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特表2025-502382変性活性相分散体を有する触媒及び変性活性相分散体を有する触媒を調製する方法
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  • 特表-変性活性相分散体を有する触媒及び変性活性相分散体を有する触媒を調製する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】変性活性相分散体を有する触媒及び変性活性相分散体を有する触媒を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20250117BHJP
   B01J 35/70 20240101ALI20250117BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20250117BHJP
   B01J 35/63 20240101ALI20250117BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20250117BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20250117BHJP
   B01J 29/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B01J37/02 101C
B01J35/70
B01J35/61
B01J35/63
B01J35/60 A
B01J37/00 D
B01J29/16 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542366
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-09-17
(86)【国際出願番号】 US2023060707
(87)【国際公開番号】W WO2023141406
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】17/577,747
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301041531
【氏名又は名称】一般財団法人JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オマー・レファ・コセオグル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピーター・ホジキンス
(72)【発明者】
【氏名】内田 浩司
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01C
4G169BA02C
4G169BA03C
4G169BA04C
4G169BA05C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA20C
4G169BB01C
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC60A
4G169BC64A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169BD03C
4G169BD07C
4G169CC05
4G169DA05
4G169EA02Y
4G169EB14Y
4G169EC03X
4G169EC04X
4G169EC06X
4G169EC07X
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB19
4G169FB20
4G169FB30
4G169FB65
4G169FC05
4G169FC08
4G169ZA05A
4G169ZA05B
4G169ZA33A
4G169ZA33B
4G169ZC03
4G169ZC04
4G169ZC07
4G169ZD05
4G169ZD06
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF04A
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
(57)【要約】
1種又は複数の活性金属成分を含む触媒粒子及びそのような触媒粒子を製造するための方法が提供される。粒子は、造粒剤又は結合剤材料、例えば無機酸化物と、骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された超安定Y(以下「USY」)ゼオライトとの複合体である。1種又は複数の活性相成分は、結合剤を後骨格変性USYゼオライトと混合し、得られた複合混合物を押し出し、触媒粒子を形成する前に組み込まれる。1種又は複数の活性相成分は、触媒粒子を形成する前に結合剤材料に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒粒子を製造するための方法であって、
ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、後骨格変性超安定Y型(USY)ゼオライトを用意する工程;
外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられる、無機酸化物結合剤材料を用意する工程;
無機酸化物結合剤材料の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分を含浸させて、金属担持無機酸化物結合剤を形成する工程;
後骨格変性USYゼオライトを金属担持無機酸化物結合剤と混合及び混練する工程;
後骨格変性USYゼオライトと金属担持無機酸化物結合剤との複合体から押出し物に触媒粒子を形成する工程;
押出し物を熱処理する工程;並びに
か焼触媒粒子を回収する工程
を含む、方法。
【請求項2】
無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分が、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分であり、
後骨格変性USYゼオライトが、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
混合及び混練する工程の前に、後骨格変性USYゼオライトの外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させて、金属担持後骨格変性USYゼオライトを形成する工程を更に含み、混合及び混練する工程が、金属担持無機酸化物結合剤材料と金属担持後骨格変性USYゼオライトとを混合及び混練して、金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体を形成する工程であり、触媒粒子を押出し物に形成する工程が、金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体から行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
回収されたか焼触媒粒子が中間か焼触媒粒子であり、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
中間か焼触媒粒子の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第3の部分を含浸させて、金属担持中間か焼触媒粒子を生成する工程、金属担持中間か焼触媒粒子を熱処理する工程、並びに最終か焼触媒粒子を回収する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体が、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第3の部分を含浸させる工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記後骨格変性USYゼオライトの細孔が体積を画定し、1種又は複数の活性金属成分を含浸させる工程が液体溶液中の金属を使用し、前記液体溶液の体積が、前記後骨格変性USYゼオライトの細孔体積以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分が、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分であり、
か焼触媒粒子が中間か焼触媒粒子であり、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
中間か焼触媒粒子の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させる工程、金属担持中間か焼触媒粒子を熱処理する工程、並びに最終か焼触媒粒子を回収する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分が、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分であり、
金属担持無機酸化物結合剤と後骨格変性USYゼオライトとの複合体が、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
金属担持無機酸化物結合剤と後骨格変性USYゼオライトとの複合体の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
回収されたか焼触媒粒子が中間か焼触媒粒子であり、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、
中間か焼触媒粒子の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第3の部分を含浸させる工程、金属担持中間か焼触媒粒子を熱処理する工程、並びに最終か焼触媒粒子を回収する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記後骨格変性USYゼオライトが湿性、乾燥、又はか焼状態で用意される、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造する方法。
【請求項10】
前記後骨格変性USYゼオライトが、酸化物基準で計算して0.1~5質量%のジルコニウム及び/又はチタン及び/又はハフニウムを含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造する方法。
【請求項11】
前記無機酸化物材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造する方法。
【請求項12】
前記金属担持無機酸化物結合剤が、活性金属含有複合触媒粒子の約0.1~99質量%を占め、残りの質量が後骨格変性USYゼオライトを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造するための方法。
【請求項13】
前記触媒粒子が、後骨格変性USYゼオライト、金属担持無機酸化物結合剤、及び追加のゼオライト成分で形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造するための方法。
【請求項14】
前記金属担持無機酸化物結合剤が、触媒粒子の約0.1~99質量%を占め、第1の残りの質量が後骨格変性USYゼオライトを含み、第2の残りの質量が追加のゼオライト成分を含む、請求項13に記載の触媒粒子を製造するための方法。
【請求項15】
前記活性金属成分が、白金、パラジウム、及びレニウムからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分が、触媒粒子の質量を基準として、活性金属成分の質量に換算して0.01~2質量%の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造する方法。
【請求項16】
前記活性金属成分が、Mo、W、Co、Ni、及びそれらの組合せからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分が、触媒粒子の質量を基準として、活性金属成分の質量に換算して0.1~40質量%の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒粒子を製造する方法。
【請求項17】
ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、後骨格変性超安定Y型(USY)ゼオライトと、
外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられる無機酸化物結合剤材料であり、前記外表面及び/又は細孔内表面が、1種又は複数の活性金属成分を金属担持している、無機酸化物結合剤材料と
の複合体を含むか焼触媒粒子であって、
前記複合体が押出し物に形成され、か焼触媒粒子として熱処理された、か焼触媒粒子。
【請求項18】
前記骨格変性ゼオライトが、酸化物基準で計算して0.1~5質量%のジルコニウム原子及び0.1~5質量%のチタンイオンで置換された、請求項17に記載のか焼触媒粒子。
【請求項19】
前記骨格変性USYゼオライトが以下の特徴:(a)2.430~2.450nmの結晶格子定数、(b)600~900m2/gの比表面積、及び(c)12~100のSiO2のAl2O3に対するモル比を有する、請求項17に記載のか焼触媒粒子。
【請求項20】
200~450m2/gの比表面積;0.40~0.75ml/gの600Å以下の直径を有する細孔の体積を有し;1種又は複数の活性金属成分が、か焼触媒粒子の全質量に対して0.01~40質量%である、請求項17に記載のか焼触媒粒子。
【請求項21】
