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▶ タラ ブランズ ユーロップ ソシエダッド リミターダ ウニペルソナルの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】化粧用化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/452 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20250117BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20250117BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C07D207/452 CSP
A61K8/49
A61Q5/04
A61K31/4015
A61Q5/12
A61P17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542252
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2023050990
(87)【国際公開番号】W WO2023135329
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22382019.2
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524265585
【氏名又は名称】タラ ブランズ ユーロップ ソシエダッド リミターダ ウニペルソナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルハマ、ナワフ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C083AC851
4C083AC852
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC34
4C083EE25
4C083EE28
4C083EE29
4C086BC08
4C086GA07
4C086MA01
4C086NA14
4C086ZA92
(57)【要約】
本明細書には、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が開示され、式中、YはC3-11シクロアルキルであり、Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、C=O、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。さらに、式Iの化合物を含む化粧用製剤、ならびにヘアケア製品としてのそのような化合物または製剤の使用が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化1】
(YはC3-11シクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、または-NR-によって置換されており、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。)
【請求項2】
Yが、C4-11架橋ビシクロアルキルなどのC3-11ビシクロアルキルである、請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
式IIを有する請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化2】
(YはC3-11シクロアルキルであり、
LはCH2であり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されており、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。)
【請求項4】
Yが、C4-11架橋ビシクロアルキルなどのC3-11ビシクロアルキルである、請求項3記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式IIIを有する請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化3】
(YはC4-11ビシクロアルキルであり、
XはO、NH、およびNRから選択され、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。)
【請求項6】
式IVを有する請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化4】
(YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-11アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。)
【請求項7】
式Vを有する請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【化5】
(式中、
YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Gは-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-であり、
nは1~4、好ましくは2または3であり、そして
mは0~8、好ましくは0~3である。)
【請求項8】
Yがビシクロ[1.1.1]ペンタンであり、nが2または3であり、そしてmが0、1、2または3であるか;
またはYがビシクロ[2.2.2]オクタンであり、nが3であり、そしてmが0である、
請求項7記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
Yが、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくはビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む化粧用製剤。
【請求項11】
界面活性剤、油成分、乳化剤、真珠光沢ワックス、稠度向上剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、紫外線保護剤、保湿剤、生物起源剤、抗酸化剤、消臭剤、制汗剤、フケ防止剤、皮膜形成剤、膨張剤、防虫剤、セルフタンニング剤、チロシン阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油および染料、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの化粧用添加剤をさらに含む、請求項10記載の化粧用製剤。
【請求項12】
担体、好ましくは、水、C(2-6)-アルコール、C(1-10)ポリオール、および油成分から選択される担体をさらに含む、請求項10または11に記載の化粧用製剤。
【請求項13】
化粧用製剤、好ましくはヘアケア製品の製造のための請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
毛髪などのケラチン物質の処理のための方法であって、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物または請求項10~12のいずれか1項に記載の化粧用製剤を前記ケラチン物質に適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化合物および化粧用製剤、ならびにそれらのヘアケア製品としての使用に関する。さらに、毛髪などのケラチン物質の処理のための方法が開示されている。
【背景技術】
【0002】
人間の毛髪は、高度に組織化されているが、構造が複雑である。人間の毛髪は、皮膚に埋め込まれた毛包および皮膚から伸びる毛幹で構成されている。毛髪は、典型的に、2層または3層で構成されている。最も外側の層は角質であり、中間の層は皮質であり、場合によっては、密集した細胞および/または中空空間で作られている中央の髄質領域が存在する。人間の毛髪の大部分は、マクロフィブリルと呼ばれる線維構造で構成されており、その各々は、マトリックスタンパク質によって一緒に保持されたミクロフィブリルからなる。人間の毛髪は、65~95重量%のタンパク質からなり、その大部分は、特にアミノ酸システインが豊富である線維状の螺旋状タンパク質であるケラチンであり、そのチオール基はジスルフィド架橋を形成し得、毛髪構造全体に剛性および耐性を加えている。
【0003】
毛髪に対しては、ブリーチ、染色、ストレート、パーマなどの、さまざまなトリートメントが存在し、その過程で、望ましい変化をもたらすために必要とされる化学物質によって毛髪が過剰に処理されたり、傷んだりし得る。たとえば、いくつかの既知の縮毛矯正プロセスは、アルカリ性ストレートナによる処理からなる。高いpH(9.0~14.0)により毛髪が膨張し、これにより、アルカリ剤が毛髪線維に浸透することが可能になり、そこでケラチンと反応し、ケラチンに存在するジスルフィド架橋の破壊および再配置を引き起こし、毛髪を伸縮させることが可能になる。化学的に引き起こされたダメージに加えて、頻繁なおよび/または高い熱または環境への露出などの物理的な処理によって毛質が変化し得、さらに多くの場合、永久的なダメージにつながり得る。
【発明の概要】
【0004】
これらのヘアトリートメントプロセス中に発生するそのようなあらゆるダメージを回避する、最小限に抑える、軽減または修復する、特にジスルフィド架橋を回復させて、毛質、強度、および質感を取り戻し、改善することが非常に望ましい。
【0005】
本開示の目的は、毛髪修復の最新技術を進歩させることである。本開示のさらなる目的は、好ましくはチオール部分を架橋することができる、ヘアケア製品としての使用のための化合物および製剤を提供することである。架橋されるチオール部分は、たとえば、物理的または化学的なヘアトリートメントの結果としてジスルフィド架橋の切断によって形成され得る。本発明のさらなる目的は、毛髪中の本発明のリンカーを使用してジスルフィド架橋の回復を強化することである。
【0006】
出願人は、チオール部分を架橋する、したがってジスルフィド架橋を模倣することができるチオール反応性架橋剤を開発した。架橋されるチオール部分は、たとえば、物理的または化学的なヘアトリートメントの結果として、ジスルフィド架橋の事前の切断によって結果としてもたらされ得る。チオール部分を架橋することによって、本明細書に開示されるチオール反応性架橋剤は、ジスルフィド架橋の回復を効果的に可能にする。
【0007】
本明細書に開示されるチオール反応性架橋剤は、少なくとも1つのC3-11シクロアルキル基を含むフラグメントによって連結されている少なくとも2つの求電子剤を含む。求電子剤は、とりわけ、マレイミド、ジチオピリジル、α-ハロカルボニルから選択され得る。C3-11シクロアルキルは、たとえば、C3-11架橋ビシクロアルキルなどのC3-11ビシクロアルキルであり得る。驚くべきことに、求電子剤を連結するフラグメントの一部として少なくとも1つのC3-11シクロアルキル基を含むことによって、チオール反応性架橋剤で処理した毛髪のボリュームおよび滑らかさが強化されることがわかった。さらに、少なくとも1つのC3-11シクロアルキル基は、求電子剤を連結するフラグメントの一部でありながら、チオール反応性架橋剤を両親媒性にする、明確に定義された疎水性を持つ。加えて、C3-11シクロアルキル基は、非侵襲性であり、環境に優しいため、安全性の強化および毒性の低減に貢献する。
【0008】
本開示は、第1の態様において、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関し、
【化1】
式中、
YはC3-11シクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、C=O、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIの化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関し、
【化2】
式中、
YはC3-11シクロアルキルであり、
LはCH2およびC=Oから選択され、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0010】
式IまたはIIの化合物またはその薬学的に許容可能な塩のいくつかの実施形態では、Yは、C4-11架橋ビシクロアルキルなどのC3-11ビシクロアルキルである。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIIの化合物または薬学的に許容可能な塩に関し、
【化3】
YはC4-11ビシクロアルキルであり、
XはO、NH、およびNRから選択され、ここでRは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IVの化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関し、
【化4】
式中、
YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-11アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、式Vの化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関し、
【化5】
式中、
YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Gは-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-であり、
nは1~4、好ましくは2または3であり、
mは0~8、好ましくは0~3である。
【0014】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは2または3である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは0、1、2、または3である。
