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特表2025-502379CD25を標的とする抗体及びその製造方法と応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】CD25を標的とする抗体及びその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250117BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250117BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250117BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20250117BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250117BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20250117BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20250117BHJP
   A61K 35/17 20250101ALI20250117BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20250117BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K14/47
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N5/10
C12N5/0783
C12P21/08
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 L
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/761
A61K35/17
A61P37/04
G01N33/53 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542360
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2023072439
(87)【国際公開番号】W WO2023134766
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210051233.9
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522493078
【氏名又は名称】諾納生物(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nona Biosciences (Suzhou) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Suite 202, Building A3, 218 Xinghu Street, Suzhou Industrial Park, Suzhou, Jiangsu 215000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】潘 秋明
(72)【発明者】
【氏名】王 承恩
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲進▼秋
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲艶▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲遠▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】王 永▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 楚楚
(72)【発明者】
【氏名】潘 宏▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】戒 一平
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ ▲海▼山
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064AG30
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB072
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC032
4C084ZC412
4C084ZC752
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BC83
4C087CA04
4C087CA09
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、CD25を標的とする抗体もしくはその変異体を開示し、前記CD25を標的とするモノクローナル抗体は、天然に存在する抗体であり、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合する活性を有し、Fc操作後により高いADCC効果を有し、インビトロ実験においてTreg及びリンパ腫細胞を除去する作用を有するとともに、IL-2のシグナル経路を遮断しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD25を標的とする抗体もしくはその変異体であって、前記抗体は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含み、ここで、前記抗体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 96、111及び133に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 20、44及び74に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 104、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 22、46、76に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、48、78に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 97、113及び129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 16、40及び70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116及び135に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、47及び77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 95、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、38、68に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 98、114、130に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 17、41、71に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 99、115、131に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、72に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 100、113、132に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、43、73に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 103、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 21、45、75に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 105、111、136に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、80に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、ことを特徴とするCD25を標的とする抗体もしくはその変異体。
【請求項2】
前記変異体は、CD25を標的とする抗体のアミノ酸配列に1~3個のアミノ酸残基の付加、欠失又は置換が発生するものであり、好ましくは、前記変異体は、前記抗体の重鎖可変領域のHCDR1の1位、HCDR2の3位にアミノ酸残基の置換が発生し、及び/又は、前記抗体の軽鎖可変領域のLCDR1の10~11位、LCDR3の1又は4位にアミノ酸残基の置換が発生するものであり、より好ましくは、前記変異体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、139に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 102、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、137に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、51、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 171に示されるか又はSEQ ID NO: 171と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 153に示されるか又はSEQ ID NO: 153と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 173に示されるか又はSEQ ID NO: 173と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 155 に示されるか又はSEQ ID NO: 155と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 175に示されるか又はSEQ ID NO: 175と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 157に示されるか又はSEQ ID NO: 157と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVH を含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 165に示されるか又はSEQ ID NO: 165と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 148に示されるか又はSEQ ID NO: 148と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 174に示されるか又はSEQ ID NO: 174と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 156に示されるか又はSEQ ID NO: 156と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 163に示されるか又はSEQ ID NO: 163と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 146に示されるか又はSEQ ID NO: 146と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 166に示されるか又はSEQ ID NO: 166と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 149に示されるか又はSEQ ID NO: 149と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 167に示されるか又はSEQ ID NO: 167と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 150に示されるか又はSEQ ID NO: 150と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 168に示されるか又はSEQ ID NO: 168と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 151に示されるか又はSEQ ID NO: 151と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 172に示されるか又はSEQ ID NO: 172と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 154に示されるか又はSEQ ID NO: 154と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 177に示されるか又はSEQ ID NO: 177と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 159に示されるか又はSEQ ID NO: 159と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 169に示されるか又はSEQ ID NO: 169と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 180に示されるか又はSEQ ID NO: 180と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 170に示されるか又はSEQ ID NO: 170と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 178に示されるか又はSEQ ID NO: 178と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 161に示されるか又はSEQ ID NO: 161と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗体もしくはその変異体。
【請求項4】
前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体及び完全ヒト抗体という群から選択され、好ましくは、
前記抗体もしくはその変異体の構造は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、IgG、Fd、dAb、又は前記抗体もしくはその変異体を含む二重特異性抗体もしくは多重特異性抗体、又は上記抗体から製造されたモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体であり、前記Fvは、好ましくは、scFvであり、
