(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材及び緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 7/12 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
F16F7/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542316
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2022093023
(87)【国際公開番号】W WO2023137929
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210055863.3
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524266582
【氏名又は名称】湖南大学
【氏名又は名称原語表記】HUNAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】Lushan Gate, Lushan Road (S), Yuelu District Changsha, Hunan 410082 China
(71)【出願人】
【識別番号】523203034
【氏名又は名称】中国建築第五工程局有限公司
【氏名又は名称原語表記】China Construction Fifth Engineering Division Corp., Ltd
【住所又は居所原語表記】No. 158, Zhongyiyi Road, Yuhua District, Changsha City, Hunan Province 410004, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】陳 政清
(72)【発明者】
【氏名】華 旭剛
(72)【発明者】
【氏名】楊 鴎
(72)【発明者】
【氏名】周 帥
(72)【発明者】
【氏名】李 水生
【テーマコード(参考)】
3J066
【Fターム(参考)】
3J066AA26
3J066BA04
3J066BB04
3J066BC10
3J066BD07
3J066BE08
3J066BF02
(57)【要約】
本発明はエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材及び緩衝器を開示する。耐震部材はコア軸を含み、前記コア軸に第一支持部材と第二支持部材が接続され、前記第一支持部材のオーバーハング部と前記第二支持部材のオーバーハング部はそれぞれ前記コア軸の両側に配置され、前記第一支持部材と前記第二支持部材との間の夾角は180°より小さい。本部材は直接に建築フレーム構造の斜め支持部材に用いることができ、円管ねじりエネルギー消費方式で従来のBRB部材の軸方向引張圧力のエネルギー消費方式に取って代わり、支持部材が圧力を受けて屈曲する問題を解消し、鉄骨構造のエネルギー消費用の斜め支持構造を簡略化し、外部制約部材を設置する必要がなく、鋼鉄使用量を減少し、モルタル充填を避け、取り付け工期を有効に短縮し、部材の信頼性を向上させ、部材の製造コストを大幅に低下させ、幅広い応用見通しを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材であって、
コア軸(1)を含み、前記コア軸(1)に第一支持部材(21)と第二支持部材(22)を接続し、前記第一支持部材(21)のオーバーハング部と前記第二支持部材(22)のオーバーハング部はそれぞれ前記コア軸(1)の両側に配置され、前記第一支持部材(21)と第二支持部材(22)と間の夾角は180°より小さい、ことを特徴とするエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項2】
前記コア軸(1)は管構造である、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項3】
前記コア軸(1)は円管であり、前記円管の壁厚に対する外直径の比の値は8より小さい、ことを特徴とする請求項2に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項4】
前記第一支持部材(21)及び前記第二支持部材(22)は、いずれも中空ロッド部材である、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項5】
前記第一支持部材(21)は、前記コア軸(1)の中部に固定嵌設された第一接続スリーブ(31)を介して前記コア軸(1)に接続され、前記第二支持部材(22)はそれぞれ前記コア軸(1)の対応する端部に固定嵌設された2つの第二接続スリーブ(32)を介して前記コア軸(1)に接続され、前記第一支持部材(21)と第二支持部材(22)は対向して設けられる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項6】
