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特表2025-502311ハイブリッド変速機、ハイブリッド車用駆動トレイン、及び駆動トレインを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ハイブリッド変速機、ハイブリッド車用駆動トレイン、及び駆動トレインを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20250117BHJP
   F16H 3/083 20060101ALI20250117BHJP
   F16H 3/093 20060101ALI20250117BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20250117BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20250117BHJP
【FI】
B60K6/36
F16H3/083
F16H3/093
B60K6/48 ZHV
B60K6/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542151
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 DE2022100952
(87)【国際公開番号】W WO2023160738
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】102022104376.2
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン レーマン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ハンス
【テーマコード(参考)】
3D202
3J528
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202EE13
3D202EE14
3D202FF06
3D202FF15
3J528EA30
3J528EB62
3J528EB63
3J528EB75
3J528FA06
3J528FC32
3J528FC42
3J528FC47
3J528FC64
3J528GA08
3J528HA22
(57)【要約】
本発明は、ハイブリッド変速機(15)、ハイブリッド変速機(15)を有する駆動トレイン(10)、及び駆動トレイン(10)を動作させる方法に関し、ハイブリッド変速機(15)は、第1の駆動シャフト(70)と、第2の駆動シャフト(75)と、出力側(80)と、第1の駆動シャフト(70)と出力側(80)との間に延在する第1のトルク伝達経路(85)と、を備え、第1のトルク伝達経路(85)は、第1の伝達手段(115)を備え、第1の伝達手段(115)は、シフト手段(130)と、第1の変速比を有する第1の変速段(120)と、第1の変速比とは異なる第2の変速比を有する第2の変速段(125)と、を備え、シフト手段(130)の第1のシフト状態において、シフト手段(130)は、第1の駆動シャフト(70)を第1の変速段(120)に接続し、第1の変速段(120)は、第1の駆動シャフト(70)を出力側(80)に連結し、第1のシフト状態とは異なる、シフト手段(130)の第2のシフト状態において、シフト手段(130)は、第1の駆動シャフト(70)を第2の変速段(125)に接続し、第2の変速段(125)は、第1の駆動シャフト(70)を出力側(80)に連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車の駆動トレイン(10)用ハイブリッド変速機(15)であって、
-前記ハイブリッド変速機(15)が、第1の駆動シャフト(70)と、第2の駆動シャフト(75)と、出力側(80)と、前記第1の駆動シャフト(70)と前記出力側(80)との間に延在する第1のトルク伝達経路(85)と、を有し、
-前記第1のトルク伝達経路(85)が、第1の伝達手段(115)を有し、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、第1の電気機械(25)の第1のロータ(45)に、回転固定されるように、かつ内燃機関(20)のクランクシャフト(40)に、トルクがロックされるように接続され得、前記第2の駆動シャフト(75)が、第2の電気機械(30)の第2のロータ(55)に、回転固定されるように接続され得、
-前記第1の伝達手段(115)が、シフト手段(130)と、第1の変速比を有する第1の変速段(120)と、前記第1の変速比とは異なる第2の変速比を有する第2の変速段(125)と、を有し、
-前記シフト手段(130)の第1のシフト状態において、前記シフト手段(130)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1の変速段(120)に接続し、前記第1の変速段(120)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記出力側(80)に連結しており、
-前記第1のシフト状態とは異なる、前記シフト手段(130)の第2のシフト状態において、前記シフト手段(130)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第2の変速段(125)に接続し、前記第2の変速段(125)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記出力側(80)に連結している、ハイブリッド変速機(15)。
【請求項2】
-前記シフト手段(130)が、第1のクラッチ(170)、特に第1の形状嵌合クラッチ、及び第2のクラッチ(175)、特に第2の形状嵌合クラッチを有し、
-前記第1のシフト状態において、前記第1のクラッチ(170)が、係合され、かつ前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1の変速段(120)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第2のクラッチ(175)が、前記第1のシフト状態において係合解除されており、
-前記第2のシフト状態において、前記第2のクラッチ(175)が、係合され、かつ前記第1の駆動シャフト(70)を前記第2の変速段(125)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第1のクラッチ(170)が、前記第2のシフト状態において係合解除されている、請求項1に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項3】
-前記シフト手段(130)が、電気的かつ/又は液圧的に作動するアクチュエータ(225)と、前記アクチュエータ(225)に接続されたシフトドラム(230)と、作動リンク(235)と、少なくとも第1のシフトリンケージ(250)と、を有し、
-前記作動リンク(235)が、前記シフトドラム(230)上に配置された第1のリンク(270)と、前記第1のリンク(270)上に配置され、かつ前記第1のシフトリンケージ(250)に接続された、少なくとも1つの第1のリンクブロック(285)と、を有し、
-前記第1のリンクブロック(285)が、前記第1のシフトリンケージ(250)によって前記第1のクラッチ(170)に連結されており、
-前記シフトドラム(230)が、ドラム軸(261)を中心に回転可能になるように配置されており、
-前記第2のシフト状態において、前記シフトドラム(230)が、前記第1のシフト状態に対して回転される、請求項2に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項4】
-前記第2の駆動シャフト(75)と前記出力側(80)との間に延在する、第2の伝達手段(195)及び分離クラッチ(200)を有する第2のトルク伝達経路(90)を有し、
-前記分離クラッチ(200)が、前記第2の伝達手段(195)と前記出力側(80)との間に配置されており、
-前記分離クラッチ(200)の係合解除状態において、前記分離クラッチ(200)が、前記出力側(80)を前記第2の伝達手段(195)から分離し、前記分離クラッチ(200)の係合状態において、前記分離クラッチ(200)が、前記第2の伝達手段(195)を前記出力側(80)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項5】
-前記第1の駆動シャフト(70)が、第1の回転軸(105)を中心に回転可能に装着されており、
-前記第1の伝達手段(115)が、前記第1の回転軸(105)を中心に回転可能に装着された第1のアイドラギア(150)、及び前記第1の回転軸を中心に回転可能に装着された第2のアイドラギア(160)を有し、
-前記シフト手段(130)が、前記第1のアイドラギア(150)と前記第2のアイドラギア(160)との間で、前記第1の回転軸(105)に対して軸方向に配置されており、
