(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ターボファンエンジンコアを含む並列ハイブリッドパワープラント
(51)【国際特許分類】
B64D 31/18 20240101AFI20250117BHJP
B64D 27/33 20240101ALI20250117BHJP
F02C 3/107 20060101ALI20250117BHJP
F02C 7/36 20060101ALI20250117BHJP
F01D 15/10 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B64D31/18
B64D27/33
F02C3/107
F02C7/36
F01D15/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541990
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 US2023010956
(87)【国際公開番号】W WO2023137230
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520051953
【氏名又は名称】ヴェルデゴ エアロ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,リチャード パット
(72)【発明者】
【氏名】スピッツァー,デイヴィッド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バルチュ,エリック リチャード
(72)【発明者】
【氏名】サンタクルズ,ザビエル ジェラルド
(57)【要約】
ハイブリッド航空機パワープラントは、タービンエンジンから動力を出力するように構成された第1のシャフトを含むタービンエンジン、バイパスファン、及び電気機械を含む。ハイブリッド航空機パワープラントは、さらに、電気機械に接続された第2のシャフトと第1のシャフトを選択的に係合させて、動力がタービンエンジンから電気機械に出力されるように構成された第1の機構を含む。ハイブリッド航空機パワープラントは、さらに、バイパスファンに接続された第3のシャフトと第1のシャフトを選択的に係合させて、動力をタービンエンジンからバイパスファンに出力するように構成された第2の機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド航空機パワープラントであって、当該ハイブリッド航空機パワープラントは、
タービンエンジンであって、該タービンエンジンから動力を出力するように構成された第1のシャフトを含むタービンエンジンと、
バイパスファンと、
電気機械と、
前記動力が前記タービンエンジンから前記電気機械に出力されるように、前記電気機械に接続された第2のシャフトと前記第1のシャフトとを選択的に係合するように構成された機構と、を含む、
ハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項2】
前記機構はクラッチであり、該クラッチが係合解除されている間に、前記タービンエンジンからの前記動力は前記電気機械に出力されない、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項3】
前記機構はクラッチであり、該クラッチが係合されている間に、前記タービンエンジンからの前記動力は前記電気機械に出力される、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項4】
前記機構は第1のクラッチであり、当該ハイブリッド航空機パワープラントは、前記バイパスファンに接続された第3のシャフトと前記第1のシャフトとを選択的に係合させて、前記タービンエンジンからの動力を前記バイパスファンに出力するように構成された第2のクラッチをさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項5】
前記第1のクラッチ及び前記第2のクラッチは、前記第1のクラッチが前記タービンエンジンから前記電気機械への前記動力を伝動させるために係合される一方、前記第2のクラッチが前記タービンエンジンから前記バイパスファンの機械への前記動力を伝動させないように係合解除されるように制御可能である、請求項4に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項6】
前記第1のクラッチ及び前記第2のクラッチは、前記第2のクラッチが前記タービンエンジンから前記バイパスファンへの前記動力を伝動させるために係合される一方、前記第1のクラッチが前記タービンエンジンから前記電気機械への前記動力を伝動させないように係合解除されるように制御可能である、請求項4に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項7】
前記第1のクラッチ及び前記第2のクラッチは、前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとの両方が同時に係合され、前記タービンエンジンからの前記動力を前記電気機械と前記バイパスファンとの両方に同時に伝動させるように制御可能である、請求項4に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項8】
前記第1のシャフト又は前記第2のシャフトに取り付けられたギアボックスをさらに含み、該ギアボックスは、前記タービンエンジンから出力される動力を変換するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項9】
前記電気機械は発電機である、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項10】
前記電気機械は発電機/モータの組合せである、請求項1に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項11】
ハイブリッド航空機パワープラントであって、当該ハイブリッド航空機パワープラントは、
タービンエンジンから動力を出力するように構成された第1のシャフトを含むタービンエンジンと、
バイパスファンと、
電気機械と、
前記バイパスファンに接続された第2のシャフトと前記第1のシャフトの部分とを選択的に係合させて、前記動力を前記タービンエンジンから前記バイパスファンに出力するように構成された機構と、を含む、
ハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項12】
前記機構はクラッチであり、該クラッチが係合解除されている間に、前記タービンエンジンからの前記動力は前記バイパスファンに出力されない、請求項11に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項13】
前記機構はクラッチであり、該クラッチが係合されている間に、前記タービンエンジンからの前記動力は前記バイパスファンに出力される、請求項11に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項14】
前記機構は第1のクラッチであり、当該ハイブリッド航空機パワープラントは、前記電気機械に接続された第3のシャフトと前記第1のシャフトとを選択的に係合させて、前記タービンエンジンからの前記動力を前記電気機械に出力するように構成された第2のクラッチをさらに含む、請求項11に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項15】
前記第1のシャフト又は前記第2のシャフトに取り付けられたギアボックスをさらに含み、該ギアボックスは、前記タービンエンジンから出力される前記動力を変換するように構成される、請求項11に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項16】
方法であって、当該方法は、
第1のシャフトを含むタービンエンジンを制御して、前記第1のシャフトを介して動力を出力するステップと、
第1の動作モードにおいて、第1の機構を制御して前記第1のシャフトを第2のシャフトに係合させるステップであって、前記第2のシャフトは発電機に接続され、それによって前記動力が前記タービンエンジンから前記第1のシャフト及び前記第2のシャフトを介して前記発電機に出力される、ステップと、
第2の動作モードにおいて、前記第1の機構を制御して前記第1のシャフトを前記第2のシャフトと係合させるとともに、第2の機構を制御して前記第1のシャフトを第3のシャフトに係合させるステップであって、前記第3のシャフトはバイパスファンに接続され、それによって前記動力が前記タービンエンジンから前記発電機及び前記バイパスファンのそれぞれに出力される、ステップと、を含む、
方法。
【請求項17】
