(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ブリケットストリングを分断する装置
(51)【国際特許分類】
C21B 13/00 20060101AFI20250117BHJP
B30B 11/16 20060101ALI20250117BHJP
B30B 11/18 20060101ALI20250117BHJP
B30B 11/22 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C21B13/00
B30B11/16
B30B11/18
B30B11/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543303
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2022083630
(87)【国際公開番号】W WO2023138817
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022101419.3
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524272963
【氏名又は名称】マシーネンファブリーク・ケッペルン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヴェルディーゲ・エッガート
(72)【発明者】
【氏名】クルーゼ・ラルフ
【テーマコード(参考)】
4K012
【Fターム(参考)】
4K012DA05
4K012DA10
(57)【要約】
本発明は、ブリケットストリング(5)を分断する装置(6)であって、ブリケットストリング(5)は、多数の、(長手方向(L)で)相前後して配置され、連結しているブリケット行(5a)を有し、ブリケット行(5a)は、それぞれ相並んで複数の、材料ウェブ(8a,8b)を介して結合されるブリケット(7)を有し、特に直接還元鉄からなるブリケット(7)の製造用であり、相並んで配置される複数の打撃子(13)を有する可動の打撃子装置(9)と、ブリケットストリング(5)を打撃子装置(9)に搬送方向(T)で供給可能な供給装置(10)と、を備え、打撃子装置(9)は、打撃子(13)でもって、一方では、1つのブリケット行(5a)がブリケットストリング(5)から打ち落とされ、他方では、このブリケット行(5a)が個々のブリケット(7)に分割されるように、供給装置(10)により供給されるブリケットストリング(5)を打撃する、装置に関する。装置は、打撃子装置(9)及び供給装置(10)が、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つのブリケット(7)を有する複数のブリケット行(5a)を有するブリケットストリング(5)の分断用に形成されており、かつ打撃子装置(9)が、相並んで配置される少なくとも3つの打撃子(13)を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリケットストリング(5)を分断する装置(6)であって、前記ブリケットストリング(5)は、多数の、(長手方向(L)で)相前後して配置され、連結しているブリケット行(5a)を有し、前記ブリケット行(5a)は、それぞれ相並んで複数の、材料ウェブ(8a,8b)を介して結合されるブリケット(7)を有し、特に直接還元鉄からなるブリケット(7)の製造用であり、
相並んで配置される複数の打撃子(13)を有する可動の打撃子装置(9)と、
前記ブリケットストリング(5)を前記打撃子装置(9)に搬送方向(T)で供給可能な供給装置(10)と、
を備え、
前記打撃子装置(9)は、前記打撃子(13)でもって、一方では、1つのブリケット行(5a)が前記ブリケットストリング(5)から打ち落とされ、他方では、このブリケット行(5a)が個々の前記ブリケット(7)に分割されるように、前記供給装置(10)により供給される前記ブリケットストリング(5)を打撃する、
装置(6)において、
前記打撃子装置(9)及び前記供給装置(10)は、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つのブリケット(7)を有する複数のブリケット行(5a)を有するブリケットストリング(5)の分断用に形成されており、かつ
前記打撃子装置(9)は、相並んで配置される少なくとも3つの打撃子(13)を有する、
ことを特徴とする、ブリケットストリングを分断する装置。
【請求項2】
前記供給装置(10)は、端部側に、前記ブリケット行(5a)の打ち落とし用の打撃エッジ(14)を有し、かつ前記打撃エッジ(14)に、又は前記打撃エッジ(14)の下方に、個々のブリケット(7)への前記ブリケット行(5a)の分断用のノーズ(16)を有し、前記供給装置(10)は、相並んで離間して配置される少なくとも2つのノーズ(16)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記打撃子装置(9)は、回転駆動される打撃子ホイール(11)として形成されているか、又はこのような打撃子ホイール(11)を有し、前記打撃子ホイール(11)は、周にわたって分配されて、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つの打撃子(13)を有する多数の打撃子行(12)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記打撃子装置(9)に設けられた前記打撃子(13)の個数(n)が、前記供給装置(10)に設けられた前記ノーズ(16)の個数(m)より1だけ大きい、すなわちn=m+1、ここでn≧3であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記打撃子装置(9)に設けられた前記打撃子(13)の個数(n)が、前記ブリケット行(5a)内の前記ブリケット(7)の個数(b)に等しい、すなわちn=b、ここでb≧3、例えばb≧4であり、
かつ/又は
前記供給装置(10)に設けられた前記ノーズ(16)の個数(m)が、前記ブリケット行(5a)内の前記ブリケット(7)の個数(b)より1だけ小さい、すなわちm=b-1、ここでb≧3、例えばb≧4である、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
1つのブリケット行(5a)の隣接する2つのブリケット(7)間の材料ウェブ(8b)に、1つずつノーズ(16)が割り当てられていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブリケット行(5a)内の前記ブリケット(7)の個数(b)が偶数の場合、前記打撃子(13)の個数(n)に関して、n=1/2b+1が成立し、かつ/又は前記ノーズ(16)の個数(m)に関して、m=1/2bが成立することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
