(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】弁ニードルアセンブリ、電子膨張弁及び冷却機器
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20250117BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K31/04 Z
F25B41/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542974
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2022079334
(87)【国際公開番号】W WO2023142222
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210093235.4
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413993
【氏名又は名称】広東威霊電机制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING MOTOR MANUFACTURING CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.27 XINGYE ROAD,INDUSTRIAL PARK,BEIJIAO TOWN,SHUNDE DISTRICT,FOSHAN,GUANGDONG 528311,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】陳超
(72)【発明者】
【氏名】曾慶軍
(72)【発明者】
【氏名】楊茂
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062FF39
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
弁ニードルアセンブリ、電子膨張弁及び冷却機器を開示し、弁ニードルアセンブリは、弁ニードル(500)と、軸受(600)と、弁棒(300)と、を含み、前記弁ニードル(300)は、反対する第1の端部(501)と第2の端部(502)を含み、前記第1の端部(501)は、前記電子膨張弁の弁口(104)に分離可能に取り付けられるのに用いられ、前記軸受(600)は、外輪により前記第2の端部(502)に固定して取り付けられ、前記弁棒(300)は、前記軸受(600)の内輪に挿入されている。この技術案は、弁口に対する弁ニードルの回転により弁ニードルが摩耗しやすいという従来技術の技術的問題を解決することを目的としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁に用いられる弁ニードルアセンブリであって、
反対する第1の端部と第2の端部を有し、前記第1の端部が前記電子膨張弁の弁口に分離可能に取り付けられるのに用いられる弁ニードルと、
外輪により前記第2の端部に固定して取り付けられた軸受と、
前記軸受の内輪に挿入された弁棒と、
を含む弁ニードルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の端部は、前記第1の端部から離反する方向に開口して、前記弁ニードル内に取付溝が形成され、前記軸受が外輪により前記取付溝内に固定して取り付けられている
請求項1に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項3】
前記取付溝は、前記軸受の、前記第1の端部に近い一方側に位置する逃がし空間を有し、前記弁棒は前記軸受に挿入され、前記弁棒の末端が前記逃がし空間に凸設されている
請求項2に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項4】
前記取付溝は、軸方向に分布する第1の溝セグメントと第2の溝セグメントとを有し、前記第1の溝セグメントの内径が前記第2の溝セグメントの内径よりも大きく、前記第1の溝セグメントと前記第2の溝セグメントとの連通部分には位置制限段差が形成され、前記軸受が前記第1の溝セグメントに取り付けられ、前記軸受の外輪の端面が前記位置制限段差に当接し、前記逃がし空間が前記第2の溝セグメントに位置する
請求項3に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項5】
前記弁ニードルアセンブリは、前記弁棒の末端に嵌められた駆動カラーをさらに含み、前記駆動カラーは、前記逃がし空間に位置し、前記軸受の端面に分離可能に当接している
請求項3に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項6】
前記駆動カラーは、軸方向に分布する案内セグメントと接続セグメントとを含み、前記弁棒と前記接続セグメントとが締まり嵌めされ、前記案内セグメントは前記接続セグメントの、前記軸受に近い一方側に位置し、前記案内セグメントの内径は前記接続セグメントに近い端部から前記接続セグメントから離れた端部に向かって漸増する
請求項5に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項7】
前記駆動カラーは、前記接続セグメントの、前記軸受に近い一方側に位置する移行セグメントをさらに含み、前記駆動カラーは2つの前記案内セグメントを有し、前記移行セグメントは、一方の前記案内セグメントを介して前記駆動カラーの端面に接続され、他方の前記案内セグメントを介して前記接続セグメントに接続されている
請求項6に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項8】
前記弁ニードルの末端には位置決め段差が設けられ、前記駆動カラーが前記位置決め段差に当接している
請求項5に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項9】
前記軸受は、プレスカシメ方式により前記取付溝内に固定されている
