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特表2025-502389機械的血栓摘出術用のデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】機械的血栓摘出術用のデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542402
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2023011016
(87)【国際公開番号】W WO2023204880
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】63/363,140
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】プロヒト、ヒテンドラ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160EE30
4C160MM36
(57)【要約】
デバイスは、近位端から遠位端まで長手方向に延び、かつ管腔及び把持器を含むカテーテルを含む。把持器は、開構成と閉構成との間で移動可能なように接続されたジョーを含む。また、デバイスは、把持器に接続された制御部材であって、カテーテルに対する部材の長手方向への移動が把持器を構成間で移動させる、制御部材と、近位端に接続されたピストンを含む近位インターフェースであって、把持器が閉構成に向かって移動するときに、ピストンは、カテーテルを介して負圧を印加して、血栓の分離された部分をカテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓摘出術を実施するためのデバイスであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、前記把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの前記遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに向かって移動して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に前記血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を前記血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、
前記把持器に接続された第1の制御部材であって、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、第1の制御部材と、
前記カテーテルの前記近位端に接続されたピストンを含む近位インターフェースであって、前記把持器が前記閉構成に向かって移動したときに、前記ピストンが前記カテーテルを介して負圧を印加して、血栓の分離された部分を前記カテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースと、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記把持器に接続された第2の制御部材であって、前記カテーテルに対する前記第2の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させるようになっており、前記第1の制御部材は前記把持器の前記第1のジョーに接続されており、前記第2の制御部材は前記把持器の前記第2のジョーに接続されている、第2の制御部材、
を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、前記歯は、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された前記血栓の部分を貫通するように構成されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記把持器の前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記把持器を前記閉構成に向かって付勢するヒンジを介して互いに接続されており、それにより、前記把持器が前記カテーテル上に取り付けられたときに前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの外面を介して前記開構成に維持され、前記把持器が前記カテーテルから離れるように遠位方向に移動されたときに前記閉構成に向かって戻る、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記把持器は、前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々の部分を覆って延びる被覆を含んで、その実質的に固体の表面を画定し、それにより、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された血栓のいかなる部分も、そこから遠位方向に逃げることが防止される、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カテーテルの外面に沿って長手方向に延びる外側シャフトであって、前記第1の制御部材は、前記外側シャフトを通って前記近位インターフェースから前記把持器まで延びている、外側シャフト、
を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記近位インターフェースは、前記カテーテルの前記近位端に接続された円筒形ハウジングであって、前記円筒形ハウジング内を前記ピストンが摺動可能に移動可能な、円筒形ハウジングと、前記ピストンに及び前記第1の制御部材の近位端に接続されたクランクシャフトとを更に含み、それにより、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の遠位への移動が、前記把持器を前記閉構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動させて前記カテーテル内で負圧を発生させ、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の近位への移動が前記把持器を前記開構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記近位インターフェースは、前記クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、前記回転ハンドルの回転が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記近位インターフェースは、一方向弁を介して前記円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、前記血栓の分離された部分は、前記把持器が前記開構成に向かって移動するにつれて前記血栓収集要素内へと移動される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
