(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】付加製造システムにおける粉末除去のための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/35 20170101AFI20250117BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20250117BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250117BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20250117BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20250117BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20250117BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20250117BHJP
【FI】
B29C64/35
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/165
B29C64/393
B29C64/245
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541946
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2023060752
(87)【国際公開番号】W WO2023137487
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ ヴァタニ
(72)【発明者】
【氏名】カール リッタウ
(72)【発明者】
【氏名】セイエド モハンマド サジャディ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR11
4F213AR12
4F213AR14
4F213WA25
4F213WA53
4F213WA67
4F213WA72
4F213WA86
4F213WB01
4F213WF23
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】付加製造システムにおいて粉末を除去するための改善された方法および装置が提供される。
【解決手段】パターン化された粉末部分を有する基板からパターン化されていない粉末を除去するための一実施形態では、ビームパラメータを有する少なくとも1つのレーザが、基板からパターン化されていない粉末を除去するのに十分な時間、パターン化されていない粉末に照射される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化された粉末部分とその上に堆積されたパターン化されていない粉末部分とを有する基板からパターン化されていない粉末を除去する方法であって、
パターン化されていない粉末(非パターン化粉末)を基板から除去するのに十分な時間、ビームパラメータを有する少なくとも1つのレーザを非パターン化粉末に適用して、非パターン化粉末が配置されていた基板の上面に非パターン化粉末が存在しないようにする一方で、パターン化された粉末部分(パターン化粉末部分)を基板上に残すことを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレーザのビームパラメータならびに前記粉末および前記基板の材料は、前記レーザからのパワーが前記非パターン化粉末によって吸収されるが、前記基板によって吸収されないように、予め設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのレーザの前記ビームパラメータは、前記レーザのプロファイル、前記レーザの波長、前記レーザの出力、前記非パターン化粉末への前記レーザの適用の動作時間、前記レーザの適用領域、および前記非パターン化粉末における前記レーザの吸収の深さを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレーザは、前記非パターン化粉末の特定の量が、前記非パターン化粉末を前記パターン化粉末から分離するのに必要な温度に達するのに十分な期間、前記非パターン化粉末の温度を上昇させるように、前記非パターン化粉末に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレーザが、前記非パターン化粉末と前記パターン化粉末との間の境界に直接隣接する前記非パターン化粉末上の点に照射される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーザは、前記非パターン化粉末と前記パターン化粉末との間の境界に直接隣接する前記非パターン化粉末上の点から移動され、前記少なくとも1つのレーザは、前記境界から外側に離れて最初に適用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのレーザが前記非パターン化粉末に適用されている間、前記非パターン化粉末の体積を監視して、前記レーザの動作および移動を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザは、前記基板および前記非パターン化粉末の上方から照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザは、前記基板が前記レーザ源と前記非パターン化粉末との間に位置するように、前記基板および前記非パターン化粉末の下から照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板は、前記非パターン化粉末が粉末容器の上に懸架されるように反転され、前記レーザは、前記基板が前記レーザ源と前記非パターン化粉末との間に位置するように、前記基板および前記非パターン化粉末の上から照射され、前記粉末容器は、前記レーザの照射中に前記基板から落下する非パターン化粉末を収集するために、前記基板および前記非パターン化粉末の下に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板および前記粉末は、キャリアプレート上に取り付けられ、前記キャリアプレートは、前記キャリアプレートの上方に位置するレーザ源と、前記キャリアプレートの下方に位置する前記粉末容器とを含むレーザステーションに挿入される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基板から除去した後、前記非パターン化粉末をリサイクルすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレーザが前記非パターン化粉末に適用されている間に、前記非パターン化粉末に空気流を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのレーザが前記非パターン化粉末に適用された後に、前記非パターン化粉末に空気流を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ビームパラメータは、前記パターン化された領域の解像度を増加させ、前記少なくとも1つのレーザが向けられるターゲットパターン領域からバインダ材料のブリード領域を除去するように設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