請求項4に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の溝セグメントの溝壁は、本体部と、本体部を介して前記第2の溝セグメントの溝壁に接続されたプレスカシメ部とを含み、前記プレスカシメ部の溝壁の厚さは、前記本体部の溝壁の厚さよりも小さく、折り曲げられて前記軸受の外輪の端面に当接している
請求項9に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項11】
前記弁ニードルは相互接続されたニードル本体と接続部とを含み、前記第1の端部が前記ニードル本体に位置し、前記第2の端部が前記接続部に位置し、前記ニードル本体と前記接続部とは一体成形されているか、又は、前記ニードル本体と前記接続部とはそれぞれ独立して成形された後に固定して接続されている
請求項1に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項12】
前記弁ニードルアセンブリは弾性部材をさらに含み、前記弾性部材は一端が前記弁棒に接続され、他端が前記軸受に接続され、前記弁棒は軸受の内輪に移動可能に挿入されている
請求項1から11の何れか一項に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項13】
前記弾性部材は、前記弁棒の外に嵌められたバネとして設けられ、前記弁棒の周壁には、前記軸受の、前記第1の端部から離れた一方側にフランジ部が凸設され、前記バネが前記フランジ部と前記軸受の端面との間に位置する
請求項12に記載の弁ニードルアセンブリ。
【請求項14】
取付孔が形成されたナットと、
弁棒が前記取付孔に挿入されて前記ナットに螺合接続された請求項1から13の何れか一項に記載の弁ニードルアセンブリと
を含む電子膨張弁。
【請求項15】
請求項14に記載の電子膨張弁を含む
冷却機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年1月26日に出願された、出願番号が202210093235.4である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は電子膨張弁の技術分野に関し、特に弁ニードルアセンブリ、電子膨張弁及び冷却機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電子膨張弁は、ステッピングモータの原理に基づいて、コイルにより磁気回転子を回転駆動し、磁気回転子の回転運動を弁棒の軸方向運動に変換し、弁棒に連結された弁ニードルを弁棒により昇降させて電子膨張弁の流量の大きさを制御している。
【0004】
関連技術において、電子膨張弁は主に回転子、弁棒、ナット及び弁ニードルを含み、前記弁棒はナットと回転可能に接続され、前記弁ニードルは前記弁棒の下端に設けられ、前記回転子は弁棒を軸方向に移動させ、さらに前記弁ニードルを軸方向に移動させて、前記弁口を閉塞し、開放する目的を達成する。しかし、上記構成を用いると、前記弁口の閉塞時及び開放時に、前記弁ニードルは前記弁口に対して回転し、弁ニードル及び弁口が摩耗するため、弁ニードルの使用寿命が短くなってしまう。
【0005】
上記内容は発明の技術案の理解を助けるために用いられるものであって、上記内容が先行技術だと認めたわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の主な目的は、弁口に対する弁ニードルの回転により弁ニードルが摩耗しやすいという従来技術の技術的問題を解決することを目的とする弁ニードルアセンブリを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願は電子膨張弁に用いられる弁ニードルアセンブリを提案し、前記弁ニードルアセンブリは、反対する第1の端部と第2の端部を有し、前記第1の端部が前記電子膨張弁の弁口に分離可能に取り付けられるのに用いられる弁ニードルと、外輪により前記第2の端部に固定して取り付けられた軸受と、前記軸受の内輪に挿入された弁棒と、を含む。
【0008】
一実施例において、前記第2の端部は、前記第1の端部から離反する方向に開口して、前記弁ニードル内に取付溝が形成され、前記軸受が外輪により前記取付溝内に固定して取り付けられている。
一実施例において、前記取付溝は、前記軸受の、前記第1の端部に近い一方側に位置する逃がし空間を有し、前記弁棒は前記軸受に挿入され、前記弁棒の末端が前記逃がし空間に凸設されている。
【0009】
一実施例において、前記取付溝は、軸方向に分布する第1の溝セグメントと第2の溝セグメントとを有し、前記第1の溝セグメントの内径が前記第2の溝セグメントの内径よりも大きく、前記第1の溝セグメントと前記第2の溝セグメントとの連通部分には位置制限段差が形成され、前記軸受が前記第1の溝セグメントに取り付けられ、前記軸受の外輪の端面が前記位置制限段差に当接し、前記逃がし空間が前記第2の溝セグメントに位置する。
【0010】
一実施例において、前記弁ニードルアセンブリは、前記弁棒の末端に嵌められた駆動カラーをさらに含み、前記駆動カラーは、前記逃がし空間に位置し、前記軸受の端面に分離可能に当接している。
【0011】
一実施例において、前記駆動カラーは、軸方向に分布する案内セグメントと接続セグメントとを含み、前記弁棒と前記接続セグメントとが締まり嵌めされ、前記案内セグメントは前記接続セグメントの、前記軸受に近い一方側に位置し、前記案内セグメントの内径は前記接続セグメントに近い端部から前記接続セグメントから離れた端部に向かって漸増する。
【0012】
一実施例において、前記駆動カラーは、前記接続セグメントの、前記軸受に近い一方側に位置する移行セグメントをさらに含み、前記駆動カラーは2つの前記案内セグメントを有し、前記移行セグメントは、一方の前記案内セグメントを介して前記駆動カラーの端面に接続され、他方の前記案内セグメントを介して前記接続セグメントに接続されている。
【0013】
一実施例において、前記弁ニードルの末端には位置決め段差が設けられ、前記駆動カラーが前記位置決め段差に当接している。
【0014】
一実施例において、前記軸受は、プレスカシメ方式により前記取付溝内に固定されている。
【0015】
