IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2025-502435ポート識別インサートおよびアセンブリアライメント機能部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ポート識別インサートおよびアセンブリアライメント機能部
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61M37/00 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543175
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022013368
(87)【国際公開番号】W WO2023140862
(87)【国際公開日】2023-07-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
(72)【発明者】
【氏名】スタッツ、ジェイソン アール.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA75
4C267BB62
4C267BB63
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG21
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、皮下アクセスポート用の識別インサートおよびアセンブリアライメント機能部に関する。ポートは、機器に組み込まれるとともに、皮下に配置されたときに医療イメージング下で観察可能なように構成される、識別インサートを含んでもよい。インサートは、ポートへのアクセスを容易にするために、ポートの特性、およびポートの向きまたは位置を示してもよい。アライメント機能部は、製造中にインサートを第1の向きでポートと位置合わせさせるように構成されてもよい。アライメント機能部はまた、第1の向きとは異なる第2の向きではインサートをポートから位置ずれさせるように構成されてもよい。これによって、インサートがポートと不正確に連結される場合に、ポートが組み立てられることが阻止される。不正確に組み込まれたインサートを有するポートは、問題を解決する上で患者に不必要な混乱および面倒をもたらしうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバーを画定するベースと、
前記リザーバーと流体的に連通するとともに長手方向に延在するステムと、
前記リザーバー上に配置される隔膜と、
前記ベースと係合するとともに前記隔膜を前記リザーバー上に固定するように構成されるキャップであって、凹部を画定するノーズ部を備えるキャップと、
前記凹部の表面から前記凹部内へと延在する突起を含むアライメント機能部と、
開口部を含む放射線不透過性インサートであって、前記開口部の周縁はシンボルを画定し、前記放射線不透過性インサートは、第1の向きで前記凹部内に嵌合するように構成され、前記突起は、前記放射線不透過性インサートを前記第1の向きに維持するとともに、前記放射線不透過性インサートが前記第1の向きとは異なる第2の向きで前記凹部に係合することを阻止するように構成される、放射線不透過性インサートと、を備える、皮下アクセスポート。
【請求項2】
前記ベースは、前記放射線不透過性インサートを前記第1の向きで前記凹部内に固定するように前記キャップと係合する、請求項1に記載の皮下アクセスポート。
【請求項3】
前記突起または前記ベースの一方は、前記第2の向きにおいて前記放射線不透過性インサートに当接して、前記キャップが前記ベースに係合するのを阻止する、請求項1または2に記載の皮下アクセスポート。
【請求項4】
前記突起は、前記第1の向きにおいて、前記放射線不透過性インサートの周縁に配置される切り込みと係合するように構成されるとともに、前記第2の向きにおいて、前記放射線不透過性インサートの前記周縁の一部分に当接するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項5】
前記突起は、前記第1の向きにおいて前記開口部と係合するとともに、前記第2の向きにおいて前記放射線不透過性インサートの一部分に当接する、ように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項6】
前記シンボルは前記ポートの特性を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項7】
前記シンボルは「CT」の文字を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項8】
前記インサートは、前記ステムから前記リザーバーの反対側に、長手軸に沿って配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項9】
前記リザーバーは、長手軸に沿って前記ステムと前記インサートとの間に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項10】
前記ノーズ部は、前記ポートから長手軸に沿って、前記ステムの反対側に延在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の皮下アクセスポート。
【請求項11】
凹部を画定するノーズ部を含むキャップを設けることと、
開口部を含む放射線不透過性インサートであって、前記開口部の周縁がシンボルを画定する放射線不透過性インサートを、第1の向きで前記凹部内に配置することと、
