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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ポート識別インサートおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61M39/02 102
A61M39/02 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543142
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-05
(86)【国際出願番号】 US2022013374
(87)【国際公開番号】W WO2023140863
(87)【国際公開日】2023-07-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD06
4C066QQ48
4C066QQ52
4C066QQ79
4C066QQ84
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、医療イメージング下で可視化される識別インサートすなわちマーカーを含む、皮下アクセスポートを対象とする。マーカーの外周縁は、ポートの特性を示すための英数字シンボルを画定することができる。さらに、マーカーは、ポートの場所または向きを示すことができる。マーカーは、凹部内に受け入れられることができ、凹部の形状は、第1の向きでマーカーを受け入れるように構成される。一実施形態では、マーカーおよび凹部の形状は、マーカーが第2の向きにおいて凹部に係合することを阻止するように構成される。これは、マーカーがポートに不正確に結合された場合に、ポートが組み立てられることを阻止することができる。ポートは、マーカーを凹部内に固定するためのカバープレートをさらに含んでもよい。カバープレートの底面は、ポートと係合したときにポートの底面と一致することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバーを画定し、長手方向に延在するノーズ部を有するベースと、
前記リザーバーと流体的に連通し、前記ノーズ部とは反対側に前記ベースから延在するステムと、
前記ベースの底面に配置される第1凹部と、
放射線不透過性マーカーであって、前記放射線不透過性マーカーの外周縁はマーカーシンボルを画定するとともに前記第1凹部の形状と一致し、それによって、前記放射線不透過性マーカーは第1の向きで前記第1凹部内に嵌合するように構成される、放射線不透過性マーカーと、
前記第1凹部上に配置され、前記第1凹部内に前記放射線不透過性マーカーを固定するために前記ベースに結合されるカバープレートと、を備える、皮下アクセスポート。
【請求項2】
前記放射線不透過性マーカーは、横断方向高さを画定し、前記第1凹部は、前記放射線不透過性マーカーの前記横断方向高さ以上の横断方向深さを画定する、請求項1に記載の皮下アクセスポート。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記ベースの前記ノーズ部の前記底面に配置される、請求項1または2に記載の皮下アクセスポート。
【請求項4】
前記カバープレートは、前記リザーバーの下で横断方向に配置される前記ベースの一部の下に延在し、接着剤、接合、または溶接のうちの1つを使用して前記ベースに結合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項5】
前記ベースは、前記第1凹部の周りに周方向に延在するとともに締まり嵌め、圧入、またはスナップフィット係合のうちの1つで前記カバープレートに係合するように構成されるリップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項6】
前記リップは、前記ベースの前記底面から横断方向下向きに延在して、前記カバープレートを前記第1凹部上に固定する、請求項5に記載の皮下アクセスポート。
【請求項7】
前記リップは、前記ベースの前記底面から横断方向上向きに前記ベース内に延在して第2凹部を画定し、前記第1凹部は前記第2凹部内に配置され、前記カバープレートは、前記第2凹部内に嵌合するように構成される、請求項5に記載の皮下アクセスポート。
【請求項8】
前記リップの周縁の形状は、前記カバープレートの周縁の形状と一致し、前記リップの横断方向深さは、前記カバープレートの横断方向高さ以上である、請求項5~7のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項9】
前記カバープレートは、その上に配置されるカバープレートシンボルを含み、前記カバープレートシンボルは、前記マーカーシンボルのそれと一致する、請求項1~8のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項10】
前記マーカーシンボルは、前記ポートの特性を示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項11】
前記マーカーシンボルは、文字「C」、文字「T」、または、文字「CT」を示す結合シンボルのうちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項12】