前記活性金属成分が、白金、パラジウム、及びレニウムからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分が、触媒粒子の質量を基準として、活性金属成分の質量に換算して0.01~2質量%の量で存在する、請求項17に記載のか焼触媒粒子。
【請求項22】
前記活性金属成分が、Mo、W、Co、Ni、及びそれらの組合せからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分が、触媒粒子の質量を基準として、活性金属成分の質量に換算して0.1~40質量%の量で存在する、請求項17に記載のか焼触媒粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、USY型ゼオライトを含む触媒製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素処理/水素化分解触媒を含む触媒、例えば前処理触媒は、活性相として活性金属、Ni/Mo、Ni/W、若しくはCo/Mo金属を含有する非晶質ベースの触媒、例えば非晶質アルミナ若しくはシリカ-アルミナ若しくはチタニア基材、又はNi、W、Mo、及びCo金属で促進された非晶質触媒、ゼオライト触媒、若しくはそれらの複合混合物を典型的に含む。典型的に使用されるゼオライトはUSYである。水素化分解の分解触媒は、水素化活性金属成分及び酸性担体成分を含む。ある特定の実施形態において、水素化分解触媒は、非晶質アルミナ触媒、非晶質シリカ-アルミナ触媒、チタニア触媒、天然若しくは合成ゼオライトベースの触媒、後変性ゼオライト、又はそれらの組合せのうちのいずれか1種を含む。水素化分解触媒は、ある特定の実施形態において、Ni、W、Mo、Co、若しくはそれらの組合せのうちのいずれか1種又はそれらを含む組合せを含む活性相材料を有しうる。他の実施形態において、水素化及び/又は改質のための硫黄を含まない環境において典型的に、触媒は、1種又は複数の貴金属、例えばRu、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、又はAuを含むことがある。水素化脱窒素を目的とするある特定の実施形態において、Ni-Mo、若しくはNi-W活性金属、又はそれらの組合せを担持した酸性アルミナ又はシリカアルミナベースの触媒が使用される。全ての窒素を除去し、炭化水素の転化を向上させることを目的とする実施形態において、Ni-Mo、Ni-W、又はそれらの組合せを含む活性金属を有するシリカアルミナ、ゼオライト、又はそれらの組合せが触媒として使用される。
【0003】
本発明の出願人らが所有する米国特許第9,221,036号、同第10,081,009号、及び同第10,293,332号('036号、'009号、及び'332号特許、又は'036号特許ファミリー)(参照によりその全体が組み込まれる)は、とりわけ、USY骨格がジルコニウム、チタン、及びハフニウムのうちの1つ又は複数で部分的に置換された水素化分解触媒を教示している。これらの触媒において、置換金属(Ti、Zr、及び/又はHf)は、アルミニウム/シリカ骨格中のアルミニウムの一部を置換し、本質的に骨格の一部となる。これらの触媒を製造するための方法及びそれらの使用は、'036号、'009号、及び'332号特許に全て記載されている。
【0004】
水素化処理(水素処理及び水素化分解)触媒は、種々の方法で製造することができる。選択される方法は通常、製造コストと所望の化学的及び物理的特性が達成される度合いとの間のバランスを示す。触媒の配合、調製手順、及び触媒特性の間には関係があるが、触媒系の複雑な性質のため、その関係の詳細は必ずしも十分に理解されているわけではない。触媒の化学組成はその性能に重要な役割を果たし、物理的及び機械的特性も主要な役割を果たす。水素化分解触媒の調製は、いくつかの工程:沈殿、濾過(デカンテーション、遠心分離)、洗浄、乾燥、形成、か焼、及び含浸を含む。他の工程、例えば混練(kneading/mulling)、粉砕、及びふるい分けも典型的に必要とされる。以下に、水素化分解触媒の製造方法の不可欠な部分の工程を記載する。
【0005】
沈殿は、材料の溶液又は懸濁液の混合を含み、その結果、結晶質又は非晶質でありうる沈殿物が形成する。湿性固体材料を混練すると、通常、ドウが形成することになり、続いてこれを形成し乾燥させる。混練された生成物は、熱拡散及び固相反応によって成分間の接触をより密にし、均質性をより良好にするために熱処理にかける。続いて、含浸又は初期湿潤(incipient wetting)法によって金属成分を添加する。
【0006】
担体の特徴は、触媒の機械的特性、例えば耐摩耗性、硬度、及び破砕強度を決定する。大きな表面積及び適切な細孔径分布が一般に必要とされる。沈殿によって調製された触媒担体の細孔径分布及び他の物理的特性は、沈殿物の沈殿及びエージング条件、並びに後続の乾燥、形成、及びか焼によっても影響を受ける。
【0007】
触媒粒子の最終形状及びサイズは製造工程で決定される。触媒及び触媒担体は、いくつかの可能な形状、例えば球、円筒状押出し物、又は成形形態、例えば三葉状若しくは四葉状に形成される。球状触媒担体触媒は、液体を第2の非混和性液体に注ぐことで沈殿が生じる「油滴下」によって得ることができる。他の球状プロセスとしてはマームライジング(marmurizing)が挙げられる。一般に、コスト及びプロセス上の考慮、例えば圧力低下の理由から、現在は触媒の大部分が球以外の形状で形成される。最近の水素化分解において、球状触媒の使用はより少なくなっている。非球状の形状は、原料を混合して押出し可能なドウを形成し、これを孔のあいたダイを通して押し出すことによって得られる。スパゲッティ状の押出し物は乾燥、か焼し、短い断片に分割する。触媒ベースの長さの直径に対する比は典型的に、例えば2~4で変動する。
【0008】
図1は、典型的な水素化分解触媒の製造工程:結合剤成分とゼオライト成分とを混合及び混練する工程;混練された複合混合物を押し出して複合粒子に形成する工程;複合粒子をか焼する工程; か焼複合粒子に活性金属成分を含浸させる工程;並びに含浸された複合粒子をか焼して最終触媒製品を形成する工程を示している。
【0009】
触媒及び触媒担体の形状の例を図2に示す。最も単純な形態は円筒状であるが、他の形態、例えば三葉状、ねじれ三葉状、又は四葉状も商業的に使用されている。多葉状断面を有する触媒は、単純な円筒状押出し物よりも高い表面対体積比を有する。固定床で使用される場合、これらの成形触媒粒子は、拡散抵抗を低減し、より開放された床を創出し、圧力低下を低減するのに役立つ。
【0010】
熱処理は、形成された触媒の含浸の前及び/又は後に施される。全成分の沈殿又は共混練によって調製された触媒担体材料では、形成前に乾燥のみが必要とされることがあり、続いて、形成した生成物をか焼する。触媒又は担体の熱処理により、水及び他の揮発性物質が除去される。乾燥及びか焼条件は、触媒担体材料の物理的及び触媒的特性を決定する上で非常に重要である。表面積、細孔径分布、安定性、耐摩耗性、破砕強度、及び触媒活性は、乾燥及びか焼条件によって影響を受ける。
【0011】
従来の触媒調製において、触媒担体材料に活性金属を添加するにはいくつかの方法:(a)浸漬(ディッピング)、(b)初期湿潤(incipient wetness)、及び(c)蒸発が使用されることがある。1つの方法では、活性金属又は金属化合物を含有する過剰の溶液にか焼触媒担体材料を浸漬する。溶液は細孔を満たし、担体表面にも吸着し、過剰の溶液は除去する。別の方法では、含浸は初期湿潤を用い、目標の金属レベルを達成するように調整された金属化合物濃度を有する、担体の細孔体積に等しいかわずかに小さい溶液の体積を用いて、活性化単体をタンブリングする又は活性化単体に噴霧することにより行う。次いで金属担持触媒担体材料を乾燥させか焼する。プロセスにおいて金属酸化物が形成し、か焼工程は酸化とも呼ばれる。別の方法である蒸発含浸では、触媒担体材料を水又は酸溶液で飽和させ、金属化合物を含有する水性溶液に浸漬する。その化合物は続いて水性相を通して触媒担体材料の細孔内に拡散する。か焼後の触媒を袋詰めし、最終目的地に出荷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第9,221,036号
【特許文献2】米国特許第10,081,009号
【特許文献3】米国特許第10,293,332号
【特許文献4】米国特許第10,787,618号
【特許文献5】米国特許公開第2021/0246382A1号
【特許文献6】米国特許公開第2021/0246383A1号
【特許文献7】米国特許公開第2021/0246384A1号
【特許文献8】米国特許公開第2021/0246389A1号
【特許文献9】米国特許公開第2021/0246386A1号
【特許文献10】米国特許公開第2021/0246381A1号
【特許文献11】米国特許公開第2021/0246387A1号
【特許文献12】米国特許公開第2021/0246385A1号
【特許文献13】米国特許公開第2021/0246388A1号
【特許文献14】米国特許公開第20210077985A1号
【特許文献15】米国特許出願シリアル番号第17/577,794号
【特許文献16】米国特許出願シリアル番号第17/577,747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
'036号特許ファミリーにおいて、活性金属成分は、後骨格変性USYゼオライトと結合剤を混合、混練し、押し出した後に添加する。'036号特許ファミリーで教示されている方法によって生成された触媒粒子は、意図された目的に好適であるが、業界は常に改良された触媒粒子及びその製造方法を求めている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1種又は複数の活性金属成分を含む触媒粒子及びそのような触媒粒子を製造するための方法が提供される。粒子は、造粒剤又は結合剤材料、例えば無機酸化物と、骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された超安定Y(以下「USY」)ゼオライトとの複合体である。1種又は複数の活性相成分は、結合剤を後骨格変性USYゼオライトと混合し、得られた複合混合物を押し出し、触媒粒子を形成する前に組み込まれる。1種又は複数の活性相成分は、触媒粒子を形成する前に結合剤材料に組み込まれる。
【0015】
触媒粒子を製造するための方法は、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、後骨格変性超安定Y型(USY)ゼオライトを用意する工程;外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられる、無機酸化物結合剤材料を用意する工程;無機酸化物結合剤材料の外表面及び/又は細孔内表面に1種又は複数の活性金属成分を含浸させて、金属担持無機酸化物結合剤を形成する工程;後骨格変性USYゼオライトを金属担持無機酸化物結合剤と混合及び混練する工程;後骨格変性USYゼオライトと金属担持無機酸化物結合剤との複合体から押出し物に触媒粒子を形成する工程;押出し物を熱処理する工程;並びにか焼触媒粒子を回収する工程を含む。
【0016】
上記の方法のある特定の実施形態において、無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分は、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分である。後骨格変性USYゼオライトは、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、方法は、混合及び混練する工程の前に、後骨格変性USYゼオライトの外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させて、金属担持後骨格変性USYゼオライトを形成する工程を更に含む。したがって、混合及び混練する工程は、金属担持無機酸化物結合剤材料と金属担持後骨格変性USYゼオライトとを混合及び混練して、金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体を形成する工程であり、触媒粒子を押出し物に形成する工程は、金属担持無機酸化物結合剤と金属担持後骨格変性USYゼオライトとの複合体から行われる。
【0017】
上記の方法のある特定の実施形態において、無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分は、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分である。か焼触媒粒子は中間か焼触媒粒子であり、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、中間か焼触媒粒子の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させる工程、金属担持中間か焼触媒粒子を熱処理する工程、並びに最終か焼触媒粒子を回収する工程を更に含む。
【0018】
上記の方法のある特定の実施形態において、無機酸化物結合剤材料に含浸された1種又は複数の活性金属成分は、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第1の部分である。金属担持無機酸化物結合剤と後骨格変性USYゼオライトとの複合体は、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられ、方法は、金属担持無機酸化物結合剤と後骨格変性USYゼオライトとの複合体の外表面及び/又は細孔内表面に、1種又は複数の活性金属成分の全活性金属成分含有量の第2の部分を含浸させる工程を更に含む。
【0019】