前記第一支持部材(21)は、第一接続スリーブ(31)を介して前記コア軸(1)の一端部に嵌設される構造に置き換えることができ、前記第二支持部材(22)は、第二接続スリーブ(32)を介して前記コア軸(1)の他端部に嵌設される構造に置き換えることができる、ことを特徴とする請求項5に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項7】
前記コア軸(1)は2つに置換可能であり、前記第一支持部材(21)と前記第二支持部材(22)はそれぞれ対応する前記コア軸(1)に接続され、2つの前記コア軸(1)は、接続部材(5)を介して接続されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項8】
前記第一支持部材(21)のオーバーハング端と前記第二支持部材(22)のオーバーハング端はいずれも取り付け孔(4)を有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材。
【請求項9】
緩衝器であって、
2つ対向して設けられた、請求項1~8のいずれか1項に記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材を含み、
2つの第一支持部材(21)のオーバーハング端は接続部材(5)によって接続され、2つの第二支持部材(22)のオーバーハング端は接続部材(5)によって接続され、前記第一支持部材(21)のオーバーハング端及び前記第二支持部材(22)のオーバーハング端はいずれも対応する前記接続板(5)に回転可能に接続される、ことを特徴とする緩衝器。
【請求項10】
前記第一支持部材(21)のオーバーハング端及び前記第二支持部材(22)のオーバーハング端は、いずれもコア軸(1)によって前記接続部材(5)に固定接続されるように置換可能である、ことを特徴とする請求項9に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造物の振動減衰および免震の技術分野に関し、特にエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材及び緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨構造の震動に対する横方向の支持とエネルギー消費能力を併せ持つ部材として最も広く使用されているのが、座屈防止支持(BRB)である。一般的に、降伏強度の低い塑性金属材料を内芯材とし、拘束部材(通常、モルタル充填鋼管)、及び両者の間の無粘着材料又は隙間、から構成される。そのうち、塑性金属の内芯材は主体構造に接続され、構造が地震作用を受けた時に横方向の支持力を提供し、かつ芯材の塑性変形を利用してエネルギー消費を行う。拘束部材の主な作用は、金属の内芯材が圧力を受けた時に屈曲が不安定に発生することを抑制し、金属の内芯材が圧力を受けた時に全断面降伏に達することを確保し、内芯材のエネルギー消費能力を補強することである。無粘着材料は金属の内芯材と拘束部材の間の軸力伝達を除去するためである。しかし、前記部材の構造は比較的複雑で、特に鋼管内部にモルタル充填を行う時に施工品質の確保が難しく、かつ、前記内芯材の屈曲を防止する構造措置もBRB部材の鋼材使用量とコストの高さを招く。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、従来の座屈防止支持部材に存在する構造が比較的複雑で、鋼鉄の使用量が比較的大きく、内部モルタル充填時の施工品質の確保が難しいなどの欠点を克服し、エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材及び緩衝器。
【0004】
前記課題を実現するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材であって、コア軸を含み、前記コア軸に第一支持部材と第二支持部材が接続され、前記第一支持部材のオーバーハング部と前記第二支持部材のオーバーハング部が前記コア軸の両側にそれぞれ配置され、前記第一支持部材と第二支持部材の間の夾角が180°より小さい。
【0005】
前記夾角が初期夾角であり、好ましくは、前記夾角が90°~160°である。
【0006】
