(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】局所治療薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20250117BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20250117BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250117BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K31/19
A61P29/00
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/12
A61P17/00
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543266
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 US2023061002
(87)【国際公開番号】W WO2023141574
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524118948
【氏名又は名称】ベータ バイオフュエル ソリューションズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BETA BIOFUEL SOLUTIONS,LLC
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 400 Ringoes, New Jersey 08551 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ポーラ マリー エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA24
4C076AA72
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB31
4C076CC01
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4C076CC19
4C076DD38
4C076FF11
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA02
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA48
4C206MA52
4C206MA77
4C206MA79
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZA89
(57)【要約】
負傷したまたは損傷した表皮および粘膜組織の疼痛軽減のために処方された局所治療用製品が開示されている。該局所治療用製品は、スプレー、ソーク(含浸液)、エモリエント軟膏、ローション、ゲル、ロールオン、および使い捨て製品を含む様々な送達媒体に組み込まれた、薬学的有効量のピルビン酸ナトリウムを含み得る。少なくともいくつかの実施形態において、該局所治療薬は、既存のスキンケア製品用の混和物であってもよい。本明細書に開示される局所治療薬は、負傷に対する身体の炎症反応の症状および様々な癌治療の副作用を緩和し、患者に生活の質の改善を提供し得る。患部の痛みを緩和するための局所治療用製品の使用方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達媒体中に混入された薬学的有効量のピルビン酸ナトリウムを含む、哺乳動物の表皮および粘膜組織における疼痛軽減のために処方された局所治療用製品。
【請求項2】
上記送達媒体が、スプレー、浸漬液(ソーク)、エモリエント軟膏、ローション、ゲル、ロールオン、および染み込ませた使い捨て品からなる群から選択される、請求項1に記載の局所治療用製品。
【請求項3】
上記染み込ませた使い捨て品が、パンティライナー、ティッシュ、眼帯、おむつ、粘着性包帯、および経表皮パッチからなる群から選択される、請求項2に記載の局所治療用製品。
【請求項4】
上記スプレーが、鼻スプレー、喉スプレー、またはボディスプレーである、請求項2に記載の局所治療用製品。
【請求項5】
上記局所治療用製品がスキンケア製品用の混和物である、請求項1に記載の局所治療用製品。
【請求項6】
上記スキンケア製品が、日焼け止め、保湿剤、フェイシャルクリーム、フェイシャルマスク、ボディローション、ハンドローション、および頭皮保湿剤からなる群から選択される、請求項5に記載の局所治療用製品。
【請求項7】
以下を含む、表皮および粘膜の損傷および障害からの痛みを緩和し、細胞および組織の修復を促進する方法:
a.請求項1に記載の局所治療用製品を損傷領域に投与し;
b.薬学的有効量の局所治療薬を該損傷領域の表面に送達することにより、表皮および粘膜の損傷による疼痛を軽減し;そして任意に
