(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】関節形成術のためのシステム、インプラント、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/42 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61F2/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542305
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 US2023060810
(87)【国際公開番号】W WO2023141447
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358121
【氏名又は名称】パラゴン28・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PARAGON 28, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ボノ,フランク エス
(72)【発明者】
【氏名】ドゲ,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA08
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097CC14
4C097CC18
4C097DD01
4C097EE08
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
インプラントシステムは、脛骨コンポーネント、距骨コンポーネント、および踵骨コンポーネントを有する。インプラントシステムは、距骨コンポーネントと脛骨コンポーネントとの間に配置された第1中間コンポーネントと、距骨コンポーネントと踵骨コンポーネントとの間に配置された第2中間コンポーネントとを含む。距骨コンポーネントは、第1中間コンポーネントと係合するように構成された第1の関節面と、第2中間コンポーネントと係合するように構成された第2の関節面とを有する。第1の関節面は距骨コンポーネントの上面に配置され、第2の関節面は距骨コンポーネントの内面に配置される。また、中間コンポーネントと踵骨コンポーネントとを有する距骨下関節形成術システムも開示されている。中間コンポーネントは、距骨コンポーネントと関節接合する形状の上面を有する。踵骨コンポーネントは、踵骨との結合を促進するように構成された下面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脛骨インプラントコンポーネントと、
踵骨インプラントコンポーネントと、
距骨インプラントコンポーネントと、
を備える、
インプラントシステム。
【請求項2】
さらに、
前記距骨インプラントコンポーネントと前記脛骨インプラントコンポーネントとの間に配置された第1中間コンポーネントと、
前記距骨インプラントコンポーネントと前記踵骨インプラントコンポーネントとの間に配置された第2中間コンポーネントと、
を備える、
請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項3】
前記距骨インプラントコンポーネントは、
前記第1中間コンポーネントと係合するよう構成された第1の関節面と、
前記第2中間コンポーネントと係合するよう構成された第2の関節面と、
を備える、
請求項2に記載のインプラントシステム。
【請求項4】
前記第1の関節面は、前記距骨インプラントコンポーネントの上面に配置され、前記第2の関節面は、前記距骨インプラントコンポーネントの下面に配置される、
請求項3に記載のインプラントシステム。
【請求項5】
前記脛骨インプラントコンポーネントは、その上面に患者の脛骨の少なくとも一部に係合するよう構成された第1の係合面を備える、
請求項4に記載のインプラントシステム。
【請求項6】
前記脛骨インプラントコンポーネントは、その下面に前記第1中間コンポーネントの上面に係合するよう構成された第2の係合面を備える、
請求項5に記載のインプラントシステム。
【請求項7】
前記距骨インプラントコンポーネントの第1の関節面は、前記第1中間コンポーネントの下面と係合するよう構成される、
請求項6に記載のインプラントシステム。
【請求項8】
前記踵骨インプラントコンポーネントは、その上面に前記第2中間コンポーネントの下面と係合するよう構成された第1の係合面を備える、
請求項4に記載のインプラントシステム。
【請求項9】
前記踵骨インプラントコンポーネントは、その下面に患者の踵骨の少なくとも一部と係合するよう構成された第2の係合面を備える、
請求項8に記載のインプラントシステム。
【請求項10】
前記距骨インプラントコンポーネントの前記第2の関節面は、前記第2中間コンポーネントの上面と係合するよう構成される、
請求項8に記載のインプラントシステム。
【請求項11】
前記第1の関節面は、複数の半径を備える、
請求項4に記載のインプラントシステム。
【請求項12】
前記複数の半径は、前記第1の関節面の前方内側四分円、前方側方四分円、後方内側四分円、および後方側方四分円に対して異なっている、
請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項13】
前記第1の関節面において、前記前方内側四分円の曲率半径は、前方側方四分円の曲率半径よりも小さく、後方内側四分円の曲率半径は、後方側方四分円の曲率半径よりも大きい、
