(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】導波路を有する眼鏡レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20250117BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20250117BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02C11/00
G02B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542937
(86)(22)【出願日】2023-01-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2023050715
(87)【国際公開番号】W WO2023138990
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323003137
【氏名又は名称】トゥルーライフ オプティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルコフ,アンドリー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ヘレン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA24
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA48
2H199CA54
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA74
2H199CA83
2H199CA87
2H249AA04
2H249AA18
2H249AA26
2H249AA60
2H249AA64
2H249AA66
(57)【要約】
本開示は、導波路を有する拡張現実眼鏡レンズ、及び導波路を有するそのような眼鏡レンズを製造する方法に関する。眼鏡レンズであって、第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分と、それらの間の円筒形導波路と、を備え、円筒形導波路が、第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有し、円筒形導波路が、透明であり、第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、眼鏡レンズ。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズであって、前記眼鏡レンズが、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分と、それらの間の円筒形導波路と、を備え、
前記円筒形導波路が、前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有し、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、眼鏡レンズ。
【請求項2】
前記中央コアが、前記透明媒体よりも高い屈折率を有する、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項3】
前記透明媒体が、接着剤材料である、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ。
【請求項4】
前記透明媒体が、エアギャップである、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ。
【請求項5】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、請求項1~4のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項6】
前記眼鏡レンズが、長軸及び短軸を有し、前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記長軸に沿った湾曲した外形を有する、請求項1~5に記載の眼鏡レンズ。
【請求項7】
前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記短軸に沿った線形外形を有する、請求項6に記載の眼鏡レンズ。
【請求項8】
前記第1のレンズ部分及び前記第2のレンズ部分が、球状外側外形を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項9】
入力光学系を更に備え、前記入力光学系が、光を前記円筒形導波路に結合するように構成及び配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項10】
前記入力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する入力結合線形回折格子を含む、請求項9に記載の眼鏡レンズ。
【請求項11】
前記入力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項9又は10に記載の眼鏡レンズ。
【請求項12】
前記入力結合線形回折格子が、切り替え可能である、請求項9~11のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項13】
前記入力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、請求項9~12のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項14】
前記入力光学系が、画像源から光線を受け取り、前記画像源の同じピクセルから発する全ての光線が、各入射点において、共通の円筒軸に垂直な表面に対して同じ角度で、かつ前記共通の円筒軸に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒形導波路の前記表面に入射するように、前記光線を前記円筒形導波路に入らせるように構成及び配置され、それによって、入力結合された光は、前記入力結合された光が前記円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角を保持する、請求項9~13のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項15】
前記円筒形導波路から伝播光を受け取り、前記光を画像としてユーザの眼に提示するように構成及び配置された出力光学系を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項16】
前記出力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する出力結合線形回折格子を含む、請求項15に記載の眼鏡レンズ。
【請求項17】
前記出力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項16に記載の眼鏡レンズ。
【請求項18】
前記出力結合線形回折格子が、切り替え可能である、請求項15~17のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項19】
前記出力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、請求項15~18のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項20】
前記出力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項15又は16に記載の眼鏡レンズ。
【請求項21】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズを製造する方法であって、前記方法が、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分を形成し、それらの間に円筒形導波路を挿入することと、
前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有する前記円筒形導波路を形成することであって、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、形成することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記中央コアが、前記透明媒体よりも高い屈折率を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明媒体が、接着剤材料である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記透明媒体が、エアギャップである、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、請求項21~24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡張現実ディスプレイのための導波路を備える眼鏡レンズ、及び導波路を備えるそのような眼鏡レンズを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実(AR)の分野では、プロジェクタシステムからユーザの眼に画像を向け直す透明コンバイナを使用して、現実世界にオーバーレイされた仮想画像がユーザに表示される。現在の解決策は、典型的には、ガラス又はプラスチック材料から形成された平面透明導波路を用い、プロジェクタからの光は、回折格子を介して導波路に入力結合(in-couple)され、全内部反射によって導波路の長手方向に沿って横断し、更なる回折格子によってユーザの眼に出力結合(out-couple)される。このような用途では、導波路の厚さは、典型的には、数ミリメートル(mm)である。
【0003】
自由空間反射光学系に基づく透明なコンバイナソリューションが存在するが、これらは典型的には、そのような画像又は画像の配列がユーザによって視認可能である小さいエリア(アイボックスとしても知られている)を有する。したがって、自由空間反射光学系は、大きいアイボックスが必要とされる用途には好適でない。小さいアイボックスエリアは、瞳孔間距離(IPD)の違いのために、AR眼鏡を機械的に調整するか、又は特定のユーザに適合させる必要があり、したがって、コスト及び複雑さを増加させる。一方、平面導波路に基づくソリューションは、大きいアイボックスエリアを有し、これは、AR眼鏡の設計の単一の変形がほとんどのユーザ集団に適合することができ、ユーザは仮想画像を簡単に見ることができることを意味する。
【0004】
