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特表2025-502410神経疾患適応治療装置および神経疾患適応治療装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】神経疾患適応治療装置および神経疾患適応治療装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542983
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2023050434
(87)【国際公開番号】W WO2023139503
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022000000965
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520319141
【氏名又は名称】ニューロニカ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】Newronika S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100227927
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】アルロッティ,マッティア
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ21
4C053JJ40
(57)【要約】
本開示は、一般に、神経疾患の治療の分野に関し、特に、適応刺激に基づいて神経疾患を治療するための装置および方法、ならびにそのような装置を制御する方法に関する。詳細には、本開示は、一般に、神経活動信号を感知して電気刺激信号を適用するように構成された埋め込み型電極(11)と、埋め込み型電極(11)に接続された処理および刺激ユニット(14)とを含む神経疾患適応治療装置(10)に関する。処理および刺激ユニットは、少なくとも、埋め込み型電極(11)で搬送される刺激信号を生成するように構成された刺激モジュール(16)と、少なくとも1つの刺激パラメータによって特徴付けられる刺激信号と、埋め込み型電極によって感知された神経活動信号の神経活動信号記録を記録するように構成された取得モジュール(20)と、処理モジュール(18)とを含む。処理モジュール(18)は、取得モジュール(20)によって記録された神経活動信号記録を第1の制御ロジック(22)に基づいて処理し、第1の制御ロジック(22)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて少なくとも1つの刺激パラメータ(A)を調整するように構成され、第1の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴(Fi)に依存する関数であり、少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)に基づき、複数の異なる関数要素から構成され、複数の異なる関数要素の各関数要素は、少なくとも1つの信号特徴(Fi)のそれぞれの範囲に関連しており、処理モジュール(18)は、取得モジュール(20)によって記録された神経活動信号記録を第2の制御ロジック(23)に基づいて処理し、第2の制御ロジック(23)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を調整するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経疾患の適応治療のための装置(10)であって、
神経活動信号を感知し、電気刺激信号を印加するように構成された埋め込み型電極(11)と、
前記埋め込み型電極(11)に接続された処理および刺激ユニット(14)とを備え、
前記処理および刺激ユニットは、
前記埋め込み型電極(11)で伝達される刺激信号を生成するように構成された刺激モジュール(16)であって、前記刺激信号は少なくとも1つの刺激パラメータによって特徴付けられる、刺激モジュール(16)と、
前記埋め込み型電極によって感知された神経活動信号の神経活動信号記録を記録するように構成された取得モジュール(20)と、
処理モジュール(18)であって、前記取得モジュール(20)によって記録された前記神経活動信号記録を第1の制御ロジック(22)に基づいて処理し、前記第1の制御ロジック(22)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)を調整するように構成され、前記第1の制御ロジックは、前記神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴(Fi)に依存する関数であり、少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)に基づいており、複数の異なる関数要素から構成され、前記複数の異なる関数要素の各関数要素は、前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)のそれぞれの範囲に関連付けられ、前記処理モジュール(18)は、前記取得モジュール(20)によって記録された前記神経活動信号記録を第2の制御ロジック(23)に基づいて処理し、前記第2の制御ロジック(23)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて前記第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を調整するように構成される、処理モジュール(18)と
を少なくとも備える
装置(10)。
【請求項2】
前記刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータ(A)は、収集された神経活動信号記録の第1の時系列(F)に基づいて調整され、前記第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)は、収集された神経活動信号記録の第2の時系列(F)に基づいて調整され、前記第1の時系列は前記第2の時系列よりも短い
請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)の調整の基準となる収集された神経活動信号記録の前記第2の時系列は、数分、数時間、数日、数週間、または数か月にわたって収集されたスペクトルパワー時系列である
請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記第2の制御ロジック(23)は、ボリンジャーバンド計算器であり、前記第1の制御ロジック(22)の第1の制御パラメータ(C)はバンド上限に設定され、前記第1の制御ロジック(22)の第2の制御パラメータ(C)はバンド下限に設定される、または
前記第2の制御ロジック(23)は、前記第1の制御ロジック(22)の各制御パラメータ(Cj)について、その少なくとも1つの信号特徴(Fi)に基づいて前記神経活動信号記録の1つのクラスタを確立する教師なし学習モデルであり、各制御パラメータ(Cj)は、それぞれのクラスタの重心に対応する、または
前記第2の制御ロジック(23)は、前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴と、前記神経活動信号記録が取得された日の関連する時間帯とに基づいて、前記第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を推定する時間ベースのファジーコントローラである
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記第1の制御ロジック(22)の前記複数の関数要素のうちの少なくとも1つの関数要素は、前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)に依存する関数であり、好ましくは前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)の線形関数である
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記第1の制御ロジックは、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)が前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)に比例する第1の関数であって、前記第1の関数は前記少なくとも1つの信号特徴の第1の範囲(C<Fi<C)に関連する、第1の関数と、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限(Amax)を定義する第2の関数であって、前記第2の関数は前記少なくとも1つの信号特徴の第2の範囲(Fi>C)に関連する、第2の関数と、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限(Amin)を定義する第3の関数であって、前記第3の関数は前記少なくとも1つの信号特徴の第3の範囲(Fi<C)に関連する、第3の関数とを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記第1の制御ロジック(22)は、
【数1】
前記信号特徴の収集された神経活動信号特徴の第1の時系列の第1の範囲は、収集された神経活動信号特徴の第2の時系列(F)に基づいて前記第2の制御ロジック(23)に従い調整された前記第1の制御ロジック(22)の制御パラメータである上限(C)および下限(C)を含む
請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記処理および刺激ユニット(14)は、予め定義された期間中に記録される前記神経活動信号記録の周波数帯域内のスペクトル特徴を抽出するように構成され、前記周波数帯域は、好ましくは低周波数帯域、アルファ周波数帯域、ベータ周波数帯域またはガンマ周波数である、および
前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴は、前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトル特徴、好ましくは前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーである
請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記第1の制御ロジック(22)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)が前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワー(P)に比例する第1の関数を含み、前記第1の関数は、最小スペクトルパワー(Pmin)と最大スペクトルパワー(Pmax)との間に含まれる第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に関連する
請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記第1の制御ロジック(22)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限値(Amax)を定義する第2の関数であって、前記第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に隣接する第2のパワー範囲(P>Pmax)に関連する第2の関数と、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限値(Amin)を定義する第3の関数であって、前記第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に隣接する第3のパワー範囲(P<Pmin)に関連する第3の関数とを含む
請求項9に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記第1の制御ロジック(22)は、
【数2】
であり、AminおよびAmaxはそれぞれ前記刺激パラメータ(A)の下限および上限であり、前記最小スペクトルパワー(Pmin)および前記最大スペクトルパワー(Pmax)は、前記第2の制御ロジック(23)に従って処理された前記少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて調整された前記第1の制御ロジック(22)の制御パラメータである
請求項9または10に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記バンド上限および前記バンド下限は、平均パワー
から正負に離れた平均標準偏差
の数(k)であり、前記平均パワーおよび前記平均標準偏差は、いずれもスライドする時間周期で計算され、好ましくは前記平均パワー
は、前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーの単純移動平均として、または前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーの指数移動平均として計算される
請求項4を引用する場合の請求項8から11のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記第1の制御ロジック(22)の前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)は、前記神経活動信号記録が取得された日の前記時間帯に基づいて前記第2の制御ロジック(23)によってグループ化された信号特徴の平均値に等しく設定される
請求項4から10のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記処理モジュール(18)は、前記取得モジュール(20)によって取得された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を初期化するようにさらに構成される、
請求項1から13のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記処理および刺激ユニット(14)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限値(Amin)と前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限値(Amax)との間に含まれる刺激パラメータウィンドウを定義するように構成される
請求項1から14のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項16】
神経疾患の適応治療のための装置(10)を制御するための方法(100)であって、
第1の制御ロジック(22)に基づいて、神経疾患の適応的治療のための前記装置(10)の取得モジュール(20)によって記録された神経活動信号記録を処理するステップであって、前記第1の制御ロジック(22)は、前記神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴(Fi)に依存する関数であり、少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)に基づいており、複数の異なる関数要素で構成されており、前記複数の異なる関数要素の各関数要素は、前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)のそれぞれの範囲に関連している、処理するステップと、
前記第1の制御ロジック(22)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータ(A)を調整するステップと、
第2の制御ロジック(23)に基づいて、前記取得モジュール(20)によって記録された神経活動信号記録を処理するステップと、
前記第2の制御ロジック(23)に従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、前記第1の制御ロジック(22)の前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を調整するステップと
を含む、方法(100)。
【請求項17】
前記刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータ(A)は、収集された神経活動信号記録の第1の時系列に基づいて調整され、前記第1の制御ロジック(22)の前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)は、収集された神経活動信号記録の第2の時系列に基づいて調整され、前記第1の時系列が前記第2の時系列よりも短い
請求項16に記載の方法(100)。
【請求項18】
前記第1の制御ロジック(22)の前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)の調整の基準となる、収集された神経活動信号記録の前記第2の時系列が、数分、数時間、数日、数週間または数ヶ月にわたって収集されたパワー時系列である、
請求項17に記載の方法(100)。
【請求項19】
第2の制御ロジック(23)は、ボリンジャーバンド計算器であり、前記第1の制御ロジック(22)の第1の制御パラメータ(C)はバンド上限に等しく設定され、前記第1の制御ロジック(22)の第2の制御パラメータ(C)はバンド下限に等しく設定される、または
前記第2の制御ロジック(23)は、前記第1の制御ロジック(22)の各制御パラメータ(Cj)に対して、その少なくとも1つの信号特徴(Fi)に基づいて前記神経活動信号記録の1つのクラスタを確立する教師なし学習モデルであり、各制御パラメータ(Cj)は、それぞれのクラスタのセントロイドに対応する、または
前記第2の制御ロジック(23)は前記第1の制御ロジック(22)の少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を、前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴と、前記神経活動信号記録が取得された日の関連する時間帯とに基づいて推定する時間ベースのファジーコントローラである。
請求項16から18のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項20】
前記神経活動信号記録を処理するステップは、予め定義された期間中に記録される前記神経活動信号記録の周波数帯域内のスペクトル特徴を抽出することを含み、前記周波数帯域は、好ましくは低周波数帯域、アルファ周波数帯域、ベータ周波数帯域またはガンマ周波数である、および
前記神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴(Fi)は、前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトル特徴、好ましくは前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーである
請求項16から19のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項21】
前記バンド上限および前記バンド下限は、平均パワー
から正負に離れた平均標準偏差
の数(k)であり、前記平均パワーおよび前記平均標準偏差は、いずれもスライドする時間周期で計算され、好ましくは前記平均パワー
は、前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーの単純移動平均として、または前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワーの指数移動平均として計算される
請求項19または20に記載の方法(100)。
【請求項22】
前記第1の制御ロジック(22)の前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)は、前記神経活動信号記録が取得された日の前記時間帯に基づいて前記第2の制御ロジック(23)によってグループ化された信号特徴の平均値に等しく設定される
請求項19から21のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項23】
前記取得モジュール(20)によって取得された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、前記少なくとも1つの制御パラメータ(Cj)を初期化するステップをさらに含む
請求項16から22のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項24】