好ましくは、前記IgG構造を有する抗体もしくはその変異体は、軽鎖と重鎖とを含み、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 207に示されるか又はSEQ ID NO: 207と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 189に示されるか又はSEQ ID NO: 189と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 209に示されるか又はSEQ ID NO: 209と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 191に示されるか又はSEQ ID NO: 191と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 211に示されるか又はSEQ ID NO: 211と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 193に示されるか又はSEQ ID NO: 193と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 201に示されるか又はSEQ ID NO: 201と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 184に示されるか又はSEQ ID NO: 184と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 210に示されるか又はSEQ ID NO: 210と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 192に示されるか又はSEQ ID NO: 192と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 199に示されるか又はSEQ ID NO: 199と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 182に示されるか又はSEQ ID NO: 182と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 202に示されるか又はSEQ ID NO: 202と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 185に示されるか又はSEQ ID NO: 185と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 203に示されるか又はSEQ ID NO: 203と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 186に示されるか又はSEQ ID NO: 186と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 204に示されるか又はSEQ ID NO: 204と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 187に示されるか又はSEQ ID NO: 187と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 208に示されるか又はSEQ ID NO: 208と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 190に示されるか又はSEQ ID NO: 190と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 213に示されるか又はSEQ ID NO: 213と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 195に示されるか又はSEQ ID NO: 195と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 205に示されるか又はSEQ ID NO: 205と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 216に示されるか又はSEQ ID NO: 216と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 206に示されるか又はSEQ ID NO: 206と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 214に示されるか又はSEQ ID NO: 214と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるか又はSEQ ID NO: 196と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるか又はSEQ ID NO: 215と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 197に示されるか又はSEQ ID NO: 197と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるか又はSEQ ID NO: 215と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるか又はSEQ ID NO: 196と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体もしくはその変異体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体もしくはその変異体を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体もしくはその変異体、又は請求項5に記載のキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸。
【請求項7】
組換え発現ベクターであって、請求項6に記載の単離された核酸を含み、好ましくは、前記組換え発現ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスベクターであり、前記ウイルスベクターは、好ましくは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターである、組換え発現ベクター。
【請求項8】
形質転換体であって、宿主細胞に請求項7に記載の組換え発現ベクターを含み、好ましくは、前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、より好ましくは、前記宿主細胞は、酵母細胞、哺乳類細胞又は抗体もしくはその抗原結合断片の製造に適した他の細胞から選択され、ここで、前記哺乳類細胞は、例えば、293細胞又はCHO細胞である、形質転換体。
【請求項9】
免疫細胞であって、請求項5に記載のキメラ抗原受容体を含み、好ましくは、前記免疫細胞は、T細胞又はNK細胞であり、より好ましくは、前記NK細胞は、末梢血NK細胞、臍帯血由来NK細胞、幹細胞分化NK細胞、又はNK細胞株例えばNK-92細胞株である、免疫細胞。
【請求項10】
CD25を標的とする抗体もしくはその変異体の製造方法であって、請求項8に記載の形質転換体を培養し、培養物からCD25を標的とする抗体もしくはその変異体を得ることを含む、方法。
【請求項11】
細胞傷害性薬剤と、請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体とを含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項12】
医薬組成物であって、請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞及び/又は請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート、及び薬学的に許容可能なキャリアを含み、
好ましくは、前記医薬組成物は、ホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数をさらに含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞、請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項12に記載の医薬組成物の、腫瘍を診断、予防及び/又は治療する薬物の製造における応用。
【請求項14】
キットであって、請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞、又は請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート又は請求項12に記載の医薬組成物を含み、
好ましくは、前記キットは、(i)抗体もしくはその変異体又はキメラ抗原受容体又は免疫細胞又は抗体薬物コンジュゲート又は医薬組成物を投与する装置、及び/又は(ii)取り扱い説明書をさらに含む、キット。
【請求項15】
キットAとキットBとを含むパーツキットであって、
前記キットAは、請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその抗原結合断片、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞、請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項12に記載の医薬組成物を含有し、
前記キットBは、他の抗腫瘍抗体又は前記他の抗腫瘍抗体を含む医薬組成物、及び/又はホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数を含有する、パーツキット。
【請求項16】
CD25を検出する方法であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体もしくはその変異体、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項9に記載の免疫細胞、請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項12に記載の医薬組成物を使用することを含み、好ましくは、前記検出は、診断及び/又は治療を目的としない、方法。
【請求項17】
癌に罹患している被験体の病症を予防、治療又は軽減する方法であって、治療有効量の請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞、請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項12に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、方法。
【請求項18】
被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞数を減少させる方法であって、有効量の請求項1~4のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項5に記載のキメラ抗原受容体、請求項6に記載の単離された核酸、請求項7に記載の組換え発現ベクター、請求項8に記載の形質転換体、請求項9に記載の免疫細胞、請求項11に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項12に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2022/1/17である中国特許出願2022100512339の優先権を主張する。本願は、上記中国特許出願の全てを参照する。
(技術分野)
【0002】
本願は、バイオ医薬分野に関し、具体的には、CD25を標的とする抗体もしくはその変異体、及びその製造方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
制御性T細胞(Treg)は、体内の自己免疫反応性を制御するT細胞サブグループであり、生体の免疫寛容、自己免疫及び抗腫瘍免疫の維持において重要な役割を果たす。既存の研究から、腫瘍浸潤性Treg細胞の増加が、様々な腫瘍の予後と負の相関を示すことが見出された。また、腫瘍微小環境におけるエフェクターT細胞(Teff)とTregとの比率の高低は、腫瘍の進行及び治療効果に影響を与える。これらの研究により、Tregに対する抗腫瘍治療スキームが潜在的な価値を有することが示唆されているが、臨床的には、Tregを標的とする抗腫瘍療法の成功例がほとんどなく、主な原因は、Tregを特異的に標的とするマーカー分子の設計に用いられ得るものがまだ明確でないことである。マウス実験では、抗CTLA-4の抗体は、腫瘍浸潤性Treg細胞を除去する効果を示し、この効果は、Fc受容体(FcRs)の活性化により実現される。しかしながら、臨床実験では、抗CTLA-4抗体によるTregに対する除去作用は、まだ明確ではない。いくつかの研究から、抗CTLA-4抗体とFcRsとの親和性の補強が、抗体臨床実験の効果を改善できることを見出したが、全てのCTLA-4抗体治療がいずれもTreg細胞の減少を引き起こすわけではない。そのため、Tregを標的とする抗腫瘍治療を実現するために、Tregを標的とする特異性標識分子抗体の開発は依然として必要とされている。
【0004】
CD25は、インターロイキン-2受容体のα鎖(IL2Rα)であり、Treg細胞において構成的に高発現するが、Teff細胞においてCD25の発現量がより低い。この特性により、CD25は、Treg細胞を特異的に標的とすることができる潜在的な標的となる。しかしながら、マウス及び臨床実験における抗CD25抗体に対する研究が不足しているため、その発展は制限されている。最近の研究により、マウス実験では、抗CD25抗体とFcRsとの親和性を増加することにより、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)を補強することは、抗体のインビボ抗腫瘍活性を有意に向上させることができることが発見された。また、研究により、Fc最適化によりADCC機能を補強した抗CD25抗体は、抗PD-1抗体のインビボ抗腫瘍活性を有意に向上させることができることが発見された。一方、CD25は、ホジキンリンパ腫及び複数の非ホジキンリンパ腫のいずれにも発現し、成人T-細胞白血病/リンパ腫及び有毛細胞白血病においてCD25の発現率が100%に近い。血液腫瘍におけるCD25の高発現に基づいて、CD25を標的とする抗体薬物複合体(ADC)の研究はホットスポットとなった。従来の抗CD25のADC薬物ADCT-301は、ホジキンリンパ腫の臨床研究では優れた治療効果を示した。Treg及びリンパ腫細胞におけるCD25の高発現に基づいて、この標的抗体薬物の開発は、Fc最適化によるADCC機能補強により抗腫瘍効果を実現することができ、一方、ADCの方法によっても開発され得る。
【0005】
抗CD25抗体薬物の開発は、以前に、モノクローナル抗体とADCとを含む、リガンドであるインターロイキン-2に対する遮断抗体に焦点を当てた。最近の研究により、インターロイキン-2を遮断しない抗CD25抗体は、マウス実験ではより優れた抗腫瘍活性を示すことが発見され、これは、CD25がエフェクターT細胞(Teff)にも発現し、遮断抗体がインターロイキン-2のシグナル経路を阻害することによって、Teffの活性を阻害するためである可能性がある。Teffは、腫瘍免疫の過程で主な機能を果たす細胞であり、遮断抗体のこの特性は、その抗腫瘍作用を弱める。非遮断型抗CD25抗体は、この問題を回避し、より顕著な抗腫瘍活性を有する。
【0006】
