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特表2025-502413EMM-70のゼオライトの組成物、合成および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】EMM-70のゼオライトの組成物、合成および使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543008
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2023060189
(87)【国際公開番号】W WO2023141367
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/301,705
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ファム,トロン ディー
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA75
4G073BB03
4G073BB12
4G073BB44
4G073BB47
4G073BB48
4G073BB70
4G073BD21
4G073CZ06
4G073CZ41
4G073FB30
4G073FC19
4G073FC30
4G073GA03
4G073GA12
4G073GA14
4G073GB02
4G073UA03
(57)【要約】
固有の粉末XRDパターンによって特徴付けられるゼオライト(EMM-70と命名されているもの)、当該ゼオライトを製造するための方法、当該ゼオライトの使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトであって、その焼成時の形態において、以下の表1に示すピーク:
【表1】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【請求項2】
以下の式II:
(m)X:YO (式II)
[式中、
0.017<m≦0.1であり、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムであり、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含み、好ましくは、Yは、ケイ素を含むか、ケイ素である]
の分子式を有する、請求項1に記載のゼオライト。
【請求項3】
ゼオライトであって、その合成時の形態において、以下の表2に示すピーク:
【表2】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【請求項4】
以下の式III:
(q)Q:(m)X:YO (式III)
[式中、
0≦q≦0.5であり、
0.017<m≦0.1であり、
Qは、以下の式I:
【化1】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択される少なくとも1つのカチオンを含み、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムであり、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含み、好ましくは、Yは、ケイ素を含むか、ケイ素である]
の分子式を有する、請求項3に記載のゼオライト。
【請求項5】
構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、請求項4に記載のゼオライト。
【請求項6】
アルミノシリケートまたはボロシリケートであって、Si/AlまたはSi/Bのモル比が、30未満、好ましくは5~25、より好ましくは10~25である、請求項1~5のいずれか1項に記載のゼオライト。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のゼオライトを製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(a)~(d):
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源と、3価の元素(X)の酸化物の供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じて、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化2】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
前記合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、
フルオライド(F)の供給源が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、
工程、
(b)
前記ゼオライトの結晶を形成するのに十分な時間にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件のもとで前記合成混合物を加熱する工程、
(c)
前記工程(b)からゼオライトの少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収したゼオライトを処理する工程
を含む、方法。
【請求項8】
前記構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記構造指向剤(Q)は、ハライド、ヒドロキシドまたはニトレートの形態であり、好ましくは、前記構造指向剤(Q)は、そのヒドロキシドの形態である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記3価の元素Xは、アルミニウム、ホウ素およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、アルミニウムであり、
前記4価の元素Yは、ケイ素、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、ケイ素である、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表3】
を有する、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記合成混合物は、フルオライド(F)の供給源を含み、F/Yのモル比は、0~0.02であり、より好ましくは0~0.01であり、最も好ましくは、前記合成混合物は、フルオライド(F)イオンを実質的に含まない、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
有機化合物を変換生成物に変換するためのプロセスであって、当該プロセスは、有機化合物を請求項1~6のいずれか1項に記載のゼオライトと接触させることを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第63/301705号(出願日:2022年1月21日)の利益および優先権を主張する。その開示内容は、参考として、本開示に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ゼオライトの組成物(又は組成又はコンポジション)、当該ゼオライトを製造するための方法および当該ゼオライトの使用(又は使用方法)に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
モレキュラー・シーブ材料(又はモレキュラー・シーブ・マテリアル)は、天然物であっても、合成物であっても、吸着剤(又は吸着材又はアドソーベント)として使用することができ、炭化水素の変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)の反応(又はリアクション)において、触媒の特性を有することができる。
特定のモレキュラー・シーブ、例えば、ゼオライト、AlPOおよびメソポーラス材料(又はメソ多孔性材料又はメソポーラス・マテリアル)は、規則正しい多孔質(又は多孔性)の結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の材料(又はマテリアル)であり、X線回折(X-ray diffraction)(XRD)によって決定されるような明確な結晶構造を有するものである。
特定のモレキュラー・シーブは、規則正しく、なおかつ、具体的な認識可能(又は識別可能又は同定可能又はアイデンティフィケーション可能)なXRDパターンをもたらす。
特定のモレキュラー・シーブ材料(又はモレキュラー・シーブ・マテリアル)の内部には、多数のキャビティ(又は空孔又は空隙)が存在してよい。これらのキャビティは、一定数のチャネルまたはポア(又は孔又は細孔)によって互いに接続(又はインターコネクト)されてよいものである。
このようなキャビティおよびポアは、特定のモレキュラー・シーブ材料(又はモレキュラー・シーブ・マテリアル)において、サイズ(又は大きさ又は寸法)が均一である。
このようなポアのディメンジョン(又は寸法又は大きさ又は次元)は、例えば、特定のディメンジョン(又は寸法又は大きさ又は次元)を有する吸着分子を受容し、その一方で、より大きなディメンジョン(又は寸法又は大きさ又は次元)を有する分子は拒絶(又は排除又は除外)するようになっているので、このような材料は、「モレキュラー・シーブ(molecular sieves)」として知られるようになっていて、様々な産業のプロセス(又は工業プロセス)で利用されている(例えば、分解(又はクラッキング(cracking))、水素化分解(又はヒドロクラッキング(hydrocracking))、不均化(又はディスプロポーショネーション(disproportionation))、アルキル化(又はアルキレーション(alkylation))、オリゴマー化(又はオリゴメリゼーション(oligomerization))、および異性化(又はアイソメリゼーション(isomerization)))。
【0004】
モレキュラー・シーブによって、触媒作用(又は触媒反応又はキャタリシス)および吸着(又はアドソープション)の用途(又は適用又は適応又は応用又はアプリケーション)が見い出されている。モレキュラー・シーブとして、天然または合成の結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)のモレキュラー・シーブがいずれも挙げられる。
このようなモレキュラー・シーブの例として、ラージ・ポア・ゼオライト、インターミディエイト・ポア・サイズ・ゼオライト、およびスモール・ポア・ゼオライトが挙げられる。
このようなゼオライトおよびそのアイソタイプ(isotype)は、ゼオライト命名法(Zeolite Nomenclature)について、IUPAC委員会(IUPAC Commission)の規則に従って、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)の構造委員会(Structure Commission)によってクラス分けされている。
このようなクラス分け(又はクラシフィケーション)によって、フレームワーク・タイプ・ゼオライトおよび他の結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)のミクロポア(又は微多孔性又は微孔性又はミクロポーラス)のモレキュラー・シーブは、3文字のコードが割り当てられており(そのため、構造が確立されている)、以下の文献に記載されている。
Ch. Baerlocher, L.B. McCusker, および D.H. Olson 編. (2007) Atlas of Zeolite Framework Types, 編. Elsevier, 第6版(この文献は、参考として、本開示に組み込まれている)
また、このようなゼオライトおよびそのアイソタイプは、以下においても説明されている。
http://america.iza-structure.org/IZA-SC/ftc_table.php.
ラージ・ポア・ゼオライトは、概して、少なくとも約7Å(オングストローム)のポア・サイズ(又はポア径又は孔径又は細孔径)を有する。LTL、VFI(「エクストラ・ラージ」18R)、MAZ、FAU、OFF、*BEAおよびMORのフレームワーク・タイプ・ゼオライトが挙げられる。
ラージ・ポア・ゼオライトの例として、マッザイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL、VPI-5、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ(ω)、およびベータ(β)が挙げられる。
インターミディエイト・ポア・サイズ・ゼオライトは、概して、約5Å(オングストローム)~約7Å(オングストローム)未満のポア・サイズ(又はポア径又は孔径又は細孔径)を有する。例えば、MFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWWおよびTONのフレームワーク・タイプ・ゼオライトが挙げられる。
インターミディエイト・ポア・サイズ・ゼオライトの例として、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、MCM-22、シリカライト(silicalite)-1およびシリカライト(silicalite)-2が挙げられる。
スモール・ポア・サイズ・ゼオライトは、約3Å(オングストローム)~約5.0Å(オングストローム)未満のポア・サイズ(又はポア径又は孔径又は細孔径)を有する。例えば、CHA、RTH、ERI、KFI、LEV、SODおよびLTAのフレームワーク・タイプ・ゼオライトが挙げられる。
スモール・ポア・ゼオライトの例として、ZK-4、ZSM-2、SAPO-34、SAPO-35、ZK-14、SAPO-42、ZK-21、ZK-22、ZK-5、ZK-20、ゼオライトA、チャバザイト(chabazite)、ゼオライトT、およびALPO-17が挙げられる。
【0005】
ゼオライトの理想化された無機フレームワーク構造(又は無機骨格構造又は無機枠組構造又はインオーガニック・フレームワーク・ストラクチャ)は、シリケート(又はケイ酸塩)のフレームワーク(又は骨格又は枠組)であって、このようなフレームワークでは、すべてのテトラヘドラル原子(又は四面体原子)が、酸素原子によって、次に最も近い4つのテトラヘドラル原子(又は四面体原子)に接続(又は結合)されている。
用語「シリケート(又はケイ酸塩)(silicate))」は、本開示で使用する場合、少なくともケイ素原子(又はシリコン原子)および酸素原子を含む物質であって、ケイ素原子と酸素原子とが互いに交互に結合していて(すなわち、-O-Si-O-Si-)、必要に応じて、無機フレームワーク構造(又は無機骨格構造又は無機枠組構造又はインオーガニック・フレームワーク・ストラクチャ)において、他の原子を含むものを意味する。他の原子として、ホウ素(又はボロン)、アルミニウムまたは他の金属(例えば、遷移金属(例えば、チタン(又はチタニウム)、バナジウムまたは亜鉛(又はジンク))などの原子)が挙げられる。
フレームワークのシリケート(又はフレームワーク・シリケート又は骨格シリケート又は枠組シリケート)において、ケイ素および酸素以外の原子は、格子部位(又はラティス部位又はラティス・サイト)の一部を占める。そうでなければ、「オール・シリカ(すべてシリカ)」のフレームワークのシリケートでは、ケイ素原子(又はシリカ原子)によって占められている。
従って、用語「フレームワークのシリケート(又はフレームワーク・シリケート又は骨格シリケート又は枠組シリケート)(framework silicate)」は、本開示で使用する場合、原子の格子(又はアトミック・ラティス)であって、シリケート(silicate)、ボロシリケート(borosilicate)、ガロシリケート(gallosilicate)、フェリシリケート(ferrisilicate)、アルミノシリケート(aluminosilicate)、チタノシリケート(titanosilicate)、ジンコシリケート(zincosilicate)、バナドシリケート(vanadosilicate)などのいずれかを含むものを意味する。