第1の制御ロジック(22)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限値(Amin)と前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限値(Amax)との間に含まれる刺激パラメータウィンドウを定義する
請求項16から23のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項25】
前記第1の制御ロジック(22)の前記複数の関数要素のうちの少なくとも1つの関数要素は、前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)に依存する関数、好ましくは前記神経活動信号記録の前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)の線形関数である
請求項16から24のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項26】
前記第1の制御ロジックは、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)が前記少なくとも1つの信号特徴(Fi)に比例する第1の関数であって、前記少なくとも1つの信号特徴の第1の範囲(C<Fi<C)に関連する第1の関数と、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限値(Amax)を定義する第2の関数であって、前記少なくとも1つの信号特徴の第2の範囲(Fi>C)に関連する第2の関数と、
前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限値(Amin)を定義する第3の関数であって、前記少なくとも1つの信号特徴の第3の範囲(Fi<C)に関連する第3の関数とを備える
請求項16から25のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項27】
前記第1の制御ロジック(22)は、
【数3】
であり、前記信号特徴の収集された神経活動信号特徴の第1の時系列(F)の前記第1の範囲は、前記第2の制御ロジック(23)に従って収集された神経活動信号特徴の第2の時系列(F)に基づいて調整された前記第1の制御ロジック(22)の制御パラメータである上限(C)および下限(C)を含む
請求項26に記載の方法(100)。
【請求項28】
前記第1の制御ロジック(22)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)が前記周波数帯域内の前記神経活動信号記録のスペクトルパワー(P)に比例する第1の関数を含み、前記第1の関数は、最小スペクトルパワー(Pmin)と最大スペクトルパワー(Pmax)との間に含まれる第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に関連する
請求項20~27のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項29】
前記第1の制御ロジック(22)は、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の上限値(Amax)を定義する第2の関数であって、前記第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に隣接する第2のパワー範囲(P>Pmax)に関連する第2の関数と、前記少なくとも1つの刺激パラメータ(A)の下限値(Amin)を定義する第3の関数であって、前記第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に隣接する第3のパワー範囲(P<Pmin)に関連する第3の関数とを含む
請求項28に記載の方法(100)。
【請求項30】
前記第1の制御ロジック(22)は、
【数4】
であり、AminおよびAmaxはそれぞれ前記刺激パラメータ(A)の下限および上限であり、前記最小スペクトルパワー(Pmin)および前記最大スペクトルパワー(Pmax)は、前記第2の制御ロジック(23)に従って処理された前記少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて調整された前記第1の制御ロジック(22)の第1および第2の制御パラメータである
請求項28または29に記載の方法(100)。
【請求項31】
前記第1の制御パラメータ(Pmax)は、好ましくは薬剤が存在しない状態で、測定された神経活動信号のスペクトルの前記周波数帯域におけるパワーに等しく設定することによって初期化され、前記第2の制御パラメータ(Pmin)は、任意の薬剤または刺激条件における前記神経活動信号のスペクトルにフィッティングされた背景活動スペクトルの前記周波数帯域におけるパワーに等しく設定することによって初期化される
請求項30に記載の方法(100)。
【請求項32】
前記背景活動スペクトルのフィッティングは、ノイズ関数
【数5】
(αは0、1または2に等しい)によって、または前記神経活動信号のフラクタル成分を計算することによって実行される。
請求項31に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に神経疾患の治療分野に関し、特に適応刺激に基づく神経疾患治療装置およびそのような装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲的な電気刺激は、今日では運動障害、精神疾患、疼痛を含むさまざまな神経疾患に対する治療法の選択肢となっている。侵襲的脳刺激装置の例としては、主にパーキンソン病、ジストニア、本態性振戦、てんかん、強迫性障害の治療に用いられる脳深部刺激(DBS)システムや、疼痛管理に用いられる脊髄刺激装置(SCS)などがある。脳深部刺激(DBS)システムは、多くの利点があるため、医療診断や医療治療を含む様々な産業で使用されている。
【0003】
例えば、脳深部刺激は、患者の中枢神経系の神経構造に電気刺激を与え、神経活動を調節できる。従来の脳深部刺激は、多くの場合、あらかじめ定義された刺激設定について医師によってプログラムされ、その設定は時間の経過とともに一定に保たれる。刺激は通常、振幅、パルス幅およびパルス周波数を有する矩形状の電気パルス列から構成されることを考慮すると、刺激設定は、上述のパラメータ(刺激振幅、刺激パルス幅および刺激周波数)の少なくとも1つの値を設定する。しかし、神経疾患は進行性であり、症状が経時的に変動することが多い。したがって、神経疾患に対処し、症状を管理し、治療を正しく漸増させることは、患者の臨床状態を客観的かつ反復的に評価する必要があるため、簡単な作業ではない。例えば、患者の痛覚は定量的に測定することはできないが、定性的な尺度や評価によってのみ測定できる。さらに、痛覚は時間とともに変化する。
【0004】
このような患者には、神経生理学的制御変数に基づいて刺激設定をリアルタイムで調整することにより、症状の変動を補償する適応的で患者特異的な刺激が有効である。しかし、適応的技術の有効性は、神経生理学的信号の安定性に厳密に関わっており、この安定性は、電極-組織界面の劣化や相対的な位置、そして根本的な病態生理学的メカニズムに影響される可能性がある。結論として、適応技術は症状の変動を管理するのには適しているが、疾患の進行や経時的な信号劣化には対応できない。
【0005】
この制限のため、既知の適応的脳深部刺激装置では、適応的制御のロバスト性と有効性を長期にわたって維持することが依然として課題となっている。同様のことが脊髄刺激装置にも当てはまる。したがって、神経疾患の適応治療のための新規かつ改良された装置と、そのような装置を制御する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願人は、上記の問題を克服すること、特に、最適化された刺激を提供する患者に合わせた治療を設定し、長期間維持するために、神経疾患の適応治療のための装置の初期化および長期的な調整の必要性をなくすことを課題とした。
【0007】
本出願人は、上記課題の範囲内で、制御ロジックに従って神経組織を刺激し、刺激に応答して発生する神経信号を収集し、収集した神経信号に基づいて刺激パラメータを調整し、制御ロジックを調整できる装置を考案することを目的とした。
【0008】
従って、本発明の第一の態様は、神経疾患の適応治療のための装置に関し、当該装置は、
神経活動信号を感知し、電気刺激信号を印加するように構成された埋め込み型電極と、
埋め込み型電極に接続された処理および刺激ユニットとを備え、処理および刺激ユニットは少なくとも以下を備える:
埋め込み型電極で伝達される刺激信号を生成するように構成された刺激モジュールであって、刺激信号は少なくとも1つの刺激パラメータによって特徴付けられる、刺激モジュール;
埋め込み型電極によって感知された神経活動信号の神経活動信号記録を記録するように構成された取得モジュール;および
取得モジュールによって記録された神経活動信号記録を第1の制御ロジックに基づいて処理し、第1の制御ロジックに従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、少なくとも1つの刺激パラメータを調整するように構成された処理モジュールであって、第1の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴に依存する関数であり、少なくとも1つの制御パラメータに基づいており、複数の異なる関数要素で構成され、複数の異なる関数要素の各関数要素は、少なくとも1つの信号特徴のそれぞれの範囲に関連している、
ここで、処理モジュールは、取得モジュールによって記録された神経活動信号記録を第2の制御ロジックに基づいて処理し、第2の制御ロジックに従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、第1の制御ロジックの少なくとも1つの制御パラメータを調整するように構成される。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「複数の異なる関数要素からなる関数(function made of a plurality of different function pieces)」という表現は、区分関数、すなわち、複数の部分関数によって定義される関数を指すことを意図しており、各部分関数は、領域内の異なる区間に適用される異なる関数要素である。
【0010】