【0015】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Yはビシクロ[1.1.1]ペンタンであり、nは2または3であり、mは0、1、2または3である。
【0016】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Yはビシクロ[2.2.2]オクタンであり、nは3であり、mは0である。
【0017】
式I~Vのいずれか1つの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0018】
第2の態様では、本開示は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる少なくとも1つの化合物を含む化粧用製剤に関する。
【0019】
化粧用製剤のいくつかの実施形態では、化粧用製剤は、界面活性剤、油成分、乳化剤、真珠光沢ワックス、稠度向上剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、紫外線保護剤、保湿剤、生物起源剤(biogenic agents)、抗酸化剤、消臭剤、制汗剤、フケ防止剤、皮膜形成剤、膨張剤、防虫剤、セルフタンニング剤、チロシン阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油および染料、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの化粧用添加剤をさらに含む。
【0020】
化粧用製剤のいくつかの実施形態では、化粧用製剤は、担体、好ましくは、水、C(2-6)アルコール、C(1-10)ポリオール、および油成分から選択される担体をさらに含む。
【0021】
第3の態様では、本開示は、ヘアケア製品としての使用のための、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる組成物または化粧用製剤に関する。
【0022】
第4の態様では、本開示は、化粧用製剤、好ましくはヘアケア製品の製造のための、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる化合物の使用に関する。
【0023】
第5の態様では、本開示は、毛髪などのケラチン物質の処理のための方法に関し、当該方法は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる化合物または化粧用製剤をケラチン物質に適用する工程を含む。当該方法は、特に、毛髪などのケラチン物質の化粧処理に関する。
【0024】
本明細書に開示される化合物および化粧用製剤は、化粧用途に、特に健康な毛髪の保護または損傷した毛髪の改善に適している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の詳細な説明
本開示に関連して、ジスルフィド架橋の回復は、2つのチオール部分が一緒に連結されるプロセスを指す(「ジスルフィド架橋」という用語は、2つのチオール部分が、本発明の化合物を使用して連結されており、-S-S-結合で直接連結されていないことを指すことが理解される)。チオール部分は、たとえば、ケラチンタンパク質の一部であり得る。チオール部分を一緒に連結するプロセスには、各チオールと架橋剤中の求電子部分との反応が伴い得る。本明細書に開示されるチオール反応性架橋剤は、典型的に、2つのチオール部分と反応して、2つのチオール部分を一緒に連結する架橋ユニットを形成する。
【0026】
別段の指定がない限り、以下の一般的な定義は、説明に従った本開示のすべての化合物に適用される。
【0027】
本明細書で使用される「本開示の化合物」という用語は、式I~Vによって表される化合物(その塩および立体異性体を含む)および本明細書に開示される具体的な例のいずれかを指す。
【0028】
「互いに独立して」とは、あるグループが任意の化合物内で複数回出現する場合に、各出現におけるその定義が任意の他の出現から独立していることを意味していると理解される。
【0029】
さらに、結合を横断する破線もしくは波線、または-C1-4アルキルなどの連結のない実線は、残基の連結の位置(すなわち、部分式)を表すことが理解される。
【0030】
さらに、略語「C」および「N」は、典型的にはラジカル、ニトレン、またはカルベンを結果としてもたらさない、すべての可能な飽和度を表すことが理解され、すなわち、Nは、-NH-、-N=、および
を含み、Cは、-CH2-、=CH-、および
を含む。また、任意の適切な位置に置換基RXを有する芳香族環または複素芳香族環中の原子としての「C」は、=CH-の他に=CRX-も含む。加えて、任意の適切な位置に置換基RXを有さない芳香族環または複素芳香族環中の原子としての「C」は、=CH-、および場合によっては、
を含む。原子価の一般的な規則に従わなければならないことが当業者に理解され、知られている。
【0031】
環系に関する「飽和」という用語は、二重結合または三重結合を有さない環を指す。環系に関する「部分的に不飽和」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含むが、芳香族系を含まない環を指す。
【0032】
いかなる式においても、直鎖または分枝アルキル鎖、たとえば直鎖または分枝鎖のC2-25アルキルの1つを超えるCH2基が、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基によって置換されるときにはいつでも、直接隣接するヘテロ原子、たとえば-O-O-または-NH-NH-が回避されるように、2つまたはそれ以上のCH2基が置換されることが理解される。特に、2つまたはそれ以上のCH2基は、アルキル鎖が過酸化物基を含有しないように置換されるものとする。直接隣接するヘテロ原子、たとえば-O-O-または-NH-NH-が回避されるように選択される、GまたはZなどの、本明細書で定義される一般的な基の選択についても同様である。
【0033】
「C3-11シクロアルキル」という用語は、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個の炭素原子を含有する飽和または部分的に不飽和のアルキル環系を指し、単環式、縮合二環式、架橋二環式、またはスピロ二環式を含む。いくつかの実施形態では、「C3-11シクロアルキル」という用語は、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個の炭素原子を含有する飽和アルキル環系を指し、単環式、縮合二環式、架橋二環式、またはスピロ二環式を含む。
【0034】
「C3-11シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの単環式化合物、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナンなどの二環式化合物、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカンなどの縮合二環式化合物、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカンなどのスピロ環が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、C3-11シクロアルキルはC4-11ビシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、C3-11シクロアルキルはC5-11架橋ビシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、C3-11シクロアルキルはC4-11縮合ビシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、C3-11シクロアルキルはC5-11スピロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、C3-11シクロアルキルは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0036】
「C3-11シクロアルキル」基は2つの連結点を有する。連結点とは、その基が連結されている別の原子と共有結合を形成する原子のことである。2つの連結点は、同じまたは異なる原子に配置され得る。
【0037】
「C1-14アルキル」、「C1-12アルキル」、「C1-11アルキル」、および「C1-6アルキル」という用語は、示された数の炭素原子を有する完全に飽和した分枝または非分枝の炭化水素部分を指す。C1-14アルキルの代表的な例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルなどが挙げられる。C1-6アルキルの代表的な例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、またはネオヘキシルが挙げられる。C1-14アルキル、C1-12アルキル、C1-11アルキル、およびC1-6アルキルの1つまたは複数の隣接または非隣接のCH2基は、独立して、-O(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、および-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、-NR-から選択される1つまたは複数の基によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0038】
本出願全体にわたって与えられる定義に基づいて、当業者は、どの組み合わせが合成的に実現可能かつ現実的であるかを認識し、たとえば、典型的に、いくつかのヘテロ原子が互いに直接連結されることにつながる基の組み合わせ、たとえば-O-O-は熟慮されないが、イソチアゾール中の-S-N=などの合成的に実現可能な組み合わせは熟慮される。
【0039】
第1の態様では、本開示は、以下の式Iの化合物に関し、
【化6】
式中、
YはC3-11シクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、および-(O-CH2-CH2)-、C=O、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0040】
式Iの化合物のいくつかの実施形態では、YはC4-11ビシクロアルキルである。式Iの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式Iの化合物のいくつかの実施形態では、YはC4-11縮合ビシクロアルキルである。式Iの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11スピロシクロアルキルである。
【0041】
式Iの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0042】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換され、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0043】
式Iの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-14アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、O-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、C=O、および-O-によって置換されていてもよい。
【0044】
式Iの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0045】
式Iの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-8アルキルであり、ここで、最大5個までのCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の式IIの化合物であり、
【化7】
式中、
YはC3-11シクロアルキルであり、
LはCH2およびC=Oから選択され、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0047】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換され、ここで、Rは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルである。
【0048】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはCH2である。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはC=Oである。
【0049】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC4-11ビシクロアルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC4-11縮合ビシクロアルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11スピロシクロアルキルである。
【0050】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0051】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはCH2であり、YはC4-11ビシクロアルキルであり、好ましくはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはC=Oであり、YはC4-11ビシクロアルキルであり、好ましくはC5-11架橋ビシクロアルキルである。
【0052】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはCH2であり、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。式IIの化合物のいくつかの実施形態では、LはC=Oであり、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0053】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-13アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0054】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-10アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0055】
式IIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-8アルキルであり、ここで、最大5個までのCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の式IIIの化合物であり、
【化8】
式中、
YはC4-11ビシクロアルキルであり、
XはO、NH、およびNRから選択され、ここでRは直鎖または分枝鎖のC1-6アルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0057】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換され、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0058】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはOである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNHである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNRであり、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0059】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC4-11縮合ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、YはC5-11スピロシクロアルキルである。
【0060】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0061】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはOであり、YはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはOであり、YはC4-11縮合ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはOであり、YはC5-11スピロシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはOであり、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0062】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNHであり、YはC5-11架橋ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNHであり、YはC4-11縮合ビシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNHであり、YはC5-11スピロシクロアルキルである。式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、XはNHであり、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0063】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-12アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0064】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-10アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0065】
式IIIの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-8アルキルであり、ここで、最大5個までのCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の式IVの化合物であり、
【化9】
式中、
YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Zは直鎖または分枝鎖のC1-11アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、-O-、-NH-、および-NR-によって置換されていてもよく、ここで、Rは分枝鎖または直鎖のC1-6アルキルである。
【0067】
式IVの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0068】
式IVの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-11アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-、および-O-によって置換されていてもよい。
【0069】
式IVの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-9アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0070】
式IIVの化合物のいくつかの実施形態では、Zは直鎖または分枝鎖のC1-7アルキルであり、ここで、最大5個までのCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0071】
式IVの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから選択され、Zは直鎖または分枝鎖のC1-9アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0072】
式IVの化合物のいくつかの実施形態では、Yはビシクロ[1.1.1]ペンタンであり、Zは直鎖または分枝鎖のC1-9アルキルであり、ここで、1つまたは複数のCH2基は、独立して、-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-によって置換されていてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、以下の式Vの化合物であり、
【化10】
式中、
YはC5-11架橋ビシクロアルキルであり、
Gは-(CH2-O-CH2)-、-(CH2-CH2-O)-、-(O-CH2-CH2)-であり、
nは1~4、好ましくは2または3であり、
mは0~8、好ましくは0~3である。
【0074】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Yは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンから、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタンおよびビシクロ[2.2.2]オクタンから選択される。
【0075】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Gは-(CH2-O-CH2)-である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Gは-(CH2-CH2-O)-である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Gは-(O-CH2-CH2)-である。
【0076】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは1である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは2である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは3である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは4である。
【0077】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは0である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは1である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは2である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは3である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは4である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは5である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは6である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは7である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、mは8である。
【0078】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは2であり、mは0である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは2であり、mは1である。式Vの化合物5のいくつかの実施形態では、nは2であり、mは2である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは2であり、mは3である。
【0079】
式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは3であり、mは0である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは3であり、mは1である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは3であり、mは2である。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、nは3であり、mは3である。
【0080】
さらに具体的な実施形態では、本開示は、表1に開示された具体的な例に関する。
【0081】
【表1】
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示は、式I~Vのいずれかの化合物の(S)エナンチオマーに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、式I~Vのいずれかの化合物の(R)エナンチオマーに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、式I~Vのいずれかの化合物のラセミ化合物に関する。
【0083】
本開示の化合物は、分子内に1つまたは複数の不斉中心を含有し得る。立体化学の指定がない化合物は、純粋な形態または実質的に純粋な形態のすべての光学異性体(たとえば、ジアステレオマー、エナンチオマーなど)、およびそれらの混合物(たとえば、ラセミ混合物、または1つのエナンチオマーが豊富な混合物)を含むことが理解されるべきである。このような光学活性形態を(たとえば、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離、および他の方法によって)どのように調製するかは周知技術である。
【0084】
化合物は、同位体標識化合物、たとえば、水素、炭素、窒素、酸素のさまざまな同位体を含む化合物であり得る。開示された化合物は、互変異性体および混合物として存在し得、個別の互変異性体が熟慮される。加えて、一部の化合物は多形性を示し得る。
【0085】
本開示の化合物は、遊離形態ならびにその薬学的に許容可能な塩および立体異性体を含む。薬学的に許容可能な塩は、すべての典型的な薬学的に許容可能な塩を含む。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、従来の化学的方法(たとえば、Berge et al,“Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. ScL, 1977:66:1-19を参照)によって塩基性または酸性部分を含有する本開示の化合物から合成することができる。さらに、本開示の化合物はまた、凍結乾燥された化合物および遊離形態の多形体を含む。
【0086】
たとえば、塩基性化合物のための従来の薬学的に許容可能な塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来の塩、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から調製される塩を含む。酸性化合物のための従来の薬学的に許容可能な塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの無機塩基由来の塩を含む。薬学的に許容可能な有機塩基由来の塩は、一級、二級および三級のアミン、自然起源の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびにアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩基性イオン交換樹脂の塩を含む。
【0087】