前記第1の動作モードは、航空機の垂直離陸又は着陸動作中に使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の動作モード中に、前記第2の機構は、前記第1のシャフトを前記第3のシャフトに接続するために係合されない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の動作モード中に、前記バイパスファンは航空機の前方推力を生成するように構成される一方、前記発電機によって生成された電力は前記航空機の電気部品に電力を供給するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第3の動作モードにおいて、前記第1のシャフトを前記第2のシャフトと係合させるために前記第1の機構を係合することなく、前記第2の機構を制御して、前記第1のシャフトを前記第3のシャフトと係合させるステップをさらに含み、それによって前記動力が、前記タービンエンジンから前記バイパスファンに出力されるが、前記発電機には出力されない、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ハイブリッド航空機パワープラントであって、当該ハイブリッド航空機パワープラントは、
タービンエンジンであって、該タービンエンジンから動力を出力するように構成されたシャフトを含むタービンエンジンと、
バイパスファンと、
電気機械と、を含み、
前記シャフトは、前記出力された動力を前記バイパスファン及び電気機械に送るように構成され、
前記電気機械は、複数のセクタに分割され、それによって前記電気機械は、前記タービンエンジンからの前記出力された動力の受け取りに応じて電力を生成するように構成され、
該電力は、前記電気機械から複数の出力を介して出力され、該複数の出力のそれぞれは、前記電気機械の前記複数のセクタのうちの1つに関連付けられる、
ハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項22】
複数のインバータをさらに含み、前記複数の出力のそれぞれは、交流(AC)電力を前記複数のインバータのうちの1つに出力するように構成され、さらに前記複数のインバータのそれぞれは、前記AC電力を直流(DC)電力に変換するように構成される、請求項21に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項23】
前記複数のインバータは、前記DC電力を1つ又は複数のDCバスに出力するように構成される、請求項22に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項24】
前記1つ又は複数のDCバスには、アルミニウム配線が含まれる、請求項23に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【請求項25】
前記1つ又は複数のDCバスには、超伝導材料で構成された配線が含まれる、請求項23に記載のハイブリッド航空機パワープラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ターボファンエンジンコアを含む並列ハイブリッドパワープラントに関する。
【背景技術】
【0002】
プロペラ、タービン又はジェットエンジン、ロケット、ラムジェット等の異なるタイプの推進機構を使用して推進される様々なタイプの航空機がある。異なるタイプの推進機構は、異なる方法で動力供給され得る。例えば、プロペラ等の一部の推進機構は、内燃機関又は電気モータによって動力供給され得る。ターボファン等の他の推進機構は、タービンエンジンによって動力供給され得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、ハイブリッド航空機パワープラントは、タービンエンジンから動力を出力するように構成された第1のシャフトを含むタービンエンジン、バイパスファン、及び電気機械を含む。ハイブリッド航空機パワープラントは、電気機械に接続された第2のシャフトと第1のシャフトを選択的に係合させて、動力がタービンエンジンから電気機械に出力されるように構成された機構をさらに含む。
【0004】
一実施形態では、ハイブリッド航空機パワープラントは、タービンエンジンから動力を出力するように構成された第1のシャフトを有するタービンエンジン、バイパスファン、及び電気機械を含む。ハイブリッド航空機パワープラントは、バイパスファンに接続された第2のシャフトと第1のシャフトの部分を選択的に係合させて、動力をタービンエンジンからバイパスファンに出力するように構成された機構をさらに含む。
【0005】
一実施形態では、方法は、第1のシャフトを含むタービンエンジンを制御して、第1のシャフトを介して動力を出力するステップを含む。この方法は、第1の動作モードにおいて、第1の機構を制御して第1のシャフトを第2のシャフトに係合させるステップをさらに含む。第2のシャフトは発電機に接続され、それによって動力がタービンエンジンから第1のシャフト及び第2のシャフトを介して発電機に出力される。この方法は、第2の動作モードにおいて、第1の機構を制御して第1のシャフトを第2のシャフトと係合させるとともに、第2の機構を制御して第1のシャフトを第3のシャフトと係合させるステップをさらに含む。第3のシャフトはバイパスファンに接続され、それによって動力がタービンエンジンから発電機及びバイパスファンのそれぞれに出力される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的な実施形態によるターボファンの側断面図である。
【
図2A】様々な例示的な実施形態による、電気機械及びクラッチ等の機構を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図2B】様々な例示的な実施形態による、電気機械及びクラッチ等の機構を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図2C】様々な例示的な実施形態による、電気機械及びクラッチ等の機構を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図2D】様々な例示的な実施形態による、電気機械及びクラッチ等の機構を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図3】例示的な実施形態による、タービンエンジンとバイパスファンとの間に電気機械を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図4】例示的な実施形態による、タービンエンジンから延びるシャフトに接続された電気機械を含む例示的なターボファンを示す概略図である。
【
図5】例示的な実施形態による、ターボファンエンジンコアを有するハイブリッドパワープラントで使用するための航空機制御システムを表すブロック図である。
【
図6】例示的な実施形態による、ターボファンエンジンコアを有するハイブリッドパワープラントの使用を示すフローチャートである。
【
図7】例示的な実施形態による、複数のセクタを有する電気機械と、その電気機械を用いて航空機の構成要素に電力を供給するシステムとを表すブロック図である。
【
図8】例示的な実施形態による、コンピューティング環境の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
航空飛行の1つの態様は、空中を非常に高速で移動する能力である。前進する動きは、1つ又は複数のプロペラ、1つ又は複数のファン、又は複数のジェットエンジンによって形成できる。高速化が優先されるため、プロペラ及びファンは実行可能なオプションではなくなり、唯一残る解決策は、一般にジェットと呼ばれる何らかの形式のタービンエンジンである。本明細書では、航空機の垂直離着陸(例えば、VTOL航空機)、短距離離着陸(STOL等)、又は航空機パワープラントからの物理的推力及び電力の組合せが望ましい他の航空機に有利に電力を供給できるハイブリッドパワープラントについて説明し、プロペラ等の前方推力機構を使用する場合よりも高速な水平飛行も実現できる可能性がある。これにより、多くの場合に、あらゆる種類の準備した滑走路の必要性を排除する等、旅行又は物品の輸送の新たな機会を有利に切り開く航空機が提供される。
【0008】