本出願人は、取得した神経活動信号に基づいて第1の制御ロジックを特徴付ける制御パラメータを反復的に調整することにより、治療を開始する際に脳深部刺激装置を自己初期化し、自己調整すること、および最適化された刺激を頑健かつ長期間持続させることの両方が可能になることを発見した。
【0011】
本出願人は、患者の症状の変動はリアルタイムで起こるが(1日以内の出来事)、疾患の進行と電極-組織界面における変化は、より長い時間枠で起こる(何日か、何週間か、何ヶ月か)ことに注目した。したがって、第1の制御ロジックの制御パラメータの調整は、刺激パラメータを調整するために使用されるリアルタイムの変動とは対照的に、神経活動信号によって経験されるより遅い変動傾向に基づいて行われる必要がある。
【0012】
出願人はまた、静的な制御パラメータに基づいてリアルタイムで刺激パラメータを駆動することを目的とする制御ロジックでは、長期的なロバスト性の要件を十分に満たすことができないことに留意した。従って、出願人は、電極-組織界面の変化及び/又は疾患の進行に関連する長期的な信号変化を考慮するためには、調整可能な制御パラメータが必要であることに気付いた。
【0013】
上記の全ては、特に、区分関数(複数の異なる関数要素からなる関数)に基づく制御ロジックの場合に適用され、すなわち、当該技術分野において知られているように、複数のサブ関数によって定義される関数であり、各サブ関数は、ドメイン内の異なる区間に適用される。当技術分野で知られているように、神経疾患の適応的治療に適用される区分制御ロジックの異なるドメイン区間は、薬物療法および/または刺激がない場合とある場合の患者の状態に基づいて選択され、強く依存する。
【0014】
本出願人は、このような条件は時間と共に一定ではなく、それどころか、より長い時間(数日、数週間、数ヶ月)の間に変化する可能性があり、そのため、選択された区分制御ロジックは、刺激パラメータのリアルタイム設定に最適ではないことに注目した。
【0015】
本発明の第二の態様は、神経疾患の適応的治療のための装置を制御する方法に関し、当該方法は、以下のステップを含む:
第1の制御ロジックに基づいて、神経疾患の適応的治療のための装置の取得モジュールによって記録された神経活動信号記録を処理するステップであって、第1の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴に依存する関数であり、少なくとも1つの制御パラメータに基づいており、複数の異なる関数要素で構成されており、複数の異なる関数要素の各関数要素は、少なくとも1つの信号特徴のそれぞれの範囲に関連している、第1の制御ロジックに基づいて神経活動信号記録を処理するステップ;
第1の制御ロジックに従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータを調整するステップ;
第2の制御ロジックに基づいて、取得モジュールによって記録された神経活動信号記録を処理するステップ;および
第2の制御ロジックに従って処理された少なくとも1つの神経活動信号記録に基づいて、第1の制御ロジックの少なくとも1つの制御パラメータを調整するステップ。
【0016】
有利には、神経疾患の適応治療のための装置を制御するための方法は、本発明による神経疾患の適応治療のための装置を参照して説明した利点と同じ利点を達成する。
【0017】
本発明は、以下の好ましい特徴の少なくとも1つを有し得る。後者(the latter)は特に、特定の実施上の必要性を満たすために、所望に応じて互いに組み合わせることができる。
【0018】
一般に、いくつかの変形例において、処理及び刺激ユニットは、患者に検出可能な臨床的利益を生じさせる少なくとも刺激パラメータAminの最小値(振幅、パルス幅、周波数、またはそれらの組み合わせ)と、患者に副作用を生じさせる前の最大刺激パラメータAmax(振幅、パルス幅、周波数、またはそれらの組み合わせ)との間で構成される刺激パラメータウィンドウを定義するようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態では、刺激パラメータウィンドウ(Amax、Amin)は非調整パラメータとして入力できる。
【0019】
有利なことに、特定の刺激パラメータ値の代わりに刺激パラメータウィンドウを設定することで、医師が行う初期化段階が容易になり、加速される。
【0020】
いくつかの変形例では、刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータは、第1の制御ロジックの少なくとも1つの制御パラメータが調整される収集された神経活動信号記録の時系列よりも短い、収集された神経活動信号記録の時系列に基づいて調整される。
【0021】
このようにして、1日未満の範囲で起こる患者の症状の変動と比較して、はるかに長い時間枠(数日、数週間または数ヶ月)で起こる疾患の進行と電極-組織界面の変化を補償することが可能になる。したがって、収集された神経活動信号記録のより長い時系列を考慮する第2の制御ロジックに従って第1の制御ロジックの制御パラメータを調整することにより、電極-組織界面の変化および/または疾患の進行に関連する長期的な信号変化を考慮できる。
【0022】
いくつかの変形例では、第1の制御ロジックの複数の関数要素の少なくとも1つの関数要素は、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴Fi(i=1,...,N)に依存する関数であってもよい。複数の関数要素のうちの少なくとも1つの関数要素は、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴Fiの線形関数であってもよい。
【0023】
第1の制御ロジックは、収集された神経活動信号特徴の第1の時系列Fのa(a of a first timeseries of collected neural activity signal features F1)に関して、刺激パラメータAが信号特徴Fに比例する第1の関数を含んでよい。第1の関数は、第1の収集された時系列の神経活動信号特徴の第1の範囲(C<F<C)に関連し得る。第1制御ロジックは、刺激パラメータAの上限値Amaxを定義する第2の関数を含んでいてもよい。第2の関数は、信号特徴量の第2の範囲(F>C)に関連していてもよい。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの下限値Aminを定義する第3の関数をさらに含み得る。第3の関数は、信号特徴の第3の範囲(F<C)に関連し得る。刺激パラメータAの上限及び下限は、刺激パラメータウィンドウ(Amax、Amin)を定義できる。
【0024】
第一の制御ロジックは以下の通りであり得る:
【数1】
【0025】
この場合、第1の制御ロジックは、第1の制御パラメータCおよび第2の制御パラメータCによって特徴付けられ、第1の制御パラメータCおよび第2の制御パラメータCは、収集された神経活動信号特徴の第1の時系列Fのための第1の範囲を定義し、第2の制御ロジックに基づいて、特に収集された神経活動信号特徴の第2の時系列Fに基づいて調整され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、埋め込み型デバイスの処理および刺激ユニットは、さらに、所定の期間に記録された神経活動信号記録の周波数帯域内のスペクトル特徴を抽出するように構成されてもよい。周波数帯域は、低周波数帯域、アルファ周波数帯域、またはベータ周波数帯域およびガンマ周波数であってもよい。周波数帯域は、抽出されたスペクトル特徴のピークを識別し、周波数帯域をピークの周りの、好ましくはピークを中心とした周波数範囲として定義することによって決定されてもよい。いくつかのバリエーションでは、周波数帯域は、プリセット(ハードコード)されるか、または調整不可能なパラメータとして入力されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特性は、周波数帯域内の神経活動信号記録のスペクトル特性、好ましくは周波数帯域内の神経活動信号記録のスペクトルパワーであってもよい。
【0028】
したがって、第1の制御ロジックは、刺激パラメータAが周波数帯域の信号のパワーPに比例する第1の機能を備えていてもよい。第1の関数は、第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に関連してもよい。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの上限Amaxを定義する第2の関数を備えていてもよい。第2の関数は、第2のパワー範囲(P>Pmax)に関連してもよい。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの下限Aminを定義する第3の関数をさらに備えていてもよい。第3の関数は、第3のパワー範囲(P<Pmin)に関連してもよい。
【0029】
したがって、第1の制御ロジックは次のようになり得る:
【数2】
【0030】
この場合、第1の制御ロジックは、最大スペクトルパワーPmaxに対応する第1の制御パラメータと、最小スペクトルパワーに対応する第2の制御パラメータとによって特徴付けられる。第1および第2の制御パラメータは、第2の制御ロジックに基づいて、特に、周波数帯域における信号のパワーPの、刺激パラメータAが調整される時系列とは異なる時系列に基づいて調整され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の制御パラメータPmaxは、好ましくは投薬がない状態で測定された神経活動信号のスペクトルの周波数帯域のパワーに等しく設定することによって初期化でき、第2の制御パラメータPminは、任意の投薬または刺激条件における神経活動信号のスペクトルに適合させた背景活動スペクトルの周波数帯域のパワーに等しく設定することによって初期化できる。
【0032】
背景活動スペクトルは、神経活動信号のスペクトルを以下のノイズ関数:
【数3】
すなわちホワイトノイズ(α=0)またはピンクノイズ(α=1)またはレッドノイズ(α=2)としてフィッティングすることによって、または神経活動信号のフラクタル成分を計算する(それによって非振動部分と振動部分を分離する)ことによって推定できる。
【0033】