上述のタイプの導波路を眼鏡レンズ内に埋め込むことが知られており、これは多くの理由から望ましい。具体的には、AR用途において、入力結合回折格子及び出力結合回折格子は、1ミリメートル(mm)未満の厚さを有するホログラフィック光学素子(HOE)であり得る。しかしながら、レンズ内にそのような導波路を埋め込むことには制限がある。典型的には、眼鏡において使用されるレンズは、特にレンズが処方レンズである場合湾曲しているが、導波路は平坦である。したがって、湾曲したレンズに導波路を埋め込むことは、平坦な導波路を収容するためにレンズの厚さが大きくなければならず、したがってより重くなるという欠点を有する。
【0005】
レンズ内に薄膜を封入する、又は眼鏡上に薄膜を積層するためのいくつかのアプローチが存在する。そのようなアプローチは、1ミリメートル未満の厚さのHOEを組み込むのに有用であり得るが、眼鏡レンズ内に封入される数ミリメートルの厚さの導波路での使用には好適ではない。更に、公知の解決策のいずれも、無限遠に投影されたときに同じ画像ピクセルからの光線が発散することなく、瞳を連続的に複製するために、光線を光源からユーザの眼に効率的に導くことができることを確実にするために、眼鏡レンズ内で必要な屈折率変化を達成することに関連する問題を考察していない。
【発明の概要】
【0006】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズが提供され、眼鏡レンズは、第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分と、それらの間の円筒形導波路と、を備え、円筒形導波路が、第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有し、円筒形導波路が、透明であり、第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む。
【0007】
中央コアは、透明媒体よりも高い屈折率を有し得、透明媒体は、接着剤材料、又はエアギャップである。第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体は、光学スタックとして配置されている。
【0008】
眼鏡レンズは、長軸及び短軸を有し得、第1及び第2の円筒形状界面は、長軸に沿った湾曲した外形を有し得る。第1及び第2の円筒形状界面は、短軸に沿った線形外形を有し得る。第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分は、球状外側外形を有する。
【0009】
眼鏡レンズは、入力光学系を更に備え得、入力光学系は、円筒形導波路内に光を結合するように構成及び配置されている。入力光学系は、導波路の表面に適用される、一定の周期を有する入力結合線形回折格子を含み得る。入力結合線形回折格子は、第1の円筒形界面又は第2の円筒形界面において導波路に取り付けられ得る。入力結合線形回折格子は、切り替え可能であり得る。入力結合線形回折格子は、ホログラフィック材料で形成され得る。
【0010】
入力光学系は、画像源から光線を受け取り、画像源の同じピクセルから発する全ての光線が、各入射点において、共通の円筒軸に垂直な表面に対して同じ角度で、かつ共通の円筒軸に垂直な平面に対して同じ角度で、円筒形導波路の表面に入射するように、光線を円筒形導波路に入らせるように構成及び配置され、それによって、入力結合された光は、円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角を保持し得る。
【0011】
眼鏡レンズは、円筒形導波路から伝播光を受け取り、光を画像としてユーザの眼に提示するように構成及び配置された出力光学系を更に備え得る。出力光学系は、導波路の表面に適用される、一定の周期を有する出力結合線形回折格子を含み得る。出力結合線形回折格子は、第1の円筒形界面又は第2の円筒形界面において導波路に取り付けられ得る。出力結合線形回折格子は、切り替え可能であり得る。出力結合線形回折格子は、ホログラフィック材料で形成され得る。出力結合線形回折格子は、第1の円筒形界面又は第2の円筒形界面において導波路に取り付けられ得る。
【0012】
また、拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズを製造する方法が提供され、方法は、第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分を形成し、それらの間に円筒形導波路を挿入することと、第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有する円筒形導波路を形成することであって、円筒形導波路が、透明であり、第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、形成することと、を含む。
【0013】
中央コアは、透明媒体よりも高い屈折率を有し得る。透明媒体は、接着剤材料であり得る。透明媒体は、エアギャップであり得る。第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体は、光学スタックとして配置され得る。
【0014】
したがって、有利には、拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズは、レンズ内の湾曲した導波路で封入され、これは、実質的に低減された収差を有する複製されたアイボックスを提供する。
【0015】
本開示の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照してより詳しい説明を行い、その一部を添付図に例示する。しかし、添付図は、典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、その範囲を限定するものとは考えられないことに留意されたい。図は、本開示の理解を容易にするためのものであり、したがって、必ずしも一定の比率では描かれていない。特許請求される主題の利点は、この説明を添付図と併せて読めば当業者には明らかである。添付図では、同様の要素を指定するために、同様の参照数字を使用している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの斜視図を概略的に例示する。
【
図1b】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの分解トップダウン図を概略的に例示する。
【
図1c】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの側面図を概略的に例示する。
【
図2】実施形態による、眼鏡レンズのための導波路を概略的に例示する。
【
図3】実施形態による、眼鏡レンズの導波路のための概略的な入力結合光学系を例示する。
【
図4】実施形態による、眼鏡レンズの導波路のための概略的な入力結合及び出力結合光学系を例示する。
【
図5】実施形態による、光源、入力結合及び出力結合光学系、並びに眼鏡レンズの導波路に対するユーザの眼を概略的に例示する。
【
図6】実施形態による、眼鏡レンズの導波路のための概略的な出力結合光学系を例示する。
【
図7a】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの斜視図を概略的に例示する。
【
図7b】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの分解トップダウン図を概略的に例示する。
【
図7c】実施形態による、導波路を有する眼鏡レンズの側面図を概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概略的に、
図1a~
図1cに概略的に例示されるように、実施形態による眼鏡レンズ100は、第1のレンズ部分102と、第2のレンズ部分104(それぞれ、第1のレンズ半体及び第2のレンズ半体としても知られている)と、第1のレンズ部分102と第2のレンズ部分104との間に介在する導波路106(光ガイドとしても知られている)と、を備える。このようにして、第1及び第2のレンズ部分102、104、及び導波路106は、光学スタックとして配置されている。導波路106は、それぞれ眼に面する表面及び世界に面する表面として指定された第1及び第2の反対側にある表面を有する。同様に、第1のレンズ部分102は、使用中に世界に面する導波路106の側にあるため、世界に面するレンズとして指定される。第2のレンズ部分104は、使用中にユーザの眼に面する導波路の側にあるため、眼に面するレンズとして指定される。レンズ部分102、104及び導波路106の積み重ねられた配置は、現実世界に対して透明であり、すなわち、ユーザは、眼鏡レンズ100を通して世界を見ることができる。
【0018】
眼鏡レンズ100で利用されるタイプの導波路106は、
図2に概略的に例示されており、レンズ部分102、104は明確にするために省略されているが、それらの位置は参照のために示されている。導波路106は、形状が円筒形であり、第1及び第2の同心の反対側にある表面108、110を備え、反対側にある表面108、110の間に一定の厚さtを有する。導波路106の曲率中心は、Xとして指定される。R
1及びR
2と指定される距離は、曲率中心とそれぞれの反対側にある同心円形表面108、110との間の曲率半径である。このようにして、円筒形導波路106の凹側は、以下でより詳細に考察するように、眼に面していることが分かる。同様に、曲率中心Xから導波路106の内面又は眼に面する表面110までの距離はR
1であり、曲率中心Xから導波路106の外面(世界に面する)108までの距離はR
2である。R
2=R
1+tであり、一定の厚さtのために、これは、円筒形導波路106上のどこで距離R
1及びR
2が測定されるかに関係なく適用されることが明らかである。言い換えると、導波路106は、共通の曲率中心Xを有し、導波路106の内面110及び外面108の半径R
1及びR
2は、一定の厚さtによって分離される。
【0019】
図1a及び
図1bを参照すると、光源からの光を導波路106に入力するために、入力結合回折格子132が導波路106の表面に提供され得る。対応する出力結合回折格子134は、導波路の表面に提供されて、導波路からユーザの眼に光を出力してもよい。入力結合回折格子132及び出力結合回折格子134は、導波路106が導波路106の同心の反対側にある表面に固定されているときに、導波路106が第1及び第2のレンズ部分のフットプリント内に位置するように、導波路106上に位置付けられ得る。
【0020】
そのような構造の円筒形導波路106を使用することは、光が収差を伴わずに湾曲面の間を進行することを可能にし得る。これは、有利には、画像源(特に、ピクセル化された画像源又は少なくとも概念的にピクセルに分割することができる光出力を有する画像源)から光を受け取り、円筒形導波路106に光を提供するように配置される、レンズプリズムミラーなどの入力光学系とともに実装される。画像源の同じピクセルからの全ての光線が、各入射点において入射面法線に対して同じ角度で円筒形導波路106に入射する。したがって、画像源の中央ピクセルからの全ての光は、円筒形表面に対して垂直である、円筒形導波路106上の任意の点において入射する。非中央ピクセルからの光線は、各入射点において表面法線に対して同じ角度で入射する。更に、画像源の同じピクセルからの全ての光線は、各入射点において円筒軸に垂直な平面に対して同じ角度で円筒形導波路106に入射する。したがって、全ての光線の伝播方向は同じままである。
