(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水分除去デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B01D53/26 210
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542128
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 US2023060435
(87)【国際公開番号】W WO2023137295
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ビー.ギフォード
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディー.グッドリッチ
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA09
4D052CA01
4D052CA03
4D052CA04
4D052DA06
4D052FA02
4D052GA01
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4D052GB02
4D052GB03
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4D052HA01
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4D052HA06
4D052HA07
4D052HA08
4D052HA09
4D052HA11
4D052HA12
4D052HA13
4D052HA21
4D052HA24
4D052HB02
(57)【要約】
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するデバイスは開示されている。このデバイスは、チャンバ内の乾燥剤材料、及び、前記チャンバと外部にある外部環境との間の第一のポートを含む。このデバイスは、前記チャンバと前記エンクロージャとの間に第二のポートを含み、第一のバリアは前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含み、そして第二のバリアは前記第二のポートを横切って延在する。使用中、前記エンクロージャ内の水蒸気は前記水分輸送層を透過して前記チャンバに入り、そこで前記乾燥剤材料に吸着される。前記乾燥剤材料は、連携する熱源を使用して前記デバイスを加熱することにより再生されうる。前記チャンバ内の圧力により、前記第一のポートを通る蒸気の流れが促進される。熱は前記第二のバリアを介して前記第一のバリアに伝導され、結露を防止又は軽減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスであって、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、
前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通しており、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、
前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記内側バリアは、前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外側の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記乾燥剤材料から少なくとも一部の吸着水を脱着するように動作可能な熱源を含む、請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハウジングは熱源を取り込んでおり、又は、前記熱源は前記チャンバ内に配置されている、請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
エンクロージャから水分を除去するためのデバイスを含むエンクロージャであって、
前記デバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に流体連通を提供する第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記エンクロージャとの間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されており、
前記エンクロージャは、前記デバイスの温度を上昇させ、吸着された水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させ、前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を減らすか、又は無くすように動作可能な熱源を含むか、又は、かかる熱源と連携されている、エンクロージャ。
【請求項6】
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記エンクロージャと流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、そして前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記熱源は、前記デバイスの温度を上昇させ、前記チャンバ内の圧力を上昇させるように動作可能であり、
前記内側バリアは、前記熱源を用いた前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、請求項5記載のエンクロージャ。
【請求項7】
前記内側バリアは、空気又は水蒸気に不透過性である1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含み、前記内側バリアが前記第二の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアと接触して前記外側バリアを通って前記水分輸送層の外面に至る流路を閉塞するように配置されており、前記内側バリアが前記第一の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアから離間しており、前記デバイスは、前記外側バリアを通って又はその周囲を通って前記水分輸送層の外面に至る流路を含む、請求項2又は請求項2の従属項である場合の請求項3もしくは4記載のデバイス、又は請求項6記載のエンクロージャ。
【請求項8】
前記内側バリアの少なくとも一部は可撓性であり、及び/又は、前記外側バリアは固定された外側バリアである、請求項2もしくは7又は請求項2の従属項である場合の請求項3もしくは4記載のデバイス、又は請求項6もしくは7記載のエンクロージャ。
【請求項9】
前記第二のポートはフロー領域を画定し、前記水分輸送層は前記フロー領域を横切って延在する、請求項1~8のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項10】
前記水分輸送層は、多孔質支持層及び前記支持層の少なくとも一部の細孔内に存在する空気不透過性水蒸気透過性材料を含む、請求項1~9のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項11】
前記支持層は、相互接続されたフィブリル状ネットワークを含む、多孔質ミクロ構造を有する膨張ポリマー膜を含む、請求項10記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項12】
前記多孔質支持層は空気不透過性水蒸気透過性材料が吸収されている、請求項10又は11記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項13】
前記支持層は弾性的に伸長可能である、請求項10~12のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項14】
前記空気不透過性水蒸気透過性材料は、シリコーン材料、ポリウレタン材料又はペルフルオロスルホン酸イオノマー材料から選ばれる、請求項1~13のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項15】
前記外側バリアは前記第二のポートの上又は前記第二のポートを横切るブリッジを含み、1つ以上の流路は前記外側バリアの周囲及び/又は前記外側バリアを通って画定される、請求項2又は請求項2の従属項である場合の請求項3、4もしくは7~14のいずれか1項記載のデバイス、又は、請求項6又は請求項6の従属項である場合の請求項7~14のいずれか1項記載のエンクロージャ。
【請求項16】
前記第一のポートは前記第二のポートよりも小さい流路面積及び/又は長い流路を有し、それにより、前記第二のポートを介した前記チャンバへの水蒸気の透過又は拡散は、前記第一のポートを介した前記外部環境から前記チャンバへの水蒸気の拡散又は流れを超える、請求項1~15のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項17】
前記第一のポートは出口チャネルを画定するか、又は前記第一のポートは出口チャネルまで延在し、前記出口チャネルは湾曲又は回旋状経路を含む、請求項1~16のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
【請求項18】
エンクロージャから水分を除去する方法であって、
前記方法は、
第一の期間中に、
空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を介してエンクロージャからチャンバに水蒸気を輸送すること、
前記チャンバ内の乾燥剤材料に水蒸気の少なくとも一部を吸着させること、及び、
第二の期間中に、
熱を加えて、前記乾燥剤材料の温度を上昇させ、吸着した水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させること、
前記チャンバの内壁及び前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を低減し又は無くすこと、及び、
前記チャンバから前記エンクロージャの外部の環境に水蒸気の少なくとも一部を通過させること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記水分輸送層を含む内側バリアを、前記内側バリアが外側バリアから離間している第一の位置から、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置に移動させることを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記水分輸送層を、前記水分輸送層が前記外側バリアから離間している前記第一の位置から、前記水分輸送層の外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している前記第二の位置に移動させることを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第二の期間中に前記内側バリアを前記外側バリアに接触するように移動させることによって前記水分輸送層の温度を上昇させることを含み、前記外側バリアは前記水分輸送層よりも高い温度である、請求項19又は20記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバ内の圧力を上昇させることによって前記内側バリアを移動させることを含み、熱を加える工程は前記チャンバ内の圧力を上昇させる、請求項18~21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記第二の期間中に、前記チャンバ内部の温度を、前記チャンバ内の露点又は最大期待露点を超える温度に上昇させることを含む、請求項18~22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記第一の期間は前記第二の期間より長い、請求項18~23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記第一の期間は前記第二の期間の長さの少なくとも約10倍、50倍、100倍又は200倍である、請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、エンクロージャ、特に自動車用途で使用されるような電気部品を収容する電気エンクロージャから水分を除去するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの物品は、過剰な水分によって引き起こされる損傷を受けやすい。例えば、電気及び電子物品は、過剰な水分によって損傷を受けたり、又は機能寿命が短くなったり、又は動作が水分に敏感になることがある。ハウジングに含まれるものなど、熱サイクルを受ける封入された部品も同様に、水分に関連する問題の影響を受けやすい。
【0003】
エンクロージャは、周囲条件の変化によって熱サイクルを受ける場合があり、又は通常の動作中に熱サイクルが発生する場合がある。例えば、エンクロージャは、1つ以上の電気部品などの熱源を含むか、又は熱源の近くに配置されることがあり、その動作によってエンクロージャの熱サイクルが発生する。望ましくない水分の影響を受けやすいエンクロージャの例としては、例えば、自動車のヘッドランプユニット、乗物LIDARセンサ装置などの密閉ハウジングに含められた電子機器、及び、エンクロージャ内の熱源のオン/オフサイクルによって水分が蓄積されるその他のシステムが挙げられる。
【0004】
このようなエンクロージャから水分を除去する1つの方法は、エンクロージャを横切る又はエンクロージャを通過する空気の流れを増やすことである。しかしながら、部品が密閉ハウジング内にあるときに、十分な空気流を確保することが難しいことがある。開口部が大きいと、ほこり、汚れ、油などの他の望ましくない汚染物質がエンクロージャに多く侵入する可能性もある。
【0005】
エンクロージャ内で乾燥剤又はデシカントを使用してエンクロージャ内の水分を管理することも知られている。しかしながら、乾燥剤は水分を吸着する容量が限られており、エンクロージャ内の空気中の水分を除去する手段として機能し続けるには、「再生すること」、又は吸着した水分を除去することが要求される。
【0006】
エンクロージャ内の過剰な水分の除去は、W. L. Gore & Associates, Inc. のWO2016/201045又はWO2018/067944に開示されているような活性水分ポンプによって実現されている。このような水分ポンプは、エンクロージャと連通するチャンバ内に収容された乾燥剤材料、及び、外部環境への通気弁を含む。通気弁は、水分ポンプの正味の効果がエンクロージャから水分を除去することとなるように、再生イベント中に開くことができる。しかしながら、このようなデバイスのコスト及び相対的な複雑さは、特定の用途には適さないことがある。
【0007】
米国特許第6,709,493号明細書(W. L. Gore & Associates, Inc.)は、乗物ヘッドランプ又は熱を発生するその他の密閉型電気機器に近接したエンクロージャ内に配置されたチャンバ内に乾燥剤を配置した通気デバイスを記載している。チャンバには、チャンバ内に水蒸気が透過して乾燥剤に吸着されるのを促進するための、水分透過性で空気不透過性の膜が備えられている。チャンバには、エンクロージャへのポートと外部環境へのベントが備えられている。ヘッドランプによって発生した熱によって乾燥剤が再生され、ポートを介してチャンバ内に空気が流入し、ベントを介してチャンバから空気が流出することで、エンクロージャから水分の正味の流れが生じる。通気デバイスは、ベントを介したエンクロージャからの空気の正味の流れが存在することに依存しているが、これは多くの用途では存在しない。
【発明の概要】
【0008】
したがって、前述の問題の1つ以上に対処する、改良された水分低減デバイスが依然として求められている。
【0009】
発明の概要
本発明の態様は、熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスに関するものであり、前記デバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含むバリアを含み、前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通している。
