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▶ オハイオ ステート イノベーション ファウンデーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】フォトニック材料
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/812 20250101AFI20250117BHJP
   H10H 20/825 20250101ALI20250117BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20250117BHJP
   H10F 10/144 20250101ALI20250117BHJP
   H10F 10/19 20250101ALI20250117BHJP
【FI】
H01L33/06
H01L33/32
H01S5/343 610
H01L31/06 320
H01L31/06 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542170
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022049500
(87)【国際公開番号】W WO2023136880
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,294
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516046846
【氏名又は名称】オハイオ ステート イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ホンピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン カイティエン
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
5F251
【Fターム(参考)】
5F173AF03
5F173AF15
5F173AH22
5F173AR23
5F241AA03
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA53
5F241CA57
5F241CA65
5F251AA07
5F251AA08
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、フォトニック材料である。フォトニック材料は、第1の層、第2の層、及び第3の層を含み、第2の層が、第1の層と第3の層との間に挟まれるように、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置され、かつそれらに接触している。いくつかの例では、第1の層は、InGa1-yNを含み、式中、yは、0~0.8である。いくつかの例では、第2の層は、(ZnSnGeGaを含み、式中、xは、0超~1であり、a、b、c、及びdは、各々独立して、0~1であり、ただし、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、0超である。いくつかの例では、第3の層は、InGa1-zNを含み、式中、zは、0~0.8である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック材料であって、
InGa1-yNを含む第1の層であって、式中、yが、0~0.8である、第1の層と、
(ZnSnGeGaを含む第2の層であって、式中、
xが、0超~1であり、
a、b、c、及びdが、各々独立して、0~1であり、
ただし、a、b、又はcのうちの少なくとも1つが、0超である、第2の層と、
InGa1-zNを含む第3の層であって、式中、zが、0~0.8である、第3の層と、を含み、
前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層との間に挟まれるように、前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層との間に配置され、かつそれらに接触している、フォトニック材料。
【請求項2】
y及び/若しくはzが、0.1~0.5、0.1~0.3であるか、又はy及び/若しくはzが、0.2である、請求項1に記載のフォトニック材料。
【請求項3】
前記第1の層が、0.1nm~5nmの第1の平均厚さを有する、請求項1又は2に記載のフォトニック材料。
【請求項4】
前記第1の層が、1nm~3nmの第1の平均厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項5】
前記第2の層が、0.1nm~5nmの第2の平均厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項6】
前記第2の層が、0.5nm~0.7nmの第2の平均厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項7】
前記第2の層が、(ZnSn)0.5GaNを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項8】
dが、1-xに等しく、その結果、前記第2の層が、(ZnSnGeGa1-xを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項9】
前記第2の層が、(ZnSn)0.5Ga0.5を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のホニック(phonic)材料。
【請求項10】
第3の層が、0.1nm~5nmの第3の平均厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項11】
前記第3の層が、1~3nmの第3の平均厚さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項12】
前記フォトニック材料が、0.5nm~10nmの平均複合材厚さを有し、前記平均複合材厚さが、前記第1の平均厚さ、前記第2の平均厚さ、及び前記第3の平均厚さの合計である、請求項1~11のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項13】
前記平均複合材厚さが、1nm~5nm、2.5nm~5nm、又は4nm~5nmである、請求項12に記載のフォトニック材料。
【請求項14】
前記第3の層が、前記第2の層と第4の層との間に挟まれるように、前記第3の層上に配置された前記第4の層を更に含み、前記第4の層が、AlGa1-wNを含み、wが、0~1である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項15】
wが、0.1~0.5又は0.1~0.3である、請求項14に記載のフォトニック材料。
【請求項16】
wが、0.2である、請求項14又は15に記載のフォトニック材料。
【請求項17】
前記第4の層が、0.5nm~5nmの第4の平均厚さを有する、請求項14~16のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項18】
前記第4の層が、0.5nm~4nm、1nm~2nm、又は1.4nm~1.6nmの第4の平均厚さを有する、請求項14~17のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項19】
前記第4の層が、第5の層と前記第3の層との間に挟まれるように、前記第4の層上に配置された前記第5の層を更に含み、前記第5の層が、GaNを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項20】
前記第5の層が、1nm~15nmの第5の平均厚さを有する、請求項19に記載のフォトニック材料。
【請求項21】
前記第1の層が、第6の層と前記第2の層との間に挟まれるように、前記第1の層上に配置された前記第6の層を更に含み、前記第6の層が、GaNを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項22】
前記第6の層が、1nm~15nmの第6の平均厚さを有する、請求項21に記載のフォトニック材料。
【請求項23】
前記フォトニック材料が、第1の閉じ込められた状態を有する電子波動関数、及び第1の閉じ込められた状態を有する孔波動関数を有し、前記フォトニック材料における前記第1の閉じ込められた状態での前記電子波動関数及び前記孔波動関数の重複が、1%以上、5%以上、15%以上、又は20%以上である、請求項1~22のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項24】
前記フォトニック材料が、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、1000nm以上、又は1200nm以上のピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有する、請求項1~23のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項25】
前記フォトニック材料が、580nm~600nmのピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有する、請求項1~24のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項26】
前記フォトニック材料が、前記第2の層において強い孔閉じ込めを呈する、請求項1~25のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項27】
前記フォトニック材料が、1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3以上の単位体積当たりの自発的発光再結合速度を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項28】
前記フォトニック材料の前記自発的発光スペクトルが、500nm以上のピーク波長を呈し、前記ピーク波長が、1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3eV-1以上の強度を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項29】
前記ホニック材料が、量子井戸構造を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のフォトニック材料。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のフォトニック材料を含む量子井戸構造を含む、発光ダイオード(LED)。
【請求項31】
請求項1~29のいずれか一項に記載のフォトニック材料の使用方法であって、前記使用方法が、前記フォトニック材料を、半導体レーザ、光起電デバイス、太陽電池、光検出器などにおいて使用することを含む、使用方法。
【請求項32】
前記方法が、MOCVDを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のフォトニック材料の、作製方法。
【請求項33】
前記方法が、パルスMOCVDを含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月13日に出願された、米国仮特許出願第63/299,294号に対する優先権の利益を主張し、これは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援に関する記述
本発明は、米国エネルギー省によって授与された、認可/契約番号DE-EE0008718号の下、政府支援を受けてなされたものである。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
広範な研究の結果、InGaNベースの青色発光ダイオード(LED)の100%に近い外部量子効率(EQE)がもたらされたが、より長い可視波長のInGaNベースの発光器の効率は、比較的低いままである。本明細書で考察される組成物、方法、及びシステムは、これら及び他のニーズに取り組む。
