IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライトイヤー・イーペーセーオー・ベー・フェーの特許一覧

特表2025-502328電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム
<>
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図1
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図2
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図3
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図4
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図5
  • 特表-電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電気自動車、車載充電器、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/62 20190101AFI20250117BHJP
【FI】
B60L53/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542189
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2023050864
(87)【国際公開番号】W WO2023135294
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】2030569
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523281892
【氏名又は名称】ライトイヤー・イーペーセーオー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェロン・リシャルト・ヘルトルダ・マール
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125CC06
5H125CD03
5H125DD02
5H125EE13
5H125FF02
(57)【要約】
電気回路網を備える電気自動車が提供される。電気回路網はバッテリおよび車載充電器を備える。バッテリは、電気エネルギーを蓄積するように構成される。車載充電器およびバッテリは、車載充電器とバッテリとの間で電気エネルギーをDC電力として伝送させるためのDC回路を形成するように配置される。車載充電器は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。車載充電器は、外部電気回路に結合されて、車載充電器と外部電気回路との間で電気エネルギーをAC電力として伝送させるためのAC回路を形成するように構成される。車載充電器は、AC回路内のアーク故障を検出するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路網(102)を備える電気自動車(100)であって、
前記電気回路網(102)がバッテリ(104)および車載充電器(106)を備え、
前記バッテリ(104)が、電気エネルギーを蓄積するように構成され、
前記車載充電器(106)および前記バッテリ(104)が、前記車載充電器(106)と前記バッテリ(104)との間で前記電気エネルギーをDC電力として伝送させるためのDC回路(230)を形成するように配置され、
前記車載充電器(106)が、前記電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成され、
前記車載充電器(106)が、外部電気回路(120)に結合されて、前記車載充電器(106)と前記外部電気回路(120)との間で前記電気エネルギーをAC電力として伝送させるためのAC回路(220)を形成するように構成され、
前記車載充電器(106)が、前記AC回路(220)内のアーク故障(250)を検出するように構成される、電気自動車(100)。
【請求項2】
前記車載充電器(106)が、前記外部電気回路(120)内の前記アーク故障(250)を検出するように構成される、請求項1に記載の電気自動車(100)。
【請求項3】
前記車載充電器(106)が、前記アーク故障(250)を検出すると前記外部電気回路(120)の安全機構をトリップさせるように構成される、請求項2に記載の電気自動車(100)。
【請求項4】
前記車載充電器(106)が、前記AC回路(220)に短絡を創出することによって前記外部電気回路(120)の前記安全機構をトリップさせるように構成される、請求項3に記載の電気自動車(100)。
【請求項5】
前記車載充電器(106)が、前記外部電気回路(120)の接地線(243)に結合されるように構成され、前記車載充電器(106)が、前記接地線(243)に電流および/または電圧を提供することによって前記安全機構をトリップさせるように構成される、請求項3または4に記載の電気自動車(100)。
【請求項6】
前記車載充電器(106)が、前記AC回路(220)の性質に基づいて信号を発生させるように構成されるセンサ(304、306)を備え、
前記車載充電器(106)が、前記信号に基づいて前記アーク故障(250)を検出するように構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項7】
前記車載充電器(106)が、前記センサ(304、306)からの前記信号の制御下で前記電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される、請求項6に記載の電気自動車(100)。
【請求項8】
前記センサ(304、306)が、前記AC回路(220)における電流に基づいて前記信号を発生させるように構成される電流センサ(306)を含む、請求項6または7に記載の電気自動車(100)。
【請求項9】
前記センサ(304、306)が、前記AC回路(220)の電圧に基づいて前記信号を発生させるように構成される電圧センサ(304)を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項10】
前記車載充電器(106)が、前記AC回路(220)に配置されるローパスフィルタ(330)を備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項11】
前記車載充電器(106)が、前記電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される、電力変換器(300)を備え、前記ローパスフィルタ(330)が前記電力変換器(300)の上流で前記センサ(304、306)の下流に配置される、請求項10に記載の電気自動車(100)。
【請求項12】
前記車載充電器(106)が、前記信号の経時変動および/または前記信号の周波数成分に基づいて前記アーク故障(250)を検出するように構成される計算装置(310)を備える、請求項6から11のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項13】
前記車載充電器(106)が、前記アーク故障(250)を検出すると警告信号を発生させるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項14】
前記AC電力でのエネルギーが第1の電圧にあり、前記DC電力でのエネルギーが第2の電圧にあり、前記第1の電圧が前記第2の電圧とは異なり、前記車載充電器(106)が、前記第1の電圧にある前記AC電力でのエネルギーを前記第2の電圧にある前記DC電力でのエネルギーにおよび/またはその逆に変換するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項15】
前記車載充電器(106)が、前記外部電気回路(120)に前記車載充電器(106)を電気的に結合するように構成される結合装置(110)を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項16】