【0021】
図3に例示される入力光学系及び上述の導波路構造を考慮すると、円筒形導波路で受け取られた光(典型的には、円筒形導波路に入力結合された)は、それが円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角を保持する。すなわち、所与のピクセルからの全ての光線は、どのくらい伝播しても、各光線の入射点において、光線と表面との間で測定されるのと同じ角度で出力格子に接近する。典型的には、入力光学系は、入力結合(又は注入)光学系を含む。
【0022】
平坦な導波路に使用される従来のコリメート光学系とは異なり、本開示で提案される入力光学系は、ピクセルからの光線が平行ではないため、古典的な光学設計用語ではコリメータとは正しく称されない。むしろ、好ましい入力結合(プロジェクタ)光学系は、通過する(すなわち、平行でもなく、完全に含むわけでもない)、より好ましくは、円筒軸に垂直な平面内の光(のみ)をコリメート又は整合させるように配置された光学デバイスを含む。眼鏡及びヘルメットの場合、例えば、円筒軸は垂直であり、平面は好ましくは水平である。このようにして、光線は、この平面内の同じ角度で入力格子132上に入射する。波面整形デバイス135、例えば、円筒形レンズ及び/又はミラーは、このタスクに使用することができる。光学設計のベストプラクティスで通常のように、中央ピクセルの光線は、対称性のために収差管理を容易にするために、有利には、導波路106の表面に垂直な角度で入射される。この平面内の他のピクセルは、他の角度で入力格子に入射する光線を生成するが、同じピクセルからの他の光線に平行である。
【0023】
しかしながら、円筒軸に直交する平面、例えば、水平平面において、光は、コリメートされなくてもよく、むしろ、同じピクセルからの光線が表面法線に対して同じ入射角を有するように成形され得、この法線は、異なる入射点ごとに別々に考慮される。この条件を満たす波面形状は、導波路の円筒形状と同心である円筒形の波面である。次いで、中央ピクセルからの光線は、導波路の円筒軸から半径方向に伝播し、法線入射で表面に接近する。この波面は、有利には、画像源S(ディスプレイ)を導波路軸で画像源の中心とともに位置決めすることによって形成される。次に、円筒形レンズ135又はミラーは、垂直平面内でのみ光学集束パワーを有するように配置される。
【0024】
任意選択的に、例えば、より多くの又は全てのピクセルの性能を最適化するために、及び/又はプロジェクタの体積を最小化するために、追加的又は異なる入力光学系が提供され得る。これは、ディスプレイを近付けるために水平平面に焦点を合わせた光学系を利用することを含み得る。凹面ミラーが使用される場合、反射され、次いで回折される前に、光がミラーからの導波路の反対側から導波路に接近するように、画像源及び/又は入力結合光学系が配置され得る。
【0025】
光は、円筒軸(例えば、垂直)に平行な方向(ベクトルによって定義された)、又は円筒軸に垂直な方向(ベクトルによって定義された)(具体的には導波路の円周の周りで水平であり得る)、又は円筒軸に平行かつ垂直なベクトル(典型的には、対角線)の間にあるベクトルによって定義された方向に、円筒形導波路106を通って(例えば、入力結合光学系と出力結合光学系との間を)伝播し得る。
【0026】
図4に例示されるように、出力結合光学系は、典型的には、上記の出力結合回折格子134vasを含む。原則として、線形格子を使用することができる。しかしながら、導波路106の実用的な用途は、視聴者が円筒の内側にあることである。したがって、単純な線形格子は、視聴者のはるか前方ではなく、円筒軸の水平平面にそれを集束させる(光の垂直線をもたらす)ため、そのような状況で光を抽出するのに適切ではない場合がある。対照的に、発散レンズ特性は、水平方向(垂直方向にはすでにコリメートされている)に光をコリメートし得る。これは、水平方向に出力格子に負の光パワーを追加することによって達成され得る。類推すると、格子はプリズム機能と円筒形負レンズ機能の合計である。そのような格子を記録する方法について多くの既知の例がある。そのような格子は、入力格子とは対照的に「線形」と称されない。出力格子は、両方の平面により多くの集束力を加えることによって、デジタル画像を視聴者から任意の距離に置くように選択することができる。
【0027】
円筒形導波路106が、ユーザの視力(例えば、処方眼鏡)に対してすでに補正されているヘッドマウント構造内に埋め込まれている場合、入力及び出力格子も、これを考慮に入れるために補正され得る。主な要因は、光がどのように光学スタック全体の「サンドイッチ」に近付いて、離れるかにかかわらず、導波路内で伝播するときに光の前述の条件を保持することである。
【0028】
上で考察されたタイプの導波路106は、眼鏡レンズ100を形成するために、第1のレンズ半体102と第2のレンズ半体104との間に置かれる。
図1aは、最終的に形成された眼鏡レンズ100を例示し、
図1bは、導波路106を中間に有する第1及び第2のレンズ半体102、104の分解図を例示する。第1のレンズ半体102は、導波路106の世界に面する表面108の曲率半径R
2に整合し、それと嵌合可能であるような曲率半径を有する球面外部前面又は外側、世界に面する表面、及び円筒形背面を有する。第2のレンズ半体106は、導波路106の眼に面する表面108の曲率半径R
1に整合し、及びそれと嵌合可能であるような曲率半径を有する円筒形外側前面又は世界に面する表面、及び球面背面又は外側世界に面する表面を有する。導波路106の周囲にわたる導波路106の厚さtが等しい、又は一定であることが分かる。このようにして、当業者は、導波路106、及び関連する入力結合器132及び出力結合器134が、第1のレンズ半体102と第2のレンズ半体104との間に置かれていることを理解するであろう。
図1cを参照すると、眼鏡レンズ100の側面図は、第1のレンズ部分102と第2のレンズ部分104との間に嵌合可能に介在する導波路106を例示しており、導波路106の垂直縁部から下方向の導波路106の厚さtが等しいか一定であり、このようにして導波路は1つの軸において平坦であることが分かる。したがって、第1のレンズ部分102の円筒形表面は、第2のレンズ部分104の円筒形表面と同心円であり、したがって、残りの表面は、球形であることが分かる。導波路の周囲及び導波路の垂直縁部にわたる導波路の一定の厚さは、光線が導波路を通って均一に伝播することを保証する。このようにして、導波路106は、光学的視野から、ゼロ光パワーを有し、眼鏡レンズの光パワーに寄与しないため、平面レンズとみなされ得る。
【0029】
図1a~
図1cの各々において、(x-)、(y-)、及び(z-)軸は、参照目的のために示されており、これらの参照は、本明細書で一貫して使用される。
図1aを参照すると、実施形態による眼鏡レンズ100は、水平(x)方向の長軸と、垂直(y)方向の短軸と、深さ(z)方向と、を有する。眼鏡レンズの深さ(z)寸法は、典型的には、(x)又は(y)方向の寸法と比較して、約10倍と著しく小さい。
【0030】
単純な球面レンズは、既製のサングラス及びスキーゴーグルなどの用途でゼロパワーレンズとして使用することができる。そのような用途では、眼に面する表面及び世界に面する表面は球面曲率を有し、ここで世界に面する表面曲率はベース曲率として知られ、2つの表面外形曲率は非同心である。レンズのベース曲率は、レンズの最高の光学性能を提供すると同時に、最適な美学を達成し、レンズの重量を軽減する。例えば、約83mmの曲率半径に対応する6ジオプトル曲線前面(世界に面する)レンズ表面は、ほとんどのユーザに最良の周辺視力を提供するための経験的データに基づいて、最良の形態とみなされる。審美的な理由のために、老眼鏡及びファッションレンズは、典型的なベース曲線が4ジオプトルであるより平坦な表面を有することができ、この場合、第1のレンズ部分102は、+4ジオプトルのベース曲線を有し、第2のレンズ部分は、-4ジオプトルのベース曲線を有する(正味ゼロ(0)ジオプトルを与える)。典型的には、第1のレンズ部分102の前面、世界に面する表面は、特に平面凸状レンズと比較して、より良好な視力を与え、ユーザの視野にわたる視力を向上させるように湾曲している。非点収差を補正するために、パワーが、第2のレンズ部分104の眼に面する表面に加えられてもよい。非点収差に関して、第2のレンズ部分104は、ユーザの眼の非点収差を補正し、円筒形導波路106の非点収差の量が曲率R1及びR2の半径に依存する円筒形導波路106の非点収差を補正するように選択されたベース曲線を有し得る。同様に、近視又は遠視を補正するために、第2のレンズ部分106のパワーを変更することによって、正味パワーを加算(又は減算)し得る。
【0031】
非限定的な例として、実施形態による眼鏡レンズ100は、ゼロパワーのストックレンズの場合、55mmの水平寸法(x軸)、32mmの垂直寸法(y軸)、並びに第1及び第2のレンズ部分102、104の2mmの組み合わされた厚さ(z軸)を有し得る。第2のレンズ部分104の眼に面する表面は、曲率半径150mm(約3.3ジオプトル)を有し得る。第1のレンズ部分102の世界に面する表面は、152mmの曲率半径を有し得る。第1のレンズ部分102の眼に面する表面及び第2のレンズ部分104の世界に面する表面は、xz平面において円筒形に湾曲し、yz平面において平坦であり、xy平面内で平坦である。第1のレンズ部分102の円筒形湾曲面は、x軸において125mmの曲率半径を有し、第2のレンズ部分の円筒形湾曲面は、x軸において126mmの曲率半径を有する。第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面の外形は、y軸において平坦である。曲率半径の差は、円筒形導波路106の厚さを説明し、第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面への導波路106の同心円形表面の共形の取り付けを可能にする。
【0032】
本開示によれば、導波路106は、0.1mm~10mm、好ましくは0.5mm~2mmの厚さtを有し得、2~6ジオプトルのレンズ曲率に基づく曲率R1及びR2の半径は、80~300mmの半径を与える。第1及び第2のレンズ部分102、104は、典型的には別々に製造されてもよいが、任意選択的に、単一の眼鏡レンズを分離又は分割することによって形成され得る。第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面外形は、研削若しくは射出成形、又は2つの組み合わせによって作製され得る。任意選択的に、3D印刷を使用して、レンズ部分を作製してもよい。レンズ研削及び金型製造プロセスは、円筒形表面を達成するためにダイヤモンド研削を使用し得る。
【0033】
図1a、
図1b、及び
図2を参照すると、第1のレンズ部分102の眼に面する表面及び第2のレンズ部分104の世界に面する表面は、導波路106が嵌合可能に適合する円筒形界面を画定する。上記の非限定的な例として、第1のレンズ部分102及び第2のレンズ部分104の円筒形表面の曲率半径は、それぞれ、126mm及び125mmであり得、1mmの導波路の厚さを画定する。導波路は、第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面と共形であるため、それぞれの曲率半径は、導波路106の対応する表面と同じである。言い換えると、第1のレンズ部分102の眼に面する表面は、R
