(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】リン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 61/00 20060101AFI20250117BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20250117BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20250117BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20250117BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250117BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20250117BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250117BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250117BHJP
A61P 31/02 20060101ALI20250117BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250117BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250117BHJP
【FI】
A01N61/00 D
A01P1/00
A01P3/00
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/04
A61P17/00 101
A61P31/02
A61K31/77
A61K9/08
A61K47/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542201
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 KR2022016667
(87)【国際公開番号】W WO2023136435
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006505
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523151676
【氏名又は名称】株式会社 ユイケミカル
【氏名又は名称原語表記】UE CHEMICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】104-A, 365, Sinseon-ro Nam-gu Busan 48548 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】305026873
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョン モク
(72)【発明者】
【氏名】ファン, テ ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ, ボン クク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ガ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ミン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソン チョル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD37
4C076DD37A
4C076EE23
4C076FF11
4C086AA01
4C086AA02
4C086FA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086NA14
4C086ZA90
4C086ZB33
4C086ZB35
4H011AA01
4H011AA04
4H011BB19
4H011DA13
4H011DH03
(57)【要約】
本発明は、合計100重量%を基準として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10~40重量%と、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル0.01~10重量%と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル0.01~10重量%と、残量の溶媒とを含む、リン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物に関するものである。本発明による環境に優しい防疫組成物は、SARS-CoV-2ウイルス除去率が1分で100%であり、高病原性鳥インフルエンザウイルスを1分~10分で100%死滅させる効果があり、ヒト表皮角化細胞株(human epithelial keratinocyte cells、HaCaT)、ヒト気道上皮細胞株(human、Bronchial epithelial cells、BEAS-2B)、およびヒト単球細胞株(human monocyte cells、THP-1)の細胞に対するIC
