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<図1>
  • -シンガスへのCO2及びH2の転化 図1
  • -シンガスへのCO2及びH2の転化 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】シンガスへのCO2及びH2の転化
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/40 20170101AFI20250117BHJP
   C07C 29/151 20060101ALI20250117BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C01B32/40
C07C29/151
C07C31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543367
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2023051560
(87)【国際公開番号】W WO2023139258
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22152991.0
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】モーデンスン・ピーダ・ムルゴー
【テーマコード(参考)】
4G146
4H006
【Fターム(参考)】
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC02
4G146JC18
4G146JC19
4G146JC22
4G146JC36
4G146JD02
4G146JD06
4H006AA04
4H006AC41
4H006BD84
4H006BE20
4H006BE40
4H006FE11
(57)【要約】
本発明は、
・逆水性ガスシフト(RWGS)セクションであって、
・・前記RWGSセクションへの第一の含水素供給物、及び前記RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物、または
・・前記e-RWGSセクションへの、水素及び二酸化炭素を含む複合供給物、
を含む、逆水性ガスシフト(RWGS)セクション、
・前記RWGSセクションの下流の水除去セクション、
・前記水除去セクションの下流の圧縮機、及び
・前記圧縮機の下流の深冷CO2分離セクション、
を含むプラントであって、
前記RWGSセクションは、前記第一の供給物及び前記第二の供給物、または前記の複合供給物を、第一のシンガス流に転化し、そして前記第一のシンガス流を前記水除去セクションに供給するように配置されており、
前記水除去セクションは、前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するように配置されており、
前記圧縮機は、前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を生成するように配置されており、
前記深冷CO2分離セクションは、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝集物へと分離するように配置されており、
該プラントは、前記CO2リッチ凝集物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするための手段を有し、及び
前記RWGSセクションは、電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションである、
前記プラントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・逆水性ガスシフト(RWGS)セクションであって、
・・前記RWGSセクションへの第一の含水素供給物、及び前記RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物、または
・・前記RWGSセクションへの、水素及び二酸化炭素を含む複合供給物、
を含む、逆水性ガスシフト(RWGS)セクション、
・前記RWGSセクションの下流の水除去セクション、
・前記水除去セクションの下流の圧縮機、及び
・前記圧縮機の下流の深冷CO2分離セクション、
を含むプラントであって、
前記RWGSセクションは、前記第一の供給物及び前記第二の供給物、または前記の複合供給物を、第一のシンガス流に転化し、そして前記第一のシンガス流を前記水除去セクションに供給するように配置されており、
前記水除去セクションは、前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するように配置されており、
前記圧縮機は、前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を生成するように配置されており、
前記深冷CO2分離セクションは、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝集物へと分離するように配置されており、
該プラントは、前記CO2リッチ凝集物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするための手段を有し、及び
前記RWGSセクションは、電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションである、
前記プラント。
【請求項2】
前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部をリサイクルするための前記手段が、前記CO2リッチ凝縮物を圧縮するための圧縮機を含まない、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記水除去セクションが、フラッシュ分離ユニット、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、温度スイング吸着(TSA)ユニット、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項4】
前記深冷CO2分離セクションが、冷却ユニット、その下流のフラッシュ分離ユニット、更にその下流の加熱ユニットを含む、請求項1~3のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項5】
前記CO2枯渇シンガス流中のH2/CO比が、おおよそ0.5と4.5との間である、請求項1~4のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項6】
前記深冷CO2分離セクションの下流に合成段階を更に含み、前記深冷CO2分離セクションが、前記CO2枯渇シンガスを前記合成段階に供給するように配置されている、請求項1~5のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項7】
前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、請求項6に記載のプラント。
【請求項8】
前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、請求項7に記載のプラント。
【請求項9】
前記深冷CO2分離セクションの下流に圧縮機を含まない、請求項6~8のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項10】
前記第一の供給物が少なくとも部分的に、電解ユニット、例えばアルカリ電解、プロトン交換膜及び/または固体酸化物セル電解から提供される、請求項1~9のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項11】
前記プラントが前処理セクションを含み、前記第二の供給物が前処理されて望ましくない成分が除去される、請求項1~10のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項12】
前記e-RWGSセクションが、逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒を含む、請求項1~11のいずれか一つに記載のプラント。
【請求項13】
次のステップ:
・請求項1~12のいずれか一つに定義したプラントを提供するステップ、
・前記第一の含水素供給物を前記RWGSセクションに供給し、及び前記第二の含二酸化炭素供給物を前記RWGSセクションに供給するか、または水素及び二酸化炭素を含む前記複合供給物を前記RWGSセクションに供給するステップ、
・前記水除去セクションにおいて前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するステップ、
・前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を形成するステップ、
・前記深冷CO2分離セクションにおいて、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝縮物へと分離するステップ、及び
- 前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするステップ、
を含む、方法。
【請求項14】
前記CO2リッチ凝縮物が、圧縮に付されることなく、前記RWGSセクションにリサイクルされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記CO2枯渇シンガス流が、前記深冷CO2分離セクションの下流の合成段階において処理に付される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、ここで、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記CO2枯渇シンガス流が圧縮に付されない、請求項15~17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記CO2枯渇シンガス流が、1.8~2.2の範囲の(H-CO)/(CO+CO)のモジュールを有し、ここで、前記合成段階は、メタノール合成セクションを含む、請求項15~18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記合成段階が、原油及び/またはワックス製造のためのフィッシャートロプシュ合成反応器システムを含む、請求項15~18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記CO2枯渇シンガス流が、7.5超の(CO+H)/(CO+HO)のモジュールを有する、請求項15~18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