抗CD25モノクローナル抗体を開発戦略とする分野では、現在、抗CD25インターロイキン-2非遮断型抗体の開発に多くの会社が取り組んでおり、最も進んでいるのはロシュのRG6292であり、第1相臨床研究であり、適応症が固形腫瘍である。ADCを開発戦略とする分野においても、多くの会社が研究を進めているが、最も進んでいるのはADCT-301であり、現在第2相臨床研究であり、適応症がホジキンリンパ腫である。しかしながら、臨床的には、選択性の高い抗CD25インターロイキン-2非遮断型抗体はまだ存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、親和性が高く、選択性が高く、生物学的活性が高い抗CD25インターロイキン-2非遮断抗体もしくはその変異体を提供し、且つ細胞にエンドサイトーシスされる能力を有し、ADC薬物の開発に適した抗体分子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、CD25を標的とする抗体もしくはその変異体を提供し、前記抗体は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含み、ここで、前記抗体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 96、111及び133に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 20、44 及び 74に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 104、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 22、46、76に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、48、78に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 97、113及び129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 16、40 及び 70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116及び135に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、47 及び 77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 95、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、38、68に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 98、114、130に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 17、41、71に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 99、115、131に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、72に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 100、113、132に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、43、73に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 103、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 21、45、75に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 105、111、136に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、80に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含むことを特徴とする。
【0009】
当業者に周知されるように、当分野では、様々な方法によって抗体のCDRを定義することができ、例えば、抗体の三次元構造及びCDRループのトポロジーに基づくChothia(Chothiaら. (1989) Nature 342: 877-883,Al-Lazikaniら,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948 (1997)) 、抗体配列可変性に基づくKabat(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第4版,U.S. Department of Health and Human Services,National Institutes of Health (1987)),AbM (University of Bath),Contact (University College London)、国際ImMunoGeneTics database (IMGT) (ワールドワイドウェブimgt.cines.fr/)、及び多数の結晶構造を利用する近接伝播クラスタリング(affinity propagation clustering)に基づくNorth CDR定義である。本発明では、列挙されるCDRのアミノ酸配列は、いずれもChothia定義規則に従って示されるものである(本発明の請求項においてもChothia定義規則に従って示される配列である)。
【0010】
ここで、Laa-Lbbは、抗体軽鎖のN末端から、aa位~bb位のアミノ酸配列を指してもよく、Haa-Hbbは、抗体重鎖のN末端から、aa位~bb位のアミノ酸配列を指してもよい。例えば、L24~L34は、抗体軽鎖のN末端から、Chothia番号付け規則に従う24位~34位のアミノ酸配列を指してもよく、H26~H32は、抗体重鎖のN末端から、Chothia番号付け規則に従う26位~32位のアミノ酸配列を指してもよい。
【0011】
当業者であれば理解できるように、特に規定されていない限り、所定の抗体もしくはその領域(例えば、可変領域)の「CDR」及び「相補性決定領域」という用語は、本発明に記述されている上記既知のスキームのうちのいずれか一つにより定義される相補性決定領域をカバーすると理解されるべきである。本発明の請求項において請求される範囲が、Chothia定義規則に基づいて示された配列であるが、他のCDRの定義規則に基づく対応するアミノ酸配列も本発明の保護範囲に入る。
【0012】
そのため、本発明で定義された具体的なCDR配列で抗体を限定する場合、前記抗体の範囲は、その可変領域配列が前記の具体的なCDR配列を含むが、異なるスキーム(例えば、異なるCDR定義規則又は組み合わせ)を適用したため、その記載されているCDR境界が本発明で定義された具体的なCDR境界と異なる抗体をさらにカバーしている。
【0013】
ある具体的な実施例において、前記変異体は、CD25を標的とする抗体のアミノ酸配列に1~3個のアミノ酸残基の付加、欠失又は置換が発生するものである。
【0014】
好ましくは、前記変異体は、前記抗体の重鎖可変領域のHCDR1の1位、HCDR2の3位にアミノ酸残基の置換が発生し、及び/又は、前記抗体の軽鎖可変領域のLCDR1の10~11位、LCDR3の1又は4位にアミノ酸残基の置換が発生するものであり、
好ましくは、前記変異体は、アミノ酸配列が元のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有し、前記抗体と目的抗原との結合を維持又は改善し、前記少なくとも85%の配列同一性は、好ましくは、少なくとも90%の配列同一性であり、より好ましくは、少なくとも95%、96%、97%又は98%の配列同一性であり、最も好ましくは、少なくとも99%の配列同一性である。
【0015】
より好ましくは、前記変異体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、139に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 102、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、137に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、51、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
【0016】
ある具体的な実施例において、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 171に示されるか又はSEQ ID NO: 171と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 153に示されるか又はSEQ ID NO: 153と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 173に示されるか又はSEQ ID NO: 173と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 155に示されるか又はSEQ ID NO: 155と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 175に示されるか又はSEQ ID NO: 175と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 157に示されるか又はSEQ ID NO: 157と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 165に示されるか又はSEQ ID NO: 165と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 148に示されるか又はSEQ ID NO: 148と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 174に示されるか又はSEQ ID NO: 174と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 156に示されるか又はSEQ ID NO: 156と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 163に示されるか又はSEQ ID NO: 163と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 146に示されるか又はSEQ ID NO: 146と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 166に示されるか又はSEQ ID NO: 166と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 149に示されるか又はSEQ ID NO: 149と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 167に示されるか又はSEQ ID NO: 167と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 150に示されるか又はSEQ ID NO: 150と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 168に示されるか又はSEQ ID NO: 168と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 151に示されるか又はSEQ ID NO: 151と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 172に示されるか又はSEQ ID NO: 172と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 154に示されるか又はSEQ ID NO: 154と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 177に示されるか又はSEQ ID NO: 177と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 159に示されるか又はSEQ ID NO: 159と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 169に示されるか又はSEQ ID NO: 169と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 180に示されるか又はSEQ ID NO: 180と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 170に示されるか又はSEQ ID NO: 170と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 178に示されるか又はSEQ ID NO: 178と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 161に示されるか又はSEQ ID NO: 161と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含む。
【0017】
ある具体的な実施例において、前記抗体もしくはその変異体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体を含む。
【0018】
好ましくは、前記抗体もしくはその変異体の構造は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、IgG、Fd、dAb、又は前記抗体もしくはその変異体を含む二重特異性抗体もしくは多重特異性抗体、又は上記抗体から製造されたモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体であり、前記Fvは、好ましくは、scFvであり、好ましくは、前記IgG構造を有する抗体もしくはその変異体は、軽鎖と重鎖とを含み、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 207に示されるか又はSEQ ID NO: 207と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 189に示されるか又はSEQ ID NO: 189と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 209に示されるか又はSEQ ID NO: 209と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 191に示されるか又はSEQ ID NO: 191と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 211に示されるか又はSEQ ID NO: 211と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 193に示されるか又はSEQ ID NO: 193と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 201に示されるか又はSEQ ID NO: 201と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 184に示されるか又はSEQ ID NO: 184と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 210に示されるか又はSEQ ID NO: 210と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 192に示されるか又はSEQ ID NO: 192と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 199に示されるか又はSEQ ID NO: 199と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 182に示されるか又はSEQ ID NO: 182と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 202に示されるか又はSEQ ID NO: 202と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 185に示されるか又はSEQ ID NO: 185と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 203に示されるか又はSEQ ID NO: 203と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 186に示されるか又はSEQ ID NO: 186と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 204に示されるか又はSEQ ID NO: 204と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 187に示されるか又はSEQ ID NO: 187と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 208に示されるか又はSEQ ID NO: 208と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 190に示されるか又はSEQ ID NO: 190と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 213に示されるか又はSEQ ID NO: 213と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 195に示されるか又はSEQ ID NO: 195と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 205に示されるか又はSEQ ID NO: 205と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 216に示されるか又はSEQ ID NO: 216と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 206に示されるか又はSEQ ID NO: 206と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 214に示されるか又はSEQ ID NO: 214と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるか又はSEQ ID NO: 196と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるか又はSEQ ID NO: 215と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 197に示されるか又はSEQ ID NO: 197と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
