IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2025-502314着色クリアコート組成物、及びそのような着色クリアコート組成物の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】着色クリアコート組成物、及びそのような着色クリアコート組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 7/41 20180101AFI20250117BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250117BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C09D7/41
C09D201/06
C09D175/04
C09D7/63
B05D1/36 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542156
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2023050260
(87)【国際公開番号】W WO2023135067
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22151319.5
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルテ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】エデルブロック,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヒッベ,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075CB06
4D075DB01
4D075DB02
4D075DB05
4D075DB07
4D075DB31
4D075DB35
4D075DB37
4D075DB38
4D075DB39
4D075DB40
4D075DB43
4D075DB47
4D075DB48
4D075DB52
4D075EA43
4D075EB22
4D075EB32
4D075EB35
4D075EB38
4D075EB45
4D075EC11
4J038DA162
4J038DG021
4J038DG111
4J038DG191
4J038DG261
4J038DG301
4J038GA03
4J038GA11
4J038KA03
4J038KA08
4J038NA01
4J038NA03
4J038NA09
4J038PB07
(57)【要約】
本発明は、官能基(i)を有する少なくとも1種のバインダー樹脂(A)、官能基(i)と反応性である官能基(ii)を有する少なくとも1種の硬化剤(B)、及び少なくとも1種の顔料(C)を含む着色クリアコート組成物に関し、ここで、この着色クリアコート組成物(TCC)は、(a)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程、(b)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程、(c)クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程、(d)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程、(e)該当する場合、工程(d)で得られた混合物を、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分と混合する工程によって製造可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 官能基(i)を有する少なくとも1種のバインダー樹脂(A)
- 官能基(i)と反応性である官能基(ii)を有する少なくとも1種の硬化剤(B)、及び
- 少なくとも1種の顔料(C)
を含む着色クリアコート組成物(TCC)であって、
この着色クリアコート組成物(TCC)が、
(a)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程、
(b)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程、
(c)前記クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を、前記少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程、
(d)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程、
(e)該当する場合、工程(d)で得られた混合物を、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分と混合する工程
によって製造可能である、着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項2】
前記少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)の製造が、前記少なくとも1種の顔料(C)を含む混合物の少なくとも1つの粉砕工程を含む、請求項1に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項3】
その製造が、
(a)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程、
(b)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程、
(c)前記クリアコートシステム(CS)の一部を、前記少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程であって、組み合わせる前記クリアコートシステム(CS)の一部が少なくとも1種のバインダー樹脂(A)を含有する、工程、
(d)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程、
(e)工程(d)で得られた混合物を、前記クリアコートシステム(CS)の残りの部分、及び該当する場合、前記着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分と混合する工程
を含む、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項4】
前記クリアコートシステム(CS)が、少なくとも1種のバインダー樹脂(A)を含む主バインダー成分(I)と、少なくとも1種の硬化剤(B)を含む硬化剤成分(II)とを含む2成分クリアコートシステムであり、工程(c)で適用される前記クリアコートシステム(CS)の部分が、主バインダー成分(I)の全部又は一部である、請求項3に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項5】
工程(c)で適用される前記クリアコートシステム(CS)の部分が主バインダー成分(A)の一部である、請求項4に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項6】
工程(c)において、前記主バインダー成分(I)の全部又は一部と前記少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)との質量比が、10:90~99:1、より好ましくは15:85~98:5、さらにより好ましくは20:80~97:3である、請求項4に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項7】
工程(d)の後に得られる混合物が、25%以下、好ましくは1~20%のヘイズを有する、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項8】
少なくとも1種のバインダー樹脂(A)が官能基としてヒドロキシル基を有し、硬化剤(B)が遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである、請求項4に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項9】
少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)が顔料(C)として有機顔料を含有する、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項10】
溶媒ベースのコーティング組成物である、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項11】
前記顔料(C)が、前記着色クリアコート組成物の総質量に基づいて、0.05~10質量%、好ましくは0.1~4質量%、非常に好ましくは0.1~1.0質量%の総量で存在する、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)。
【請求項12】
以下の工程:
(a)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程と、
(b)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程と、
(c)前記クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を、前記少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程と、
(d)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程と、
(e)該当する場合、工程(d)で得られた混合物を、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分と混合する工程と