前記CO2枯渇シンガス流が1.5未満のH/COの比率を有する、請求項15~18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方が、前記RWGSセクションにおいて起こる、請求項13~22のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な流れ、特に二酸化炭素の効果的な使用を含むシンガス製造プラントに関する。シンガス流を製造する方法も提供される。本発明のプラント及び方法は、二酸化炭素の全体的なより良好な利用を提供する。
【背景技術】
【0002】
炭素回収及び利用(CCU)は、産業革命以来の大気中のCOの上昇を考慮して、より大きな意義を得ている。COを利用する一つの方法では、CO及びHを合成ガス(CO及びHを豊富に含むガス)に転化することができ、これは、更に、アルコール(メタノールも含む)、燃料(例えば、フィッシャートロプシュ(F-T)プロセスによって製造されたガソリン、ジェット燃料、ケロシン及び/またはディーゼルなど)、及び/またはオレフィンなどの価値のある製品に転化することができる。
【0003】
既存の技術は、CO及びHを合成ガスに転化するためには、スタンドアローン型の逆水性ガスシフト(RWGS)プロセスに主に焦点をおいている。次いで、合成ガスは、先に記載したような下流のプロセスにおいて価値のある製品に転化することができる。逆水性ガスシフト反応は、以下の反応に従い進行する:
CO(g)+H(g) <-> CO(g)+HO(g) (1)
RWGS反応(1)は吸熱反応であり、目的の転化のためには大きなエネルギー入力を必要とする。このプロセスを経済的に適したものにするためには、二酸化炭素から一酸化炭素への十分な転化を得るために高温度が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Cybulski,A.,and Moulijn,J.A.,Structured catalysts and reactors, Marcel Dekker,Inc,New York,1998,Chapter 3
【非特許文献2】Studies in Surface Science and Catalysis,Vol.152
【非特許文献3】Synthesis gas production for FT synthesis”; Chapter 4,p.258-352,2004
【発明の概要】
【0005】
本発明は、
- 逆水性ガスシフト(RWGS)セクションであって、
- RWGSセクションへの第一の含水素供給物、及びRWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物、または
- RWGSセクションへの、水素及び二酸化炭素を含む複合供給物、
を含む逆水性ガスシフト(RWGS)セクション、
- RWGSセクションの下流の水除去セクション、
- 水除去セクションの下流の圧縮機、及び
- 圧縮機の下流の深冷CO2分離セクション、
を含むプラントであって、
前記RWGSセクションは、前記第一の供給物及び前記第二の供給物、または前記の複合供給物を、第一のシンガス流に転化し、そしてこの第一のシンガス流を水除去セクションに供給するように配置されており、
前記水除去セクションは、第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するように配置されており、
脱水されたシンガスは圧縮機中で圧縮されて、圧縮されたシンガス流を形成し、前記深冷CO2分離セクションは、圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝集物に分離されるように配置されており、
該プラントは、CO2リッチ凝集物の少なくとも一部を、RWGSセクションにまたはRWGSセクションへの供給物にリサイクルするための手段を有し、及び
RWGSセクションは、電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションである、
前記プラントを提供する。
【0006】
逆水性ガスシフト(RWGS)プロセスステップでは、生じた生成物シンガスは、反応の熱力学の故に或る一定レベルのCO2を含むことが避けられない。シンガス中にCO2が含まれることは、それが、幾つかの下流の合成プロセスにおいて不活性反応体として機能し、それ故、全体的なプロセスエコノミーを低減させるために、望ましくない。本発明は、RWGSステップからのシンガスを深冷CO2分離ステップへ付すことが、多くの利点を伴うという認識に基づく。
【0007】
先ず、深冷CO2分離ユニットは高圧で稼働し、これは、RWGSセクションの圧力と同じレベルであるかまたはそれより高くてよい。これは、深冷CO2分離セクションは、そこに分離されたCO2を、圧縮機を必要とせずに、RWGSセクションにリサイクルする可能性を供し、それにより、CO2のこのようなリサイクルが、経済的に有益となることを意味する。
【0008】
第二に、深冷CO2分離ユニットの高圧は、CO2枯渇シンガスを、下流の合成のための高圧で、例えばフィッシャートロプシュ反応のための及びCOの直接的な使用のための高圧で提供する可能性を供し、このことも、別個の圧縮機の必要性を排除する。
【0009】
第三に、RWGSセクションと組み合せた深冷CO2分離ユニットの使用は、RWGSセクションにおけるCO2の低下をより高レベルで可能とし、それ故、シンガス生成物のCO2レベルを最小化するために選択されていない条件でRWGSセクションを稼働させる可能性を提供する。
【0010】
更に、本発明のプラントにおける、深冷CO2分離セクションの使用と組み合せた電気加熱式RWGS(e-RWGS)の使用、及び前者のセクションから後者のセクションへのCO2のリサイクルは、以下の利点を伴う。先ず、該プラントは、プラント構成スキーム全体において、供給物としてプラントに供給されたCO2の非常に増加した量及び更にはCO2の全てを、CO2枯渇シンガス生成物流においてCOに転化する可能性を提供した。その結果、本発明は、非常に高い水素及びCO2供給物の利用効率を可能とし、CO2廃棄生成物を生じない。
【0011】
第二に、慣用の燃焼加熱式RWGSセクションを含むプラントでは、RWGSセクションは、炭化水素燃料、例えば下流のフィッシャートロプシュユニットからリサイクルされた比較的軽質の炭化水素で加熱される。本発明のプラントはRWGSセクションを加熱するための炭化水素燃料を使用する必要性を回避することによって、プラントからのCO2放出を避ける可能性を提供した。これとは対照的に、本発明のeRWGSセクションは、持続可能な電気のみを用いて稼働させることができ、それ故、CO2放出を完全に回避することができる。
【0012】
最後に、本発明は、下流の合成段階のためのシンガスを、非常に低いレベルのCO2で製造する可能性を提供する。
【0013】
該プラントは、様々な流れ、特にCOを効果的に使用する。先に記載したプラントを使用する、シンガス生成物流を製造するための方法も提供される。
【0014】
それ故、本発明は更に、
- 先の請求項のいずれかに定義したプラントを提供するステップ、
- 第一の含水素供給物をRWGSセクションに供給し、及び第二の含二酸化炭素供給物をRWGSセクションに供給するか、または水素及び二酸化炭素を含む前記の複合供給物をe-RWGSセクションに供給するステップ、
- 水除去セクションにおいて第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するステップ、
- 脱水されたシンガス流を、深冷CO2分離セクションにおいて、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝縮物へと分離するステップ、及び
- CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部を、RWGSセクションにまたはRWGSセクションへの供給物にリサイクルするステップ、
を含む方法を提供する。
【0015】
当該技術の更なる詳細は、引用形式の請求項、図面及び実施例に記載される。
【0016】
当該技術を、以下の概略的な図解を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明のプラントの第一の態様を示す。
図2図2は、本発明のプラントの第二の態様を示す。[詳細な説明] 他に特定していない場合には、ガス含有率について記載した百分率はどれも体積%である。
【0018】
炭素の回収及び利用は、長年にわたってより大きな関心を得ている。提案されるレイアウトは、シンガスの製造にHの存在下でCOを利用のための解決策を提供し、次いで、このようなシンガスは、合成燃料としても知られるシンガス誘導液体燃料などの価値のある製品に転化することができる。CO及びH供給物からシンガスへの転化のためには、主として電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションが使用される。
【0019】
当該技術では、二酸化炭素及び水素供給物は、主に、e-RWGSセクションで加工される。
【0020】
「合成ガス」という用語は、水素、一酸化炭素、並びに二酸化炭素、及び少量の他のガス、例えばアルゴン、窒素、メタンなどを含むガスを指すことを意味する。
【0021】
一つの態様では、該プラントは、
- e-RWGSセクションへの第一の含水素供給物; 及び
- e-RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物;
を含む。
【0022】
別個の第一供給物及び別個の第二供給物の代替として、該プラントは、e-RWGSセクションへの水素及び二酸化炭素を含む複合供給物を含んでよい。
【0023】
e-RWGSセクションは、前記第一供給物の少なくとも一部及び前記第二供給物の少なくとも一部、あるいは前記複合供給物の少なくとも一部を、第一のシンガス流に転化するように配置される。
【0024】
一つの観点では、e-RWGSセクションへの第一の含水素供給物及びe-RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物は、e-RWGSセクションに供される複合供給物を提供するために混合されるように配置される。
【0025】
第一のシンガス流は、適切には、以下の組成を有する(体積基準):