本開示の化合物は、固体状態、すなわち結晶形態(たとえば、多形、すなわち、同じ化学組成を有するが、充填、幾何学的配置が異なる、異なる結晶構造)または(随意に溶媒和物としての)非結晶形態または液体形態で存在し得る。それは、固体状態では、それらの混合物として存在し得る。結晶性溶媒和物では、結晶化中に溶媒分子が結晶格子に組み込まれる。溶媒和物の形成には、限定されないが、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、もしくはエチルアセテートなどの非水溶媒、または水などの水性溶媒(「水和物」とも呼ばれる)が含まれる。たとえば、反応条件または試薬を変更または調整することによって、異なる多形が産生され得る。
【0088】
さらなる態様では、本開示はまた、本開示の式I~Vの化合物の調製の方法を提供する。
【0089】
さらに別の態様では、本発明はさらに、有効な量の本発明の化合物の1つまたは複数またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な担体および/または賦形剤(希釈剤とも呼ばれる)を含む化粧用製剤を提供する。賦形剤は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で許容可能である。本明細書で使用される「有効な量」という用語は、毛髪修復の所望の効果を生み出すのに有効である本開示の化合物(それ自体のまたは化粧用製剤の形態)の量を指す。
【0090】
典型的には、化粧用製剤のpHは、20℃で3.5~6であり、特に4~5である。pHは、たとえば、乳酸、クエン酸などを用いて調整され得る。
【0091】
典型的には、本明細書に開示される化合物の濃度は、2重量%~4重量%など、化粧用製剤の0.01重量%~5重量%となる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物の濃度は、化粧用製剤1リットルあたり50~130mmol、特に1リットルあたり80~100mmolである。
【0092】
いくつかの実施形態では、化粧用製剤は可溶化剤を含む。可溶化剤の濃度は、たとえば、化粧用製剤の5重量%~20重量%、特に10重量%~20重量%、たとえば15重量%~20重量%であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、化粧用製剤は、化粧用製剤の0.1重量%~1.7重量%、特に0.7重量%~1.1重量%、たとえば0.9重量%の濃度でフェノキシエタノールを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、化粧用製剤は、化粧用製剤の0.01重量%~0.2重量%、特に0.08重量%~0.12重量%、たとえば0.1重量%の濃度でエチルヘキシルグリセリンを含む。
【0095】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」という語句は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(manufacturing aid)(たとえば、潤滑剤、タルク、マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)などの薬学的に許容可能な材料、組成物、もしくはビヒクル、または対象化合物を1つの臓器もしくは身体の部分から別の臓器もしくは身体の部分に運ぶまたは搬送することに関与する溶媒封入材料を意味している。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、処置対象者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として働くことができる材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類、(2)コーンスターチおよびポテトスターチなどの澱粉類、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびセルロースアセテートなどのセルロースおよびその誘導体、(4)トラガカント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油類、(10)プロピレングリコールなどのグリコール類、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール類、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ酸無水物、および(22)化粧用製剤に利用される他の非毒性の相溶性物質が挙げられる。
【0096】
このような組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの、化粧用製剤で慣用されるさらなる成分、たとえば、湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味料、芳香剤、防腐剤および抗酸化剤、pH調整剤、増量剤、およびさらなる活性剤を含有し得る。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、αトコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0097】
このような組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法によって、たとえば、有効成分を1つまたは複数の担体および/または賦形剤と会合させることによって調製され得る。担体および/または賦形剤の異なる組成物および例は、当業者に周知であり、たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Pharmaceutical Press, 2013; Rowe, Sheskey, Quinn: Handbook of Pharmaceutical Excipients. Pharmaceutical Press, 2009に詳細に記載されている。化粧用製剤の調製に使用され得る賦形剤は、緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agents)、滑剤、加工助剤、着色剤、甘味料、芳香剤、香味料、希釈剤、および選択する投与に適した組成物または製剤を提供するための他の既知の添加物を含み得る。
【0098】
本開示の化粧用製剤は任意の適切な形態であり得る。いくつかの実施形態では、このような適切な形態は、限定されないが、液体、たとえば、ローション、ミルク、ムース、スプレー、ジェル、クリーム、軟膏、ペーストなどの、低粘度から中粘度の液体を含む。上に列挙したような適切な賦形剤は、製剤(たとえば、ローション、ジェル、軟膏、またはクリーム)の使用の形態に応じて皮膚用製剤に含められるか、またはそこから除外される。
【0099】
本開示の化合物の液体形態は、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を含む。有効成分に加えて、液体形態は、たとえば、水または他の溶媒や、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、ならびにそれらの混合物を含有し得る。懸濁液の形態では、化合物は、たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガカントなどの懸濁剤、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0100】
スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液の形態では、化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容可能な担体と、および必要とされ得る防腐剤、緩衝液、または噴霧剤と混合され得る。このような軟膏、ペースト、クリーム、およびジェルは、本開示の化合物に加えて、動植物油脂、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛などの賦形剤、またはそれらの混合物を含有し得る。
【0101】
粉末およびスプレーの形態では、本開示の化合物は、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末などの賦形剤、またはこれらの物質の混合物を含有し得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの、一般的な噴霧剤を追加で含有することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、化粧用製剤はヘアケア製品であり、これらは、シャンプー、コンディショナー、ヘアマスク、ヘアリンス、ヘアスプレー、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアトニックなどの形態の製品を含む。
【0103】
熟考されるすべての組成物および製剤は、製造および保管の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならないことが理解される。
【0104】
本開示の化粧用製剤中の本開示の化合物の量は、人に対して有害となることなく、特定の人、組成物、および投与方法に対して所望の美容反応を達成するのに有効である本開示の化合物の量を得るために調整され得る。選択される量は、使用される本開示の特定の化合物の性質、投与経路、投与時間、処置期間、特定の化合物と組み合わせて使用される他の化合物および/または材料、処置対象者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態、および過去の病歴を含むさまざまな因子、ならびに医療分野で周知の同様の因子に依存する。
【0105】
典型的には、本開示の化合物の適切な量は、所望の効果を生み出すのに有効な最小量の化合物の量となる。このような有効な投与量は、概して、上記の因子に依存する。シャンプーの形態では、1回の処置あたりに適用される化粧用製剤の量は、たとえば、1g~10gであり得る。コンディショナーおよび/またはヘアマスクの形態では、1回の処置あたりに適用される化粧用製剤の量は、たとえば1g~10gであり得る。リーブオンコンディショナー(leave-on conditioner)またはリーブオンマスク(leave-on mask)の形態では、1回の処置あたりに適用される化粧用製剤の量は、たとえば、0.1g~7gであり得る。
【0106】
本明細書に開示され、請求される化合物、組成物、製剤、および/または方法はすべて、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製および実行することができる。本開示の範囲から逸脱することなく本開示に変形例が適用され得ることは当業者に明らかになる。本明細書に提供される実施例は、説明を意図しており、網羅的なものではなく、したがって、例示された実施例は、いかなる方法でも本開示を制限するものとして見なされるべきではない。
【実施例
【0107】
材料:
N-Fmoc-システイン(以下、C1)またはN-Cbz-システイン(以下、C2)を、文献で知られている方法によって、それらのシステイン対応物の還元により得た。Adv. Syn. Catal., 2020, 362, 5093-5104. DOI: 10.1002/adsc.202000716。「OLAPLEX(登録商標)NO0 Intensive Bond Building Hair Treatment」は、活性剤、水、フェノキシエタノール、および安息香酸ナトリウムを含む市販製品である。活性剤は、以下で「Olaplex活性剤」または「参照化合物#2」と表記される。
【0108】
実施例1:参照化合物の合成
【0109】
【化11】
【0110】
(a)参照化合物#1
酢酸(200mL)中の無水マレイン酸(25.0g、5.00Eq、260mol)の溶液に、3,3’-((オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-アミン)(12.0g、1.00Eq、52.0mmol)を加え、2時間還流させた。溶液を室温まで冷却した。その後、トルエン(50mL)を加えた。混合物を減圧下でおよそ100mLまで濃縮した。これを、シリカプラグ(~3cm)で濾過し、EtOAc/シクロヘキサンの1/1の混合物で洗浄した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、勾配0~80%のEtOAc)で精製して、黄色がかった油として参照化合物#1(3.4g、17%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ6.99(s、4H)、3.50-3.40(m、12H)、3.37(t、J=6.1Hz、4H)、1.70(m、4H)。LC-MS(ESI+)、[M+H]+=381。
【0111】
(b)参照化合物#2=Olaplex活性剤
実施例8で試験基質#2として使用した活性剤「Olaplex活性剤」は、以下の構造を有する:
【0112】
【化12】
2当量の対応する酸と1当量の対応するジアミンとを反応させることによって、Olaplex活性剤を合成した。
【0113】
実施例2:化合物1(SPC-TB-0001)の合成
スキーム方法1-A
【0114】
【化13】
【0115】
(a)ビス-アルコール(ii)
窒素下における無水THF(551mL)中の0℃でのジメチルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジカルボキシレート(25.38g、1.00Eq、137.8mmol)の懸濁液に、THF中のLiAlH4の2M溶液(151.6mL、2.20Eq、303.1mmol)を滴下で加えた。添加中はフラスコ内の温度を10℃未満に維持した。結果として得た溶液を室温で16時間撹拌した。完了後、Fieserワークアップを実施することによって、溶液をクエンチした。粗物質(19.08g、定量、収量)を、無色の油として分離し、これは、しばらくした後、固化した。これを精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.39(t、J=5.6Hz、2H)、3.35(d、J=5.6Hz、4H)、1.45(s、6H)
【0116】
(b)ビス-シアノ中間体(iii)