前記リザーバーは、長手軸に沿って前記ステムと前記放射線不透過性マーカーとの間に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項13】
前記ポートは、前記リザーバー上に位置する隔膜と、前記ベースに係合して、前記隔膜を前記ベースに固定するように構成されるキャップと、をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項14】
リザーバーを画定し、長手方向に延在するノーズ部分を含むベースを提供することであって、前記ベースは、前記ベースから前記ノーズ部分とは反対側に延在するステムを含むことと、
周縁がマーカーシンボルを画定する放射線不透過性マーカーを形成することと、
前記ノーズ部分の底面に配置される第1凹部内に前記放射線不透過性マーカーを第1の向きで配置することであって、前記凹部の形状は、前記放射線不透過性マーカーが前記第1の向きとは異なる第2の向きで前記凹部に係合することを阻止するように構成されることと、
前記放射線不透過性マーカーを前記凹部内に固定することと、を備える、皮下アクセスポートを製造する方法。
【請求項15】
前記放射線不透過性マーカーは、第1の横断方向高さを画定し、前記第1凹部は、前記放射線不透過性マーカーの前記第1の横断方向高さに等しい第1の横断方向深さを画定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1凹部内に前記放射線不透過性マーカーを固定することは、圧入、締まり嵌め、スナップフィット係合、接着剤、接合、および溶接のうちの1つ以上を含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1凹部内に前記放射線不透過性マーカーを固定することは、圧入、締まり嵌め、スナップフィット係合、接着剤、接合、および溶接のうちの1つ以上を使用して、カバープレートを前記ベースに結合することを含み、前記カバープレートは、前記第1凹部上に延在する、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記カバープレートの一部は、前記リザーバーの下で、前記ベースの一部の下に延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1凹部は、前記ベースの前記底面に配置される第2凹部内に配置され、前記カバープレートは、前記第2凹部内に嵌合するように構成される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記カバープレートは、その上に配置されるカバープレートシンボルを含み、前記カバープレートシンボルは、前記マーカーシンボルのそれと一致する、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記マーカーシンボルは、文字「C」、文字「T」、または文字「CT」を示す結合シンボルを含み、前記ポートの特性を示す、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
簡潔に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、皮下アクセスポートのための識別インサート、すなわちマーカー、および関連する製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
皮下血管アクセスデバイス、すなわち「ポート」は、デバイスとともに組み立てられるとともに、ポートが皮下に配置されるときに1つ以上の医療イメージング(たとえば、X線、蛍光透視法、超音波、MRI、CTなど)の下で可視化されるように構成される識別マーカーを含んでもよい。マーカーは、ポートの特性を使用者に示すことができるとともに、ポートへのアクセスを容易にするためにポートの位置および向きを示すことができる。標的位置を示すために、デバイスの隔膜と一致する様々な識別インサートまたはマーカーが開発されてきた。他のポート設計は、隔膜にアクセスするときに覆い隠されないように、ステム部分の反対側に配置されるノーズ部内に位置する識別インサートすなわちマーカーを含む。「ポジ」マーカーと呼ばれるいくつかの識別マーカーは、医療イメージング下で識別することができるシンボル、たとえば英数字シンボル、アイコンなどを画定する外周縁を有するインサートを含む。対照的に、「ネガ」識別マーカーは、それを通って延在する開口部を含むプレートまたはディスクを含んでもよい。開口部の周縁は、医療イメージング下で識別可能な形状または記号(例えば、「CT」)を画定してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの識別マーカーのうちのいくつかは、ポートに不正確に組み付けられうる。したがって、医療イメージング下で皮下ポートを撮像するとき、識別マーカーは、ポートが正しく配置されているときに、ポートが反転したか、または不正確に配置されていることを示すように現れる。これは、問題を解決する上で患者に不必要な混乱および面倒をもたらす可能性がある。さらに、「ネガ」識別マーカーの外側寸法は、医療イメージング下で識別可能な最小のシンボルサイズよりも大きいことが要求される。