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特表2025-502273セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム用の浮体構造物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム用の浮体構造物
(51)【国際特許分類】
   B63B 77/10 20200101AFI20250117BHJP
   B63B 77/00 20200101ALI20250117BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20250117BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20250117BHJP
【FI】
B63B77/10
B63B77/00
B63B75/00
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024542022
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022078156
(87)【国際公開番号】W WO2023134888
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】2250021-9
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2250022-7
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2250023-5
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2250024-3
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2250755-2
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】202211037940.9
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】2251139-8
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524263628
【氏名又は名称】バソー テクノロジー アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Bassoe Technology AB
【住所又は居所原語表記】Box 11130, 404 23 Goeteborg, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク アルヴィドソン
(72)【発明者】
【氏名】ユンガン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ルドヴィクソン
(72)【発明者】
【氏名】インミ ボンドソン
(57)【要約】
本発明は、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム(100)用の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)であって、浮体構造物(10)は、実質的に鉛直方向に延在する第1の浮力安定化コラム(1)、第2の浮力安定化コラム(2)および第3の浮力安定化コラム(3)と、実質的に水平方向に延在する第1の細長いサブマーシブルポンツーン構造部(11)、第2の細長いサブマーシブルポンツーン構造部(12)および第3の細長いサブマーシブルポンツーン構造部(13)とを備えており、浮体構造物(10)は、水平面内で全体的に三角形の形状を有しており、第1のポンツーン構造部(11)、第2のポンツーン構造部(12)および第3のポンツーン構造部(13)は、三角形の辺を形成しており、ポンツーン構造部(11~13)は、コラム(1~3)の下側部分(1c,2c,3c)でコラム(1~3)同士の間に延在してコラム(1~3)同士を接続しており、第3のポンツーン構造部(13)は、第3のポンツーン構造部の上面(13a)が第1のポンツーン構造部(11)および第2のポンツーン構造部(12)の各々の上面(11a,12a)よりも水平方向で低いレベルに位置するように配置されている、浮体構造物(10,20,30,40,50,51)に関する。本発明は、また、上記タイプの浮体構造物のセットをセミサブマーシブル貨物運搬用船舶に積み込むための方法および上記タイプの浮体構造物のセットを運搬する船舶に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム(100)用の浮体構造物(10,20,30,30a~30d,40,50,51)であって、前記浮体構造物(10)は、
実質的に鉛直方向に延在する第1の浮力安定化コラム(1)、第2の浮力安定化コラム(2)および第3の浮力安定化コラム(3)と、
実質的に水平方向に延在する第1の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部(11)、第2の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部(12)および第3の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部(13)と
を備えており、
前記浮体構造物(10,20,30,40)は、水平面内で全体的に三角形の形状を有しており、前記第1のポンツーン構造部(11)、前記第2のポンツーン構造部(12)および前記第3のポンツーン構造部(13)は、前記三角形の辺を形成しており、
前記第1のポンツーン構造部(11)は、前記第1のコラム(1)と前記第2のコラム(2)との間に延在して前記第1のコラム(1)と前記第2のコラム(2)とを接続しており、前記第1のポンツーン構造部(11)は、前記第1のコラム(1)および前記第2のコラム(2)の各々の下側部分(1c,2c)に接続されており、
前記第2のポンツーン構造部(12)は、前記第2のコラム(2)と前記第3のコラム(3)との間に延在して前記第2のコラム(2)と前記第3のコラム(3)とを接続しており、前記第2のポンツーン構造部(12)は、前記第2のコラム(2)および前記第3のコラム(3)の各々の下側部分(2c,3c)に接続されており、
前記第3のポンツーン構造部(13)は、前記第1のコラム(1)および前記第3のコラム(3)の前記下側部分(1c,3c)で前記第1のコラム(1)と前記第3のコラム(3)との間に延在して前記第1のコラム(1)と前記第3のコラム(3)とを接続しており、
前記第1のポンツーン構造部(11)、前記第2のポンツーン構造部(12)および前記第3のポンツーン構造部(13)の各々は、上向きの上面(11a,12a,13a)を有しており、
前記第3のポンツーン構造部(13)は、前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の各々の高さよりも低い高さを有しており、
前記第3のポンツーン構造部(13)は、その前記上面(13a)が前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の各々の前記上面(11a,12a)よりも低いレベルに位置するように配置されている、
浮体構造物(10,20,30,30a~30d,40,50,51)。
【請求項2】
前記第1のポンツーン構造部(11)、前記第2のポンツーン構造部(12)および前記第3のポンツーン構造部(13)の各々は、下向きの下面(11b,12b,13b)を有しており、前記第1のポンツーン構造部の前記下面と、前記第2のポンツーン構造部の前記下面と、前記第3のポンツーン構造部の前記下面とは、前記水平面内で互いに実質的に整列している、請求項1記載の浮体構造物(10,20,30,40)。
【請求項3】
前記第1のポンツーン構造部(11)の前記下面(11b)、前記第2のポンツーン構造部(12)の前記下面(12b)および前記第3のポンツーン構造部(13)の前記下面(13b)は、前記第1の浮力安定化コラム(1)、前記第2の浮力安定化コラム(2)および前記第3の浮力安定化コラム(3)の各々の下向きの下面(1b,2b,3b)と実質的に整列している、請求項2記載の浮体構造物(10,20,30,40)。
【請求項4】
前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の各々は、下向きの下面(11b,12b)を有しており、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)は、前記第1のポンツーン構造部(11)の前記下面(11b)および前記第2のポンツーン構造部(12)の前記下面(12b)と実質的に整列しているかまたは前記第1のポンツーン構造部(11)の前記下面(11b)および前記第2のポンツーン構造部(12)の前記下面(12b)よりも低いレベルに位置している、請求項1記載の浮体構造物(50,51)。
【請求項5】
前記第1のポンツーン構造部(11)の前記下面(11b)および前記第2のポンツーン構造部(12)の前記下面(12b)は、前記第2の浮力安定化コラム(2)の下向きの下面(2b)と実質的に整列している、請求項4記載の浮体構造物(50,51)。
【請求項6】
前記第1のポンツーン構造部(11)の前記下面(11b)および前記第2のポンツーン構造部(12)の前記下面(12b)は、前記第2の浮力安定化コラム(2)の下向きの下面(2b)の一部分と実質的に整列しており、前記第2の浮力安定化コラム(2)の前記下向きの下面(2b)の別の部分は、より低いレベルに位置している、請求項4記載の浮体構造物(50,51)。
【請求項7】
前記第3のポンツーン構造部の前記下面(13b)は、前記第1の浮力安定化コラム(1)および前記第3の浮力安定化コラム(3)の各々の下向きの下面(1b,3b)と実質的に整列している、請求項4から6までのいずれか1項記載の浮体構造物(50,51)。
【請求項8】
前記第3のポンツーン構造部の前記下面(13b)は、前記第1の浮力安定化コラム(1)の下向きの下面(1e)および前記第3の浮力安定化コラム(3)の下向きの下面(3e)の各々の一部分と実質的に整列しており、前記第1の浮力安定化コラム(1)および前記第3の浮力安定化コラム(3)の各々の前記下向きの下面(1b,3b)の別の部分は、より高いレベルに位置している、請求項4から6までのいずれか1項記載の浮体構造物(50,51)。
【請求項9】
前記第3のポンツーン構造部(13)の前記高さは、前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)のうちの少なくとも一方の前記高さの75%未満、好ましくは50%未満である、請求項1から8までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項10】