- 40~70%のH(乾燥状態)、
- 10~40%のCO(乾燥状態)、
- 2~20%のCO(乾燥状態)。
【0026】
第一のシンガス流は、メタン、水蒸気及び/または窒素などの他の成分を追加的に含んでよい。
【0027】
第一供給物
第一の含水素供給物が、シンガス段階(A)に供される。適切には、第一の供給物は、水素から本質的になる。水素の第一の供給物は、適切には「水素リッチ」であり; これは、この供給物の主たる部分は水素であり、すなわち、この供給物の75%超、例えば85%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、更により好ましくは99%超が水素であることを意味する。水素の第一供給物の一つの源は、一つ以上の電解ユニットであることができる。水素の他、第一供給物は、例えば、水蒸気、窒素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、及び/または炭化水素を含んでよい。幾つかの場合には、少含有率の酸素、典型的には100ppm未満の酸素が、この供給物中に存在してよい。第一供給物は、適切には、少量の炭化水素しか含まず、例えば5%未満の炭化水素または3%未満の炭化水素または1%未満の炭化水素しか含まない。
【0028】
一つの態様では、第一供給物は、少なくとも部分的に、電解ユニット、例えばアルカリ電解、プロトン交換膜及び/または固体酸化物セル電解から提供される。
【0029】
第二供給物
第二の含二酸化炭素供給物が、シンガス段階(A)に供される。適切には、第二供給物はCOから本質的になる。COの第二供給物は、適切には「COリッチ」であり; これは、この供給物の主たる部分がCOであること; すなわちこの供給物の75%超、例えば85%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、更により好ましくは99%超がCOであることを意味する。二酸化炭素の第二供給物の一つの源は、一つ以上の化学プラントからの一つ以上の排出流であることができる。二酸化炭素の第二供給物の一つの源は、一つ以上のプロセス流または大気空気から捕捉された二酸化炭素であることもできる。第二供給物の他の源の一つは、煙道ガスから、例えば燃焼加熱式ヒータ、水蒸気改質器及び/または発電所からの煙道ガスから捕捉または回収されたCOであることができる。第二供給物は、COの他に、例えば水蒸気、酸素、窒素、含酸素化合物、アミン類、アンモニア、一酸化炭素、及び/または炭化水素を含んでよい。第二供給物は、適切には、少量の炭化水素しか含まず、例えば5%未満の炭化水素、または3%未満の炭化水素、または1%未満の炭化水素しか含まない。
【0030】
第二の含二酸化炭素供給物は、代替的にまたは追加的に、CO及びCOを含む流れであることができ、これは、COの供給物をCO及びCOを含む流れに転化するために配置された電解セクションから排出される。
【0031】
特定の観点の一つでは、CO流の一部が、第二の含二酸化炭素供給物としてRWGSセクションに直接供給され、他方で、このCO流の他の部分は電解セクションに供給され、ここで、これは、CO及びCOを含む流れに転化される。CO及びCOを含む流れは、次いでRWGSセクションに供給してよい。
【0032】
複合供給物
別個の第一供給物及び第二供給物の代替として、該プラントは、e-RWGSセクションへの水素及び二酸化炭素を含む複合供給物を含んでよい。典型的には、この複合供給物の水素含有率は40%と80%との間、好ましくは50%と70%との間である。
【0033】
典型的には、この複合供給物の二酸化炭素含有率は、15%と50%との間、好ましくは20%と40%との間である。典型的には、この複合供給物の一酸化炭素含有率は0%と10%との間である。典型的には、この複合供給物における二酸化炭素に対する水素の比率は、1と5との間、好ましくは2と4との間である。
【0034】
水素及び二酸化炭素の他に、該複合供給物は、例えば、水蒸気、窒素、アルゴン、一酸化炭素、及び/または炭化水素を含んでよい。複合供給物は、適切には、少量の炭化水素しか含まず、例えば5%未満の炭化水素、または3%未満の炭化水素、または1%未満の炭化水素しか含まない。
【0035】
該複合供給物の一部は、水/水蒸気供給物及びCO供給物の共電解によって生成されていてもよい。
【0036】
第三供給物
プラントの外部の第三の含炭化水素供給物を、RWGSセクション及び/または改質セクションに供することができる。第三供給物は、追加的に、CO及び/またはCO及び/またはH及び/または水蒸気及び/または他の成分、例えば窒素及び/またはアルゴンなどの他の成分を含んでよい。適切には、第三供給物は、炭化水素からまたは炭化水素と水蒸気との混合物から本質的になる。炭化水素の第三供給物は、適切には「炭化水素リッチ」であり、この供給物の主たる部分が炭化水素であること; すなわちこの供給物の25%超、50%超、例えば75%超、例えば85%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、更により好ましくは99%超が炭化水素であることを意味する。この第三供給物中の炭化水素の濃度は、水蒸気の添加の前に決定される(すなわち、「乾燥濃度」として決定される)。
【0037】
このような第三供給物の一例は、該プラントの外部の天然ガス流であることもできる。一つの観点では、前記第三供給物は、メタン、エタン、プロパンまたはブタン類から選択される一種以上の炭化水素を含む。
【0038】
第三の含炭化水素流の源は、該プラントの外部である。「プラントの外部の」流れの意味は、流れの期限が、プラントの合成段階からのリサイクル流(または、更に加工または転化されたリサイクル流)ではないことである。プラントの外部の第三の含炭化水素供給物の可能な源としては、天然ガス、LPG、製油所オフガス、ナフサ、及び再生可能物などが挙げられるが、他の可能性も考えられ得る。
【0039】
RWGS反応
望ましくない副生成物の生成、例えばメタンの生成は、以下のメタン化反応の一方または両方に従い起こる:
CO(g)+3H(g) <-> CH(g)+HO(g) (2)
CO(g)+4H(g) <-> CH(g)+2HO(g) (3)
以下には、「選択的RWGS」という記載は、逆水性ガスシフト反応のみが、触媒上でまたは反応器中で起こることを意味するものであり、他方で、「非選択性RWGS」は、他の反応、例えば前記のメタン化反応(逆メタン化も含む)の一つ以上が、逆水性ガスシフトの他に起こることを意味するものである。
【0040】
一つの態様では、触媒活性材料は選択的RWGSを触媒する。代替的な態様の一つでは、触媒活性材料は、非選択的RWGSを触媒する。
【0041】
e-RWGSセクション
本発明のプラントにおいて、RWGSセクションは、電気加熱された逆水性ガスシフト(e-RWGS)セクションである。電気加熱逆水性ガスシフト(e-RWGS)は、より効果的な逆水性ガスシフトプロセスを実施しそして熱源としての化石燃料の使用を大きく減少するかまたは好ましくは回避するために、電気抵抗加熱式反応器を使用する。
【0042】
本発明では、COとHとの間の逆水性ガスシフト反応を行うためにe-RWGSセクションが使用される。第一の態様では、e-RWGSセクションは、適切には、
- 逆水性ガスシフト反応とメタン化反応との両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒; 但し、前記構造化触媒は、電気伝導性材料のマクロ構造を含み、前記マクロ構造は、セラミックコーティングを支持し、ここで前記セラミックコーティングは、(選択的e-RWGSのための)触媒活性材料を支持する;
- 前記構造化触媒を収容する圧力シェル; 但し、前記圧力シェルは、前記供給物を導入するための入口とシンガス生成物を排出するための出口とを含み; ここで、前記入口は、前記供給物が、前記構造化触媒の第一の末端において前記構造化触媒に入り及び前記シンガス生成物が、前記構造化触媒の第二の端部から前記構造化触媒を出るように、配置されている;
- 前記構造化触媒と前記圧力シェルとの間の断熱層; 及び
- 前記構造化触媒に及び前記圧力シェルの外側に置かれた電力供給源に電気接続された少なくとも二つの導体; 但し、前記電力供給源は、電気伝導性材料の前記マクロ構造に電流を通すことによって、前記構造化触媒の少なくとも一部を少なくとも500℃の温度に加熱するように寸法決めされており; 前記少なくとの二つの導体は、前記構造化触媒の前記第二の端部に対してよりも、前記構造化触媒の前記第一の端部に対して近い構造化触媒上の位置で、前記構造化触媒に接続されており; 及び前記構造化触媒は、一つの導体から実質的に前記構造化触媒の第二の端部へと電流を流し、そして前記少なくとも二つの導体のうちの第二の導体へと戻すように構成されており; 及び前記構造化触媒は、構造化触媒の第二の端部に対してよりも、第一の端部に対して近い一つの導体から、構造化触媒の第二の端部へと電流を流し、そして構造化触媒の第二の端部に対してよりも、構造化触媒の第一の端部に対して近い第二の導体へと戻すように配置された電気絶縁部分を有する;
を含む。
【0043】
第二の態様では、前記e-RWGSセクションは、適切には、
- 逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒; 但し、前記構造化触媒は、電気伝導性材料のマクロ構造を含み、前記マクロ構造はセラミックコーティングを支持し、ここで前記セラミックコーティングは、(非選択的e-RWGSのための)触媒活性材料を支持する;
- 任意選択に、メタン化反応及び逆水性ガスシフト反応の両方を触媒することができる、(非選択的e-RWGSのための)ペレット触媒を含む、構造化触媒の上面に配置されたトップ層;
- 任意選択に、メタン化反応及び逆水性ガスシフト反応の両方を触媒することができる、(非選択的e-RWGSのための)ペレット触媒を含む、構造化触媒の下面に配置されたボトム層;
- 前記構造化触媒を収容する圧力シェル; 但し、前記圧力シェルは、前記供給物を導入するための入口とシンガス生成物を排出するための出口とを含み; ここで、前記入口は、前記供給物が、前記構造化触媒の第一の末端において前記構造化触媒に入り及び前記シンガス生成物が、前記構造化触媒の第二の端部から前記構造化触媒を出るように、配置されている;
- 前記構造化触媒と前記圧力シェルとの間の断熱層; 及び
