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特表2025-502359紙製バインダー、その製造方法及び製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】紙製バインダー、その製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/16 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B42F13/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542283
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 KR2022000813
(87)【国際公開番号】W WO2023136383
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0005399
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524266135
【氏名又は名称】パク,ヨン イム
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン イム
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017UD01
(57)【要約】
本発明は、特に、紙製バインダーの製造方法に関し、本発明は、内側ロール紙及び外側ロール紙の一側面が高熱反応接合材でそれぞれコーティング処理され、前記内側ロール紙及び外側ロール紙の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように位置し、その間に低熱反応成型材を介して低熱で互いに合紙される合紙されたロール紙を提供するステップと、前記合紙されたロール紙を所望の幅にスリットし、スリットされたロール紙を、櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するようにカットすることで扁平な櫛歯状の紙綴じ具を形成するステップと、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具内の前記低熱反応成型材のみが溶融されるように、昇温板または昇温ゾーンで低熱昇温させるステップと、搬送手段により前記低熱反応成型材のみが低熱昇温された扁平な櫛形状の紙綴じ具を成型装置へ搬送し、前記成型装置により扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型するステップと、を含むように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製バインダーの製造方法において、
内側ロール紙及び外側ロール紙の一側面が高熱反応接合材でそれぞれコーティング処理され、前記内側ロール紙及び外側ロール紙の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように位置し、その間に低熱反応成型材を介して低熱で互いに合紙される合紙されたロール紙を提供するステップと、
前記合紙されたロール紙を所望の幅にスリットし、スリットされたロール紙を、櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するようにカットすることで扁平な櫛歯状の紙綴じ具を形成するステップと、
前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具内の前記低熱反応成型材のみが溶融されるように、昇温板または昇温ゾーンで低熱昇温させるステップと、
搬送手段によって前記低熱反応成型材のみが低熱昇温された扁平な櫛形状の紙綴じ具を成型装置へ搬送し、前記成型装置によって扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型するステップと、を含み、
前記高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上高い融点を有するため、前記低熱による合紙、及び前記低熱昇温による円筒状の成型時に影響を受けず、前記低熱反応成型材は、低熱昇温によって前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する機能と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する機能とを有するのに対し、前記高熱反応接合材は、後で穴あけされた紙製品に挿入されて綴じられるとき、高熱昇温によって前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップを櫛歯連結部に接合させる機能を有することを特徴とする、紙製バインダーの製造方法。
【請求項2】
前記内側ロール紙及び外側ロール紙とは、低熱加圧ローラを通過しながら前記低熱反応成型材の溶融によって互いに合紙される、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項3】
前記高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材より少なくとも30℃以上高い融点を有する、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項4】