前記第3のポンツーン構造部(13)の前記高さは、前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)のうちの少なくとも一方の前記高さよりも少なくとも1m低く、好ましくは少なくとも2mまたは少なくとも3m低い、請求項1から9までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項11】
前記第1のポンツーン構造部(11)、前記第2のポンツーン構造部(12)および前記第3のポンツーン構造部(13)は、実質的に等しい長さを有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項12】
前記浮体構造物は、
i)前記第1のポンツーン構造部(11)の中心長手軸線(11c)と前記第2のポンツーン構造部(12)の中心長手軸線(12c)との間の前記水平面内での第1の角度(α)と、
ii)a)前記第1の安定化コラム(1)の中心点と前記第2の安定化コラム(2)の中心点との間の第1の仮想線(21)と、b)前記第2の安定化コラム(2)の前記中心点と前記第3の安定化コラム(3)の中心点との間の第2の仮想線(22)との間の前記水平面内での第2の角度(β)と
を示し、
前記第2の角度(β)は、前記第1の角度(α)よりも大きい、
請求項1から11までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項13】
前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の各々は、少なくとも前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の長さの主要部分に沿って、前記第2の安定化コラム(2)の前記下側部分(2c)の幅よりも狭い幅を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項14】
前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)の各々は、前記浮体構造物(30)から離れる側方に向いた外側側面(11d,12d)を有しており、前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)のうちの少なくとも一方の前記外側側面(11d,12d)は、前記第2の安定化コラム(2)の外側側面(2d)と実質的に整列している、請求項1から13までのいずれか1項記載の浮体構造物(30,40)。
【請求項15】
前記第3のポンツーン構造部(13)の下面(13b)の少なくとも外側部分は、前記水平面に対して傾斜して、傾斜面(130)を形成しており、傾斜は、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記下面(13b)の前記外側部分が、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記下面(13b)の内側部分よりも高い鉛直レベルに位置するように向けられており、前記内側部分は、前記外側部分よりも前記第2の安定化コラム(2)の近くに位置している、請求項1から14までのいずれか1項記載の浮体構造物(20,30)。
【請求項16】
前記第1の安定化コラム(1)の下面(1b)および前記第3の安定化コラム(3)の下面(3b)のうちの少なくとも一部分は、前記水平面に対して傾斜しており、傾斜は、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記下面(13b)の前記傾斜に対応するように配置されている、請求項15記載の浮体構造物(20,30)。
【請求項17】
前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)は、前記水平面に対して傾斜して、上側の傾斜面(140)を形成しており、傾斜は、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)の外側部分が、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)の内側部分よりも低い鉛直レベルに位置するように配置されており、前記内側部分は、前記外側部分よりも前記第2の安定化コラム(2)の近くに位置している、請求項1から16までのいずれか1項記載の浮体構造物(40)。
【請求項18】
前記浮体構造物は、前記第1のポンツーン構造部(11)と前記第2のポンツーン構造部(12)との間で前記第2の安定化コラム(2)に配置された支持構造部(5)を備えている、請求項1から17までのいずれか1項記載の浮体構造物(20,30,40)。
【請求項19】
前記支持構造部(5)には、前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)と実質的に等しい鉛直高さに配置された支持面(6)が設けられている、請求項18記載の浮体構造物(20,30,40)。
【請求項20】
前記浮体構造物は、水に浮いているときに前記浮体構造物の傾斜の制御が可能となるように構成された制御可能なバラストシステムを備えている、請求項1から19までのいずれか1項記載の浮体構造物(10,20,30,40,50,51)。
【請求項21】
セミサブマーシブル貨物運搬用船舶(60)に浮体構造物(10,20,30,30a~30d,40,50,51)のセットを積み込むための方法であって、前記セミサブマーシブル貨物運搬用船舶(60)は、部分的に水面下に下降して下側位置をとり、上側位置まで上昇して、前記船舶の上方の水面に位置する貨物を前記船舶に積み込むように構成されており、前記浮体構造物のセットは、少なくとも請求項1から20までのいずれか1項に従って配置された第1の浮体構造物(40,30a)と第2の浮体構造物(30a,30b)とを備えており、前記方法は、
-水に浮かぶ前記浮体構造物(30a~30d,40)のセットを提供することと、
-前記船舶(60)がその下側位置にあるときに、前記浮体構造物(30a~30d,40)のセットを前記船舶(60)の上方に列状に配置することと、
-前記船舶(60)をその上側位置まで上昇させて、前記浮体構造物(30a~30d,40)の列を前記船舶(60)に積み込むことと
を含む、方法。
【請求項22】
前記浮体構造物(30a~30d,40)のセットを列状に配置することは、
-前記第1の浮体構造物(40,30a)と前記第2の浮体構造物(30a,30b)とを互いに隣接させて配置することであって、これにより、前記第2の浮体構造物(30a,30b)は、前記第1の浮体構造物(40,30a)の前記第3のポンツーン構造部の上方に位置しており、前記第2の浮体構造物(30a,30b)の前記第2のコラムは、前記第1の浮体構造物(40,30a)の前記第1のポンツーン構造部と前記第2のポンツーン構造部との間に位置決めされており、前記第2の浮体構造物(30a,30b)の前記第2のコラムは、前記第1の浮体構造物(40,30a)の前記第1のコラムおよび前記第3のコラムよりも前記第1の浮体構造物(40,30a)の前記第2のコラムの近くに位置決めされている、配置すること
を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、
-前記第2の浮体構造物(30a,30b)が、前記第1の浮体構造物(40,30a)の前記第3のポンツーン構造部の上方に浮かんで、前記第1の浮体構造物に隣接する位置をとることを可能にするように、前記第1の浮体構造物(40,30a)および前記第2の浮体構造物(30a,30b)のうちの少なくとも一方を傾斜した位置に設定すること
を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1の浮体構造物(30a)は、請求項19に従って配置されており、前記方法は、
-前記第2の浮体構造物(30b)の前記第2のコラムを前記第1の浮体構造物(30a)の前記支持面(6)に位置させること、および/または
-前記第2の浮体構造物(30b)の前記第1のポンツーン構造部および前記第2のポンツーン構造部を前記第1の浮体構造物(30a)の前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)に位置させること
を含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
前記第1の浮体構造物(40)は、請求項17に従って配置されている、請求項21から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第2の浮体構造物(30a,30b)は、請求項15または16に従って配置されている、請求項21から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記浮体構造物(50,51)のセットを列状に配置することは、
-前記第1の浮体構造物と前記第2の浮体構造物とを互いに隣接させて配置することであって、これにより、前記第2の浮体構造物の前記第1のポンツーン構造部(11)および前記第2のポンツーン構造部(12)は、前記第1の浮体構造物の前記第3のポンツーン構造部(13)の上方に位置しており、前記第2の浮体構造物の前記第2のコラムは、前記第1の浮体構造物の前記第1のポンツーン構造部(11)と前記第2のポンツーン構造部(12)との間に位置決めされており、前記第2の浮体構造物の前記第2のコラム(2)は、前記第1の浮体構造物の前記第1のコラム(1)および前記第3のコラム(3)よりも前記第1の浮体構造物の前記第2のコラム(2)の近くに位置決めされている、配置すること
を含む、請求項21記載の方法。
【請求項28】
浮体構造物(10,20,30,30a~30d,40,50,51)のセットを運搬する船舶(60)であって、前記浮体構造物のセットは、請求項1から20までのいずれか1項に従って配置された少なくとも第1の浮体構造物(40,30a,50,51)と第2の浮体構造物(30a,30b,50,51)とを備えている、船舶(60)。
【請求項29】
前記浮体構造物(30a~30d,40,50,51)のセットは、前記第1の浮体構造物(40,30a,50,51)と前記第2の浮体構造物(30a,30b,50,51)とが互いに隣接して位置した状態で列状に配置されており、前記第2の浮体構造物(30b)は、前記第1の浮体構造物(30a)の前記第3のポンツーン構造部(13)の上方に位置しており、前記第2の浮体構造物(30b)の前記第2のコラム(2)は、前記第1の浮体構造物(30a)の前記第1のポンツーン構造部(11)と前記第2のポンツーン構造部(12)との間に位置決めされており、前記第2の浮体構造物(30b)の前記第2のコラム(2)は、前記第1の浮体構造物(30a)の前記第1のコラム(1)および前記第3のコラム(3)よりも前記第1の浮体構造物(30a)の前記第2のコラム(2)の近くに位置決めされている、請求項28記載の船舶(60)。
【請求項30】
前記第1の浮体構造物(30a)は、請求項19に従って配置されており、前記第2の浮体構造物(30b)の前記第2のコラムは、前記第1の浮体構造物(30a)の前記支持面(6)に位置しており、前記第2の浮体構造物(30b)の前記第1のポンツーン構造部および前記第2のポンツーン構造部は、前記第1の浮体構造物(30a)の前記第3のポンツーン構造部(13)の前記上面(13a)に位置している、請求項28または29記載の船舶(60)。