50の値(%)が0.003~0.0045の範囲で低い細胞毒性を有し、非病原性菌株、病原性菌株に対する抗菌活性を有する効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計100重量%を基準として、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル10~40重量%と、
ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル0.01~10重量%と、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル0.01~10重量%と、
残量の溶媒とを含む、リン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物。
【請求項2】
前記組成物を0.1重量%以内の量で含む希釈液におけるSARS-CoV-2ウイルス除去率が1分で100%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物を0.1重量%以内の量で含む希釈液における高病原性鳥インフルエンザウイルスを1分~10分で100%死滅させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、ヒト表皮角化細胞株(human epithelial keratinocyte cells、HaCaT)、ヒト気道上皮細胞株(human、Bronchial epithelial cells、BEAS-2B)、およびヒト単球細胞株(human monocyte cells、THP-1)の細胞に対するIC
50の値(%)が0.003~0.0045の範囲で低い細胞毒性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、非病原性菌株、病原性菌株に対する抗菌活性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物はpH6~8を維持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物を水に0.01%~0.05%の含有量で希釈して使用する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、前記残量の溶媒にはエタノールを20重量%以内の量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物には、全重量に対して0.1wt%以内の量で保存剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物に関し、より詳細には、コロナ-19、鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、重症急性呼吸器症候群などの様々なリン脂質エンベロープ保有ウイルスを効果的に除去できる環境にやさしい防疫組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは、RNAやDNAの遺伝物質と、それを囲むタンパク質の殻(カプシド)とからなる非常に単純な構造をしている。ウイルスの中には、タンパク質の殻の他に、脂質でできた膜を持つものがあり、この脂質でできた層(脂質層、脂質膜)を持つものがエンベロープに包まれたエンベロープ保有ウイルス(Enveloped Virus)である。
【0003】
この脂質層は、エンベロープ保有ウイルスのみに存在し、エーテルなどの有機溶媒にさらされると不活性化され、感染性を失うことが知られている。エンベロープ保有ウイルスの脂質膜は、自らの遺伝子を宿主の遺伝体に導入する上で大きな役割を果たしていると言われている。このメカニズムを阻害すれば、様々な種類のウイルスに効果的に対処しながらも、不要な副作用が生じなくなることが期待される。
【0004】
現在、このようなウイルスを除去するための洗浄剤として広く使用されているアルコール系洗浄剤は、ウイルスのエンベロープ(リン脂質)を溶解することにより消毒効果を発揮するエタノールを主成分としており、現在韓国で広く使用されている。
【0005】
エタノールは、このようなリン脂質層とタンパク質で構成されるエンベロープ保有ウイルスのエンベロープを溶解し、エンベロープのないウイルスを外部で死滅させるか、運よく宿主に侵入したとしても細胞内に浸透して増殖することを防ぐ役割を果たす。
【0006】
一方、インフルエンザウイルスは呼吸器系に感染して全身症状を引き起こし、周期的にその姿を変えるだけでなく、宿主を殺すことなく宿主が死ぬ前に別の宿主に移るので、科学者たちは、インフルエンザウイルスは人類が滅亡するまで生き残ると推測している。インフルエンザウイルスは人類に最大の経済的損失をもたらすウイルスであり、予防ワクチンは開発されているものの、ウイルスの変異に追いつくことができず、まだ根本的な治療には至っていない。
【0007】
その中でも、鳥インフルエンザ(Avian Influenza、AI)は、鳥インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる急性伝染病であり、鶏、七面鳥、アヒルなどの家禽類に深刻な被害を与える。ウイルスの病原性の程度により、低病原性鳥インフルエンザと高病原性鳥インフルエンザに大別される。