本発明では、「Fab断片」は、一本の軽鎖及び一本の重鎖のCH1及び可変領域からなる。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。「Fc」領域は、抗体のCH2及びCH3ドメインを含む二つの重鎖断片を含有する。二つの重鎖断片は、二つ又は複数のジスルフィド結合からなり、CH3ドメインの疎水性作用により一緒に保持されている。「Fab’断片」一本の軽鎖、及びVHドメインと、CH1ドメインと、CH1とCH2ドメインの間の領域とを含む一本の重鎖の一部を含有し、これにより二つのFab’断片の二本の重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してF(ab’)2分子を形成することができる。「F(ab’)2断片」は、二本の軽鎖、及びCH1とCH2ドメインの間の定常領域の一部を含む二本の重鎖を含有し、これにより二本の重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成する。そのため、F(ab’)2断片は、二本の重鎖間のジスルフィド結合を介して一緒に保持される二つのFab’断片からなる。「Fv」という用語は、抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなる抗体断片を指すが、定常領域を欠いている。
【0020】
本発明では、前記のscFv(single chain antibody fragment、単鎖抗体)は、当分野の従来の単鎖抗体であってもよく、それは、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、15~20個のアミノ酸のショートペプチドとを含む。ここで、VL及びVHドメインは、それらが単一のポリペプチド鎖として生成されることを可能にするリンカーを介して対になって一価の分子を形成する[例えば、Birdら,Science 242:423-426 (1988) 及びHustonら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883(1988)を参照されたい]。このようなscFv分子は、NH2-VL-リンカー-VH-COOH又はNH2-VH-リンカー-VL-COOHという一般的な構造を有してもよい。適切な従来技術のリンカーは、反復G4Sアミノ酸配列もしくはその変異体からなる。例えば、アミノ酸配列(G4S)4又は(G4S)3を有するリンカーを使用してもよいが、その変異体を使用してもよい。
【0021】
本発明では、前記のFdは、当分野の従来の抗体断片であってもよく、それは、FabにおけるVL、CL以外の部分を含み、約225個のアミノ酸残基を含み、VH、CH1及び一部のヒンジ領域を含む。
【0022】
本発明では、前記のdAbは、当分野の従来のものであってもよく、VH又はVLドメインからなり、いくつかの最小の機能性抗体断片であり、完全な抗原結合特異性を保持する。その分子量は、正常な抗体の分子量の約十分の一である。
【0023】
「多重特異性抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、多エピトープに対する特異性を有する抗体をカバーする。これらの多重特異性抗体は、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含む抗体であって、該VH-VLユニットは、多エピトープに対する特異性を有する抗体と、二つ又は複数のVL及びVH領域を有する抗体であって、各VH-VLユニットは、異なる標的又は同一の標的の異なるエピトープに結合する抗体と、二つ又はそれ以上の単一可変領域を有する抗体であって、各単一可変領域は、異なる標的又は同一の標的の異なるエピトープに結合する抗体と、全長抗体、抗体断片、ダイアボディ(diabodies)、及びトリアボディ(triabodies)、共有結合的又は非共有結合的に一緒に連結された抗体断片などとを含むが、それらに限らない。
【0024】
本発明の抗体もしくはその変異体は、モノクローナル抗体を含む。本発明に記載のモノクローナル抗体又はmAb又はAbは、単一のクローン細胞株から得られた抗体を指し、前記の細胞株は、真核、原核又はファージのクローン細胞株に限らない。
【0025】
本発明の第2の態様では、キメラ抗原受容体を提供し、前記キメラ抗原受容体は、本発明の第1の態様に記載の抗体もしくはその変異体を含む。
【0026】
本発明の第3の態様では、単離された核酸を提供し、前記核酸は、本発明の第1の態様に記載の抗体もしくはその変異体、又は本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体をコードする。
【0027】
本発明の第4の態様では、組換え発現ベクターを提供し、前記組換え発現ベクターは、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸を含み、好ましくは、前記組換え発現ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスベクターであり、前記ウイルスベクターは、好ましくは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターである。
【0028】
本発明の第5の態様では、形質転換体を提供し、前記形質転換体は、宿主細胞に本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクターを含み、好ましくは、前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、より好ましくは、前記宿主細胞は、酵母細胞、哺乳類細胞又は抗体もしくはその抗原結合断片の製造に適した他の細胞から選択され、ここで、前記哺乳類細胞は、例えば、293細胞又はCHO細胞である。
【0029】
本発明の第6の態様では、免疫細胞を提供し、前記免疫細胞は、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体を含み、好ましくは、前記免疫細胞は、T細胞又はNK細胞であり、より好ましくは、前記NK細胞は、末梢血NK細胞、臍帯血由来NK細胞、幹細胞分化NK細胞、又はNK細胞株例えばNK-92細胞株である。
【0030】
本発明の第7の態様では、CD25を標的とする抗体もしくはその変異体の製造方法を提供し、前記方法は、本発明の第5の態様に記載の形質転換体を培養し、培養物からCD25を標的とする抗体もしくはその変異体を得ることを含む。
【0031】
本発明の第8の態様では、抗体薬物コンジュゲートを提供し、前記抗体薬物コンジュゲートは、細胞傷害性薬剤と、本発明の第1の態様に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体とを含む。
【0032】
本発明の第9の態様では、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、本発明の第1の態様に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞及び/又は本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート、及び薬学的に許容可能なキャリアを含み、
好ましくは、前記医薬組成物は、ホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数をさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物又は医薬製剤は、適切な薬学的に許容可能なキャリア、例えば、医薬品添加物、例えば、緩衝剤を含む当分野で既知の医薬品キャリア、医薬品賦形剤を含む。本発明で使用されるように、「薬学的に許容可能なキャリア」又は「医薬品キャリア」は、生理学的に適合性の任意の全ての溶媒、分散媒体、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。本発明に適する医薬品キャリアは、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物又は合成供給源のものを含む油及び水のような無菌の液体であってもよい。医薬組成物が静脈内投与される場合、水は好適なキャリアである。また、生理食塩水、水性デキストロース及びグリセリン溶液を液体キャリア、特に注射用溶液として用いてもよい。適切な賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリルモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、ジオール、水、エタノールなどを含む。賦形剤の使用及びその用途についても、「Handbook of PharmaceuticalExcipients」,第五版,R.C.Rowe,P.J.Seskey 及びS.C.Owen,Pharmaceutical Press,London,Chicagoを参照されたい。所望であれば、前記組成物は、少量の湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤をさらに含有してもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンのような標準的な医薬品キャリア及び/又は賦形剤を含んでもよい。本発明に記載の医薬製剤又は医薬組成物は、所望の純度を有する本発明の抗体もしくはその抗原結合断片を、一つ又は複数の任意選択的な医薬品添加物(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol、A. 編集(1980))と混合することによって、好ましくは、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で製造され得る。本発明の医薬組成物又は製剤は、治療される特定の適応症に必要とされる一つ超の活性成分をさらに含んでもよく、好ましくは、互いに悪影響を及ぼしない、相補的活性を有するそれらの活性成分を有する。例えば、他の抗感染活性成分、例えば、他の抗体、抗感染活性剤、低分子薬物又は免疫調節剤などをさらに提供することは望ましい。前記活性成分は、目的用途に有効な量で適切に組み合わせて存在する。持続放出製剤を製造することができる。持続放出製剤の適切な例は、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、前記マトリックスは、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態を呈する。
【0034】
本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物の、腫瘍を診断、予防及び/又は治療する薬物の製造における応用である。
【0035】
本発明の第10の態様では、キットを提供し、前記キットは、本発明の第1の態様に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、又は本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を含み、
好ましくは、前記キットは、(i)抗体もしくはその変異体又はキメラ抗原受容体又は免疫細胞又は抗体薬物コンジュゲート又は医薬組成物を投与する装置、及び/又は(ii)取り扱い説明書をさらに含む。
【0036】
本発明の第11の態様では、パーツキットを提供し、前記パーツキットは、キットAとキットBとを含み、ここで、
前記キットAは、本発明の第1の態様に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその抗原結合断片、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を含有し、
前記キットBは、他の抗腫瘍抗体又は前記他の抗腫瘍抗体を含む医薬組成物、及び/又はホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数を含有する。
【0037】
本発明の第12の態様では、CD25を検出する方法を提供し、前記方法は、本発明の第1の態様に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を使用することを含む。
【0038】
好ましくは、前記検出は、診断及び/又は治療を目的としない。
【0039】
本発明の第13の態様では、被験体の病症を予防、治療又は軽減する方法を提供し、前記方法は、治療有効量の本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む。
【0040】
いくつかの具体的な実施形態において、前記被験体の病症は、増殖性疾患、例えば、腫瘍又は癌である。いくつかの実施形態において、上記被験体は、形成された腫瘍、例えば、固形腫瘍に罹患している。
【0041】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞数を減少させる方法が提供され、いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞活性を除去又は阻害する方法が提供され、いずれも有効量の本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍内部Teff/Tregの比率を増加する方法が提供され、本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、被験体体内の腫瘍細胞に対するADCCを補強する方法が提供され、本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む。
【0044】
いくつかの具体的な実施形態において、被験体体内の腫瘍細胞に対するADCC効果は補強した。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の第1の態様のいずれか一項に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、本発明の第2の態様に記載のキメラ抗原受容体、本発明の第3の態様に記載の単離された核酸、本発明の第4の態様に記載の組換え発現ベクター、本発明の第5の態様に記載の形質転換体、本発明の第6の態様に記載の免疫細胞、本発明の第8の態様に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は本発明の第9の態様に記載の医薬組成物の、被験体の病症を予防、治療又は軽減する薬物を製造するための用途、被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞数を減少させる薬物を製造するための用途、被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞活性を除去又は阻害する薬物を製造するための用途、被験体の腫瘍内部Teff/Tregの比率を増加する薬物を製造するための用途、被験体体内の腫瘍細胞に対するADCCを補強する薬物を製造するための用途が提供される。
【0046】
いくつかの具体的な実施形態において、上記被験体は、病症が増殖性疾患(例えば、癌又は腫瘍)であるか又は増殖性疾患(例えば、癌又は腫瘍)に罹患している。前記腫瘍は、癌、リンパ腫、白血病、胚細胞瘤及び肉腫を含むが、それらに限らない。このような癌のより具体的な例は、扁平上皮癌、骨髄腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、肝細胞癌(HCC)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、様々な骨髄腫、胃腸(管)癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、多形性膠芽腫、子宮頸癌、脳癌、胃癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌及び頭頸部癌を含む。