前記成型装置は、下向きに作動して内型の上部に当接する上型と、上向きに作動して内型の下部に当接する下型とからなり、前記上型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項5】
前記下型は、独立して作動する第1の下型と第2の下型とからなり、前記第1の下型及び第2の下型は、順次に独立して作動するように構成される、請求項4に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項6】
前記成型装置は、下向きに作動して内型の上部に当接する上型と、横方向に作動して内型の側面に当接する側型と、上向きに作動して内型の下部に当接する下型とからなり、前記上型、側型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項7】
前記内型は、上型及び下型のうちの少なくとも1つを冷却するための冷却手段が金型の内部または外部に更に備えられ、別途再搬送することなく前記成型装置による成型と同時に冷却する、請求項4に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項8】
前記上型が内型に向かって下向きに移動することにより、上型の下端から一部突出するように取り付けられた支持ロッドが、前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を加圧して支持するように構成される、請求項4または6に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項9】
前記外側ロール紙と内側ロール紙との間に更なる中間ロール紙とその両面の低熱反応成型材が順次に積層されることができる、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項10】
前記成型装置によって櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型される場合、互いに突出するように広がって向かい合う櫛歯部のチップ及び櫛歯連結部の反対側の背部分に直線部分が更に成型される、請求項1に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項11】
前記直線部分の中心に広がっている部分に向かって内側に凹んだ長溝が更に成型される、請求項10に記載の紙製バインダーの製造方法。
【請求項12】
紙製バインダーシステムにおいて、
内側ロール紙及び外側ロール紙の一側面が高熱反応接合材でそれぞれコーティング処理され、前記内側ロール紙及び外側ロール紙の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように位置し、その間に低熱反応成型材を介して低熱で互いに合紙される合紙されたロール紙生成部と、
低熱昇温及び加圧によって前記低熱反応成型材の一部が溶融されて前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する低熱加圧ローラ部と、
前記合紙されたロール紙を所望の幅にスリットするスリット部と、
前記スリットされたロール紙を、櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するようにカットすることで扁平な櫛歯状の紙綴じ具を形成する切断部と、
前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具内の前記低熱反応成型材のみが溶融されるように、昇温板または昇温ゾーンで低熱昇温させる低熱昇温部と、
前記低熱反応成型材のみが低熱昇温された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を成型装置へ搬送する搬送部と、
前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型する成型部と、を含み、
前記高熱反応接合材は、低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上高い融点を有するため、前記低熱による合紙及び前記低熱昇温による円筒状の成型時に影響を受けず、低熱反応成型材は、低熱昇温によって前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する機能と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する機能とを有するのに対し、前記高熱反応接合材は、後で穴あけされた紙製品に挿入されて綴じられるとき、高熱昇温によって前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップを櫛歯連結部に接合させる機能を有することを特徴とする、紙製バインダーシステム。
【請求項13】
前記扁平な櫛型の紙バインダーは、前記成型部によって互いに突出するように広がって互いに対応して向かい合う円筒状の櫛歯部のチップと櫛歯連結部に成型され、
前記櫛歯部のチップに穴あけされた紙製品を挿入した状態で前記櫛歯部のチップが櫛歯連結部に当接するように加圧することにより、高熱昇温により溶融された前記高熱反応接合材によって別途の接着剤なしで互いに接合させる綴じ部をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項14】
前記高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材より少なくとも30℃以上高い融点を有する、請求項12に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項15】