c.該局所治療薬を該損傷領域に再投与する。
【請求項8】
上記損傷領域が、全般的表皮、頭皮、鼻腔、口、咽喉、目、精液排出部位、尿排出部位、便排出部位、膣部位およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記損傷が、皮膚炎、乾癬、口内炎、口唇ヘルペス、火傷、炎症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
上記皮膚炎が、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記火傷損傷が、日焼け、熱火傷、放射線火傷、化学火傷、電気火傷およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
上記放射線火傷が、癌放射線療法による損傷をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記化学火傷が、癌治療による体液中の排泄化学物質によって引き起こされる損傷をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記癌治療が、ホルモン療法、化学療法、モノクローナル抗体療法およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記体液が、汗、涙、精液、膣分泌物、尿、便およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記火傷損傷の程度が、第1度火傷または第2度火傷からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2022年1月21日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/301,804に対する35 U.S.C. §119(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、哺乳動物の表皮および粘膜組織において、傷害または炎症反応の副作用によって引き起こされる痛みの軽減および緩和のために適用することができ、患者の生活の質の改善を提供する局所治療薬に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚炎、乾癬、口角炎、ヘルペス、鼻炎、咽頭炎、および皮膚火傷のような哺乳動物の表皮および粘膜の障害は、外傷(トラウマ)、疾患、並びに損傷、年齢、遺伝学、および環境曝露によって引き起こされる変性状態を含む要因によって生じ得る。表皮および粘膜の損傷は、典型的には、皮膚の発疹、剥離、剥がれ、水疱、およびしばしばかなりの痛みを伴う開放性のただれまたは潰瘍を含む症状をもたらす。
【0004】
さらに、表皮および粘膜組織の損傷は、損傷部位の炎症をもたらす免疫応答の一部として活性酸素種を呼び込み(recruit)得る。このようなタイプの傷害における疼痛軽減のための一般的な治療法には、ステロイド化合物を含み得る。しかし、これはホルモンレベルの不均衡といった問題を引き起こし、その結果、肝臓の問題、精神的/行動に関する問題、口の痛み、弱まった鼻腔、胃潰瘍、容易に傷がつく皮膚の薄化及び傷の快癒の遅延(ただし、これらに限定されるものではない)を含む、連鎖的な問題を引き起こす。
【0005】
さらに、癌治療における化学的治療や放射線治療などの一般的に行われている医学的及び外科的処置は効果的であり、しばしば生命を救うことができるかもしれないが、患者が耐えなければならない痛みや悪い副作用も伴う。放射線療法などの治療は、一般的な表皮の外層に放射線熱傷を引き起こすことがある。さらに、化学療法は口の中にただれや潰瘍が生じ得、痛くて飲食がほとんどできなくなることがあり得る。その結果、化学療法を受けた患者はしばしば、栄養不足になり、悪い健康状態に陥る。
【0006】
別の応用では、ホルモン療法が乳がんや前立腺がんに伴う症状の治療や軽減に用いられ得る。ホルモン療法は、癌の成長を抑制するのに有効かもしれないが、傷害のリスクが高くなる骨量減少;膣の乾燥、炎症、かゆみ;及び頭皮のかさつきやかゆみなどの副作用を伴い、副作用はこれらに限定されない。さらに、過剰なホルモンは尿や便として体外に排泄され得るが、それは直腸、尿道、及び膣の領域を悪化させ、尿や便が排出される際に激しい痛みを引き起こすことがある。
【0007】
先行する治療法では、これらの表皮や粘膜の障害を軽減することが試みられてきたが、迅速で即時的な痛みの軽減を提供し、現在の治療レジメンに悪影響を及ぼさず、あるいは拮抗的な影響を与えない局所治療に対する必要性がある。従って、容易に入手可能であり、痛みを効果的に軽減し、そして一時的にさえ痛みを除き、損傷部位の細胞および組織の修復を促進し、そして短期間および長期間の表皮および粘膜の痛みおよび損傷を有する患者の生活の質を改善する、治療製品に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