- 前記構造化触媒に及び前記圧力シェルの外側に置かれた電力供給源に電気接続された少なくとも二つの導体; 但し、前記電力供給源は、電気伝導性材料の前記マクロ構造に電流を通すことによって、前記構造化触媒の少なくとも一部を少なくとも500℃の温度に加熱するように寸法決めされており; 前記少なくとの二つの導体は、前記構造化触媒の前記第二の端部に対してよりも、前記構造化触媒の前記第一の端部に対して近い前記構造化触媒上の位置で、前記構造化触媒に接続されており; 及び前記構造化触媒は、一つの導体から実質的に前記構造化触媒の第二の端部へと電流を流し、そして前記少なくとも二つの導体のうちの第二の導体へと戻すように構成されており; 及び前記構造化触媒は、前記構造化触媒の第二の端部に対してよりも、第一の端部に対して近い一つの導体から、前記構造化触媒の第二の端部へと電流を流し、そして前記構造化触媒の第二の端部に対してよりも、前記構造化触媒の第一の端部に対して近い第二の導体へと戻すように配置された電気絶縁部分を有する;
を含む。
【0044】
圧力シェルは、適切には、2barと30barとの間の設計圧力を有する。圧力シェルは、30barと200barとの間の設計圧力を有してもよい。前記少なくとも二つの導体は、典型的には、取り付け部品中で圧力シェルを貫通し、その結果、前記少なくとも二つの導体は、圧力シェルから電気的に絶縁される。圧力シェルは、更に、冷却ガスを、前記圧力シェル内で、少なくとも一つの導体上に、その周囲に、その近くにまたはその内部に流すことを可能にするために、少なくとも一つの取り付け部品の近くにまたはそれと組み合せて一つ以上の入口を更に含む。e-RWGSセクション(I)の出口温度は、適切には、900℃以上、好ましくは1000℃以上、更により好ましくは1100℃以上である。
【0045】
本発明のプラントの一つの態様では、前記e-RWGSセクションは、逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒を含む。
【0046】
非選択的e-RWGSの場合は、反応(2)及び/または(3)によるメタン化は、RWGS反応に加えて起こる。これは、反応器内部の一酸化炭素の濃度が、逆水性ガスシフトのみが起こる場合より低いという利点を有する。これは、約600~800℃までの低乃至中温度範囲において特に重要である。この温度範囲では、炭素形成もしくは金属ダスチングの可能性が存在するか、または非選択的触媒を用いた場合よりも選択的RWGS触媒を用いた場合の方が、かなり大きい。
【0047】
一つの態様では、メタン化反応(複数可)も、反応器の入口で及びそれの付近で起こる。しかし、所与の温度において(この温度は、供給物ガス組成、圧力、触媒活性、熱供給の程度、及び他の要因に依存する)、メタン化反応の逆が、熱力学的に優先される。別の言い方では、RWGS反応器の最初の部分では、メタンが形成し、そしてこの第一の部分の下流の第二の部分では、メタンが、反応(2)及び/または(3)の逆に従って消費される。
【0048】
本発明のeRWGS反応器の一つの態様では、eRWGS反応器は構造化触媒を含む。前記構造化触媒は、前記構造化触媒の第一の端部に最も近い所に設置された第一の反応ゾーン(ここで、前記第一の反応ゾーンは、全体にわたる発熱反応を有する)と、前記構造化触媒の第二の端部に最も近い所に設置された第二の反応ゾーン(ここで、前記第二の反応ゾーンは、全体にわたる吸熱反応を有する)とを有する。好ましくは、前記第一の反応ゾーンは、反応器中の全反応ゾーンの長さの最初の5%間から最初の60%間に延在し、ここで、反応ゾーンとは、触媒ゾーン中を通る流通経路に沿って評価して、メタン化及び逆水性ガスシフト反応を触媒する部分の反応器システムの体積として理解される。
【0049】
本発明のeRWGS反応器における水性ガスシフト及びメタン化の両方のための複合活性があると、反応器内での反応スキームが、反応器システムの最初の部分では、発熱性として始まり、そして反応器システムの出口に向かって吸熱性として終了するようになる。これは、プラグフロー反応器システムの以下の一般的な熱バランスに従う、反応の間に加えられるかまたは除去される反応熱(Q)に関する:
F・Cpm・dT/dV=Qadd+Q=Qadd+Σ(-Δ)・(-r
式中、Fは、プロセスガスの流速であり、Cpmは熱容量であり、Vは反応ゾーンの体積であり、Tは温度であり、Qaddは、周囲からのエネルギー供給/除去であり、そしてQは、前記体積内で促進された全ての化学反応の合計として与えられ及び所与の反応の反応エンタルピーと反応速度との積として計算される、化学反応に伴うエネルギー供給/除去である。
【0050】
非選択的RWGS反応器を用いた時の一つの態様では、e-RWGS反応器を去るガス中の体積基準のメタン濃度は、6%未満、例えば4%未満または好ましくは3%未満である。高い生成物ガス温度は、メタン濃度が反応域に沿ってどこかでピークを有するものの、最終シンガス生成物が低いメタン濃度を有することを保証する。それ故、この反応器構成は、供給物中にはメタン無しでまたは少量で、そして生成物ガス中にはわずかなメタンのみで、操業できるが、供給物及び/または生成物ガス中よりも高い、反応ゾーン内でのメタン濃度のピークを有する。メタンが、メタノールまたはフィッシャートロプシュなどの下流の合成において反応体として働かないため、合成ガス中のメタンの濃度は可能なかぎり低いことが多くの場合に有利である。
【0051】
一つの態様では、e-RWGSにおけるメタン濃度は、e-RWGSセクションへの入口ガスの濃度及びe-RWGSセクションからの出口ガスの濃度の両方よりも高い。
【0052】
e-RWGSセクションは、一つ以上のe-RWGS反応器を含み、そして一つの態様では、単一のe-RWGS反応器からなる。この態様では、反応器内の(すくなとも一つの)位置でのメタン濃度は、反応器供給物ガス及び反応器出口ガスの両メタン濃度よりも高い場合がある。
【0053】
メタンの低濃度は、e-RWGS反応器外の高温によって達成することができる。高温は、COからCOへのより高い転化率という更なる利点を有する。一つの態様では、e-RWGS反応器からのガスの出口温度は900℃超、例えば1000℃超または更には1050℃超である。提案される反応器の利点の一つは、外部燃焼加熱式反応器を用いて典型的に可能なものよりも、高い温度を達成できることである。
【0054】
e-RWGS反応器の出口において低い濃度を有するための他の手段の一つは、5barと20barとの間または8barと12barとの間の低乃至中圧を有することである。この態様では、e-RWGSセクションを去るガスは典型的には冷却され、そして水は、凝縮し、その後に下流の用途にとって望ましい圧力にまで圧縮することによって(部分的に)除去される。
【0055】
一つの態様では、e-RWGSセクションの上流に反応器が存在し得る。この反応器は断熱式かまたは冷却してよく、そして触媒は、典型的にはペレットベースである。前記第一の供給物の一部または全て、あるいは第二の供給物の全てがこの反応器に案内される。該反応器では、RWGS及びメタン化反応(1~3)が起こる。この反応器からの出口温度は、典型的には400℃と700℃との間の範囲である。この反応器からの流出物は、(任意に、生じたHOの一部の冷却及び凝縮の後に)e-RWGSセクションに供給される。これは、e-RWGSセクションからの流出物中のCOの量がより低くなるという利点を有する。
【0056】
具体的な態様の一つでは、一酸化炭素、二酸化炭素、水素及びメタンを含むガスが、e-RWGSセクションへの炭化水素(例えば、テールガスまたはライトエンド(light end)炭化水素)を含む第三の供給物と組み合される。代替的に、前記第三の供給物は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及びメタンを含む前記ガスのみから組成される。一つの例は、フィッシャートロプシュ合成セクションからのテールガスであり得る。このようなガスは、例えば、
10~30%のCO、
20~70%のCO
10~30%のH
5~25%のCH
0.2~10%の他の炭化水素、
を含み得る。
【0057】
このような流れは、e-RWGSセクションに直接加えることができる。代替的に、この流れは、先ず、水蒸気と共に水性ガスシフト反応器に通す(上記反応1の逆):
CO+HO <-> H+CO (6)
これは、e-RWGSセクションへの入口におけるCO濃度を低下させ、そうして、炭素形成の可能性を低くする。
【0058】
水性ガスシフト反応器からの流出物は、他の反応器(高級炭化水素除去反応器)に案内することもできる。この高級炭化水素除去反応器は断熱式であるかまたは冷却してよく、そして触媒は典型的にはペレットベースである。この高級炭化水素除去反応器では、RWGS反応(1)(またはシフト反応(6))及びメタン化反応(2-3)または逆メタン化反応(これはガス組成、温度及び圧力に依存する)が起こる。更に、高級炭化水素の水蒸気改質が、この反応器において起こり得る:
+nHO → nCO+(m/2+n)H (7)
この反応器の条件は、好ましくは、供給物混合物中に存在する非メタン炭化水素の90%超、例えば95%超を転化するように調節される。非メタン炭化水素の除去または実質的な減少は、e-RWGSセクションにおけるe-RWGS反応(複数可)中の炭素形成のリスクがかなり低減されるという利点を有する。
【0059】
この高級炭化水素除去反応器からの出口温度は典型的には400℃と700℃との間の範囲である。この反応器からの流出物は、(任意に、生じたHOの一部の冷却及び凝縮の後に)e-RWGSセクションに供給される。これは、e-RWGSセクションからの流出物中のCOの量がより低くなるという利点を有する。該流出物は、e-RWGSセクションに供給される前に、第一の供給物及び第二の供給物と混合してよい。
【0060】
e-RWGS反応器は、更に、構造化触媒と熱交換関係にあるが、それとは電気的に絶縁されている内管を更に含んでよく、前記内管は、構造化触媒から生成物ガスを取り出して、内管中を流れるガスが、構造化触媒上を流れるガスと熱交換関係あるように適合されている。構造化触媒と、前記少なくとも二つの導体との間の接続は、機械的接続、溶接接続、ろう付け接続またはこれらの組み合わせであることができる。
【0061】
電気伝導性材料は、適切には、3D印刷されたまたは押出されたまたは焼結されたマクロ構造を含み、前記マクロ構造はセラミックコーティングを支持し、ここで、前記セラミックコーティングは、触媒活性材料を支持する。構造化触媒は、互いに電気的に接続されたマクロ構造のアレイを含んでよい。マクロ構造は、複数の平行な流路、複数の平行でない流路、及び/または複数の迷路様流路を有してよい。該反応器は、典型的には、前記圧力シェル内で、前記構造化触媒の上流に第二の触媒材料の床を含む。
【0062】
一つの観点では、e-RWGS反応器は更に、前記マクロ構造の流路中に装填された触媒ペレット、押出物またはグラニュールの形の触媒材料を含む。e-RWGS反応器は更に、圧力シェルを出るガスの温度が所定の範囲にあることを保証し及び/または供給物ガスの転化率が所定の範囲にあることを保証する目的で電力供給源を制御するように配置された制御系を含んでよい。