請求項12に記載のインプラントシステム。
【請求項14】
前記第2の関節面は、少なくとも1つの細長い突起を備え、前記少なくとも1つの細長い突起は、距骨下関節形成術コンポーネントの動きを抑制するよう構成される、
請求項10に記載のインプラントシステム。
【請求項15】
中間コンポーネントと、
踵骨インプラントコンポーネントと、
を備える、
距骨下関節形成術システム。
【請求項16】
前記中間コンポーネントは上面を備え、前記上面は、距骨インプラントコンポーネントの関節面と関節接合するよう構成される、
請求項15に記載の距骨下関節形成術システム。
【請求項17】
前記上面は、前記距骨インプラントコンポーネントの前記関節面の少なくとも一部と相補的なサイズである、
請求項16に記載の距骨下関節形成術システム。
【請求項18】
前記踵骨インプラントコンポーネントは、下面を備える、
請求項15に記載の距骨下関節形成術システム。
【請求項19】
前記踵骨インプラントコンポーネントの前記下面は、前記下面の踵骨への係合を促進するための複数の表面特徴を備える、
請求項18に記載の距骨下関節形成術システム。
【請求項20】
前記複数の表面特徴のうち少なくとも1つは、ポスト(post)である、
請求項19に記載の距骨下関節形成術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月18日に出願され、「関節形成術のためのシステム、インプラント、および方法(System, Implant, And Methods For Arthroplasty)」という名称の米国仮特許出願第63/300,444号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、1つまたは複数のインプラント、器具類、およびその他のデバイス、ならびに関節形成術の方法論(methodology)を含む関節形成術システムに関する。本開示は、足および/または足首の関節形成術に使用される足病医学および整形外科用の関節形成術システムに関する。より具体的には、ただし排他的ではないが、本開示は足関節および/または距骨下関節の関節形成術システムに関連する。
【背景技術】
【0003】
現在利用可能な関節形成術システムの多くは、医師および患者の様々な解剖学的および生理学的懸念を考慮していない。場合によっては、関節形成術システムは、罹患した関節に隣接する解剖学的構造(例えば、筋骨格系構造および運動学的特性)を考慮できず、移植後に、隣接する解剖学的構造に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、関節形成術システムによって置換される罹患した関節だけでなく、隣接する関節(およびその構造/特性)も考慮した関節形成術システムが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、関節形成術に関連するインプラント、器具類、および方法と組み合わせて実施する手術用ガイドを対象としている。
【0005】
本開示の第1の態様にはインプラントシステムが含まれる。インプラントシステムには、脛骨インプラントコンポーネント、距骨インプラントコンポーネント、および踵骨インプラントコンポーネントが含まれる。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、インプラントシステムは、距骨インプラントコンポーネントと脛骨インプラントコンポーネントとの間に配置された第1中間コンポーネントと、距骨インプラントコンポーネントと踵骨インプラントコンポーネントとの間に配置された第2中間コンポーネントとを含む。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、インプラントシステムは、第1中間コンポーネントと係合するように構成された第1関節面と、第2中間コンポーネントと係合するように構成された第2関節面と、を含む。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、第1関節面は、距骨インプラントコンポーネントの上面(superior surface)に配置され、第2関節面は、距骨インプラントコンポーネントの下面に配置されている。
【0009】
本開示の第1の態様によれば、脛骨インプラントコンポーネントは、その上面に、患者の脛骨の少なくとも一部と係合するように構成された第1の係合面を含む。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、脛骨インプラントコンポーネントは、その下面(inferior surface)に、第1中間コンポーネントの上面と係合するように構成された第2の係合面を含む。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、距骨インプラントコンポーネントの第1関節面は、第1中間コンポーネントの下面と係合するように構成されている。
【0012】
本開示の第1の態様によれば、踵骨インプラントコンポーネントは、その上面に、第2中間インプラントの下面と係合するように構成された第1の係合面を含む。
【0013】
本開示の第1の態様によれば、踵骨インプラントコンポーネントは、その下部(inferior portion)に、患者の踵骨の少なくとも一部と係合するように構成された第2の係合面を含む。
【0014】