を含む、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)を製造する方法。
【請求項13】
以下の工程:
(1)任意にプレコートされた基材を提供する工程と、
(2)工程(1)による任意にプレコートされた基材に、顔料ベースコート組成物を適用し、それにより第1ベースコートフィルムを製造する工程と、
(3)任意に、工程(2)で適用されたベースコート組成物とは異なる少なくとも1種のさらなる顔料ベースコート組成物を、工程(1)の後に基材上に存在する第1ベースコートフィルムに適用し、それにより、第1ベースコートフィルムの上に少なくとも1つのさらなるベースコートフィルムを製造する工程と、
(4)工程(2)及び任意の工程(3)で製造された最上部のベースコートフィルムに着色クリアコート組成物を適用し、それによって前記の最上部のベースコートフィルムの上に着色クリアコートフィルムを製造する工程と、
を含む、多層コーティングを製造する方法であって、
工程(4)で適用される着色クリアコート組成物が、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)である、方法。
【請求項14】
工程(5)、すなわち、
(5)工程(2)~(4)で適用されたフィルムを共同硬化させる工程
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(2)及び任意の工程(3)で適用されるベースコート組成物が水性組成物である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
コーティング、特に多層コーティングの色彩特性を改善するための、請求項1又は2に記載の着色クリアコート組成物(TCC)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色クリアコート組成物、その製造方法、着色クリアコート組成物によって製造された層を含む多層コーティング、そのような多層コーティングの製造方法、及び着色クリアコート組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング、特に多層コーティングの色彩特性は、自動車コーティング産業のような様々なコーティング関連産業分野において主要な役割を果たしている。知られているように、従来、コーティングの色及び/又は効果は、主にベースコート組成物(すなわち、比較的に多量の顔料を含有し、したがって高い不透明度を有するコーティング組成物であるため、それぞれのベースコートコーティング層が最終的にコーティング全体の色を大きく決定することを意味する)に影響される。クリアコート組成物及びそれから製造される層は、それぞれ従来的に、耐候性、機械的安定性(例えば耐スクラッチ性)、さらに光沢特性、外観及び透明性(すなわち、主としてそのような色に関連しない審美的特性)において主要な機能を有する。
【0003】
しかしながら、知られているように、最近では、着色クリアコート組成物及びそれぞれのコーティング層によって、特定の色彩特性も達成する努力がなされている。これにより、着色クリアコートは、特定の量の顔料、すなわち、同時に、コーティングの全体的な色に寄与するが、完全な不透明性には至らなく、従って、下のベースコート層の視覚的な認識を可能にする量を含有する。クリアコートの全体的な特性、性質、機能が維持されることは当然であるが、着色は、優れたクロマ(彩度、色深度)及び色相のような、コーティング全体の非常に特殊な色彩特性に寄与する。ベースコートの色彩特性と着色クリアコート(あるいは複数の着色クリアコート)の色彩特性を一致させることで、驚くべき色彩品質とバリエーションを達成することができる。
【0004】
しかしながら、この点に関する基本的な懸念は、着色クリアコート組成物及びそれぞれのコーティングの適切な透明性、すなわち非常に高い透明性と低いヘイズを示すコーティングを達成することにある。下層のクリアコートシステムへの顔料の統合は大きな課題である。このような優れた統合がなければ、霞んだ乳白色の光学的印象が生じるかもしれない。
EP1406978B1は、顔料ペーストの形態の複数の着色剤を含むコーティング組成物を開示しており、ここで、顔料ペーストは、激しく粉砕され、したがって、非常に低い粒径の顔料を含有する。このコーティング組成物は、例えば再塗装工程内において、既に存在するコーティングとの良好な色合わせのために役立つ。したがって、このコーティング組成物はベースコート組成物として機能する。ペースト中の顔料の低い粒径は、顔料ペーストの低ヘイズ、従って高い透明性と相関する。また、ペーストのこれらの特性は、最終コーティング層の優れた特性の原因であると記載されている。
【0005】
EP2883919A1には、赤外線を透過し、かつ高い色安定性を示す着色(特に濃色の着色)コーティング組成物が開示されている。この場合も、ペーストの低いヘイズ(高い透明性)は、得られるコーティング組成物及び最終コーティングの有利な特性と相関している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP1406978B1
【特許文献2】EP2883919A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある目的は、高いクロマ(彩度、色深度)及び色相のようなコーティング(すなわち多層コーティング)の優れた色彩特性を提供する着色クリアコート組成物を提供することであった。より具体的には、本発明の目的は、最終的な着色クリアコート層、したがって多層コーティングの優れた透明性、したがって低いヘイズを達成することによって、前述の特性に寄与することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本願の特許請求の範囲の主題、及び本明細書に開示されたその好ましい実施形態、すなわち本明細書に記載された主題によって解決された。
【0009】
本発明の第1の主題は、官能基(i)を有する少なくとも1種のバインダー樹脂(A)、官能基(i)と反応性である官能基(ii)を有する少なくとも1種の硬化剤(B)、及び少なくとも1種の顔料(C)を含む着色クリアコート組成物(TCC)であり、それによって、この着色クリアコート組成物(TCC)は以下の工程によって製造可能である、
(a)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程、
(b)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程、
(c)クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程、
(d)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程、
(e)該当する場合、工程(d)で得られた混合物を、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分(missing parts)と混合する工程。
【0010】
本発明のさらなる主題は、以下の工程、
(1)少なくとも1種のバインダー樹脂(A)及び少なくとも1種の硬化剤(B)を含むクリアコートシステム(CS)を提供する工程と、
(2)少なくとも1種の顔料(C)を含む少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を提供する工程と、
(3)クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせる工程と、
(4)工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程と、
(5)該当する場合、工程(d)で得られた混合物を、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分と混合する工程と
を含む、少なくとも1種のバインダー樹脂(A)、少なくとも1種の硬化剤(B)及び少なくとも1種の顔料(C)を含む着色クリアコート組成物(TCC)を製造する方法である。
【0011】
また、本発明の主題は、着色クリアコート組成物によって調製された層を含む多層コーティング、及びまたそのような多層コーティングを製造する方法である。最後に、本発明の主題は、コーティング、特に多層コーティングの色彩特性を改善するための着色クリアコート組成物の使用方法である。
【0012】
以下の明細書及び実施例のセクションから明らかなように、本発明において、驚くべきことに、先行技術が示すものとは逆に、顔料ペースト又は顔料プレミックスそれぞれの低いヘイズ(高い透明性)は、最終的に得られるコーティングの優れた色彩特性を予測し、得るのに十分ではないことが見出された。その代わりに、顔料ペースト又は顔料プレミックスのヘイズは確かに影響を有するが、全体像及び相関は、顔料ペースト/顔料プレミックスが着色クリアコート材料を製造するために含まれる下地クリアコート材料と顔料ペースト/顔料プレミックスとの適合性にも大きく依存する。本発明は、着色クリアコート組成物の特定の製造方法、特に以下に概説するような特定の粉砕工程によって、この相溶性に到達することを達成する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の着色クリアコート組成物は、少なくとも1種のバインダー樹脂(A)、少なくとも1種の硬化剤(B)及び少なくとも1種の顔料(C)を含み、特定の粉砕工程、すなわち少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)及びクリアコートシステムの全部又は一部を含む混合物を粉砕する工程を経て製造される。また、本発明の着色クリアコート組成物の製造方法は、上述の特定の粉砕工程を含む。さらに、本発明の多層コーティングの製造方法は、着色クリアコート組成物によって製造された層(フィルムとも称される)を含む。最後に、本発明の着色クリアコート組成物の使用方法によれば、コーティング、特に多層コーティングの色彩特性を改善される。
【0014】