1つのブリケット行の両方の外側の前記ブリケットに、それぞれ1つの打撃子(13)が割り当てられており、外側の前記ブリケット間に配置され、隣接するそれぞれ2つのブリケットからなるブリケットペアに、それぞれ1つの共通の打撃子(13)が割り当てられていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
1つのブリケット行のそれぞれ外側の前記材料ウェブ(8b)に、それぞれ1つのノーズ(13)が割り当てられており、1つのブリケット行の、外側の前記材料ウェブ間に配置される内側のウェブのうち、1つおきのウェブにのみ、1つずつノーズ(13)が割り当てられていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
外側の打撃子(13)間に配置される少なくとも1つの内側の打撃子(13)が、隣接する2つのノーズ(16)間を通過可能であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記供給装置(10)の、相並んで配置される複数の前記ノーズ(16)のうち、外側の前記ノーズ(16)は、それぞれの外側の前記ノーズ(16)と、その隣に配置される内側の前記ノーズ(16)との間に、作業方向(R)で拡幅する間隔(X)が形成されているように、形成され、かつ/又は配向されており、前記間隔(X)を介して、分割された前記ブリケット(7)は、排出されることを特徴とする、請求項2から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
外側の前記ノーズ(16)は、それぞれ斜めに配向されており、かつ/又は前記作業方向(R)でテーパする厚さを有することを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
相並んで配置される複数の前記ノーズ(16)のうち、1つ又は複数のノーズ(16)が、1つ又は複数の他のノーズ(16)に対して作業方向(R)でオフセットされていることを特徴とする、請求項2から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
内側の、例えば中央のノーズ(16)が、その隣に配置される外側の前記ノーズに対して作業方向(R)で後置又は前置されていることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
それぞれ相並んで配置される3つのブリケット(7)を有する複数のブリケット行(5a)を有するブリケットストリング(5)の分断用に、前記打撃子装置(9)は、3つの打撃子(13)を有し、前記供給装置(10)は、2つのノーズ(16)を有し、打撃子(13)は、1つのブリケット行(5a)のブリケット(7)に1つずつ割り当てられており、ノーズ(16)は、隣接する2つのブリケット(7)間に配置される材料ウェブ(8b)に1つずつ割り当てられていることを特徴とする、請求項5又は6又は10ないし14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
それぞれ相並んで配置される4つのブリケット(7)を有する複数のブリケット行(5a)を有するブリケットストリング(5)の分断用に、前記打撃子装置(9)は、4つの打撃子(13)を有し、前記供給装置(10)は、3つのノーズ(16)を有し、打撃子(13)は、1つのブリケット行(5a)のブリケット(7)に1つずつ割り当てられており、ノーズ(16)は、隣接する2つのブリケット(7)間に配置される材料ウェブ(8b)に1つずつ割り当てられていることを特徴とする、請求項5又は6又は10ないし14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
それぞれ相並んで配置される4つのブリケット(7)を有する複数のブリケット行(5a)を有するブリケットストリング(5)の分断用に、前記打撃子装置(9)は、3つの打撃子(13)を有し、前記供給装置(10)は、2つのノーズ(16)を有し、両方の外側の前記打撃子(13)は、前記ブリケット行(5a)の両方の外側の前記ブリケット(7)を打撃し、真ん中の前記打撃子(13)は、両方の内側の前記ブリケット(7)をまとめて打撃することを特徴とする、請求項6から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
ブリケットを製造する設備であって、
少なくとも1つのブリケットストリング(5)を連続的に製造可能な少なくとも1つのブリケッティングプレス(1)、特にホットブリケッティングプレスと、
前記ブリケッティングプレス(1)に後置される少なくとも1つの、請求項1から17のいずれか一項に記載の、前記ブリケッティングプレス(1)から進出した前記ブリケットストリング(5)を分断する装置(6)と、
を備える、ブリケットを製造する設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリケットストリングを分断する装置であって、ブリケットストリングは、多数の、(搬送方向で)相前後して配置され、連結しているブリケット行を有し、ブリケット行は、それぞれ相並んで複数の、材料ウェブを介して結合されるブリケットを有し、特に直接還元鉄からなるブリケットの製造用であり、
相並んで配置される複数の打撃子を有する可動の打撃子装置と、ブリケットストリングを打撃子装置に搬送方向で供給可能な供給装置と、を備え、
打撃子装置は、打撃子でもって、一方では、1つのブリケット行が、あるいは相前後して個々のブリケット行が、ブリケットストリングから打ち落とされ、他方では、このブリケット行が、あるいはこれらのブリケット行が(それぞれ)、個々のブリケットに分割されるように、供給装置により供給されるブリケットストリングを打撃する、装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、(例えば直接還元鉄の)ブリケットを製造する設備、特にホットブリケッティング用の設備であって、ブリケットストリングを連続的に製造可能なブリケッティングプレスと、ブリケッティングプレスに後置される、ブリケッティングプレスから進出したブリケットストリングを分断する装置と、を備える設備に関する。ブリケットストリングを分断するこの装置は、ブリケットセパレータ又はブリケットストリング分断機とも称呼される。
【0003】