【発明の概要】
【0004】
開示される組成物、方法、及びシステムの目的によれば、本明細書において具体化され、広く記載されるように、開示される主題は、フォトニック材料及びその使用方法に関する。
【0005】
例えば、量子井戸工学を使用する高効率LED設計が、本明細書に開示される。
【0006】
フォトニック材料が本明細書に開示される。フォトニック材料は、第1の層、第2の層、及び第3の層を含み、第2の層が、第1の層と第3の層との間に挟まれるように、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置され、かつそれらに接触している。いくつかの例では、第1の層は、InGa1-yNを含み、式中、yは、0~0.8である。いくつかの例では、第2の層は、(ZnSnGeGaを含み、式中、xは、0超~1であり、a、b、c、及びdは、各々独立して、0~1であり、ただし、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、0超である。いくつかの例では、第3の層は、InGa1-zNを含み、式中、zは、0~0.8である。
【0007】
いくつかの例では、y及び/若しくはzは、0.1~0.5、0.1~0.3であるか、又はy及び/若しくはzは、0.2である。
【0008】
いくつかの例では、第1の層は、0.1nm~5nmの第1の平均厚さを有する。いくつかの例では、第1の層は、1nm~3nmの第1の平均厚さを有する。
【0009】
いくつかの例では、第2の層は、0.1nm~5nmの第2の平均厚さを有する。いくつかの例では、第2の層は、0.5nm~0.7nmの第2の平均厚さを有する。
【0010】
いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5GaNを含む。
【0011】
いくつかの例では、dは、1-xに等しく、その結果、第2の層は、(ZnSnGeGa1-xを含む。
【0012】
いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5Ga0.5を含む。
【0013】
いくつかの例では、第3の層は、0.1nm~5nmの第3の平均厚さを有する。いくつかの例では、第3の層は、1~3nmの第3の平均厚さを有する。
【0014】
いくつかの例では、フォトニック材料は、0.5nm~10nmの平均複合材厚さを有し、平均複合材厚さは、第1の平均厚さ、第2の平均厚さ、及び第3の平均厚さの合計である。いくつかの例では、平均複合材厚さは、1nm~5nm、2.5nm~5nm、又は4nm~5nmである。
【0015】
いくつかの例では、第3の層が、第2の層と第4の層との間に挟まれるように、フォトニック材料は、第3の層上に配置された第4の層を更に含み、第4の層は、AlGa1-wNを含み、式中、wは、0~1である。いくつかの例では、wは、0.1~0.5又は0.1~0.3である。いくつかの例では、wは0.2である。
【0016】
いくつかの例では、第4の層は、0.5nm~5nmの第4の平均厚さを有する。いくつかの例では、第4の層は、0.5nm~4nm、1nm~2nm、又は1.4nm~1.6nmの第4の平均厚さを有する。
【0017】
いくつかの例では、第4の層が、第5の層と第3の層との間に挟まれるように、フォトニック材料は、第4の層上に配置された第5の層を更に含み、第5の層は、GaNを含む。いくつかの例では、第5の層は、1nm~15nmの第5の平均厚さを有する。
【0018】
いくつかの例では、第1の層が、第6の層と第2の層との間に挟まれるように、フォトニック材料は、第1の層上に配置された第6の層を更に含み、第6の層は、GaNを含む。いくつかの例では、第6の層は、1nm~15nmの第6の平均厚さを有する。
【0019】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第1の閉じ込められた状態を有する電子波動関数、及び第1の閉じ込められた状態を有する孔波動関数を有し、フォトニック材料における第1の閉じ込められた状態での電子波動関数及び孔波動関数の重複は、1%以上、5%以上、15%以上、又は20%以上である。
【0020】
いくつかの例では、フォトニック材料は、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、1000nm以上、又は1200nm以上のピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有する。いくつかの例では、フォトニック材料は、580nm~600nmのピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有する。
【0021】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第2の層において強い孔閉じ込めを呈する。
【0022】
いくつかの例では、フォトニック材料は、1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3以上の単位体積当たりの自発的発光再結合速度を有する。
【0023】
いくつかの例では、フォトニック材料の自発的発光スペクトルは、500nm以上のピーク波長を呈し、ピーク波長は、1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3eV-1以上の強度を有する。
【0024】
いくつかの例では、ホニック(phonic)材料は、量子井戸構造を含む。
【0025】
また、本明細書に開示されるフォトニック材料のうちのいずれかを含む量子井戸構造を含む発光ダイオード(LED)も、本明細書に開示される。
【0026】
また、本明細書に開示されるフォトニック材料のうちのいずれかの使用方法も、本明細書に開示され、本方法は、フォトニック材料を、半導体レーザ、光起電デバイス、太陽電池、光検出器などにおいて使用することを含む。
【0027】
また、本明細書に開示されるフォトニック材料のうちのいずれかの作製方法も、本明細書に開示される。いくつかの例では、本方法は、パルスMOCVDなどのMOCVDを含み得る。
【0028】
開示されるシステム及び方法の追加的な利点は、以下の説明に一部記載され、説明から一部明らかになるであろう。開示されるシステム及び方法の利点は、添付の特許請求の範囲において、特に指摘されている要素及び組み合わせによって実現され、達成される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された開示されるシステム及び方法を制限するものではないことを理解されたい。
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0030】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図は、本開示のいくつかの態様を例示し、本明細書とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】QWの幅(LQW)、及びZnSnGeGaN層の位置(z)、ZnSnGeGaN層の厚さ(L)を有する、InGa1-yN/(ZnSnGeGa1-x/InGa1-zNの量子井戸(QW)の概略図。QWを取り囲むバリアは、GaN、及び/又はAlGa1-wN/GaNであり得る。
図2】ZnSn(Ga)NのパルスモードMOCVD成長の各サイクルにおける前駆体流量の概略図。
図3】TMSnパルス時間(f)15s-ON、45s-OFFで成長したZnSn(Ga)N膜のAFM画像(2μm×2μm)(試料H)。
図4A】試料Hの断面TEM画像。界面は、白色破線によって示される。
図4B】試料HのTEM_EDX結果に基づいてプロットされた原子割合。
図5】(ZnSn)0.5Ga0.5/GaN界面における実験的に測定された帯の整列。
図6】様々なIII-N、Zn-IV-N、及びMg-IV-N組成物の格子定数対エネルギーギャップ。
図7】600nmでのピーク発光を有する例示的な量子井戸のエネルギー帯のグラフ。
図8】III-N及びII-IV-N二重チャンバMOCVD設定。
図9】III-N及びII-IV-N二重チャンバMOCVD設定。
図10】MOCVDを介してGaN上で成長した単結晶ZnGeN
図11】MOCVDを介してGaN上で成長した単結晶(ZnGe)0.94Ga0.12
図12】MOCVDを介してGaN上で成長した単結晶ZnSnN
図13】MOCVDを介してGaN上で成長した単結晶ZnSnN
図14】MOCVDを介してGaN上で成長した単結晶ZnSnN
図15】II-IV-NとGaNとの間の帯オフセット。
図16】従来のInGaN QWの断面STEM画像。
図17】InGaN/ZnGeN/InGaNヘテロ構造QWの断面STEM画像。
図18】IGN/ZGN QWの発光波長。
図19】GaNに対するInN、In0.2Ga0.8N、ZnSnN、及びZnSnGa(例えば、(ZnSn)0.5GaN)の帯ギャップ整列(伝導帯及び価電子帯オフセットを示す)。
図20】量子井戸の幅(LQW)、ZTGN層の位置(Z)、及びZTGN層の厚さ(L)が示された、提案されたInGaN/ZnSnGa/AlGaN量子井戸の概略図。
図21A】590nmピークの自発的発光波長用に設計された、従来のGaN/4nm In0.25Ga0.75N/GaN QWにおける、第1の閉じ込められたエネルギー状態についての帯の整列、並びに電子及び孔波動関数。
図21B】590nmピークの自発的発光波長用に設計された、GaN/2nm In0.2Ga0.8N/0.6nm ZnSnGa/2nm In0.2Ga0.8N/1.5nm Al0.2Ga0.8N/GaN QWにおける、第1の閉じ込められたエネルギー状態についての帯の整列、並びに電子及び孔波動関数。
図22A】1-5×1018cm-3のキャリア濃度に対する、従来のGaN/4nm In0.25Ga0.75N/GaN(破線)QW、及びGaN/2nm In0.2Ga0.8N/0.6nm ZnSnGa/2nm In0.2Ga0.8N/1.5nm Al0.2Ga0.8N/GaN(実線)QWの自発的発光スペクトル。両方のQWは、1×1018cm-3のキャリア濃度で590nmのピーク発光波長で設計された。
図22B】1-5×1018cm-3のキャリア濃度に対する、従来のGaN/4nm In0.25Ga0.75N/GaN(破線)QW、及びGaN/2nm In0.2Ga0.8N/0.6nm ZnSnGa/2nm In0.2Ga0.8N/1.5nm Al0.2Ga0.8N/GaN(実線)QWの自発的発光放射再結合速度。両方のQWは、1×1018cm-3のキャリア濃度で590nmのピーク発光波長で設計された。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載される組成物、方法、及びシステムは、開示される主題の特定の態様及びそこに含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0033】
本組成物、方法、及びシステムが開示及び記載される前に、以下に記載される態様が特定の合成方法又は特定の試薬に限定されず、したがって、勿論、変動し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を記載するためだけのものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0034】
また、本明細書全体を通して様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が、開示される事項に関係する技術水準をより完全に記載するために参照により本出願に組み込まれる。開示される参考文献はまた、参考文献が引用されている文章で考察され、それらに含有される材料について、個別にかつ具体的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
一般的な定義
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲では、以下の意味を有するべく定義された、いくつかの用語を参照されたい。