本発明の意味において、例えば本発明の着色クリアコート組成物に関連する「含む」という用語は、「からなる」の意味を含むが、「からなる」の意味のみを有するものではない。「からなる」はまた、「のみを含む」又は「独占的に含む」とも呼ばれ、すなわち「含む」は、特定の用語「からなる」を含む一般的な用語と呼ばれる。
【0015】
用語「1つ」は、明示的に別途記載がない限り、「少なくとも1つ」という意味も含む。
【0016】
組成物中に存在する、以下に示すそれぞれの成分のwt.%(質量%)での割合及び量は、明示的に別途記載がない限り、それぞれの場合において各組成物の総質量に基づいて合計100質量%になる。
【0017】
本発明の着色クリアコート組成物(TCC)
本発明のコーティング組成物は、着色クリアコート組成物である。
【0018】
知られているように、(非着色の)クリアコート組成物は、無色透明であり、したがって知覚可能な量の顔料を含まず、好ましくは顔料を全く含まない組成物である。また知られているように、自動車コーティング産業のような多くの工業コーティング用途において、クリアコート層は多層コーティングの最上層のコーティング層であり、従って環境と接触する層を示す。したがって、光沢、外観、透明性などの特性の他に、満たすべき主な機能及び特性は、耐候性、例えば傷に対する機械的安定性、及び紫外線安定性である。
【0019】
着色クリアコート組成物は、上記に概説したような機能、特性及び用途の特定を有するクリアコート組成物のままであるが、完全な無色透明ではない。その代わりに、それは色を提供する一定量の成分、特に顔料を含有する。一方、着色クリアコート組成物は、完全に又はほとんど完全に不透明な層を提供せず、この手段により、典型的な着色したベースコート組成物と明確に区別される。したがって、着色クリアコート組成物及びそれから製造されるコーティングは、透明及び着色(半透明及び着色とも呼ばれる)の両方である。極めて明らかに、半透明及び着色特性の程度及びレベルは可変であり、特に着色成分、特に顔料の量に依存する。
【0020】
クリアコートシステム
本発明の着色クリアコート組成物(TCC)は、クリアコートシステム(CS)をベースとする(従って、含む)。本発明の文脈において、クリアコートシステムは、極めて明らかに、クリアコート組成物、すなわち、クリアコート組成物として既に使用されている組成物を構成するレシピ及びそれぞれの配合物である(これによって、いつものように、適切な場合及び/又は必要な場合には、例えば、適用粘度を調整するための溶剤のような一定量の成分が、もちろん、後の段階で完成させるために添加されてもよい)。
【0021】
しかしながら、クリアコートシステム(CS)(及びそれぞれのクリアコート組成物)は、それぞれの顔料プレミックス(PP)(以下に定義する)を既に含有しておらず、すなわち、顔料プレミックス(PP)は、着色クリアコート組成物(TCC)を製造するためにクリアコートシステムと組み合わされる必要がある。
【0022】
クリアコートシステム(CS)は、官能基(i)を有する少なくとも1種のバインダー樹脂(A)、及び官能基(i)と反応性である官能基(ii)を有する少なくとも1種の硬化剤(B)を含む。これらの成分は、個々の必要性及び要求に従って選択することができ、クリアコート組成物において適用可能であることが知られている化合物から選択することができる。官能基(i)及び(ii)についても同様である。
【0023】
バインダー樹脂(A)は、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリ(メタ)アクリレート及び/又は前記ポリマーの構造単位のコポリマーからなる群から選択することができる。少なくともバインダー樹脂(A)は、特に好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート及び/又は前記ポリマーの構造単位のコポリマーからなる群から選択される。本発明の文脈における「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリレート」という用語は、それぞれの場合において、「メタクリル」及び/又は「アクリル」、又は「メタクリレート」及び/又は「アクリレート」の意味を含む。
【0024】
少なくとも1種のバインダー樹脂(A)は、以下に記載する少なくとも1種の硬化剤(B)の官能基(ii)と反応性である官能基(i)を有する。当業者に公知の任意の一般的な架橋性官能基を官能基(i)及び(ii)として選択することができる。好ましくは、バインダー樹脂(A)は、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基及びカルバメート基からなる群から選択される官能基(i)を有する。好ましくは、少なくとも1種のバインダー樹脂(A)は、官能基(i)としてヒドロキシル基を有する。
【0025】
好ましくは、少なくとも1種のバインダー樹脂(A)は、15~400mgKOH/g、より好ましくは20~250mgKOH/gの範囲のOH価を有する。
【0026】
硬化剤(B)は、好ましくは、アミノプラスト樹脂及び/又はブロック化又は遊離のポリイソシアネートから選択されてもよい。アミノプラスト樹脂の中では、メラミン樹脂、例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。ポリイソシアネートの中では、遊離ポリイソシアネートが特に好ましい。この場合、極めて明らかに、クリアコートシステム(CS)、及び従って着色クリアコート組成物(TCC)は、好ましくは2成分システム/組成物である。特に好ましい実施形態では、遊離ポリイソシアネートが硬化剤(B)として選択され、クリアコートシステムは2成分システムである。しかしながら、これは、クリアコートシステムがさらなる硬化剤成分、例えばこのような2成分システムの主バインダー成分の一部であり得るメラミン樹脂を含むことを排除するものではない。
【0027】
したがって、官能基(ii)は、好ましくは、ブロック化又は遊離のイソシアネート基及びメチロール基から選択される。
【0028】
クリアコートシステム(CS)及び本発明の着色クリアコート組成物(TCC)は、好ましくは溶媒ベースである。本発明の文脈において、溶媒ベースのコーティングシステム又は組成物は、好ましくは、それぞれの場合においてコーティング組成物の総質量に基づいて、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、非常に好ましくは0質量%の水の総量を含む。したがって、組成物に適用される希釈剤(溶媒)は、有機性、すなわち有機溶媒である。少なくとも1種の有機溶剤は、好ましくは、それぞれの場合においてクリアコートシステム(CS)/着色クリアコート組成物(TCC)の総質量に基づいて、10~70質量%、より好ましくは20~60質量%、最も好ましくは30~50質量%の総量で存在する。
【0029】
好適な溶媒は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、Solvesso 100又はHydrosol(登録商標)(APAL製)、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルアミルケトン、エステル、例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、ペンチルアセテート又はエチルエトキシプロピオネート、エーテル、又は前述の溶媒の混合物から選択することができる。
【0030】
クリアコートシステム(CS)の一部であり得るさらなる成分は、典型的な量の慣用的で公知のコーティング添加剤である。好ましくは、その量は、それぞれの場合においてクリアコートシステム(CS)の総質量に基づいて、0.01~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0031】
好適なコーティング添加剤の例としては、紫外線吸収剤;光安定剤、例えばHALS化合物、ベンゾトリアゾール又はオキサラニリド;レオロジー改質剤、例えばたるみ制御剤(尿素修飾樹脂);有機増粘剤及び無機増粘剤;フリーラジカル捕捉剤;滑り添加剤;重合抑制剤;消泡剤;湿潤剤;分散剤;乳化剤;フッ素化合物;接着促進剤;硬化触媒、レベリング剤;フィルム形成助剤、例えばセルロース誘導体;フィラー、例えばシリカ、アルミナ又は酸化ジルコニウムをベースとするナノ粒子;難燃剤;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
好ましくは、クリアコートシステム(CS)、及び従って本発明の着色クリアコート組成物は、いずれの場合にも、尿素修飾樹脂、特に尿素修飾ポリ(メタ)アクリレートの群から選択される少なくとも1種のレオロジー改質剤を含む。
【0033】
知られているように、典型的には、バインダー及び硬化剤を含むコーティング組成物は、1成分又は2成分のコーティング組成物として配合することができ、これによって、硬化剤の選択(及び官能基(ii)がバインダー(A)の官能基(i)と反応し始める温度)に大きく依存する。この点に関する技術的事情は一般的な知識であり、これ以上の説明は必要ない。
【0034】
また知られているように、2成分コーティング組成物の場合、2成分(主バインダー成分(I)及び硬化剤成分(II)とも称される)は、成分(I)が、バインダー樹脂(樹脂成分)及び溶剤の他に、典型的な添加剤のようなすべてのさらなる成分の全部又は少なくとも大部分を含有し、硬化剤成分は、ほとんどの場合、硬化剤、溶剤、及び硬化触媒のような添加剤のわずかな数又は一部のみを含むことが標準的である。このような状況は、極めて明らかに、クリアコートシステム(CS)及び本発明の着色クリアコート組成物(TCC)にも該当する。
【0035】
好ましくは、クリアコートシステム、及び従って本発明の着色クリアコート組成物(TCC)は、2成分コーティングシステム/組成物として配合される。したがって、少なくとも1種のバインダー(A)を含む主バインダー成分(I)が提供され、硬化剤(B)を含む硬化剤成分(II)が提供され、それにより、成分(I)及び(II)は、互いに別々に製造及び貯蔵され、次いで、使用前、好ましくは基材に適用する直前に混合される。
【0036】