前記電気自動車(100)を駆動するように構成される電気モータ(131~134)を備え、前記バッテリ(104)が、前記電気モータ(131~134)に電気エネルギーを提供するように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の電気自動車(100)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の電気自動車(100)に使用するための車載充電器(106)であって、
前記車載充電器(106)が、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成され、
前記車載充電器(106)が、外部電気回路(120)に結合されて、前記車載充電器(106)と前記外部電気回路(120)との間で前記電気エネルギーをAC電力として伝送させるためのAC回路(220)を形成するように構成され、
前記車載充電器(106)が、前記AC回路(220)内のアーク故障(250)を検出するように構成される、車載充電器(106)。
【請求項18】
前記外部電気回路(120)内の前記アーク故障(250)を検出するように構成される、請求項17に記載の車載充電器(106)。
【請求項19】
前記アーク故障(250)を検出すると前記外部電気回路(120)の安全機構をトリップさせるように構成される、請求項18に記載の車載充電器(106)。
【請求項20】
電気自動車(100)を使用してアーク故障(250)を検出するための方法であって、前記電気自動車(100)が、バッテリ(104)および車載充電器(106)を備える電気回路網(102)、ならびにセンサ(304、306)を備え、前記方法が、
- 外部電気回路(120)に前記電気回路網(102)を接続してAC回路(220)を形成するステップと、
- 前記AC回路(220)の電流および/または電圧に基づいて前記センサ(304、306)で信号を発生させるステップと、
- 前記信号に基づいて前記AC回路(220)内のアーク故障(250)を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
- 前記センサ(304、306)からの前記信号の制御下で前記電気回路網(102)と前記外部電気回路(120)との間でエネルギーを伝送させるステップ、
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
- 前記外部電気回路(120)の安全機構を前記電気回路網(102)でトリップさせるステップ、
を含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
- 前記AC回路(220)を短絡させるステップ、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
外部電気回路(120)に結合されてAC回路(220)を形成する車載充電器(106)の計算装置(310)によって実行されると、前記車載充電器(106)に、
- 前記AC回路(220)の電流および/または電圧に基づいて信号を発生させるステップと、
- 前記信号に基づいて前記AC回路(220)内のアーク故障(250)を検出するステップと、
を行わせる、命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項25】
前記車載充電器(106)に、
- 前記外部電気回路(120)の安全機構をトリップさせるステップ
を行わせる、請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項26】
前記信号に基づいて前記AC回路(220)内の前記アーク故障(250)を検出するステップが、
- 前記信号の経時変動を検出するステップ、および/または、
- 前記信号の周波数成分を検出するステップ、
を含む、請求項24または25に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
前記車載充電器(106)に、
- 前記アーク故障(250)を検出すると警告信号を発生させるステップ、
を行わせる、請求項24から26のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載充電器を有する電気自動車に関する。本発明は、電気自動車に使用するための車載充電器に更に関する。本発明は、電気自動車を使用してアーク故障を検出するための方法に更に関する。本発明は、車載充電器の計算装置によって実行されることになる命令を有するコンピュータプログラムに更に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、車両を推進するために電気エネルギーを使用してモータを駆動する車両である。典型的には、電気自動車は、電気エネルギーを蓄積するためにバッテリが設けられる。バッテリを充電するため、電気自動車は、送電網に車両を接続するために結合装置が設けられる。車両が、例えば自宅にまたは駐車場に駐車されると、車両を送電網に接続することで、バッテリが充電されるのを可能にする。
【0003】
バッテリは、電気エネルギーを蓄積するために電気エネルギーがDC電力として提供されることを必要とする。バッテリは、また電気エネルギーをDC電力として提供する。しかしながら、送電網は、電気エネルギーをAC電力として、典型的には50Hzまたは60Hzの周波数で110Vまたは230Vで提供する。AC電力をDC電力に変換するために、電気自動車は車載充電器を有する。
【0004】
車載充電器は2つの本機能を有する。第1の機能は、送電網からのAC電力をDC電力に変換することであり、そのためバッテリは電気エネルギーを蓄積できる。第2の機能は、バッテリに向けられるDC電力の量を車載充電器が制御するということである。例えば、車載充電器は、バッテリが低充電状態を有する場合バッテリを通る電流の量を制限するまたはDC電力の電圧を低下させる。車載充電器が電気自動車に配置されるので、電気自動車は、充電場所における専用の充電器の存在に依存しない。代わりに、送電網への定期的な接続が、車載充電器を使用してバッテリを充電するのに十分である。
【0005】
電気回路は、アーク故障に陥り得る。アーク故障は、2つ以上の導体間の高電力放電である。そのような放電の共通原因が、電気回路内の損傷した電線である。2つの隣接する電線の絶縁層が損傷すれば、2つの電線間の電圧差が2つの電線間の放電を引き起こし得る。アーク故障の別の共通原因が、電気回路内の電気接続不良である。電気接続不良は、電気回路を繰り返し遮断および再接続することを引き起こし得る。電気接続上の電圧が電気接続においてアークを引き起こし得る。アーク故障は大量の熱を引き起こして、電線および電気接続への更なる損傷を引き起こし得る。アーク故障は火災に至り得る。
【0006】
アーク故障が発生しても、これはヒューズまたは漏電遮断回路をトリップさせない。アーク故障が多くの熱を発生させることにもかかわらず、アーク故障によって引き起こされる電流は、典型的にはヒューズの閾値を超えるのに十分でない。また、アーク故障は、漏電遮断回路をトリップさせるであろういかなるイベントにも至らない。
【0007】
電気回路をアーク故障から保護するために、専用のアーク故障保護装置が入手可能である。公知のアーク故障保護装置が米国特許第6414829号に開示されている。公知のアーク故障保護装置はヒューズボックスに配置される。ヒューズボックスは送電網に接続される。電力が、ヒューズボックスから、アーク故障保護装置を介してコンセントに提供される。コンセントに接続された装置がアーク故障に陥れば、アーク故障保護装置は、地絡故障を模擬して、地絡故障回路遮断器に電気回路を遮断させる。
【0008】