【請求項31】
前記第1の浮体構造物(40)は、請求項17に従って配置されている、請求項28から30までのいずれか1項記載の船舶(60)。
【請求項32】
前記第2の浮体構造物(30a,30b)は、請求項18または19に従って配置されている、請求項28から31までのいずれか1項記載の船舶(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム用の浮体構造物に関する。本発明は、また、上記タイプの浮体構造物のセットをセミサブマーシブル貨物運搬用船舶に積み込むための方法および上記タイプの浮体構造物のセットを運搬する船舶に関する。
【0002】
発明の背景
洋上風力発電、つまり、電気を生産する海洋設置型風力発電所/タービンに対する関心が高まっている。このような風力タービンは、固定された水中基礎を有する場合があり、特に約50m~60mを超える水深では、海底にアンカー固定された浮体式プラットフォーム上に配置される場合がある。
【0003】
浮体式風力発電タービンプラットフォームは、風力タービンタワーを配置したセミサブマーシブル浮体構造物を備えるセミサブマーシブル型であってよい。浮体構造物は、典型的に、サブマーシブル浮力ポンツーンまたは他の接続部材によって接続された複数の安定化浮力コラムから構成されている。タービンタワーは、典型的に、コラムのうちの1つに配置されている。セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォームの一例は、国際公開第2021/219787号に開示されている。
【0004】
この種のプラットフォームは、大型構造物である。例えば、10MWの風力発電タービンプラットフォームの各コラムは30mの高さを有しており、コラム同士の間の距離は60m~80mである。浮体構造物の総重量は、3,000トンを超える。タービンタワーは、例えば海抜150mまで延在しており、各タービンブレードの長さは100mを超える。
【0005】
洋上風力発電の分野の課題は、セミサブマーシブル型のプラットフォームの製造、輸送および設置である。風力タービンタワーおよびブレードなどが設置されたプラットフォームを曳航することは複雑かつ困難であり、このような完成したプラットフォームの曳航距離を短縮するために、プラットフォームは、好ましくは、タービンタワーおよびタービンブレードなどが、最終的な洋上設置場所に比較的近い保護された位置で浮体構造物に設置されるように配置されている。保護された位置から遠く離れた建設ヤードで浮体構造物が製造される場合、輸送に関する特別な課題が生じる。なぜならば、例えば、このような大きく重い浮体構造物に適した建設ヤードが、保護された位置またはその近くに存在しないからである。このような状況では、浮体構造物は、比較的長い距離輸送される必要がある。
【0006】
セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォームに関する更なる課題は、プラットフォームが過酷な洋上条件下でも頑強であるとともに安定していて、そのような条件下で長年の運用に耐えられるように、浮体構造物を設計することである。
【0007】
別の更なる課題は、当然ながら、洋上風力発電への関心を維持して高めるために、プラットフォームまたは浮体構造物の製造、輸送、設置、運用などが高い費用対効果を有する必要があるということである。
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム用の浮体構造物を提供することであり、浮体構造物は、輸送用船舶への収納/積込みに関して改善された特性を示し、それにより、浮体構造物の頑強性と安定性とを損なうことなく、より費用対効果の高い浮体構造物の輸送を提供する。更なる目的は、このような浮体構造物のセットをセミサブマーシブル貨物運搬用船舶に積み込むための方法を提供することである。
【0009】
浮体構造物は、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム用の浮体構造物に関し、浮体構造物は、実質的に鉛直方向に延在する第1の浮力安定化コラム(buoyant stabilizing column)、第2の浮力安定化コラムおよび第3の浮力安定化コラムと、実質的に水平方向に延在する第1の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部(elongated submersible buoyant pontoon structure)、第2の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部および第3の細長いサブマーシブル浮力ポンツーン構造部とを備えており、浮体構造物は、水平面内で全体的に三角形の形状を有しており、第1のポンツーン構造部、第2のポンツーン構造部および第3のポンツーン構造部は、三角形の辺を形成している。
【0010】
第1のポンツーン構造部は、第1のコラムと第2のコラムとの間に延在して第1のコラムと第2のコラムとを接続しており、第1のポンツーン構造部は、第1のコラムおよび第2のコラムの各々の下側部分に接続されている。同様に、第2のポンツーン構造部は、第2のコラムと第3のコラムとの間に延在して第2のコラムと第3のコラムとを接続しており、第2のポンツーン構造部は、第2のコラムと第3のコラムの各々の下側部分に接続されている。さらに、第3のポンツーン構造部は、第1のコラムおよび第3のコラムの各々の下側部分で第1のコラムと第3のコラムとの間に延在して第1のコラムと第3のコラムとを接続している。
【0011】
第1のポンツーン構造部、第2のポンツーン構造部および第3のポンツーン構造部の各々は、上向きの上面を有している。第3のポンツーン構造部は、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の高さよりも低い高さを有している。第3のポンツーン構造部は、その上面が第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の上面よりも低いレベルに位置するように配置されている。
【0012】
したがって、簡単に言えば、本開示の浮体構造物は、主に水平面内でΔ形状に類似しており、3つの浮力ポンツーン構造部は、三角形の辺を形成していて、三角形/Δ形状の角隅部に位置する3本のコラムを接続している。風力タービンタワーは、3本のコラムのうちの1本に配置されていてよく、代替的には、浮体構造物上に配置された付加的なコラムまたは支持体に配置されてもよい。Δ形状は比較的単純であり、プラットフォームの優れた安定性および頑強性を提供する。
【0013】
本開示の浮体構造物の特定の構成は、第3のポンツーン構造部の高さが、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の高さよりも低い、つまり、第3のポンツーン構造部の鉛直方向の厚さが、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の厚さよりも薄いことである。さらに、第3のポンツーン構造部は、第3のポンツーン構造部の上面が、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の上面よりも水平方向で低いレベルに位置するように配置されている。典型的な例では、3つのポンツーン構造部の下面は、水平面内で実質的に整列しており、好ましくは、3本のコラムの下面とも整列して、浮体構造物全体の実質的に平坦な下面が形成される(これにより、製造中に平坦な地面に安定して立設することができる)。第3のポンツーン構造部の高さは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の高さよりも低いので、このような典型的な浮体構造物の例では、第3のポンツーン構造部の上面は、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の上面よりも水平方向で低いレベルに位置することになる。
【0014】
この特定の構成は、第2の浮体構造物(つまり、第2のコラムが位置するΔ形状の縁部)を、隣接する第1の浮体構造物の第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間で第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上方かつ上に部分的に「挿入」することにより、上記タイプの浮体構造物のセットを輸送用船舶に効率的に収納する可能性を提供する。第2の浮体構造物は、このように収納されたとき、水平面内で僅かに傾斜した位置をとっていて、第1の浮体構造物によって部分的に支持されていて(第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部と、例えば特定の支持面とが、第2の浮体構造物を支持している)、船舶の甲板によって部分的に支持されている(第2の浮体構造物の第3のポンツーン構造部および場合によっては第2の浮体構造物の第1のコラムおよび第3のコラムも甲板上に位置していて、甲板によって支持されている)。このように、複数のΔ形状の浮体構造物の列を効率的に収納することができ、列内の少なくとも第2の浮体構造物、第3の浮体構造物、第4の浮体構造物などは僅かに傾斜した位置をとっており、列内の第1の浮体構造物は水平面に対して傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。収納構成の構造物および収納を実現するための手順については、以下でさらに詳しく説明する。
【0015】
上記のように浮体構造物を設計することの主な効果は、例えば、建設ヤードと、風力タービンを設置する保護された位置との間での輸送のために、同じ輸送用船舶により多くのプラットフォームを積み込むことができることであり、その結果、輸送費用が削減される。
【0016】
従来のΔ形状の浮体構造物は、輸送用船舶に特に効率的な様式で収納するようには適合させられていない。輸送について議論される場合、1つのアイデアは、単に船舶上で浮体構造物を別の浮体構造物の横に配置することと思われるが、これは効率的な収納ではない。従来のΔ形状の浮体構造物の3つの接続構造部またはポンツーン構造部は、上記タイプの効率的な収納を可能にするには大きすぎ、かつ背が高すぎる。
【0017】
別のアイデアは、浮体構造物を部分的にのみ組み立てた状態で輸送し、収納効率を高めることであり、例えば、ポンツーン構造部のうちの1つを、両端のコラムにまだ接続されていない別個の部品にすることである。しかしながら、これには輸送後に高度な組立て作業を行う必要があり、これは不可能であるか、少なくとも複雑で費用がかかる。
【0018】
以下でさらに説明するように、本開示の浮体構造物は、従来の様式で設計された同様の大きさの浮体構造物を船舶に並べて配置した場合に浮体構造物を2つしか運ぶことができない船舶で約4~5個の浮体構造物を輸送することを可能にする。大きな浮体構造物の輸送には極めて費用がかかるため、輸送用船舶により多くの浮体構造物を運搬させることにより、大幅な費用対効果を実現することができる。