【0036】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、「comprising(含む)」及び「comprises(含む)」などの、「comprise(含む)」という用語及びこの用語の他の形態は、例えば、他の添加剤、構成要素、成分、又は工程を含むが、これらに限定されないことを意味し、除外することを意図しない。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段明らかな指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a composition(ある組成物)」への言及は、2つ以上のかかる組成物の混合物を含み、「an agent(ある薬剤)」への言及は、2つ以上のかかる薬剤の混合物を含み、「the component(その構成要素)」への言及は、2つ以上のかかる構成要素の混合物などを含む。
【0038】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、後で記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、この説明には、事象又は状況が生じる例及び生じない例が含まれる。
【0039】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、かつ/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。「約」とは、値の5%以内、例えば、値の4、3、2、又は1%以内を意味する。かかる範囲が表される場合、別の態様は、1つの特定の値から、かつ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」を用いることで、その特定の値が別の態様を形成していることが理解される。範囲の各々の終点は、他の終点との関係、及び他の終点から独立した関係の両方において、重要であることが更に理解されるであろう。
【0040】
値は、本明細書において「平均」値として表され得る。「平均」は、一般に、統計的平均値を指す。
【0041】
「実質的に」とは、5%以内、例えば4%、3%、2%、又は1%以内を意味する。
【0042】
「例示的な」とは、「一例」を意味し、好ましい又は理想的な実施形態の表示を伝えることを意図しない。「など」は、制限的な意味で使用されるのではなく、説明目的で使用される。
【0043】
本明細書全体を通して、「第1」及び「第2」の識別子は、開示される主題の様々な構成要素及び工程の区別を補助するために専ら使用されると考えられる。「第1」及び「第2」の識別子は、これらの用語によって修飾された構成要素又は工程に対する任意の特定の順序、量、優先順位、又は重要性を意味することを意図しない。
【0044】
本明細書及び結論の特許請求の範囲における組成物中の特定の要素又は構成要素の重量部への言及は、要素又は構成要素と、重量部が表される組成物又は物品中の任意の他の要素又は成分との間の重量関係を示す。したがって、構成要素Xの2重量部及び構成要素Yの5重量部を含有する化合物において、X及びYは、2:5の重量比で存在し、追加の構成要素が化合物中に含有されるかどうかにかかわらず、かかる比率で存在する。
【0045】
構成要素の重量パーセント(重量%)は、別途特に記載されていない限り、その構成要素が含まれる製剤又は組成物の総重量に基づく。
【0046】
本明細書で使用される場合、「又はこれらの組み合わせ」という用語は、その用語の前に列挙された項目の全ての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABC、特定の文脈において順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCAB、のうちの少なくとも1つが挙げられることを意図する。この例に続いて、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組み合わせが、明示的に含まれる。当業者は、別段文脈から明らかでない限り、任意の組み合わせでの項目又は用語の数についての限定が通常ないことを理解するであろう。
【0047】
フォトニック材料並びにその作製方法及び使用方法
本明細書に開示されるのは、フォトニック材料である。フォトニック材料は、第1の層、第2の層、及び第3の層を含み、第2の層が、第1の層と第3の層との間に挟まれるように、第2の層は、第1の層と第3の層との間に配置され、かつそれらに接触している。
【0048】
第1の層は、InGa1-yNを含み、式中、yは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、又は0.75以上)であり得る。いくつかの例では、yは、0.8以下(例えば、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。yの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、yは、0~0.8(例えば、0~0.4、0.4~0.8、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.5、0~0.3、0~0.1、0.1~0.8、0.2~0.8、0.3~0.8、0.5~0.8、0.6~0.8、0.7~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、yは、0.2である。いくつかの例では、第1の層は、InGa1-yNからなる。
【0049】
第1の層は、0.1ナノメートル(nm)以上(例えば、0.2nm以上、0.3nm以上、0.4nm以上、0.5nm以上、0.6nm以上、0.7nm以上、0.8nm以上、0.9nm以上、1.0nm以上、1.1nm以上、1.2nm以上、1.3nm以上、1.4nm以上、1.5nm以上、1.6nm以上、1.7nm以上、1.8nm以上、1.9nm以上、2.0nm以上、2.1nm以上、2.2nm以上、2.3nm以上、2.4nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、又は4nm以上)の第1の平均厚さを有し得る。いくつかの例では、第1の層は、5nm以下(例えば、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2.4nm以下、2.3nm以下、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下、1.9nm以下、1.8nm以下、1.7nm以下、1.6nm以下、1.5nm以下、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下、1.1nm以下、1.0nm以下、0.9nm以下、0.8nm以下、0.7nm以下、0.6nm以下、0.5nm以下、0.4nm以下、0.3nm以下、又は0.2nm以下)の第1の平均厚さを有し得る。第1の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第1の層は、0.1nm~5nm(例えば、0.1nm~2.5nm、2.5nm~5nm、0.1nm~1nm、1nm~2nm、2nm~3nm、3nm~4nm、4nm~5nm、0.1nm~4nm、0.1nm~3nm、0.1nm~2nm、0.5nm~5nm、1nm~5nm、2nm~5nm、3nm~5nm、0.5nm~4.5nm、1nm~4nm、又は1~3nm)の第1の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0050】
第2の層は、(ZnSnGeGaを含み、式中、xは、0超~1であり、a、b、c、及びdは、各々独立して、0~1であり、ただし、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、0超である。
【0051】
例えば、xは、0超(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)であり得る。いくつかの例では、xは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。xの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、xは、0超~1(例えば、0超~0.5、0.5~1、0超~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0超~0.9、0超~0.8、0超~0.7、0超~0.6、0超~0.4、0超~0.3、0超~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、xは、0.5である。いくつかの例では、xは、1である。
【0052】
いくつかの例では、aは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)である。いくつかの例では、aは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。aの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、aは、0~1(例えば、0~0.5、0.5~1、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0~0.9、0~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.4、0~0.3、0~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、aは、0である。いくつかの例では、aは、1である。
【0053】
いくつかの例では、bは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)である。いくつかの例では、bは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。bの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、bは、0~1(例えば、0~0.5、0.5~1、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0~0.9、0~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.4、0~0.3、0~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、bは、0である。いくつかの例では、bは、1である。
【0054】
いくつかの例では、cは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)である。いくつかの例では、cは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。cの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、cは、0~1(例えば、0~0.5、0.5~1、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0~0.9、0~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.4、0~0.3、0~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、cは、0である。いくつかの例では、cは、1である。
【0055】
いくつかの例では、dは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)である。いくつかの例では、dは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。dの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、dは、0~1(例えば、0~0.5、0.5~1、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0~0.9、0~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.4、0~0.3、0~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、dは、0である。いくつかの例では、dは、0.5である。いくつかの例では、dは、1である。