-前記第1のクラッチ(170)が、前記係合状態において、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1のアイドラギア(150)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第2のクラッチ(175)が、前記係合状態において、前記第2のアイドラギア(160)を前記第1の駆動シャフト(70)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している、請求項2~4のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項6】
-前記第1の伝達手段(115)が、前記第1の回転軸(105)と平行に延在する第2の回転軸(145)を中心に回転可能に装着された中間シャフト(135)と、第1の固定ギア(155)と、第2の固定ギア(165)と、を有し、
-前記第1の固定ギア(155)及び前記第2の固定ギア(165)が各々、前記中間シャフト(135)に、回転固定されるように接続されており、
-前記第1のアイドラギア(150)と前記第1の固定ギア(155)とが、噛み合うように互いに係合しており、
-前記第2のアイドラギア(160)と前記第2の固定ギア(165)とが、噛み合うように互いに係合している、請求項5に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項7】
-パーキングロック(265)と、ハウジング(266)と、を有し、
-前記パーキングロック(265)が、係合解除状態及び係合状態に設定され得、
-前記パーキングロック(265)が、前記係合状態において、前記第2の駆動シャフト(75)を前記ハウジング(266)に接続し、かつ前記第2の駆動シャフト(75)の回転を阻止し、
-前記パーキングロック(265)の前記係合解除状態において、前記第2の駆動シャフト(75)が、第3の回転軸(220)を中心に回転可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項8】
ハイブリッド車用駆動トレイン(10)であって、
-請求項1~7のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機(15)と、第1のロータ(45)を有する第1の電気機械(25)と、第2のロータ(55)を有する第2の電気機械(30)と、を有し、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、内燃機関(20)のクランクシャフト(40)に連結され得、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、前記第1のロータ(45)に回転固定されるように接続され、前記第2の駆動シャフト(75)が、前記第2のロータ(55)に回転固定されるように接続されており、
-前記第1の伝達手段(115)が、好ましくは、前記第1のロータ(45)と前記第2のロータ(55)との間に配置されている、駆動トレイン(10)。
【請求項9】
駆動トレイン(10)を動作させるための方法であって、
-請求項8に記載の駆動トレイン(10)が提供され、
-第1の駆動力(P1)が、前記第1の駆動シャフト(70)に導入され、
-前記第1の電気機械(25)が、電気エネルギーを生成するための前記第1の駆動力(P1)の第1の部分(TP1)によって発電機として動作し、
-前記シフト手段(130)が、前記第1のシフト状態に設定され、
-前記第1の駆動力(P1)の第2の部分(TP2)が、前記第1の変速段(120)を介して出力側(80)に伝達されるか、
-又は
-前記シフト手段(130)が、前記第2のシフト状態に設定され、
-前記第1の駆動力(P1)の第2の部分(TP2)が、前記第2の変速段(125)を介して出力側(80)に伝達される、方法。
【請求項10】
-前記第2の電気機械(30)が、第2の駆動力(P2)を前記第2の駆動シャフト(75)に導入し、
-前記第2の駆動力(P2)が、前記第2のトルク伝達経路(90)を介して前記出力側(80)に伝達され、
-前記第1の駆動力(P1)の前記第2の部分(TP2)及び前記第2の駆動力(P2)が、前記車両を駆動するために前記出力側(80)に提供される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のハイブリッド車の駆動トレイン用ハイブリッド変速機、請求項8に記載の駆動トレイン、及び請求項9に記載の駆動トレインを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、第1の電気機械、及び第2の電気機械を有する、ハイブリッド自動車の駆動トレイン用ドライブユニットは、国際公開第2019/105504号から既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良されたハイブリッド変速機、改良された駆動トレイン、及び駆動トレインを動作させるための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載のハイブリッド変速機、請求項8に記載の駆動トレイン、及び請求項9に記載の方法によって達成される。従属請求項には、有利な実施形態が提供される。
【0005】
ハイブリッド車の駆動トレイン用の改良されたハイブリッド変速機は、第1の駆動シャフトと、第2の駆動シャフトと、出力側と、第1の駆動シャフトと出力側との間に延在する第1のトルク伝達経路と、を有する、ハイブリッド変速機によって提供され得ることが認識されている。第1のトルク伝達経路は、第1の伝達手段を有する。第1の駆動シャフトは、第1の電気機械の第1のロータに、回転固定されるように、かつ内燃機関のクランクシャフトに、トルクがロックされるように接続され得る。第2の駆動シャフトは、第2の電気機械の第2のロータに回転固定されるように接続され得る。第1の伝達手段は、シフト手段と、第1の変速比を有する第1の変速段と、第1の変速比とは異なる第2の変速比を有する第2の変速段と、を有する。シフト手段の第1のシフト状態において、シフト手段は、第1の駆動シャフトを第1の変速段に接続し、第1の変速段は、第1の駆動シャフトを出力側に連結している。第1のシフト状態とは異なる、シフト手段の第2のシフト状態において、シフト手段は、第1の駆動シャフトを第2の変速段に接続し、第2の変速段は、第1の駆動シャフトを出力側に連結している。
【0006】
この実施形態は、ハイブリッド変速機が特に単純でコンパクトに構成されているという利点を有する。更に、構成要素の数を最小限に保つことができる。2つの変速段を有する変速ギアにより、第1の駆動シャフトに接続された内燃機関は、特に燃費が良いように動作され得る。更に、駆動トレインをシリアルハイブリッドとしても、パラレルハイブリッドとしても動作させることができるように、駆動トレインを動作させるための様々な可能性もある。
【0007】
更なる実施形態において、シフト手段は、第1のクラッチ、特に第1の形状嵌合クラッチ、特に第1の爪クラッチ、及び第2のクラッチ、特に第2の形状嵌合クラッチ、特に第2の爪クラッチを有する。第1のシフト状態において、第1のクラッチは、係合され、かつ第1の駆動シャフトを第1の変速段に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している。第1のシフト状態において、第2のクラッチは、更に係合解除されている。第2のシフト状態において、第2のクラッチは、係合され、かつ第1の駆動シャフトを第2の変速段に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している。第2のシフト状態において、第1のクラッチは、係合解除されている。したがって、クラッチを交互に係合解除し、係合することにより、第1の変速段と第2の変速段とを切り替えることが可能になる。
【0008】
これは、シフト手段が、電気的かつ/又は液圧的に作動するアクチュエータと、アクチュエータに接続されたシフトドラムと、作動リンクと、少なくとも第1のシフトリンケージと、を有する場合、特に有利である。作動リンクは、シフトドラム上に配置された第1のリンクと、第1のリンク上に配置され、かつシフトリンケージに接続された、少なくとも1つの第1のリンクブロックと、を有する。第1のリンクブロックは、第1のシフトリンケージによって第1のクラッチに連結されている。シフトドラムは、ドラム軸を中心に回転可能になるように配置され、第2のシフト状態において、シフトドラムは、第1のシフト状態に対して回転される。この実施形態の利点は、単一のアクチュエータを使用して、シフト手段、場合によっては更に分離クラッチ及び/又はパーキングロックをも簡単に作動させることができることである。更に、アクチュエータは、特に電気的に作動させることができ、その結果、油圧システムを省略することができる。
【0009】