【0019】
プラットフォームおよび浮体構造物がセミサブマーシブル型であるということは、プラットフォーム/浮体構造物は、動作時に部分的に水面下に位置することができることを意味している。ポンツーン構造部全体およびコラムの一部は、典型的に、水面下に位置するようになっている。プラットフォーム/浮体構造物の海底への固定/アンカー固定は、カテナリー係留、トートレッグ係留またはテンドン係留など、様々な様式で構成されてよい。
【0020】
ポンツーン構造部がコラムの下側部分に配置されていることは、ポンツーン構造部がコラムの下側領域のどこかに配置されていることを意味しており、必ずしもポンツーン構造部がコラムの最下端部分に配置されていることを意味するわけではない。コラムの下側領域ひいてはポンツーン構造部もまた、プラットフォームの動作時には典型的に水没する。
【0021】
第3のポンツーン構造部の幅および長さは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の幅および長さとは異なっていてよい。
【0022】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部、第2のポンツーン構造部および第3のポンツーン構造部の各々は、下向きの下面を有しており、第1のポンツーン構造部の下面と、第2のポンツーン構造部の下面と、第3のポンツーン構造部の下面とは、水平面内で互いに実質的に整列している。
【0023】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部の下面、第2のポンツーン構造部の下面および第3のポンツーン構造部の下面は、第1の浮力安定化コラム、第2の浮力安定化コラムおよび第3の浮力安定化コラムの各々の下向きの下面と実質的に整列している。前述のように、浮体構造物全体の下面は実質的に平坦である。
【0024】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々は、下向きの下面を有しており、第3のポンツーン構造部の上面は、第1のポンツーン構造部の下面および第2のポンツーン構造部の下面と実質的に整列しているかまたは第1のポンツーン構造部の下面および第2のポンツーン構造部の下面よりも低いレベルに位置している。
【0025】
このようなプラットフォームは、上記と同じ効率的な様式で収納することができ、この実施形態によるプラットフォームは、傾斜した位置で収納する必要がないため、収納作業を簡素化することができる。
【0026】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部の下面および第2のポンツーン構造部の下面は、第2の浮力安定化コラムの下向きの下面と実質的に整列している。これにより、プラットフォームが収納されているときに、第1のプラットフォームの第2のコラムを第2のプラットフォームの第3のポンツーン構造部の上に配置し、この第3のポンツーン構造部によって支持することができる。利用可能な第3のポンツーン構造部が存在しない場合、例えば同様のプラットフォームの列の端に位置するプラットフォームの場合には、このようなプラットフォームを水平位置に保持するために、第2のコラムの下に別個の支持構造部を配置することが可能である。
【0027】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部の下面および第2のポンツーン構造部の下面は、第2の浮力安定化コラムの下向きの下面の一(第1の)部分と実質的に整列しており、第2の浮力安定化コラムの下向きの下面の別の(第2の)部分は、より低いレベルに位置している。典型的に、低いレベルに位置する(第2の)部分は、第3のポンツーンの下面と、第1のコラムおよび第3のコラムの各々の下面とに実質的に整列している。第1のプラットフォームは、その下面の第1の部分が第2のプラットフォームの第3のポンツーン上に配置された状態で第2のプラットフォームの近くに収納できることに加えて、第2のコラムの下面の第2の低いレベル部分は、プラットフォームを水平位置に保持する、地面(または船の甲板)に対する一体型の支持体を提供する。
【0028】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の下面は、第1の浮力安定化コラムおよび第3の浮力安定化コラムの各々の下向きの下面と実質的に整列している。
【0029】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の下面は、第1の浮力安定化コラムの下向きの下面および第3の浮力安定化コラムの下向きの下面の各々の一部分と実質的に整列しており、第1の浮力安定化コラムおよび第3の浮力安定化コラムの各々の下向きの下面の別の部分は、より高いレベルに位置している。
【0030】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の高さは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部のうちの少なくとも一方の高さの75%未満、好ましくは50%未満である。一例では、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々の高さは約7mである一方、第3のポンツーン構造部の高さは約3mであり、したがって、第1のポンツーン構造部の高さおよび第2のポンツーン構造部の高さの50%未満である。更なる例では、第3のポンツーン構造部の高さは、2m~4mである。
【0031】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の高さは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部のうちの少なくとも一方の高さよりも少なくとも1m低く、好ましくは少なくとも2mまたは少なくとも3m低い。
【0032】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部、第2のポンツーン構造部および第3のポンツーン構造部は、実質的に等しい長さを有している。したがって、浮体構造物は、全体的に正三角形の形状を有することができる。
【0033】
一実施形態では、浮体構造物は、i)第1のポンツーン構造部の中心長手軸線と第2のポンツーン構造部の中心長手軸線との間の水平面内での第1の角度と、ii)a)第1の安定化コラムの中心点と第2の安定化コラムの中心点との間の第1の仮想線と、b)第2の安定化コラムの中心点と第3の安定化コラムの中心点との間の第2の仮想線との間の水平面内での第2の角度とを示し、第2の角度は、第1の角度よりも大きい。
【0034】
このことは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部が、第2のコラムの中心点と第1のコラムの中心点または第3のコラムの中心点との間の対応する仮想直線に沿って延在しておらず、また、仮想直線に対して平行にも延在していないが、代わりに、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部が、コラムの中心点同士によって示される方向から逸脱する方向に延在していることを意味する。第2の角度が第1の角度よりも大きいということは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の逸脱する延在方向が、直線状のポンツーン構造部が第2のコラムの外側部分から第1のコラムの内側部分または第3のコラムの内側部分まで延在するような方向であり(ここで、「外側」および「内側」は、水平面内での浮体構造物の中心点を指している)、直線状のポンツーン構造部が、第2のコラムの内側部分から第1のコラムの外側部分または第3のコラムの外側部分まで延在するような方向ではないことをさらに意味している。
【0035】
上述の中心点は、コラムの下側部分と関連するレベルでのコラムの重心に対応する。
【0036】
浮体構造物を上記の第1の角度と第2の角度とを示すように構成することの効果は、収納効率をさらに向上させることであり、浮体構造物をさらに緊密に収納することができる。第1の角度および第2の角度と、それらの関係とが実際にこの効果を提供することは、以下にさらに説明され、示されている。
【0037】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々は、少なくとも第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の長さの主要部分に沿って、第2の安定化コラムの下側部分の幅よりも狭い幅を有している。つまり、第1のポンツーン構造部の全体的な幅および第2のポンツーン構造部の全体的な幅は、ポンツーン構造部が接続されている第2のコラムの部分で第2のコラムの幅よりも狭い。第2のコラムは、円錐のように鉛直方向に変化する幅を有してよい。第2の安定化コラムの下側部分の幅は、各々のポンツーン構造部の長手方向軸線に対して垂直な方向の幅を意味する。第2の安定化コラムの下側部分の幅は、第2のコラムが円形の断面を有する場合にはその直径であってよく、より一般的には、断面が、例えば多角形である場合には対向する辺同士の距離である。典型的に、第1のポンツーン構造部の幅および第2のポンツーン構造部の幅はまた、第1のコラムの幅および第3のコラムの幅よりも狭い。
【0038】
第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部が第2のコラムよりも狭いということは、上述の第1の角度および第2の角度の構成と組み合わせて特に有用である。これらの角度は、第1のポンツーン構造部の外側側面または第2のポンツーン構造部の外側側面、つまり、浮体構造物から離れる側方に向いたポンツーン構造部の側面が、第2のコラムの外側側面から第1の距離に位置する一方、ポンツーン構造部の内側側面(ポンツーン構造部の外側側面の反対側)が、第2のコラムの内側側面から第2の距離に位置するように、第1のポンツーン構造部または第2のポンツーン構造部を位置決めすることによって配置することができ、第1の距離は、第2の距離よりも短い。ポンツーン構造部の他端部は、第1のコラムまたは第3のコラムに適切に位置決めされて、第2の角度が第1の角度よりも大きくなる必要がある。ポンツーン構造部のこの他端部は、第1のコラムまたは第3のコラムに対して中心に位置決めされてもよいし、第1の角度と第2の角度との差を増大させるために、第1のコラムの内側側面または第3のコラムの内側側面の近くに位置決めされてもよい。
【0039】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々は、浮体構造物から離れる側方に向いた外側側面を有しており、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の少なくとも一方の外側側面は、第2の安定化コラムの外側側面と実質的に整列している。したがって、ポンツーン構造部の外側側面は、(例えば、円形の断面を有している場合)第2のコラムの湾曲した側面部分と実質的に接線になっているかまたは(例えば、多角形の断面を有している場合)第2のコラムの平面部分と実質的に整列している。