【0063】
ここで使用する場合、「マクロ構造」という用語は、拡大用デバイスを使用せずに、裸眼で目に見るのに十分に大きな構造を指すことを意図している。マクロ構造の寸法は、典型的には、センチメートルまたは更にはメートルの範囲である。マクロ構造の寸法は、有利には、圧力シェルの内寸に少なくとも部分的に相当し、そうして断熱層及び導体にための空間が確保されるように作られる。
【0064】
触媒活性材料を備えたまたは備えていないセラミックコーティングは、ウォッシュコーティングにより金属表面に直接加えてよい。金属表面のウォッシュコーティングは周知のプロセスであり、例えば、Cybulski,A.,and Moulijn,J.A.,Structured catalysts and reactors,Marcel Dekker,Inc,New York,1998,Chapter 3(非特許文献1)及びそこで引用された文献に記載されている。セラミックコーティングをマクロ構造の表面に加え、次いで触媒活性材料を加えてよく、あるいはその代わりに、触媒活性材料を含むセラミックコーティングがマクロ構造に加えられる。
【0065】
好ましくは、マクロ構造は、粉末状金属粒子とバインダーとの混合物を押出しして、押出構造物とし、次いでこの押出構造物を焼結して、単位体積あたり高い幾何学的表面積を有する材料を供することによって製造されたものである。触媒活性材料を含んでいてもよいセラミックコーティングは、酸化性雰囲気中での第二の焼結の前にマクロ構造上に供される。これは、セラミックコーティングとマクロ構造との間に化学結合を形成するためである。代替的に、触媒活性材料を、第二の焼結の後にセラミックコーティング上に含浸させてもよい。セラミックコーティングとマクロ構造との間に化学結合が形成される場合は、電気的に加熱されたマクロ構造と、セラミックコーティングに担持された触媒活性材料との間の特に高い熱伝導が可能となり、熱源と、マクロ構造の触媒活性材料との間の近いほぼ直接的な接触を与える。熱源と触媒活性材料とが近接しているため、伝熱の効率がよく、その結果、マクロ構造を非常に効率よく加熱することができる。それ故、改質反応器装置単位体積あたりでのガス処理の観点で小型の改質反応器装置が可能であり、よって、該マクロ構造を収容する改質反応器を小型のものとすることができる。本発明の改質反応器は炉を必要とせず、これは、電気加熱式改質反応器のサイズを大幅に縮小する。
【0066】
好ましくは、導体は、マクロ構造とは異なる材料でできている。導体は、例えば鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、銀またはこれらの合金製であることができる。セラミックコーティングは電気絶縁材料であり、そして典型的にはおよそ100μmの範囲、例えば10~500μmの範囲の厚さを有する。加えて、マクロ構造の触媒機能をサポートするために、圧力シェル内に及びマクロ構造物内において流路中に、またはマクロ構造物の周りに、またはマクロ構造の上流及び/または下流に触媒を配置してよい。
【0067】
e-RWGS反応器においては、前記反応器システム内の構造化触媒は、構造化触媒の水平横断面の面積相当径と構造化触媒の高さとの間の比率が0.1~2.0の範囲であってよい。
【0068】
好ましくは、マクロ構造は、Fe、Ni、Cu、Co、Cr、Al、Siまたはこれらの合金を含む。このような合金は、Mn、Y、Zr、C、Co、Moまたはこれらの組み合わせなどの他の元素を含んでよい。好ましくは、触媒活性材料は、5nm~250nmの大きさを有する粒子である。触媒活性材料は、例えば、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金、コバルト、またはこれらの組み合わせを含んでよい。それ故、一つの可能な触媒活性材料は、ニッケルとロジウムとの組み合わせ、及びニッケルとイリジウムとの他の組み合わせである。セラミックコーティングは、例えば、Al、Zr、Mg、Ce及び/またはCaを含む酸化物であってよい。例示的なコーティングは、アルミン酸カルシウムまたはマグネシウムアルミニウムスピネルである。このようなセラミックコーティングは、更に別の元素、例えばLa、Y、Ti、Kまたはそれらの組み合わせを含んでよい。
【0069】
該プラントの一つの観点では、第二の供給物中のCO中の炭素のモル数に対する、炭化水素を含む第三の供給物中の炭素のモル数の比率は、好ましくはこの第三の供給物がプラントの外部である場合において、0.3未満、好ましくは0.25未満、より好ましくは0.20未満、または更には0.10未満である。
【0070】
(通常の燃料加熱式RWGSセクションと比べて)e-RWGSセクションの使用によって、CO含有率が低い生成物ガスを生成することが可能であり、これは、幾つかの用途、例えばF-T合成またはメタノール合成にとって望ましい、というのも、e-RWGS稼働の高い温度は、COからCOへの高い転化率を保証するからである。
【0071】
水分離セクション
一つの態様では、水除去セクションは、フラッシュ分離ユニット、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、温度スイング吸着(TSA)ユニット、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0072】
一つの態様では、該プラントの水分離セクションはフラッシュ分離ユニットである。多くの場合、フラッシュ分離ユニットの前には、適切な温度低下装置が配置される。ブラッシュ分離とは、相分離ユニットを意味し、このようなユニットでは、流れが、所与の温度において、熱力学的相平衡付近でまたは熱力学的相平衡で液相と気相とに分離される。
【0073】
一つの態様では、該プラントの水分離セクションは、圧力スイング吸着ユニット(PSAユニット)または温度スイング吸着ユニット(TSAユニット)である。スイング吸着とは、選択された化合物を吸着するためのユニットを意味する。このタイプの装置では、吸着材料上でのガス分子の吸着及び脱着との間の動的平衡が確立される。ガス分子の吸着は、立体効果、速度論的効果または平衡効果によって引き起こし得る。正確な機序は、使用した吸着材によって決定され、そして平衡飽和は、温度及び圧力に依存する。典型的には、吸着材は、最も重い化合物の近飽和まで混合ガス中で処理され、次いで再生を必要とする。この再生は、圧力または温度を変化させることによって行うことができる。プラクチスでは、これは、少なくとも二つのユニットを用いたプロセスが使用され、すなわち、先ず一つのユニットにおいて吸着材を高圧または低温で飽和し、次いでユニットを代えて、そこでは、圧力を下げるかまたは温度を上げることによって、吸着された分子を同ユニットから脱着することを意味する。ユニットが圧力を変化させて稼働する場合は、これは、圧力スイング吸着ユニットと称され、ユニットが温度を変化させて稼働する場合は、これは温度スイング吸着ユニットと称される。
【0074】
深冷CO2分離セクション
深冷分離は、典型的には、温度を制御することによって個々の成分(すなわち、CO2)をガス混合物から分離するためにガス中の異なる化学種の相変化を利用し、典型的には-50℃未満で起こる。このような深冷分離ユニットは、典型的には、気相から液体凝縮物を分離するための深冷フラッシュ分離ユニットが後続する合成ガスの最初の冷却段階を含む。第一の冷却段階のための冷却は、場合により他の冷却剤との組み合わせで、深冷フラッシュ分離ユニットからの生じた生成物によって供され得る。任意に、CO2除去ユニットからの生成物の一つ以上を、この冷却段階のためのより低温のプロセスガスを生じさせるために或る程度、膨張させてもよい。CO2の深冷分離は、CO2を凝縮させるために少なくともCO2の三重点超の高められた圧力で促進する必要がある。それ故、適当な圧力レジメは、少なくとも、5barの三重点超であり、この場合、高められた圧力が、高められた液体収量を与える。
【0075】
本発明の一つの態様では、深冷CO2分離セクションは、約-30℃から-80℃の温度で稼働される。本発明の一つの態様では、深冷分離で凝縮されるCO2の量を、稼働温度を下げることによって増加する。
【0076】
一つの態様では、深冷CO2分離セクションは、フラッシュ分離ユニットとその後の加熱ユニットとが後続する、冷却ユニットを含む。一つの態様では、深冷CO2分離セクションは、ガスドライヤーユニットを含む。好ましくは、このガスドライヤーユニットは、深冷CO2分離セクションの最初のユニットである。
【0077】
圧縮機
本発明のプラントの一つの態様では、CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部をリサイクルする手段は、このCO2リッチ凝縮物を圧縮するための圧縮機を含まない。
【0078】
本発明の一つの態様では、該プラントは、深冷CO2分離セクションの下流には圧縮機を含まない。
【0079】
合成段階
本発明の一つの態様では、該プラントは、深冷CO2分離セクションの下流に合成段階を含み、この深冷CO2分離セクションは、CO2枯渇シンガスを合成段階に供給するように配置される。適切には、合成段階は、前記CO2枯渇シンガス流を、少なくとも炭化水素生成物流に、及び任意に含炭化水素オフガス流に転化するように配置される。
【0080】
本発明の態様の一つでは、前記合成段階は、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む。
【0081】
合成燃料最終生成物の例は、ディーゼル燃料、ジェット燃料及びガソリンである。
【0082】
前記合成段階が合成燃料合成セクションを含む本発明の一つの態様では、前記合成段階は更に、合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを含む。
【0083】
合成セクションは、他のプロセスユニット、例えば圧縮機、熱交換器、分離器などを含んでよい。
【0084】
適切には、前記合成段階の入口でのシンガス流は、1.00~4.00、好ましくは1.50~3.00、より好ましくは1.50~2.10の範囲の水素/一酸化炭素比を有する。
【0085】
一つの態様では、前記CO2枯渇シンガス流中のH2/CO比は、おおよそ0.5と4.5との間である。
【0086】
特に、該合成段階は、前記シンガス流を、少なくとも炭化水素生成物流及びF-Tオフガス流の形の含炭化水素オフガス流に転化するように配置されているフィッシャートロプシュ(F-T)段階を含んでよい。この観点では、前記含炭化水素オフガス流の少なくとも一部は、前記第三の含炭化水素供給物としてまたは前記第三の含炭化水素供給物の他に、RWGSセクションにリサイクルしてよい。これは、全体的な炭素効率を高める。一つの態様では、該プラントは、RWGSセクションにリサイクルされるF-Tオフガスを圧縮するための圧縮機を含む。