血栓摘出術を実施するためのデバイスであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、前記把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの前記遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに向かって移動して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に前記血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を前記血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、
前記把持器の前記第1のジョー及び前記第2のジョーにそれぞれ接続された、遠位端から近位端まで延びる第1及び第2の制御部材であって、前記第1及び第2の制御部材は、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させるように構成されている、第1及び第2の制御部材と、
前記カテーテルの前記近位端に接続された円筒形ハウジングと、前記円筒形ハウジング内に摺動可能に収容されたピストンとを含む近位インターフェースであって、前記把持器が前記閉構成に向かって移動したときに、前記ピストンは前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動して、前記カテーテルを介して負圧を印加し、血栓の分離された部分を前記カテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースと、を備えるデバイス。
【請求項11】
前記近位インターフェースは、前記ピストンと、前記第1及び第2の制御部材の近位端とに接続されたクランクシャフトを更に含み、それにより、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の遠位への移動が、前記把持器を前記閉構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動させ、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の近位への移動が、前記把持器を前記開構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記近位インターフェースは、前記クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、前記回転ハンドルの回転が前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記近位インターフェースは、一方向弁を介して前記円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、前記血栓の分離された部分は、前記把持器が前記開構成に向かって移動するにつれて前記血栓収集要素内へと移動される、請求項10~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、前記第1のジョーの歯が前記第2のジョーの歯に向かって延び、それにより、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間で把持された血栓の部分を前記歯が貫通する、請求項10~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉構成に向かって付勢されており、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記把持器が前記カテーテル上に取り付けられたとき、前記カテーテルの外面を介して前記開構成に維持され、前記把持器が前記カテーテルから離れるように遠位方向に移動されたとき、前記閉構成に向かって戻る、請求項10~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管内デバイス及び関連する方法に関し、特に、血栓を機械的に除去するための外科用デバイス及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血塊は、身体の様々な部分への正常な血流を妨害し、肺塞栓症又は急性ストークなどの生命を脅かす状態をもたらす場合がある。いくつかの現在の血栓摘出手法(動脈又は静脈内からの血塊の除去)中、カテーテルが血塊に隣接して配置されるまで、カテーテルは画像誘導下で血管を通して誘導され得る。次いで、血塊は、カテーテルを通した吸引、又は、血塊を捕捉するためにカテーテルから押し出される、例えばステントリトリーバなどの機械的除去デバイスを介してなどを含む、様々な方法のうちのいずれかを介して血管から除去されてもよい。しかしながら、連続的な吸引を必要とするデバイスは、場合によっては、過剰な失血及び/又は負圧増加をもたらす場合があり、これが血管の崩壊及び/又はカテーテルの閉塞をもたらす場合がある。加えて、いくつかの機械的血栓摘出デバイスは、血栓の完全な除去を実現するために、デバイスの複数回の挿入/除去を伴う、高価で時間を要する手法を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、血栓摘出術を実施するためのデバイスに関する。デバイスは、近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、カテーテルの遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、第1のジョー及び第2のジョーは、第1のジョー及び第2のジョーがカテーテルの遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、第1のジョーと第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、第1のジョー及び第2のジョーが互いに向かって移動して、第1のジョーと第2のジョーとの間に血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、把持器に接続された第1の制御部材であって、カテーテルに対する第1の制御部材の長手方向への移動が、把持器を開構成と閉構成との間で移動させる、第1の制御部材と、カテーテルの近位端に接続されたピストンを含む近位インターフェースであって、把持器が閉構成に向かって移動したときに、ピストンがカテーテルを介して負圧を印加して、血栓の分離された部分をカテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースと、を含む。