本明細書において用意されるか焼触媒粒子は、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、後骨格変性超安定Y型(USY)ゼオライトと、外表面と内表面を画定する細孔とによって特徴づけられる無機酸化物結合剤材料であり、前記外表面及び/又は細孔内表面が、1種又は複数の活性金属成分を金属担持している、無機酸化物結合剤材料との複合体を含む。複合体は押出し物に形成され、か焼触媒粒子として熱処理される。
【0020】
上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記後骨格変性USYゼオライトは、湿性、乾燥、又はか焼状態で用意される。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記後骨格変性USYゼオライトは、酸化物基準で計算して0.1~5質量%のジルコニウム及び/又はチタン及び/又はハフニウムを含有する。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記無機酸化物材料は、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアからなる群から選択される。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記金属担持無機酸化物結合剤は、活性金属含有複合触媒粒子の約0.1~99質量%を占め、残りの質量は後骨格変性USYゼオライトを含む。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記触媒粒子は、後骨格変性USYゼオライト、金属担持無機酸化物結合剤、及び追加のゼオライト成分で形成されている。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記金属担持無機酸化物結合剤は、触媒粒子の約0.1~99質量%を占め、第1の残りの質量は後骨格変性USYゼオライトを含み、第2の残りの質量は追加のゼオライト成分を含む。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記活性金属成分は、白金、パラジウム、及びレニウムからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分は、触媒粒子の質量に対して、活性金属成分の質量に換算して0.01~2質量%の量で存在する。上記の方法及び組成物のある特定の実施形態において、前記活性金属成分は、Mo、W、Co、Ni、及びそれらの組合せからなる金属の群から選択され、前記活性金属成分は、触媒粒子の質量を基準として、活性金属成分の質量に換算して0.1~40質量%の量で存在する。
【0021】
これらの例示的な態様及び実施形態の更に他の態様、実施形態、及び利点を、以下に詳細に論じる。更に、前述の情報及び以下の詳細な説明はいずれも、様々な態様及び実施形態の単なる説明のための例であり、特許請求される態様及び実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図するものであり、記載され特許請求される態様及び実施形態の原理及び動作を説明するのに役立つものであると理解されるものとする。
【0022】
以下に、添付の図面を参照して本発明を更に詳細に説明するが、添付の図面において、同一又は同様の要素は、ある特定の例において同一の番号で参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】公知の方法による触媒粒子を生成するための簡略化されたプロセスフロー図である。
図2】触媒の形状を示す図である。
図3】公知の方法による触媒粒子を生成するための工程を示すプロセスフロー図である。
図4】結合剤材料に活性金属を含浸させた、本明細書の実施形態による触媒粒子を生成するための工程を示すプロセスフロー図である。
図5】骨格置換USYゼオライト材料及び結合剤材料に活性金属を含浸させた、本明細書の実施形態による触媒粒子を生成するための工程を示すプロセスフロー図である。
図6】本明細書の様々な実施形態による触媒粒子を生成するための可能な工程を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、1種又は複数の活性金属成分を含む触媒粒子を製造するための方法を提供する。粒子は、(a)造粒剤又は結合剤材料、例えば無機酸化物と、(b)骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された超安定Y(以下「USY」)ゼオライトとの複合体である。本発明の方法において、1種又は複数の活性相成分は、触媒粒子を形成する前に結合剤材料に組み込まれる。本発明の方法の実施形態において、1種又は複数の活性相成分は、結合剤を後骨格変性USYゼオライトと混合し、得られた複合混合物を押し出し、触媒粒子を形成する前に組み込まれる。これは、既にか焼され形成されたほぼ最終的な粒子に活性金属成分が添加される公知の方法とは対照的である。
【0025】
ある特定の実施形態において、本明細書で本発明に従って形成される触媒粒子は、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェル油、又は石炭液化油から得られる重質炭化水素油を水素化分解するのに好適である。上記の重質炭化水素油は、好ましくはa)真空ガス油(VGO)、b)溶剤脱れきプロセスから得られる脱れき油(DAO)若しくは脱金属油、c)コーカープロセスから得られる軽質コーカーガス油若しくは重質コーカーガス油、d)流動接触分解(FCC)プロセスから得られるサイクル油、又はe)ビスブレーキングプロセスから得られるガス油のいずれかである。
【0026】
ある特定の実施形態において、本明細書で本発明に従って形成される触媒粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,787,618号に開示されているように、ナフサの改質に好適である。
【0027】
ある特定の実施形態において、本明細書で本発明に従って形成される触媒粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246382A1号、同第2021/0246383A1号、同第2021/0246384A1号、及び同第2021/0246389A1号に開示されているように、中間留分の水素化及び前記中間留分の水蒸気分解のためのコンディショニングに好適であり;又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246386A1号に開示されているように、中間留分の水素化及び前記中間留分の水蒸気分解及び/若しくは流動接触分解のためのコンディショニングに好適である。ある特定の実施形態において、本明細書で本発明に従って形成される触媒粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246381A1号に開示されているように、軽質サイクル油の水素化及び前記軽質サイクル油の水蒸気分解のためのコンディショニングに好適であり;又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246387A1号に開示されているように、軽質サイクル油の水素化及び前記軽質サイクル油の水蒸気分解及び/若しくは流動接触分解のためのコンディショニングに好適である。ある特定の実施形態において、本明細書で本発明に従って形成される触媒粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246385A1号に開示されているように、軽質コーカーガス油の水素化及び前記軽質コーカーガス油の水蒸気分解のためのコンディショニングに好適であり;又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2021/0246388A1号に開示されているように、軽質コーカーガス油の水素化及び前記軽質コーカーガス油の水蒸気分解及び/若しくは流動接触分解のためのコンディショニングに好適である。
【0028】
本発明の方法の説明の便宜のため、図3は、後骨格変性USYゼオライトを生成し、後骨格変性USYゼオライト及び結合剤を含む複合担体上に活性金属成分を有する触媒粒子を生成するための方法の工程を示す。これらの方法の工程のうちのある特定のものは、'036号特許ファミリーに開示されているものと同様である。
【0029】
図3の方法に従って生成される触媒粒子は、本明細書に記載の後骨格変性USYゼオライトと結合剤のか焼複合担体粒子であり、粒子に活性金属成分を添加し、その後か焼する。
【0030】
本明細書の工程1~9は、か焼USYゼオライト(本明細書においてUSY(c)と表記する)の合成のための方法の説明を示し、これは次いで工程10~13で後骨格変性される。本発明の本明細書の実施形態において、後骨格変性されるUSYは別の供給源から得ることができ、すなわち、工程1~9のうちの1つ又は複数を回避することができる。工程14~15は、無機酸化物結合剤の調製に関するものであり、工程16~21は、複合触媒担体粒子の形成(工程16~18)及び有効量の活性金属成分を有する最終粒子の形成(工程19~21)に関するものである。
【0031】
工程1において、Y型ゼオライト(Na-Y)は、例えばゼオライト1キログラム(kg)当たり約5~20、5~15、8~15、5~12、又は8~12リットル(L)の水の液体/固体比の範囲の有効濃度のNa-Yの懸濁液を、例えば約15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度で形成することによって調製する。
【0032】
工程1の出発材料は、有効SiO2/Al2O3モル比(SAR)、例えば約3~6の範囲;有効単位格子寸法(UD)、例えば約2.466ナノメートル(nm);有効比表面積(SA)、例えば約600~900、600~800、650~900、又は650~800平方メートル毎グラム(m2/g)の範囲、及び有効Na2O含有量、例えば約13質量%を有するNa-Y型ゼオライトを含む。
【0033】
イオン交換工程2において、工程1からのNa-Y懸濁液をNa-Yのナトリウムイオンとアンモニウムイオンとのイオン交換に供することにより、第1のイオン交換Y型ゼオライトを合成して、第1のイオン交換Y型ゼオライト(第1のNH4-Y)を調製する。第1のNH4-Yにおいて、ある特定の実施形態ではY型ゼオライトに含有されるNaのうちの約50~70%がNH4で置換され、これはNH4 50-70Yとも呼ばれる。
【0034】
工程2のイオン交換の一実施形態は、Na-Y懸濁液に、有効濃度、例えばアンモニウムのAlに対するモル比が約2~8の範囲のアンモニウム源を;約20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度で;例えば約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の有効滞留時間、添加することを含む。アンモニウム源は、NH4OH、(NH4)2SO4、(NH4)2CO3、又は別の好適なアンモニウム源のうちの1種又は複数とすることができる。
【0035】
イオン交換工程2から得られた固体を濾過し、例えば約20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度の水で洗浄し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、第1のイオン交換NH4-Y、NH4 50-70Yを得ることができる。
【0036】
任意選択で、イオン交換工程2から得られた固体を洗浄した後、それらを有効温度、濃度、及び滞留時間、例えば工程2の有効温度、濃度、及び滞留時間で、1回又は複数の追加のサイクルでアンモニウム源で洗浄し、その後水で洗浄することができる。1回又は複数の追加の回数洗浄した固体物質は、有効温度及び滞留時間、例えば工程2の有効温度及び滞留時間で乾燥させて、第1のイオン交換NH4-Y、NH4 50-70Yを得る。ある特定の例において、第1のイオン交換工程の1回又は複数の追加のサイクルは実施されない。
【0037】
熱処理工程3において、飽和水蒸気雰囲気中で加熱することにより、第1のイオン交換NH4-Y(NH4 50-70Y)から水素型Y型(HY)ゼオライトを合成する。ある特定の実施形態において、工程3での熱処理は、HYゼオライトを生成するのに有効な温度で有効な時間、例えば約500~800、500~700、600~800、又は600~700℃の範囲の温度(典型的には、水蒸気の存在下、すなわち飽和水蒸気中、又は空気若しくは酸素の存在下)で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間、第1のイオン交換NH4-Yをか焼することを含む。ある特定の実施形態において、HYゼオライト中にかなりの量のNaが残存する場合、工程2と同様にイオン交換を1回又は複数回繰り返してもよい。HYゼオライトは、以下の工程4~6で論じる追加のアンモニウムイオン交換及び水蒸気処理の後にUSYに変換される。
【0038】
工程4~6では、HYゼオライトを処理して、Na-Yに含有されるNaのうちの80~97%がNH4で交換された第2のイオン交換NH4-Yゼオライトを合成し、これはNH4 80-97Yとも呼ばれる。例えば図示されているように、工程4において、例えば約5~20、5~15、8~15、5~12、又は8~12L/kg(水/ゼオライト)の固体/液体質量比の範囲の有効濃度のHYゼオライトを含有する懸濁液を、例えば約15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度で調製する。
【0039】