【0010】
第二のポートには、本明細書でさらに詳細に開示されるとおりの外側バリアなどのバリアを加熱する又はバリアに熱を流すための構成がさらに設けられている。
【0011】
第二のポートは、前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、ここで、水分輸送層の外側はハウジングの外部の環境と流体連通し、水分輸送層の内側はチャンバと流体連通している、及び、前記第二のポートを横切って延在する第二のバリアを含み、前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている。
【0012】
使用時には、デバイスはエンクロージャとともに配置され、第二のポートはエンクロージャの内部と連通し、第一のポートはエンクロージャの外部の環境と連通している。エンクロージャ内の水蒸気は水分輸送層を透過してチャンバ内に入り、そこで乾燥剤材料によって吸着される。乾燥剤材料は、連携された熱源を使用してデバイスを加熱することで再生できる。チャンバ内の圧力により、第一のポートを通る蒸気の流れが促進される。熱は第二のバリアを介して第一のバリアに伝導され、水分輸送層の内側での結露を防止又は低減する。結露すると、チャンバ内の結露した水は第一のポートから排出されず、その後乾燥剤材料によって再吸収されるため、デバイスの機能が阻害又は妨げられる可能性がある。
【0013】
「空気不透過性」層とは、特に対流空気流などの質量空気流を阻害する層を指す。当業者であれば、ポリマー材料などの幾つかの材料は、依然として空気不透過性であると考えられているが、長期間にわたって少量のガス種の拡散を許容することができることを理解するであろう。本明細書で開示されている空気不透過性層は、約1psi、又は7kPaの層を横切る空気圧差で従来の空気流テストプロトコルにかけられたときに、基本的に0リットル/時の空気流を示す。当業者であれば、空気不透過性層の材料を介した拡散が、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層として有用な幾つかの材料では、10-3~100ml/時以下のオーダーで起こる可能性があることを理解するであろう。
【0014】
一方、「水蒸気透過性」とは、22℃、相対湿度50%の周囲条件で、少なくとも約100~102mg/日/cm2程度の速度の水蒸気の透過を可能にするように特別に調整された層を指す。
【0015】
第二のバリアをハウジングに取り付けることができる。第一のバリアをハウジング及び/又は第二のバリアに取り付けることができる。各バリアを、例えば、第二のポートの周囲にハウジングに取り付けることができる。
【0016】
第一のバリアは内側バリアで、第二のバリアは外側バリアであることができる。
【0017】
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するデバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含むことができ、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む内側バリア、ここで、前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通している、及び、
前記水分輸送層の外側に隣接する外側バリア、
を含み、
前記内側バリアは、前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用により、前記内側バリアが前記外側バリアから離間する第一の位置と、前記内側バリアの外側の少なくとも一部が前記外側バリアに接触する第二の位置との間で移動可能である。
【0018】
「内側」及び「外側」という用語は、本明細書において、チャンバの基準フレームに対するものとして使用される。
【0019】
ハウジングの第一の部分の第一のポートとハウジングの第二の部分の第二のポートは、エンクロージャで使用する際に、第一のポートがエンクロージャの外部の環境と連通し、第二のポートがエンクロージャの内部と連通できるような互いの関係で配置することができる。
【0020】
使用中、デバイスはエンクロージャとともに配置され、第二のポートはエンクロージャの内部と連通し、第一のポートはエンクロージャの外部の環境と連通する。例えば、デバイスはエンクロージャの壁において開口部を通して配置することができる。エンクロージャ内の水蒸気は水分輸送層を透過してチャンバに入り、そこで乾燥剤材料に吸着される。乾燥剤材料は、連携された熱源を使用してデバイスを加熱することにより定期的に再生することができる。デバイスが加熱されると乾燥剤材料から脱着した水蒸気は、第一のポートを介して外部環境に通過する。加熱中にチャンバ内の圧力が上昇し、第一のポートを通る蒸気の流れを促進する。圧力の上昇(すなわち、チャンバとエンクロージャとの間の圧力差)により、内側バリアが外側バリアと接触させるようになる。加熱により、ハウジングの温度と、内側バリアに接触する外側バリアの1つ以上の表面の温度が上昇する。これにより、チャンバ内の結露が防止又は軽減される。特に、外側バリアを介して水分輸送バリアに伝達される熱により、水分輸送バリアの第二の側での結露が軽減又は無くされ、この結露は、デバイスの機能を阻害するか、又は防止することになる。さらに、内側バリアが外側バリアに接触すると、エンクロージャと流体連通している内側バリアの表面積も減少し、その結果、乾燥剤再生期間中にチャンバからエンクロージャへの蒸気の透過速度が低下する。
【0021】
このデバイスは構造が単純で、可動部品をほとんど含まなく、幾つかの実施形態においては、1つのみの可動部品を含む。このデバイスは、コスト効率に優れ、コンパクトな設計にすることができる。
【0022】
熱源と連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含むことができ、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む、第一のバリア、ここで、前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通している、及び、前記第一のバリアに固定的に取り付けられている、第二のバリアを含み、
前記第二のバリアは、前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている。
【0023】
第一のバリアは内側バリアであることができ、第二のバリアは外側バリアであることができる(又は、幾つかの実施形態ではその逆)。外側バリアは、内側バリアの外側に固定的に取り付けられることができ、水分輸送層への流体連通は、外側バリアを介して提供される。
【0024】
第二のバリアは、1つ以上のアパチャを備え、前記アパチャは、水分輸送層への流体連通を提供する。第二のバリアは穿孔されていてもよい。
【0025】
第二のバリアは、第一のバリア内に少なくとも部分的に埋め込まれていることができる。
【0026】
第二のバリアは、ハウジングと熱的に接触していることができる。第二のバリアは、金属(例えば、アルミニウム、銅、鋼)などの熱伝導性材料を含むことができる。
【0027】
第一のバリアは、内側バリアに関して本明細書に開示される材料のいずれかから、又は方法のいずれかによって形成されうる。
【0028】
別の態様において、本発明は、エンクロージャから水分を除去するためのデバイスを含むエンクロージャにまで及び、前記デバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に流体連通を提供する第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャとの間の第二のポートを含み、
前記第二のポートは、前記第二のポートを横切って延在する、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含み、前記水分輸送層の外側は前記エンクロージャと流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通しており、
前記エンクロージャは、前記デバイスの温度を上昇させ、前記乾燥剤材料から吸着水の少なくとも一部を脱着させ、そして水分輸送層の内側の温度を上昇させて、チャンバ内の結露を低減又は排除するように構成された熱源を含むか、又は熱源と連携されている。
【0029】
熱源は、チャンバの内壁の温度も上昇させうる。
【0030】
第二のポートは、第二のポートを横切って延在して、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、ここで、水分輸送層の外側はハウジングの外部の環境と流体連通し、水分輸送層の内側はチャンバと流体連通している、及び、第二のポートを横切って延在する第二のバリアを含み、ここで、第二のバリアは、第一のバリアに熱を伝導するように構成されている。ヒータは、第二のバリアの温度を上昇させるように構成されうる。
【0031】
第一のバリアは内側バリアであることができ、第二のバリアは外側バリアであることができる。
【0032】
エンクロージャから水分を除去するためのデバイスを含むエンクロージャは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に流体連通を提供する第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャの間に第二のポートを含む、
デバイスを含むことができ、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む、内側バリア、ここで、前記水分輸送層の外側は前記エンクロージャと流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通している、及び、
前記水分輸送層の外側に隣接する外側バリア、
を含み、
前記エンクロージャは、前記デバイスの温度を上昇させ、吸着した水の少なくとも一部を乾燥剤材料から脱着させ、前記チャンバ内の圧力を上昇させるように動作可能な熱源を含むか、又は熱源と連携されており、
前記内側バリアは、前記熱源を使用して前記デバイスを加熱することによって生じる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間する第一の位置と、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触する第二の位置との間で移動可能である。
【0033】
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスを含む、エンクロージャは、
前記チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は、前記チャンバと前記エンクロージャとの間に第二のポートを含む、
デバイスを含むことができ、
前記第二のポートは、前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む、第一のバリア、ここで、前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通している、及び、前記第一のバリアに固定的に取り付けられた第二のバリア、
を含み、
前記第二のバリアは、前記熱源から前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている。
【0034】
このデバイスは、本発明の他の態様のデバイスであってもよく、そのさらなる又は任意選択的な特徴のいずれかを含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用されるときに、用語「水分」は、液体又は蒸気の形態を問わず、周囲の大気から拡散又は凝縮される水を指すものとする。
【0036】
本明細書で使用されるときに、用語「外部環境」又は「チャンバ又はエンクロージャの外部の環境」は、場合に応じて、チャンバ又はエンクロージャの外部の体積又は空間を指す。外部環境は、周囲条件にある場合もあれば、又は、例えば、他の機械的又は電気的装置(例えば、乗物エンジン)によって何らかの方法で乱される場合もある。
【0037】
内側バリアは、第一の位置と第二の位置の範囲の間で移動可能であることが理解される。例えば、チャンバ内の圧力に応じて、内側バリアの外面のより大きな又はより小さな領域、又はその水分輸送層は、外側バリアと接触するように移動され、それによって第二の位置の範囲を画定することができる。同様に、チャンバ内の圧力に応じて、外側バリアからの距離及び内側バリアの曲率は変化して、それによって第一の位置の範囲を画定することができる。
【0038】
内側バリアの少なくとも一部は可撓性であることができる。幾つかの実施形態において、内側バリア全体は可撓性である。内側バリアの少なくとも一部は、弾性的に伸長可能であることができる。幾つかの実施形態において、内側バリア全体は弾性的に伸長可能である。
【0039】
外側バリアの少なくとも一部は、可撓性又は移動可能であることができ、外側バリアの動き又は屈曲は、内側バリアの動きよりも小さい。
【0040】
例えば、幾つかの実施形態において、内側バリアが第二の位置に移動すると、外側バリアは内側バリアの作用を受けて曲がることができる。このような曲がりにより、例えば、外側バリアが内側バリアの形状に適合し、それらの間の接触面積を改善することができる。
【0041】
外側バリアは固定されたバリアであることができる。
【0042】
使用中に、デバイスは、エンクロージャに連携された熱源によって定期的に加熱され、乾燥剤材料を少なくとも部分的に再生する(すなわち、乾燥剤材料から少なくとも一部の吸着水を脱着する)ことができる。熱源は、エンクロージャ内の電気装置、例えば車のヘッドランプであることができる。エンクロージャは、幾つかの状況では、エンクロージャの外部の熱源、例えば乗り物エンジン、排気管、ラジエータなどに十分近い位置に配置され、熱源の通常動作中にデバイスが定期的に加熱されることができる。
【0043】
熱源は、デバイスに隣接して、又はデバイスと熱接触して、エンクロージャ内に存在していてよい。熱源は、デバイスと熱接触してエンクロージャの外部に存在していてよい。したがって、本発明は、幾つかの態様において、本発明の態様のエンクロージャと、デバイスに隣接して又はデバイスと熱接触する熱源とを含む装置(乗物又は電子機器など)にまで及び、熱源は場合によりエンクロージャ内にある。装置は、例えば、自動車に取り付けられたエンクロージャ内の車両 LIDAR 装置であってもよい。装置は、エンクロージャ内に1つ以上の軽車両ライトと、変圧器/ドライバなどの関連装置とを含む乗物照明ユニットであってもよい。
【0044】
熱源は、デバイスを定期的に加熱するための専用の熱源であることができる。
エンクロージャは熱源を含むことができる。
デバイスは熱源を含むことができる。
【0045】
デバイスは、熱源から伝導及び/又は放射される熱の流れによって温度が上昇しうる。
【0046】
任意の適切な熱源を使用することができる。熱源は、好ましくは、乾燥剤材料の温度を100℃を超え、120℃を超え、140℃を超え又は150℃を超える温度に上昇させるように構成されている。当業者は、特定の乾燥剤材料が特定の脱着特性を有することを理解するであろう。特定の乾燥剤材料の脱着は、例えば、特定の閾値温度を超えるとより急速に起こり、閾値温度は乾燥剤材料ごとに異なりうる。
【0047】
熱源は、再生イベント中(すなわち、乾燥剤材料が100℃を超え、120℃を超え、140℃を超え、又は150℃を超える温度に上昇したとき)、チャンバの内壁、又はハウジング又はエンクロージャによって画定されたチャンバの内壁の温度を50℃を超え、70℃を超え、90℃を超え、又は100℃を超えるまで上昇させるように構成されうる。
【0048】
熱源は、チャンバ内部の温度をチャンバ内の最大期待露点を超えるまで上昇させるように構成されうる。最大期待露点は、例えば、乾燥剤材料の量、再生速度、チャンバ内の圧力上昇、したがって内部バリアのサイズ及び移動量、チャンバの体積、及び第一のポートの流れ面積などの要因によって決まることができる。最大期待露点は、経験的に決定することができる。
【0049】