好ましくは、装置あるいは設備は、直接還元鉄あるいはDRI(「direct reduced iron」)からなるブリケットの製造に関するものであり、直接還元鉄あるいはDRIは、海綿鉄又はスポンジアイアンとも称呼される。ブリケットは、ホットブリケッティングされた鉄あるいはホットブリケットアイアン(hot briquetted iron:HBI)とも称呼される。原材料は、鉄鉱の直接還元により製造され、この原材料から、設備内でブリケットが製造され、具体的には、好ましくは、ホットブリケッティング用の1つ又は複数のブリケッティングプレス内で製造される。このようなブリケッティングプレスは、例えばローラプレスとして形成されており、ローラプレスは、例えば逆向きに回転する2つのプレスローラを有し、プレスローラの周面あるいはローラ表面は、成形ポケットあるいは成形凹部を具備しており、その結果、材料が、ブリケッティングローラ間に形成されるローラニップを通して通走する経過の中で、ブリケットストリングが生じ、ブリケットストリングは、相並んで、かつ搬送方向で、したがってストリング長手方向で延在する複数のブリケット列と、搬送方向で相前後して配置される多数のブリケット行とを有し、列及び行内に配置されるブリケットは、材料ウェブにより結合されている。ブリケットストリング内で材料ウェブを介して連結しているブリケットを、プレス工程後、個別化すべく、ブリケッティングプレスの下流には、「個別化装置」としての、ブリケットストリングを分断する装置が接続されている。セパレータとも称呼されるこの個別化装置は、本発明の範囲内で中心的位置を占めている。
【0004】
ブリケットストリングを分断する装置は、打撃子を有する少なくとも1つの打撃子装置を備え、打撃子装置は、例えば、回転駆動される打撃子ホイールとして形成されているか、又はこのような打撃子ホイールを有し、打撃子ホイールは、周にわたって分配されて、それぞれ相並んで配置される複数の打撃子を有する多数の打撃子行を有している。さらに装置は、供給装置を備え、供給装置により、ブリケットストリングは、打撃子装置の領域内に供給され、このような供給装置は、例えば供給トラフ若しくは供給シュートとして形成されているか、又はこのような供給トラフ若しくは供給シュートを有し、その結果、ブリケットストリングは、重力によりブリケッティングプレスから打撃子装置の領域内に到達する。供給装置(例えばシュート)は、端部側に、ブリケットの搬送方向に対して横方向で延びる打撃エッジを有し、その結果、打撃子を有する打撃子装置の運動の経過の中で、1つの端部側のブリケット行(すなわち、1つのブリケットバー)が、ブリケットストリングから打ち落とされる。さらに供給装置の領域には、又は供給装置の領域内には、少なくとも1つのノーズが配置されており、ノーズは、例えば打撃エッジに、又は打撃エッジの下方に配置されており、ノーズにより、各ブリケット行の個々のブリケットは、切り分けられる。
【0005】
供給装置は、その他の点では、付加的な押さえを具備していてもよく、押さえは、ブリケッティングプレスから供給されるブリケットストリングを供給トラフあるいは供給シュートに押し付け、而してストリングの逸送又は重送を防止する。
【0006】
実際の使用において、(ホットブリケッティング用の)ブリケッティングプレスでは、通例、相並んで配置される2つの成形ポケットを有する表面ツールが使用され、その結果、相並んで配置される2つのブリケット列を有するブリケットストリングが生成され、すなわち、個々のブリケット行は、それぞれ2つの個別ブリケットを有し、個別ブリケットは、材料ウェブを介して互いに結合されている。このようなブリケットストリングの分断は、説明したような形態のセパレータにより実施され、実際の使用において、打撃エッジの下方に、ブリケット行の両ブリケットの分断用の単独のノーズが設けられている。
【0007】
全体的に、このような設備及びこのようなブリケットストリングを分断する装置のコンポーネントは、高い負荷に曝されている。ホットブリケッティングの場合、ホットブリケッティングは、例えば250℃~750℃の温度で実施されるので、コンポーネントは、高い温度に耐えなければならない。
【0008】
冒頭で説明した形態の、ブリケットストリングを分断する装置を備える、ブリケットを製造する設備は、例えば特許文献1及び特許文献2において公知である。ブリケットストリング分断機の打撃子装置は、打撃子ホイールとして形成されており、打撃子ホイールは、説明されている通り、シュート又はガイドレールとして形成される供給装置と相互作用する。プレスから供給されるブリケットストリングは、相並んで位置する2つのブリケット列からなり、すなわち、打ち落とされる各個々のブリケット行は、相並んで位置する2つのブリケットからなっている。ブリケットストリングから打ち落とされたこのようなブリケット行を個別化すべく、供給装置には、単独のノーズが設けられており、ノーズは、ブリケットストリングの真ん中のウェブを離断する。
【0009】
同等の設備は、特許文献3に記載され、ローラプレスは、逆向きに相互作用する2つのブリケッティングローラを有し、ブリケッティングローラは、周に、ブリケットに相当する中空形状を有し、2列のブリケットストリングを生成し、ブリケットストリングのブリケットは、ウェブにより互いに結合されており、ブレーカにより個別化され、ストリング長手方向に対して横方向で延びるウェブも、ストリング長手方向で延びるウェブも、打ち砕かれる。ブレーカは、他方、ロータを有し、ロータは、周に装着された多数の打撃プレートを有し、打撃プレートは、半径方向で延び、真ん中に空所を有している。ブレーカロータの回転時、打撃プレートは、空所のところで、ブレーカノーズを通過する。ブレーカノーズは、シュート上を滑降するブリケットストリングを、シュートの前側のエッジから離れた後もまだ、真ん中で下方から支持している。その結果、ブリケットストリングは、打撃プレートが個々のブリケットに当たるとき、ストリング長手方向に対して横方向で延びる破断エッジでもって、シュートの前側のエッジ上に載置され、かつ真ん中でストリング長手方向で延びる破断エッジでもって、ブレーカノーズ上に載置されている。ブリケットストリングは、これらの破断エッジにおいて破断し、こうして個別ブリケットが生成される。
【0010】
同じことは、特許文献4において公知の設備にも当てはまり、この公知の設備において、ブリケットストリングは、同じく相並んで配置される2つの列を有し、その結果、各個々のブリケット行は、2つのブリケットからなり、ブリケットは、単独のブレーカノーズを介して分割される。
【0011】
ブリケットストリングが、個別化装置により個別ブリケットに分割される、ブリケッティング用、特にホットブリケッティング用の設備は、さらに、様々な実施の形態で、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9並びに特許文献10において公知である。
【0012】
特許文献11は、その他の点では、互いに相互作用する2つのローラを備える、プレート形のHBIストリングの粒を切り分ける装置を記載している。
【0013】
ブリケッティング用のブレーカあるいは破断装置の別の実施の形態は、特許文献12及び特許文献13に記載される。
【0014】
ブリケッティング、特にホットブリケッティング用の公知の設備は、言及したように、通例、ブリケッティングプレスを具備しており、ブリケッティングプレスは、相並んで配置される2つのブリケット列を有するブリケットストリングあるいは材料ストリングを生成し、すなわち、ローラプレスの周にわたって、成形ポケットは、相並んで配置される2つの周列内に配置されており、すなわち、相並んで、ローラ周上にそれぞれ2つの成形ポケットが布置されている。この種の設備を用いたブリケットの製造は、実際の使用において、特に実証されている。それというのも、特に、申し分のない個別化が、例えば打撃子ホイールが供給トラフの打撃エッジ及び単独のノーズと相互作用する冒頭で説明した分断装置により成し遂げられるからである。