種々の実施形態は、表皮および粘膜の損傷および体内の活性酸素種産生による炎症反応を患う患者において、疼痛を緩和し、細胞および組織の修復を促進し、そして生活の質を改善するための多面的な利点を有する局所治療システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、本開示は、傷害または炎症の標的領域に薬学的有効量のピルビン酸ナトリウムを送達するために処方された局所治療用製品を提供する。種々の実施形態において、送達媒体は、スプレー、浸漬液(ソーク)、エモリエント軟膏、ローション、ゲル、ロールオン、または染み込ませた(含浸)使い捨て品を含み得る。いくつかの実施形態において、局所治療用含浸使い捨て品は、パンティライナー、拭き取りティッシュ(ワイプ)、眼帯、おむつ、粘着性包帯および経表皮パッチを含み得る。様々な実施形態において、局所治療用スプレーは、鼻スプレー、喉スプレー、またはボディスプレーを含み得る。少なくともいくつかの実施形態において、局所治療用製品は、スキンケア製品のための混和物であってもよい。例示的なスキンケア製品には、日焼け止め、保湿剤、フェイシャルクリーム、フェイシャルマスク、ハンドおよびボディローション、ならびに頭皮保湿剤が含まれ得る。
【0010】
別の態様において、本開示は、患者の表皮および粘膜の損傷を緩和するための治療方法を提供する。種々の実施形態において、該方法は、局所治療薬を損傷領域に投与すること、次いで、疼痛軽減を提供するために、薬学的に有効量の局所治療薬を損傷領域の表面に送達することを含み得る。いくつかの実施形態において、該方法は、継続的な疼痛軽減を提供するために、局所治療薬を損傷領域に再投与することをさらに含み得る。
【0011】
別の態様において、本開示は、ピルビン酸ナトリウム塩の薬学的に有効な水溶液を提供する。いくつかの実施形態において、ピルビン酸ナトリウムの有効濃度は、約100mg/L~約500mg/L、約150mg/L~約350mg/L、および約200mg/L~約250mg/Lの間であり得る。いくつかの実施形態において、ピルビン酸ナトリウム溶液は、生理食塩水中で投与され得る。他の実施形態において、ピルビン酸ナトリウム溶液は、生理食塩水中で投与されてもよく、約5wt%~約10wt%のグリセリンをさらに含んでもよい。
【0012】
本開示の1つ以上の観点の詳細は、以下の説明に記載されている。本開示に記載の技術の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の種々の実施形態は、活性酸素種の産生および組織障害に起因する炎症反応を伴う、損傷を受けた哺乳動物の表皮および粘膜組織細胞を治療するための治療用製品を提供する。本願に開示される炎症反応メディエーターおよび種々の治療用製品は、身体の炎症反応の望ましくないカスケード効果を低減し、損傷領域の直接的な痛みの軽減を与え、そして自然に発生する症状に苦しむ患者、または種々の治療および療法を受けている患者の生活の質を改善する。
【0014】
以下の文章は、特定の製剤および送達システムを参照または例示し得るが、本発明の範囲をそのような特定の参照または例に限定することを意図するものではない。例えば、局所治療用製品のための他の送達媒体が考えられる。得られた製品は、表皮または粘膜の損傷が生じた投与領域の痛みを軽減しそして細胞および組織の修復を促進することにより、同じ目的を達成するであろう。
【0015】
当業者であれば、例えば、供給源及び伝達媒体に使用される材料の相溶性、および種々の表皮及び粘膜組織の損傷の特性のような実用的および経済的な観点から、種々の改変を行うことができる。特許請求の範囲の主題をより明確かつ簡潔に記述するために、以下の定義は、本願で使用される用語の意味に関する指針を提供することを意図している。
【0016】
定義
本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、特に指示がない限り、「1つ又はそれ以上」または「少なくとも1つ」を意味する。すなわち、不定冠詞「a」または「an」による本発明の任意の要素への言及は、1つよりも多くの要素が存在する可能性を排除するものではない。
【0017】
「約」とは、参照した数値表示のプラス又はマイナス10%を意味する。
【0018】
「アドミックス」とは、開示されたピルビン酸ナトリウムを既存の製品に混入して、加えられた機能性を与えることを意味する。
【0019】
「拮抗作用」とは、1種またはそれ以上の薬物または治療法の有効性を阻害または低下させる可能性のある、身体に対して反対の作用を有する2種またはそれ以上の薬物または治療法の間の相互作用をいう。
【0020】
「抗酸化剤」とは、酸化的損傷から皮膚の表面を保護するのを助ける物質をいう。
【0021】
「適用する」、「適用」、「投与する」または「投与」とは、表皮および粘膜組織細胞の患部領域および隣接する領域に、局所治療薬を広げること、穏やかに擦り込むこと、噴霧すること、または該患部領域および隣接する領域と長時間接触させることによって、局所治療薬を適用することをいう。