更なる実施形態において、ハイブリッド変速機は、第2の駆動シャフトと出力側との間に延在する、第2の伝達手段及び分離クラッチを有する第2のトルク伝達経路を有し、分離クラッチは、第2の伝達手段と出力側との間に配置されている。分離クラッチの係合解除状態において、分離クラッチは、出力側を第2の伝達手段から分離する。分離クラッチの係合状態において、分離クラッチは、第2の伝達手段を出力側に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している。
【0010】
更なる実施形態において、第1の駆動シャフトは、第1の回転軸を中心に回転可能に装着されており、第1の伝達手段は、第1の回転軸を中心に回転可能に装着された第1のアイドラギア、及び第1の回転軸を中心に回転可能に装着された第2のアイドラギアを有する。シフト手段は、第1のアイドラギアと第2のアイドラギアとの間の第1の回転軸に対して軸方向に配置されている。係合状態において、第1のクラッチは、第1の駆動シャフトを第1のアイドラギアに、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している。係合状態において、第2のクラッチは、第2のアイドラギアを第1の駆動シャフトに、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している。この実施形態は、設備スペースが特に少なくて済むという利点を有する。特に、第1の変速段及び第2の変速段が、径方向にも短く保つことができる。
【0011】
更なる実施形態において、第1の伝達手段は、第1の回転軸と平行に延在する第2の回転軸を中心に回転可能に装着された中間シャフトと、第1の固定ギアと、第2の固定ギアと、を有し、第1の固定ギア及び第2の固定ギアは各々、中間シャフトに回転固定されるように接続されている。第1のアイドラギアと第1の固定ギアとは、噛み合うように互いに係合している。第2のアイドラギアと第2の固定ギアとは、噛み合うように互いに係合している。中間シャフト上に2つの固定ギアを配置することで、ハイブリッド変速機が特に簡単に構造化されるという利点がある。
【0012】
更なる実施形態において、ハイブリッド変速機は、パーキングロックと、ハウジングと、を有する。パーキングロックは、係合解除状態と係合状態とに設定され得る。係合状態において、パーキングロックは、第2の駆動シャフトをハウジングに接続し、第2の駆動シャフトの回転を阻止する。パーキングロックの係合解除状態において、第2の駆動シャフトは、第3の回転軸を中心に回転可能である。
【0013】
ハイブリッド車用の改良された駆動トレインは、駆動トレインが、ハイブリッド変速機と、第1のロータを有する第1の電気機械と、第2のロータを有する第2の電気機械と、を有することで提供され得る。ハイブリッド変速機は、上述のように構成されている。第1の駆動シャフトは、内燃機関のクランクシャフトに連結され得る。第1の駆動シャフトは、第1のロータに回転固定されるように接続され、第2の駆動シャフトは、第2のロータに回転固定されるように接続されている。好ましくは、第1の伝達手段は、第1のロータと第2のロータとの間に配置されている。
【0014】
この実施形態は、第1のロータと第2のロータとの間の伝達手段の配置により、第1の電気機械と第2の電気機械とが互いに一定の距離をおいて配置され、したがって、伝達手段が構成の観点から単純にできるという利点を有する。
【0015】
上述した駆動トレインを提供することにより、駆動トレインを動作させるための改良された方法が提供され得る。第1の駆動力は、第1の駆動シャフトに導入される。第1の電気機械は、電気エネルギーを生成するための第1の駆動力の第1の部分によって発電機として動作する。シフト手段は、第1のシフト状態に設定されている。第1の駆動力の第2の部分は、第1の変速段を介して出力側に伝達される。代替的に、シフト手段は、第2のシフト状態に設定され、第1の駆動力の第2の部分は、第2の変速段を介して出力側に伝達される。
【0016】
更なる実施形態において、第2の電気機械は、第2の駆動力を第2の駆動シャフトに導入し、第2の駆動力は、第2のトルク伝達経路を介して出力側に伝達され、第1の駆動力の第2の部分及び第2の駆動力は、車両を駆動するために出力側に提供される。
【0017】
本発明は、図を参照しながら以下に詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態による、駆動トレインの概略図である。
図2図1に示す駆動トレイン10の構造的実施形態の断面図である。
図3図1に示す駆動トレインの概略図の、図1に印を付けた部分Aである。
図4】第1の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10である。
図5】第1のクラッチ及び第2のクラッチ、パーキングロック、並びに分離クラッチのそれぞれの状態を示す図である。
図6】第2の動作状態における、図1に示す駆動トレインの概略構造である。
図7】パーキングロック、第1のクラッチ及び第2のクラッチ、並びに分離クラッチの状態を記号化して示している。
図8】第2の動作状態中、図6に示す駆動トレインの概略図の、図6に示す部分Bである。
図9】第3の動作状態における、図1に示す駆動トレインの構造である。
図10】パーキングロック、第1のクラッチ及び第2のクラッチ、並びに分離クラッチの状態を記号化して示している。
図11】第3の動作状態における、図9に示す駆動トレインの、図9に印を付けた部分Cである。
図12】第4の動作状態における、図1に示す駆動トレインである。
図13】第4の動作状態における、パーキングロック、第1のクラッチ及び第2のクラッチ、並びに分離クラッチの状態を記号化して示している。
図14】第4の動作状態における、図12に示す駆動トレインの、図12に印を付けた部分Dである。
図15】第5の動作状態における、図1に示す駆動トレインの概略図である。
図16】パーキングロック、第1のクラッチ及び第2のクラッチ、並びに分離クラッチの状態の概略図である。
図17図15に示す駆動トレインの、図15に印を付けた部分Eである。
図18】第2の実施形態による、駆動トレインの概略図である。
図19図15に示す駆動トレインの構造的実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、第1の実施形態による、駆動トレイン10の概略図である。
【0020】
駆動トレイン10は、ハイブリッド変速機15と、内燃機関20と、第1の電気機械25と、第2の電気機械30と、差動装置65と、好ましくはダンパーシステム35と、を有する。
【0021】
内燃機関20は、出力側にクランクシャフト40を有する。第1の電気機械25は、第1のロータ45及び第1のステータ50を有する。実施形態において、第1の電気機械25は、例として、例えば、第1のステータ50が円周上で第1のロータ45を取り囲むように、内部ロータとして構成されている。第2の電気機械30は、第2のロータ55及び第2のステータ60を有する。実施形態において、第2の電気機械30は、例として、例えば、第2のステータ60が円周上で第2のロータ55を取り囲むように、内部ロータとして構成されている。
【0022】
ハイブリッド変速機15は、第1の駆動シャフト70と、第2の駆動シャフト75と、出力側80と、第1の駆動シャフト70と出力側80との間に延在する第1のトルク伝達経路85と、第2の駆動シャフト75と出力側80との間に延在する第2のトルク伝達経路90と、好ましくはロータキャリア95と、パーキングロック265と、ハウジング266と、を有する。
【0023】
第1の駆動シャフト70は、ロータキャリア95に、回転固定されるように接続されており、ロータキャリア95は、外側に第1のロータ45を支持し、第1のロータ45に、回転固定されるように接続されている。この文脈において、「回転固定される」という用語は、2つの構成要素、例えば、第1の駆動シャフト70とロータキャリア95とが、同じ回転速度で回転し、トルクを伝達することができることを意味すると理解される。第1の駆動シャフト70は、第1の軸受装置100によって第1の回転軸105を中心に回転可能に装着されている。第1の駆動シャフト70は、ハイブリッド変速機15の第1の入力側を形成している。第1の駆動シャフト70は、内燃機関20に面する側に配置され、好ましくは、ダンパーシステム35を介して、クランクシャフト40にトルクがロックされるように接続されている。ダンパーシステム35は、例えば、クランクシャフト40が、第1の駆動シャフト70に対してダンパーシステム35のばね要素110の作用に抗して第1の回転軸105を中心に回転することができるように、ねじりダンパーを有することができる。第2の駆動シャフト75は、回転固定されるように、好ましくは直接、第2のロータ55に接続されている。第2の駆動シャフト75は、ハイブリッド変速機15の第2の入力側を形成している。
【0024】
第1のトルク伝達経路85は、第1の変速段120、第2の変速段125、シフト手段130、中間シャフト135、及び第2の軸受装置140を有する第1の伝達手段115を有する。
【0025】
中間シャフト135は、第1の駆動シャフト70と平行に配置され、第2の軸受装置140によって第2の回転軸145を中心に回転可能に配置されている。
【0026】