一実施例において、前記第1の溝セグメントの溝壁は、本体部と、本体部を介して前記第2の溝セグメントの溝壁に接続されたプレスカシメ部とを含み、前記プレスカシメ部の溝壁の厚さは前記本体部の溝壁の厚さよりも小さく、折り曲げられて前記軸受の外輪の端面に当接している。
【0016】
一実施例において、前記弁ニードルは相互接続されたニードル本体と接続部とを含み、前記第1の端部が前記ニードル本体に位置し、前記第2の端部が前記接続部に位置し、前記ニードル本体と前記接続部とは一体成形されているか、又は、前記ニードル本体と前記接続部とはそれぞれ独立して成形された後に固定して接続されている。
【0017】
一実施例において、前記弁ニードルアセンブリは弾性部材をさらに含み、前記弾性部材は一端が前記弁棒に接続され、他端が前記軸受に接続され、前記弁棒は軸受の内輪に移動可能に挿入されている。
【0018】
一実施例において、前記弾性部材は、前記弁棒の外に嵌められたバネとして設けられ、前記軸受の、前記第1の端部から離れた一方側には、前記弁棒の周壁にフランジ部が凸設され、前記バネが前記フランジ部と前記軸受の端面との間に位置する。
【0019】
本願は電子膨張弁をさらに提案し、前記電子膨張弁は、
取付孔が形成されたナットと、
弁棒が前記取付孔に挿入されて前記ナットに螺合接続された上述した弁ニードルアセンブリと、を含む。
【0020】
本願は、上述した電子膨張弁を含む冷却機器をさらに提案する。
【発明の効果】
【0021】
本願の技術案において、弁棒は弁ニードルを軸方向に移動させると同時に、周方向にも回転するが、弁棒が軸受の内輪に挿入され、軸受の外輪が弁ニードルに固定して接続されているので、軸受の内輪が弁棒と共に回転させられても、弁ニードルに固定して接続された軸受の外輪は周方向に静止を保つことができるため、弁ニードルが周方向に回転させられることはない。本願において、弁棒と軸受とを嵌合させることにより、弁棒から弁ニードルに伝達される周方向の移動が相殺されるため、弁ニードルが弁口に対して回転することなく弁棒により伝達される軸方向の移動のみを受け入れるようにし、弁ニードルと弁口との間の摩耗を低減させるのに有利であり、電子膨張弁の動作信頼性を保証する。また、本願の弁ニードルアセンブリは、極めて高い信頼性を有すると同時に、部品数が少ないという利点を備え、生産における組立工程数が少なく、製造コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面に示す構造に基づいて他の添付図面を得ることができる。
【
図1】本願の弁ニードルアセンブリの一実施例の構造模式図である。
【
図3】本願の電子膨張弁の一実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0024】
以下では、本願実施例における図面と組み合わせ、本願実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属す。
【0025】
なお、本願の実施例には方向的表示(例えば上、下、左、右、前、後...)がある場合、該方向的表示は、ある特定の姿勢(図を参照)における各部品間の相対的位置関係、移動状況等を説明するためだけに用いられ、該特定の姿勢が変わる場合、該方向的表示もそれに応じて変わる。
【0026】
用語「接続」、「取付」、「固定」などは全て広義に理解されるべきである。例えば、「接続」とは固定的な接続でもよく、取り外し可能な接続でもよく、或いは一体として接続されてもよく、直接に相互接続されてもよく、中間の媒介により間接的に相互接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況により上記用語の本願における具体的な意味を理解できる。
【0027】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。このため、「第1」、「第2」に限定される特徴は当該特徴を少なくとも一つ明示的或いは暗示的に含んでもよい。また、全文において現れた「及び/又は」は三つの並行する案を含むことを意味する。「A及び/又はB」を例に取ると、A案、又はB案、又はAとBとが同時に満たされる案を含むことになる。また、当業者により実現することができる限り、各実施例の技術案は互いに組み合わせることができる。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在せず、かつ、本願が保護を求めようとする範囲にないと理解すべきである。
【0028】
本願は電子膨張弁を提案する。
【0029】
図3を参照し、本願により提案される電子膨張弁は、弁ケーシング100と、磁気回転子900と、ナット200と、弁ニードルアセンブリとを含む。前記弁ケーシング100は、ハウジング101と、ハウジング101に固定して接続された弁座102とを含み、前記ハウジング101と前記弁座102とで弁チャンバ103を囲んで形成し、前記磁気回転子900、ナット200及び弁ニードルアセンブリはいずれも前記弁チャンバ103内に配置され、前記磁気回転子900は弁ケーシング100に対して回転可能であり、前記ナット200は前記弁座102に固定して接続され、前記磁気回転子900が前記弁ニードルアセンブリの移動を駆動することにより、電子膨張弁の流量の大きさを制御する。
【0030】
以下では、弁ニードルアセンブリの構造について説明する。
【0031】
図1及び
図3に示すように、当該弁ニードルアセンブリは、弁ニードル500と、軸受600と、弁棒300と、を含み、前記弁ニードル500は、反対する第1の端部501と第2の端部502とを有し、前記第1の端部501が前記電子膨張弁の弁口104に分離可能に取り付けられるのに用いられ、前記軸受600は、外輪により前記第2の端部502に固定して取り付けられ、前記弁棒300は、前記軸受600の内輪に挿入されている。
【0032】