【0004】
一実施形態では、デバイスは、把持器に接続された第2の制御部材であって、カテーテルに対する第2の制御部材の長手方向への移動が、把持器を開構成と閉構成との間で移動させるようになっており、第1の制御部材は把持器の第1のジョーに接続されており、第2の制御部材は把持器の第2のジョーに接続されている、第2の制御部材を更に含む。
【0005】
一実施形態では、第1のジョー及び第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、歯は、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された血栓の部分を貫通するように構成されている。
【0006】
一実施形態では、把持器の第1のジョー及び第2のジョーは、把持器を閉構成に向かって付勢するヒンジを介して互いに接続されており、それにより、把持器がカテーテル上に取り付けられたときに第1のジョー及び第2のジョーがカテーテルの外面を介して開構成に維持され、把持器がカテーテルから離れるように遠位方向に移動されたときに閉構成に向かって戻る。
【0007】
一実施形態では、把持器は、第1のジョー及び第2のジョーの各々の部分を覆って延びる被覆を含んで、その実質的に固体の表面を画定し、それにより、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された血栓のいかなる部分も、そこから遠位方向に逃げることが防止される。
【0008】
一実施形態では、デバイスは、カテーテルの外面に沿って長手方向に延びる外側シャフトであって、第1の制御部材は、外側シャフトを通って近位インターフェースから把持器まで延びている、外側シャフトを更に含む。
【0009】
一実施形態では、近位インターフェースは、カテーテルの近位端に接続された円筒形ハウジングであって、円筒形ハウジング内をピストンが摺動可能に移動可能な、円筒形ハウジングと、ピストンに及び第1の制御部材の近位端に接続されたクランクシャフトとを更に含み、それにより、カテーテルに対する第1の制御部材の遠位への移動が把持器を閉構成に向かって移動させ、かつピストンを円筒形ハウジング内で近位方向に移動させてカテーテル内で負圧を発生させ、カテーテルに対する第1の制御部材の近位への移動が把持器を開構成に向かって移動させ、かつピストンを円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる。
【0010】
一実施形態では、近位インターフェースは、クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、回転ハンドルの回転が把持器を開構成と閉構成との間で移動させる。
【0011】
一実施形態では、近位インターフェースは、一方向弁を介して円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、血栓の分離された部分は、把持器が開構成に向かって移動するにつれて血栓収集要素内へと移動される。
【0012】
加えて、本開示は、血栓摘出術を実施するためのデバイスに関する。デバイスは、近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、カテーテルの遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、第1のジョー及び第2のジョーは、第1のジョー及び第2のジョーがカテーテルの遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、第1のジョーと第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、第1のジョー及び第2のジョーが互いに向かって移動して、第1のジョーと第2のジョーとの間に血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、把持器の第1のジョー及び第2のジョーにそれぞれ接続された、遠位端から近位端まで延びる第1及び第2の制御部材であって、第1及び第2の制御部材は、カテーテルに対する第1及び第2の制御部材の長手方向への移動が、把持器を開構成と閉構成との間で移動させるように構成されている、第1及び第2の制御部材と、カテーテルの近位端に接続された円筒形ハウジングと、円筒形ハウジング内に摺動可能に収容されたピストンとを含む近位インターフェースであって、把持器が閉構成に向かって移動したときに、ピストンは円筒形ハウジング内で近位方向に移動して、カテーテルを介して負圧を印加し、血栓の分離された部分をカテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースとを含む。
【0013】
一実施形態では、近位インターフェースは、ピストンと、第1及び第2の制御部材の近位端とに接続されたクランクシャフトを更に含み、それにより、カテーテルに対する第1及び第2の制御部材の遠位への移動が把持器を閉構成に向かって移動させ、かつピストンを円筒形ハウジング内で近位方向に移動させ、カテーテルに対する第1及び第2の制御部材の近位への移動が把持器を開構成に向かって移動させ、かつピストンを円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる。
【0014】
一実施形態では、近位インターフェースは、クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、回転ハンドルの回転が把持器を開構成と閉構成との間で移動させる。
【0015】
一実施形態では、近位インターフェースは、一方向弁を介して円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、血栓の分離された部分は、把持器が開構成に向かって移動するにつれて血栓収集要素内へと移動される。
【0016】
一実施形態では、第1のジョー及び第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、第1のジョーの歯が第2のジョーの歯に向かって延び、それにより、第1のジョーと第2のジョーとの間で把持された血栓の部分を歯が貫通する。