本発明では前記エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材を採用し、核心部材にコア軸を採用してエネルギー消費部材とし、対向して配置される第一支持部材と第二支持部材がそれぞれ主体構造の対応位置の接続に用いられ、従来のBRB部材の主体構造への回転可能接続方式との一致を保持し、フレーム対角線に沿う斜め支持構造を形成し、前記第一支持部材のオーバーハング部と前記第二支持部材のオーバーハング部が前記コア軸の両側に対向して配置され、前記第一支持部材と第二支持部材の間の夾角が180°より小さく、即ち耐震部材を折れ線形の構造に形成させる。第一支持部材のオーバーハング端(コア軸から離れた端)と第二支持部材のオーバーハング端(コア軸から離れた端)が外部負荷作用を受ける時、第一支持部材のオーバーハング端と第二支持部材のオーバーハング端の間の相対位置が変化し、第一支持部と第二支持部材の間の夾角が変化し、さらにコア軸にねじり変形を発生させ、それによりトルクを生成し、該トルクは支持ロッドに曲げモーメントと軸力を生成させ、それにより外部負荷作用に抵抗し、部材に負荷能力を備えさせることができる。
【0007】
各部材のパラメータは設計要求によって確定し、第一支持部材と第二支持部材の剛性、コア軸の構造寸法及び初期夾角を調整することによって外部負荷作用がある臨界値を超えた後にコア軸が全断面塑性状態に入ることを実現し、面内ねじりせん断応力はどこでも等しく、第一支持部材と第二支持部材はいずれも弾性域内にある。金属材料の塑性エネルギー消費性能を十分に利用して、地震エネルギーを消費する効果を達することによって、前記部材はエネルギー消費・耐震の性能を有するため、エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を有する。本部材は従来のBRB部材の軸方向引張圧のエネルギー消費方式を突破し、支持部材が圧力を受けて屈曲する問題を解消し、鉄骨構造のエネルギー消費用の斜め支持構造を簡素化し、外部拘束部材を設置する必要がなく、鋼材の使用量を減少し、モルタルの充填を回避し、取り付け工期を有効に短縮し、部材の信頼性を向上させ、部材の製造コストを大幅に下げ、幅広い用途が期待できる。
【0008】
好ましくは、前記コア軸は管構造である。
【0009】
さらに好ましくは、前記コア軸は円管であり、壁厚に対する前記円管の外直径の比の値は8より小さい。
【0010】
さらに、鋼材の使用量を下げ、同時に、厚い壁によって有効なエネルギー消費能力を確保し、またコア軸の局部屈曲が回避され、部材の信頼性を確保し、且つ各部材での鋼材の使用量を低下させる。
【0011】
好ましくは、前記第一支持部材と前記第二支持部材はいずれも中空ロッド部材である。
【0012】
中実部材に対して、さらに鋼材の使用量を低下させることに有利で、断面形式は円形、矩形などを採用でき、その寸法、肉厚は長さ、支持力需要などによって確定する。
【0013】
さらに好ましくは、前記第一支持部材と第二支持部材の形状、寸法がいずれも同じ等断面部材である。
【0014】
好ましくは、前記第一支持部材は前記コア軸の中部に嵌設された第一接続スリーブによって前記コア軸に接続される。前記第二支持部材はそれぞれ前記コア軸の対応端部に嵌設された2つの第二接続スリーブによって前記コア軸に接続され、前記第一支持部材と第二支持部材は対向して配置される。
【0015】
好ましくは、前記第一支持部材は、第一接続スリーブによって前記コア軸の一端部に固定嵌設される構造に取り替えられ、前記第二支持部材は、第二接続スリーブによって前記コア軸の他端部に固定嵌設される構造に取り替えられる。前記第一支持部材と前記第二支持部材はそれぞれ前記コア軸の両端に位置し、ずれて配置される。
【0016】
好ましくは、前記コア軸は2つに取り替えられ、前記第一支持部材と第二支持部材はそれぞれ対応する前記コア軸に接続され、2つの前記コア軸は接続部材によって接続される。
【0017】
前記コア軸は接続部材と固定接続され、前記第一支持部材と前記第二支持部材はそれぞれ対応する前記コア軸にねじり変形を発生させる。
【0018】
さらに好ましくは、前記第一支持部材のオーバーハング端と前記第二支持部材のオーバーハング端はいずれも取り付け孔を有する。
【0019】
取り付け孔を介してプラグを接続して取り付けることができ、取り付け効率を有効的に向上させる。前記取り付け孔はコア軸を取り付けるために用いられてもよい。
【0020】
緩衝器であって、対向して配置された2つの上記いずれかに記載のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材を含む。2つの第一支持部材のオーバーハング端は接続部材によって接続される。2つの第二支持部材のオーバーハング端は接続部材によって接続される。前記第一支持部材のオーバーハング端と前記第二支持部材のオーバーハング端はいずれも対応の前記接続板に回転可能に接続される。
【0021】
本発明の前記緩衝器を採用すると、対向する2つの接続部材の相対位置が変化する場合、前記コア軸をねじり変形させ、エネルギーを消費し、有効的に緩衝を実現する。現在、ロケットや空中投下重量物の着陸を保護、或は地面や構造物が高速落下する重量物の損害を受けないように保護するためには、ストロークが大きく高エネルギー消費の緩衝器が必要である。現在、この種類の緩衝器では一般的に発泡アルミニウムがエネルギー消費材料として使用される。しかしそれは一回だけしか使用できず、正確な計算モデルを確立しにくい。本願の緩衝器を採用した計算モデルは明確である。支持部材の長さを増大することによって、ストロークとエネルギー消費を増加でき、且つ一般的にコア軸だけがねじれ、他の部材を損壊することなく、延性がよい金属であるコア軸はまた強制的に変形を回復させることができ、それによって複数回の使用が可能となる。