クリアコートシステム(CS)の製造は、従来の手段、すなわち、標準的な混合装置でクリアコートシステム(CS)の各成分(又は、2成分組成物の場合はそれぞれ互いに分離した成分(I)及び(II))を混合することによって実施することができる。もちろん、2成分クリアコートシステム(CS)の場合だけでなく、一度に全成分を全量混合するのではなく、成分の一部(全量又は全量の一部のみ)を混合し、後の段階で混合して組み合わせるために残留成分/量を保留することも考えられる。ここで明確に言及する理由は、以下に概説する工程(c)、及びクリアコートシステム(CS)の一部のみを組み合わせる:「クリアコートシステム(CS)の一部を顔料プレミックス(PP)と組み合わせる」実施形態である。この実施形態では、クリアコートシステム(CS)の一部のみが顔料プレミックス(PP)と組み合わされ、従って、クリアコートシステムの残留部分は後の段階(後述の工程(e)参照)で添加されるだけであるため、同様に、顔料プレミックス(PP)が添加される前に、クリアコートシステムのこの部分を構成する成分及び量のみが混合されることが要求される。しかしながら、このシナリオにおいてもクリアコートシステムは完全に定義される((i)顔料プレミックス(PP)と組み合わされる部分及び(ii)工程(e)で添加される残留部分によって)ので、この手順は、後述の工程(a)の意味においてクリアコートシステム(CS)が提供されることも意味する。
【0037】
本明細書に記載された手順は、後述する工程(a)による「クリアコートシステム(CS)の提供」の意味及び範囲内にある。
【0038】
顔料プレミックス(PP)
本発明の着色クリアコート組成物(TCC)は、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)を含む。顔料プレミックスは、極めて明らかに、少なくとも1種の顔料(C)、好ましくは正確に1種の顔料(すなわち、1種類の顔料)を含む。
【0039】
好適な顔料は、例えば、有機及び無機の着色顔料、効果顔料及びそれらの混合物である。このような着色顔料及び効果顔料は、当業者に公知であり、例えば、Roempp-Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1998,176及び451頁に記載されている。「着色顔料」及び「着色料」という用語は、「視覚効果顔料」及び「効果顔料」という用語と同様に、交換可能である。好適な無機着色顔料は、(i)白色顔料、例えば二酸化チタン、亜鉛白、着色酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン;(ii)黒色顔料、例えば酸化鉄黒、鉄マンガン黒、スピネル黒、カーボンブラック;(iii)着色料、例えばウルトラマリングリーン、ウルトラマリンブルー、マンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット、マンガンバイオレット、酸化鉄レッド、モリブデートレッド、ウルトラマリンレッド、酸化鉄ブラウン、ミックスブラウン、スピネル及びコランダム相、酸化鉄イエロー、バナジン酸ビスマス;(iv)フィラー顔料、例えば二酸化ケイ素、石英粉、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然雲母、天然及び沈殿チョーク、硫酸バリウム、及び(vi)それらの混合物から選択される。
【0040】
好適な有機着色顔料は、(i)モノアゾ顔料、例えばC.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Orange 5、36及び67、C.I.Pigment Orange 5、36及び67、C.I.Pigment Red 3、48:2、48:3、48:4、52:2、63、112及び170、及びC.I.Pigment Yellow 3、74、151及び183;(ii)ジアゾ顔料、例えばC.I.Pigment Red 144、166、214及び242、C.I.Pigment Red 144、166、214及び242、及びC.I.Pigment Yellow 83;(iii)アントラキノン顔料、例えばC.I.Pigment Yellow 147及び177、及びC.I.Pigment Violet 31;(iv)ベンズイミダゾール顔料、例えばC.I.Pigment Orange 64;(v)キナクリドン顔料、例えばC.I.Pigment Orange 48及び49、C.I.Pigment Red 122、202及び206、及びC.I.Pigment Violet 19;(vi)キノフタロン顔料、例えばC.I.Pigment Yellow 138;(vii)ジケトピロロピロール顔料例えばC.I.Pigment Orange 71及び73、及びC.I.Pigment Red 254、255、264及び270;(viii)ジオキサジン顔料、例えばC.I.Pigment Violet 23及び37;(ix)インダントロン顔料、例えばC.I.Pigment Blue 60;(x)イソインドリン顔料、例えばC.I.Pigment Yellow 139及び185;(xi)イソインドリノン顔料、例えばC.I.Pigment Orange 61、及びC.I.Pigment Yellow 109及び110;(xii)金属錯体顔料、例えばC.I.Pigment Yellow 153;(xiii)ペリノン顔料、例えばC.I.Pigment Orange 43;(xiv)ペリレン顔料、例えばC.I.Pigment Black 32、C.I.Pigment Red 149、178及び179、及び C.I.Pigment Violet 29;(xv)フタロシアニン顔料、例えばC.I.Pigment Violet 29、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6及び16、及びC.I.Pigment Green 7及び36;(xvi)アニリンブラック、例えばC.I.Pigment Black 1;(xvii)アゾメチン顔料;及び(xviii)それらの混合物から選択される。
【0041】
好適な効果顔料は、(i)板状メタリック効果顔料、例えば板状アルミニウム顔料、ゴールドブロンズ、ファイヤーカラーブロンズ、酸化鉄-アルミニウム顔料;(ii)真珠光沢顔料、例えば金属酸化物雲母顔料;(iii)板状グラファイト顔料;(iv)板状酸化鉄顔料;(v)PVDフィルムからの多層効果顔料;(vi)液晶ポリマー顔料;及び(vii)それらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、顔料プレミックス(PP)は有機顔料(すなわち有機着色顔料)を含む。
【0043】
顔料プレミックス(PP)はまた、好ましくは溶媒、特に有機溶媒を含有する。好適な溶媒は、クリアコートシステム(CS)の文脈で上述され、顔料プレミックス(PP)に関しても参照により本明細書に組み込まれる。したがって、顔料プレミックス(PP)は好ましくは溶媒ベースである。
【0044】
さらに、顔料プレミックスは、好ましくは、顔料(C)を溶媒中で安定化させるために、一般的に知られている添加剤成分を含む。そのような添加剤成分は、分散剤、湿潤剤及び/又は乳化剤から選択することができる。このような添加剤化合物は、個々の必要性及び要求に従って選択することができ、当業者に公知である。これらの添加剤成分の量についても同様である。
【0045】
添加剤の好ましい群は、制御フリーラジカル重合法(CFRP)によって製造されるようなポリマー分散剤である。知られているように、この方法は、ポリマー構造を規定し、特に低い多分散性を可能にする。このようなポリマー分散剤の代表例は、EFKA PX 4350(BASF SE)である。
【0046】
さらに、たとえ常に必要及び/又は要求されなくても、バインダー樹脂成分が顔料プレミックス(PP)中に存在してもよい。知られているように、そのような成分もまた顔料の安定化を促進し得る。好ましい樹脂成分はポリエステルであり、好ましくは有機溶媒中のポリエステルの分散液又は溶液の形態で使用される。
【0047】
顔料プレミックスの製造は、従来の手段、すなわち標準的な混合及び/又は粉砕装置でそれぞれの成分を混合及び/又は粉砕することによって実施することができる。
【0048】
好ましくは、少なくとも1種の顔料プレミックスの製造は、少なくとも1種の顔料を含む混合物の少なくとも1回の粉砕の工程を含む。好ましくは、それぞれの混合物は、溶媒、及び添加剤成分、すなわち分散剤、湿潤剤及び/又は乳化剤も含む。知られているように、粉砕とは、顔料の分散、すなわち顔料粒子の表面を濡らすのに十分な高剪断下で、それぞれの成分を接触させることを意味する。また、粉砕プロセスは、粉砕媒体、すなわちガラスビーズのような粉砕ビーズの使用を伴う。それによって、この粉砕プロセスによって導入されるせん断もまた、顔料の凝集体をより小さな粒子サイズに、最終的には一次顔料粒子に破壊する原因となる。
【0049】
高エネルギーミルのようなそれぞれの粉砕装置及びそれぞれの手順は周知であり、個々のケースに応じて選択することができる。好ましく適用される粉砕ビーズ(これは周知である)は、一般に、例えば約0.05~10mm、好ましくは0.1~5mm又は0.1~1mm(直径)の粒径を有し、それによって粉砕は、例えば1~20時間の持続時間で行われる。これらの条件下で、市販の粉砕装置は、例えば100~10000Wh/kg、好ましくは500~5000Wh/kgのエネルギー入力(比エネルギー)を提供し得る。また、粉砕プロセスは、例えば、ビーズサイズ、混合物とビーズの質量比及び/又は粉砕時間(したがって、エネルギー入力も)の点で異なる、異なる粉砕工程で実施することができる。粉砕後、調製された分散液は、特に濾過によって粉砕ビーズから分離される。
【0050】
顔料プレミックス(PP)の総質量に基づく顔料(C)の総量は、個々の必要性に応じて選択することができる。しかしながら、好ましくは、顔料(C)の総量は、顔料プレミックス(PP)の総質量に基づいて、3~30質量%、より好ましくは5~15質量%である。
【0051】
背景技術の部分で概説したように、先行技術は、少なくとも1種の顔料(C)を含む顔料ペースト/顔料プレミックス(PP)の低ヘイズ(高透明性)を、最終的に得られるコーティングの有益な色彩特性と物質的に相関している。しかしながら、以下に示すように、また背景技術の部分で既に述べたように、この態様は最適な特性を得るための主要かつ決定的な部分ではない。それでもなお、顔料プレミックス(PP)が20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは7.5%未満のヘイズを有することが好ましい。