イオン交換工程5において、工程4からのNH4-Y懸濁液を、Na-Yの80~97又は90~97%のナトリウムイオンとアンモニウムイオンとのイオン交換に供することにより、第2のイオン交換Y型ゼオライトを合成して、第2のアンモニウム交換Y型ゼオライト(第2のNH4-Y)、NH4 80-97Yを調製する。工程5のイオン交換の一実施形態は、有効濃度、例えばアンモニウムのAlに対するモル比が約2~8の範囲のアンモニウムを;約20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度で;例えば約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の有効滞留時間、添加及び撹拌することを含む。アンモニウム源は、NH4OH、(NH4)2SO4、(NH4)2CO3、又は別の好適なアンモニウム源のうちの1種又は複数とすることができる。
【0040】
イオン交換工程5から得られた固体を濾過し、例えば約20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度の水で洗浄し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、第2のイオン交換NH4-Y、NH4 80-97Yを得ることができる。
【0041】
任意選択で、イオン交換工程5から得られた固体を洗浄した後、それらを有効温度、濃度、及び滞留時間、例えば工程5の有効温度、濃度、及び滞留時間で、1回又は複数の追加のサイクルでアンモニウム源で洗浄し、その後水で洗浄することができる。1回又は複数の追加の回数洗浄した固体は、有効温度及び滞留時間、例えば工程5の有効温度及び滞留時間で乾燥させて、第2のイオン交換NH4-Y、NH4 80-97Yを得る。ある特定の例において、第2のイオン交換工程の1回又は複数の追加のサイクルは実施されない。
【0042】
熱処理工程6において、NH4 80-97Yをか焼することにより、本明細書においてUSY(a)と呼ばれる第1の超安定Y型ゼオライトを合成する。熱処理工程6は、例えば約500~800、500~700、600~800、又は600~700℃の範囲の有効温度(典型的には、水蒸気の存在下、すなわち飽和水蒸気中、又は空気若しくは酸素の存在下)で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間、第2のイオン交換NH4-Yをか焼して、USY(a)を回収することを含む。ある特定の実施形態において、NH4 80-97Yの熱処理は、水蒸気処理によるものである。
【0043】
工程6からのUSY(a)は、出発Na-YのSARとほぼ同等のSARを有するUSYゼオライトである。工程1~6は、ゼオライト骨格からのアルミニウム原子の排出を目的とした酸処理を伴わないため、一般にSAR値を有意に変化させることはないはずである。例えば、工程6でこうして得られたUSY(a)は約3~6のSARを有しうる。
【0044】
工程7~9では、USY(a)ゼオライトを処理して、SARが向上したか焼USYゼオライトを合成し、これは後続の後骨格変性のための出発材料である。工程7では、例えば約5~20、5~15、8~15、5~12、又は8~12L/kg(水/ゼオライト)の固体/液体質量比の範囲の有効濃度のUSY(a)を含有する水性懸濁液を、例えば約15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度で調製する。
【0045】
酸処理工程8において、懸濁液のpHが強酸性範囲に維持されるように、有効量の無機酸又は有機酸を懸濁液中に分散させて、SARが向上した、本明細書においてUSY(b)と呼ばれる第2の超安定Y型ゼオライトを合成する。USY(b)ゼオライトを得るために、USY(a)から骨格外アルミニウム(ゼオライト骨格の一部分を形成していないアルミニウム原子)を除去する。これは酸処理によって行われる。
【0046】
無機酸の使用は、一般に硫酸、硝酸、塩酸等とすることができる。ある特定の実施形態において、選択される無機酸は硫酸又は塩酸である。更に、上記の有機酸として、カルボン酸を好適に使用することができる。添加する無機酸又は有機酸の量は、懸濁液のpHを強酸性範囲、例えば約0.7~2.5、0.7~2.0、1.0~2.5、又は1.0~2.0の範囲に制御するのに好適な量である。量は、例えば、USY(a)中のAl2O3の量を基準として、0.5~4.0倍、0.5~3.5倍、0.7~4.0倍、又は0.7~3.5~0.5倍のモル増加としてもよい。酸性懸濁液は有効温度、例えば15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90又は40~80°に維持し、例えば約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の有効滞留時間維持する。工程8での酸処理は、Y型ゼオライトのSARを、例えば約3~6の範囲から約30~100、40~100、30~80、又は40~80の範囲に増加させる。
【0047】
酸処理工程8から得られた固体を濾過し、例えば約15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度の水で洗浄し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、USY(b)を回収することができる。
【0048】
任意選択で、酸処理工程8から得られた固体を洗浄した後、それらを有効温度、濃度、及び滞留時間、例えば工程8の有効温度、濃度、及び滞留時間で、1回又は複数の追加のサイクルで無機酸又は有機酸で処理し、その後水で洗浄することができる。1回又は複数の追加の回数酸処理した固体は、有効温度及び滞留時間、例えば工程8の有効温度及び滞留時間で乾燥させて、USY(b)を回収する。ある特定の例において、第1の酸処理工程の1回又は複数の追加のサイクルは実施されない。
【0049】
熱処理工程9において、USY(b)ゼオライトを熱処理にかけて、第3の超安定Y型ゼオライトUSY(c)を調製する。ある特定の実施形態において、工程9での熱処理は、例えば約500~700、550~700、500~650、又は550~650℃の範囲の有効温度(典型的には、空気若しくは酸素の存在下、又は水蒸気の存在下)で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間、第2のUSYゼオライト(USY(b))をか焼して、USY(c)を回収することを含む。か焼温度が約500℃より低いと、ジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子の骨格置換量が減少する傾向があり、約700℃を超えるか焼温度では、超安定Y型ゼオライトの比表面積が減少することがあり、したがってジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子の骨格置換量が減少する。
【0050】
工程10~13では、骨格置換をおこなって、USYゼオライト骨格内のアルミニウム原子の一部分がジルコニウム及び/又はチタン及び/又はハフニウム原子で置換された後骨格変性USYゼオライトを生成する。ある特定の実施形態において、後骨格変性USYゼオライト材料は、本明細書に記載の特性を有するUSYゼオライトを約500~700℃で焼成することによって生成する。焼成USYゼオライトを含有し、約5~15の液体/固体質量比を有する懸濁液を形成する。懸濁液のpHが約2.0未満となるように、無機酸又は有機酸を添加する。続いて、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物及び/又はハフニウム化合物を含有する溶液を混合する。混合溶液のpHが約7~7.5になるように、溶液を例えば水性アンモニアで中和する。
【0051】
上記の好適なジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム等のうちの1種又は複数が挙げられる。ある特定の実施形態において、硫酸ジルコニウム及び/又は硝酸ジルコニウムが選択される。添加するジルコニウム化合物の量は、一般に、それらの酸化物基準(すなわち、酸化ジルコニウム)で計算して、かつ後骨格変性USYゼオライト成分の質量に対して測定して、約0.1~5.0、0.1~4.0、0.1~3.0、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.0、0.3~5.0、0.3~4.0、又は0.3~3.0質量%である。約0.1質量%未満の量のジルコニウム化合物の添加では、ゼオライトの固体酸の特徴を改善することができない。5質量%を超える量のジルコニウム化合物の添加は、ゼオライトの細孔の詰まりを引き起こす傾向がある。ジルコニウム化合物を水に溶解することにより調製したジルコニウム化合物の水性溶液をジルコニウム化合物として使用することができる。
【0052】
好適なチタン化合物としては、硫酸チタン、酢酸チタン、塩化チタン、硝酸チタン、及び乳酸チタンのうちの1種又は複数が挙げられる。ある特定の実施形態において、硫酸チタン及び/又は酢酸チタンが選択される。添加するチタン化合物の量は、一般に、それらの酸化物基準(すなわち、酸化チタン)で計算して、かつ後骨格変性USYゼオライト成分の質量に対して測定して、約0.1~5.0、0.1~4.0、0.1~3.0、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.0、0.3~5.0、0.3~4.0、又は0.3~3.0質量%である。約0.1質量%未満の量のチタン化合物の添加では、ゼオライトの固体酸の特徴を改善することができない。5質量%を超える量のチタン化合物の添加は、ゼオライトの細孔の詰まりを引き起こす傾向がある。チタン化合物を水に溶解することにより調製したチタン化合物の水性溶液をチタン化合物として使用することができる。
【0053】
上記の好適なハフニウム化合物には、塩化ハフニウム、硝酸ハフニウム、フッ化ハフニウム、臭化ハフニウム、シュウ酸ハフニウム等のうちの1種又は複数が挙げられる。ある特定の実施形態において、塩化ハフニウム及び/又は硝酸ハフニウムが選択される。添加するハフニウム化合物の量は、一般に、それらの酸化物基準(すなわち、酸化ハフニウム)で計算して、かつ後骨格変性USYゼオライト成分の質量に対して測定して、約0.1~5.0、0.1~4.0、0.1~3.0、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.0、0.3~5.0、0.3~4.0、又は0.3~3.0質量%である。約0.1質量%未満の量のハフニウム化合物の添加では、ゼオライトの固体酸の特徴を改善することができない。5質量%を超える量のハフニウム化合物の添加は、ゼオライトの細孔の詰まりを引き起こす傾向がある。ハフニウム化合物を水に溶解することにより調製したハフニウム化合物の水性溶液をハフニウム化合物として使用することができる。
【0054】
上記の懸濁液のpHは約2.0未満に制御して、ジルコニウム化合物及び/又はハフニウム化合物及び/又はチタン化合物の水性溶液と、上記の超安定Y型ゼオライトの懸濁液との混合中に沈殿物が生成するのを防ぐ。
【0055】
ジルコニウム化合物及び/又はハフニウム化合物及び/又はチタン化合物の水性溶液と、超安定Y型ゼオライトの懸濁液との混合は、ある特定の実施形態において、前記水性溶液を懸濁液に徐々に添加することによって行う。懸濁液への上記の水性溶液の添加が完了した後、例えば室温(約25~35℃)で約3~5時間撹拌することにより溶液を混合することができる。更に、上記の混合が完了した後、アルカリ化合物、例えば水性アンモニア及び/又は同等物を添加することによって混和溶液を中和し、そのpHを約7.0~7.5に制御することにより、本明細書に記載の後骨格変性USYゼオライトが得られる。
【0056】
この点に関し、化合物(又はその水性溶液)としてジルコニウム化合物(又はその水性溶液)のみを使用し、上記の懸濁液に添加する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子に置換された後骨格変性USYゼオライト(Zr-USY)が形成され;チタン化合物(又はその水性溶液)のみを使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がチタン原子に置換された後骨格変性USYゼオライト(Ti-USY)が形成され;ハフニウム化合物(又はその水性溶液)のみを使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がハフニウム原子に置換された後骨格変性USYゼオライト(Hf-USY)が形成され;ジルコニウム化合物及びチタン化合物(又はその水性溶液)を使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及びチタン原子で置換された、触媒中の後骨格変性USYゼオライト(Zr-Ti-USY)が形成され;ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物(又はその水性溶液)を使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及びハフニウム原子で置換された、触媒中の後骨格変性USYゼオライト(Zr-Hf-USY)が形成され;ハフニウム化合物及びチタン化合物(又はその水性溶液)を使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がハフニウム原子及びチタン原子で置換された、触媒中の後骨格変性USYゼオライト(Hf-Ti-USY)が形成され;ジルコニウム化合物、チタン化合物、及びハフニウム化合物(又はそれらの水性溶液)を使用する場合、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子、チタン原子、及びハフニウム原子で置換された、触媒中の後骨格変性USYゼオライト(Zr-Ti-Hf-USY)が形成される。
【0057】