本願の電子膨張弁において、前記ナット200にはその軸方向に延在する取付孔210が形成され、前記弁ニードルアセンブリは前記取付孔210に挿入され、前記弁棒300は前記ナット200に螺合される。具体的には、前記弁棒300の、前記第1の開口端部から離れた一端にはネジ棒セグメントが設けられ、前記取付孔210は前記ネジ棒セグメントに適合するネジ孔セグメントを含み、前記ネジ棒セグメントは前記ネジ孔セグメントと嵌合する。前記弁座102には前記弁ニードル500に対応する弁口104が設けられ、前記弁ニードル500は前記弁口104内に分離可能に取り付けられる。こうして、コイルが磁気回転子900を駆動して回転させ、磁気回転子900が弁棒300を回転させ、ネジ棒セグメントとネジ孔セグメントとの嵌合により、弁棒300は同期して周方向の回転及び軸方向の移動を行うことができ、弁棒300がさらに弁ニードル500を軸方向上方又は軸方向下方に移動させることにより、電子膨張弁の流量の大きさを制御する。
【0033】
本願の弁ニードルアセンブリにおいて、弁棒300は、弁ニードル500を軸方向に移動させると同時に、周方向にも回転するが、弁棒300が軸受600の内輪に挿入され、軸受600の外輪が弁ニードル500に固定して接続されているので、軸受600の内輪が弁棒300と共に回転させられても、弁ニードル500に固定して接続された軸受600の外輪は周方向に静止を保つことができるため、弁ニードル500が周方向に回転させられることはない。本願において、弁棒300と軸受600とを嵌合させることにより、弁棒300から弁ニードル500に伝達される周方向の移動が相殺されるため、弁ニードル500が弁口104に対して回転することなく弁棒300により伝達される軸方向の移動のみを受け入れるようにし、弁ニードル500と弁口104との間の摩耗を低減させるのに有利であり、電子膨張弁の動作信頼性を保証する。また、本願の弁ニードルアセンブリは、極めて高い信頼性を有すると同時に、部品数が少ないという利点を備え、生産における組立工程数が少なく、製造コストが低い。
【0034】
さらに、
図1に示すように、前記弁ニードルアセンブリは弾性部材310をさらに含み、前記弾性部材310は、一端が前記弁棒300に接続され、他端が前記軸受600に接続され、前記弁棒300は、軸受600の内輪に移動可能に挿入されている。具体的には、弾性部材310の端部は、軸受600の内輪の、第1の端部501から離れた端面に接続され、弁棒300は、弾性部材310を介して弁ニードル500を駆動して軸方向に移動させ、弁棒300は、少なくとも軸受600に対して軸方向に移動可能である。こうして、弁ニードル500が弁口104に当接した後に、弁棒300が弁ニードル500に対して下方に引き続き移動して弾性部材310を圧縮できるため、弁ニードル500が弁口104に安定して当接できるように、弾性部材310が弁ニードル500に仮締め付け力を与えることができる。もちろん、他の実施例において、弁棒300が軸受600の内輪に固定して挿入されてもよく、これにより、弁棒300は、軸受600を介して弁ニードル500を軸方向に移動させることができる。
【0035】
一実施例において、弾性部材310の端部と、弁棒300及び軸受600の内輪の端面との接続方式は当接又は嵌合である。なお、弾性部材310の端部は、弁棒300又は軸受600の内輪の端面に直接当接してもよく、弁棒300又は軸受600の内輪の端面に他の部品を介して間接的に当接してもよい。一般性を失わず、
図1に示すように、本実施例において、前記弾性部材310はバネとして設けられる。前記弁棒300の周壁にフランジ部320が設けられている。前記バネは、前記弁棒300に嵌められ、一端が前記フランジ部320に当接し、他端が前記軸受600の内輪の端面に当接することにより、弁棒300及び軸受600の端面との接続をそれぞれ実現する。もちろん、他の実施例において、弾性部材310は、弾性片、弾性ゴムスリーブ、又は弾性シリコーンゴムスリーブとして設けられてもよい。
【0036】
さらに、
図1及び
図3を併せて参照し、前記第2の端部502は、前記第1の端部501から離反する方向に開口して、前記弁ニードル500内に取付溝530が形成され、前記軸受600が外輪により前記取付溝530内に固定して取り付けられている。こうして、軸受600が露出することがなく、軸受600と取付溝530との嵌合構造も取付溝530内に収容されるため衝撃を受けにくく、軸受600と取付溝530との安定した接続を保証するのに有利である。もちろん、他の実施例において、第2の端部502の端面が平面構造であり、軸受600が第2の端部502の端面に固定して取り付けられてもよい。この場合、軸受600の内輪と第2の端部502の端面との間に隙間を残すことにより、軸受600の内輪を接続部520に対して回転させることが可能になり、同様に弁ニードル500の周方向回転を避けることができる。
【0037】
さらに、
図1に示すように、前記取付溝530は、前記軸受600の、前記第1の端部501に近い一方側に位置する逃がし空間531を有し、前記弁棒300は、前記軸受600に挿入され、末端が前記逃がし空間531に凸設されている。こうして、弁棒300の末端は、逃がし空間531に向かって移動してバネを圧縮することにより、弁ニードル500に仮締め付け力を提供することができる。もちろん、他の実施例において、バネが所定の位置に圧縮されて弁ニードル500に十分な仮締め付け力を提供できるように保証するために、軸受600の軸方向長さを長くすることにより、弁棒300の軸方向移動のための十分な空間を提供するようにしてもよい。
【0038】
さらに、前記取付溝530は、軸方向に分布する第1の溝セグメントと第2の溝セグメントとを有し、前記第1の溝セグメントの内径が前記第2の溝セグメントの内径よりも大きく、前記第1の溝セグメントと前記第2の溝セグメントとの連通部分には位置制限段差532が形成され、前記軸受600が前記第1の溝セグメントに取り付けられている。
図1に示すように、前記軸受600の外輪の端面が前記位置制限段差532に当接し、前記逃がし空間531が前記第2の溝セグメントに位置する。こうして、軸受600を取付溝530に取り付ける際に、位置制限段差532が位置決めとして機能でき、軸受600が位置制限段差532に当接することは即ち、軸受600が所定位置に取り付けられたことを示す。また、位置制限段差532が軸受600の外輪の端面のみに当接し、軸受600の内輪の周方向回転に影響しないため、軸受600の内輪及び外輪が相対的に回転可能であり、弁棒300の周方向回転時に、弁ニードル500が弁口104に対して周方向に静止できるように保証し、弁ニードル500と弁口104との過度の摩耗を避けることができる。