アーク故障保護装置の安全機能にもかかわらず、それらは多くの国においてあまり一般的でない。また、人々が自宅にアーク故障保護装置を使用したければ、多くの場合彼らは、自分の自宅におけるヒューズボックスを交換する必要があるであろう。そのような交換にはコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6414829号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電気自動車のバッテリを充電することに伴う電気回路の安全性を上昇させる車載充電器を持つ電気自動車を提供すること、または少なくとも代替案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、電気回路網を備える電気自動車によって達成される。電気回路網は、バッテリおよび車載充電器を備える。バッテリは、電気エネルギーを蓄積するように構成される。車載充電器およびバッテリは、車載充電器とバッテリとの間で電気エネルギーをDC電力として伝送させるためのDC回路を形成するように配置される。車載充電器は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。車載充電器は、外部電気回路に結合されて、車載充電器と外部電気回路との間で電気エネルギーをAC電力として伝送させるためのAC回路を形成するように構成される。車載充電器は、AC回路内のアーク故障を検出するように構成される。
【0012】
外部電気回路にアーク故障が発生すれば、アーク故障は外部電気回路の電圧および/または電流の変動を引き起こす。外部電気回路における電圧および/または電流の変動には多くの原因がある。例えば、外部電気回路に結合される高電力機器をオンまたはオフに切り替えることが変動を引き起こすであろう。例えば、外部電気回路に結合されるソーラパネルによって供給される電力の急増または急減が変動を引き起こすであろう。しかしながら、全てのこれらの変動にもかかわらず、アーク故障によって引き起こされる変動は、典型的な周波数成分または典型的な経時変動を有する。車載充電器が外部電気回路に結合されるので、外部電気回路に発生したアーク故障はAC回路において見えるようになる。結果として、アーク故障は車載充電器に見えるようになる。車載充電器は、アーク故障によって引き起こされた変動を識別するように構成される。このように、車載充電器は、外部電気回路内のアーク故障を検出して、外部電気回路の安全性を改善することができる。安全性は、外部電気回路のヒューズボックスを調節する必要なく改善される。安全性は、単に外部電気回路に電気自動車を結合することによって改善される。車載充電器がアーク故障を検出した後に、外部電気回路は、アーク故障が将来発生するのを防止するために修理される必要があり得る。例えば、外部電気回路の損傷した配線が交換される、または電気接続が適切に再接続される。
【0013】
電気自動車は、例えば、車またはバスまたはトラックのような陸上車両である。電気自動車は、例えば、ボートまたは船または船舶のような船艇である。電気自動車は、車両を推進するために少なくとも1つの電気モータを有する。例えば、電気モータは、プロペラまたはスクリューまたは車輪を介して車両を推進するように適合される。例えば、車両は、複数電気モータを有する。例えば、複数電気モータの各々が、対応する車輪に結合されて、対応する車輪を駆動する。例えば、電気モータはインホイールモータである。電気自動車は、電気モータに電気エネルギーを提供するためにバッテリを有する。例えば、車両は、バッテリに加えて、燃料タンク、燃焼機関および発電機を有する。燃焼機関は、燃料タンクからの燃料を燃焼させて発電機を駆動するように構成される。発電機は、電気エネルギーを発生させるように構成される。発電機は、バッテリに、電気モータに、またはバッテリにも電気モータにも電気エネルギーを提供する。電気自動車は、例えば、電動自転車である。電動自転車は、電動自転車を推進する動力の一部を提供するために電気モータを有する。電動自転車は、電動自転車を推進する更なる動力を提供するために電動自転車の車輪に結合されるペダルを有する。
【0014】
電気回路網はバッテリおよび車載充電器を備える。電気回路網は、例えば、単一の電気回路または互いに結合される複数電気回路のシステムである。電気回路網は、例えば、ヒューズまたは回路遮断器のような安全装置を備える。電気回路網は、例えば、様々な他の電気部品を備える。そのような電気部品は、例えば、バッテリによって提供されるDC電力を電気モータによって必要とされるAC電力に逆変換するように構成されるインバータのような、車両を駆動するための駆動列部品である。電気回路網は、例えば、ラジオまたはダッシュボードディスプレイまたは電動ウィンドウのような、車両の車室に使用するための機器を備える。電気回路網は、例えば、電気自動車の速度を制御するように構成されるクルーズコントロールシステム、または車両の温度を制御するように構成される熱制御システム、または非常時に車両のブレーキを制御するように構成される非常ブレーキ制御システムのような、様々な電気コントローラを備える。電気回路網は、例えば、電気自動車における電気部品に異なる電圧で電気エネルギーを提供する。
【0015】
バッテリは、電気エネルギーを蓄積するように構成される。例えば、バッテリは、リチウムイオン(Li-Ion)電池、溶融塩(Na-NiCl)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池またはリチウム硫黄(Li-S)電池である。バッテリは、例えば単一のバッテリである、または複数のバッテリを備える。複数のバッテリは、例えば、並列に、直列に、または並列および直列の組合せで電気的に配置される。複数のバッテリは同じ最大電圧または異なる最大電圧を有する。例えば、電気自動車は低電圧バッテリおよび高電圧バッテリを有する。低電圧バッテリは、例えば、5Vまたは12Vまたは48Vの最大電圧を有する。高電圧バッテリは、例えば、60Vまたは300Vまたは400Vの最大電圧を有する。例えば、高電圧バッテリは、電気モータのような、電気自動車の駆動列に電気エネルギーを提供する。例えば、低電圧バッテリは、HVACシステムおよび照明システムのような、電気自動車の補助部品に電気エネルギーを提供する。
【0016】
車載充電器は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。バッテリが外部電気回路からの電気エネルギーで充電されている場合、車載充電器は、外部電気回路からのAC電力をDC電力に変換し、バッテリに電気エネルギーをDC電力として提供する。車載充電器は、バッテリを安全に充電するように構成される。例えば、車載充電器は、バッテリを通る最大電流を制限する。例えば、車載充電器は、バッテリの電圧に応答してDC電力の電圧を調節する。バッテリが低充電状態を有する場合、バッテリの電圧は低くてよい。DC電力があまりに高ければ、バッテリを通る電流はあまりに高くなり得る。車載充電器は、DC電力の電圧を許容電圧に調節するように構成される。車載充電器は、例えば、複数バッテリに電気エネルギーを提供するように構成される。例えば、車載充電器は、複数バッテリに電気エネルギーを提供するために複数DC電力出力を有する。例えば、各DC電力出力は、その他のDC電力出力とは異なる電圧を有する。
【0017】
一例では、車載充電器は、バッテリから外部電気回路に電気エネルギーを伝送させるように構成される。例えば、電気自動車はソーラパネルを備える。電気自動車がソーラパネルからの電気エネルギーを必要としない場合、例えばバッテリが完全に充電されている場合、ソーラパネルからの電気エネルギーは外部電気回路に伝送される。これを行うために、車載充電器は、バッテリからの電気エネルギーをDC電力からAC電力に変換する。AC電力としての電気エネルギーは、次いで外部電気回路に伝送される。
【0018】
外部電気回路が車両の一部を形成しない電気回路であるので、外部電気回路は『外部』と称される。外部電気回路はAC回路である。外部電気回路は相線、中性線および接地線を有する。相線にAC電圧が印加される。AC回路が閉じていると、AC回路に電流が走る。電流は相線および中性線を走る。接地線はグランドに接続される。外部電気回路は、例えば、住宅の電気回路である。外部電気回路は、例えば、公共充電ステーションの電気回路である。外部電気回路は、例えば、送電網に接続される。外部電気回路は、回路遮断器および漏電遮断器回路のような安全機構を有する。回路遮断器は、回路遮断器を通る電流が閾値を超えれば外部電気回路を遮断する。漏電遮断器回路は、接地線に電圧または電流が印加されれば外部電気回路を遮断する。
【0019】
AC電力の電圧振幅および位相は、例えば、外部電気回路によって定められる。車載充電器が外部電気回路に電気エネルギーをAC電力として提供するように構成される場合、車載充電器は、AC電力の電圧振幅および位相を外部電気回路に適合させるように構成される。