本明細書では、高性能ターボファンエンジンを中心に構築した並列ハイブリッドシステムアーキテクチャの様々な実施形態について説明する。様々な実施形態では、本明細書で説明するパワープラントのターボファンエンジン自体以外の態様は、タービン及びタービンコアを有する任意のエンジン等、他のタイプのエンジンで使用できる。例えば、ターボファンエンジンの代わりに、ターボシャフト又はターボプロップエンジンを使用してもよい。例えば、ターボプロップエンジンには、タービンの出力を1500~2500回転/分(RPM)等の使用可能なプロペラ速度まで下げるためのギアリングが含まれ得る。この解決策は、タービンエンジンによって駆動されるバイパスファンを通して空気を取り込み、加圧、及び排出することによってターボファンが通常通り機能する一方で、非常に高出力の発電機に移行して、配電線を介して垂直リフトに適合したモータ及び/又は構成要素(例えば、垂直離着陸(VTOL)航空機用)等の他の構成要素に高電圧及び高電力エネルギを供給することができるという利点がある。飛行のための前方推力を生成するターボファンと、タービンエンジンによって動力供給される電力生成へのブレンドされた移行との組合せは、これまで不可能であった方法で、飛行モード及び航空機の様々なアクセサリを有利に促進及び電力(power:動力)供給することができる。特に、本明細書で説明する様々な実施形態では、タービンエンジンのシャフトは、バイパスファン(例えば、ターボファンの場合)に動力供給するともに、同じシャフトを使用して電気機械(例えば、発電機及び/又は発電機/モータの組合せ)に電力供給することもできる。単一のシャフトにより、各構成要素を平行に向き合わせできる。バイパスファン及び電気機械のそれぞれに関連付けられたクラッチは、バイパスファンとシャフトとの間、及び電気機械とシャフトとの間の選択的な接続を可能にし、それによってクラッチの状態に基づいて、バイパスファン及び電気機械にシャフトから一緒に又は別々に電力(動力)供給することができる。様々な実施形態では、様々なタイプのタービンエンジン及び電気機械を、クラッチを使用せずに、シャフトを用いてパワープラントに接続することができる。
【0009】
航空業界では、航空機の重量が主な懸念事項及び/又は設計上の制約となり得る。本明細書で説明する並列ハイブリッドターボファン(又はターボシャフト又はターボプロップ等の他のタイプのタービンエンジン)設計の利点は、1つのコア熱エンジンが同じ航空機で2つの非常に異なる形式の推進力を生成できることである。大気飛行の推力対重量比の点では、ターボファンは他のタイプのパワープラントと比較して非常に効果的であり、そのため、例えば商用航空機及びビジネスジェット機で価値がある。本明細書で説明するように、ターボファンエンジンは、他の航空機で垂直離着陸(VTOL)航空機等の分散電気推進を可能にするために使用できる、1メガワット(MW)又は数メガワット(MW)の電力を効率的に生成するためにも使用できる。本明細書の様々な実施形態の他の利点には、パワープラント構成要素の重心の改善、効率的な冷却、及び制御が含まれ得る。
【0010】
従って、本明細書で説明するパワープラントは、高速移動用に設計されるが分散電気推進(DEP)も使用するか、又はそうでなければ大きな電力需要がある航空機で有利に使用できる。DEPアプリケーションには、VTOL、境界層制御、短距離離着陸(STOL)用のブローウィング等の航空機での使用、又はDEPの他の独自の用途が含まれ得る。
【0011】
より具体的には、本明細書では、バイパスファンを介して前方推力を供給するように構成されたターボファンエンジンをベースとしたハイブリッドパワープラントについて説明し、これは、航空機の推進力又は他の電気用途(例えば、大量の電力を使用するアクセサリ)等の用途のために高電力出力を生成する追加機能を有している。
【0012】
図1は、例示的なターボファン101の側断面図である。ターボファン101では、空気が入口105を介してコンプレッサに入る。その空気は、最初に低圧(LP)コンプレッサ111によって圧縮され、次に高圧(HP)コンプレッサ115によって圧縮された後に、燃焼器121に供給され、そこでジェット燃料が追加されて燃焼される。燃焼後に、生成した高温ガスは高圧(HP)タービン125に送られ、次に低圧(LP)タービン131に送られた後に、調整通路135を通って排出される。他の実施形態では、より多い又はより少ない圧縮機及び/又はタービンセクションがあってもよく、
図1に示されるターボファン101よりも多い又は少ないギアリングがあってもよい。
【0013】
HPタービン125は、シャフト141を介してHPコンプレッサ115に連結されており、必要に応じてギアリングを有してもよい。
図1には示されていないが、様々な実施形態では、以下に説明するように、LPコンプレッサ111をシャフト145に接続するのではなく、シャフト141がLPコンプレッサ111に接続される場合もある。シャフト141は、必要に応じて、LPコンプレッサ111に対してさらにギアリングを有してもよい。シャフト141は、LPコンプレッサ111及び/又はHPコンプレッサ115のどちらか一方又は両方に接続されていて、ターボファン101の使用中ずっとエンジン機能を維持するように動作する。
【0014】
燃焼生成物に存在し、HPタービン125によって抽出されない動力及び熱は、LPタービン131によって抽出され得る。この動力は、シャフト145を介して伝達され、バイパスファン150を駆動するために使用できる。上で議論したように、シャフト145は、LPコンプレッサ111に接続してもよく、接続してなくてもよい。このバイパスファン150は、ナセル155に外部から冷たい空気を吸い込み、その空気に圧力を加え、その空気を通路160から排出して、大きな前方推力を生み出す。バイパスファン150、ナセル155、及び空気通路160の設計により、例えば400ノットの指示対気速度(400kias)まで、又はそれ以上の非常に高速での前進飛行が可能になる。
【0015】
本明細書でさらに説明するように、
図1のターボファン101等のターボファンは、ターボファンに並列に(例えば、シャフト145に)接続され、ターボファンのシャフト145によって出力される回転動力に基づいて電力を生成する電気機械をさらに含み得る。このような電気機械は、
図1のターボファン101の任意の又は全ての位置165、170及び/又は175等、ターボファンの様々な位置に配置され得る。別の実施形態では、シャフト145が中空である場合に、電気機械はシャフト145内に配置してもよい。他の実施形態では、電気機械は、ターボファン101のナセル155及び/又はタービンエンジンのハウジングの内部又は外部に配置してもよい。例えば、電気機械は、ナセルの前方に配置してもよく、及び/又はナセルから半径方向にずれていてもよい。ナセルの前方に配置される場合に、電気機械は、電気機械がターボファンへの気流中に入らないように、又はターボファンへの気流に重大な影響を与えないように、ナセルよりかなり前方に配置され得、これにより、ターボファンの効率に悪影響を与えない。同様に、電気機械は、電気機械が、ターボファンへの気流中に入らないように、又はターボファンへの気流に重大な影響を与えないように、ナセルの中心軸から半径方向に離れた位置に配置してもよい。様々な実施形態では、電気機械は、ナセルの前方に配置され、ナセルから半径方向にずれていてもよい。1つ又は複数のクラッチを含む並列構成でターボファンに接続された電気機械の構成については、
図2A~
図2D、
図3、及び
図4に関して以下でさらに説明する。様々な実施形態では、クラッチ以外の回転部品を選択的に係合するための任意の機構を使用してもよい。例えば、クラッチのないギアリング又は他のトランスミッションを、クラッチの代わりに、本明細書で説明する様々な部品を選択的に係合するための機構として使用してもよい。
【0016】
このような電気機械(例えば、発電機)をターボファンに追加することにより、パワープラントは、ハイブリッドパワープラントとして動作し、前進推力と電力との両方を供給することができる。このような実施形態は、非常に高い電力レベルでDEPを可能にするという利点がある。具体的には、電気モータ/発電機等の電気機械をシャフト145に沿ってどこかの場所に追加し、或いはベベル又は他のギア配置を介してシャフトによって駆動し、それによってシャフト145及び/又は他の構成要素がLPタービンからバイパスファンに動力を伝達し、さらに特定の場所にクラッチを追加して、本明細書で説明する複数の有用な動作モードを有効にすることもできる。
【0017】
本明細書では電気機械(又は電気機械(emachine))という用語を使用するが、このような用語は、発電機、モータ、又は発電機/モータの組合せを指す場合があり、例えば、電気モータは発電機としても動作することができる。同様に、発電機は、制御及び整流戦略を変更することによってモータとしても動作することができる。本明細書で説明する様々な実施形態では、このようなモータ/発電機の使用は、機内エネルギ貯蔵システムから動力を取り出して、コア熱エンジンの動力を補うか又は置き換えるためにシャフト動力を追加するのではなく、LPタービンによって生成され、シャフト145等のシャフトによって伝達される動力を抽出し、発電機として動作して、航空機の他の用途のために非常に高い電力を生成することであり得る(ただし、本明細書で説明するように、一部の動作モードにおいて、モータとして動作する電気機械によってターボファンのシャフトに電力が適用され得る)。この電力は、例えば、約400ボルト(V)以上の高電圧、又は400V~2.4キロボルト(kV)の任意の電圧であり得る。例えば、このようなシステムの公称電圧には、800V又は1200Vが含まれ得る。ただし、本明細書で説明する様々な実施形態では、電気機械の使用には、バッテリ等の電源からの電力を使用して電気機械からシャフト145に電力を出力することも含まれ得る。
【0018】