【0008】
1918年から2009年の間に発生した4つのパンデミックウイルスには、最も多くの死者を出したスペインかぜ(A/H1N1)、アジアかぜ(A/H2N2)、香港かぜ(A/H3N2)、そして2009年に韓国で260人の死者を出した豚インフルエンザ(A/H1N1)pdm09がある。
【0009】
第5次パンデミックを引き起こす可能性が最も高い鳥インフルエンザウイルスの発生が、継続的に報告されている。2003年に発見され始めた鳥インフルエンザA/H5N1は、野鳥や家禽で発生してヒトに広がり、2017年9月までに16カ国で454人が死亡した。また、2013年に中国で発生した鳥インフルエンザA/H7N9の場合は、2017年の現在、599人の死者を出している。
【0010】
一方、サーズ(重症急性呼吸器症候群、Severe Acute REspiratory Syndrom、SARS)は、2002年の冬に中国で流行が始まってから数ヶ月で、香港、シンガポール、カナダなどを含む世界中に広がった新型伝染病であり、原因病原体はサーズコロナウイルス(SARS-associated coronavirus、SARS-coV)である。SARS-coVは、動物宿主コロナウイルスの変種によって動物からヒトへ種を越えて感染することが知られている。
【0011】
サーズの基本的な感染経路は、呼吸器の飛沫や汚染媒体を介した粘膜の直接・間接接触であることが知られており、発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛、悪寒などの症状が現れ、主に2週目に伝染すると報告されている。
【0012】
サーズが疑われる患者や推定される患者は隔離・入院され、伝染を防ぐために厳重な管理が必要である。しかし、ワクチンや予防薬はまだ開発されていないため、感染リスクの高い地域への渡航を控えたり、手洗いを徹底することで、直接接触による感染を防ぐレベルにとどまっている。
【0013】
コロナウイルスの構造を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、二重のリン脂質膜からなっている。前記リン脂質膜は、C10~C18の長い炭素鎖を有する構造をしている。
【0014】
本出願人は、大韓民国特許出願第2020-0137611号において、ウイルスを防疫するための抗ウイルス組成物として、合計100重量%を基準として、C13H27(OCH2CH2)nOH(ここで、n=2~15)10~30重量%と、2-エチルヘキシルアルコールエトキシレート0.1~5重量%と、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのブロック共重合体0.1~5重量%と、残量の水とを含む洗浄剤組成物を開示している。
【0015】
前記特許において主成分として使用されているC13H27(OCH2CH2)nOHは、13本の炭素鎖が線状構造ではなく分岐構造を有しているため、コロナウイルスのリン脂質二重膜に含まれる長い炭素鎖からなる疎水性部分と良好に結合し、会合数(aggregation number)を増加させ、前記コロナウイルスのリン脂質膜の可溶化度を高めることができる。本出願人は、この作用を利用して洗浄剤組成物を調製した。
【0016】
前記特許では、分岐構造を有する物質を用いて複雑なリン脂質二重膜構造およびミセルを形成する場合、疎水性炭化水素との反発力によりミセルにおけるパッキング密度(packing density)を低くすることができるため、リン脂質二重膜の溶解にはるかに有利な構造を形成することができる。しかし、前記主成分として含まれるC13H27(OCH2CH2)nOHは、石油化学から合成される物質であり、分岐構造が多いため、多くの用途に応用できるが、生分解性がなく、環境的に好ましくないという問題がある。
【0017】
また、本出願人は、大韓民国特許出願第2020-0137612号において、合計100重量%を基準として、オクチルフェノールエトキシレート(エトキシレートに含まれるエチレンオキシドの数(n)は2~15である。)10~30重量%と、2-エチルヘキシルアルコールエトキシレート0.1~5重量%と、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのブロック共重合体0.1~5重量%と、残量の水とを含む洗浄剤組成物を開示している。
【0018】
前記特許では、コロナウイルスの除去・抑制を担う主成分としてオクチルフェノールエトキシレートが含まれており、前記オクチルフェノールエトキシレート中のオクチルフェノール基は、芳香族フェノール基を含むC8のアルキル基であり、コロナウイルスのリン脂質膜に含まれる長い炭素鎖からなる疎水性部分に良好に結合し、エチレンオキシド部分は、前記長い炭素鎖の疎水性に親水性を付与する役割を果たす。同時に、エチレンオキシドの数を表すnを2~15、好ましくは5~10に調整し、nの数が異なる2種以上の物質を混合し、親水性を所定のレベルに調整して使用するようにした。
【0019】
しかし、前記主成分として含まれるオクチルフェノールエトキシレートは、リン脂質二重膜を破壊する効果はあるものの、アルキル基が分岐構造を有し、分解してもフェノール成分が残存するため、環境において致命的な欠点を有している。