得られた骨格置換ゼオライトは、所望により濾過し、水で洗浄し、約80~180℃で乾燥させることができ;混合物は、例えば約600~800℃の温度で約10~20時間、蒸気で準平衡化してもよい。
【0058】
例えば、工程10において、工程9からのか焼USY(c)ゼオライトは、例えば約15~95℃、15~80℃、20~95℃、20~90℃、20~80℃、40~95℃、40~90℃、又は40~80℃の範囲の有効温度で水中に分散させることによって、例えば約5:1~15:1、5:1~12:1、8:1~15:1、又は8:1~12:1の液体/固体質量比の範囲の有効濃度のUSY(c)の懸濁液を形成することにより、酸処理に向けて調製する。
【0059】
酸処理工程11において、懸濁液のpHが強酸性範囲に維持されるように、有効量の無機酸又は有機酸を懸濁液中に分散させて、骨格への金属挿入の工程12に向けてゼオライトを調製する。ある特定の実施形態において、これは'036号特許ファミリーと同様に段階的とすることができる。追加の実施形態において、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる共同所有された米国特許公開第20210077985A1号に開示されているように、骨格への金属挿入に向けてゼオライトを調製するための酸処理は、金属挿入と一緒に行うことができる。
【0060】
無機酸の使用は、一般に硫酸、硝酸、塩酸等とすることができる。ある特定の実施形態において、選択される無機酸は硫酸又は塩酸である。更に、上記の有機酸として、カルボン酸を好適に使用することができる。添加する無機酸又は有機酸の量は、懸濁液のpHを強酸性範囲、例えば約0.7~2.5、0.7~2.0、1.0~2.5、又は1.0~2.0の範囲に制御するのに好適な量である。酸性懸濁液は、例えば15~80、15~60、15~35、15~30、又は20~60℃の範囲の有効温度に維持し、例えば約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の有効滞留時間維持する。
【0061】
金属挿入工程12において、骨格置換を行う。酸変性USY(c)ゼオライト懸濁液を金属処理に供して、超安定Y型ゼオライトの骨格を形成するアルミニウム原子の一部を置換する。ある特定の実施形態において、これは、酸性度変性USY(c)に遷移金属化合物を含有する溶液を添加することによって行う。ある特定の実施形態において、遷移金属化合物は、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物及び/又はハフニウム化合物を含む。溶液は有効温度、例えば15~80、15~60、15~35、15~30、20~60、15~35、又は15~30℃で、例えば約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の有効滞留時間維持する。工程12からの懸濁液は、例えば水性アンモニアで、約7.0~7.5の範囲のpHに中和することができる。
【0062】
金属挿入工程12から得られた固体を濾過し、例えば約15~95、15~80、20~95、20~90、20~80、40~95、40~90、又は40~80℃の範囲の有効温度の水で洗浄し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させることができ、工程13で後骨格変性USYゼオライト(USYA)を回収する。
【0063】
超安定Y型ゼオライトは、上記でUSY(c)と呼ばれる後骨格変性USYゼオライトを調製するための原料として使用される。上述のように、工程1~9のうちの1つ又は複数を使用して、工程10で導入されたUSYを調製するか、又は他の方法で得ることができる。工程10で導入される前記USYは一般に、公知のUSYゼオライトの特性を有し、これは、効果的な金属挿入のために約30~100、40~100、30~80、又は40~80の範囲のSARを有するUSYゼオライトが用意されるように、合成若しくは変性(工程1~9のうちの1つ若しくは複数、又は代替の方法と同様に)、又は調達することができる。
【0064】
公知のUSY型ゼオライトは、一般に約2.425~2.450又は2.430~2.450nmの範囲の単位格子寸法(UD);一般に約600~900、600~800、650~900、又は650~800m2/gの範囲の比表面積;及び約0.3~0.75、0.4~0.75、0.3~0.6、又は0.4~0.6ml/gの細孔体積を有するゼオライトを指す。公知のUSY型ゼオライトはまた、一般に約5~100、10~100、20~100、5~80、10~80、20~80、25~100、又は25~80の範囲のSARを有し;本明細書で述べたように、このSARは、金属挿入に有効なUSYをもたらすように選択又は変更することができる。
【0065】
例えば、好適なゼオライトは、[111]方向に沿って見たときに12員環によって形成されるそのミクロ細孔が7.4×7.4ÅであるFAU骨格(ゼオライトY)である。UDは結晶格子定数とも呼ばれ、ASTM法D3942、フォージャサイト型ゼオライトの単位格子寸法の決定のための標準試験法を参照して測定することができる。比表面積は、窒素吸着を用いたBET(Brunauer-Emmett-Teller)法により決定される値である。超安定Y型ゼオライトは、当技術分野で公知の任意の方法によって調製してもよい。この超安定Y型ゼオライトを、本明細書に記載の後骨格変性に供して、複合触媒粒子を製造するのに使用する後骨格変性USYゼオライトを形成する。
【0066】
後骨格変性USYゼオライトは、ジルコニウム、チタン、及びハフニウムのうちの1種又は複数がその骨格に組み込まれている。Zr、Ti、及び/又はHfの有効濃度としては、それらの酸化物基準(すなわち、ZrO2、TiO2、及び/又はHfO2)で計算して、かつ後骨格変性USYゼオライトの質量に対して測定して、約0.1~5.0、0.1~4.0、0.1~3.0、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.0、0.3~5.0、0.3~4.0、又は0.3~3.0質量%が挙げられる。ある特定の実施形態において、Zr、Ti、及び/又はHfを供給する個々の材料の量は、0.1、0.2、又は0.3質量%未満とすることができるが、合わせると、合計は少なくとも0.1、0.2、又は0.3質量%である。触媒中の骨格置換ゼオライトが上記のジルコニウム原子及びチタン原子及び/又はハフニウム原子を含有する場合、ジルコニウム原子のチタン原子及び/又はハフニウム原子に対する質量比(酸化物換算)は特に制限されず、触媒粒子の意図する使用、例えば重質炭化水素油の水素化分解に有効なジルコニウム又はチタン又はハフニウムの任意の比を使用できることが、当業者には理解される。
【0067】
ある特定の実施形態において、後骨格変性USYゼオライトは、
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子のみで置換された、「ジルコニウム置換ゼオライト」又は「Zr-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がチタン原子のみで置換された、「チタン置換ゼオライト」又は「Ti-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がハフニウム原子のみで置換された、「ハフニウム置換ゼオライト」又は「Hf-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及びチタン原子のみで置換された、「ジルコニウム-チタン置換ゼオライト」又は「Zr-Ti-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がハフニウム原子及びチタン原子のみで置換された、「ハフニウム-チタン置換ゼオライト」又は「Hf-Ti-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及びハフニウム原子のみで置換された、「ジルコニウム-ハフニウム置換ゼオライト」又は「Zr-Hf-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライト;並びに
ゼオライト骨格を形成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子、チタン、及びハフニウム原子のみで置換された、「ジルコニウム-チタン-ハフニウム置換ゼオライト」又は「Zr-Ti-Hf-USY」と呼ばれる骨格置換ゼオライトである。
【0068】
後骨格変性USYゼオライト中のアルミニウム原子を置換したジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子の存在は、USYゼオライトの骨格の構成要素として機能する。置換は、例えば蛍光X線、高周波プラズマ発光分光法、原子吸光分析、紫外-可視-近赤外分光法(UV-Vis-NIR)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、及び/又は核磁気共鳴分光法(NMR)によって確認することができる。
【0069】
後骨格変性USYゼオライト及び結合剤を含む複合担体上に活性金属成分を有する触媒粒子を生成するための方法における次の工程、工程14及び15は、無機酸化物を結合剤又は造粒剤として形成することを含み、続いてこれを後骨格変性USYゼオライトと組み合わせ、押し出す(工程16及び17)。工程14では、結合剤又は造粒剤として使用される1種又は複数の無機酸化物(以下、無機酸化物成分)に沈殿する溶液を調製する。例えば、好適な結合剤は、アルミナ又は当技術分野で公知の別の無機酸化物のゲルから調製することができる。ある特定の実施形態において、固体無機酸化物を結合剤材料として直接使用することができる。
【0070】
或いは、当業者に公知のように、市販の無機酸化物成分を用意し、例えば混練による後骨格変性USYゼオライトと混合に向けて調製することができる。
【0071】
無機酸化物として、関連技術分野で水素化分解触媒組成物又は他の触媒組成物に使用される多孔質無機酸化物を使用することができる。その例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアが挙げられる。
【0072】
後骨格変性USYゼオライト及び無機結合剤は、触媒を形成するための公知のプロセスを用いて、例えば、成分を混合及び混練することによって組み合わせて触媒担体材料を形成し(工程16)、次いで、共押出し又は他の方法で複合担体粒子を形成することによってそれらを所望の形状に形成する(工程17)。複合担体粒子をか焼し(工程18)、か焼複合担体粒子に活性金属成分を含浸させる(工程19)。次いで、このように形成された触媒粒子を再度か焼し(工程20)、最終生成物である、複合担体上に活性金属成分を有する触媒粒子を回収する。ある特定の実施形態において、最終粒子中の後骨格変性USYゼオライト材料は、触媒粒子の含浸活性金属成分に追加して、活性触媒材料として機能する。
【0073】
複合担体材料は、例えば本明細書の工程13からの後骨格変性USYゼオライト材料、1種又は複数の無機酸化物成分(例えば本明細書の工程15から)、及び任意選択で1種又は複数の他のゼオライト材料で形成される。複合担体材料は一般に、約150~500、150~450、200~500、200~450、又は300~450m2/gの範囲の表面積、及び約0.4~0.8、0.4~0.75、0.4~0.65、0.45~0.8、0.45~0.75、又は0.45~0.65ml/gの範囲の細孔体積を有する。後骨格変性USYゼオライト成分、無機酸化物成分、及び活性金属成分の含有量は、目的に応じて適宜決定される。例えば、複合担体材料で形成された触媒粒子の後骨格変性USYゼオライト含有量は、約0.1~99、0.1~90、0.1~80、0.1~70、2~99、2~90、2~80、2~70、20~100、20~90、20~80、又は20~70質量%の範囲とすることができ、残りの含有量は、無機酸化物及び活性金属成分、並びにある特定の実施形態では任意選択で1種又は複数の他のゼオライト材料である。
【0074】
混合/混練工程16において、例えば工程13から回収された、又は他の方法で用意された後骨格変性USYゼオライトと、例えば工程15から回収された、又は他の方法で用意された無機結合剤とを一緒に混合する。混合は、上述のような有効な比で、例えば約15~80、15~60、15~35、15~30、又は20~60℃の範囲の好適な温度で行う。混合物は、例えば約30~80の液体/固体質量比の範囲の有効量の水を用いて、例えば約10~180分の範囲の有効混練時間混練する。したがって、湿性固体材料の混練によりドウが形成し、続いてこれを形成して乾燥させる。混練された生成物は、熱拡散及び固相反応によって成分間の接触をより密にし、均質性をより良好にするために熱処理にかけることができる。
【0075】
こうして得られた混練された材料は、有効な断面形状及び寸法を有するダイを通して、例えば約15~80、15~60、15~35、15~30、又は20~60℃の範囲の好適な温度で押し出す(形成工程17)。有効な断面形状としては、例えば円筒状、三葉状、ねじれ三葉状、又は四葉状が挙げられる。有効な断面寸法としては、例えば約0.8~3又は0.8~2.5ミリメートルの範囲の直径又は有効直径が挙げられる。得られた押出し物は、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、乾燥複合押出し物を回収する。任意選択で、別個の乾燥工程を回避することができ、それにより複合押出し物は、か焼のための熱処理工程18に送られる。
【0076】