【0020】
一実施形態において、車載充電器は、外部電気回路内のアーク故障を検出するように構成される。
【0021】
上記実施形態によれば、車載充電器は、車両の外側のアーク故障を検出するように構成される。車載充電器が外部電気回路に結合されると、車載充電器は、外部電気回路に発生するアーク故障を検出することができる。このように、外部電気回路にアーク故障検出器が設けられていないときでも、車両が外部電気回路に結合されるたびにアーク故障は検出できる。
【0022】
一実施形態において、車載充電器は、アーク故障を検出すると外部電気回路の安全機構をトリップさせるように構成される。
【0023】
上記実施形態によれば、外部電気回路は、ヒューズまたは回路遮断器または漏電回路遮断器またはその組合せのような、安全機構を有する。電気自動車のバッテリを充電するために適切である全てのまたはほとんど全ての電気回路に、そのような安全機構の1つまたは複数が設けられる。そのような電気回路は、典型的には安全規制のため安全機構を有することが要求される。そのような安全規制は、住居およびオフィスビル内の電気回路に回路遮断器および漏電回路遮断器が設けられることを要求する。そのような安全規制の一例がオランダNEN1010規制である。車載充電器は外部電気回路の安全機構を利用する。車載充電器が外部電気回路内のアーク故障を検出すると、車載充電器は安全機構をトリップさせる。これは外部電気回路の遮断に至る。遮断のため、アーク故障は存在しなくなる。このように、アーク故障によって引き起こされる損傷が防止または制限される。大抵の電気回路では、安全機構は、外部電気回路の上流位置に、例えば主電力線が様々なグループの電気回路に接続されるヒューズボックスに配置される。安全機構は、安全機構がトリップされれば、電気回路の大部分または全てが遮断されることを確実にするために上流位置に置かれる。電気回路の大部分または全てを遮断することによって、もはや電気回路に、または少なくともその大部分に電圧は印加されない。電気回路の大部分または全てを遮断することによって、もはや電気回路に、または少なくともその大部分に電流は流れない。車載充電器はアーク故障を検出すると安全機構をトリップさせるので、アーク故障が発生した外部電気回路の部分が遮断される可能性が非常に高い。遮断により、アーク故障はもはや発生しない。車載充電器が外部電気回路内のアーク故障を検出したときに外部電気回路から分離するだけである場合、たとえ車載充電器が外部電気回路から分離されてもアーク故障が維持される可能性が高い。
【0024】
一実施形態において、車載充電器は、AC回路に短絡を創出することによって外部電気回路の安全機構をトリップさせるように構成される。
【0025】
上記実施形態によれば、車載充電器が外部電気回路内のアーク故障を検出すれば、車載充電器はAC回路に短絡を引き起こす。例えば、車載充電器は、AC回路の中性線に直接AC回路の相線を結合するように適合されるスイッチを備える。車載充電器がアーク故障を検出していないとき、スイッチはAC回路の中性線に相線を結合しない。車載充電器がアーク故障を検出すると、スイッチが動かされてAC回路の中性線に相線を結合する。十分な電気抵抗の欠如により、スイッチの動きは、スイッチを介してAC回路の相線から中性線に大電流を引き起こす。大電流は外部電気回路における回路遮断器をトリップさせる。例えば、スイッチの電気抵抗は、16Aまたは20Aの大電流を創出するのに十分低い。車載充電器は、例えば、AC回路の中性線に相線を結合する設定に僅かな時間量だけスイッチを設定するように適合される。僅かな時間量は、外部電気回路の回路遮断器をトリップさせるのに十分である。しかしながら、回路遮断器が働かない場合、僅かな時間量は、短絡からの損傷を防止するのに十分小さい。例えば、車載充電器は、1秒未満、例えば、300ms未満または90ms未満または20ms未満の間、スイッチを介してAC回路の中性点に相を結合するように適合される。
【0026】
一実施形態において、車載充電器は、外部電気回路の接地線に結合されるように構成される。車載充電器は、接地線に電流および/または電圧を提供することによって安全機構をトリップさせるように構成される。
【0027】
本実施形態によれば、車載充電器は、外部電気回路の接地線に結合することができる。外部電気回路の通常動作の間、接地線に電圧および電流は提供されない。通常動作の間、電圧および電流は、外部電気回路の相線および中性線を使用して印加される。車載充電器が外部電気回路内のアーク故障を検出すると、車載充電器は接地線に電流および/または電圧を提供する。例えば、車載充電器は、AC回路の接地線にAC回路の相線を結合するように適合されるスイッチを有する。車載充電器がアーク故障を検出していないとき、スイッチはAC回路の接地線に相線を結合しない。車載充電器がアーク故障を検出すると、スイッチが動かされてAC回路の接地線に相線を結合する。これは、接地線に電流を流れさせる。接地線を通る電流のため、相線を通る電流と中性線を通る電流との間に差が引き起こされる。差は外部電気回路の漏電回路遮断器をトリップさせる。漏電回路遮断器のトリップは外部電気回路を遮断する。別の例では、車載充電器は、AC回路の接地線にAC回路の中性線を結合するように適合されるスイッチを有する。車載充電器がアーク故障を検出すると、スイッチが動かされてAC回路の接地線に中性線を結合する。これは、接地線に電流を流れさせる。接地線を通る電流のため、相線を通る電流と中性線を通る電流との間に差が引き起こされる。差は外部電気回路の漏電回路遮断器をトリップさせる。漏電回路遮断器のトリップは外部電気回路を遮断する。
【0028】
一実施形態において、車載充電器は、外部電気回路から充電器によって受信されるAC電力信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを備える。特に、ローパスフィルタは、形成されるAC回路に配置できる。そのような実施形態において、車載充電器によるアーク故障の検出は、ローパスフィルタ(330)の上流において起こることができる。本発明の意味内で、上流は、車載充電器から外部電気回路に向かう方向を指す。
【0029】
一実施形態において、車載充電器は、AC回路の性質に基づいて信号を発生させるように構成されるセンサを備える。車載充電器は、信号に基づいてアーク故障を検出するように構成される。
【0030】
上記実施形態によれば、車載充電器のセンサは、AC回路の性質を判定するように配置される。例えば、センサは、AC電流が流れる車載充電器の部分に配置される。AC電流はAC回路から生じる。例えば、センサは、AC電圧が印加される車載充電器の部分に配置される。例えば、センサは車載充電器の相線および/または中性線に結合される。車載充電器の相線は、外部電気回路の相線に結合するように配置される。車載充電器の中性線は、外部電気回路の中性線に結合するように配置される。車載充電器がローパスフィルタを備える場合、上述のセンサは、例えばローパスフィルタの上流に配置できる。
【0031】
一実施形態において、車載充電器は、センサからの信号の制御下で電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。
【0032】