【0020】
前記特許のほか、サーズウイルスやインフルエンザウイルスを含むウイルス、細菌及び真菌に対する殺菌・抗菌力を有する先行技術として、大韓民国特許公開第2006-0079388号では、ナノサイズの銀粒子コロイドを製造し、それを、蒸留水を含む水、アルコール類および界面活性剤からなる群より選択される1つ以上の溶媒と所定の濃度範囲内で混合して得られる溶液を原料としてナノサイズの二酸化チタン光触媒を合成する方法により製造された無機抗菌剤溶液及びその希釈物質を溶液、バイアル、スプレー、エアゾール等の形態で使用する技術を開示している。
【0021】
さらに、大韓民国特許第10-1317318号では、乾燥した五倍子を細切って乾燥重量の10~20倍の70~80%エタノール混合溶媒で、抽出温度20~100℃で2~5時間、冷浸抽出法、熱水抽出法、超音波抽出法または還流冷却抽出法により1~5回繰り返し抽出した後に減圧濃縮する工程の製造方法から得られることを特徴とする、没食子酸(1)、パラ-ジ没食子酸とメタ-ジ没食子酸との複合物(2)、エチルガレート(4)、及びエチルパラジガレートとエチルメタジガレートとの複合物(5)からなる70~80%エタノール混合溶媒抽出物(含有比=4.3:1:7.2:16.3)、又はそれから分離されるペンタ-O-ガロイルグルコース(penta-O-galloyl glucose)、エチルガレート(ethyl gallate)、またはエチルパラジガレートとエチルメタジガレートの複合物(a mixture of ethyl p-digallate and ethyl m-digallate)を有効成分として含有するA/H1N1季節性インフルエンザウイルスに起因する季節性インフルエンザまたは新型インフルエンザ;A/H9N2(A/Chicken/Korea/MS96/1996)、またはA/H1N1から選択される鳥インフルエンザウイルスに起因する鳥インフルエンザの予防および治療のための抗菌組成物を開示している。
【0022】
現在の技術では、様々なウイルスを除去するための製品やワクチンの開発はまだ遠く、リン脂質二重膜のエンベロープを有する様々なウイルスを効果的に死滅させながらも、ヒトや動物に使用しても刺激を引き起こさない環境に優しい防疫製品の開発が緊急に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、エンベロープ保有ウイルスに含まれるリン脂質膜を破壊することにより、ウイルスによる伝染や感染を効果的に阻止することができる、リン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するために、本発明のリン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物は、合計100重量%を基準として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10~40重量%と、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル0.01~10重量%と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル0.01~10重量%と、残量の溶媒とを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記組成物を0.1重量%以内の量で含む希釈液におけるSARS-CoV-2ウイルス除去率は、1分で100%であることに特徴がある。
【0026】
また、本発明の一実施形態によれば、前記組成物を0.1重量%以内の量で含む希釈液における高病原性鳥インフルエンザウイルスを1分~10分で100%死滅させることができる。
【0027】
また、本発明の前記組成物は、ヒト表皮角化細胞株(human epithelial keratinocyte cells、HaCaT)、ヒト気道上皮細胞株(human, Bronchial epithelial cells、BEAS-2B)、及びヒト単球細胞株(human monocyte cells、THP-1)の細胞に対するIC50の値(value)(%)が0.003~0.0045の範囲で低い細胞毒性を有することに特徴がある。
【0028】
さらに、本発明による前記組成物は、非病原性菌株、病原性菌株に対する抗菌活性を有することができる。
【0029】
本発明による前記組成物は、pH6~8の中性を維持することが好ましい。
【0030】
また、前記組成物を水に0.01%~0.05%の含有量で希釈して使用することができる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、さらに、前記残量の水にはエタノールを20重量%以内の量で含むことができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、前記組成物には、必要に応じて全重量に対して0.1wt%以内の量で保存剤をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明による環境に優しい防疫組成物は、0.1重量%以内の量で含む希釈液におけるSARS-CoV-2ウイルス除去率が1分で100%であり、高病原性鳥インフルエンザウイルスを1分~10分で100%死滅させる効果がある。
【0034】