【0015】
実際の使用において、しかし、生産容量を向上させ、したがって、ブリケッティング、特にホットブリケッティングを経済的な視点で最適化させたい、というニーズが存在する。これが本発明の端緒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第95/09080号
【特許文献2】国際公開第95/09079号
【特許文献3】独国特許出願公開第3507166号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2514703号明細書
【特許文献5】欧州特許第3183371号明細書
【特許文献6】米国特許第6352573号明細書
【特許文献7】米国特許第5731272号明細書
【特許文献8】米国特許第6340378号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第3760749号明細書
【特許文献10】国際公開第2008/078936号
【特許文献11】欧州特許第2930452号明細書
【特許文献12】米国特許第3300815号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第2200255号明細書
【0017】
本発明の根底にある課題は、構造が単純で、障害のない機能形式でありつつ、ブリケットの特に経済的な生産を可能にする、冒頭で説明した形態の、ブリケットストリングを分断する装置、したがってブリケットセパレータを提供することである。
【0018】
上記課題を解決すべく、本発明は、前提部に記載の、冒頭で説明した形態の装置において、打撃子装置及び供給装置が、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つ(例えば少なくとも4つ)のブリケットを有する複数のブリケット行を有するブリケットストリングの分断用に形成されており、かつ打撃子装置が、相並んで配置される少なくとも3つの打撃子を有することを教示する。
【0019】
供給装置は、端部側に、好ましくは、ブリケット行の打ち落とし用の打撃エッジを有し、かつ打撃エッジの下方に、個々のブリケットへのブリケット行の分断用のノーズを有し、供給装置は、相並んで離間して配置される少なくとも2つのノーズを有し、ノーズは、好ましくは、打撃エッジの領域内に、又は打撃エッジの下方に配置されている。
【0020】
本発明は、その際、ブリケッティングプレスにより、相並んで配置される2つのブリケット列だけでなく、2つより多くのブリケット列、すなわち、少なくとも3つ、好ましくは4つのブリケット列、又は少なくとも4つのブリケット列を有するブリケットストリングが生成されれば、ブリケッティング用の設備の経済性が高められるという認識から出発する。設備の容量は、つまり、単純に、従来慣用の形式で例えば2つのブリケット列を有するブリケットストリングを生成するブリケッティングプレスが、より多く使用されることによって高められるのではなく、より高い容量、すなわち、少なくとも3つのブリケット列、好ましくは、少なくとも4つのブリケット列を有するブリケッティングプレスが使用される。この考察から出発し、ブリケットセパレータ、すなわち、ブリケットストリングを分断する装置は、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つのブリケットを有する複数のブリケット行を有するこのブリケットストリングの申し分のない分断が実施されるように構成される。このために、打撃子装置も、供給装置も、最適化されている。それというのも、好ましい実施の形態において、打撃子装置が、相並んで配置される少なくとも3つの打撃子を有し、供給装置が、例えば打撃エッジに、又は打撃エッジの下方に、本発明により、少なくとも、ブリケット間に設けられた2つのウェブを有する3つのブリケット、例えば、少なくとも、ブリケット間に設けられた3つの(縦)ウェブを有する4つのブリケットから形成されている個々のブリケット行の分断用に、2つ以上のノーズを有しているからである。
【0021】
打撃子装置は、好ましくは(基本的に公知の形式で)、回転駆動される打撃子ホイールとして形成されているか、あるいはこのような回転駆動される打撃子ホイールを有している。本発明により、打撃子ホイールは、周にわたって分配されて、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つの打撃子を有する多数の打撃子行を有している。代替的には、しかし、回転駆動される打撃子ホイールの代わりに、例えば直線可動の打撃子要素が設けられている打撃子装置が使用されてもよく、直線可動の打撃子要素は、例えば、それぞれ相並んで配置される少なくとも3つの打撃子を有する個々の打撃子行を有し、このような直線作業する打撃子要素は、例えば周期的に直線方向で往復動、例えば昇降される。しかし、言及したような、回転駆動される打撃子ホイールを有する打撃子装置を使用することが好ましい。
【0022】
本発明の範囲内において、打撃子装置に設けられた打撃子の増加された個数と、供給装置の打撃エッジの下方に設けられたノーズ、したがって突出部の増加された個数とが、特に重要である。このために本発明は、好ましい発展形において、打撃子装置に設けられた(1つの打撃子行内の)打撃子の個数nが、供給装置に設けられたノーズの個数mより1だけ大きい、すなわちn=m+1、ここで具体的にはn≧3が成立することを提案する。
【0023】
代替的又は補足的に、打撃子装置に設けられた打撃子の個数nが、ブリケット行内のブリケットの個数b以下である、すなわちn=b又はn<bであり、ここで具体的にはb≧3、例えばb≧4であるようになっている。
【0024】
代替的又は補足的に、供給装置に設けられたノーズの個数mが、ブリケット行内のブリケットの個数bより小さい、すなわちm<bであり、ここで具体的にはb≧3、例えばb≧4であるようになっている。
【0025】
本発明の一変化態様Aにおいて、打撃子の個数nは、ブリケットの個数bに等しく、ノーズの個数mは、ブリケットの個数bより1だけ小さく、すなわち変化態様Aに関しては、n=b及びm=b-1が成立し、それにしたがいm=n-1が成立する。本変化態様Aでは、ブリケットの個数bは、偶数であっても、奇数であってもよい。常に、本変化態様Aでは、1つのブリケット行のブリケットに、1つずつ打撃子が割り当てられており、すなわち各ブリケットを1つの固有の打撃子が打撃する。さらに、1つのブリケット行の隣接する2つのブリケット間の材料ウェブに、1つずつノーズが割り当てられており、すなわち、ブリケット行の各材料ウェブは、切断時、この材料ウェブに割り当てられた1つのノーズに(直接的に)当たる。
【0026】