本実施形態において、車載充電器は、アーク故障を検出することよりも追加の目的でセンサを使用する。車載充電器は、センサからの信号に基づいて電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換する仕方を判定する。例えば、センサからの信号に基づいて、車載充電器は、外部電気回路から受け取られているAC電力の量を判定する。車載充電器は、例えば、同量のDC電力を発生させる。別の例では、車載充電器は、センサからの信号を介して外部電気回路から受け取られているAC電力の量を判定し、低量のDC電力を発生させることに決定する。例えば、バッテリが低充電状態を有するとき、低量のDC電力は、バッテリを損傷し得る過剰に高いDC電流を防止する。更に別の例では、センサの信号はAC電圧の振幅の或る値を示す。センサの信号に基づいて、車載充電器はDC電力を適切な振幅のAC電力に変換する。センサは、例えば、電圧センサまたは電流センサである。AC電力の量は、AC回路の電圧および/または電流の情報に基づいて判定されてよい。車載充電器は、受け取ったAC電力の量を、バッテリを充電する所望のDC電力と比較する。バッテリの温度があまりに高くなっている場合、車載充電器は、バッテリの所望のDC電力を低減させることに決定してよい。バッテリへの低DC電力は、バッテリの温度を低下させるのに役立つ。低DC電力のため、外部電気回路から低AC電力が所望される。車載充電器は、例えば、電気抵抗器を有する。電気抵抗器の抵抗を増加させることによって、車載充電器はAC回路を通る電流を低減させる。電流を低減させることの結果として、センサからの信号が変化する。センサが所望のAC電力を表す信号を提供すると、AC回路を通る電流はもはや低減されない。そのため車載充電器は、センサを使用して、車載充電器によって伝送される電力の量を制御する。別の例では、センサは、AC回路の電圧に基づいて信号を発生させる。車載充電器は、信号を使用して、DC電力とAC電力との間で変換する仕方を判定する。センサが110Vの電圧を検出する場合、車載充電器は、センサが220Vの電圧を検出する場合とは異なってAC電力をDC電力に変換する。例えば、センサによる検出電圧に基づいて、車載充電器は、AC電力の電圧をDC電力の電圧にまたはその逆に増減する。以上の例では、車載充電器は、バッテリを充電するためにまたはAC電力をDC電力に変換するためにセンサを有する。同じセンサを使用して、外部電気回路内のアーク故障を判定できる。これは、追加のセンサが必要とされないという利点を有する。
【0033】
一実施形態において、センサは、AC回路における電流に基づいて信号を発生させるように構成される電流センサを含む。
【0034】
上記実施形態によれば、車載充電器は電流センサを有する。車載充電器は、電流センサによって発生される信号に基づいてアーク故障を検出する。例えば、外部電気回路からのAC電流が車載充電器におけるセンサを流れる。外部電気回路にアーク故障が発生すると、AC電流は変化する。典型的には、アーク故障が或る周波数成分のおよび/または或る経時変動のAC電流の変動を創出する。電流センサがAC電流を検出することができるので、車載充電器は、外部電気回路にアーク故障が発生することを判定することができる。
【0035】
一実施形態において、センサは、AC回路の電圧に基づいて信号を発生させるように構成される電圧センサを含む。
【0036】
上記実施形態によれば、車載充電器は電圧センサを有する。車載充電器は、電圧センサによって発生される信号に基づいてアーク故障を検出する。例えば、外部電気回路からのAC電圧が車載充電器におけるセンサに印加される。外部電気回路にアーク故障が発生すると、AC電圧は変化する。典型的には、アーク故障が或る周波数成分のおよび/または或る経時変動のAC電圧の変動を創出する。電圧センサがAC電圧を検出することができるので、車載充電器は、外部電気回路にアーク故障が発生することを判定することができる。
【0037】
一実施形態において、車載充電器は、信号の経時変動および/または信号の周波数成分に基づいてアーク故障を検出するように構成される計算装置を備える。
【0038】
上記実施形態によれば、計算装置はセンサから信号を受信する。計算装置は、例えば、信号を解析するように構成される。例えば、計算装置は、フーリエ解析を行うことのような、信号処理を行うように構成される。計算装置は、例えば、センサからの信号をフィルタリングして、アーク故障以外の原因によって引き起こされる信号の成分を除去するまたは低減させるように構成される。例えば、フィルタは、AC回路の主周波数の50Hzまたは60Hzを低減させてまたは除去してよい。例えば、フィルタは、機器の電源をオンおよびオフに切り替えることのような、他の原因によって引き起こされると知られている他の周波数を信号から低減させるまたは除去する。例えば、フィルタは、アーク故障がいつ発生するかをより明らかに判定するために、アーク故障によって引き起こされる信号における周波数の振幅を増加させる。AC回路では、アーク故障は、典型的には繰り返しアークを創出する。繰り返しアークは、AC電圧の振幅が閾値を超えると始まる。繰り返しアークは、AC電圧の振幅が閾値を超えている限り維持され、AC電圧の振幅が閾値より低くなると消滅する。繰り返しアークの結果として、AC回路の電流および/または電圧が繰り返し変化する。計算装置は、例えば、そのような繰り返し変化を識別してアーク故障の存在を判定するように構成される。
【0039】
一実施形態において、車載充電器は、アーク故障を検出すると警告信号を発生させるように構成される。
【0040】
上記実施形態によれば、車載充電器は、アーク故障を検出し、警告信号を発生させる。例えば、警告信号は、車両に配置される別の部品に送られる。他の部品は、例えばディスプレイである。ディスプレイは、例えば、車両の車室に見えている。ディスプレイは、アーク故障が検出されたと示す警告を表す。他の部品は、例えば、通信装置である。通信装置は、警告信号に基づいてテキストメッセージまたは任意の他の種類のメッセージを送信するように構成される。通信装置は、車両の所有者のスマートフォンまたはタブレットのような、モバイルデバイスにメッセージを送信するように構成される。通信装置は、車両の外側のディスプレイにメッセージを送信するように構成される。ディスプレイは、例えば、外部電気回路に電気的に結合される。ディスプレイは、例えば、外部電気回路を有する建物に配置される。通信装置は、例えば、Wi-Fiまたはブルートゥース(登録商標)または任意の他の種類のワイヤレスデータ転送を介してメッセージを送信する。例えば、車載充電器は、UTPケーブルまたはイーサネットケーブルのような、ネットワークケーブルを受けるために通信ポートが設けられる。車載充電器は、ネットワークケーブルを介して警告信号を送信するように適合される。例えば、ネットワークケーブルは、車載充電器に外部電気回路を結合するプラグに統合される。
【0041】
一実施形態において、AC電力でのエネルギーは第1の電圧にある。DC電力でのエネルギーは第2の電圧にある。第1の電圧は第2の電圧とは異なる。車載充電器は、第1の電圧にあるAC電力でのエネルギーを第2の電圧にあるDC電力でのエネルギーにおよび/またはその逆に変換するように構成される。
【0042】
上記実施形態によれば、車載充電器は、第1の電圧のAC電力を受け取るように構成される。第1の電圧は、例えば、第1の振幅を有する。第1の振幅は、例えば110Vまたは220Vである。しかしながら、電気自動車のバッテリの最大電圧は400Vである。バッテリを適切に充電するために、車載充電器は、AC電力の電圧をバッテリの所望の高電圧に変換することができる。別の例では、バッテリの最大電圧は12Vである。この例では、車載充電器は、AC電力の電圧をバッテリの所望の低電圧に変換することができる。一例では、車載充電器は、第1の電圧を第2の電圧に変換するように構成されるだけでなく、エネルギーを第2の電圧から第1の電圧に変換するようにも構成される。この例では、車両のバッテリは、外部電気回路に電気エネルギーを供給するように構成される。例えば、電気自動車がソーラパネルを有する場合、車両は、車両のバッテリが完全に充電されている場合に外部電気回路に電気エネルギーを提供する。バッテリから外部電気回路に電気エネルギーを提供するために、車載充電器は、第2の電圧にあるバッテリからのDC電力を第1の電圧にある外部電気回路のAC電力に変換する。
【0043】
一実施形態において、車載充電器は、外部電気回路に車載充電器を電気的に結合するように構成される結合装置を備える。
【0044】
上記実施形態によれば、車載充電器は、結合装置を介して外部電気回路に結合する。結合装置は、例えば、外部電気回路のプラグに接続する車両に配置されるソケットを備える。結合装置は、例えば、外部電気回路のソケットに接続する車両に配置されるプラグおよびプラグに接続されるケーブルを備える。結合装置は、例えば、車両が充電されているかどうかを示す表示灯を有する。結合装置は、例えば、警告信号に基づいて作動される、警告灯を有する。
【0045】
一実施形態において、電気自動車は、車両を駆動するように構成される電気モータを備える。バッテリは、電気モータに電気エネルギーを提供するように構成される。
【0046】