また、ヒト表皮角化細胞株(human epithelial keratinocyte cells、HaCaT)、ヒト気道上皮細胞株(human、Bronchial epithelial cells、BEAS-2B)、およびヒト単球細胞株(human monocyte cells、THP-1)の細胞に対するIC50の値(%)が0.003~0.0045の範囲で低い細胞毒性を有し、非病原性菌株、病原性菌株に対する抗菌活性を有する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、実施例2(本発明)、比較例1(特許文献1の組成)及び比較例2(特許文献2の組成)による各組成物のSARS-CoV-2ウイルス除去率の測定結果を示す。
【
図2】
図2は、実施例2(本発明、Neutra Best L)による組成物の高病原性鳥インフルエンザウイルス死滅効果の測定結果を示す。
【
図3】
図3は、実施例2(本発明、Neutra Best L)による組成物の高病原性鳥インフルエンザウイルス死滅効果の測定結果を示す。
【
図4】
図4は、実験例3と同じ試料に対する各組成物の抗菌活性の測定結果を示す。
【
図5】
図5は、実験例3と同じ試料に対する各組成物の抗菌活性の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0037】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0038】
本明細書で使用される場合、単数形は、文脈上明らかに異なる意味にならない限り、複数形を含む。また、本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」または「含む(comprising)」は記載された形状、数、段階、動作、部材、要素及び/またはそれらの組み合わせの存在を特定するものであって、一つ以上の他の形状、数、段階、動作、部材、要素及び/またはそれらの組み合わせの存在または付加を排除するものではない。
【0039】
本発明は、様々なリン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物を提供する。
【0040】
本発明による前記組成物は、合計100重量%を基準として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10~40重量%と、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル0.01~10重量%と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル0.01~10重量%と、残量の溶媒とを含む構成を有する。
【0041】
本発明の組成物は、主成分(溶媒を除いた組成物中で最も多く含まれる成分を意味する。)として、線状構造のみからなるポリオキシエチレンラウリルエーテルを含むことが好ましい。前記ポリオキシエチレンラウリルエーテルは、陰イオン性および陽イオン性界面活性剤との相溶性に優れ、酸、アルカリ、塩等が共存する水溶液中でも優れた界面活性作用を発揮する非イオン性界面活性剤である。
【0042】
本出願人は、最近の実験において、線状構造のみからなる前記ポリオキシエチレンラウリルエーテルを主成分として用いた結果、従来の分岐構造を有する他の成分を主成分として含む場合(先行特許1、2)と比較して、エンベロープ保有ウイルスのエンベロープをより効果的に除去できることを確認した。
【0043】
これは、エンベロープ保有ウイルスに含まれるリン脂質二重膜を構成するリン脂質のアルキル基が直鎖状であるためである。そこで、本発明では、同様の直鎖状を有する構造を主成分とすることにより、リン脂質二重膜との親和性を高め、リン脂質二重膜に浸透する際の浸透力を向上させることを期待した。
【0044】
また、リン脂質二重膜を効果的に除去した後は、水中でエマルジョン状態で安定に存在する必要があるが、このときにも安定化度を向上させることができ、線状構造のみからなる前記ポリオキシエチレンラウリルエーテルは、使用後に生分解されるため、環境に優しい組成物の製造が可能となる。
【0045】
このようなポリオキシエチレンラウリルエーテルは、組成物の全重量に対して10~40重量%の量で含まれることが好ましい。10重量%未満であると、リン脂質二重膜を除去する効果が不十分であり、40重量%を超えると、他の成分の含有量が相対的に少なくなり、環境に優しい抗ウイルス組成物の調製に不利となることがある。
【0046】
本発明の組成物は、エンベロープ保有ウイルスのリン脂質膜の間に入り込む際に浸透力を高める浸透助剤として作用するように、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテルを組成物の全重量に対して0.01~10重量%の量で含むことができる。前記ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテルは、側鎖に炭化水素が置換した規則性の低い構造であるため、前記リン脂質二重膜の間に入り込む際に間隔を空けることができ、浸透力を高めることが期待できる。
【0047】
このようなポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテルは、組成物の全重量に対して0.01~10重量%の量で含まれる。0.01重量%未満であると、所望の効果が得られず、10重量%を超えると、浸透力をさらに高める効果が得られないため好ましくない。