前記成型部は、下向きに作動して内型の上部に当接する上型、上向きに作動して内型の下部に当接する下型とからなり、前記上型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する、請求項12に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項16】
前記下型は、独立して作動する第1の下型と第2の下型とからなり、前記第1の下型及び第2の下型は、順次に独立して作動するように構成される、請求項15に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項17】
前記成型部は、下向きに作動して内型の上部に当接する上型と、横方向に作動して内型の側面に当接する側型と、上向きに作動して内型の下部に当接する下型とからなり、前記上型、側型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する、請求項12に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項18】
前記内型は、上型及び下型のうちの少なくとも1つを冷却するための冷却手段が金型の内部または外部にさらに備えられ、別途の再搬送することなく前記成型装置による成型と同時に冷却する、請求項15に記載の紙製バインダーシステム。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された紙製バインダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート、スケッチブック、カレンダー、スケジュール帳のように穴あけされた穴を介して綴じるための紙製バインダー、その製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のノート、スケッチブック、カレンダー、スケジュール帳などのように、穴あけされた穴を介して綴じるか或いは製本する方法は、コイルリング(coil ring)及びツインリング(twin ring)の2種類であり、ワイヤ又はプラスチック製(PVC、PET)リングを使用した。コイルリングによる綴じ方法は、穴あけされた穴ごとに1列のコイルリングを連続的に挿入して斜線状に綴じる方法であり、ツインリングによる綴じ方法は、それぞれの穴あけされた穴に2列のリングが挿入されて互いに噛み合わされながらOリングの形で綴じる方法である。
【0003】
近年、製品のエコフレンドリー化への要求とその趨勢、並びに廃棄時の分別収集の問題などに鑑み、前記のような従来のワイヤ又はプラスチック製リングを用いた製品は、廃棄時にリサイクル等のためにワイヤやプラスチックを紙から別途分離して排出しなければならないという煩わしさがあったし、ワイヤまたはプラスチック製リングそれ自体が環境にやさしくないという問題点もあった。
【0004】
さらに、ワイヤ又はプラスチック製リングで綴じされたノート、スケッチブック、カレンダー、スケジュール帳などの事務用品及び文具製品の場合、製品のコイルリングの両端に突出したワイヤ又はプラスチックのチップが鋭いため、製品使用時に手が刺さったりするなどの事故がしばしば発生するという問題点もあった。
【0005】
従来の技術(韓国特許第10-1124063号)は、ツインリング製本時にワイヤを紙に代替可能な製品を開示している。しかしながら、ツインリング製本時に使用される従来の技術の紙製品は、根本的な様々な問題点があった。
【0006】
以下、従来の技術(韓国特許第10-1124063号)に開示されているツインリングの製造工程及び問題点について説明する。
【0007】
(1)液状接着剤(ヒートシール剤)
従来の技術では、合紙する有機溶媒に高分子物質を溶かして紙の間にヒートシール剤を塗布するように構成されているが、このように有機溶剤を溶媒として含む高分子物質であるヒートシール剤は、揮発する有機物質のため大気汚染の主な要因となり、人体に有害であり、可燃性であるため火災のリスクに脆弱な物質である。
【0008】
また、液状接着剤を紙の表面に塗布した後に、有機溶剤を揮発させるためには長い区間または時間の熱乾燥が必ず必要であるが、この場合、工程が複雑で且つ設置費用が増加するという問題点がある。
【0009】
従来の技術における液状のヒートシール剤は、紙を互いに合紙させるための合紙工程に必要であるだけでなく、後ほどの成型工程において、再度ヒートシール剤を加熱して成型するのに必要であり、さらに、製本工程において、櫛歯部のチップで露出したヒートシール剤により櫛歯部のチップを櫛歯連結部に熱接着するのに必要な接着剤である。特に、このようなヒートシール剤は低粘度の液状であるから、紙表面への塗布工程で紙に容易に浸透することができるので、固形物の膜形成が不足して十分な剛性を確保するのに限界があり、ひいて1mm以上の厚い紙で製造するとしても、バインダーとしての十分な剛性を確保することができないという問題点がある。
【0010】
(2)ハーフカット工程と再巻取り工程の不要性
従来の技術では、櫛歯部のチップをカットすることにより、櫛歯部のチップにヒートシール剤が露出するように構成されている。このように、従来の技術では、櫛歯部のチップにおいてヒートシール剤を露出させるために櫛歯部のチップカット工程を必要とするため、ボビンに取り巻かれた櫛歯状の積層用紙を引き出すための引出装置と、積層用紙の櫛歯部のチップをカットするためのハーフカット装置と、該ハーフカット装置から引き出された積層用紙を再度ボビンへ巻き取る巻取装置とが、更に必要である。