【0022】
「水溶液」とは、溶質が水に溶解している溶液をいう。
【0023】
「カスケード効果」とは、さらなる悪影響を引き起こす可能性のある、前もって見えないまたは予期しえない一連の事象をいう。
【0024】
「コロイド浴」とは、皮膚刺激を緩和するために浴湯に鎮静剤を添加して調製された浴をいう。
【0025】
「送達媒体」または「送達系」とは、局所治療化合物を表皮および粘膜組織細胞の患部に投与する様式をいう。
【0026】
「一般的表皮」とは、身体の皮膚の最外層を指す。
【0027】
「ミセル」とは、送達媒体中のピルビン酸ナトリウム製剤の表皮浸透を可能にする媒介物(メディエーター)をいう。
【0028】
「患者」または「被験者」とは、治療または処置を受けているヒトおよびヒト以外の哺乳動物の両方をいう。
【0029】
「薬学的許容塩」とは、所望の薬理学的活性または治療活性を有する塩化合物をいう。
【0030】
「薬学的に有効な」または「有効な」量とは、無毒性であるが、所望の治療効果を提供するのに十分なピルビン酸ナトリウムの量をいう。
【0031】
「活性酸素種」とは、酸素を含み、そして傷害に対する身体の免疫応答中に細胞内の他の分子と反応するあるタイプの不安定な分子をいう。
【0032】
「超酸化物」とは、傷害に対する身体の免疫応答中に細胞内の他の分子と反応するあるタイプの活性酸素種をいう。
【0033】
「界面活性剤」とは、油性のまたは非極性の製品への一体化を促進するための、水溶液への添加剤をいう。
【0034】
特に断りのない限り、全てのパーセントは重量パーセントである。
【0035】
関連する開示された実施形態の詳細を議論する前に、身体の炎症反応のメカニズムを理解することは有用である。
【0036】
哺乳動物において、病気や損傷によって表皮や粘膜組織細胞の破壊が誘発されると、活性化されたマクロファージは、一酸化窒素や他の活性酸素種を含む炎症性仲介物(メディエーター)を放出して血管拡張を誘発し、それは血管を広げて、その結果、血流を遅くしながら血液量を増加させる。この低下した血流は、血液中の免疫細胞が循環を離れて、損傷した組織に入り込むことを可能にする。さらに、一酸化窒素及びその他の活性酸素種も血管透過性を亢進させ、その結果、感染組織内に血液流が漏れる。流体と血漿タンパク質の局所的な濃縮は、感染組織内のタンパク質の濃縮を助ける。したがって、このような流体の流入は、損傷領域の腫脹、発赤及び発熱などの炎症の症状と関連する。
【0037】
さらに、炎症反応の間に、大量の超酸化物が産生され得る。超酸化物は、血管の収縮や身体の免疫反応における病原体の殺傷に関与しているが、過剰になると、細胞中の酸化的破壊や組織の損傷などの悪い副作用も伴う。
【0038】
活性酸素種による炎症反応の望ましくない影響に対する救済策として作用し得るピルビン酸ベースの化合物のような抗酸化分子が検討されている。ピルビン酸ナトリウム塩、α-ケトプロピオン酸ナトリウム塩、または2-オキソプロパン酸ナトリウム塩としても知られるピルビン酸ナトリウムは、商業的に入手可能であり、治療的特性があり、解糖の間に体内で自然に生成されることから、潜在的な候補である。さらに、ピルビン酸ナトリウムの抗酸化性は、傷害を受けた細胞や組織と良好な相互作用を生じて過剰な超酸化物産生に対抗し、このようにして細胞や組織の修復を促進し得る。
【0039】
ピルビン酸としても知られるピルビン酸塩の酸の形態は、皮膚剥離および表面皮膚修復治療において広く使用されている。この治療の反復は、ミリモル濃度のピルビン酸化合物を利用し、この濃度は、身体がデノボ皮膚修復のためにそれを使用する濃度に対応する。本開示の様々な実施形態は、約100mg/L~約500mg/L、約150mg/L~約350mg/L、および約200mg/L~約250mg/Lの範囲のピルビン酸ナトリウム溶液から処方された製品を記載している。時間依存性の緩和効果は、特定の局所適用、および共成分設計に依存して、モル濃度に相関する。
【0040】
以下の考察は、本開示の原理に従って、損傷領域の疼痛を軽減し、炎症症状を緩和し、そして細胞および組織の修復を促進するための局所治療の説明を含む。代替の実施形態もまた開示される。
【0041】
表皮および粘膜組織の痛みを緩和するための局所治療用製品
本明細書の一側面は、哺乳動物の表皮および粘膜組織における痛みを緩和するための局所治療用製品および治療方法を提供する。本明細書に開示される様々な局所治療の実施形態は、可溶化され、損傷領域に局所的に適用できる様々な送達媒体または製品に組み込まれた、薬学的に許容されるピルビン酸ナトリウム塩製剤を含み得る。開示された局所治療薬を局所的に投与する様式としては、スプレーを介した経口および鼻からの吸入、一般的表皮の損傷領域への局所治療薬の塗布、および治療薬を染み込ませた(含浸)使い捨て製品を介した標的指向性塗布が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態において、ピルビン酸ナトリウム塩を、まず、製品配合物の水性画分として予備配合された製品に可溶化して、該製品配合物の水分割合を維持し、次に、該製品とさらに混合し得る。