(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】履物用の偏向可能なクリートシステム
(51)【国際特許分類】
A43B 13/26 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A43B13/26 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543378
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 US2023011043
(87)【国際公開番号】W WO2023141152
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524273605
【氏名又は名称】カディックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン ジャック スターンズ
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン ジェフリー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ステシン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リュエッガー ピーター クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン サード ジョセフ フルフォード
(72)【発明者】
【氏名】バロア ペーター アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA13
4F050BA43
4F050HA23
4F050HA41
4F050HA43
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA73
(57)【要約】
選択された力を受けて偏向、変形、変位、又はその他の方法で移動することによって、あるいは地面と係合している間にラジアルラインの周りでクリートの動きを容易にすることによって力を消散させる、複数のクリートシステム、クリート、又はプレート構造を有する履物製品のソール部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステムは、前記ソールユニット上に配置されたクリートを含み、各クリートは、地面に係合するためのヘッド部分と、前記ソールユニット上に配置されたベース部分とを有し、各クリートは、エラストマ構造と関連付けられ、前記エラストマ構造は、十分な横方向の負荷がかかると偏向され、又は変形し、それによって前記クリートが横方向に偏向され、又は変形することが可能になる、クリートシステム、
を備えるソール部分。
【請求項2】
各クリートシステムは、本体部分よりも比較的硬くて前記本体部分の下に配置され、選択された地面を突き刺すのに適しているヘッド部分を有し、前記本体部分は、運動使用又は屋外使用で通常、遭遇する高負荷の下で横方向に偏向可能又は変形可能なエラストマ材料で作製され、ここで前記ベース部分は、長円形又は細長いプロファイルを有して、横方向の負荷の下で異方性変形を可能にする、請求項1に記載のソール部分。
【請求項3】
前記クリートシステム又はクリートは、略放射状のパターンで配置される、請求項1に記載のソール部分。
【請求項4】
前記クリートは細長い弧状の形状を有す、請求項3に記載のソール部分。
【請求項5】
各クリートには、前記ソールプレート上に配置されて、前記クリートの各々のキャビティの中に下向きに延びるアンカがあり、前記エラストマ構造は、前記アンカの周囲又は前記アンカの選択された側面と前記キャビティの前記壁との間に配置され、これによって、前記クリートは、十分な横方向の力に応じた前記エラストマ材料の圧縮に基づいて、前記力を受けて、前記アンカ上及び前記ソールプレートに対して自由に移動する、請求項1から4のいずれか1項に記載のソール部分。
【請求項6】
前記ソールプレートは、下部プレート及び上部プレートを含み、それらは前記エラストマ構造を介して互いに対して横方向に移動し、これによって前記クリートシステムの横方向の移動を引き起こすように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のソール部分。
【請求項7】
前記エラストマ構造は、エラストマパッドであって、前記下部プレートと前記上部プレートとの間に配置され、一方又は両方のプレートに相互接続されるエラストマパッドを含み、前記エラストマパッドの変形により、前記プレートの相対的な動きを可能にする、請求項6に記載のソール部分。
【請求項8】
複数のエラストマ支柱要素が前記下部プレートと前記上部プレートとの間に配置され、一方又は両方のプレートに動作可能に相互接続され、前記エラストマ支柱の変形により前記プレートの前記相対的な動きが可能になる、請求項6に記載のソール部分。
【請求項9】
前記ソールユニットは、旋回点を備えて構成され、前記旋回点の周囲を、前記ソールユニット又はその中のプレートが放射状経路で移動し得る、請求項1~4のいずれか1項に記載のソール部分。
【請求項10】
前記旋回は、前記プレートと中間エラストマパッドとをまたぐピン要素を配設し、前記下部プレートを前記上部プレートに対して旋回可能にすることで達成される、請求項9に記載のソール部分。
【請求項11】
前記下部プレートと前記上部プレートは、異なる硬度を有することで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、前記プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、前記スペーサは弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けると前記表面を変形させる、請求項6に記載のソール部分。
【請求項12】