熱源は、再生イベント(すなわち、吸着された水の少なくとも一部を脱着することにより乾燥剤材料が少なくとも部分的に再生されるイベント)中に、外側バリア(又は少なくともその内側)の温度を50℃を超え、70℃を超え、90℃を超え、又は100℃を超えるまで上昇させるように構成されうる。
【0050】
熱源は、好都合には、電流が課されると温度が上昇する1つ以上の加熱要素を含む電気ヒータである。
【0051】
熱源は自己調節型であることができ、例えば、正温度係数(PTC)ヒータであることができる。当該技術分野で知られているように、PTCヒータは、温度が所望の温度に近づくと電流の流れを制限するように構成できる、急速な初期加熱を容易にする温度抵抗特性を有する。
【0052】
熱源は、デバイスに近い誘導ヒータであることができる。誘導ヒータは、デバイスの1つ以上の導電性部品を誘導加熱するように動作可能である。
【0053】
ハウジングには熱源が組み込まれることができる。例えば、幾つかの実施形態において、ハウジングは金属構造であり、熱源はハウジングに結合されており、これにより、熱源によって生成された熱はハウジングに伝導され、乾燥剤及び固定バリアに伝導及び/又は放射される。幾つかの実施形態において、ハウジング又はその一部は熱源として機能する。例えば、幾つかの実施形態では、ハウジングは、適切な電流又は電界を課すことによって、抵抗加熱又は誘導加熱されうる。
【0054】
熱源は、チャンバ内に配置されうる。熱源は、乾燥剤材料に隣接して、乾燥剤材料に対して、乾燥剤材料の周囲に、又は乾燥剤材料内に埋め込まれることができる。
【0055】
熱源は、任意の適切な制御システムによって制御されうる。
【0056】
本明細書で使用される「乾燥剤(デシカント)(desiccants)」、「乾燥剤材料」又は「乾燥剤(drying agents)」という用語は、空気又はキャリアガスから水蒸気を吸着し、それによってエンクロージャ内の空気又はキャリアガス中の水分を減らすことができる任意の材料を指すことを意図している。乾燥剤材料又は乾燥剤は、加熱などの再生イベントを受けると、吸着された水蒸気を放出することができる。キャリアガスという用語には水蒸気は含まれないが、窒素、水素、ヘリウム又はアルゴンなどのガスを含むことができる。
【0057】
本明細書に開示されるデバイス及び方法に関連して、任意の乾燥剤材料又は乾燥剤材料の組み合わせを使用することができる。乾燥剤材料の例としては、限定するわけではないが、Al2O3又はCaOなどの酸化物、CaCl2、CoCl2、ZnCl2などの塩化物、CaSO4、MgSO4又はNa2SO4などの硫酸塩、K2CO3などの炭酸塩を含む無機塩、ゼオライト、アルミノリン酸塩、金属有機構造体などの分子ふるい、活性炭、シリカゲルなどのゲル又はエアロゲル、ベントナイトなどの粘土などが挙げられる。乾燥剤材料の選択及び使用される乾燥剤の量は、特定の目的、例えばデバイス、デバイスがさらされる環境、エンクロージャのサイズ、エンクロージャの材料、エンクロージャの密閉度などによって異なることができる。例えば、ポリカーボネートの乗物ランプなどの幾つかの材料のエンクロージャは、エンクロージャの壁を水が透過する材料から作られていることができる。幾つかのエンクロージャは、エンクロージャへアクセスパネルを密閉するためなど、複数の材料片を接着又はシールして作られていることができる。シール(Oリングシールなど)又はシーム(接着されたシームなど)は、漏れが発生しやすい場合がある。材料の選択又は漏れによる水分の侵入も、使用される乾燥剤材料の量及び/又はタイプの要因となる可能性がある。自動車のヘッドランプユニットは、例えば、約12~22リットルのエンクロージャ体積を有し、約500~1000mgの乾燥剤容量(すなわち、吸着可能な水の質量)を必要とし、1日にわたってこの量の水分を吸着できる必要がある。対照的に、LIDARセンサなどの乗物センサのエンクロージャは、金属製ハウジングのおかげで、漏れ速度がはるかに低く、1日あたり約10mg以下の乾燥剤容量を必要とする。
【0058】
乾燥剤材料は、任意の適切な固体の形で提供できるが、有利には、粒子状形態、例えば粉末又は顆粒の形で、高い比表面積で提供される。
【0059】
粒子状乾燥剤は、乾燥剤にバルク形状又は形態を維持するために、バインダなどの追加材料と混合されうる。乾燥剤材料は、高表面積酸化物などの支持材料上に設けてもよいし、又は、多孔質又は透過性ポリマーマトリックスなどのマトリックス内に分配されうる。乾燥剤材料は、金属粉末などの熱伝導性又は電気伝導性材料と混合されうる。熱伝導性又は電気伝導性材料は、本明細書に開示されているように、適切な熱源と組み合わせて、乾燥剤材料への熱伝達を促進することができる。
【0060】
乾燥剤材料は、ポーチ又はバッグ(又はそれらの複数)などの多孔質又は水蒸気透過性容器内に収容されうる。乾燥剤材料は、幾つかの実施形態では、疎水性多孔質材料、例えば、ePTFEなどの水蒸気透過性で水不透過性の容器内に収容されうる。
【0061】
乾燥剤材料は、任意の適切な方法でチャンバ内に分配されうる。しかしながら、幾つかの実施形態では、成形された乾燥剤の形態(例えば、乾燥剤容器、バインダ又はマトリックスによって課される)は、チャンバの内壁と熱的又は物理的に接触して配置されうる。
【0062】
チャンバの1つ以上の内壁は、乾燥剤材料でコーティングされ、又は乾燥剤材料でライニングされうる。
【0063】
乾燥剤材料は、チャンバを実質的に満たすことができる(少なくとも、可撓性バリアが第一の位置にあるとき)。乾燥剤材料は、例えば、出口チャネルへの水蒸気の流れを提供するために、乾燥剤材料の少なくとも一部の周囲に又は少なくとも一部を通過する流路を提供するように成形された形状を有することができる。
【0064】
第二のポートは、第二の領域を画定し、内側バリアは流れ領域を横切って延在する。第二のポートは、ハウジングにおいてアパチャを含むことができる。
【0065】
内側バリアは、第二の領域を横切って延在する。内側バリアは、第二の領域よりも大きな領域を有することができる。
【0066】
内側バリアは、チャンバの内壁の全部又は一部など、チャンバの内面を画定することができる。
【0067】
水分輸送層は、第二の領域を横切って延在することができる(幾つかの実施形態では、その幾らかの領域は、以下に開示されるように不透過性であることができる)。水分輸送層は、チャンバの内壁の全部又は一部など、チャンバの内面を画定することができる。
【0068】
第二の位置では、水分輸送層の少なくとも一部は外側バリアと接触してもよい。第一の位置では、水分輸送層の少なくとも一部は外側バリアから離間している。
【0069】
内側バリアは、1つ以上の低透過性領域又は不透過性領域を含むことができる。低透過性領域は、水分輸送層よりも水蒸気に対する透過性が低いことができる。不透過性領域は、空気/キャリアガス及び水蒸気に対して実質的に不透過性であることができる。
【0070】
1つ以上の低透過性領域又は不透過性領域は、内側バリアと外側バリアの間に配置されうる。例えば、低透過性層又は不透過性層は、内側バリアと外側バリアとの間に配置されうる。低透過性層又は不透過性層は、内側バリアが第一の位置にあるときに内側バリアから離間し、内側バリアが第二の位置にあるとき内側バリアと外側バリアの両方と接触していることができる。
【0071】
低透過性領域もしくは不透過性領域又は各領域は、内側バリアが第二の位置にあるときに、外側バリアに接触し、外側バリアを通して又は外側バリアの周囲から水分輸送層の外面への流路を閉塞するように配置されうる。内側バリアが第一の位置にあるときに、低透過性領域もしくは不透過性領域又は各領域は外側バリアから離間し、デバイスは外側バリアを通して又は外側バリアの周囲から水分輸送層の外面への流路を含む。
【0072】
外側バリアは、内側バリアの1つ以上の領域にわたって、低透過性層又は不透過性層にラミネート化された水分輸送層を含むことができる。例えば、低透過性領域は、水分輸送層の材料の1つ以上の追加層を用いて形成されうる。低透過性領域又は不透過性領域は、低透過性プラスチック材料を吸収した支持層又は箔の1つ以上の層を用いて形成されうる。
【0073】
内側バリアは、内側バリアの一部又は全部の領域にわたってラミネート化されうる。
【0074】
内側バリアは支持層を含むことができる。支持層は多孔質であり、又は、空気及び水蒸気に対して透過性であることができる。支持層は、可撓性メッシュ、布帛、電界紡糸膜又は多孔質膜を含むことができる。
【0075】
支持層は、プラスチック又はポリマー材料を含むことができる。支持層は、膨張(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)ポリマー膜、例えば膨張ポリエチレン又はフルオロポリマー膜、例えば、ePTFE膜を含むことができる。膨張多孔質ポリマー膜は、当該技術分野で既知であり、典型的に、相互接続されたフィブリル状ネットワークを含む多孔質ミクロ構造を含む。フィブリルは、ノードによって相互接続されうる。
【0076】
代替の支持層には、アクリルコポリマー膜(例えば、不織布層上にキャストされた膜、例えば、米国ニューヨーク州のPall Corporation社製のVersapor(登録商標)膜)又はポリフッ化ビニリデン膜(例えば、米国マサチューセッツ州のMillipore Sigma社製の Durapore(登録商標)膜)又は当該技術分野で知られているその他の微孔膜材料が含まれる。
【0077】
支持層は、ポリオレフィン、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸又はそれらの任意の組み合わせなどのフィブリル化可能なポリマーから調製されたフィブリル化ポリマー膜であることができる。支持層として使用するのに適したフィブリル化可能なポリマーの具体例としては、限定するわけではないが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(Sbrigliaの米国特許第10,577,468号明細書)、ポリ乳酸(PLLA、Sbrigliaの米国特許第9,732,184号明細書)、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレン又はトリフルオロエチレンとのコポリマー(例えば、VDF-コ-(TFE又はTrFE)ポリマー、Sbrigliaの米国特許第10,266,670号明細書)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)(ETFE、Sbrigliaの米国特許第9,932,429号明細書)、ポリパラキシルキシレン(PPX、Sbrigliaの米国特許出願公開第2016-0032069号明細書)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Goreの米国特許第3,315,020号明細書、Goreの同第3,953,566号明細書及びBailleの同第7,083,225号明細書)が挙げられる。
【0078】
支持層の材料は、使用中のエンクロージャ内で遭遇する温度及び条件、又は例えば乾燥剤を再生するために必要な高温に耐えるように選ばれることができる。
【0079】
内側バリアは、一方向又は直交する二方向に弾性的に伸長可能である。したがって、第一の位置と第二の位置との間の移動は、内側バリアを弾性的に伸長及び収縮させることによって影響を受けることができる。
【0080】
支持層は、一方向又は直交する二方向に弾性的に伸長可能であり、弾性布又は弾性膜を含むことができる。
【0081】
弾性的に伸長可能な多孔質膜は、膨張したポリマー膜を形成し、その後、熱処理又は溶媒処理によって膜を収縮させることによって製造することができる。
【0082】
熱又は溶媒収縮はある割合とすることができ、大部分又は実質的にすべてのフィブリルが蛇行状又はより蛇行した形状(すなわち、2つ以上の異なる方向に曲率を有する)になり、それによって膜に弾性的に伸長可能な特性がもたらされる。このような膜及びその製造方法は、例えば、W. L. Gore & Associates, Inc. の US 2013/0183515 及び US 2014/0172066 に開示されており、それぞれその全体が本明細書に組み込まれる。膨張多孔質ポリマー膜は、圧縮され又は機械的に緻密化されて、弾性的に伸長可能な特性を付与することもできる。W. L. Gore & Associates, Inc.の米国特許第5,026,513号明細書は、迅速に回復可能なPTFEの製造方法を開示しており、その内容全体が本明細書に組み込まれる。多孔質PTFE材料のミクロ構造は、フィブリルによって相互接続されたノードから構成され、実質的にすべてのフィブリルは、曲がった又は波状の外観を有する。PTFE は、最初に伸張によって膨張され、次にフィブリルの方向に手動で圧縮され、その後、圧縮された状態で拘束され、加熱される。当業者であれば、これらの方法が、限定するわけではないが、ポリエチレン膜などの他の膨張ポリマー膜にも適用できることを理解するであろう。W. L. Gore & Associates, Inc. のEP3061598は、弾性的に膨張可能な多孔質膜を製造する別の方法を開示しており、その内容全体が本明細書に組み込まれる。弾性基材を所望の形状 (ドーム型など) に膨張させ、膨張した多孔質ポリマー膜をそれに剥離可能にラミネート化する。基材を収縮させ、それによって多孔質ポリマー膜のミクロ構造を再構築する。
【0083】
空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層は、シリコーン材料、ポリウレタン材料、ペルフルオロスルホン酸イオノマーなどのイオノマー材料、ポリ塩化ビニルなどのポリビニル材料、ナイロンなどのポリアミド材料、又はスルホン化ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)などのポリスチレン又はスチレンコポリマー材料などの空気不透過性で水蒸気透過性の材料を含むことができる。
【0084】
空気不透過性で水蒸気透過性の水分輸送層は、シリコーン材料、ポリウレタン材料、イオノマー材料又はポリビニル材料から選ばれる空気不透過性で水蒸気透過性の材料を含むことができる。空気不透過性で水蒸気透過性の水分輸送層は、シリコーン材料又はポリウレタン材料から選ばれる空気不透過性で水蒸気透過性の材料を含むことができる。
【0085】
水分輸送層は、支持層及び空気不透過性で水蒸気透過性の材料を含むことができる。
【0086】
空気不透過性で水蒸気透過性の材料は、支持層にラミネート化された層として提供されうる。代替的又は追加的に、空気不透過性で水蒸気透過性の材料は、支持層に少なくとも部分的に浸透することができる。
【0087】
例えば、支持層は多孔質(例えば、布帛、又は電界紡糸又は膨張ポリマー膜)であることができ、空気不透過性で水蒸気透過性の材料は支持層の少なくとも一部の孔内に存在してもよい。多孔質支持層は、空気不透過性で水蒸気透過性の材料が吸収されてもよい(例えば、その懸濁液又は溶液を支持層に塗布し、硬化又は乾燥することができる)。空気不透過性で水蒸気透過性の材料の層は、多孔質支持層とともに圧縮され(場合により高温で)、空気不透過性で水蒸気透過性の材料の少なくとも一部が支持層の孔内に流れ込むようにすることができる。
【0088】
本明細書では、水分輸送層を空気不透過性かつ水蒸気透過性にするために、細孔に空気不透過性で水蒸気透過性の材料を吸収又はさもなければ充填した多孔質支持層について言及しているが、空気不透過性で水蒸気透過性の材料の非存在下で多孔性をもたらす支持層の基礎構造又はミクロ構造は実質的に変化せず、そのため水分子は空気不透過性で水蒸気透過性の材料を介して水分輸送層を通して拡散又は透過することができることが理解されるであろう。
【0089】
外側バリアは、ハウジングに接続されていてもよく(例えば、接着剤、1 つ以上の固定具、溶接などにより)、又はハウジングと一体的に形成されていてもよい。
【0090】
外側バリアは、蒸気ポートの上に又は横切ってブリッジを含むことができ、ここで、1つ以上の流路は外側バリアの周囲(例えば、外側バリアとハウジングの間)及び/又は外側バリアを通して画定されている。外側バリアは、金属板などのプレートを含むことができる。「プレート」とは、連続又は概ね連続した表面を提供する外側バリアの、典型的に剛性又は実質的に剛性である部分を指す。プレートの概ね連続した表面は、第二の位置で、内側バリア又はその水分輸送層との対応する連続した又は概ね連続した接触領域を提供する。使用中に外側バリアが高温になると、水分輸送層への熱の流れが最適化される。その結果、デバイスの機能を阻害するか又は妨げる可能性がある結露が水分輸送層の内面に生じるリスクが軽減される。