【0017】
一実施形態では、第1のジョー及び第2のジョーは、閉構成に向かって付勢されており、第1のジョー及び第2のジョーは、把持器がカテーテル上に取り付けられたとき、カテーテルの外面を介して開構成に維持され、把持器がカテーテルから離れるように遠位方向に移動されたとき、閉構成に向かって戻る。
【0018】
加えて、本開示は、血栓摘出術を実施するための方法に関する。方法は、カテーテルの遠位端上に開構成で取り付けられた把持器が血管内の標的血栓に隣接するまで、カテーテルを血管を通して挿入することであって、標的血栓の第1の部分が第1及び第2のジョーの間に収容されるように、把持器の第1及び第2のジョーがカテーテルの対向する部分の上に開構成で延びている、挿入することと、把持器をカテーテルから離れるように遠位方向に移動させ、第1及び第2のジョーを互いに向かって移動させて、ジョーの間に収容された血栓の第1の部分を把持するように、把持器を閉構成に向かって移動させることであって、それにより、血栓の第1の部分を血栓の残りの部分から分離し、把持器が閉構成に向かって移動するにつれて、カテーテルを通して負圧が印加され、それにより血栓の第1の部分がカテーテルを通して近位方向に引き込まれる、移動させることと、カテーテルの遠位端の上へ把持器を近位方向に引き寄せることにより把持器を開構成に向かって移動させることであって、把持器が開構成に向かって移動するにつれて血栓の第1の部分が血栓収集バッグ内へと逃げ込む、移動させることと、を含む。
【0019】
一実施形態では、方法は、血栓の第2の部分が把持器の第1のジョーと第2のジョーとの間に収容されるように、把持器が開構成でカテーテル上に取り付けられた状態でカテーテルを血管内で遠位方向に移動させることと、把持器をカテーテルから離れるように遠位方向に移動させ、第1及び第2のジョーを互いに向かって移動させて、ジョーの間に収容された血栓の第2の部分を把持するように、把持器を閉構成に向かって移動させることであって、それにより、血栓の第2の部分を血栓の残りの部分から分離し、把持器が閉構成に向かって移動するにつれて、カテーテルを通して負圧が印加され、それにより血栓の第2の部分がカテーテルを通して近位方向に引き込まれる、移動させることと、カテーテルの遠位端の上へ把持器を近位方向に引き寄せることにより把持器を開構成に向かって移動させることであって、把持器が開構成に向かって移動するにつれて血栓の第2の部分が血栓収集バッグ内へと逃げ込む、移動させることと、を更に含む。
【0020】
一実施形態では、把持器が閉構成に向かって移動するにつれて第1及び第2のジョーの歯が血栓の第1の部分を貫通して、血栓の第1の部分を血栓の残りの部分から分離する。
一実施形態では、負圧は、カテーテルの近位端に接続された円筒形ハウジング内を近位方向へと移動するピストンを介してカテーテルを通して印加され、それにより、血栓の第1の部分は円筒形ハウジング内へと近位方向に引き込まれる。
【0021】
一実施形態では、血栓の第1の部分は、ピストンが円筒形ハウジング内を遠位方向に移動するにつれて、血栓収集バッグ内へと逃げ込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の例示的実施形態による、デバイスの把持器が開構成にある、デバイスの遠位部分の斜視図を示す。
図2】デバイスの把持器が閉構成にある、図1によるデバイスの遠位部分の斜視図を示す。
図3】開構成にある、図1のデバイスによる把持器の斜視図を示す。
図4】閉構成にある、図1のデバイスによる把持器の斜視図を示す。
図5図1のデバイスの更なる実施形態による把持器の斜視図を示す。
図6】デバイスが開構成にあるときの、図1によるデバイスの近位部分の部分的に透明な斜視図を示す。
図7】デバイスが閉構成にあるときの、図1によるデバイスの近位部分の部分的に透明な側面図を示す。
図8】標的血管内において開構成にある、図1のデバイスの遠位部分の側面図である。
図9】標的血栓の部分を閉構成で把持している、図1のデバイスの遠位部分の側面図を示す。
図10】血栓の把持された部分がその残りの部分から分離している、図1のデバイスの遠位部分の側面図を示す。
図11】血栓の分離された部分がデバイスの近位部分の円筒形ハウジング内に収容された、図1のデバイスの近位部分の側面図を示す。
図12】把持器を開構成に向かって戻すように移動させた、図1のデバイスの遠位部分の側面図を示す。
図13】血栓の分離された部分がデバイスの近位部分の血栓収集バッグ内に収容された、図1のデバイスの近位部分の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、以下の説明及び添付図面を参照して更に理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。本開示は、血栓摘出デバイスに関し、特に、血管の標的領域から血栓全体が除去されるまで標的領域に留まりながら、血栓の部分を系統的に把持及び除去するように構成された機械的血栓摘出デバイスに関する。本開示の例示的実施形態は、血管を通して血管内の標的領域へと挿入可能なカテーテルの遠位端上に取り付けられた把持器を備える血栓摘出デバイスについて説明する。把持器は、把持器のジョーがカテーテルの遠位端上に取り付けられ、互いに分離されて、ジョー内に血栓の部分を収容する開構成と、把持器のジョーがカテーテルから離れるように遠位方向に移動され、その結果、ジョーが互いに向かって移動して、ジョーの間に収容された血栓の部分を把持し、この把持された部分を血栓の残りから分離する閉構成との間で移動可能である。
【0024】
カテーテルの近位端に接続された近位インターフェースは、ピストンを含み、ピストンは、把持器が閉構成に向かって移動したときにカテーテル内に負圧を印加し、それにより、血栓の分離された部分はカテーテルを通してピストンの円筒形ハウジング内へと近位方向に引き込まれる。血栓の分離された部分を円筒形ハウジング内に引き込んだら、把持器は、カテーテルの遠位端の上へ近位方向に戻るように移動されて、把持器のジョーを再び開くことができる。把持器が開構成に向かって戻るように移動するにつれて、ピストンは、円筒形ハウジング内を遠位方向に移動して、血栓の分離された部分を円筒形ハウジングに接続された血栓収集容器内へと押し込む。把持器は、血管の標的領域から血栓全体が除去されるまで、開構成と閉構成との間を移動して、血栓の部分を把持し、これら部分を血栓全体から分離し、血栓のこれら部分を血管から除去してもよい。一旦血栓全体が収集容器内に収集されると、血栓摘出デバイスは、血管の標的領域から除去されてもよい。本明細書で使用される場合、近位及び遠位という用語は、それぞれ、デバイスのユーザに向かう方向及びユーザから離れる方向を指すことを意図していることが当業者によって理解されるであろう。