【0048】
また、本発明の組成物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとを共重合して製造されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを組成物の全重量に対して0.01~10重量%の量で含む。
【0049】
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、本発明によるリン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物の製造時に生じ得る気泡の発生を抑制するために添加されるものであり、組成物の全重量に対して0.01~10重量%の量で含まれることが気泡の除去に効果的である。
【0050】
また、本発明による前記洗浄剤組成物は、pH6~8程度の中性であることを特徴とする。これにより、本発明の組成物が使用される用途の物質の損傷または変質を最小限に抑えるという利点があるとともに、優れたウイルス死滅効果を示す特徴がある。
【0051】
また、本発明の組成物は、前記構成を除いた残量の溶媒を含んでなる。前記溶媒としては水または有機溶剤が挙げられ、一般的な水道水や、一般的な水に含まれる溶解イオン、固体粒子、微生物、有機物などの不純物を全て除去した精製水などであってもよく、特に限定されない。
【0052】
また、必要に応じて、有機溶剤として、エタノールやイソプロピルアルコールのようなアルコール系溶媒を全溶媒に対して20重量%以内で含有させることにより、最終組成物の粘度を下げたり、組成物の製造時に発生する気泡を除去したり、冬季などの低温で使用する場合の組成物の保存特性を向上させることができる。
【0053】
また、本発明による組成物の保存中にカビの発生などの問題を防止し、保存安定性を向上させるために、公知の保存剤を組成物の全重量に対して0.1重量%以内の量で含有させることができる。保存剤の種類は特に限定されない。
【0054】
本発明によるリン脂質エンベロープ保有ウイルスを死滅させる機能を有する環境に優しい防疫組成物は、前記各構成成分を室温(r.t.)でよく混合することにより容易に調製することができる。前記調製された組成物は、疎水性-親水性バランス(HLB)の値が12~15の範囲にあることにより、環境にやさしい防疫組成物として各種用途に使用した場合、水中で適切なミセルを形成して洗浄効果を高めることができる。
【0055】
その中でも、特に本発明による組成物は、コロナ-19、鳥インフルエンザ、サーズ(SARS、重症急性呼吸器症候群)、マーズ(MERS、中東呼吸器症候群)、新型コロナ-19ウイルス、アフリカ豚熱などのリン脂質二重膜のエンベロープを有する様々なウイルスを効果的に死滅させる効果がある。
【0056】
また、本発明による組成物は、線状構造のポリオキシエチレンラウリルエーテルを主成分として使用することにより、使用後に効果的に生分解され、分岐構造を有する従来の界面活性剤における毒性有機物質の残留問題を解決することができ、環境に優しい組成物を調製することができる。したがって、本発明による組成物は、人体への噴霧や手指の消毒などの用途に使用する場合、または各種動物に適用する場合に、他の副作用がなく安全に使用することができる。
【0057】
本発明により調製された前記環境に優しい防疫組成物は、水に希釈して、噴霧用、消毒用、洗浄用などの所望の様々な用途に使用することができる。
【0058】
その希釈濃度は100%を基準として0.01%~0.05%とすることができるが、これに限定されるものではなく、所定の用途に応じて希釈濃度を調節できることは当業者に自明である。
【0059】
以下、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。但し、以下の実施例は例示のみを目的として提案されたものであり、本発明の範囲が特にこれに限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、以下の実施例では特定の化合物を例示するが、その等価物を用いても同等または類似の効果が発揮されることは当業者に明らかである。
【実施例】
【0060】
実施例及び比較例:組成物の調製
下記表1の組成により、各組成物を精製水に投入し、18℃で混合し、十分に撹拌して各防疫組成物を調製した。なお、下記表1において、比較例1は本出願人の特許文献1の実施例2の組成物であり、比較例2は特許文献2の実施例2の組成物であり、それぞれ分岐構造を有する成分を主成分として含む組成物を調製して本発明と比較した。
【0061】
【0062】
実験例1:SARS-CoV-2抗ウイルス効果の測定
前記実施例2(本発明、Neutra Best L)、比較例1(特許文献1の組成、Neutra Best)、及び比較例2(特許文献2の組成、Clean V)による各組成物に対して、以下のようにしてSARS-CoV-2ウイルス除去率を測定した。その結果を
図1に示す。
【0063】
96ウェル細胞プレートに、Vero細胞(サル腎臓上皮細胞)を1ウェルあたり1×104個培養した。次いで、1×103~5×103個の感染性ウイルスをEPチューブに分注した後、組成物の濃度が0.1%となるようにウイルス細胞培養液(Gibco DMEM-0%FBS)を混合し、30秒、1分、5分、10分の反応時間で反応させた。