【0091】
プレートは概ね平坦であることができる。プレートには、内側バリアが第二の位置にあるときに、水分輸送バリアの形状又は構成を相補するプロファイルが設けられてもよい。例えば、内側バリア又はその水分輸送層は、第二の位置に移動すると「ドーム型」の形状をとることができる(例えば、内側バリアが弾性的に伸長可能である)。したがって、プレートには、内側バリアとの接触を改善するために、対応するドーム型又は切頂ドーム型の内面が設けられてもよい。
【0092】
プレートは、第二のポートよりも小さい領域にあり、接続部分によって第二のポートを横切って接続され、それによって、プレートの周囲及び接続部分の間に1つ以上の流路が画定される。プレートは、ハウジングからオフセットされ、接続部分によってハウジングに接続されることができる。
【0093】
外側バリアには、1つ以上のアパチャ、又はアパチャの配列が設けられてもよい。使用時に、本明細書に開示されているように、アパチャは、内側バリアの対応する不透過性部分に隣接して配置され、それによって、使用時に、内側バリアが第二の位置にあるときに、不透過性部分は1つ以上のアパチャを閉塞することができる。
【0094】
外側バリアは、金属メッシュ又は格子などのメッシュ又は格子の形態であることができる。格子は、概して剛性であっても又はある程度可撓性であってもよい。
【0095】
第二のポートには、チェック弁が含まれることができる。
【0096】
第二のポートには、外側バリアと内側バリアの間に配置されたチェック弁部材が含まれることができる。
【0097】
チェック弁部材は、内側バリアが第二の位置にあるときに、エンクロージャと水分輸送層の外面との間の流体連通を遮断又は制限し、内側バリアが第一の位置にあるときに、エンクロージャと水分輸送層の外面との間の流体連通を提供するように動作可能である。
【0098】
外側バリアは、チェック弁の一部を形成することができる。本明細書に開示されているように、外側バリアは、それを通して1つ以上のアパチャを含むか、又は1つ以上の空間又は隙間が外側バリアの部分の周囲に延在することができる。チェック弁部材は、前記アパチャ又は隙間を閉塞し、そして前記アパチャ又は隙間から離間するように動作可能であることができる。
【0099】
チェック弁部材は、第二のポート又はハウジングに動作的に結合され、例えば、アクティブにヒンジで固定され、内側バリアと外側バリアの間に配置されうる。したがって、チェック弁部材は、内側バリアが第二の位置に移動すると、外側バリアに押し付けられて外側バリアを通るアパチャ又は外側バリアの周囲の隙間を閉塞することができ、内側バリアが第一の位置に移動すると、外側バリアから離れるように偏向されて水分輸送バリアの外面への流路を開くことができる。
【0100】
チェック弁部材は、内側バリア、例えばその外面の1つ以上の領域に結合されることができ、内側バリアが第二の位置に移動すると外側バリアに押し付けられて外側バリアを通るアパチャ又は外側バリアの周囲の隙間を閉塞し、内側バリアが第一の位置に移動すると外側バリアから離れて水分輸送バリアの外面への流路を開くように移動するように動作可能であることができる。
【0101】
チェック弁部材は、熱機械アクチュエータを介してハウジング又は第二のポートに動作的に結合されうる。熱機械アクチュエータは、例えばニッケルチタン合金から形成された1つ以上の構成要素などの形状記憶材料を含み、デバイスが加熱されると収縮、曲がり又は伸長してチェック弁を閉じるように構成されうる。
【0102】
チェック弁部材は、電気機械的に作動されうる。例えば、デバイスは、チェック弁を開閉するように動作可能なモータを含むことができる。チェック弁部材は磁気的に作動し、チェック弁の領域に電流が課されると開閉するように動作可能である。例えば、使用時に外側バリアに電流が課され、再生イベント中にチェック弁部材を磁気的に引き寄せ、チェック弁を閉じることができる。
【0103】
チェック弁部材は、例えばフラッパー弁として動作可能である。チェック弁部材は、本明細書に開示されているように、熱伝導性材料から形成されることができる。
【0104】
チェック弁はポペット弁として構成されうる。
【0105】
第一のポートは、第一のポートを介したチャンバへの水蒸気の質量輸送速度を、第二のポートを介したチャンバへの水蒸気の質量輸送速度未満に制限するように構成されうる。
【0106】
使用時に、水蒸気は拡散によって第一のポートを介してチャンバに入り、第一のポートは、例えば第一のポートに沿った又は第一のポートを通る経路の第一の領域のサイズを選択することによって拡散速度を制限するように構成されうる。第一のポートを通る流路の長さはまた、幾つかの実施形態では、拡散による水蒸気のチャンバへの質量輸送を制限又は低減するように選択されうる。
【0107】
第一のポートは、ハウジング及び/又はエンクロージャの壁を通る単純な開口部の形をとることができる。第一のポートは、出口チャネルを画定するか、又は出口チャネルまで延在することができる。出口チャネルは、回旋状の経路を含むことができる。出口チャネルに沿った制限された又は長尺の流路、及び/又は回旋状の経路は、コンパクトなデバイス構成を維持しながら、チャンバへの拡散をさらに低減することができる。
【0108】
幾つかの実施形態において、回旋状の出口チャネルは分離層によって画定されうる。分離層は、その一方の面にエンボス加工された開放チャネルを含むことができ、分離層はチャンバの内壁に対して配置され、出口チャネルは開放チャネルと内壁によって画定される。分離層は、開放チャネルの端部にチャンバへのアパチャを含むことができ、ハウジング又はエンクロージャの壁は、開放チャネルのもう一方の端部と位置合わせするアパチャを含むことができる。幾つかの実施形態において、エンボス加工された開放チャネルがハウジングの外面上に設けられ、ハウジングがエンクロージャに固定されたときにハウジングとエンクロージャとの間に閉じた出口チャネルが画定される。
【0109】
出口チャネルは、湾曲又は回旋状の拡散チューブを含むことができる。
【0110】
第一のポート又は出口チャネルは、出口キャビティまで延在することができ、又は直列に流体接続された複数の出口キャビティまで延在することができる。出口キャビティ又は各出口キャビティは、第一のポート又は出口チャネルよりも大きな流れ領域を有することができる。1つ以上の出口キャビティは、第一のポートを介したチャンバへの流れ又は拡散をさらに低減することができる。
【0111】
第一のポート、出口チャネル及び前記出口キャビティのうちの1つ以上は、ベントカバーを含むことができる。ベントカバーは、第二のポート又は出口チャネルの上又はそれを横切って設けられることができる。出口キャビティは、ベントカバーを含むことができる。出口キャビティは、出口キャビティの開口端又はアパチャの上にベントカバーを含むことができる。
【0112】
ベントカバーは、汚染物質、水などの侵入を低減するために存在することができる。ベントカバーは、拡散を制限し、したがって第一のポートを介したチャンバへの水蒸気の質量輸送速度を制限するように機能しうる。ベントカバーは、ガス透過性(かかるガスは水蒸気を含む)かつ水不透過性であることができる。ベントカバーは、フィルム又は膜を含むことができる。ベントカバーは、本明細書に開示されている支持層と同じ膜材料のフィルムを含むことができる。ベントカバーは、膨張ポリエチレン膜又は延伸ポリテトラフルオロエチレン膜(又はその他の膨張フルオロポリマー)などの膨張ポリマー膜を含むことができる。
【0113】
ベントカバーは、1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含むことができる。ベントカバー低透過性もしくは不透過性領域又は各ベントカバー低透過性もしくは不透過性領域は、第一のポート、出口チャネル又はベントキャビティの対応する出口アパチャに接触するように配置され、これにより、前記アパチャを通る流路を閉塞することができる。ベントカバーは、チャンバからのガス流の作用(チャンバと外部環境との間の圧力差によって生じる)によって変位可能であり、低透過性又は不透過性領域を各アパチャから遠ざけるように移動させることができる。
【0114】
ベントカバーは、例えば、支持層に関して本明細書に開示されているように弾性的に伸長可能であることができ、これにより、ベントカバーは、前記低透過性もしくは前記不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域の各々がそれぞれのアパチャを閉塞する位置に偏向される。
【0115】
デバイスは、複数のベントカバーを含むことができる。例えば、ベントカバーは、第一のポート、及び、場合により出口チャネル及び1つ以上の任意選択的な出口キャビティによって画定される流路の複数の部分にわたって延在することができる。
【0116】
第一のポートは、デバイスの加熱中に開くように動作可能なチェック弁を含むことができる。第一のポートのチェック弁は、例えば熱機械アクチュエータを介して第一のポート又はハウジングに動作可能に結合されたチェック弁部材を含むことができる。
【0117】
第一のポートはまた、乾燥剤の再生中にチャンバ内の圧力を上昇させるために、第一のポートを通る流れを制限するように構成されうる。第一のポートは、第一のポートを通る流れを制限し、チャンバ内の圧力の上昇を促進するように選択されたフロー領域を備えることができる。第一のポートは、第一のポートを通る流れを制限し、チャンバ内の圧力の上昇を促進するように構成された流れ制限部を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、ベントカバーは第一のポートを通る流れを制限する。
【0118】
デバイスは、複数の第一のポート又は出口チャネルを含むことができる。デバイスは、複数の第二のポートを含むことができる。
【0119】
デバイスは、第一のポート及び/又は第二のポートのそれぞれ以外に、チャンバとチャンバの外部の環境との間にポート又は開口部を備えなくてよい。特に、使用中、デバイスは、チャンバとエンクロージャの内部との間にポート又は開口部、又はいかなる他の流体連通手段も備えなくてよい。
【0120】
ハウジングは、エンクロージャの特定のサイズ、水分輸送速度などに適した任意のサイズ又は構成を有することができる。しかしながら、ハウジングによって画定されるチャンバは、好ましくは、エンクロージャと比較して小さく、例えば、エンクロージャの体積の10-2未満、10-3未満、又は10-4未満の体積を有する。
【0121】
ハウジングの一部は、エンクロージャの壁を含むか、又はエンクロージャの壁から形成されうる。
【0122】
ハウジングは、エンクロージャに結合されるか、又はエンクロージャに結合されるように適合されることができる。ハウジングは、エンクロージャの内部に結合されるか、又はエンクロージャの内部に結合されるように適合されることができる。エンクロージャには壁ポート又はアパチャが設けられることができ、使用時に、ハウジングは、出口導管を壁ポート又はアパチャに隣接して位置するように配置されうる。ハウジングは、エンクロージャの壁のアパチャ内に又はアパチャを通して結合されるか、又は結合されるように適合されることもできる。
【0123】
例えば、使用時に、ハウジングは、接着剤又は1つ以上の固定具によってエンクロージャに結合されうる。ハウジングは、エンクロージャにねじ込み結合されうる。エンクロージャのアパチャ又はポートは、例えば、雌ねじになっていてよく、ハウジングの部分は雄ねじになっていてよい。代替実施形態において、ハウジングとエンクロージャの壁を通るアパチャとの間には、締りばめが存在してよい。
【0124】
ハウジングは、例えば、O リング(ハウジングとエンクロージャの壁の間で圧縮されて保持されてもよい)によってエンクロージャと密封されても、又は、接着剤又はシーラントが使用されてもよい。
【0125】
ハウジングは、任意の適切な形状であってよい。幾つかの実施形態において、ハウジングは、断面が概ね円形である。
【0126】
ハウジングは、任意の適切な1つ以上の材料から形成されうる。有利には、ハウジング材料は、チャンバの内壁を効果的に加熱できるように選択される。
【0127】
ハウジングは、金属(アルミニウム、鋼など)などの熱伝導性材料を含むか、又は前記材料から形成されうる。ハウジングは、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエーテルイミド(PEI)などの、乾燥剤を再生するために必要な温度(例えば、約150℃以上)で使用できる熱伝導性プラスチック材料を含むか、又は前記材料から形成されうる。ハウジングは、マトリックス(熱硬化性又は熱可塑性マトリックスなど)内に補強材又は充填材を含む複合材料を含むか、又は前記材料から形成されることができ、ここで、補強材又は充填材は熱伝導性を高めるように選択される。例えば、ガラス繊維もしくは粉末又は金属粉末、メッシュ又は布帛は熱伝導性を高めることができる。金属化ポリマー(金属コーティング又は塗料を施したポリマー)などの熱伝導性コーティングも使用されうる。
【0128】
ハウジングは、1つ以上の導電性材料を含むか、又は1つ以上の導電性材料から形成されうる。1つ以上の導電性材料は、抵抗(オーム)加熱又は誘導加熱を受けやすいものでよい。例えば、金属製ハウジング、又は金属メッシュ、充填材又は布帛複合材を含むハウジングは、抵抗加熱又は誘導加熱されうる。
【0129】
ハウジングは断熱されうる。ハウジングとエンクロージャの間に断熱性外部ハウジングが設けられてよい。
【0130】
熱源は、断熱性外側ハウジング内に配置されうる。
【0131】
本発明のさらなる態様によれば、エンクロージャから水分を除去する方法が提供され、この方法は、
第一の期間中に、
空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を介してエンクロージャからチャンバに水蒸気を輸送すること、
前記チャンバ内の乾燥剤材料に水蒸気の少なくとも一部を吸着させること、及び、
第二の期間中に、
熱を加えて、前記乾燥剤材料の温度を上昇させ、吸着水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させること、
前記チャンバの内壁及び前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を低減し又は無くすこと、及び、
前記チャンバから前記エンクロージャの外部の環境に水蒸気の少なくとも一部を通過させること、
を含む。
【0132】
第一の期間は第二の期間より長くすることができる。
【0133】
第二の期間は、例えば約10秒間~60分間であるのに対し、第一の期間は約1時間~7日間であることができる。
【0134】
第二の期間は、約10秒間~30分間、約10秒間~10分間、約1~10分間、約4~10分間、約5~7分間、又は約6分間であることができる。
【0135】
第一の期間は、第二の期間の長さの少なくとも約10倍、50倍、100倍、又は200倍であることができる。第一の期間は、第二の期間の長さの少なくとも約300倍、400倍、又は500倍であることができる。第一の期間は、第二の期間の長さの約100倍~600倍、又は約200倍~500倍、又は300倍~500倍であるであることができる。例えば、第二の期間は数分程度(例えば、1~10分、2~8分、約2~5分、又は約3分)であることができ、第一の期間は数時間程度(例えば、10~30時間、又は20~30時間)であることができる。幾つかの実施形態において、例えば、第二の期間は1日に1回、約1~10分、又は2~8分、又は約2~5分、又は約3分行われる。
【0136】
第一の期間は、乾燥剤材料が水を吸着する吸着期間であると考えることができる。第二の期間は、再生期間又は再生イベントを含むと考えることができ、ここで、第二の期間の少なくとも一部の間に、乾燥剤材料から水が脱着され、乾燥剤材料が少なくとも部分的に再生される。
【0137】
この方法は、第一のポートを介してチャンバからエンクロージャの外部の環境に水蒸気を通過させることを含むことができる。この方法は、第二のポートを介してエンクロージャからチャンバに水蒸気を輸送することを含むことができ、水分輸送層は第二のポートを横切って配置されている。
【0138】
この方法は、第二のバリアから、第二のバリアに取り付けられ、水分輸送層を含む第一のバリアに熱を流すことによって、水分輸送層の温度を上昇させることを含むことができる。
【0139】