【0011】
これらの複雑な工程は、無駄な製造コストの上昇要因となり、更なる必要装置は、設備・装置コストを増大させて、これも同様にコスト上昇の要因となる。
【0012】
(3)成型工程が2つに分けられて搬送される複雑な工程及び装置
従来の技術の成型工程における成型装置は、テーブル型のベースフレームと、プレス機構を備える第1の成型部及び第2の成型部と、両成型部の前後で積層用紙を搬送する複数の搬送部と、で構成されており、ベースフレームの上面において、搬送部、第1の成型部、搬送部、第2の成型部、搬送部の順に配置されている。
【0013】
従来の技術では、第1の成型部と第2の成型部とに分けられて成型工程が行われるので、搬送工程及び装置が無駄に増加されるという問題点がある。
【0014】
すなわち、2つに分けられて成型されるという複雑な成型工程のため、生産性を低下させ、無駄な機械設備が必要となり、製造コストの上昇を招く。
【0015】
(4)成型工程における複数の治具板の昇温機能
合紙工程で成型膜が十分に形成されないことから、成型工程において成型手段が治具板を昇温しなければならなく、その結果、成型後に治具板から分離・離脱させた後、冷却過程を経なければならなく、分離後、冷却中に成型された形が、元の形に戻ろうとする復元性があり、その結果、所望の成型形態の精度が低下し、十分な剛性も確保できない。
【0016】
円筒状の湾曲部の成型と折曲部の成型とからなる紙製バインダーの成型工程において、第1の成型部及び第2の成型部のいずれも昇温機能付き複数の治具板を必要とすると共に、冷却装置もそれぞれ必要である。
【0017】
したがって、成型時に治具板での昇温は、無駄に作業時間を長くし、しかも成型後に冷却を必要とするため、製造工程に多くの時間が所要され、生産性を低下させ、正確な成型も困難である。
【0018】
(5)U字形の保護紙の必須性
従来の技術に係るバインダーは、櫛歯部のチップにてヒートシール剤が露出するように構成されているため、成型工程で成型されたバインダーをボビンに巻き取る際に、バインダーそれ自体の上面及び下面が露出したヒートシール剤によって誤って取り付けられる恐れがあるという問題点がある。したがって、従来の技術ではU字形に作製された紙でC字形のバインダーを取り囲んだ後に巻取りを行う工程が必ず必要である。これらの更なる紙材料、更なる製造工程及び、更なる巻き取り装置等に起因して、製造工程及び製造装置が複雑となり生産性が低下し、製造コストが上昇してしまうという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、液状接着剤を使用しないことにより、有機溶媒の揮発のための長期間の乾燥区間・時間が要らなく、生産性が向上し、従来の技術におけるヒートシール剤を櫛歯部のチップに露出させるために必要なハーフカット及び再巻取り工程などの複雑な工程が不要であり、従来の技術における、櫛歯部のチップに露出したヒートシール剤の貼着及び乱れの誘発などを防止するために必要なU字形の保護紙を別途製造・使用することなく、バインダーそれ自体をそのまま巻き取ることができるので、生産工程の簡素化を図るとともに紙の無駄を減らすことにある。
【0020】
本発明の目的は、従来の技術におけるチップカット工程が不要なので、櫛歯部のチップと櫛歯連結部の厚さが同一であり、その結果、櫛歯部のチップの広がった形状の拡張又は縮小などの問題なしにボビンに容易に巻き取られることができ、特に、流通過程中にも形状がそのまま維持されて製本工程における挿入作業を容易にすることにある。
【0021】
本発明の目的は、成型工程前に、昇温板(または昇温ゾーン)により予め昇温され、櫛歯部及び櫛歯連結部を再搬送することなく固定された位置で順次に成型すると同時に、冷却するように構成され、これによって生産時間が短縮され、正確な折り曲げを可能にすることにある。
【0022】
本発明の目的は、互いに突出するように外側に向かって広がっている櫛歯部のチップと櫛歯連結部とを互いに接合する際、櫛歯部のチップ及び櫛歯連結部の反対側の背部分に直線部分(または直線中間の長溝)が更に形成されることにより、直線部分の両端2箇所の「折り返し点」(又は直線中間の長溝)を力点として、紙製リングバインダーの弾性によりスムーズに真円とし、特に、製本後にも相当な耐久性により真円を維持し変形をなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態は、紙製バインダーの製造方法において、内側ロール紙及び外側ロール紙の一側面が高熱反応接合材でそれぞれコーティング処理され、前記内側ロール紙及び外側ロール紙の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように位置し、その間に低熱反応成型材を介して低熱で互いに合紙される合紙されたロール紙を提供するステップと、前記合紙されたロール紙を所望の幅にスリットし、スリットされたロール紙を、櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するようにカットすることで扁平な櫛歯状の紙綴じ具を形成するステップと、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具内の前記低熱反応成型材のみが溶融されるように、昇温板または昇温ゾーンで低熱昇温させるステップと、搬送手段により前記低熱反応成型材のみが低熱昇温された扁平な櫛形状の紙綴じ具を成型装置へ搬送し、前記成型装置により扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