種々の実施形態において、局所治療用製品は、投与量または送達媒体に依存して、水性または油性であり得る。いくつかの実施形態において、ピルビン酸ナトリウム塩は、水性製品に混入するために、水または薬学的に許容される極性溶媒に溶解し得る。別の実施形態において、ピルビン酸ナトリウム塩は、最初に水または極性溶媒に溶解し、次に油性製品と一体化するためにエマルション、分散液、ゲル、またはヒドロゲルに混入し得る。様々な実施形態において、局所治療用製品は主に脂質であってもよい。この場合、ピルビン酸ナトリウム溶液は、脂質製品環境に混入するために、界面活性剤を配合してミセルを形成し得る。例示的な実施形態では、約5wt%~約10wt%のグリセリンを皮膚軟化剤(エモリエント)としてピルビン酸ナトリウムと一体化させてもよい。いくつかの実施形態において、ピルビン酸ナトリウム塩は、極性相及び非極性相の両方を有する局所治療用製品の水性相または極性相に混入することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、生理食塩水又は生理食塩水及びグリセリン中に投薬されたピルビン酸ナトリウム製剤の濃縮物を製造することができる。この実施形態は濃縮マスターバッチピルビン酸ナトリウム製剤であり、ここで、薬学的有効量のマスターバッチは商業的生産のために様々な送達媒体または製品に混入し得る。一つのマスターバッチの実施形態によれば、ピルビン酸ナトリウムは、その場で局所治療用製品を提供するために、溶液に溶解するための乾燥塩製品であってもよい。
【0044】
様々な実施形態において、開示された局所治療薬は、表皮に送達し得る。いくつかの実施形態において、該局所治療薬は、ローション、皮膚軟化剤軟膏、ゲル、またはロールオンとして皮膚に直接適用される。いくつかの実施形態において、局所治療薬は、粘膜経路を介して送達され得る。例示的な実施形態では、局所治療薬は、鼻腔スプレーまたは経口スプレーを介して送達され得る。
【0045】
少なくともいくつかの実施形態において、局所治療剤は、経表皮パッチ、眼帯、使い捨てティッシュ(ワイプ)、おむつ、粘着性包帯、又はパンティライナーのような染み込ませた(含浸)使い捨て品である。
【0046】
いくつかの実施形態において、局所治療剤は、日焼け止め、保湿剤、フェイシャルクリーム、使い捨てフェイシャルマスク、ハンド及びボディローション、及び頭皮保湿剤のような既存のスキンケア製品のための混和物である。
【0047】
いくつかの実施形態において、局所治療剤は浸漬剤である。幾つかの実施形態では、損傷部位への即時の局所治療用浸漬剤(ソーク)のためにその場で成分を混合するための、乾燥ピルビン酸塩、溶媒、および任意に生理食塩水またはグリセリンを含むキットが提供される。
【0048】
正確な投与量は治療に基づいて決定されるが、ほとんどの場合、投与量に関するいくつかの一般化がなされ得る。本願開示は、ミリモル濃度で約100mg/L~約500mg/L、約150mg/L~約350mg/L、好ましくは約200mg/L~約250mg/Lの範囲の溶液中のピルビン酸ナトリウムから製剤化された製品を記載する。
【0049】
薬学的に許容される塩を投与する場合、投与量は遊離酸として計算することができる。時間依存性の緩和効果は、特定の局所適用および共成分設計に依存して、モル濃度に相関する。いくつかの実施形態において、開示された局所治療薬は、1日に1~4回、または傷害もしくは炎症の重篤度および頻度に依存して必要に応じて投与され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、傷害または炎症の重症度に応じて、同じ送達媒体の複数の濃度が提供され得る。いくつかの実施形態では、低用量の局所治療薬は薬局で入手し得るが、高用量の局所治療薬は医師の承認が必要であろう。
【0051】
製品のための治療法
本明細書の一側面は、表皮および粘膜組織の表面損傷を緩和するための局所治療用製品および治療方法を提供する。本明細書において開示される種々の局所的治療態様は、損傷領域に局所的に適用できる種々の投与媒体または送達媒体に混入された薬学的に許容されるピルビン酸塩製剤を含み得る。開示された治療薬を局所的に投与する複数の方法には、エアロゾルを介した吸入、全般的表皮の損傷領域への治療用製品の塗布、および少なくとも治療薬を染み込ませた使い捨て品を介した標的指向の塗布が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
傷害による表皮および粘膜組織の破壊は、免疫応答の一部として活性酸素種を呼び込む(recruit)。身体の炎症反応に対するこのような反応は、衝撃;打撲;化学的、放射線的、電気的、および熱的火傷;皮膚炎、乾癬、潰瘍、およびヘルペスのような疾患;表面組織への体液曝露;UV放射線のような環境曝露、および植物化学的過敏症によって引き起こされ得るが、これらに限定されない。様々な実施形態において、皮膚炎は、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、または脂漏性皮膚炎であり得る。少なくともいくつかの実施形態において、表面火傷は、第1度火傷または第2度火傷であり得る。