【0056】
いくつかの例では、dは、1-xに等しく、その結果、第2の層は、(ZnSnGeGa1-xを含む。
【0057】
いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5Ga0.5を含む。いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5Ga0.5からなる。
【0058】
いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5GaNを含む。いくつかの例では、第2の層は、(ZnSn)0.5GaNからなる。
【0059】
第2の層は、0.1ナノメートル(nm)以上(例えば、0.2nm以上、0.3nm以上、0.4nm以上、0.5nm以上、0.6nm以上、0.7nm以上、0.8nm以上、0.9nm以上、1.0nm以上、1.1nm以上、1.2nm以上、1.3nm以上、1.4nm以上、1.5nm以上、1.6nm以上、1.7nm以上、1.8nm以上、1.9nm以上、2.0nm以上、2.1nm以上、2.2nm以上、2.3nm以上、2.4nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、又は4nm以上)の第2の平均厚さを有し得る。いくつかの例では、第2の層は、5nm以下(例えば、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2.4nm以下、2.3nm以下、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下、1.9nm以下、1.8nm以下、1.7nm以下、1.6nm以下、1.5nm以下、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下、1.1nm以下、1.0nm以下、0.9nm以下、0.8nm以下、0.7nm以下、0.6nm以下、0.5nm以下、0.4nm以下、0.3nm以下、又は0.2nm以下)の第2の平均厚さを有し得る。第2の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第2の層は、0.1nm~5nm(例えば、0.1nm~2.5nm、2.5nm~5nm、0.1nm~1nm、1nm~2nm、2nm~3nm、3nm~4nm、4nm~5nm、0.1nm~4nm、0.1nm~3nm、0.1nm~2nm、0.5nm~5nm、1nm~5nm、2nm~5nm、3nm~5nm、0.2nm~4.5nm、0.3nm~4nm、又は0.5nm~0.7nm)の第2の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0060】
第3の層は、InGa1-zNを含み、式中、zは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、又は0.75以上)であり得る。いくつかの例では、zは、0.8以下(例えば、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。zの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、zは、0~0.8(例えば、0~0.4、0.4~0.8、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.5、0~0.3、0~0.1、0.1~0.8、0.2~0.8、0.3~0.8、0.5~0.8、0.6~0.8、0.7~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、zは、0.2である。いくつかの例では、第3の層は、InGa1-zNからなる。
【0061】
第3の層は、0.1ナノメートル(nm)以上(例えば、0.2nm以上、0.3nm以上、0.4nm以上、0.5nm以上、0.6nm以上、0.7nm以上、0.8nm以上、0.9nm以上、1.0nm以上、1.1nm以上、1.2nm以上、1.3nm以上、1.4nm以上、1.5nm以上、1.6nm以上、1.7nm以上、1.8nm以上、1.9nm以上、2.0nm以上、2.1nm以上、2.2nm以上、2.3nm以上、2.4nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、又は4nm以上)の第3の平均厚さを有し得る。いくつかの例では、第3の層は、5nm以下(例えば、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2.4nm以下、2.3nm以下、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下、1.9nm以下、1.8nm以下、1.7nm以下、1.6nm以下、1.5nm以下、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下、1.1nm以下、1.0nm以下、0.9nm以下、0.8nm以下、0.7nm以下、0.6nm以下、0.5nm以下、0.4nm以下、0.3nm以下、又は0.2nm以下)の第3の平均厚さを有し得る。第3の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第3の層は、0.1nm~5nm(例えば、0.1nm~2.5nm、2.5nm~5nm、0.1nm~1nm、1nm~2nm、2nm~3nm、3nm~4nm、4nm~5nm、0.1nm~4nm、0.1nm~3nm、0.1nm~2nm、0.5nm~5nm、1nm~5nm、2nm~5nm、3nm~5nm、0.5nm~4.5nm、1nm~4nm、又は1~3nm)の第1の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0062】
フォトニック材料は、例えば、平均複合材厚さを有し得、平均複合材厚さは、第1の平均厚さ、第2の平均厚さ、及び第3の平均厚さの合計である。平均複合材厚さは、例えば、0.5nm以上(例えば、0.6nm以上、0.7nm以上、0.8nm以上、0.9nm以上、1.0nm以上、1.1nm以上、1.2nm以上、1.3nm以上、1.4nm以上、1.5nm以上、1.6nm以上、1.7nm以上、1.8nm以上、1.9nm以上、2.0nm以上、2.1nm以上、2.2nm以上、2.3nm以上、2.4nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、4nm以上、4.5nm以上、5nm以上、5.5nm以上、6nm以上、6.5nm以上、7nm以上、7.5nm以上、8nm以上、8.5nm以上、9nm以上、又は9.5nm以上)であり得る。いくつかの例では、平均複合材厚さは、10nm以下(例えば、9.5nm以下、9nm以下、8.5nm以下、8nm以下、7.5nm以下、7nm以下、6.5nm以下、6nm以下、5.5nm以下、5nm以下、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2.4nm以下、2.3nm以下、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下、1.9nm以下、1.8nm以下、1.7nm以下、1.6nm以下、1.5nm以下、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下、1.1nm以下、1.0nm以下、0.9nm以下、0.8nm以下、0.7nm以下、0.6nm以下、0.5nm以下、0.4nm以下、0.3nm以下、又は0.2nm以下)であり得る。平均複合材厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、フォトニック材料は、0.5nm~10nm(例えば、0.5nm~5nm、5nm~10nm、0.5nm~2nm、2nm~4nm、4nm~6nm、6nm~8nm、8nm~10nm、0.5nm~9nm、0.5nm~8nm、0.5nm~7nm、0.5nm~6nm、0.5nm~4nm、0.5nm~3nm、1nm~10nm、2nm~10nm、3nm~10nm、4nm~10nm、6nm~10nm、7nm~10nm、9nm~10nm、1nm~9nm、1nm~7nm、1nm~5nm、2.5nm~5nm、又は4nm~5nm)の平均複合材厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0063】
いくつかの例では、フォトニック材料は、2つのバリア層の間に挟まれて、量子井戸を形成し得る。
【0064】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第4の層を更に含み得、第4の層は、第3の層が第2の層と第4の層との間に挟まれるように、第3の層上に配置され得る。第4の層は、AlGa1-wNを含み得、式中、wは、0以上(例えば、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.10以上、0.11以上、0.12以上、0.13以上、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.24以上、0.25以上、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上、0.33以上、0.34以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は0.95以上)である。いくつかの例では、wは、1以下(例えば、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、0.25以下、0.24以下、0.23以下、0.22以下、0.21以下、0.20以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、0.16以下、0.15以下、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、又は0.05以下)であり得る。wの値は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、wは、0~1(例えば、0~0.5、0.5~1、0~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.6~0.8、0.8~1、0~0.9、0~0.8、0~0.7、0~0.6、0~0.4、0~0.3、0~0.1、0.1~1、0.2~1、0.3~1、0.5~1、0.6~1、0.7~1、0.9~1、0.1~0.9、0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、0.1~0.4、又は0.1~0.3)であり得る。いくつかの例では、wは、0.2である。いくつかの例では、第4の層は、AlGa1-wNからなり得る。
【0065】
第4の層は、0.5nm以上(例えば、0.6nm以上、0.7nm以上、0.8nm以上、0.9nm以上、1.0nm以上、1.1nm以上、1.2nm以上、1.3nm以上、1.4nm以上、1.5nm以上、1.6nm以上、1.7nm以上、1.8nm以上、1.9nm以上、2.0nm以上、2.1nm以上、2.2nm以上、2.3nm以上、2.4nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、又は4nm以上)の第4の平均厚さを有し得る。いくつかの例では、第4の層は、5nm以下(例えば、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2.4nm以下、2.3nm以下、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下、1.9nm以下、1.8nm以下、1.7nm以下、1.6nm以下、1.5nm以下、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下、1.1nm以下、又は1.0nm以下)の第4平均厚さを有し得る。第4の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第4の層は、0.5nm~5nm(例えば、0.5nm~2.5nm、2.5nm~5nm、0.5nm~1nm、1nm~2nm、2nm~3nm、3nm~4nm、4nm~5nm、0.5nm~4nm、0.5nm~3nm、0.5nm~2nm、1nm~5nm、2nm~5nm、3nm~5nm、4nm~5nm、1nm~4nm、1nm~3nm、1nm~2nm、又は1.4nm~1.6nm)の第4の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0066】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第5の層を更に含み得、第4の層が、第5の層と第3の層との間に挟まれるように、第5の層は、第4の層上に配置され得る。いくつかの例では、第5の層は、GaNを含む。いくつかの例では、第5の層は、GaNからなる。