【0025】
図1図13に示すように、例示的実施形態による血栓摘出デバイス100は、カテーテル104の遠位端106上に取り付け可能であって、血管を通して標的領域に挿入されて標的領域中の血栓を除去するように構成された、把持器102を備える。把持器102は、把持器102がカテーテル104の遠位端106上に取り付けられて、把持器102のジョー108が互いに分離されている(図1に示す)開構成と、把持器102がカテーテル104から離れるように遠位方向に移動して、把持器102が付勢構成に向かって戻り、ジョー108が互いに向かって移動して、ジョー108の間に収容された物質(例えば、血栓の部分)を把持及び切断する(図2に示す)閉構成との間で移動可能である。
【0026】
例示的なデバイス100は、円筒形ハウジング114を介してカテーテル104の近位端112に接続され、制御部材116を介して把持器102に接続された近位インターフェース110を更に備える。把持器102は、制御部材116を介して開構成と閉構成との間を移動される。ジョー108が開構成にある状態で、カテーテル104は、血栓に隣接する位置まで前進し、ジョー108は、カテーテル104から離れるように遠位方向に移動して、血栓の部分を覆って閉じる。すなわち、把持器102が閉構成に向かって移動すると、ジョー108は、それらの間に血栓の部分を把持し、把持された部分を血栓の残りから切断して、血栓の「一噛み(bite)」を取る。把持器102が閉構成に向かって移動するにつれて、ピストン118は、円筒形ハウジング114内を近位方向に摺動可能に移動して、カテーテル104を通して負圧を発生させ、この負圧は、血栓のこの部分が円筒形ハウジング114に入るまで、血栓の分離された部分をカテーテル104内へと及びカテーテルを通して引き込み、その結果、血栓の切断/分離された部分が「飲み込まれ(swallowed)」得る。
【0027】
次いで、把持器102は、カテーテル104がジョー108を互いに離すように把持器102をカテーテル104の遠位端106の上へ近位方向に引き込むことにより、開構成に戻るように移動されてもよい。把持器102が移動して開構成になるにつれて、ピストン118は円筒形ハウジング114内を遠位方向に移動して、血栓の分離された部分を円筒形ハウジングに接続された血栓収集バッグ120内へと押し込む。把持器102は、血栓の全体が血管から除去され血栓収集バッグ120内に収集されるまで、開構成と閉構成との間を繰り返し移動してもよく、すなわち、反復ごとに血栓の部分を把持し、分離し、収集してもよい。すなわち、把持器102は、血栓全体が除去されるまで、血栓の部分を系統的に「噛み」、「飲み込む」。
【0028】
カテーテル104は、遠位端106から近位端112まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔122を含む。カテーテル104は、標的血管を通して挿入されるように寸法決めされ、成形され、構成されている。当業者によって理解されるように、カテーテル104は、血管又は周囲組織に過度の外傷を与えることなく標的血管を通してその中の標的領域に挿入されるように、十分に可撓性でなければならない。カテーテル104の遠位端106が標的血管内に挿入されている間、近位端112を含むカテーテル104の近位部分は、デバイス100のユーザ(例えば、外科医)がアクセス可能な身体の外部に存在したままである。例示的実施形態では、カテーテル104の近位部分は、管腔122と連通するポート124も含み、それにより、血栓摘出手法中に、例えば拡張器などのツール又はデバイスが、(所望の場合に)ポート124内に挿入され、管腔122を通って、標的領域に達し得る。
【0029】
図3図4に示すように、把持器102は一対のジョー108を含み、ジョー108の各々は、ヒンジ126を介して互いに接続されている。一実施形態では、ジョー108の各々が第1の端部128から第2の端部130まで曲線に沿って延びており、ヒンジ126のうちの第1のものがジョー108の第1の端部128を互いに接続する一方で、ヒンジ126のうちの第2のものがジョー108の第2の端部130を互いに接続している。例示的実施形態では、ヒンジ126はばね付勢されて、ジョー108が互いに向かって移動する閉構成(図4)に向けてジョー108を付勢している。この実施形態のジョー108の各々は、ジョー108が一緒に引き寄せられたときに、血栓の部分を貫通し、その部分を血栓の残りから切断するように構成された歯132又は他の構造的特徴を含む。
【0030】
一実施形態では、一方のジョー108の歯132は、他方のジョー108の歯132に接触する。特に、閉構成では、ジョー108は互いに向かって延び、それにより、標的血管から除去するために各ジョー108の歯132の間に把持された血栓の部分が血栓の残りの部分から分離される。把持器102が、カテーテル104の遠位端106上に開構成で取り付けられると、ジョー108は、遠位端106の外面134の直径方向に対向する部分上に配置され、それにより、カテーテル104の外面134は、ジョー108が互いに分離された状態で把持器102を開構成に維持する(図3)。
【0031】
したがって、把持器102がカテーテル104の遠位端106上に取り付けられた場合、把持器102がカテーテル104から離れるように遠位方向に移動するにつれて、閉じつつあるジョー108の間に血栓の部分が配置されるように、カテーテル104は血栓に対して配置され得る。把持器102がカテーテル104から離れるように遠位方向に移動すると、把持器102はヒンジ126の自然な付勢力により自由に閉じられる。把持器102のヒンジ126及び/又はジョー108は、上述したようにヒンジ126がジョー108を閉構成に向かって付勢する限り、かつ付勢力が十分に強くて歯132に血栓を貫通させるほどであるように、様々な材料のうちのいずれかで形成されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。一実施例では、把持器102の部分(例えば、ヒンジ126)が、例えばニチノールなどの形状記憶合金から形成されて、閉構成に向かう付勢力を提供する及び/又は追加する。
【0032】
更なる実施形態によると、図5に示すように、把持器102は、ジョー108の部分を覆って延びる表面又は被覆156を含み、これは、把持器102が閉構成にある場合に、血栓の把持された部分がジョー108の遠位面にある開口部を通して遠位方向に逃げることを防止する(すなわち、被覆156は、ジョー108が閉じているとき、遠位方向に面するジョー108の表面を実質的に閉じる)。この実施形態では、把持器102は、例えばポリマーなどの追加の材料から形成されてもよく、この追加の材料は、ジョー108の部分を画定及び/又は被覆して、実質的に固体の表面又は被覆156を形成する。したがって、血栓の部分を把持したら、把持された部分は、血栓の残りの部分から分離され、そこから遠位方向に逃げることが防止され、それにより、血栓の切断された部分がカテーテル104内に引き込まれ得る。