【0039】
さらに、
図1に示すように、前記軸受600は、プレスカシメ方式により前記取付溝530内に固定されている。具体的には、前記第1の溝セグメントの溝壁は、本体部533と、本体部533を介して前記第2の溝セグメントの溝壁に接続されたプレスカシメ部534とを含む。つまり、プレスカシメ部534が第1の溝セグメントの溝壁の末端であり、軸受600が位置制限段差532に取り付けられた場合、軸受600の外輪が第1の溝セグメントの溝壁面に当接して、軸受600の周方向においてその外輪を制限できるため、軸受600の取付安定性がさらに向上する。そして、プレスカシメ部534を折り曲げて軸受600の外輪の端面に当接させれば、軸受600を取付溝530にプレスカシメで固定することができる。このうち、前記プレスカシメ部534の溝壁は、前記本体部533の溝壁よりも厚いため、プレスカシメ部534を折り曲げるのに必要な力をより小さくすることができ、軸受600に対するプレスカシメ加工をより容易且つ迅速に実現することができる。これにより、プレスカシメ部534と位置制限段差532とが軸受600の軸方向両側の位置を制限し、第1の溝セグメントの溝壁が軸受600を周方向において制限することにより、軸受600を取付溝530内に安定且つ固定的に取り付けることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、
図1に示すように、前記弁ニードルアセンブリは、前記弁ニードル500の末端に固定して嵌められた駆動カラー800をさらに含み、前記駆動カラー800は、前記軸受600の、前記第1の端部501に近い一方側に位置し、前記軸受600の端面に分離可能に当接している。こうして、弁棒300が軸方向上方に移動するとき、軸受600の端面に当接しているため位置制限カラーが軸受600に動かされて軸方向上方に移動し、軸受600も押圧力を受けてそれとともに上方に移動し、軸受600に固定して接続された弁ニードル500もそれとともに上方に移動する。もちろん、他の実施例において、弁棒300の末端の周縁に駆動凸部を設けてもよく、これにより、弁棒300が軸方向上方に移動する際に、駆動凸部が軸受600の端面を押圧することにより、同様に弁ニードル500を上方に移動させることができる。
【0041】
さらに、
図1及び
図2を併せて参照し、前記弁ニードル500の末端には位置決め段差330が設けられ、前記駆動カラー800が前記位置決め段差330に当接している。こうして、駆動カラー800を弁ニードル500に取り付ける過程において、位置決め段差330は位置決めとして機能でき、駆動カラー800の端面が位置決め段差330に当接することは即ち、駆動カラー800が所定位置に取り付けられたことを示す。もちろん、他の実施例において、駆動カラー800の内側に位置決め段差が設けられていてもよく、弁棒300の末端がこの位置決め段差に当接することは即ち、駆動カラー800が所定位置に取り付けられたことを示す。
【0042】
さらに、
図2に示すように、前記駆動カラー800は、軸方向に分布する案内セグメント820と接続セグメント810とを含み、前記弁棒300と前記接続セグメント810とが締まり嵌めされ、前記案内セグメント820は、前記接続セグメント810の、前記軸受600に近い一方側に位置し、前記案内セグメント820の内径は、前記接続セグメント810に近い端部から前記接続セグメント810から離れた端部に向かって漸増する。こうして、案内セグメント820は、弁棒300と駆動カラー800との組立過程において案内するように機能できるため、弁棒300を駆動カラー800に挿入する操作をより省力的且つ迅速にすることができる。
【0043】
さらに、
図2に示すように、前記駆動カラー800は、前記接続セグメント810の、前記軸受600に近い一方側に位置する移行セグメント830をさらに含み、前記駆動カラー800は2つの前記案内セグメント820を有し、前記移行セグメント830は、一方の前記案内セグメント820を介して前記駆動カラー800の端面に接続され、他方の前記案内セグメント820を介して前記接続セグメント810に接続されている。つまり、駆動カラー800の、軸受600に近い端部と軸受600から離れた端部との間には、案内セグメント820、移行セグメント830、案内セグメント820、及び接続セグメント810がこの順に接続され、移行セグメント830が弁棒300に隙間嵌めされている。駆動カラー800の組立時に、弁棒300を、駆動カラー800の、軸受600に近い端部から挿入すべきである。それにより、弁棒300の端部が最初に駆動カラー800の当該端部の案内セグメント820の内径が最も大きい位置に接触し、弁棒300の端部の位置合わせ及び係合を容易にすることができる。案内セグメント820に案内されて、弁棒300の端部は、比較的小さい力で移行セグメント830に挿入可能であり、そして、移行セグメント830を経て、接続セグメント810への弁棒300の挿入を案内するのに用いられる他方の案内セグメント820に到達する。接続セグメント810と弁棒300とが締まり嵌めされているため、駆動カラー800が位置決め段差330に当接するまで、弁棒300を駆動カラー800に引き続き挿入するために、弁棒300の端部が接続セグメント810に入った後にのみ、力を強くする必要がある。こうして、駆動カラー800と弁棒300との組立をより省力的且つ迅速に行うことができ、電子膨張弁の生産効率の向上に有利である。
【0044】
図3に示すように、本願の電子膨張弁において、弁チャンバ103内には案内カラー400がさらに取り付けられ、前記案内カラー400は、前記ナット200の、前記弁口104に近い一方側に位置し、前記弁ニードル500は、前記案内カラー400を通った後に前記弁口104内に挿入され、前記弁棒300の駆動により、前記弁ニードル500が前記案内カラー400に案内されて前記弁口104に対して軸方向に移動することにより、前記弁口104を開閉する。なお、案内カラー400と弁口104とが同軸上に配置されている。一態様において、弁ニードル500に対する案内カラー400の制限により、弁ニードル500と弁口104との同軸度を向上させることができる一方、弁棒300が弁ニードル500を駆動して移動させる場合、案内カラー400は弁ニードル500の軸方向移動を案内することにより、弁ニードル500の安定した移動を保証することができる。こうして、弁ニードル500は、静止状態及び移動状態のいずれにおいても、弁口104との高い同軸度を維持することができ、弁口104の開度制御の精度を保証するのに有利であるため、電子膨張弁の動作信頼性を保証することができる。また、案内カラー400に案内されて、弁ニードル500が弁口104に対して不必要に移動することがないので、弁ニードル500と弁口104との摩耗を低減させることができ、弁ニードルアセンブリの寿命を延ばすのに有利であり、電子膨張弁の作動信頼性をさらに保証する。