1に等しい曲率半径を有し、第2のレンズ部分104の世界に面する表面は、R
2に等しい曲率半径を有する。第1のレンズ部分102は、外側セクションよりも中央セクションで厚くなるが、正のユーザ処方については、第2のレンズ部分の外側セクションは、中央セクションよりも厚くなり、又は負のユーザ処方については、第2のレンズ部分の外側セクションは、中央部よりも薄くなる。
【0034】
前述の考察は、第1及び第2のレンズ部分102、104の純粋に円筒形表面並びに導波路106の表面に関するが、当業者は、純粋に円筒形の形状からの任意の逸脱が無視可能であることを条件に、また導波路106の厚さが一定のままであることを条件に、それらの表面が部分的に球円筒形又はトーリックであり得ることを理解するであろう。
【0035】
導波路106は、任意の適切な手段によって、第1及び第2のレンズ部分102、104に取り付けられ得る。例えば、導波路106は、第1及び第2のレンズ部分102、104、若しくは導波路106、又はその両方の円筒形表面の各々に塗布される透明接着剤によって取り付けられ得る。透明接着剤は、例えば、1.315の屈折率を有するノーランド光学接着剤1315などの低屈折率材料であり得る。これは、接着剤が、第1のレンズ部分102及び第2のレンズ部分104の両方を導波路106に機械的に固定するのに役立つが、導波路内の全内部反射を可能にするために必要な屈折率差も維持するという利点を有する。一例として、透明接着剤の厚さは、20μm~100μmである。接着剤は、接着フィルム若しくはテープ、又は液体接着剤であり得る。更に、接着剤は、上述の屈折率差を達成するために必要な、導波路106のクラッド材料として機能する透明媒体と見ることができる。例えば、接着剤の厚さが0.1μmであり、導波路106の同心円筒形表面の両方に適用される場合、透明接着剤材料の追加の厚さを考慮して、第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面の半径に適切な調整が行われ得る。光学的観点からは、透明接着剤材料の厚さは、導波路106の円筒形表面にわたって均一である必要はなく、厚さがゼロでなければ、いずれのばらつきも導波路106の全内部反射に影響を及ぼさないことに留意されたい。導波路106内で全内部反射を達成するために必要とされる屈折率差の観点で、導波路と透明接着剤との間の典型的な例示的な差は、0.5であり得る。(上で示したように)1.3として透明接着剤の例示的な屈折率をとると、導波路は、屈折率1.8を有するべきであり、例えば、40度の視野(FOV)全内部反射をもたらすランタンガラスから形成され得る。より高い屈折率の導波路材料がより高い視野を可能にする、導波路の屈折率の適切な選択によって、導波路の視野を変更することが可能である。
【0036】
代替的に、導波路は、典型的な屈折率が1.52であるBK7ガラスで形成され得、この例では、屈折率差が0.5であることを達成するために、透明接着剤は1.02の屈折率差を有するべきである。屈折率1.78のSF11ガラスもまた、導波路材料として使用され得る。Schott AGはまた、最大2.0の屈折率を有する導波路材料を提供し、0.5の屈折率差をとると、透明接着剤の屈折率は1.5でなければならない。
【0037】
代替的に、屈折率差の要件を念頭に置いて、第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面と導波路106との間の界面にエアギャップが存在し得る。当業者は、空気の屈折率が1.0であることを理解するであろうが、一方で、上述のように、導波路106の屈折率は1.5であるべきである。したがって、エアギャップは、必要な屈折率差を達成するために必要なクラッド材料とみなされ得る。この場合、第1及び第2のレンズ部分102、104を導波路106に機械的に固定するために、レンズ部分の周囲に少量の接着剤が必要となる。接着剤材料のこの小さい部分は、水分などの汚染物質の侵入からエアギャップを環境的に密封することにも役立つ。接着剤の代替として、エアギャップは密封されてもよく、導波路106のそれぞれの部分は、第1及び第2のレンズ部分102、104のそれぞれの部分に固定され、ヒートシールされてもよい。エアギャップ反射防止コーティングの場合、背面反射及びゴースト画像を防ぐために、レンズ部分及び/又は導波路の球面に適用されてもよい。エアギャップの場合、第1及び第2のレンズ部分102、104は、理想的には、比較的可撓性であるポリカーボネートではなく、例えばガラスなどの比較的硬い材料で形成されるべきである。これは、レンズ内の任意の屈曲がそれらを導波路に接触させ、導波路106からの光漏れをもたらす可能性を低減する。
【0038】
代替的に、第1及び第2のレンズ部分102、104は、低屈折率材料から形成されてもよく、導波路106は、高屈折率材料で形成されてもよく、このようにして、第1及び第2のレンズ部分102、104は、屈折率差を達成するために必要な導波路のクラッド材料として見られてもよい。この場合、眼鏡レンズは、通常、重量を軽減するために高屈折率材料を必要とする。プラスチックレンズは、典型的には、1.3~1.8の屈折率を有する。典型的には、ポリカーボネートレンズは1.5~1.6であり、一方、Trivex(RTM)材料は1.53又はCR39(RTM)は1.49である。高屈折率プラスチックは、屈折率1.8で利用可能である。したがって、上の考察に続いて、当業者は、1.3~1.8の屈折率範囲をとるには、1.8~2.3の屈折率を有する導波路材料が必要であることを理解するであろう。Schott AG 2.0屈折率導波路材料をTrivex(RTM)又はCR39材料と併用することは、必要な0.5の最小屈折率差を提供するであろう。更なる代替として、導波路106は、透明クラッド材料を含んでもよく、それによって、全内部屈折に必要な屈折率差を提供する。接着剤の更に別の代替として、第1及び第2のレンズ部分102、104、及び導波路は、上で考察された選択肢のうちの1つを使用して屈折率差を維持することができることを条件に、導波路に直接ヒートシールされてもよい。
【0039】
導波路R1及びR2の曲率半径に関する上の考察を参照すると、実際には、接着剤材料を使用して第1及び第2のレンズ部分102、104を導波路に取り付けるとき、又はエアギャップが利用されるとき、当業者は、導波路R1及びR2の曲率半径が、接着剤又はエアギャップの厚さのために、第1及び第2のレンズ部分102、104の円筒形表面の曲率半径に正確に整合しないことを理解するであろう。しかしながら、接着剤又はエアギャップの厚さは無視できる。
【0040】
図3は、光学特性を例示する円筒形導波路106の概略図であり、
図2と同様に、明瞭化のためにレンズ部分は省略されている。導波路106に加えて、入力結合器132も例示される。コリメートされた光線は、入力結合器132によって(入力結合された)角度βで導波路106内に結合され得る。入力結合器132に入射する光線は、入力結合器132の表面上の全ての点において表面に対して法線であり、角度βは、導波路106内の法線と内部光線との間の角度が導波路106の臨界角度未満であるような角度である。例えば、角度βは、典型的には48度未満である。より好ましくは、角度βは、少なくとも30度及び最大40度である。中央光線以外の光線は、わずかに異なる角度、例えばβ+1で導波路106に結合されるが、この角度は、入力結合器132の表面に沿った全ての点で一貫している。入力結合器132は、回折格子であっても、ホログラフィック格子であってもよい。
【0041】
当業者は、光線が、導波路106の同心円形表面の曲率半径Xの中心に位置する画像源Sから生じ得ることを理解するであろう。画像源Sの中央ピクセルからの光線は、コリメートレンズ135によって1つの平面内でコリメートされ得る。この光線のコリメートは、上述のように、コリメートされた光線を導波路に結合するための波面整形の一形態である。
【0042】
導波路106の反対側にある表面108、110が
図2及び
図3に例示されるように同心円状である場合、外面108上の光線の入射角は、内面の反対側にある表面110上の反射後も同じであり、したがって、光線は、その方向角を、導波路106を通って伝播するときに保持することになり、これは、同心円形表面を有しない湾曲した導波路の配置の場合は当てはまらない。
図3に例示されるように、世界に面する表面108との入射角がαである場合、眼に面する表面110との入射角はβとなり、それに続く世界に面する表面108からの反射角はαとなる。言い換えると、導波路内の入射角は、導波路106のそれぞれの表面からの全ての交互の反射で同じである。入力結合器132の左、中央、又は右に入射するピクセルからの光線は、世界に面する表面108からの反射の後、導波路全体にわたって同じ角度で内面に接近する。中央ピクセル以外のピクセルは、α及びβの値が異なるが、上記の入射と反射との関係は依然として有効である。
【0043】
画像表面上の同じ点から発する全ての光線を、同じ角度で円筒形導波路106に入射させることによって、高性能でコンパクトな光学システムを実装することができることが認識されている。一例として、100,000nit(cd/m2)の輝度を有するディスプレイをとると、(ユーザの視点から)出力における出力輝度は10,000nitの領域にあり、これは10%のシステム効率に相当し、ここでの損失は、主に入力結合回折格子132、134の損失に起因し得る。
【0044】
本開示では、中央光線角度が考察されているが、例えば、マイクロディスプレイ又はレーザービーム走査プロジェクタなどの画像源Sによって生成された他の光線角度が存在し得、これらは、導波路で使用するために拡大及びコリメートすることができ、使用中にユーザによって視認される画像の視野を生成する。これらの他の光線角度は、中央光線と同じ様式で導波路106を通って伝播するが、ただし、視野の縁部、又は画像の縁部では、画像品質のいくらかの損失又は光線の収差が存在するが、人間の視力の限界である1アーク分未満に保つことができれば、そのような収差は、ユーザにはほとんど気付かれないであろう。いずれにしても、収差は、場の縁部での収差を低減するために、複数の素子、大型、高品質、非球面、長焦点距離コリメート光学系などの光学手段によって補償することができる。有利には、収差は、導波路106内の内部反射の数とともに蓄積されない。例えば、所与のピクセルからの光線が60±0.1度の角度で導波路106に入力結合される場合、次いで、任意の数の反射及び瞳複製の後、光線がどのように交換又はシャッフルされるかにかかわらず、導波路106及び入力結合光学系の角解像度は、依然として±0.1度の分解能をサポートする。これは、導波路がその透過の長さに沿って収差を蓄積するのとは対照的である。
【0045】
図4は、出力結合器134が含まれることを除いて、
図2及び
図3に例示されるような導波路の概略トップダウン図を例示する。出力結合器134は、導波路106の表面に適用される回折格子又はホログラフィック格子であり得、出力結合器134は、好ましくは、入力結合器132と一致する。すなわち、入力結合器及び出力結合器のための導波路の中央誘導角度(言い換えると、中央ピクセル、中央光線のためのTIR角度)は、同じであり、同じ波長である。参照のためだけに、