【0052】
「ヘイズ」という用語は当業者に知られている。ヘイズとは、ASTM D 1003で定義される透明度の測定値である。本発明に使用される(及び比較的に使用される)顔料ペーストのヘイズを測定する方法は、以下の「方法」のセクションに記載される。
【0053】
体積平均粒径、Z平均粒径及び数ベースの平均一次粒径、及びヘイズは、顔料プレミックス(PP)の形態で存在する顔料(C)を上記に概説したような粉砕条件に供することによって調整/低減することができる。
【0054】
着色クリアコート組成物(TCC)の総質量に基づく、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)の総量は、個々の必要性に応じて選択することができる。しかしながら、好ましくは、少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)の総量は、それぞれの場合に着色クリアコート組成物(TCC)の総質量に基づいて、2~15質量%、好ましくは2~10質量%である。
【0055】
本発明の着色クリアコート組成物は、好ましくは、着色クリアコート組成物の総質量に基づいて、0.05~10質量%、好ましくは0.1~4質量%、非常に好ましくは0.1~1.0質量%の総量で少なくとも1種の顔料(C)を含む。
【0056】
さらなる成分:
既に上述したように、本発明の着色クリアコート組成物(TCC)の必須成分は、クリアコートシステム(CS)及び顔料プレミックスに含まれる。また、既に上述したように、特にクリアコートシステム(CS)によって、本発明の着色クリアコート組成物は、機能するクリアコート組成物(すなわち、クリアコート組成物として好適な組成物)に必要な全ての成分を既に含有している。それでもなお、同様に既に上述したように、最終的な着色クリアコート組成物は、最終的な完成のために、例えば適用粘度を調整するための溶剤のような一定量の成分を含有する可能性が排除されない。
【0057】
本発明のクリアコート組成物(TCC)の製造:
本発明のクリアコート組成物の本質的かつ新規な特性は、製造中の特定のプロセス特徴によって実現される。したがって、これらのプロセス特徴は、本発明の組成物(TCC)のこれらの新規な特性をもたらし、それにより有利な技術的特性ももたらす。さらに、現在のところ、以下に記載する特定のプロセス特徴を除いて、これらの新規な特性を定義する他の方法は、現在のところ知られていない。
【0058】
着色クリアコート組成物が製造可能であることを意味する方法の工程(a)及び(b)は、(a)クリアコートシステム(CS)を提供する工程、及び(b)顔料プレミックス(PP)を提供する工程である。クリアコートシステム(CS)及び顔料プレミックス、及びそれらの製造方法は、上記で概説した。
【0059】
方法の工程(c)は、クリアコートシステム(CS)の全部又は一部を少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)と組み合わせること、すなわち、以前に提供された顔料プレミックス(PP)と以前に提供されたクリアコートシステム(CS)の全部又は一部を組み合わせることである。
【0060】
上述したように、クリアコートシステム(CS)の全部又は一部は、顔料プレミックス(PP)と組み合わされる。
【0061】
既に上述したように、第1代替態様において「一部」とは、クリアコートシステム(CS)の成分の一部のみが顔料プレミックス(PP)と組み合わされることを意味することができる。それにより、組み合わされる成分の一部から、それらの全量又はそれらの全量の一部のみが適用されてもよい。また、極めて明らかに、1つ以上の成分の全量を適用し、一方、1つ以上の他の成分の全量の一部のみを適用することも考えられる。「全量」とは、クリアコートシステム(CS)において適用されることを意図した全部の量を意味する。例えば2成分クリアコートシステムの場合、この第1代替態様に包含されるシナリオは、主バインダー成分(I)の一部又は全体(すなわち、以前に製造された主バインダー成分(I)の一部又は全体)が工程(c)において顔料プレミックス(PP)と組み合わされ、硬化剤成分(II)は後の段階、すなわち工程(e)(以下に定義する)においてのみ添加されることである。
【0062】
第2代替態様において「一部」とは、クリアコートシステム(CS)の全ての成分が顔料プレミックス(PP)と組み合わされることを意味するが、少なくとも1つの成分はその全量が適用されない。例えば、1成分クリアコートシステム(CS)の場合、工程(c)において(既に最終的に製造された)クリアコートシステム(CS)の一部のみを使用すれば、この代替態様を満たすことになる。それによって、すべての成分が適用され、さらに、これらのすべての成分は、工程(c)においてその全量が適用されない。
【0063】
顔料プレミックスと組み合わされるクリアコートシステム(CS)の部分は、いずれの場合も少なくとも1種のバインダー樹脂(A)を含有することが好ましい。
【0064】
上記で概説したように、クリアコートシステム(CS)、及び従って着色クリアコート組成物(TCC)は、好ましくは、2成分コーティングシステム/組成物である。さらにより好ましくは、この実施形態では、クリアコートシステム(CS)の一部のみが顔料プレミックス(PP)と組み合わされる。より好ましくは、顔料プレミックス(PP)と組み合わされるクリアコートシステム(CS)の部分は、主バインダー成分(I)の全部又は一部である。この点で最も好ましいのは、顔料プレミックス(PP)と組み合わされるクリアコートシステム(CS)の部分が、主バインダー成分(I)の一部であることである。
【0065】
上記の好ましい実施形態の文脈において、すなわち、主バインダー成分(I)の全部又は一部が顔料プレミックス(PP)と組み合わされる場合、主バインダー成分(I)の全部又は一部と少なくとも1種の顔料プレミックス(PP)との質量比が、10:90~99:1、より好ましくは15:85~98:5、さらにより好ましくは20:80~97:3であることが好ましい。
【0066】
工程(c)で得られる混合物内の顔料の量は、工程(c)で得られる混合物の総量に基づいて、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.2~7.5質量%である。
【0067】
方法の工程(d)は、工程(c)で得られた混合物を粉砕する工程である。この工程は、本発明にとって決定的なものと呼ぶことができる。それは特に、クリアコートシステム(CS)の少なくとも一部、すなわちクリアコート組成物、すなわちクリアコート組成物として既に使用される組成物を構成するそれぞれの配合物の少なくとも一部と、顔料プレミックス(PP)が、組み合わされた後に粉砕されることを意味する。換言すれば、この工程は、極めて明らかに、標準的な顔料ペースト及び/又は顔料プレミックスの成分を単に粉砕することとは異なるが、既に提供された顔料プレミックス(PP)が、クリアコートシステム(CS)の成分、したがって最終的な着色クリアコート組成物(TCC)の成分の少なくとも一部と粉砕されることを意味する。
【0068】
粉砕の基本原理と一般的に適用できる条件(例えば、粉砕ビーズ直径、時間、エネルギー投入量)は、顔料プレミックス(PP)の製造の説明の中で既に述べた。それでもなお、工程(d)の間に特定の条件、すなわち、適用される粉砕ビーズが好ましくは0.05~10mm、より好ましくは0.05~2.5mm又は0.05~0.5mm(直径)の粒径を有し、それによって粉砕が例えば1~20時間の持続時間で行われることが有利であることが判明している。これらの条件下で、市販の粉砕装置は、例えば100~10000Wh/kg、好ましくは500~2500Wh/kgのエネルギー入力(比エネルギー)を提供することができる。
【0069】
粉砕工程(d)及びそれによって得られる混合物によって、顔料プレミックス(PP)と下層のクリアコート材料(すなわち、クリアコートシステム(CS))との相溶性が達成され、最終的に、最終的なクリアコート層及び多層コーティングの優れた色彩特性がそれぞれもたらされる。驚くべきことに、工程(d)の後に得られる混合物のヘイズは、必ずしも最終的なクリアコート層及び多層コーティングの改善された色彩特性に相関せず、したがって排他的にその原因となることが見出されているが、ヘイズは、25%以下、好ましくは20%以下であるように選択されてもよい。好ましい範囲は0.5~25%、好ましくは1~20%である。
【0070】
工程(d)における粉砕後、さらなる工程(e)において、着色クリアコート組成物(TCC)の不足部分が、工程(d)の後に得られた混合物と混合される。これらの不足部分は、極めて明らかに、クリアコートシステム(CS)の残りの部分である(工程(c)においてクリアコートシステム(CS)の一部のみが適用された場合)。しかしながら、一般に、さらなる成分、例えば、溶媒又は完成のために添加される他の成分も考えられる。
【0071】
工程(e)終了後、本発明の着色クリアコート組成物が提供された。
【0072】
好ましくは、着色クリアコート組成物(TCC)の全固形分は、いずれの場合も着色クリアコート組成物の総質量に基づいて、10~65質量%、より好ましくは15~60質量%、さらにより好ましくは20~50質量%、特に好ましくは25~45質量%の範囲である。
【0073】
本発明の着色クリアコート組成物(TCC)の製造方法
本発明はまた、着色クリアコート組成物(TCC)の製造方法にも関する。着色クリアコート組成物の製造の必須工程は、上記で完全に記載され、定義されている。また、上記で概説したあらゆる好ましい特徴及び実施形態も同様に、着色クリアコート組成物(TCC)の製造方法に適用される。同じことが、そのような着色クリアコート組成物(TCC)の任意の及び全ての態様、特に組成物の好ましい成分についても該当する。
【0074】
多層コーティング及びそのような多層コーティングの製造方法