【0022】
好ましくは、2つの前記耐震部材の開口は向かい合って設置する。鋼材の使用量をさらに低下させるのに有利である。
【0023】
さらに好ましくは、前記第一支持部材のオーバーハング端と前記第二支持部材のオーバーハング端はいずれも、コア軸によって前記接続部材に固定接続する構造に取り替えられる。
即ち両端はいずれもコア軸を採用し、エネルギー消費能力を有効的に補強する。
【0024】
以上をまとめると、従来技術と比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
1、本発明の前記エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材を採用し、第一支持部材のオーバーハング端と第二支持部材のオーバーハング端との間の相対位置が変化し、第一支持部材と第二支持部材との間の夾角を改変させ、さらにコア軸にねじり変形を発生させ、トルクを生成し、前記トルクはまた支持ロッドに曲げモーメントと軸力を生成させ、これによって外部負荷作用に抵抗し、部材に負荷能力を有させることができる。外力の作用下で、コア軸の断面は塑性降伏状態に入って、地震エネルギーを消費する効果を達することができ、それで前記部材はまたエネルギー消費・耐震の能力を有する。これによってエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を具備する。
2、本部材は、ねじりエネルギー消費方式で従来のBRB部材の軸方向引張圧のエネルギー消費方式に代わるものであって、支持部材が圧力を受けて屈曲する問題を解消し、鉄骨構造のエネルギー消費用の斜め支持構造を簡素化し、外部拘束部材を設置する必要がなく、鋼材の使用量を減少させ、モルタルの充填を回避し、取り付け工期を有効に短縮し、部材の信頼性を向上させ、部材の製造コストを大幅に低下させる。
3、鋼材の使用量が低くかつコア軸が局部的に屈曲することがなく、部材の信頼性が高い。
4、本発明の前記緩衝器を採用すると、設計計算方式が明確である。支持部材の長さを増大することによって、ストロークとエネルギー消費を増加することができる。かつ一般的な状況下ではコア軸だけにねじれが発生し、他の部材を損壊することがなく、延性のよい金属であるコア軸はまた強制的に変形を回復することができるため、何度も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材の構造概略図である。
【
図3】実施形態1のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材の使用概略図である。
【
図4】実施形態2のエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材の使用概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面及び具体的な実施形態を結合し、本発明を更に詳細に説明する。しかし、前記主題の範囲が以下の実施形態に限定されると理解されるべきではない。本発明の内容に基づいて実現される技術はすべて本発明の範囲に属する。
【0027】
実施形態1
エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材であって、
図1~2に示すように、コア軸1を含み、前記コア軸1は第一支持部材21と第二支持部材22に接続され、前記第一支持部材21のオーバーハング部と前記第二支持部材22のオーバーハング部はそれぞれ前記コア軸1の両側に配置され、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22は対向して配置され、すなわちできるだけ同一平面内に位置し、コア軸1だけがねじり変形することを確保し、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22との間の夾角は180°より小さく、
図1に示す折れ線形構造を形成し、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22との間の夾角はエネルギー消費需要、適用場面などに従って設計され、前記コア軸1に複数の前記第一支持部材21と前記第二支持部材22とを設置することもできる。
【0028】