この方法は、第二の期間中に、水分輸送層を含む内側バリアを外側バリアと接触するように移動させることによって、水分輸送層の温度を上昇させることを含むことができ、ここで、外側バリア、又は内側バリアと接触する外側バリアの少なくとも内面は、内側バリアよりも高温である。この方法は、第二の期間中に、水分輸送層を外側バリアと接触するように移動させることによって、水分輸送層の温度を上昇させることを含むことができる。
【0140】
熱を加える工程によって、外側バリアの温度が上昇することができる。
【0141】
この方法は、内側バリアが外側バリアから離間している第一の位置から、内側バリアの外面の少なくとも一部が外側バリアに接触している第二の位置まで、内側バリアを移動させることを含むことができる。
【0142】
この方法は、水分輸送層が外側バリアから離間している第一の位置から、水分輸送層の外面の少なくとも一部が外側バリアに接触している第二の位置まで、水分輸送層を移動させることを含むことができる。内側バリアを移動させることにより、水分輸送層が移動することが理解されるであろう。
【0143】
この方法は、チャンバ内の圧力を上昇させることにより、内側バリアを移動させることを含むことができる。熱を加える工程により、チャンバ内の圧力を上昇させることができる。
【0144】
この方法は、第一の位置から第二の位置に移動するときに、内側バリア及び/又は水分輸送層を弾性的に伸長させることを含むことができる。
【0145】
内側バリアは、1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含むことができ、方法は、内側バリアが第二の位置にあるときに、低透過性又は不透過性領域を使用して、外側バリアの周囲の又は外側バリアを通る、エンクロージャから水分輸送層への1つ以上の流路を遮断又は制限することを含むことができる。
【0146】
この方法は、内側バリアを第一の位置から第二の位置に移動させることにより、チェック弁部材を移動させて外側バリアの周囲又は外側バリアを通る1つ以上の流路を遮断又は制限すること、及び/又はチェック弁部材を内側バリアから離されるように移動させて、外側バリアの周囲又は外側バリアを通る1つ以上の流路を開くことを含むことができる。
【0147】
この方法は、乾燥剤材料、チャンバの内壁、及び、幾つかの実施形態では、外側バリアを冷却すること、又は放冷することを含むことができる。冷却又は放冷は、第一の期間の少なくとも一部の間に行われることができる。この方法は、複数の第一の期間及び第二の期間を含むことができる。方法は、加熱及び冷却又は放冷の複数サイクルで実行することができる。
【0148】
チャンバはハウジングによって画定され、方法は、ハウジングに隣接するか又はハウジング内に組み込まれた熱源を使用して熱を加えることを含むことができる。
【0149】
この方法は、エンクロージャ内の熱源を使用して熱を加えることを含むことができる。
【0150】
この方法は、チャンバ内の熱源を使用して熱を加えることを含むことができる。
【0151】
熱源は、乾燥剤材料に直接熱を加えるために使用することができる。例えば、熱は、乾燥剤材料に隣接するヒータ、乾燥剤材料に対するヒータ、乾燥剤材料の周囲にあるヒータ、乾燥剤材料内に埋め込まれたヒータを介して加えることができる。
【0152】
この方法は、第二の期間中に乾燥剤材料の温度を100℃を超え、120℃を超え、140℃を超え、又は150℃を超える温度に上げることを含むことができる。
【0153】
この方法は、乾燥剤材料が100℃を超え、120℃を超え、140℃を超え、又は150℃を超える温度に上昇されるときに、第二の期間(すなわち、再生イベント中)中に、チャンバの内壁、又は前記ハウジングもしくはエンクロージャによって画定されるチャンバの内壁の温度を50℃を超え、70℃を超え、90℃を超え、又は100℃を超える温度に上昇させることを含むことができる。
【0154】
この方法は、第二の期間中に、チャンバの内壁の温度をチャンバ内の露点より高い温度に上昇させることを含むことができる。この方法は、チャンバ内の内部の温度をチャンバ内の最大期待露点より高い温度に上昇させることを含むことができる。
【0155】
この方法は、第二の期間中に、前記固定バリアの温度を50℃を超え、70℃を超え、90℃を超え、又は100℃を超える温度に上昇させることを含むことができる。
【0156】
温度を上昇させる工程又は各工程は、場合に応じて、内壁、外側バリア又は乾燥剤材料を放射、伝導、誘導又は対流により加熱することを含むことができる。
【0157】
この方法は、ハウジング又はその電気伝導部分に電流を課してハウジングの温度を上昇させることを含むことができる。
【0158】
この方法は、抵抗ヒータ又は誘導ヒータなどの熱源に電流を課すことを含むことができる。
【0159】
この方法は、チャンバ内の圧力を上昇させることを含むことができる。圧力は、熱を加える工程によって増加させることができる。
【0160】
この方法は、第二の期間中に、チャンバからエンクロージャの外部へ水蒸気を流すことを含むことができる。チャンバからの水蒸気の流れは、チャンバ内の圧力の増加(例えば、チャンバ内の水蒸気及び/又は空気の膨張による)によって引き起こされるか、又は増加されうる。したがって、熱を加える工程は、さらに、チャンバ内の圧力を増加して、第一のポート導管を介してチャンバからエンクロージャの外部の環境に水蒸気を流す、及び/又はチャンバ内の圧力を増加させて、可撓性バリアを第一の位置から第二の位置に移動させることを含むことができる。
【0161】
この方法は、拡散によってチャンバから外部の環境に水蒸気を通過させることを含むことができる。この方法は、熱を加えることによってそのような拡散を引き起こす又は増加させることを含むことができる。拡散は、水蒸気の量を増やすことによって(つまり、乾燥剤材料からの脱着によって)、及び/又はチャンバ内の水蒸気及び空気の熱エネルギーを増やすことによって増加させることができる。
【0162】
この方法は、本明細書に開示される態様又は実施形態のいずれかのエンクロージャ又はデバイスの使用を含むことができる。
【0163】
本発明の各態様のさらなる特徴は本発明の他の態様のさらなる特徴に対応する。例えば、本明細書に開示されるエンクロージャ又はデバイスの特徴及びその動作又は使用に関する説明は、本明細書に開示される方法のさらなる特徴に対応する。逆に、エンクロージャ及びデバイスは、本明細書に開示される方法の工程によって必要とされる任意の特徴を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0164】
図面の説明
ここで、限定されない例示的な実施形態を以下の図を参照して説明する。
【0165】
【
図1】
図1(a)及び1(b)は、エンクロージャから水分を除去するためのデバイスの分解斜視図を示す。
図1(c)は、組み立てられたデバイスの斜視図を示す。
図1(d)は、
図1(a)の領域Aの代替実施形態を示す。
【0166】
【
図2】
図2は、エンクロージャから水分を除去するための代替デバイスの概略断面図を示している。
【
図3】
図3は、エンクロージャから水分を除去するための代替デバイスの概略断面図を示している。
【
図4】
図4は、エンクロージャから水分を除去するための代替デバイスの概略断面図を示している。
【
図5】
図5は、エンクロージャから水分を除去するための代替デバイスの概略断面図を示している。
【0167】
【
図6】
図6は、
図5のデバイスの分離層の平面図を示している。
【
図7】
図7は、エンクロージャから水分を除去するための代替デバイスの概略断面図を示している。
【0168】
【
図8】
図8は、ベントキャビティ内の乾燥剤材料の脱着データを示している。
【0169】
【
図9】
図9(a)~(d)は、試験デバイス及びエンクロージャの画像を示し、
図9(e)は、(
図9(c)及び(d)の)エンクロージャA及びBから取得した露点対時間データ、及び、実験室の基準露点対時間データを示している。
【0170】
【
図10】
図10は、固定バリアを含む及び固定バリアを含まない試験デバイスについて、湿度制御されたエンクロージャからの水分除去データを示している。
【0171】
【
図11】
図11は、様々な環境条件下での空気不透過性フィルムの水蒸気移動速度(MVTR)、及び、シミュレートされた吸着及び脱着条件下でのMVTRの比を示している。
【0172】
【
図12】
図12(a)及び12(b)は、エンクロージャから水分を除去するためのさらに別のデバイスの分解図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0173】
実施形態例の詳細な説明
図1(a)~(c)は、エンクロージャから水分を除去するためのデバイス1を示している。このデバイスは、チャンバ12を画定するハウジング10を含む。ハウジング10の一部には、ハウジング10を貫通してチャンバ12からハウジングの外部(及び使用時には外部環境)まで延在するアパチャの形で、第一のポート17が設けられている。ハウジングの別の部分において、チャンバ12の開放面は第二のポート20を画定する。第二のポート20は、内側バリア30及び外側バリア40を含む。示されている実施形態において、内側バリア30は可撓性であり、外側バリア40は固定されている。乾燥剤材料のブロック50はチャンバ内に配置されている。乾燥剤材料ブロック50は、チャンバ12内に収まるサイズになっており、チャンバの壁14に接触して取り付けられている。乾燥剤材料50は、チャンバ12を実質的に満たし、チャンバの周壁16と同じ高さか、又はそれより1~2mm低い高さになっている。
【0174】
外側バリア40は、中央プレート42と、外側バリアをハウジングに固定する接続部分44を含む。示されている実施形態において、接続部分44から延在しているタブ46の内側45の間に摩擦嵌めが使用されているが、他の実施形態において、外側バリアは、例えば溶接又は固定具によって固定できる。
図1(c)の組み立てられたデバイスの斜視図において、任意選択的な断熱カバー43は外側バリア40の上にクリップ留めされているのが示されている。
【0175】
図1(d)に示されるように、デバイス1は、場合により、内側バリア30と外側バリア40の間に配置された環状リングの形の不透過性ポリマー層36をさらに含むことができる。層36は、幾つかの実施形態では内側バリアにラミネート化され、内側バリアとともに第一の位置と第二の位置の間で移動することができる。あるいは、層36は内側バリアから分離されていてもよく、そのため、内側バリア30が第一の位置にあるときは内側バリアからわずかに離れ、内側バリアが第二の位置にあるときは内側バリア30と外側バリア40の間に押し付けられて挟まれる。
【0176】
プレート42の内面48は、以下でさらに説明するように、切頂ドーム形状が設けられている。プレートの内面もハウジング10から離間しており(この実施形態では、接続部分44の突起47によって示されている)、外側バリア40とハウジング10の間に円周方向のスロット60が設けられている。
【0177】
ハウジングは、フランジ(図では明確にするため省略)を介してエンクロージャのアパチャを通して取り付けられるようになっており、第二のポート20はエンクロージャ内に向けられている。使用時に、第二のポート20はエンクロージャ(図示せず)とチャンバ12の間に配置されている。内側バリア30の外側32はエンクロージャと連通している。内側バリア30の内側34はチャンバ12と連通している。スロット60は、エンクロージャと内側バリア30の間にある外側バリア40のプレート42の周囲に流路を提供する。
【0178】
この関係での「内側」及び「外側」という用語は、チャンバに対して使用されている。
【0179】
可撓性内側バリア30は、水蒸気透過性シリコーンを吸収した半透過性 ePTFE膜から形成された、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層からなる。内側バリア30は、蒸気ポート20の周囲で、接着剤によってハウジング10の外面21に固定されている。これにより、水分輸送層は、第二のポート20のフロー領域全体を横切って延在し、その周囲を密閉する。
【0180】
水分輸送層のePTFE膜は弾性があり、その弾性は、熱収縮又は溶媒収縮、又は本明細書で開示されている制御された圧縮によって提供される。内側バリア30は、チャンバ12内の流体圧力の作用により移動可能であり、外面32を外側バリア40の内面48に接触させる。弾性的に伸長可能な内側バリア30はドーム状の形状を形成し、外側バリア40の内面48のドーム状のプロファイルは、使用時にそれらの間の接触表面積を増加させる(例えば、平坦な表面48と比較して)。
【0181】
チャンバ12とエンクロージャとの間に圧力差がない場合に、内側バリア30は比較的に平坦であり、内面34はハウジング10の外面21とほぼ水平であり、したがって乾燥剤材料50ともほぼ水平である。
【0182】
示される実施形態において、内側バリア30は水分輸送層からなるが、代替実施形態では、水分輸送層は、構造サポート、又は1つ以上の低透過性又は不透過性領域などの追加の構成要素を含む内側バリアに固定され、その一部を形成する。その例については、以下でさらに詳しく説明する。
【0183】
デバイス1は、熱源70をさらに含む。熱源は、抵抗性PTC加熱素子74及びハウジング10の介在部分を介して接続された電気接続72を含む。加熱素子74は、ハウジング10の凹部76に取り付けられ、それと熱接触している。電気接続間に電圧が印加されると、電流がPTC加熱素子74及びハウジング10を流れ、デバイス1を抵抗加熱する。温度が上昇すると、PTC素子の抵抗率が上昇して電流の流れを制限し、それによって温度が所望の最高温度である約155℃に調整される。
【0184】
乾燥剤材料50は、第一のポート17への流路が常に存在するように、ノッチ52が設けられた成形形状になっている。ポート17の反対端の開口部(図では見えない)には、ベントカバー18が取り付けられており、図示の実施形態ではePTFE材料のベントカバー18が取り付けられている。
【0185】
ハウジング10及び外側バリア40はアルミニウム構造であり、熱源70からデバイス1の他の部分への効果的な熱流を促進する。本明細書で開示されているように、他の材料を使用することができる。
【0186】
デバイス1は、断熱プラスチック又はフォーム材料から形成された、任意選択的な断熱性外側ハウジング80をさらに含み、使用中に熱源70からハウジング、外側バリア、内側バリア及び乾燥剤材料に熱を導くのを支援する。外側ハウジング80は、ハウジング10の周囲にぴったりとフィットするが、外側バリア40及び内側バリア30(使用中にエンクロージャと流体連通している)を露出したままにするように形成される。断熱性外側ハウジング80は、内面からハウジングを通して、第一のポート17に隣接して、より大きな直径の開口部82を有する。開口部82は、ハウジング10の*とともに、ベントカバー18を介して第一のポート17と連通する出口キャビティを画定する。キャビティ内で凝縮した水分は、ベントカバー18によってチャンバ12に入るのを防止される。ハウジングは、場合により、それを通るさらなる開口部84を含み、前記開口部は使用時にエンクロージャへの通路として機能し、幾つかの用途ではエンクロージャ内の圧力を調整する。開口部84は、開口部84を横切るさらなる外側ベントカバー86を有する。ベントカバー86は、外部環境からの水又は粒子の侵入を防ぐ。
【0187】
使用時に、デバイス1は、乗物LIDARシステム用のエンクロージャなどのエンクロージャの壁を通して固定される。第一の期間中、エンクロージャ内の水蒸気は、水分輸送層(内側バリア30)を通過し、ePTFE支持層の細孔内に存在する空気不透過性水蒸気透過性シリコーン材料を透過する。チャンバ12に入る水蒸気は乾燥剤材料50によって吸着される。第一の期間は任意の適切な期間とすることができ、例えば、チャンバ 12内とエンクロージャ内の湿度が平衡になる長さとすることができる。本明細書で開示されているいずれかの態様又は実施形態に関連して、第一の期間は、代わりに、例えば、第一の期間中の乾燥剤材料の全体的な吸着速度が高くなるように選択される、より短い期間とすることができる。
【0188】
第二の期間中に、電気コネクタ72と加熱要素74に電流を流すことによって、デバイスに熱が加えられる。乾燥剤材料50の温度は、乾燥剤材料から水分を脱着するために、典型的に100℃を超え又は約150℃まで上昇される。アルミニウムハウジング10によって画定されたチャンバ12の内壁も温度が上昇し、脱着した水蒸気がそこに凝縮するのを防ぐ。
【0189】