トルエン(40.0mL)中のビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノール(6.60g、1.00Eq、51.0mmol)の溶液に、40%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(40.0mL、1.20Eq、61.0mmol)を室温で加えた。その後、アクリロニトリル(7.90mL、4.00Eq、210mmol)を滴下で加え、二相混合物を室温で4時間激しく撹拌した。その後、相を分離し、水相をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水(1×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、勾配0~100%のEtOAc)で精製し、無色の油として標題化合物(9.2g、76%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ3.57(t、J=6.0Hz、4H)、3.43(s、4H)、2.73(t、J=6.0Hz、4H)、1.62(s、6H)。TLC-MS、[M+H]+=235
【0117】
(c)ビス-Boc-保護アミン-中間体(iv)
0℃でのMeOH(35mL)中の3,3’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジプロパンニトリル(413mg、1.00Eq、1.76mmol)および塩化ニッケル(II)-ヘキサアコ錯体(545mg、1.30Eq、2.29mmol)の溶液に、NaBH4(533mg、8.00Eq、14.1mmol)を少量ずつ加えた。黒色の反応混合物を30分間撹拌し、その後、Boc-無水物(1.15g、3.00Eq、5.29mmol)を加えて、室温まで14時間温めた。反応を塩水(1mL)でクエンチし、メタノールを減圧下で除去し、残留物を再びジエチルエーテル(150mL)中に取り込んだ。混合物を、セライトプラグ(2cm)で濾過し、ジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄した。有機相を、水(100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗物質(550mg、70%)を黄色の油として得て、精製なしでそのまま使用した。注記:製品にBoc-無水物が含まれていた。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ6.72(s、2H)、3.37(t、J=6.3Hz、4H)、3.33(s、4H)、2.96(td、J=7.0、5.7Hz、4H)、1.58(s、6H)、1.37(m、21H)。TLC-MS、[M+H]+=443
【0118】
(d)ビス-アミン塩酸塩-中間体(v)
ジ-tert-ブチル(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-3.1-ジイル))ジカルバメート(550mg、1.00Eq、1.24mmol)を、ジオキサン中の4-M HCl溶液(3.1mL、10.0Eq、1.2.4mmol)中に溶解し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残留物をジエチルエーテル(5mL)で粉砕した。標題化合物を、白色固体(401mg、定量、収量)として得て、精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.02(s、4H)、7.51-7.10(m、1H)、3.44(t、J=9.0Hz、4H)、3.36(s、4H)、2.80(m、4H)、1.59(s、6H)。TLC-MS、[M+H]+=243
【0119】
(e)ビス-酸-中間体(vi)
3,3’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-アミン)二塩酸塩(350mg、1.00Eq、1.11mmol)およびTEA(0.51mL、3.30Eq、3.66mmol)の懸濁液を、0℃に冷却する。その後、無水マレイン酸(359mg、3.30Eq、3.66mmol)を加える。混合物を室温まで16時間温める。その後、水を加え、混合物を、2M HCl溶液でpH=2まで酸性化する。水相を酢酸エチル(6×)で抽出する。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。粗物質を、無色の油(360mg、74%)として得て、精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ9.06(s、2H)、6.45-6.33(m、2H)、6.23(d、J=12.5Hz、2H)、3.41(t、J=6.2Hz、4H)、3.35(s、4H)、3.22(td、J=7.0、5.6Hz、4H)、1.69(t、J=6.6Hz、4H)、1.58(s、6H)。LC-MS(ESI+)、[M+H]+=439、[M-H]-=437
【0120】
(f)SPC-TB-0001
アセトン(5.5mL)中の(2Z,2’Z)-4,4’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタ-2-エン酸)(360mg、1.00Eq、821μmol)の溶液に、酢酸ナトリウム(54.0mg、0.80Eq、657μmol)を加えた。混合物を通常の雰囲気下で16時間還流させた。その後、反応混合物を、室温まで冷却し、EtOAcで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3溶液(1×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、濃い茶色の油を得た。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、勾配0~60%のEtOAc)で精製して、黄色がかった油として目的の生成物を得て、これを固化させた(37mg、11%)。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.00(s、4H)、3.46(t、J=6.9Hz、4H)、3.35(t、J=6.0Hz、4H)、3.28(s、4H)、1.74 -1.66(m、4H)、1.53(s、6H)。TLC-MS、[M+H]+=403
【0121】
(g)ビス-アミン-中間体(vii)
3,3’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジプロパンニトリルを、スキーム方法1の工程(a)および(b)に従って調製した。THF(393mL)中の3,3’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジプロパンニトリル(10.3g、1.00Eq、44.0mmol)の懸濁液に、窒素下における℃でのTHF中の1-M BH3・THF溶液(220mL、5.00Eq、220mmol)をゆっくり加えた。溶液を、0℃で1時間および還流下で1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、MeOH(1.26mL)を滴下で加えた後、37%-HCl(1.5.8mL、1.00Eq、44.0mmol)を滴下で加えた。その後、反応混合物を室温まで温めた。溶媒を減圧下(200mbar、40℃)で除去した。残留物を、2M NaOHで塩基性化し、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質を精製なしで直接得た(11.5g、定量)。
TLC-MS、[M+H]+=243
【0122】
(h)SPC-TB-0001
3,3’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-アミン)(840mg、1.00Eq、3.47mmol)を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(26.7mL)中に懸濁した。混合物を0℃まで冷却し、その後、メチル2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(v-2)(1.08g、2.00Eq、6.93mmol)を加える。黄色の懸濁液を0℃で2時間撹拌した。水相をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水(1×)で洗浄し、濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、100%までのEtOAc)で精製して、白色固体として標題化合物(294mg、21%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.00(s、4H)、3.46(t、J=6.9Hz、4H)、3.35(t、J=6.0Hz、4H)、3.28(s、4H)、1.74-1.66(m、4H)、1.53(s、6H)。NMRは方法1のスペクトルと一致した。TLC-MS、[M+H]+=403
【0123】
実施例3:化合物2(SPC-TB-0002)の合成
スキーム方法2
【0124】
【化14】
【0125】
(a)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノールの合成(ii)
窒素下における無水THF(551ml)中の0℃でのジメチルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジカルボキシレート(25.38g、1eq.、137.8mmol)の溶液に、THF中のLiAlH4の2M溶液(151.6mL、2.2eq.、303.1mmol)を滴下で加えた。添加中はフラスコ内の温度を10℃未満に維持する。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明な油として目的の生成物であるビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノール(19.08g、148.9mmol、定量)を得て、これを放置した状態で固化させた。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.39(t、J=5.6Hz、2H)、3.35(d、J=5.6Hz、4H)、1.45(s、6H)。TLC(60%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.2。KMNO4染色。
【0126】
(b)ジ-tert-ブチル2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジアセテートの合成(iii)
2:1の比率での50%のNaOH水溶液(24mL)およびトルエン(12mL)中のビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノール(500mg、1eq.、3.90mmol)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(717mg、0.57eq.、2.22mmol)に、tert-ブチル2-ブロモアセテート(6.09g、4.64mL、8eq.、31.2mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間激しく撹拌した。反応完了後、水およびEtOAcを加え、層を分離した。水層をEtOAc(3×)で抽出した。その後、合わせた有機層を、塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0%~40%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、白色固体として目的の生成物であるジ-tert-ブチル2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジアセテート(900mg、2.52mmol、64.7%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.96(s、4H)、3.53(s、4H)、1.73(s、6H)、1.47(s、18H)。TLC(20%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.5。CAM/p-アニスアルデヒド染色。TLC-MS:[M+H]+=244(2つのt-Bu基を除く)。
【0127】
(c)2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)の合成(iv)
窒素下における無水THF(12.1mL)中の0℃でのジ-tert-ブチル2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1、3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジアセテート(860mg、1eq.、2.41mmol)溶液に、THF中のLiAlH4の2M溶液(201mg、2.65mL、2.00モル、2.2eq.、5.31mmol)を滴下で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明な油として目的の生成物である2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(420mg、1.94mmol、80.5%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.54(t、J=5.4Hz、2H)、3.47(tdd、J=6.1、5.2、1.1Hz、4H)、3.40-3.36(m、8H)、1.58(s、6H)。TLC(50%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.1。CAM/p-アニスアルデヒド染色。UV活性はなかった。
【0128】
(d)1,1’-(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)-(SPC-TB-0002)の合成