熱処理工程18において、複合押出し物(任意選択で乾燥されている)は、か焼複合粒子を調製するための熱処理にかける。ある特定の実施形態において、工程18での熱処理は、複合押出し物(任意選択で乾燥されている)を、例えば約400~800、400~700、400~650、500~800、500~700、500~650、550~800、550~700、550~650、600~800、又は600~700℃の範囲の有効温度(典型的には、空気若しくは酸素の存在下、又は水蒸気の存在下)で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間か焼して、か焼複合粒子を回収することを含む。
【0077】
最終生成物であるか焼複合触媒粒子には、活性金属成分、例えば水素化金属が含浸されている。活性金属成分は、IUPAC元素周期表第6族、第7族、第8族、第9族、及び第10族から選択されるものを含む、水素化分解の技術分野で公知の1種又は複数の金属又は金属化合物(酸化物又は硫化物)を含みうる。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、水素化分解触媒として有効なもの、例えばMo、W、Co、又はNi(酸化物又は硫化物)のうちの1種又は複数を含む。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、水素化及び/又は改質触媒として有効なもの(典型的には、硫黄を含まない環境において)、例えば1種又は複数の貴金属、例えばPt、Pd、Rh、Re、Ir、又はそのような貴金属の組合せを含む。金属成分は、有効濃度で触媒中に含有されてもよい。例えば、水素化分解触媒中の全活性金属含有量は、関連技術分野で公知のように、例えば金属、酸化物、又は硫化物に換算して約0.01~40質量%の量で存在することができる。Mo、W、Co、Ni、又はそれらの組合せを含む非貴金属の場合、有効な全活性金属含有量は、触媒の質量を基準として、酸化物又は硫化物に換算して約0.1~40質量%又は3~40質量%とすることができる。貴金属の場合、典型的には水素化及び/又は改質のための硫黄を含まない環境において、有効な全活性金属含有量は、金属に換算して約0.01~2質量%とすることができる。
【0078】
図3の実施形態における活性金属成分含浸工程19では、活性金属成分を含浸させる。活性金属成分を担体に添加するには、限定されるものではないが浸漬、初期湿潤、及び蒸発を含むいくつかの方法を使用することができる。最も一般的に使用される方法において、活性金属又は金属化合物を含有する過剰の水性溶液にか焼担体を浸漬する。溶液は細孔を満たし、担体表面にも吸着し、過剰の溶液は除去する。別の方法では、含浸は初期湿潤を用い、目標の金属レベルを達成するように調整された金属化合物濃度を有する溶液の体積を用いて、活性化単体をタンブリングする又は活性化単体に噴霧することにより行う。別の方法である蒸発含浸では、担体を水又は酸溶液で飽和させ、金属化合物を含有する水性溶液に浸漬する。その化合物は続いて水性相を通して担体の細孔内に拡散する。次いで金属担持担体を乾燥及びか焼し、金属酸化物を形成する。
【0079】
ある特定の実施形態において、活性金属成分含浸工程19は、活性金属成分を含有する水性溶液に、後骨格変性USYゼオライト及び結合剤で形成されたか焼複合担体粒子を浸漬することを含む。活性金属成分を含有する水性溶液の量及び濃度は、複合担体粒子に担持される活性金属成分の所望の量に依存する。上記の方法のある特定の実施形態において、活性金属溶液の体積は、担体の細孔体積と等しいか、又はそれよりわずかに小さい。溶液は、有効温度、例えば約40~100、40~99、60~100、60~99、60~97、70~99、70~97、80~99、80~97、又は90~99℃で、例えば約40~1200、40~600、40~360、60~1200、60~600、60~360、120~1200、120~600、120~360、180~1200、180~600、180~360、又は240~360分の範囲の有効滞留時間維持する。
【0080】
得られた固体を濾過し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、後骨格変性USYゼオライト及び結合剤で形成され、複合材料上に活性金属を担持した複合担体粒子を回収することができる。任意選択で、別個の乾燥工程を回避することができ、それにより活性金属を有する複合材料は、か焼のための熱処理工程20に送られる。
【0081】
熱処理工程20において、担持複合材料は、複合材料上に活性金属を有するか焼複合粒子を調製するための熱処理にかける。ある特定の実施形態において、工程20での熱処理は、例えば約400~800、500~800、500~700、500~650、550~800、550~700、550~650、600~800、又は600~700℃の範囲の有効温度で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間か焼して、複合材料上に活性金属を有するか焼複合粒子を回収することを含む。ある特定の実施形態において、か焼は空気の存在下で行われる。
【0082】
工程21では、最終触媒製品を回収する。触媒が水素化分解触媒、水素化触媒、又は改質触媒である実施形態において、活性金属が担持された複合担体材料は一般に、約150~500、150~450、200~500、200~450、又は300~450m2/gの範囲の表面積、及び約0.4~1.0、0.4~0.8、0.4~0.75、0.4~0.65、0.45~1.0、0.45~0.8、0.45~0.75、又は0.45~0.65ml/gの範囲の細孔体積を有する。
【0083】
図4~6を参照すると、金属担持の全部又は一部が複合触媒粒子を形成する前に行われる、活性金属を有する触媒粒子を生成するための実施形態が示されている。これにより、本明細書で明らかになるように、触媒製造業者に柔軟性が提供される。
【0084】
本明細書の記載において、「活性金属成分」は、USYゼオライト骨格中のアルミニウム原子を置き換える金属とは異なる別のものであり、特に、骨格変性ゼオライト中、結合剤中、骨格変性ゼオライトと結合剤との押出し物中、骨格変性ゼオライトと結合剤とのか焼押出し物中、及びそれらの組合せ中に含浸された1種又は複数の金属又は金属化合物(酸化物又は硫化物)を指す。
【0085】
理論に束縛されることを望むものではないが、湿性USYAを使用することによって金属担持を制御することにより、細孔の詰まりが最小限になることが理解される。ゼオライトが水で飽和した細孔を有する場合、乾燥状態の同じゼオライトに金属溶液を添加することと比較すると、所定時間にわたり金属溶液から細孔内に拡散することができる金属の量はより少なくなる。
【0086】
明細書に記載の実施形態において、後骨格変性USYゼオライト成分と無機酸化物結合剤成分との比は、触媒の目的に応じて適宜決定される。例えば、複合担体材料で形成された触媒粒子の後骨格変性USYゼオライト含有量は、約0.1~99、0.1~90、0.1~80、0.1~70、2~99、2~90、2~80、2~70、20~100、20~90、20~80、又は20~70質量%の範囲とすることができ、残りの含有量は無機酸化物結合剤、及びある特定の実施形態では任意選択で1種又は複数の他のゼオライト材料である。
【0087】
一実施形態において、触媒粒子を生成するための方法であって、触媒粒子が、含浸された活性金属を含む造粒剤又は結合剤材料、例えば無機酸化物と、骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された骨格置換USYゼオライト材料(USYA)との複合体である、方法を提供する。この実施形態の他の説明において、この実施形態の触媒粒子は、USYAと金属担持結合剤担体成分との複合体から形成されたか焼押出し物と呼ばれる。
【0088】
図4は、無機酸化物材料が含浸された活性金属を含む、この実施形態による金属担持結合剤とUSYAとの前記複合触媒を生成するための方法の工程を示す。
【0089】
この調製方法の一実施形態において、骨格変性USYゼオライトを調製及び/又は用意する。細孔内壁表面を含む、活性金属成分を結合剤の表面上に添加する。骨格変性USYゼオライトと金属担持結合剤担体成分を所望の比率で混合し、混練して、材料の複合均一混合物を形成する。次いで骨格変性USYゼオライト及び金属担持結合剤担体成分を含有する混合物を押し出し、か焼して、活性金属含有触媒粒子を形成する。これにより、図3の方法からの工程19及び20は排除される。
【0090】
骨格置換USYゼオライト材料であるUSYAは、湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼ゼオライト材料として、工程43で用意する。基礎をなす骨格置換USYゼオライト材料及び結合剤材料は、図3に関連して上で本明細書に記載される供給源又は別の供給源を含む任意の好適な供給源から用意できることが理解される。本明細書のある特定の実施形態において任意選択であると考えられる図3の工程に対応する工程は、図4に破線で示されており、図3に関して説明したように行うことができる。無機酸化物材料は、外表面及び内側細孔壁表面によって特徴づけられる。図4の実施形態において、活性金属は、工程55で無機酸化物結合剤の外表面及び内側細孔壁表面に付けられる。
【0091】
後骨格変性USYゼオライトは、ジルコニウム、チタン、及び/又はハフニウムのうちの1種又は複数が、それらの酸化物基準(すなわち、ZrO2、TiO2、及び/又はHfO2)で計算して、かつ後骨格変性USYゼオライトの質量に対して測定して、約0.1~5.0、0.1~4.0、0.1~3.0、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.0、0.3~5.0、0.3~4.0、又は0.3~3.0質量%の有効濃度でその骨格中に組み込まれており;ある特定の実施形態において、Zr、Ti、及び/又はHfを供給する個々の材料の量は、0.1、0.2、又は0.3質量%未満とすることができるが、合わせると、合計は少なくとも0.1、0.2、又は0.3質量%である。ある特定の実施形態において、骨格置換USYゼオライト成分は「湿性」状態で用意し、それにより、骨格置換工程の工程12からの固体材料は、濾過/洗浄し、湿性状態で用意し、それにより、典型的に利用される乾燥工程は行わず(より低い程度に行い)、水が固体中に同伴されたままである。ある特定の実施形態において、骨格置換USYゼオライト成分は、「乾燥」状態で用意し、それにより、骨格置換工程の工程12からの固体材料は、濾過し、乾燥させるが、未か焼状態で用意し、それにより、典型的に利用される材料をか焼するための熱処理工程は行わない。ある特定の実施形態において、骨格置換USYゼオライト成分は、「乾燥」状態で用意し、それにより、骨格置換工程の工程12からの固体材料は、濾過し、乾燥させ、か焼する。したがって、図4の実施形態において、工程43のUSYAは、湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼ゼオライト材料として用意する。
【0092】
図4の工程55で示されるように、担体成分としての結合剤に1種又は複数の活性金属成分、例えば水素化活性金属成分を含浸させて、金属担持中間結合剤成分を生成する。結合剤材料は、例えば、図3の工程14及び15に関して本明細書に示され記載されるように調製することができ、又は当業者に公知のように、市販の無機酸化物成分を用意することができる。無機酸化物として、関連技術分野で水素化分解触媒組成物又は他の触媒組成物に使用される多孔質無機酸化物を使用することができる。その例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアが挙げられる。
【0093】
工程55で添加される活性金属成分は、IUPAC元素周期表第6族、第7族、第8族、第9族、及び第10族から選択されるものを含む、水素化分解の技術分野で公知の1種又は複数の金属又は金属化合物(酸化物又は硫化物)を含みうる。ある特定の実施形態において、活性金属成分は、Mo、W、Co、又はNi(酸化物又は硫化物)のうちの1種又は複数である。ある特定の実施形態において、典型的には硫黄を含まない環境において、活性金属成分は、水素化及び/又は改質触媒として有効なもの、例えば1種又は複数の貴金属のPt、Pd、Rh、Re、Ir、又はそのような貴金属の組合せを含む。
【0094】
活性金属成分は、金属担持結合剤とUSYAとの複合触媒において有効な全体の活性金属含有量をもたらすのに有効な濃度で、金属担持結合剤材料に含有されてもよい。図4の実施形態に従って生成された触媒は、従来の水素化分解触媒で使用される範囲と同様に、複合触媒材料の全質量に対して、金属、酸化物、又は硫化物に換算して約0.01~40質量%の活性金属成分を含有することができる。Mo、W、Co、Ni、又はそれらの組合せを含む非貴金属の場合、有効な全活性金属含有量は、触媒の質量を基準として、酸化物又は硫化物に換算して約0.1~40質量%又は3~40質量%とすることができる。貴金属の場合、典型的には水素化及び/又は改質のための硫黄を含まない環境において、有効な全活性金属含有量は、金属に換算して約0.01~2質量%とすることができる。
【0095】
図4の実施形態における活性金属成分含浸工程55では、担体成分としての無機酸化物結合剤材料に、有効量の1種又は複数の活性金属成分を含浸させる。図4に示すようなある特定の実施形態において、最終触媒粒子の活性金属成分は結合剤成分中にのみに与えられているため、前記有効量は、上述の範囲内でありうる触媒粒子の全活性金属含有量を包含する。
【0096】
活性金属成分含浸工程55のある特定の実施形態において、担体成分としての無機酸化物結合剤材料に、2種以上の活性金属成分を含浸させ、それにより、活性金属成分のうちの1種又は複数が、他の活性金属成分のうちの1種又は複数に対する助触媒として作用する。
【0097】
活性金属成分含浸工程55として、限定されるものではないが浸漬、初期湿潤、及び蒸発、又は任意の他の好適な方法を含むいくつかの方法を使用して、活性金属成分を結合剤材料に添加することができる。
【0098】