【0040】
この実施形態は、第1のコラムまたは第3のコラムでのポンツーン構造部の他端部を、第1のコラムの内側または第3のコラムの内側に近づけるかまたは実質的に整列させるように配置することと組み合わせることができる。これにより、第1の角度と第2の角度との間に大きな差が生じ、収納効率が向上する。
【0041】
一実施形態では、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の各々は、浮体構造物から離れる側方に向いた外側側面と、浮体構造物に向かって内方を向いた内側側面とを有しており、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部のうちの少なくとも一方は、その外側側面が、第2の安定化コラムの外側側面の反対側の第2の安定化コラムの面に対してその内側側面が位置するよりも、第2の安定化コラムの対応する外側側面の近くに位置するように配置されている。
【0042】
したがって、このようにして配置されたポンツーン構造部は、第2のコラムの中心に配置されず、第2のコラムの外側側面の近くに配置されている。ポンツーン構造部の外側側面は、第2の安定化コラムの外側側面と実質的に整列しており、第1の角度と第2の角度との差を増大させることができる。しかしながら、ポンツーン構造部の外側側面とコラムとの間に、ある程度の距離が存在する場合、つまり、ポンツーン構造部の外側側面とコラムの外側側面とが完全には整列していない場合、コラムへのポンツーン構造部の固定は典型的に簡素化される。ポンツーン構造部の外側側面と第2のコラムの外側側面とが完全には整列していない更なる理由は、輸送用船舶に収納された隣接する浮体構造物同士の第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間に、ある程度の距離が所望される場合があるからである。
【0043】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の下面の少なくとも外側部分は、水平面に対して傾斜しており、傾斜は、第3のポンツーン構造部の下面の外側部分が、第3のポンツーン構造部の下面の内側部分よりも高い鉛直レベルに位置するように配置されており、内側部分は、外側部分よりも第2の安定化コラムの近くに位置している。
【0044】
このように、第3のポンツーン構造部の下面に傾斜面が設けられており、これは、僅かに傾斜した位置で船舶に収納されたときに浮体構造物に支持を提供するのに役立つ。支持面の傾斜は、収納された浮体構造物の傾斜した位置に対応している必要がある。この傾斜の正確な程度は、浮体構造物の正確な程度に左右され、典型的には、例えば浮体構造物の大きさおよび種類に応じて変化する。ほとんどの用途では、5°~15°の傾角が有用であると考えられる。場合により、8°~10°が適切な間隔である。
【0045】
一実施形態では、第1の安定化コラムの下面および第3の安定化コラムの下面のうちの少なくとも一部分は、水平面に対して傾斜しており、傾斜は、第3のポンツーン構造部の下面の傾斜に対応するように配置されている。第1のコラムおよび第3のコラムも輸送用船舶の甲板上に位置している場合、第1のコラムおよび第3のコラムにも、傾斜した支持面が設けられていれば、浮体構造物はより良好に支持される。浮体構造物の大きさおよび輸送用船舶の幅に応じて、第1のコラムおよび第3のコラムは甲板の外側に位置してよく、浮体構造物が船舶上に配置されている場合には、反対側同士に位置してよい。このような状況では、第1のコラムおよび第3のコラムに傾斜した支持面を設けることは製造を簡単にするので、依然として有利である可能性がある(同じ傾斜を有する表面同士を接続する方がより簡単な場合があるからである)。
【0046】
一実施形態では、第3のポンツーン構造部の上面は、水平面に対して傾斜しており、傾斜は、第3のポンツーン構造部の上面の外側部分が、第3のポンツーン構造部の上面の内側部分よりも低い鉛直レベルに位置するように構成されており、内側部分は、外側部分よりも第2の安定化コラムの近くに位置している。これにより、傾斜した支持面が、第3のポンツーン構造部の上面に形成される。輸送用船舶に収納される浮体構造物の列内のうち少なくとも第1の浮体構造物に、このような傾斜した支持面が設けられていると有利である。なぜならば、これにより、第1の浮体構造物を船舶に水平に位置決めすることが可能になると同時に、列内の次の浮体構造物のために、傾斜した支持面を提供することが可能になるからである。第3のポンツーン構造部の下面は、この実施形態では水平であってよい。
【0047】
下面の傾斜した支持面について上述したように、上側の支持面の傾斜も、収納された浮体構造物、つまり、「次の」浮体構造物の傾斜した位置に対応する必要がある。この場合にも、傾斜は5°~15°または8°~10°である。「次の」浮体構造物と、列に沿った更なる浮体構造物とは互いに傾斜していないため、浮体構造物の1つのセット内または列内の1個よりも多くの浮体構造物に第3のポンツーン構造部の上面の傾斜した支持面を提供しても利点はない。
【0048】
代替案として、列内の第1の浮体構造物は、船の甲板上に配置された特別な支持体を使用して傾斜した位置に配置することができる。このような場合、浮体構造物の1つのセット内または列内のいずれかの浮体構造物に第3のポンツーン構造部の上面の傾斜した支持面を設けることは、何ら利点がない可能性がある。
【0049】
一実施形態では、浮体構造物は、第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間で第2の安定化コラムに配置された支持構造部を備えている。この支持構造部は、浮体構造物全体を強化するだけでなく、支持構造部を備えた浮体構造物に収納されて浮体構造物上に部分的に収納された更なる浮体構造物の第2のコラムに支持面を提供するように適合させることができる。
【0050】
支持構造部には、第3のポンツーン構造部の上面と実質的に等しい鉛直高さに配置された支持面が設けられていることが好ましい。したがって、支持面は、第1のポンツーン構造部の上面および第2のポンツーン構造部の上面よりも下に位置している。i)第1のポンツーン構造部の下側部分と第2のポンツーン構造部の下側部分との間の第2のコラムにあるこのような支持面と、ii)第3のポンツーン構造部の上面との組み合わせは、支持構造部を備えた浮体構造物に収納されて浮体構造物上に部分的に収納された更なる浮体構造物に対する良好な支持をともに形成する。
【0051】
一実施形態では、浮体構造物は、水に浮いているときに浮体構造物の傾斜の制御が可能となるように構成された制御可能なバラストシステムを備えている。制御可能なバラストシステムは、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォームの動作中に役立つだけでなく、以下にさらに説明するように、浮体構造物のセットを輸送用船舶に積み込む前に、浮体構造物のセットを列状に配置するときにも役立つ。
【0052】
本発明は、また、セミサブマーシブル貨物運搬用船舶に浮体構造物のセットを積み込むための方法であって、セミサブマーシブル貨物運搬用船舶は、部分的に水面下に下降して下側位置をとり、上側位置まで上昇して、船舶の上方の水面に位置する貨物を船舶に積み込むように構成されており、浮体構造物のセットは、少なくとも上記タイプの第1の浮体構造物と第2の浮体構造物とを備えている、方法に関する。この種の船舶は自体公知である。輸送中、浮体構造物は水面上に位置している。
【0053】
方法は、水に浮かぶ浮体構造物のセットを提供することと、船舶がその下側位置にあるときに、浮体構造物のセットを船舶の上方に列状に配置することと、船舶をその上側位置まで上昇させて、浮体構造物の列を船舶に積み込むこととを含む。
【0054】
一実施形態では、浮体構造物のセットを列状に配置するステップは、第1の浮体構造物と第2の浮体構造物とを互いに隣接させて配置するステップであって、これにより、第2の浮体構造物は、第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上方に位置しており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間に位置決めされており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のコラムおよび第3のコラムよりも第1の浮体構造物の第2のコラムの近くに位置決めされている、配置するステップを含む。
【0055】
一実施形態では、方法は、第2の浮体構造物が、第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上方に浮かんで、第1の浮体構造物に隣接する位置をとることを可能にするように、第1の浮体構造物および第2の浮体構造物のうちの少なくとも一方を傾斜した位置に設定(例えばバラストを充填)することを含む。
【0056】
一例として、第1の浮体構造物は、概ね水平に位置決めされて僅かに深い喫水で積み込まれる一方、第2の浮体構造物が傾斜した位置に設定されて、第3のポンツーン構造部が、水面よりある程度の距離だけ下に位置するようになり、その結果、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第2のコラムの下面が水面近くに位置するように上昇する。このような傾斜は、浮体構造物上に配置された制御可能なバラストシステムを使用することによって提供することができる。第2の浮体構造物を第1の浮体構造物に近い位置に曳航した後、2個の浮体構造物は互いに固定されてよい。列内で第2の浮体構造物に隣接して位置する第3の浮体構造物は、同様の傾斜した位置に設定されて、所定の位置に曳航され、第2の浮体構造物に固定することができる。同様の手順を使用して、例えば第4の浮体構造物と第5の浮体構造物とにより、5個の浮体構造物の列を形成することができる。
【0057】
一実施形態では、列内の第1の浮体構造物には、上述のように、第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間の第2の安定化コラムに配置された支持構造部が設けられており、方法は、第2の浮体構造物の第2のコラムを第1の浮体構造物の支持構造部に位置させることを含む。上述のように、支持構造部は、第3のポンツーン構造部の上側部分と等しい高さに位置した支持面を含むことができる。好ましくは、浮体構造物のセット内のすべての浮体構造物にこのような支持構造部が設けられている。方法は、第2の浮体構造物の第2のコラムを第1の浮体構造物の支持面に位置させることと、第2の浮体構造物の第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部を第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上面に位置させることとを含むことができる。第2の浮体構造物は、隣接する第1の浮体構造物の支持面と第3のポンツーン構造部とによって支持することができる。浮体構造物が船舶に積み込まれると、第2の構造物は、船舶の甲板上に位置する第2の構造物自体の第3のポンツーン構造部によっても支持される。