上記実施形態によれば、電気自動車は電気モータによって推進される。例えば、電気モータは、例えばギヤボックスおよび/またはディファレンシャルを介して車両の複数車輪を駆動する単一のモータである。別の例では、電気モータは単一の車輪だけを駆動する。例えば、電気モータはインホイールモータであり、代替的にハブモータとして知られている。インホイールモータは車両の車輪に組み込まれる。バッテリは、電気モータを動作させるために電気エネルギーを提供する。バッテリからの電気エネルギーは、例えば、電気モータによって受け取られる前に、変換される。例えば、車両は、DC電力でのバッテリの電気エネルギーをAC電力での電気エネルギーへ逆変換するインバータを備える。
【0047】
本発明の第2の態様において、上述した実施形態のいずれか1つに係る電気自動車に使用するための車載充電器が提供される。車載充電器は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。車載充電器は、外部電気回路に結合されて、車載充電器と外部電気回路との間で電気エネルギーをAC電力として伝送させるためのAC回路を形成するように構成される。車載充電器は、AC回路内のアーク故障を検出するように構成される。
【0048】
第2の態様によれば、車載充電器は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。車載充電器は、電気エネルギーをDC電力からAC電力に、AC電力からDC電力に、またはDC電力からAC電力にもAC電力からDC電力にも変換するように構成される。車載充電器は、外部電気回路に、例えば直接または1つもしくは複数の他の電気部品を介して間接的に結合されるように構成される。外部電気回路に結合されると、車載充電器および外部電気回路は共にAC回路を形成する。AC電力としての電気エネルギーは、外部電気回路から車載充電器に、車載充電器から外部電気回路に、または代替的に外部電気回路から車載充電器に、および車載充電器から外部電気回路に伝送される。
【0049】
一実施形態において、車載充電器は、外部電気回路内のアーク故障を検出するように構成される。
【0050】
一実施形態において、車載充電器は、アーク故障を検出すると外部電気回路の安全機構をトリップさせるように構成される。
【0051】
本発明の第3の態様において、電気自動車を使用してアーク故障を検出するための方法が提供される。電気自動車は電気回路網およびセンサを備える。本方法は、
- 外部電気回路に電気回路網を接続してAC回路を形成するステップと、
- AC回路の電流および/または電圧に基づいてセンサで信号を発生させるステップと、
- 信号に基づいてAC回路内のアーク故障を検出するステップと、を含む。
【0052】
第3の態様によれば、外部電気回路内のアーク故障を検出するために電気自動車が使用される。外部電気回路は電気自動車の一部を形成しない。このように、単に外部電気回路に車載充電器を介して電気自動車を接続することによって外部電気回路内のアーク故障を検出することが可能である。外部電気回路は、それ自体のアーク故障検出器を有する必要がない。
【0053】
一実施形態において、本方法は、
- センサからの信号の制御下で電気回路網と外部電気回路との間でエネルギーを伝送させるステップを含む。
【0054】
上記実施形態によれば、センサは、AC回路の電流および/または電圧に基づいて信号を提供した。信号に基づいて、電気回路と外部電気回路との間でエネルギーが伝送される。例えば、信号は外部電気回路のAC電圧を示し、エネルギーは同じAC電圧で伝送される。例えば、センサは、外部電気回路を通る非常に高いAC電流を示し、エネルギーは、電気回路網への損傷を防止するためにAC電流より小さい電流で伝送される。
【0055】
一実施形態において、本方法は、
- 外部電気回路の安全機構を電気回路網でトリップさせるステップを含む。
【0056】
上記実施形態によれば、外部電気回路は、ヒューズまたは回路遮断器または漏電回路遮断器またはその組合せのような、安全機構を有する。電気自動車のバッテリを充電するために適切である電気回路のほとんどまたは全てに、そのような安全機構の1つまたは複数が設けられる。そのような電気回路は、安全規制のため安全機構を有することが要求される。そのような安全規制は、住居およびオフィスビル内の電気回路に回路遮断器および漏電回路遮断器が義務的であるとしている。外部電気回路にアーク故障が検出されると、安全機構はトリップされる。これは外部電気回路の遮断に至る。遮断のため、アーク故障は存在しなくなる。このように、アーク故障によって引き起こされる損傷が防止または制限される。大抵の電気回路では、安全機構は、外部電気回路の上流位置に、例えば主電力線が様々なグループの電気回路に接続されるヒューズボックスに配置される。安全機構は、安全機構がトリップされれば、電気回路の大部分または全てが遮断されることを確実にするために上流位置に置かれる。電気回路の大部分または全てを遮断することによって、もはや電気回路に、または少なくともその大部分にわたって電圧は印加されない。電気回路の大部分または全てを遮断することによって、もはや電気回路に、または少なくともその大部分にわたって電流は流れない。結果として、アーク故障が発生した外部電気回路の部分が遮断される可能性が非常に高い。遮断により、アーク故障は消滅するので、更なる損傷が防止される。外部電気回路は、アーク故障が将来発生するのを防止するために修理される必要があり得る。例えば、外部電気回路の損傷した配線が交換される、または電気接続が適切に再接続される。
【0057】
一実施形態において、本方法は、
- AC回路を短絡させるステップを含む。
【0058】
上記実施形態によれば、アーク故障が検出されるとAC回路は短絡される。外部電気回路は、短絡の場合に外部電気回路を保護する安全機構を有する。そのような安全機構がなければ、短絡は容易に火災に至りおよび/または外部電気回路の一部を破壊し得る。短絡から保護する安全機構は、大抵の用途において、特に50V以上の電圧を有する電気回路に対して非常に一般的で義務的である。そのような安全機構にはヒューズおよび回路遮断器を含む。AC回路を短絡させることで安全機構のトリップを引き起こす。安全機構をトリップさせることによって、外部電気回路は遮断されて、アーク故障を消滅させる。
【0059】
本発明の第4の態様において、外部電気回路に結合されてAC回路を形成する車載充電器の計算装置によって実行されると、車載充電器に、
- AC回路の電流および/または電圧に基づいて信号を発生させるステップと、
- 信号に基づいてAC回路内のアーク故障を検出するステップと、を行わせる、命令を有するコンピュータプログラムが提供される。
【0060】
第4の態様によれば、車載充電器は、外部電気回路に結合されてAC回路を形成する。コンピュータプログラムは計算装置によって実行される。計算装置がコンピュータプログラムを実行すると、車載充電器は、AC回路の電流および/または電圧に基づいて信号を発生させるように制御される。例えば、車載充電器は、AC回路の電流および/または電圧に基づいて信号を発生させるセンサを有する。計算装置がコンピュータプログラムを実行すると、車載充電器は、信号に基づいてAC回路内のアーク故障を検出するように制御される。例えば、計算装置は、センサからの信号の信号処理に基づいてアーク故障を検出するように構成される。
【0061】
一実施形態において、コンピュータプログラムは、車載充電器に、
- 外部電気回路の安全機構をトリップさせるステップを行わせる。
【0062】
上記実施形態によれば、計算装置がコンピュータプログラムを実行すると、車載充電器は、アーク故障が検出されると安全機構をトリップさせる。例えば、車載充電器は、スイッチを動かしてAC回路に短絡を引き起こす。一例では、車載充電器は、スイッチを動かして接地線に電流を流れさせる。
【0063】
一実施形態において、信号に基づいてAC回路内のアーク故障を検出するステップは、
- 信号の経時変動を検出するステップ、および/または、
- 信号の周波数成分を検出するステップから成る。
【0064】
上記実施形態によれば、計算装置がコンピュータプログラムを実行すると、車載充電器は、センサからの信号の変動を検出することができ、および/またはセンサの信号の周波数成分を検出することができる。変動および/または周波数成分に基づいて、車載充電器は、アーク故障が発生したかどうかを判定することができる。
【0065】
一実施形態において、計算装置によってコンピュータプログラムを実行すると、コンピュータプログラムは、車載充電器に、
- アーク故障を検出すると警告信号を発生させるステップを行わせる。