ビームパラメータは、ユーザが、前記レーザが追従する輪郭、および前記レーザをどこに向けるかを決定することを可能にするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記輪郭は、線または螺旋であり得る、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ビームパラメータは、複数のレーザパラメータセットを有する前記レーザの複数の輪郭を可能にするように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の追加の粉末除去技術を適用して、前記非パターン化粉末を前記基板から除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記粉末は、前記基板上の層全体から除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのレーザおよび前記1つまたは複数の追加の粉末除去技術が、前記基板から複数の位置の前記非パターン化粉末を実質的に同時に除去するために適用される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の追加の粉末除去技術が、エアナイフまたは振動技術のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記基板から前記非パターン化粉末を除去した後に、前記パターン化された層をビルドプレートに転写することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記基板と、前記粉末の前記パターン化粉末部分および前記非パターン化粉末部分の両方との間に位置する剥離層を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加製造システムにおいて粉末を除去するための改善された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷システムなどの従来のAMシステムでは、ブラシおよびエンドミルなどの手動装置を使用して、3D印刷された部品から緩い粉末又は緩い圧縮粉末を除去してきた。残留粉末は、エアナイフによってさらに除去することができ、除去された粉末の抽出を助けるために真空ポートを使用することができる。空気を使用して、結合材料に曝露されず硬化されなかった材料の部分を除去することができる。これらの技術は、基材の回転、傾斜、および/又は振動と組み合わせて、粉末除去プロセスを最適化することができる。空気を用いない振動も使用することができ、部品の物理的な揺動はオプションである。しかしながら、これらの物理的除去方法は時間がかかり、材料の固定された部分、特に、手で乱されて剥離する可能性がある縁部または表面は、(しっかりと固定されているか部分的に固定されているかにかかわらず)損傷しやすい。使用される手動デバイスに応じて、デバイスが、緩いまたは未硬化の材料が存在し得る全ての角または隙間に到達することができない可能性もある。さらに、3D印刷システムに組み込むことができるブラシまたはエンドミルの物理的サイズに制限がある。
【0003】
場合によっては、液体浸漬を使用して、材料の固化していない部分を除去しており、典型的には、結合材料に曝露されず硬化しなかった材料の部分を洗浄するために流体流を使用している。結合材料に曝露されず、硬化されなかった材料の部分は、溶液に溶解され、洗い流されてもよい。あるいは、部品を流体浴に浸漬し、トランスデューサを使用して超音波を生成し、最終的に部品からデブリを除去することができる。この方法の1つの欠点は、部品が液体に浸漬されていることである。別の欠点は、除去された粉末が今や役に立たず、著しい処理なしに再利用することができないことである。
【0004】
上述した全ての粉末除去方法では、結合材料に曝されて硬化していない材料の除去に改善が必要であることが分かる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、その上に堆積されたパターン化された粉末部分と、パターン化されていない粉末部分とを有する基板から、パターン化されていない粉末を除去するための方法であって、基板上にパターン化された粉末部分を残しながら、パターン化されていない粉末が位置していた基板の上面がパターン化されていない粉末を含まないように、基板からパターン化されていない粉末を除去するのに十分な時間、ビームパラメータを有する少なくとも1つのレーザビームをパターン化されていない粉末に照射することを含む。
【0006】
図面は、本教示による1つまたは複数の実施形態を、限定ではなく単に例として示す。図中、同様の参照番号は、同一または類似の要素を指す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の態様による、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末が堆積され、レーザ粉末除去処理を受けた基板を示す図である。
【
図2A】本開示の態様によるレーザ粉末除去処理を受けた、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末が堆積された、代替的な実施による基板を示す図である。
【
図3】本開示の態様によるレーザ粉末除去プロセスおよび別の粉末除去技術を受けた、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末が堆積された、さらなる実施形態による基板を示す図である。
【
図4A】本開示の態様によるレーザ粉末除去処理を受けた、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末が堆積された、別の代替的な実施形態による基板を示す図である。
【
図5】本開示の別の態様による、その上に剥離剤を有するきざいの基板を示す図である。
【
図6】本開示の態様による、その上に堆積され、キャリアプレート上に取り付けられた粉末層を有する基板のレーザ粉末除去処理のためのレーザステーションの概略図を示す。
【
図7】本開示の態様による、
図6に示すレーザステーションを使用するレーザ粉末除去を含む、基板上に堆積された粉末を使用する全体的な印刷プロセスのフローチャートを示す図である。
【
図8】本開示の態様による、
図6に示すレーザステーションを使用したレーザ粉末除去を含む、基板上に堆積された粉末を使用する全体的な印刷プロセスの代替的なフローチャートを示す図である。
【
図9】本開示の態様によるレーザ粉末除去プロセスおよび別の粉末除去技術に供された、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末が堆積された、さらなる実施形態による基板を示す図である。
【
図10】基板、例えば、一連の物体がその上に作成された材料の連続ウェブまたはロールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、開示される主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が例として記載される。しかし、本開示を読むと、1つまたは複数の開示された態様がそのような詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかになり得る。さらに、本開示による様々な例示的な実施形態の説明は、1つまたは複数の知られている技法または動作の参照またはそれらへの参照を含むことがあり、そのような参照は、本開示に特有ではなく、本開示を完全に理解するために必要ではない詳細で、その様々な概念、態様、および特徴を不明瞭にすることを回避するために、比較的高レベルであり得る。