また、本発明は、着色クリアコート組成物によって調製された層を含む多層コーティング、及びそのような多層コーティングの製造方法に関する。ここでも、多層コーティング及びそのような多層コーティングの製造方法の文脈において、本発明のクリアコート組成物(TCC)に関する本質的な特徴及びまたあらゆる好ましい実施形態の両方が同様に適用される。
【0075】
本発明の多層コーティングの製造方法は、以下の工程、すなわち、
(1)任意にプレコートされた基材を提供する工程と、
(2)工程(1)による任意にプレコートされた基材に、顔料ベースコート組成物を適用し、それにより第1ベースコートフィルムを製造する工程と、
(3)任意に、工程(2)で適用されたベースコート組成物とは異なる少なくとも1種のさらなる顔料ベースコート組成物を、工程(1)の後に基材上に存在する第1ベースコートフィルムに適用し、それにより、第1ベースコートフィルムの上に少なくとも1つのさらなるベースコートフィルムを製造する工程と、
(4)工程(2)及び任意の工程(3)で製造された最上部のベースコートフィルムに着色クリアコート組成物を適用し、それによって前記の最上部のベースコートフィルムの上に着色クリアコートフィルムを製造する工程と、
を含み、
ここで、工程(4)で適用される着色クリアコート組成物は、本発明の着色クリアコート組成物(TCC)である。
【0076】
好ましくは、上記のすべての工程はスプレー塗布によって行われる。
【0077】
工程(2)~(4)を実施することにより、任意にプレコートされた基材上に形成される上述のコーティングフィルムは、この段階では、好ましくはそれぞれの未硬化のコーティングフィルムである。したがって、これらの各工程で適用されるコーティング組成物は、好ましくはウェットオンウェットで適用される。この場合、硬化はその後に行われ、すなわち、全てのコーティングフィルムはその製造後に共同で硬化される。
【0078】
また、好ましくは、上述のコーティングフィルムは互いに隣接している、すなわち、間にさらなるコーティングフィルム/層を挟むことなく、互いに直接重なり合っている。より特には、これは、工程(3)で製造される少なくとも1つのさらなるベースコートフィルムが、工程(2)で製造される第1ベースコートフィルムに隣接し、工程(4)で製造される着色クリアコートフィルムが、工程(2)及び任意の工程(3)で製造される最上部のベースコートフィルムに隣接することを意味する。
【0079】
本発明の方法は、それぞれの金属基材だけでなく、ポリマー基材のようなプラスチック基材も含む自動車車体又はその部品のコーティングに特に適している。したがって、好ましい基材は、自動車車体又はその部品である。
【0080】
本発明に従って使用される好適な金属基材は、慣用的に使用され、当業者に知られているすべての基材である。本発明に従って使用される基材は、好ましくは金属基材であり、より好ましくは、鋼、好ましくは裸鋼、冷間圧延鋼(CRS)、熱間圧延鋼、溶融亜鉛メッキ鋼(HDG)などの亜鉛メッキ鋼、合金亜鉛メッキ鋼(例えば、ガルバリウム、ガルバナール又はガルファンなど)及びアルミナ化鋼、アルミニウム及びマグネシウム、及びまたZn/Mg合金及びZn/Ni合金からなる群から選択される鋼からなる群から選択される。特に好適な基材は、自動車の車体の一部又は自動車生産用の完成車体である。
【0081】
好ましくは、熱可塑性ポリマーがプラスチック基材として使用される。好適なポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、例えばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルクロリド、ポリエステル、例えばポリカーボネート及びポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びまたポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレンコポリマー(A-EPDM)、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステルコポリマー)及びABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー)、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、TPUを含むポリウレタン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリカーボネート及びポリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0082】
本発明に従って使用される基材は、好ましくは、リン酸亜鉛のような少なくとも1種の金属リン酸塩で前処理された、及び/又は少なくとも1種のシュウ酸塩で前処理された金属基材である。リン酸塩処理によるこの種の前処理は、通常、基材が洗浄された後、基材が電着塗装される前に行われ、特に自動車産業で慣用されている前処理工程である。
【0083】
上記で概説したように、使用される基材は、プレコートされた基材、すなわち、少なくとも1つの硬化したコーティングフィルムを有する基材であってもよい。工程(1)で提供される基材は、硬化した電着コーティング層でプレコートすることができる。基材は、例えば、少なくとも1つの付加的なプレコートとして、少なくとも1つの硬化又は未硬化のプライマーコーティングフィルムを付加的又は代替的に提供することができる。「プライマー」という用語は、当業者に公知である。プライマーは典型的に、基材に硬化した電着コーティング層を提供した後に適用される。硬化したプライマーコーティングフィルムも存在する場合、硬化した電着コーティングフィルムは、硬化したプライマーコーティングフィルムの下に、好ましくは隣接して存在する。このプライマーの硬化は、40~140℃の範囲の温度で行われてもよく、特に、80~100℃の範囲の温度での「低温ベーク」工程を含んでもよい。上記で概説したように、未硬化のプライマーコーティングフィルムを提供する基材、特に、硬化した電着コーティングフィルムを備える金属基材のような基材を使用することができ、その上に前記未硬化のプライマーコーティングフィルムが存在する。したがって、本発明の方法は、工程(1)の前に実施される追加の工程を含んでもよく、この工程によれば、プライマー組成物が、任意にプレコートされた基材に提供され、任意にプレコートされた基材上にプライマーコーティングフィルムを形成する。プライマーは別に硬化させてもよいし、好ましくは40℃を超えない温度、例えば18~30℃の範囲の温度で、1~20分間のフラッシュオフ時間のようなフラッシュオフのみを行ってもよく、これはプライマーの硬化が後の段階で行われることを意味する。
【0084】
工程(2)及び任意の工程(3)で適用されるベースコート組成物は、それぞれ好ましくは水性、すなわち水媒性のコーティング組成物である。しかしながら、工程(2)及び任意の工程(3)で適用されるベースコート組成物は、代替的に溶媒ベースのベースコート組成物であってもよい。好ましくは、工程(2)及び任意の工程(3)で適用されるベースコート組成物は、1成分組成物又は2成分組成物であり、より好ましくは1成分組成物である。
【0085】
「溶媒ベース」という用語は、既に上記で説明されている。「水性」又は「水媒性」という用語は、本発明の目的のために好ましくは、水が、それぞれの組成物中に存在する全ての溶媒及び/又は希釈剤の主成分として、好ましくはそれぞれの組成物の総質量に基づいて、少なくとも35質量%の量で存在することを意味すると理解される。より好ましくは、組成物は、それぞれの場合においてそれぞれの組成物の総質量に基づいて、少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも45質量%、非常に好ましくは少なくとも50質量%の含水量を含む。有機溶媒(単数又は複数)の割合は、それぞれの場合においてそれぞれの組成物の総質量に基づいて、好ましくは20質量%未満、より好ましくは0~20質量%未満の範囲、非常に好ましくは0.5から、20質量%又は17.5質量%又は15質量%又は10質量%までの範囲である。
【0086】
工程(2)及び任意の工程(3)に従って適用される顔料ベースコート組成物として、これらの目的のために慣用的に知られている組成物を選択することができる。
【0087】
上述したように、工程(2)~(4)で製造される全てのコーティングフィルムが一緒に硬化されることが好ましく、これは、ベースコート組成物の適用後、それぞれのフィルムが、例えば、さらなる組成物が適用される前に、好ましくは1~20分間、より好ましくは2~15分間、例えばフラッシュオフされることを意味する。好ましくは、フラッシュオフは40℃を超えない温度で、より好ましくは18~30℃の範囲の温度で行われる。
【0088】
本発明の意味における「フラッシュオフ」という用語は、好ましくは、次のコーティング組成物が適用され、及び/又は硬化が行われる前に、少なくとも一部及び/又は一部の量の溶媒(水及び/又は有機溶媒(単数又は複数))がコーティングフィルムから蒸発される、乾燥を意味する。フラッシュオフによって硬化は行われない。
【0089】
工程(4)では、本発明の着色クリアコート組成物(TCC)を適用する。好ましくは、組成物(TCC)の適用後、さらなるコーティング組成物は適用されず、これは、組成物(TCC)によってそれぞれ形成されたフィルム及び層が、製造された多層コーティングの最上層であることを意味する。
【0090】
既に上述したように、工程(4)は、好ましくは、工程(2)及び任意の工程(3)による少なくとも1つのベースコートフィルムの硬化が行われる前に、行われる。
【0091】
工程(4)で組成物(TCC)を適用して着色クリアコートフィルムを製造した後、原則的に上述したように、フィルムをフラッシュオフすることができる。
【0092】
本発明の方法は、好ましくは、さらなる工程(5)として、工程(2)~(4)で適用されたフィルムの共同硬化を含む。それにより、硬化した多層コーティングが得られる。
【0093】
好ましくは、工程(5)は、150℃未満、好ましくは130℃未満、特に15~110℃又は15~90℃の範囲の温度で、5~45分間、好ましくは20~45分間、特に25~35分間行われる。
【0094】