図4では、ページの平面(及びそれに平行な任意の平面)は、水平平面であるとみなされる。同様に、ページの外側の垂直平面(及びそれに平行な任意の平面)は、垂直平面であるとみなされる。このようにして、円筒形導波路は、平坦な表上の円筒形バイザーなどとみなすことができる。前に考察されたように、画像源Sは、導波路106の同心円形表面の曲率半径の中心に位置してもよく、コリメートレンズ135によって1つの平面(この例では、垂直平面)内にコリメートされてもよい。入力結合器132から導波路106に入る光線は、上述のように、回転対称性を有する導波路に沿って伝播する。言い換えると、
図4に例示されるような導波路は、円筒軸を中心に回転することができ、所与のピクセルからの光線は、導波路の円筒形表面に対して同じ角度を維持する。この回転対称性は、導波路を、導波路106上の出力結合器134の配置の位置に対して不変とさせ、したがって、導波路106上の出力結合器134の正確なアライメントの必要性を排除する。したがって、コリメートレンズ135によって1つの平面内でコリメートされた光は、入力結合器132において導波路106に入り、導波路106を通って伝播し、次いで、出力結合器134において導波路106を出て、ユーザの眼に光を提供する。
【0046】
導波路106は、光源Sからの球面波面がそれ自体で導波路106の曲率に水平平面において適合することを可能にし、パワーが円筒形レンズ135によって垂直平面に追加される。これは、導波路106内の光線の2回の反射の後、光線がそれ自体にマッピングされ、これが無期限に繰り返されることを意味する。したがって、瞳を複製及び拡大して、一次元(この場合は水平)でアイボックスを拡大することができる。コリメートレンズ135は、下で考察されるように、拡張現実眼鏡レンズシステム内に組み込まれてもよく、又はディスプレイプロジェクタシステム内などの外部に提供されてもよい。垂直アイボックスのサイズは、円筒形レンズ135の垂直サイズによって設定される。また、アライメント公差も緩和される(入力瞳に対する出力結合器の位置は、導波路の厚さ及び中央光線誘導角度の選択が重要ではないため)。垂直複製が必要な場合は、アイボックスを垂直に拡大するためのいわゆる「回転格子」が使用されてもよい。
【0047】
図5を参照すると、実施形態による眼鏡レンズ100の湾曲した導波路106の斜視図が例示される。ここでも、第1及び第2のレンズ部分は、明確化のために省略されている。この場合、マイクロディスプレイであり得る画像源Sからの光線は、コリメートレンズ135によって1つの平面内でコリメートされ、入力結合器132によって導波路106内に結合される。光線は、導波路106を通って伝播し、出力結合器134によってユーザの眼に結合される。画像源Sは、入力結合器132が適用される導波路の曲率半径(この例ではR
1)と同じである導波路106からの距離にあり、この距離は、画像源Sをこの距離に物理的に配置するか、又は例えばレンズを使用して光学手段によって画像源をこの距離に仮想的に配置することによって達成される。画像は、例えば、円筒形の平面凸状レンズであり得るコリメートレンズ135によって、導波路106の凹状の内面に位置付けられた入力結合器132上に1つの平面内でコリメートされる。コリメートレンズ135は、コリメートレンズの集束力が導波路106と比較して反対側にある平面内にあるように配向されている。導波路106が(例示されるように)水平に配向される場合、導波路106は、垂直平面内にパワーを有し、曲率の半径における点源からの光を垂直線に反射する。次いで、コリメートレンズ135は、反対側にある垂直平面内に配向され、曲率半径の点源からの光を水平線に集束させるための垂直平面内のパワーを有する。したがって、画像情報を保持する光線は、導波路106に入る前に1つの平面(水平)でのみコリメートされ、導波路106の曲率は、垂直(垂直)平面の光に一致する。これは、導波路106に沿って伝播するために導波路に入る光の瞳全体を可能にし、したがって、ユーザの眼への出力において出力結合器134からの瞳拡大を可能にする。
【0048】
コリメートレンズ135の焦点距離は、物体の倍率を決定し、レンズ135は、源Sからの1つの焦点距離の距離に設定される。円筒形レンズ135が円筒形導波路106の隣に配置された場合、それは、導波路の曲率の半径にほぼ等しい焦点距離を有する。例えば、バイザー形状の導波路の典型的な曲率半径が200mmであることは、物体が200mm離れており、円筒形レンズの焦点距離が200mmであることを意味する。導波路から物体までの200mmの距離は、ミラーを用いて光路を折り返すか、レンズを使用して仮想的に物体距離を光学的に設定することによって、コンパクトにするために短縮することができる。
【0049】
コリメートレンズ135(直径及び/又は焦点距離)の選択は、垂直アイボックスのサイズ(レンズの直径によって決定される)を決定し、焦点距離は、光源Sの拡大率を決定し、したがって、画像の視野(FOV)(ディスプレイのサイズとともに)を決定する。典型的には、マルチエレメントレンズは、(カメラで使用されるような)レンズ135をコリメートするために使用され、これは、FOV全体にわたって良好な画像品質(場全体にわたる小さいスポットサイズRMS)を提供する。これは、瞳複製システムが瞳を正確に重ね、高分解能の画像を提供することが特に望ましい。レンズシステムは、フルカラーマイクロディスプレイにとって理想的には無彩色であるが、モノクロソリューションも可能である。湾曲した導波路106のFOVは、主に同様の要因によって決定され得るが、ユーザの周りの曲線の性質のために、FOVは、平面導波路と比較して拡大される。
【0050】
入力結合器132は、線形格子であり、格子線間の等しい表面間隔(ピッチ)を有する(又は同等に、体積型ホログラフィック格子内の等しいフリンジ間隔)回折格子であり得る。格子は、リソグラフィ又は干渉法で作製することができる。通常、格子表面の幅にわたって入射(表面に対して90度)される1つの平面内でコリメートされた全ての光線は、次いで、導波路内で同じ角度で回折され、これは、瞳複製を可能にする。
【0051】
湾曲した導波路上の格子は、典型的には、導波路の曲線のために、コリメートされた光が格子幅にわたって通常入射しないことを意味する。これに対する典型的な解決策は、これを補償するために格子のピッチを変化させること、又は湾曲面に直接ホログラムを記録すること、又は複雑で高価な湾曲面にリソグラフィックエッチングすることを伴う。本開示による好ましい実施形態では、入力結合器格子132は、平坦な基板上に平面線形格子として製作される(当業者によく知られており、可変格子と比較して相対的に安価で製造が容易である)。入力結合器格子132は、任意の可撓性ホログラフィック材料、例えば、フォトポリマー(例えば、Covestro AGによって市販されているBayfol(RTM)又はハロゲン化銀フィルム)上で作製することができ、次いで、円筒形表面に適合するように、導波路の円筒形表面上に取り付けられる(積層される)。入力結合器格子132は、好ましくは、積層(又は別のインデックスマッチング接着剤又は液体)によってインデックスマッチングされ、その結果、それは円筒形表面の形状に適合し、好ましくは、エアギャップがないようになる。平坦な基板上にホログラムを記録し、次いで、平面又は円筒形基板(一次元でのみ湾曲している)上で可撓性ホログラフィック材料を除去して積層することは、容易で安価であり、一方、湾曲面上に記録すること、又は球面(二次元で湾曲している)上で積層することはより困難である。傾斜した格子をエッチングし、エンボス加工又はUV硬化樹脂技法を使用することも可能であり得る。次いで、格子は、円筒形導波路に移されてもよい。
【0052】
入力結合器格子132のピッチは、源Sの中央波長を回折するように設計されている。入力結合器格子132は、ある角度で法線入射光を回折するように名目上設計されているので、入力結合器格子132は、傾斜角を有し、ピッチは、通常、格子の平面表面に沿って測定されるように、格子間の分離として指定される。これは、入力結合器格子132について、一定、すなわち線形格子を維持する。
【0053】
既知の平面導波路の場合、両方の結合器は典型的には線形であり、同一である。次いで、システムは、潜望鏡のように動作し、実世界にオーバーレイされたマイクロディスプレイの拡大画像が、視聴者に提示される。システム全体の設計は、ディスプレイの位置ピクセル情報が、コリメートを介して角度情報に変換され、次いで、ヒト網膜における位置情報に戻されることを意味する。入力結合器132と同様に、出力結合器134はまた、導波路に沿った可変周期を有し、光源Sが広帯域源である場合、全ての場所で色収差をキャンセルしない回折格子であり得る。しかしながら、中央の格子の周期は、そのような収差を最小限に抑えるために、入力格子周期と同一であるように選択することができる。
【0054】
代替的に、レーザー光源、超発光発光ダイオード(SLED)、又はノッチフィルタリングされた狭帯域LEDなどの狭帯域源を使用することができる。狭帯域源は、色収差を最小限に抑えるのに役立ち得る。それらはまた、出力画像のFOVを制限し得るが、これを軽減するために薄いホログラフィックボリューム格子を使用することができる。例えば、ホログラフィックボリューム格子の典型的な厚さは、少なくとも3ミクロン及び最大6ミクロンであり得る。ホログラフィックボリューム格子の厚さは、必要な回折効率(DE)及びFOVに応じて選択することができる。厚さを増やすことは、より高いDEを提供するが、より低いFOVを提供する。これは、約20nmの全幅半値(FWHM)の典型的なスペクトル帯域幅及び約6度のFWHMの空気中の角帯域幅を提供し得る。
【0055】
出力結合器格子は、両方の平面により多くの焦点を加えることによって、デジタル画像を視聴者から任意の距離に配置するように選択することができる。垂直平面では、導波路に入力結合された光はコリメートされるが、出力結合格子からの光出力はコリメートされる必要はない。複数の瞳抽出を可能にするために、光の一部のみが、出力結合器格子134の第1の部分において抽出され得る。出力結合器格子134にわたって抽出される光の均一性のバランスをとるために、出力結合器格子134の遠端部(入力結合格子132を基準として)は、近端部(受け取り端部)よりも高い効率を有することが望ましい。出力格子の回折効率(DE)は、有利には、出力格子134の受け取り端部において十分な瞳の複製(例えば、5~25%)を可能にするのに十分低く選択されるが、遠端部において満足できる明るさ(例えば、10~100%)のために十分高く選択される。
【0056】
図6を参照すると、円筒形導波路106の概略トップダウン図、及び回折格子であり得る出力結合器134を含む出力結合光学系の単純化が示されている。