【0047】
いくつかの具体的な実施形態において、前記癌又は腫瘍は、固形腫瘍であってもよく、肉腫(組織(例えば、海綿骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、造血細胞、又は線維性結合組織)における間葉系由来の形質転換細胞から発生した癌を含む)、癌(上皮細胞から発生した腫瘍を含む)、中皮腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫などを含むが、それらに限らない。固形腫瘍に関する癌は、脳癌、肺癌、胃癌、十二指腸癌、食道癌、乳癌、結腸及び直腸癌、腎癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、黒色腫、口腔癌、肉腫、眼癌、甲状腺癌、尿道癌、膣癌、頸部癌、リンパ腫などを含むが、それらに限らない。
【0048】
いくつかの具体的な実施形態において、前記癌は、CD25を発現する腫瘍に関し、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫及びリンパ球性白血病、例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含むが、それらに限らない。
【0049】
当技術分野における常識に合致した上で、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせて、本発明の各好適な例を得ることができる。
【0050】
本発明で使用される試薬及び原料は、いずれも市販で入手可能である。
【0051】
本発明の積極的な効果は以下のとおりであり、
本発明のCD25を標的とするモノクローナル抗体は、自然に存在する抗体であり、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合する活性を有する。Fc操作後に、より高いADCC効果を有し、インビトロ実験でTreg及びリンパ腫細胞を除去する優れた作用を有し、それとともにIL-2のシグナル経路を遮断することなく、Teff細胞の活性に影響を及ぼさなく、そして良好な内在化活性を有し、ADC薬物の開発に適した潜在的な抗体分子である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】ヒトCD25を過剰発現するCHO-K1細胞への抗CD25 H2L2抗体の結合を示した図である。
図2】サルCD25を過剰発現するHEK293細胞への抗CD25 H2L2抗体の結合を示した図である。
図3】ヒトCD25を内因的に発現する腫瘍細胞株SU-DHL-1への抗CD25 H2L2抗体の結合を示した図である。
図4】ヒトCD25を内因的に発現する腫瘍細胞株Karpas299への抗CD25 H2L2抗体の結合を示した図である。
図5】ヒトTreg細胞及びTeff細胞への抗CD25 H2L2抗体の結合を示した図である。
図6】抗CD25 H2L2抗体がヒトインターロイキン-2とCHOK1-huCD25細胞との結合を遮断しないことを示した図である。
図7】抗CD25 H2L2抗体がヒトインターロイキン-2とSU-DHL-1細胞との結合を遮断しないことを示した図である。
図8】ヒトインターロイキン-2シグナル経路下流のタンパク質STAT5のリン酸化レベルを阻害しない抗CD25 H2L2抗体を検出したAlphsLisaである。
図9】ヒトインターロイキン-2シグナル経路下流のタンパク質STAT5のリン酸化レベルを阻害しない抗CD25 H2L2抗体を検出したFACSである。
図10】レポーター遺伝子細胞株による、SU-DHL-1細胞株に対する抗CD25 H2L2抗体のADCC作用の検出を示した図である。
図11】レポーター遺伝子細胞株による、ヒトTreg細胞に対する抗CD25 H2L2抗体のADCC作用の検出を示した図である。
図12】レポーター遺伝子細胞株による、ヒトTeff細胞に対する抗CD25 H2L2抗体のADCC作用の検出を示した図である。
図13】抗CD25 H2L2抗体に対するKarpas 299細胞のエンドサイトーシス作用を示した図である。
図14】抗CD25 H2L2抗体に対するSU-DHL-1細胞のエンドサイトーシス作用を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では、実施例の方式によって本発明をさらに説明するが、本発明を前記実施例の範囲内に限定するものではない。以下の実施例に具体的な条件の実験方法を明記していないが、従来の方法と条件に従って、又は商品説明書に従って選択される。
【0054】
実施例1. 抗CD25抗体分子の取得
CD25組換えタンパク質を使用して実験動物を免疫して、CD25に特異的に結合する抗体分子を得て、該実験動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ラクダなどであってもよい。通常、得られた抗体分子は、非ヒト由来のものである。非ヒト由来の抗体を得た後に、抗体工学技術を用いてこれらの分子に対してヒト化操作を行って、免疫原性を低下させ創薬可能性を高める必要がある。しかしながら、抗体のヒト化過程は、技術が複雑であり、ヒト化操作された分子は抗原に対する親和性を低下させることがよくある。一方、トランスジェニック技術の進歩により、遺伝子操作されたマウスを作製することが可能になり、それは、ヒト免疫グロブリンの免疫レパートリーを持ち、その内因性マウス免疫レパートリーを欠失させる。Harbour H2L2マウス(Harbour Antibodies BV)は、ヒト免疫グロブリンの免疫レパートリーを持つトランスジェニックマウスであり、このようなトランスジェニックマウスから産生した抗体は、完全ヒト由来配列を有するため、さらなるヒト化操作を必要とせず、治療用抗体の開発の効率を大幅に向上させた。
【0055】
1.1. マウス免疫
可溶性組換えヒトCD25-his融合タンパク質(Sino Biological、#10165-H08H)を抗原としてHarbour H2L2マウスを複数ラウンド免疫した。抗原タンパク質と免疫アジュバントを混合して免疫原試薬を形成し、そして皮下で鼠径部注射又は腹腔内注射した。各ラウンドの免疫において、各マウスが受けた総注射量は100マイクロリットルである。初回免疫では、各マウスは、50マイクログラムの抗原タンパク質と完全フロイントアジュバント(Sigma,# F5881)を1:1の体積比で混合して調製した免疫原試薬による免疫を受けた。その後の各ラウンド追加免疫では、各マウスは、25マイクログラムの抗原タンパク質とSigma Adjuvant Systemアジュバント(Sigma,#S6322)を混合して調製した免疫原試薬による免疫を受けた。各ラウンドの追加免疫の間隔は、少なくとも2週間であり、通常、6~7ラウンドの追加免疫がある。免疫時間は、0、14、28、42、56、70、84、98日目であり、且つ49、77日目に、マウス血清の抗体力価を検出した。H2L2マウスの脾臓B細胞分離を行う5日前に、マウスあたり25マイクログラムの抗原タンパク質の用量で最後の追加免疫を行った。
【0056】
1.2. 血清力価の検出
特定の時点で、マウス血清を採取し、FACS方法により血清中のCD25結合抗体の力価を検出した。
【0057】
遺伝子合成により、ヒトCD25(そのGenebank番号がNM000417である)をコードするcDNAを得て、発現ベクターpcDNA3.1にクローニングし、そして発現ベクターをCHO細胞にトランスフェクトし、ヒトCD25を高発現するCHOK1-huCD25細胞を構築した。
【0058】
段階希釈されたマウス血清とCHOK1-huCD25細胞を4℃で1時間インキュベートし、細胞を2回洗浄した後に、二次抗体anti-rat IgG (H+L) (Life technologies,A11006) を加え、4℃で1時間インキュベートし、2回洗浄した後に、細胞を再懸濁させ、フローサイトメトリーで検出した(BD,CantoII)。CHOK1細胞をバックグラウンド対照とした。
【0059】
1.3. ハイブリドーマ技術による抗CD25抗体のスクリーニング
遺伝子合成により、カニクイザルCD25(そのGenebank番号がNM001283704である)をコードするcDNAを得て、発現ベクターpcDNA3.1にクローニングし、そして発現ベクターをHEK293細胞にトランスフェクトし、カニクイザルCD25を高発現するHEK293-cynoCD25細胞を構築した。
【0060】
血清力価の高い免疫マウスを選択し、一回の最終免疫を行った後にマウスを屠殺し、脾細胞及びSP2/0 骨髄腫細胞(ATCC,CRL-1581)を取って電気融合を行い、細胞比率は4:1であり、電気融合パラメータはV1:50V、t1:15s、V2:600V、t2:20μs、t3: 0.5s、n:1、t4: 7s、V+/-: +、fade: onである。20%FBS及びHTを含有するDMEMの培養液に細胞を再懸濁させ、1 × 10/100μL/ウェルで播種し、24時間後に、20%FBS及び2× HTを含有するDMEMを100μL/ウェルで加えて培養し続けた。その後、上清を取って抗体力価を検出した。一般的には、融合後9~15日に、組換えヒトCD25-hisタンパク質で免疫したマウスから上清を取り、ELISAで予備スクリーニングを行い、組換えヒトCD25-hisタンパク質との結合を検出し、そして、陽性クローンをFACSによりさらに確認し、ヒトCD25を過剰発現するCHOK1細胞株(CHOK1-huCD25)、カニクイザルCD25を過剰発現するHEK293細胞株(HEK293-cynoCD25)との結合能力を検出した。また、FACS方法により、インターロイキン-2とCHOK1-huCD25との結合に対する陽性クローンの遮断作用を検出した。有限希釈法により、遮断作用がなく、陽性であるウェルをさらにサブクローニングし、次にELISA及びFACS方法によりさらにクローニングした。ヒト及びサルCD25に良好に結合するクローンを選んでシーケンシングした。本実施例では、免疫されたHarbour H2L2マウスから得られた抗CD25モノクローナル抗体分子の可変ドメインの配列はヒト由来の抗体配列である。
【0061】
1.4. 完全ヒト組換え抗体の製造
抗体分子をコードする軽、重鎖可変ドメインの配列を得た後に、従来の組換えDNA技術を用いて、軽、重鎖可変ドメインの配列及び対応するヒトの抗体の軽、重鎖定常ドメインの配列に対して融合発現を行い、組換え抗体分子を得ることができる。本実施例では、抗体重鎖可変ドメイン配列(VH)を遺伝子合成し、ヒトIgG1抗体重鎖定常ドメイン配列をコードする哺乳類細胞発現プラスミドベクターにクローニングすることによって、IgG1抗体を産生する全長重鎖をコードした。抗体軽鎖可変ドメイン配列(VL)を遺伝子合成し、ヒト抗体Igκ軽鎖定常ドメイン配列をコードする哺乳類細胞発現プラスミドベクターにクローニングすることによって、抗体を産生する全長軽鎖をコードした。本実施例では、免疫されたHarbour H2L2マウスから得られた抗CD25モノクローナル抗体分子可変ドメインの配列がヒト由来の抗体配列であるため、本実施例でも完全ヒト由来の抗CD25組換えIgG1抗体を得た。
【0062】
抗体重鎖をコードするプラスミド及び抗体軽鎖をコードするプラスミドの両方を哺乳類宿主細胞(例えば、ヒト胚腎細胞HEK293)にトランスフェクトし、従来の組換えタンパク質発現及び精製技術を用いて、軽鎖と重鎖が正確に対合し組み立てられる精製されたCD25組換え抗体を得ることができる。具体的には、HEK293細胞をFreeStyleTM F17 Expression Medium培地(Thermo ,#A1383504)中で培養した。一過性トランスフェクションが開始する前、細胞濃度を6~8 × 10細胞/mlに調節し、37℃ 8% COのシェーカーで24時間培養し、細胞濃度が1.2 ×10細胞/mlである。培養した細胞を30ml用意した。抗体重鎖をコードする上記プラスミド及び抗体軽鎖をコードする上記プラスミドを2:3の比率で混合し、合計30μgのプラスミドを1.5mlのOpti-MEM血清低減培地(Thermo,31985088)に溶解させ、0.22μmの濾過膜で濾過し滅菌した。次に1.5mlのOpti-MEMを取り、1mg/ml PEI(Polysciences,Inc #23966-2)120μlに溶解させ、5分間静置した。PEIをプラスミドにゆっくりと加え、室温で10分間インキュベートし、培養フラスコをゆっくりと振盪しながらプラスミドPEI混合溶液をゆっくりと滴加し、37℃ 8% COのシェーカーで5日間培養した。5日後に細胞生存率を観察した。培養物を収集し、3300gの回転速度で10分間遠心分離した後に上清を取り、そして上清を高速で遠心分離して不純物を除去した。MabSelectTM(GE Healthcare Life Science,# 71-5020-91 AE)を含有する重力カラム(Bio-Rad ,#7311550)をPBS(pH7.4)で平衡化し、2~5倍のカラム体積で洗い流した。上清試料をカラムに通し、カラム体積の5~10倍のPBSでカラムを洗い流し、次にpH3.5の0.1Mグリシンで目的タンパク質を溶出させ、その後にpH 8.0のTris-HCl中性に調節し、最後に限外濾過チューブ(Millipore,UFC901024)で濃縮しPBS緩衝液に交換し、精製されたCD25抗体溶液を得た。最後にNanoDrop(Thermo ScientificTM NanoDropTM One)で濃度を測定し、分注し、保存して待機した。
【0063】
1.5 Fc領域突然変異によるADCC効果機能の補強
抗体重鎖可変ドメイン配列(VH)を遺伝子合成し、ヒトIgG1抗体重鎖定常ドメイン配列をコードする哺乳類細胞発現プラスミドベクターにクローニングし、且つ該IgG1重鎖定常領域のCH2領域にS239D及びI332E突然変異(EU番号によると、239位のセリンがアスパラギン酸に置き換えられ、332位のイソロイシンがグルタミン酸に置き換えられる)を導入して、ADCC効果機能を増加した。そして実施例1.4の前記方法を用いて、抗体重鎖及び抗体軽鎖をコードするプラスミドを哺乳類宿主細胞にトランスフェクトして、組換え抗体タンパク質を製造した。
【0064】
1.6 フコースの除去によるADCC効果機能の補強
本実施例は、抗体糖鎖(N297)におけるフコース成分を除去することによって、Fcコンホメーションを変えて、さらにADCC効果機能を補強した。そして実施例1.4の前記方法を用いて、IgG1抗体重鎖をコードするプラスミド及び抗体軽鎖をコードするプラスミドの両方を哺乳類宿主細胞にトランスフェクトし、且つ2-fluoro peracetylated fucose (2FF) (Sigma-Aldrich、#344827)を加え、そして実施例1.4の前記方法に従って細胞培養、収集、精製などのステップを行った。化合物2FFの添加は、グリコシダーゼ活性を阻害し、糖鎖におけるフコース成分の形成を阻害した。
【0065】
本実施例で生成した組換え抗体は、実施例1.4で生成した組換え抗体と同じアミノ酸配列を有するが、糖鎖修飾が異なる。二つの方法で生成した、同じアミノ酸配列を有する異なる抗体タンパク質試料を区別するために、本実施例では、抗体試料名の接尾辞として「AF」を用い、該試料が「低フコース」又は「「フコースなし」」の試料であることを示した。
【0066】
例えば、PR004639は、正常IgG1定常領域を含有する組換え抗体であり、実施例1.4の前記方法を用いて、正常な糖鎖構造を有する対応する抗体タンパク質試料を製造した。PR004639AFは、PR004639と同じアミノ酸配列を有し、本実施例の方法で得られた、フコース修飾が除去された抗体タンパク質試料である。
【0067】
いくつかの実施例において、同一の抗体のアミノ酸配列は、実施例1.4の前記方法で抗体試料(番号がPRxxxxxxであり、ここでxxxxxxが数字である)を製造することができ、本実施例の方法で抗体試料(番号がPRxxxxxxAFであり、ここでxxxxxxが数字である)を製造することもでき、これらの試料は、糖鎖構造に違いがあった。
【0068】
1.7 抗CD25完全ヒト組換え抗体の配列
表2-1には、本発明出願におけるCD25抗体の軽、重鎖可変ドメインアミノ酸配列、軽鎖全長アミノ酸配列、重鎖全長アミノ酸配列及びChothia定義規則に従って定義されたCDRのアミノ酸配列が列挙されている。
【0069】
本発明出願の複数の実施例で使用される対照抗体は、RG6292であり、その配列が特許出願US20190284287A1からのものであり、その対応する組換えIgG1抗体の番号がPR004639である。実施例1.6の前記方法を用いて、フコースが除去された抗体タンパク質試料PR004639AF、即ちRG6292の類似体を製造した。PR004639(PR004639AF、RG6292)の配列は表2-5に示されている。