このような高電圧及び/又は高電流の電力は、ファン、プロペラ、又は他の装置を駆動する1つ又は複数の電気モータを特徴とする航空機の推進、揚力、及び/又は制御に使用できる。このような高電圧及び/又は高電流は、高電力を必要とする所与の航空機の他の機能にも使用できる。本明細書で説明する電気機械を含むターボファンの全電気出力は、例えば、1メガワット(1MW)以上の電力を使用し得る航空機のアクセサリ又は他の態様の1つ又は組合せに使用できる。
【0019】
様々な実施形態において、モータ/発電機は、ターボファンエンジンの長さに沿った任意の場所、又はターボファンエンジンハウジング及び/又はナセルハウジングの外側に配置され得る。一実施形態では、モータ/発電機は、バイパスファンの前方に少し離れて配置され得る(例えば、
図1のターボファン101の位置165のように、ターボファンのシュラウド(スピナー)内に収容される)、又はバイパスファンからさらに前方に離れて配置され得る。他の例として、
図2A~
図2Dは、バイパスファンの前方に配置され得るモータ/発電機を示す。
【0020】
図2Aにおいて、並列ハイブリッドパワープラント200は、ターボファン210、コア熱エンジン215、及びLPタービン235を有する。これらの構成要素は、
図1に示されるターボファン101の構成要素と同様であり得る。パワープラント200には、バイパスファン210及び/又は電気機械205に電力(power:動力)を供給するように構成されたシャフト220も含まれる。電気機械205は、クラッチ230等の機構を係合させることによって選択的に電力を供給され、バイパスファン210は、クラッチ225等の機構を係合させることによって選択的に電力を供給される。クラッチ230及び225は、別々に係合することも、同時に係合させることもできる。システムは、バイパスファン210及び/又は電気機械205の必要に応じて、LPタービン235から出力される動力を変換するための1つ又は複数のギアボックスをさらに有してもよい。例えば、1つ又は複数のギアボックスは、シャフト220に沿った任意の場所、クラッチ225及び/又は230の一方又は両方の近く、バイパスファン210又はその近く、及び/又は電気機械205又はその近くに配置され得る。様々な実施形態では、電気機械の構成要素は、電気を生成(出力)又は使用せずに回転するように構成することもできる。そのため、様々な実施形態では、クラッチは、電気機械とシャフトとの間で省略されるか、又は使用されない可能性がある(例えば、様々な実施形態では、
図2A~
図2Dのクラッチ230、
図3のクラッチ330、及び/又は
図4のクラッチ430が存在しない可能性がある)。これは、電気機械がシャフトの回転に無関係であり、電気機械内の界磁電流を変更して、電力が影響を受けずに通過できるようにする(例えば、電気機械が電気を生成又は使用することなくシャフトが回転する)か、又はシャフトから動力を取り込んで電気を生成する(例えば、回転するシャフトからの動力を使用して電気を生成する)ためである。様々な実施形態では、他のクラッチ(例えば、タービンエンジンの構成要素に関連付けられたクラッチ225、325、425)も省略されるか、又は使用されない可能性がある。
【0021】
様々な実施形態では、シャフト及び/又はクラッチ(又は、本明細書で説明する様々な構成要素の構成要素を選択的に係合することができるクラッチ以外の機構)の異なる構成も使用してもよい。例えば、
図2Aでは、シャフト220は、LPタービン235からバイパスファン210を通り、電気機械205に延びることが企図される。このような構成では、例えば、LPタービン235がバイパスファン210に動力を供給することが望まれる場合に、クラッチ225は、シャフト220をバイパスファン210の内部シャフトと係合させることができる。このように、バイパスファン210を回転させたくない場合に、クラッチ225がシャフト220とバイパスファン210のシャフトと係合解除しているため、シャフト220は、バイパスファン210を回転させずにバイパスファン210内で回転し続けることができる。次に、LPタービン235を使用して電気機械205に動力(電力)を供給することができる(その間、クラッチ230はシャフト220を電気機械205のシャフトと係合させる)。
【0022】
様々な実施形態において、
図2Aに示されるシャフト220(又は本明細書で説明する他のシャフトのいずれか)は、異なるクラッチ位置で分割してもよい。例えば、第1のシャフトはLPタービン235及びクラッチ225を接続し、第2のシャフトはクラッチ225及びクラッチ230を接続し、第3のシャフトはクラッチ230及び電気機械205を接続することができる。このような実施形態では、クラッチ225及び230の両方が係合され、電気機械205にLPタービン235によって出力される回転動力を供給することができる。このように、シャフト220は、実際には、クラッチ225及び230によって1つのシャフトとして動作するように一緒に接続され得る3つの異なるシャフトであってもよい。このような例では、LPタービン235及びクラッチ225を接続する第1のシャフトは、LPタービン235及びクラッチ225の第1の側に永久的に接続され得る。クラッチ225及びクラッチ230を接続する第2のシャフトは、クラッチ225の第2の側、クラッチ230の第1の側、及びバイパスファン210に永久的に接続され得る。クラッチ230及び電気機械205を接続する第3のシャフトは、クラッチ230の第2の側及び電気機械205に永久的に接続され得る。全ての実施形態について以下で詳細に説明していない場合でも、本明細書で説明する実施形態のいずれにおいても(例えば、
図2A~
図2D、
図3、
図4等のいずれか)、本明細書で説明するシャフトは、本明細書で説明する様々なクラッチを介して接続可能な分割シャフトであってもよく、又は本明細書で説明するように、単一のシャフトと係合して構成要素(例えば、バイパスファン、電気機械、LPタービン)を回転させるように構成されるクラッチを通過するソリッドシャフトであってもよいことが理解されるだろう。様々な実施形態では、異なるタイプのクラッチ及び分割又は非分割シャフト構成を同じ実施形態で使用してもよい。
【0023】
図2Bには、パワープラント240のハウジング245が示される。パワープラント240は、パワープラント200と同様の構成要素を有し得るが、ハウジング245は、電気機械205及びその関連するクラッチ230を含む全ての構成要素を包含し得る。ハウジング245は、例えば、ハイブリッドターボファンのナセル、又はハイブリッドターボファンのエンジン/タービンのみのシュラウドであってもよい。
【0024】
図2Cには、パワープラント250のハウジング255が示される。パワープラント250は、パワープラント200及び240と同様の構成要素を有し得るが、ハウジング255は、電気機械205、クラッチ230、及びシャフト220の一部を除く全ての構成要素を包含し得る。そのため、電気機械205、クラッチ230、及びシャフト220の一部は、ハイブリッドパワープラント250の残りの部分が配置されるハウジングの外側に配置され得る。ハウジング255は、例えば、ハイブリッドターボファンのナセル、又はハイブリッドターボファンのエンジン/タービンのみのシュラウドであってもよい。
【0025】
図2Dには、パワープラント260のハウジング265が示される。パワープラント260は、パワープラント200、240、及び250と同様の構成要素を有し得るが、ハウジング265は、電気機械205及びシャフト220の一部を除く全ての構成要素を包含し得る。そのため、電気機械205及びシャフト220の一部は、ハイブリッドパワープラント260の残りの部分が配置されるハウジングの外側に配置され得る。ハウジング265は、例えば、ハイブリッドターボファンのナセル、又はハイブリッドターボファンのエンジン/タービンのみのシュラウドであってもよい。
【0026】
図3は、ハイブリッドパワープラント300の例を示しており、ここで、電気機械305がバイパスファン310とタービンエンジンと(例えば、コア熱エンジン315と低圧タービン335と)の間に配置される。従って、電気機械305は、位置170にあり得、ターボファンのハウジング、シャフト、及び/又は他の部分内にあり得る。ハイブリッドパワープラント300のハウジングは
図3に示していないが、電気機械305は、パワープラント300のハウジング(例えば、ナセル又はシュラウド)内にあり得る。クラッチ330は、電気機械305をシャフト320に選択的に接続して電気機械305に動力(電力)を供給するために使用することができ、クラッチ325は、シャフト320をバイパスファン310に選択的に接続してバイパスファン310に動力(電力)を供給するために使用することができる。
【0027】
図4は、ハイブリッドパワープラント400の例をさらに示しており、ここで、電気機械405が、シャフト420を介して動力出力が生成される低圧タービンセクション435の後ろで、ターボファンの後部付近に物理的に配置される。例えば、電気機械405は、ターボファンのハウジング又はナセルの内部又は外部に配置され得る。クラッチ430は、電気機械405をシャフト420に選択的に接続して電気機械405に動力(電力)を供給するために使用することができ、クラッチ425は、シャフト420をバイパスファン410に選択的に接続してバイパスファン410に動力(電力)を供給するために使用することができる。ハイブリッドパワープラント400のハウジングは