【0058】
一実施形態では、列内の第1の浮体構造物には、前述のように、第3のポンツーン構造部の上面に傾斜した支持面が設けられている。これにより、第1の浮体構造物は、船舶に水平に配置されると同時に、適切に傾斜した支持面を提供することができる。付加的な支持部材を使用して、列内の次の浮体構造物に良好な支持を提供することができる。
【0059】
一実施形態では、列内の第2の浮体構造物には、上記のように、第3のポンツーン構造部の下面(および場合によっては第1のコラムの下面および第3のコラムの下面)に傾斜した支持面が設けられている。第2の浮体構造物は、適切に傾斜した支持面が船の甲板に面した状態で、船舶上に僅かに傾斜した位置で位置決めすることができる。第2の浮体構造物の第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部は、隣接する第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部に位置決めされて、それにより支持することができる。さらに、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第2のコラムに近い第1の浮体構造物の支持面上に位置決めされて、それにより支持することができる。
【0060】
一実施形態では、浮体構造物のセットを列状に配置するステップは、第1の浮体構造物と第2の浮体構造物とを互いに隣接させて配置するステップであって、これにより、第2の浮体構造物の第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部は、第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上方に位置しており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間に位置決めされており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のコラムおよび第3のコラムよりも第1の浮体構造物の第2のコラムの近くに位置決めされている、配置するステップを含む。
【0061】
本発明はまた、浮体構造物のセットを運搬する船舶であって、浮体構造物のセットは、上記タイプの少なくとも第1の浮体構造物と第2の浮体構造物とを備えている、船舶に関する。
【0062】
一実施形態では、浮体構造物のセットは、第1の浮体構造物と第2の浮体構造物とが互いに隣接して位置した状態で列状に配置されており、第2の浮体構造物は、第1の浮体構造物の第3のポンツーン構造部の上方(上)に位置しており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のポンツーン構造部と第2のポンツーン構造部との間に位置決めされており、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の第1のコラムおよび第3のコラムよりも第1の浮体構造物の第2のコラムの近くに位置決めされている。
【0063】
一実施形態では、第2の浮体構造物の第2のコラムは、第1の浮体構造物の上記支持面上に位置して、それにより支持されている。
【0064】
船舶上に積み込まれると、浮体構造物の列内のうちの少なくとも第3の浮体構造物は、隣接する浮体構造物の第3のポンツーン構造部の支持面および上面によって支持されるとともに、船舶の甲板上に位置する第3の浮体構造物自体の第3のポンツーン構造部によっても支持されている。
【0065】
以下に示す発明の説明では、以下の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本開示による浮体構造物の第1の実施形態の斜視図である。
図2A】本開示による浮体構造物の第2の実施形態の上面図である。
図2B】本開示による浮体構造物の第2の実施形態の長手方向断面図である。
図3A】本開示による浮体構造物の第3の実施形態の上面図である。
図3B】本開示による浮体構造物の第3の実施形態の長手方向断面図である。
図4】風力タービンタワー用の支持体をさらに備える、図3Aおよび図3Bの浮体構造物の斜視図である。
図5】輸送用船舶の甲板上に列状に収納された第1の浮体構造物のセットの概略側面図である。
図6A】輸送用船舶の甲板上に列状に収納された第2の浮体構造物のセットの右側の特別な設計を有する第1の浮体構造物の概略側面図である。
図6B】輸送用船舶の甲板上に列状に収納された第2の浮体構造物のセットの概略側面図である。
図7A】輸送用船舶の甲板上に列状に収納された浮体構造物のセットの第1の斜視図である。
図7B】輸送用船舶の甲板上に列状に収納された浮体構造物のセットの第2の斜視図である。
図8A図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図8B図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図8C図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図8D図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図8E図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図8F図7Aおよび図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶の甲板上に配置する方法を段階的に示す図である。
図9A】異なる浮体構造物設計を備えた浮体構造物のセット同士の間の収納効率の比較を示す図である。
図9B】異なる浮体構造物設計を備えた浮体構造物のセット同士の間の収納効率の比較を示す図である。
図9C】異なる浮体構造物設計を備えた浮体構造物のセット同士の間の収納効率の比較を示す図である。
図9D】異なる浮体構造物設計を備えた浮体構造物のセット同士の間の収納効率の比較を示す図である。
図10】本開示による浮体構造物を備えるセミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォームを示す図である。
図11】本開示による浮体構造物の更なる実施形態の斜視図である。
図12】本開示による浮体構造物の更なる実施形態の側面図である。
図13図12による浮体構造物のセットが列状に収納された状態の図である。
図14図11による実施形態の側面図である。
図15図14による浮体構造物のセットが列状に収納された状態の図である。
図16】本開示による浮体構造物の更なる実施形態の斜視図である。
【0067】
本発明の例示的な実施形態の説明
図1は、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム100用の浮体構造物10の第1の実施形態を示している。浮体構造物10は、実質的に鉛直方向に延在する第1の浮力安定化コラム1、第2の浮力安定化コラム2および第3の浮力安定化コラム3と、実質的に水平方向に延在する第1の細長いサブマーシブルポンツーン構造部11、第2の細長いサブマーシブルポンツーン構造部12および第3の細長いサブマーシブルポンツーン構造部13とを備えている。浮体構造物10は、水平面内で全体的に三角形の形状を有しており、第1のポンツーン構造部11、第2のポンツーン構造部12および第3のポンツーン構造部13は、三角形の辺を形成している。この例では、第1のポンツーン構造部11、第2のポンツーン構造部12および第3のポンツーン構造部13は、実質的に等しい長さを有しており、浮体構造物は、大まかに言えば、各角隅部にコラムを備えた正三角形を形成している。
【0068】
大きさの一例として、コラム1,2,3は、約30m~35mの高さと、約13mの直径とを有している。ポンツーン構造部11,12,13はそれぞれ、約50m~70mの長さと、6m~10mの幅とを有している。第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12は、6m~9mの高さを有している。
【0069】
第1のポンツーン構造部11は、第1のコラム1と第2のコラム2との間に延在して第1のコラム1と第2のコラム2とを接続しており、第1のポンツーン構造部11は、第1のコラム1および第2のコラム2の各々の下側部分1c,2cに接続されている。第2のポンツーン構造部12は、第2のコラム2と第3のコラム3との間に延在して第2のコラム2と第3のコラム3とを接続しており、第2のポンツーン構造部12は、第2のコラム2および第3のコラム3の各々の下側部分2c,3cに接続されている。第3のポンツーン構造部13は、第1のコラム1と第3のコラム3との間に延在して第1のコラム1と第3のコラム3とを接続しており、第3のポンツーン構造部13は、第1のコラム1および第3のコラム3の各々の下側部分1c,3cに接続されている。この場合、コラム1,2,3の下側部分1c,2c,3cは、コラムの可能な限り最も下側の部分である。この場合、3つのポンツーン構造部11,12,13はすべて浮力ポンツーン構造部である。
【0070】
第1のポンツーン構造部11、第2のポンツーン構造部12、第3のポンツーン構造部13の各々は、下向きの下面11b,12b,13bを有している。これらの下面11b,12b,13bは、水平面内で互いに実質的に整列しており、また、第1の浮力安定化コラム1、第2の浮力安定化コラム2、第3の浮力安定化コラム3の各々の下向きの下面1b,2b,3bとも実質的に整列している。
【0071】
さらに、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々は、第2の安定化コラム2の下側部分2cの幅よりも狭い幅を有している。図1に示すように、すべてのポンツーン構造部11,12,13は直線であり、変化しない幅を有している。他の実施形態では、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12は、別の設計を有してよい。
【0072】
図1から分かるように、第3のポンツーン構造部13は、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々の高さよりも低い高さを有している。図1のポンツーン構造部は同じレベルに配置されているため、第3のポンツーン構造部13は、その上面13aが第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々の上面11a,12aよりも水平方向で低いレベルに位置するように配置されている。以下でさらに説明するように、第3のポンツーン構造部13の特定の構造部および配置の主な目的は、輸送用船舶に浮体構造物をより空間効率的に収納することを可能にし、ひいては、船舶がより多くの浮体構造物を運搬することを可能にすることである。
【0073】