【0064】
反応終了後、細胞培養液をドライアイスで急速冷凍し、サンプルを-80℃のディープフリーザー(Deep freezer)で保存した。用意したサンプルは、96ウェルU底プレートで細胞培養液を用いて10倍段階で希釈した。96ウェル細胞プレートで培養した細胞を、1xリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate-buffered saline、PBS)で1回洗浄し、前記段階希釈したサンプルを洗浄済みの細胞に移し、1時間30分間反応させた。反応終了後、先に入っていた細胞培養液を除去し、適切な濃度のTPCKトリプシンを含む細胞培養液に交換した。
【0065】
2~3日間、細胞の変形状態およびSARS-CoV-2ウイルスの増殖状態を顕微鏡で目視観察し、感染3日後に10%クリスタルバイオレット染色剤を用いて生存細胞を染色した。その結果を下記の表2及び
図1に示す。
【0066】
【0067】
上記表2は細胞生存率を測定した結果であり、比較例2(特許文献2の組成、Clean V)による各組成物は、希釈濃度0.0375%において、5分で50%、10分で25%の細胞生存率を示した。比較例1(特許文献1の組成、Neutra Best)は、希釈濃度0.0211%において概して細胞生存率を示した。
【0068】
次に、
図1に示す結果を参照すると、ウイルスにより死滅した細胞や洗浄剤毒性により死滅した細胞は染色されず透明に観察され、生き残った細胞はクリスタルバイオレットにより染色され、濃い紫色に観察された。本発明の実施例1によるNeutra Best Lは、希釈濃度0.0158%において、1分と10分では全てのウイルスが死滅して100%の細胞生存率を示し、5分では75%の生存率を示すことが確認できた(
図1参照)。すなわち、本発明による組成物は、1分という非常に短い時間でSARS-CoV-2ウイルスを100%除去することが確認できた。
【0069】
また、希釈濃度0.0089%以下では、ウイルスによって全ての細胞が死滅し、ND(検出されない(Not Detected))と測定された。これらの結果から、本発明による組成物は0.0158%以下の濃度では、全てのウイルスを死滅できることが分かる。
【0070】
これらの結果から、本発明によるNeutra Best Lは、低濃度でも細胞を生存させながら、ウイルスを効果的に死滅させることができることを確認できる。
【0071】
実験例2:高病原性鳥インフルエンザ(AI)ウイルスの死滅効果及び細胞毒性の測定
前記実施例2(本発明、Neutra Best L)による組成物の高病原性鳥インフルエンザウイルス死滅効果および細胞毒性(実験例1と同じ。)を以下のように測定した。その結果を
図2~3に示す。
【0072】
高病原性鳥インフルエンザウイルス死滅効果については、赤血球(Red Blood Cell、RBC)を用いた赤血球凝集アッセイ(Hemagglutinin Assay)と呼ばれる方法を用いた。具体的には、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素(Hemagglutinin)というタンパク質によってRBCが溶血作用を起こす原理を利用する。インフルエンザウイルスが生きていれば、RBCを用いて溶血作用が起こり、RBCが破裂して全体が赤く見える。ウイルスが死滅したり、ウイルスを増殖させるための細胞が死滅したりすると、ウイルスが存在しないため、赤い点ができる。これは、この実験に使用したプレートがU底であり、RBCが重力によって底に集まり、一点のように形成されるためである。
【0073】
次に、高病原性鳥インフルエンザウイルスの死滅効果を示す
図2を参照すると、試料を0.0375%の濃度で希釈した場合、赤血球が良好に生存し、1分、5分、10分で全て赤い点として集まっていることが確認できる。一方、0.0281%の濃度では、1分で50%、5分で25%、10分で75%の赤血球が生存していた。結果として、0.0375%以上の濃度であれば、1分という非常に短い時間で100%のAIウイルスを全て死滅させることができることを確認できる。
【0074】
細胞毒性実験の結果を示す
図3を参照すると、0.0500%に希釈した濃度では、感染の有無(○、×)にかかわらず、本発明の組成物により全ての細胞が死滅し、白色を呈することを確認できる。これに対し、0.0375%以下の希釈濃度では、細胞が全て生存して紫色を呈することを確認できる。これらの結果から、0.0375%以下の濃度では細胞毒性がないことを確認した。
【0075】
実験例3:細胞毒性の測定
実施例2(本発明、NB-3)、比較例1(特許文献1の組成、NB-1)、比較例2(特許文献2の組成、NB-2)、及び市販品と各種界面活性剤を用いた下記表3に示す各組成物に対して、ヒト表皮角化細胞株(human epithelial keratinocyte cells、HaCaT)、ヒト気道上皮細胞株(human、Bronchial epithelial cells、BEAS-2B)、およびヒト単球細胞株(human monocyte cells、THP-1)の3種類の細胞に対する毒性を以下のように評価した。
【0076】
【0077】