本発明の着色クリアコート組成物(TCC)の使用方法
最後に、本発明は、コーティング、特に多層コーティングの色彩特性を改善するための着色クリアコート組成物(TCC)の使用方法に関する。
【0095】
方法
1.不揮発性画分の決定
不揮発分(固体又は固形分)は、DIN EN ISO 3251(日付:2019年6月)に従って決定される。これは、あらかじめ乾燥させたアルミ皿に1gのサンプルを秤量し、サンプルを入れた皿を乾燥庫中180℃で30分間乾燥させた後、乾燥器中で冷却し、再度秤量することを含む。使用したサンプルの総量に対する残留物は、不揮発分(単位:%又は質量%)に対応する。
【0096】
2.ヘイズ
混合物、例えばヘイズ測定の対象となる顔料プレミックス又は顔料ペーストは、脱イオン水(水性顔料ペーストの場合)又はn-ブチルアセテート(溶媒ベースの顔料ペーストの場合)で希釈され、測定に使用される好適な希釈サンプルを提供する。測定は、測定するサンプルを調製してから24時間以内に行う。ヘイズを測定するための装置として、Byk-Gardner社から入手可能なHaze Guard Plus装置が使用されている。この装置は、脱イオン水又はn-ブチルアセテートを参照標準として、溶液ベースの石英キュベットフローサンプルホルダーで校正される。測定には500ミクロンの経路長セルを使用する。測定は、最大吸光度の波長で17.5%±1.0%の透過率で行われる(上記で概説したように脱イオン水又はブチルアセテートで希釈することにより、透過率を調整する)。
【0097】
3.色値(L、a、b)及びΔE の測定
色空間又はL色モデル(すなわちCIELAB色モデル)は、当業者に公知である。L色モデルは,例えばDIN EN ISO/CIE 11664-4:2020-03で標準化されている。L色空間におけるそれぞれの知覚可能な色は、三次元座標系における座標{L,a,b}を持つ特定の色位置によって記述される。a軸は色の緑又は赤の部分を表し、負の値は緑を表し、正の値は赤を表す。b軸は色の青又は黄色の部分を表し、負の値は青を表し、正の値は黄色を表す。したがって、数値が小さいほど青みがかった色であることを示す。L軸はこの平面に垂直で、明るさ(明度)を表す。L軸は黒(L=0)と白(L=100)の端点を有する。したがって、値が小さいほど暗い色を示す。コーティングされた基材(硬化後)の色値L、a及びbは、硬化を含む調製後にASTM E 284-81aに従って決定される。
【0098】
黒色表面の形成と着色クリアコート組成物の適用により、多層コーティングが得られる:100部の黒色顔料ペーストを20部の混合クリア成分と混合する(p/B=0.39)。この混合物(すなわちベースコート)を150ミクロンのワイヤーバーアプリケーターで金属パネルに適用する。作った層を室温で10分間、その後80℃で10分間乾燥させる。パネルを室温まで冷却した後、着色クリアコート組成物を適用する。着色クリアコート組成物は100マイクロメートルのワイヤーアプリケーターで適用される。ベースコート層と着色クリアコート層は、130℃の温度で30分間共同硬化させる。
【0099】
この値は、装置BYK-mac I(BYK-Gardner)を用いて測定される。硬化したサンプルの分析は、BYK-mac i分光光度計の標準操作手順に従い、色、輝き、及び粒状性の測定に従って行われる。完全に硬化した分析対象サンプルは、マイクロファイバークロスで拭き取る。その後、BYK-mac i装置を基材表面に配置し、D65光源を使用して、-15°、15°、25°、45°、75°、及び110°の角度で測定を行い、CIELab設定を使用して各角度のデータを記録する。この測定は、少なくとも5つの異なる位置で個々のパネルに対して行われ、値は試行にわたって平均化され、報告される。
【0100】
、a、bを用いて、ΔE を計算できる。ΔE は、理想的な黒色表面の色を有する黒色表面で測定された検査対象システムの色空間における距離を表す。理想的な黒体の色指標L 、a 、b については、L =a =b =0が適用される。DIN EN ISO 11664-4にあるような色空間における距離の定義では、黒色表面に対して測定された色指標L、a、bで検査されたシステムの色空間における散乱距離ΔE が適用される。

【0101】
ΔE は、フィルムの透明度の指標である。値が低いほど、測定されたフィルムの透明度が高くなる。
【0102】
4.漆黒度(Mc)と黒度(My)の測定
コーティングされた基材の漆黒度と黒度は、硬化を含む調製(3.色値(L、a、b)及びΔE の測定で概説した多層コーティングの調製)後に測定する。黒度(My)は、反射率に直接関連する黒さの程度を示す指標であり、例えばDIN 55979(04-1989)に定義されている。サンプルの黒度(My)は、適切な分光光度計を使用し、一般式My=100*log(Yn/Y)を用いてカラーデータを取得することにより定量化することができる。漆黒度(Mc)は、K.Lippok-Lohmerによって開発された色依存性の黒色値であり(K.Lippok-Lohmer,Farbe und Lack,92,p.1024(1986))、DIN 53235-1(06-2005)及びDIN 53235-2(06-2005)でも言及されている。漆黒度(Mc)は、適切な分光光度計を使用して、一般式Mc=100*[log(Xn/X)-log(Zn/Z)+log(Yn/Y)]を用いてカラーデータを取得することにより定量化することができる。X、Y、Zは測定されるサンプルのCIE三刺激値である。Xn、Yn、Znは光源の三刺激値である。測定では、光源はD65光源(模擬昼光CIE標準)である。標準2°標準観察値は相対光度について正規化されており、Yn=100はXn=95.047及びZn=108.883をもたらす。また、Xn=94.8110、Zn=107.304の補助的な10°観察値も報告されている。これらの値は、装置BYK-ma i(BYK-Gardner)を使用して測定された。硬化したサンプルの分析は、BYK-mac I分光光度計の標準操作手順に従い、色、輝き及び粒状性の測定に従って行われる。完全に硬化した分析対象サンプルは、マイクロファイバークロスで拭き取る。その後、BYK-mac I装置を基材表面に配置し、D65光源を使用して、-15°、15°、25°、45°、75°、及び110°の角度で測定を行い、CIELab設定を使用して各角度のデータを記録する。以下、実験部で報告するMy値とMc値は、45°と110°の角度での測定に関するものである。
【0103】
特定の場合では、McとMcは着色クリアコート層の透明度を表す方法を定義している。値が高いほど、透明度が高くなる。
【0104】
5.酸価
酸価は、DIN EN ISO 2114に基づいて、エタノール性水酸化カリウム20水溶液を有するテトラヒドロフラン(THF)/水(9容量部のTHFと1容量部の蒸留水)の均一溶液中で測定した。
【0105】
6.ヒドロキシル価
OH価は、R.-P.Krueger,R.Gnauck and R.Algeier,Plaste und Kautschuk,20,274(1982)に基づいて、テトラヒドロフラン(THF)/ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中、触媒として4-ジメチルアミノピリジンの存在下、室温で無水酢酸を用い、アセチル化後に残存する過剰の無水酢酸を完全に加水分解し、アルコール性水酸化カリウム溶液を用いて無水酢酸の電位差逆滴定を行うことにより決定される。
【0106】
7.質量平均分子量
質量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いた、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した。
【実施例
【0107】
以下の実施例は本発明をさらに説明するものであるが、その範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0108】
1.顔料プレミックス(PP)の製造
PP(A)
第1顔料プレミックスとして、市販品PR179 Red Andaro Nanotint(Fa.PPG)を使用した。顔料プレミックス(A)は1.78のヘイズを有する(上記のように測定した、すなわちブチルアセテートにより調整した17.5%の透過率で測定した)。
【0109】
PP(B)
6質量部(pbw)のEFKA PX 4350(Fa-BASF SE)を1.67pbwのブチルアセテートと混合した。溶解機を用いて攪拌しながら、この混合物に、7質量部のPaliogen Maroon L 3920(Fa.BASF Color and Effects GmbH)をゆっくりと添加した。溶解機の速度は、効果的なペースト化が達成されるように選択した。溶解工程の持続時間は20分間であった。その後、溶解機による激しい攪拌下、18.67pbwのブチルアセテートを添加した。
【0110】
次に、約0.3mmの粒径(直径)を有する粉砕ビーズ(Silibeads ZY Extrem 0.25~0.35mm、Fa.Sigmund Lindner)を装備した攪拌型粉砕機(マイクロメディアユニット付機DCP、Fa.Buehler)により、3000Wh/kgのエネルギー入力まで、製造した混合物を粉砕した。
【0111】
その後、5.55pbwのさらなるブチルアセテートを添加し、3500Wh/kgのエネルギー入力まで混合物をさらに粉砕した。最終的な顔料プレミックスは4.88のヘイズ(17.5%の透過率で測定、61.11pbwのブチルアセテートで調整した)を有していた。
【0112】
PP(C)
16pbwのEFKA PX 4350(Fa-BASF SE)を、有機溶媒(80%のポリエステル、20%の有機溶媒、すなわち1.3pbwのシクロヘキサン、7.6pbwのエチル3-エトキシプロピオネート、5.5pbwの溶媒ナフサ160/180、及び5.5pbwのブチルアセテート)に分散させた5.56pbwのポリエステル樹脂と混合する。このポリエステルは、アジピン酸(6.3pbw)、トリメチロールプロパン(12pbw)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(25.2pbw)及びCardura E10 P(37.2pbw)によって調製し、9の酸価、及び2650g/molの質量平均分子量を有していた。