具体的には、コア軸1の材料、構造パラメータは部材変形とエネルギー消費需要によって確定され、鋼製部材を採用すれば、前記コア軸1は中実部材又は中空部材を採用することができ、好ましくは、前記コア軸1は円形断面の中空管構造を採用し、その壁厚、直径はエネルギー消費及び負荷需要によって確定され、前記円管の壁厚に対する外直径の比の値は8より小さく、さらに鋼材の使用量を低下させ、同時に、コア軸1の局部屈曲を回避し、部材の信頼性を確保し、もちろんいくつかの場面では他の断面形式を採用することもできる。前記第一支持部材21と前記第二支持部材22との間の夾角は初期取り付け夾角であり、耐震設計によって所定のフレーム層間の許容弾性変位角と塑性変位角によって設計し、第一支持部材21と第二支持部材22内の軸力を合理的な状態にさせる。許容弾性変形変位角を超える時、コア軸1を可塑性降伏エネルギー消費区に進入させ、かつ塑性変形許容変位角内に、コア軸1はできるだけ大きいねじり歪みを生成し、最善のエネルギー消費効果を達成する。
【0029】
好ましくは、前記第一支持部材21と第二支持部材22はいずれも中空ロッド部材であり、構造支持性がよく、かつ鋼材の使用量が低く、断面形式が円形、矩形であってもよく、工字型などを選択してもよく、設計を容易にするために、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22は形状寸法が同じである等断面部材であることが好ましい。前記第一支持部材21及び前記第二支持部材22は溶接のような方式によって前記コア軸1に接続できる。本実施形態では、前記第一支持部材21は第一接続スリーブ31によって前記コア軸1の中部に固定嵌設する。前記第二支持部材22は2つの第二接続スリーブ32によって前記コア軸1に固定嵌設する。2つの前記第二接続スリーブ32はそれぞれ前記第一接続スリーブ31の両側に対称に配置され、前記第一支持部材21及び前記第二支持部材22はいずれも前記コア軸1の中部に位置して同一面に設けられ、部材の安定性が更に確保される。好ましくは、
図2に示すように、2つの前記第二接続スリーブ32はそれぞれ前記コア軸1の対応する端部に位置し、鋼材の使用量を更に低下させる。第一接続スリーブ31と第一支持部材21との間の接続部、第二接続スリーブ32と第二支持部材22との間の接続部は、いずれも一定の曲げモーメントを受けなければならず、局部剛性を増強することによって解決できる。
【0030】
使用時に、本体構造との回転可能接続方式が既存の直線型BRB部材と一致し、斜めの対角取付を形成し、本実施形態はフレーム構造建築を例とし、
図3に示すように、前記第一支持部材21は下層フレーム左側に回転可能に接続され、前記第二支持部材22は上層フレーム右側に回転可能に接続され、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22の接続位置も左右側互換、上下層互換できるが、核心部材(エネルギー消費部材)の両端は直接に本体構造に接続されていない。前記第一支持部材21と前記第二支持部材22との間の夾角は140°~150°で、これにより本部材の斜め配置取付と水平力でのせん断変形に有利で、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22の遠端は回転でき、取り付けを便利にするために、前記第一支持部材21の遠端と前記第二支持部材22の遠端はいずれも取り付け孔4を有し、例えば接続板を設置することを介して、接続板に取り付け孔4が設けられ、取り付け孔4に挿設されたピンによってフレーム構造におけるノード板の接続孔と接続されるため、取り付け効率が高い。
【0031】
第一支持部材21の下端と第二支持部材22の上端は水平負荷でせん断変形を発生する時に、両端間の相対位置は変化し、第一支持部材21と第二支持部材22との間の夾角を変化させ、さらにコア軸1にねじり変形を発生させ、トルクを発生し、前記トルクはまた支持ロッドに曲げモーメントと軸力を発生させ、外部負荷作用に抵抗し、部材に耐荷重能力を有させる。地震の水平力の作用下で、コア軸1の断面は塑性降伏状態に入って、充分に金属材料の塑性エネルギー消費性能を利用し、地震エネルギーを消費する効果を達し、そのため前記部材はまたエネルギー消費・耐震の能力を有し、これによってエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を具備する。本部材は、従来のBRB部材の軸方向引張圧のエネルギー消費方式を突破し、ねじりエネルギー消費の支持構造を採用することで、支持部材が圧力を受けて屈曲するという問題を解消し、鉄骨構造のエネルギー消費用の斜め支持構造を簡素化し、外在拘束部材を設置する必要がなく、鋼材の使用量を減少し、モルタル充填を回避し、取り付け工期を有効に短縮し、部材の信頼性を向上させ、部材の製造コストを大幅に低下させ、幅広い用途が期待できる。
【0032】
コア軸1がQ235鋼材を採用することを例とし、その引張降伏強度は約305MPaであり、ねじり降伏強度は約220MPaである。既存の直線型BRB部材を採用すれば、降伏エネルギー消費セグメントの長さが1650mmであり、面積が419mm