1.HaCaT、BEAS-2B、THP-1の各細胞株を、細胞播種用96ウェル細胞培養プレートに0.5×104細胞/ウェル、0.5×104細胞/ウェル、3×104細胞/ウェルで播種した。細胞数が異なるのは、最初に細胞数条件を設定する際に、ビヒクル(Veh、薬物の溶媒のみで処理した群)のOD(光学密度570nm)を1.0程度としたためである。
【0078】
2.処理(Treatment)
細胞を96ウェル細胞培養プレートに広げ、24時間後に薬物で処理した。薬物の点滴量は、培地体積の約1/100に希釈(100μlの培地に1μlの薬物を点滴)した。例えば、96ウェルプレートでは、細胞を広げる際に、100μlの培地を使用した。したがって、最終濃度0.0075%の薬物を処理しようとする場合は、初期濃度として0.75%の薬物を準備する必要がある。つまり、濃度0.75%の薬物を100μlの培地に1μl点滴した場合、実際に細胞に作用する濃度は0.0075%となる。
【0079】
3.MTT溶液(MTT solution)
事前に細胞を薬物で処理してから24時間後、MTT溶液(1mg/ml)を培地体積と同量で添加し、インキュベーター内で2~3時間反応させる。ここで、培地体積と同量というのは、培地を100μlとし、そこにMTT溶液を100μl添加することを意味する。
【0080】
4.不溶性ホルマザン(Insoluble formazan)
前記反応が終了すると、96ウェル細胞培養プレートの底に青紫色の不溶性物質が形成されるが、これはMTTテトラゾリウム(tetrazolium)がミトコンドリアの細胞呼吸によって非水溶性のMTTホルマザン(formazan)に還元されて生じる現象である。
【0081】
したがって、反応後、上清を完全に除去し、底に非水溶性のMTTホルマザンを有機溶媒であるDMSOに溶解し、マイクロプレートリーダーを用いてOD570nmで色の濃さを数値化した。
【0082】
生物阻害濃度を示すIC50の値(%)は、各濃度に応じて回帰(regression)グラフを描き、トレンドラインによって式y=ax+bを得て、y=50に対するxの濃度を算出した。その結果を下記表4に示す。
【0083】
【0084】
上記表4の結果を参照すると、生物阻害濃度であるIC50の値(%)は、細胞毒性の値を確認したものであり、値が少ないほど細胞毒性が高いことを示す。本発明によるNB-3の場合は、加湿器用殺菌剤に含まれる成分であり、陽イオン性界面活性剤を用いた市販品(P2)に比べて細胞毒性が低いことが確認された。すなわち、正常ヒト細胞に有意な影響を与えないことから、細胞毒性が低いと言える。
【0085】
実験例4:抗菌活性
実験例3と同じ試料に対する各組成物の抗菌活性を評価するために、以下のような実験を行った。抗菌活性実験には、ペーパーディスク法(paper disc method)を用いた。ここで使用した菌株および培地を下記表5に示す。
【0086】
【0087】
各菌株を24時間振とう培養し、その菌液を種培養液とした。各菌株に適した培地を製造した後、1.5%のアガー(Becton and Dickinson、BD、NJ、USA)を加えて滅菌し、滅菌した培地を冷却し、約40℃で種培養液を1%添加した。その後、20mlずつ分注し、抗菌活性平板培地を製造した。各試料を1、10、100μg/50μlの濃度で8mm(Advantec Ltd、Tokyo、Japan)に吸収させ、抗菌活性培地の表面に軽く置き、37℃で18~24時間培養した。その後、発育阻止領域(クリアゾーン)の生成有無を確認し、直径を測定した。その結果を下記の表6~7及び
図4~5に示す。
【0088】
【0089】
【0090】
表6~7及び
図4~5の結果を参照すると、本発明による組成物(NB-3)は、非病原性菌株のうちグラム陽性菌株である枯草菌(Bacillus subtilis)及びグラム陰性菌株、並びに病原性菌株のうちチフス菌(サルモネラ・ティフィムリウム、Salmonella typhimurium)では、最小発育阻止濃度(MIC;minimum inhibitory concentration)の値が100以上であり、それ以外では50以上であった。
【0091】
病原性菌株の場合、MIC濃度が低いほど抗菌活性が良いと判断できるが、非病原性菌株の場合は、一般に抗菌活性がないことが良い。本発明による組成物は、多少の差はあるものの、この効果に合致する結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明による抗ウイルス組成物は、線状構造を有する物質を主成分として使用することにより、エンベロープ保有ウイルスに含まれるリン脂質膜との親和力を高め、リン脂質二重膜に浸透する際の浸透力を向上させ、効果的に溶解させることにより、様々なエンベロープ保有ウイルスを効果的に除去することができる。
【0093】
また、エンベロープ保有ウイルスのリン脂質二重膜を破壊した後は水中でエマルジョン状態で安定に存在する必要があるが、このときにも主成分として含まれる物質の線状構造により、安定化度を向上させることができる。
【0094】
さらに、使用後は生分解される可能性が高いため、従来の分岐構造を有する物質を使用する場合に比べて、環境に優しい防疫組成物を提供することができる。
【0095】
したがって、本発明による環境に優しい防疫組成物は、コロナ-19、鳥インフルエンザ、サーズ、アフリカ豚熱ウイルスなどを含むエンベロープ保有ウイルスの除去に有効に使用することができる。
【国際調査報告】