【0053】
これらの傷害は体表面のどこにでも存在し得、全般的表皮、頭皮、鼻の鼻孔腔、口、喉、目、精液排泄部位、尿排泄部位、便排泄部位、および膣部位を含むが、これらに限定されない。
【0054】
明細書の一側面は、本開示の発明による、これらの傷害および同様の炎症反応によって引き起こされる疼痛軽減療法を開示する。
【0055】
様々な実施形態において、表皮及び粘膜領域の傷害は、ホルモン療法、モノクローナル抗体療法、化学療法、及び放射線療法を含むがこれらに限定されない様々な医学的治療の副作用によるものであり得る。いくつかの実施形態において、放射線がん治療を受けている患者は、かゆみ、痛み、皮むけ、及び放射線火傷などの皮膚の副作用を示すことがある。様々な実施形態において、皮膚への傷害は、ツタウルシ、有毒オーク、および他の有毒植物またはアレルギー性植物のような(これらの植物に限定されない)植物油に対する化学物質過敏症によるものであり得る。少なくともいくつかの実施形態では、傷害は、太陽への長時間の曝露による日焼けであり得る。
【0056】
ホルモン療法を受けている患者は、汗、精液、膣分泌物、尿、及び便などの体液として排泄され得る高濃度のホルモンを投与される。排泄された体液中の過剰なホルモンの存在は、汗腺、尿道、膣、直腸及び肛門などの排泄部位を損傷する。さらに、ホルモン療法は目の領域に増加した乾燥と炎症を伴う。さらに、ダメージを受けた排泄部位はさらに炎症を起こし、さらなる痛みや医学的問題を引き起こし得る。局所治療薬は、これらの傷つきやすい部位に的を絞った緩和と痛みの軽減を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、ローション、ゲルまたはボディスプレーの形態の広い範囲の局所治療薬を、全般的な表皮に適用して、汗腺における痛みの軽減を提供することができる。他の実施形態では、局所治療薬含浸使い捨てパッチまたは経表皮パッチは、肛門または膣の周辺、および目の近くの領域などの標的領域に適用することができるが、これらの領域に限定されない。いくつかの実施形態において、治療薬含浸ティッシュは、患者が尿または便を排泄した後の清浄化プロセスの一部として、患部に使用することができる。
【0058】
様々な実施形態において、放射線療法を受けている患者は、皮膚の照射領域に放射線熱傷を有し得、そして乾燥、かゆみ、剥離、腫脹、および開放性ただれを示すことがある。局所治療薬の様々な実施形態は、これらの領域への緩和を提供し得、痛みの軽減とさらなる感染からの保護の両方を提供し得る。いくつかの実施形態において、ローションまたはゲルの形態の広い適用範囲の局所治療薬は一般的な表皮に適用され得、皮膚表面での痛みの軽減を与える。他の実施形態では、局所治療薬を染み込ませた(含浸)使い捨てパッチまたは経表皮パッチを標的領域に適用し得る。少なくともいくつかの実施形態では、局所治療用含浸ティッシュをコロイド浴の代替として利用し得る。
【0059】
さらに、がん治療を受けている患者は、口腔および咽喉にただれを生じ得、それは免疫系が弱まるために食物および他の栄養素の摂取を阻害し得る。この場合、患者はがん治療を通して自身を維持するために必要な栄養素を摂取できず、結果として体重が大幅に減少し得る。その結果、患者の活力が著しく低下し、がん治療はより効果的でなくなり得る。このような望ましくない連鎖を防ぐために、口腔スプレーを投与して口腔や咽頭の損傷領域の痛みを和らげ、患者が不快感なく必要な食物や栄養素を痛みなく摂取できるようにし、がん治療を受けている患者の生活の質を改善することができる。別の実施形態において、鼻腔スプレーを、鼻腔に傷やただれを有する患者の痛みを軽減するために使用して、呼吸のための明確な鼻腔経路を提供し得る。
【0060】
様々な実施形態において、局所治療薬は、スキンケアのような毎日のレジメンに組み入れることができる。いくつかの実施形態において、局所治療薬は、日焼けを引き起こす紫外線放射、及び接触領域に炎症反応を誘発する有毒植物またはアレルギー性植物などの環境暴露によって誘発される損傷からの緩和を提供するために、日焼け止め、保湿剤、フェイシャルクリーム、使い捨てフェイシャルマスク、ハンドおよびボディローション、および頭皮保湿剤などの既存のスキンケア製品のための混和物であってもよい。
【0061】
上記に開示された局所治療薬は、他の治療および療法の前、後、または同時に投与し得る。上記に開示された局所治療薬は、有益な痛みの軽減を提供し、細胞および組織の修復を促進し、そして種々の皮膚の損傷および障害に罹患している患者の生活の質を改善する。従って、開示された局所治療薬は、拮抗作用を付加することなく、薬物や治療薬と共に投与し得る。
【0062】