【0045】
さらに、本実施例において、
図3及び
図8を併せて参照し、前記弁ニードル500は、相互接続されているニードル本体510と接続部520とを含み、前記ニードル本体510は、前記案内カラー400を通った後に前記弁口104内に挿入され、前記接続部520は、前記ナット200の内部空間に位置する部分を有する。具体的には、ナット200には第1の案内孔212が設けられ、接続部520が第1の案内孔212に挿入されるとともにナット200の内部空間に位置する部分を有し、ナット200は、第1の案内孔212により接続部520の軸方向移動を案内する。案内カラー400には、ニードル本体510が挿入されてその軸方向移動を案内するのに用いられる第2の案内孔401が設けられている。なお、第1の案内孔212及び第2の案内孔401は、いずれも、弁口104と同軸であり、ナット200の第1の案内孔212と案内カラー400の第2の案内孔401との二重の位置制限及び案内により、弁ニードル500と弁口104との同軸度が高く、弁口104の開度制御の精度保証に有利であり、電子膨張弁の動作信頼性を保証することができる。特に、ニードル本体510の軸方向移動の最大行程を満足し、ニードル本体510の軸方向移動において第2の案内孔401が常に案内できるように、前記第2の案内孔401の深さは1mm以上である。また、一実施例において、前記ニードル本体510と前記接続部520とを一体成形することにより、弁ニードル500の生産加工効率を向上させることができる。あるいは、前記ニードル本体510と前記接続部520とをそれぞれ独立して成形した後、固定して接続することにより、金型の構造を簡素化し、製品の歩留まりを保証するようにしてもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、
図8に示すように、前記案内カラー400には、第2の案内孔401と軸方向に分布して連通する第1の逃がし孔402がさらに設けられ、前記ニードル本体510に接続される前記接続部520の端部は、前記ナット200の内部空間から凸出し、第1の逃がし孔402に収容される。さらに、前記案内カラー400内には第2の逃がし孔403がさらに設けられ、前記第2の逃がし孔403は、前記第1の逃がし孔402の、前記第2の案内孔401から離れた端部と連通し、前記ナット200が前記第2の逃がし孔403に部分的に収容される。なお、案内カラー400の第2の案内孔401は、弁ニードル500を案内するように嵌合する必要があるが、弁ニードル500の位置が弁口104に近いため、案内カラー400が第2の案内孔401の外壁を介して弁ケーシング100に接続されれば、弁口104の近くでの冷媒の流れに影響しやすい。本実施例において、第2の案内孔401の、弁口104から離れた一方側に、接続部520を逃がす第1の逃がし孔402と、ナット200を逃がす第2の逃がし孔403とがこの順に設けられている。これにより、第1の逃がし孔402の外壁又は第2の逃がし孔403の外壁を介して案内カラー400を弁ケーシング100に固定的に接続すれば、案内カラー400と弁ケーシング100との接続構造が冷媒の流れに与える悪影響を回避することができる。
【0047】
いくつかの実施例において、
図3、
図7及び
図8を併せて参照し、前記案内カラー400の外壁には取付段差410が凸設され、前記弁ケーシング100の内壁には段差空間110が対応して形成され、前記取付段差410が前記段差空間110と係合する。具体的には、取付段差410が第1の逃がし孔402と第2の逃がし孔403の対向する外壁に形成され、取付段差410と段差空間110とを係合させれば、案内カラー400を弁ケーシング100に固定して取り付けることができる。
【0048】
さらに、
図8に示すように、前記段差空間110は、相互接続された第1の段差面111と第2の段差面112との両方により構成され、前記取付段差410は、前記第1の段差面111に当接する第3の段差面411と、前記第2の段差面112に当接する第4の段差面412とを含み、前記第1の段差面111は前記案内カラー400の軸方向と平行に設けられている。このうち、案内カラー400を弁ケーシング100に嵌合させる際に、取付段差410を案内して段差空間110内に係合させるために、第1の段差面111の、第2の段差面112から離れた端部と、第3の段差面411の、第4の段差面412に近い端部との少なくとも1つには案内構造が設けられている。
【0049】
具体的には、本実施例において、前記第1の段差面111の、前記第2の段差面112から離れた一方側には第1の案内面113が設けられ、前記第1の案内面113は、前記第1の段差面111から離れる方向に前記第3の段差面411から次第に離れるように設けられている。さらに、前記第3の段差面411の、前記第4の段差面412に近い一端には2つの第2の案内面413が設けられ、前記第2の案内面413は、前記第4の段差面412から離れる方向に前記第1の段差面111に次第に近づくように設けられている。2つの前記第2の案内面413の間には、前記案内カラー400の軸方向と平行な移行面414が設けられ、前記移行面414は、一方の前記第2の案内面413を介して前記第3の段差面411に接続され、他方の前記案内面を介して前記第4の段差面412に接続されている。ここで、最適な案内効果を得るためには、第1の案内面113と第2の案内面413とを平行に設け、即ち平行又は略平行に設けることができる。
【0050】