【0006】
所定のゼオライトにおいて、フレームワークのシリケートの構造によって、その中に存在するポア(又は孔又は細孔)またはチャネルのサイズ(又は大きさ又は寸法)が決定される。
ポア(又は孔又は細孔)またはチャネルのサイズ(又は大きさ又は寸法)は、所定のゼオライトが適用可能(又は適応可能又は応用可能)なプロセス(又は方法)の種類(又はタイプ)を決定することができる。
現在、200を超えるユニーク(又は固有)なゼオライトのフレームワークのシリケートの構造が知られている。このような構造は、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)の構造委員会(Structure Commission)によって認識(又は識別)されている。それによって、ポア(又は孔又は細孔)のジオメトリ(又は形状)およびオリエンテーション(又は配向)の範囲(又はレンジ)を規定(又は定義)している。
【0007】
ゼオライトのフレームワークのシリケートは、共通して、そのリング(又は環)のサイズ(又は大きさ又は寸法)に関して特徴付けられている(又はキャラクタリゼーション)。ここで、リング(又は環)のサイズ(又は大きさ又は寸法)とは、ケイ素原子(又はシリコン原子)(又は代替の原子(例えば、上記で列挙したもの))の数を意味する。これらの原子は、ループ(loop)として、酸素原子でテトラヘドラル(又は四面体)に配位(又は配置)されており、ゼオライトの内部において、ポア(又は孔又は細孔)またはチャネルを規定(又は定義)するものである。
例えば、「8-リング(又は環(ring))」のゼオライトとは、ループ(loop)において、8個の交互のテトラヘドラル原子(又は四面体原子)と8個の酸素原子とによって規定(又は定義)されるポア(又は孔又は細孔)またはチャネルを有するゼオライトを意味する。
所定のゼオライトにおいて規定(又は定義)されるポア(又は孔又は細孔)またはチャネルは、対称であってもよく、あるいは非対称であってもよく、特定のフレームワーク(又は骨格又は枠組)のシリケートに存在する様々な構造上の制約(又はコンストレイン)に依存するものである。
【0008】
モレキュラー・シーブ材料(又はモレキュラー・シーブ・マテリアル)の合成は、典型的には、ゼオライトに存在する全ての元素(又はエレメント)の供給源(又は源又はソース)(例えば、シリカの供給源(又は源又はソース)だけでなく、アルミナの供給源(又は源又はソース)など)を含む合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)からの水熱結晶化(又はヒドロサーマル・クリスタリゼーション)を含む。
多くの場合、構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(structure directing agent)(SDA)も存在する。
構造指向剤は、モレキュラー・シーブの形成(又は生成)を促進すると考えられる化合物であり、このような化合物は、テンプレートとして作用すると考えられるものである。その周りで、特定のモレキュラー・シーブの構造を形成(又は生成)させることができ、それにより、所望のモレキュラー・シーブの形成(又は生成)を促進させることができる。
様々な化合物が構造指向剤として使用されていて、様々な種類(又はタイプ)の4級アンモニウムカチオンを含むものである。
典型的には、構造指向剤の周りでゼオライトの結晶が形成(又は生成)される。このとき、結晶化(又はクリスタリゼーション)が完了すると、構造指向剤は、ゼオライトにあるポア(又は孔又は細孔)を占める(又は占有する)。
したがって、「合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時)(as-synthesized)」のゼオライトは、そのポア(又は孔又は細孔)の内部に構造指向剤を含む。
そのため、結晶化(又はクリスタリゼーション)の後、「合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時)(as-synthesized)」のゼオライトは、通常、このような構造指向剤を除去するための焼成(又はカルシネーション(calcination))の工程(又はステップ)などの処理工程(又はトリートメント・ステップ)に供される。
【0009】
例えば、WO2004/013042A1は、N-シクロブチルメチル-N-エチルヘキサメチレンイミニウムカチオンまたはN-シクロブチルメチル-N-エチルヘプタメチレンイミニウムカチオンの構造指向剤を用いて調製(又は製造)したモレキュラー・シーブSSZ-64の調製(又は製造)を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多くの様々なゼオライトが発見されているが、ガスの分離(又はセパレーション)や乾燥(又はドライ(drying))、有機変換反応(又はオーガニック・コンバージョン・リアクション)、および他の用途(又は適用又は適応又は応用又はアプリケーション)のための所望の特性(又はプロパティ)を有する新たなゼオライトが継続して(又は依然として)必要とされている。
新たなゼオライトは、新しい内部のポアの構成(又はインターナル・ポア・アーキテクチャ)を含み得るものであり、このようなプロセス(又は工程又は方法)において、向上した選択性(又はセレクティビティ)を提供することができる。
また、モレキュラー・シーブを合成するために新たな構造指向剤およびより効果的な方法を発見して新たなモレキュラー・シーブの調製(又は製造)を促進させること、および/または、公知のゼオライトの製造にかかるコスト(又は費用)を低減させることは、重要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
本開示は、ゼオライト、当該ゼオライトを製造するための方法、および当該ゼオライトの使用(又は使用方法)に関する。
第1の実施形態として、本開示は、ゼオライトに関する。当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))(例えば、この形態では、SDAの少なくとも一部が除去されている)において、以下の表1に示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0012】
【表1】
【0013】
第2の実施形態として、本開示は、ゼオライトに関し、当該ゼオライトは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態(as-synthesized form))(例えば、この形態では、SDAは除去されていない)において、以下の表2に示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0014】
【表2】
【0015】
第3の実施形態として、本開示は、ゼオライトを製造するための方法に関する。本開示は、特に、第1または第2の実施形態のゼオライトを製造するための方法に関する。当該方法は、以下の工程(又はステップ)(a)~(d)を含む。
(a)
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)を調製(又は準備又は製造)する工程(又はステップ)であって、合成混合物は、水と、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)(Y)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)(X)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて、フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化1】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンの少なくとも1つを含み、
合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)の供給源(又は源又はソース)が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、工程(又はステップ)、
(b)
ゼオライトの結晶を形成(又は生成)するのに十分な時間(又は期間)にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)のもとで合成混合物を加熱する工程(又はステップ)、
(c)
工程(b)からのゼオライトの少なくとも一部を回収する工程(又はステップ)、および
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、工程(c)で回収したゼオライトを処理する工程(又はステップ)。
【0016】
第4の実施形態として、本開示は、有機化合物を変換生成物(又はコンバージョン生成物又はコンバージョン・プロダクト)に変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)するためのプロセス(又は方法又は工程)に関する。当該プロセスは、第1または第2の実施形態に従うゼオライト、あるいは第3の実施形態のプロセス(又は方法又は工程)に従って調製(又は準備又は製造)されたゼオライトと有機化合物を接触(又はコンタクト)させること(又は工程又はステップ)を含む。
【0017】
本開示のこのような特徴および他の特徴ならびに特性、ならびにそれらの有利な用途(又は適用又は適応又は応用又はアプリケーション)および/または使用(又は使用方法)は、以下の詳細な説明から明らかである。もちろん、本発明の1つの態様に関連して説明された特徴は、本発明の他の態様に導入されてもよいことが理解される。特に、この明細書で説明される2以上の特徴(この要旨のセクション(又は章)に含まれる特徴)は、任意に組み合わされてよく、本開示に具体的に記載されていない特徴の組み合わせ(又はコンビネーション)を形成してよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例2の生成物(合成時の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のSEM画像を示す。
図2図2は、実施例5の生成物(合成時の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の粉末XRDパターンを示す。
図3図3は、実施例5の生成物(焼成時の状態または焼成したままの状態(calcined))の粉末XRDパターンを示す。
図4図4は、実施例5の生成物(合成時の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本開示は、ゼオライトの組成物(又は組成又はコンポジション)、当該ゼオライトを製造するための方法、および当該ゼオライトの使用(又は使用方法)に関する。当該ゼオライトは、EMM-70のゼオライトまたはEMM-70の材料(又はマテリアル)として示されてよい(又は命名されてよい)。
【0020】
第1の実施形態として、本開示は、ゼオライトに関する。当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))(例えば、この形態では、SDAの少なくとも一部が除去されている)において、以下の表1に示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0021】
【表3】
【0022】
さらなる実施形態として、当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、以下の表1Aに示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔d(dスペーシング(d-spacing))の値は、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いて間隔dを得るために対応する値に変換される場合、その対応する偏差(±0.20(2θ(°)))に基づいて決定された偏差を有する。
【0023】
【表4】
【0024】
本開示で記載するXRDピークを有するXRDパターンは、Cu(Kα)の放射(又は照射又はラディエーション)を使用する。
【0025】
1以上のさらなる実施形態において、当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、0.05~0.3、例えば、0.1~0.25、例えば、0.18cc/g微細孔容積(又は微小孔容積又はミクロポア容積又はミクロポア・ボリューム)を有してよい。
【0026】
1以上のさらなる実施形態において、当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、100~800m/g、例えば、300~600m/g、例えば、505m/gの微細孔表面積(又は微小孔表面積又はミクロポア表面積又はミクロポア・サーフェス・エリア)および/または5~200m/g、例えば、20~100m/g、例えば、63m/gの外部表面積(又は外表面積又はエクスターナル表面積又はエクスターナル・サーフェス・エリア)を有してよい。
【0027】
1以上のさらなる実施形態において、当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、以下の式IIの分子式で必要に応じて表されてよい。
(m)X:YO (式II)
式中、0.017≦m≦0.1である。
Xは、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)である。
Yは、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)である。
Yは、1以上のSiおよびGeを含んでよい。
例えば、Yは、Siを含んでよいか、Siであってよい。
Xは、AlおよびBの1以上を含んでよい。
例えば、Xは、Alおよび/またはBを含んでよいか、Alおよび/またはBであってよい。
特に、Xは、Alを含んでよいか、Alであってよい。
式IIにおいて、酸素原子は、炭素原子で置換されてよい(例えば、CHの形態で置換されてよい)。このような炭素原子は、製造時(又は製造したまま(as-made))のゼオライトを調製(又は準備又は製造)するのに使用した成分(又はコンポーネント)の供給源(又は源又はソース)に由来してよいものである。
また、式IIにおいて、酸素原子は、窒素原子で置換されてよい。例えば、SDAが除去された後に置換されてよい。
式IIは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、本開示で規定(又は定義)するような典型的なゼオライトのフレームワーク(又は骨格又は枠組)を示すことができ、当該ゼオライトが単独で表されること(又はソロ・リプレゼンテーション)を意味するものではない。
当該ゼオライトは、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、SDAおよび不純物を除去するための適切な処理(又はトリートメント)の後にSDAおよび/または不純物を含んでよい。なお、SDAおよび不純物は、式IIにおいて、説明されていない。
さらに、式IIは、焼成時のゼオライトに存在し得るイオンを補償する電荷(又はチャージ)や水素(又はプロトン)を含むものではない。
【0028】
変数であるmは、モル比であって、式IIにおいて、X:YO(又はX/YO)の関係を表す。
例えば、mが0.025である場合、YO:X(又はYO/X)のモル比は40であり、Y:X(又はY/X)のモル比は20である(例えば、Si/Alのモル比は20である)。
mは、変動してよく、0.017~0.1であってよく、例えば、少なくとも0.017、または少なくとも0.020、または少なくとも0.025から最大で0.1まで、または最大で0.05、例えば、0.033であってよい。