本発明の一変化態様Bにおいて、打撃子の個数nは、ブリケット行内のブリケットの個数より小さく、ノーズの個数mは、ブリケット行内のブリケットの個数bよりも小さく、打撃子の個数nよりも小さい。本変化態様Bは、好ましくは、ブリケットの個数が偶数であるブリケット行を有する、すなわちbが偶数であるブリケットストリングの場合にのみ、使用される。好ましくは、この場合、n=1/2b+1及びm=1/2bが成立する。本変化態様Bの場合、したがって、1つのブリケット行のブリケットに、1つずつ固有の打撃子が割り当てられているのではなく、好ましくは、各ブリケット行の両方の外側のブリケットにのみ、1つずつ固有の打撃子が割り当てられている。両方の外側のブリケット間には、それぞれ1つ又は複数のブリケットペアが配置されており、これらのブリケットペアには、1つずつ共通の打撃子が割り当てられている。本変化態様Bの場合、1つのブリケット行の材料ウェブにも、1つずつ固有のノーズが割り当てられているのではなく、1つのブリケット行の両方の外側の材料ウェブにのみ、それぞれ1つのノーズが割り当てられ、さらに内側の1つおきのウェブに、それぞれ1つのノーズが割り当てられ、すなわち、外側の材料ウェブ間に配置される内側の材料ウェブのうち、1つおきのウェブにのみ、1つずつノーズが割り当てられている。本変化態様Bの場合、したがって、上で説明した変化態様Aの場合よりも、少ない打撃子と、少ないノーズとが実現されている。変化態様Bのこの構造により、特に、ノーズ間に比較的多くのスペースが設けられており、この多くのスペースを介して、内側のブリケットが、ブリケットの切り分け後に排出されることができ、その結果、障害が、特に高信頼性に回避されることが保証されている。
【0027】
常に、ブリケットの申し分のない切り分けが保証されているだけでなく、切り分けられたブリケットの申し分のないかつ障害のない排出も保証されていると、有利である。このために、本発明による実施の形態では、特に好ましくは、外側の打撃子間に配置される少なくとも1つの内側の打撃子が、(直接的に)隣接する2つのノーズ間を通過可能であり、その結果、隣接するそれぞれ2つのノーズが、1つの打撃子により通走されるようになっている。而して、ブリケットの申し分のない搬出が保証され、具体的には、特に、1つのブリケット行内で外側のブリケット間に配置されている内側のブリケットの申し分のない搬出が保証される。1つ又は複数の内側のブリケットは、切り分け後、したがって、(受動的に)ノーズ間の領域を通して落下するだけでなく、少なくとも1つの打撃子により中間室を通して連行あるいは案内される。この好ましい実施の形態は、変化態様Aとの関連でも、変化態様Bとの関連でも実現される。
【0028】
変化態様Aの第1の実施の形態は、例えば、3つのブリケット列を有する、すなわち、それぞれ相並んで配置される3つのブリケットを有する複数のブリケット行を有する、ブリケットストリングの分断用に設定されている。この場合、打撃子装置は、3つの打撃子を有し、供給装置は、(これに対してオフセットされて配置される)2つのノーズを有し、打撃子は、1つのブリケット行のブリケットに1つずつ割り当てられており、ノーズは、隣接する2つのブリケット間に配置される材料ウェブに1つずつ割り当てられている。変化態様Aのこの第1の実施の形態の場合、個々の打撃子は、したがって直接的に個々のブリケットを打撃し、ノーズは、直接的に、その間に配置されるブリケットウェブに対して作用し、その結果、申し分のない個別化が実施される。
【0029】
本発明のこの変化態様Aの第2の実施の形態は、例えば、4つのブリケット列を有する、すなわち、それぞれ相並んで配置される4つのブリケットを有する複数のブリケット行を有する、ブリケットストリングの分断用に設定されている。打撃子装置は、4つの打撃子を有し、供給装置は、(これに対してオフセットされて配置される)3つのノーズを有し、打撃子は、1つのブリケット行のブリケットに1つずつ割り当てられており、ノーズは、隣接する2つのブリケット間に配置される材料ウェブに1つずつ割り当てられている。変化態様Aのこの第2の実施の形態の場合も、個々の打撃子は、第1の実施の形態の場合と同様、したがって直接的に個々のブリケットを打撃し、ノーズは、直接的に、その間に配置されるブリケットウェブに対して作用し、その結果、申し分のない個別化が実施される。
【0030】
変化態様Aは、その他の点では、4つより多くのブリケット列を有し、個々のブリケット行が、したがって相並んで配置される4つより多くのブリケットを有するブリケットストリングの場合も実現され、このとき、1つのブリケット行内のブリケットの個数は、偶数であっても、奇数であってもよい。
【0031】
これと区別すべきなのは、変化態様Bの実施の形態であって、この場合、打撃子の個数は、ブリケットの個数より少ない。この変化態様Bの一実施の形態は、例えば、4つのブリケット列を有する、すなわち、それぞれ相並んで配置される4つのブリケットを有する複数のブリケット行を有する、ブリケットストリングの分断用に実現されている。打撃子装置は、打撃子を3つ(だけ)有し、供給装置は、ノーズを2つ(だけ)有している。この場合、したがって、1つのブリケット行の個々のブリケットに、1つずつ別々の打撃子が割り当てられているのではなく、そして材料ウェブに、1つずつ固有のノーズが割り当てられているのではなく、両方の外側の打撃子だけが、両方の外側のブリケットに割り当てられている一方、真ん中の打撃子は、ブリケット行の内側のペアをまとめて打撃する。この場合、しかも、両方の外側の材料ウェブにのみ、それぞれ1つのノーズが割り当てられている。中央のあるいは真ん中の材料ウェブには、固有のノーズは割り当てられていない。それにもかかわらず申し分のない分断が、本実施の形態の場合も成し遂げられ、具体的には、打撃子及びノーズの特別な配置及び個数の相互作用により成し遂げられる。これについては、図面の説明も参照されたい。特に有利なのは、本変化態様Bの場合、ノーズ間に極めて多くのスペースが設けられており、この多くのスペースを介して、(真ん中の)ブリケットが、ブリケットの切り分け後に排出され得ることであり、その結果、障害は、特に高信頼性に回避される。
【0032】
このことは、1つのブリケット行内に4つのブリケットを有する変化態様Bのこの実施の形態ためだけではなく、1つのブリケット行内に6つ、8つ、又はそれ以上のブリケットを有し、ブリケットの個数は、好ましくは偶数である実施の形態のためにも当てはまる。これについては、図面の説明も参照されたい。
【0033】
設備の申し分のないかつ経済的な運転にとって、高速かつ機能信頼性の高い分断に加え、個別化されたブリケットの、打撃子装置の領域からの申し分のない排出も、特に重要である。特に打撃子装置の領域内における引っ掛かり又は詰まりによる障害は、回避されることが望ましい。このために、好ましい実施の形態において、供給装置の、相並んで配置される複数のノーズのうち、両方の外側のノーズが、それぞれの外側のノーズと、その隣に配置される内側のノーズとの間に、作業方向で拡幅する間隔が形成されているように、形成され、かつ/又は配向されており、この間隔を介して、分割されたあるいは個別化されたブリケットが、排出されることを提案する。このことは、例えば、外側のノーズが、それぞれ斜めに配向されており、かつ/又は作業方向でテーパする厚さを有することにより実現される。斜めの配向により、かつ/又はテーパする厚さにより、したがって、ノーズ間の、作業方向で拡大する間隔が生起され、その結果、拡幅するスペースが、個々のブリケットの排出のために作業方向で生じる。