【0087】
他の観点では、合成段階は、少なくともメタノール生成物流を提供するように配置されたメタノール合成段階を含む。
【0088】
追加的に、プラント入口に提供されるH:COの比率は、1.0と9.0との間、好ましくは2.5と8.0との間、より好ましくは3.0と7.0との間であってよい。
【0089】
水素の供給物を、合成段階の上流で、CO2枯渇シンガス流と組み合されるように配置してよい。これは、H:CO比を必要に応じて調節することを可能にする。
【0090】
改質セクション
本発明のシンガス段階は、有利に、先に記載のe-RWGSの他に、一つ以上の追加のセクションを含んでよい。
【0091】
一つの観点では、該プラントは、前記e-RWGSセクションと並行に配置された改質セクションを含んでよく、この場合、該プラントは、前記改質セクションへの第三の含炭化水素供給物を含み、及び前記改質セクションは、前記第三供給物の少なくとも一部を第二のシンガス流に転化するように配置される。
【0092】
第二のシンガス流は、以下の組成(体積基準)を有してよい:
- 40~70%のH(乾燥状態)
- 10~30%のCO(乾燥状態)
- 2~20%のCO(乾燥状態)
- 0.5~5%のCH
この観点では、e-RWGSセクションからの第一のシンガス流は、改質セクションからの第二のシンガス流と組み合わせて、複合シンガス流を提供するように配置される。この複合シンガス流は、合成段階に供給されるように配置される。
【0093】
この観点によれば、改質セクションは、自熱式改質(ATR)セクション、水蒸気メタン改質(SMR)セクション及び電気加熱式水蒸気メタン改質(e-SMR)セクションからなる群から選択してよい。
【0094】
一つの観点では、改質セクションは自熱式改質(ATR)セクションである。この観点では、該プラントは、自熱式改質(ATR)セクション(IIa)への、第四の含水蒸気供給物、任意に及び第五の含酸素供給物を更に含む。第四の含水蒸気供給物は、改質セクションがSMRまたはe-SMRである場合にも要求される。
【0095】
他の観点の一つでは、改質セクションは、電気加熱式水蒸気メタン改質(e-SMR)セクションである。この観点では、該プラントは、電気加熱式水蒸気メタン改質(e-SMR)セクションへの含酸素供給物は含まない。この観点では、プラントからの全体的なCO生産を減少することができる。
【0096】
一つの観点では、第二の含二酸化炭素供給物の少なくとも一部は、改質セクションに供給される。
【0097】
第三の含炭化水素供給物は、天然ガス供給物であってよい。
【0098】
一つの観点では、該プラントは、一つ以上の自熱式反応器(ATR)を含む自熱式改質(ATR)セクションを含んでよく、ここで、第一、第二、第三及び第四の供給物が前記ATRセクションに供給される。代替として、前記複合供給物の少なくとも一部を、ATRセクションに供給してよい。第三の供給物の一部または全てを脱硫し、そして予改質してよい。全ての供給物は、必要に応じて予熱される。ATRセクションの重要な部分は、ATR反応器である。ATR反応器は、典型的には、バーナー、燃焼チャンバ、及び触媒床を含み、これらは、ライニングされた耐熱性圧力シェル内に収容されている。ATR反応器では、化学理論量未満の酸素による、含炭化水素供給物の部分燃焼の後に、水蒸気改質触媒の固定床中でのこの部分燃焼炭化水素供給物流の水蒸気改質が行われる。水蒸気改質は、燃料チャンバ中においてもその温度が高い故に或る程度起こる。水蒸気改質反応には、水性ガスシフト反応が伴う。典型的には、ガスは、水蒸気改質及び水性ガスシフト反応に関して反応器の出口において平衡状態にあるかまたは平衡に近い状態にある。
【0099】
典型的には、ATR反応器からの流出物ガスは、900~1100℃の温度を有する。流出物ガスは、通常は、H、CO、CO及び水蒸気を含む。メタン、窒素及びアルゴンなどの他の成分も、多くの場合に少量で、存在し得る。ATR反応器の稼働圧力は、5barと100barとの間、より好ましくは15barと60barとの間である。
【0100】
ATRからのシンガス流は、廃熱ボイラー(複数可)(WHB)及び一つ以上の追加的な熱交換器を通常含む、冷却列において冷却される。WHBにおける冷却媒体は、(ボイラー供給)水であり、これは蒸発させて水蒸気とする。シンガス流は、更に、例えば設備の予熱、及び/または一つ以上の供給物流の部分予熱及び空冷器及び/もしくは冷水器での冷却によって、曇点未満にまで冷却される。凝縮したHOは、分離器中でプロセス凝縮物として取り出されて、低HO含有率を有するシンガス流を提供し、これは、合成段階へと送られる。
【0101】
「ATRセクション」は、部分酸化「POX」セクションであってよい。POXセクションは、ATR反応器がPOX反応器に置き換えられていることは除き、ATRセクションと類似したものである。POX反応器は、一般的に、バーナー及び燃焼チャンバを含み、これらはライニングされた耐熱性圧力シェル中に収容されている。
【0102】
ATRセクションは、接触式部分酸化(cPOX)セクションであることもできる。
【0103】
一つの態様では、e-RWGSセクションの後には改質セクションが続き、これは適切には、自熱式改質器(ATR)を含む。ATR反応器は、典型的には、バーナー、燃焼チャンバ、及び触媒床を含み、これらは、ライニングされた耐熱性圧力シェル内に収容されている。ATR反応器では、化学理論量未満の酸素による、含炭化水素供給物の部分燃焼の後に、水蒸気改質触媒の固定床中でのこの部分燃焼炭化水素供給物流の水蒸気改質が行われる。水蒸気改質は、燃料チャンバ中においてもその温度が高い故に或る程度起こる。水蒸気改質反応には、水性ガスシフト反応が伴う。典型的には、ガスは、水蒸気改質及び水性ガスシフト反応に関して反応器の出口において平衡状態にあるかまたは平衡に近い状態にある。ATRの更なる細部及び詳細な説明は、“Studies in Surface Science and Catalysis,Vol.152”(非特許文献2)、“Synthesis gas production for FT synthesis”; Chapter 4,p.258-352,2004(非特許文献3)”等、従来技術に見出すことができる。
【0104】
この場合、e-RWGS反応器からの出口ガスは、自熱式改質器に案内される。この態様では、e-RWGS反応器からの出口ガスは酸化剤と反応して、最終の合成ガスを生成する。この態様における最終の合成ガスは、典型的には、950℃超の温度、例えば1020℃超、または1050℃以上の温度を有する。この特定の態様では、e-RWGS反応器からの出口温度は典型的には600℃と900℃との間、例えば700℃と850℃との間である。この態様では、e-RWGS反応器は、選択的であるか、または好ましくは非選択的であってよい。一つの態様では、含炭化水素供給物ガスが、自熱式反応器の上流で、e-RWGS反応器からの出口ガスに加えられる。これは、例えば、下流のフィッシャートロプシュ合成ユニットからのテールガスであることができる。
【0105】
非選択的RWGS反応器の後にATRを備える態様では、RWGS反応を去るメタン濃度は好ましくは僅かであり、例えば20%未満または好ましくは12%未満である。比較的低い濃度は、自熱式反応器において必要な酸化剤が少なくて済むという利点を有する。
【0106】
RWGS反応器の後にATRを備える態様では、RWGS反応器を去るガスは、好ましくは冷却されない(他の流れとの混合による熱損失は除く)。ガスの冷却は、ATRにおける酸素消費量を増加させる。
【0107】
ATRを備えた態様の利点は、e-RWGS反応器に必要な電力が、比較的低い出口温度の故に減少することである。一つの態様では、e-RWGS反応器のための水素を生成するための水蒸気の電気分解によって発生した酸素の一部または全てが、自熱式反応器に使用される。
【0108】
自熱式改質器のための酸化剤は、酸素、空気、または空気と酸素との混合物であってよいか、または80%超の酸素、例えば90%超の酸素を含む酸化剤であってよい。酸化剤は、水蒸気、窒素及び/またはアルゴンなどの他の成分も含んでよい。典型的には、この場合の酸化剤は、5~20%の水蒸気を含む。
【0109】
電解セクション
第六の水素の供給物を、合成ガスの上流で、第一のシンガス流と組み合せるように配置してよい。これは、必要なH:CO比を必要に応じて調節することを可能にする。
【0110】
一つの態様では、該プラントは、水または水蒸気を少なくとも水素流及び酸素流に転化するように配置された電解セクションを更に含み、そして電解セクションからの前記水素流の少なくとも一部は、前記第一の供給物としてRWGSセクションに供給されるように配置される。追加的に、電解セクションからの水素流の少なくとも一部は、第六の水素の供給物として含まれ得る。電解セクションに供給される水または水蒸気の一部または全ては、RWGSセクションまたは合成段階からのものであってよい。
【0111】
該プラントが、自熱式改質(ATR)セクションである改質セクションを含む場合には、電解セクションからの酸素流の少なくとも一部は、適切には、前記第五の含酸素供給物としてRWGSセクションに供給されるように配置される。
【0112】
電解セクションは、COの供給物を、CO及びCOを含む流れに転化するように配置してもよく、この場合、電解セクションからのCO及びCOを含む前記流れの少なくとも一部は、前記第二の含二酸化炭素供給物の少なくとも一部としてRWGSセクションに供給されるように配置される。
【0113】
電解セクションを、COの供給物及び水または水蒸気の供給物を、水素及び二酸化炭素を含む前記複合供給物の一部または全てへと転化するように、eRWGSの上流に配置してもよい。別の言い方では、単一の電解セクションが、COの供給物及び水/水蒸気の供給物の両方を、前記複合流に転化する。
【0114】
一つの態様では、電解セクションは、アルカリ電解ユニット、プロトン交換膜ユニット、及び/または固体酸化物セル電解ユニットからなる群から選択される。
【0115】
供給物の前処理
一つの態様では、該プラントは、RWGSセクションの上流には、ガス精製ユニット及び/または予改質ユニットを更に含む。ガス精製ユニットは、例えば、水素化脱硫ユニットなどの脱硫ユニットである。
【0116】
一つの態様では、該プラントは前処理セクションを含み、この場合、第二供給物を前処理して、望ましくない成分を除去する。このような望ましくない成分は、例えば、硫黄化合物、高級炭化水素、及び無機化学種、例えばアルカリ性金属であり得る。
【0117】