型するステップと、を含み、前記高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上高い融点を有し、前記低熱による合紙、及び前記低熱昇温による円筒状の成型時に影響を受けず、前記低熱反応成型材は、低熱昇温によって前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する機能と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する機能とを有することに対し、前記高熱反応接合材は、後で穴あけされた紙製品に挿入されて綴じられるとき、高熱昇温によって前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップを櫛歯連結部に接合させる機能を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の他の実施形態に係る紙製バインダーシステムは、内側ロール紙及び外側ロール紙の一側面が高熱反応接合材でそれぞれコーティング処理され、前記内側ロール紙及び外側ロール紙の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように位置し、その間に低熱反応成型材を介して低熱で互いに合紙される合紙されたロール紙生成部と、低熱昇温及び加圧によって前記低熱反応成型材の一部が溶融され、前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する低熱加圧ローラ部と、前記合紙されたロール紙を所望の幅にスリットするスリット部と、前記スリットされたロール紙を、櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するようにカットすることで扁平な櫛歯状の紙綴じ具を形成する切断部と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具内の前記低熱反応成型材のみが溶融されるように、昇温板または昇温ゾーンで低熱昇温させる低熱昇温部と、前記低熱反応成型材のみが低熱昇温された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を成型装置へ搬送する搬送部と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型する成型部と、を含み、前記高熱反応接合材は、低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上高い融点を有し、前記低熱による合紙及び前記低熱昇温による円筒状の成型時に影響を受けず、低熱反応成型材は、低熱昇温によって前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する機能と、前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する機能とを有することに対し、前記高熱反応接合材は、後で穴あけされた紙製品に挿入されて綴じられるとき、高熱昇温によって前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップを櫛歯連結部に接合させる機能を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、前述した製造方法により製造された紙製バインダーが提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、次のような効果を有する。
【0027】
第一、液状接着剤を使用しないことにより、有機溶媒の揮発のための長期間の乾燥区間・時間が要らなく、生産性が向上し、従来の技術におけるヒートシール剤を櫛歯部のチップに露出させるために必要なハーフカット及び再巻取り工程などの複雑な工程が不要なので、生産性の向上及び製造コストの節減効果が得られ、また、従来の技術における、櫛歯部のチップに露出したヒートシール剤の貼着及び乱れの誘発などを防止するために必要なU字形の保護紙を別途製造・使用することなく、バインダーそれ自体をそのまま巻き取ることができるので、生産工程の簡素化を図るとともに紙の無駄を減らすことができる。
【0028】
第二、従来の技術におけるチップカット工程が不要なので、櫛歯部のチップと櫛歯連結部の厚さが同一であり、その結果、櫛歯部のチップの広がった形状の拡張又は縮小などの問題なしにボビンに容易に巻き取られることができ、特に、流通過程中にも形状がそのまま維持されて製本工程における挿入作業が容易である。
【0029】
第三、成型工程前に、昇温板(または昇温ゾーン)により予め昇温され、櫛歯部及び櫛歯連結部を再搬送することなく固定された位置で順次に成型すると同時に、冷却するように構成され、これによって生産時間が短縮され、正確な折り曲げが可能である。
【0030】
第四、互いに突出するように外側に向かって広がっている櫛歯部のチップと櫛歯連結部とを互いに接合する際、櫛歯部のチップ及び櫛歯連結部の反対側の背部分に直線部分(または直線中間の長溝)が更に形成されることにより、直線部分の両端2箇所の「折り返し点」(又は直線中間の長溝)を力点として、紙製リングバインダーの弾性によりスムーズに真円とし、特に、製本後にも相当な耐久性により真円を維持し変形が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る合紙、冷却及びスリット工程を示す概略図である。