【0070】
本発明出願の実施例で使用される対照抗体は、daclizumab(商品名Zenapax、Roche)であり、対応する組換えIgG1抗体の番号がPR003689であり、その重鎖配列がSEQ ID NO.217に示すとおりであり、軽鎖配列がSEQ ID NO.218に示すとおりである。
【0071】
本発明出願の実施例で使用される対照抗体は、HuMax-Tac(Genmab社)であり、その配列が特許出願WO 2014057119A1からのものであり、対応する組換えIgG1抗体の番号がPR007722である。
【0072】
実施例2 抗体の配列分析及び配列最適化
抗体の重鎖可変ドメイン配列は、染色体における重鎖遺伝子群の生殖系列遺伝子V、D、J遺伝子断片の遺伝子再構成及び体細胞高頻度突然変異などの事象に由来し、軽鎖可変ドメイン配列は、軽鎖遺伝子群の生殖系列遺伝子V、J遺伝子断片の遺伝子再構成及び体細胞高頻度突然変異などの事象に由来する。遺伝子再構成及び体細胞高頻度突然変異は、抗体の多様性を増加させる主要な要因である。同じ生殖系列V遺伝子断片からの抗体は、異なる配列を産生することもできるが、全体的には類似性が高い。いくつかのアルゴリズム、例えば、IMGT/DomainGapAlign (http://imgt.org/3Dstructure-DB/cgi/DomainGapAlign.cgi)又はNCBI/IgBLAST (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を利用して、抗体の可変ドメイン配列から、遺伝子再構成が発生する時のその可能な生殖系列遺伝子断片を推定することができる。実施例1及び表2-1における抗体配列を分析し、それらの重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)の生殖系列遺伝子V遺伝子断片は表2-2に示されている。
【0073】
タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸鎖は、細胞内で翻訳合成された後に、翻訳後修飾(PTM)と呼ばれる化学修飾を導入することがある。抗体の場合、いくつかのPTMの部位は、非常に保存的であり、例えば、ヒトのIgG1抗体の定常ドメインの297位(EU番号)における保存的アミノ酸アスパラギンAsnは、通常、グリコシル化修飾が発生して糖鎖を形成し、該糖鎖構造は、抗体構造及び関連エフェクター機能にとってかなり重要である。しかし、抗体の可変ドメイン、特に抗原結合領域(例えば、CDR)にPTMが存在すれば、これらのPTMの存在は、抗原の結合に大きな影響を与え、抗体の物理化学的性質にも変化を与え得る。例えば、グリコシル化、脱アミド、異性化、酸化などは、いずれも抗体分子の不安定性又は不均質性を増加させることにより、抗体開発の難易度及びリスクを増加させる可能性がある。したがって、いくつかの潜在的なPTMを回避することは、治療用抗体の開発に非常に重要である。経験の蓄積により、いくつかのPTMは、アミノ酸配列の組成、特に隣接するアミノ酸の組成の「パターン」と高度に相関していることが発見され、これにより、タンパク質の一次アミノ酸配列から潜在的なPTMを予測することができる。例えば、N-x-S/T(1位がアスパラギンであり、2位が非プロリン以外の任意のアミノ酸であり、3位がセリン又はスレオニンである)の配列パターンからN-連結グリコシル化部位が予測される。PTMを引き起こすアミノ酸配列パターンは、生殖系列遺伝子配列、例えば、FR3領域にグリコシル化パターンNSTが自然に存在するヒト生殖系列遺伝子断片IGHV3-33に由来する可能性があり、体細胞高頻度突然変異に由来する可能性もある。表2-2には、実施例1の抗体の可変ドメインVH及びVLの予測されたPTMが列挙されている。具体的には、NSS又はNLTはグリコシル化部位である可能性があり、NS又はNT又はNNは脱アミド部位である可能性がある。
【0074】
アミノ酸突然変異によってPTMのアミノ酸配列パターンを破壊することにより、特定のPTMの形成を低減又は除去することができる。突然変異の設計方法は、抗体配列及びPTM配列パターンによって異なる。1つの方法として、「ホットスポット」アミノ酸(例えば、NSパターンにおけるN又はS)を物理化学的性質が似ているアミノ酸に置き換え(例えば、NからQへの突然変異)、又は飽和突然変異の方法でそれを他のいずれかのアミノ酸に置換する。PTM配列パターンが体細胞高頻度突然変異に由来するが、生殖系列遺伝子配列に存在しない場合、別の方法として、該配列パターンを対応する生殖系列遺伝子配列に置き換えてもよい。実際の操作では、同一のPTM配列パターンに対して様々な突然変異設計方法を用い得る。
【0075】
表2-3には、実施例1からの、潜在的なPTM部位を有する抗体の配列に対してアミノ酸突然変異を行って得られた新たな抗体分子(PTM変異体と呼ばれる)が列挙されている。表2-4には、本実施例におけるこれらのPTM変異体の軽、重鎖可変ドメインアミノ酸配列、軽鎖全長アミノ酸配列、重鎖(ヒトIgG1)全長アミノ酸配列、及びChothia定義規則に従って定義されたCDRのアミノ酸配列が列挙されている。設計された全てのPTM変異体は、実施例1.4に記載の方法に従って、精製された組換え抗体を得て、後続の機能実験においてさらに検証された。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6-1】
【表6-2】
【0082】
実施例3. 予備拡張されたヒトTreg細胞及び予備活性化されたヒトTeff細胞の製造
予備拡張されたヒトTreg細胞の製造において、新鮮なヒトPBMCからTreg細胞(EasySepTM Human CD4+CD127lowCD25+ Regulatory T Cell Isolation Kit,#18063)を分離し、Treg拡張ビーズ(Miltenyi Biotec Treg Expansion Kit,human #130-095-345)及びIL-2(peprotech、200-02)を加え、37℃、5% CO含有のインキュベーターに入れて10日間インキュベートすれば、予備拡張されたヒトTreg細胞になった。
【0083】
予備活性化されたTeffの製造方法において、新鮮なヒトPBMCからT細胞(Miltenyi,#130096535)を分離し、OKT3(Invitrogen,#16-0037-85、2μg/ml)によりコーティングされる6ウェルプレートに加え、密度が1×10細胞/mlであり、次にanti-CD28抗体(Invitrogen,#16-0289-85、1μg/ml)を加えた。細胞インキュベーターに入れて72時間培養した後に、IL-2(peprotech 200-02、10ng/ml)を加えて72時間培養すれば、予備活性化されたTeff細胞になった。
【0084】
実施例4. 抗CD25抗体のCD25への結合能力のFACSによる検出
本実施例は、抗ヒトCD25のH2L2モノクローナル抗体のヒト/カニクイザルCD25へのインビトロ結合活性を研究するためのものである。ヒトCD25を過剰発現するCHOK1細胞株(CHOK1-huCD25、和金白医薬(Harbour))、カニクイザルCD25を過剰発現するHEK293細胞株(HEK293-cynoCD25、和金白医薬(Harbour))及びヒトCD25を高発現する細胞株SU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)、Karpas299(南京科佰CBP60271)、予備拡張されたヒトTreg細胞、予備活性化されたヒトTeff細胞を用いて、細胞レベルでの抗体結合実験を行った。簡単に言えば、CHOK1-huCD25細胞、HEK293-cynoCD25細胞を消化し、SU-DHL-1細胞、Karpas299細胞、Treg及びTeff細胞を収集し、2%BSA含有のPBSで再懸濁させた。細胞密度をそれぞれ1×10細胞/mLに調整した。100μL細胞/ウェルで96ウェルのV底板(Corning,#3894)に接種し、その後、最終濃度の2倍である、5倍濃度で段階希釈された検出対象抗体及び陽性対照抗体RG6292を100μL/ウェルで加えた。細胞を4℃で、遮光して1時間インキュベートした。その後、予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。次に、蛍光二次抗体(Alexa Fluor 488-conjugated AffiniPure Goat Anti-Human IgG,Fcγ Fragment Specific,Jackson,#109-545-098,1:1000希釈)を100μL/ウェルで加え、4℃で、遮光して1時間インキュベートした。100μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、200μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を再懸濁させ、BD CantoIIフローサイトメトリーを用いて蛍光発光シグナル値を読み取った。
【0085】
細胞表面のヒトCD25、カニクイザルCD25、並びに腫瘍細胞SU-DHL-1及びKarpas表面のCD25への抗体の結合のまとめは、以下(表4-1、表4-2、表4-3、表4-4、表4-5、表4-6、表4-7、表4-8、表4-9)のとおりである。
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
【表14】
【0094】
【表15】
【0095】
ヒトCD25を過剰発現するCHO-K1細胞への抗体の結合の結果は図1図1のA及び図1のB)、表4-1及び表4-2に示すとおりであり、PR005433、PR005435、PR005436及びPR005497は、対照抗体に比べて、より高い結合活性を有する。サルCD25を過剰発現するHEK293細胞への抗体の結合の結果は図2図2のA~図2のF)に示すとおりであり、表4-1、表4-2及び表4-3を参照して、初期抗体PR005433、PR005435、PR005436、PR005497、PR006122、PR006927、PR006930、PR006931及びPR006932は、カニクイザルCD25との良好な交差結合活性を有することが分かり、表4-5及び表4-7を参照して、PTM突然変異によりPR005436から得られた突然変異体PR006769、PR006771及びPR008197は、カニクイザルCD25との良好な交差結合活性を有することが分かり、表4-6を参照して、PTM突然変異によりPR006931から得られた突然変異体PR008014、及びPR008016は、カニクイザルCD25との良好な交差結合活性を有することが分かった。
【0096】
ヒトCD25を内因的に発現する腫瘍細胞株SU-DHL-1への抗体の結合の結果は、図3図3のA~図3のI)に示すとおりであり、表4-1、表4-2、表4-3、表4-4及び表4-9を参照して、初期抗体PR005433、PR005436、PR005497、PR006110、PR006122、PR006927、PR006928、PR006930、PR006931、PR006932、PR007181は、SU-DHL-1に対して高い結合活性を有することが分かり、表4-1及び表4-4を参照して、PR005435及びPR006984は結合活性が弱いことが分かった。表4-5及び表4-7を参照して、PTM突然変異によりPR005436から得られた突然変異体PR006769、PR006771及びPR008197は、SU-DHL-1に対して高い結合活性を有することが分かり、表4-6及び表4-8を参照して、PTM突然変異によりPR006931から得られた突然変異体PR008014、PR008015及びPR008016は、SU-DHL-1に対して高い結合活性を有することが分かった。
【0097】
ヒトCD25を内因的に発現する腫瘍細胞株Karpas299への抗体の結合の結果は、図4図4のA~図4のI)に示すとおりであり、表4-1、表4-2、表4-3、表4-4及び表4-9を参照して、初期抗体PR005433、PR005497、PR006110、PR006122、PR006927、PR006928、PR006930、PR006932、PR007181は、Karpas299に対して高い結合活性を有することが分かり、表4-1、表4-3及び表4-4を参照して、PR005435、PR005436、PR006931及びPR006984は、結合活性が弱いことが分かった。表4-5を参照して、PTM突然変異によりPR005436から得られた突然変異体PR006769、PR006771は、Karpas299に対する結合活性が対照抗体RG6292の結合活性に相当することが分かり、表4-7によれば、PR008197結合活性は、比較的に弱いことが分かった。表4-6及び4-8を参照して、PTM突然変異によりPR006931から得られた突然変異体PR008015は、Karpas299に対して高い結合活性を有し、PR008014及びPR008016は、結合活性が弱いことが分かった。
【0098】
ヒトTreg細胞及びTeff細胞への抗体の結合の結果は、図5図5のA~図5のF)に示すとおりであり、PR005436、PR008014、PR008016、PR008197、PR006927は、ヒトTregに結合することができ、ヒトTeffに対する結合強度が弱かった。
【0099】
実施例5. ヒトインターロイキン-2とCD25との結合に対する抗CD25抗体の遮断作用のFACSによる検出
本例は、ヒトインターロイキン-2とCD25との結合に対する抗CD25抗体の遮断作用を研究するためのものである。ヒトCD25を過剰発現するCHOK1細胞株(CHOK1-huCD25、和金白医薬(Harbour))又はヒトCD25を高発現する細胞株SU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)及びビオチン標識されたヒトインターロイキン-2(Acro、IL2-H82F3)を用いて、FACS方法により抗体の遮断作用を検出した。簡単に言えば、CHOK1-huCD25細胞を消化するか又はSU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)細胞を収集し、2%BSA含有PBSで再懸濁させた。細胞密度をそれぞれ1×10細胞/mLに調整した。90μLの細胞/ウェルで96ウェルのV底板(Corning,#3894)に接種し、その後、最終濃度の2倍である、5倍濃度で段階希釈された検出対象抗体及び対照抗体RG6292又はPR003689を100μL/ウェルで加え、次にビオチン標識を含有する、ヒトインターロイキン-2濃度が10μg/mlであるPBSを10μL/ウェルで加えた。細胞を4℃で、遮光して1時間インキュベートした。その後、予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。次に蛍光二次抗体(eBioscience #12-4317-87、1:200希釈)を100μL/ウェルで加え、4℃で、遮光して1時間インキュベートした。100μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、200μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を再懸濁させ、BD CantoIIフローサイトメトリーを用いて蛍光発光シグナル値を読み取った
【0100】
ヒトインターロイキン-2とCHOK1-huCD25細胞との結合に対する抗体の遮断作用のFACS方法による検出の結果は図6図6のA~図6のC)に示すとおりであり、PR005433、PR005435、PR005436、PR005497及びPR006122は、インターロイキン-2とCHOK1-huCD25細胞表面CD25との結合を遮断することができなかった。
【0101】
ヒトインターロイキン-2とSU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)細胞との結合に対する抗体の遮断作用のFACS方法による検出の結果は図7図7のA~図7のD)に示すとおりであり、初期抗体PR006927、PR006930、PR006931及びPR006932は、インターロイキン-2とSU-DHL-1細胞表面CD25との結合を遮断することができず、PTM突然変異によりPR005436から得られた突然変異体PR006769、PR006771及びPR008197は、インターロイキン-2とSU-DHL-1細胞表面CD25との結合を遮断することができず、PTM突然変異によりPR006931から得られた突然変異体PR008014及びPR008016は、インターロイキン-2とSU-DHL-1細胞表面CD25との結合を遮断することができなかった。
【0102】
実施例6. Teffにおけるヒトインターロイキン-2により誘導される下流シグナル分子STAT5のリン酸化レベルに対する抗CD25抗体の影響のAlphaLisa(PerkinElimer、#ALSU-PST5-B500)による検出