【0034】
さらなる利点は、作業方向でのノーズの好ましい配置により達成される。而して、任意選択的に、相並んで配置される複数のノーズのうち、1つ又は複数のノーズが、1つ又は複数の他の(例えば隣接する)ノーズに対して作業方向でオフセットされていることを提案する。而して、内側の、例えば中央のノーズを、その隣に配置される外側のノーズに対して作業方向で下方にオフセットさせて後置、又は作業方向で前方にオフセットさせて前置する可能性が存在している。而して、相並んで配置される打撃子が、ブリケットストリングに衝突する際、まず、前置された両方の外側のノーズを介して、両方の外側のブリケットが切り離され、そして、作業方向で後置されるあるいはセットバックされるノーズにより、その直後に初めて、両方の真ん中のブリケットが切り分けられるように、ノーズが配置されているようにしてもよい。これによっても、ブリケットによる引っ掛かり又は詰まりによる機能障害は、回避される。本実施の形態では、したがって、中央のあるいは真ん中のノーズは、予め決められた分だけ両方の外側のノーズより下に配置されている。代替的な一実施の形態において、中央のノーズが前置されてもよく、その結果、相並んで配置される打撃子が衝突する際、まず、中央のウェブが分断され、その直後に初めて、両方の外側のウェブが分断される。
【0035】
真ん中のノーズが省略される一実施の形態では、両側のみの、設けられた(外側の)ノーズは、好ましくは、同じ高さに配置されている。
【0036】
ノーズの特別な配置、並びに特に斜めの配置及び/又はオフセットされた配置は、特に変化態様Aの、ウェブに1つずつノーズが割り当てられており、その結果、すべてのノーズ間の間隔が比較的僅かである実施の形態の場合、特に重要である。これと区別すべきなのは、変化態様Bの、ウェブに1つずつ固有のノーズが割り当てられていないため、いずれにしてもノーズ間に比較的大きな間隔が生じる実施の形態である。この変化態様Bの場合も、しかし、ノーズあるいはガイド面の斜めの配置が合目的的なこともある。
【0037】
1つ又は複数のノーズの斜めのかつ/又はオフセットされた配置に対して代替的又は補足的に、ブリケットの搬出は、運転中、隣接するそれぞれ2つのノーズが1つの打撃子により通走されることにより保証又は改善され得る。装置は、したがって、外側の打撃子間に配置される少なくとも1つの内側の打撃子が、(直接的に)隣接するノーズ間を、運転中、通過されるように構成されている。
【0038】
本発明は、その他の点では、説明した分断装置あるいは説明したセパレータだけでなく、さらには、このようなセパレータを具備している、ブリケットを製造する設備にも関する。設備は、ブリケット行内にそれぞれ少なくとも3つ、好ましくは、それぞれ4つのブリケットを相並んで有する説明した形態の少なくとも1つのブリケットストリングを連続的に製造する、少なくとも1つのブリケッティングプレス、特にホットブリケッティングプレスを備えている。さらに設備は、ブリケットプレスに後置され、例えばブリケットプレスの下方に配置される、説明した形態の少なくとも1つの分断装置を備え、分断装置は、ブリケッティングプレスから進出したブリケットストリングの分断に用いられる。本発明にとって本質的な分断装置は、したがって、ブリケッティング設備の構成部分としても保護され、したがって、割り当てられたブリケッティングプレスとの組み合わせでも保護される。
【0039】
好ましくは、本発明は、高温の材料のブリケッティング、したがってホットブリケッティングに関する。特に好ましくは、本発明は、直接還元鉄のホットブリケッティング、したがってHBI(hot briquetted iron:ホットブリケットアイアン)の製造に関する。本発明は、しかし、別の材料からのブリケッティングあるいは別の材料からなるブリケットストリングの分断のためにも使用される。
【0040】
以下に本発明について図面を基に詳しく説明するが、図面は、実施例を示しているにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ブリケットを製造する設備を簡略化して示す側面図である。
【
図2】
図1に示す設備から、ブリケットを分断する装置を抜き出した図である。
【
図3】
図2に示す対象の第1の実施の形態の、打撃子装置の周を示す側面図である。
【
図10a】本発明の別の実施の形態を示す図である。
【
図10b】本発明の別の実施の形態を示す図である。
【0042】
図1には、ブリケッティング用の設備、したがって、ブリケットを製造する設備を示してあり、この設備は、特にホットブリケッティング用である。この設備は、ブリケッティングプレス1を備え、ブリケッティングプレス1は、逆向きに回転する2つのブリケッティングローラ2を具備しており、ブリケッティングローラ2の表面には、ブリケットを成形する成形ポケット3が設けられている。ブリケッティングプレスのローラニップ4から、連続的にブリケットストリング5が進出し、ブリケットストリング5は、続いて、ブリケッティングプレス1に後置される分断装置6内で分断され、すなわち、ブリケットストリングは、個別ブリケット7に分割される。
図1に示す設備の構成部分であるこの分断装置6は、
図2ないし9に詳細に示してある。
【0043】
ブリケッティングプレス1は、本発明の範囲内で、ブリケットストリング5の製造用に形成されており、ブリケットストリング5の、長手方向Lで相前後して配置されるブリケット行5aは、相並んで配置される少なくとも3つ、好ましくは、少なくとも4つのブリケット7を有している。このために、ブリケットプレス1のローラ2は、周にわたって成形ポケット3の多数の行3aを具備しており、各行3aは、本実施例では、それぞれ4つの成形ポケット3を有し、その結果、説明する、例えば
図8に可視のブリケットストリング5が生成され、このブリケットストリング5は、長手方向Lで延在する4つのブリケット列5bと、長手方向Lで相前後して配置される多数の(それぞれ相並んで配置される4つのブリケット7を有する)ブリケット行5aとから構成され、相前後して配置されるブリケット行は、横ウェブ8a、すなわち、横方向のウェブにより結合され、そして個々のブリケット行5aの、相並んで配置されるブリケット7は、したがって、ストリング5のブリケット列5bも、縦ウェブ8bにより結合されている。
【0044】
ブリケットストリング5を分断する分断装置あるいは個別化装置6は、本実施例では、一方では、可動の打撃子装置9から、他方では、供給装置10からなり、供給装置10を介して、ブリケットストリング5は、搬送方向Tで打撃子装置9の領域内に供給可能である(例えば