【0033】
したがって、以下で更に詳細に説明されるように、血栓の分離された部分は、血管から除去され、上述したようにカテーテル104の管腔122を通して印加された負圧を介して、カテーテル104内へと引き込まれる。例示的実施形態は、把持器102のジョー108がニチノール及び/又はポリマーから形成されているものとして具体的に説明しているが、血管から除去するためにジョー108が血栓の部分を把持し、それを血栓の残りの部分から分離するように構成されている限り、把持器102は様々な生体適合性材料のうちのいずれかから形成されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0034】
例示的実施形態によれば、デバイス100は、一対の制御部材116を備え、各制御部材116は、以下で更に詳細に説明するような、近位インターフェース110の部分に接続された近位端136から、ジョー108のうちの対応する1つに接続された遠位端138まで、カテーテル104の長さに沿って延びている。例示的実施形態では、制御部材116は、例えば金属又はポリマーから形成される、可撓性ストランド、フィラメント、又はコイルとして形成されている。この実施形態における各制御部材116の遠位端138は、ジョー108のうちの対応する1つに取り付けられており、それにより、カテーテル104に対する制御部材116の長手方向への移動が、それに応じて、把持器102を開構成と閉構成との間で移動させる。
【0035】
この実施形態における各制御部材116は、近位インターフェース110に近接する近位端142から遠位端144までカテーテル104の外部長さに沿って延びる外側シャフト140内に移動可能に収容されている。例示的実施形態では、デバイス100は、カテーテル104の反対側の長手方向側部に沿って固定された一対のシャフト140を備え、それにより、制御部材116がカテーテル104に対して近位方向及び遠位方向に移動するときに、収容された制御部材116のうちの対応する1つがシャフト内で長手方向に摺動可能である。シャフト140の遠位端144はカテーテル104に沿って配置され、それにより、把持器102がカテーテル104の遠位端106上に取り付けられたとき、及び血栓の部分を把持し切断するためにカテーテル104から離れるように遠位方向に移動されたときに、制御部材116の遠位端138が外側シャフト140の遠位端144を過ぎて遠位方向に延びて、把持器のジョー108に接続される。
【0036】
例示的な実施形態によれば、図6図7に示すように、近位インターフェース110は、例えばクランクシャフト148を介して制御部材116の近位端136及びピストン118に接続された回転ハンドル146などの、アクチュエータを含む。回転ハンドル146は、内部にクランクシャフト148が収容されている近位ハウジング150に対して回転可能である。上述したように、ピストン118は、カテーテル104の近位端112に接続された円筒形ハウジング114内に移動可能に収容されている。円筒形ハウジング114は、カテーテル104の管腔122と流体連通しており、それにより、以下で説明するように、円筒形ハウジング114内でのピストン118の移動を介して管腔122を通して負圧が印加されて、把持され、分離された血栓の部分が血管から除去され得る。近位インターフェース110は、円筒形ハウジング114に接続された血栓収集バッグ120を更に含み、それにより、血栓の分離された部分は、その後に血栓収集バッグ120内に収集され得る。血栓収集バッグ120は、一方向弁152を介して円筒形ハウジング114に接続されていてもよく、それにより、血栓の分離された部分が血栓収集バッグ内に収集されると、収集された血栓はハウジング114に再び入ることができない。
【0037】
特に、血栓収集バッグ120を円筒形ハウジング114に接続する一方向弁154は、血栓10の分離された部分12が円筒形ハウジング114から血栓収集バッグ120に通過することを許容するが、血栓のいかなる部分も血栓収集バッグ120から円筒形ハウジング114に通過することを許容しない。例示的実施形態は、血栓が収集バッグ120内に収集されるものとして示し説明しているが、血栓は、円筒形ハウジング114に接続されたいかなる容器又は貯蔵容器内に収集されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0038】
回転ハンドル146は、ハンドル146の回転に応じてクランクシャフト148を回転させるように、クランクシャフト148に接続されている。開構成では、ピストン118は、図6に示すように円筒形ハウジング114の遠位端に配置されている。制御部材116の近位端136及びピストン118はクランクシャフト148に接続されており、それにより、回転ハンドル146が回転されて制御部材116がカテーテル104に対して遠位方向に移動されると、ピストン118は同時に、図7に示すように円筒形ハウジング114内で近位方向に移動して、管腔122内に負圧を印加する。したがって、把持器102が、カテーテル104の遠位端106から離れるように遠位方向に移動され、その自然な付勢力により開構成から閉構成に向かって戻り、血栓の部分を血栓の残りの部分から把持及び分離するにつれて、カテーテル104内に印加された負圧は、血栓の把持され分離された部分を、カテーテル104を通して円筒形ハウジング114内へと近位方向に引き込む。
【0039】
次いで、回転ハンドル146の更なる回転が、クランクシャフト148を回転させ、それにより制御部材116はカテーテル104に対して近位方向に移動し、把持器102を開構成に向かってカテーテル104の遠位端106上に引き戻すことになる。回転ハンドル146のこの同じ回転はまた、ピストン118を円筒形ハウジング114内で遠位方向に移動させて、管腔122内に印加された負圧を除去し、血栓の分離された部分を円筒形ハウジングから血栓収集バッグ120内へと押し込む。
【0040】
回転ハンドル146は、上述したように、近位ハウジング150に対して繰り返し及び/又は連続的に回転されて、標的血栓の全体が血管から除去されるまで、把持器102を開構成と閉構成との間で系統的に移動させて、標的血栓の部分を把持し、分離し、及び除去することができる。
【0041】