図4には示していないが、クラッチ430及び/又は電気機械405は、ハウジング(例えば、ナセル又はエンジンシュラウド)内又はそのようなハウジングの外側に配置され得る。
【0028】
図5は、例示的な実施形態によるハイブリッドパワープラントシステムで使用するための制御システム500を表すブロック図を示す。航空機制御システム500は、例えば、以下で説明するハイブリッドパワープラントの様々な動作モードの1つ又は複数を実施するために使用され得る。システム500のエンジン520は、本明細書で説明するいずれかのターボファンの燃焼エンジン部分と同じ又は同様であってもよい。バイパスファン545は、本明細書で説明するいずれかのバイパスファンと同じ又は同様であってもよい。発電機/モータ525は、本明細書で説明するいずれかの電気機械と同じ又は同様であってもよい。クラッチ530及び535は、本明細書で説明するいずれかのクラッチと同じ又は同様であってもよい。
【0029】
航空機制御システム500は、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ505(以下、コントローラ505と呼ぶ)、メモリ510、電力I/O540、アクセサリ545、1つ又は複数のセンサ515、1つ又は複数の推進機構550、及びバッテリ555等の電源をさらに含み得る。
図5の接続は、航空機制御システム500の構成要素同士の間の制御信号関連の接続を示している。
図5に示されていない他の接続は、航空機の高電圧(HV)又は低電圧(LV)電力等の電力を供給するために、航空機及び/又は航空機制御システム500の様々な態様の間に存在し得る。電力I/O540は、航空機全体に電力を分配できるように、発電機/モータ525と航空機の1つ又は複数のバス又は配線との物理的な接続であり得る。電力I/O540は、発電機/モータ525に流入又は流出する電力の態様を測定するように構成された電圧センサ又は電流センサ等のセンサであるか、又はそれらを含むことができる。こうして、コントローラ505は、発電機/モータ525に流入又は流出する電力を監視及び/又は制御するように構成することができる。
【0030】
メモリ510は、命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体であり得る。このような命令は、コントローラ505によって実行されるコンピュータ実行可能コードであり、本明細書で説明するハイブリッドパワープラントを使用する様々なモード、及びそれらのモードの組合せ又は特定のシーケンスを含む、本明細書で説明する様々な方法及びシステムを実装し得る。コンピュータコードは、本明細書のハイブリッドパワープラントの様々なモードを実装する様々な方法が、例えば特定の飛行段階(着陸、離陸、巡航等)を示す様々な入力に基づいて自動的に実装されるように記述することができる。様々な実施形態では、コンピュータコードは、航空機又は航空宇宙機のユーザ又はパイロットからの入力に基づいて本明細書の様々なモードを実装するように記述されるか、又はユーザ入力と非人間入力(例えば、航空機内又は航空機外のセンサからの入力、計画した飛行計画に基づく等)に基づく自動実装との組合せに基づいて実装され得る。コントローラ505は、発電機/モータ525、1つ又は複数のバッテリ555、電力I/O540、任意の電源によって電力供給される航空機の電力バス、及び/又は利用可能な他の任意の電源等、航空機又は航空宇宙機上の電源によって電力供給される。
【0031】
コントローラ505は、
図5の各構成要素と通信することもできる。このようにして、本明細書で説明するハイブリッドパワープラントの構成要素は、本明細書で説明する様々なモードを実装することを含めて制御され得る。
【0032】
センサ525には、ハイブリッドパワープラントの様々な構成要素を監視するための様々なセンサを含めることができる。このようなセンサには、例えばクラッチ530及び/又は535の現在の状態、ギアボックスの現在の状態を決定するための温度センサ、タコメータ、流体圧力センサ、電圧センサ、電流センサ、状態センサ、又は他のタイプのセンサ等が含まれ得る。例えば、電圧センサ及び/又は電流センサは、モータ/発電機の機能及び設定、クラッチに選択した状態、又はシステムの他の構成要素の調整を通知するために使用できる。状態センサは、ハイブリッドパワープラントが使用される特定のモードを示すこともでき、システムは、入力(例えば、パイロットから、自動飛行コントローラから)を受信して、今後の飛行の特定のフェーズに合わせてシステムを別の状態又はモードに変更することができる。他のセンサには、航空機の対気速度を測定するピトー管、航空機の高度を測定する高度計、及び/又は地面及び/又は既知/地図上の構造物に対する位置を決定するための全地球測位システム(GPS)又は同様の地理的位置センサが含まれ得る。
【0033】
様々な実施形態では、コントローラ505は、1つ又は複数のバッテリ或いはバッテリ管理システムと通信して、それらの充電レベルを監視し、バッテリを充電又は放電するタイミングを制御し、バッテリを使用して発電機/モータ525に電力を供給するタイミングを制御し、バッテリを使用して航空機の別の態様に直接電力を供給するためにタイミングを制御することもできる。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントローラ505は、航空機に搭載したコントローラ505に有線接続した装置と通信し、及び/又は航空機又は航空宇宙機に搭載され得る無線トランシーバと通信して、コントローラ505が、システム500に有線接続されていない他のコンピューティング装置と通信できるようにする。このようにして、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々なモードを実装するための命令又は入力は、リモート装置のコンピューティング装置から無線で受信することもできる。他の実施形態では、システム500は、航空機に搭載した構成要素とのみ通信し得る。
【0035】
本明細書に記載のハイブリッドパワープラントの様々な実施形態を使用して実施できる様々な特定のモードについて、以下でさらに説明する。
【0036】
第1のモードでは、タービンエンジンからの最大又は略最大の動力出力が、電力出力を生成するために電気機械に向けられる。こうして、このようなモードでは、必要に応じて前方推力が殆ど又はゼロになる可能性がある。このようなモードは、例えば、VTOL航空機の垂直離陸及び/又は着陸動作中に有益であり得る。
【0037】
第2のモードでは、LPタービンによって生成され、ハイブリッドパワープラントの出力シャフトによって出力される動力(電力)は、バイパスファンに完全に又は主に伝達され、前方推力のみ又は主に前方推力を生成し得る。最大推力は、例えば、航空機の巡航中(例えば、離陸と着陸との間)に望ましい可能性がある。そのため、このモードでは、航空機はシャフトからの他の動力遮断(例えば、電気機械による)を最小限に抑え、航空機が最大又は略最大速度を達成できるようにする。
【0038】
第3のモードでは、前進推力と電力生成との組合せが望ましい場合がある。例えば、このようなモードは、前進飛行から垂直離陸及び/又は着陸動作(電力で電力供給される場合がある)への移行中に使用することができる。このモードは、パイロット(例えば、人間又は自律型)が、高出力アクセサリ等の飛行機の他の用途のために高電力を生成するために、最高速度能力(従って、前進推力の低下)を犠牲にしたい場合にも使用することもできる。この動作モードは、前進推力が望ましくない場合でも、ターボファンのコア熱エンジンを通る空気の流れを最小限に抑えることが望ましい場合にも使用される/望ましい場合がある。換言すれば、バイパスファンの回転により、過度の電力(動力)を消費することなく、必要に応じてタービンエンジンに空気を通過させることができ、電気機械によって依然としてかなりの電力を生成することができる。
【0039】
コア熱エンジンを始動又は動作させることなく、ターボファンのバイパスファンからいくらかの前進推力が必要な場合に、第4のモードを使用することができる。これは、搭載エネルギ貯蔵器(例えば、バッテリ等)を使用して、モータ/発電機を電気モータとして駆動することによって達成することができる。このような動作は、バイパスファンへの電力の短時間のバーストのため、又はコア熱エンジンが故障した場合の安全性及び生存性を高めるためのものであり得る。このような動作を実行するには、バイパスファンが実際に電気機械の出力によって駆動できるように、電気機械の出力シャフトをバイパスファンのシャフトに直接又は間接的に結合する必要がある。これは、本明細書で説明する1つ又は複数のクラッチの使用、又は他の方法によって達成することができる。一例では、このような動作モード中にコア熱エンジンを電気機械及び/又はバイパスファンから係合解除するように構成された追加のクラッチを使用してもよく、それによって、電気機械がバイパスファンを駆動している間に、コア熱エンジンのシャフトは回転しない。換言すれば、様々な実施形態では、