Y:X(Y/X)のモル比は、1~30未満であってよく、例えば、少なくとも5、または少なくとも10、そして、最大で29、または最大で25、または最大で20、例えば、15であってよい。
【0029】
第2の実施形態として、本開示は、ゼオライトに関する。本開示は、特に、第1の実施形態で規定(又は定義)されるようなゼオライトに関する。当該ゼオライトは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態)(例えば、この形態では、SDAは、除去されていない)において、以下の表2に示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0030】
【表5】
【0031】
さらなる実施形態において、当該ゼオライトは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態)において、以下の表2Aに示すピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔d(dスペーシング(d-spacing))の値は、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いて間隔dを得るために対応する値に変換される場合、その対応する偏差(±0.20(2θ(°)))に基づいて決定された偏差を有する。
【0032】
【表6】
【0033】
本開示で記載するXRDピークを有するXRDパターンは、Cu(Kα)の放射(又は照射又はラディエーション)を使用する。
【0034】
1以上のさらなる実施形態において、当該ゼオライトは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態)において、以下の式IIIの分子式によって必要に応じて表されてよい。
(q)Q:(m)X:YO (式III)
式中、
0≦q≦0.5であり、
0.017<m≦0.1であり、
以下の式Iの4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
【化2】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
Xは、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)であり(式IIで規定(又は定義)した通りである)、
Yは、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)である(式IIで規定(又は定義)した通りである)。
式IIIは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態)において、本開示で規定(又は定義)されるような典型的なゼオライトのフレームワーク(又は骨格又は枠組)を表すことができる。従って、構造指向剤(Q)を含むが、このような材料(又はマテリアル)が単独で表されていること(又はソロ・リプレゼンテーション)を意味するものではない。
当該ゼオライトは、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態)において、不純物を含んでよく、このような不純物は、式IIIにおいて説明さていない。
さらに、式IIIは、合成時のゼオライトに存在してもよいイオンを補償する電荷(又はチャージ)や水素(又はプロトン)を含まない。
【0035】
変数であるmは、モル比であって、式IIIにおいて、X:YO(又はX/YO)の関係を表す。
式IIIにおいて、変数であるmの値は、式IIについて、本開示で説明したものと同一である。
【0036】
変数であるnは、モルの関係であって、式IIIにおいて、Q:YO(又はQ/YO)の関係を示す。
例えば、nは、0.1であり、Q:YO(又はQ/YO)のモル比は、0.1である。
Q:YO(又はQ/YO)のモル比は、0~0.5であってよく、例えば、0.02~0.4、例えば、0.05~0.3であってよい。
【0037】
第3の実施形態として、本開示は、ゼオライトを製造するための方法に関する。本開示は、特に、第1または第2の実施形態において規定(又は定義)されるようなゼオライト(例えば、EMM-70)を製造するための方法に関する。当該方法は、以下の工程(又はステップ)(a)~(d)を含む。
(a)
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)を調製(又は準備又は製造)する工程(又はステップ)であって、合成混合物は、水と、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)(Y)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)(X)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化3】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
のテトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンを少なくとも含み、
合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、
フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)の供給源(又は源又はソース)が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、工程(又はステップ)、
(b)
ゼオライトの結晶を形成(又は生成)するのに十分な時間(又は期間)にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)のものとで合成混合物を加熱する工程(又はステップ)、
(c)
工程(b)からのゼオライトの少なくとも一部を回収する工程(又はステップ)、および
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために工程(c)で回収されたゼオライトを処理(又はトリートメント)する工程(又はステップ)。
【0038】
構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む。
構造指向剤(Q)は、任意の適切な形態で存在してよい。例えば、ハライド(又はハロゲン化物)(フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)、クロライド(又はクロリド又は塩化物)、アイオダイド(又はヨージド又はヨウ化物)またはブロマイド(又はブロミド又は臭化物)など)、例えば、ヒドロキシド(又は水酸化物)、または、例えば、ニトレート(又は硝酸塩)であってよい。構造指向剤(Q)は、例えば、そのヒドロキシド(又は水酸化物)の形態で存在してよい。
構造指向剤(Q)は、合成混合物に存在してよい。このとき、Q/Yのモル比は、0.05~1.0であってよい。例えば、少なくとも0.1、または少なくとも0.15、または少なくとも0.2、最大で0.8まで、または最大で0.7まで、または最大で0.6までであってよい。このとき、Q/Yのモル比は、例えば、0.1~0.8、または0.15~0.5、例えば、0.2~0.4であってよい。
【0039】
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)は、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)Y(例えば、Siおよび/またはGe)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)の少なくとも1つを含む。好ましくは、Yは、Siを含む。より好ましくは、Yは、Siである。
合成混合物を調製(又は製造)するために使用することができる4価の元素Yの適切な供給源は、選択される元素Yに依存する。
Yがケイ素(又はシリコン)である実施形態において、当該方法で使用するのに適切なSiの供給源(例えば、酸化ケイ素(又はシリコン・オキシド)の供給源)として、シリケート(又はケイ酸塩)、例えば、テトラアルキルオルトシリケート、例えば、テトラメチルオルトシリケート(tetramethylorthosilicate)(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(tetraethylorthosilicate)(TEOS)、フュームド・シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)(Evonikから入手可能)、Cabosperse(登録商標)(Cabotから入手可能)および Cabosil(登録商標)(DMSから入手可能)、沈殿シリカ(又は沈降シリカ)、例えば、Ultrasil(登録商標)およびSipernat(登録商標)340(Evonikから入手可能)、アルカリ金属シリケート(又はアルカリ・メタル・シリケート)、例えば、ケイ酸カリウム(又はカリウム・シリケート)およびケイ酸ナトリウム(又はナトリウム・シリケート)、シリカの水性コロイド懸濁液(又は水性コロイド状懸濁液)、例えば、E.I. du Pont de Nemours から、商品名 Ludox(登録商標)で販売されているもの、または、Evonikから、商品名 Aerodisp(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
好ましくは、シリケート(又はケイ酸塩)、フュームド・シリカ、沈殿シリカ(又は沈降シリカ)、アルカリ金属シリケート(又はアルカリ・メタル・シリケート)およびコロイドシリカ(又はコロイド状シリカ又はコロイダル・シリカ)が挙げられる。
Yがゲルマニウムである実施形態において、適切なGeの供給源として、酸化ゲルマニウム(又はゲルマニウム・オキシド)が挙げられる。
【0040】
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)は、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)X(例えば、Alおよび/またはB)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)の少なくとも1つを含む。好ましくは、Xは、Alおよび/またはBを含み、例えば、Alを含む。より好ましくは、Xは、Alおよび/またはBであり、例えば、Alである。
合成混合物を調製(又は製造)するために使用することができる3価の元素Xの適切な供給源は、選択される元素Xに依存する。
Xがアルミニウムである実施形態において、当該方法において使用するのに適切なAlの供給源(例えば、酸化アルミニウム(又はアルミニウム・オキシド)の供給源)として、アルミニウム塩、特に、水溶性の塩、例えば、アルミニウム・スルフェート(又は硫酸アルミニウム)、アルミニウム・ニトレート(又は硝酸アルミニウム)、アルミニウム・ヒドロキシド(又は水酸化アルミニウム)、アルカリ金属アルミネート(又はアルカリ・メタル・アルミネート)、例えば、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、およびアルミニウム・アルコキシド、例えば、アルミニウム・イソプロポキシド、ならびに、水和したアルミニウム・ヒドロキシド(又は酸化アルミニウム)、例えば、ベーマイト(boehmite)、ギブサイト(gibbsite)および擬ベーマイト(pseudoboehmite)、およびそれらの混合物が挙げられる。
他のアルミニウムの供給源として、他の水溶性のアルミニウム塩、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、アルミニウム・アルコキシド、例えば、アルミニウム・イソプロポキシド、またはアルミニウム金属、例えば、チップの形態のアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミナの特に適切な供給源は、水溶性の塩、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびアルカリ金属アルミネート(又はアルカリ・メタル・アルミネート)、例えば、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)およびアルミン酸カリウム(又はカリウム・アルミネート)である。
Xがホウ素(又はボロン)である実施形態において、適切なBの供給源として、ホウ酸およびホウ酸塩、例えば、テトラホウ酸ナトリウム(又はナトリウム・テトラボレート)またはホウ砂およびテトラホウ酸カリウム(又はカリウム・テトラボレート)が挙げられる。
ホウ素の供給源は、ヒドロキシド(又は水酸化物)が媒介する合成系(又は合成システム又はシンセシス・システム)において、アルミニウムの供給源と比べて、より溶解性(又はソリュビリティ)を有する(又はソリューブルである)傾向がある。
【0041】
また、上記で言及したYおよびXの供給源(又は源又はソース)の代替または追加として、YおよびXの元素(又はエレメント)の両方を含む供給源(又は源又はソース)を使用することができる(例えば、SiおよびAlの供給源(又は源又はソース))。
SiおよびAlの元素(又はエレメント)の両方を含む適切な供給源(又は源又はソース)の例として、アモルファスのシリカ-アルミナのゲルまたは乾燥させたシリカ・アルミナ・パウダー、シリカ・アルミナ、クレイ、例えば、カオリン、メタカオリンおよびゼオライト、特に、アルミノシリケート、例えば、合成フージャサイト(又はシンセティック・フージャサイト(synthetic faujasite))、および超安定フージャサイト(又はウルトラステーブル・フージャサイト(ultrastable faujasite))、例えば、Ultrastable Y (USY)、ベータまたは他の大(又はラージ)~中(又はミディアム)のポア(又は孔又は細孔)のゼオライトが挙げられる。
【0042】
合成混合物のY/Xのモル比は、1~30未満、例えば、5~25、例えば、5または10~20、例えば、15であってよい。
【0043】
好ましい実施形態において、YはSiであり、XはAlであり、ゼオライトはアルミノシリケートである。
別の好ましい実施形態において、YはSiであり、XはBであり、ゼオライトはボロシリケートである。
【0044】
必要に応じて、合成混合物は、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を1以上含んでよい。
Mは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウムであり、より好ましくはナトリウムである。
ナトリウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、水酸化ナトリウム(又はナトリウム・ヒドロキシド)、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、ケイ酸ナトリウム(又はナトリウム・シリケート)、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)またはナトリウム塩、例えば、NaCl、NaBrまたは硝酸ナトリウム(又はナトリウム・ニトレート)であってよい。
カリウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、水酸化カリウム(又はカリウムヒドロキシド)、アルミン酸カリウム(又はカリウム・アルミネート)、ケイ酸カリウム(又はカリウム・シリケート)、カリウム塩、例えば、KClまたはKBr、または硝酸カリウム(又はカリウム・ニトレート)であってよい。
リチウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、水酸化リチウム(又はリチウム・ヒドロキシド)またはリチウム塩、例えば、LiCl、LiBr、LiI、硝酸リチウム(又はリチウム・ニトレート)または硫酸リチウム(又はリチウム・スルフェート)であってよい。
ルビジウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、水酸化ルビジウム(又はルビジウム・ヒドロキシド)またはルビジウム塩、例えば、RbCl、RbBr、RbI、または硝酸ルビジウム(又はルビジウム・ニトレート)であってよい。
カルシウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、例えば、水酸化カルシウム(又はカルシウム・ヒドロキシド)であってよい。
マグネシウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、例えば、水酸化マグネシウム(又はマグネシウム・ヒドロキシド)であってよい。
また、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオンMは、3価(又はトリバレント)の元素(又はエレメント)Xの供給源(又は源又はソース)の1以上(例えば、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、テトラホウ酸ナトリウム(又はナトリウム・テトラボレート)、テトラホウ酸カリウム(又はカリウム・テトラボレート))および/または4価(又はテトラバレント)の元素(又はエレメント)Yの供給源(又は源又はソース)の1以上(例えば、ケイ酸カリウム(又はカリウム・シリケート)および/またはケイ酸ナトリウム(又はナトリウム・シリケート))に存在してよい。
合成混合物は、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
このとき、M/Yのモル比は、0~1.0、例えば、0.05~0.5、例えば、0.05~0.1未満であってよい。
あるいは、合成混合物は、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン(M)を実質的に含まなくてよい(又は実質的にフリーであってよい)。
【0045】
また、必要に応じて、合成混合物は、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)を少なくとも1つ含んでよい。
例えば、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)は、構造指向剤(Q)のカウンターイオン(又は対イオン)として存在してよい。あるいは、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)は、Alの供給源(又は源又はソース)として水酸化アルミニウム(又はアルミニウム・ヒドロキシド)を使用することによって存在してよい。
また、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)の適切な供給源(又は源又はソース)は、アルカリ金属ヒドロキシド、アルカリ土類金属ヒドロキシド、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物からなる群:例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物から;より頻繁には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物;最も頻繁には、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムから選択することができる。
合成混合物は、ヒドロキシドイオンの供給源(又は源又はソース)を含んでよく、OH/Yのモル比は、0~1.0、例えば、0.05~0.8、例えば、0.1~0.6または0.15~0.5、例えば、0.2~0.5であってよい。
あるいは、合成混合物は、ヒドロキシド(又は水酸化物)の供給源(又は源又はソース)を実質的に含まなくてよい(又は実質的にフリーであってよい)。
【0046】
EMM-70の材料(又はマテリアル)を調製(又は製造)するために使用される合成混合物は、フルオライドイオン(又はフロリドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含み、F/Siのモル比は、0.05未満、例えば、0~0.04未満、または0~0.02、または0~0.01、例えば、0である。
特に、EMM-70のゼオライトを調製(又は製造)するために使用される合成混合物は、フルオライドイオン(又はフロリドイオン又はフッ化物イオン)(F)を実質的に含まない(又は実質的にフリーである)。
このことは、合成混合物にフルオライドイオンの供給源を任意の実質的な量で添加しないことを意味する。例えば、合成混合物のF/Siのモル比は、0.05未満、例えば、0.02未満、0.01未満、または0.005未満であってもよく、例えば、0である。
フルオライドイオン(又はフルオリドイオン又はフッ化物イオン)(F)は、存在する場合、モレキュラー・シーブの合成混合物において、フルオライドイオン(又はフルオリドイオン又はフッ化物イオン)を放出することができる任意の化合物(例えば、フッ化水素(HF));1または幾つかのフルオライドイオン(又はフルオリドイオン又はフッ化物イオン)を含む塩(例えば、金属フルオライド)(好ましくは、金属が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムである場合):アンモニウムフルオライド(又はフッ化アンモニウム)(NHF);およびアンモニウムビフルオライド(又は二フッ化アンモニウム)(NHHF)から発生してよい。
また、少量のフルオライドイオン(又はフルオリドイオン又はフッ化物イオン)(F)は、不純物として存在してよい。例えば、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン(M)の任意の供給源(又は源又はソース)において、不純物として存在してよい。
【0047】
合成混合物は、必要に応じて、ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の供給源(又は源又はソース)を少なくとも1つさらに含んでよい。これは、フルオライドイオン(又はフルオリドイオン又はフッ化物イオン)とは相違するものであり、クロライド(又はクロリド又は塩化物)、ブロマイド(又はブロミド又は臭化物)またはアイオダイド(又はヨージド又はヨウ化物)からなる群から選択されてよいものである。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の供給源(又は源又はソース)は、モレキュラー・シーブの合成混合物においてハライドイオンを放出(又はリリース)することができる任意の化合物であってよい。
例えば、ハライドイオンは、構造指向剤(Q)のカウンターイオン(又は対イオン)として存在することができる。
ハライドイオンの供給源(又は源又はソース)の非限定的な例として、塩化水素、塩化アンモニウム、臭化水素、臭化アンモニウム、ヨウ化水素およびヨウ化アンモニウム;1または幾つかのハライドイオンを含む塩、例えば、金属ハライド、好ましくは、その金属が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;アンモニウムハライド;またはテトラアルキルアンモニウムハライド、例えば、テトラメチルアンモニウムハライドまたはテトラエチルアンモニウムハライドが挙げられる。
また、少量のハライドイオン(W)は、不純物として存在してよい。例えば、アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン(M)の任意の供給源(又は源又はソース)における不純物として存在してよい。
ハライドイオン(W)は、W/Yのモル比が0~0.2、例えば、0~0.1、例えば、0.1未満または0でさえも存在してよい。
好ましい実施形態において、合成混合物は、ハライドイオン(W)を実質的に含まなくてよい(又は実質的にフリーであってよい)。
【0048】
合成は、核形成シード(又は核形成種結晶(nucleating seed))の添加あり、または添加なしで行われてよい。
核形成シードを合成混合物に添加する場合、シード(又は種結晶)は、従来の合成から、本開示のゼオライト、またはEMM-70の材料(又はマテリアル)と同一の構造または異なる構造を有してよい。そして、合成混合物に基づいて、約0.01重量ppm~約10,000重量ppmの量、例えば、合成混合物の約100重量ppm~約5,000重量ppmで適切に存在してよい。
【0049】
合成混合物は、典型的には、HO/Yのモル比=1~100、例えば、10~80または15~50、例えば、20~40、例えば、25または30で水を含む。
ベース混合物(又は基本混合物又は塩基性混合物)に含まれる成分(又はコンポーネント)の性質(又はネイチャ)に依存して、ベース混合物に含まれる一定量の溶媒(例えば、ヒドロキシド溶液に由来する水、および必要に応じてシリカの供給源(又は源又はソース)の加水分解に由来するメタノールおよびエタノール)は除去されてよい。そうすることで、合成混合物において、所望の溶媒/Yのモル比が達成されるようになる。
溶媒の含有量(又は含量又はコンテント)を減らすための適切な方法として、静的または動的(又はフロー)の雰囲気(例えば、周囲の空気(又はアンビエント・エア)、乾燥した窒素(又はドライ・ナイトロジェン)、乾燥した空気(又はドライ・エア))のもとでのエバポレーション、あるいは噴霧乾燥(又はスプレー・ドライ)または凍結乾燥(又はフリーズ・ドライ)によるものが挙げられてよい。
生成する混合物に水を添加してよく、所望のHO/Yのモル比を達成させてもよい(溶媒除去のプロセス(又は工程又は方法)の間、とてもたくさんの水を除去する場合)。
いくつかの例において、水の除去は、必要でない(調製物が、十分なHO/Yのモル比を有している場合)。
【0050】
炭素(CHの形態)は、本開示のゼオライトを調製(又は生成)するために使用される成分(又はコンポーネント)の様々な供給源(又は源又はソース)に存在してよい(例えば、4価の元素(又はエレメント)の供給源(シリカ供給源)または3価の元素(又はエレメント)の供給源(アルミナ供給源))。そして、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)として、ゼオライトのフレームワーク(又は骨格又は枠組)に組み込まれる。
窒素原子は、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)として、ゼオライト・フレームワークのフレームワーク(又は骨格又は枠組)内に組み込まれてよい(SDAが除去された後)。
【0051】
1以上の態様において、溶媒調節(又はソルベント・アジャストメント)をした後(例えば、所望の水:シリカの比を達成した場合)の合成混合物は、機械的なプロセス(又は工程又は方法)(又はメカニカル・プロセス)によって混合されてよい。例えば、ベース混合物(又は基本混合物又は塩基性混合物)の適切な均質化(又はホモジナイゼーション)を確保するために撹拌すること、または高せん断ブレンド(ハイ・シア・ブレンディング)によって混合されてよい。例えば、デュアル非対称遠心ミキシング(例えば、FlackTek スピードミキサー)を用いてよい(この時、混合スピードは、1,000~3,000rpm(例えば、2000rpm)である)。
【0052】
次いで、合成混合物は、ゼオライトを形成(又は生成)させるのに適した結晶化条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)に供される。
ゼオライトの結晶化(又はクリスタリゼーション)は、静的または動的(又は撹拌)の条件のもと、適切な反応容器において行われてよい(例えば、Teflon(登録商標)のライナー付またはステンレス・スチールのオートクレーブ(適切な温度で維持されたコンベクション・オーブン(又は対流式オーブン)に配置されているもの)など)。
【0053】
当該方法の工程(又はステップ)(b)における結晶化(又はクリスタリゼーション)は、典型的には、一定の時間にわたって、100℃~200℃、例えば、150℃~170℃の温度で行われる。この時間は、採用した温度で結晶化(又はクリスタリゼーション)が起こるのに十分な時間である。
例えば、より高温では、結晶化の時間は、少なくてよい。
例えば、当該方法の工程(又はステップ)(b)における結晶化の条件(又はクリスタリゼーション・コンディション)は、1日~100日、例えば、1日~50日、例えば、10日または20日~40日の期間にわたる加熱を含んでよい。
結晶化の時間は、当該分野で知られている方法によって確立されていてよい。例えば、様々な時間(又は機会)で合成混合物をサンプリングし、沈殿した固体の収率(又はイールド)を決定し、沈殿した固体のX線による結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を決定することによる。
本開示において他に記載しない限り、測定される温度は、加熱されている材料(又はマテリアル)の周囲の環境の温度である(例えば、材料が加熱される雰囲気の温度)。
【0054】
典型的には、ゼオライトは、溶液中で形成(又は生成)されるものであり、標準的な手段によって回収することができる(例えば、遠心分離またはろ過による手段)。
また、分離したゼオライトは、洗浄され、遠心分離またはろ過によって回収されてよく、乾燥させてよい。
【0055】
本開示のゼオライトは、有機化合物の変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)において、吸着剤(又は吸着材又はアドソーベント)として、または触媒として採用される場合、少なくとも部分的に脱水(例えば、乾燥)させてよい。
脱水は、例えば、大気(又はエア)、窒素(又はナイトロジェン)などの雰囲気で、大気圧(atmospheric pressure)、大気圧よりも低い圧力(subatmospheric pressure)、または大気圧よりも高い圧力(superatmospheric pressure)において、30分間~48時間にわたって、80℃~500℃、例えば、90℃~370℃の範囲内の温度まで加熱することによって行うことができる。
また、脱水は、単に、減圧下にモレキュラー・シーブを配置することによって室温で行うことができる。しかし、十分な量の脱水を得るためには、より長い時間が要求される。
【0056】
結晶化(又はクリスタリゼーション)のプロセス(又は工程又は方法)の結果として、回収された生成物(又は製品)は、そのポア(又は孔又は細孔)の内部において、この合成で使用した構造指向剤の少なくとも一部を含む。
従って、工程(又はステップ)(c)から回収された合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)のゼオライトは、熱処理または他の処理(又はトリートメント)に供されてよく、それにより、合成の間にポア(又は孔又は細孔)に導入されたSDAの一部または全部を除去してよい。
合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)のゼオライトの熱処理(例えば、焼成(又はカルシネーション))は、典型的には、大気(又はエア)、窒素(又はナイトロジェン)、オゾンまたはそれらの混合物から選択される雰囲気において、炉内で当該材料(又はマテリアル)を高温に曝して、SDAの一部または全部を十分に除去する。
この熱処理において、大気圧よりも低い圧力(subatmospheric pressure)を採用してもよいが、簡便であることから、大気圧が望ましい。
最大で925℃、例えば、300℃~700℃、または400℃~600℃の温度で熱処理を行ってよい。
測定される温度は、サンプル(又は試料)の周囲環境の温度である。
箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)(乾燥空気(又はドライ・エア))において、熱処理(例えば、焼成(又はカルシネーション))を行ってよい。これは、空気(又はエア)から水を除去する乾燥剤を含む乾燥チューブ(又はドライ・チューブ(drying tube))に曝されている。