図8図13は、デバイス100を利用して血栓摘出術を実施するための例示的な方法を示す。図8に示すように、カテーテル104の遠位端106上に開構成で取り付けられた把持器102は、把持器102が標的血栓10に隣接して及び/又はそれに対して配置されるまで、画像誘導下で血管を通して血管内の標的領域に挿入される。一旦把持器102が所望通りに標的血栓10に隣接して配置されると、回転ハンドル146は近位ハウジング150に対して回転されて、制御部材116をカテーテル104に対して遠位方向に移動させ、把持器102をカテーテル104の遠位端106から離れるように遠位方向に移動させ、それにより、ジョー108は、開構成から図9に示すような閉構成に向かって移動する。把持器102が閉構成に向かって移動するにつれて、ジョー108は、ジョーの間に配置された標的血栓10の部分12を把持し、それにより歯132が血栓10を貫通し、把持された部分12を血栓10の残りの部分から分離する。上述したように、制御部材116がカテーテル104に対して遠位方向に移動している間、ピストン118は円筒形ハウジング114内で遠位方向に移動して、管腔122内に負圧を加える。この負圧は、血栓10の分離された部分12を、図10に示すようにカテーテル104を通して近位方向に引き込み、そして図11に示すように円筒形ハウジング114内へと引き込む。
【0042】
一旦血栓の分離された部分12が円筒形ハウジング114内に収容されると、ユーザは、ハンドル146を近位ハウジング150に対して更に回転させ、それに応じてクランクシャフト148を回転させ、それにより、制御部材116がカテーテル104に対して近位方向に移動して、図12に示すように、把持器102を、閉構成から開構成へとカテーテル104の遠位端106の上へ近位方向に引き寄せる。制御部材116がカテーテル104に対して近位方向に移動している間、図13に示すように、同時にピストン118は円筒形ハウジング114内で遠位方向に移動し、管腔122内の負圧を除去し、血栓10の分離された部分12を一方向弁154を介して円筒形ハウジング114から血栓収集バッグ120へと押し出す。
【0043】
次いで、ユーザは、デバイス100を標的血管を通して遠位方向に移動させ、それによって血栓の残りの部分をカテーテル104の遠位端106に隣接して所望通りに配置されたままにしながら、近位ハウジング150に対する回転ハンドル146の回転を介して、把持器102を開構成と閉構成との間で移動させ続けてもよい。
【0044】
把持器102は、標的血栓全体が血管から除去され、血栓収集バッグ120内に収集されるまで、反復ごとに(例えば、回転ハンドル146の回転ごとに)標的血栓の部分を把持及び分離して、血栓のこれら部分を収集し続ける。血栓全体が除去されるまで、把持器102が残りの血栓の部分を系統的に「噛み」、「飲み込む」ように、(必要に応じて)カテーテル104が同時に再配置されるので、回転ハンドル146は連続的な方法で回転されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。デバイス100は、標的血栓全体を除去したら標的血管から除去されてもよい。
【0045】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示において様々な修正を行ってもよいことが当業者には明らかであろう。更に、様々な実施形態のいずれかにおける特徴が、実施形態の説明及び/又は機能と矛盾しない任意の方法で組み合わされてもよいことを当業者は理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓摘出術を実施するためのデバイスであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、前記把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの前記遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに向かって移動して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に前記血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を前記血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、
前記把持器に接続された第1の制御部材であって、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、第1の制御部材と、
前記カテーテルの前記近位端に接続されたピストンを含む近位インターフェースであって、前記把持器が前記閉構成に向かって移動したときに、前記ピストンが前記カテーテルを介して負圧を印加して、血栓の分離された部分を前記カテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースと、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記把持器に接続された第2の制御部材であって、前記カテーテルに対する前記第2の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させるようになっており、前記第1の制御部材は前記把持器の前記第1のジョーに接続されており、前記第2の制御部材は前記把持器の前記第2のジョーに接続されている、第2の制御部材、
を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、前記歯は、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された前記血栓の部分を貫通するように構成されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記把持器の前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記把持器を前記閉構成に向かって付勢するヒンジを介して互いに接続されており、それにより、前記把持器が前記カテーテル上に取り付けられたときに前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの外面を介して前記開構成に維持され、前記把持器が前記カテーテルから離れるように遠位方向に移動されたときに前記閉構成に向かって戻る、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記把持器は、前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々の部分を覆って延びる被覆を含んで、その実質的に固体の表面を画定し、それにより、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された血栓のいかなる部分も、そこから遠位方向に逃げることが防止される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カテーテルの外面に沿って長手方向に延びる外側シャフトであって、前記第1の制御部材は、前記外側シャフトを通って前記近位インターフェースから前記把持器まで延びている、外側シャフト、