活性金属成分含浸工程55のある特定の実施形態において、例えば混練状態の有効量の無機酸化物を、活性金属又は金属化合物を含有する過剰の溶液に浸漬する。溶液は細孔を満たし、担体表面にも吸着し、過剰の溶液は除去して金属担持結合剤材料担体を回収する。上記の方法のある特定の実施形態において、活性金属溶液の体積は、担体の細孔体積と等しいか、又はそれよりわずかに小さい。
【0099】
別の方法において、活性金属成分含浸工程55は、初期湿潤を用い、目標の金属レベルを達成するように調整された金属化合物濃度を有する溶液の体積を用いて、有効量の無機酸化物担体材料をタンブリングする又はそれに噴霧することにより行う。ある特定の実施形態において、溶液の体積は、担体の細孔体積と等しいか、又はそれよりわずかに小さい。金属担持結合剤材料を回収する。
【0100】
別の方法において、活性金属成分含浸工程55は、有効量の無機酸化物担体材料を水又は酸溶液で飽和させ、金属化合物を含有する水性溶液に浸漬する蒸発含浸によって行う。続いてその化合物は水性相を通して担体の細孔内に拡散する。金属担持結合体材料を回収する。
【0101】
活性金属成分含浸工程55では、活性金属成分を含有する水性溶液の量及び濃度は、複合担体粒子に担持される活性金属成分の所望の量に依存する。上記の方法のある特定の実施形態において、活性金属溶液の体積は、結合剤材料の細孔体積と等しいか、又はそれよりわずかに小さい。溶液は、有効温度、例えば約40~100、40~99、60~100、60~99、60~97、70~99、70~97、80~99、80~97、又は90~99℃で、例えば約40~1200、40~600、40~360、60~1200、60~600、60~360、120~1200、120~600、120~360、180~1200、180~600、180~360、又は240~360分の範囲の有効滞留時間維持する。
【0102】
活性金属成分含浸工程55のある特定の実施形態において、金属担持は、無機酸化物担体材料の利用可能な細孔体積まで適切な濃度の金属溶液を担持させることによって達成することができる。活性金属成分含浸工程55の更なる実施形態において、より少ない量を使用して金属担持を制御する。例えば、担持金属溶液の有効体積は、例えば、無機酸化物担体材料の全細孔体積に対して約1~100、1~99、1~90、20~100、20~99、又は20~90体積%の範囲とすることができる。
【0103】
活性金属成分含浸工程55の更なる実施形態において、結合剤材料を使用する。湿性結合剤材料は、細孔体積の全部又は一部分内に、例えば、全細孔体積に対して約1~100、1~99、1~90、50~100、50~99、又は50~90体積%の範囲の水を含有する。この体積は、材料を部分的に乾燥させて湿潤の程度を変えることによって制御することができる。金属溶液は、浸漬、初期湿潤、又は蒸発含浸のいずれによって用意されるかにかかわらず、飽和細孔から完全に又は部分的に遮断され、その結果、細孔内への金属の拡散がより少なくなる。したがって、金属は無機結合剤材料の外表面に主に位置し、限られた量が細孔内に位置しうる。
【0104】
活性金属成分含浸工程55で得られた固体を濾過し、例えば約80~180又は100~180℃の範囲の有効温度で、例えば約30~1800、60~1800、30~600、又は60~600分の範囲の有効滞留時間乾燥させて、乾燥金属担持結合剤材料を回収することができる。任意選択で、別個の乾燥工程を回避することができ、それにより金属担持結合剤材料は、活性金属成分含浸工程55の一部分としてのか焼のための熱処理にかける。熱処理において、乾燥又は湿性金属担持結合剤材料を熱処理にかけて、か焼金属担持結合剤材料を調製する。ある特定の実施形態において、熱処理は、例えば約約400~800、400~700、400~650、500~800、500~700、500~650、550~800、550~700、550~650、600~800、又は600~700℃の範囲の有効温度で、約10~600、10~180、30~600、又は30~180分の範囲の時間か焼して、か焼金属担持結合剤材料を回収することを含む。ある特定の実施形態において、か焼は空気の存在下で行われる。
【0105】
湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼状態の工程55からの金属担持結合剤材料は、湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼状態のUSYAゼオライト材料と組み合わせ(混合/混練工程46として示される)、複合触媒粒子に形成する(形成工程47として示される)。複合触媒粒子は、か焼し(熱処理工程48として示される)、最終製品であるか焼触媒粒子を回収する(工程51として示される)。図4に関して示し、説明した工程46、47、48、及び51は、それぞれ図3の工程16、17、18、及び21に関して上記したように行うことができる。
【0106】
追加の実施形態(図4に示さず)において、結合剤に1種又は複数の活性金属成分を含浸させることに加えて、例えば図3の工程19に関して本明細書に記載された技術を使用して、押出し物も金属担持させる。更なる実施形態(図4に示さず)において、結合剤に1種又は複数の活性金属成分を含浸させることに加えて、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,794号に記載された技術を使用して、結合剤とゼオライトとの複合混合物も金属担持させる。更なる実施形態において、結合剤に1種又は複数の活性金属成分を含浸させることに加えて、例えば図5の実施形態のように、USYAゼオライトも金属担持させる。
【0107】
混合し、共押出しし、粒子に形成した、USYAと金属担持結合剤担体成分との複合体である最終複合触媒粒子は一般に、例えば図3の工程21に関して説明したように、従来のプロセスで形成された触媒の範囲内の表面積及び細孔体積レベルを有する。
【0108】
別の実施形態において、触媒粒子を生成するための方法であって、触媒粒子が、造粒剤又は結合剤材料、例えば含浸された活性金属を含む無機酸化物と、骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、含浸された活性金属を含む骨格置換USYゼオライト材料(USYA)(USYA(m))との複合体から形成される、方法を提供する。この実施形態の他の説明において、この実施形態の触媒粒子は、USYA(m)と金属担持結合剤担体成分との複合体から形成されたか焼押出し物と呼ばれる。
【0109】
図5は、USYAが含浸された活性金属を含み(USYA(m))、無機酸化物材料は含浸された活性金属を含む、この実施形態による金属担持結合剤とUSYA(m)との前記複合触媒を生成するための方法の工程を示す。この方法は、例えば、触媒の配合において限定された量のゼオライトを使用する場合に特に適用可能である。
【0110】
この調製方法の一実施形態において、骨格変性USYゼオライトを調製又は用意し、全活性金属成分含有量の第1の部分を、細孔内壁表面を含む骨格変性USYゼオライト表面上に添加する。ある特定の実施形態では残りの部分としての、全活性金属成分含有量の第2の部分を、無機酸化物結合剤に添加する。金属含浸骨格置換USYゼオライト(湿性、乾燥、又はか焼のいずれか)及び金属含浸無機酸化物結合剤を所望の比率で混合し、混練し、押し出し、か焼して、金属担持骨格置換USYゼオライトの第1の成分及び金属担持無機酸化物結合剤の第2成分を有する活性金属含有複合触媒粒子を形成する。これにより、図3の方法からの工程19及び20は排除される。
【0111】
骨格置換USYゼオライト材料であるUSYAは、図4に関して本明細書に記載されるように、湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼ゼオライト材料として、工程43で用意する。この実施形態の方法の説明において、基礎をなす骨格置換USYゼオライト材料(金属担持前)及び結合剤材料(金属担持前)は、図3に関連して上で本明細書に記載される供給源又は別の供給源を含む任意の好適な供給源から用意できることが理解される。本明細書のある特定の実施形態において任意選択であると考えられる図3の工程に対応する工程は、図5に破線で示されており、図3に関して説明したように行うことができる。USYゼオライトと無機酸化物材料はいずれも、外表面及び内側細孔壁表面によって特徴づけられる。図5の実施形態において、活性金属は工程54でUSYゼオライトの外表面及び内側細孔壁表面に付け、追加の活性金属は工程65で無機酸化物結合剤の外表面及び内側細孔壁表面に付ける。
【0112】
図4の工程44に関して上で本明細書に記載したように、骨格置換USYゼオライト材料であるUSYAを工程54で調製してUSYA(m)を形成する。図4の工程55に関して上で本明細書に記載したように、金属担持結合剤材料を工程65で調製する。工程54では、例えば、最終複合触媒粒子中に含有される全活性金属成分含有量の約0.1~99、0.1~90、0.1~70、0.1~60、1~99、1~99、1~90、1~70、1~60、1~99、5~90、5~70、5~60、20~99、20~90、20~70、20~60、40~99、40~90、40~70、又は40~60質量%の第1の部分が金属担持結合剤内にあり、全活性金属の残部が、USYA(m)内にある活性金属成分含有量の第2の部分で構成されるように、有効量の活性金属成分をUSYAに添加する。
【0113】
工程65では、最終触媒粒子に使用される結合剤材料の全部又は一部分に、有効量の活性金属成分を含浸させる。工程65における有効量の活性金属成分は一般に、最終複合触媒粒子に含有される全活性金属成分含有量のうち、USYA(m)に含有される第1の部分に対する残部を構成しうる第2の部分である。ある特定の実施形態において、第2の部分は、最終複合触媒粒子に含有される全活性金属成分含有量のうち、USYA(m)に含有される第1の部分に対する残部よりも少なく、第3の部分及び任意選択で第4の部分は、USYA(m)及び金属担持結合剤が一緒に混合された後(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の2022年1月18日に出願された同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,794号に記載される);及び/又は押出し物が形成された後(例えば、図3に関して記載した方法における工程19に関して本明細書で論じられる、及び'036号特許ファミリーに記載される)に添加される活性金属成分をベースとして粒子に含有される。
【0114】
湿性、乾燥(未か焼)、又はか焼状態の工程54からの金属担持USYA(m)ゼオライト材料は、工程65からの金属担持結合剤担体成分と組み合わせ(混合/混練工程46として示される)、複合触媒粒子に形成する(形成工程47として示される)。複合触媒粒子は、か焼し(熱処理工程48として示される)、最終製品であるか焼触媒粒子を回収する(工程51として示される)。図5に関して示し、説明した工程46、47、48、及び51は、それぞれ図3の工程16、17、18、及び21に関して上記したように行うことができる。上述したように、ある特定の実施形態において、図3の方法からの工程19及び20はこれにより排除され、最終複合触媒粒子は、USYA(m)と金属担持結合剤担体成分との複合体であり、これを共押出しして触媒粒子に形成する。
【0115】
混合し、共押出しし、粒子に形成した、USYA(m)と金属担持結合剤担体成分との複合体である最終複合触媒粒子は一般に、例えば図3の工程21に関して説明したように、従来のプロセスで形成された触媒の範囲内の表面積及び細孔体積レベルを有する。
【0116】
追加の実施形態において、かつ全般的に図6を参照して、触媒粒子を生成するための方法であって、触媒粒子が、造粒剤又は結合剤材料、例えば無機酸化物と、骨格中のアルミニウム原子の一部がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された、骨格置換USYゼオライト材料(USYA)との複合体から形成される、方法を提供する。活性金属は、無機酸化物結合剤に含浸させ(本明細書に記載の工程55)、並びに
(a)本明細書及び、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,691号に記載される、USYA(m)を形成するためのUSYAゼオライト(工程54)(金属含浸工程66及び49は存在しない);
(b)参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,794号に記載される、結合剤とUSYAとの複合体(工程66)(変性USY金属含浸工程54及び金属含浸工程49は存在しない);又は
(c)本明細書及び、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,691号に記載される、結合剤とUSYA(m)との複合体(工程54及び66)(金属含浸工程49は存在しない)
に含浸させる。
【0117】
或いは、活性金属は、無機酸化物結合剤に含浸させ(本明細書に記載の工程55)、並びに
(a)
(a1)本明細書及び、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,691号に記載される、USYA(m)を形成するためのUSYAゼオライト(工程54)(金属含浸工程66は存在しない);
(a2)参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,794号に記載される、結合剤とUSYAとの複合体(工程66)(変性USY金属含浸工程54は存在しない);又は
(a3)本明細書及び、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,691号に記載される、結合剤とUSYA(m)との複合体(工程54及び66)
のうちの1つ、並びに