【0067】
いくつかの例では、第5の層は、1nm以上(例えば、1.5nm以上、2nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、4nm以上、4.5nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、10nm以上、11nm以上、12nm以上、13nm以上、又は14nm以上)の第5の平均厚さを有する。いくつかの例では、第5の層は、15nm以下(例えば、14nm以下、13nm以下、12nm以下、11nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2nm以下、又は1.5nm以下)の第5の平均厚さを有する。第5の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第5の層は、1nm~15nm(例えば、1nm~7nm、7nm~15nm、1nm~5nm、5nm~10nm、10nm~15nm、1nm~14nm、1nm~13nm、1nm~12nm、1nm~11nm、1nm~10nm、1nm~9nm、1nm~8nm、1nm~6nm、1nm~4nm、1nm~3nm、1nm~2nm、2nm~15nm、3nm~15nm、4nm~15nm、5nm~15nm、6nm~15nm、8nm~15nm、9nm~15nm、11nm~15nm、12nm~15nm、13nm~15nm、14nm~15nm、2nm~14nm、又は3nm~13nm)の第5の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0068】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第6の層を更に含み得、第1の層が、第6の層と第2の層との間に挟まれるように、第6の層は、第1の層上に配置され得る。いくつかの例では、第6の層は、GaNを含む。いくつかの例では、第6の層は、GaNからなる。
【0069】
いくつかの例では、第6の層は、1nm以上(例えば、1.5nm以上、2nm以上、2.5nm以上、3nm以上、3.5nm以上、4nm以上、4.5nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、10nm以上、11nm以上、12nm以上、13nm以上、又は14nm以上)の第6の平均厚さを有する。いくつかの例では、第6の層は、15nm以下(例えば、14nm以下、13nm以下、12nm以下、11nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4.5nm以下、4nm以下、3.5nm以下、3nm以下、2.5nm以下、2nm以下、又は1.5nm以下)の第6の平均厚さを有する。第6の平均厚さは、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第6の層は、1nm~15nm(例えば、1nm~7nm、7nm~15nm、1nm~5nm、5nm~10nm、10nm~15nm、1nm~14nm、1nm~13nm、1nm~12nm、1nm~11nm、1nm~10nm、1nm~9nm、1nm~8nm、1nm~6nm、1nm~4nm、1nm~3nm、1nm~2nm、2nm~15nm、3nm~15nm、4nm~15nm、5nm~15nm、6nm~15nm、8nm~15nm、9nm~15nm、11nm~15nm、12nm~15nm、13nm~15nm、14nm~15nm、2nm~14nm、又は3nm~13nm)の第6の平均厚さを有し得る。平均厚さは、電子顕微鏡検査法による評価(例えば、断面TEM画像化)などの当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0070】
本明細書に記載されるフォトニック材料は、第1の閉じ込められた状態を有する電子波動関数、及び第1の閉じ込められた状態を有する孔波動関数を有し得、フォトニック材料における第1の閉じ込められた状態での電子波動関数及び孔波動関数の重複は、1%以上(例えば、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、51%以上、52%以上、53%以上、54%以上、55%以上、56%以上、57%以上、58%以上、59%以上、60%以上、61%以上、62%以上、63%以上、64%以上、65%以上、66%以上、67%以上、68%以上、69%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上)である。
【0071】
いくつかの例では、フォトニック材料は、第2の層において強い孔閉じ込めを呈する。
【0072】
いくつかの例では、フォトニック材料は、500nm以上(例えば、510nm以上、520nm以上、530nm以上、540nm以上、550nm以上、560nm以上、570nm以上、580nm以上、590nm以上、600nm以上、610nm以上、620nm以上、630nm以上、640nm以上、650nm以上、660nm以上、670nm以上、680nm以上、690nm以上、700nm以上、725nm以上、750nm以上、775nm以上、800nm以上、825nm以上、850nm以上、875nm以上、900nm以上、925nm以上、950nm以上、975nm以上、1000nm以上、1050nm以上、1100nm以上、1150nm以上、1200nm以上、1250nm以上、又は1300nm以上)のピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有する。いくつかの例では、フォトニック材料は、1400nm以下(例えば、1350nm以下、1300nm以下、1250nm以下、1200nm以下、1150nm以下、1100nm以下、1050nm以下、1000nm以下、970nm以下、950nm以下、925nm以下、900nm以下、875nm以下、850nm以下、825nm以下、800nm以下、775nm以下、750nm以下、725nm以下、700nm以下、690nm以下、680nm以下、670nm以下、660nm以下、650nm以下、640nm以下、630nm以下、620nm以下、610nm以下、600nm以下、590nm以下、580nm以下、570nm以下、560nm以下、550nm以下、540nm以下、又は530nm以下)のピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有し得る。フォトニック材料の自発的発光スペクトルのピーク波長は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、フォトニック材料は、500nm~1400nm(例えば、500nm~950nm、950nm~1400nm、500nm~800nm、800nm~1100nm、1100nm~1400nm、500nm~1300nm、500nm~1200nm、500nm~1100nm、500nm~1000nm、500nm~900nm、500nm~700nm、500nm~600nm、550nm~1400nm、600nm~1400nm、700nm~1400nm、800nm~1400nm、900nm~1400nm、1000nm~1400nm、1200nm~1400nm、1300nm~1400nm、500nm~700nm、500nm~570nm、525nm~535nm、570nm~590nm、580nm~600nm、590nm~620nm、595~605nm、620nm~750nm、680nm~690nm、750nm~1400nm、750nm~1000nm、1000nm~1400nm、800nm~1000nm、又は500nm~1200nm)のピーク波長を有する自発的発光スペクトルを有し得る。
【0073】
いくつかの例では、フォトニック材料は、1×1015cm-3以上(例えば、5×1015cm-3以上、1×1016cm-3以上、5×1016cm-3以上、1×1017cm-3以上、5×1017cm-3以上、1×1018cm-3以上、2×1018cm-3以上、3×1018cm-3以上、4×1018cm-3以上、5×1018cm-3以上、6×1018cm-3以上、7×1018cm-3以上、8×1018cm-3以上、9×1018cm-3以上、1×1019cm-3以上、5×1019cm-3以上、1×1020cm-3以上、5×1020cm-3以上、1×1021cm-3以上、5×1021cm-3以上、1×1022cm-3以上、又は5×1022cm-3以上)のキャリア濃度を有し得る。いくつかの例では、フォトニック材料は、1×1023cm-3以下(例えば、5×1022cm-3以下、1×1022cm-3以下、5×1021cm-3以下、1×1021cm-3以下、5×1020cm-3以下、1×1020cm-3以下、5×1019cm-3以下、1×1019cm-3以下、9×1018cm-3以下、8×1018cm-3以下、7×1018cm-3以下、6×1018cm-3以下、5×1018cm-3以下、4×1018cm-3以下、3×1018cm-3以下、2×1018cm-3以下、1×1018cm-3以下、5×1017cm-3以下、1×1017cm-3以下、又は5×1016cm-3以下)のキャリア濃度を有し得る。フォトニック材料のキャリア濃度は、上記の最小値のうちのいずれかから、上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、フォトニック材料は、1×1015cm-3~1×1023cm-3(例えば、1×1015cm-3~1×1019cm-3、1×1019cm-3~1×1023cm-3、1×1015cm-3~1×1017cm-3、1×1017cm-3~1×1019cm-3、1×1019cm-3~1×1021cm-3、1×1021cm-3~1×1023cm-3、1×1015cm-3~1×1022cm-3、1×1015cm-3~1×1021cm-3、1×1015cm-3~1×1020cm-3、1×1015cm-3~1×1019cm-3、1×1015cm-3~1×1018cm-3、1×1015cm-3~1×1017cm-3、1×1015cm-3~1×1016cm-3、1×1016cm-3~1×1023cm-3、1×1017cm-3~1×1023cm-3、1×1018cm-3~1×1023cm-3、1×1019cm-3~1×1023cm-3、1×1021cm-3~1×1023cm-3、1×1022cm-3~1×1023cm-3、1×1016cm-3~1×1022cm-3、1×1017cm-3~1×1021cm-3、1×1018cm-3~1×1020cm-3、1×1018cm-3~1×1019cm-3、又は1×1018cm-3~5×1018cm-3)のキャリア濃度を有し得る。
【0074】