第1の変速段120は、第1のアイドラギア150及び第1の固定ギア155を有する。第1のアイドラギア150は、第1の駆動シャフト70上の第1の回転軸105を中心に回転可能に配置されている。第1の固定ギア155は、中間シャフト135上に回転固定されるように配置されている。
【0027】
第2の変速段125は、第2のアイドラギア160及び第2の固定ギア165を有する。第2のアイドラギア160は、第1の駆動シャフト70上の第1の回転軸105を中心に回転可能に配置されている。第2のアイドラギア160は、好ましくは、第1の回転軸105に対して第1のアイドラギア150から軸方向距離をおいて配置されている。第2の固定ギア165は、中間シャフト135上に回転固定されるように、第1の固定ギア155に対して軸方向にオフセットされて配置されている。
【0028】
実施形態において、第1のアイドラギア150及び第2のアイドラギア160、並びに第1の固定ギア155及び第2の固定ギア165は、例えば、スパーギアとして構成されている。第1のアイドラギア150は、第1の固定ギア155と噛み合うように互いに係合している。第1の変速段120は、第1の変速比を有する。第1の変速段120と同様に、第2のアイドラギア160と第2の固定ギア165とは、噛み合うように互いに係合している。第2のアイドラギア160は、好ましくは、第1のアイドラギア150とは幾何学的に異なるように構成され、第2の固定ギア165は、好ましくは、第1の固定ギア155とは異なるように構成されている。第2の変速段125は、第2の変速比を有する。第2の変速比は、第1の変速比とは異なる。特に、第2の変速比は、好ましくは、第1の変速段120の第1の変速比よりも長い。
【0029】
シフト手段130は、少なくともいくつかの領域において、第1の変速段120と第2の変速段125との間に軸方向に配置され得る。シフト手段130は、第1のクラッチ170、第2のクラッチ175、及び作動ユニット180を有する。作動ユニット180は、図1には示されておらず、作動ユニット180は、図3に詳細に示されている。作動ユニット180は、第1のクラッチ170と第2のクラッチ175とに機械的に接続されており、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175を作動させるように構成されている。第1のクラッチ170は、例えば、第1の形状嵌合クラッチ、特に第1の爪クラッチとして構成され得、第2のクラッチ175は、例えば、第2の形状嵌合クラッチ、特に第2の爪クラッチとして構成され得る。代替的に、第1のクラッチ170及び/又は第2のクラッチ175は、摩擦クラッチを有することも想定される。第1のクラッチ170及び/又は第2のクラッチ175はまた、同期させられ得る。
【0030】
シフト手段130は、少なくとも第1のシフト状態、第2のシフト状態、好ましくは第3のシフト状態を有する。加えて、シフト手段130は、第4のシフト状態及び/又は第5のシフト状態を採ることができる。第2のシフト状態及び第3のシフト状態の代替として想定される第1のシフト状態において、第1のクラッチ170が係合され、第2のクラッチ175が係合解除されている。第2のシフト状態において、第2のクラッチ175が係合され、第1のクラッチ170が係合解除されている。第3のシフト状態において、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175が係合解除されている。
【0031】
シフト手段130の第1のシフト状態において、第1のクラッチ170が係合されている。係合状態において、第1のクラッチ170は、第1の駆動シャフト70を第1のアイドラギア150に、トルクがロックされるように接続している。実施形態において、第1のクラッチ170は、例として、第1の形状嵌合クラッチとして構成されており、その結果、第1のシフト状態において、第1のクラッチ170が係合されたときに、第1のアイドラギア150は、第1の駆動シャフト70に、回転固定されるように接続されている。第1のクラッチ170の、係合解除状態から係合状態への係合を可能にするために、第1のクラッチ170は、第1の同期化手段を有することができる。第1の同期化手段は、例えば、一対の同期リングを備えることができる。更に、第1のシフト状態において、第2のクラッチ175は、第2のアイドラギア160が第1の駆動シャフト70に対して回転することができるように、係合解除されている。結果として、第1の変速段120は、第1の駆動シャフト70と中間シャフト135とが、第1の変速段120の第1の変速比に従ってトルクがロックされるように互いに接続されるように、係合される。
【0032】
シフト手段130の第2のシフト状態において、第2のクラッチ175が係合されている。係合状態において、第2のクラッチ175は、第1の駆動シャフト70を第2のアイドラギア160に、トルクがロックされるように接続している。実施形態において、第2のクラッチ170は、例として、第2の形状嵌合クラッチとして構成されており、その結果、第2のシフト状態において、第2のクラッチ175が係合されたときに、第2のアイドラギア160は、第1の駆動シャフト70に、回転固定されるように接続されている。第2のクラッチ175の、係合解除状態から係合状態への係合を可能にするために、第2のクラッチ175は、第2の同期化手段を有することができる。第2の同期化手段は、例えば、一対の同期リングを備えることができる。更に、第2のシフト状態において、第1のクラッチ170は、第2のアイドラギア160が第1の駆動シャフト70に対して回転することができるように、係合解除されている。このようにして、第2の変速段125が係合される。したがって、第2のシフト状態において、第1の駆動シャフト70は、第2に変速比に従って、第2の変速段125を介して中間シャフト135に、トルクがロックされるように接続されている。
【0033】
第3のシフト状態において、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175は、好ましくは係合解除されている。第3のシフト状態において、第1のアイドラギア150及び第2のアイドラギア160並びに第1の駆動シャフト70は、第1の回転軸105を中心に互いに対して回転することができる。第3のシフト状態は、例えば、第1のシフト状態と第2のシフト状態との間の中間位置又は中立位置とすることもできる。第3の変速位置において、2つの変速段120、125のいずれも係合されていない。
【0034】
差動装置65は、差動ギア185によってハイブリッド変速機15の出力側80に接続されている。差動装置65の差動ギア185は、例えば、第2のアイドラギア160から背を向けた側で、第2の固定ギア165と噛み合うように係合している。出力側において、差動装置65は、自動車の駆動輪を駆動するための、少なくとも2つの出力シャフト190に接続されている。
【0035】
第2のトルク伝達経路90は、第2の駆動シャフト75と出力側80との間に延在している。この点で、中間シャフト135及び第2の固定ギア165もまた、第2のトルク伝達経路90の一部である。実施形態において、第2のトルク伝達経路90は、例として、第2の伝達手段195及び好ましくは分離クラッチ200を有する。
【0036】
第2の伝達手段195は、分離クラッチ200と第2の駆動シャフト75との間に配置されている。分離クラッチ200は、中間シャフト135と第2の伝達手段195との間に配置されている。第2の伝達手段195は、第3の変速比を有し、第3の変速比は、好ましくは、第1の変速段120の第1の変速比よりも低く、第2の変速段125の第2の変速比よりも低い。
【0037】
第2の伝達手段195は、第3の固定ギア205及び第3のアイドラギア210を有する。第3のアイドラギア210及び第3の固定ギア205は、例として、スパーギアとして構成されており、噛み合うように互いに係合している。第3の固定ギア205は、第2の駆動シャフト75上に回転固定されるように配置されている。第2の駆動シャフト75、ひいては第3の固定ギア205は、第3の軸受装置215によって第3の回転軸220を中心に回転可能に装着されている。第3のアイドラギア210は、中間シャフト135上に配置されている。分離クラッチ200は、第3の形状嵌合クラッチとして、例えば、第3の爪クラッチとして構成され得、係合状態において、中間シャフト135を、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように、第3のアイドラギア210に接続している。更に、分離クラッチ200は、同期化され得る。
【0038】
分離クラッチ200の係合解除状態において、第3のアイドラギア210及び中間シャフト135は、第2の回転軸145を中心に互いに対して回転することができる。分離クラッチ200の係合状態において、第3のアイドラギア210は、中間シャフト135に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続されている。結果として、第2の電気機械30の第2のロータ55は、中間シャフト135に、第2の伝達手段195及び分離クラッチ200を介して回転固定されるように接続されている。
【0039】