2であり、遷移セグメント(核心部材の張出セグメントと降伏セグメントとの間の部分)の長さが1120mmであり、座屈防止スリーブが200*100*10mmであり、全体の鋼材の使用量が約180kgである。降伏荷重(支持力)は127.8kNであり、線形BRB部材の伸び率を2%と仮定すると、片道の仕事量は約7.05kJである。本願の耐震部材を採用すれば、コア軸1の内径40mm、外径80mm、長さ160mm、初期開放角は150°と仮定し、
図4中の取り付け孔4の中心距離2770mmを仮定すると、全体の鋼材の使用量は約140kgであり、明らかに鋼材の使用量を減少させ、降伏トルクは51.6kN*mであり、対応する最大支持力は209.44kNである。接続端の伸長率を2%と仮定すると、片道の仕事量は約8.92kJであり、以上を総合すると、本発明の耐震部材の各性能はいずれも従来のBRB部材より優れている。
【0033】
また、前記第二支持部材22は、前記第二接続スリーブを一つだけ接続してもよく、前記第一接続スリーブ31及び前記第二接続スリーブ32は、それぞれ前記コア軸1の両端部に嵌設され、前記第一支持部材21及び前記第二支持部材22はずれて配置される。
【0034】
実施形態2
エネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材であって、その構成は実施形態1とほぼ同じであるが、異なる点は以下の通りである。前記コア軸1は2つに取替えることができ、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22はそれぞれ対応の前記コア軸1に接続され、2つの前記コア軸1は接続部材5によって接続され、
図4~5に示すように、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22は対称に配置され、前記第一接続スリーブ31と前記第二接続スリーブ32は実施形態1の前記第一接続スリーブ31と同じ構造であってもよく、いずれも対応するコア軸1の中部に嵌設され、前記接続部材5は溝型構造部材を採用できる。2つの前記コア軸1はいずれも溝型構造部材の2つの側板に固定接続され、前記第一支持部材21と前記第二支持部材22はそれぞれ対応する前記コア軸1にねじり変形を発生させる。
【0035】
実施形態3
緩衝器であって、対向して配置された2つの、実施形態1又は実施形態2に記載するエネルギー消費及び耐荷重という二重機能を備える耐震部材を含む。2つの第一支持部材21のオーバーハング端は接続部材5によって接続され、2つの第二支持部材22のオーバーハング端は接続部材5によって接続され、また前記第一支持部材21のオーバーハング端と他の耐震部材の前記第二支持部材22のオーバーハング端とが接続部材5によって接続されることも可能であって、前記第一支持部材21のオーバーハング端と前記第二支持部材22のオーバーハング端はいずれも対応の前記接続板5に回転可能に接続され、いずれも取り付け孔4に挿設されたピン軸によって前記接続板5に接続される。2つの前記耐震部材は同じ構造を採用することが適当であり、例えばいずれも実施形態1の第一支持部材21と第二支持部材22が同じコア軸1に嵌設された構造であったり、いずれも実施形態2の第一支持部材21と第二支持部材22がそれぞれ1つのコア軸1に嵌設された構造であったりする。
【0036】
図6に示すように、左右両側に実施形態2に示す耐震部材がそれぞれ1つずつあり、2つの前記耐震部材の開口は向かい合って設置されてもよいし、背向きに設置されてもよい。2つの耐震部材の間は接続部材5によって接続される。前記接続部材5は実施形態2と同じ溝型構造部材を採用してもよく、具体的に使用する場合には、前記耐震部材内部の2つの接続部材5(
図6の左右両側)が相対位置を変化させるために用いられてもよいし、2つの耐震部材を接続する接続部材5(
図6の上下両側)が相対位置を変化させるために用いられてもよい。地面上の縦方向の緩衝に使用する場合には、
図6中の下側の接続部材5は地面を固定接続し、上側の接続部材5は外部衝撃を受けるために使用し、これに対応して、
図6に示すように、2つの接続部材5の底板は広く設けられることが好ましい。
【0037】
また、前記第一支持部材21のオーバーハング端と前記第二支持部材22のオーバーハング端は、いずれもコア軸1を介して前記接続部材5に固定接続される構造に置き換えることができ、図中の取り付け孔4の位置はコア軸1を用いて対応する接続部材5に接続することができ、エネルギー消費能力を補強することに有利である。
【0038】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲内で行われる修正、均等置換、及び改善等は、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0039】
1-コア軸、21-第一支持部材、22-第二支持部材、31-第一接続スリーブ、32-第二接続スリーブ、4-取り付け孔、5-接続部材。
【国際調査報告】