予備活性化されたTeff細胞を、IL-2を含有しない培地で4時間培養した後に、細胞を収集し、細胞密度を2.5×10細胞/mlに調整し、4μL/ウェルで384ウェルプレートに接種した。次に最終濃度の4倍である抗体及び対照抗体PR003689を2μL/ウェルで加え、インキュベーターで1時間インキュベートした。そして、最終濃度の5倍であるIL-2を2μL/ウェルで加え、インキュベーターで10分間インキュベートした。5×溶解液を2μL/ウェルで直ちに加え、室温で15分間インキュベートした。そしてAcceptor混合液を5μL/ウェルで加え、室温で1時間インキュベートし、次にDonor混合液を5μL/ウェルで加え、室温で1時間インキュベートした。PerkinElimer Envisionを用いて、シグナル値を読み取った。
【0103】
ヒトインターロイキン-2シグナル経路下流タンパク質STAT5のリン酸化レベルに対する抗体の影響のAlphaLisa方法による検出の結果は図8に示すとおりであり、PR006122は、Teffにおけるヒトインターロイキン-2シグナル経路下流タンパク質STAT5のリン酸化レベルに対して阻害作用がなかった。
【0104】
実施例7. Teffにおけるヒトインターロイキン-2により誘導される下流シグナル分子STAT5のリン酸化レベルに対する抗CD25抗体の影響のFACSによる検出
予備活性化されたTeff細胞を、IL-2を含有しない培地で4時間培養した後に、細胞を収集し、細胞密度を2×10細胞/mLに調整した。50μL細胞/ウェルで96ウェルのV底板(Corning,#3894)に接種し、その後、最終濃度の2倍である、5倍濃度で段階希釈された検出対象抗体及び対照抗体PR003689又はRG6292を50μL/ウェルで加え、インキュベーターで1時間インキュベートした。次に、1μL/ウェル1μg/mlのIL-2を加え、インキュベーターで10分間インキュベートした。固定液(Biolegend、#420801)を100μL/ウェルで直ちに加え、37℃で15分間インキュベートした後に、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞をすすぎ、次に500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。そして膜貫通緩衝液を100μL/ウェルで加え、細胞(Biolegend 、#425401)を再懸濁させ、-20℃の冷蔵庫に入れて一晩インキュベートした。翌日、1000g取り出し、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨て、予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、次に500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。抗リン酸化STAT5抗体(Biolegend、#936904)を100μL/ウェルで加え、4℃の冷蔵庫で1時間インキュベートした。予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、次に500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、200μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を再懸濁させ、BD CantoIIフローサイトメトリーを用いて蛍光発光シグナル値を読み取った。
【0105】
結果は図9に示すとおりであり、PR008014、PR008016、PR008197及びPR006927は、Teffにおけるヒトインターロイキン-2シグナル経路下流タンパク質STAT5のリン酸化レベルに対して阻害作用がなかった。
【0106】
実施例8. 抗CD25抗体の腫瘍細胞株SU-DHL-1に対するADCC作用のレポーター遺伝子細胞株による検出
SU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)細胞を収集し、1.2×10細胞/mLに調整し、25μL/ウェルで96ウェルプレート(PerkinElmer、6005225)に接種した。遺伝子合成により、ヒトCD16a(そのGenebank番号がNM000569.8である)及びヒトNFAT(そのGenebank番号がNM_145912.8である)をコードするcDNAを得て、発現ベクターpcDNA3.1にクローニングし、そして発現ベクターをJurkat細胞にトランスフェクトし、Jurkat/FCγRIII-NFAT安定細胞株を構築した。
【0107】
Jurkat/FCγRIII-NFAT細胞(和金白医薬(Harbour))を収集し、1.2×10細胞/mLに調整し、25μL/ウェルで同じ96ウェルプレートに接種した。そして、最終濃度の2倍である抗体及び対照抗体RG6292を50μL/ウェルで加え、37℃、5% CO含有のインキュベーターに入れて、6時間インキュベートした。One-Glo(Promega、#E6120)を60μL/ウェルで加え、室温で遮光して10分間放置した。PerkinElmer Envisionを用いて、シグナル値を読み取った。
【0108】
抗体のSU-DHL-1に対するADCCの結果は、以下(表8-1、表8-2)に示すとおりである。
【0109】
【表16】
【0110】
【表17】
【0111】
結果は図10図10のA及び図10のB)に示すとおりであり、PR006927AF、PR006931AF、PR006769AF、PR006771AFは、SU-DHL-1に対して高いADCC作用を有する。
【0112】
実施例9. 抗CD25抗体の予備拡張されたヒトTreg細胞及び予備活性化されたヒトTeff細胞に対するADCC作用のレポーター遺伝子細胞株による検出
予備拡張されたヒトTreg細胞及び予備活性化されたヒトTeff細胞を収集し、1.2×10細胞/mLに調整し、25μL/ウェルで96ウェルプレート(PerkinElmer、6005225)に接種した。Jurkat/FCγRIII-NFAT細胞(和金白医薬(Harbour))を収集し、1.2×10細胞/mLに調整し、25μL/ウェルで同じ96ウェルプレートに接種した。そして、最終濃度の2倍である抗体を50μL/ウェルで加え、37℃、5% CO含有のインキュベーターに入れて、6時間インキュベートした。One-Glo(Promega、#E6120)を60μL/ウェルで加え、室温で遮光して10分間放置した。PerkinElmer Envisionを用いて、シグナル値を読み取った。
【0113】
抗体のTreg及びTeffに対するADCC結果は以下(表9-1、表9-2、表9-3)に示すとおりである。
【0114】
【表18】
【0115】
【表19】
【0116】
【表20】
【0117】
結果は、図11図11のA~図11のC)及び図12図12のA~図12のC)に示すとおりであり、PR005433、PR005436、PR005497及びPR006122は、ヒトTreg細胞に対して高いADCC作用を有するが、ヒトTeffに対して明らかな作用がなかった。PR005435のヒトTregに対するADCC作用は弱かった。
【0118】
実施例10. 抗体内在化実験
本例は、抗体の内在化作用を研究するためのものである。ヒトCD25を高発現する腫瘍細胞株SU-DHL-1(ATCC(登録商標)CRL-2955)及びKarpas299(南京科佰CBP60271)を用いて、FACS方法により抗体の内在化作用を検出した。実験方法は以下のとおりであり、SU-DHL-1細胞又はKarpas299細胞を収集し、2%BSA含有のPBSで再懸濁させた。細胞密度をそれぞれ1×10細胞/mLに調整した。100μL細胞/ウェルで96ウェルのV底板(Corning,#3894)に接種し、その後、最終濃度の2倍である、5倍濃度で段階希釈された検出対象抗体及び対照抗体PR007722を100μL/ウェルで加えた。細胞を4℃で、遮光して1時間インキュベートした。その後、予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。100μLの2%BSAのPBSで細胞を再懸濁させ、37℃、5% CO含有のインキュベーターに入れて、4時間インキュベートした。その後、予冷された2%BSA含有PBSを100μL/ウェルで加え、細胞を2回すすぎ、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。次に、蛍光二次抗体(Alexa Fluor 488-conjugated AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγ Fragment Specific、Jackson、#109-545-098、1:1000希釈)を100μL/ウェルで加え、4℃で、遮光して1時間インキュベートした。100μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を2回洗浄し、500g、4℃で5分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、200μL/ウェルの予冷された2%BSA含有PBSで細胞を再懸濁させ、BD CantoIIフローサイトメトリーを用いて蛍光発光シグナル値を読み取った。
【0119】
結果は図13及び図14に示すとおりであり、ヒト腫瘍細胞株Karpas299は、PR005433、PR005497、PR006122、PR006930、PR006932に対して明らかなエンドサイトーシス作用を有する。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2025502379000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD25を標的とする抗体もしくはその変異体であって、前記抗体は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含み、ここで、前記抗体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 96、111及び133に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は、前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 20、44及び74に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 104、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 22、46、76に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、48、78に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 97、113及び129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 16、40及び70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116及び135に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、47及び77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 95、111、127に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、38、68に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 98、114、130に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 17、41、71に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 99、115、131に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、72に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 100、113、132に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 14、43、73に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 103、110、134に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 21、45、75に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 105、111、136に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 18、42、80に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、ことを特徴とするCD25を標的とする抗体もしくはその変異体。
【請求項2】
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 171に示されるか又はSEQ ID NO: 171と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 153に示されるか又はSEQ ID NO: 153と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 173に示されるか又はSEQ ID NO: 173と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 155 に示されるか又はSEQ ID NO: 155と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 175に示されるか又はSEQ ID NO: 175と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 157に示されるか又はSEQ ID NO: 157と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVH を含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 165に示されるか又はSEQ ID NO: 165と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 148に示されるか又はSEQ ID NO: 148と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 174に示されるか又はSEQ ID NO: 174と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 156に示されるか又はSEQ ID NO: 156と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 163に示されるか又はSEQ ID NO: 163と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 146に示されるか又はSEQ ID NO: 146と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 166に示されるか又はSEQ ID NO: 166と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 149に示されるか又はSEQ ID NO: 149と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 167に示されるか又はSEQ ID NO: 167と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 150に示されるか又はSEQ ID NO: 150と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 168に示されるか又はSEQ ID NO: 168と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 151に示されるか又はSEQ ID NO: 151と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 172に示されるか又はSEQ ID NO: 172と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 154に示されるか又はSEQ ID NO: 154と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 177に示されるか又はSEQ ID NO: 177と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 159に示されるか又はSEQ ID NO: 159と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するVHを含み、及び/又は、