本明細書では、上記に対処するデバイスおよび方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書には、リザーバーを画定するとともに、任意選択的に、(さらに任意選択的に、長手方向に延在する)ノーズ部を有するベースと、リザーバーと流体的に連通するとともに、ベースから(任意選択的に、長手方向に、および/またはノーズ部とは反対側に)延在するステムと、ベースの底面の(底面に配置される)第1凹部と、放射線不透過性マーカーであって、放射線不透過性マーカーの外周縁はマーカーシンボルを画定するとともに第1凹部の形状と一致し、それによって、放射線不透過性マーカーは(第1の向きで)第1凹部内に嵌合するように構成される、放射線不透過性マーカーと、第1凹部上に配置されるとともに/または第1凹部を覆うとともに、第1凹部内に放射線不透過性マーカーを固定するためにベースに結合されるカバープレートと、を含む、皮下アクセスポートが開示される。
【0005】
いくつかの実施形態では、長手方向に垂直な横断方向において、放射線不透過性マーカーは、横断方向高さを画定し、第1凹部は、放射線不透過性マーカーの横断方向高さ以上の横断方向深さを画定する。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1凹部は、ベースのノーズ部の底面に配置される。
いくつかの実施形態では、カバープレートは、リザーバーの下で横断方向に配置されるベースの一部の下に延在する、および/または、カバープレートは、少なくとも部分的にベース内に受け入れられるとともに、接着剤、接合、または溶接のうちの1つを使用してベースに結合される。
【0007】
いくつかの実施形態では、ベースは、第1凹部の周りに周方向に延在するとともに締まり嵌め、圧入、またはスナップフィット係合のうちの1つでカバープレートに係合するように構成されるリップをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、リップは、ベースの底面から横断方向下向きに延在して、カバープレートを第1凹部上に固定する。
いくつかの実施形態では、リップは、ベースの底面から横断方向上向きにベース内に延在して第2凹部を画定し、第1凹部は第2凹部内に配置され、カバープレートは、第2凹部内に嵌合するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、リップの周縁の形状は、カバープレートの周縁の形状と一致し、長手方向に垂直な横断方向において、リップの横断方向深さは、カバープレートの横断方向高さ以上である。
【0010】
いくつかの実施形態では、カバープレートは、その上に配置されるカバープレートシンボルを含み、カバープレートシンボルは、マーカーシンボルのそれと任意選択的に一致する。
【0011】
いくつかの実施形態では、マーカーシンボルは、ポートの特性を示す。
いくつかの実施形態では、マーカーシンボルは、文字「C」、文字「T」、および/または、文字「CT」を示す結合シンボルのうちの1つ以上を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、リザーバーは、長手軸/長手方向に沿ってステムと放射線不透過性マーカーとの間に配置される。
いくつかの実施形態では、ポートは、リザーバー上に位置する隔膜と、ベースに係合して、隔膜をベースに固定するように構成されるキャップと、をさらに含む。
【0013】
本明細書には、リザーバーを画定するとともに、(任意選択的に長手方向に延在する)ノーズ部分を任意選択的に含むベースを提供することであって、ベースは、ベースから(任意選択的に、長手方向および/またはノーズ部分とは反対側に)延在するステムを含むことと、周縁がマーカーシンボルを画定する放射線不透過性マーカーを提供する、任意選択的に、形成することと、ベースの、任意選択的に、ノーズ部の底面の(底面に配置される)第1凹部内に放射線不透過性マーカーを第1の向きで配置することであって、凹部の形状は、放射線不透過性マーカーが第1の向きとは異なる第2の向きで凹部に係合することを阻止するように構成されることと、を含む、皮下アクセスポートの製造方法も開示される。
【0014】
いくつかの実施形態では、長手方向に垂直な横断方向において、放射線不透過性マーカーは、第1の横断方向高さを画定し、第1凹部は、放射線不透過性マーカーの第1の横断方向高さに等しい第1の横断方向深さを画定する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1凹部内に放射線不透過性マーカーを固定することは、圧入、締まり嵌め、スナップフィット係合、接着剤、接合、および溶接のうちの1つ以上を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1凹部内に放射線不透過性マーカーを固定することは、圧入、締まり嵌め、スナップフィット係合、接着剤、接合、および溶接のうちの1つ以上を使用して、カバープレートをベースに結合することを含む。カバープレートは、第1凹部上に延在するか第1凹部を覆う。
【0017】
いくつかの実施形態では、カバープレートの一部は、リザーバーの下で、ベースの一部の下に延在する、および/または、カバープレートの少なくとも一部がベース内に受け入れられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1凹部は、ベースの底面に配置される第2凹部内に配置され、カバープレートは、第2凹部内に嵌合するように構成される。