アライメント機能部を前記放射線不透過性インサートと係合させることであって、前記アライメント機能部は、前記放射線不透過性インサートを前記第1の向きに維持するとともに、前記放射線不透過性インサートが前記第1の向きとは異なる第2の向きで前記凹部に係合することを阻止するために、前記キャップの表面から前記凹部内に延在することと、
ベースを前記キャップと結合させることであって、前記ベースの一部分は、前記放射線不透過性インサートを前記第1の向きで前記凹部内に固定するために、前記凹部に亘って延在することと、
を備える、皮下アクセスポートの製造方法。
【請求項12】
前記ベースはリザーバーを画定するとともに、前記ベースから長手軸に沿って延在するステムを含み、前記ステムは前記リザーバーと流体的に連通する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースが前記キャップと結合される時に、隔壁を前記リザーバー上に固定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アライメント機能部または前記ベースの一方は、前記第2の向きにおいて前記放射線不透過性インサートに当接して、前記キャップが前記ベースに係合するのを阻止する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アライメント機能部は、前記放射線不透過性インサートの周縁に配置される切り込みと係合し、前記アライメント機能部は、前記第1の向きにおいて前記切り込みと係合し、前記第2の向きにおいて前記放射線不透過性インサートの前記周縁の一部分に当接する、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記アライメント機能部は、前記第1の向きにおいて前記開口部に係合するとともに、前記第2の向きにおいて前記放射線不透過性インサートの一部分に当接する、ように構成される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記シンボルは前記ポートの特性を示す、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シンボルは「CT」の文字を含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記インサートは、前記ステムから前記リザーバーの反対側に、長手軸に沿って配置される、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記リザーバーは、長手軸に沿って前記ステムと前記インサートとの間に配置される、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ノーズ部は、前記ポートから長手軸に沿って、前記ステムの反対側に延在する、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
簡潔に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、皮下アクセスポートのための識別インサートまたはマーカー、およびアセンブリアライメント機能部を対象とする。
【背景技術】
【0002】
皮下血管アクセスデバイスまたは「ポート」は、デバイスに組み付けられ、ポートが皮下に配置されたときに1つ以上の医療イメージング技術(例えば、X線、蛍光透視法、超音波、MRI、CTなど)の下で可視化されるように設計される識別マーカーを含むことができる。マーカーは、ポートの特性を使用者に示すことができ、ポートへのアクセスを容易にするためにポートの位置および向きを示すことができる。標的位置を示すためにデバイスの隔壁と位置合わせされる様々な識別インサートが開発されている。他のポート設計は、隔壁にアクセスするときに覆い隠されないように、ステム部分の反対側に配置されたノーズ部分に配置される識別インサートを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの識別マーカーのうちのいくつかは、ポートに不正確に組み付けられうる。したがって、医療イメージング下で皮下ポートを撮像するとき、識別マーカーは、ポートが正しく配置されているときに、ポートが反転したか、または不正確に配置されていることを示すように現れる。これは、問題を解決する上で患者に不必要な混乱および面倒をもたらす可能性がある。本明細書では、上記に対処するデバイスおよび方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の項目も本発明を定義する。本明細書に開示されるのは、リザーバーを画定するベースと、リザーバーと流体的に連通するとともに長手方向に延在するステムと、少なくとも部分的にリザーバー上に配置される隔膜と、ベースと係合するとともに前記隔膜を前記リザーバー上に固定するように構成されるキャップであって、(任意選択的に、ステムの反対側であるとともに)凹部を画定するノーズ部を含むキャップと、凹部の表面/周縁/縁部から凹部内へと延在する(とともにキャップおよび放射線不透過性インサートを位置合わせさせるための)突起を含むアライメント機能部と、開口部を含む放射線不透過性インサートと、を含む皮下アクセスポートである。開口部の周縁はシンボルを画定する。放射線不透過性インサートは、第1の向きで前記凹部内に嵌合するように構成される。突起が、前記放射線不透過性インサートを前記第1の向きに維持するとともに、前記放射線不透過性インサートが前記第1の向きとは異なる第2の向きで前記凹部に係合することを阻止する(ように、アクセスポート、特に、放射線不透過性インサートは構成される)。
【0005】