中間シャフト135は、第1のトルク伝達経路85と第2のトルク伝達経路90との接合点を形成している。中間シャフト135を介して、第2の駆動シャフト75は、第2の固定ギア165に接続され、その上に出力側80が配置されている。
【0040】
ハウジング266は、車両内に固定されるように配置されている。ハイブリッド変速機15の構成要素は、ハウジング266内に配置されている。実施形態において、パーキングロック265は、例として、第1のアイドラギア150と、第2の駆動シャフト75を有する第3の固定ギア205との間に、軸方向に配置されている。パーキングロック265は、係合状態において第2の駆動シャフト75に係合しており、第2の駆動シャフト75をハウジング266に、回転固定されるように接続している。パーキングロック265の係合解除状態において、パーキングロック265が解除され、その結果、第2の駆動シャフト75は、ハウジング266から切り離されている。
【0041】
図2は、図1に示す駆動トレイン10の構造的実施形態の断面図である。
【0042】
例として、中間シャフト135及び第2の駆動シャフト75は、中空シャフトとして構成されている。第1の駆動シャフト70は、例として、実施形態では簡単に構成されている、ダンパーシステム35のねじりダンパーを介してクランクシャフト40に接続されている。第1の軸受装置100は、第1の駆動シャフト70を、第1の駆動シャフト70が、第3の軸受装置215を介して第3の回転軸220を中心に回転可能に装着された第2の駆動シャフト75と平行に配置されるように支持している。実施形態において、第1の駆動シャフト70及び第2の駆動シャフト75は、例として、非同期で設けられており、爪クラッチとして構成されているが、分離クラッチ200は、例えば、第3の同期手段を有する。
【0043】
実施形態において、第1の固定ギア155は、例として、中間シャフト135上に回転固定されるように装着されているが、第2の固定ギア165は、例えば、中間シャフト135の歯形部であり、次いで、その端面上に、装着された第1の固定ギア155が配置され得る。また、第3の固定ギア205は、第2の駆動シャフト75の歯形部として形成されており、その結果、第3の固定ギア205と第2の駆動シャフト75とは、一体的かつ同じ材料で形成されている。第3の軸受装置215、特に図2の左側に配置された第3の軸受装置215の軸受の潤滑を確実にするために、第2の駆動シャフト75が中空シャフトとして構成される場合、特に有利である。更に、これにより、第3の回転軸220を中心とする回転質量を最小限に保つことができる。
【0044】
図3は、図1に示す駆動トレイン10の概略図の、図1に印を付けた部分Aである。
【0045】
作動ユニット180は、電気的かつ/又は液圧的に作動するアクチュエータ225と、シフトドラム230と、作動リンク235と、第1のシフトフォーク240と、好ましくは第2のシフトフォーク245と、少なくとも第1のシフトリンケージ250と、第2のシフトリンケージ255と、好ましくは第3のシフトリンケージ260と、を有する。
【0046】
アクチュエータ225は、シフトドラム230に回転固定されるように接続されている。アクチュエータ225は、ドラム軸261を中心にシフトドラム230を回転させることができる。ドラム軸261は、第1~第3の回転軸105、145、220と平行に整列され得る。作動リンク235は、シフトドラム230上に配置されており、少なくとも第1のリンク270を有する。第1のリンク270は、シフト手段130の第1~第3のシフト状態と関連付けられている。加えて、作動リンク235の第2のリンク275は、分離クラッチ200と関連付けられたシフトドラム230上に配置され得る。第2のリンク275は、第1のリンク270とは異なる形状を有し、実質的に円周方向に延在している。第1のリンク270と第2のリンク275とを組み合わせて、共通の第1のリンク270及び第2のリンク275を形成することができる。
【0047】
更に、シフトドラム230上の作動リンク235は、第3のリンク280を有することができる。第3のリンク280は、例えば、パーキングロック265と関連付けられている。第1のリンク270、第2のリンク275、及び第3のリンク280は、異なる形状を有することができる。第1~第3のリンク270、275、280は各々、円周方向制御面及び/又は端面制御面を有するカムディスクとして構成され得、かつ/又は溝形状であり得る。
【0048】
第1のシフトリンケージ250は、一方の側において第1のシフトフォーク240に接続されている。一方で、第1のシフトリンケージ250は、第1のリンクブロック285に接続されており、作動リンク235の第1のリンクブロック285は、第1のリンク270に係合している。第1のシフトフォーク240は、次いで、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175に、特に第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175のシフトスリーブに接続されている。第1のリンク270は、異なる形状を有し、特に、達成されるシフト手段130のシフト状態に応じて、シフトドラム230の端面290から一定の距離をおいて配置されている。
【0049】
パーキングロック265と分離クラッチ200との接続は、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175のシフトドラム230への接続と同様に構成されている。作動リンク235の第2のリンクブロック295は、第2のリンク275に抗して戴置しており、一方の側において第2のシフトリンケージ255に接続されている。一方で、第2のシフトリンケージ255は、第2のシフトフォーク245に接続されており、第2のシフトフォーク245は、分離クラッチ200の摺動スリーブを作動させる。
【0050】
作動リンク235の第3のリンクブロック300は、第3のリンク280に抗して戴置している。第3のシフトリンケージ260は、一方の側で第3のリンクブロック300に接続されており、パーキングロック265を作動させる。
【0051】
シフトドラム230は、ドラム軸261を中心に円周方向に回転することができる。アクチュエータ225によって調整され得る、シフトドラム230のドラム位置に応じて、個々のシフト状態が設定される。結果として、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、存在する場合は分離クラッチ200、及びパーキングロック265は各々、シフトドラム230の回転によって設定される。
【0052】
図4は、第1の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10である。図5は、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、パーキングロック265、並びに分離クラッチ200のそれぞれの状態を示す図である。
【0053】
ここで、矢印は、動力伝達を記号で表すために図4で使用されている。図4及び図5は、ともに以下で説明される。図5において、図4に対応する第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、パーキングロック265、並びに分離クラッチ200の状態が、下部に示す太い矢印によって象徴的に示されている。
【0054】
図5において、縦軸の数字1は、第1のクラッチ170、パーキングロック265、及び分離クラッチ200の各場合における係合状態/作動状態を示している。数字0は、第1のクラッチ170、第2のクラッチ175、パーキングロック265、及び分離クラッチ200の各場合における係合解除状態/非作動状態を示している。数字2は、第2のクラッチ175の係合状態を示している。
【0055】
第1の動作状態において、パーキングロック265が係合解除されている。シフト手段130は、第3の変速位置に設定されている。更に、分離クラッチ200は、第3のシフト状態で係合されている。第1の動作状態において、内燃機関20が作動し、クランクシャフト40に第1の駆動力P1を提供している。第1の駆動力P1には、クランクシャフト40における第1の回転軸を中心とする回転不均一性が設けられ得る。第1の駆動力P1は、ダンパーシステム35を介して第1の駆動シャフト70に伝達される。第1の駆動シャフト70は、ロータキャリア95を介して第1の電気機械25の第1のロータ45を駆動する。第1の駆動力P1は、ロータキャリア95を介して、発電機として動作する第1の電気機械25に完全に伝達される。
【0056】
第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175の係合解除状態により、第1の駆動シャフト70は、第1のアイドラギア150及び第2のアイドラギア160に対して自由に回転することができる。第1の動作状態において、第1の電気機械25は、発電機として動作し、第1の駆動力P1から第1の電気機械25によって生成された電気エネルギーは、車両の電気エネルギー貯蔵システムに供給され得る。また、第1の駆動力P1によって生成された第1の電気エネルギーの一部又は全ては、第2の電気機械30に直接提供され得る。したがって、第1の動作状態において、駆動トレイン10は、直列ハイブリッドとして動作する。