加熱は、通常、少なくとも1分間にわたる焼成(又はカルシネーション)であり、概して、1日以下、あるいは最大で数日間である。
加熱は、まず、窒素雰囲気下で行われてよい。次いで、雰囲気は、大気(又はエア)および/またはオゾンにスイッチしてもよい。
【0057】
また、ゼオライトは、イオン交換処理に供されてよい(例えば、水性アンモニウム塩、例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムおよび酢酸アンモニウムを用いるイオン交換処理)。その目的は、残存するアルカリ金属カチオンおよび/またはアルカリ土類金属カチオンを除去することであり、それらをプロトンに置き換え、それにより、酸形態のモレキュラー・シーブを生成させることである。
所望の程度まで、合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の材料(又はマテリアル)(例えば、アルカリ金属カチオン)の元々(又はオリジナル)のカチオンをイオン交換によって他のカチオンに置き換えることができる。
好ましい置換のカチオンとして、水素イオン、水素前駆体(又は水素プリカーサ又はハイドロジェン・プリカーサ)、例えば、アンモニウムイオン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
製造時(又は製造したまま(as-made)の状態)のモレキュラー・シーブを乾燥させた後にイオン交換の工程(又はステップ)を行ってよい。
イオン交換の工程(又はステップ)は、焼成(又はカルシネーション)の工程(又はステップ)の前または後に行ってよい。
【0058】
必要に応じて、ゼオライトがホウ素原子(又はボロン原子)を含む実施形態において、例えば、ゼオライトがボロシリケートである場合、アルミニウム原子は、水熱合成反応(又はヒドロサーマル・シンセシス・リアクション)に続く交換のプロセス(又はエクスチェンジ・プロセス)の間において、ゼオライトのフレームワークに導入されてよい(ここでは、SDAの一部または全部が除去されている)。
このような交換プロセスは、アルミニウムの供給源(又は源又はソース)(例えば、アルミニウム塩を含む水溶液)にゼオライトを曝すこと(又は工程又はステップ)を含んでよい。
このような交換のプロセス(又は工程又は方法)は、フレームワークのシリケートにおけるホウ素原子(又はボロン原子)の少なくとも一部および最大で実質的に全てをアルミニウム原子と交換するのに十分な条件下にゼオライトを暴露させること(又は工程又はステップ)を含んでよい。
例えば、焼成されたボロシリケートのゼオライトは、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび/または酢酸アルミニウムの溶液を用いて、ホウ素(又はボロン)を含むゼオライト(焼成後のもの)を(例えば、100℃または沸騰温度(開放系(又はオープン系))でコンベクション・オーブン(又は対流式オーブン)において密封したオートクレーブ内で)加熱することによって、アルミノシリケートに変換することができる。
アルミニウム処理されたゼオライトは、次いで、ろ過により回収されてよく、脱イオン水で洗浄されてよい。
【0059】
また、ゼオライトを他の処理(又はトリートメント)に供してよい(例えば、スチーミングおよび/または溶媒を用いた洗浄)。
このような処理(又はトリートメント)は、当業者によく知られており、モレキュラー・シーブの特性を望み通りに修飾するために行われる。
【0060】
本開示のゼオライトは、SDAの一部または全部が除去されている場合、広範な炭化水素の変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)、例えば、有機化合物の変換生成物(又は変換プロダクト)への変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)において、触媒または触媒のサポートとして、または吸着剤(又は吸着材又はアドソーベント)として、使用されてよい。
【0061】
本開示のゼオライト(SDAの一部または全部が除去されている場合)は、吸着剤(又は吸着材又はアドソーベント)として使用されてよい(例えば、材料(又はマテリアル)に関して、微分吸着特性(又は示差吸着特性又はディファレンシャル・ソープション・キャラクテリスティクス)を有する気相(又はベーパー相)または液相(又はリキッド相)に含まれる複数の成分(又はコンポーネンツ)の混合物から少なくとも1つの成分(又はコンポーネント)を分離するための吸着剤)。
従って、ゼオライトに関して、微分吸着特性(又は示差吸着特性又はディファレンシャル・ソープション・キャラクテリスティクス)を有する複数の成分(又はコンポーネンツ)の混合物から、ゼオライトに混合物を接触させることによって、1つの成分(又はコンポーネント)を選択的に吸着(又は吸収)させることで、少なくとも1つの成分が部分的または実質的に全部が分離され得る。
例えば、フィードストック(又は供給原料)の残りの成分(又はコンポーネント)から、フィードストック(又は供給原料)の所望の成分(又はコンポーネント)の1以上を選択的に分離させるためのプロセス(又は工程又は方法)において、効果的な吸着条件(又は吸収条件又はソープション条件)で本開示のゼオライトを含む吸着剤(又は吸着材又はアドソーベント)とフィードストック(又は供給原料)を接触させてよい。それにより、吸着(又は吸収)された生成物(又は製品)および流出物の生成物(又はプロダクト)を形成(又は生成)してよい。
吸着(又は吸収)された生成物(又は製品又はプロダクト)または流出物の生成物(又は製品又はプロダクト)から、1以上の所望の成分(又はコンポーネント)が回収される。
【0062】
また、本開示のゼオライト(SDAの一部または全部が除去されている場合)は、広範な有機化合物の変換プロセス(又は転換プロセス又は転化プロセス又はコンバージョン・プロセス)を触媒するための触媒として使用されてよい。
化学的な変換プロセス(又は転換プロセス又は転化プロセス又はコンバージョン・プロセス)の例は、本開示に記載されるゼオライトによって効果的に触媒されるものであり、単独あるいは他の結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の触媒を含む1以上の他の触媒活性物質との組み合わせ(又はコンビネーション)であって、酸の活性を伴う触媒を必要とするものを含む。
有機変換プロセス(又はオーガニック・コンバージョン・プロセス)の例は、本開示において記載されているゼオライトによって触媒され得るものであり、分解(又はクラッキング(cracking))、水素化分解(又はヒドロクラッキング(hydrocracking))、異性化(又はアイソメリゼーション(isomerization))、重合(又はポリメリゼーション(polymerisation))、改質(又はリフォーミング(reforming))、水素化(又はヒドロゲネーション(hydrogenation))、脱水素(又はデヒドロゲネーション(dehydrogenation))、脱ろう(又はデワキシング(dewaxing))、水素化脱ろう(又はヒドロデワキシング(hydrodewaxing))、吸着(又はアドソープション(adsorption))、アルキル化(又はアルキレーション(alkylation))、トランスアルキル化(又はトランスアルキレーション(transalkylation))、脱アルキル化(又はデアルキレーション(dealkylation))、ヒドロ脱シリル化(又はヒドロデシリゼーション(hydrodecylization))、不均化(又はディスプロポーショネーション(disproportionation))、オリゴマー化(又はオリゴメリゼーション(oligomerization))、脱水素環化(又はデヒドロシクリゼーション(dehydrocyclization))/分解(又はクラッキング(cracking))、水素化分解(ヒドロクラッキング(hydrocracking))、異性化(又はアイソメリゼーション(isomerization))、重合(又はポリメリゼーション(polymerisation))、改質(又はリフォーミング(reforming))、水素化(又はヒドロゲネーション(hydrogenation))、脱水素(又はデヒドロゲネーション(dehydrogenation))、脱ろう(又はデワキシング(dewaxing))、水素化脱ろう(又はヒドロデワキシング(hydrodewaxing))、吸着(又はアドソープション(adsorption))、アルキル化(又はアルキレーション(alkylation))、トランスアルキル化(又はトランスアルキレーション(transalkylation))、脱アルキル化(又はデアルキレーション(dealkylation))、ヒドロ脱シリル化(又はヒドロデシリゼーション(hydrodecylization))、不均化(又はディスプロポーショネーション(disproportionation))、オリゴマー化(又はオリゴメリゼーション(oligomerization)、デヒドロシクリゼーション(dehydrocyclization)、メタノールからオレフィンへの変換(又は転換又は転化又はコンバージョン))、脱NO(deNOx)の用途(又は適用又は適応又は応用又はアプリケーション)、および、それらの組み合わせが挙げられる。
炭化水素の供給物(又はフィード)の変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)は、任意の便利なモードで行われてよい。例えば、所望のプロセス(又は工程又は方法)の種類(又はタイプ)に応じて、流動床、移動床または固定床の反応器で行われてよい。
【0063】
本開示のゼオライトは、他の材料(又はマテリアル)(例えば、バインダおよび/またはマトリクス材料(又は母材又はマトリクス・マテリアル)(最終プロダクト(又は最終製品)にさらなる硬さ(又はハードネス)を与えるもの))との組み合わせ(又はコンビネーション)によって、プロダクト組成物(又は製品組成物)に調合されてよい。
このような他の材料は、不活性であってもよく、触媒活性の材料(又はマテリアル)であってもよい。
【0064】
例えば、本発明の本開示のゼオライトに別の材料(又はマテリアル)(使用の間に採用される温度および他の条件に耐性であるもの)を組み込むことが望ましくてよい。
このような材料として、合成または天然のゼオライトならびに無機材料(例えば、クレイ、シリカおよび/または金属酸化物(又はメタル・オキシド)(例えば、アルミナ))およびそれらの混合物が挙げられる。
金属酸化物(又はメタル・オキシド)は、天然物であっても、ゼラチン状の沈殿物またはゲルの形態であってもよい(シリカおよび金属酸化物の混合物を含む)。
本開示のゼオライト(その結晶(又はクリスタル)は活性(又はアクティブ)である)と接合する耐性(又はレジスタント)の材料(又はレジスタント・マテリアル)(すなわち、本開示のゼオライトと組み合わされるか、製造時(又は製造されたまま(as-made)の状態)のゼオライトの合成の間に存在するもの)を使用することによって、特定の有機変換プロセス(又は有機コンバージョン・プロセス)における触媒の選択性(又はセレクティビティ)および/または変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)が変化する傾向がある。
不活性の耐性(又はレジスタント)の材料(又はレジスタント・マテリアル)は、所定のプロセス(又は工程又は方法)において、変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)の量を制御(又は管理又は調節又はコントロール)するための希釈剤として適切に役立つ。そのため、生成物(又は製品又はプロダクト)は、反応の速度(又は割合又はレート)を制御(又は管理又は調節又はコントロール)するための他の手段を採用することなく、経済的かつ整然とした様式(又は方法又はマナー)で得ることができる。
これらの材料(又はマテリアル)は、天然のクレイ(例えば、ベントナイト(bentonite)およびカオリン(kaolin))に組み込まれてよい。
市販品(又は市井)の操作条件のもとで生成物(又は製品又はプロダクト)の破壊強度(又はクラッシュ強度又はクラッシュ・ストレングス)を改善(又は向上)させることができる。
上記の不活性の耐性(又はレジスタント)の材料(又は又はレジスタント・マテリアル)、すなわち、クレイ、酸化物(又はオキシド)などは、触媒のためのバインダとして機能(又はファンクション)する。
優れた破壊強度(又はクラッシュ強度又はクラッシュ・ストレングス)を有する触媒は、有益であってよい。なぜなら、市販品(又は市井)の使用において、触媒が壊れて粉末状の材料なることを抑制(又は防止)するのが望ましいからである。
【0065】
使用することができる天然のクレイとして、モンモリロナイト(montmorillonite)およびカオリン(kaolin)のファミリーが挙げられる。このようなファミリーとして、サブベントナイト(又は亜ベントナイト(subbentonites)、およびカオリン(kaolins)(Dixie, McNamee, Georgia および Florida のクレイとして、共通して知られているものなど)が挙げられる。ここで、主要な無機の構成物は、ハロイサイト(halloysite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)またはアナウキサイト(anauxite)である。
このようなクレイは、もともと採掘した原料の状態で使用することができる。あるいは、焼成(又はカルシネーション)、酸処理(又はアシッド・トリートメント)または化学修飾(又はケミカル・モディフィケーション)に供した後に使用することができる。
また、本開示のゼオライトとともに組成物にするために有用なバインダは、シリカ(silica)、ジルコニア(zirconia)、チタニア(titania)、マグネシア(magnesia)、べリリア(beryllia)、アルミナ(alumina)、イットリア(yttria)、酸化ガリウム(又はガリウム・オキシド(gallium oxide))、酸化亜鉛(又はジンク・オキシド(zinc oxide))およびそれらの混合物から選択される無機酸化物(又はインオーガニック・オキシド)が挙げられる。
【0066】
上記の材料(又はマテリアル)に加えて、本開示のゼオライトには、多孔質(又は多孔性又はポーラス)のマトリクス材料(又は母材又はマトリクス・マテリアル)が配合されてよい(例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア(thoria)、シリカ-ベリリア(beryllia)、シリカ-チタニアならびに3元の組成物、例えば、シリカ-アルミナ-ソリア(thoria)、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシアおよびシリカ-マグネシア-ジルコニア)。
【0067】
これらのバインダ材料(又はバインダ・マテリアル)は、温度および他の条件(例えば、機械的な摩耗(又はメカニカル・アトリション(mechanical attrition)))に対して耐性(又はレジスタント)である。なお、他の条件は、様々な炭化水素の分離プロセス(又は分離工程又は分離方法又はセパレーション・プロセス)で発生するものである。
従って、本開示のゼオライトは、バインダとともに押出物(又は押出成形物又はエクストルデート(extrudate))の形態(又はフォーム)で使用することができる。
これらは、典型的には、錠剤(又はピル)、球(又はスフェア)または押出物(又は押出成形物又はエクストルデート)を形成(又は生成)することによって、結合(又はボンド又はボンディング)されている。
押出物(又は押出成形物又はエクストルデート)は、通常、モレキュラー・シーブを必要に応じて、バインダの存在下で押出成形することによって形成(又は生成)される。そして、乾燥させて、得られる押出物(又は押出成形物又はエクストルデート)を焼成(又はカルシネーション)する。