予備改質器では、炭化水素ガスが、水蒸気と一緒に、及び潜在的には、水素及び/または他の成分(例えば二酸化炭素)と共に、約350~550℃の温度範囲で予備改質を受けて、該プロセスにおける初期ステップとして高級炭化水素を転化し、これは、通常は、脱硫ステップの下流で行われる。これは、次のプロセスステップにおいて触媒上に高級炭化水素から炭素が形成する危険を除去する。任意に、二酸化炭素または他の成分を予改質ステップを去るガスと混合して、供給物ガスを形成することもできる。
【0118】
本発明の方法
本発明は、
- 先の請求項のいずれかに定義したプラントを提供するステップ、
- 第一の含水素供給物をRWGSセクションに供給し、及び第二の含二酸化炭素供給物をRWGSセクションに供給するか、または水素及び二酸化炭素を含む前記の複合供給物をRWGSセクションに供給するステップ、
- 水除去セクションにおいて第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するステップ、
- 脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を形成するステップ、
- 深冷CO2分離セクションにおいて、圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝縮物に分離するステップ、及び
- CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部を、RWGSセクションにまたはRWGSセクションへの供給物にリサイクルするステップ、
を含む方法に関する。
【0119】
本発明の方法の態様の一つでは、CO2リッチ凝縮物は、圧縮に付すことなく、RWGSセクションにリサイクルされる。
【0120】
本発明の方法の一つの態様では、CO2枯渇シンガス流は、深冷CO2分離セクションの下流で、合成段階における処理に付される。
【0121】
本発明の方法の一つの態様では、合成段階は、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む。
【0122】
本発明の方法の一つの態様では、前記合成段階は合成燃料合成セクションを含み、ここで、前記合成段階は、合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む。
【0123】
本発明の方法の一つの態様では、CO2枯渇シンガス流は圧縮に付されない。
【0124】
本発明の方法の一つの態様では、深冷CO2分離セクションは、約-30℃から-80℃の温度で稼働される。本発明の方法の一つの態様では、深冷分離において凝縮したCO2の量は、稼働温度を低下することによって増加する。
【0125】
本発明の方法の一つの態様では、前記CO2枯渇シンガス流は、1.8~2.2の範囲の(H-CO)/(CO+CO)のモジュールを有し、ここで、合成段階は、メタノール合成セクションを含む。
【0126】
本発明の方法の一つの態様では、前記合成段階は、原油及び/またはワックス製造のためのフィッシャートロプシュ合成反応器システムを含む。
【0127】
本発明の方法の一つの態様では、前記CO2枯渇シンガス流は、>7.5の(CO+H)/(CO+HO)のモジュールを有する。
【0128】
本発明の方法の一つの態様では、前記CO2枯渇シンガス流は、<1.5のH/COの比率を有する。
【0129】
本発明の方法の一つの態様では、逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方がRWGSセクションにおいて起こる。
【0130】
具体的態様
図1は、RWGSセクションA、水除去セクションB、圧縮機C及び深冷CO2分離セクションDを含む本発明のプラント100の一態様を示す。H2供給物1及びCO2供給物2が、RWGSセクションAに供給され、ここで前記供給物は、第一のシンガス流10に転化される。第一のシンガス流10は水除去セクションBに供給され、そこで、水凝縮物25が除去され、そしてそこから、脱水されたシンガス流20が、圧縮機Cに供給される。脱水、圧縮されたシンガス流30は、圧縮機Cから排出され、そして深冷CO2分離セクションDに供給され、そこで、脱水、圧縮されたシンガス流30は、CO2枯渇シンガス40及びCO2リッチ凝縮物45へと分離され、後者が、RWGSセクションAにリサイクルされる。
【0131】
図2は、図1に示したプラントと同じプラントをベースとする本発明の一態様を同じ符号の意味で示し、ここでは、CO2枯渇シンガス40は、合成段階E、例えばフィッシャートロプシュ(F-T)セクション及び合成燃料合成セクションに供給される。合成段階Eからは、合成燃料流50が排出され、そしてF-Tオフガス55が排出され、そしてオフガス前処理セクションFに供給され、そこで、オフガス55は、RWGSセクションにリサイクルされる前に前処理される。
【実施例
【0132】
三つのケースのシンガスプラント設計を、稼働に必要な圧縮機の電力消費量に関して比較した。
【0133】
ケース1:CO2除去は行わない。CO2供給物流は、シンガス生成物流において1.22のH2/CO2比を得るように調節する。圧縮機を、シンガス生成物流の圧力を高めるために使用する。シンガス生成物は、高レベルのCO2を有し、これは、多くの下流の合成プロセスにとって望ましくない。
【0134】
ケース2:ケース1と同様であるが、但し、生成シンガス流の一部からの慣用のアミンベースCO2除去を行う。第一の圧縮機を、アミンベースCO2除去の後にシンガス生成物流の圧力を高めるために使用する。第二の圧縮機を、リサイクルされたCO2の圧力を高めるために使用する。
【0135】
ケース3:ケース1と同様であるが、但し、水除去セクション及び深冷CO2分離セクションを備える。圧縮機が、脱水されたシンガス流を圧縮するために、水除去セクションと深冷CO2分離セクションとの間に存在する。CO2リサイクルのための別個の圧縮機は不要である。
【0136】
ケース1~3の稼働パラメータ及び電力消費量を表1に示す。
【0137】
【表1】
表1から明らかなように、プラントの稼働に必要な圧縮機のための電力消費量は、ケース2(慣用のプラント)の場合よりもケース3(本発明のプラント)の場合の方が少ない。また、ケース3は、RWGSセクションへのCO2のリサイクルにおいて圧縮機を避け、それ故、CAPEX及びOPEXコストを節約する可能性を提供するものである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0137】
【表1】
表1から明らかなように、プラントの稼働に必要な圧縮機のための電力消費量は、ケース2(慣用のプラント)の場合よりもケース3(本発明のプラント)の場合の方が少ない。また、ケース3は、RWGSセクションへのCO2のリサイクルにおいて圧縮機を避け、それ故、CAPEX及びOPEXコストを節約する可能性を提供するものである。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
・逆水性ガスシフト(RWGS)セクションであって、
・・前記RWGSセクションへの第一の含水素供給物、及び前記RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物、または
・・前記RWGSセクションへの、水素及び二酸化炭素を含む複合供給物、
を含む、逆水性ガスシフト(RWGS)セクション、
・前記RWGSセクションの下流の水除去セクション、
・前記水除去セクションの下流の圧縮機、及び
・前記圧縮機の下流の深冷CO2分離セクション、
を含むプラントであって、
前記RWGSセクションは、前記第一の供給物及び前記第二の供給物、または前記の複合供給物を、第一のシンガス流に転化し、そして前記第一のシンガス流を前記水除去セクションに供給するように配置されており、
前記水除去セクションは、前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するように配置されており、
前記圧縮機は、前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を生成するように配置されており、
前記深冷CO2分離セクションは、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝集物へと分離するように配置されており、
該プラントは、前記CO2リッチ凝集物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするための手段を有し、及び
前記RWGSセクションは、電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションである、
前記プラント。
2. 前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部をリサイクルするための前記手段が、前記CO2リッチ凝縮物を圧縮するための圧縮機を含まない、前記1.に記載のプラント。
3. 前記水除去セクションが、フラッシュ分離ユニット、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、温度スイング吸着(TSA)ユニット、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記1.または2.に記載のプラント。
4. 前記深冷CO2分離セクションが、冷却ユニット、その下流のフラッシュ分離ユニット、更にその下流の加熱ユニットを含む、前記1.~3.のいずれか一つに記載のプラント。
5. 前記CO2枯渇シンガス流中のH2/CO比が、おおよそ0.5と4.5との間である、前記1.~4.のいずれか一つに記載のプラント。
6. 前記深冷CO2分離セクションの下流に合成段階を更に含み、前記深冷CO2分離セクションが、前記CO2枯渇シンガスを前記合成段階に供給するように配置されている、前記1.~5.のいずれか一つに記載のプラント。
7. 前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、前記6.に記載のプラント。
8. 前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、前記7.に記載のプラント。
9. 前記深冷CO2分離セクションの下流に圧縮機を含まない、前記6.~8.のいずれか一つに記載のプラント。
10. 前記第一の供給物が少なくとも部分的に、電解ユニット、例えばアルカリ電解、プロトン交換膜及び/または固体酸化物セル電解から提供される、前記1.~9.のいずれか一つに記載のプラント。
11. 前記プラントが前処理セクションを含み、前記第二の供給物が前処理されて望ましくない成分が除去される、前記1.~10.のいずれか一つに記載のプラント。