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステム又はクリートは、エラストマ構造を有するか、又はエラストマ構造と関連し、前記エラストマ構造は十分な横方向の負荷を受けると前記クリートが横方向及び/又は垂直方向に移動するのを可能にし、前記ソールプレートは、互いに対して移動するように構成された下部プレートと上部プレートを含み、これによって前記横方向及び/又は垂直方向の移動を供給する、複数のクリートシステムを備え、
ここで、前記下部プレートと上部プレートは、異なる硬度を有することで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、前記プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、前記スペーサはプレートの弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けると前記表面を変形させる、
ソール部分。
【請求項13】
各クリートシステムは、上部分とベース部分を有し、前記ベース部分は前記ソールプレートに固定され、前記上部分は前記ソールプレートの前記表面と略直交する線に沿ってセグメント化され、各セグメントは十分な力を受けて弾性的に横方向に変位可能である、請求項1に記載のソール部分。
【請求項14】
前記セグメントの変位の方向を制御するために、前記セグメントは、溝又はスロット内に配置され得て、前記溝又はスロットは、前記セグメントの変位の前記方向及び/又は範囲を異方性によって制御する側壁を備えて構成される、請求項13に記載のソール部分。
【請求項15】
前記クリートシステムは放射状パターンで配置され、前記クリートは前記パターンのラジアルラインに沿って偏向するように構成される、請求項13又は14に記載のソール部分。
【請求項16】
ソールプレート上に第1の複数のクリートシステムが配置され、前記ソールプレート上に第2の複数のクリートシステムが配置され、前記第1の複数のクリートシステムは、クリートシステムの前記配置によって画定される点を中心に旋回するように構成され、前記第2の複数のクリートシステムは、前記第1の複数のクリートシステムの前記旋回動作の妨害を避けるように構成される、請求項1に記載のソール部分。
【請求項17】
前記第1の複数のクリートに属する前記クリートは、前記第2の複数のクリートに属する前記クリートよりも高さが高く、前記第1の複数のクリートは、選択された旋回点の周囲に配置される、請求項16に記載のソール部分。
【請求項18】
前記選択された旋回点は、ユーザの第1中足骨頭又はその付近に対応する前記ソールプレート上の位置にある、請求項17に記載のソール部分。
【請求項19】
前記ソール部分は足前部を含む、請求項1、6又は12に記載のソール部分。
【請求項20】
前記ソール部分は、前記第1中足骨頭に対応する位置又はその付近に旋回点を有するように構成される、請求項19に記載のソール部分。
【請求項21】
複数のクリートシステムを有する、靴のソール部分であって、
地面に係合するヘッド部分と、そこから延び、端部が前記ソール部分のソールプレートに係合するポスト部分とを有するクリートを有する各クリートシステムと、
前記ソールプレート部分の凹状又は凸状のレセプタクル部分であって、補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んだ前記クリートポスト部分が、剪断力に応じて旋回可能に係合する、凹状又は凸状のレセプタクル部分と、
前記クリートシステムに含まれ、前記クリートヘッド部分及び/又は前記ポストと係合して横方向の剪断力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、前記力が除去されると前記クリートを中立位置に戻す、1つ以上のエラストマ要素と、
を備えるソール部分。
【請求項22】
前記エラストマ要素は、前記クリートの前記変形又は偏向を方向的に制御するように構成及び/又は配置される、請求項21に記載のソール部分。
【請求項23】
前記クリートシステムは、前記クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に前記靴の外側又は内側の一方に向かって変形又は偏向するのを異方性によって可能にするように構成される、請求項22に記載のソール部分。
【請求項24】
前記ソールプレートに凸状部と、前記クリートヘッド部分に凹状部を更に備え、前記凸状部と凹状部は前記剪断力の下で旋回可能に係合可能である、請求項21に記載のソール部分。
【請求項25】
前記凸状部は、前記クリート部分が通るチャネルを含み、前記チャネルは、前記クリートポスト部分の所定の移動量を規定する、請求項24に記載のソール部分。
【請求項26】
少なくとも1つのエラストマ要素が前記チャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記ポスト及び凸状部と動作可能に係合して、偏向又は変形の前記程度を制御する、請求項25に記載のソール部分。
【請求項27】
前記クリートポストは前記ソールプレートのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記チャネル内で前記クリートポストに隣接して配置されることで、前記クリートポスト及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、請求項21に記載のソール部分。
【請求項28】
前記エラストマ要素は、前記クリートポストの周囲に配置されたリングを含む、請求項27に記載のソール部分。
【請求項29】
前記レセプタクルは、少なくとも部分的に前記ソールのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は、前記チャネル内にある前記レセプタクルの前記部分に隣接して配置されることで、前記レセプタクル及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、請求項21に記載のソール部分。