前記変異体は、CD25を標的とする抗体のアミノ酸配列に1~3個のアミノ酸残基の付加、欠失又は置換が発生するものであり、好ましくは、
前記変異体は、前記抗体の重鎖可変領域のHCDR1の1位、HCDR2の3位にアミノ酸残基の置換が発生し、及び/又は、前記抗体の軽鎖可変領域のLCDR1の10~11位、LCDR3の1又は4位にアミノ酸残基の置換が発生するものであり、より好ましくは、前記変異体は、以下の群から選択され、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 101、113、139に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 102、113、129に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 19、40、70に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、137に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、51、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記軽鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 94、116、138に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、及び/又は前記重鎖可変領域はアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 23、50、77に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、
より好ましくは、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 169に示されるか又はSEQ ID NO: 169と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 180に示されるか又はSEQ ID NO: 180と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 170に示されるか又はSEQ ID NO: 170と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 152に示されるか又はSEQ ID NO: 152と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 178に示されるか又はSEQ ID NO: 178と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 161に示されるか又はSEQ ID NO: 161と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含み、又は、
前記軽鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 179に示されるか又はSEQ ID NO: 179と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVLを含み、前記重鎖可変領域は、アミノ酸配列が、SEQ ID NO: 160に示されるか又はSEQ ID NO: 160と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるVHを含む、及び/又は、
前記抗体は、以下のキメラ抗体、ヒト化抗体及び完全ヒト抗体の群から選択され、好ましくは、
前記抗体もしくはその変異体の構造は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、IgG、Fd、dAb、又は前記抗体もしくはその変異体を含む二重特異性抗体もしくは多重特異性抗体、又は上記抗体から製造されたモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体であり、前記Fvは、好ましくは、scFvであり、
好ましくは、前記IgG構造を有する抗体もしくはその変異体は、軽鎖と重鎖とを含み、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 207に示されるか又はSEQ ID NO: 207と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 189に示されるか又はSEQ ID NO: 189と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 209に示されるか又はSEQ ID NO: 209と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 191に示されるか又はSEQ ID NO: 191と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 211に示されるか又はSEQ ID NO: 211と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 193に示されるか又はSEQ ID NO: 193と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 201に示されるか又はSEQ ID NO: 201と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 184に示されるか又はSEQ ID NO: 184と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 210に示されるか又はSEQ ID NO: 210と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 192に示されるか又はSEQ ID NO: 192と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 199に示されるか又はSEQ ID NO: 199と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 182に示されるか又はSEQ ID NO: 182と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 202に示されるか又はSEQ ID NO: 202と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 185に示されるか又はSEQ ID NO: 185と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 203に示されるか又はSEQ ID NO: 203と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 186に示されるか又はSEQ ID NO: 186と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 204に示されるか又はSEQ ID NO: 204と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 187に示されるか又はSEQ ID NO: 187と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 208に示されるか又はSEQ ID NO: 208と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 190に示されるか又はSEQ ID NO: 190と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 213に示されるか又はSEQ ID NO: 213と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 195に示されるか又はSEQ ID NO: 195と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 205に示されるか又はSEQ ID NO: 205と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 216に示されるか又はSEQ ID NO: 216と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 206に示されるか又はSEQ ID NO: 206と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 188に示されるか又はSEQ ID NO: 188と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 214に示されるか又はSEQ ID NO: 214と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるか又はSEQ ID NO: 196と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるか又はSEQ ID NO: 215と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 197に示されるか又はSEQ ID NO: 197と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、
前記軽鎖は、SEQ ID NO: 215に示されるか又はSEQ ID NO: 215と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖は、SEQ ID NO: 196に示されるか又はSEQ ID NO: 196と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抗体もしくはその変異体を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の抗体もしくはその変異体、又は請求項に記載のキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸。
【請求項5】
組換え発現ベクターであって、請求項に記載の単離された核酸を含み、好ましくは、前記組換え発現ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスベクターであり、前記ウイルスベクターは、好ましくは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターである、組換え発現ベクター。
【請求項6】
形質転換体であって、宿主細胞に請求項に記載の組換え発現ベクターを含み、好ましくは、前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、より好ましくは、前記宿主細胞は、酵母細胞、哺乳類細胞又は抗体もしくはその抗原結合断片の製造に適した他の細胞から選択され、ここで、前記哺乳類細胞は、例えば、293細胞又はCHO細胞である、形質転換体。
【請求項7】
免疫細胞であって、請求項に記載のキメラ抗原受容体を含み、好ましくは、前記免疫細胞は、T細胞又はNK細胞であり、より好ましくは、前記NK細胞は、末梢血NK細胞、臍帯血由来NK細胞、幹細胞分化NK細胞、又はNK細胞株例えばNK-92細胞株である、免疫細胞。
【請求項8】
CD25を標的とする抗体もしくはその変異体の製造方法であって、請求項に記載の形質転換体を培養し、培養物からCD25を標的とする抗体もしくはその変異体を得ることを含む、方法。
【請求項9】
細胞傷害性薬剤と、請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体とを含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項10】
医薬組成物であって、請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項に記載の単離された核酸、請求項に記載の組換え発現ベクター、請求項に記載の形質転換体、請求項に記載の免疫細胞及び/又は請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート、及び薬学的に許容可能なキャリアを含み、
好ましくは、前記医薬組成物は、ホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数をさらに含む、医薬組成物。
【請求項11】
腫瘍を診断、予防及び/又は治療するための請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の単離された核酸、請求項に記載の組換え発現ベクター、請求項に記載の形質転換体、請求項に記載の免疫細胞、請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項10に記載の医薬組成物であって、好ましくは、前記腫瘍は癌である
【請求項12】
キットであって、請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の単離された核酸、請求項に記載の組換え発現ベクター、請求項に記載の形質転換体、請求項に記載の免疫細胞、又は請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート又は請求項10に記載の医薬組成物を含み、
好ましくは、前記キットは、(i)抗体もしくはその変異体又はキメラ抗原受容体又は免疫細胞又は抗体薬物コンジュゲート又は医薬組成物を投与する装置、及び/又は(ii)取り扱い説明書をさらに含む、キット。
【請求項13】
キットAとキットBとを含むパーツキットであって、
前記キットAは、請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその抗原結合断片、請求項に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の単離された核酸、請求項に記載の組換え発現ベクター、請求項に記載の形質転換体、請求項に記載の免疫細胞、請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項10に記載の医薬組成物を含有し、
前記キットBは、他の抗腫瘍抗体又は前記他の抗腫瘍抗体を含む医薬組成物、及び/又はホルモン製剤、標的化小分子製剤、プロテアソーム阻害剤、造影剤、診断剤、化学療法剤、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、共刺激分子の活性化剤、阻害性分子の阻害剤及びワクチンからなる群における一つ又は複数を含有する、パーツキット。
【請求項14】
CD25を検出する方法であって、請求項1又は2に記載の抗体もしくはその変異体、請求項に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の免疫細胞、請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項10に記載の医薬組成物を使用することを含み、好ましくは、前記検出は、診断及び/又は治療を目的としない、方法。
【請求項15】
被験体の腫瘍内部又は腫瘍浸潤性Tregの細胞数を減少させるための請求項1又は2に記載のCD25を標的とする抗体もしくはその変異体、請求項に記載のキメラ抗原受容体、請求項に記載の単離された核酸、請求項に記載の組換え発現ベクター、請求項に記載の形質転換体、請求項に記載の免疫細胞、請求項に記載の抗体薬物コンジュゲート及び/又は請求項10に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】