案内カラー400を弁ケーシング100に嵌合させる過程において、第4の段差面412により近い第2の案内面413が先に第1の案内面113の内側の空間に入り、その後、取付段差410が段差空間110内に徐々に係合するにつれて、移行面414、別の案内面、第3の段差面411が順に第1の案内面113の内側の空間に入る。この過程において、第1の案内面113と第2の案内面413とのうちの少なくとも一方が、第3の段差面411が第1の段差面111に接触するまで、嵌合を案内ように機能することができる。こうして、階段状の案内構造により、案内カラー400を弁ケーシング100に嵌合させる工程をより省力的且つ迅速にすることができ、電子膨張弁の生産効率を高めるのに有利である。
【0051】
いくつかの実施例において、
図1及び
図8を併せて参照し、前記弁ケーシング100の側壁には冷媒通過口105が形成され、前記案内カラー400には前記冷媒通過口105に対向する導流錐面420が設けられている。これにより、冷媒が冷媒通過口105と弁口104との間を流れる際に、導流錐面420は、冷媒の流れが乱れて電子膨張弁の作動性能に影響するのを回避するように、冷媒の流れを案内するように機能することができる。
【0052】
いくつかの実施例において、
図1を参照し、前記弁チャンバ103は、前記案内カラー400の軸方向両側にそれぞれ位置する第1の弁チャンバ1031及び第2の弁チャンバ1032を含み、前記案内カラー400又は前記弁ケーシング100には、前記第1の弁チャンバ1031と前記第2の弁チャンバ1032とを連通させるのに用いられるバランス通路が設けられている。バランス通路が設けられているので、第1の弁チャンバ1031及び第2の弁チャンバ1032の気圧をバランスさせることができ、電子膨張弁の内部圧力の安定性を保証するのに有利であり、弁ニードル500の動作抵抗を低減させることにより、電子膨張弁の作動性能を保証することができる。
【0053】
一実施例において、前記第1の段差面111と第3の段差面411とのうちの少なくとも一方に第1の通気溝を凹設し、前記第2の段差面112と前記第4の段差面412とのうちの少なくとも一方に前記第1の通気溝と連通する第2の通気溝を凹設することにより、前記第1の通気溝及び前記第2の通気溝内に前記バランス通路を形成する。一般性を失わず、一実施例において、第1の段差面111、第2の段差面112、第3の段差面411及び第4の段差面412をいずれも環状に設けることにより、取付段差410及び段差空間110を対応して環状とする。第1の段差面111と第3の段差面411とは、互いに当接する部分を有するとともに、凹んで第1の通気溝が形成された部分を有する。同様に、第2の段差面112と第4の段差面412とは、互いに当接する部分を有するとともに、凹んで第2の通気溝が形成された部分を有する。こうして、取付段差410が段差空間110に安定して係合することを保証できるとともに、第1の弁チャンバ1031と第2の弁チャンバ1032とを連通させるバランス通路を形成することができる。本実施例において、第1の弁チャンバ1031が、案内カラー400の、弁口104から離れた一方側に位置し、第1の通気溝の両端が第1の弁チャンバ1031及び第2の通気溝の一端とそれぞれ連通し、第2の通気溝の他端が第2の弁チャンバ1032と連通している。こうして、第1の弁チャンバ1031と第2の弁チャンバ1032との連通を実現することができ、電子膨張弁の内部圧力の安定性を保証するのに有利であり、電子膨張弁の作動安定性を保証することができる。
【0054】
一実施例において、
図1及び
図8を併せて参照し、前記案内カラー400の外壁には接続面430がさらに設けられ、前記取付段差410が前記接続面430を介して前記導流錐面420に接続され、前記接続面430には前記案内カラー400の内壁を貫通する通気孔440が形成されているため、前記通気孔440内に前記バランス通路が形成される。具体的には、接続面430と弁ケーシング100の内壁面との間には隙間があり、接続面430は第1の逃がし孔402に対向して設けられ、通気孔440は接続面430から第1の逃がし孔402の内壁面まで貫通する。こうして、第1の弁チャンバ1031は、通気孔440を介して第1の逃がし孔402と連通することができる。なお、第1の逃がし孔402は、接続部520を逃がすために、接続部520との間に比較的大きな隙間があり、第2の逃がし孔403も、ナット200を逃がすために、ナット200との間に比較的大きな隙間があるため、第1の逃がし孔402内の空間及び第2の逃がし孔403内の空間の両方が第2の弁チャンバ1032の空間に属する。第1の弁チャンバ1031が第1の逃がし孔402と連通し、即ち第2の弁チャンバ1032と連通することにより、電子膨張弁の内部圧力の安定性を保証し、電子膨張弁の作動安定性を保証することができる。
【0055】
さらに、
図3から
図6を併せて参照し、前記ニードル本体510と前記案内カラー400との嵌合、及び前記ニードル本体510と前記弁口104と嵌合は、いずれも、隙間ばめであり、前記接続部520が前記ナット200の内壁面に隙間ばめされ、前記接続部520と前記ナット200との間の嵌合隙間が前記ニードル本体510と前記弁口104の内壁面との間の最小嵌合隙間よりも大きく、前記ニードル本体510と前記案内カラー400との間の嵌合隙間が前記ニードル本体510と前記弁口104の内壁面との間の最小嵌合隙間よりも大きい。
【0056】
具体的には、接続部520とナット200との間の嵌合隙間は即ち、接続部520の外壁面と第1の案内孔212の内壁面との隙間(即ち
図6中のD3)である。ニードル本体510は、軸方向に分布する本体セグメント511と先端512とを有し、本体セグメント511は第2の案内孔401に挿入されて第2の案内孔401と隙間ばめされ、ニードル本体510と案内カラー400との間の嵌合隙間は即ち、本体セグメント511の外壁面と第2の案内孔の内壁面との間の隙間(即ち
図5中のD2)である。先端512は即ち弁口104に挿入されるのに用いられる第1の端部501であり、先端512は、弁口104に挿入されると弁口104の内壁面と隙間ばめされ、ニードル本体510と弁口104の内壁面との間の最小嵌合隙間は即ち、先端512と弁口104の内壁面との最小嵌合隙間(即ち