【0057】
第1の動作状態において、第2の電気機械30は、第2のロータ55に第2の駆動力P2を提供し、この第2の駆動力P2は、第2のロータ55から第2の駆動シャフト75に伝達される。第2の駆動力P2は、第1の駆動力P1とは異なる可能性がある。第2の駆動力P2は、第2の伝達手段195を介して分離クラッチ200に伝達される。分離クラッチ200は、係合され、かつ第2の伝達手段195を中間シャフト135に接続している。中間シャフト135は、第2の固定ギア165を介して第2の駆動力P2を出力側80に伝達する。出力側80において、第2の駆動力P2は、差動装置65の差動ギア185に伝達される。差動装置65は、第2の駆動力P2を出力シャフト190に分配して自動車を駆動する。
【0058】
図6は、第2の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10の概略構造である。図7は、パーキングロック265、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに分離クラッチ200の状態を記号化して示している。図8は、第2の動作状態中、図6に示す駆動トレイン10の概略図の、図6に示す部分Bである。
【0059】
第2の動作状態において、パーキングロック265が係合解除されている。シフト手段130は、第1のシフト状態にあり、その結果、第1のクラッチ170が係合解除され、第2のクラッチ175が係合されている。また、分離クラッチ200は、第1のシフト状態で係合されている。
【0060】
第2の動作状態において、内燃機関20は、クランクシャフト40に第1の駆動力P1を提供し、第1の駆動力P1は、ダンパーシステム35を介して第1の駆動シャフト70に伝達される。第1の駆動力P1の第1の部分TP1は、第1の駆動シャフト70からロータキャリア95を介して第1の電気機械25に伝達され、第1の電気機械25は、発電機として動作する。電気エネルギーは、第1の駆動力P1の第1の部分TP1から生成され、例えば、電気エネルギー貯蔵システムに供給され得る。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、第1の駆動シャフト70から第1の係合クラッチ170を介して第1のアイドラギア150に伝達される。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、第1のアイドラギア150から第1の固定ギア155に伝達され、第1の変速比に従って速度及びトルクを変化させる。第1の固定ギア155は、中間シャフト135を駆動する。
【0061】
第2の動作状態において、駆動トレイン10は、並列ハイブリッドとして動作する。ここで、第2の電気機械30は、モータとして動作する。第2のロータ55は、第2の駆動力P2を提供し、第2の駆動力P2は、第2のロータ55から第2の駆動シャフト75に直接伝達される。係合している分離クラッチ200を通して、第2の駆動力P2は、第2の伝達手段195を介して第2の分離クラッチ200に伝達され、第2の分離クラッチ200は、第2の駆動力P2を中間シャフト135に導入する。したがって、中間シャフト135は、第2の駆動力P2と、第1の駆動力P1の第2の部分TP2との合計要素として機能する。第2の駆動力P2と、第1の駆動力P1の第2の部分TP2との合計は、中間シャフト135から第2の固定ギア165を介して出力側80に伝達される。出力側80からは、第2の駆動力P2と、第1の駆動力P1の第2の部分TP2との合計が、差動装置65に伝達され、出力シャフト190を介して車両を駆動する。
【0062】
図3の文脈で既に説明したように、第2の動作状態と、それに対応する、パーキングロック265、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに分離クラッチ200の設定は、アクチュエータ225によるシフトドラム230の、対応する回転によって達成される。図3と比較して、図8のシフトドラム230は、それぞれのリンクブロック285、295、300がそれぞれ関連するリンク270、275、280に異なる位置で係合するように円周方向に回転され、それに応じて、第1のクラッチ170が係合され、第2のクラッチ175が係合解除され、パーキングロック265が係合解除され、分離クラッチ200が係合される。
【0063】
第1の変速段120の第1の変速比が第2の変速段125と比較して低いため、内燃機関20は、車両を駆動するために、既に低い駆動速度で作動され得る。内燃機関20と第2の電気機械30との並列動作により、内燃機関20の良好な加速挙動及び低燃費が確保される。特に、第2の電気機械30によって提供される第2の駆動力P2は、第1の駆動力P1、特に第1の駆動力P1の第2の部分TP2よりも著しく大きくすることができる。
【0064】
図9は、第3の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10の構造である。図10は、パーキングロック265、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに分離クラッチ200の状態を記号化して示している。図11は、第3の動作状態における、図9に示す駆動トレイン10の、図9に印を付けた部分Cである。
【0065】
第3の動作状態において、パーキングロック265が係合解除されている。更に、シフト手段130は、第2のシフト状態に設定されており、その結果、第2のクラッチ175が係合され、第1のクラッチ170が係合解除されている。分離クラッチ200が係合されている。
【0066】
第3の動作状態において、駆動トレイン10は、並列ハイブリッドとして動作する。第3の動作状態に変更するために、シフトドラム230は、アクチュエータ225によって円周方向に回転され、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、分離クラッチ200、並びにパーキングロック265は、それぞれのシフトリンケージ250、255、260を介して設定される。
【0067】
第3の動作状態は、図6に関連して記載された第2の動作状態と基本的に同一である。以下において、図9に示す第3の動作状態と、図6図8に関して記載された第2の動作状態との差異についてのみ考察する。第3の動作状態において、駆動トレイン10は、図6に設定された第1の変速段120の代わりに、第2の変速段125で動作する。したがって、第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、第1の駆動シャフト70から中間シャフト135へ、出力側80へと、第1の変速段120を介する代わりに第2の変速段125を介して伝達される。また、中間シャフト135は、第2の電気機械30からの第2の駆動力P2と、第2の変速段125を介して伝達される第1の駆動力P1の第2の部分TP2とを合計するための合計要素として機能する。
【0068】
第1の変速比と比較して第2の変速比が高いため、第3の動作モードは、高速時、特に高速時(例えば、>50km/h)の車両の動的加速に特に好適である。
【0069】
図12は、第4の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10である。図13は、第4の動作状態における、パーキングロック265、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに分離クラッチ200の状態を記号化して示している。図14は、第4の動作状態における、図12に示す駆動トレイン10の、図12に印を付けた部分Dである。
【0070】
第4の動作状態において、シフト手段130は、第4のシフト状態に設定されている。第4のシフト状態は、基本的に第2のシフト状態に対応しており、その結果、第1のクラッチ170が係合解除され、第2のクラッチ175が係合されている。更に、分離クラッチ200が係合解除されている。
【0071】
第4の動作状態において、第2の電気機械30が非作動状態である。第1の電気機械25は、発電機として動作するように設定されている。内燃機関20は、クランクシャフト40に第1の駆動力P1を提供し、この第1の駆動力P1は、ダンパーシステム35を介して第1の駆動シャフト70に導入される。第1の駆動力P1の第1の部分TP1は、ロータキャリア95を介して第1のロータ45に伝達される。第1の電気機械25は、第1の駆動力P1の第1の部分TP1によって電気エネルギーを生成し、この電気エネルギーは、電気エネルギー貯蔵システムに供給される。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、第1の駆動シャフト70から第2のクラッチ175に伝達される。第2のクラッチ175の係合状態により、ハイブリッド変速機15は、第2の変速段125に設定されている。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、第2の変速比を有する第2の変速段125を介して、中間シャフト135上の第2の固定ギア165に伝達される。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、出力側80に提供される。第1の駆動力P1の第2の部分TP2は、自動車を駆動するために、差動装置65を介して出力シャフト190を駆動するために使用される。第4の動作状態は、内燃機関20が、第1の駆動力P1の第1の部分TP1を選択することによって最適な動作範囲で動作され得るという利点を有する。更に、これにより、車両の電気エネルギー貯蔵システムが、第1の駆動力P1の第1の部分TP1で充電されることが可能になる。