窒素下で0℃に冷却した、無水THF(2.89mL)中のトリフェニルホスフィンを有するマイクロ波バイアルチューブにおける溶液(273mg、2.25eq.、1.04mmol)に、DIAD(210mg、202μL、2.25eq.、1.04mmol)を5分かけてゆっくり滴下で加えた。黄色の反応混合物を0℃で5分間撹拌した。その後、THF(2.89mL)中の2,2’((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(100mg、1eq.、462μmol)を加え、再び0℃で5分間撹拌した。最後に、マレイミド(108mg、2.40eq.、1.11mmol)を加え、結果として得た反応混合物を、5分後に室温まで温め、周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(0%~80%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、白色固体として目的の生成物である1,1’-(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(80.0mg、214μmol、46.2%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.03(s、4H)、3.61-3.49(m、4H)、3.51-3.42(m、4H)、3.31(s、4H)、1.44(s、6H)。TLC(80%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.75。KMNO4染色。わずかにUV活性であった。TLC-MS:[M+H]+=375。
【0129】
(e)2、2’-(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(イソインドリン-1,3-ジオン)の合成(v)
窒素下で0℃に冷却した、無水THF(1.65mL)中のトリフェニルホスフィンを有するマイクロ波バイアルチューブにおける溶液(225mg、3.25eq.、857μmol)に、DIAD(173mg、167μL、3.25eq.、857μmol)を5分かけてゆっくり滴下で加えた。黄色の反応混合物を0℃で5分間撹拌した。その後、THF(1.65mL)中の2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(57.0mg、1eq.、264μmol)を加え、再び0℃で5分間撹拌した。最後に、イソインドリン-1,3-ジオン(132mg、3.40eq、896μmol)を加え、結果として得た反応混合物を、5分後に室温まで温め、周囲温度で48時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(0%~40%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、透明な油として目的の生成物である2,2’-(((ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(イソインドリン-1,3-ジオン)(108mg、228μmol、86.4%)を得て、これを放置した状態で白色固体に固化させた。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.89-7.80(m、4H)、7.76-7.66(m、4H)、3.86(t、J=5.9Hz、4H)、3.65(t、J=5.9Hz、4H)、3.40(s、4H)、1.52(s、6H)。TLC(30%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.25。CAM染色。UV活性があった。TLC-MS:[M+H]+=475。
【0130】
(f)2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)の合成(vi)
エタノール(7.59mL)中の2,2’-(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(イソインドリン-1,3-ジオン)の溶液(108mg、1eq.、228μmol)に、ヒドラジン水和物(45.6mg、44.3μL、4eq.、910μmol)を加えた。反応混合物を、50℃に加熱し、16時間撹拌した。注記:白色沈殿物が1時間後に析出する。反応完了後、白色固体を濾過により除去し、濾液を濃縮して、白色固体として目的の生成物である2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)(95mg、0.44mmol、定量)を得る。粗生成物を、さらなる精製なしで次の工程で使用する。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ3.36(s、4H)、3.33(t、J=5.9Hz、4H)、2.62(t、J=5.9Hz、4H)、1.59(s、4H)。アミンプロトンを観察しない。TLC(10%のMeOH/DCM)。RF生成物ベースライン。ニンヒドリン染色。UV活性はない。
【0131】
(g)1,1’-(((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(SPC-TB-0002)の合成
酢酸(2.46mL)中の2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-アミン)(95.0mg、1eq.、443μmol)の溶液に、フラン-2,5-ジオン(21.7mg、5eq.、2.22mmol)を加え、反応混合物を、撹拌しながら4時間125℃で還流させた。反応完了後、酢酸をトルエンと共に蒸発させたか、または濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0%~80%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、白色固体として1,1’-(((ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(29mg、77μmol、17%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.03(s、4H)、3.59-3.51(m、4H)、3.47(dd、J=5.9、4.7Hz、4H)、3.31(s、4H)、1.44(s、6H)。TLC(80%のEtOAc/シクロヘキサン)。RF生成物0.75。KMNO4染色。わずかにUV活性であった。TLC-MS:[M+H]+=375。
【0132】
実施例4:化合物3(SPC-TB-0003)の合成
【0133】
【化15】
【0134】
(a)ビス-アルコール中間体(ii)
THF中の2M LiAlH4の溶液(55mL、2.50Eq、0.11mol)を、窒素下で0℃に冷却した。その後、THF(100mL)中のジメチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート(10g、1.00Eq、44mmol)の溶液を、1時間かけて滴下で加えた。添加中はフラスコ内の温度を10℃未満に維持した。添加完了後、溶液を30分間0℃で撹拌した。その後、Fieserワークアップを実施することによって反応をクエンチした。粗物質を無色の油として分離し、これを、一晩で固化させ(7.4g、98%)、精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.24(t、J=5.5Hz、2H)、3.01(d、J=5.5Hz、4H)、1.29(s、12H)。
【0135】
(b)ビス-シアノ中間体(iii)
0.5-M NaOH(6mL)および1,4-ジオキサン(6mL)中のビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルジメタノールの溶液(1.0g、1.00Eq、6.00mmol)に、アクリロニトリル(1.40mL、6.00Eq、36.0mmol)を加えた。溶液を、22時間室温で撹拌し、2時間50℃で撹拌した。室温まで冷却した後、DCM(30mL)を混合物に加え、相を分離した。有機相を、塩水(2×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、勾配0~40%のEtOAc)で精製して、無色の油として目的の生成物を得て、これを固化させた(560mg、30%)。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.60(t、J=6.4Hz、4H)、3.09(s、4H)、2.57(t、J=6.4Hz、4H)、1.42(s、12H)。TLC-MS:[M+H]+=277
【0136】
(c)ビス-Boc-保護アミン中間体(iv)
0℃でのMeOH(40.5mL)中の3,3’-((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジプロパンニトリル(560mg、1.00Eq、2.03mmol)および塩化ニッケル(II)-六水和物(626mg、1.3Eq、2.63mmol)の溶液に、NaBH4(613mg、8.00Eq、16.2mmol)を少量ずつ加えた。黒色の混合物を2時間0℃で撹拌し、その後、Boc無水物(1.33g、3.00Eq、6.08mmol)を加え、一晩22時間かけて室温まで温めた。反応を0℃で塩水(5mL)を用いてクエンチし、メタノールを減圧下で除去した。塩水(500mL)を加え、水相をジエチルエーテル(3×150mL)で抽出した。合わせた有機相を、塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、黄色がかった油として粗物質(954mg、97%)を得て、これをさらなる精製なしで使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ6.69(m、4H)、2.96(m、8H)、1.57(t、J=6.58Hz、4H)、1.42(m、34H)。TLC-MS、[M+H]+=485、[M+H-Boc]=385
【0137】
(d)ビス-アミン-塩酸塩前駆体(v)
ジ-tert-ブチル(((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-3,1-ジイル))ジカルバメート(950mg、1.00Eq、1.96mmol)を、ジオキサン中のHCl(4-M)(4.90mL、10.0Eq、19.6mmol)に溶解し、14時間室温で撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジエチルエーテル(1×5mL)で粉砕し、減圧下で乾燥させた。黄色がかった固体として粗生成物(780mg、定量的収量)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.90(s、5H)、7.39-7.02(m、1H)、3.39(t、J=6.0Hz、4H)、2.99(s、4H)、2.80(m、4H)、1.79-1.71(m、4H)、1.35(s、12H)。
【0138】
(e)ビス-酸-中間体(vi)
クロロホルム(21mL)中の3,3’-((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-アミン)二塩酸塩(730mg、1.00Eq、2.04mmol)およびTEA(584μL、2.05Eq、4.19mmol)の懸濁液を、0℃に冷却する。その後、無水マレイン酸(401mg、2.00Eq、4.09mmol)を加える。混合物を22時間室温まで温める。翌朝、水を加え、反応混合物をpH=2になるまで2-M HClで酸性化する。水相を酢酸エチル(3×)で抽出する。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。無色の油として粗物質(755mg、77%)を得て、これを精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ9.13(s、2H)、6.37(d、J=12.5Hz、2H)、6.23(d、J=12.5Hz、2H)、3.21(m、4H)、2.97(s、4H)、1.69(m、4H)、1.34(m、16H)。LC-MS(ESI+)、[M+H]+=481、[M-H]-=479
【0139】
(f)SPC-TB-0003
アセトン(10.5mL)中の(2Z,2’Z)-4,4’-((((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(アザンジイル))ビス(4-オキソブタ-2-エン酸)(755mg、1.00Eq、1.57mmol)の溶液に、無水酢酸(890μL、6.00Eq、9.43mmol)および酢酸ナトリウム(103mg、0.80Eq、1.26mmol)を加えた。混合物を16時間還流させた。それを、室温まで冷却した後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3溶液で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、勾配0~60%のEtOAc)で精製して、無色の固体として標題化合物(62mg、9%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.00(s、4H)、3.45(t、J=6.9Hz、4H)、3.29(t、J=6.0Hz、4H)、2.93(s、4H)、1.75-1.64(m、4H)、1.32(s、12H)。TLC-MS、[M+H]+=445
【0140】
(g)ビス-アミノ中間体(vii)
窒素下における0℃でのTHF(245mL)中の3,3’-((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジプロパンニトリルの溶液(7.59g、1.00Eq、27.5mmol)に、THF中の1M-BH3・THF錯体溶液(1.37mL、5.00Eq、1.37mmol)をゆっくりと加えた。反応物を、1時間0℃で撹拌し、その後、1時間還流させた。それを、再び0℃まで冷却した後、MeOH(78.7mL)を加え、続いて、濃塩酸(9.84mL)を加え、1時間室温まで温めた。溶媒を減圧下(300mbar、40℃)で除去し、残留物を、2M NaOHで塩基性化し、EtOAc(4×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、無色の油(8.3g)を得た。粗製油(クリーンではない)を、さらなる精製なしで使用した。