いくつかの実施形態では、カバープレートは、その上に配置されるカバープレートシンボルを含み、カバープレートシンボルは、マーカーシンボルのそれと任意選択的に一致する。
【0019】
いくつかの実施形態では、マーカーシンボルは、文字「C」、文字「T」、または文字「CT」を示す結合シンボルを含み、ポートの特性を示す。
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるように、方法は、アクセスポートを製造することを備える。
【0020】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換してよい特徴を有する場合があることも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの斜視上面図を示す。
図1B】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの斜視下面図を示す。
図2】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの分解下面図を示す。
図3】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートのノーズ部分の横断面図を示す。
図4A】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの分解下面図を示す。
図4B】本明細書に開示される実施形態による、図4Aのポートの一部の断面図である。
図5A】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーの下面図を示す。
図5B】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーの上面図を示す。
図5C】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーの斜視図を示す。
図5D】本明細書に開示される実施形態による、図5Cの識別マーカーの側面図を示す。
図5E】本明細書に開示される実施形態による、図5Cの識別マーカーの側面図を示す。
図5F】本明細書に開示される実施形態による、図5Cの識別マーカーの側面図を示す。
図5G】本明細書に開示される実施形態による、図5Cの識別マーカーの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換してよい特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0023】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0024】
後述の説明において、本明細書で使用される「または」や「および/または」という用語は、いずれか1つまたはいずれかの組合せを含むもしくは意味すると解釈されるべきである。例えば、「A、B、またはC」もしくは「A、B、および/またはC」は「A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとC、のうちのいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、ステップまたは動作が何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ発生する。
【0025】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位側部分」または「近位端部分」は、患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位側の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図されたカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの末端部分または末端長ではない。
【0026】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位側部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図されたカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く、または患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの末端部分または末端長ではない。
【0027】
本明細書に開示される実施形態の説明を補助するため、図1Aおよび図1Bに示されるように、長手軸はポートステムの軸方向の長さに対し実質的に平行に延びている。横軸は長手軸に対し垂直に延び、横断軸は長手軸および横軸の両方に対し垂直に延びている。水平面は、長手軸および横軸によって画定される。垂直面は、水平軸に対し垂直に延在する。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