いくつかの変形例では、第2の制御ロジックは、ボリンジャーバンド計算として実装されることがあり、第1の制御パラメータPmaxはバンド上限に等しく設定され、第2の制御パラメータPminはバンド下限に等しく設定される。バンド上限とバンド下限の両方が、分、時間、日、週、または月にわたって収集されたパワー時系列に基づいて計算される可能性がある。ボリンジャーバンドの計算は、30分、1時間、1日、1週間など、任意の期間の単純移動平均に基づくことができる。ボリンジャーバンドは、指数移動平均に基づいて計算することもできる。ボリンジャーバンドの上限と下限は、移動平均から(正負の)標準偏差の数kとできる。
【0034】
好ましい実施形態では、周波数帯域の平均パワー
および平均標準偏差
は、時間周期をスライドさせて計算できる。
【0035】
好ましい実施形態では、ボリンジャーバンドの上限と下限は以下のように計算される:
【数4】
【数5】
k={1,...,5}とする。
【0036】
有利なことに、ボリンジャーバンド計算は、第1および第2の制御パラメータPmaxおよびPminの時間相対的な設定を提供し、それによって第1の制御ロジックの自己調節を可能にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2の制御ロジックは、少なくとも1つの信号特徴に基づいて神経活動信号記録のクラスタを確立する教師なし学習モデルであってもよい。教師なし学習モデルは、K平均クラスタリング法として実施できる。K平均クラスタリング法は、各クラスタの重心からの信号特徴の距離に基づいて信号レコードをKクラスタに割り当てることができ、Kはクラスタの総数に対応するハイパーパラメータである。
【0038】
いくつかの実施形態では、神経活動信号記録(neural activity signal records)の少なくとも1つの信号特徴は、神経活動信号の各記録(each record)について計算された周波数帯域のスペクトルパワーであってもよく、クラスタの数は、それぞれのクラスタの重心に対応する制御パラメータPmaxおよびPminで2つであってもよい。
【0039】
いくつかの変形例では、教師なし学習モデルは、排他的(例えばK平均)、重複(例えばファジーK平均)、階層的または確率的(例えばガウス混合モデル)クラスタリングモデルとして実装できる。クラスタ数は、予め定義されるか(例えば2クラスタ)、神経活動信号記録の取得中および/または取得後に設定される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴および神経活動信号記録が取得された1日の関連する時間帯(time slot)に基づいて、第1の制御ロジックの制御パラメータの新しいセットを推定する時間ベースのファジーコントローラであってもよい。時間ベースのファジィコントローラは、それぞれの神経活動信号が記録された時間帯に基づいて、記録された神経活動信号の少なくとも1つの信号特徴をグループ化し、処理できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴は、神経活動信号の各記録について計算された周波数帯域のスペクトルパワーであってもよく、制御パラメータPmaxおよびPminは、スペクトルパワー値の第1および第2のグループのスペクトルパワー値の平均値に等しくてもよく、スペクトルパワー値の各グループは、1日のそれぞれの時間帯の間に記録された神経活動信号に関するスペクトルパワー値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による神経疾患の適応治療のための例示的装置の概略図である;
図2図2は、本発明の好ましい実施形態による神経疾患の適応的治療のための装置を制御する方法によって実施される閉ループ制御ロジックのブロック図である;
図3A図3Aは、本発明による適応的脳深部刺激装置によって実施される第2の制御ロジックの例示的な実施形態のブロック図である;
図3B図3Bは、本発明による適応的脳深部刺激装置によって実施される第2の制御ロジックの例示的な実施形態のブロック図である;
図3C図3Cは、本発明による適応的脳深部刺激装置によって実施される第2の制御ロジックの例示的な実施形態のブロック図である;
図4A図4Aは、本発明の第1の実施形態による神経疾患の適応治療のための装置を制御するための方法のフローチャートである;
図4B図4Bは、本発明の第2の実施形態による神経疾患の適応治療のための装置を制御するための方法のフローチャートである;
図5図5は、本発明による神経疾患の適応治療のための装置を制御する方法の初期化ルーチンのフローチャートである;
図6図6は、神経信号および背景活動のスペクトルのグラフである;
図7図7は、神経疾患の適応治療のための例示的な装置および関連する患者個人用コントローラ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図および以下の説明において、同一の参照数字または記号は、同一の機能を有する構成要素を示すために使用される。さらに、図示を明瞭にするために、いくつかの参照数字がすべての図において繰り返されていない可能性がある。本発明の実施例および変形例が本明細書に表現され、説明されているが、本発明を以下に説明される特定の実施例および変形実施形態に限定する意図はなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲に定義される本発明の保護範囲に入るすべての変更または代替および等価な実施態様をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。
【0044】
「例示」、「等」、「または」等の表現は、明示的に異なる指示がない限り、限定することなく非排他的な選択肢を示す。「備える」および「含む」のような表現は、明示的に異なる指示がない限り、「備え、または含むが、これらに限定されない」の意味を有する。さらに、全体を通して言及される「モジュール」は、本明細書に記載される1つまたは複数の機能を実行するように配置および接続される電気回路および/または電気部品のアセンブリを指す場合があり、および/または、本明細書に記載される機能を実行するようにプログラムされる特殊用途コンピュータを指す場合がある。
【0045】
図1を参照すると、神経疾患を適応的に治療する装置の1つのバリエーションが示されており、全体が10で示されている。
【0046】
特に、図1に示す装置は、刺激電極または隣接電極から生体電位(例えば、局所電位、すなわちLFP)を検出し、そのような信号を刺激効果に相関させるため、および/または患者の治療を容易にするために刺激パラメータを適応させるために構成される適応型脳深部刺激に適している。
【0047】
神経疾患の適応治療装置10は、電気刺激を与えるために患者の脳に埋め込まれるように構成された少なくとも1つのプローブまたは電気カテーテル11を含む。プローブまたは電気カテーテル11は、電極12とも呼ばれる外部接続を介してアクセス可能な少なくとも3つの金属接点またはリード線を含むことがある。しかし、他の変形例では、電極は同じ電気カテーテル上に配置されないことがある(例えば、適応DBS用装置は2つ以上の電気カテーテルを含むことがあり、電極は2つの異なる電気カテーテル上に配置されることがある)。
【0048】
神経疾患の適応治療のための装置10は、1つまたは複数の埋め込み型(implantable)プローブを備えることができ、各プローブは1つまたは複数の電極を備えることができる。装置10はまた、埋め込み型プローブの各々用のコネクタまたはプローブ延長部(extension)を備えることができる。プローブ(例えば、プローブ11)は、遠位部分および近位部分を有し得る。1つまたは複数の電極(電気刺激を与えるため、および/または神経活動データ取得のため)が遠位部分に配置され、1つまたは複数のコネクタ接点が近位部分に配置され、プローブ内の1つまたは複数のワイヤが電極とコネクタ接点とを電気的に接続する。プローブ11は、例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36、48、64、96などの任意の数の電極12と、対応する数のコネクタ接点とから構成できる。プローブ延長部は、1つ以上の導電性コンタクトを囲むレセプタクルハウジングを有するコネクタブロックを有する遠位部分と、刺激装置(例えば、装置10)コネクタコンタクトを有する近位部分であって、刺激装置コネクタ接点の各々が1つ以上のワイヤを介してレセプタクルハウジング内の導電性接点に対応する近位部分と、近位部分と遠位部分との間の細長い本体とを有し得る。プローブ延長部は、例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36、48、64、96等の任意の数の導電性接点と、対応する数の刺激装置コネクタ接点とから構成できる。プローブ延長部の導電性コンタクトの数は、プローブ延長部が接続されるプローブ上の電極の数と同じであってもよいし、それ以上であってもよい。プローブの遠位部分は、標的脳領域に埋め込み可能であり、プローブの近位部分は、脳組織の外側に延び、プローブ延長部の遠位部分と接続できる。プローブ延長部のレセプタクルハウジングは、プローブのコネクタ接点がプローブ延長部の導電性接点と電気的に接続し、プローブの遠位部分の電極がプローブ延長部の近位部分の刺激装置コネクタ接点と電気的に結合するように、プローブの近位部分を保持するように構成できる。刺激装置コネクタ接点は、処理及び刺激ユニット14のポート又はコネクタ(例えば、ヘッダインターフェース)に結合されるように構成できる。いくつかの変形例では、レセプタクルハウジングは、プローブの近位部分をレセプタクルハウジング内に係合または保持するための取り付け機構を含んでいてもよい。オプションとして、プローブ延長部は、プローブのコネクタ接点およびプローブ延長部の導電性接点を周囲の組織から電気的に絶縁するのを助けるために、レセプタクルハウジングの少なくとも一部を覆って配置される電気絶縁材料からなるコネクタスリーブまたはブーツを含んでいてもよい。プローブ延長部の細長い本体は、遠位部分と近位部分との間で一定の直径を有していてもよいし、その長さに沿って変化する直径を有していてもよい。例えば、細長い本体のセグメントの直径は、そのセグメントが脳組織と頭蓋骨または皮膚との間の界面に位置することが意図される場合には、より大きく(例えば、より厚く)できる。これにより、プローブ延長部の細長い本体内のワイヤの過度のねじれ、トルク、および/または曲げを減少させることができ、ワイヤの機械的摩耗を減少させ、および/またはプローブ延長部の使用可能寿命を延長させることができる。
【0049】