本開示の第1の態様によれば、距骨インプラントコンポーネントの第2関節面は、第2中間コンポーネントの上面と係合するように構成されている。
【0015】
本開示の第1の態様には、距骨下関節形成術システムが含まれる。距骨下関節形成術システムには、中間コンポーネントと踵骨インプラントコンポーネントとが含まれる。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示すものであり、本明細書の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。業界の標準的な慣行に従い、様々な特徴が縮尺通りに描かれている場合もあれば、そうでない場合もあることを強調しておく。実際、様々な特徴の寸法は、議論を明確にするために、任意に大きくしたり小さくしたりできる。図面は、本開示の発明の実施形態を例示することのみを目的としており、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示による例示的な距骨インプラントシステムを示す背面図
【
図2】本開示によるインプラントシステムの移植を容易にするための
図1の例示的なインプラントシステムの正面図
【
図3】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの第1の側面図
【
図4】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの第2の側面図
【
図5】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの正面からの斜視図
【
図6】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの背面からの斜視図
【
図7】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの脛骨コンポーネントを示す上面図
【
図8】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの踵骨コンポーネントを示す底面図
【
図9】本開示による
図1の例示的なインプラントシステムの一部を示す上面図
【
図10】本開示による
図9の例示的なインプラントシステムの一部を示す正面図
【
図11】本開示による
図9の例示的なインプラントシステムの一部を示す側面図
【
図12】本開示による
図9の例示的なインプラントシステムの一部を示す底面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この詳細な説明および以下の特許請求の範囲において、近位(proximal)、遠位(distal)、前方(anterior)または足底(planar)、後方(posterior)または背側(dorsal)、内側(medial)、側方(lateral)、上方(superior)および下方(inferior)の用語は、自然の骨の相対的な配置または方向性を示す参照用語に従って、骨またはインプラントの特定の部分または部位を示すための標準的な用法によって定義される。例えば、「近位(proximal)」とは、胴体に最も近い装置またはインプラントの部分を意味し、「遠位(distal)」とは、胴体から最も遠い装置またはインプラントの部分を示す。方向に関する用語としては、「前方(anterior)」は身体の前側に向かう方向であり、「後方(posterior)」は身体の後側に向かう方向を意味し、「内側(medial)」は身体の正中線に向かう方向を意味し、「側方(lateral)」は身体の側面に向かう方向、または身体の正中線から離れる方向であり、「上方(superior)」は上方向を意味し、「下方(inferior)」は他の物体や構造物の下の方向を意味する。さらに、特に足に関しては、「背側(dorsal)」という用語は足の甲を指し、「足底(plantar)」という用語は足の裏を指す。
【0019】
同様に、本明細書では、解剖学的構造または表面を基準として、位置または方向が使用される場合がある。例えば、現在のインプラント、装置、器具類、および方法が、足の骨との使用を基準として本明細書に記載されているように、足、足首、および下腿の骨は、インプラント、装置、器具類、および方法の表面(surfaces)、位置(positions)、方向(directions)、または向き(orientations)を説明するために使用できる。さらに、本明細書で開示されるインプラント、装置、器具類、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔にするために身体の一方の側に関して記載されている。しかしながら、人体は対称線(正中線)を中心として比較的対称的または鏡面的であるため、本明細書に記載および/または図示されたインプラント、装置、器具類、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同じ目的または類似の目的のために身体の別の側と使用または関連付けるために、変更(changed)、変化(varied)、修正(modified)、再構成(reconfigured)、またはその他の方法で改変(altered)され得ることが、ここに明示的に企図される。例えば、右足に関して本明細書に記載したインプラント、装置、器具類、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、左足でも同様に機能するように鏡映しにできる。さらに、本明細書に開示されたインプラント、装置、器具類、および方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔にする目的で足に関して説明されているが、インプラント、装置、器具類、および方法は、同様の構造を有する身体の他の骨にも使用できることが理解されるべきである。