【0009】
従来の付加製造(AM)では、層は互いの上に構築されるか、またはコンベアベルト上に構築され、最後の段階で互いに積み重ねられる。しかしながら、2022年1月14日に出願された 「Printing Method and Apparatus for Additive Manufacturing, Including In‐situ Powder Regeneration」 という名称の、本出願人による関連仮出願第63//299,867号に記載されているように、各層を別々に構築するモジュール式ベースマシンであるAM製造のためのプラットフォームが開発されている。各個々の層はいくつかのステーションを通過し、各ステーションは固有の機能を有する。この新しいプラットフォームにおいてステーション間で層を取り扱うには、製造される多層製品の個々の層を搬送するためのキャリアプレートが必要である。したがって、本明細書では、上記の関連出願に記載された新しいプラットフォームに特に適合されたキャリアプレートが開示される。特に、本開示は、3D印刷システムにおいて個々の層を支持し、これらの個々の層をレーザステーションにおいてレーザ粉末除去ステップに供するためのこれらのキャリアプレートの使用に関する。本出願に関するキャリアプレートのさらなる特徴は、2022年12月2日に出願された「Carrier Plate and Method of Use Thereof」と題する、本出願人による関連出願第18/074,298号に記載されている。
【0010】
上述の関連出願では、インサイチュ粉末再生システムを含む、付加製造のための改善された方法およびシステムも記載されている。関連出願に記載されている例示的な方法は、粉末塗布ステーションで粉末を基材に塗布するステップと、粉末の第1の部分を除去し、除去された粉末の第1の部分を清浄な粉末収集容器に収集するステップと、基材上に残っている粉末を湿潤ステーションに移動させ、湿潤ステーションで粉末を湿潤剤で湿潤させるステップと、湿潤後に粉末の第2の部分を除去し、除去された粉末の第2の部分を湿潤粉末汚染収集容器に収集するステップと、第2の部分の湿潤および除去後に粉末を結合剤塗布ステーションに移動させ、結合剤塗布ステーションで粉末に結合剤を塗布するステップと、結合剤を塗布した後に粉末の第3の部分を除去し、除去された粉末の第3の部分を結合剤汚染粉末収集容器に収集するステップとを含む。
【0011】
上述の関連出願はまた、粉末塗布ステーションで基材に粉末を塗布し、粉末の第1の部分を除去して、堆積された粉末の部分の間に基材のきれいな部分を作成し、基材上に残っている堆積された粉末の部分を湿潤ステーションに移動させ、湿潤ステーションで粉末を湿潤剤で湿潤させ、堆積された粉末の湿潤された部分をカレンダーローラーに通して粉末を圧縮し、きれいな部分で基材を切断して、それぞれが堆積された粉末の部分の1つを含む基材セグメントを作成し、堆積された粉末の部分を有する基材セグメントをバインダー塗布ステーションに移動させ、バインダー塗布ステーションでバインダーを粉末に塗布して、堆積された粉末を層に硬化させ、層が取り付けられた基材セグメントをそれぞれのキャリアプレートに移送し、層が取り付けられた基材セグメントと共にキャリアプレートを積層ステーションに移動させ、層を基材セグメントから分離し、層を個々に互いに積層して多層製品を形成するために、キャリアプレートのそれぞれを反転させるためのシステムおよび方法を記載している。本開示は、3D印刷動作全体における余分なパターン化されていない粉末の全体的な除去の一部として、上記の関連出願に記載されているシステムに組み込むことができる。ステップの特定の順序が上述されているが、ステップの順序は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて変更することができることに留意されたい。
【0012】
本開示は、付加製造システムにおいて粉末を除去するための改善された方法および装置に関する。特に、本開示は、粉末、または結合材料に曝露されておらず、硬化されていない材料 (適所に固定されていない、融合されていない、または溶融されていない材料) を除去することができる方法およびシステムを提供する。方法およびシステムはまた、結合剤を有する粉末の一部分を除去する一方で、同様に結合剤を有する粉末の別の部分を除去しないように実施することもできる。例えば、一実施形態では、除去された粉末または材料は、所定の位置に固定され、融合または溶融された他の粉末と同じ結合材料に曝露されていなくてもよい。他の実施形態では、パターン化領域における粉末除去を抑制し、レーザ除去プロセスによる非パターン化領域における粉末除去を促進/強化するために、1つ以上の添加剤が含まれてもよい。添加剤は、粉末または基材のいずれに添加してもよい。材料間の区別は、一方の材料が除去される一方で、他方の材料が適所に残ることを可能にし得る。他の実施形態では、材料間の区別は、一方の材料が除去されることを可能にし、他方の材料は、異なる粉末除去条件、例えば、異なるレーザ出力または周波数の下で除去され得る後の時点まで適所に留まる。本明細書に記載の技術による除去は、既存の従来の粉末除去方法よりも時間がかからず、結合された製品 (例えば、結合材料に供され、硬化および固化されてパターン化された粉末層を形成する粉末) を妨害または損傷し得る物理的装置の包含を必要としない。
【0013】
例えば、
図1Aおよび
図1Bに示される一実施態様では、3D印刷動作の結合ステップが、粉末110のパターン化された部分120を提供するために、基板100上に堆積された粉末110に対して実行された後、レーザビーム115は、隣接するパターン化されていない緩い粉末領域125、すなわち、粉末110が結合材料に曝露されておらず、硬化されていない領域に向けて方向付けられる。1つのレーザビーム115のみが示されているが、複数のレーザから生成された複数のレーザビームを使用して、異なる領域から同時に粉末を除去することができることに留意されたい。また、エアナイフ、真空装置などの異なる粉末除去装置を1つ以上のレーザと共に使用して、異なる領域から粉末を同時に除去することができる。パターン化されていない材料125は、本質的に緩い粉末であるか、または少なくとも固定されていない。レーザ115および様々な材料のビームパラメータ(プロファイル、ビームサイズ、ビーム直径、発散、波長、パワー/エネルギー、動作時間、パルス持続時間、繰り返し率、適用領域、吸収深さなど)の選択は、エネルギーがパターン化されていない材料125(例えば、固まっていない粉末)によって吸収されるが、それが置かれている基板100によっては吸収されないようなものである。レーザ115によって提供されるエネルギーは、緩い/固定されていない粉末125によって吸収され、これは温度の上昇を経験する。エネルギーの吸収の結果として、緩い/固定されていない粉末125は消散し、それが隣接する粉末(例えば、パターン化された粉末)の硬化した材料部分120からさらに分離する。レーザパラメータは、パターン化された粉末材料120の層のすぐ外側の点に、結合していない(パターン化されていない)粉末125が基板100から結合していない粉末125を除去するのに必要な温度に達するのに十分な時間、指定された量で電力が供給されるように調整することができる。
図1Bは、
図1Aに示されるレーザ加工が完了した後の結果を示し、結合されたパターン化された粉末120のみが残っている。
【0014】