いくつかの実施形態では、ベースは、放射線不透過性インサートを第1の向きで凹部内に固定するようにキャップと係合する。
いくつかの実施形態では、突起またはベースの一方は、第2の向きにおいて放射線不透過性インサートに当接して、キャップがベースに係合するのを阻止する。
【0006】
いくつかの実施形態では、突起は、第1の向きにおいて、放射線不透過性インサートの周縁に配置される切り込みと係合し、アクセスポートは、第2の向きにおいて、切り込みが放射線不透過性インサートの周縁の一部分に当接するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、突起は、第1の向きにおいて放射線不透過性インサートの開口部と係合するとともに、第2の向きにおいて放射線不透過性インサートの一部分に当接する、ように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、シンボルはポートの特性を示す。
いくつかの実施形態では、シンボルは「CT」の文字を含む。
いくつかの実施形態では、インサートは、ステムからリザーバーの反対側に、長手軸に沿って配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、リザーバーは、長手軸に沿ってステムとインサートとの間に配置される。
いくつかの実施形態では、ノーズ部は、ポートから長手軸に沿って、ステムの反対側に延在する。
【0010】
凹部を画定するノーズ部を含むキャップを設けることと、開口部を含む放射線不透過性インサートであって、開口部の周縁がシンボルを画定する放射線不透過性インサートを、第1の向きで凹部内に配置することと、アライメント機能部を放射線不透過性インサートと係合させることであって、アライメント機能部は、放射線不透過性インサートを第1の向きに維持するとともに、放射線不透過性インサートが第1の向きとは異なる第2の向きで凹部に係合することを阻止するために、キャップの表面から凹部内に延在/突出することと、ベースをキャップと結合させることであって、ベースの一部分は、放射線不透過性インサートを第1の向きで凹部内に固定するために、凹部に亘って延在することと、を含む、皮下アクセスポートの製造方法も、開示される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ベースはリザーバーを画定するとともに、ベースから長手軸に沿って延在するステムを含み、ステムはリザーバーと流体的に連通する。
いくつかの実施形態では、本方法は、ベースが前記キャップと結合される時に、隔壁を前記リザーバー上に固定することをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、アライメント機能部またはベースの一方は、第2の向きにおいて放射線不透過性インサートに当接して、キャップがベースに係合するのを阻止する、ように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、アライメント機能部は、放射線不透過性インサートの周縁に配置される切り込みと係合し、アライメント機能部は、第1の向きにおいて切り込みと係合し、第2の向きにおいて放射線不透過性インサートの周縁の一部分に当接する。
【0014】
いくつかの実施形態では、アライメント機能部は、第1の向きにおいて開口部に係合するとともに、第2の向きにおいて放射線不透過性インサートの一部分に当接する、ように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、シンボルはポートの特性を示す。
いくつかの実施形態では、シンボルは「CT」の文字を含む。
いくつかの実施形態では、インサートは、ステムからリザーバーの反対側に、長手軸に沿って配置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、リザーバーは、長手軸に沿ってステムとインサートとの間に配置される。
いくつかの実施形態では、ノーズ部は、ポートから長手軸に沿って、ステムの反対側に延在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、前述の項目のいずれかによるアクセスデバイスを製造するための方法が開示される。
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示されているその特定の実施形態を参照することによって提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、従って、その範囲を限定すると見なされるべきではない。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの斜視上面図を示す。
図1B】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの斜視下面図を示す。
図2】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの分解下面図を示す。
図3】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートの分解下面図を示す。
図4A】本明細書に開示される実施形態による、ポートのベースの斜視下面図を示す。
図4B】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートのキャップの斜視下面図を示す。
図5A】本明細書に開示される実施形態による、アライメント機能部を含む凹部の拡大詳細図を示す。
図5B】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーと係合されるアライメント機能部を含む凹部の拡大詳細図を示す。