【0020】
本開示の関節面(joint surfaces)を維持、矯正、および/または表面置換(resurfacing)するための器具、インプラント、システム、アセンブリ、および関連方法は、2018年11月6日に発行された「距骨下関節インプラント」と題された米国特許第10117749号明細書、2020年12月30日に発行された「距骨下関節インプラント」と題された欧州特許第3756626号明細書、2020年7月15日に出願された「距骨下関節インプラント」と題された欧州特許出願第15770960.1A号、2021年3月1日に出願された「距骨下関節の関節形成術を実施する方法」と題された米国仮特許出願第63/155100号、2021年3月30日に出願された「整形外科用インプラントおよび方法」と題された米国仮特許出願第63/167965号、2019年4月24日に出願された「インプラントおよび使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/29009号、2019年12月12日に出願された「インプラントシステムおよび使用方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/64741号、2019年12月13日に出願された「患者固有の器具類および使用方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66336号、および/または2019年12月13日に出願された「関節置換アライメントガイド、システム、および使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66408号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術での使用のためのアライメント器具および方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66149号、および/または2019年12月13日に出願された「関節置換アライメントガイド、システム、および使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66393号、および/または2019年9月11日に出願された「人工足関節全置換術での使用のための切除ガイド、スイープリーマー(Sweeping Reamers)、および方法」と題された米国仮特許出願第62/898615号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術での使用のための取り付け可能なパドルを有するディストラクター(Distractors)、インパクションデバイス(Impaction Devices)、および方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66398号、および/または2019年12月6日に出願された「トライアルインサートアセンブリ」と題された国際特許出願第PCT/US2019/65025号、および/または2019年9月12日に出願された「人工足関節全置換術手術方法」と題された米国仮特許出願第62/899460号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術の器具、ガイド、および関連方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66404号、に開示されているインプラント、システム、アセンブリ、および関連方法の少なくとも1つの特徴または態様を含むなど、類似している場合があり、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。同様に、本開示の関節面を維持、矯正、および/または表面置換するための器具、インプラント、システム、アセンブリ、および関連方法は、2019年4月24日に出願された「インプラントおよびその使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/29009号、2019年12月12日に出願された「インプラントシステムおよび使用方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/64741号、2019年12月13日に出願された「患者固有の器具類および使用方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66336号、および/または2019年12月13日に出願された「関節置換アライメントガイド、システム、および使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66408号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術での使用のためのアライメント器具および方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66149号、および/または、2019年12月13日に出願された「関節置換