固まっていない粉末125によるレーザエネルギーのこの吸収のメカニズムは、粒子の周りの可能な液体の相爆発、すなわち、粒子および急速に加熱される基板100の上に凝縮された薄い液体水層によるものである。後続の相爆発中に発生する圧力は、粒子の付着力を超える洗浄力を発生させる。レーザ115からのパルスエネルギーも粒子を移動させる。この現象は、「Infrared steam laser cleaning」(First publ. in :Applied Physics/A, Materials Science and Processing, 93 (2008)、 1, pp.1-4, P. Frank. F. Lang. M. Mosbacher. J. Boneberg, P. Leiderer)と題する論文に説明されている。。換言すれば、液体水層は、事実上、プロセスの制御を可能にするコンディショニング剤であると見なすことができる。
【0015】
図1Aに示すように、レーザ115は、追加の未結合粉末125を除去するために、パターン化された粉末120の輪郭に沿って、角に、またはパターン化された粉末120から離れる方向に向けられるように移動させることができる。レーザ除去ステップは、従来の粉末床システムのように3D印刷された物体全体の終わりではなく、各層の作成の終わりに実行することができる。いくつかの実施態様では、レーザ115は、層全体にわたって、パターン化されていない粉末125だけでなく、パターン化された粉末領域120にわたっても移動させることができる。このようにして、層全体の中のすべての未結合またはパターン化されていない粉末125を除去することができる。各パターン化された粉末層120または物体は、その後、基板100から分離され、互いに個々に積み重ねられて多層部品を形成することができる。粉末除去を実行するためのレーザ115の特性に関して、レーザ侵入深さを制御するための薬剤を使用するレーザ洗浄プロセスに関するさらなる詳細については、上述の「赤外線蒸気レーザ洗浄」の論文が再び参照され、その態様は修正され得る。
図1A、
図2A、および
図4Aに示すように、所望であれば、複数のレーザ115を使用して、パターン化されていない粉末が存在する複数の位置で粉末除去を行うことによって粉末除去プロセスの速度を上げることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、空気流(
図10のエアナイフ1080を参照)は、任意選択的に、レーザ115が現在向けられている領域、またはレーザが以前に向けられ、現在停止されている領域に適用することができる。また、パターン化された粉末120の周りに残っているパターン化されていない粉末125の体積を監視するために、カメラシステムを(
図6の制御システム650などの対応する制御システムと)統合することができ、強度、方向、露光時間などに関して、レーザ115をそれに応じて方向付けることができる。例えば、噴射された結合剤からの座標をパターン化された粉末120の画像上に重ね合わせることによって、パターン化されていない粉末125の体積を画像から決定することができ、レーザ115は、レーザ120が移動しなければならない距離を考慮して、パターン化された粉末120の周りのより大きな体積の領域に向けて方向付けられ、その結果、レーザは、「ジャンプ」しない。
【0017】
本開示の態様によれば、レーザ115は、結合剤材料と粉末との組み合わせが接続/結合/融合/溶融される第1の閾値未満で、基板110に影響を及ぼさない第2の閾値を考慮して動作される。粉末除去を容易にするために行われる物理的接触がないので、パターン化された部分への損傷が最小限に抑えられ、時間が節約される。
【0018】
図1Aに示す実施形態では、レーザビーム115は、基板100および粉末110の上方から照射される。しかしながら、代替的な実施形態によれば、レーザビーム115は、レーザビーム115が基板100を通過してパターン化されていない粉末125によって吸収されるように、基板100の下から照射される(例えば、
図2A参照)。上述したように、レーザビーム115のパラメータ並びに粉末110および基板100に使用される材料は、レーザ光115が基板100ではなく非パターン化粉末125によって吸収されるように選択される。基板100の上又は下へのレーザ115の配置に関するこの柔軟性は、このレーザ粉末除去システムが様々な設計の様々な3D印刷システムに組み込まれることを可能にする。
【0019】
本開示の一実施形態では、印刷層から粉末を除去するのにかかる時間は、レーザが照射される領域に基づいてレーザの1つまたは複数のパラメータを修正することによって、または複数のレーザを使用することによって最適化することができる。これらの複数のレーザは、それらの特性および特徴に関して互いに実質的に同一であり得るか、または互いに異なる特性および特徴を有し得る。
図3は、基板300の長さに延在して材料または粉末310が塗布された基板300を示す。この粉末層310は、堆積された粉末を硬化させるために結合剤が塗布されたパターン化領域320を有し、パターン化領域320は第1の境界330を有する。粉末層310はまた、第2の境界350を有する特徴340、この場合は開口を含む。非パターン化領域325、すなわち、結合材料に曝露されておらず、硬化されておらず、所定の位置に固定されておらず、融合または溶融されていない材料または粉末は、パターン化領域320の右側の充填領域360を含む、第1の境界330の外側の非パターン化粉末領域を含む。一例では、レーザ115(例えば、
図1Aおよび1Bを参照されたい。)は、第1の境界330および第2の境界350から粉末をゆっくりかつ正確に除去するために、第1の組の動作パラメータを使用して動作され、これらの境界の内側および/または外側の粉末をより迅速にかつ潜在的により低い精度で除去するために、第2の組の動作条件を使用して動作され得る。本開示の一態様では、第1の組の動作パラメータは、より集束された、またはより発散していないビームを含むことができ、第2の組の動作パラメータは、より集束されていない、またはより発散したビームを含むことができ、基板上の粉末と交差するので、より大きいビーム直径の1つである。本開示の別の態様では、単一のレーザの動作パラメータを変更するのではなく、2つ以上のレーザ115を利用することができる。
【0020】
別の実施態様では、例えば、エアナイフ、振動技術、又は別の粉末除去技術のうちの1つ以上を使用する粉末除去技術の組み合わせを、レーザ除去技術と組み合わせて、パターン化されていない又は緩い粉末を除去するのにかかる時間を最適化することができる。1つ以上の粉末除去技術は、基材上の特定の位置/領域で必要とされる解像度、最終的な印刷された物体上の位置/領域に必要とされる解像度、後続の層が印刷されることを可能にするために必要とされる解像度、又は後続の処理ステップが実行されることを可能にするために必要とされる解像度に基づいて選択されてもよい。
【0021】