図2A~
図2D、
図3、及び/又は
図4のいずれかに示されるクラッチ以外の追加のクラッチを使用して、LPタービンシャフトをバイパスファンのシャフトから係合解除してもよい。例えば
図2A等の分割シャフトが使用される例示的な実施形態では、別のクラッチを追加することなく、電気機械がLPタービンを回転させずにバイパスファンに電力(動力)を供給してもよい。
図2Aの例では、シャフトが各クラッチで分割されており、クラッチ230が係合している間にクラッチ225は係合解除されている可能性があり、それによって、電気機械205はバイパスファン210を回転させるための電力を出力できるが、クラッチ225とLPタービン235との間のシャフト部分は、クラッチ225が係合解除されているため回転しない。このようにして、LPタービンの追加クラッチを介して、又はクラッチで分割されたシャフトの使用を介して、バイパスファンは、LPタービンセクションを回転させずに回転することができる。様々な実施形態では、コア熱エンジンが使用されていないときでも、LPタービンセクションが回転することが許容され、それによって、電気機械は、LPタービンセクションを回転させながらバイパスファンに電力(動力)を供給できる。
【0040】
これらの並列ハイブリッドパワープラントの動作モードを容易にするために、システムは、本明細書で説明するように、少なくとも1つのクラッチを含むことができる。例えば、LPタービンシャフトをモータ/発電機に機能的に接続/接続解除するためのクラッチを使用することができる。このクラッチは、本明細書では電気機械クラッチと呼び得る。電気機械クラッチは、電気機械がインランナー(in-runner)又はアウトランナー(our-runner)スタイルに応じて、電気機械のロータ又はステータに取り付けることができる。LPタービンシャフトをバイパスファンに機能的に接続/接続解除するための第2のクラッチを使用してもよい。このクラッチは、本明細書ではバイパスファンクラッチと呼び得る。
【0041】
上記の第1のモードは、電気機械クラッチを閉じ、バイパスファンクラッチを開くことによって実装することができ、それによってLPタービンシャフトからの全ての動力が電気機械に伝動される。上記の第2のモードは、電気機械クラッチを開き、バイパスファンクラッチを閉じることによって実装することができ、それによって全てのLPタービンシャフト動力がバイパスファンに伝達される。
【0042】
上記の第3のモードは、電気機械クラッチとバイパスファンクラッチとの両方を完全に又は部分的に閉じることによって実装することができる。両方のクラッチが完全に閉じている場合に、モータ/発電機及びバイパスファンは同じ回転数(RPM)で回転し、動力の分割は、例えばモータ/発電機のインバータと界磁電流の制御によって制御できる。一方又は他方のクラッチが部分的に閉じている場合に、クラッチ圧力の制御は、適切なコントローラ及びクラッチ圧力アクチュエータを使用して動力を分割する役割を果たし得る。従って、クラッチの一方又は両方を制御して、シャフトから電気機械又はバイパスファンのいずれかに伝達される動力の量を制御することができる。クラッチがこのように使用される場合に、クラッチは熱を発生する可能性があるため、システムは、クラッチの一方又は両方を必要に応じて冷却して、クラッチの一方又は両方を所望の温度に保つように構成できる。第3の動作モードの追加の実施態様には、バイパスファンからの推力が下向きにベクトル化され、電動ファンによって生成された揚力と結合して安定したVTOLプラットフォームを形成することが含まれ得る。このベクトル制御は、ターボファンの後端にある再構成可能なノズル又は他のデフレクタを介して、及び/又はターボファンを回転させることによって行うことができる。
【0043】
上述した第4の動作モードにおいて、電気機械及びクラッチの相対的な位置が、第4のモードを実行するためのそれらの動作状態に影響を与え得る。電気機械及びバイパスファンがシャフトを介して接続される限り、電気機械はバイパスファンに電力を供給できる。加えて、ハイブリッドパワープラントは、LPタービンシャフトが(例えば、クラッチを介して)コア熱エンジンから接続解除されるように構成され、電気機械がバイパスファンに電力を供給している間に、エンジンの構成要素が回転しないようにさらに構成してもよい。同様のモードでは、電気機械はバイパスファンに電力を供給するために使用されるが、エンジンはバイパスファンに動力を供給するためにさらに使用され得、それによってエンジンが出力できる最大電力よりもさらに高い最大電力がバイパスファンに適用される。いずれの場合も、エネルギ貯蔵システム(バッテリ等)の存在は、電気機械、従ってハイブリッドパワープラントのバイパスファンに電力を供給するために使用してもよい。
【0044】
図6は、本明細書で説明するターボファンエンジンコアを有するハイブリッドパワープラントを使用する方法600を示すフローチャートである。例えば、602では、ハイブリッドパワープラントの1つ又は複数のクラッチを制御して、電力(動力)が主として又は完全に電気機械に向けられ、電気機械からの電力出力を最大化することができる。これは、例えば、VTOL航空機の垂直離陸を容易にする電気モータに高電力を供給するために有用であり得る。これは、上述した第1のモードを使用して実施することができる。
【0045】
604では、クラッチを制御して、バイパスファン及び電気機械の組合せに電力を向けることができる。これは、例えば、航空機の離陸のために垂直飛行から巡航/水平飛行に移行する間、及び/又は航空機が巡航している間に、航空機のアクセサリ又は他の構成要素にかなりの電力(動力)を向けることが望ましい場合に有用である。これは、上述した第3のモードを使用して実施することができる。
【0046】
606では、クラッチを制御して、例えば航空機の巡航又は水平飛行中に、前方推力を最大化するために、主に又は完全にバイパスファンに電力(動力)を向けることができる。これは、上述した第2の動作モードを使用して実装することができる。
【0047】
608では、604と同様に、クラッチを制御して、バイパスファン及び電気機械の組合せに電力(動力)を向けることができる。これは、例えば、航空機の着陸のために巡航/水平飛行から垂直飛行に移行する間、及び/又は航空機が巡航している間に、航空機のアクセサリ又は他の構成要素にかなりの電力を向けることが望ましい場合に有用であり得る。これは、上述した第3の動作モードを使用して実装することができる。
【0048】
610では、602と同様に、ハイブリッドパワープラントのクラッチを制御して、電気機械からの電力の出力を最大化するために、主に又は完全に電気機械に電力(動力)を向けることができる。これは、例えば、VTOL航空機の垂直着陸を容易にする電気モータに高出力を供給するのに有用であり得る。これは、上述した第1のモードを使用して実装することができる。
【0049】
そのため、方法600を使用すると、VTOL航空機は、垂直離陸(602)、垂直飛行から水平飛行への移行(604)、水平/巡航飛行(606)、水平飛行から垂直飛行への移行(608)、及び垂直着陸(610)を含む、所望の飛行の全ての段階を実施することができる。
【0050】
本明細書で説明するシステム及び方法の他の利点は、ハイブリッドパワープラントを使用する航空機でも活用することができる。例えば、本明細書で説明する実施形態で単一の電気機械によって生成される利用可能な電力は、ハイブリッドパワープラントあたり4MW~10MWの範囲である可能性がある。
【0051】
航空機に高システム電圧(例えば、800ボルトDC(VDC)、1000VDC、1200VDC)が求められるいくつかの実施形態では、約3200アンペア(A)、4000A、又は4800Aの範囲の電気機械から利用可能な電流が存在し得る。従来の銅線は、他の導体と同様に、固有の内部発熱及び放散、強度、重量(密度)、及び製造許容差及び輸送制限等の他の実際的な制限/制約に基づいて、電流を運ぶ能力が制限される。銅線に固有の制限を考慮すると、この高電力用途の電気機械は複数のセクタで設計され得、各セクタが総電力の一部のみを生成し、セクタから電流を運ぶワイヤが総電流の一部のみを運ぶ。このように設計した電気機械には、2~24セクタ(2セクタ、4セクタ、6セクタ、8セクタ、12セクタ、16セクタ、20セクタ、又は24セクタ)等の複数のセクタがあり得る。このように設計した電気機械は、複数のインバータに直接接続され得、各インバータが、1つ又は複数のセクタを制御するが、電気機械の全てのセクタを制御するわけではない。
【0052】