第二の期間中に、チャンバ12内の圧力も上昇する。圧力が上昇すると、チャンバ12とエンクロージャの外部の環境との間に圧力差が生じ、脱着した水蒸気が第一のポート17を介してチャンバ12から流出するのを促進する。示される実施形態において、ベントカバー18は、第一のポート17を介したチャンバからの流出も制限し、第一のポート17の流れ領域を過度に制限することなく、チャンバ内の圧力上昇を促進させる。
【0190】
圧力が上昇すると、内側バリア30も、ハウジング10の外面21とほぼ水平になる第一の位置から、外側バリア40と接触する第二の位置に移動する。
【0191】
外側バリア40は、ハウジング10と熱的に良好に接触しており、アルミニウム構造である。したがって、加熱中に、固定バリアの温度も上昇する。したがって、内側バリア30が外側バリア40に接触すると、比較的に熱伝導性の低い内側バリアの温度が100℃を超えて上昇するか、又は100℃を超えて維持される。この温度上昇により、さもなければ第一のポート17から流れ出ることもできなくなり、内側バリア30の内壁34での結露(凝縮)が防止される。このような凝縮物はチャンバ内に残り、次いで、乾燥剤材料によって再吸収され、デバイスの機能を阻害する。
【0192】
内側バリア30は弾性変形し、そのため、ドーム型になる傾向がある。外側バリアの内面48は、切頂ドーム型であり、凹面領域は、内側バリア30と外側バリア40との間の接触面積を増加させる。
【0193】
このように内側バリア30が第二の位置で外側バリア40と接触すると、エンクロージャと連通する内側バリア40の表面積も減少し、その結果、乾燥剤再生期間中にチャンバ12からエンクロージャへの蒸気の透過速度が低下する。
【0194】
図1(d)に示す実施形態の内側バリア30の第二の位置において、不透過性層36は、周方向のスロット60を介して、エンクロージャと内側バリア30の外面32との間の流体連通をさらに減少又は遮断する。
【0195】
デバイス1は、規則的な間隔で、又はエンクロージャ内で水分が検出されたときのいずれかで、サイクルで使用することができる。さらなる期間中に、熱源70はスイッチオフにされ、デバイス1は放冷される。内側バリア30を通る通過が再び起こり、乾燥剤材料50がチャンバ内に入る水蒸気を吸着し、その後に、別の加熱及び乾燥剤再生イベントが開始される。
【0196】
図2~7及び12は、エンクロージャから水分を除去するためのデバイスのさらなる実施形態を示している。
【0197】
図2のデバイス100は、ハウジング110及びチャンバ112を有する。デバイス100は、エンクロージャ102の壁101にアパチャを通して取り付けられる。乾燥剤材料のブロック150は、チャンバ112内に配置される。電気ヒータ170はハウジング110に取り付けられている。第一のポート117は、チャンバ112からエンクロージャ102の外部の環境103まで延在する。エンクロージャは、任意選択的なベント通路104も設けられており、これは、エンクロージャ内の圧力を調節するなどの幾つかの用途で必要になることがある。第一のポート117及びベント通路104は、ベントカバー118によって覆われている。可撓性内側バリア130は、デバイス1を参照して上で説明したように、蒸気ポート(一般的に120として示される)のフロー領域を横切ってハウジング110に密封されている。デバイス110は、貫通孔又はアパチャ160が設けられた固定外側バリア140を含み、これにより、外側バリア140を通って内側バリア130の外面132に至る流路が提供される。
【0198】
図3は、エンクロージャ202から水分を除去するためのデバイス200のさらなる例を示している。デバイス200は、チャンバ212を画定するハウジング210を有する。デバイス200は、エンクロージャ202の壁201においてアパチャを通して取り付けられる。乾燥剤材料のブロック250はチャンバ212内に配置される。熱源(一般的に270と示される)の電気加熱要素272はハウジング210に取り付けられ、チャンバ212内に延在している。加熱要素272は乾燥剤材料ブロック250内に埋め込まれている。
【0199】
第一のポート217はチャンバ212からエンクロージャ202の外部の環境203まで延在しており、ベントカバー218を備えている。可撓性内側バリア230は、デバイス1を参照して上で説明したように、第二のポート(一般的に220と示される)のフロー領域を横切ってハウジング210に密封されている。デバイス200は、貫通孔又はアパチャ260が設けられた固定外側バリア240を含み、これにより、外側バリア240を通って内側バリア230の外面232に至る流路が提供される。
【0200】
内側バリア230は水分輸送層230を含み、その中央部分は低透過性ポリマー層236にラミネート化されている。他の実施形態において、箔を使用するか、又は、代わりに、空気不透過性で水透過性の材料の1つ以上の追加層を使用することができる。
図2に示す第一の位置において、内側バリア230は外側バリア240から離間している。乾燥剤材料250が加熱され、チャンバ212内の圧力が上昇すると(
図4に示す)、内側バリア230は、低透過性又は不透過性領域236が外側バリア240に接触し、アパチャ260を閉塞する第二の位置に移動している。これにより、外側バリア240を通って水分輸送層230の外面232に至る流路が閉じられるか、又は制限される。このようにして、第二の加熱及び乾燥剤再生期間中にチャンバ212からエンクロージャ202への蒸気の透過が低減される。
【0201】
図5は、エンクロージャ302から水分を除去するための別のデバイス300を示している。このデバイスは、前述のように、エンクロージャ壁301においてアパチャを通して取り付けられている。デバイス300は、チャンバ312を画定するハウジング310を有する。チャンバ312内には、乾燥剤材料のブロック350が配置されている。熱源の電気加熱要素372は、乾燥剤材料350に対して配置されている。図をわかりやすくするために、電気コネクタは省略されている。断熱層380は、外部環境303に面するデバイス300の外面全体を横切って配置されている。
【0202】
デバイス300は、分離層390とキャビティ312の内面312aとによって画定される回旋状出口チャネル317を含む。チャネル317の端部と位置合わせされたアパチャ317aは、ハウジング310及び断熱材380を通って外部環境303に設けられている。分離層390の平面図は
図6に示されており、チャネル317が分離層390の表面392にエンボス加工されているのが示されている。エンボス加工されたチャネル317の一端は、アパチャ317bから分離層を通って延在し、チャンバ312との連通を提供している。チャネル317の反対端は、アパチャ317aと位置合わせされている。
【0203】
デバイス300は、貫通孔又はアパチャ360が設けられた固定外側バリア340を含み、これにより、外側バリア340を通って内側バリア330の外面332に至る流路が提供される。
【0204】
図7は、エンクロージャ402から水分を除去するための別のデバイス400を示している。このデバイスは、前述のように、エンクロージャ壁401においてアパチャを介して取り付けられている。デバイス400は、チャンバ412を画定するハウジング410を有する。乾燥剤材料のブロック450はチャンバ412内に配置され、熱源の電気加熱要素472はそこに埋め込まれている。図をわかりやすくするために、電気コネクタは省略されている。デバイス400は、可撓性内側バリア430、及び、貫通孔又はアパチャ460が設けられた固定外側バリア440を含む。アパチャ460は、内側バリア430が第一の位置にあるときに、外側バリア440を通って内側バリア430の外面432に至る流路を提供し、前述のように、低透過性又は不透過性領域436はアパチャ460を閉塞する。
【0205】
デバイス400は、ハウジング410を貫通するアパチャによって画定される複数の第一のポート417を含む。ePTFEの弾性的に伸長可能なベントカバー418(本明細書で開示されている方法のいずれかによって形成される)には、低透過性又は不透過性領域419が設けられる。領域419は、チャンバ412が外部環境403の周囲圧力又はその付近にあり、ベントカバー418が弾性的に伸長していないときに、ハウジングにおいてポート417を覆うように配置される。これにより、外部環境403からチャンバ412への水蒸気の拡散が低減される。ベントカバー418は、チャンバ内の圧力が上昇すると (
図7に示すように、乾燥剤450が加熱され、可撓性バリアが第二の位置にある場合など)、ポート417から離れるように伸長可能であり、デバイスが加熱されている間にチャンバ412から水蒸気が流れ出ることを許容する。出口キャビティ482は、ハウジング410と断熱された穿孔層490との間に画定される。
【0206】
図12(a)及び12(b)は、エンクロージャから水分を除去するための別のデバイス500を示している。デバイス1と共通の特徴には、500ずつ増分した同様の参照番号が付与されている。
【0207】
デバイス500は、チャンバ512を画定するハウジング510を含む。ハウジング510の一部には、ハウジング510を通してチャンバ512からハウジングの外部(及び使用時には外部環境)まで延在するアパチャの形で、第一のポート517が設けられている。ハウジングの別の部分において、チャンバ512の開放面は第二のポート520を画定する。第二のポート520は、内側バリア530及び外側バリア540を含む。任意選択的な断熱性カバー543も提供されうる。
【0208】
内側バリア530は可撓性であり、外側バリア540は固定されている。乾燥剤材料のブロック550はチャンバ内に配置され、チャンバ512内にフィットしそしてチャンバ512を実質的に満たし、その壁514に接触して取り付けられるサイズになっている。
【0209】
外側バリア540は、中央プレート542及び接続部分544を含み、それによって外側バリアを断熱性外側ハウジング580に固定する。接続部分544は、外側ハウジングにおいてスロット581に係合して「スナップフィット」する突出タブ546の端部に内向き突起部545を有する。組み立てると、外側バリア540の内側環状表面547はハウジング510の環状外表面521に当接し、それらの間に内側バリア530を含み、ハウジング510は外側バリア540と外側ハウジング580の間に取り付けられる。
【0210】
ハウジング510は、フランジ588を介してエンクロージャにおいてアパチャを通して取り付けられるようになっており、第二のポート520はエンクロージャ内に配向されている。使用時に、第二のポート520はエンクロージャ(図示せず)とチャンバ512との間に配置されている。
【0211】
このデバイスは、前述のデバイス1のハウジングと外側バリアとの間に周方向のスロットを有しない。代わりに、外側バリア540は中央アパチャ560が設けられており、これにより、エンクロージャと内側バリア530との間で外側バリア540の中央プレート542を通る流路が提供される。
【0212】
この関係での「内側」及び「外側」という用語は、チャンバに関連して使用される。
【0213】
内側バリア530は、さらに、外面532にラミネート化され、アパチャ560と位置合わせされたポリマー層536の形態の不透過性領域も含まれる。層536は、内側バリア530が第二の位置にあるときに外側バリア540に押し付けられ、アパチャ560を覆う。
【0214】
デバイス1と共通して、デバイス500では、プレート542の内面548にドーム型プロファイルが設けられ、アパチャ560はドームの内側に延在する領域に設けられる。任意選択的な断熱性カバー543も同様に構成される。
【0215】
可撓性内側バリア530は、同様に、水蒸気透過性シリコーンを吸収した半透過性 ePTFE膜から形成された、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む。内側バリア530は、接着剤によってハウジング510の環状外面521に固定される。これにより、水分輸送層は、第二のポート520のフロー領域全体を横切って延在して、その周囲を密閉する。
【0216】
チャンバ512とエンクロージャとの間に圧力差がない場合に、内側バリア530は比較的に平坦である。使用時に、チャンバ520内の圧力が上昇すると、内側バリア530は弾性的にドーム状形状に変形し、第二の位置で外側バリア540の内面548のドーム型プロファイルと係合する。
【0217】
デバイス500は、さらに、電気接続部572及び抵抗PTC加熱要素574を含む熱源570を含み、これらはハウジング510と外側ハウジング580との間に取り付けられ、ハウジング510と熱的に接触している。PTC加熱要素574は、デバイス500を抵抗加熱するように動作可能である。
【0218】
乾燥剤材料550は、第一のポート517への流路を提供するノッチ552を備えた成形形態にある。Oリング583はポート517と外側ハウジング580を通る開口部582との間に配置されて密閉し、ベントカバー586は開口部582の外面を横切って配置されている。
【0219】
本明細書に開示されている実施形態と共通して、ハウジング510及び外側バリア540は、熱源570からの効果的な熱流を促進するために、典型的にアルミニウムなどの金属構造である。
【0220】
デバイス500の使用において、第一の期間中に、エンクロージャ内の水蒸気は水分輸送層(内側バリア530)を通過し、ePTFE支持層の細孔中に存在する空気不透過性水蒸気透過性シリコーン材料を透過する。チャンバ512に入る水蒸気は、乾燥剤材料550によって吸着される。第二の期間中に、電気コネクタ572及び加熱要素574に電流を流すことによってデバイスに熱を加え、乾燥剤材料から水を脱着させる。第二の期間中に、チャンバ512内の圧力が上昇する。その結果、チャンバ512内の圧力が上昇し、脱着した水蒸気の第一のポート517を介したチャンバ512からの流出を促進する。圧力が上昇すると、内側バリア530はまた、ハウジング510の外面521と概して水平である第一の位置から、外側バリア540と接触する第二の位置に移動する。第二の位置において、不透過性領域536はアパチャ560を覆い、エンクロージャと空気不透過性水蒸気透過性シリコーン材料との間の流体連通を実質的に遮断する。
【0221】
外側バリア540はハウジング510と良好な熱接触状態にあり、したがって、加熱中に温度も上昇し、さもなければ発生するであろう内側バリア530の内壁534での結露を防ぐ。
【0222】
図1~7及び
図12に示す様々な例は、本発明に従った例示的なデバイスであり、本明細書で開示されている追加又は代替の特徴を含む場合があることが理解される。例えば、第一のポート構成、出口チャネル構成、熱源構成及び第二のポート構成は、互いに交換可能である。
【実施例】
【0223】
実験
例1
エンクロージャから水分を除去するためのデバイスの脱着又は再生期間の概念実証を示すために、直径約19mmx深さ2.5mmのおおよその寸法のチャンバを備えたアルミニウムハウジングを提供した。PTCヒータ(155℃)を、電気及び熱伝導性エポキシでハウジングの外壁に固定した。ハウジングの外壁はまた、長さ3~4mmの直径1mmの出口チャネルも備えられた。出口チャネルの出口の上に、内径5.5mmのePTFE膜ベントを配置した。
【0224】
直径19mm、厚さ2mmのGoreシリカゲル乾燥剤材料ブロックをチャンバ内に配置し、接着剤でチャンバ壁に接着した。チャンバの開放面は、シリコーン感圧接着剤を使用してアルミニウムプレートで密閉された。
【0225】
PTCヒータを使用してハウジングを規定の時間加熱し、デバイスの質量を測定した。実験は、3、5、15及び30分の規定の時間繰り返した。
【0226】
図8は、質量の変化と、質量変化1mgあたりのヒータのエネルギー使用量の結果を示している。質量の変化は、デバイスの初期質量及び最大質量に対応する吸着水の0%及び100%の間で正規化されており、最終平衡質量は約30分後に達成された。電気加熱のkJあたりの質量損失は、約5分でピークに達した。
【0227】
これらのデータは、ハウジングを加熱することにより、密閉されたチャンバ内の水和乾燥剤から出口チャネル及びベントカバーを介して水蒸気を効果的かつ迅速に脱着できることを示している。
【0228】
材料
ePTFE/シリコーン材料 1
