レバー部材によるそれぞれのレバー作用は、台車を表面113から持ち上げ、支持された荷重を、段差間隔に対する階段段差114の高さ114a上に連続持ち上げる。台車110および荷重が段差を通過すると、ヒンジ付きレバー部材は共に折りたたまれ、前進して、後続の各段差について手順を繰り返す。
【0065】
図22A-Fに示される順序は、後続する各段差について繰り返される。図22Aは、段差114の段差立ち上がり部114aに隣接する位置に持ち込まれた車輪14を示す。レバー部材140aの端141aは、ハンドル138aを矢印の方向に引き、ハンドル136を操作することによる台車110の後方移動によって、段差114の平坦な表面と直接係合する位置に持ち込まれる。図22Bは、ハンドル138aをさらに後方に引くことにより、より短いレバー部材140bが(およそ階段立ち上がり部高さ分だけ)、レバー部材先端141bで後続する段差116の平坦面に係合することを示す。図のように、ハンドル138aを引き続けることは、隣接する立ち上がり部114aの部分的な立ち上がり距離のための車輪14の上方移動とともに、レバー部材141aおよび141b上の台車110のレバー作用を引き起こす。
【0066】
図22Cに示すように、レバー部材先端141cの最も短いレバー部材140cは、段差117の平坦面に係合する。ハンドル138aを引き続けると、レバー部材140aが段差114の平坦面から持ち上げられ、レバー部材140bおよび140cは、車輪14を立ち上がり部114aに対して持ち上げるためにさらにレバーを提供する役割を果たす。図22Dおよび図22Eでは、レバー部材140cでレバーをかけ続けることで、立ち上がり部114aの高さを通過する車輪14をさらに持ち上げられる。車輪14は段差114の平面上を回転および静止することができる。
【0067】
折りたたまれるレバー部材140a-c(支持圧力の解除を伴う)は、図22Fの矢印で示すように、次に前進させられる。レバー部材140aは、次に、図22A-Eに示される連続する段差の繰り返しで、車輪14を立ち上がり部高さ116aの上まで引き上げるために、段差116の次の後続の平面に係合される。階段の最上部では、踊り場上の長さの異なるレバー部材140-cの距離間隔が、最終的なレバーによる持ち上げを行う役割を果たす。この実施形態では、複数のレバー部材が、連続するレバーの段差による完全な立ち上がり部高さの持ち上げを伴う中間位置安定化の代わりになる。
【0068】
レバー部材は、階段測定で利用する前に、高さ調節により予め長くしておいてもよいし、実際の持ち上げ手順中に、分離したハンドルとロック要素によって高さ調節してもよい。
【0069】
〔ハイブリッド・レバリング構造の実施形態〕
第3の実施形態において、図23A-Eに見られるように、機械式台車210は、ハンドル238に近接して台車フレーム210aにフレームの上部端237でヒンジを介して取り付けられた第1レバー要素すなわちロッド240を備えている。レバー要素240は、先端241で任意に長さ調節するための長さ調節ハンドル246を任意に備える。
【0070】
図示されているように、第2のレバー機構は、標準的な台車・フレーム210の約3分の1の高さで台車にヒンジ337によってヒンジを介して取り付けられた第1の持ち上げ部材340aを備える。
【0071】
持ち上げ部材340は、その長さの略中央で、ヒンジ要素337aおよび支持要素350により、レバー要素340bにヒンジを介して取り付けられている。持ち上げ部材340a、レバー要素340b、および台車・フレーム210a間のチェーン339およびばね部材342は、図23Aの初期静止位置において、レバー機構240および340の要素の台車210に対する緩く制御された位置決めを維持する。台車の車輪250は、最初の段差214および立ち上がり214aに隣接する最初の平面213上に静止する。自由端341は、立ち上がり角214a’に隣接する表面213の近くに静止する。
【0072】
図23Bに示される初期操作では、レバー要素340bの移動が立ち上がり部214aによってレバー位置決めから遮断されるので、レバー要素340bは、ヒンジ337aを介して持ち上げ部材340aに対してほぼ垂直位置まで折り畳まれる。レバー要素340bは、制御ストリング343(およびハンドル343a)を有する持ち上げ部材340aによって持ち上げられ、隣接する立ち上がり部縁部214bを通過する。チェーン339は、持ち上げ分離を制限し、バネ342は、レバー340が縁214bを通過した後、レバー要素340bおよび持ち上げ部材340aを、図23Cに示される元の長手方向の配置に戻す役割を果たす。
【0073】