図2参照)。打撃子装置9は、本実施例では、回転駆動される打撃子ホイール11を具備しており、この打撃子ホイール11は、周にわたって分配されて、多数の打撃子行12を有し、打撃子行12は、それぞれ、相並んで配置される複数の打撃子13を有している。この回転する打撃子ホイール11は、打撃子13でもって、一方では、1つのブリケット行5aがブリケットストリング5から打ち落とされ、他方では、このブリケット行5aが個々のブリケット7に分割されるように、供給されるブリケットストリング5を打撃する。本発明により、一方では、打撃子装置9は、かつ/又は他方では、供給装置10は、ブリケットストリング5であって、相並んで配置される4つのブリケット列5bを有し、したがって、相前後して配置され、それぞれ相並んで配置される少なくとも4つのブリケット7を有する複数のブリケット行5aを有するブリケットストリング5の分断用に形成されている。図示の実施例において、打撃子装置9(すなわち、打撃子ホイール11)も、供給装置10も、相並んで配置される4つのブリケット7を有するブリケットストリング5の形状に適合されている。このために、打撃子装置9あるいは打撃子ホイール11は、相並んで配置される少なくとも3つの打撃子13を有している。図示の実施例では、相並んで配置される3つ又は4つの打撃子13が設けられている。この詳細については、さらに立ち入ることとする。供給装置10は、基本的に公知の形式で、端部側に、ブリケット行5aの打ち落とし用の打撃エッジ14を有している。それというのも、供給装置は、材料シュートとして形成されているか、又はこのような材料シュート15を有しているからである。さらに供給装置10は、図示しない押さえを有していてもよく、押さえは、逸送又は重送を回避すべく、ブリケットストリング5をシュート15に押し付ける。材料シュート15の端部は、打撃エッジ14を形成し、打撃エッジ14を介して、ブリケット行5aは、回転する打撃子ホイール11により打ち落とされ、その結果、ブリケット行5aとしての、いわばブリケットバーは、切り離される。本発明により、打撃エッジ14の領域内に、又は打撃エッジ14の下方に、複数のノーズ16あるいは突出部が設けられており、具体的には、切り離されるブリケット行5aに対する打撃子13による打撃の経過の中で、このブリケット行5aが折られ、個々のブリケット7に分けられるように設けられている。ブリケットストリング5の端部に対する打撃子13の作用により、したがって、一方では、打撃エッジ14において、ブリケット行5a間の横ウェブ8aが離断され、他方では、ノーズ16において、1つのブリケット行5aの個々のブリケット7間の縦ウェブ8bが離断される。
【0045】
図示の実施例において、打撃子装置9に設けられた打撃子13の個数nは、対応する供給装置10に設けられたノーズ16の個数mより1だけ大きく、すなわちn=m+1が成立し、ここで具体的に、実施例では、n=3又はn=4である。
【0046】
(
図3ないし6bに示す)本発明の一変化態様Aにおいて、打撃子装置9に設けられた打撃子13の個数nは、個々のブリケット行5a内のブリケット7の個数bに等しく、すなわちn=bが成立する。供給装置10に設けられたノーズ16の個数mは、ブリケット行5a内のブリケット7の個数bより1だけ小さく、すなわちm=b-1である。本実施例において、b=4が(又は代替的には、b≧3又はb≧4も)成立する。変化態様Aに関して、bは、偶数であっても、奇数であってもよい。常に、本変化態様Aでは、1つのブリケット行のブリケットに、1つずつ別々の打撃子13が割り当てられているとともに、1つのブリケット行の隣接する2つのブリケット間の材料ウェブ8bに、1つずつ別々のノーズ16が割り当てられている。
【0047】
それと区別すべきなのは、(
図7ないし10bに示す)変化態様Bであり、変化態様Bの場合、打撃子13の個数も、ノーズ16の個数も、1つのブリケット行内のブリケットの個数bより小さい。この変化態様Bに関しては、n=1/2b+1及びm=1/2bが成立する。このことは、1つのブリケット行の両方の外側のブリケットにのみ、それぞれ1つの固有の打撃子が割り当てられており、そして1つのブリケット行のこれらのブリケット間に、少なくとも1つのブリケットペアが配置されており、ブリケットペアに、それぞれ1つずつ共通の打撃子が割り当てられていることを意味する。これについては、以下に例を基にさらに立ち入ることとする。
【0048】
規模についてのこれらの一般的な考察から出発し、一方では、
図3、4a、4bは、他方では、
図5、6a及び6bは、打撃子装置9が、それぞれ4つの打撃子13を有する多数の行12を有する一方、供給装置10が、相並んで配置される3つのノーズ16を有する、変化態様Aの2つの実施の形態を示している。これらの実施の形態では、1つの打撃子行12の打撃子13が、1つのブリケット行5aのブリケット7に1つずつ割り当てられている。個々のノーズ16は、材料ウェブに1つずつ、すなわち、1つのブリケット行5a内の縦ウェブ8bに1つずつ割り当てられており、すなわち、1つのブリケット行5a内の隣接する2つのブリケット7間の縦ウェブ8bに1つずつ割り当てられている。而して、これらの図中には、打撃子ホイール11の回転の経過の中で、相並んで配置される4つの打撃子13を有する1つの打撃子行12が、4つのブリケット7を有する1つのブリケット行5aを打撃し、具体的には、打撃エッジ14の下方に配置される3つのノーズ16に対して打撃し、その結果、このブリケット行5aが個別化されることが看取可能である。同じことは、
図5、6a及び6bに示す実施の形態にも当てはまる。
【0049】
一方では、
図3(あるいは4a、4b)に示す実施の形態と、他方では、
図5(あるいは
図6a及び6b)に示す実施の形態とは、作業方向Rに沿った3つのノーズ16の配置の点で相違している。これについては、これらの図を見比べて参照されたい。
図3(あるいは4a、4b)に示す実施の形態では、両方の外側のノーズ16が、中央の、内側のノーズ16に対して、作業方向Rで前置されており、すなわち、内側のノーズ16が、外側のノーズ16に対して作業方向で下げられており、したがって、予め決められた分だけ、外側のノーズより下に配置されていることが看取可能である。このことは、
図4a及び4bを見比べることでも認められ、
図4aには、外側のノーズの1つが看取可能であり、
図4bには、外側のノーズに対して下げられた中央のノーズが看取可能である。
【0050】
これに対して、
図5(あるいは6a、6b)に示す(同じく変化態様Aによる)実施の形態では、外側のノーズ16が、内側のノーズ16に対して下げられており、すなわち、真ん中のノーズは、外側のノーズに対して前置されており、したがって、より高位に配置されている。このことは、やはり、
図6a及び6bを見比べることから看取可能であり、
図6aは、やはり、外側のノーズの1つを示し、
図6bは、真ん中のノーズを示している。
【0051】
その他の点では、
図3及び5に示す実施の形態では、外側のノーズ16の特別な方向付けが設定されている。それというのも、これらの外側のノーズ16又はその内側のガイド面が、斜めに配向されているからであり、その結果、外側のノーズ16と、内側のノーズ16との間には、作業方向Rで拡幅するそれぞれ1つの間隔Xが生じ、間隔Xを介して、分割されたブリケット7は、排出される。特に、一方では、この傾斜位置と、他方では、オフセットされた配置との組み合わせにより、ノーズ16間には、十分な中間室が提供され、中間室を介して、個別ブリケット7の申し分のない排出が、設備のダウンタイムに至らしめる引っ掛かり又は詰まりが生じることなく、実施され得る。その際、ノーズ16自体が、斜めに傾けられていてもよいし、ノーズ16が、それぞれ(内側の)斜めのガイド面16aを有していてもよい。ガイド面16aは、例えば、ノーズ16自体が、一様でない厚さを有し、かつ作業方向あるいは搬送方向でテーパすることにより実現されてもよい。