(b)上記(a1)、(a2)、又は(a3)のうちの1つから形成される押出中間触媒粒子(工程49)
に含浸させる。
【0118】
図6は、1つ又は複数の段階で含浸された活性金属を有する前記複合触媒を生成するための方法の工程を示す。個々の工程の手順は、2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第17/577,691号、及び/又は2022年1月18日に出願された「Catalysts With Modified Active Phase Dispersion And Method To Prepare Catalysts With Modified Active Phase Dispersion」という題の同第17/577,794号(これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に更に記載されているある特定の工程を用いて、図3~5に関して本明細書に記載した手順に従うことができる。
【0119】
上記の実施形態のいずれかにおいて、例えば、後骨格変性USYゼオライト又は金属担持後骨格変性USYゼオライトを無機酸化物と混合する工程において、1種又は複数の追加のゼオライト成分(すなわち、後骨格変性USYゼオライト又は金属担持後骨格変性USYゼオライト以外のゼオライト材料)を合体させることができる。前記追加のゼオライト材料としては、モルデナイト、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM35、ベータ型、Y、及びUSY(このUSYゼオライト成分は、本明細書に記載される後骨格変性USYゼオライトと同一ではない)を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、これらは、[111]方向に沿って見たときに7.4×7.4Åの12員環に関連するマイクロ細孔径を有する、USYを含む(FAU)骨格;[100]及び[010]方向に沿って見たときに、それぞれ5.5×5.1Å及び5.6×5.3Åの10員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-5を含む(MFI)骨格;[100]方向に沿って見たときに5.4×5.3Åの10員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-11を含む(MEL)骨格;[010]方向に沿って見たときに5.6×6.0Åの12員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-12を含む(MTW)骨格;[001]方向に沿って見たときに4.6×5.7Åの10員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-12を含む(TON)骨格;[001]方向に沿って見たときに4.5×5.2Åの10員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-23を含む(MTT)骨格;[001]及び[010]方向に沿って見たときに、それぞれ4.2×5.4Å及び3.5×4.8Åの10員環及び8員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ZSM-35を含む(FER)骨格;[001]及び[001]方向に沿って見たときに、それぞれ6.5×7.0Å及び2.6×5.7Åの12員環及び8員環に関連するマイクロ細孔径を有する、モルデナイトゼオライトを含む(MOR)骨格;並びに[100]及び[001]方向に沿って見たときに、それぞれ6.6×6.7Å及び5.6×5.6Åの12員環に関連するマイクロ細孔径を有する、ゼオライトベータ多形Aを含む(*BEA)骨格とすることができる。
【0120】
上記の水素化分解触媒を用いて炭化水素油を水素化分解することを含む、炭化水素油を水素化分解するための方法を本明細書において提供する。
【0121】
ある特定の実施形態において、炭化水素油を水素化分解するための方法は、流動反応器である水素化分解装置の反応容器に水素化分解触媒を充填し、例えば約370~816、370~650℃の範囲の沸点を有する炭化水素油を、水素の存在下で、約300~500、330~450℃の範囲の反応器温度、約4~30、7~15MPaの範囲の水素分圧、約0.1~10、0.2~1.5h-1の範囲の液体時間空間速度(LHSV)、及び油1立方メートル当たり約500~2500、1000~2000ノルマル立方メートルの水素(Nm3/m3)の範囲の水素/油の比で処理する工程を含む。
【0122】
ある特定の実施形態において、炭化水素油を水素化分解するための方法は、流動反応器である水素化分解装置の反応容器に水素化分解触媒を充填し、約370~650℃の範囲の沸点を有する炭化水素油を、水素の存在下で、約330~450℃の範囲の反応器温度、約7~15MPaの範囲の水素分圧、約0.2~1.5h-1の範囲のLHSV、及び約1000~2000Nm3/m3の範囲の水素/油の比で処理して、ケロシン-ガス油を得る工程を含む。
【0123】
本発明による炭化水素油を水素化分解するための方法において、上記の流動反応器は、撹拌浴型反応器、沸騰床型反応器、バッフル付きスラリー浴型反応器、固定床型反応器、回転管型反応器、及びスラリー床型反応器から選択される流動反応器とすることができる。
【0124】
本発明による炭化水素油を水素化分解するための方法において、上記の炭化水素油は、好ましくは(1)原油、(2)合成原油、(3)ビチューメン、(4)オイルサンド、(5)シェル油、又は(6)石炭液化油から得られる重質炭化水素油を含有する。
【0125】
本発明のある特定の実施形態による炭化水素油を水素化分解するための方法において、上記の炭化水素油は、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェル油、又は石炭液化油から得られる重質炭化水素油を含有し、上記の重質炭化水素油は、好ましくはa)真空ガス油(VGO)、b)溶剤脱れきプロセスから得られる脱れき油(DAO)若しくは脱金属油、c)コーカープロセスから得られる軽質コーカーガス油若しくは重質コーカーガス油、d)流動接触分解(FCC)プロセスから得られるサイクル油、又はe)ビスブレーキングプロセスから得られるガス油のいずれかである。
【0126】
本発明に従って製造される炭化水素油用の水素化分解触媒は、超安定Y型ゼオライトを含有する炭化水素油用の水素化分解触媒において、上記の超安定Y型ゼオライトが、その骨格を構成するアルミニウム原子の一部分がジルコニウム原子及び/又はチタン原子及び/又はハフニウム原子で置換された骨格置換ゼオライトであることによって特徴づけられる。水素化活性金属成分が付与されており、本明細書に記載されるように、金属担持の全部又は一部が複合触媒粒子を形成する前に行われる。
【0127】
したがって、本発明の水素化分解触媒により、チタン微粒子又はジルコニウム微粒子が保持されたゼオライトの担体を含む従来の水素化分解触媒に比べて、重質炭化水素、例えばVGO、DAO等がそのメソ細孔内に拡散し易くなり、炭化水素油の分解活性が向上して中間留分を高収率で得ることが可能となる。本発明の水素化分解触媒を使用することにより、メソ細孔の詰まりが最小限になり、触媒反応のために重質炭化水素がメソ細孔に拡散する性能が向上する。
【0128】
更に、本発明の水素化分解触媒は、Y型ゼオライトの骨格を構成するアルミニウム原子の一部分をチタン原子で置換した骨格置換ゼオライトを含む担体に保持された水素化金属成分を含む従来の水素化分解触媒の分解活性と比較して、わずかに低い炭化水素油の分解活性を有するが、ケロシン及びガス油の過剰な分解反応が抑制され、よって中間留分を高収率で得ることができる。また、本発明による炭化水素油用の水素化分解触媒は、活性部位数が増加しているため、高い水素化分解活性が付与されている。
【実施例
【0129】
(比較例)
比較例は、本明細書に記載の後骨格変性USYゼオライトと結合剤のか焼複合担体粒子であり、粒子に活性金属成分を添加し、その後か焼した参照触媒粒子を生成する方法を提供する。この方法は、'036号特許ファミリーに開示されているものと同様である。
【0130】
まず、SARが5.2、UDが2.466nm、SAが720m2/g、及びNa2O含有量が13.0質量%であるNa-Yゼオライト50.0kgを、温度60℃の水(ゼオライト1kg当たり水12.5Lの液体/固体の質量比)に懸濁させた。次に硫酸アンモニウム14.0kgをそこに添加した。得られた懸濁液を70℃で1時間撹拌し、濾過した。得られた固体を水で洗浄した。次に、硫酸アンモニウム14.0kgを温度60℃の水500Lに溶解した硫酸アンモニウム溶液で固体を洗浄し、温度60℃の水500Lで洗浄し、130℃で20時間乾燥させ、これにより、Na-Yに含有されるナトリウム(Na)のうちの65%がアンモニウムイオン(NH41)でイオン交換されたYゼオライト(NH4 65Y)約45kgを得た。NH4 65Y中のNa2Oの含有量は4.5質量%であった。次に、NH4 65Y 40kgを飽和水蒸気雰囲気中、670℃で1時間焼成して、水素-Yゼオライト(HY)を形成した。
【0131】
HY 40kgを、温度60℃の水400Lに懸濁させた。次に硫酸アンモニウム49.0kgをそこに添加した。得られた混合物を90℃で1時間撹拌し、温度60℃の水200Lで洗浄した。次いで混合物を130℃で20時間乾燥させ、これにより、最初のNa-Yに含有されるNaのうちの95%がNH4でイオン交換されたYゼオライト(NH4 95Y)約37kgを得た。合成したNH4 95Y約33kgを飽和水蒸気雰囲気中、650℃で1時間焼成し、SiO2/Al2O3モル比が5.2、及びNa2O含有量が0.6質量%の超安定Yゼオライト(以下、「USY(a)」とも呼ぶ)約15kgを得た。
【0132】
USY(a))40kgを60℃の水400Lに懸濁させる。ゼオライト量の2.35倍の25質量%硫酸を懸濁液に徐々に添加し、1時間撹拌して骨格外アルミニウムを溶解し、第2のUSYゼオライト(USY(b))を調製した。次いで懸濁液を濾過し、得られた物質を60℃の精製水20リットルで洗浄し、130℃で20時間乾燥させて固体物質であるUSY(b)を得た。USY(b)を600℃で1時間焼成して、これにより超安定Y型ゼオライト(USY(c))を調製する。
【0133】
USY(c)1kgを25℃で10Ltの水に懸濁させる。25質量%の硫酸を徐々に添加することにより、懸濁液のpHを1.6に調節する。次いで、18質量%の硫酸ジルコニウムを含有する溶液86g及び33質量%の硫酸チタンを含有する溶液45gをそこに添加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。次いで15質量%水性アンモニアでpHを7.2に調節した。混合物を室温で1時間撹拌した後、混合物を濾過した。得られた固体を水10Lで洗浄し、130℃で20時間乾燥させ、これによりチタン-ジルコニウム置換ゼオライト(Ti-Zr-USY)約1kgを得た。
【0134】
アルミナ結合剤を調製するために、Al2O3基準で6.8質量%のアルミン酸ナトリウムの水性溶液40kgを、Al2O3基準で2.4質量%の硫酸アルミニウムの水性溶液40kgと混合した。更に、混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで生成物を0.3質量%アンモニア水性溶液150Ltで洗浄して、Na2SO4を除去した。次に、Na2SO4を除去した生成物に水を加えて、Al2O3濃度を10質量%に調節した。15質量%の水性アンモニアでpHを10.5に調節した。混合物を95℃で10時間撹拌し、脱水し、洗浄し、ニーダーで混練し、これによりアルミナ混合物が生成した。
【0135】
こうして調製したアルミナ混練生成物を、Ti-Zr-USYゼオライトと乾燥質量比3:7で混合した。混合物を直径1.8mmの柱状形状に形成し、550℃で3時間焼成し、これによりか焼複合粒子を調製した。
【0136】
次に、か焼複合粒子に水素化活性金属成分を添加した。三酸化モリブデン200g(水素化活性金属成分の一例)及び炭酸ニッケル91g(水素化活性金属成分の一例)に水700mLを加えることにより、水素化活性金属成分を含有する水性溶液を調製した。水性溶液をか焼複合粒子(Ti-Zr-USYゼオライトとアルミナの複合体)500gと混合し、250℃で1時間乾燥させた。回収した混合物を550℃で3時間焼成して、活性相材料を有するか焼複合粒子を調製し、回収し、これにより参照触媒約0.5kgを得た。
【0137】
(実施例)
【0138】
比較例の方法に従って、チタン-ジルコニウム置換ゼオライト、Ti-Zr-USYを得た。三酸化モリブデン100g(水素化活性金属成分の一例)及び炭酸ニッケル45g(水素化活性金属成分の一例)に水300mLを加えることにより、水素化活性金属成分を含有する水性溶液を調製した。活性金属成分の水性溶液230mLをTi-Zr-USYゼオライト150gと混合し、これにより乾燥金属担持Ti-Zr-USYゼオライト約0.5kgを得た。回収した混合物を550℃で3時間焼成し、これにより活性金属成分を含浸させたか焼Ti-Zr-USYゼオライト材料を調製した。
【0139】
金属担持Ti-Zr-USYゼオライトとアルミナ混合物(比較例と同様に調製)を乾燥質量比3:7で混合した。混合物を直径1.8mmの柱状形状に形成し、550℃で1時間焼成し、触媒粒子約0.5kgを回収し、触媒粒子は、金属担持Ti-Zr-USYゼオライトと金属担持アルミナとの複合体から形成されたか焼押出し物であった。
【0140】
本発明の方法及びシステムを上で説明したが、当業者であれば変更は明らかであり、本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって規定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】