さらなる処理(又はトリートメント)(例えば、蒸気処理(又はスチーミング))および/またはイオン交換(又はイオン・エクスチェンジ)が必要に応じて行われてよい。
モレキュラー・シーブは、必要に応じて、バインダと結合(又はボンド又はボンディング)していてよい。バインダの表面積は、少なくとも100m/g、例えば、少なくとも200m/g、必要に応じて、少なくとも300m/gである。
【0068】
モレキュラー・シーブと無機酸化物マトリクス(又はインオーガニック・オキシド・マトリクス)の相対的な割合(又は比率又はプロポーション)は、非常に広くてよい。このとき、モレキュラー・シーブの含有量(又は含量又はコンテント)は、約1~約100重量%の範囲内である。より通常では、特に、このような複合体(又はコンポジット)が押出物(又は押出成形物又はエクストルデート)の形態(又はフォーム)で調製(又は製造)される場合、複合体(又はコンポジット)に基づいて、約2~約95重量%の範囲内、必要に応じて、約20~約90重量%の範囲内である。
【0069】
また、本開示のゼオライトは、水素化成分(又は水素化コンポーネント)(例えば、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、または貴金属(例えば、白金(又はプラチナ)またはパラジウム))(ここで、水素化-脱水素化の機能(又はファンクション)が行われ得る)との密な組み合わせ(又はインティメート・コンビネーション)で使用することができる。
このような水素化成分(又は水素化コンポーネント)は、以下の1以上のプロセス(又は工程又は方法)によって、当該組成物に組み込まれてよい:
共結晶化(又はコクリスタリゼーション)(組成物は、第IIIA族の元素(又はエレメント)(例えば、アルミニウム)が構造中に存在する程度にまで交換されるか)、あるいは
このような水素化成分とともに密に物理的に混合(又は配合)される。
また、このような水素化成分(又は水素化コンポーネント)は、ゼオライト中またはゼオライト上に含浸させることができる。例えば、水素化金属含有イオンで当該モレキュラー・シーブを処理(又はトリートメント)することによっても、含浸させることができる。
例えば、パラジウムの場合、この目的に沿う適切なパラジウム化合物として、クロロ白金酸(又はクロロプラチナ酸(chloroplatinic acid))、塩化白金(platinous chloride)および白金アミン錯体(又はプラチナアミン錯体(platinum amine complex))を含む様々な化合物が挙げられる。
また、それらを導入するための方法および金属の組み合わせ(又はコンビネーション)を使用することができる。
【0070】
当業者は、本開示のゼオライトが不純物を含んでもよいことを理解する(例えば、アモルファス材料(又はアモルファス・マテリアル)、異なるトポロジー(又は位相幾何学(topology))を有する単位セル(又はユニット・セル)(例えば、異なるフレームワークのタイプ(又は種類)を有するモレキュラー・シーブまたはクゥォーツであって、得られる触媒の性能(又はパフォーマンス)に影響を与えることができるもの、または影響を与えることができないもの)および/または他の不純物(例えば、重金属および/または有機炭化水素類)。
本開示のゼオライトと共存する異なるフレームワーク・タイプを有するモレキュラー・
シーブの典型的な例は、例えば、FAUまたはIWVのフレームワーク・タイプを有するモレキュラー・シーブである(例えば、フージャサイト(faujasite)およびITQ-27)。
本開示のゼオライトは、好ましくは、不純物を実質的に含まない(又は実質的に不純物フリーである)。
用語「不純物を実質的に含まない(又は実質的に不純物フリーである)(substantially free of impurities)」(あるいは、代替の用語「実質的に純粋(又はピュア)である(substantially pure)」)とは、本開示で使用される場合、ゼオライトにおいて、このような不純物(例えば、「非EMM-70の材料(又はノン-EMM-70の材料又はEMM-70ではない材料(又はマテリアル))」)の比率(又は割合又はプロポーション)が小さいこと(又はマイナーであること)(このような不純物が50重量%未満であること)を意味する。このような不純物は、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満(例えば、0.5重量%未満または0.1重量%未満)である。
このような重量%(wt%)の値は、不純物および純粋なゼオライトの重量を合算した重量に基づくものである。
不純物の量は、粉末XRD、回転電子回折法および/またはSEM/TEM(例えば、異なる結晶モルホロジ(又は結晶形態))によって、適切に決定することができる。
【0071】
本開示に記載のゼオライトは、実質的に結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)である。
用語「結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)(crystalline)」は、本開示で使用する場合、材料が結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の固体の形態であることを意味する。単一成分(又はシングル・コンポーネント)の結晶形態(又はクリスタル・フォーム)または複数成分(又はマルチ・コンポーネント又はマルチプル・コンポーネント)の結晶形態(又はクリスタル・フォーム)が挙げられる(例えば、溶媒和物(又はソルベート(solvates))、水和物(又はハイドレート(hydrates))および共結晶(又はコ・クリスタル(co-crystal))が挙げられる)が、これらに限定されるものではない。
結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)とは、分子の規則正しい繰り返しおよび/または分子の整然とした配列(又は配置又はアレンジメント)を有し、なおかつ、区別することができる結晶格子(又はクリスタル・ラティス)を有することを意味することができる。
例えば、ゼオライトは、水または溶媒の含有量(又は含量又はコンテント)が異なっていてよい。
異なる結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の格子(又はラティス)は、固体状態でのキャラクタリゼーション法(又はキャラクタリゼーション・メソッド)(例えば、XRD(例えば、粉末XRD))によって、同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)することができる。
当業者に知られている他のキャラクタリゼーション法(又はキャラクタリゼーション・メソッド)は、結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の形態(又はフォーム)の同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)をさらに支援することができ、なおかつ、安定性(又はスタビリティ)および溶媒/水の含有量の決定をさらに支援することができる。
用語「実質的に結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)(substantially crystalline)」は、本開示で使用する場合、記載されている材料(又はマテリアル)のサンプル(又は試料)の重量の過半数(マジョリティ)(50重量%以上)が結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)の形態であり、サンプル(又は試料)の残りの部分(又はリマインダ)が、結晶質(又は結晶性又はクリスタル又はクリスタリン)ではない形態(又は非結晶質の形態又はノン・クリスタリン・フォーム)であることを意味する。
1以上の態様において、実質的に結晶質のサンプルは、少なくとも95%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ(crystallinity))を有する(例えば、5%が結晶質ではない形態である);
少なくとも96%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を有する(例えば、4%が結晶質ではない形態である);
少なくとも97%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を有する(例えば、3%が結晶質ではない形態である);
少なくとも98%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を有する(例えば、約2%が結晶質ではない形態である);
少なくとも99%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を有する(例えば、1%が結晶質ではない形態である);
100%の結晶化度(又は結晶度又はクリスタリニティ)を有する(例えば、0%が結晶質ではない形態である)。
【0072】
本開示の態様は、具体的な実施例によって、さらに詳細に記載されている。
以下の実施例は、例示を目的として提供されるものであり、何らかの方法(又はマナー)によって、本開示を限定(又は制限)することは意図されていない。
当業者は、様々なパラメータを変更または改変することができ、それにより、本質的に同じ結果を得ることができることを簡単に理解する。
【実施例
【0073】
(実施例)
本発明を以下にてさらに説明するが、本発明は、これらの範囲に限定されるものではない。
【0074】
これらの実施例において、合成時(又は合成したまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)および焼成時(又は焼成したまま又はカルシネーション時(as-calcined)の状態)の材料(又はマテリアル)のX線回折(XRD)のパターンを記録した(2θの範囲、2~50°)(粉末X線回折装置(X-Ray Powder Diffractometer)(Bruker DaVinci D8 Discovery instrument)、連続モード(CuKαの照射(又は放射(radiation))、Bragg-Bentano ジオメトリ(Vantec 500 検出器を備える)を用いた)。
面間間隔(または面間スペーシング又はインタープラナー・スペーシング)(間隔d(d-スペーシング))をオングストーム単位で計算した。そして、ライン(又は線)の相対的な強度(I/Io)は、最長のライン(又は線)のピーク強度(バックグラウンドを超えるもの)に対するピーク強度の比である。
これらの強度は、ロレンツ効果(Lorentz effect)および分極効果(polarization effect)について補正(又は校正)されていないままである。
回折ピークの位置(又はロケーション)(2θ)およびライン(又は線)の相対ピーク面積強度(I/I(o))(ここで、I(o)は、最長のライン(又は線)の強度(バックグラウンドを超えるもの)である)を決定した(MDI Jade ピーク・サーチ・アルゴリズムを用いた)。
以下のことを理解するべきである。1本の線(又はシングル・ライン)で列挙された回折データは、複数の重複する線(又はライン)からなるものであってよい。特定の条件下(例えば、結晶学的な変化(又はクリスタログラフィック・チェンジ)の差異のもとで)、これらのライン(又は線)は、分解されているか、あるいは部分的に分解された線(又はライン)として出現してもよい。
典型的には、このような結晶学的な変化は、ユニット・セル・パラメータにおける小さな変化(又はマイナー・チェンジ)および/または結晶の対称性(又はシンメトリ)における変化(又はチェンジ)を含むことができる。フレームワーク(又は骨格又は枠組)のコネクティビティ(又は接続性)が変化することはない。
また、このような小さな効果(又はマイナー・エフェクト)(相対強度の変化を含む効果)は、カチオン含有量(又はカチオン含量又はカチオン・コンテント)、フレームワークの組成物(又は組成又はコンポジション)、ポア充填(物)(又はポア・フィリング)の性質(又はネイチャ)および程度(又はデグリー)、結晶(又はクリスタル)のサイズ(又は大きさ又は寸法)およびシェイプ(又は形状)、好ましいオリエンテーション(又は配向)および熱履歴(又はサーマル・ヒストリ)および/または水熱履歴(又はヒドロサーマル・ヒストリ)における差異の結果として生じ得る。
【0075】
合成時(又は合成したまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の材料(又はマテリアル)について走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy)(SEM)による画像(又はイメージ)を得た(Hitachi 4800 Scanning Electron Microscope)。
SEM画像を使用して、生成物の純度(又はプロダクト・ピュアリティ)の評価(又はアセスメント)を支援した。
SEM画像において明らかに異なる結晶モルホロジ(又は結晶形態又は結晶構造)の存在は、他の結晶質(又は結晶性)の材料(又はマテリアル)の形態での不純物を示すことができる。
このような近似分析(approximate analysis)は、相対的に少ない量の結晶質(又は結晶性)の不純物の形成(又は生成)の存在の認識(又は識別又は同定又はアイデンティフィケーション)において、特に有用であってよい。なお、このような存在は、生成物(又はプロダクト)のXRDパターンから認識不能(又は識別不能又は同定不能又はアイデンティフィケーション不能)であってもよい。
【0076】
材料(又はマテリアル)の総BET表面積(又はオーバーオール・BET・サーフェス・エリア)(SBET)をBET法によって決定した。BET法は、S. Brunauer ら、(1938)、J. Am. Chem. Soc., v.60, pg. 309 に記載されている通りであり、この文献は、参考として本開示に組み込まれており、液体窒素の温度で窒素の吸着-脱離(又は脱着)を利用している。
材料(又はマテリアル)の外部表面積(又は外表面積又はエクスターナル・サーフェス・エリア(external surface area))(Sext)をt-プロット法から得た。
材料(又はマテリアル)の微細孔表面積(又は微小孔表面積又はミクロポア表面積又はミクロポア・サーフェス・エリア(micropore surface area))(Smicro)を総BET表面積(SBET)から外部表面積(Sext)を引き算することによって計算した。
【0077】
材料(又はマテリアル)の微細孔容積(又は微小孔容積又はミクロポア容積又はミクロポア・ボリューム(micropore volume))(Vmicro)を関連する分野で公知の方法を用いて決定することができる。
例えば、材料(又はマテリアル)の微細孔容積(又は微小孔容積又はミクロポア容積又はミクロポア・ボリューム)は、窒素の物理吸着によって測定することができる。そのデータは、t-プロット法によって分析することができる。t-プロット法は、Lippens, B.C. ら、(1965)、"Studies on pore system in catalysts: V. The t method," J. Catal., v.4, pg. 319 に記載されており、この文献は、微細孔容積法(又はミクロポア・ボリューム・メソッド)を説明するものであり、参考として、本開示に組み込まれている。
【0078】
実施例2~7の合成で使用するモル比および条件(又はコンディション)ならびに得られる生成物について、以下にて詳細に説明し、表3にまとめる。
【0079】
実施例1a
1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムカチオン(SDA-1)の合成
2-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンズイミダゾール
40gの2-メチルベンズイミダゾールを320mlの氷状酸(又はグラシアル・アシッド(glacial acid))に溶解させた。
15gのパラジウム(10重量%、炭素上)を添加し、反応混合物を水素で処理した(120℃の温度、80barの圧力下、24時間)。
溶液をセライトでろ過し、氷状酸(又はグラシアル・アシッド(glacial acid))で洗浄した。
溶媒を減圧下でエバポレートし、次いで、水酸化ナトリウムの溶液を添加して、溶液のpHを9~10にした。
沈殿物をろ過し、水で洗浄し、次いで、クロロホルムに溶解させて、飽和塩化ナトリウムの溶液で抽出した。
有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過し、減圧下で濃縮させた。
【0080】
1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムアイオダイド
13.6gの2-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンズイミダゾール、70gのヨードメタンおよび27gの炭酸カリウムを150mlのアセトニトリル(CHCN)に添加した(マグネチック・ステア・バーを備えた250mLの丸底フラスコ中)。
その後、懸濁液を18時間にわたって還流させた。次いで、室温まで冷却させた。
次いで、この溶液をブフナーロート(Buchner funnel)を用いてろ過した。そして、ろ液をロトバップ(rotovap)で濃縮させた。
この濃縮液にジクロロメタンを添加して、残りのカリウム塩を除去した。
ろ液(ジクロロメタン中)をロトバップ(rotovap)で濃縮させて、減圧下で乾燥させて、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムアイオダイドを得た。
【0081】
1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムヒドロキシド
ヨウ化物塩をイオン交換して(イオン交換樹脂 Amberlite(登録商標) IRN78 OH ヒドロキシドの形態(ヨウ化物:樹脂:水の比=1:3.5:5))、ヒドロキシド(又は水酸化物)の形態に変換した。交換を室温で一晩にわたって行った。
【0082】
実施例1b
2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムカチオン(SDA-2)の合成
実施例1aの3ステップ(又は工程)のプロセス(又は方法)に従った。ただし、2-メチルベンズイミダゾールを2-エチルベンズイミダゾールに置き換えた。
【0083】
実施例2:SDA-1、USYゼオライト、Si/Al=15
23mLの Steel Parr オートクレーブのPTFEライナーにおいて、以下の試薬を一緒に混合した。
2.87gのSDA-1溶液(13.9重量%)、
0.72gのNaOH溶液(4重量%)、
2.16gの脱イオン水、および
0.190gの Ultrastable Y (USY)ゼオライト
(Si/Alのモル比=15(Zeolyst から、CBV720として入手可能である))
生成された合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)は、モル比に関して、以下の組成(又は組成物又はコンポジション)を有していた。
25HO:1SiO:0.033Al:0.23QOH:0.07NaOH
【0084】
次いで、ライナーにキャップを付けて、23mLの Parr オートクレーブ内でシールし、コンベクション・オーブン(又は対流式オーブン)の中にある串(又はスピット)に配置した。
反応器を加熱した(160℃、6週間、転倒条件(又はタンブリング条件又はタンブリング・コンディション)(約30rpm))。
生成物をろ過により単離し、脱イオン水で濯ぎ、乾燥させた。
次いで、合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の材料(又はマテリアル)を焼成させた(580℃まで、大気中、箱形炉(又はボックス・ファーネス)、ランプ速度=3℃/分)。
温度を580℃で8時間にわたって維持し、次いで、箱形炉(又はボックス・ファーネス)を冷却させた。
【0085】
合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の材料(又はマテリアル)および焼成時(又は焼成されたまま又はカルシネーション時(as-calcined)の状態)の材料(又はマテリアル)のXRD分析によって、2θ(°)および間隔d(又はd-スペーシング)に関して、合成時および焼成時のSSZ-64のそれぞれについて、同様の粉末XRDパターンを有し得る材料(又はマテリアル)であることが示された。
ただし、相対強度は、相違していた(WO2004/013042A1の表I/IAおよび表II/IIAに示す通り)。
このような新たな生成物(又は製品)をEMM-70と同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した。
図1は、合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の生成物(又はプロダクト)のSEM画像を示す。
EMM-70の正確な構造は不明である。
【0086】
焼成時(又は焼成されたまま又はカルシネーション時(calcined)の状態)のバージョンのEMM-70の材料(又はマテリアル)の微細孔表面積(又は微小孔表面積又はミクロポア表面積又はミクロポア・サーフェス・エリア)(Smicro)は、505m/gであった。
その外部表面積(又は外表面積又はエクスターナル表面積又はエクスターナル・サーフェス・エリア)(Sext)は、63m/gであった。
その微細孔容積(又は微小孔容積又はミクロポア容積又はミクロポア・ボリューム)(Vmicro)は、0.18cc/gであった。
【0087】
実施例3
SDA-1、USYゼオライト、Si/Al=15
実施例3は、実施例2と同様の条件で行った。
ただし、合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)は、より多量のSDA-1と、より少量のNaOHとを含んでいた。その結果、モル比に関する組成(又は組成物又はコンポジション)は、以下の通りであった。
25HO:1SiO:0.033Al:0.40QOH:0.05NaOH
【0088】
160℃で4週間にわたって加熱した後、純粋なEMM-70の生成物(又は製品)を得た(そのXDRパターンで同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した通りであった)。
【0089】
比較例4:
SDA-1、USYゼオライト、Si/Al=30
比較例4は、実施例1と同様の条件で行った。
ただし、SiおよびAlの供給源(又は源又はソース)として、USYゼオライト(Si/Alのモル比=30)(Zeolyst から CBV760として入手可能である)を使用した。その結果、合成混合物において、Si/Alのモル比=30であった。
160℃で4週間にわたって加熱した後、EMM-70は得られなかった。
得られた生成物(又は製品)は、そのXRDパターンに基づいて、ITQ-27と同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)された。ITQ-27は、J.E. Schmidt ら、(2016)、Chem. Eur. J., v.22, pp. 4022-4029 または WO2006/055305A2に開示される通りである。
【0090】
実施例5
SDA-2、USYゼオライト、Si/Al=15
実施例5は、実施例1と同様の条件で行った。
ただし、SDA-1は、SDA-2に置き換えられた。ここで、Q/Siのモル比=0.25であった(0.23ではない)。
160℃で4週間にわたって加熱した後、純粋なEMM-70の生成物(又は製品)を得た(そのXDRパターンで同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した通りであった)。
図2および図3は、実施例5の合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)および焼成時(又は焼成されたまま又はカルシネーション時(as-calcined)の状態)の生成物(又は製品)の粉末XRDパターンを示す。
以下の表4および表5は、実施例5の合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)および焼成時(又は焼成されたまま又はカルシネーション時(as-calcined)の状態)のEMM-70の生成物(又は製品)のピークおよび強度を列挙して示す。
図4は、実施例5の合成時(又は合成されたまま又はシンセシス時(as-synthesized)の状態)の生成物(又は製品)のSEM画像を示す。
【0091】
実施例6
SDA-2、USYゼオライト、Si/Al=15
実施例6は、実施例5と同様の条件で行った。
ただし、合成混合物は、様々な量のSDA-2と、NaOHと、水とを含んでいた。その結果、モル比に関して、組成(又は組成物又はコンポジション)は、以下の通りであった。
30HO:1SiO:0.033Al:0.20QOH:0.10NaOH
【0092】
160℃で5週間にわたって加熱した後、EMM-70の生成物(又は製品)を得た(少量のITQ-27を伴う)(そのXDRパターンで同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した通りであった)。
【0093】
実施例7
SDA-2、コロイドシリカ、アルミン酸ナトリウム、Si/Al=15
実施例7を実施例6と同様の条件で行った。
ただし、Siの供給源(又は源又はソース)として Ludox HS40(40重量%のコロイドシリカ懸濁液)を使用した。また、Alの供給源(又は源又はソース)としてアルミン酸ナトリウム(NaAlO、25重量%のAl、19.3重量%のNaOを使用した。また、NaOHは、わずかに大きなNa/Siのモル比=0.15で存在していた。
160℃で5週間にわたる加熱の後、EMM-70の生成物(又は製品)を得た(少量のITQ-27を伴う)(そのXDRパターンで同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した通りであった)。
【0094】
実施例8
SDA-2、USYゼオライト、Si/Al=15
実施例8は、実施例5と同様の条件で行った。
ただし、合成混合物は、より多量のSDA-2を含み、NaOHの非存在下で行った。その結果、モル比に関して、組成(又は組成物又はコンディション)は、以下の通りであった。
25HO:1SiO:0.033Al:0.35QOH
【0095】
160℃で3週間にわたって加熱した後、EMM-70の生成物(又は製品)を得た(溶解しないフォージャサイト(faujasite)のゼオライトの相(又はフェーズ)を伴う)(そのXDRパターンで同定(又は認識又は識別又はアイデンティフィケーション)した通りであった)。
【0096】
【表7】
【0097】
* SDA-1=1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムカチオン
** SDA-2=2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-3-イウムカチオン
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】
【0100】
特定の実施形態を参照しながら、本発明が説明され、示されているが、本発明は、本開示に具体的に示されていない多くの異なる変更(又はオルタネーション)、修正(又はモディフィケーション)および変形(又はバリエーション)を自身に与えることが当業者に理解される。
また、本開示において、数値の下限および数値の上限が記載されている場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が考えられていることが当業者には明らかである。
また、本開示の詳細な説明に記載されているすべての数値は、記載されている値が「約(about)」によって修飾されており、実験の誤差や変動が考慮されており、当業者によって予測(又は期待)され得るものである。
【0101】
上記の説明において、全体または要素が記載されており、これらは、知られているか、明らかであるか、または予見可能である均等物(又は等価物)を有し、次いで、このような均等物は、本開示において、それぞれが記載されているかの如く、組み込まれている。
本発明の本当の範囲を決定するために特許請求の範囲が参照されるべきであり、このような任意の均等物(又は等価物)が包含されるように解釈されるべきである。
また、好ましいか、有利であるか、便利であるなどとして記載されている本発明の特徴または全体は、読者にとって、任意であり、独立請求項の範囲を限定しないことも理解されている。
さらに、このような任意の特徴または全体は、本発明のいくつかの実施形態において有益である可能性がある一方で、他の実施形態では、望ましくなくてもよく、それゆえ、存在していなくてもよいことが理解され得るべきである。
【0102】
追加または代替として、本発明は、以下の実施形態に関する。
【0103】
実施形態1
ゼオライトであって、その焼成時の形態(又は焼成されたままの形態又は焼成形態又はカルシネーション形態(calcined form))において、表1または表1Aに示すピークを含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【0104】
実施形態2
以下の式II:
(m)X:YO (式II)
[式中、
0.017<m≦0.1であり、
Xは、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)であり、
Yは、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)である]
の分子式を有する、実施形態1に記載のゼオライト。
【0105】
実施形態3
Xは、アルミニウムおよびホウ素(又はボロン)の1以上を含み、
好ましくは、Xは、アルミニウム、ホウ素(又はボロン)およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムである、
実施形態2に記載のゼオライト。
【0106】
実施形態4
Yは、ケイ素(又はシリコン)およびゲルマニウムの1以上を含み、
好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)を含むか、ケイ素(又はシリコン)である、
実施形態2または3に記載のゼオライト。
【0107】
実施形態5
ゼオライトであって、その合成時の形態(又は合成されたままの形態又は合成形態又はシンセシス形態(as-synthesized form))において、表2または表2Aに示すピークを含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【0108】
実施形態6
以下の式III:
(q)Q:(m)X:YO (式III)
[式中、
0≦q≦0.5であり、
0.017<m≦0.1であり、
Qは、以下の式I:
【化4】
(式I)
[Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
Xは、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)であり、
Yは、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)である]
の分子式を有する、実施形態5に記載のゼオライト。
【0109】
実施形態7
Xは、アルミニウムおよびホウ素(又はボロン)の1以上を含み、
好ましくは、Xは、アルミニウム、ホウ素(又はボロン)およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムである、
実施形態6に記載のゼオライト。