いくつかの例では、フォトニック材料は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、5×1025-1cm-3以上、1×1026-1cm-3以上、5×1026-1cm-3以上、1×1027-1cm-3以上、5×1027-1cm-3以上、1×1028-1cm-3以上、5×1028-1cm-3以上、1×1029-1cm-3以上、又は5×1029-1cm-3以上)のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3以上の単位体積当たりの自発的発光再結合速度を有する。いくつかの例では、フォトニック材料は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、5×1029-1cm-3以下、1×1029-1cm-3以下、5×1028-1cm-3以下、1×1028-1cm-3以下、5×1027-1cm-3以下、1×1027-1cm-3以下、5×1026-1cm-3以下、1×1026-1cm-3以下、又は5×1025-1cm-3以下)のキャリア濃度で、1×1030-1cm-3以下の単位体積当たりの自発的発光再結合速度を有し得る。1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度でのフォトニック材料の単位体積当たりの自発的発光再結合速度は、上記の最小値のうちのいずれかから上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、フォトニック材料は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、1×1025-1cm-3~1×1027-1cm-3、1×1027-1cm-3~1×1030-1cm-3、1×1025-1cm-3~1×1026-1cm-3、1×1026-1cm-3~1×1027-1cm-3、1×1027-1cm-3~1×1028-1cm-3、1×1028-1cm-3~1×1029-1cm-3、1×1029-1cm-3~1×1030-1cm-3、1×1025-1cm-3~1×1029-1cm-3、1×1025-1cm-3~1×1028-1cm-3、1×1026-1cm-3~1×1030-1cm-3、1×1028-1cm-3~1×1030-1cm-3、又は5×1025-1cm-3~5×1029-1cm-3)のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3~1×1030-1cm-3の自発的発光再結合速度を有し得る。
【0075】
いくつかの例では、フォトニック材料の自発的発光スペクトルは、500nm以上のピーク波長を呈し、ピーク波長は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、5×1025-1cm-3eV-1以上、1×1026-1cm-3eV-1以上、5×1026-1cm-3eV-1以上、1×1027-1cm-3eV-1以上、5×1027-1cm-3eV-1以上、1×1028-1cm-3eV-1以上、5×1028-1cm-3eV-1以上、1×1029-1cm-3eV-1以上、又は5×1029-1cm-3eV-1以上)のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3eV-1以上の強度を有する。いくつかの例では、フォトニック材料の自発的発光スペクトルは、500nm以上のピーク波長を呈し、ピーク波長は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、5×1029-1cm-3eV-1以下、1×1029-1cm-3eV-1以下、5×1028-1cm-3eV-1以下、1×1028-1cm-3eV-1以下、5×1027-1cm-3eV-1以下、1×1027-1cm-3eV-1以下、5×1026-1cm-3eV-1以下、1×1026-1cm-3eV-1以下、又は5×1025-1cm-3eV-1以下)のキャリア濃度で、1×1030-1cm-3eV-1以下の強度を有する。1×1018cm-3~5×1018cm-3のキャリア濃度でのフォトニック材料の自発的発光スペクトルのピーク波長の強度は、上記の最小値のうちのいずれかから上記の最大値のうちのいずれかまでの範囲であり得る。例えば、フォトニック材料の自発的発光スペクトルは、500nm以上のピーク波長を呈し、ピーク波長は、1×1018cm-3~5×1018cm-3(例えば、1×1025-1cm-3eV-1~1×1027-1cm-3eV-1、1×1027-1cm-3eV-1~1×1030-1cm-3eV-1、1×1025-1cm-3eV-1~1×1026-1cm-3eV-1、1×1026-1cm-3eV-1~1×1027-1cm-3eV-1、1×1027-1cm-3eV-1~1×1028-1cm-3eV-1、1×1028-1cm-3eV-1~1×1029-1cm-3eV-1、1×1029-1cm-3eV-1~1×1030-1cm-3eV-1、1×1025-1cm-3eV-1~1×1029-1cm-3eV-1、1×1025-1cm-3eV-1~1×1028-1cm-3eV-1、1×1026-1cm-3eV-1~1×1030-1cm-3eV-1、1×1028-1cm-3eV-1~1×1030-1cm-3eV-1、5×1025-1cm-3eV-1~5×1029-1cm-3eV-1、又は5×1026-1cm-3eV-1~5×1029-1cm-3eV-1)のキャリア濃度で、1×1025-1cm-3eV-1~1×1030-1cm-3eV-1の強度を有する。
【0076】
また、量子井戸構造を含む発光ダイオード(LED)も本明細書に記載され、量子井戸構造は、本明細書に記載されるフォトニック材料のうちのいずれかを含み得る。また、本明細書に記載されるフォトニック材料のうちのいずれかを含む半導体レーザ、光起電装置(太陽電池デバイス)、光検出器なども、本明細書に記載される。
【0077】
また、本明細書に記載されるフォトニック材料の作製方法も、本明細書に開示される。例えば、本方法は、各層を適切な順序で堆積させることを含み得、各層は、有機金属化学蒸着法(MOCVD)(パルスMOCVDなど)、分子線エピタキシー法(MBE)、パルスレーザ堆積法(PLD)、又はこれらの組み合わせなどの、エピタキシャル成長法によって堆積し得る。いくつかの例では、本方法は、パルスMOCVDを含み得る。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得ることを理解されたい。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0079】
以下の実施例は、本明細書に記載されるシステム及び方法の特定の態様を更に例示することを意図するものであり、特許請求の範囲の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0080】
以下の実施例は、開示される主題に係る方法及び結果を例示するために以下に記載される。これらの実施例は、本明細書に開示される主題の全ての態様を含むことを意図しないが、むしろ代表的な方法及び結果を例示することを意図する。これらの実施例は、本発明の等価物及び変形を除外することを意図せず、これは当業者には明らかである。
【0081】
数値(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は、重量部であり、温度は、℃であるか、又は周囲温度であり、圧力は、大気圧又はその付近である。測定条件、例えば、構成要素の濃度、温度、圧力、及び他の測定範囲、並びに記載されるプロセスを最適化するために使用され得る条件の多くの変形及び組み合わせが存在する。
【0082】
実施例1-量子井戸工学を使用した高効率LED設計
過去20年間にわたる広範な研究開発は、InGaNベースの青色発光デバイスの100%に近い外部量子効率(EQE)をもたらしたが(Damilano et al.J.Phys.D:Appl.Phys.2015,48,40300)、より長い可視波長の発光デバイスの効率は、比較的低いままである。ウルツ鉱構造の反転対称性の欠如に由来する自発的分極(Keller et al.Semicond.Sci.Technol.2014,29,113001)、及び格子ミスマッチ誘発ひずみによって引き起こされる圧電分極(Han et al.J.Appl.Phys.2016,120,103102)は、InGaN量子井戸(QW)ベースの発光デバイスにおいて、QWの異なる領域における内部電場、及びそれに伴う電子及び孔の局在化をもたらす(Damilano et al.J.Phys.D:Appl.Phys.2015,48,403001)。この問題は、In含有量及びQW幅の増加とともに悪化し、緑色又はより長い波長を発光するInGaNベースのデバイスの効率を抑制する。
【0083】
InGaNベースの緑色及びより長い波長の発光デバイスの効率問題に対処するために今日までに行われた試みとしては、非極性又は半極性InGaN(Han et al.J.Appl.Phys.2016,120,103102)、スタッガードInGaN QW(Zhao et al.Opt.Express 2011,19,A991)、ひずみ補償InGaN/AlGaN QW(Zhao et al.IEEE J.Quantum Electron.2009,45,66;Zhao et al.Opt.Quantum Electron.2008,40,301)、タイプ-II InGaN/GaNAs QW(Arif et al.Appl.Phys.Lett.2008,92,011104)、及びInGaN-delta InN QW(Zhao et al.Appl.Phys.Lett.2010,97,131114)を使用することによって電荷分離を最小化することが挙げられる。近年、Hanらは、青色及び緑色発光ダイオード用のタイプ-II InGaN/ZnGeN QWベースの設計を提案した。この設計では、2つのInGaN層の間に挟まれたZnGeN層が、InGaNとの大きな帯オフセットに起因して、孔閉じ込めによる電子及び孔波動関数の重複(Γe-h)を顕著に改善する(Han et al.J.Appl.Phys.2016,120,103102)。
【0084】
以前、Zhaoらは、InGaN/ZnSnN QW構造に基づくQW構造設計を提案した(米国特許第11,355,668号)。ZnSnNの薄層をInGaN QWに挿入することで、電子-孔波動関数の重複を向上させ、したがって、放射効率を高めることを目指している。
【0085】
ここで、(ZnSnGeGa1-xは、InGaN QWに挿入される。図1に示されるように、QWの総厚さは、LQWであり、(ZnSnGeGa1-x層の厚さは、Lである。(ZnSnGeGa1-x層の位置は、QWの左側(z=0)からQWの右側(z=LQW-L)に調整され得る。(ZnSnGeGa1-x材料は、II-IV-N[ZnSnGe]とGaNとの合金を表す。Ga組成物1-xは、0~1未満で調整され得る。1-x=0の特別な場合、材料は、ZnSnGeとなる。II族(Zn)/IV族(Sn+Ge)原子比a/(b+c)=1の場合、化学量論的Zn(SnGe1-b)Nを表す。IV族元素であるSnとGeとのb/c比は、0:1~1:0で変化し得る。InGaNサブ層y及びzのIn組成は、異なり得る。InGaNと(ZnSnGeGa1-xとの間の帯オフセット:ΔE、ΔEは、合金組成に応じて変化する。価電子帯において孔波動関数をQWの中心付近に良好に閉じ込めるためには、Ga組成を70%以下に保つ必要がある。伝導帯における電子のより軽い有効質量に起因して、帯構造工学が電子波動関数に及ぼす影響は弱くなる。高純度のGaNは、QWの両側でバリアとして使用され得る。伝導帯における電子閉じ込めを改善するために、より大きなバリア高さのAlGaN層が実施され得る。Al組成wは、0~1で変化し得、AlGaN層の厚さ(LAlGaN)は、0~LGaNで変化し得る。
【0086】
QW構造の設計は、ZnSn(Ga)NのMOCVD成長に関する実験結果に基づいている。高温で成長させたSn液滴を含まないZnSnN薄膜を達成するために、パルスMOCVD成長技術を実施した。DEZn、TMSn、TMGa、及びアンモニアを、それぞれZn、Sn、Ga、及びNの前駆体として使用した。TMGa及びNHモル流量を、それぞれ90.63μmol/分及び178μmol/分に設定した。ZnSn(Ga)N成長のために、反応器圧力を500Torrに設定し、成長温度を560℃~580℃で変化させた。DEZn、TMSn、及びNHモル流量を、それぞれ、36.58μmol/分、36.48μmol/分、及び201μmol/分に設定した。
【0087】
TMSnパルスモード成長のために、TMSnフローは、DEZn及びNHの一定の流量を維持しながら、周期的なオン及びオフで設計される。図2は、パルスモード成長の概略図を示す。DEZn及びNHを一定の流量で維持しながら、TMSn流量を、各パルスサイクルについてt_ON(チャンバへの流入)及びt_OFF(バイパス)で制御した。このパルスサイクルをN回繰り返した。
【0088】
図3は、良好な表面形態及び7.12nmのRMSを有する高品質のZnSn(Ga)N膜成長を実証する。