【0066】
本発明は、図を参照しつつ以下に、より詳細に記載されることになる。図中、本発明の実施形態が図示される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の一実施形態に係る車両を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車載充電器を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る車載充電器の詳細を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る車載充電器で測定される信号の経時変動を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る車載充電器で測定される信号の周波数成分を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両100を描く。電気自動車100は、電気回路網102を備える。電気回路網102は、バッテリ104および車載充電器106を備える。バッテリ104は、電気エネルギーを蓄積するように構成される。電気自動車100は、4つの車輪および4つの電気モータ131~134を有する。電気モータ131~134の各々は4つの車輪の1つに結合される。電気モータ131~134の各々は4つの車輪の1つを駆動する。バッテリ104は、電気モータ131~134に接続され、電気モータ131~134に電気エネルギーを提供して電気自動車100を駆動する。
【0069】
車載充電器106は結合装置110を備える。結合装置110は、外部電気回路120に車載充電器106を電気的に結合するように構成される。外部電気回路120は、ヒューズボックス122、AC配線126および充電ステーション124を備える。AC配線126は、ヒューズボックス122および充電ステーション124を互いに接続する。AC配線126を介してヒューズボックス122から充電ステーション124に電気エネルギーが提供される。
【0070】
図2は、本発明の実施形態に係る車載充電器106の略図を描く。車載充電器106およびバッテリ104は、車載充電器106とバッテリ104との間で電気エネルギーをDC電力として伝送させるためのDC回路230を形成するように配置される。DC回路230を通るDC電力は、DC電圧およびDC電流によって特性化される。結合インタフェース210が充電ステーション124に接続される。結合インタフェース210は、電気自動車100の結合装置110と結合するように適合される。例えば、結合インタフェース210がプラグである一方、結合装置110はソケットであり、またはその逆である。結合インタフェース210は電線を介して充電ステーション124に接続される。
【0071】
ヒューズボックス122、AC配線126、充電ステーション124、結合インタフェース210、結合装置110および車載充電器106は、共に結合されるとAC回路220を形成する。AC回路220を通るAC電力は、AC電圧およびAC電流によって特性化される。車載充電器106は、車載充電器106と外部電気回路120との間で電気エネルギーをAC電力として伝送させるように構成される。
【0072】
車載充電器106の一部がDC回路230の一部を形成する一方、車載充電器106の別の一部はAC回路220の一部を形成する。車載充電器106は、電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換するように構成される。
【0073】
AC配線126は相線241、中性線242および接地線243を有する。AC回路220では、相線241にAC電圧が適用される。DC配線236は正DC線244および負DC線245を有する。
【0074】
電気自動車100が外部電気回路120に結合され、車載充電器106が外部電気回路120からの電気エネルギーでバッテリ104を充電する場合、AC電流が相線241および中性線242を流れる。車載充電器106は、AC回路220においてAC電圧およびAC電流によって特性化されるAC電力を変換する。車載充電器106はAC電力をDC電力に変換する。AC電力でのエネルギーは第1の電圧にある。車載充電器106は、第1の電圧にあるAC電力でのエネルギーを第2の電圧にあるDC電力でのエネルギーに変換するように構成される。第2の電圧は、バッテリ104を充電するのに適切である電圧である。第2の電圧はDC電圧である。車載充電器106がAC電力をDC電力に変換すると、DC電流がDC配線236の正DC線244および負DC線245を流れる。DC電力はDC電圧およびDC電流によって特性化される。
【0075】
電気自動車100が外部電気回路120に結合される場合、バッテリ104は、外部電気回路120に電気エネルギーを提供するために使用されてよい。この場合、DC電流がDC電圧でDC回路230に流れる。車載充電器106は、DC回路230においてDC電圧およびDC電流によって特性化されるDC電力をAC電力に変換する。車載充電器106は、DC電圧でのDC電力をAC電圧でのAC電力に変換するように構成される。AC電圧は、外部電気回路120に使用するために適切である電圧である。車載充電器106がDC電力をAC電力に変換すると、AC電流が相線241および中性線242を流れる。AC電力はAC電圧およびAC電流によって特性化される。
【0076】
外部電気回路120は、アーク故障250に陥り得る。アーク故障250は、例えば、外部電気回路120内の接続不良によって、またはAC配線126の電気的絶縁への損傷によって引き起こされる。アーク故障250は、AC回路220のAC電圧および/またはAC電流の変化を引き起こす。車載充電器106がAC回路220の一部を形成するので、車載充電器106はアーク故障250を検出することができる。
【0077】
図3は、本発明の実施形態に係る車載充電器106の詳細を描く。車載充電器106は、電力変換器300、第1のスイッチ301、第2のスイッチ302、電圧センサ304、電流センサ306および計算装置310を備える。
【0078】
電力変換器300は、AC回路220の相線241および中性線242に接続されて外部電気回路120からAC電力を受け取る。電力変換器300はAC回路220の接地線243にも接続される。電力変換器300は、DC回路230の正DC線244および負DC線245に接続されてバッテリ104にDC電力を提供する。電力変換器300は、AC電力をDC電力に変換するように構成される。任意選択で、電力変換器300は、DC回路230からのDC電力をAC回路220のためのAC電力に変換するように構成される。
【0079】
電流センサ306は相線241に配置される。電流センサ306は、バッテリ104が充電されているときにAC回路220からAC電流を受ける。電流センサ306は、AC回路220におけるAC電流に基づいて信号を発生させるように構成される。外部電気回路120にアーク故障250が発生する場合、電流センサ306はAC電流の特性変化を検出する。電流センサ306は、AC電流の特性変化に基づいて信号を発生させる。
【0080】
電圧センサ304は、相線241と中性線242との間に配置されて相線241と中性線242との間のAC電圧を検出する。電圧センサ304は、AC回路220のAC電圧に基づいて信号を発生させるように構成される。電圧センサ304は、車載充電器106と外部電気回路120との間でエネルギーが伝送されていないときでもAC電圧を検出することができる。外部電気回路120にアーク故障250が発生する場合、電圧センサ304はAC電圧の特性変化を検出する。電圧センサ304は、AC電圧の特性変化に基づいて信号を発生させる。
【0081】
任意選択で、車載充電器106は、車載充電器106によって受信されるAC電力信号、すなわち外部回路120からのAC電力をフィルタリングするように構成されるローパスフィルタ330を備える。図示される配置では、ローパスフィルタ330は、電力変換器300の上流で電圧センサ304および電流センサ306の下流に配置される。図示される実施形態において、ローパスフィルタ(330)は、そのためAC回路220に配置される。
【0082】
任意選択で、車載充電器106は、電圧センサ304および/または電流センサ306からの信号の制御下で電気エネルギーをDC電力とAC電力との間で変換する。