本開示の様々な実施形態は、非ヒトの哺乳類の被験体に適用し得る。いくつかの実施形態において、該被験体は、イヌ、ネコ、ハムスター、および非ヒト霊長類を含む家庭用ペットであるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、被験体は、牛、馬、豚、ヤギ、および羊を含むがこれらに限定されない大型家畜である。そう痒症、炎症性腸疾患、椎間板疾患、並びにブタクサ花粉および非毒性虫さされからの他の皮膚状態を含むがこれらに限定されない一般的な疾患は、少なくとも動物における刺激、乾燥、いぼ、しこり状の皮膚、並びに一般的な痛みおよび不快感として現れる非ヒト哺乳類細胞における炎症反応を誘発する。現在、これらの症状を緩和するための唯一の利用可能な治療法は、ステロイドベースの経口および局所用製品であり、これらは、頻尿、下痢、便秘、興奮の増大、攻撃的行動、および薬物誘発性疾患を含むがこれらに限定されない悪い副作用を伴う。本願で議論される種々の実施形態および方法は、ステロイドベースの治療の代替として獣医学で使用され得る。
【0063】
様々な実施形態において、局所治療薬は、損傷又は炎症を起こした足回り、耳、鼻、口、歯肉、並びに肛門及び直腸領域に投与して、刺激、腫脹、及び痛みを軽減し得る。いくつかの実施形態では、局所治療薬は、より広い患部を覆うためのスプレーであってもよい。他の実施形態では、局所治療薬は、入浴または洗浄プロセスの一部として適用し得る浸漬剤または拭き取り剤(ワイプ)であってもよい。
【実施例】
【0064】
実施例1:患者A
設定:この試験は、鼻炎に罹患し、間接の煙草の煙に持続的かつ長期的に暴露された結果、鼻および喉の灼熱感(burning)を患う患者に、局所治療用スプレーを投与することから成っていた。約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウム配合スプレーを、1スプレー当たり約1mlずつ鼻腔と喉に投与し、1回の投与につき2~3回スプレーした。
【0065】
要約:患者Aは、最初の投与後15分以内に、侵された鼻および喉の領域の灼熱感または痒みの減少を示した。2時間後に該スプレー治療を再施用した。2回目の治療では、鼻と喉の両方の灼熱感が完全に緩和された。該スプレーは寝る前に予防的に塗布した。痛みと灼熱感が再発することはなかった。
【0066】
実施例2:患者B
設定:この試験は、乾癬性プラークによる表皮障害に罹患している患者に局所治療用ティッシュを投与することから成っていた。患者Bは背中に乾癬性プラークを示した。約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムにグリセリンエモリエント剤を配合して含浸させたものを、含浸ティッシュを介して患部に投与した。治療は1日2回、1回は朝にそして1回は夕方に行った。
【0067】
要約:患者Bは、投与後15分以内に灼熱感または痒みの減少を示した。継続投与により、痒みや灼熱感は再発せず、皮膚表面は正常な形態に戻った。局所療法を中断すると、痒みと灼熱感とともにプラークが再発した。
【0068】
実施例3:患者C
設定:この試験は、乾癬性プラークによる表皮障害を患っている患者に局所治療用スプレーを投与することから成っていた。患者Cは、耳の後ろと頭皮領域に乾癬性プラークを示した。グリセリンエモリエント剤を配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムを、含浸ロールオンを介して患部に投与した。治療は1日2回、1回は朝にそして1回は夕方に行った。
【0069】
要約:患者Cは、投与後15分以内に灼熱感と痒みの軽減を示した。継続投与により、かゆみと灼熱感は再発せず、皮膚表面は正常な形態に戻った。投与を中断すると、痒みと灼熱感とともにプラークが再発した。
【0070】
実施例4:患者D
設定:この試験は、放射線療法治療後の表皮全般の発赤と灼熱感および深部筋肉痛に悩む乳癌患者に、局所治療用スプレーおよびティッシュを投与することから成っていた。該患者は丁度1ヶ月強の間に30回の日毎の放射線治療を受けた。医療スタッフは、患者にワセリン製品で皮膚を保湿するよう勧めたが、痛み、灼熱感及び赤みは緩和されなかった。グリセリンエモリエント剤を配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムを、含浸ティッシュとスプレーで患部に投与した。
【0071】
要約:患者Dは、含浸布ティッシュによる最初の投与後30分以内に、皮膚に水ぶくれを生じることなく灼熱感の軽減を示した。その後、局所治療用スプレーをその都度使用した。局所治療処置および追跡観察の後、放射線腫瘍医は、患部の通常の褐変が通常よりも急速に消失したことがいかに珍しく予想外であったかを述べた。
【0072】
実施例5:患者E
設定:この試験は、モノクローナル抗体注入治療と共に、タキソテールとカルボプラチンの同時化学療法を受けている患者に、局所治療用含浸ティッシュを投与することから成っていた。がん治療の副作用は患者に、尿や便を介して化学物質が排出されることによる尿道、膣及び肛門領域に強い灼熱感、かゆみ及び剥離を示した。グリセリンエモリエントティッシュに配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムを、不快症状があるときに加えて、排泄後の患部の洗浄にも使用した。