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜は、米国特許第3,953,566号明細書(その内容は本明細書にその全体が組み込まれる)の教示に概ね従って作製された。ePTFE膜は平均質量/面積が0.5g/m2であり、平均厚さが1μm 未満であった。ePTFE膜は、Zaggl らの EP3061598A1の例4Aで教示されているように、ePTFE膜をドーム型構成に弾性的に伸長した状態に剥離可能にラミネート化することにより、横断方向(TD)及び機械方向(MD)の両方で圧縮された。基材を平面構成に緩和し、収縮したePTFE膜を除去した。両方の処理比は、室温(約20℃)及び2m/分速度設定で50%であった。
【0229】
圧縮された多孔質ePTFE膜は、ポリエチレンテレフタレート(PET)剥離層(Janus(登録商標)PET1120)上に配置された。
【0230】
ePTFE膜/剥離層スタックをガラス板上に配置し、その後、自動フィルムアプリケータ(モデル ZAA 2300、Zehntner GmbH Testing Instruments、スイス、シサッハ)に挿入した。
【0231】
エラストマーは、注入可能な付加硬化型二成分シリコーンゴム (ELASTOSIL(登録商標) LR6320F (Wacker Chemie AG、ドイツ、ミュンヘン)及び架橋剤SX)を提供し、SPEEDMIXER(商標) DAC 150.1 FVZ-K (FlackTek Inc.、サウスカロライナ州ランドラム)を使用して、1500rpm、20秒の混合時間で LR6320Fと架橋剤SXの成分を10:1の比率で混合することによって得た。
【0232】
混合した成分を、PET剥離ライナー上に置かれた緻密化多孔質ePTFE膜上に注いだ。ユニバーサルアプリケータ、タイプZUA 2000 (Zehntner GmbH Testing Instruments)を使用して、20℃で5mm/sの速度を用いて薄いエラストマーフィルムをePTFE膜上に均等に分配した。
【0233】
アプリケータのギャップは、PET剥離層から40μmの距離に設定された。エラストマーフィルムをオーブン内で160℃で5分間硬化した。
【0234】
(2)ePTFE/シリコーン材料2
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を、米国特許第3,953,566号明細書の教示に概ね従って製造した。ePTFE膜は平均厚さが約1μmであった。
【0235】
膜フィルムは、まずゴムとクロムのニップローラに通して連続法で巻き上げられ、その間に90psiの圧力を約2.4m/分で加えた。次に、膜を2つの連続した4フィートの赤外線オーブン(55A)に通し、膜温度は約160℃になった。
【0236】
透明な二成分ポリジメチルシロキサンエラストマーカプセル化剤である Dow SYLGARD(商標)184(混合比10対1)を手動でジャー内で混合し、ゴムとクロムのニップローラの間に注いだ。
【0237】
完成したフィルムは、オーブンから出るときにプラスチックコアに巻き取られた。
【0238】
(3)ePE/ポリウレタン
多孔質ポリエチレン膜は、米国特許第5,248,461号明細書、米国特許第4,873,034号明細書、米国特許第5,051,183号明細書及び米国特許第6,566,012号明細書(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)の教示に従って、ポリエチレン材料を炭化水素液体及び他の添加剤と混合することによって製造した。混合物をシートに押し出し、二軸延伸し、炭化水素液体を抜き取った。
【0239】
得られた膨張ポリエチレン膜は、次に、ePTFE/シリコーン材料2について上記で説明したようにして、ポリウレタンエラストマー材料が吸収された。
【0240】
例2
例 1 のデバイスに類似した2つの試験デバイスを調製した。アルミニウムプレートの代わりに、各ハウジングは、ePTFE/シリコーン材料2の空気不透過性水蒸気透過性層で密封した。
【0241】
次に、デバイスAには、
図9(a)に示されるように、ハウジングを横切って取り付けられた空気不透過性水蒸気透過性層から離間した固定穿孔付きアルミニウム外側バリアが設けられ、その間の隙間は約0.3mmであった。デバイスBには、
図9(b)に示されるように、ハウジングに取り付けられた接続部分を備えた平板として構成された外側バリアが設けられ、その間の隙間は約1mmであった。
【0242】
各デバイスは、12L容量のエンクロージャにアパチャを通して固定された。各エンクロージャには、圧力平衡化のために直径1mm、長さ3mmのアルミニウム拡散管出口が設けられていたが、それ以外は密閉されていた。拡散管出口の上には、ePTFEベントカバーが配置されていた。各デバイスの出口チャネル及びベントポート面は、外部環境と連通するように配置され、固定バリア及び可撓性バリア(空気不透過性水蒸気透過性層) は、それぞれエンクロージャA及びエンクロージャBの内側に配置されていた。各エンクロージャの外部では、各デバイスハウジングの露出部分は、手作業でカットしたフォーム断熱材で覆われていた(
図9(c)及び9(d))。
【0243】
各エンクロージャには、静電容量式温度及び湿度センサ(Ahlborn FHA646-R)が取り付けられていた。
【0244】
次に、デバイスA及びBに6分間の熱サイクルに24時間間隔で6回かけ、エンクロージャ内の露点を常に監視した。結果を
図9(e)に示す。線Aは、エンクロージャA内の露点を示す。線Bは、エンクロージャB内の露点を示す。線Cは、実験室環境での露点を示す。この露点は、全体を通してほぼ一定であった。実験室の温度も、試験期間全体を通してほぼ一定であると測定され、最低約21.1℃から最高約22.3℃の間で変動した。
【0245】
これらのデータは、デバイスA及びBがそれぞれ、加熱サイクルを繰り返すことでエンクロージャA及びBから水分を除去できることを示している。
【0246】
各加熱サイクル中に、露点の一時的上昇が起こったが、これは各デバイスA及びBのチャンバ内の乾燥剤から脱着した水蒸気が水分輸送層を介してそれぞれのエンクロージャに透過したことと一致している。各中間期間中に、露点が低下することが観察されたが、これは水分輸送層を介して各エンクロージャから水蒸気が透過したことと一致している。連続する熱サイクルの間に各エンクロージャ内の露点が徐々に低下していることは、デバイスA及びBのそれぞれの出口チャネルから排出される脱着水蒸気が、それぞれのエンクロージャへの逆透過を上回っていることを示している。
【0247】
エンクロージャBのデータは、エンクロージャAよりも露点の全体的な低下が大きいことを示している。この観察結果は、エンクロージャBの固定バリアと水分輸送層との接触面積が、エンクロージャAの場合よりも大きいことを示している。
【0248】
最終加熱サイクルの後に、露点をさらに7日間監視した。約36時間、各エンクロージャA及びB内の露点が低下した。その後、露点は徐々に上昇し、これは各デバイスA及びB内の乾燥剤が完全に水和し、次いで、出口チャネル及び水分輸送バリアを介して各エンクロージャ内に水蒸気が拡散したことと一致している。このプロセスは、前の6回の加熱/吸着サイクル中に各エンクロージャから排出される水分の速度よりもかなり遅いことが示された。
【0249】
例3
デバイスBを使用して、外部湿度よりも高い相対湿度に保たれたエンクロージャから ポンピングすること(「ダウンヒルポンピング」)、及び外部湿度実験室よりも低い相対湿度に保たれたエンクロージャからポンピングすること(「アップヒルポンピング」)を示す実験を行った。実験プロトコルは、WO2021118558 (W. L. Gore & Associates, Inc.) に開示されているものとほぼ対応し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0250】
幾つかの実験において、デバイスBにePTFE/シリコーン材料1の内部バリアが装備されていた。幾つかの実験において、デバイスBにePTFE/シリコーン材料2の内部バリアが装備されていた。
【0251】
デバイスBを、上記の例2で説明したように、50Lの密閉されたエンクロージャに設置した。データロギング機能を備えた天秤をエンクロージャ内に配置した。エンクロージャを、50%RH及び30℃に保たれた温度及び湿度制御環境チャンバ内に配置した。第二の湿度温度プローブを環境チャンバ内に配置し、チャンバの状態を監視した。
【0252】
エンクロージャのすべてのアクセスパネルを開放し、それにより、エンクロージャの内部をチャンバ環境にさらした。
【0253】
エンクロージャ及び環境チャンバ内の温度湿度プローブ、及び、天秤をデータロガーに接続し、データロギングを開始した。エンクロージャ及び天秤を67時間平衡状態とさせた。
【0254】
過飽和塩浴(塩化マグネシウム六水和物)を保持する直径14cmのペトリ皿を天秤の上に配置した。過飽和塩溶液は、エンクロージャ内で35℃で約35%の相対湿度を維持するのに十分な量で供給された。エンクロージャのすべてのエンクロージャアクセスパネルを閉じ、密閉された環境を作った。天秤及び過飽和塩溶液を含むエンクロージャを、さらに70時間平衡にし、温度湿度プローブ及び天秤からのデータロギングを全体をとおして維持した。
【0255】
次に、デバイスBを6分間加熱して155℃にし、23時間54分間放冷し、このサイクルを5回繰り返した。
【0256】
実験は、エンクロージャ内の相対湿度を56%(硝酸マグネシウム六水和物塩浴を使用) にし、再び83%(塩化ナトリウム塩浴を使用)になるように過飽和塩浴を選択して繰り返した。
【0257】
次に、デバイスBをエンクロージャから取り外し、固定バリアのないデバイスを取り付けた。このデバイスは、第二のポートを横切ってのみePTFE/シリコーン膜を有した。次に、「アップヒル」及び「ダウンヒル」の実験を繰り返した。
【0258】
エンクロージャから1日あたりに除去される水の平均質量を
図10にプロットし、固定バリアを設置した場合 (「固定バリア」とマークされたデータ)及び固定バリアを設置していない場合 (「固定バリアなし」とマークされたデータ)を含む。また、
図10には、ePTFE/シリコーン材料1の内部バリアを使用して取得したデータ、及び、ePTFE/シリコーン材料2の内部バリアを使用して取得したデータも示されている。
【0259】
固定外側バリアの有無にかかわらず、相対湿度83%のエンクロージャから相対湿度51%の実験室への「ダウンヒル」ポンピングは可能であったが、固定バリアを含むデバイスBは、固定バリアを取り除いたデバイスの約2倍の速度でポンピングできることが示された。
【0260】
デバイスBによる、周囲相対湿度付近のエンクロージャからの (すなわち、相対湿度56%のエンクロージャから相対湿度51%の実験室への)水分除去速度は、より低速であった。
【0261】
デバイスBは、周囲湿度がより高い場合でも、相対湿度35%のエンクロージャから水分を除去できることが示された。しかしながら、固定バリアを取り除いた後は、このような「アップヒル」ポンピングは不可能であった。これは、固定バリアの役割を示している。
【0262】
例4
空気不透過性水蒸気透過性の様々な材料について、水蒸気透過速度データを取得した。
【0263】
裸の多孔質ePTFE材料、上記のePTFE/シリコーン材料1及び2の使用に加えて、膨張ePE/ポリウレタン材料のデータも取得した。
【0264】
方法(a)乾燥剤法
10gの乾燥剤パック (不織布PETポーチに入ったMgCl2/MgO乾燥剤)をガラス製缶詰ジャー(高さ100cm、直径7cm)の中に入れた。
【0265】
スチール蓋には2.62cm2のアパチャ(8.7x29.3mm)が設けられ、膜材料のサンプルをアパチャを横切って配置し、シリコーン感圧接着剤を用いて固定した。対応するアパチャをスチール製のブランクプレートに設け、ブランクプレートを膜の上に配置した。
【0266】
次に、蓋を使用してジャーを密封した。
【0267】
膜の代わりにアルミニウムテープを使用して、対照サンプルを調製した。
【0268】
ジャーは、温度22℃、相対湿度50%の環境制御された実験室に置いた。
【0269】
ジャーの質量を毎日測定し、線形回帰を実行してMTVRを取得した。MVTRデータを、対照サンプルデータに対して測定されたmg/日/cm2に変換した。
【0270】
方法(b)高温水脱着法
ガラス製の缶詰ジャー(高さ100cm、直径7cm)に蒸留水100mlを入れた。ポリマー製の蓋に2.85cm2の円形アパチャ(直径19.05mm)が設けられ、膜材料のサンプルを、アパチャを横切って配置し、シリコーン感圧接着剤を使用して固定した。
【0271】
蓋には直径1mm、長さ3mmのポリプロピレン拡散チューブも設けられ、拡散チューブの出口上にePTFE膜ベントカバーが固定された。
【0272】
次に、蓋を使用してジャーを密閉した。
【0273】
ジャーを、90℃、相対湿度各々2%及び50%に保たれた環境チャンバに入れた。
【0274】
ジャーの質量を毎日測定し、線形回帰が実行されてMTVRを得た。MVTRデータをmg/日/cm2に変換した。
【0275】
穿孔されていない蓋を使用して対照サンプルを調製した。
【0276】
方法(c)E96水法-25℃及び45℃
上記のセクション(b)に記載した水試験法を使用した実験も実施した。この実験では、ジャーを50%相対湿度に保たれた環境チャンバ(Gintronic Gravitest 6300)に入れ、25℃及び 45℃のそれぞれで実験を行った。膜を横切る空気の流れを、ASTM E96 規格に従って維持した。
【0277】
結果
MVTRの結果を
図11及び表1に示す。MVTR比の値は、方法(a)及び(b)を使用して行われた結果から計算した。
【0278】
【0279】
方法(a)のMVTRデータは、吸着条件中の膜材料の性能を示している。吸着条件は、典型的に、比較的長い期間で、比較的湿度の低いチャンバに水蒸気を透過させる必要がある。
【0280】
方法(b)のMVTRデータは、脱着条件中の膜材料の性能を示している。脱着条件は典型的に、比較的短い期間で、高温で、比較的湿度の高いチャンバから水蒸気を逃がす必要がある。
【0281】
エンクロージャから水分を除去するデバイスで使用する場合に、防湿材は、吸着条件と脱着条件の両方で十分に高いMTVRを示さなければならない。しかしながら、脱着条件で必要なMTVRは、吸着条件で必要なMVTRよりも低い。
【0282】
これは、MVTR比が低いことに反映される。表2及び
図11のMVTR比データから、ePE/ポリウレタン吸収フィルム、及びePTFE/シリコーン材料1及び2フィルムのいずれも、空気透過性水蒸気透過性の裸のePTFEよりも低いMVTR比を示すことが示されている。
【0283】
方法(c)のMVTRデータは、本発明によるデバイスで水分バリア材料として使用するのに適した水蒸気輸送速度を示す様々な材料を示している。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0283
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0283】
方法(c)のMVTRデータは、本発明によるデバイスで水分バリア材料として使用するのに適した水蒸気輸送速度を示す様々な材料を示している。
(態様)
(態様1)
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスであって、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、
前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通しており、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている、デバイス。
(態様2)
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、
前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記内側バリアは、前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外側の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、態様1記載のデバイス。
(態様3)
前記デバイスは、前記乾燥剤材料から少なくとも一部の吸着水を脱着するように動作可能な熱源を含む、態様1又は2記載のデバイス。
(態様4)
前記ハウジングは熱源を取り込んでおり、又は、前記熱源は前記チャンバ内に配置されている、態様3記載のデバイス。
(態様5)
エンクロージャから水分を除去するためのデバイスを含むエンクロージャであって、