図1Aおよび図1Bは、例示的な皮下アクセス機器、すなわち、「ポート(port)」100を示す。図1Aは、ポート100の上面斜視図を示す。図1Bは、ポート100の下面斜視図を示す。ポート100は概して、リザーバー112を画定するベース110を含んでもよいとともに、リザーバー112から長手軸に沿って延在するステム140を含む。ステム140は、リザーバー112と流体的に連通するステム管腔を画定してもよい。針貫通可能な隔膜130がリザーバー112上に配置されてもよいとともに、キャップ120によって適所に固定されてもよい。隔膜130は、シリコーンゴムまたは同様の適切な材料から形成されてもよい。使用時に、ポート100が皮下に配置されると、ポート100の上面は皮膚表面に近接して配置される。使用者は、アクセス針(図示せず)を用いて皮膚を貫通することができるとともに、リザーバー112にアクセスするために隔膜130を貫通することができる。
【0029】
キャップ120は、超音波接合、圧入、締まり嵌め、またはスナップフィット係合でベース110と係合することができる。一実施形態では、キャップ120は接着剤、接合、溶接、超音波接合、または同様の適切な方法を用いてベース110に固定されてもよい。一実施形態では、キャップ120はベース110にオーバーモールドされてもよい。一実施形態では、キャップ120およびベース110は、同じ材料から形成される単一のモノリシック部品として形成されてもよい。
【0030】
一実施形態では、ベース110は、プラスチック、ポリマー、熱可塑性物質、金属、合金、複合材、あるいはそれらの組み合わせなどを含むがそれらに限定されない、実質的に剛性または弾性の材料から形成されてもよい。一実施形態では、キャップ120は、プラスチック、ポリマー、熱可塑性物質、エラストマー、ゴム、シリコーンゴム、金属、合金、複合材、あるいはこれらの組み合わせなどを含むが、これらに限定されない、ベース110よりも柔軟な材料から形成されてもよい。一実施形態では、ベース110およびキャップ120は同じ材料から形成されてもよいとともに、同じ機械的特性を示してもよい。一実施形態では、カテーテル90は、圧入係合または締まり嵌め係合の一方でステム140と係合してもよい。任意選択的に、カテーテルロック142は、カテーテル90をステム140にさらに固定するために、カテーテル90およびステム140の一方あるいは両方と係合してもよい。
【0031】
一実施形態では、ポート100は、ノーズ部102を含んでもよい。ノーズ部102は、ポート100から長手軸に沿って延在するとともに、リザーバー112の中心横断軸を横切ってステム140の反対側に配置される。ノーズ部102は、ポート100から延在する実質的にくさび型の外形を画定してもよい。一実施形態では、ノーズ部102はポート100を皮下へ配置し易くするように構成されてもよい。例えば、ポート100が皮下に付勢される時、ノーズ部102は皮下組織を分離し易くすることで組織ポケットを形成することができる。
【0032】
一実施形態では、ノーズ部102は、例えば、英数字シンボル、形状、またはアイコンなどの、ポート100の特徴を示すように構成されるシンボル104を含んでもよい。例えば、図1Bに示されるように、ベース110の底面あるいはカバープレート160は、ポート100は高圧注入用に構成される、等のポート100の特徴を示すように設計される、文字「CT」等のシンボル104を含んでもよい。製造者、モデル、品番、シリアル番号、ウェブサイトアドレス、バーコード、QRコード(登録商標)、あるいはそれらの組み合わせ等を含むポート100のこれらおよび他の特徴は、本発明の範囲内に収まることが企図される。シンボル104は、ベース110またはカバープレート160の上か中に、印刷、エンボス加工あるいは彫刻されてもよいとともに、ポート100の1つ以上の特徴を視覚的に示すために使用者が直接観察できてもよい。ポート100は、ポート100の1つ以上の表面に配置される1つ以上のシンボル104を含んでもよいが、これに限定されない。
【0033】
図2は、一般的にポートベース110、識別インサートあるいは識別マーカー(「マーカー」)150、およびカバープレート160を含む、ポート100の分解図を示す。一実施形態では、ベース110の底面は、ポート100のノーズ部102に配置されるとともに、水平面上に延在する凹部122を含んでもよい。凹部122はまた、第1の深さ(d1)を画定するように横断方向に延在してもよい。一実施形態では、凹部122の周縁124は、水平面上に延在する曲線または多角形の形状を画定してもよい。図示されるように、周縁124はマーカー150の外周縁の形状と一致する形状を画定してもよい。しかしながら、他の曲線または多角形の形状も企図されることを理解されたい。
【0034】
一実施形態では、凹部122の周縁124の形状は、マーカー150の周縁154と同じか、またはそれよりも大きくてもよい。従って、マーカー150は凹部122と摺動可能に係合することができる。一実施形態では、マーカー150は、凹部122内に接着剤、接合、溶接などを用いて固定されてもよい。一実施形態では、凹部122の周縁124の形状は、マーカー150の周縁154と同じか、またはそれよりも僅かに小さくてもよい。従って、マーカー150は締まり嵌め、圧入、またはスナップフィット係合のうちの1つで、凹部122と係合することができる。一実施形態では、凹部122の深さ(d1)はマーカー150の横断方向高さ(h1)と同じか、またはそれよりも大きくてもよい。従って、マーカー150は凹部122内に嵌合するように構成されてもよい。一実施形態では、マーカー150の横断方向高さ(h1)は0.508~1.524cm(0.20~0.60inch)の間であってもよい。しかしながら、より大きいまたはより小さい寸法も、本発明の範囲内に収まることが企図される。