【0072】
シフトドラム230の円周方向における位置は、第1の動作状態から第3の動作状態までで異なる。分離クラッチ200を係合解除することにより、第2のトルク伝達経路90を介した第2の電気機械30の負荷が回避される。これにより、内燃機関20は、低燃費で特にエネルギー効率の良い方法で動作することが可能になる。
【0073】
図15は、第5の動作状態における、図1に示す駆動トレイン10の概略図である。図16は、パーキングロック265、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに分離クラッチ200の状態の概略図である。図17は、図15に示す駆動トレイン10の、図15に印を付けた部分Eである。
【0074】
図15図17において、パーキングロック265は、第5の動作状態で係合されている。更に、シフト手段130は、基本的に第1のシフト状態に対応している第5のシフト状態に設定されている。第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175が係合解除されている。更に、分離クラッチ200が係合されている。
【0075】
第5の動作状態において、駆動トレイン10は、パーキングモードにある。内燃機関20は、非作動状態である。係合している分離クラッチ200により、第2のトルク伝達経路90は、閉じられ、第2の伝達手段195は、第2の駆動シャフト75を中間シャフト135に、回転固定されるように接続する。中間シャフト135は、次いで、差動装置65を介して出力シャフト190に接続される。パーキングロック265は、第2の駆動シャフト75をハウジング266に接続し、その結果、第2の駆動シャフト75は、回転が阻止される。結果として、出力シャフト190の回転は、パーキングロック265及び係合している第2のクラッチ175を介して阻止される。
【0076】
図18は、第2の実施形態による、駆動トレイン10の概略図である。図19は、図18に示す駆動トレイン10の構造的実施形態の断面図である。
【0077】
駆動トレイン10は、図1及び図2に示す第1の実施形態による、駆動トレイン10と基本的に同一である。以下において、図18に示す駆動トレイン10と、図1及び図2に示す駆動トレイン10との差異についてのみ考察する。
【0078】
図1図17と比較して、図18及び図19では分離クラッチ200が省略されており、その結果、図1図17で指定された第3のアイドラギア210は、中間シャフト135上に、回転固定されるように配置され、したがって、図1図17で指定された第3のアイドラギア210は、図18及び図19では第4の固定ギアとして機能する。動作モード及び様々な動作状態は、図1図14に示す実施形態に類似して採用することができ、第4の動作状態において、第2のロータ55は、分離クラッチ200が存在しないため、第2の伝達手段195を介して中間シャフト135に、回転固定されるように接続されている。結果として、内燃機関20はまた、第4の動作状態において、第2の電気機械30の負荷を受けなければならない。
【0079】
図1図19において特に有利なことは、動作状態を変更するとき、したがって第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175並びに分離クラッチ200(存在する場合)を作動させるとき、各場合において連結される構成要素が同期されなければならないことである。これは、第1のクラッチ170及び/若しくは第2のクラッチ175並びに/又は分離クラッチ200に、機械的同期化手段を使用して達成され得る。追加的又は代替的に、連結される構成要素間の差動速度が可能な限り低く保たれるか、又は第1の電気機械25及び/若しくは第2の電気機械30の、対応する制御を介して既に同一速度にされることも想定される。
【0080】
上述した駆動トレイン10の実施形態及び駆動トレイン10の様々な動作状態は、一方において、駆動トレイン10が特に単純で費用効果の高い機械構成を有するという利点を有する。更に、構成要素の数を特に少なく保つことができ、その結果、ハイブリッド変速機15の内部摩擦損失を最小限に保つことができる。第1のクラッチ170及び/若しくは第2のクラッチ175並びに/又は分離クラッチ200に爪クラッチを使用することにより、特に摩耗の少ない費用効果の高いクラッチが使用され得る。
【0081】
更に、第1のクラッチ170及び第2のクラッチ175、並びに場合によっては分離クラッチ200及びパーキングロック265を設定するために、シフト手段130によって提供されるように、1つのアクチュエータ225のみが必要とされる。これにより、ハイブリッド変速機15の特に単純な構成に更に寄与する。図1図19に示す駆動トレイン10の実施形態の更なる展開において、例えば、ダンパーシステム35がロータキャリア95の内側に径方向に配置され得、その結果、駆動トレイン10の軸方向の設備スペース要件が更に低減される。必要に応じて、任意選択的なスリップクラッチがダンパーシステム35に組み込まれ得、その結果、ハイブリッド変速機15の過負荷が回避される。これにより、ハイブリッド変速機15は、特に衝撃トルクから保護されることが可能になる。
【0082】
変速品質を更に向上させるために、更なる同期化手段、例えば、同期リング及び/又はロックリングが、電気機械25、30を介した同期化及び速度差の低減に加えて設けられ得る。これらは、例えば、同期化されたマニュアル変速機と同様に構成され得る。
【0083】
第1のクラッチ170と第2のクラッチ175とを交互に作動させることにより、両方のクラッチ170、175が誤って係合しないことが確実にされる。これにより、ハイブリッド変速機15の破損につながり得る制御エラーを防止することができる。
【0084】
また、駆動トレイン10の第1の動作状態は、内燃機関20をオフにするのにも好適であることに留意されたい。第1の電気機械25及び第2の電気機械30の構成に関しては、第2の電気機械30は、好ましくは、第1の電気機械25よりも強力に構成される。特に、とりわけ強力な第2の電気機械30は、特に良好な駆動ダイナミクスを有する駆動トレイン10を確保することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 駆動トレイン
15 ハイブリッド変速機
20 内燃機関
25 第1の電気機械
30 第2の電気機械
35 ダンパーシステム
40 クランクシャフト
45 第1のロータ
50 第1のステータ
55 第2のロータ
60 第2のステータ
65 差動装置
70 第1の駆動シャフト
75 第2の駆動シャフト
80 出力側
85 第1のトルク伝達経路
90 第2のトルク伝達経路
95 ロータキャリア
100 第1の軸受装置
105 第1の回転軸
110 ばね要素
115 第1の伝達手段
120 第1の変速段
125 第2の変速段
130 シフト手段
135 中間シャフト
140 第2の軸受装置
145 第2の回転軸
150 第1のアイドラギア
155 第1の固定ギア
160 第2のアイドラギア
165 第2の固定ギア
170 第1のクラッチ
175 第2のクラッチ
180 作動ユニット
185 差動ギア
190 出力シャフト
195 第2の伝達手段
200 分離クラッチ
205 第3の固定ギア
210 第3のアイドラギア
215 第3の軸受装置
220 第3の回転軸
225 アクチュエータ
230 シフトドラム
235 作動リンク
240 第1のシフトフォーク
245 第2のシフトフォーク
250 第1のシフトリンケージ
255 第2のシフトリンケージ
260 第3のシフトリンケージ
261 ドラム軸
265 パーキングロック
266 ハウジング
270 第1のリンク
275 第2のリンク
280 第3のリンク
285 第1のリンクブロック
290 端面
295 第2のリンクブロック
300 第3のリンクブロック
P1 第1の駆動力
P2 第2の駆動力
TP1 (第1の駆動力の)第1の部分
TP2 (第1の駆動力の)第2の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車の駆動トレイン(10)用ハイブリッド変速機(15)であって、
-前記ハイブリッド変速機(15)が、第1の駆動シャフト(70)と、第2の駆動シャフト(75)と、出力側(80)と、前記第1の駆動シャフト(70)と前記出力側(80)との間に延在する第1のトルク伝達経路(85)と、を有し、