アライメントガイド、システム、および使用方法と組立方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66393号、および/または2019年9月11日に出願された「人工足関節全置換術での使用のための切除ガイド、スイープリーマー、および方法」と題された米国仮特許出願第62/898615号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術での使用のための取り付け可能なパドルを有するディストラクター、インパクションデバイス、および方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66398号、および/または2019年12月6日に出願された「トライアルインサートアセンブリ」と題された国際特許出願第PCT/US2019/65025号、および/または2019年9月12日に出願された「人工足関節全置換術手術方法」と題された米国仮特許出願第62/899460号、および/または2019年12月13日に出願された「人工足関節全置換術の器具、ガイド、および関連方法」と題された国際特許出願第PCT/US2019/66404号、および/または2019年11月3日に出願された「距骨形成および移植方法」と題された米国特許出願第16/672505号、および/または「全距骨インプラントおよび方法」と題された国際特許出願第PCT/US2021/046920号、および/または「局所距骨欠損に対するインプラントとその方法」と題された国際特許出願第PCT/US2021/047117号、に開示された1つまたは複数の器具(例えば、1つまたは複数の挿入器具および/または移植器具)を含み、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
図面を参照すると、複数の図を通して、同様の参照数字は、同様のまたは類似の構成要素を示すために使用されており、特に
図1~
図8を参照すると、二重関節式(dual-articulating)距骨置換システム100(簡潔にするために、本明細書では「距骨インプラントシステム100」として参照される)の例示的な実施形態が図示されている。いくつかの態様において、距骨インプラントシステム100は、足関節および距骨下関節の両方の関節形成術システムおよび/またはコンポーネントと関節接合(arculating)しながら、患者の距骨の少なくとも一部を置換するように構成されてもよい。図には示していないが、距骨インプラントシステム100は別の構成に変更できることに留意されたい。例えば、距骨インプラントシステム100は、図示のような二重関節式構成から、足関節、距骨下関節、および/または下肢の他の隣接する関節のための関節形成術システムのコンポーネントと関節接合するように構成された単一の関節インプラントに変更できる。先の例に加えて、距骨インプラントシステム100は、人工足関節全置換術用インプラントと関節接合するように構成された第1の関節部分(arculating portion)と、距骨下関節形成術用インプラントと関節接合するように構成された第2の関節部分とを含むことができる。いくつかの態様では、距骨インプラントシステム100が関節接合し得る前述の人工足関節全置換術用インプラントおよび距骨下関節形成術用インプラントは、中間コンポーネントとして示された距骨インプラントシステム100の実施を通じてでなければ、互いに適合しない可能性がある。
【0022】
距骨インプラントシステム100は、本体112を有する距骨インプラント110を含むように示されている。本体112は、患者の生来の距骨の解剖学的構造の少なくとも一部を占めるように構成されていてもよい。いくつかの態様において、距骨インプラント110(およびその一部)が患者の生来の距骨と同じおよび/またはそれに類似した1つまたは複数の特性を有するように製造される(例えば、積層造形されるか、あるいは他の製造手段で生成される)ように、患者の生来の距骨の様々な幾何学的特性および/または体積を決定するためにデータが収集されることがある(例えば、画像、X線など)。いくつかの態様において、距骨インプラント110は、患者から収集された画像データから開発されたモデルに基づいて、積層造形される(additively manufactured)か、または他の方法で製造されてもよい。例えば、距骨インプラント110は、距骨インプラント110の適合および周囲の解剖学的構造との統合を最適化するように、患者の生来の距骨と同じおよび/または類似の幾何学的特性を有するように構成されていてもよい。いくつかの態様において、距骨インプラント110は、本明細書で示され、説明されるものに加えて、様々な特徴を含んでいてもよい。例えば、距骨インプラント110は、生来の距骨に隣接する解剖学的構造に接触し、患者内への距骨インプラント110の移植および保持を容易にするように構成された1つまたは複数の骨成長面(例えば、多孔質、表面テクスチャーなど)を含んでいてもよいし、または、固定を容易にするように構成(例えば、患者の解剖学的構造に隣接する所望の位置に、生来の距骨に隣接する関節との関節固定術の一部として、など)された1つまたは複数の特徴を含んでいてもよい。また、本明細書に示され、説明された距骨インプラント110は、先に言及され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれた係属中の特許出願に示され、説明された距骨インプラントの1つまたは複数の特徴、形状、または他の特性を含んでもよいことが理解されるべきである。同様に、距骨インプラント110は、先に特定されその全体が参照により本明細書に組み込まれるものを含むがこれらに限定されない、足関節形成術システムおよび/または距骨下関節形成術システム(または距骨に隣接する足関節、距骨下関節、および/または他の関節のための他の関節形成術システム)の1つまたは複数の特徴も含んでもよいことが理解されるべきである。