一例では、基板300の層全体からすべての非パターン化粉末325を除去するのにかかる時間の最適化は、粉末除去技術の組み合わせを使用して達成することができる。例えば、保持される必要がある任意の特定の詳細を有するパターン化されたエリア、オブジェクト、またはフィーチャが存在しない、パターン化されたエリア320の右側の充填領域360、解像度が特に重要ではない領域、非パターン化粉末325は、例えば、エアナイフを使用して除去され得る。パターン形成された領域320および開口340が位置する領域では、より高い解像度が必要とされる場合、レーザ除去技術がより適切であり得る。任意のより低い解像度の粉末除去技術がパターン化された領域320または開口340を妨害、破壊、または損傷する可能性を最小限にするために、より低い解像度の粉末除去技術をマージン370まで使用して、任意のパターン化された領域320または境界330の縁の周りにパターン化されていない粉末325の安全ゾーン(セーフゾーン)380を残すことができる。セーフゾーン380の幅は、1つまたは複数の粉末特性(化学的および物理的の両方)、結合剤配合、硬化技術、および利用される粉末除去技術に依存し得る。一実施態様では、セーフゾーン380の幅は、パターニングプロセス後に生じる潜在的なブリード領域に対応するように選択することができる。ブリーディングは、(例えば)結合剤が周囲の粉末に伝播することによる、固化されることが意図されていなかった材料の領域/部分の固化の結果である。他の実装形態では、安全ゾーン380は、1つまたは複数のプリセット値、たとえば、パターン付きエリア320または境界330の外側0.2~0.5mmからユーザによって選択され得る。あるいは、セーフゾーン380の値は、メタデータを含むCADデータから自動的に決定されてもよい。
【0022】
さらなる実施形態では、パターン化されていない粉末325が特定の領域から除去されると、例えば開口部340が形成されると、開口部を第2の材料で充填することができる。正確な方法を利用して、パターン化されていない粉末325を開口340から除去し、開口の境界350を正確に画定することにより、後続の処理を正確なフィーチャ画定に基づいて行うことが可能になる。
【0023】
使用される粉末除去技術の組み合わせは、ユーザによって指示されてもよく、またはシステムによって提供されるデータベースまたはデータテーブルに含まれる情報に基づいて決定されてもよい。加えて、粉末除去技術が適用される順序は、動作を実質的に同時に実行するオプションを含み、同様に、ユーザによって、またはシステムによって提供されるデータベースまたはデータテーブルに含まれる情報に基づいて指示されてもよい。
【0024】
一実施態様では、付加製造システムのための制御システムは、印刷層のどの領域でどの粉末除去技術を利用するか、および任意選択的にそれを行う順序をユーザがシステムに指示することができる機構を提供するグラフィカルユーザインターフェースを含むことができる。データは、印刷された物体のCAD図面からインポートまたは抽出されてもよく、ソフトウェアは、選択された粉末除去技術が利用されるべき領域をユーザが示すかまたは輪郭を描くことを可能にするために提供される。分析は、特徴データを抽出し、異なる解像度の領域を識別し、および/またはマージンおよび安全ゾーン、ならびに関連する座標データを決定するために実行され得る。別の実施形態では、ソフトウェアは、座標データ、CAD図面内に含まれる解像度データ、またはそれに関連するメタデータに基づいて、どの技法がパターン化印刷層のどのエリアに最適であるかを自動的に識別することができる。一旦決定されると、この情報は、パターン化された印刷層の各エリアまたは領域における適切な粉末除去技術の操作を指示するために使用され得る。いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースを利用して、どの粉末除去技法をどの領域に適用することができるかを提案することができ、ユーザには、提案された粉末除去技法、それらが適用される領域、および/または技法が適用される順序を受け入れるかまたは修正するオプションが提供される。いくつかの実施形態では、2つ以上の技法が、少なくとも部分的に同時に適用され得る。
【0025】
図4Aおよび
図4Bに示す別の実施形態では、
図3の基板300などの基板をパターニングした後、レーザ415を作動させる前に、基板300を厚さ方向に沿って180度回転させる(すなわち、反転または裏返す)。パターン化された層320が粉末容器400の上に「ぶら下がる」ように基板300を回転させることにより、レーザビーム420にさらされたパターン化されていない粉末325を下の粉末容器400に落下させることができる。このようにして、パターン化されていない粉末310は、下方の容器400内に落下し、その後の使用のためにリサイクルすることができる。基板300をキャリアプレート上に取り付けること(
図6参照)は、基板を180度回転させるのを容易にするのに役立つことに留意されたい。一実施態様では、パターン化されていない粉末が落下する粉末容器400は、利用される粉末除去技術に依存し得る。例えば、領域340(例えば、
図3参照)においてエアナイフを利用する場合、パターン化されていない粉末325は、「清浄な」粉末、すなわち、結合剤に曝露されていない粉末のための容器400内に落下し得る。レーザ除去技術を使用して除去されたパターン化されていない粉末325は、「汚染された」粉末、すなわち結合剤に曝された可能性のある粉末310のための容器400に落下する可能性がある。これは、特に、パターン形成された領域320の外側の領域内のパターン形成されていない粉末325について、縁部370までであり、縁部370では、ブリーディングが発生する可能性がある。このようにして、「汚染された」および「清浄な」粉末はそれぞれ、その後の使用の前にそれらを清浄にするために適切なレベルの処理を受けることができる。
【0026】
基板300が180度回転されない実施形態では、粉末310のリサイクルは、真空を介して非パターン化粉末325を適切な容器に抽出するなどの他の方法を使用して達成され得る。
【0027】
図5に示されるようなさらなる実施形態では、剥離層510は、基板520と粉末層530との間に設けられてもよい。剥離層510は、レーザ550が基板520を通して適用されるときに、基板520からのパターン層540の分離を改善するように構成される。本開示の一態様では、剥離層510は、湿潤剤を含んでもよい。湿潤剤によるレーザエネルギーの吸収は、この剥離層510内に圧力を発生させ、これは次に、パターン化された粉末540を基板から分離させ、そこからのパターン化された粉末の分離を改善する。加えて、非パターン化粉末560によるレーザエネルギーの吸収は、パターン化粉末540から除去される非パターン化粉末560に影響を及ぼす。本開示の別の態様では、剥離層510は、バインダ材料を含んでもよい。同様に、結合剤によるレーザエネルギーの吸収は、温度を上昇させ、結合剤を蒸気にし、および/または実質的に蒸発させ、表面を残し、それによって、パターン化された粉末540を基板520から分離させる。加えて、非パターン化粉末560によるレーザエネルギーの吸収は、パターン化粉末540から除去される非パターン化粉末560に影響を及ぼす。
【0028】
図6は、本開示の態様による、上に堆積され、キャリアプレート612上に取り付けられた粉末層610を有する、上述のような基板605のレーザ粉末除去処理のためのレーザステーション600の概略図を示す。
【0029】
図6から分かるように、レーザステーション600は、基板605および粉末610が取り付けられたキャリアプレート612が装填されたドロワ(引き出し)622を含む。一実施形態では、キャリアプレート612の装填は、ロボットアームまたは同様の自動化されたソリューションによって実行され得る。本開示の一態様によれば、粉末610をその上に有するキャリアプレート612は、例えば