図6】本明細書に開示される実施形態による、識別マーカーを含むポートのノーズ部分の横断面図を示す。
図7A】本明細書に開示される実施形態による、例示的な識別マーカーを示す。
図7B】本明細書に開示される実施形態による、例示的な識別マーカーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換してよい特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0020】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0021】
後述の説明において、本明細書で使用される「または」や「および/または」という用語は、いずれか1つまたはいずれかの組合せを含むもしくは意味すると解釈されるべきである。例えば、「A、B、またはC」もしくは「A、B、および/またはC」は「A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとC、のうちのいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、ステップまたは動作が何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ発生する。
【0022】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位側部分」または「近位端部分」は、患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位側の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図されたカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位側部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの末端部分または末端長ではない。
【0023】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位側部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図されたカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く、または患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位側部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの末端部分または末端長ではない。
【0024】
本明細書に開示される実施形態の説明を補助するため、図1Aおよび図1Bに示されるように、長手軸はポートステムの軸方向の長さに対し実質的に平行に延びている。横軸は長手軸に対し垂直に延び、横断軸は長手軸および横軸の両方に対し垂直に延びている。水平面は、長手軸および横軸によって画定される。垂直面は、水平軸に対し垂直に延在する。
【0025】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
図1Aおよび図1Bは、例示的な皮下アクセス機器、すなわち、「ポート(port)」100を示す。図1Aは、ポート100の上面斜視図を示す。図1Bは、ポート100の下面斜視図を示す。ポート100は概して、リザーバー112を画定するベース110を含んでもよいとともに、リザーバー112から長手軸に沿って延在するステム140を含む。ステム140は、リザーバー112と流体的に連通するステム管腔を画定してもよい。針貫通可能な隔膜130がリザーバー112上に配置されてもよいとともに、キャップ120によって適所に固定されてもよい。隔膜130は、シリコーンゴムまたは同様の適切な材料から形成されてもよい。使用時に、ポート100が皮下に配置されると、ポート100の上面は皮膚表面に近接して配置されることになる。使用者は、アクセス針(図示せず)を用いて皮膚を貫通することができるとともに、リザーバー112にアクセスするために隔膜130を貫通することができる。
【0026】
キャップ120は、超音波接合、圧入、締まり嵌め、またはスナップフィット係合でベース110と係合することができる。一実施形態では、キャップ120は接着剤、接合、溶接、超音波接合、または同様の適切な方法を用いてベース110に固定されてもよい。一実施形態では、キャップ120はベース110にオーバーモールドされてもよい。一実施形態では、キャップ120およびベース110は、同じ材料から形成される単一のモノリシック部品として形成されてもよい。
【0027】
一実施形態では、ベース110は、プラスチック、ポリマー、熱可塑性物質、金属、合金、複合材、あるいはそれらの組み合わせなどを含むがそれらに限定されない、実質的に剛性または弾性の材料から形成されてもよい。一実施形態では、キャップ120は、プラスチック、ポリマー、熱可塑性物質、エラストマー、ゴム、シリコーンゴム、金属、合金、複合材、あるいはこれらの組み合わせなどを含むが、これらに限定されない、ベース110よりも柔軟な材料から形成されてもよい。一実施形態では、ベース110およびキャップ120は同じ材料から形成されてもよいとともに、同じ機械的特性を示してもよい。一実施形態では、カテーテル90は、圧入係合または締まり嵌め係合の一方でステム140と係合してもよい。任意選択的に、カテーテルロック142は、カテーテル90をステム140にさらに固定するために、カテーテル90およびステム140の一方あるいは両方と係合してもよい。