図2】本発明に係る合紙、冷却及びスリット工程後に巻き取られたロール紙及びその例示的断面を示す図である。
図3】スリットされたロール紙を櫛歯部及び櫛歯連結部の形状を有するように対称的にカットして作製された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を示す図である。
図4】本発明に係る昇温及び成型工程を示す概略図である。
図5】本発明に係る成型装置による成型工程を順次に示す概略図である。
図6(a)】本発明の一実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図を示す。
図6(b)】本発明の一実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図を示す。
図7(a)】及び本発明の他の実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図である。
図7(b)】及び本発明の他の実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明に係る合紙、冷却及びスリット工程を示す概略図である。図1を参照すると、引出装置1内に順次に配置されるロールにそれぞれ巻き取られた内側ロール紙10、低熱反応成型材フィルム30a、中間ロール紙40、低熱反応成型材フィルム30b、及び外側ロール紙20が連続的に引き出しされ供給される。この場合、前記内側ロール紙10及び外側のロール紙20の一側面には、高熱反応接合材10a、20aがそれぞれコーティング処理されている。前記供給された内側ロール紙10、低熱反応成型材フィルム30a、中間ロール紙40、低熱反応成型材フィルム30b、及び外側ロール紙20は、低熱加圧ローラ2を通過しながら低熱反応成型材30a、30bの溶融により合紙されたロール紙を形成するが、この場合、前記内側ロール紙10及び外側ロール紙20の非コーティング処理されたそれぞれの他側面が向かい合うように合紙される。よって、合紙されたロール紙の両外側面には、高熱反応接合材10a、20aがコーティングされた状態で保持される。合紙されたロール紙は、冷却装置3によって冷却された後、公知のスリット装置4により所定の幅にスリットされてからロール5に巻き取られる。特に、低熱加圧ローラ2は、上下の一対のローラからなり、低熱反応成型材30a、30bのみが溶融され得る程度に昇温されるため、合紙されたロール紙の両外側面にコーティング処理された高熱反応接合材10a、20aに何らの影響又は損傷を与えない。
【0034】
好ましくは、前記高熱反応接合材10a、20aは、前記低熱反応成型材30a、30bよりも少なくとも10℃以上高い融点を有し、前記低熱加圧ローラ2による合紙及び後続する低熱昇温による円筒形の成型時に影響を受けない。より好ましくは、前記高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材よりも少なくとも30℃以上高い融点を有する。
【0035】
前記低熱反応成型材30a、30bは、生分解性のフィルムが好ましく、ポリエチレンフィルム、軟質PVCフィルム、加熱液化型固体フィルムでもよい。低熱反応成型材のコーティング又はフィルムの厚さは、50~200μmである。
【0036】
最も好ましくは、前記低熱反応成型材は、ポリ乳酸(PLA)、セルロース、バイオポリマー(PBAT)など、100%自然に分解される生分解性材料のみからなる生分解性材質を使用する。この場合、埋め立て時に、日光、温度、湿度などが一定の条件(温度58℃、湿度70%などの堆肥化条件)下にあるとき、1次分解が起こり、微生物(バクテリア、カビなど)によって2次分解過程が進められて、180日内に水と二酸化炭素に100%自然分解される。したがって、環境汚染及び生態系破壊防止の効果が得られ、リサイクル用でない、一般ごみに分類され、簡便に廃棄することができ、また埋め立てられて分解が完了した土壌の堆肥化にも適しており、焼却時にも発癌物質が全く排出されず、生分解原料(EL724)からなる生分解ビニルは、リサイクルも可能である。
【0037】
このような前記低熱反応成型材は、低熱昇温によって前記内側ロール紙と外側ロール紙とを合紙する機能(合紙機能)と、後続する前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する機能(成型機能)と、を有する。
【0038】
前記高熱反応接合材10a、20aは、低熱反応成型材よりも高い融点を有する環境にやさしい水溶性コーティング物質が好ましく、耐水性、耐油性、シール性を有する環境にやさしい材料である。高熱反応接合材のコーティング層の厚さは5~20μmである。
【0039】
前記高熱反応接合材は、後で穴あけされた紙製品に挿入されて綴じられるとき、耐水、耐油機能(コーティング機能)と共に、高熱昇温によって前記扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップを櫛歯連結部に接合させる機能(接合機能)を有する。
【0040】
前述のように、前記高熱反応接合材は、低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上(好ましくは、30℃以上)高い融点を有さなければならない。これは、綴じ時または製本時にコーティング機能および接合機能を発揮する高熱反応接合材が、前述した低熱による合紙及び低熱昇温による円筒成型時に何らの影響を受けないようにするためである。特に、ここで高熱と低熱は、相対的な概念であることに留意されたい。
【0041】
(A)工程
摂氏300℃→高熱摂氏200℃→高熱
(B)工程