前記デバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に流体連通を提供する第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記エンクロージャとの間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されており、
前記エンクロージャは、前記デバイスの温度を上昇させ、吸着された水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させ、前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を減らすか、又は無くすように動作可能な熱源を含むか、又は、かかる熱源と連携されている、エンクロージャ。
(態様6)
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記エンクロージャと流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、そして前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記熱源は、前記デバイスの温度を上昇させ、前記チャンバ内の圧力を上昇させるように動作可能であり、
前記内側バリアは、前記熱源を用いた前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、態様5記載のエンクロージャ。
(態様7)
前記内側バリアは、空気又は水蒸気に不透過性である1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含み、前記内側バリアが前記第二の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアと接触して前記外側バリアを通って前記水分輸送層の外面に至る流路を閉塞するように配置されており、前記内側バリアが前記第一の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアから離間しており、前記デバイスは、前記外側バリアを通って又はその周囲を通って前記水分輸送層の外面に至る流路を含む、態様2又は態様2の従属項である場合の態様3もしくは4記載のデバイス、又は態様6記載のエンクロージャ。
(態様8)
前記内側バリアの少なくとも一部は可撓性であり、及び/又は、前記外側バリアは固定された外側バリアである、態様2もしくは7又は態様2の従属項である場合の態様3もしくは4記載のデバイス、又は態様6もしくは7記載のエンクロージャ。
(態様9)
前記第二のポートはフロー領域を画定し、前記水分輸送層は前記フロー領域を横切って延在する、態様1~8のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様10)
前記水分輸送層は、多孔質支持層及び前記支持層の少なくとも一部の細孔内に存在する空気不透過性水蒸気透過性材料を含む、態様1~9のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様11)
前記支持層は、相互接続されたフィブリル状ネットワークを含む、多孔質ミクロ構造を有する膨張ポリマー膜を含む、態様10記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様12)
前記多孔質支持層は空気不透過性水蒸気透過性材料が吸収されている、態様10又は11記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様13)
前記支持層は弾性的に伸長可能である、態様10~12のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様14)
前記空気不透過性水蒸気透過性材料は、シリコーン材料、ポリウレタン材料又はペルフルオロスルホン酸イオノマー材料から選ばれる、態様1~13のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様15)
前記外側バリアは前記第二のポートの上又は前記第二のポートを横切るブリッジを含み、1つ以上の流路は前記外側バリアの周囲及び/又は前記外側バリアを通って画定される、態様2又は態様2の従属項である場合の態様3、4もしくは7~14のいずれか1項記載のデバイス、又は、態様6又は態様6の従属項である場合の態様7~14のいずれか1項記載のエンクロージャ。
(態様16)
前記第一のポートは前記第二のポートよりも小さい流路面積及び/又は長い流路を有し、それにより、前記第二のポートを介した前記チャンバへの水蒸気の透過又は拡散は、前記第一のポートを介した前記外部環境から前記チャンバへの水蒸気の拡散又は流れを超える、態様1~15のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様17)
前記第一のポートは出口チャネルを画定するか、又は前記第一のポートは出口チャネルまで延在し、前記出口チャネルは湾曲又は回旋状経路を含む、態様1~16のいずれか1項記載のデバイス又はエンクロージャ。
(態様18)
エンクロージャから水分を除去する方法であって、
前記方法は、
第一の期間中に、
空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を介してエンクロージャからチャンバに水蒸気を輸送すること、
前記チャンバ内の乾燥剤材料に水蒸気の少なくとも一部を吸着させること、及び、
第二の期間中に、
熱を加えて、前記乾燥剤材料の温度を上昇させ、吸着した水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させること、
前記チャンバの内壁及び前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を低減し又は無くすこと、及び、
前記チャンバから前記エンクロージャの外部の環境に水蒸気の少なくとも一部を通過させること、
を含む、方法。
(態様19)
前記水分輸送層を含む内側バリアを、前記内側バリアが外側バリアから離間している第一の位置から、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置に移動させることを含む、態様18記載の方法。
(態様20)
前記水分輸送層を、前記水分輸送層が前記外側バリアから離間している前記第一の位置から、前記水分輸送層の外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している前記第二の位置に移動させることを含む、態様19記載の方法。
(態様21)
前記第二の期間中に前記内側バリアを前記外側バリアに接触するように移動させることによって前記水分輸送層の温度を上昇させることを含み、前記外側バリアは前記水分輸送層よりも高い温度である、態様19又は20記載の方法。
(態様22)
前記チャンバ内の圧力を上昇させることによって前記内側バリアを移動させることを含み、熱を加える工程は前記チャンバ内の圧力を上昇させる、態様18~21のいずれか1項記載の方法。
(態様23)
前記第二の期間中に、前記チャンバ内部の温度を、前記チャンバ内の露点又は最大期待露点を超える温度に上昇させることを含む、態様18~22のいずれか1項記載の方法。
(態様24)
前記第一の期間は前記第二の期間より長い、態様18~23のいずれか1項記載の方法。
(態様25)
前記第一の期間は前記第二の期間の長さの少なくとも約10倍、50倍、100倍又は200倍である、態様24記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源に連携されたエンクロージャ内から水分を除去するためのデバイスであって、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記ハウジングの外部の環境との間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、
前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通しており、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記ハウジングの外部の環境と流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、
前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記内側バリアは、前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外側の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記乾燥剤材料から少なくとも一部の吸着水を脱着するように動作可能な熱源を含む、請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項4】
前記内側バリアは、空気又は水蒸気に不透過性である1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含み、前記内側バリアが前記第二の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアと接触して前記外側バリアを通って前記水分輸送層の外面に至る流路を閉塞するように配置されており、前記内側バリアが前記第一の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアから離間しており、前記デバイスは、前記外側バリアを通って又はその周囲を通って前記水分輸送層の外面に至る流路を含む、請求項2記載のデバイス。
【請求項5】
前記内側バリアの少なくとも一部は可撓性であり、及び/又は、前記外側バリアは固定された外側バリアである、請求項2記載のデバイス。
【請求項6】
前記水分輸送層は、多孔質支持層及び前記支持層の少なくとも一部の細孔内に存在する空気不透過性水蒸気透過性材料を含む、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項7】
前記支持層は弾性的に伸長可能である、請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記外側バリアは前記第二のポートの上又は前記第二のポートを横切るブリッジを含み、1つ以上の流路は前記外側バリアの周囲及び/又は前記外側バリアを通って画定される、請求項2記載のデバイス。
【請求項9】
前記第一のポートは前記第二のポートよりも小さい流路面積及び/又は長い流路を有し、それにより、前記第二のポートを介した前記チャンバへの水蒸気の透過又は拡散は、前記第一のポートを介した前記外部環境から前記チャンバへの水蒸気の拡散又は流れを超える、請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項10】
エンクロージャから水分を除去するためのデバイスを含むエンクロージャであって、
前記デバイスは、
チャンバを画定するハウジング、及び前記チャンバ内の乾燥剤材料、
を含み、
前記ハウジングの第一の部分は前記チャンバと前記エンクロージャの外部の環境との間に流体連通を提供する第一のポートを含み、
前記ハウジングの第二の部分は前記チャンバと前記エンクロージャとの間に第二のポートを含み、
前記第二のポートは、
前記第二のポートを横切って延在し、空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を含む第一のバリア、及び、前記第二のポートを横切って延在する第二のバリア、
を含み、
前記第二のバリアは前記第一のバリアに熱を伝導するように構成されており、
前記エンクロージャは、前記デバイスの温度を上昇させ、吸着された水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させ、前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を減らすか、又は無くすように動作可能な熱源を含むか、又は、かかる熱源と連携されている、エンクロージャ。
【請求項11】
前記第一のバリアは内側バリアであり、前記第二のバリアは外側バリアであり、
前記水分輸送層の外側は前記エンクロージャと流体連通し、前記水分輸送層の内側は前記チャンバと流体連通し、そして前記外側バリアは前記水分輸送層の外側に隣接しており、
前記熱源は、前記デバイスの温度を上昇させ、前記チャンバ内の圧力を上昇させるように動作可能であり、
前記内側バリアは、前記熱源を用いた前記デバイスの加熱によって引き起こされる前記チャンバ内の圧力変化の作用下で、前記内側バリアが前記外側バリアから離間している第一の位置と、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置との間で移動可能である、請求項
10記載のエンクロージャ。
【請求項12】
前記内側バリアは、空気又は水蒸気に不透過性である1つ以上の低透過性又は不透過性領域を含み、前記内側バリアが前記第二の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアと接触して前記外側バリアを通って前記水分輸送層の外面に至る流路を閉塞するように配置されており、前記内側バリアが前記第一の位置にあるときに、前記低透過性もしくは不透過性領域又は各低透過性もしくは不透過性領域は、前記外側バリアから離間しており、前記デバイスは、前記外側バリアを通って又はその周囲を通って前記水分輸送層の外面に至る流路を含む、
請求項
11記載のエンクロージャ。
【請求項13】
前記内側バリアの少なくとも一部は可撓性であり、及び/又は、前記外側バリアは固定された外側バリアである
、請求項
11又は12記載のエンクロージャ。
【請求項14】
前記水分輸送層は、多孔質支持層及び前記支持層の少なくとも一部の細孔内に存在する空気不透過性水蒸気透過性材料を含む、請求項
10、11又は12記載
のエンクロージャ。
【請求項15】
前記支持層は弾性的に伸長可能である、請求項
14項記載
のエンクロージャ。
【請求項16】
前記外側バリアは前記第二のポートの上又は前記第二のポートを横切るブリッジを含み、1つ以上の流路は前記外側バリアの周囲及び/又は前記外側バリアを通って画定される
、請求項
11記載のエンクロージャ。
【請求項17】
前記第一のポートは前記第二のポートよりも小さい流路面積及び/又は長い流路を有し、それにより、前記第二のポートを介した前記チャンバへの水蒸気の透過又は拡散は、前記第一のポートを介した前記外部環境から前記チャンバへの水蒸気の拡散又は流れを超える、請求項
10、11又は12記載
のエンクロージャ。
【請求項18】
エンクロージャから水分を除去する方法であって、
前記方法は、
第一の期間中に、
空気不透過性水蒸気透過性水分輸送層を介してエンクロージャからチャンバに水蒸気を輸送すること、
前記チャンバ内の乾燥剤材料に水蒸気の少なくとも一部を吸着させること、及び、
第二の期間中に、
熱を加えて、前記乾燥剤材料の温度を上昇させ、吸着した水の少なくとも一部を前記乾燥剤材料から脱着させること、
前記チャンバの内壁及び前記水分輸送層の温度を上昇させて、前記チャンバ内の結露を低減し又は無くすこと、及び、
前記チャンバから前記エンクロージャの外部の環境に水蒸気の少なくとも一部を通過させること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記水分輸送層を含む内側バリアを、前記内側バリアが外側バリアから離間している第一の位置から、前記内側バリアの外面の少なくとも一部が前記外側バリアに接触している第二の位置に移動させることを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第二の期間中に前記内側バリアを前記外側バリアに接触するように移動させることによって前記水分輸送層の温度を上昇させることを含み、前記外側バリアは前記水分輸送層よりも高い温度である、請求項
19記載の方法。
【請求項21】
前記チャンバ内の圧力を上昇させることによって前記内側バリアを移動させることを含み、熱を加える工程は前記チャンバ内の圧力を上昇させる、請求項
19又は20記載の方法。
【請求項22】
前記第一の期間は前記第二の期間より長い、請求項
19又は20記載の方法。
【国際調査報告】