【0023】
距骨インプラント110はさらに、距骨インプラント110の上部の(例えば、上、近位、脛骨などの)部分(そのため、本体112に対して上部である)に配置された第1の関節120(例えば、脛骨の関節、近位の関節、上部の(superior)関節など)を含むように示されており、第1の関節120は関節面(articularing surface)122を有する。図示された第1の関節120および関節面122は、先に列挙した公開特許および継続中の特許出願に開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、パラゴン28社が開発したApex 3D(登録商標)人工足関節全置換術システム(または他の類似システム)の距骨コンポーネントの関節と同じであるかまたは類似していてもよい。いくつかの態様において、関節面122は、関節面の様々な領域にわたる様々な曲率半径(例えば、矢状方向の半径(sagittal radii))を含んでいてもよい。例えば、関節面122は、その前方内側(anterior-medial)、前方側方(anterior-lateral)、後方内側(posterior-medial)、および後方側方(posterior-lateral)の四分円にわたって異なる半径を含んでいてもよい。さらに、いくつかの態様において、さまざまな四分円が、他の隣接する四分円よりも大きい/小さい半径を有することがある(例えば、前方側方四分円は前方内側四分円よりも大きい曲率半径を有し、後方内側四分円は後方側方四分円よりも大きい曲率半径を有する、など)。図示されているように、第1の関節120は、実質的に本体112の上部に配置されているが、本体112に対する第1の関節120の配置は、画像データまたは他のデータ(例えば、患者からの画像データ)の分析に基づいて代替的な配置であってもよい。
【0024】
距骨インプラント110はまた、距骨インプラント110の下部の(例えば、下、遠位、踵骨などの)部分(そのため、本体112に対して下部である、および/または第1の関節120から本体112とは反対側にある)に配置された第2の関節130(例えば、下、遠位、踵骨など)を含むように示されており、第2の関節130は関節面132を有する。図示された第2の関節130および関節面132は、例えば、先に列挙した公開特許および係属中の特許出願に開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、1つまたは複数の距骨下関節形成術インプラントの関節と同じであってもよい、または類似していてもよい。いくつかの態様において、関節面132は、1つまたは複数の距骨下関節形成術システム(参照により本書に組み込まれるものを含むが、これに限定されない)の1つまたは複数のコンポーネントの対応する特徴に係合する(例えば、関節接合する、開放可能に結合する、旋回する、など)ように構成された様々な特徴を含んでいてもよい。例えば、関節面132は、距骨インプラント110に対する1つまたは複数の距骨下関節形成術コンポーネントの動きを抑制するように構成された(および/またはその逆の)側方境界(例えば、細長い突起)を含んでいてもよい。図示されているように、第2の関節130は、本体112に対して実質的に下部に配置されているが、本体112に対する第2の関節130の配置は、画像データまたは他のデータ(例えば、患者からの画像データ)の分析に基づいて代替的な配置であってもよい。
【0025】
ここで
図1~
図7を参照すると、距骨インプラントシステム100は、例示的な実施形態に従って、足関節形成術システム200を含むように示されている。足関節形成術システム200は、パラゴン28社が開発したAPEX 3D(登録商標)足関節形成術システム(参照により本明細書に組み込まれた特許および係属中の出願に示され、説明されている)と同じである、および/または類似している可能性があることが理解さるべきである。しかしながら、足関節形成術システム200は、距骨インプラントシステム100の様々なコンポーネントと関節接合(インターフェース、係合、解放可能に結合など)するように構成された様々な足関節形成術システム(例えば、APEX 3D(登録商標)など)の様々なコンポーネントを含んでいてもよい。例えば、足関節形成術システム200は、脛骨コンポーネント220と結合するように構成された中間コンポーネント210を含むように示されており、脛骨コンポーネント220は、患者の遠位脛骨への移植のために構成されている(例えば、脛骨コンポーネント220の上面222は、遠位脛骨への移植を促進するように構成された特徴/形状、例えば骨成長面を含んでいてもよい)。中間コンポーネント210は、脛骨コンポーネント220の下面224との解放可能な結合または他の係合を促進するように構成された1つまたは複数の特徴を含み得る上面212を含む。中間コンポーネント210はさらに、距骨インプラント110の第1の関節120の関節面122とインターフェースするように構成された下面214を含むように示されている。いくつかの態様において、中間コンポーネントは、例えばビタミンEを注入したUHMWPEおよび/または高架橋ポリマー材料などの1つまたは複数のポリマー材料を含んでいてもよい。