図4Aに示すように、粉末層610が下向きになるように、引き出し622に装填する前に反転される。ドロワ622は、キャリアプレート612が装填された後、レーザステーション600内の停止機構(図示せず)に接触するまでレーザステーション600内に押し込まれる。レーザステーション600内のドロワガイドトラック(図示せず)の端部にあるセンサ(図示せず)が、(キャリアプレート612が挿入された)ドロワ622が完全に挿入されたと判断すると、レーザステーション600の上部に取り付けられたレーザ615が、レーザ粉末除去動作のためにプログラムされる。このプログラミングは、粉末材料および基板材料に関してレーザステーション600の制御システム650に提供される情報に基づいて、適切なレーザビーム強度、面積、および位置を決定して、レーザ615によって生成されたレーザビームが基板605またはレーザ粉末除去処理後に残っていなければならないパターン化された粉末のいずれかによって吸収されることなく、レーザビームがパターン化されていない粉末によって吸収された状態で、レーザ615が粉末610のパターン化されていない粉末を除去するための適切なレーザビームパラメータを決定することを含むことができる。これらのレーザビームパラメータは、制御システム650によって設定されて、パターン化領域の解像度を高め、ターゲットパターン領域からバインダ材料のブリード領域を除去することができる。上述のように、制御システム650は、レーザビームの適切なレベルを決定するために粉末の量を監視するためのカメラシステムを含むことができる。
【0030】
ドロワ622がレーザステーション600内に完全に挿入されると、ドロワ622内に装填されたキャリアプレート612は、粉末除去範囲内に持ち上げられ、レーザ615の下のレーザステーション600内に封止される。キャリアプレート612の封止が(レーザ制御システム650によって)確認されると、レーザ615はオンになり、レーザ615のプログラミングに基づいて粉末610を除去する。レーザ粉末除去動作を補完するために、エアナイフをレーザステーションに配置することができ、これも制御システム650によって制御され、このエアナイフは前後に移動して、レーザビームによってほぐされた粉末を除去する。
【0031】
一実施態様では、レーザ615からのレーザビームは、制御システム650によって、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界に直接隣接する非パターン化粉末上の点に向けられる。別の実施態様では、ユーザまたはコンピューティングシステム(例えば、コンピュータシステムを含む制御システム650)は、レーザビームが追従する適切な輪郭を決定することができ、輪郭は、例えば、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界から(いずれかの方向に)所定の距離だけ離れている。
【0032】
別の実施態様では、レーザ615からのレーザビームは、制御システム650によって、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界の輪郭をたどるように(同じまたは異なるレーザパラメータ設定を使用して1回または複数回)向けられ、次いで、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界に直接隣接する非パターン化粉末上の点から、境界から外向きに離れるように向けられ得る。外向きの動きは、線形であってもよく、または1つ以上の非線形(例えば、曲線、螺旋、円形、またはループ状)動作を含んでもよい。
【0033】
パターン化されていない粉末は、反転された基材(例えば、
図4Aを参照)から落下すると、粉末容器、具体的には、
図6に示すように、反転されたキャリアプレート612の下に設けられた真空除去ダクト660に落下する。レーザビームが照射されている間、またはレーザビームが照射されてから停止した後のいずれかに適用されるレーザ615またはレーザ615と空気流(図示せず)との組み合わせのいずれかによって粉末610が除去されると、ドロワ622を引き出すことができ、パターン化された粉末のみが残っている基板605を有するキャリアプレート612を取り外すことができる。
【0034】
別の実施形態では、キャリアプレート612は、制御システム650がレーザ粉末除去システムのレーザ615と相互作用するように構成された状態で、自動システムの一部として、コンベヤベルトまたは同様の機構上で搬送されてもよい。相互作用は、例えば、レーザ615が動作したときにレーザ除去動作を実行してパターン化されていない粉末を除去することができるように、コンベヤベルトまたは同様の特徴が適切な位置にあるときにコンベヤベルトまたは同様の特徴の動きを終了させることを含む。さらに、制御システム650の制御下にあるロボットアームを利用して、必要に応じてキャリアプレート612の反転を可能にすることができる。
【0035】
図7は、3D印刷のためのシステム全体へのレーザ粉末除去プロセスの統合の例を示す。
図7に示すように、粉末除去ステップ750は、ステップ710で粉末を堆積させるステップ、ステップ720で堆積した粉末に調整剤(または湿潤材料)を塗布するステップ、ステップ730で粉末を圧縮するステップ、およびステップ740で粉末をパターン化するステップの後に統合することができ、その結果、
図1A、
図2A、および
図4Aに示すように、パターン化された粉末およびパターン化されていない粉末のセクションを有する基板が得られる。
図7にも示されるように、レーザ粉末除去ステップ750の後、さらなる処理は、ステップ760におけるさらなるパターニング、ステップ770における処理された粉末層の積層、および様々な処理ステップ中に除去および収集された粉末のリサイクル(ステップ780)を含むことができる。全体的な処理システムおよび動作、ならびに粉末再生に関するさらなる詳細は、上記の関連出願に開示されている。パターン化されていない粉末除去システムの一部としてのレーザ粉末除去ステップ750の、
図8に示されるプロセス全体への統合(レーザ粉末除去ステップ750は、ステップ730における粉末の圧縮に続いて、かつステップ740におけるバインダによるパターン化の前に、印刷動作全体に組み込まれ得る)は、製造時間の全体的な短縮が期待され得るように達成され得る。代替的に、粉末除去ステップ750は、より完全な粉末除去のために所望される場合、パターニングステップ640の前およびパターニングステップ640の後の両方で実行することができる。
【0036】
より具体的には、動作の特定の順序が
図7に示されているが、動作の順序は必要に応じて変更することができる。例えば、
図8に示すように、圧縮730の後であってパターニング740の前に、基板上に堆積された粉末に対して上述のレーザ粉末除去作業750を使用することが可能である。この場合、レーザ粉末除去ステップ750は、粉末の適用および圧縮の後であるが、実際のパターニング動作の前に、基板上に存在する緩い粉末を除去するために使用される。不必要な固まっていない粉末が除去されるので、結合剤堆積ステップ中の結合剤ブリードの問題を最小限に抑えることができる。このようにして、結合剤堆積は、パターン化が堆積された粉末のまさに縁部までずっと延在することを可能にするが、そこに浸出する粉末がないので、それ以上浸出しない。これは、パターニング後に粉末を除去する必要がもはやないので、処理時間に関してさらなる最適化を可能にする。同様に、圧縮ステップ730は、必要に応じて、バインダー材料を塗布する前に行うことができる。また、上記の関連出願で論じられているように、粉末は、粉末をリサイクルするためにプロセスの終わりまで待つ代わりに、プロセス中の様々な時点で収集されリサイクルされ得る。
【0037】
図9は、基板900の長さに亘って材料または粉末910が塗布された基板900を示す。この粉末層910を処理して、フィーチャ940、この場合はその中に配置されたアパーチャを有するパターン化領域920を画定することが望ましい。一例では、処理の最適化は、