分散型電気推進(DEP)で使用するための高電圧DCバスレイアウトは単一であってもよく、つまり、航空機で生成又は蓄積される全ての電力が単一のDCバス(例えば、正と負(又は正と接地)の2本の線を有するバス)に供給され、全てのモータ又は電力消費機器が同じ単一のバスに電気的に接続される。本明細書で説明するターボファンハイブリッドパワープラントによって生成される高電力の場合に、電力は複数の並列DCバスで搬送され得る。これらの複数のDCバスは、例えば1000VDC等の同じシステム電圧であってもよい。それら(DCバス)は、メイン電気機械のセクタ(全てのセクタではない)を制御する複数のインバータに接続され得、揚力又は制御用の電気モータ等の電力消費機器に異なる方向に電力を供給してもよい。一例は12セクタが12個のインバータに電力を供給する単一のハイブリッド発電機であってもよい。これらの12個のインバータは12個の高電圧DCバスに出力し、例えば、4個のバスは左翼の先端にあるリフト(揚力)モータに供給され得、さらに4個のバスは右翼の先端にあるリフトモータに供給され得、さらに4個のバスは航空機の尾部にあるリフトモータに供給され得る。換言すれば、異なるバスを使用して、航空機の異なる部分に電力を移すように構成することができる。バス同士の間の他の接続は、電力が1つのバスから別のバスに、又は1つのバスグループから別のバスグループに必要に応じて流れるように選択的に制御することができる。
【0053】
本明細書で説明するハイブリッドパワープラントを使用して生成され得る高レベルの電力は、銅線よりも望ましい導電性特性を有するワイヤを使用することで、より効率的に使用することもできる。例えば、銅線の代わりにアルミニウム線を使用してもよい。その導電性及び密度を考慮すると、アルミニウム線は、高電力レベルでの所与の導体のワイヤ重量を約50%削減することができる。別の例では、特定の超伝導材料から完全に又は部分的に作製されたワイヤを使用してもよい。様々な実施形態では、冷却機器を使用して超伝導材料又は他の材料を所望の温度に保ち、電力損失を低減することもできる。様々な構成では、このようなアルミニウム又は超伝導配線(可能な関連する冷却システムを含む)は、同じ又は同様の電力出力用に設計された銅線システムと比較して、システム全体の重量を軽減することができる。超伝導配線は、例えば、ビスマス・ストロンチウム・カルシウム銅酸化物(BSCCO)又は他の任意のタイプの適切な超伝導材料であってもよい。
【0054】
本明細書で説明するように、電気機械は交流(AC)を生成又は使用することができ、電気機械はインバータに接続され得、それによって電気機械によるAC電力出力を航空機のバス用のDC電力に変換することができる(インバータは、バスからのDC電力をAC電力に変換して、電気機械に入力し、上記の第4のモードに関して説明したように、LPタービンシャフトに電力を供給することもできる。)。電気機械の反対側のDCバスの他端では、DC電力が別のインバータに供給され、この別のインバータはDC電力をAC電力に戻して電気モータを駆動する(例えば、航空機の揚力又は制御を生成する)。航空機の重量を減らすために、AC電力は電気機械から電気モータに直接供給され得る。電気機械が複数のセクタにあり、各セクタが関連するバス(例えば、配線)を有する様々な実施形態では、インバータ及び/又はDCバスを使用せずに、電気機械の特定のセクタによってのみ生成されるAC電力を電気モータに直接供給することによって、このような機能をさらに強化することができる。このような実施形態では、電気機械の一部のセクタには、DCバスのためにAC電力をDC電力に変換するためのインバータが依然としてあるが、他のセクタは、電気モータ又はAC電力を必要とする他の機器に直接電力を供給するように構成することができる。
【0055】
図7は、セグメント化した電気機械を用いて航空機部品に電力を供給するシステムとして使用される、複数のセグメントを有する電気機械を表すブロック
図700を示す。特に、
図7は、セグメント化した電気機械が、モータ等の装置、1つ又は複数のDCバス等に直接出力される電力をどのように生成し得るかを示している。
【0056】
図7には、少なくとも6つのセクタ705、710、715、720、725、730を含む電気機械702が示される。本明細書で説明するように、電気機械は、必要に応じて任意の数のセクタを有することができる。
図7は、いくつかのセクタの1つの可能な構成と、それらセクタがシステム内の他の装置及び/又はバスに接続される方法を示している。他の様々な実施形態では、異なる数の電気機械、セクタバス、他の装置等を使用してもよい。
【0057】
図7の例では、セクタ705及び710は、配線785を介してモータ790に直接接続される。
図7に示される配線785は、各セクタ705及び710からモータ790まで延びる1つ又は複数の配線ペアを表し得る。配線785は、ACバスであってもよく、又はACバスを含んでもよい。さらに、モータ790は、セクタ705及び710によって出力される交流(AC)電力を使用する1つ又は複数のモータ又は他の装置/アクセサリであり得る。このようにして、電気機械702からの一部のAC電力が特定の装置に直接出力され得る。
【0058】
セクタ715及び720は、それぞれインバータ735及び740に接続されており、それによってセクタ715及び720によって出力されるAC電力は、インバータ735及び740によってDC電力に変換され、DCバス775に出力され得る。DCバス775は、モータ760等の、航空機の様々な構成要素に電力を供給するために使用できる。モータ760は、インバータ755を介してDCバス775に接続されており、それによってインバータ755は、DCバス775からのDC電力をモータ760用のAC電力に変換することができる。
【0059】
セクタ725及び730は、それぞれインバータ745及び750に接続されており、それによってセクタ725及び730によって出力されるAC電力は、インバータ745及び750によってDC電力に変換され、DCバス780に出力され得る。DCバス780は、高出力アクセサリ770等の航空機の様々な構成要素に電力を供給するために使用できる。高出力アクセサリ770は、インバータ765を介してDCバス780に接続されており、それによってインバータ765は、DCバス780からのDC電力を高出力アクセサリ770用のAC電力に変換できる。様々な実施形態では、高出力アクセサリ770の1つ又は複数がDC電力を使用する場合に、そのようなアクセサリは、インバータを使用せずにDCバスに接続できる。
【0060】
様々な実施形態では、航空機は1つ又は複数のバッテリ等の電源も有してもよい。これらのバッテリは、DCバス775及び780の1つ又は複数に接続され得、それによりバス775及び780にDC電力を供給し、及び/又はバス775及び780からDC電力を受け取ることができる。このようにして、バッテリは、航空機の装置によって充電されるか、又は航空機の装置に電力を送ることができる。例えば、このような電池は、最終的には電気機械702のセクタによって生成された電気エネルギを使用して充電され得る。このような電池は、本明細書で説明するように、電気機械702に電力を供給するために、例えば本明細書で説明するように電気機械702を介してLPタービンシャフトを駆動するために使用してもよい。
【0061】
図8は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、又は非一時的なコンピュータ可読媒体内に記憶した命令等を実行する能力を含む他の装置等の汎用コンピューティングシステム環境100を含むコンピューティング環境の例の概略図である。本明細書に開示する様々なコンピューティング装置(例えば、プロセッサ/コントローラ505、メモリ510、この2つの組合せ、又は航空機の他の構成要素の一部又は航空機のコントローラであり得る通信を行う他のコンピューティング装置)は、コンピューティングシステム100に類似しているか、又はコンピューティングシステム100の一部の構成要素を含み得る。さらに、単一のコンピューティングシステム100の文脈で説明及び図示しているが、当業者であれば、以下で説明する様々なタスクが、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークを介してリンクされた複数のコンピューティングシステム100を有する分散環境で実行でき、この分散環境では、実行可能命令が、複数のコンピューティングシステム100の1つ又は複数に関連付けられ、及び/又は複数のコンピューティングシステム100によって実行され得ることも理解されよう。
【0062】