図示の例では、第3のポンツーン構造部13の高さは約3mであるが、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の高さは約7mである。したがって、第3のポンツーン構造部13の高さは、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の50%未満である。
【0074】
浮体構造物10には、さらに、制御可能なバラストシステム(図示せず)が設けられており、これは、水に浮いているときに浮体構造物10の傾斜の制御を可能にするように構成されている。
【0075】
図2図10に示す浮体構造物の実施形態は、基本的に、図1に示す浮体構造物10と同様に構成されているため、同様の構成要素については、すべての図で同じ参照符号が使用されている。
【0076】
図2A図2Bは、セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム100用の浮体構造物20の第2の実施形態の上面図(図2A)および長手方向断面図(図2B)を示している。
【0077】
図2Aに示すように、浮体構造物20は、第1のポンツーン構造部11の中心長手方向軸線11cと第2のポンツーン構造部12の中心長手方向軸線12cとの間の水平面内での第1の角度α(つまり、第1のポンツーン構造部の中心線の軸線と第2のポンツーン構造部の中心線の軸線との間の角度)を示している。浮体構造物20は、さらに、a)第1の安定化コラム1の中心点と第2の安定化コラム2の中心点との間の第1の仮想線21と、b)第2の安定化コラム2の中心点と第3の安定化コラム3の中心点との間の第2の仮想線22との間の水平面内での第2の角度βを示している。図2Aにさらに示すように、第2の角度βは第1の角度αよりも大きい。これにより、以下にさらに説明するように、浮体構造物の収納の空間効率がさらに向上する。
【0078】
図2Bに示すように、第3のポンツーン構造部13の下面13bは、水平面に対して傾斜して、傾斜面130を形成している。傾斜は、水平面に対して角度γを有しており、傾斜は、第3のポンツーン構造部13の下面13bの外側部分が、第3のポンツーン構造部13の下面13bの内側部分よりも高い鉛直レベルに位置するように向けられており、内側部分は、外側部分よりも第2の安定化コラム2の近くに配置されている。傾斜面130は、浮体構造物20が輸送用船舶の甲板上に僅かに傾斜した位置(角度γ)で収納されたときに、浮体構造物20のための支持面を形成しており、これについては、以下でさらに説明する。また、第1の安定化コラム1の下面1bおよび第3の安定化コラム3の下面3bの一部分は、傾斜面130に対応するように水平面に対して角度γで傾斜している。
【0079】
浮体構造物20には、第1のポンツーン構造部11と第2のポンツーン構造部12との間で第2の安定化コラム2に配置された支持構造部5がさらに設けられている。支持構造部5は、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12と、浮体構造物20全体とを接続している。支持構造部5は、第3のポンツーン構造部13の上面13aの高さに対応する高さで第1のポンツーン構造部11と第2のポンツーン構造部12との間に延在する支持面6を備えている。支持面6は、以下にさらに説明するように、浮体構造物のセットを輸送用船舶に収納するときに、隣接する浮体構造物のための支持体として機能する。
【0080】
浮体構造物20には、さらに、コラム1,2,3の間に延在してコラム1,2,3を接続するブレース7が、基本的にポンツーン構造部11,12,13と同様に設けられているが、ブレースは、コラム1,2,3の上側部分同士の間に配置されている。第1のコラム1と第3のコラム3との間のブレースは、浮体構造物が輸送のために収納されるときには取り付けられない。なぜならば、ブレースが密集した収納を妨げるからである。ブレースの端部分は、第1のコラムおよび第3のコラムに予め取り付けられており、残りの部分は輸送後に取り付けられる。輸送後のブレースの組立ては、一般的にそれほど複雑ではない。
【0081】
図1の浮体構造物と図2A図2Bの浮体構造物との間の更なる違いは、図2A図2Bの浮体構造物20の第2のコラム2が、第1のコラム1および第3のコラム3と比較して、いくらか(直径が)大きいことである。この目的は、第2のコラム2上に風力タービンタワーを配置するためのより良好な支持条件を提供することである。更なる目的は、浮体構造物の長手方向浮心(LCF)を調整することであってよい。なぜならば、第2のコラムの直径が大きいほど断面積が大きくなることを意味しているからであり、このことは、ポンツーン構造部が水面下に位置しかつコラムが水面を貫通している状態で浮体構造物/プラットフォームが動作しているとき、第2のコラムは他のコラムよりも大きな水線面積を示すことを意味するからである。LCFの位置はコラムの水線面積に左右され、LCFを調整することにより、外洋で動作しているときに浮体構造物/プラットフォームの動きを低減することができる。
【0082】
図3A図3Bは、浮体構造物30の第3の実施形態の上面図(図3A)および長手方向断面図(図3B)を示している。図3A図3Bの浮体構造物30は、基本的に図2A図2Bの浮体構造物20に類似している。違いは、主に、浮体構造物30の第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12が、第1の角度αを減少させ、ひいては、第2の角度βと第1の角度αとの差を増大するように配置されていることである。第1の角度αは、直径の大きい第2のコラムを使用することで、さらに減少させることができる。
【0083】
図3Aに示すように、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々は、浮体構造物30から離れる側方に向いた外側側面11d,12dを有している。図3の実施形態では、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12は、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々の外側側面11d,12dが、第2の安定化コラム2の外側側面2dと実質的に整列するように配置されている。加えて、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の対向する端部同士は、それぞれ第1の安定化コラム1の内側側面および第3の安定化コラム3の内側側面と実質的に整列している。
【0084】
第2の角度βと第1の角度αとの差の更なる増大により、浮体構造物30を輸送用船舶に空間効率よく収納する能力がさらに向上する。
【0085】
図4は、図3の浮体構造物30の斜視図を示しており、第2の安定化コラム2の頂部に配置される風力タービンタワー用のインタフェース/支持部101がさらに設けられている。
【0086】
図5は、概略側面図を示しており、第1の浮体構造物20,30のセット、この例では5個の浮体構造物が輸送用船舶の甲板65に列状に収納されている様子を示している。図5の浮体構造物は、図2または図3に示した種類のものであってよい。5個の浮体構造物はすべて、第3のポンツーン構造部13の下面13bの傾斜面130に対応する傾角γで傾斜した位置をとっている。右端の浮体構造物は、船の甲板65に配置された支持体66によって、右端の浮体構造物の第2のコラム2の下で支持されている。残りの浮体構造物も同様に収納されて、支持されている。つまり、第2のコラム2は、隣接する浮体構造物の支持面6によって支持されており、傾斜した支持面130は、甲板65と同一平面にあり、甲板65によって支持されている。さらに、これらの残りの浮体構造物の第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12は、隣接する浮体構造物の第3のポンツーン構造部13上に配置されて、この第3のポンツーン構造部13によって支持されている。
【0087】
図6A図6Bは、概略側面図を示しており、第2の浮体構造物20,30,40のセット、この例では5個の浮体構造物が輸送用船舶の甲板65に列状に収納されている様子を示しており(図6B)、右側の第1の浮体構造物40は特別な設計を有している(図6A)。残りの4個の浮体構造物20,30は、図2Aまたは図3Aに示す種類であってよい。
【0088】
図6Aに示すように、特別な浮体構造物40には、第3のポンツーン構造部13の下面13bに傾斜面130が設けられておらず、代わりに、下面13bは平坦である。しかしながら、浮体構造物40の第3のポンツーン構造部13の上面13aは、水平面に対して傾斜しており、上側の傾斜面140を形成している。傾斜は、第3のポンツーン構造部13の上面13aの外側部分が、第3のポンツーン構造部13の上面13aの内側部分よりも低い鉛直レベルに位置するように配置されており、内側部分は、外側部分よりも第2の安定化コラム2の近くに位置している。
【0089】
これは、特別な浮体構造物40が甲板65上に水平に配置されてよく、また、配置すべきであり、図6Bに示すように、浮体構造物の列の端構造物(「第1の」構造物)を形成してよく、また、形成すべきであることを意味する。それにより、この第1の浮体構造物40は、甲板65上の極めて安定した位置に設定されており、この浮体構造物を傾斜した位置に設定するために、付加的な甲板支持体66は必要ない。第1の浮体構造物40に隣接する次の(第2の)浮体構造物20,30は傾斜した位置をとり、図5に示すように、第1の浮体構造物40の上側の傾斜面140と、第1の浮体構造物40自体の下側の傾斜面130とによって支持されている。付加的な支持体67が、第2の浮体構造物20,30の第2のコラム2の下に配置されてよい。残りの3個の浮体構造物20,30は、図5と同じ様式で収納されている。
【0090】
図7A図7Bは、セミサブマーシブル貨物運搬用船舶の形態の輸送用船舶60の甲板65上に列状に収納された浮体構造物のセットの第1の斜視図および第2の斜視図を示しており、セミサブマーシブル貨物運搬用船舶は、部分的に水面下に下降して下側位置をとり、上側位置まで上昇して、船舶の上方の水面に位置する貨物を船舶上に積み込むように構成されている。
【0091】
図7Aおよび図7Bの浮体構造物の列は、図6Aに示す種類の第1の浮体構造物40と、さらに4個の浮体構造物30a~30dとを含んでおり、各々の種類は図4に示している(ただし、第1のコラム1と第3のコラム3との間のブレース7の中央部分は取り除かれている)。図7A図7Bの浮体構造物は、図6Bの浮体構造物と基本的に同様の様式で甲板65上に収納されている。
【0092】
図8A図8Fは、図7A図7Bによる浮体構造物のセットを輸送用船舶60の甲板65に配置する方法を段階的に示している。
【0093】
浮体構造物40,30a~30dのセットをセミサブマーシブル貨物運搬用船舶60に積み込むための方法は、一般的に、
-水に浮かぶ浮体構造物40,30a~30dのセットを提供するステップ(図8A図8D)と、
-船舶60がその下側位置にあるときに、浮体構造物40,30a~30dのセットを船舶60の上方に列状に配置するステップ(図8E)と、
-浮体構造物40,30a~30dの列を船舶60に積み込むために、船舶60をその上側位置まで上昇させるステップ(図8F)と
を含む。