図4と同様に、この図面のページの平面(及び任意の平行平面)は水平とみなされ、ページから出てくる垂直平面(及び任意の平行平面)は垂直とみなされる。したがって、円筒形導波路106は、例えば、平坦な表面上の円筒形状のバイザーのように視覚化することができる。この単純化では、以下で更に考察するように、円筒形負レンズ155も示される。線152によって示されるように、出力結合回折格子134から出力された光線151は、垂直平面でコリメートされ、水平平面に集束される。円筒形負レンズ155から出力された光線156は、x水平平面とy垂直平面の両方でコリメートされ、無限の焦点を有する。これは、円筒形負レンズ155が実際には出力結合回折格子134内に光学的に統合されているため、単純化されたものである。したがって、パワーは、出力において両方の平面内のコリメートを補償し、達成するために、出力結合回折格子内に含まれる。それによって、出力結合回折格子134は、入力結合光学系によってもたらされた円筒形曲率を補償するための円筒形レンズとして機能し、このようにして、以下で説明されるように、無限大で画像を本質的にコリメートする。
【0057】
入力結合光学系における非対称コリメートのために、出力結合光学系は、水平(近い)及び垂直(遠い又は無限大)出力画像平面の異なる焦点位置を補償して、両方の平面内の無限大に焦点合わせされた画像を提供し、それによって、高品質の画像を視聴者に提供する。補償は、光パワーを出力格子に符号化することによって達成される。
図6に示されるように、それは、平面出力格子とユーザとの間に導波路の曲率半径に等しい負のパワーを有する発散円筒形レンズ155を配置することに相当する(平面凹面円筒形レンズについて、導波路の曲率半径が200mmである場合、レンズの焦点距離は200mmである)。レンズ155は、入力コリメートレンズ135に対して垂直に配向されている。コリメートレンズ135が垂直平面に焦点合わせされる(又はパワーを有する)場合、出力補償レンズ/格子は水平平面に焦点合わせされる(又はパワーを有する)ことになり、球面的にコリメートされた出力を生成する。上で考察されたように、出力結合格子134の中心は、色分散補償を可能にするために、入力格子と同じ表面ピッチ(横方向ピッチ又は平面内ピッチとしても知られる)を有する。
【0058】
画像は無限大でユーザに表される。これは、典型的には、戦闘機パイロット又はバイクライダーなど、バイザーを使用するときに典型的であるように、ユーザが現実世界の遠い物体に焦点合わせしているときに仮想画像が、焦点が合って表示されることを意味するため、典型的には望ましい使用例である。瞳拡大を伴う平面導波路を使用するコンシューマーデバイスも、無限遠の画像を有する。代替的に、考察されているように画像を無限大に設定するのではなく、出力結合器内で負のパワーを加えることによって、仮想画像をユーザに近付けることが可能である。例えば、ホログラフィック出力結合器の負のパワーの1ジオプトルは、画像を無限遠ではなく1メートルに設定し、これは、ユーザが仮想画像を、例えば腕の長さと同じ焦点平面にオーバーレイすることを望む場合に有用であり得る。
【0059】
出力格子134は、変化する回折格子効率、又は相対的に低い出力効率(例えば、10%)を有することができる。これは、ホログラフィック出力結合器の記録中に達成することができる。入力格子132が最大回折効率(その上に入射する光の大部分が導波路内に入力結合されていることを意味する)を有することが望ましいが、出力格子134は、瞳拡大を可能にする低効率又は可変効率を有することができる。光の小さい部分は、出力格子134との第1の相互作用で出力結合され、一方、大きい部分は、導波路を下って跳ね返り、その光の一部は、第2の相互作用で出力される、などである。これは、水平平面内で拡大されたアイボックスを可能にする。
【0060】
ホログラフィック導波路格子(線形出力結合器又は度付き出力結合器のいずれか)は、当技術分野で知られているように、導波路ビームがプリズムを介して材料に結合された状態で、ホログラフィック材料を2つのコヒーレント光ビームに曝露することによって製作することができる。3つの異なる波長(例えば、赤、緑、及び青、RGB)のレーザーを使用して、3つの格子を単一のホログラフィック層に多重化し、RGBマイクロディスプレイから視聴者が実質的に白い画像を見ることを可能にすることができる。代替的に、各色に対して1つ、3つの別々の層を積み重ねることができる。
【0061】
ユーザに提供されるFOVは、全体にわたって均一に明るく、色彩的に均一な画像を見ることができ、複数の格子を単一のホログラフィック層に多重化することによって増加させることができる。これは、記録角度を変化させることによって達成され得る。代替的に、複数の角度多重化された層を積み重ねることができる。
【0062】
入力及び出力格子は、反射ホログラム、透過ホログラム、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。所望の効果は、格子ピッチの横方向成分にのみ基づいているため、これは、上記の理論から理解されるであろう。横断(断面)ピッチ又は周期は、反射又は透過格子外形に合うように便利に選択することができる。上記の線形格子は、横方向における線形を意味するが、可変の横方向特性を有し得ることも理解することができる。
【0063】
出力光のコリメートされた性質は、大きいアイレリーフ(すなわち、眼が出力表面の後ろにあり、画像を最適に見ることができる距離)を達成できることを意味する。これは、特に眼鏡ではなくヘルメットバイザーを用いる用途では望ましいことが多い。アイレリーフが大きいほど、通常はFOVが小さくなる。
【0064】
現実世界のビューは、導波路の曲線によってほとんど変化しないであろう。曲率半径は、眼鏡では250mm、バイザーでは150~200mmが正常である。100mmを超えるいずれの曲率(ここでの場合のように)も、実世界を歪める効果としてユーザによって気付かれない。追加のオーバーレイレンズ(又は複数のオーバーレイレンズ)によって補償されない限り、非常に小さい非点収差の影響のみが存在する。
【0065】
本開示の一般化された意味に戻ると、出力結合光学系は、出力結合回折格子を含むとみなされ得る。特に、出力結合回折格子は、円筒形レンズとして機能する(例えば、一次元のみに焦点合わせする)ように構成され得る。追加的又は代替的に、出力結合線形回折格子は、湾曲格子を有し得る。好ましい実施形態では、出力結合線形回折格子は、平面内の受け取られた光をコリメートするように、又は所定の距離でタンジェンシャル平面及び矢状平面内の受け取った光を集束させるように、かつ/又は25%以下(任意選択的に、20%、15%、又は10%)の入力光学系から受け取った出力結合回折格子の最も近い光の端部において出力効率又は回折効率を集束させるように配置された内部格子角を有してもよい。
【0066】
出力結合光学系は、入力波面整形デバイスの単一の平面に直交する単一の平面内の受け取られた光をコリメートするように構成された出力波面整形デバイスを含み得る。追加的又は代替的に、出力結合光学系は、円筒形負レンズを含み得る。好ましくは、そのような態様は、出力結合回折格子に統合される。
【0067】
出力結合線形回折格子は、入力結合線形回折格子と同じ表面ピッチを有し得る。いくつかの実施形態では、出力結合線形回折は、入力結合線形回折格子の内部格子角度と比較して反対方向に配向された内部格子角度を有し得る。これは、画像源からの光と視聴者への光(又は入力結合光学系と出力結合光学系)が互いに同じ側にある場合に特に使用される。これは、「U」格子と称され得る。代替的に、入力結合格子及び出力結合格子の角度は、反対方向に配向されておらず、少なくともいくつかの光は、入力結合された光の反対側で出力結合される(言い換えると、視聴者は、入力結合された光と比較して反対側にある)。これは、「Z」格子と称され得る。
【0068】
代替的な観点から、本開示によるアプローチを対称性の観点から説明することも可能である。これらのアプローチは、円筒形導波路及び円筒形対称波面を使用し、両方とも共通軸を中心に回転対称である。
【0069】
ディスプレイ又は他の画像生成手段上のピクセルを考慮する。このピクセルから光波面を円筒形に成形することが可能である。平坦な基板上に記録され、円筒形導波路上に積層された線形回折格子は、表面に沿って一定の周期を有する。次いで、全ての光線が同じ角度で偏向され、光場が回転軸の周りで対称になる。上で説明されたように、円筒形表面の間に発射された光線は、何回跳ね返っても2つの表面への2つの入射角度を保持する。これは、2回の反射ごとに、波はそれ自体と正確に一致することを意味する。これにより、二重画像は生成されない。このような光場は、いかなる光線も他の光線と異なるようになることなく、任意の距離を伝播することができる。
【0070】
また、出力格子における瞳複製が達成される。光の部分的な出力結合は、出力結合光学系との最初の相互作用で発生し、残りの光は伝播し、次の相互作用で結合出力する。この場合、ゴースト画像を引き起こすことなく、異なる相互作用が完全に一致する。全ての光線が出力結合格子に到達すると、格子は、それらが全て同様に到達するため、格子の位置又はいずれの1つの光線の位置にも関係なく、それらを導波路から回折することができる。
【0071】
入力結合格子と同じ周期の線形出力結合格子を使用すると、光線が再び新しい円筒形波面に回折される。回折光学素子が加法的にいくつかの機能を組み合わせることができることはよく知られている。出力結合格子は、円筒形レンズのように、一次元に焦点合わせするパワーも有する。これにより、回折光がコリメート光に変換される。そのような光を受け取る観察者は、無限遠に星状の点を体験する。
【0072】
上の説明は、他のピクセルに対して繰り返すことができる。上述のように、これらの他のピクセルからの波面は、正確に円筒形である必要はない。これは、非中央ピクセルからの光線が、「完璧な」直角(垂直)角度とはわずかに異なる角度で入力結合光学系に入射するために発生する。しかしながら、それぞれの交点における表面法線に対して実質的に同じ角度で全ての入力結合器に当たることによって、得られる光線は、円筒形軸の周りで回転対称の光線の場を形成し、区別できない様式で伝播する。近代的な光学設計を使用すると、そのような光場を形成するプロジェクタを小さな誤差、理想的には1アーク分(人間の視力)で設計することが可能である。
【0073】
第2のレンズ部分104の眼に面する表面が凹面であり、導波路106と第2のレンズ部分106との間にエアギャップ又は透明接着剤が存在する場合、第2のレンズ部分は、出力結合器から出てくる光に収束力を加えるので、これを補償するために更に負の(発散)パワーを加える必要がある。すなわち、出力結合器は、より多くの負のパワーを有する必要がある(それは、上で考察されたように、すでにいくつかの負のパワーを有する可能性がある)。内面曲率半径に等しい負のパワーの量が追加された場合、仮想画像は無限大に留まる。第2のレンズ部分104について、世界に面する表面は、円筒形であり得る。同様に、第2のレンズ部分104の眼に面する表面が球面である場合、球面負パワーが、円筒形パワーと同様に、出力結合格子に加えられてもよい。入力結合器は、透過又は反射外形であり得るが、反射タイプが、通常、実用的な理由で使用されることに留意されたい。図では、入力結合器は、実際には反射ホログラムである透過ホログラムとして機能するように見えるが、これは、光がホログラムを通過し、外側ホログラム表面から跳ね返り、次いで(出力結合器のための)反射外形において回折されることである。
【0074】
円筒形導波路の配向は変化させることができる。上述の実施形態は、垂直に配向された円筒形導波路の円筒軸(したがって、円筒形導波路は水平方向に延在する)に関連し、なぜなら、バイザーを整列させる通常の方法であるためである。他の配向を考慮することができる。追加的又は代替的に、光は、例えば、導波路の異なる側の異なる表面を通って円筒形導波路に出入りしてもよい。これを達成するために、入力結合格子及び出力結合格子をそれに応じて位置付けることができる。いくつかの実施形態では、複数の入力結合格子及び/又は出力結合格子が提供され得る。