12. 前記e-RWGSセクションが、逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒を含む、前記1.~11.のいずれか一つに記載のプラント。
13. 次のステップ:
・前記1.~12.のいずれか一つに定義したプラントを提供するステップ、
・前記第一の含水素供給物を前記RWGSセクションに供給し、及び前記第二の含二酸化炭素供給物を前記RWGSセクションに供給するか、または水素及び二酸化炭素を含む前記複合供給物を前記RWGSセクションに供給するステップ、
・前記水除去セクションにおいて前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するステップ、
・前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を形成するステップ、
・前記深冷CO2分離セクションにおいて、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝縮物へと分離するステップ、及び
- 前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするステップ、
を含む、方法。
14. 前記CO2リッチ凝縮物が、圧縮に付されることなく、前記RWGSセクションにリサイクルされる、前記13.に記載の方法。
15. 前記CO2枯渇シンガス流が、前記深冷CO2分離セクションの下流の合成段階において処理に付される、前記13.または14.に記載の方法。
16. 前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、前記15.に記載の方法。
17. 前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、ここで、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、前記16.に記載の方法。
18. 前記CO2枯渇シンガス流が圧縮に付されない、前記15.~17.のいずれか一つに記載の方法。
19. 前記CO2枯渇シンガス流が、1.8~2.2の範囲の(H -CO )/(CO+CO )のモジュールを有し、ここで、前記合成段階は、メタノール合成セクションを含む、前記15.~18.のいずれか一つに記載の方法。
20. 前記合成段階が、原油及び/またはワックス製造のためのフィッシャートロプシュ合成反応器システムを含む、前記15.~18.のいずれか一つに記載の方法。
21. 前記CO2枯渇シンガス流が、7.5超の(CO+H )/(CO +H O)のモジュールを有する、前記15.~18.のいずれか一つに記載の方法。
22. 前記CO2枯渇シンガス流が1.5未満のH /COの比率を有する、前記15.~18.のいずれか一つに記載の方法。
23. 逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方が、前記RWGSセクションにおいて起こる、前記13.~22.のいずれか一つに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・逆水性ガスシフト(RWGS)セクションであって、
・・前記RWGSセクションへの第一の含水素供給物、及び前記RWGSセクションへの第二の含二酸化炭素供給物、または
・・前記RWGSセクションへの、水素及び二酸化炭素を含む複合供給物、
を含む、逆水性ガスシフト(RWGS)セクション、
・前記RWGSセクションの下流の水除去セクション、
・前記水除去セクションの下流の圧縮機、及び
・前記圧縮機の下流の深冷CO2分離セクション、
を含むプラントであって、
前記RWGSセクションは、前記第一の供給物及び前記第二の供給物、または前記の複合供給物を、第一のシンガス流に転化し、そして前記第一のシンガス流を前記水除去セクションに供給するように配置されており、
前記水除去セクションは、前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するように配置されており、
前記圧縮機は、前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を生成するように配置されており、
前記深冷CO2分離セクションは、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝集物へと分離するように配置されており、
該プラントは、前記CO2リッチ凝集物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするための手段を有し、及び
前記RWGSセクションは、電気加熱式RWGS(e-RWGS)セクションである、
前記プラント。
【請求項2】
前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部をリサイクルするための前記手段が、前記CO2リッチ凝縮物を圧縮するための圧縮機を含まない、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記水除去セクションが、フラッシュ分離ユニット、圧力スイング吸着(PSA)ユニット、温度スイング吸着(TSA)ユニット、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項4】
前記深冷CO2分離セクションが、冷却ユニット、その下流のフラッシュ分離ユニット、更にその下流の加熱ユニットを含む、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項5】
前記CO2枯渇シンガス流中のH2/CO比が、おおよそ0.5と4.5との間である、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項6】
前記深冷CO2分離セクションの下流に合成段階を更に含み、前記深冷CO2分離セクションが、前記CO2枯渇シンガスを前記合成段階に供給するように配置されている、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項7】
前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、請求項6に記載のプラント。
【請求項8】
前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、請求項7に記載のプラント。
【請求項9】
前記深冷CO2分離セクションの下流に圧縮機を含まない、請求項に記載のプラント。
【請求項10】
前記第一の供給物が少なくとも部分的に、電解ユニット、例えばアルカリ電解、プロトン交換膜及び/または固体酸化物セル電解から提供される、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項11】
前記プラントが前処理セクションを含み、前記第二の供給物が前処理されて望ましくない成分が除去される、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項12】
前記e-RWGSセクションが、逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方を触媒することができる電気伝導性材料のマクロ構造を含む構造化触媒を含む、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項13】
次のステップ:
・請求項1または2に定義したプラントを提供するステップ、
・前記第一の含水素供給物を前記RWGSセクションに供給し、及び前記第二の含二酸化炭素供給物を前記RWGSセクションに供給するか、または水素及び二酸化炭素を含む前記複合供給物を前記RWGSセクションに供給するステップ、
・前記水除去セクションにおいて前記第一のシンガス流から水を除去して、脱水されたシンガス流及び水凝縮物を生成するステップ、
・前記脱水されたシンガス流を圧縮して、圧縮されたシンガス流を形成するステップ、
・前記深冷CO2分離セクションにおいて、前記圧縮されたシンガス流を、CO2枯渇シンガス流及びCO2リッチ凝縮物へと分離するステップ、及び
- 前記CO2リッチ凝縮物の少なくとも一部を、前記RWGSセクションにまたは前記RWGSセクションへの供給物にリサイクルするステップ、
を含む、方法。
【請求項14】
前記CO2リッチ凝縮物が、圧縮に付されることなく、前記RWGSセクションにリサイクルされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記CO2枯渇シンガス流が、前記深冷CO2分離セクションの下流の合成段階において処理に付される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記合成段階が、合成燃料合成セクション、アルコール合成セクションまたはオレフィン合成セクションを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記合成段階が合成燃料合成セクションを含み、ここで、前記合成段階が、前記合成燃料合成セクションの上流にフィッシャートロプシュ(FT)セクションを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記CO2枯渇シンガス流が圧縮に付されない、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記CO2枯渇シンガス流が、1.8~2.2の範囲の(H-CO)/(CO+CO)のモジュールを有し、ここで、前記合成段階は、メタノール合成セクションを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記合成段階が、原油及び/またはワックス製造のためのフィッシャートロプシュ合成反応器システムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記CO2枯渇シンガス流が、7.5超の(CO+H)/(CO+HO)のモジュールを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記CO2枯渇シンガス流が1.5未満のH/COの比率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
逆水性ガスシフト反応及びメタン化反応の両方が、前記RWGSセクションにおいて起こる、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】