【0094】
図8Bに示すように、浮体構造物のセットが少なくとも第1の浮体構造物40と第2の浮体構造物30aとを含んでいる、浮体構造物のセットを列状に配置するステップは、第1の浮体構造物40と第2の浮体構造物30aとを互いに隣接させて配置するステップであって、これにより、第2の浮体構造物30aは、第1の浮体構造物40の第3のポンツーン構造部13の上方に位置しており、第2の浮体構造物30aの第2のコラム2は、第1の浮体構造物40の第1のポンツーン構造部11と第2のポンツーン構造部12との間に位置決めされており、第2の浮体構造物30aの第2のコラム2は、第1の浮体構造物40の第1のコラム1および第3のコラム3よりも第1の浮体構造物40の第2のコラム2の近くに位置決めされている、配置するステップを含む。
【0095】
図8Aに示すように、方法は、さらに、第1の浮体構造物および第2の浮体構造物のうちの少なくとも一方(この場合は第2の浮体構造物30a、図8Aを参照)を傾斜した位置に設定することと、第2の浮体構造物30aが、第1の浮体構造物40の第3のポンツーン構造部13の上方に浮かんで、第1の浮体構造物40に隣接する位置をとる(図8Bを参照)ことを可能にするように、第1の浮体構造物40を僅かに大きい喫水まで下降させることとを含むことができる。制御可能なバラストシステムを使用して、第2の浮体構造物30aが傾斜した位置に設定される。
【0096】
図8B図8Eおよび図6B図7A図7Bに示すように、方法は、さらに、第2の浮体構造物30aの第2のコラム2を第1の浮体構造物40の支持構造部5,6,67上に位置させることを含むことができる。
【0097】
残りの浮体構造物30b,30c,30dは、基本的に、第1の浮体構造物40および第2の浮体構造物30aについて上述したのと同様に列状に配置されている。例えば、列内の第3の浮体構造物30bは傾斜した位置に設定されていて、対応する傾斜した位置にすでに位置決めされている隣接する第2の浮体構造物30aの位置に移動/曳航される。第2の浮体構造物30aと第3の浮体構造物30bとは互いに傾斜していないため、付加的な支持体67は不要である。すでに上述したように、第3の浮体構造物30bは、第3のポンツーン構造部13と第2の浮体構造物30aの支持面6とによって支持されている(または船舶60が上昇したときに支持される)。第3の浮体構造物30bは、また、甲板65上に位置する第3の浮体構造物30b自体の第3のポンツーン構造部によって支持されている。第4の浮体構造物30cおよび第5の浮体構造物30dを列状に配置する工程も同様である。
【0098】
浮体構造物40,30a~30d同士は、船舶60を上昇させる前に互いに固定されることが望ましい。浮体構造物の間に木材要素などを配置して、損傷を防止することができる。
【0099】
図9A図9Dは、浮体構造物設計A~Dが異なる、浮体構造物のセットの間の収納効率の比較を示している。図9A図9Cは、第1の角度αが第2の角度βに等しい浮体構造物設計A~Cを示している(β>αの場合については、図2Aおよび図3Aを参照)。
【0100】
設計A~Cの間の違いは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部の位置であり、設計Aでは、第1のポンツーン構造部および第2のポンツーン構造部はコラムの内側に位置決めされており(図9A)、設計Bでは、それらはコラムの外側に位置決めされており(図9B)、設計Cでは、図1に示す浮体構造物10同様に、それらはコラムの中央に位置決めされている(図9A)。
【0101】
設計Dは、β>αである浮体構造物の一例を形成しており、例えば図3Aに示す浮体構造物30と同様である。
【0102】
設計A~Dはすべて、同じコラム径と、同じポンツーン構造部の横幅/幅とを有している。
【0103】
図9A図9Dに示すように、船舶60の甲板の所定の長さに収納することができる浮体構造物の数は、設計Aの場合には3個、設計Bおよび設計Cの場合には4個、設計Dの場合には5個である。したがって、β>αとなるように浮体構造物を配置することにより、この種のΔ形状の浮体構造物(つまり、下側の第3のポンツーン構造部を備えた収納可能なΔ形状の浮体構造物)の収納効率がさらに向上することは明らかである。
【0104】
図9A図9Cの細い線は、図9Aの第4の浮体構造物および第5の浮体構造物および図9Bおよび図9Cの第5の浮体構造物を示しており、異なる設計の5個の完全な構造物の対応する長さを示している。これらの示されている付加的な浮体構造物は船舶60に適合しない。
【0105】
図10は、図4による浮体構造物30を備えるセミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム100を示している。プラットフォーム100には、3枚のブレード103(および図示されていない発電機等)を備えた風力タービンタワー102が設けられている。
【0106】
図11図16は、上記で説明したものと類似する浮体構造物50,51の実施形態を示しているが、第1のポンツーン構造部11および第2のポンツーン構造部12の各々は下向きの下面11b,12bを有しており、第3のポンツーン構造部13の上面13aは第1のポンツーン構造部11の下面11bおよび第2のポンツーン構造部12の下面12bと実質的に整列しているかまたは第1のポンツーン構造部11の下面11bおよび第2のポンツーン構造部12の下面12bよりも低いレベルに位置している。
【0107】
図12および図13に示す浮体構造物50では、第1のポンツーン構造部11の下面11bおよび第2のポンツーン構造部12の下面12bは、第2の浮力安定化コラム2の下向きの下面2b全体と実質的に整列している。
【0108】
図11図14図15に示す浮体構造物51では、第1のポンツーン構造部11の下面11bおよび第2のポンツーン構造部12の下面12bは、第2の浮力安定化コラム2の下向きの下面2bの一部分のみと実質的に整列している。第2の浮力安定化コラム2の下向きの下面2bの別の部分2eは、低いレベルに位置している。図14に最もよく示されているように、低いレベルに位置する(第2の)部分2eは、第3のポンツーン13の下面13bと、第1のコラム1および第3のコラム3の各々の下面とに実質的に整列している。
【0109】
図13は、図12による列状に収納された浮体構造物のセットを示しており、図15は、図11および図14による列状に収納された浮体構造物のセットを示している。
【0110】
プラットフォームが同様のプラットフォームの列の端部に位置している場合または組立て中である場合など、第3のポンツーンによる利用可能な支持が存在しない場合、図12による浮体構造物を実質的に水平位置に保持するためには、図13を参照すると、第2のコラムの下に別個の支持構造部52を配置することが可能である。
【0111】
図11および図14による浮体構造物は、別個の支持構造部52がなくても実質的に水平に位置決めされる。なぜならば、図11図14および図15を参照すると、第3のポンツーン3の下面と、第1のコラム1および第3のコラム3の下面と、第2のコラム2の下面の(第2の)部分2eとが互いに整列しているからである。
【0112】
図11図16による浮体構造物は、第1のポンツーン11bの底部の下面と第2のポンツーン12bの底部の下面とに小さな段差または傾斜部分を備えて水平に位置決めすることができ、これによって、隣接する浮体構造物同士の第1のポンツーンおよび第2のポンツーンと上面13aとの間でのクリビングが可能になる。
【0113】
図11図16による浮体構造物は、小さな傾斜(例えば1°~2°)を備えて位置決めすることができ、これによって、隣接する浮体構造物同士の第1のポンツーン11bの底部の下面および第2のポンツーン12bの底部の下面と上面13aとの間でのクリビングが可能になり、高さの異なる楔形のクリビング材が下側の第3のポンツーン13bの下に配置される。
【0114】
また、図11図16の実施形態では、ポンツーン11,12,13はコラム1,2,3の下側部分に接続されており、つまり、風力発電タービンプラットフォームが動作しているとき、ポンツーンは典型的に水面下に位置している。
【0115】
図16に示す浮体構造物では、第1のコラム1の下面および第3のコラム3の下面は、低いレベルに位置した一部分1e,3eと、高いレベルに位置した別の部分(図16では1bおよび3bとして示されている)とを有している。この例では、下側部分1e,3eは、第3のポンツーン13の下面13bと整列しており、上側部分1b,3bは、第1のポンツーン11の下面11bおよび第2のポンツーン12の下面12bと整列している。上側部分1b,3bは、例えばいわゆる自走式モジュールトランスポータを使用して陸上でプラットフォームを持ち上げて移動させるのに有用なポイントを提供する。本開示の浮体構造物のいずれにも、このような上側部分/持上げポイントが設けられてよい。
【0116】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な様式に変更することができる。例えば、コラムの断面およびポンツーン構造部の断面は、多角形のコラムおよび円形または多角形のポンツーン構造部など、例示したものとは異なってよい。
【符号の説明】
【0117】
1 第1の浮力安定化コラム
2 第2の浮力安定化コラム
3 第3の浮力安定化コラム
1a,2a,3a コラムの上面
1b,2b,3b コラムの下面
1c,2c,3c コラムの下側部分
2d 第2のコラムの外側側面
1e 1bの低いレベル
2e 2bの低いレベル
3e 3bの低いレベル
5 支持構造部
6 支持構造部5の支持面
7 ブレース
10,20,30,40,50,51 浮体構造物
11 第1の細長いサブマーシブルポンツーン構造部
12 第2の細長いサブマーシブルポンツーン構造部
13 第3の細長いサブマーシブルポンツーン構造部
11a,12a,13a ポンツーン構造部の上面
11b,12b,13b ポンツーン構造部の下面
11c,12c 第1のポンツーン構造部の中心長手軸線および第2のポンツーン構造部の中心長手軸線
11d,12d 第1のポンツーン構造部の外側側面および第2のポンツーン構造部の外側側面
α 第1のポンツーン構造部の中心長手軸線と第2のポンツーン構造部の中心長手軸線との間の水平面内での第1の角度
21 第1の安定化コラムの中心点と第2の安定化コラムの中心点との間の第1の仮想線
22 第2の安定化コラムの中心点と第3の安定化コラムの中心点との間の第2の仮想線
β 第1の仮想線と第2の仮想線との間の水平面内での第2の角度
52 支持構造部
60 海上輸送用船舶
65 海上輸送用船舶の甲板
66 第1の付加的な支持体
67 第2の付加的な支持体
100 セミサブマーシブル型の風力発電タービンプラットフォーム
101 風力タービンタワー用の支持部
102 風力タービンタワー
103 風力タービンブレード
130 第3のポンツーン構造部の下面の傾斜面
140 第3のポンツーン構造部の上面の傾斜面
γ 傾角
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A-9D】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】