図1に描かれている神経疾患の適応治療のための装置10は、4つの金属接点または電極12を有するプローブ11を含んでいるが、プローブの他の変形例は、任意の数の電極(例:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、16、18、20、25、30、36、48、またはそれ以上)を含み得る。前述したように、神経学的疾患の適応治療のための装置10は、任意の数のプローブ(例えば、2つ以上)を含み得、ここで、各プローブは、任意の数の電極を有し得る。例えば、神経疾患の適応治療のための装置10は、第1の電極を有する第1のプローブと、第2の電極を有する第2のプローブとを含み得る。使用時には、第1のプローブは第1の脳領域に埋め込まれ、第2のプローブは第2の脳領域(例:両側刺激の場合)に埋め込まれることがある。別の変形例では、神経疾患の適応治療のための装置10は、2つのプローブを含むことがあり、各プローブは、4つの電極(合計8チャンネル)を有することがあり、または8つの電極(合計16チャンネル)を有することがある。
【0050】
一変形例では、プローブ11は、第1の電極が電気刺激を与える刺激電極であり、第2の電極が神経活動信号を取得する測定電極である複数の電極を含み得る。例えば、第1の複数の電極(互いに隣接していてもいなくてもよい)を刺激に使用し、第2の複数の電極(これらの電極は、互いに隣接していても、隣接していなくてもよく、あるいは、第1の複数の電極と交互に配置されていてもよい)を神経活動信号の取得に使用できる。代替的または追加的に、同じ電極(複数可)を神経活動信号の取得と電気刺激の両方に同時にまたは順次に使用できる。DBSプローブは、高さが約0.5mm~約3mm、例えば約1.5mmで、直径が約0.5mm~約2mm、例えば約1.27mmである1つ以上の円筒形または円盤形の電極から構成できる。いくつかの変形例では、DBSプローブは2つ以上の円筒形電極(例えば、2個、4個、6個、10個、12個、15個、16個、20個などの電極を使用する)を含むことがある。代替的または追加的に、DBSプローブは、標的神経構造または脳領域に基づいて少なくとも部分的に選択された形状を有する平面電極および/または鋭利な電極を含んでもよい。2つの電極間の間隔は、約0.25mmから約2mm、例えば約0.5mmとでき、任意に、電極間の電気的結合またはクロストークを低減するために、2つの電極間および/または電極の周囲に絶縁体を配置できる。絶縁体は、例えば、ポリウレタンおよび/またはポリイミド等を含むことができる。電極は、任意の金属または任意の金属合金、例えば、白金-イリジウム合金で作ることができる。
【0051】
図1に示された実施形態では、電極12は、フィードバックおよび相互動作構成で互いに接続された3つの機能モジュール、すなわち、刺激モジュール16、データ収集モジュール20および処理モジュール18を含む処理および刺激ユニット14に接続されている。処理および刺激ユニット14は、神経疾患の適応的治療のための装置10の埋め込み可能部分10aに完全に含まれてもよいし、埋め込み可能部分10aと外部部分10bとの間に分散させることもできる。この第2の場合、未加工および/または処理された神経活動信号記録は、埋め込み可能部分10aから外部部分10bに無線伝送され、その逆も同様である。外部部分10bは、患者個人用コントローラ装置として実施できる。神経疾患適応治療装置10の埋め込み可能部分10aおよび外部部分10bは、以下に詳細に説明され、図7に概略的に描かれている。
【0052】
一変形例では、処理及び刺激ユニット14は16個のチャネルを含んでもよく、これらは、各々8個の電極を有する2個のプローブ、又は各々4個の電極を有する4個のプローブ、又は各々2個の電極を有する8個のプローブ等に接続されてもよい。チャネルよりも電極が少なくてもよく、例えば、処理および刺激ユニット14は16チャネル(例えば、16本の刺激用電極および/またはLFP取得用電極などである)を収容するように構成されていてもよいが、神経疾患の適応的治療のための装置10またはDBSシステムの特定の実施例は、8つの電極(例えば、4つの電極を持つ2つのプローブ)または4つの電極(例えば、4つの電極を持つ単一のプローブ)を含んでもよい。
【0053】
刺激モジュール16は、刺激信号を生成し、電極12に送信するために採用される。刺激モジュール16は、電圧源および/または電流源と、ユーザおよび/またはコントローラによって決定された特定のパラメータ値を有する電気パルスを生成するように構成された回路とを含む、パルスまたは関数発生器を含むことがあり、また、電気パルスを脳領域に送達するプローブに電気パルスを伝達するワイヤを含むこともある。
【0054】
いくつかの変形例では、刺激モジュールは、波形発生器(例:パルス生成器、関数生成器)、電流制御器、およびマルチプレクサを含むことがあり、これらのうちの1つ以上は、処理モジュール18から指令信号(command signals)を受信するように構成されることがある。指令信号は、刺激振幅、パルス幅、パルス周波数、デューティサイクル、及び/又は、指定されたパラメータによる電気刺激が供給されるべき特定のプローブ(複数可)及び/又は電極(複数可)を含むが、これらに限定されない電気刺激パラメータデータを含み得る。電流制御器は、指令信号によって指定された電気刺激振幅を設定するように構成されることがあり、及び/又は、波形発生器は、指令信号によって指定されたパルス幅及び/又はパルス周波数を有する電流パルス又は電圧パルスを発生するように構成されることがある。マルチプレクサは、指令信号によって指定されたプローブ及び/又は電極を電流制御器及び/又は波形発生器と電気的に接続するように構成される場合がある。いくつかの変形例では、マルチプレクサは、波形発生器からの電気パルスが選択されたプローブおよび/または電極に向けられるように、メインプロセッサからの指令信号に従って構成されるマルチプレクサアレイを含み得る。波形発生器と電極との間の接続は、マルチプレクサによって単極刺激構成および/または双極刺激構成に配置できる。単極構成では、(リターンパッドを患者の別の場所に置き)1つまたは複数の電極が波形発生器の1つまたは複数のアクティブ(例えば、正)端子に接続され得る。双極構成では、1つ又は複数の電極の第1のセットは、波形発生器の1つ又は複数のアクティブ(例えば、正)端子に接続され、一方、1つ又は複数の電極の第2のセット(例えば、第1の電極セットとは異なる)は、波形発生器の1つ又は複数のリターン(例えば、負)端子に接続され得る。
【0055】
いくつかの変形例では、刺激モジュール16は、パラメータのセットによって特徴付けられ得る刺激信号を生成し、刺激信号を電極12の1つ以上に送信するように構成され得る。例えば、刺激モジュール16は、ユーザ及び/又は処理モジュールによって指定されたパラメータを有する電気信号を生成する電流源(及び/又は電圧源)を有するパルス発生器を備え得る。いくつかの変形例では、パルス発生器は、指定された振幅、周波数および/またはパルス幅または持続時間値を有する出力パルスを形成できる。任意選択で、パルス発生器は、ユーザおよび/または処理モジュール18によって指定されたデューティサイクルで繰り返される2つのパルスまたは複数のパルスを有するパルスシーケンスを生成してもよく、処理モジュール18は、取得された神経活動信号の1つまたは複数の特性(例えば、本明細書に記載されるパターンまたは特性のいずれか)に従ってパルスデューティサイクルを調整してもよい。
【0056】
データ取得モジュール20は、患者の脳から来る大脳活動を代表する信号、例えば、プローブ11が植え込まれた脳領域における大脳活動を代表し得るLFP信号の取得を担当する。取得モジュール20は、プローブ11と電気的に通信しており、プローブ11は、変形例では、脳領域を電気的に刺激するために使用されるのと同じプローブである場合がある。取得モジュール20および/またはプローブ11は、プローブ11に近接する脳領域の活動から生じる局所電位(LFP)などの神経活動信号を取得するように構成される場合がある。取得モジュール20は、取得プロセッサと、取得された神経活動信号を記憶および解析するメモリとを備えることができる。
【0057】
処理モジュール18は、取得モジュール20によって取得された信号に基づいて、刺激モジュール16の適応制御を実施する。処理モジュールは、取得モジュール20と刺激モジュール16との間の通信を容易にし、取得モジュール20と刺激モジュール16との間の信号伝達を調整し、および/または取得された神経活動信号に対して追加の計算を実行するように構成された回路を有し得る。
【0058】
処理モジュール18は、取得モジュール又は刺激モジュールのいずれかの一部であってもよいし、別個のモジュールであってもよい。いくつかの変形例では、処理モジュールは、取得モジュール(例えば、神経活動を示すLFP信号に基づく)からの信号に基づいて刺激モジュールの動作を調節/調整するように構成された回路を備える。処理モジュールは、取得された神経活動信号及び/又は取得モジュールからの信号を分析及び記憶するモジュール(主)プロセッサ及びメモリを有し得る。いくつかの変形例では、処理モジュールは、例えば、取得モジュール及び/又は取得された神経活動信号によって決定された電気刺激パラメータと協調して、刺激モジュールに供給される電力を調節する回路を備えることができる。電気刺激の特性又はパラメータは、取得モジュール及び/又は処理モジュールによって決定できる。例えば、取得モジュールおよび/または処理モジュールのプロセッサは、取得および/または保存された神経活動信号を分析して、神経活動信号のパターンまたは特性の変動または変化を特定できる。処理モジュールは、取得モジュールによって検出または抽出された神経活動信号の変化に応じて電気刺激のパラメータを変更するために、刺激モジュールのパルス発生器に指令信号を提供できる。また、処理モジュールは、電池(例:充電式バッテリー)と、電池に残っている電荷を充電および/または測定するように構成された回路とを備えることができる。例えば、処理モジュールは、再充電可能な電池と、電池を充電するための誘導リンクと、外部充電装置と刺激装置(患者に埋め込むことができる)との間のエネルギー伝達を容易にするための誘導コイルとを備えることができる。任意選択で、処理モジュールは、埋め込み型刺激装置と外部装置との間の信号伝送のためのRFチップ及びRFアンテナを含む無線伝送インターフェース(例えば、トランシーバ)を含むことがある。いくつかの変形例では、取得モジュールは、取得された神経活動信号のスペクトルパワー値を計算するように構成されたプロセッサを含んでいてもよく、計算されたパワー値は、処理モジュールに送信されてもよく、処理モジュールのプロセッサは、パワー値に従って刺激パラメータを導出し、電気刺激のパラメータを適応または調整するためにパルス発生器に一般的な指令信号を送信するように構成されていてもよい。任意に、処理モジュールは、電源管理、電極インピーダンスチェック、及び/又は刺激モジュールの較正及び/又は診断分析(例えば、トラブルシューティング)のために構成された回路を有する付加的なサブモジュールを含むことができる。