【0028】
一実施形態では、ポート100は、ノーズ部102を含んでもよい。ノーズ部102は、ポート100から長手軸に沿って延在するとともに、リザーバー112の中心横断軸を横切ってステム140の反対側に配置される。ノーズ部102は、ポート100を皮下へ配置し易くするように構成される、ポート100から延在する実質的にくさび型の外形を画定してもよい。例えば、ポート100が皮下に付勢される時、ノーズ部102は皮下組織を分離し易くすることで組織ポケットを形成することができる。
【0029】
一実施形態では、ノーズ部102は、例えば、英数字シンボル、形状、またはアイコンなどの、ポート100の特徴を示すように構成されるシンボル104を含んでもよい。例えば、図1Bに示されるように、ベース110の底面は、ポート100は高圧注入用に構成される、等のポート100の特徴を示すように設計される、文字「CT」等のシンボル104を含んでもよい。製造者、モデル、品番、シリアル番号、ウェブサイトアドレス、バーコード、QRコード(登録商標)、あるいはそれらの組み合わせ等を含むポート100のこれらおよび他の特徴は、本発明の範囲内に収まることが企図される。シンボル104は、ベース110上またはベース110内に印刷、エンボス加工あるいは彫刻されてもよいとともに、ポート100の1つ以上の特徴を視覚的に示すために使用者が直接観察できてもよい。ポート100は、ポート100の1つ以上の表面に配置される1つ以上のシンボル104を含んでもよいが、これに限定されない。
【0030】
図2は、ベース110がキャップ120から分離された、図1Bのポート100の分解図を示す。一実施形態では、ベース110およびキャップ120の一方または両方は、ポート100のノーズ部102内に配置されるとともに、水平面上に延在する凹部122を含んでもよい。凹部122はまた、深さ(d)を画定するように横断方向に延在してもよい。一実施形態では、凹部122の周縁124は、水平面上に延在する曲線または多角形の形状を画定してもよい。図示されるように、周縁124は実質的に三日月形の形状124、または「弓形」を画定してもよい。しかしながら、他の曲線または多角形の形状も企図されることを理解されたい。
【0031】
一実施形態では、ポート100は、識別マーカー、すなわち、凹部122内に嵌合するように構成される識別インサート(「インサート」)150をさらに含んでもよい。インサート122は、1つ以上の医療イメージング技術により撮像される時に可視化されるように構成される、放射線不透過性材料から形成されてもよい。例示的な医療イメージング技術は、X線、蛍光透視法、超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子放出断層撮影法(PET)、あるいはこれらの組み合わせなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0032】
一実施形態では、インサート150の外周縁154の形状は、凹部122の外周縁124を反映してもよい。例えば、図2に示されるように、インサート154の外周縁は、凹部122の外周縁124の三日月形の形状と同じか、それよりもわずかに小さい、三日月形の形状または「弓形」を画定してもよい。しかしながら、他の曲線形状または多角形の形状も考えられる。一実施形態では、インサート150は接着剤、接合、または溶接などのうちの1つを用いて凹部122内に固定されてもよい。一実施形態では、インサートの外周縁154は、凹部122の外周縁124の形状と同じか、それよりもわずかに小さい形状を画定してもよい。従って、インサート150は圧入、締まり嵌め、またはスナップフィット係合で凹部に係合することができる。
【0033】
一実施形態では、インサート150は、インサート150を通って横断軸沿いに延在する、1つ以上の開口部152を含んでもよい。開口部152の周縁は、本明細書で説明されるように、英数字のシンボル、形状、またはアイコンなどのようなシンボルを画定してもよい。従って、開口部152は「型抜き(punch-out)」シンボル152を画定してもよいとともに、「ネガ」インサートと呼ばれてもよい。対して、「ポジ」インサートは、1つ以上のシンボルを画定する外周縁を含んでもよい。
【0034】
図2図3図4B図5B図7Aおよび図7Bに示されるように、開口部152は、「CT」のような1つ以上の文字を画定してもよい。従って、ネガインサート150が医療イメージング技術を用いて撮像される時、インサート150の放射線不透過性の部分は、開口部152の周縁およびインサート150の周縁154とコントラストを成してシンボルを画定することができる。よって、インサート150は皮下で撮像される時に、ポート100の1つ以上の特性、ポート100の位置または向きを示すことができる。
【0035】
一実施形態では、ポート100はさらにアライメント機能部160を含んでもよい。アライメント機能部160は、インサート150の一部分と係合するように構成されてもよいとともに、インサート150を三次元空間において第1の向きで凹部122と位置合わせさせてもよい。さらに、アライメント機能部160はまた、インサート150が三次元空間において、第1の向きとは異なる第2の向きで凹部122に係合するのを阻止するように構成されてもよい。
【0036】