【0073】
要約:患者Eは、最初の投与後1時間以内に、灼熱感および痒みの減少を示した。損傷した皮膚の剥離(sloughing)は、投与を続けて数日以内に止まった。患者Eは、がん治療と同時に、そしてがん治療後約1ヶ月間、この局所治療を使用し続けた。
【0074】
実施例6:患者F
設定:この試験は、ブタクサ花粉過敏症による、体の下側および耳の周りの毛のない領域の発赤、痒みのある斑点を患う5歳のジャックラッセルテリアに、局所治療用スプレーを投与することから成っていた。この犬は傷のために目に見える不快感と引っかき傷を示した。水で洗浄しそして患部を乾燥させた後、グリセリンを配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムスプレーを胴体下部(undercarriage)および耳に塗布した。
【0075】
要約:1回目の投与後、15分以内に発赤がおさまり、犬はリラックスした。ブタクサ花粉のシーズン中、犬が外出するたびに投与を続けた。該花粉のシーズン中、投与を中断すると、痒み、発赤および引っかき傷が再発した。
【0076】
実施例7:患者G
設定: この試験は、タキソテールとカルボプラチンの化学療法を受けている癌患者に局所治療用スプレーを投与することから成っていた。癌治療の副作用により、患者は重度の口内炎、痛み、および皮膚発疹を呈し、これが規則的な咀嚼と食物およびいくつかの飲料の摂取を妨げていた。患者Gの味蕾も深刻な影響を受け、味覚が頼りなくなっていた。がん業界の専門家は、重曹を患部に塗ることを勧めたが、問題を緩和する効果はほとんどなく、患者は18週間から20週間、軽減されないままだった。約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウム経口スプレーを、1スプレーあたり1ml、1回の投与につき2~3スプレーを、口と喉の中に投与した。
【0077】
要約:患者Gは、最初の投与後30分以内に痛みと熱傷のほぼ完全な緩和を示した。唾液が不快感を引き起こす化学物質を再導入するので、この製品をこの目的に(ad hoc)使用して継続的な快適さを提供した。局所治療用スプレーの使用により、ただれは解消し、痛みと不快感は管理された。患者Gは、不快感なく規則的に食べ物と飲み物を摂取できるようになった。しかし、味覚の問題は局所治療用スプレーでは改善されなかった。
【0078】
実施例8:患者H
設定:この試験は、夏の季節の初めに、フィールドプロジェクトで働いている間に、顔、肩および腕に中程度の日焼けをした患者に、局所治療用スプレーを投与することから成っていた。患者は日焼け止めを使用していたが、長時間の露出のため、日焼けの影響がみられた。顔は紫外線(UV)に直接さらされ、衣服で覆われていなかったため、特に赤くなっていた。グリセリンエモリエントを配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムスプレーを患部に塗布した。
【0079】
要約:患者Hは、最初の投与後15分以内に日焼けの軽減を示した。別の日に赤みが引くまでスプレーを塗布した。この製品は、日焼けによる皮膚の水ぶくれや剥離の防止に役立ち、これらはいつもと異なり起こらなかった。
【0080】
実施例9:患者I
設定:この試験は、刺激性の植物、例えばツタウルシ、に曝された後、発赤、灼熱感及び皮膚の炎症を示す患者に局所治療用スプレーを投与することから成っていた。患部は石鹸を使わずに冷水で洗浄して、植物から移行したオイルやワックスを除去した。グリセリンエモリエントを配合した約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウムスプレーを表皮全体の患部に塗布した。
【0081】
要約:患者Iは、最初の投与後15分以内に灼熱感と痒みの軽減を示した。局所治療用スプレーは、曝露の重篤度に応じて、その目的で再投与した。
【0082】
実施例10:患者J
設定:この試験は、大気乾燥、アレルギー反応、または疾患状態反応による喉の灼熱感を患う患者に、局所治療用スプレーを投与することから成っていた。約250mg/L濃度のピルビン酸ナトリウム経口スプレーを、1スプレーあたり1ml、1回の投与につき2~3スプレーを口腔内および咽喉内に投与した。
【0083】
要約:患者Jは、最初の投与の15分以内に、灼熱感、かゆみ、および全身の不快感の軽減を示した。上記製品はその目的で、連続した快感を与えるために使用した。
【0084】
上記は、単に本開示の原理を例示するものであり、限定することを意図するものではなく、単に添付の特許請求の範囲に対する多くの可能な実施形態のいくつかを示すものである。当業者は、本明細書に記載された実施形態に従うことなく、かつ以下の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく行われ得る様々な修正および変更を容易に認識するであろう。
【国際調査報告】