図6に示すような制御システムの制御下で、パターニングの前にレーザ粉末除去ステップを実行することによって達成することができる。例えば、エアナイフを利用して、領域960内のパターン化されていない粉末を所望のパターン化された領域920の右側に除去することができる。所望のパターン化領域920、および開口940が配置される領域では、より高い解像度が必要であり、これらの領域では、レーザ除去技術がより適している。粉末除去が実行され、領域が画定された後、領域920はパターン化され、パターン化された層は基板から除去され、多層部品の一部として別の層または構築プラットフォーム上に積み重ねられてもよい。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、粉末除去動作がどの程度成功したかを決定するために使用され得るデータを提供し得る。例えば、画像取得装置を利用して、残っているパターン化されていない粉末の位置に関するデジタル情報を提供することができる。位置情報を含むこの情報に基づいて、制御システム650(
図6参照)は、粉末除去手順を完了するために、レーザを1回以上連続して動作させる必要があると判断することができる。あるいは、1つまたは複数の追加の「列」のレーザを利用して、第1のレーザが欠落したパターン化されていない粉末を除去することができる。
【0039】
複数の物体、またはパターン化された粉末とパターン化されていない粉末の両方を含む複数の領域からのパターン化されていない粉末の除去に関してスループットを最大化するために、本開示の別の実施形態は、粉末除去プロセスの少なくとも一部が少なくとも2つ以上の物体に対して実質的に同時に行われることを可能にする。
図10は、基材1000、例えば、粉末1010が堆積された材料の連続ウェブ又はロールを示し、その上に一連の物体が作製されている。オブジェクトは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。この特定の例では、物体A1およびA2は同じであり、フィーチャ1040Aは、物体A1、A2を部分的に横断する細長いスロットの形態をとり、物体B1は、アパーチャの形態をとるフィーチャ1040Bを備える。しかしながら、各物体A1、A2、B1は、パターン化された粉末1020の領域および特徴1040A、1040Bを含む。基板1000上の基準マークまたは基準は、基板1000上の各タイプの物体の位置に対応し、十字形基準1050Aは、細長いスロットを有する物体A1、A2に対応し、月形基準1050Bは、円形開口を有する物体B1に対応する。
【0040】
1つの特定の実施形態では、基板1000は、右から左へ方向1070に移動するコンベヤ式プラットフォームまたはコンベヤベルト上で搬送される。物体A1およびB1が粉末除去装置1080、1090に対して所望の位置に搬送されたときに、コンベヤベルトの移動が停止され、動作が可能になる。エアナイフ1080は、結合材料に曝露されていない材料または粉末を基板から除去するように動作され、エアナイフ1080をオブジェクトB1の周りで動作させるが、安全ゾーンまたはパターン付きエリア1020の境界内では動作させないように注意が払われる。エアナイフ1080は、物体A1又はA2が存在する局所領域では動作しない。月型基準1050Bは、エアナイフ1080のコントローラと関連付けられたセンサによって感知され、エアナイフの動作情報を提供してもよい。実質的に同時に、レーザ粉末除去装置1090を動作させて、結合材料に曝露されなかった材料または粉末を物体A1から除去する。十字形基準1050Aは、レーザ粉末除去装置1090のコントローラに関連するセンサによって感知されて、レーザ粉末除去装置の動作情報を提供することができる。一例では、レーザ粉末除去デバイス1090は、最初にパターン付き領域1020の境界から粉末を除去し、次いでオブジェクトA1が存在する局所領域内の粉末の層全体から粉末を除去するように制御され得る。レーザ粉末除去装置1090は、物体B1およびA2が存在する局所領域内では動作しない。このようにして、2つの粉末除去技術を基材の異なる領域に実質的に同時に適用することができる。一構成では、粉末除去装置1080、1090がそれぞれの動作領域で動作するとき、コンベヤベルトは静止している。物体A1およびB1が存在するそれぞれの領域から粉体が除去されると、コンベアベルトは、レーザ粉体除去装置1090の動作によって物体B1から粉体を除去することができ、エアナイフ1080の動作によって物体A2から粉体を除去することができるように、方向1070に物体を移動させるように動作する。別の構成では、コンベヤベルトは、実質的に連続的に移動することができる。
図10に示す上述の動作の全ては、
図6に示すような制御システム650を使用して実行することができる。
【0041】
代替的な実施態様では、一連のエアナイフ1080およびレーザ粉末除去装置1090を設けることができ、より高いスループットを実現することができる。このようにして、粉末除去技術を同期させるように構成し動作させることによって粉末除去プロセスを高速化するための技術的解決策が提供される。同期は、粉末除去技術および/または基板上の物体の位置の間であってもよい。いくつかの実施態様では、同期はまた、粉末除去デバイスの動作の持続時間、および/または基板運動の移動速度に基づいて、それらのそれぞれの動作および/または動作の位置の調整を可能にすることができる。
【0042】
上記の説明は、主に、3D印刷などの付加製造の環境において堆積層を有する基板から粉末を除去することに関して提示されているが、本開示の装置および方法は、そのような構造のみに限定されず、複数の異なるステーションにおける粉末の処理と併せて粉末を除去することが望ましい任意の状況において使用され得ることに留意されたい。
【0043】
以下では、本出願のさらなる特徴、特性および利点を項目によって説明する。
【0044】
項目1:パターン化された粉末部分と、その上に堆積されたパターン化されていない粉末部分とを有する基板から、パターン化されていない粉末を除去するための方法であって、基板上にパターン化された粉末部分を残しながら、パターン化されていない粉末が位置していた基板の上面がパターン化されていない粉末を含まないように、基板からパターン化されていない粉末を除去するのに十分な時間、ビームパラメータを有する少なくとも1つのレーザをパターン化されていない粉末に照射することを含む、方法。
【0045】
項目2:少なくとも1つのレーザのビームパラメータ、および粉末および基板の材料が、レーザからのパワーがパターン化されていない粉末によって吸収されるが、基板によっては吸収されないように予め設定される、項目1に記載の方法。
【0046】
項目3:少なくとも1つのレーザのビームパラメータが、レーザのプロファイル、レーザの波長、レーザの出力、非パターン化粉末へのレーザの適用の操作時間、レーザの適用面積、および非パターン化粉末におけるレーザの吸収の深さを含む、項目1又は2に記載の方法。
【0047】
項目4:特定量の非パターン化粉末が、非パターン化粉末をパターン化粉末から分離するのに必要な温度に達するのに十分な時間、非パターン化粉末の温度を上昇させるように、少なくとも1つのレーザが非パターン化粉末に適用される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
項目5:少なくとも1つのレーザーが、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界に直接隣接する非パターン化粉末上の点に適用される、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