【0035】
一実施形態では、ポート100は1つ以上の凹部122を含み、凹部122はそれぞれマーカー150を受け入れるように構成される。例えば、図2に示されるように、第1凹部122Aは、「C」形状を画定する第1マーカー150Aを受け入れるように構成される「C」形状を画定する。さらに、第2の凹部122Bは、「T」形状を画定する第2マーカー150Aを受け入れるように構成される「T」形状を画定する。しかしながら、異なる形状および英数字シンボル等を含む、他の形状をした凹部122およびマーカー150も企図される。一実施形態では、英数字形状(すなわち、「C」形状や「T」形状)は10pt.と16pt.との間のサイズのフォントに相当しうる。しかしながら、より大きいまたはより小さいフォントサイズも企図される。
【0036】
マーカー150は、1つ以上の医療イメージング技術により撮像されると可視化されるように構成される、放射線不透過性材料から形成されてもよい。例示的な医療イメージング技術は、X線、蛍光透視法、超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子放出断層撮影法(PET)、あるいはこれらの組み合わせなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0037】
一実施形態では、ポート100はさらに、凹部122上に配置されるとともにマーカー150を凹部122内に固定するように構成されるカバープレート160を含む。一実施形態では、カバープレート160は接着剤、接合、溶接、または同様の適切な手段を用いてベース110に固定されてもよい。一実施形態では、ベース110は凹部122の少なくとも一部の周囲に周方向に延在するリップ114を含んでもよい。カバープレート160の周縁164は、カバープレート160をベース110に固定するために、締まり嵌め、圧入、またはスナップフィット係合のうちの1つでリップ114に係合することができる。一実施形態では、図4Aおよび図4Bに示されるように、リップ114は、凹部122上にカバープレート160を固定するように、ベース110の底面から横断方向下向きに延在してもよい。
【0038】
一実施形態では、図2に示されるように、リップ114は、凹部122上にカバープレート160を固定するように、ベース110の底面内に横断方向上向きに延在してもよい。言い換えると、ベース110内に上向きに延在するリップ114は第2凹部を画定してもよく、第1凹部122は第2凹部内に配置される。第1凹部122はマーカー150を受け入れるように構成されるとともに、第2凹部はカバープレート160を受け入れるように構成される。一実施形態では、リップ114は、深さ(d2)で横断方向に延在してもよい。深さ(d2)はカバープレート160の厚み(h2)と同じか、それよりも大きくてもよい。一実施形態では、カバープレート160の厚み(h2)は0.127~1.524cm(0.05~0.6inch)であってもよい。しかしながら、より大きいまたはより小さい寸法も、本発明の範囲内に収まることが企図される。一実施形態では、ポート110の連続的な底面を提供するために、カバープレート160の底面は、カバープレート160が第2凹部と係合されるときにベース110の底面と一致してもよい。
【0039】
図3は、1つ以上の凹部122内に配置される1つ以上のマーカー150および凹部122上に配置されるカバープレート160を含む、ポート100のノーズ部102の断面図を示す。図3は、横断方向上向きに、ベース110内に延在するリップ114を示す。従って、カバープレート160は、カバープレート160の底面がベース110の底面と一致するように、リップ114によって画定される第2凹部内に受け入れられる。
【0040】
一実施形態では、図4Aに示されるように、凹部122はベース110の底面からベース110内に横断方向上向きに延在してもよい。カバープレート160は、凹部122上に延在してもよいとともに、リザーバー112の横断方向下側で、ベース110の底面の少なくとも一部分上に延在してもよい。カバープレート160は、本明細書で説明されるように、接着剤、接合、溶接等を用いてベース110に固定されてもよい。有利なことに、カバープレート160は、マーカー150を凹部122内に固定するとともに、リザーバー112の下のベース110にさらなる補強を提供し、それによって、リザーバー112にアクセスする時にアクセス針がベース110を貫通することを抑制することができる。
【0041】
図5A図5Gは、マーカー150の一実施形態の様々な図を示す。図5Aは底面図を示す。図5Bは上面図を示す。図5Cはマーカー150の斜視図を示す。図5D図5Gは、図5Cに示されるマーカー150の側面図を示す。一実施形態では、マーカー150の周縁154は、2つ以上の英数字シンボルに似た形状を画定してもよい。単一のモノリシックマーカー150が、医療イメージング下で撮像される時に識別可能な2つ以上の英数字シンボルを画定できるように、2つ以上の英数字シンボルは互いに結合される。一実施形態では、凹部122の周縁124の形状は、マーカー150を凹部122内に受け入れられるように、マーカー150の周縁154の形状と一致してもよい。さらに、凹部122およびマーカー150は、マーカー150がデカルト空間における第1の向きでは凹部122内に受け入れられるが、デカルト空間における第1の向きと異なる第2の向きでは凹部122内に受け入れられないように、構成されてもよい。有利なことに、マーカー150は第1の向きでのみポート100に組み込むことができるとともに、第2の向き、すなわち間違った向きではポートに組み込むことができない。従って、医療イメージング技術を用いてポートを撮像する時、ポート100の正しい向きが示される。