【0141】
(h)SPC-TB-0003
3,3’-((ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(プロパン-1-アミン)(500mg、1.00Eq、1.76mmol)を炭酸ナトリウム溶液(13.5mL)中に懸濁した。混合物を0℃まで冷却し、その後、メチル2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(545mg、2.00Eq、3.52mmol)を加える。沈殿が生じ、撹拌を停止した。1,4-ジオキサン(5mL)を加えることで撹拌を促進した。室温で14時間後(撹拌なし)、水を加え、水相をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中のEtOAc、100%までのEtOAc)で精製して、白色固体として標題化合物(170mg、22%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.00(s、4H)、3.45(t、J=6.9Hz、4H)、3.29(t、J=6.0Hz、4H)、2.93(s、4H)、1.75-1.64(m、4H)、1.32(s、12H)。TLC-MS、[M+H]+=445。
【0142】
実施例5:化合物5(SPC-TB-0007)の合成
【0143】
【化16】
【0144】
(a)ジオール(ii)
窒素下における無水THF(551ml)中の0℃でのジメチルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジカルボキシレート(25.38g、1eq.、137.8mmol)の溶液に、THF中のLiAlH4の2M溶液(151.6mL、2.2eq.、303.1mmol)を滴下で加えた。添加中はフラスコ内の温度を10℃未満に維持する。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明な油として目的の生成物であるビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノール(19.08g、148.9mmol、定量)を得て、これを放置した状態で固化させた。
【0145】
反応を機械的撹拌により50gスケールでも実施して、31.5gの目的の生成物(91%の収量)を生成した。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.39(t、J=5.6Hz、2H)、3.35(d、J=5.6Hz、4H)、1.45(s、6H)。
【0146】
(b)ジエステル(iii)
トルエン(1.2mL)中のビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルジメタノール(500mg、1eq.、3.90mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(71.7mg、0.57eq.、2.22mmol)、およびtert-ブチル2-ブロモアセテート(6.09g、4.64mL、8eq.、31.2mmol)の溶液に、NaOH(33w%の水溶液、24mL)を加えた。反応混合物を室温で16時間激しく撹拌した(黄色に変色する)。反応完了後、相を分離し、トルエン層を回収した。水層をDCM(3×)で抽出した。その後、合わせた有機層を、塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカ(シクロヘキサン中0%~40%のEtOAc)で精製して、白色固体としてジ-tert-ブチル2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジアセテート(900mg、2.52mmol、64.7%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.96(s、4H)、3.53(s、4H)、1.73(s、6H)、1.47(s、18H)。
【0147】
(c)ジオール(iv)
窒素下における無水THF(12.1mL)中の0℃でのジ-tert-ブチル2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1、3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ジアセテート(860mg、1eq.、2.41mmol)溶液に、THF中のLiAlH4の2M溶液(201mg、2.65mL、2.00モル、2.2eq.、5.31mmol)を滴下で加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明な油として目的の生成物である2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(420mg、1.94mmol、80.5%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.54(t、J=5.4Hz、2H)、3.47(tdd、J=6.1、5.2、1.1Hz、4H)、3.40-3.36(m、8H)、1.58(s、6H)。
【0148】
(d)ジエステル(v)
トルエン(48mL)中の2,2’-((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(3.40g、1eq.、1.5.7mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(2.89g、0.57eq.、8.96mmol)の溶液に、NaOH(33w%の水溶液、97mL)を加えた。反応混合物を室温で16時間激しく撹拌した。反応完了後(TLC)、相を分離し、トルエン層を回収した。反応混合物を室温で16時間激しく撹拌した(黄色に変色する)。反応完了後、相を分離し、トルエン層を回収した。水層をDCM(3×)で抽出した。その後、合わせた有機層を、塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(0%~40%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、透明の油として目的の生成物であるジ-tert-ブチル2,2’-((((ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ジアセテート(4.91g、11.0mmol、70.3%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ4.03(s、4H)、3.73-3.61(m、8H)、3.48(s、4H)、1.68(s、6H)、1.48(s、18H)。
【0149】
(e)ジオール(vi)
窒素下における無水THF(73.6mL)中の0℃でのジ-tert-ブチル2,2’-((((ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ジアセテート(4.91g、1eq.、11.0mmol)の溶液に、THF中のLiAlH4の1M溶液(1.05g、27.6mL、1.00モル、2.5Eq、27.6mmol)を滴下で加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明の油として目的の生成物2,2’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(3.3g、11mmol、98%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ4.55(t、J=5.5Hz、2H)、3.54-3.35(m、20H)、1.58(s、6H)。
【0150】
(f)ジ-メシレート(vii)
2,2’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(200mg、1Eq、657μmol)を、DCM(3.29mL)中に溶解した後、TEA(332mg、458μL、5.00Eq、3.29mmol)を加え、混合物を0℃に冷却した。冷却後、メタンスルホニルクロリド(301mg、203μL、4.00Eq、2.63mmol)を加え、混合物を、15分間0℃に維持した後に、室温まで温めた。2時間後、反応が完了したと判断し、DCMで希釈し、水でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機層を、塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮して、透明の油として((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ジメタンスルホネート(収量を定量的と推定した)を得て、これをさらなる精製なしで直接次の工程に取り込んだ。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ4.42-4.34(m、4H)、3.80-3.75(m、4H)、3.68-3.57(m、8H)、3.45(s、4H)、3.07(s、6H)、1.66(s、6H)。
【0151】
(g)置換生成物(viii)
((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ジメタンスルホネート(454mg、1Eq、0.986mmol)を、MeCN(2mL)中に溶解した後、KI(32.7mg、0.2Eq、197μmol)、K2CO3(545mg、4Eq、3.94mmol)、および3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン(エキソ異性体のみを生成するためにプロトコルから逸脱することなくEur.J.Org.Chem,2012,31,6165.に従って調整した)(489mg、3Eq、2.96mmol)を加えた。混合物を18時間70℃に加熱した。反応は、LC-MSで1:1のモノ置換およびジ置換の混合物を示し、追加の当量の3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオンおよびK2CO3を加えた。6時間後、反応物を、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を1:1のEtOAc/H2Oの混合物に取り込み、水溶液をEtOAc(5×)で抽出した。有機層を、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物をシリカ(シクロヘキサン中80~100%のEtOAc)で精製して、2,2’-(((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン)(248mg、414μmol、42.0%)および無色の油を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ6.55(t、J=0.9Hz、4H)、5.12(t、J=0.9Hz、4H)、3.52-3.42(m、16H)、3.35(s、4H)、2.93(s、4H)、1.56(s、6H)。
【0152】
(h)置換生成物(viii)
トリフェニルホスフィン(194mg、2.25Eq、739μmol)を、THF(2.05mL)中に溶解した後、0℃に冷却した。DIAD(149mg、144μL、2.25Eq、739μmol)を2~3分かけてゆっくりと加えた。黄色の反応混合物を0℃で5分間撹拌した。その後、2,2’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(100mg、1Eq、329μmol)を、THF(2.05mL)中の溶液として1分かけて加え、0℃で5分間撹拌した。最後に、3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン(130mg、2.40Eq、788μmol)を固体として反応混合物に加えた。結果として得た懸濁液を5分間0℃で放置し、その間にマレイミドの大部分が溶解した。その後、冷却浴を除去し、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。反応物を、真空濃縮し、シリカ(シクロヘキサン中の80~100%のEtOAc、続いてDCM中の0~20%のMeOH)で精製して、油として2,2’-(((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン)(0.12g、0.21mmol、63%、+4w%のPPh3O)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ6.55(d、J=1.0Hz、4H)、5.12(d、J=1.0Hz、4H)、3.55-3.41(m、16H)、3.35(s、4H)、2.93(s、4H)、1.56(s、6H)。
【0153】
(k)SPC-TB-0007
2,2’-(((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン)(248mg、1Eq、414μmol)を、トルエン(18mL)中に溶解し、一晩加熱還流した(浴温を120℃に設定し、還流冷却器を大気に開放した)。TLCはSMの完全な消費を示し、反応物を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカ(シクロヘキサン中50~80%のEtOAc)で精製して、無色の油として1,1’-(((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(89mg、0.19mmol、46%)を生成して、これを放置した状態で固化させた。
1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.02(s、4H)、3.60-3.40(m、16H)、3.33(s、4H)、1.53(s、6H)。TLC-MS(APCI):[M+H]+=463.4。
【0154】
(k)vi)からのSPC-TB-0007