項目6:少なくとも1つのレーザが、最初に適用される、非パターン化粉末とパターン化粉末との間の境界に直接隣接する非パターン化粉末上の点から、境界から外向きに離れるように移動される、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
項目7:レーザの動作および移動を制御するために、少なくとも1つのレーザが非パターン化粉末に適用されている間に、非パターン化粉末の体積を監視することを更に含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
項目8:前記レーザが、前記基板および前記非パターン化粉末の上方から照射される、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
項目9:基板がレーザ源と非パターン化粉末との間に位置するように、レーザが基板および非パターン化粉末の下から適用される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
項目10:非パターン化粉末が粉末容器の上に懸架されるように基板を反転させ、基板がレーザ源と非パターン化粉末との間に位置するように基板および非パターン化粉末の上からレーザーを照射し、レーザの照射中に基板から落下する非パターン化粉末を収集するために粉末容器が基板および非パターン化粉末の下に位置する、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
項目11:基板および粉末が、キャリアプレートの上に位置するレーザ源と、キャリアプレートの下に位置する粉末容器とを含むレーザステーションに挿入されたキャリアプレート上に取り付けられる、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
項目12:基板から除去した後、非パターン化粉末をリサイクルすることを更に含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
項目13:少なくとも1つのレーザが非パターン化粉末に適用されている間に、非パターン化粉末に空気流を適用することを更に含む、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
項目14:少なくとも1つのレーザーが非パターン化粉末に適用された後、非パターン化粉末に空気流を適用することを更に含む、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
項目15:ビームパラメータは、パターン化領域の解像度を増加させ、少なくとも1つのレーザが向けられる標的パターン領域からバインダ材料のブリード領域を除去するように設定される、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
項目16:ビームパラメータは、ユーザが、レーザビームが従う輪郭、およびレーザビームをどこに向けるかを決定することを可能にするように構成される、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
項目17:輪郭が線または螺旋であり得る、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
項目18:ビームパラメータは、複数のレーザパラメータセットを用いてレーザビームの複数の輪郭を可能にするように構成される、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
項目19:複数のレーザを適用して複数のレーザビームを生成することと、1つ以上の追加の粉末除去技術を適用して、パターン化されていない粉末を基板から除去することと、を更に含む、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
項目20:粉末が基板上の層全体から除去される、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
項目21:前記複数のレーザおよび前記1つ以上の追加の粉末除去技術を適用して、前記基板から複数の位置の前記パターン化されていない粉末を実質的に同時に除去する、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
項目22:1つ以上の追加の粉末除去技術が、エアナイフ又は振動技術のうちの少なくとも1つを含む、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
項目23:基板から非パターン化粉末を除去した後、パターン化層をビルドプレートに転写することを更に含む、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
項目24:基板と、粉末のパターン化粉末部分および非パターン化粉末部分の両方との間に位置する剥離層を更に含む、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
様々な実施形態が説明されてきたが、説明は、限定ではなく例示であることが意図されており、より多くの実施形態が可能であることが理解される。特徴の多くの可能な組み合わせが添付の図面に示され、この詳細な説明で論じられているが、開示された特徴の多くの他の組み合わせが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は、具体的に制限されない限り、任意の他の実施形態における任意の他の特徴または要素と組み合わせて使用されてもよく、またはそれらの代わりに使用されてもよい。したがって、本開示において示され、かつ/または論じられる特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実装され得ることが理解されよう。
【0069】
上記は、最良の形態および/または他の例であると考えられるものを説明してきたが、その中で様々な修正を行うことができ、本明細書で開示される主題は様々な形態および例で実施することができ、教示は多数の用途に適用することができ、そのうちのいくつかのみが本明細書で説明されていることが理解される。
【0070】
特に明記しない限り、本明細書に記載される全ての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、近似値であり、正確ではない。それらは、それらが関連する機能およびそれらが関係する技術分野において慣習的であるものと一致する妥当な範囲を有することが意図される。
【0071】
本明細書で使用される用語および表現は、特定の意味が本明細書に別途記載されている場合を除いて、それらの対応するそれぞれの調査および研究分野に関してそのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されるであろう。第1および第2などの関係用語は、そのようなエンティティまたはアクション間の実際のそのような関係または順序を必ずしも要求または暗示することなく、単に1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションと区別するために使用され得る。用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図される。「a」または「an」が先行する要素は、さらなる制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置における追加の同一の要素の存在を排除しない。
【国際調査報告】