【0042】
理解されるように、放射線不透過性材料から形成されるマーカー150は、周囲の放射線透過性材料とコントラストを成す。従って、本明細書に説明されるように、マーカー150の周縁154は医療イメージング技術の下で撮像されると、シンボルを画定することができる。マーカーシンボルは、皮下で撮像されると、ポート100の1つ以上の特性、および/またはポート100の位置または向きを示すことができる。マーカー150の周縁154がシンボルを画定しうる場合、マーカー150は「ポジ」イメージマーカーと呼ばれてもよい。これは、開口部、すなわち「型抜き(punch-out)」を含む「ネガ」マーカーとは対照的であり、型抜きの形状がシンボルを画定する。有利なことに、ポジマーカーはより小さいサイズのシンボルを画定することができるとともに、より小さいポート100に付属することができる。言い換えると、ポジマーカーは、同じサイズのシンボルを画定するネガマーカーと比較して、マーカー150の全体の専有面積をより小さくすることを要する。従って、ポジマーカー150は、ポート100のようなより小さい機器に付属することができる。
【0043】
一実施形態では、凹部122はキャップ120の一部に配置されてもよい。ベース110の一部は、凹部122の少なくとも一部の上に延在してもよい。従って、マーカー150が凹部内に配置された状態で、ベース110は、マーカー150を第1の向きで凹部122内に固定することができる。一実施形態では、ベース110の一部は、凹部122内にマーカー150を封止するために、凹部122全体に亘って延在してもよい。ベース110は、接着剤、接合、溶接、または同様の適切な手段を用いて、キャップ120に取り付けられてもよい。理解されるように、マーカー150が第1の向きとは異なる第2の向きで凹部122内に配置される場合、マーカー150は凹部122と一致せずに完全には凹部122内に受け入れられることができず、ベース110がキャップ120と完全に係合することが阻止される。有利なことに、マーカー150はポート100が不正確に組み立てられることを阻止するように構成される。
【0044】
一実施形態では、カバープレート160またはベース110の下面に配置されるシンボル104は、マーカー150によって画定されるポジシンボルと位置合わせすることができる。従って、シンボル104は、凹部122内に配置されるマーカー150によって画定されるシンボルの視覚的な表現を提供することができる。一実施形態では、カバープレート160、ベース110、キャップ120のうち1つ以上は、不透明な材料から形成されてもよい。従って、マーカー150は、ポート100内に組み込まれた状態で直接観察できない場合がある。
【0045】
一実施形態では、図1図4に示されるように、シンボル104は、マーカー150によって画定されるシンボルと位置合わせされるように、カバープレート160またはベース110の底面に反転して彫刻される、英数字のシンボルを含んでもよい。従って、シンボル104は、凹部122内のマーカー150の向きを視覚的に伝えることができる。ポート100の皮下への配置中に、使用者はシンボル104を観察することで、マーカー150を確認することができ、それによってポート100が正しく配置される。一実施形態では、ベースは、凹部122内に配置されるマーカー150と位置合わせするように構成される、第1シンボルを含んでもよい。本明細書に説明されるように、ベース110はさらに第2シンボル(図示せず)を含むことができるとともに、例えば、製造者、モデル、品番、あるいはシリアル番号等のような、ポート100の第2の特性を伝えるように構成されてもよい。
【0046】
一実施形態では、ポート100が組み立てられる時に、使用者が凹部122内に配置されるマーカー150を直接観察できるように、カバープレート160、ベース110、あるいはキャップ120のうちの1つ以上は、透明または半透明の材料から形成されてもよい。一実施形態では、ポート100が組み立てられる時に、使用者が凹部122内に配置されるマーカー150を直接観察できるように、カバープレート160、ベース110、あるいはキャップ120のうちの1つ以上は、窓を含んでもよい。窓は、透明または半透明の材料から形成されるとともに凹部122と位置合わせされる。有利には、カバープレート160、ベース110、あるいはキャップ120のうちの1つ以上は、滑らかな外形を提供するように協働してもよいとともに、ポート100が皮下に配置された時に、任意の組織が開口部152内に内部成長することを阻止するために、その中にマーカー150を収容してもよい。
【0047】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適応および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適応および/または修正もまた包含される。従って、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
【国際調査報告】