【0052】
変化態様Aの、
図3ないし5に示す実施の形態とは、変化態様Bの、
図7ないし10に示す実施の形態は、区別すべきである。変化態様Bの実施の形態は、常に、1つのブリケット行5a内に偶数の個数bのブリケット7を有する実施の形態に関する。常に、打撃子13の個数nも、ノーズ16の個数mも、1つのブリケット行5a内のブリケットの個数bより少ない。
【0053】
図7ないし9には、変化態様Bのこのような一実施の形態を示してあり、本実施の形態では、1つの行5a内の4つのブリケット7のために、打撃子行12内に、打撃子13が3つだけ、そして打撃エッジ14に、又は打撃エッジ14の下方に、ノーズ16が2つだけ、設けられている。而して
図7、8及び9は、打撃子13がブリケット行5aを打撃している間の状態を示している。打撃子行12の両方の外側の打撃子13が、それぞれ、両方の外側のブリケット7に対して作用する一方、中央の打撃子13が、両方の真ん中のブリケット7に対してまとめて作用し、具体的には、真ん中で、ひいては、両ブリケット7間の分離箇所あるいは材料ウェブ8bに対して作用することが看取可能である。このために、真ん中の打撃子13には、任意選択的に突起又はセンタリングカム13cが設けられていてもよく、突起又はセンタリングカム13cは、下方にノーズが割り当てられていないにも関わらず、分離箇所に当たる。これにより、3つの材料ウェブ8bのためにノーズ16が2つしか設けられていないにも関わらず、申し分のない個別化が実施される。本実施の形態でも、外側のノーズ16は、斜めに配向されていてもよいし、説明した通り、斜めのガイド面16aを有していてもよい。
【0054】
変化態様Bは、各ブリケット行5a内に4つのブリケット7を有するブリケットストリング5の場合だけでなく、より高い列数を有するブリケットストリング5、例えば6つ又は8つのブリケット7が1つのブリケット行5a内に配置されているブリケットストリング5の場合にも、実現される。これについては、例示的に
図10a及び10bを参照されたい。
図10a及び10bは、変化態様Bによる本発明に係る構造を、著しく簡略化して、このようなブリケット行5aについて示している。
【0055】
図10aに示すように、1つのブリケット行5aに6つのブリケット7がある場合、打撃子13が4つだけ、そしてノーズ16が3つだけ、設けられている。
図10bに示すように、1つのブリケット行5aに8つのブリケット7がある場合、打撃子13が5つ、ノーズ16が4つだけ設けられている。外側のブリケットと、内側のブリケットペアとには、1つずつ打撃子13が割り当てられている。外側のウェブ8bと、さらに内側の1つおきのウェブ8bとには、1つずつノーズ16が割り当てられている。したがって、この変化態様Bの場合、常にn=1/2b+1及びm=1/2bが成立し、ここで、bは、偶数である。特に重要なのは、変化態様Bの場合、外側のブリケット7が、ノーズ16を介して折り取られ、そして残りの内側のペアが、2つのノーズ16間において、1つの打撃子13でもって、ウェブ8bにおいて分かれるように強く曲がることである。
【0056】
その他の点では、図面に、すべての実施の形態において、外側の打撃子間に配置される少なくとも1つの内側の打撃子が、隣接する2つのノーズ間を通過可能であり、したがって運転中、通過されるように、打撃子13とノーズ16とが実現され、かつ配置されていることが看取可能である。而して、例えば
図3及び5に示す実施の形態では、隣接するそれぞれ2つのノーズ16間の中間室が、それぞれ、両方の外側の打撃子13間に配置されている内側の打撃子13の1つによって、通走されることが保証されている。1つのブリケット行8Bの両方の内側のブリケット7は、したがって、中央のノーズとそれぞれ外側のノーズ16との間の中間室を通して単純に落下するだけでなく、内側の打撃子13の助けを借りてノーズ間を通過される。これにより、ブリケットの搬出は、改善あるいは保証される。同じことは、
図7に示す実施の形態にも、
図10A及び10Bに示す実施の形態にも当てはまる。それというのも、そこでも、隣接するそれぞれ2つのノーズが、1つの打撃子により、すなわち、少なくとも1つの内側の打撃子により通走されるからである。而して、例えば
図10Aには、両方の内側の打撃子13が、隣接するそれぞれ2つのノーズ16間を通過され、その際、それぞれの打撃子に割り当てられた(両)ブリケット7を連行し、中間室を通して案内することが看取可能である。
【0057】
それぞれ相並んで配置される3つのブリケットを有する複数のブリケット行を有するブリケットストリングの場合、上記の本発明による実施の形態に対して代替的に、基本的には、打撃子を2つ、ノーズを2つしか有しない一実施の形態も可能であろう。この場合、両打撃子は、両方の外側のブリケットに割り当てられ、両ノーズは、両材料ウェブに割り当てられるであろう。このような一実施の形態では、1つの打撃子が、隣接する両ノーズを通走して真ん中のブリケットを連行せず、真ん中のブリケットは、隣接する両ノーズ間を通して落下するであろう。打撃子を2つしか有しないこのような一実施の形態と比較して、特に好ましくは、隣接する2つのノーズが1つの打撃子により通走される本発明による実施の形態により、ブリケットの改善された搬出が保証される。
【0058】
その他の点では、変化態様AとBとを互いに組み合わせる可能性が存在し、その結果、変化態様AとBとの混合形態が実現される。このことは、例えば、ブリケットストリングの幅にわたって、あるセクションでは、変化態様Aによる幾何学形状が実現され、別のあるセクションでは、変化態様Bによる幾何学形状が実現されることにより、実現される。このような実施の形態も、本発明に包摂されている。
【0059】
打撃子ホイール11は、基本的に公知の形式でロータ又は打撃子ロータとして形成されており、具体的には、説明した、それぞれ3つ又は4つの打撃子13を有する打撃子行12を有して形成されている。各個々の打撃子13は、打撃子ホイール11に一体成形されるホルダ13aあるいは保持突出部と、保持突出部13aに接続される打撃プレート13bとからなり、打撃プレート13bは、保持突出部13aに着脱自在に、例えばねじにより取り付けられており、その結果、打撃プレート13bは、摩耗部品として交換可能である。これは、従来技術において公知である。本発明の範囲内において、ノーズ16も、摩耗部品として交換可能であってもよい。
【0060】
その他の点で、本発明の範囲内にあるのは、1つの打撃子行12内に配置される複数の打撃子13が、したがって、その打撃プレート13bも、互いに異なる幅を有していてもよいことである。而して、打撃子13が3つだけの場合、真ん中の打撃子13が、両方の外側の打撃子13より大きな幅又は小さな幅を有している可能性が存在する。
【国際調査報告】