【0083】
計算装置310は、信号の経時変動および/または信号の周波数成分に基づいてアーク故障250を検出するように構成される。計算装置310は、電流センサ306からの信号、電圧センサ304からの信号、または電流センサ306および電圧センサ304からの両信号を受信する。計算装置310は、1つまたは複数の信号に信号処理を行って、アーク故障250が発生したかどうかを判定する。このように、車載充電器106は、外部電気回路120内のアーク故障250を検出するように構成される。
【0084】
車載充電器106がアーク故障250を検出した場合、車載充電器106は外部電気回路120の安全機構をトリップさせる。車載充電器106がアーク故障250を検出すると、車載充電器106は第1のスイッチ301を開位置から閉位置に動かす。開位置では、第1のスイッチ301は接地線243と相線241を接続しない。閉位置では、第1のスイッチ301は接地線243と相線241を接続する。第1のスイッチ301が閉位置にあると相線241が接地線243に接続されるので、相線241から接地線243に電流が流れ始める。結果として、相線241を通る電流は、中性線242を通る電流とは異なるようになる。外部電気回路120のヒューズボックス122内の漏電遮断器回路が、相線241および中性線242を通る電流間に差があることを検出する。結果として、漏電遮断器回路は外部電気回路120を遮断する。
【0085】
第1のスイッチ301を動かすことに加えてまたは代替的に、車載充電器106がアーク故障250を検出すると、車載充電器106は第2のスイッチ302を開位置から閉位置に動かす。開位置では、第2のスイッチ302は中性線242と相線241を接続しない。閉位置では、第2のスイッチ302は中性線242と相線241を接続する。第2のスイッチ302が閉位置にあると相線241が中性線242に直接接続されるので、AC回路220は短絡される。相線241から第2のスイッチ302を介して中性線242に大電流が流れる。大電流は、外部電気回路120のヒューズボックス122内の回路遮断器またはヒューズに外部電気回路120を遮断させる値に増加する。
【0086】
車載充電器106は、アーク故障250を検出すると警告信号を発生させるように構成される。車載充電器106は、通信装置320を備える。車載充電器106がアーク故障250を検出すると、通信装置320は警告信号を送信する。通信装置320は、車両100のユーザにアーク故障250が発生したと警告するために、例えば、ディスプレイまたはモバイルデバイスに警告信号を送信する。警告信号は、例えば、アーク故障が検出されたため、アーク故障の原因を発見するために電気技師が外部電気回路を調査するべきであることを示す。
【0087】
図4は、本発明の実施形態に係る車載充電器106で測定される信号の時間の変動を描く。図4は、x軸上に時間およびy軸上に電圧を表す値のグラフを描く。グラフは、AC回路220のAC電圧を測定する電圧センサ304によって提供される信号を表す。電圧の値は、-1と+1との間の正規化値として表された。AC回路220の電圧に応じて、電圧は、-110Vから+110Vに、-220Vから+220Vに、-340Vから+340Vに、または任意の他の範囲に及んでよい。x軸上の時間は、グラフに沿って左から右に動くと増すように示された。時間値はAC電圧の主周波数、例えば50Hzまたは60Hzまたは任意の他の適切な周波数に依存する。
【0088】
グラフは、アーク故障が発生しない時限400を図示する。時限400では、電圧センサ304は、正弦形状で経時的に変化する電圧を測定する。正弦形状上の一部の小変動が発生し得る。時限410では、アーク故障250が発生する。グラフから明らかであるように、正弦形状が変化して擾乱411を含む。これらの擾乱411はアーク故障250に典型的である。電圧センサ304で擾乱411を検出することによって、車載充電器106はアーク故障250を検出することができる。
【0089】
図5は、本発明の実施形態に係る車載充電器106によって測定される信号の周波数成分を描く。図5は、x軸上に周波数およびy軸上にそれらの周波数の大きさのグラフを描く。グラフは、AC回路220のAC電圧を測定する電圧センサ304によって提供される信号の周波数成分を表す。同様のグラフが、例えば電流センサ306からの信号に基づいて創出される。周波数および大きさの値が図から省かれるが、これらが、AC回路220の主周波数、AC電圧の振幅およびAC電流の振幅のような、様々な要因に依存するからである。
【0090】
線500は、アーク故障が発生しないときの信号の周波数成分を図示する。周波数成分は、大部分はAC回路220の主周波数510の周りに集中される。主周波数510は例えば50Hzまたは60Hzである。理想的には、主周波数510の周りの周波数成分は狭いスパイクである。しかしながら、AC回路220における様々な擾乱により、擾乱によって引き起こされる主周波数510の周りの周波数帯がある。アーク故障がない場合、主周波数510以外の周波数は信号の周波数成分に存在する。線500に図示されるように、それらの他の周波数の大きさは、主周波数510の大きさより非常に低い。
【0091】
線502は、アーク故障250が発生するときの信号の周波数成分を図示する。アーク故障250のため、主周波数510以外の周波数の振幅は信号中で増加する。結果として、主周波数510の大きさが減少する一方、周波数510以外の周波数の大きさは増加する。これにより、アーク故障250が発生しないときと比較してアーク故障250が発生すると信号は主周波数510には低い大きさを有することになる。アーク故障250が発生しないときと比較してアーク故障250が発生すると信号は主周波数510以外の周波数には高い大きさを有する。周波数成分の変化に基づいて、車載充電器106は、アーク故障250が発生したと検出することができる。例えば、車載充電器106は、周波数成分の変化が閾値を超えるとアーク故障250を検出する。
【0092】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る方法を描く。本方法は、電気自動車100を使用してアーク故障250を検出するためのものである。電気自動車100は、電気回路網102およびセンサ304、306を備える。本方法は以下のステップを含む。第1のステップは、外部電気回路120に電気回路網102を接続してAC回路220を形成することである。第2のステップは、AC回路220の電流および/または電圧に基づいて、例えばセンサで、信号を発生させることである。第3のステップは、信号の制御下で電気回路網102と外部電気回路120との間でエネルギーを伝送させることである。第4のステップは、信号に基づいてAC回路220内のアーク故障250を検出することである。第5のステップは、外部電気回路120の安全機構を電気回路網102でトリップさせることである。安全機構のトリップは、例えばAC回路220を短絡させることによって行われる。
【0093】
必要に応じて、本文書は本発明の詳細な実施形態を記載する。
【0094】
説明に使用される様々な用語は、限定的としてではなく、むしろ本発明の包括的な説明として解釈されるべきである。
【0095】
本明細書で使用される単語「a」は、特記しない限り、1つまたは2つ以上を意味する。句「複数の」は、2つまたは3つ以上を意味する。単語「備える」および「有する」は、更なる要素の存在を排除しない。
【符号の説明】
【0096】
100 電気自動車
102 電気回路網
104 バッテリ
106 車載充電器
110 結合装置
120 外部電気回路
122 ヒューズボックス
124 充電ステーション
126 AC配線
131~134 電気モータ
210 結合インタフェース
220 AC回路
230 DC回路
236 DC配線
241 相線
242 中性線
243 接地線
244 正DC線
245 負DC線
250 アーク故障
300 電力変換器
301 第1のスイッチ
302 第2のスイッチ
304 電圧センサ
306 電流センサ
310 計算装置
320 通信装置
330 ローパスフィルタ
400 時限
410 時限
411 擾乱
500 線
502 線
510 主周波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】