摂氏200℃→低熱摂氏150℃→低熱
例えば、摂氏200℃で溶融するポリエチレンは、(A)工程では低熱反応成型材となり、(B)工程では高熱反応接合材となることができる。
【0042】
つまり、同じ物質でも工程に応じて、低熱反応成型材または高熱反応接合材料になることができる。
【0043】
低熱反応成型材は、高熱反応接合材に比べて相対的に低熱で反応するので、低熱で行われる合紙及び成型工程を経ても、先にコーティング処理された高熱反応接合材に何らかの影響を及ぼさないようになる。したがって、高熱反応接合材は、前記低熱反応成型材よりも少なくとも10℃以上(好ましくは、30℃以上)高い融点を必ずしも有していなければならない。
【0044】
好ましくは、低熱反応成型材は摂氏100℃~220℃で反応する生分解性フィルム、ポリエチレンフィルム、PVCフィルム、ホットメルトなどであってもよいが、環境にやさしい生分解性フィルムが最も好ましい。
【0045】
高熱反応結合体は、摂氏300℃~400℃で反応する水分散性熱硬化型アクリル共重合体、摂氏160℃~220℃の温度で反応するポリエチレンなどの熱可塑性材料、ホットメルト等であってもよいが、環境にやさしい水分散性熱硬化型アクリル共重合体が最も好ましい。
【0046】
図2は、本発明に係る合紙、冷却及びスリット工程後に巻き取られたロール紙及びその例示的断面を示す図である。図2(a)は、前記図1に示した工程によって、「外側面に高温反応結合体10aがコーティングされた内側ロール紙10、低熱反応成型材フィルム30a、中間ロール紙40、低熱反応成型材フィルム30b、及び外側面に高温反応接合材20aがコーティングされた外側ロール紙20」が順次に合紙された断面を示す図である。図2(b)は、図1において中間ロール紙が必要でない場合には、「外側面に高温反応結合体10aがコーティングされた内側ロール紙10、低熱反応成型材フィルム30、及び外側面に高温反応接合材20aがコーティングされた外側ロール紙20」が順次に合紙された断面を示す図である。とりわけ、大径の紙製バインダーを製造する場合には特に更なる剛性補強が必要であるが、この場合、特に図2(a)に示しているように、内側ロール紙10と外側ロール紙20との間に中間ロール紙便箋40をさらに積層し、このような用紙の間ごとに低熱反応成型材フィルム30a、30bが更に積層されるように構成することができる。したがって、内側ロール紙10と外側のロール紙20との間に追加される中間ロール紙40の有無及び数に応じて、3重、5重又は7重で構成されることができる。参考までに、図2(a)に示された断面は、5重で構成されたものを示しており、図2(b)に図示された断面は、3重で構成されたものを示している。
【0047】
図3は、スリットされたロール紙を、櫛歯部52及び櫛歯連結部54の形状を有するように対称的にカットして作製した扁平な櫛歯状の紙綴じ具50を示す。図3を参照すると、前記スリットされたロール紙を櫛歯部52及び櫛歯連結部54の形状を有するようにカットして、扁平な櫛歯状の紙綴じ具50を形成する。このようなカット工程は、プレス機構の金型を取り付けて行われるが、図3に示すように、櫛歯部及び櫛歯連結部を左右両側に対称となるようにカットする。
【0048】
好ましくは、前記カット工程に用いられる金型は複合ダイ金型であり、上部フレームと下部フレームが交差しながら、左、右にカットが行われ、下部フレームにはめられた一側の櫛歯部と櫛歯連結部は、下部フレーム内に取り付けられたスライドパッドにより上向き引き出されて搬送される。スライドパッドは、下部フレーム内のばねにより上下動するように構成される。上部フレームが強い圧力で下部フレームを押し付けつつ、櫛歯部及び櫛歯連結部を左右対称にカットするとき、下部フレーム内のばねは、上部フレームにより下向きに押し込まれ、その後、上部フレーム上向きに上がるとき、下部フレーム内のばねの弾性作用で下部フレームにはめられていた一側の櫛歯部及び櫛歯連結部が上向きに引き出されて搬送されるように構成される。
【0049】
図4は、本発明に係る昇温及び成型工程を示す概略図である。図4を参照すると、カットされた扁平な櫛歯状の紙綴じ具50が巻き取られたロール6から引き出されて昇温板または昇温ゾーン7に供給される。すなわち、昇温板または昇温ゾーン7では、成型工程直前に、扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部と櫛歯連結部、特に当該部位の低熱反応成型材のみが溶融されるように、低熱で十分に昇温するように構成される。例えば、ヒーターでコントロールされて加熱される昇温板または熱風でコントロールされる昇温ゾーンの形態で備えられることができる。
【0050】
低温昇温された扁平な櫛歯状の紙綴じ具は、搬送手段によって成型装置8に送られ、前記成型装置により扁平な櫛歯状の紙綴じ具の櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型され、次いで再び巻き取られる(9)。
【0051】
図5は、本発明に係る成型装置による成型工程の順次に示す概略図である。図5を参照すると、本発明の成型装置8は、下向きに作動して内型8’の上部に当接する上型8aと、横方向に作動して内型8’の側面と当接する側型8bと、上向きに作動して内型8’の下部と当接する下型8cと、からなり、前記上型、側型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する。
【0052】