【0075】
入力結合格子及び出力結合格子は、各々、反射格子又は透過格子であり得、導波路の内面又は外面(又は導波路の別の表面)に配置することができる。当業者は、本明細書に示される実施形態に対するそのような変形を理解するであろう。
【0076】
更に、人間の眼は水平アスペクト比(例えば、テレビのアスペクト比がこれに最適化されている)を見ることを好むようであり、眼鏡のレンズはほとんど水平アスペクト比であり、出力結合器のアスペクト比はレンズのアスペクト比と一致することが知られている。また、IPDが垂直方向よりも水平方向に大きく変化するという事実は、垂直方向のアイボックスよりもむしろ大きな水平方向のアイボックスがユーザにとって有利である。
【0077】
入力瞳は、1回の跳ね返りの幅の2倍であるため、縁部光線は入力結合器格子と重ならない。最適な瞳幅は、導波路の厚さ及び誘導角によって設定され、導波路の厚さの約2倍である。したがって、非常に薄い導波路は非常に小さい瞳(0.5mm厚い=1mmの瞳)を意味するため、大きいアイボックスを得るには、出力結合器格子で多くの瞳を重ねる必要がある。
【0078】
線形入力格子は、任意の配向の角度を有し得る。光は、円筒円周方向(上述の実施形態では水平である、円筒軸に垂直)に向け直す必要はない。円筒軸(垂直)に沿って向けることができる。代替的に、それは、45度又は任意の他の対角線方向に向けることができる。これにより、投影モジュールを眼鏡(glasses)(眼鏡(eyeglasses))のテンプルに便利に配置するなど、設計の自由度が増加する。これは、2D瞳拡大のための中間格子の実現にとっても重要である。中間線形格子は、向け直された光線の各々のそれぞれの角度を同じピクセルからの光線に対して同じに保ちながら、光を向け直し、かつ/又は分離し得る。
【0079】
システムは、レーザー光又はLED光のいずれかを使用することを可能にし、これは、柔軟性を可能にする。典型的には、LED光、例えば、LCOS(シリコン上の液晶)プラスLED又はマイクロLEDマイクロディスプレイが使用されるが、高効率、したがって高輝度が望まれる場合、レーザー光も使用することができる。レーザービームミラー走査システム(MEMS)、微小光電機械システムも使用することができる。レーザー光は、コスト、斑点(解像度の喪失)、及び眼の安全性の懸念の点でいくつかの欠点がある。
【0080】
屈折素子(例えば、プリズム)が、回折入力結合器又は出力結合器とともに入力結合器又は出力結合器として使用される場合、非補償色分散は、狭帯域源(例えば、レーザー)のみを使用できるようにしてもよい。追加的に、屈折結合器は、かさばり、高価になる傾向がある。
【0081】
導波路出力に球面光パワーを追加することにより、異なる焦点距離に仮想画像を設定することが可能である。また、導波路の前後に追加のレンズ対(現実世界における第1のレンズの効果を補償するための第2のレンズ)を用いて、焦点距離を近付けることも可能である。更なる可能性は、画像に異なる焦点平面を提供するためにオン又はオフに切り替えることができる、電気的にアドレス指定可能な切り替え可能な(液晶ベースの)ホログラフィック出力格子を追加することである。追加的又は代替的に、角度多重化された格子で達成することができるように、入力格子は、より大きいFOVを提供するために同じ方式で切り替えることができる。切り替えは、時間多重化マイクロディスプレイと同期させることができる。
【0082】
任意選択的に、複数の焦点平面は、複数の(積み重ねられた)円筒形導波路を使用することによって実現されてもよい。光は上で考察されたように伝播するが、異なる焦点を生成する格子で出る。更に、通常の球面レンズのように、円筒形導波路の出力に軸対称パワーを加えると、有限距離、例えば、1mにある点を経験する。
【0083】
円筒形導波路は、より大きい(一体的な)導波路構造の一部を形成することができ、その一部のみが円筒形であり得る。入力結合光学系が必要とされない実施形態を考慮することができる。例えば、光は、(例えば、埋め込まれた画像源に起因して)円筒形ではない導波路の一部分で導波路を通って導波路に入るか、又は導波路に由来してもよく、この部分で波面整形が実施されてもよい。したがって、導波路のこの部分は、入力光学系の一部を形成し得る。
【0084】
垂直アイボックスは、垂直に変位された複数の入力プロジェクタによって拡大することもできる。平面導波路の垂直アイボックスを拡大するために使用される典型的なアプローチは、瞳を垂直に伝播して2D出口瞳拡大を与える「ターン」格子を使用する。Vuzix Corporation又はDigiLens Inc.の製品に実装されているような入出力格子を含む、アイボックスを垂直に拡大するための様々な方法が存在する。代替案は、「バタフライ」ターン格子を使用することであり、これは、アイボックスを拡大し、また、(マイクロソフト社が販売するHoloLens(RTM)によって使用されるように)入力においてFOVを2つに分割し、出力で再結合することによってFOVを拡大する。更なる選択肢は、相互多重化された格子を使用することであり、これは、光の一部を導波し、拡大されたアイボックスを横切って光の一部を出力結合する(WaveOptics、Ltdの製品で使用される)。
【0085】
これらの既存の技法は全て、線形格子及び平坦な導波路によってルーティングされたコリメート光の使用から利益を得る。円筒形導波路を使用する本開示によれば、光を分割し、中間線形格子によって瞳を複製するこれらの技法は、光を円筒形導波路に入力結合した後に実装され得る。次いで、光は、最終的に、負の円筒形集束機能を有する格子とともに出力結合され得る。
【0086】
本開示による実施形態の回転対称構造は、入力格子及び出力格子を同心円筒形導波路上の任意の場所に配置することを可能にする。例えば、上で考察された典型的な平面水平構成と同様に、配向は、垂直又は導波路を横切る角度(例えば、バイザー実装において)であり得る。これにより、最終設計におけるプロジェクタの配置及びアイボックスの配置の柔軟性が可能になる。また、前の段落で考察された瞳複製及び垂直アイボックス拡大方法も可能にする。
【0087】
実施形態では、波面整形デバイスは、凹面(円筒形)ミラーを含み得る。任意選択的に、画像源及び/又は画像源取り付けは、円筒形導波路の内面よりも円筒形導波路の外面により近くに位置し得る。次いで、ミラー(好ましくは波面整形デバイスである)は、画像源から光を受け取り、受け取った光を円筒形導波路に向かって反射するように配置され得る。いくつかの実施形態では、ミラー及び画像源及び/又は画像源装着部は、画像源からの光がミラーに到達する前に円筒形導波路を通過するように構成される。特定の実施形態では、円筒形導波路に近接する入力光学系(例えば、入力結合格子)及び円筒形導波路に近接する出力結合光学系(例えば、出力結合格子)のそれぞれの部分は、円筒形導波路の両側上にある。
【0088】
特定の実施形態では、入力光学系は、1つ以上の球面レンズを更に含む。追加的又は代替的に、出力結合光学系は、1つ以上の球面レンズを更に含む。球面レンズは、光の光学経路の長さを変更するために、及び/又は光の焦点を変更するために使用され得る。
【0089】
実施形態では、入力光学系は、円筒形導波路と一体である導波路部分を更に含み得る。有益なことに、入力光学系の少なくとも一部を形成する導波路部分は、非円筒形であり、及び/又は同心円形表面を有しない。いくつかの実施形態では、導波路の形状の一部のみが円筒形であり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、1つ以上の中間光格子が円筒形導波路内に提供され得る。1つ以上の中間光格子のうちの1つ、いくつか、又は全ては、線形であり得る。中間光学格子又は格子は、出力結合光学系の前に光を向け直し、回折し、かつ/又は分割するように配置され得る。しかしながら、同じピクセルからの光線の相対角度は、有利には、同じままである。中間光学線形格子は、伝播光の角度特性(TIR条件、及び同じピクセルからの全ての光線が、円筒軸に対して垂直な表面に対して同じ角度で、円筒軸に対して垂直な平面に対して同じ角度で、円筒形導波路表面上に入射すること)を有利に保持し、それによって、収差のない二次元瞳拡大を可能にする。
【0091】
出力結合光学系は、受け取られた光を屈折させるように配置された内部格子角度、出力結合回折格子の長さに沿った可変回折効率、及び切り替え可能な回折格子構成(例えば、出力光の変調を可能にする)のうちの1つ以上を有する出力結合回折格子を含み得る。任意選択的に、入力結合回折格子は、切り替え可能な回折格子構成を有し得る。
【0092】
上で考察された眼鏡レンズの代替の配置が
図7a~
図7cに例示されており、違いは、導波路106が入力結合タブ161として第1及び第2のレンズ部分102及び104のエリアの外側に延在することである。入力結合器132は、入力結合タブ161上に形成又は固定され得、典型的には、入力結合タブは、入力光源を含むAR眼鏡フレームの側に形成される。追加的に、コリメートレンズ135などの入力結合光学系は、入力結合タブ161上に配置され得る。
【0093】
複数の円筒形導波路を提供することができる。例えば、同心円状の内面及び外面を有する第2の円筒形導波路が提供され得る。第1及び第2の(又は複数の)円筒形導波路は、積み重ねられ得る。複数の円筒形導波路のいくつか又は全ては、共通の円筒軸を有し得る。全てのそのような場合において、入力光学系は、各円筒形導波路について、画像源の同じピクセルから発する全ての光線が、各入射点において、それぞれの円筒軸に対して垂直な表面に対して同じ角度で、かつそれぞれの円筒軸に対して垂直な平面に対して同じ角度で、それぞれの円筒形導波路の表面上に入射するように、受け取られた光のいくつかを複数の円筒形導波路の各々に入らせるように配置され得、それによって入力結合された光は、それぞれの円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角度を保持する。有益なことに、出力結合光学系は、円筒形導波路の各々に沿って伝播された光を異なる焦点において集束させるように配置され得る。例えば、出力結合光学系は、第1の焦点において第1の円筒形導波路に沿って伝播する光を集束し、第2の円筒形導波路に沿って伝播する光を第2の異なる焦点において集束するように配置され得る。実施形態は、有利には互いに垂直に変位している複数の画像源を考慮し得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズであって、前記眼鏡レンズが、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分と、それらの間の円筒形導波路と、を備え、
前記円筒形導波路が、前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有し、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、眼鏡レンズ。
【請求項2】