を更に備える、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記近位インターフェースは、前記カテーテルの前記近位端に接続された円筒形ハウジングであって、前記円筒形ハウジング内を前記ピストンが摺動可能に移動可能な、円筒形ハウジングと、前記ピストンに及び前記第1の制御部材の近位端に接続されたクランクシャフトとを更に含み、それにより、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の遠位への移動が、前記把持器を前記閉構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動させて前記カテーテル内で負圧を発生させ、前記カテーテルに対する前記第1の制御部材の近位への移動が前記把持器を前記開構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記近位インターフェースは、前記クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、前記回転ハンドルの回転が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記近位インターフェースは、一方向弁を介して前記円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、前記血栓の分離された部分は、前記把持器が前記開構成に向かって移動するにつれて前記血栓収集要素内へと移動される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
血栓摘出術を実施するためのデバイスであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延び、それを通って延びる管腔を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端の上に取り付け可能な把持器であって、前記把持器は、互いに接続された第1のジョー及び第2のジョーを含み、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記カテーテルの前記遠位端の対向する部分の周りに延び、互いに分離されて、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に血栓の部分を収容する開構成と、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに向かって移動して、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に前記血栓の部分を把持し、血栓の把持された部分を前記血栓の残りの部分から分離する閉構成との間で移動可能である、把持器と、
前記把持器の前記第1のジョー及び前記第2のジョーにそれぞれ接続された、遠位端から近位端まで延びる第1及び第2の制御部材であって、前記第1及び第2の制御部材は、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の長手方向への移動が、前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させるように構成されている、第1及び第2の制御部材と、
前記カテーテルの前記近位端に接続された円筒形ハウジングと、前記円筒形ハウジング内に摺動可能に収容されたピストンとを含む近位インターフェースであって、前記把持器が前記閉構成に向かって移動したときに、前記ピストンは前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動して、前記カテーテルを介して負圧を印加し、血栓の分離された部分を前記カテーテルを通して近位方向に引き込む、近位インターフェースと、を備えるデバイス。
【請求項11】
前記近位インターフェースは、前記ピストンと、前記第1及び第2の制御部材の近位端とに接続されたクランクシャフトを更に含み、それにより、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の遠位への移動が、前記把持器を前記閉構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で近位方向に移動させ、前記カテーテルに対する前記第1及び第2の制御部材の近位への移動が、前記把持器を前記開構成に向かって移動させ、かつ前記ピストンを前記円筒形ハウジング内で遠位方向に移動させる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記近位インターフェースは、前記クランクシャフトに接続された回転ハンドルを更に含み、それにより、前記回転ハンドルの回転が前記把持器を前記開構成と前記閉構成との間で移動させる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記近位インターフェースは、一方向弁を介して前記円筒形ハウジングに接続された血栓収集要素を更に含み、前記血栓の分離された部分は、前記把持器が前記開構成に向かって移動するにつれて前記血栓収集要素内へと移動される、請求項10~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの各々は、それに沿って延びる歯を含み、前記第1のジョーの歯が前記第2のジョーの歯に向かって延び、それにより、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間で把持された血栓の部分を前記歯が貫通する、請求項10~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉構成に向かって付勢されており、前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記把持器が前記カテーテル上に取り付けられたとき、前記カテーテルの外面を介して前記開構成に維持され、前記把持器が前記カテーテルから離れるように遠位方向に移動されたとき、前記閉構成に向かって戻る、請求項10~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【国際調査報告】