最も基本的な構成では、コンピューティングシステム環境100には、典型的に、少なくとも1つの処理ユニット102及び少なくとも1つのメモリ104が含まれ、これらはバス106を介してリンクされ得る。コンピューティングシステム環境の正確な構成及びタイプに応じて、メモリ104は、揮発性(RAM110等)、不揮発性(ROM108、フラッシュメモリ等)、又はこれら2つの組合せになる場合がある。コンピューティングシステム環境100には、追加の特徴及び/又は機能がある場合がある。例えば、コンピューティングシステム環境100には、磁気ディスク又は光ディスク、テープドライブ、フラッシュドライブ等(ただしこれらに限定されない)を含む追加のストレージ(消去可能及び/又は消去不可能)も含まれる場合がある。このような追加のメモリ装置は、例えば、ハードディスクドライブインターフェイス112、磁気ディスクドライブインターフェイス114、及び/又は光ディスクドライブインターフェイス116によって、コンピューティングシステム環境100にアクセス可能とすることができる。理解されるように、システムバス306にそれぞれリンクされるこれらの装置は、ハードディスク118の読み取り及び書き込み、リムーバブル磁気ディスク120の読み取り及び書き込み、及び/又はCD/DVD、ROM、又は他の光媒体等のリムーバブル光ディスク122の読み取り及び書き込みを可能にする。ドライブインターフェース及びそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピューティングシステム環境100用のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータを不揮発性で保存することを可能にする。当業者は、データを保存できる他の種類のコンピュータ可読媒体をこの同じ目的で使用してもよいこともさらに理解するだろう。このようなメディア装置の例としては、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ、ナノドライブ、メモリスティック、他の読み取り/書き込みメモリ及び/又は読み取り専用メモリ、及び/又はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ等の情報を格納するための他の方法又は技術等が挙げられるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティングシステム環境100の一部であってもよい。
【0063】
多数のプログラムモジュールを1つ又は複数のメモリ/メディア装置に格納してもよい。例えば、起動時等にコンピューティングシステム環境100内の要素同士の間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)124は、ROM108に格納され得る。同様に、RAM110、ハードドライブ118、及び/又は周辺メモリ装置は、オペレーティングシステム126、1つ又は複数のアプリケーションプログラム128(例えば、本明細書に開示する機能を含み得る)、他のプログラムモジュール130、及び/又はプログラムデータ122を含むコンピュータ実行可能命令を格納するために使用できる。さらに、コンピュータ実行可能命令は、必要に応じて、例えばネットワーク接続を介してコンピューティング環境100にダウンロードできる。
【0064】
エンドユーザは、キーボード134及び/又はポインティング装置136等の入力装置を介して、コンピューティングシステム環境100にコマンド及び情報を入力できる。図示していないが、他の入力装置には、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナ等が含まれ得る。これらの入力装置及び他の入力装置は、典型的に、周辺機器インターフェイス138を介して処理ユニット102に接続され、次に周辺機器インターフェイス138はバス106に結合される。入力装置は、例えばパラレルポート、ゲームポート、ファイアワイヤ、ユニバーサルシリアルバス(USB)等のインターフェイスを介してプロセッサ102に直接又は間接に接続できる。コンピューティングシステム環境100からの情報を表示するには、モニタ140又は他のタイプのディスプレイ装置を、ビデオアダプタ132等のインターフェイスを介してバス106に接続することもできる。モニタ140に加えて、コンピューティングシステム環境100には、スピーカ及びプリンタ等の他の周辺出力装置(図示せず)も含まれ得る。
【0065】
コンピューティングシステム環境100は、1つ又は複数のコンピューティングシステム環境への論理接続を利用することもできる。コンピューティングシステム環境100とリモートコンピューティングシステム環境との間の通信は、ネットワークルーティングを担当するネットワークルータ152等の更なる処理装置を介して交換され得る。ネットワークルータ152との通信は、ネットワークインターフェイス構成要素154を介して実行できる。こうして、このようなネットワーク環境、例えばインターネット、ワールドワイドウェブ、LAN、又は他の同様のタイプの有線又は無線ネットワーク内では、コンピューティングシステム環境100に関連して示したプログラムモジュール又はその一部が、コンピューティングシステム環境100のメモリストレージ装置に格納される可能性があることは理解されるだろう。
【0066】
コンピューティングシステム環境100には、コンピューティングシステム環境100の位置を特定するための位置特定ハードウェア186も含まれ得る。場合によっては、位置特定ハードウェア156は、例えばGPSアンテナ、RFIDチップ又はリーダ、WiFiアンテナ、又はコンピューティングシステム環境100の位置を特定するために使用できる信号を取り込む又は送信するために使用できる他のコンピューティングハードウェアのみを含む場合がある。
【0067】
本開示では特定の実施形態について説明したが、請求項は、請求項に明示的に記載される場合を除き、これらの実施形態に限定されることを意図していないことが理解されるだろう。逆に、本開示は、本開示の精神及び範囲内に含まれ得る代替物、修正物、及び同等物を網羅することを意図している。さらに、本開示の詳細な説明では、開示した実施形態を完全に理解できるように、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、本開示と一致するシステム及び方法は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示の様々な態様を不必要に不明瞭にしないために、よく知られている方法、手順、構成要素、及び回路は詳細に説明していない。
【0068】
本開示の詳細な説明の一部は、手順、論理ブロック、処理、及びコンピュータ又はデジタルシステムメモリ内のデータビットに対する動作の他の記号表現の観点から提示される。これらの説明及び表現は、データ処理技術の当業者が、その作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。手順、論理ブロック、プロセス等は、本明細書では、また一般的には、望ましい結果につながる一貫した一連のステップ又は命令であると考えられる。これらステップは、物理量の物理的動作を必要とするステップである。通常、これらの物理的動作は、必ずしもそうではないが、コンピュータシステム又は同様の電子計算装置で保存、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気データ又は磁気データの形式をとる。便宜上、及び一般的な使用法を参照して、このようなデータは、現在開示する様々な実施形態を参照して、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数値等と呼ばれる。
【0069】
ただし、これらの用語は、物理的な操作及び量を参照するものとして解釈すべきであり、当技術分野で一般的に使用する用語を考慮してさらに解釈すべき便利なラベルに過ぎないことに留意する必要がある。特に明記しない限り、本明細書の議論から明らかなように、本実施形態の議論全体を通じて、「決定」又は「出力」又は「送信」又は「記録」又は「位置特定」又は「保存」又は「表示」又は「受信」又は「認識」又は「利用」又は「生成」又は「提供」又は「アクセス」又は「確認」又は「通知」又は「配信」等の用語を使用する議論は、データを操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子コンピューティング装置の動作及びプロセスを指すことが理解される。データは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理量(電子量)として表され、本明細書で説明するか、又は当業者に理解されるような、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ内、又は他のそのような情報ストレージ、送信、又はディスプレイ装置内で同様に物理量として表される他のデータに変換される。
【0070】
例示的な実施形態では、本明細書で説明する動作のいずれも、少なくとも部分的に、コンピュータ可読媒体又はメモリに保存したコンピュータ可読命令として実装され得る。プロセッサによってコンピュータ可読命令が実行されると、コンピュータ可読命令は、コンピューティング装置に動作を実行させる。
【0071】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示された。開示した正確な形式に関して網羅的又は限定的であることを意図するものではなく、上記の教示に照らして、又は開示した実施形態の実践から、修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、本明細書に添付した請求項及びその同等物によって規定されることが意図される。
【国際調査報告】