好ましくは、本発明の他の態様に係る成型装置は、下向きに作動して内型の上部に当接する上型と、上向きに作動して内型の下部と当接する下型とからなり、前記上型及び下型は、成型工程中に再搬送することなく、順次に作動して前記内型上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型する。この場合、前記下型は、独立して作動する第1の下型と第2の下型とからなり、前記第1の下型と第2の下型は、順次に独立して作動するように構成される。
【0053】
最も好ましくは、前記内型は、上型及び下型のうちの少なくとも1つを冷却する冷却手段が更に備えられ、別途再搬送することなく前記成型装置による成型と同時に冷却することができる。例えば、冬期には常温冷却が可能であり、夏期には各金型内に水や空気の流れが可能な冷却装置を少なくとも1つ以上備えるか、または金型の外で空気の送風又は冷却した空気で直接冷却することができる。
【0054】
図5を参照して、本発明に係る成型装置による成型工程を説明すると、次の通りである。
【0055】
まず、図5(a)に示すように、扁平な櫛歯状の紙綴じ具を成型装置の内型8’上に載置させる。次に、図5bに示すように、上型8aが下部の内型8’に向かって下向き移動することにより、上型8aの下端から一部突出するように取り付けられた支持ロッド8が、前記内型8’上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を加圧して支持するようにする。次に、図5(c)に示すように、上型8aをさらに下向きに移動させることで、内型8’の上部と当接して加圧させ、これにより、前記載置された櫛歯状の紙綴じ具の上面を半円形に成型する。この場合、次に、図5(d)に示すように、別途の再搬送工程なしにそのままに維持された状態で側型8bが横方向に作動して内型8’の前方側面と当接し加圧しながら、載置された櫛歯状の紙綴じ具の下面を半円状に成型する。次に、図5(e)に示すように、同様に別途の再搬送工程なしに下型8cが上向きに作動して内型8’の下部と当接して加圧しながら、前記載置された櫛歯状の紙綴じ具の下面を半円状に成型する。次いで、図5(f)に示すように、上型及び下型は内型から離型され、最終的に扁平な櫛歯状の紙綴じ具を円筒状に成型することができる。
【0056】
特に、図5(b)から図5(e)に示しているように、支持ロッド8xが内型8’上に載置された扁平な櫛歯状の紙綴じ具を加圧して支持した状態で一連の成型工程が行われるため、従来の技術のように、成型工程を2段階で構成する必要がなく、ひいて、成型工程中に再搬送することなく、そのまま順次に成型することができ、生産性を大幅に向上させることができる。
【0057】
好ましくは、前記側型の代わりに、前記下型を独立して作動させる第1の下型と第2の下型とで構成することができ、この場合、前記第1の下型と第2の下型は、順次に上向きに作動するように構成することができる。
【0058】
図6(a)及び図6(b)は、本発明の一実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図を示す。図7(a)及び図7(b)は、本発明の他の実施形態に係る成型装置によって円筒状に成型された紙製バインダーの斜視図及び断面図を示す。
【0059】
図6(a)及び図6(b)を参照すると、前記成型装置によって櫛歯部のチップが櫛歯連結部に対応して向かい合うように円筒状に成型される場合、互いに突出するように外側に向かって広がって、向かい合う櫛歯部チップ52a及び櫛歯連結部54の反対側の背部分に直線(平面)部分56を更に成型してもよい。これは、後で綴じ・製本段階で、互いに突出するように外側に向かって広がっている櫛歯部のチップと櫛歯連結部とを互いに接合する際、櫛歯部のチップ及び櫛歯連結部の反対側の背部分に形成された直線部分の両端2箇所の「折り返し点X」を力点として紙製リングバインダーの弾性によりスムーズに真円とし、特に、製本後にも相当な耐久性により特に変形されることなく真円を保持することができる。
【0060】
図7(a)及び図7(b)を参照すると、前記直線部分の中心部分に、拡がっている部分に向かって内側に凹んだ長溝58を更に成型してもよい。このような長溝も後続する綴じ・製本段階で、互いに突出するように外側に向かって広がっている櫛歯部のチップと櫛歯連結部とを互いに接合する際、直線部分の中心部分に形成された長溝を力点として紙製リングバインダーの弾性によりスムーズに真円とし、特に、製本後にも相当な耐久性によって特に変形されることなく真円を保持することができる。また、前記長溝は、内側ロール紙と外側ロール紙とが合紙されたロール紙を円筒状に成型するとき、内側ロール紙の内径と外側ロール紙の外径の全周長の差によって、合紙されたロール紙に変形(例えば、合紙された外側ロール紙と内側ロール紙との間のずれ現象、またはトンネル現象(合紙された用紙の同士間に浮きなどが発生する現象)が発生することを防止する効果を有する。
【0061】
以上、図面を参照して本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの特定の構造に限定されるものではない。当業界における通常の知識を有する者であれば、下記特許請求の範囲に記載の本発明の技術思想及び権利範囲を逸脱する範囲内で、本発明を多様に修正または変更することができる。しかしながら、そのような単純な設計的な材料変更または変形構造は、いずれも明らかに本発明の権利範囲内に属することを予め明らかにしておく。

図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図5(e)】
図5(f)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
【国際調査報告】