前記中央コアが、前記透明媒体よりも高い屈折率を有する、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項3】
前記透明媒体が、接着剤材料である、請求項
1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項4】
前記透明媒体が、エアギャップである、請求項
1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項5】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、請求項1~4のいずれか一項以上に記載の眼鏡レンズ。
【請求項6】
前記眼鏡レンズが、長軸及び短軸を有し、前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記長軸に沿った湾曲した外形を有する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項7】
前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記短軸に沿った線形外形を有する、請求項6に記載の眼鏡レンズ。
【請求項8】
前記第1のレンズ部分及び前記第2のレンズ部分が、球状外側外形を有する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項9】
入力光学系を更に備え、前記入力光学系が、光を前記円筒形導波路に結合するように構成及び配置されている、請求項
1~4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項10】
前記入力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する入力結合線形回折格子を含む、請求項9に記載の眼鏡レンズ。
【請求項11】
前記入力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項
10に記載の眼鏡レンズ。
【請求項12】
前記入力結合線形回折格子が、切り替え可能である、請求項
10に記載の眼鏡レンズ。
【請求項13】
前記入力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、請求項
10に記載の眼鏡レンズ。
【請求項14】
前記入力光学系が、画像源から光線を受け取り、前記画像源の同じピクセルから発する全ての光線が、各入射点において、共通の円筒軸に垂直な表面に対して同じ角度で、かつ前記共通の円筒軸に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒形導波路の前記表面に入射するように、前記光線を前記円筒形導波路に入らせるように構成及び配置され、それによって、入力結合された光は、前記入力結合された光が前記円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角を保持する、請求項
10に記載の眼鏡レンズ。
【請求項15】
前記円筒形導波路から伝播光を受け取り、前記光を画像としてユーザの眼に提示するように構成及び配置された出力光学系を更に備える、請求項
1~4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
【請求項16】
前記出力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する出力結合線形回折格子を含む、請求項15に記載の眼鏡レンズ。
【請求項17】
前記出力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項16に記載の眼鏡レンズ。
【請求項18】
前記出力結合線形回折格子が、切り替え可能である、請求項
15に記載の眼鏡レンズ。
【請求項19】
前記出力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、請求項
15に記載の眼鏡レンズ。
【請求項20】
前記出力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、請求項
15に記載の眼鏡レンズ。
【請求項21】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズを製造する方法であって、前記方法が、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分を形成し、それらの間に円筒形導波路を挿入することと、
前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定する円筒形で同心の反対側にある表面を有する前記円筒形導波路を形成することであって、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含む、形成することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記中央コアが、前記透明媒体よりも高い屈折率を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明媒体が、接着剤材料である、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
前記透明媒体が、エアギャップである、請求項
21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、請求項21~24に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズであって、前記眼鏡レンズが、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分と、それらの間の円筒形導波路と、
光を前記円筒形導波路に結合するための入力光学系と、を備え、
前記円筒形導波路が、
回転対称性を有する導波路に沿って光を伝播させる円筒形で同心の反対側にある表面を有し、前記円筒形で同心の反対側にある表面は、前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定
し、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含
み、前記中央導波路コアが前記透明媒体よりも高い屈折率を有し、前記透明媒体が接着剤材料であり、
前記入力光学系は、光源からの光を受光するように構成され、単一平面内で受光された光をコリメートするように構成された波面整形デバイスを備え、前記波面整形デバイスは、前記単一平面が前記円筒形導波路の円筒軸を通過するように構成されている、
眼鏡レンズ。
【請求項2】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、
請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項3】
前記眼鏡レンズが、長軸及び短軸を有し、前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記長軸に沿った湾曲した外形を有する、
請求項1又は請求項2に記載の眼鏡レンズ。
【請求項4】
前記第1及び第2の円筒形状界面が、前記短軸に沿った線形外形を有する、
請求項3に記載の眼鏡レンズ。
【請求項5】
前記第1のレンズ部分及び前記第2のレンズ部分が、球状外側外形を有する、
請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項6】
前記入力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する入力結合線形回折格子を含む、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項7】
前記入力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、
請求項6に記載の眼鏡レンズ。
【請求項8】
前記入力結合線形回折格子が、切り替え可能である、
請求項7に記載の眼鏡レンズ。
【請求項9】
前記入力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、
請求項7又は請求項8に記載の眼鏡レンズ。
【請求項10】
前記入力光学系が、画像源から光線を受け取り、前記画像源の同じピクセルから発する全ての光線が、各入射点において、共通の円筒軸に垂直な表面に対して同じ角度で、かつ前記共通の円筒軸に垂直な平面に対して同じ角度で、前記円筒形導波路の前記表面に入射するように、前記光線を前記円筒形導波路に入らせるように構成及び配置され、それによって、入力結合された光は、前記入力結合された光が前記円筒形導波路に沿って伝播するときにその方向角を保持する、
請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項11】
前記円筒形導波路から伝播光を受け取り、前記光を画像としてユーザの眼に提示するように構成及び配置された出力光学系を更に備える、
請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項12】
前記出力光学系が、前記導波路の表面に適用される、一定の周期を有する出力結合線形回折格子を含む、
請求項11に記載の眼鏡レンズ。
【請求項13】
前記出力結合線形回折格子が、前記第1の円筒形界面又は前記第2の円筒形界面において前記導波路に取り付けられている、
請求項12に記載の眼鏡レンズ。
【請求項14】
前記出力結合線形回折格子が、切り替え可能である、
請求項12に記載の眼鏡レンズ。
【請求項15】
前記出力結合線形回折格子が、ホログラフィック材料で形成されている、
請求項12に記載の眼鏡レンズ。
【請求項16】
拡張現実ディスプレイのための眼鏡レンズを製造する方法であって、前記方法が、
第1のレンズ部分及び第2のレンズ部分を形成し、それらの間に円筒形導波路を挿入することと、
回転対称性を有する導波路に沿って光を伝播させるために、円筒形で同心の反対側にある表面を有する前記円筒形導波路を形成することであって、
前記円筒形導波路は、前記第1のレンズ部分との第1の円筒形界面及び前記第2のレンズ部分との第2の円筒形界面を画定し、前記円筒形導波路が、透明であり、前記第1及び第2の円筒形界面において透明媒体を有する中央導波路コアを含み、
前記中央導波路コアが前記透明媒体よりも高い屈折率を有し、前記透明媒体が接着剤材料である、前記円筒形導波路を形成することと、
光を前記円筒形導波路に結合するための入力光学系を形成することであって、前記入力光学系は、前記入力光学系は、光源からの光を受光するように構成され、単一平面内で受光された光をコリメートするように構成された波面整形デバイスを備え、前記波面整形デバイスは、前記単一平面が前記円筒形導波路の円筒軸を通過するように構成されている、入力光学系を形成することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1のレンズ部分、第2のレンズ部分、円筒形導波路、及び透明媒体が、光学スタックとして配置されている、
請求項16に記載の方法。
【国際調査報告】