【0089】
試料Hの断面TEM画像が図4Aに示され、高い結晶品質及び化学量論的Zn/Sn比を明らかにする。白い破線は、エピタキシャル関係を有する鋭い界面を示すZnSn(Ga)N/GaN界面を示す。TEM_EDX測定から、図4Bにプロットされるように、成長した膜は、化学量論的Zn/Sn比及び50%のGaN合金を有する。一連のMOCVD成長の研究は、ZnSn(Ga)N膜のSn液滴がない成長を達成するために、パルスモードMOCVD成長が実行可能であることを実証する。インサイチュGaN再成長層及び最適化されたTMSnパルス周期は、高品質のZnSn(Ga)N膜成長を達成し得る。
【0090】
XPS測定を使用して、20nm厚さのGaN試料、20nm厚さの(ZnSn)0.5Ga0.5試料、及び2nm厚さの(ZnSn)0.5Ga0.5/GaNヘテロ構造試料の3つの試料を使用して、(ZnSn)0.5Ga0.5とGaNとの間の価電子帯オフセットを決定した。(ZnSn)0.5Ga0.5試料について決定されたコアエネルギーレベル及びVBMの位置を表1に列挙する。
【表1】
【0091】
Zn 3d帯及びSn 3d帯を使用して決定された価電子帯オフセットの平均を使用して、GaNのVBMに対して(ZnSn)0.5Ga0.5の価電子帯最大値を整列させた。したがって、(ZnSn)0.5Ga0.5とGaNとの間のVBOを、0.97±0.05eVであるように抽出した。(ZnSn)0.5Ga0.5とGaNとの帯整列を、Zn 3d帯及びSn 3d帯を使用して決定されたVBO値の平均を使用して図5に示す。
【0092】
実施例2-緑色、琥珀色、及びそれを超えて発光する高効率InGaN LED
III-窒化物/II-IV-窒化物ヘテロ構造を活性媒体として使用する、緑色、琥珀色、及びより長い波長を有する高効率LEDが本明細書に記載される。低インジウム含有量のInGaN、及びZnGeN、又はZnSnNからなるヘテロ構造のMOCVD開発は、蛍光体変換LEDに基づく現行技術を超えるために使用される(図6図7)。この手法では、量子井戸の活性領域を調整して、発光波長を減少させたり、電子-孔波動関数の重複を増加させたりする柔軟性を増加させることを活用して、高インジウム含有量のInGaNを使用せずにInGaN量子井戸LEDの発光波長を拡張し、内部量子効率を大幅に改善する新しい方法を切り開く。
【0093】
III-N/II-IV-Nヘテロ構造を使用して、緑色、琥珀色、及びより長波長の高効率LEDを達成するように設計された実験が本明細書に記載される。このコンセプトは、密接に格子状に一致した材料及びその大きな帯オフセットを使用して、低In含有量を使用してInGaN QWの発光波長を拡張する機会を提供する。
【0094】
高い結晶品質のZnGeN及びZnSnNのMOCVD成長ウィンドウが検討される。IQE60%超を有する(In)GaN-ZnGeN QW緑色LED、及びIQE50%超(光学)を有するInGaN-ZnSnN QW琥珀色LEDも検討される。電気的に注入されたIQE60%超を有する緑色LED及びIQE50%超を有する琥珀色LEDが検討される。
【0095】
III-N及びII-IV-N二重チャンバMOCVD設定が使用され得(図8図9)、これは、5つの水素化物ガスチャンネル及び7つのアルキルチャンネルを有する。5つの水素化物チャンネルとしては、SiH/He(レギュラー)、SiH(二重希釈)、GeH/He(レギュラー)、Spare(パネル上の将来の水素化物供給源のためのスペース)、NH(1チャンネル)、及びH(キャリアガス、Nキャリアガスに切り替え可能)が挙げられる。7つのアルキルチャンネルとしては、TMAl(二重希釈)、TMG1(二重希釈)、TEG1(レギュラー)、TMI1(レギュラー)、CP2MG1(レギュラー)、DEZn(レギュラー)、及びテトラメチルスタンナン(CH12Sn)が挙げられる。MOCVDによるII-IV-窒化物の成長の他の報告は存在しない。更に、II-IV-窒化物及びIII-窒化物の両方の成長を支援し得る他の二重チャンバ構成は存在しない。
【0096】
デバイスは、GaN上に単結晶ZnGe(Ga)NをMOCVD成長させたもので、鋭い界面を有する高い結晶品質を実証した(図10図11)(Karim et al.J Phys.D:Appl.Phys.2021,54(24),245102)。
【0097】
デバイスは、GaN上に単結晶ZnSn(Ga)NのMOCVD成長を実証した(図12図14図4A、及び図4B)。
【0098】
XPS測定を介して、II-IV-N/GaN(図5及び図15)間で大きな帯オフセットを決定した。ZnGeN/GaN間の帯オフセットΔE=1.55eVの第1の実験的決定。(ZnSn)0.5Ga0.5/GaN間の帯オフセットΔE=0.97eVの第1の実験的決定。
【0099】
InGaN/ZnGeNヘテロ構造QWを実現した。従来のInGaN QW及びInGaN/ZnGeN/InGaNヘテロ構造QWの断面STEM画像をそれぞれ図16及び図17に示す(Karim et al.ACS Crys.Growth Des.2022,22(1),131-139)。
【0100】
IGN/ZGN QWの発光波長は、従来のQWと比較して赤色にシフトし、シフトの大きさは、ZnGeN層の位置に依存する(図18)。
【0101】
電気的に注入されたInGaN/II-IV-Nヘテロ構造QWのLEDが検討されている。II-IV-N層の位置又は厚さを最適化することによるエレクトロルミネセンス波長調整が検討されている。
【0102】
実施例3-高効率琥珀色発光ダイオード用のInGaN-ZnSnGaの量子井戸の設計
要約。タイプ-II InGaN-ZnSnGa量子井戸(QW)構造が提案され、高効率琥珀色(λ 約590nm)の発光ダイオード(LED)の活性領域として研究され、これは、現在、高純度InGaNベースのLEDにおいて大きな課題である。薄いZnSnGa(例えば、(ZnSn)0.5GaN)層は、InGaN QWに挿入されて、価電子帯における孔波動関数の閉じ込めを向上させ、AlGaN層は、伝導帯における電子波動関数をより良好に閉じ込めるのを助けるために、量子バリアに組み込まれる。InGaN-ZnSnGa QWの帯構造は、ZnSnGaとGaNとの間の実験的に測定された帯オフセットに基づいて数値的にシミュレートされる。InGaN-ZnSnGa QW設計では、約590nmのピーク発光波長に到達するために、InGaN層中に低いIn含有量(20%)が必要であるが、同じ層厚さを有する従来のInGaN QWについて同じ発光波長に到達するためには、25%のIn組成が必要である。更に、InGaN-ZnSnGa QW設計のための電子-孔波動関数の重複(Гe1-hh1)は、約590nmの発光波長について18%に達し、同じ波長で発光する従来のInGaN QW(5%)から大幅に改善される。電子-孔波動関数の重複の増加は、より高いIn組成を有する従来のInGaN QWと比較して、InGaN-ZnSnGa QWの自発的発光放射再結合速度においておよそ14倍の向上をもたらす。InGaN-ZnSnGa QW構造設計は、高効率の琥珀色LEDを達成するための新しい方法を切り開くことが有望であり得る。
【0103】
序論。過去数十年で、InGaNベースの緑色、黄色、及び琥珀色の発光ダイオード(LED)、特にInGaN(青色)及びIII-V(赤色)材料システムによって既に達成されている高効率LEDの性能改善に顕著な努力が払われた。InGaNベースのLED効率は、顕著に向上しているが(Lv et al.ACS Photonics 2019,6,130;Alhassan et al.Opt.Express 2016,24,17868;Jiang et al.Photonics Res.2019,7,144;Marcinkevicius et al.Appl.Phys.Lett.2021,119,071102)、琥珀色のLEDの効率は、可視波長範囲の中で依然として最低のままである(DOE BTO Solid-State Lighting Program,“2022 DOE SSL R&D Opportunities”)。InGaN量子井戸(QW)ベースの発光ダイオードは、非対称ウルツ鉱結晶構造(自発的分極)及びひずみQW(圧電分極)に起因する大きな分極誘起電界によって引き起こされる1つの基本的な課題に直面している。これによって、電子及び孔波動関数の分離がもたらされ、電荷キャリアの放射再結合速度が低減する(Bernardini et al.Phys.Rev.B 2001,63,193201)。比較的より高いIn含有量及びより厚いQWが必要であるため、青色及び緑色を超える発光波長を有するInGaN QWのLEDは、内部静電界の有害な影響をより受けやすい(Damilano et al.J.Phys.Appl.Phys.2015,48,403001)。
【0104】
従来、a平面及びm平面などの非極性又は半極性方向に沿って成長したLED構造(DOE BTO Solid-State Lighting Program,“2022 DOE SSL R&D Opportunities”;Schmidt et al.Jpn.J.Appl.Phys.2007,46,L190;Farrell et al.Jpn.J.Appl.Phys.2007,46,L761)は、InGaN QWにおける大きな分極場を除去又は低減することを意図していた。この課題を克服するために報告されている他の手法としては、スタッガードInGaN QW(Zhao et al.IEEE J.Sel.Top.Quantum Electron.2009,15,1104;Zhao et al.Opt.Express 2011,19,A991;Park et al.Appl.Phys.Lett.2009,94,041109;Arif et al.IEEE J.Quantum Electron.2008,44,573)、ひずみ補償InGaN-AlGaN QW(Zhao et al.IEEE J.Quantum Electron.2009,45,66;Zhao et al.Opt.Quantum Electron.2008,40,301)、タイプ-II InGaN-GaAsN QW(Arif et al.Appl.Phys.Lett.2008,92,011104;Park et al.Opt.Quantum Electron.2009,41,779)、InGaN-delta-InN QW(Zhao et al.Appl.Phys.Lett.2010,97,131114)、及びdelta-AlGaN層を有するInGaN QW(Park et al.Appl.Phys.Lett.2006,88,202107;Park et al.Appl.Phys.Lett.2007,90,023508)などのQW設計が挙げられる。これらのQWにおける帯構造工学は、電子波動関数及び孔波動関数のシフトをもたらし、したがって、電子-孔波動関数の重複及び放射再結合速度が改善される。InGaN QWの内部量子効率(IQE)の顕著な向上はまた、貫通転位における「V-pits」(Marcinkevicius et al.Appl.Phys.Lett.2021,119,071102)を形成することによっても近年報告されている。インリッチクラスター(Wu et al.Appl.Phys.Lett.1998,72,692)は、転位の周囲に潜在的バリアを作り出し、非放射再結合を抑制し得る(Hangleiter et al.Phys.Rev.Lett.2005,95,127402)。しかしながら、発光波長をより長くしようとする場合、これらのQW設計には依然として高In組成又は厚いQWが必要であり、これは、限定された放射効率をもたらす。加えて、希土類ドープ(Er、Eu)GaNが、緑色及び赤色発光の活性領域として研究された(Heikenfeld et al.Appl.Phys.Lett.2000,76,1365;Morishima et al.Phys.Status Solidi A 1999,176,113;Fragkos et al.Sci.Rep.2018,8,13365;Fragkos et al.Sci.Rep.2017,7,1;Timmerman et al.Phys.Rev.Appl.2020,13,014044)。
【0105】