PPh3(2.90g、2.25Eq、11.09mmol)を、THF(30.8mL)中に溶解した後、0℃に冷却した。DIAD(2.24g、2.16mL、2.25Eq、11.09mmol)を5分かけてゆっくりと加えた。黄色の反応混合物を0℃で10分間撹拌した。その後、2,2’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.50g、1Eq、4.93mmol)を、THF(30.8mL)中の溶液として滴下で加え、0℃でさらに5分間撹拌した。この時間の後、保護したマレイミド(エンド/エキソ混合物)(1.95g、2.40Eq、11.83mmol)を固体として反応混合物に加えた。結果として得た懸濁液を5分間0℃で放置し、その間にマレイミドの大部分が溶解した。その後、冷却浴を除去し、反応物を周囲温度で一晩撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、粗残留物を、エタノール(14.93mL)中に溶解し、30℃に温めて、透明な溶液を得た。EtOH(14.93mL)中の30℃のZnCl2の溶液(2.85g、2Eq、20.9mmol)を、激しく撹拌しながら加え、(撹拌しながら)室温で一晩放置して、白色沈殿物を形成した。沈殿物を、濾過し、EtOHで洗浄した。減圧下で濃縮した後、粗製の茶色の油をシリカ(シクロヘキサン中の80~100%のEtOAc)で精製して、エンド-エンド、エンド-エキソ、エキソ-エキソの混合物と、脱保護生成物(2.64g、生成物の正確な分布は未判定)を得た。
【0155】
黄色の油を、トルエン(1.93mL)中に溶解し、一晩加熱還流した(浴温を120℃に設定し、還流冷却器を大気開放した)。反応物を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカ(シクロヘキサン中50~80%EtOAc)で精製して、透明の油として1,1’-(((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(1.086g、2.348mmol、47.65%)を生成して、これを放置した状態で固化させた。
【0156】
実施例6:化合物6(SPC-TB-0013)の合成
【0157】
【化17】
【0158】
(a)ジエステル(ii)
トルエン(30mL)中の2,2’-((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチル-5-イル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(3.0g、1.0eq.、9.9mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.80g、0.57eq.、5.60mmol)、およびtert-ブチル2-ブロモアセテート(15.0g、12.0mL、8eq.、79.0mmol)の溶液に、NaOH(33w%の水溶液、61mL)を加えた。反応混合物を室温で16時間激しく撹拌した。反応完了後(TLC)、相を分離し、トルエン層を回収した。水層をDCM(3×)で抽出した。その後、合わせた有機層を、塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(30%~60%のEtOAc/シクロヘキサン)にかけて、黄色がかった油として目的の生成物であるジ-tert-ブチル2,2’-((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ジアセテート(2.35g、4.41mmol、45.0%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)4.02(s、4H)、3.70(m、8H)、3.62(m、8H)、3.47(s、4H)、1.67(s、6H)、1.47(s、18H)。TLC-MS(APCI):[M+H]+=420.7(2つのt-Bu基を除く)。
【0159】
(b)ジオール(iii)
窒素下における0℃での無水THF(40.4ml)中のジ-tert-ブチル2,2’-((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ジアセテート(2.15g、1eq.、4.04mmol)の溶液に、THF中のLiAlH4の溶液(4.44mL、2.00モル、2.2Eq、8.88mmol)を滴下で加えた。反応混合物を一晩17時間温めた。反応完了後、Fieserワークアップを実施して、透明の油として目的の生成物2,2’-((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.46g、4.04mmol、92%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)3.73(m、4H)、3.64(m、20H)、3.47(s、4H)、1.68(s、6H)。
【0160】
(c)置換生成物(iv)
マイクロ波バイアルチューブにトリフェニルホスフィン(1.50mg、2.25Eq、573μmol)を入れ、これにTHF(1.59ml)を加えた。結果として得た透明溶液を0℃に冷却した。DIAD(116mg、111μL、2.25Eq、573μmol)を2~3分かけてゆっくりと加えた。黄色の反応混合物を0℃で5分間撹拌した。その後、2,2’-((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(100mg、1Eq、255μmol)を、1分かけて加え、5分間撹拌した。最後に、3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン(101mg、2.40Eq、611μmol)を固体として反応混合物に加えた。結果として得た懸濁液を5分間0℃で放置し、その間にマレイミドの大部分が溶解した。その後、冷却浴を除去し、反応物を周囲温度で一晩(18時間)撹拌した。その後、反応混合物を、真空下で濃縮し、シリカに通して、DCM中の15%のMeOHで溶出し、TLCによって一部の不純物を含む標題化合物を生成し、これをさらなる精製なしで次の工程に取り込んだ。
TLC-MS(APCI):[M+H]+=551.1(フラン保護基を除く)。
【0161】
(d)SPC-TB-0013
2,2’-(((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン)(1.75mg、1.0eq.、255μmol)を、トルエン(11.1mL)中に懸濁し、18時間一晩還流させた。出発物質の完全な消費後、反応混合物を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン中の60~80%のEtOAc)で精製して、無色の油として標題化合物(87mg、62%、2工程にわたる収量)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO):7.02(s、4H)、3.46(m、24H)、3.32(s、4H)、1.57(s、6H)。TLC-MS(APCI):[M+H]+=551.1
【0162】
実施例7:化合物7(SPC-TB-0014)の合成
【0163】
【化18】
【0164】
(a)ジエステル(ii)
トルエン(11.4mL)中の2,2’-((((((ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.46g、1.0eq.、3.72mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.68g、0.57eq.、2.12mmol)、およびtert-ブチル2-ブロモアセテート(5.80g、4.43mL、8eq.、29.8mmol)の溶液に、0℃でNaOH(33w%の水溶液、22.9mL)を加えた。反応混合物を17時間室温まで温めた。完了後(TLC)、相を分離し、トルエン層を回収した。水層をDCMで抽出した(3×、分離が困難で、時間がかかる)。合わせた有機層を、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(10%~60%のEtOAc/シクロヘキサン)で精製し、黄色の油として標題化合物ジ-tert-ブチル1,1’-(ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイル)ビス(2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-1,3-オエート)(1.31g、56.7%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3):4.01(s、4H)、3.71(m、8H)、3.66(m、8H)、3.62(m、8H)、3.47(s、4H)、1.67(s、4H)、1.47(s、18H)。TLC-MS(APCI):508(2xのt-ブチルエステルを除く)
【0165】
(b)ジオール(iii)
窒素下における0℃での無水THF(152mg、21.1mL、0.100モル、1Eq、2.11mmol)中のジ-tert-ブチル1,1’-(ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイル)ビス(2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-1,3-オエート)(1.31g、1Eq、2.11mmol)の溶液に、THF中のLAHの2M溶液(1.76mg、2.32mL、2.2Eq、4.64mmol)を滴下で加えた。温度を10℃未満に保った。
【0166】
結果として得た懸濁液を室温まで温めた。翌朝、反応混合物はこれ以上撹拌しなかった(撹拌するために半分に希釈した)。TLCは18時間後のsmの完全な変換を示している。反応の完了後、Fieserワークアップを実施した。標題化合物を無色の油(1.03g、定量、収量)として分離した。
1H NMR(400MHz、CDCl3):3.66(m、32H)、3.46(s、4H)、1.67(s、6H)。TLC-MS(APCI):[M+H]+=481.1。
【0167】
(c)ジ-メシレート(iv)
DCM(1.04mL)中の1,1’-(ビシクロ[1.1,1]ペンタン-1,3-ジイル)ビス(2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-1,3-オール)(100mg、1.00Eq、0.21mmol)およびトリエチルアミン(116μL、4.00Eq、0.83mmol)の混合物を0℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(48.3μL、3.00Eq、0.62mmol)を加えた。反応混合物を、0℃で15分間撹拌し、2時間室温まで温めた。反応の完了後、それをDCMで希釈し、水を加え、相を分離し、水相をDCM(3×)で抽出した。合わせた有機相を、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。146mg(110%)の粗物質を分離し、これを精製なしでそのまま使用した。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.67-3.60(m、32H)、3.47(s、4H)、3.08(s、6H)、1.67(s、6H)。
【0168】
(d)置換生成物(v)
ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイルビス(2,5,8,11-テトラオキサトリデカン-1,13-ジイル)ジメタンスルホネート(1.46mg、229μmol、1.00Eq.)をMeCN(4.50mL)中に溶解した。KI(7.61mg、45.9μmol、0.20Eq.)、K2CO3(1.58mg、1.15mmol、5.00Eq.)、および(3aR,4R,7S,7aS)-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン(1.14mg、688μmol、3.00Eq.)を加えた。混合物を44時間70℃で加熱した。それを、室温まで冷却後、濃縮し、再びDCM中に取り込み、濾過し(エーテルで洗浄)し、濃縮した。TLC-MS(APCI):[M+H]+=774(フラン保護中間体)。
【0169】
(e)SPC-TB-0014
前の工程からの濃縮した物質を、トルエン(5.00mL)中に懸濁し、5時間加熱還流した。TLCは生成物への部分的な変換を示している。反応混合物を、濃縮し、シリカゲルを介して濾過して、DCM/MeOH、0~10%のMeOHで溶出した。濾液を真空下で濃縮し、TLC-MSによって生成物の存在を確認する。混合物をそれ以上精製しなかった。
TLC-MS(APCI):[M+H]+=639
【0170】
実施例8:チオール再結合
一般的な手順
試験する化合物(1eq.)を水性培地(0.02~0.05M)中に溶解し、4eq.のシステイン試薬(N-Fmoc-システイン(C1)またはN-Cbz-システイン(C2))を加えた。2つの試験溶液を水性培地として使用し、試験溶液1は、乳化剤(たとえば、Eumulgin)の有無にかかわらずリン酸緩衝液(pH=5.4)であり、試験溶液2は、乳化剤(たとえば、Eumulgin)の有無にかかわらず0.49%(w/w)の安息香酸ナトリウムおよび0.30%(w/w)のクエン酸を含む水溶液であった。
【0171】
リン酸緩衝液を作るために、クエン酸の0.1Mの溶液(クエン酸一水和物を使用)とNa2HPO4の0.2M溶液(Na2HPO4またはNa2HPO4・2H2Oを使用)の溶液を調製し、以下の比率:44.25mL/55.75mL=mL 0.1Mのクエン酸/mL 0.2MのNa2HPO4で混合して、pH=5.4の緩衝溶液を得た。
【0172】
試験を、LC-MSバイアルまたは小型ガラスバイアル内で小型磁気撹拌機で撹拌しながら30℃の周囲温度で実施した(写真1を参照)。反応を通常の大気下で実施した。反応をLC-MSによってモニターした。反応スケールは試験化合物の4~10mgであった。生成物への変換を計算するために、以下のスキームに示されるようなシステイン試薬、モノマイケル付加生成物(モノ)、およびビスマイケル付加生成物(ビス)間の比率を比較した。
【0173】
すべての化合物は、参照化合物と比較して、システイン誘導体との反応性が同等であったかまたは改善されていたことを示している。
【0174】
【化19】
【0175】
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【国際調査報告】