【0059】
図1の取得モジュール20に戻ると、その主な機能は、共通電極17を参照する電位間の差を直接感知して局所生体電位の電界変動を測定し、信号処理に必要なアナログ/デジタル変換に有用な電圧レベルに達するように、そのような差を増幅することである。
【0060】
したがって、取得モジュール20は、プローブ11上の異なる電極12に各々接続される入力ポートと、入力ポートからの信号に基づいて局所生体電位または局所電位(LFP)の電界変動を測定するように構成される電気回路とを備えることができる。取得モジュールの電気回路は、計算演算を実行するように構成され得る1つまたは複数の処理ユニットまたはプロセッサ(例えば、CPU、および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ、および/または1つまたは複数の特定用途向け集積回路)、1つまたは複数のメモリ素子、1つまたは複数の増幅器、1つまたは複数のフィルタ、および/または1つまたは複数のアナログ/デジタル変換器を備え得る。
【0061】
図2は、処理および刺激ユニット14の取得モジュール20および処理モジュール18によって実施される動作を示す機能ブロック図である。前述したように、ブロック21において、取得モジュール20は、取得された神経活動信号の信号特徴のセット、例えば、スペクトルパワー値を計算できる。スペクトルパワー値は、処理モジュール18に送信されてもよく、処理モジュールプロセッサは、電気刺激のパラメータを適応または調整するための刺激パラメータを導出するために、受信したスペクトルパワー値に第1の制御ロジック(ブロック22で示される)を適用してもよい。
【0062】
ブロック22の第1の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴Fi(i=1,...,N)に依存する関数であってよく、少なくとも1つの制御パラメータCj(j=1,...,M)に基づいていてよい。第1の制御ロジックは、複数の異なる関数で構成されてもよく、複数の異なる関数要素の各関数要素は、少なくとも1つの信号特徴Fiのそれぞれの範囲に関連する。複数の関数要素の少なくとも1つの関数要素は、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴Fiに依存する関数であってもよい。複数の関数要素のうちの少なくとも1つの関数要素は、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴Fiの一次関数であってもよい。複数の関数要素のうちの少なくとも1つのさらなる関数要素は、定数値であってもよい。
【0063】
例えば、1つの実施態様において、第1の制御ロジックは、収集された神経活動信号特徴の第1の時系列Fのaに関して、刺激パラメータAが信号特徴Fに比例する第1の関数を含むことができる。第1の関数は、第1の収集された時系列の神経活動信号特徴の第1の範囲(C<F<C)に関連することがある。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの上限値Amaxを定義する第2の関数を含んでもよい。第2の関数は、信号特徴の第2の範囲(F>C)に関連してもよい。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの下限値Aminを定義する第3の関数をさらに含み得る。第3の関数は、信号特徴の第3の範囲(F<C)に関連し得る。刺激パラメータAの上限及び下限は、刺激パラメータウィンドウ(Amax、Amin)を定義できる。
【0064】
従って、第1の制御ロジックは以下のようになり得る:
【数6】
【0065】
この場合、第1の制御ロジックは、収集された神経活動信号特徴の第1の時系列Fのための第1の範囲を定義し、第2の制御ロジックに基づいて、特に第2の制御ロジックに従って処理された収集された神経活動信号特徴量の第2の時系列Fに基づいて調整され得る第1の制御パラメータCおよび第2の制御パラメータCによって特徴付けられる。
【0066】
例えば、1つの実施態様において、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴は、周波数帯域内のスペクトル特徴、好ましくは周波数帯域内の神経活動信号のパワーであってもよい。周波数帯域は、低周波数帯域、アルファ周波数帯域、またはベータ周波数帯域およびガンマ周波数であってもよい。周波数帯域はプリセット(ハードコード)されていてもよいし、調整不可能なパラメータとして入力されていてもよい。
【0067】
したがって、第1の制御ロジックは、刺激パラメータAが周波数帯域における信号のパワーに比例する第1の関数を含み得る。第1の関数は、第1のパワー範囲(Pmin<P<Pmax)に関連することがある。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの上限値Amaxを定義する第2の関数を含んでいてもよい。第2の関数は、第2のパワー範囲(P>Pmax)に関連していてもよい。第1の制御ロジックは、刺激パラメータAの下限値Aminを定義する第3の関数をさらに含んでもよい。第3の関数は、第3のパワー範囲(P<Pmin)に関連する。
【0068】
この実装では、第一の制御ロジックは以下のようになり得る:
【数7】
【0069】
この場合、第1の制御ロジックは、最大スペクトルパワーPmaxに対応する第1の制御パラメータと、最小スペクトルパワーPminに対応する第2の制御パラメータによって特徴付けられる。
【0070】
いくつかの実装では、少なくとも1つの信号特徴は、信号振幅、信号位相、エントロピー、信号間または信号内のコヒーレンス、位相間または位相内の振幅カップリング、フラクタルスペクトル、フラクタル次元、位相ロック値(phase locking value)、変調指数、尖度、変動指数などのうちの1つ、または任意の組み合わせであり得る。
【0071】
処理モジュールは、取得モジュールから受信した神経活動信号記録を第2の制御ロジック(ブロック23に示す)に基づいて処理し、第2の制御ロジックに従って処理された神経活動信号記録に基づいて、ブロック22の第1の制御ロジックの少なくとも1つの制御パラメータPmin,Pmaxを調整するようにさらに構成できる。
【0072】
図3Aから図3Cは、処理モジュール18が、第1の制御ロジックを特徴付ける制御パラメータPmin,Pmaxを調整するために使用できる第2の制御ロジック23の例である。
【0073】
図3Aの例では、第2の制御ロジックはボリンジャーバンド計算として実装され、第1の制御パラメータPmaxはバンド上限(upper band limit)に等しく設定され、第2の制御パラメータPminはバンド下限(lower band limit)に等しく設定される。バンド上限およびバンド下限はいずれも、分、時間、日、週、または月にわたって収集されたパワー時系列に基づいて計算される可能性がある。
【0074】
ボリンジャーバンドの計算は、30分、1時間、1日、1週間など、任意の期間の単純移動平均に基づいて行うことができる。ボリンジャーバンドは、指数移動平均に基づいて計算することもできる。ボリンジャーバンドの上限と下限は、移動平均から(正負の)標準偏差の数kとできる。
【0075】
周波数帯域の平均パワー
および平均標準偏差
は、第2の制御ロジックによって、スライドする時間周期(sliding time periods)、例えば24時間のスライドする時間周期で計算されることがある。従って、24時間後、時間ステップごと(例えば、1分ごと)に、処理モジュールは、過去24時間の間に収集されたデータに基づいて、ボリンジャーバンドの上限値および下限値を計算できる。
【0076】
ボリンジャーバンドの上限と下限は次のように計算できる:
【数8】
【数9】
k={1,...,5}とする。
【0077】
移動平均と標準偏差の計算期間と、係数kで与えられるボリンジャーバンドの幅は、ボリンジャーバンド計算のハイパーパラメータである。
【0078】
いくつかの変形例では、ボリンジャーバンド演算は、閾値を定義して動的に調整可能な第1の制御ロジックの制御パラメータに適用され得る。第1の制御ロジックは、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴の閾値に基づいて、刺激のオンとオフを切り替える制御を行うことができる。閾値は、ボリンジャーバンドの上限値または下限値として計算できる。
【0079】
図3Bの例では、第2の制御ロジック23は、少なくとも1つの信号特徴に基づいて神経活動信号記録のクラスタを確立する教師なし学習モデルとして実装できる。教師なし学習モデルは、K平均クラスタリング法として実装できる。K平均クラスタリング法は、各クラスタの重心からの信号特徴の距離に基づいて信号記録をKクラスタに割り当てることができ、Kはクラスタの総数に対応するハイパーパラメータである。
【0080】
一例として、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴は、神経活動信号の各記録について計算された周波数帯域のスペクトルパワーであってもよく、クラスタの数は、それぞれのクラスタの重心(centroid)に対応する制御パラメータPmaxおよびPminで2つであってもよい。したがって、算出されたスペクトルパワーのうち、クラスタのセントロイドに近いものが対応するクラスタに分類される。各セントロイドの値は、計算されたスペクトルパワーを各クラスタに割り当てた後に更新される。初期化ステップで決定される制御パラメータPmaxおよびPminは、クラスタ重心の開始値を提供し、それぞれのクラスタに追加される計算されたスペクトルパワー値に応じて反復的に変化する。これにより、記録された神経活動信号の発達に基づいて、制御パラメータPmaxおよびPminを経時的に調整できる。あるいは、重心の値をランダムに初期化することもできる。
【0081】
いくつかの変形例では、教師なし学習モデルは、排他的(例えば、k平均)、重複(例えば、ファジーk平均)、階層的または確率的(例えば、ガウス混合モデル)クラスタリングモデルとして実装できる。クラスタの数は、予め定義されるか(例えば、2クラスタ)、神経活動信号記録の取得中および/または取得後に設定される。
【0082】