【0113】
溶解機を用いて攪拌しながら、この混合物に、10.0pbwのPerriondo Violett 29 2294050(Fa.Sun Chemical)をゆっくりと添加した。溶解機の速度は、効果的なペースト化が達成されるように選択した。溶解工程の持続時間は20分間であった。その後、溶解機による激しい攪拌下、24pbwのブチルアセテートを添加した。
【0114】
次に、約0.3mmの粒径(直径)を有する粉砕ビーズ(Silibeads ZY Extrem 0.25~0.35mm、Fa.Sigmund Lindner)を装備した攪拌型粉砕機(マイクロメディアユニット付機DCP、Fa.Buehler)により、4500Wh/kgのエネルギー入力まで、製造した混合物を粉砕した。
【0115】
最終的な顔料プレミックスは1.4のヘイズ(17.5%の透過率で測定、44.44pbwのブチルアセテートで調整した)を有していた。
【0116】
2.顔料プレミックス及びクリアコートシステム(CS)の一部を含有する顔料ペーストの製造
本発明に従って適用される顔料ペースト、及び比較の目的で適用される顔料ペーストを、工程(c)及び(d)に従って製造した。
【0117】
顔料ペースト(VAA)
21.4pbwのPP(A)を78.6pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と激しく混合し、均質化した。クリアコートシステムは、以下の項目3.及び表1及び表2に特定しいる。
【0118】
比較用の顔料ペースト(VAA)は10.4のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を有していた。
【0119】
顔料ペースト(AA)
21.4pbwのPP(A)を78.6pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と混合した。約0.1mmの粒径(直径)を有する粉砕ビーズ(Silibeads ZY Extrem 0.08~0.13mm、Fa.Sigmund Lindner)を装備した攪拌型粉砕機(マイクロメディアユニット付機DCP、Fa.Buehler)により、1500Wh/kgのエネルギー入力まで、得られた混合物を粉砕し、7.4のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を得た。
【0120】
顔料ペースト(VBB)
30pbwのPP(B)を70pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と激しく混合し、均質化した。
【0121】
比較用の顔料ペースト(VBB)は19.1のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を有していた。
【0122】
顔料ペースト(BB):
30.0pbwのPP(B)を70.0pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と混合した。約0.1mmの粒径(直径)を有する粉砕ビーズ(Silibeads ZY Extrem 0.08~0.13mm、Fa.Sigmund Lindner)を装備した攪拌型粉砕機(マイクロメディアユニット付機DCP、Fa.Buehler)により、1500Wh/kgのエネルギー入力まで、得られた混合物を粉砕し、12.3のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を得た。
【0123】
顔料ペースト(VCC)
5.0pbwのPP(C)を、95.0pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と激しく混合し、均質化した。
【0124】
比較用の顔料ペースト(VCC)は23.1のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を有していた。
【0125】
顔料ペースト(CC):
5.0pbwのPP(C)を、95.0pbwのクリアコートシステムの主バインダー成分(I)と混合した。約0.1mmの粒径(直径)を有する粉砕ビーズ(Silibeads ZY Extrem 0.08~0.13mm、Fa.Sigmund Lindner)を装備した攪拌型粉砕機(マイクロメディアユニット付機DCP、Fa.Buehler)により、1500Wh/kgのエネルギー入力まで、得られた混合物を粉砕し、17.3のヘイズ(17.5%の透過率、ブチルアセテートで調整した)を得た。
【0126】
3.クリアコートシステム(CS)
主バインダー成分(I)及び硬化剤成分(II)を含む2成分コーティングシステムを提供した。このために、表1及び2に示されるような順序でそれぞれの成分を混合することによって、2つの成分(I)及び(II)を調製した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
4.着色クリアコート組成物及びそれから製造される多層コーティングの製造
異なる本発明の着色クリアコート組成物及び比較用の着色クリアコート組成物を製造した。さらに、方法の「色値(L、a、b)及びΔE の測定」及び「漆黒度(Mc)と黒度(My)の測定」(上記参照)に従って、多層コーティングを調製し、それらの色価/光学特性に関して分析し、それによって測定したパラメータを透明度と相関させることができる(詳細については、上記「方法」の章を参照)。
【0130】
TCC 1Va:
3.41pbwの顔料プレミックスPP(A)(PR179 Red Andaro Nanotint(Fa.PPG))を、96.58pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0131】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0132】
【表3】
【0133】
TCC 1Vb:
16.26pbwの顔料ペースト(VAA)を、83.74pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0134】
調製した多層コーティングの特性は、TCC1Vaを使用して調製した多層コーティング(上記)と同等であった。
【0135】
TCC 1:
16.26pbwの顔料ペースト(AA)を83.74pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0136】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0137】
【表4】
【0138】
この結果は、TCC 1を使用して調製した多層コーティングの透明性が著しく高いことを示している。
【0139】
TCC 2Va:
16.26pbwの顔料ペースト(VBB)を、83.74pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0140】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0141】
【表5】
【0142】
TCC 2Vb
4.88pbwの顔料プレミックスPP(B)を、95.12pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0143】
調製した多層コーティングの特性は、TCC2Vaを使用して調製した多層コーティング(上記)と同等であった。
【0144】
TCC 2:
16.26pbwの顔料ペースト(BB)を、83.74pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0145】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0146】
【表6】
【0147】
この結果は、TCC 2を使用して調製した多層コーティングの透明性が著しく高いことを示している。
【0148】
TCC 3Va:
80.64pbwの顔料ペースト(VCC)を、19.36pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0149】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0150】
【表7】
【0151】
TCC 3Vb
4.03pbwの顔料プレミックスPP(C)を、95.97pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0152】
調製した多層コーティングの特性は、TCC3Vaを使用して調製した多層コーティング(上記)と同等であった。
【0153】
TCC 3:
80.64pbwの顔料ペースト(CC)を、19.36pbwの主バインダー成分(I)、及びさらに33pbwの硬化剤成分(II)と混合した。
【0154】
調製した多層コーティングは、以下の特性を有する。
【0155】
【表8】
【0156】
この結果は、TCC 3を使用して調製した多層コーティングの透明性が著しく高いことを示している。
【0157】
全体的な結果は、適用されたクリアコートシステムと組み合わされた1つの同じ顔料プレミックス/顔料ペーストシステム内で、顔料プレミックス/顔料ペーストのヘイズが低いほど、多層コーティングの改善された特性に相関することを示している。また、このデータは、より低いヘイズ、及びしたがってより優れた特性が、特定の粉砕工程(d)によって達成されることを示している。
【0158】
しかしながら、このデータは、最終的に得られる多層コーティングの良好な特性を得るためには、このようなヘイズの調整だけでは不十分であることも示している。その代わりに、この効果は、粉砕工程(d)及びこの工程を実施するかどうかの選択によって、それぞれ明らかに過補償される。例えば、これはTCC 1Va(1.78のヘイズを有するPP(A)の使用)とTCC 1(7.4のヘイズを有する顔料ペースト(AA)の使用)を比較したときに観察され、TCC 1によって最終的な多層コーティングの著しく優れた特性が達成される。TCC2及びTCC3とそれぞれの比較例との比較によっても、同じ傾向が観察される。
【国際調査報告】