【0110】
実施形態8
Yは、ケイ素(又はシリコン)およびゲルマニウムの1以上を含み、
好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)を含むか、ケイ素(又はシリコン)である、
実施形態6または7に記載のゼオライト。
【0111】
実施形態9
構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンの少なくとも1つを含む、実施形態6~7のいずれか1項に記載のゼオライト。
【0112】
実施形態10
アルミノシリケートまたはボロシリケートであって、Si/AlまたはSi/Bのモル比は、30未満であり、好ましくは、5~25であり、より好ましくは10~25である、実施形態1~9のいずれか1項に記載のゼオライト。
【0113】
実施形態11
実施形態1~10のいずれか1項に記載のゼオライトを製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(a)~(d):
(a)
合成混合物を調製(又は準備又は製造)する工程であって、水と、4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)(Y)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)(X)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化5】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)の供給源(又は源又はソース)が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、工程、
(b)
ゼオライトの結晶を形成(又は生成)するのに十分な時間(又は期間)にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)のもとで合成混合物を加熱する工程、
(c)
工程(b)からゼオライトの少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために工程(c)で回収したゼオライトを処理する工程
を含む、方法。
【0114】
実施形態12
構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンの少なくとも1つを含む、実施形態11に記載の方法。
【0115】
実施形態13
構造指向剤(又はストラクチャ・ディレクティング・エージェント)(Q)は、ハライド(又はハロゲン化物)、ヒドロキシド(又は水酸化物)またはニトレート(又は硝酸塩)の形態であり、好ましくは、構造指向剤(Q)は、ヒドロキシド(又は水酸化物)の形態である、実施形11または12に記載の方法。
【0116】
実施形態14
3価(又はトリバレント(trivalent))の元素(又はエレメント)Xは、アルミニウムおよびホウ素(又はボロン)の1以上を含み、
好ましくは、Xは、アルミニウム、ホウ素(又はボロン)およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムであり、
4価(又はテトラバレント(tetravalent))の元素(又はエレメント)Yは、ケイ素(又はシリコン)およびゲルマニウムの1以上を含み、
好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)からなる群から選択され、
より好ましくは、Yは、ケイ素(又はシリコン)を含むか、ケイ素(又はシリコン)である、
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
実施形態15
合成混合物は、以下のモル比に関する組成(又は組成物又はコンポジション):
【表10】
を有する、実施形態11~14のいずれか1項に記載の方法。
【0118】
実施形態16
合成混合物は、フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)の供給源(又は源又はソース)を含み、F/Yのモル比は、0~0.02であり、より好ましくは、0~0.01であり、最も好ましくは、合成混合物は、フルオライド(又はフルオリド又はフッ化物)(F)のイオンを実質的に含まない(又は実質的にフリーである)、実施形態11~15のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
実施形態17
有機化合物を変換生成物(又はコンバージョン生成物又はコンバージョン・プロダクト)に変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)させるプロセス(又は方法)であって、当該方法は、有機化合物を実施形態1~10のいずれか1項に記載のゼオライトと接触(又はコンタクト)させること(又はステップ又は工程)を含む、プロセス(又は工程又は方法)。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトであって、その焼成時の形態において、以下の表1に示すピーク:
【表1】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【請求項2】
以下の式II:
(m)X:YO (式II)
[式中、
0.017<m≦0.1であり、
Xは、3価の元素であり
Yは、4価の元素である
の分子式を有する、請求項1に記載のゼオライト。
【請求項3】
Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含む、請求項2に記載のゼオライト。
【請求項4】
アルミノシリケートまたはボロシリケートであって、Si/AlまたはSi/Bのモル比が、30未満である、請求項2に記載のゼオライト。
【請求項5】
ゼオライトであって、その合成時の形態において、以下の表2に示すピーク:
【表2】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
【請求項6】
以下の式III:
(q)Q:(m)X:YO (式III)
[式中、
0≦q≦0.5であり、
0.017<m≦0.1であり、
Qは、以下の式I:
【化1】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択される少なくとも1つのカチオンを含み、
Xは、3価の元素であり
Yは、4価の元素である
の分子式を有する、請求項に記載のゼオライト。
【請求項7】
Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含む、請求項6に記載のゼオライト。
【請求項8】
構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、請求項に記載のゼオライト。
【請求項9】
アルミノシリケートまたはボロシリケートであって、Si/AlまたはSi/Bのモル比が、30未満である、請求項に記載のゼオライト。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載のゼオライトを製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(a)~():
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源と、3価の元素(X)の酸化物の供給源と、構造指向剤(Q)とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化2】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
前記合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、
フルオライド(F)の供給源が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、
工程、
(b)
前記ゼオライトの結晶を形成するのに十分な時間にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件のもとで前記合成混合物を加熱する工程、
(c)
前記工程(b)からゼオライトの少なくとも一部を回収する工程
含む、方法。
【請求項11】
前記合成混合物は、
ヒドロキシドイオン(OH)の供給源、および/または
アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(d)として、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収したゼオライトを処理する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記構造指向剤(Q)は、ハライド、ヒドロキシドまたはニトレートの形態である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記3価の元素Xは、アルミニウム、ホウ素およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記4価の元素Yは、ケイ素、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表3】
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記合成混合物は、フルオライド(F)の供給源を含み、F/Yのモル比は、0~0.01であ、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
有機化合物を変換生成物に変換するためのプロセスであって、当該プロセスは、有機化合物を請求項1~のいずれか1項に記載のゼオライトと接触させることを含む、プロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0119
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0119】
実施形態17
有機化合物を変換生成物(又はコンバージョン生成物又はコンバージョン・プロダクト)に変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)させるプロセス(又は方法)であって、当該方法は、有機化合物を実施形態1~10のいずれか1項に記載のゼオライトと接触(又はコンタクト)させること(又はステップ又は工程)を含む、プロセス(又は工程又は方法)。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
ゼオライトであって、その焼成時の形態において、以下の表1に示すピーク:
【表21】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
(態様2)
以下の式II:
(m)X :YO (式II)
[式中、
0.017<m≦0.1であり、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムであり、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含み、好ましくは、Yは、ケイ素を含むか、ケイ素である]
の分子式を有する、態様1に記載のゼオライト。
(態様3)
ゼオライトであって、その合成時の形態において、以下の表2に示すピーク:
【表22】
を含むX線回折パターンを有する、ゼオライト。
(態様4)
以下の式III:
(q)Q:(m)X :YO (式III)
[式中、
0≦q≦0.5であり、
0.017<m≦0.1であり、
Qは、以下の式I:
【化21】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択される少なくとも1つのカチオンを含み、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、アルミニウムおよびホウ素の1以上を含み、好ましくは、Xは、アルミニウムを含むか、アルミニウムであり、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、ケイ素およびゲルマニウムの1以上を含み、好ましくは、Yは、ケイ素を含むか、ケイ素である]
の分子式を有する、態様3に記載のゼオライト。
(態様5)
構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、態様4に記載のゼオライト。
(態様6)
アルミノシリケートまたはボロシリケートであって、Si/AlまたはSi/Bのモル比が、30未満、好ましくは5~25、より好ましくは10~25である、態様1~5のいずれか1項に記載のゼオライト。
(態様7)
態様1~6のいずれか1項に記載のゼオライトを製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(a)~(d):
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源と、3価の元素(X)の酸化物の供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じて、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化22】
(式I)
[式中、Rは、メチルまたはエチルである]
の4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンから選択されるカチオンを少なくとも1つ含み、
前記合成混合物のY/Xのモル比は、30未満であり、
フルオライド(F)の供給源が存在する場合、F/Yのモル比は、0.05未満である、
工程、
(b)
前記ゼオライトの結晶を形成するのに十分な時間にわたって100℃~200℃の温度を含む結晶化条件のもとで前記合成混合物を加熱する工程、
(c)
前記工程(b)からゼオライトの少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収したゼオライトを処理する工程
を含む、方法。
(態様8)
前記構造指向剤(Q)は、1,2,3-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオン、2-エチル-1,3-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾリウムカチオンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを少なくとも1つ含む、態様7に記載の方法。
(態様9)
前記構造指向剤(Q)は、ハライド、ヒドロキシドまたはニトレートの形態であり、好ましくは、前記構造指向剤(Q)は、そのヒドロキシドの形態である、態様7または8に記載の方法。
(態様10)
前記3価の元素Xは、アルミニウム、ホウ素およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、アルミニウムであり、
前記4価の元素Yは、ケイ素、ゲルマニウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、ケイ素である、態様7~9のいずれか1項に記載の方法。
(態様11)
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表23】
を有する、態様7~10のいずれか1項に記載の方法。
(態様12)
前記合成混合物は、フルオライド(F)の供給源を含み、F/Yのモル比は、0~0.02であり、より好ましくは0~0.01であり、最も好ましくは、前記合成混合物は、フルオライド(F)イオンを実質的に含まない、態様7~11のいずれか1項に記載の方法。
(態様13)
有機化合物を変換生成物に変換するためのプロセスであって、当該プロセスは、有機化合物を態様1~6のいずれか1項に記載のゼオライトと接触させることを含む、プロセス。
【国際調査報告】