図4中のD1)である。また、この最小嵌合隙間の存在により、弁ニードル500が弁口104を閉じた場合、先端512の外壁面と弁口104の内壁面との間に一定の隙間が形成され、弁ニードル500と弁口104との間の摩擦が低減され、弁ニードル500の固着が回避される。
【0057】
本発明の電子膨張弁によれば、弁口104と弁ニードル500との間に異物が挟まれた場合、ニードル本体510の先端512が傾いたとしても、ニードル本体510の本体セグメント511と第2の案内孔401の内壁面との嵌合隙間が先端512と弁口104の内壁面との間の最小嵌合隙間よりも大きいため、本体セグメント511と第2の案内孔401の内壁面との間に十分な移動空間があり、本体セグメント511が動かされて第2の案内孔401に対して傾いても第2の案内孔401と固着することなく、第2の案内孔401の内壁面と一定の隙間を保ったままであるため、ニードル本体510の上下移動に影響することはない。また、接続部520の外壁面とナット200の内壁面との間の隙間が先端512と弁口104の内壁面との間の最小嵌合隙間よりも大きいため、接続部520とナット200の第1の案内孔212との間にも十分な移動空間がある。同様に、接続部520が動かされて第1の案内孔212の内壁面に対して傾いても第1の案内孔212と固着することなく、第1の案内孔212の内壁面と一定の隙間を保ったままであるため、同様に弁ニードル500全体の上下移動に影響することはない。要するに、弁ニードル500の先端512と弁口104との間に異物が挟まれた場合、弁ニードル500の本体セグメント511が案内カラー400の内部空間おいても、接続部520がナット200の内部空間内においても、十分なずれ用移動空間を有し、弁ニードル500は依然として上下方向に円滑に移動することができるため、弁ニードル500の固着を効果的に回避することができるとともに、弁ニードルアセンブリの組立中の同軸度偏差による偏心の弁ニードル500への影響を回避することもできる。
【0058】
さらに、本実施例において、前記接続部520と前記ナット200との間の嵌合隙間は前記ニードル本体510と前記案内カラー400との間の嵌合隙間よりも大きく、すなわち、接続部520の外壁面と第1の案内孔212の内壁面との間の隙間D3は本体セグメント511の外壁面と第2の案内孔401の内壁面との間の隙間D2よりも大きい。なお、弁口104が開いているときに、ニードル本体510の先端512が弁口104から離れ、このとき、本体セグメント511と第2の案内孔401との隙間に異物が挟まれた場合、本体セグメント511が第2の案内孔401に対して傾いて、接続部520を第1の案内孔212に対して傾かせたとしても、接続部520は第1の案内孔212と固着することなく、第1の案内孔212の内壁面と一定の隙間を保ったままであるため、依然として弁ニードル500全体の上下移動に影響することはない。
【0059】
さらに、本実施例において、
図1に示すように、前記取付孔210は、前記第1の案内孔212の、前記弁口104から離れた一方側に位置するネジ孔211をさらに含み、前記弁棒300は、一端が前記接続部520に駆動的に接続され、他端が前記ネジ孔211に螺合され、こうして、コイルが磁気回転子900を駆動して回転させ、磁気回転子900が弁棒300を回転させ、ナット200のネジ山との嵌合により、弁棒300は同期して周方向の回転及び軸方向の移動を行うことができ、弁棒300がさらに弁ニードル500を軸方向上方又は軸方向下方に移動させることにより、電子膨張弁の流量の大きさを制御する。一方、弁棒300のネジセグメントとネジ孔211とが隙間ばめされるため、弁棒300はナット200に対して径方向に一定の移動偏差を有することができ、それにより、弁棒300及びナット200は同心偏差をさらに吸収して全体の同軸度を高めることができる。
【0060】
本実施例において、前記弁棒300と前記ネジ孔211との間の嵌合隙間は、前記接続部520と前記第1の案内孔212との間の嵌合隙間(即ちD3)よりも大きい。なお、弁棒300は弁ニードル500と同軸に嵌合し、接続部520が第1の案内孔212に対して傾いたとき、弁棒300とナット200との最小嵌合隙間が弁棒300のネジセグメントとネジ孔211との間にあるため、この隙間値は、接続部520と第1の案内孔212との嵌合隙間よりも大きい。これにより、弁棒300のネジセグメントとネジ孔211との間に十分な移動空間があり、弁棒300が動かされてナット200に対して傾斜しても、弁棒300のネジセグメントがナット200のネジ孔211と固着することなく、電子膨張弁の弁ニードルアセンブリの上下移動に影響することはない。
【0061】
本願はまた、冷却装置を提案する。当該冷却装置は電子膨張弁を含み、当該電子膨張弁の具体的な構造については、上記実施例を参照されたい。本冷却機器は上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての技術的効果を有し、ここでは説明を省く。冷却機器はエアコン、冷凍機、冷蔵庫、ヒートポンプ給湯機などであってもよい。
【0062】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
100 弁ケーシング
101 ハウジング
102 弁座
103 弁チャンバ
1031 第1の弁チャンバ
1032 第2の弁チャンバ
104 弁口
105 冷媒通過口
110 段差空間
111 第1の段差面
112 第2の段差面
113 第1の案内面
200 ナット
210 取付孔
211 ネジ孔
212 第1の案内孔
300 弁棒
310 弾性部材
320 フランジ部
330 位置決め段差
600 軸受
800 駆動カラー
810 接続セグメント
820 案内セグメント
830 移行セグメント
400 案内カラー
401 第2の案内孔
402 第1の逃がし孔
403 第2の逃がし孔
410 取付段差
411 第3の段差面
412 第4の段差面
413 第2の案内面
414 移行面
420 導流錐面
430 接続面
440 通気孔
500 弁ニードル
501 第1の端部
502 第2の端部
510 ニードル本体
511 本体セグメント
512 先端
520 接続部
530 取付溝
531 逃がし空間
532 位置制限段差
533 本体部
534 プレスカシメ部
900 磁気回転子
【国際調査報告】