近年、単層ZnGeN又はZnSnN層のInGaN QWへの戦略的な挿入、すなわちInGaN-ZnGeN、InGaN-ZnSnNタイプ-II QW構造が、InGaNベースのLEDにおける放射効率において大きな改善を示すことが報告された(Han et al.J.Appl.Phys.2016,120,103102;Karim et al.J.Appl.Phys.2018,124,034303)。薄いZnGeN層のInGaN QWへの挿入の成功もまた、実験的に実証されている(Karim et al.Cryst.Growth Des.2021,22,131)。一方、InGaNとZnGeNとの間の大きな伝導帯オフセットは、ZnGeN層中の電子波動関数の閉じ込めを弱め、これは、電子と孔との放射再結合を制限する。ZnSnNは、価電子帯及び伝導帯の両方において、GaNとのより有利な整列を特徴とする(Punya et al.Phys.Rev.B 2013,88,075302;Jaroenjittichai et al.Phys.Rev.B 2017,96,079907)、これは、伝導帯の電子波動関数の閉じ込めを犠牲にすることなく、価電子帯の孔波動関数の強い閉じ込めを維持する。したがって、より長いピーク発光波長(約600nm)を有するLEDについて、大きな電子-孔波動関数の重複及び高IQEが達成され得る(Karim et al.J.Appl.Phys.2018,124,034303)。しかしながら、ZnSnNに必要なMOCVD成長温度が比較的低いことに起因して、ZnSnN単層のInGaN QWへの挿入は、困難であり得る。近年、ZnSnNのより高い成長温度でのSn液滴の形成に対処するために、パルスモードMOCVD成長方法が実施され、化学量論的ZnSnGa合金が達成された(Zhang et al.Cryst.Growth Des.2022,22,5004)。GaNを用いて実験的に決定された帯オフセット(ΔE=0.96eV及びΔE=0.18eV)(Zhang et al.Cryst.Growth Des.2022,22,5004)は、長い発光波長での向上した放射効率を有する、タイプ-II InGaN-ZnSnGa QWの有望なヘテロ構造を示す。
【0106】
この研究では、自己無撞着の6帯k・p法を使用した高効率琥珀色LEDを目的としたタイプII InGaN-ZnSnGa QW構造の設計が記載されている(Zhao et al.IEEE J.Quantum Electron.2009,45,66)。分極場、ひずみ効果、及びキャリアスクリーニング効果を考慮して、帯構造の計算を実行した。InGaN-ZnSnGa QW及び約590nmで発光する従来のInGaN QWの両方について自発的発光放射再結合速度を計算し、本明細書に記載されるQW設計は、1-5×1018cm-3の範囲のキャリア濃度で約14倍の向上を示す。
【0107】
概念及び設計の詳細。この設計では、ZnSnGaの薄層が活性領域に挿入されて、孔閉じ込め層として機能する。ひずみのないGaN、InN、及びIn0.2Ga0.8Nを有するZnSnGa及びZnSnNの帯の整列を図19に示す。ZnSnGaとGaNとの間の帯オフセットを、XPS測定を使用して決定した(Zhang et al.Cryst.Growth Des.2022,22,5004)が、ZnSnNとGaNとの間の帯オフセット値は、第一原理計算によるものである(Punya et al.Phys.Rev.B 2013,88,075302;Jaroenjittichai et al.Phys.Rev.B 2017,96,079907)。独自の帯の整列は、ZnSnGa層に強い孔閉じ込めをもたらす。提案された設計の概略図が図20に示される。薄いAlGaN層は、QW活性領域内の電子波動関数をより良好に閉じ込め得る。従来のInGaN(IGN)QWのピーク発光波長(λ)は、In含有量及びQWの厚さに依存するが、InGaN-ZnSnGa(IGN-ZTGNベースのQW構造は、より柔軟性をもたらし、InGaN QW内のZnSnGa層の厚さ及び位置を調整することによって、λに対するより広い範囲の調整を可能にする。
【0108】
提案されたIGN-ZTGN QW並びに従来のQWの帯構造を得るために、自己無撞着の6帯k・p法を使用した。孔エネルギー帯を決定するために、6×6対角化k・pハミルトニアンを使用した。伝導帯における電子について放物線状の帯構造を仮定した。ひずみ、自発的及び圧電的分極、キャリアスクリーニング、並びに価電子帯混合の影響を考慮した。ZnSnGaの自発的分極も考慮した。構造をLED用途のために提案したので、放射再結合特性を、1-5×1018cm-3のキャリア密度で研究した。
【0109】
帯構造を計算するために、ポアソン方程式を収束が達成されるまで繰り返し解いた。シュレーディンガー方程式及びポアソン方程式を自己無撞着に解くことによって、閉じ込められたエネルギーレベル及び波動関数が得られた。正規化されたエンベロープ関数間の空間重複を計算して、電子波動関数と孔波動関数との間の重複を得た。自発的発光速度の計算において、TE及びTMの分極の両方を考慮した。数値的形式論の詳細な説明は、他の箇所で提供される(Zhao et al.IEEE J.Quantum Electron.2009,45,66)。表2は、他の箇所で使用されたのと同じ表記法を使用して、シミュレーションで使用されたパラメータ値を要約する(Zhao et al.IEEE J.Quantum Electron.2009,45,66)。
【表2】
【0110】
表2において、GaNを有するZnSnGaの帯オフセット値を、実験結果に基づいて得た(Zhang et al.Cryst.Growth Des.2022,22,5004)、他のパラメータを、ZnSnN及びGaNの値に基づいて合金組成物の線形依存性をとることによって決定した(Punya et al.Phys.Rev.B 2013,88,075302;Jaroenjittichai et al.Phys.Rev.B 2017,96,079907;III-Nitride Semiconductors and Their Modern Devices,Oxford University Press,Oxford,New York,2013;Park et al.Phys.Rev.B 1999,59,4725;Punya et al.Phys.Status Solidi C 2011,8,2492)。
【0111】
帯図及び自発的発光特性。従来の4nm In0.25Ga0.75N(IGN)QW及び2nm In0.2Ga0.8N-0.6nm ZnSnGa-2nm In0.2Ga0.8N-1.5nm Al0.2Ga0.8N(IGN-ZTGN)QWの伝導帯及び価電子帯の帯構造を、それぞれ図21A及び図21Bにプロットする。両方の構造を、約590nmのピーク発光波長を有するように設計した。第1の閉じ込められた伝導エネルギー状態のための対応する電子波動関数(ψe1)及び孔波動関数(ψhh1)もプロットされる。図21Aに示されるように、IGN QWは、激しい帯屈曲を呈し、電子及び孔波動関数は、空間的に分離される。結果として、電子-孔波動関数の重複Гe1-hh1は、わずか5%と計算される。しかしながら、図21Bに示されるIGN-ZTGN QWは、強い孔波動関数の閉じ込め、及び18%の向上した電子-孔波動関数の重複を有する。注目すべきは、IGN-ZTGN QWのInGaN層中のIn組成は、20%であり、これは、従来のIGN QW(25%)よりも低い。その結果として、この構造によって、より長い発光波長で高いIn含有量によって引き起こされる効率の低下が最終的に低減されることが期待される。
【0112】
IGN-ZTGN QWの自発的発光スペクトルを、1-5×1018cm-3のキャリア濃度について計算し、従来のIGN QWと比較した。図22Aに示されるように、両方のQW構造は、1×1018cm-3のキャリア密度において、約590nmのピーク発光波長を示す。IGN QWのピーク自発的発光強度(I)は、1×1018cm-3から5×1018cm-3へのキャリア濃度の増加とともに、5.0×1026-1cm-3eV-1から1.2×1028-1cm-3eV-1へ増加し、一方、IGN-ZTGN QWのIは、2.0×1025-1cm-3eV-1から5.9×1026-1cm-3eV-1へ増加し、これは、およそ17~25倍の向上に相当する。フェルミの黄金律によれば、向上したIは、IGN-ZTGN QW活性領域における電子-孔波動関数の重複の増加に起因する。
【0113】
単位体積当たりの自発的発光放射再結合速度であるRspは、全波長範囲にわたって自発的発光スペクトルを積分することによって計算される。図22Bに示されるように、Rspは、両方のQW構造についてキャリア濃度の増加に伴って単調に増加する。IGN-ZTGN QWは、IGN QWと比較して約14倍のRspの向上を提供する。定量的には、IGN-ZTGN QWのRspは、1-5×1018cm-3のキャリア濃度に対して、5.0×1026-1cm-3から1.2×1028-1cm-3へ増加し、一方、IGN QWのRspは、2.7×1025-1cm-3から8.5×1026-1cm-3に制限される。LEDのIQEは、放射再結合速度と総再結合速度(放射構成用途及び非放射構成要素の両方を含む)との比によって決定されることに留意されたい。この場合、比較的高温で成長した、より低いIn含有量のInGaNに起因して、IGN-ZTGN QWで期待されるより低い非放射再結合を考慮すると、本明細書に記載されるQW設計では、IQEにおける更に優れた性能が期待され得る。更に、この構造は、近年確立されたGaN上の化学量論ZnSnGa膜のパルスモード成長に基づいて、MOCVDエピタキシーの準備ができているはずである(Zhang et al.Cryst.Growth Des.2022,22,5004)。
【0114】
結論。結論として、InGaN-ZnSnGa QW活性層を使用した琥珀色LEDのQW設計のシミュレーションが研究される。ZnSnGaとGaNとの間の実験的に測定された帯オフセットが、シミュレーションに使用される。大きな価電子帯オフセットに起因して、ZnSnGaの薄層をInGaN QWに挿入することによって、孔波動関数の強い閉じ込めが達成される。結果として、InGaN-ZnSnGa QWのピーク自発的発光強度及び自発的発光放射再結合速度は、従来のInGaN QWと比較して約17~25倍及び14倍の向上を示した。加えて、ZnSnGaのより小さい帯ギャップ、及びより大きいGaNによる価電子帯オフセットから利益を得ることから、590nm付近の琥珀色発光を得るために、InGaN層のIn含有量を少なくする必要がある。提案されたInGaN-ZnSnGa QW構造は、緑色を超えて発光するInGaN QWベースのLEDの効率を改善するという課題に対処する大きな可能性を示す。この設計に基づいて、可視波長レジーム全体を通して発光する高性能III-窒化物ベースのLEDを開発することは有望である。
【0115】
明らかであり、本発明に固有である他の利点は、当業者には明白であろう。特定の特徴及び部分組み合わせは、有用であり、他の特徴及び部分組み合わせを参照することなく用いられ得ることが理解されよう。これは、特許請求の範囲の範囲によって考慮され、特許請求の範囲の範囲内である。多くの可能な実施形態は、その範囲から逸脱することなく本発明から作製され得るので、添付の図面に記載又は示される本明細書における全ての事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0116】
添付の特許請求の範囲の方法は、本明細書に記載される特定の方法によって範囲が限定されるものではなく、これらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図され、機能的に等価である任意の方法は、特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本方法の様々な修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。更に、本明細書に開示される特定の代表的な方法工程のみが具体的に記載されるが、方法工程の他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。したがって、工程、要素、構成要素、又は構成成分の組み合わせは、本明細書において明示的に記載され得るか、又はそれ以下であり得るが、工程、要素、構成要素、及び構成成分の他の組み合わせは、明示的に記載されていなくても含まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
【国際調査報告】