その後、持ち上げ部材340a、レバー要素340b、およびレバー要素341の端は、段差表面214と次の立ち上がり部216aとの間の接合部215に近接させられる。図23Dに示されるように、台車210は、上部レバー要素240がより高い段差平面217に係合して、台車が立ち上がり部214aを通過し、図23Eに示されるように段差214の平面まで移動されるまで、第2の連続的なレバーを提供するために、荷重を部分的に持ち上げながら、レバー要素340bの周りに駆動され、レバーをかけられる。先の実施形態と同様に、繰り返しは、台車の前方への移動と、各連続する段差の図23Aに示される位置への要素が畳まれることによって達成される。
【0074】
本発明の広範な発明概念から逸脱することなく、上述の実施形態に変更または修正を加えることができることは、当業者には理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲および趣旨の範囲内にあるすべての変更および修正、ならびにこれらと同等に動作可能な要素を含むことが意図されていることが理解されるべきである。さらに、上記の説明および図面は、輸送システムに関連する先行技術の要素を含むが、これらは、既存の台車の改良のために例示されていることを理解されたい。しかしながら、本発明の構造および要素は、先行技術要素の有無にかかわらず独立して操作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明の実施形態に係る台車の正面透視図である。
図2図1の台車の背面立面図である。
図3図1の台車の右側面透視図であり、左側面はその鏡像である。
図4図1の台車の上部ハンドル部分の正面立面図である。
図5図1の台車の背面立面図である。
図6図1の台車の下部の背面透視図である。
図7図1の台車の下部の右側面透視図であり、左側面はその鏡像である。
図8図1の台車の例示的な制動、安定装置およびシューアセンブリの透視図である。
図9】台車が階段の段差の1/2立ち上がり部まで移動したときの、例示的な制動およびシューアセンブリの正面透視図である。
図10】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図11】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図12】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図13】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図14】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図15】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図16】台車アセンブリの車輪が階段の踏面上に移動しているときの制動とシューアセンブリの正面透視図である。
図17】本発明の実施形態による例示的な台車のレバー位置決めおよび階段の連続移動の操作方法を示す側面立面図である。
図18】本発明の実施形態による、階段から踊り場への例示的な台車のレバー位置決めおよび連続移動の1つの操作方法を示す側面立面図である。
図19】分離された可撓性ブーツおよびレバー部材(19A)が、自由状態(19B)、係合状態(19C)、階段案内(19D)、およびレバー部材の自由端を伸ばすように構成され使用される階段(19E)で係合されるときを示している。
図20】制動を制御する安定装置を備えた制動システムを、分解図(20A)、台車・ベース上の係合図(20B)、および階段上での操作図(20C)で別々に示す。
図21】一時的な位置安定保持・支持機構とその展開方法の第2実施形態を示す。
図22】複数のレバー部材を備えた本発明の台車の第2の実施形態の動作を、中間持ち上げ支持安定装置なしで荷重を階段で持ち上げる際に、3つのレバー部材の構造を図示しながら連続的に写したものである。
図23】本発明の台車の第3の実施形態の構造および連続動作を示しており、中間持ち上げ支持安定装置なしで二重レバー部材とともに元の配置から(図23A)、段差立ち上がり部を通過するためのレバー要素の持ち上げ(図23B)、レバー要素のレバー配置(図23C)、台車の最初のレバー持ち上げ(図23D)および台車の完成したレバー持ち上げ(図23E)から構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図20C
図21
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
【国際調査報告】