一実施形態では、図2図4B、および図5A図6に示されるように、アライメント機能部160は、キャップ120またはベース110の一方から凹部122へと、凹部122の深さ(d)以下の距離で横断方向に延在する突起を含んでもよい。アライメント機能部160は、開口部152と係合するように、凹部122内に配置されてもよい。例えば、図2に示されるように、アライメント機能部160は、凹部122内へと延在するとともに長手軸に沿って延在する線状突起を含んでもよい。アライメント機能部160は、「T」字型開口部152と係合するように構成されてもよい。しかしながら、アライメント機能部160は、直線状または曲線状に、長手方向に、横方向に、および/またはその間の角度で延在してもよいとともに、開口部152の1つ以上の部分に係合してもよい。例えば、アライメント機能部は、「T」字型開口部152の交差部または「C」字型開口部152の湾曲部分のうちの1つ以上と係合してもよい。
【0037】
一実施形態では、ポート100は、1つ以上の開口部152と係合するように構成される2つ以上のアライメント機能部160を含んでもよい。例えば、1つ以上のアライメント機能部160は、1つ以上の支柱を含んでもよく、この支柱は、凹部122へと横断方向に延在するとともに、円形または多角形の水平断面形状を画定する。1つ以上のアライメント機能部160は、第1開口部152と係合するように凹部122内に配置されてもよい。アライメント機能部160のこれらおよび他の数および組み合わせは、本発明の範囲内に収まることが企図される。
【0038】
一実施形態では、ベース110の一部分は、凹部122の少なくとも一部分上に延在しうるとともに、インサート122を第1の向きで凹部内に固定することができる。図2に示されるように、ベース110の一部分は、凹部122内のインサート150を封止するように、凹部122全体に亘って延在してもよい。ベース110は、接着剤、接合、溶接、または同様の適切な方法を用いてキャップ120に取り付けられてもよい。インサート150が、第1の向きと異なる第2の向きで凹部122内に配置される場合、アライメント機能部160は開口部152に対して位置ずれしうるとともに、インサート150の一部分に当接しうる。従って、インサート150は凹部122内に完全には受け入れられないとともに、ベース110はキャップ120と完全には係合できない。有利には、アライメント機能部160は、インサート150が凹部122内に不正確に配置されるのを阻止するように構成されるとともに、ポート100が不正確に組み立てられるのを阻止することができる。
【0039】
一実施形態では、ベース110の下面に配置されるシンボル104は、インサート150の開口部152によって画定されるネガシンボルと位置合わせすることができる。従って、シンボル104は、凹部122内に配置されるインサート150によって画定されるシンボルの視覚的な表現を提供することができる。一実施形態では、ベース110およびキャップ120の一方または両方は、不透明な材料から形成されてもよい。従って、インサート150は、ポート100内に組み込まれた状態で直接観察できない場合がある。
【0040】
一実施形態では、図4Aおよび図4Bに示されるように、シンボル104は、凹部122内の開口部152によって画定されるシンボルと位置合わせされるようにベース110の底面に反転して彫刻される、英数字のシンボルを含んでもよい。従って、シンボル104は、凹部122内のインサート150の向きを視覚的に伝えることができる。ポート100の皮下への配置中に、使用者はシンボル104を観察することで、インサート150を確認することができ、それによってポート100が正しく配置される。一実施形態では、ベース110は、凹部122内に配置されるインサート150と位置合わせするように構成される、第1シンボル104Aを含んでもよい。本明細書に説明されるように、ベース110はさらに第2シンボル104Bを含むことができるとともに、例えば、製造者、モデル、品番、あるいはシリアル番号等のような、ポート100の第2の特性を伝えるように構成されてもよい。
【0041】
一実施形態では、ポート100が組み立てられる時に、使用者が凹部122内に配置されるインサート150を直接観察できるように、ベース110およびキャップ120の一方または両方は、透明または半透明の材料から形成されてもよい。一実施形態では、ポート100が組み立てられる時に、使用者が凹部122内に配置されるインサート150を直接観察できるように、ベース110およびキャップ120の一方または両方は窓を含んでもよい。窓は、透明または半透明の材料から形成されるとともに凹部122と位置合わせされる。有利には、ベース110およびキャップ120は、滑らかな外形を提供するように協働してもよいとともに、ポート100が皮下に配置された時に、任意の組織が開口部152内に内部成長することを阻止するために、その中にインサート150を収容してもよい。
【0042】
一実施形態では、図3に示されるように、アライメント機能部160は凹部122の周縁124から凹部122内へと水平に延在してもよい。アライメント機能部160は、インサート150の周縁154上に配置される切り込み156と係合するように、凹部122の周縁124に沿って配置されてもよい。従って、本明細書に説明されるように、アライメント機能部160は、インサート150を第1の向きで凹部122と位置合わせさせることができるが、第1の向きと異なる第2の向きでインサート150が凹部122と係合することを阻止することができる。
【0043】
図7Aおよび図7Bは、1つ以上の開口部152および切り込み156を含む、例示的なインサート150のさらなる詳細を示す。
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適応および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適応および/または修正もまた包含される。従って、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】