-前記第1のトルク伝達経路(85)が、第1の伝達手段(115)を有し、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、第1の電気機械(25)の第1のロータ(45)に、回転固定されるように、かつ内燃機関(20)のクランクシャフト(40)に、トルクがロックされるように接続され得、前記第2の駆動シャフト(75)が、第2の電気機械(30)の第2のロータ(55)に、回転固定されるように接続され得、
-前記第1の伝達手段(115)が、シフト手段(130)と、第1の変速比を有する第1の変速段(120)と、前記第1の変速比とは異なる第2の変速比を有する第2の変速段(125)と、を有し、
-前記シフト手段(130)の第1のシフト状態において、前記シフト手段(130)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1の変速段(120)に接続し、前記第1の変速段(120)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記出力側(80)に連結しており、
-前記第1のシフト状態とは異なる、前記シフト手段(130)の第2のシフト状態において、前記シフト手段(130)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第2の変速段(125)に接続し、前記第2の変速段(125)が、前記第1の駆動シャフト(70)を前記出力側(80)に連結している、ハイブリッド変速機(15)。
【請求項2】
-前記シフト手段(130)が、第1のクラッチ(170)、特に第1の形状嵌合クラッチ、及び第2のクラッチ(175)、特に第2の形状嵌合クラッチを有し、
-前記第1のシフト状態において、前記第1のクラッチ(170)が、係合され、かつ前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1の変速段(120)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第2のクラッチ(175)が、前記第1のシフト状態において係合解除されており、
-前記第2のシフト状態において、前記第2のクラッチ(175)が、係合され、かつ前記第1の駆動シャフト(70)を前記第2の変速段(125)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第1のクラッチ(170)が、前記第2のシフト状態において係合解除されている、請求項1に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項3】
-前記シフト手段(130)が、電気的かつ/又は液圧的に作動するアクチュエータ(225)と、前記アクチュエータ(225)に接続されたシフトドラム(230)と、作動リンク(235)と、少なくとも第1のシフトリンケージ(250)と、を有し、
-前記作動リンク(235)が、前記シフトドラム(230)上に配置された第1のリンク(270)と、前記第1のリンク(270)上に配置され、かつ前記第1のシフトリンケージ(250)に接続された、少なくとも1つの第1のリンクブロック(285)と、を有し、
-前記第1のリンクブロック(285)が、前記第1のシフトリンケージ(250)によって前記第1のクラッチ(170)に連結されており、
-前記シフトドラム(230)が、ドラム軸(261)を中心に回転可能になるように配置されており、
-前記第2のシフト状態において、前記シフトドラム(230)が、前記第1のシフト状態に対して回転される、請求項2に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項4】
-前記第2の駆動シャフト(75)と前記出力側(80)との間に延在する、第2の伝達手段(195)及び分離クラッチ(200)を有する第2のトルク伝達経路(90)を有し、
-前記分離クラッチ(200)が、前記第2の伝達手段(195)と前記出力側(80)との間に配置されており、
-前記分離クラッチ(200)の係合解除状態において、前記分離クラッチ(200)が、前記出力側(80)を前記第2の伝達手段(195)から分離し、前記分離クラッチ(200)の係合状態において、前記分離クラッチ(200)が、前記第2の伝達手段(195)を前記出力側(80)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項5】
-前記第1の駆動シャフト(70)が、第1の回転軸(105)を中心に回転可能に装着されており、
-前記第1の伝達手段(115)が、前記第1の回転軸(105)を中心に回転可能に装着された第1のアイドラギア(150)、及び前記第1の回転軸を中心に回転可能に装着された第2のアイドラギア(160)を有し、
-前記シフト手段(130)が、前記第1のアイドラギア(150)と前記第2のアイドラギア(160)との間で、前記第1の回転軸(105)に対して軸方向に配置されており、
-前記第1のクラッチ(170)が、前記係合状態において、前記第1の駆動シャフト(70)を前記第1のアイドラギア(150)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続しており、
-前記第2のクラッチ(175)が、前記係合状態において、前記第2のアイドラギア(160)を前記第1の駆動シャフト(70)に、トルクがロックされるように、好ましくは回転固定されるように接続している、請求項2に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項6】
-前記第1の伝達手段(115)が、前記第1の回転軸(105)と平行に延在する第2の回転軸(145)を中心に回転可能に装着された中間シャフト(135)と、第1の固定ギア(155)と、第2の固定ギア(165)と、を有し、
-前記第1の固定ギア(155)及び前記第2の固定ギア(165)が各々、前記中間シャフト(135)に、回転固定されるように接続されており、
-前記第1のアイドラギア(150)と前記第1の固定ギア(155)とが、噛み合うように互いに係合しており、
-前記第2のアイドラギア(160)と前記第2の固定ギア(165)とが、噛み合うように互いに係合している、請求項5に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項7】
-パーキングロック(265)と、ハウジング(266)と、を有し、
-前記パーキングロック(265)が、係合解除状態及び係合状態に設定され得、
-前記パーキングロック(265)が、前記係合状態において、前記第2の駆動シャフト(75)を前記ハウジング(266)に接続し、かつ前記第2の駆動シャフト(75)の回転を阻止し、
-前記パーキングロック(265)の前記係合解除状態において、前記第2の駆動シャフト(75)が、第3の回転軸(220)を中心に回転可能である、請求項1に記載のハイブリッド変速機(15)。
【請求項8】
ハイブリッド車用駆動トレイン(10)であって、
-請求項1に記載のハイブリッド変速機(15)と、第1のロータ(45)を有する第1の電気機械(25)と、第2のロータ(55)を有する第2の電気機械(30)と、を有し、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、内燃機関(20)のクランクシャフト(40)に連結され得、
-前記第1の駆動シャフト(70)が、前記第1のロータ(45)に回転固定されるように接続され、前記第2の駆動シャフト(75)が、前記第2のロータ(55)に回転固定されるように接続されており、
-前記第1の伝達手段(115)が、好ましくは、前記第1のロータ(45)と前記第2のロータ(55)との間に配置されている、駆動トレイン(10)。
【請求項9】
駆動トレイン(10)を動作させるための方法であって、
-請求項8に記載の駆動トレイン(10)が提供され、
-第1の駆動力(P1)が、前記第1の駆動シャフト(70)に導入され、
-前記第1の電気機械(25)が、電気エネルギーを生成するための前記第1の駆動力(P1)の第1の部分(TP1)によって発電機として動作し、
-前記シフト手段(130)が、前記第1のシフト状態に設定され、
-前記第1の駆動力(P1)の第2の部分(TP2)が、前記第1の変速段(120)を介して出力側(80)に伝達されるか、
-又は
-前記シフト手段(130)が、前記第2のシフト状態に設定され、
-前記第1の駆動力(P1)の第2の部分(TP2)が、前記第2の変速段(125)を介して出力側(80)に伝達される、方法。
【請求項10】
-前記第2の電気機械(30)が、第2の駆動力(P2)を前記第2の駆動シャフト(75)に導入し、
-前記第2の駆動力(P2)が、前記第2のトルク伝達経路(90)を介して前記出力側(80)に伝達され、
-前記第1の駆動力(P1)の前記第2の部分(TP2)及び前記第2の駆動力(P2)が、前記車両を駆動するために前記出力側(80)に提供される、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】