図3Cの例では、第2の制御ロジック23は、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴およびその記録の日の関連する時間帯に基づいて、第1の制御ロジックの制御パラメータの新しいセットを推定する時間ベースのファジーコントローラとして実装され得る。時間ベースのファジーコントローラは、それぞれの神経活動信号が記録された日の時間帯に基づいて、記録された神経活動信号の少なくとも1つの信号特徴をグループ化し、処理できる。
【0083】
例えば、1つの実施態様において、午前10時~午後12時および午後2時~午後4時の間に記録された神経活動信号の信号特徴は、第1のグループに属するようにグループ化されてもよく、午前8時~午前10時および午後12時~午後2時の間に記録された神経活動信号の信号特徴は、第2のグループに属するようにグループ化されてもよい。一例として、神経活動信号記録の少なくとも1つの信号特徴は、神経活動信号の各記録について計算された周波数帯域のスペクトルパワーであってもよい。制御パラメータPmaxおよびPminは、それぞれ、第1のグループおよび第2のグループのスペクトルパワー値の平均値に等しくてもよい。リアルタイムアプリケーションシナリオでは、制御パラメータPmaxおよびPminは、毎日、または毎週、または毎月更新される場合がある。神経活動信号の信号特徴をグループ化するための1日の時間帯は、事前に設定できる。
【0084】
図4Aは、本発明による神経障害の適応治療のための装置を制御するための第1の例示的な方法100である。方法100は、101において、予め定義された期間(例:1日、10日など)について、例えば局所電位(LFP)などの神経活動信号記録を取得および/または保存するステップを備える。例えば、いくつかの実施例では、日中(例:日常生活の中で)の神経活動信号記録を取得し、左視床下核(STN)および右STNについて、5Hz~35Hzの間の周波数範囲で別々に記録できる。取得は、低周波数帯域、アルファ周波数帯域、ベータ周波数帯域、および/またはガンマ周波数から選択される神経活動信号記録の周波数帯域で行うことができる。周波数帯域は、抽出されたスペクトル特徴におけるピークを特定し、好ましくはピークを中心とするピーク周辺の周波数範囲として周波数帯域を定義することによって決定できる。いくつかの変形例では、周波数帯域はプリセット(ハードコード)されるか、調整不可能なパラメータとして入力される。
【0085】
方法100は、102において、取得された神経活動信号記録を処理し、神経信号特徴を抽出するステップを備える。例えば、ある実施態様において、本方法は、予め定義された期間中に記録された神経活動信号記録の周波数帯域内のスペクトル特徴、例えばスペクトルパワーの抽出を提供できる。
【0086】
抽出された信号特徴は、前述したように、第1および第2の制御ロジックに従って刺激パラメータを導出するために、103において、処理モジュール18に送信され得る。詳細には、刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータが第1の制御ロジックおよび神経活動信号記録に基づいて調整される一方で、神経活動信号記録は、第1の制御ロジックの制御パラメータを調整するために第2の制御ロジックに従って処理される。
【0087】
刺激信号の少なくとも1つの刺激パラメータは、収集された神経活動信号記録の時系列に基づいて調整されるが、この時系列は通常、第1の制御ロジックの制御パラメータが調整される収集された神経活動信号記録の時系列よりも短い。
【0088】
図4Bは、本発明による神経障害の適応治療のための装置を制御するための第2の例示的方法200である。第1の例示的方法100のステップに加えて、方法200は、収集された神経信号に基づいて第1の制御ロジックを初期化するためのルーチンを備える。
【0089】
方法200は、101において、神経活動信号記録を取得および/または保存するステップと、102において、取得された神経活動信号記録をさらに処理し、神経信号特徴を抽出するステップとを備える。プロセスが開始したばかりで、第1の制御ロジックがまだ初期化される必要がある場合、すなわち、その制御パラメータがまだ設定される必要がある場合、神経活動信号記録を取得および/または保存するステップと、取得された神経活動信号記録をさらに処理するステップは、好ましくは、刺激および/または投薬がない状態で実行され、201および202において、方法は、取得された神経活動信号記録から抽出された神経信号特徴を使用して、制御パラメータを計算する(以下で詳細に説明する)。最終的に203で適応刺激が開始される。
【0090】
図5は、第1の制御ロジックを初期化するための例示的な方法300であり、特に、第1の制御ロジックが、神経活動信号の周波数帯域におけるスペクトルパワーに依存する関数であり、第1の制御ロジックの制御パラメータが、最小スペクトルパワーPminに対応する第1の制御パラメータおよび最大スペクトルパワーPmaxに対応する第2の制御パラメータである場合に関する。方法300は、刺激がない状態で取得された神経活動信号記録を処理することを提供する。神経活動信号記録は、信号スペクトル601(図6に示す)を抽出し、神経活動信号記録のピーク周波数603を決定するために301で処理される。周波数範囲内のピークの位置に基づいて、患者固有の周波数帯域が選択され、ピーク周辺、好ましくはピークを中心とするように設定される。
【0091】
302で、方法300は、選択された患者固有の周波数帯域における神経活動信号記録のスペクトルパワー605を決定する。次に、本方法は303において、同じ患者固有の周波数帯域における背景活動スペクトル602のスペクトルパワー604を決定する。この目的のために、ノイズ関数が神経活動信号記録の周波数スペクトルにフィッティングされる。ノイズ関数は、
【数10】
のように表され得、例えばホワイトノイズ(α=0)またはピンクノイズ(α=1)またはレッドノイズ(α=2)に対応する。いくつかの変形例では、背景活動スペクトル602は、神経活動信号のフラクタル成分を計算することによって決定される(それによって、振動部分から振動していない部分を分離する)。
【0092】
最後に、第1及び第2の制御パラメータPmax及びPminは、それぞれ304及び305に設定される。第1の制御パラメータPmaxは、選択された患者固有の周波数帯域で計算された、刺激がない場合に取得された神経活動信号記録のスペクトルパワー605に等しく設定され、第2の制御パラメータPminは、選択された患者固有の周波数帯域で計算された、好ましくは刺激および/または投薬がない場合に取得された神経活動信号のスペクトルに適合された背景活動スペクトルのスペクトルパワー604に等しく設定される。
【0093】
図7は、神経疾患適応治療装置10の埋め込み可能部分10a(本明細書では「埋め込み型パルス発生器(IPG)装置」とも呼ぶ)と外部部分10b(本明細書では、「患者個人用コントローラ装置」とも呼ぶ)との間の無線接続を確立するための例示的な方法の概略図である。患者個人用コントローラ装置10bは、IPG10aを充電するために無線接続を介して電力を送信できる。代替的に、または追加的に、IPG装置10aは、患者個人用コントローラ装置10bとの間で神経活動信号記録および/または刺激パラメータを送信/受信できる。例えば、IPG10aは、無線接続を介して神経活動信号記録を患者個人用コントローラ装置10bに送信でき、個人用コントローラ装置10bは、無線接続を介して刺激パラメータまたは指示をIPG10aに送信できる。場合によっては、埋め込み型装置10aと患者個人用コントローラ装置10bとの間の無線接続(例えば、患者個人用コントローラ装置の充電器ユニットである)は、患者個人用コントローラ装置10bと埋め込み型装置10aとが所定の距離範囲(例えば、2センチメートルから10センチメートル、および/または1ミリメートルから1メートル等)および方位範囲にあるときに確立されることがある。方位範囲は、例えば、5回転度誤差範囲、10回転度誤差範囲、および/またはそのような範囲内での、患者個人用コントローラ装置の垂直方位と埋め込み型装置の垂直方位との位置合わせを含むことができる。個人用コントローラ装置10bは埋め込み型装置10aに電力を送信でき、埋め込み型装置10aは第1の無線接続を介して個人用コントローラ装置10bに神経活動信号記録を送信できる。
【0094】
前述の説明では、説明の便宜上、特にDBSの応用について言及した。しかし、開示された発明は、例えば、疼痛治療のためのSCSのような異なる実施態様にも適用できる。SCSの場合、取得モジュールは、電極が脊椎に配置されたときの電気刺激に対する脊髄神経の神経活動を取得するように構成できる。電気刺激に対する脊髄の応答は、神経線維の集合(ensemble)の活性化、すなわち誘発複合活動電位(ECAP)の総和である。処理モジュールは、取得された神経活動信号の一群の信号特徴(例えば、ECAPのスペクトルパワー)を計算するように構成されることがある。スペクトルパワー値は、処理モジュールに送信されてもよく、処理モジュールのプロセッサは、電気刺激のパラメータを適応または調整するための刺激パラメータを導出するために、受信した信号特徴に第1の制御ロジックを適用してもよい。処理モジュールプロセッサはまた、上述のように、第1の制御ロジックの制御パラメータを調整するために第2の制御ロジックを適用できる。第1の制御ロジック及び第2の制御ロジックの実装に関する前述の考慮事項は依然として適用される。
【0095】
前述の説明では、説明の便宜上、本発明を十分に理解できるように特定の命名法を用いた。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要でないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の変形例に関する前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。これらは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではなく、明らかに、上記の教示に鑑みて、多くの修正および変形が可能である。変形例は、本発明の原理およびその実際的な応用を説明するために選択され、記載されたものであり、それにより、当業者であれば、本発明および様々な変形例を、企図される特定の用途に適するように様々に変更して利用できる。以下の特許請求の範囲およびその均等物が本発明の範囲を規定することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】