さらに、いくつかの態様において、中間コンポーネントは、距骨インプラント110の第1の関節120または人工足関節全置換術システム(例えば、APEX 3D(登録商標))の距骨コンポーネントの上面のいずれかと関節接合するように構成されていてもよく、距骨インプラント110および距骨コンポーネントの両方の上面は、同じまたは類似の形状を有する。距骨インプラント100、中間コンポーネント210、および脛骨コンポーネント220は、足関節形成術システム200の他のコンポーネントの1つまたは複数に対して移動(例えば、関節運動(articulate)、並進など)するように構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0026】
ここで
図1~
図8を参照すると、距骨インプラントシステム100は、例示的な実施形態に従って、距骨下関節形成術システム300を含むように示されている。距骨下関節形成術システム300は、参照により本明細書に組み込まれる特許および係属中の出願に示され、説明されている、他の距骨下関節形成術システムと同じおよび/または類似であってもよいことが理解されるべきである。しかしながら、距骨下関節形成術システム300は、距骨インプラントシステム100の様々なコンポーネントと関節接合(インターフェース、係合、解放可能に結合など)するように構成された様々な距骨下関節形成術システムの様々なコンポーネントを含んでいてもよい。例えば、距骨下関節形成術システム300は、距骨インプラント110の第2の関節130の関節面132と関節接合するように構成された上面312を有する中間コンポーネント310を含むように示されている。いくつかの態様において、中間コンポーネント310は、関節面132の少なくとも一部と相補的なサイズおよび/または形状を有していてもよく、例えば、中間コンポーネント310が距骨インプラント110に対して所望の位置内に保持されるように構成され、関節面132から延びる1つまたは複数の細長い突起によって拘束される(bound by)。距骨下関節形成術システム300はさらに、患者の踵骨に隣接しておよび/または踵骨と結合して移植されるように構成された踵骨コンポーネント320を含むように示されている。いくつかの態様において、踵骨コンポーネント320の下面324は、患者の踵骨との結合を促進するように構成された1つまたは複数の特徴(例えば、骨成長面、多孔質など)を含んでいてもよい。踵骨コンポーネント320は、中間コンポーネント310の下面と関節接合するように構成された上面322を含むように示されている。いくつかの態様において、中間コンポーネント310は、踵骨コンポーネント320の1つまたは複数の対応する特徴と係合する(例えば、解放可能に結合される、など)ように構成された1つまたは複数の特徴を含んでいてもよい。いくつかの態様において、距骨インプラント310、中間コンポーネント310、および踵骨コンポーネント320のうちの1つまたは複数は、距骨下関節形成術システム300の1つまたは複数の他のコンポーネントに対して関節運動(例えば、移動、旋回など)するように構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0027】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことを意図している。さらに、「備える(comprise)」(および「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「has」および「having」のようなhaveなどの任意の形式)、「含む(include)」(および「includes」および「including」などのincludeの任意の形式)、「含む(contain)」(および「contains」および「containing」などのcontainの任意の形式)という用語は、オープンエンドの連結動詞であることが理解される。その結果、1つまたは複数のステップまたは要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、または「含む(contains)」方法または装置は、それらの1つまたは複数のステップまたは要素を有するが、それらの1つまたは複数のステップまたは要素のみを有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特徴を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、または「含む(comtains)」方法のステップまたは装置の要素は、それらの1つまたは複数の特徴を有するが、それらの1つまたは複数の特徴のみを有することに限定されない。さらに、ある方法で構成されている装置または構造体は、少なくともその方法で構成されているが、列挙されていない方法で構成されている場合もある。
【0028】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。本明細書で説明するアーキテクチャおよび動作の実施形態は、同じ一般的な特徴、特性、および一般的なシステム動作を提供するための、複数の可能な構成の例示であることが理解されるであろう。前述の詳細な説明を読んで理解すれば、他者は変更および修正を行えるであろう。本発明は、このような変更および修正をすべて含むものとして解釈されることが意図されている。
【国際調査報告】