【請求項30】
前記クリートポストは前記ソールプレートのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記チャネル内で前記クリートポストに隣接して配置されることで、前記クリートポスト及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、請求項21に記載のソール部分。
【請求項31】
前記クリートヘッドと前記ソールプレートとの間の動作可能なインタフェースにおいて、前記インタフェースの領域における前記クリートヘッドとソール部分の一方又は両方は、エラストマ部分を含む、請求項21に記載のソール部分。
【請求項32】
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記クリートヘッドのエラストマベース部分を含む、請求項21に記載のソール部分。
【請求項33】
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記ソールプレートのエラストマベース部分を含む、請求項21に記載のソール部分。
【請求項34】
クリートシステムを有する履物製品であって、
着用者の足を受け入れるように構成されたアッパと、地面に係合するように前記アッパに結合されたソールユニットとを備え、前記ソールユニットは、前記ソールユニットの地面に向く表面から突出する複数のクリートを有し、各クリートは、前記クリートシステム内にあり、
前記クリートシステムは、
ヘッド部分とベース部分とを有する前記クリートを含み、前記クリートは、ポストに結合され、前記ポストは、前記クリートに固定又は取り外し可能に固定された第1の端部と、前記ソールユニットのプレート部分に固定又は取り外し可能に固定された第2の端部とを有し、前記クリートは、(i)前記プレート部分に対する前記ポストの前記第2の端部の旋回、及び(ii)前記クリートの前記ベースと前記ソールユニットの地面に向く表面との係合による旋回及び/又は変形動作によって、横方向に偏向可能である、
履物製品。
【請求項35】
前記偏向能は、前記ポストの前記第2の端部と前記プレートとに関連付けられた補完的な凸状面と凹状面の旋回によって支援される、請求項1又は34に記載の履物製品。
【請求項36】
前記偏向能は、前記ポストと前記プレート部分に含まれるレセプタクルとに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項1又は34に記載の履物製品。
【請求項37】
前記偏向能は、前記プレート部分に含まれるレセプタクルと前記プレート部分の側壁とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項1又は34に記載の履物製品。
【請求項38】
前記偏向能は、前記クリートの前記ベースと前記ソールユニットの地面に向く表面とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項1又は34に記載の履物製品。
【請求項39】
前記偏向能は、前記クリートの前記ベース部分及び/又は前記ベース部分に隣接する前記ソールユニットの取り付け部分の変形によって支援される、請求項35に記載の履物製品。
【請求項40】
ソールプレートを作製する方法であって、
地面に係合するヘッド部分を有し、そこから靴のソール部分用のソールプレートに係合する端部を有するポスト又はベース部分が延在するクリートを供給するステップと、
凹状又は凸状のレセプタクル部分が前記ソールプレート部分内にあり、前記クリートポスト又はベース部分が、剪断力に応じて前記凹状又は凸状のレセプタクル部分と旋回可能に係合する補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んでいるステップと、
前記クリートシステム内に、前記クリートヘッド部分及び/又は前記ポストと係合する1つ以上のエラストマ要素を供給して、横方向の剪断力に応じた変形又は偏向の程度を制御し、前記力が除去されると前記クリートを中立位置に戻すステップと、
を含む、方法。
【請求項41】
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステムはクリート本体を有し、前記クリート本体の側面には1つ以上のバットレスが配置され、少なくとも1つのバットレスが前記クリート本体の偏向能又は変形能を制限し、前記バットレスは、選択された横方向又は垂直方向における前記クリート本体の前記偏向能又は変形能を制限しない選択された変更ができるように、及び/又は選択的に取り外して異なる偏向特性又は変形特性を有する異なるクリートと交換できるように構成される、複数のクリートシステム、
を備えるソール部分。
【請求項42】
前記バットレスは、前記クリートの前記偏向又は変形の方向制御を行う選択された変更ができるように構成される、請求項41に記載のソール部分。
【請求項43】
前記クリートシステムは、前記クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に前記ソール部分の外側又は内側の一方に向かって異方性の偏向又は変形を生じるように構成される、請求項42に記載のソール部分。
【請求項44】
各変更可能なバットレスは、前記選択された変更ができるように前記クリートを切断する方法をユーザに示す割線を含む、請求項41~43のいずれか1項に記載のソール部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2022年4月19日に出願された米国仮特許出願第63/332,654号、及び2022年1月19日に出願された米国仮特許出願第63/300,775号の利益及び優先権を主張し、両出願は、あらゆる目的のために、本明細書に完全に記載されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
多くの運動活動及び屋外活動では、滑り止め付き履物を使用して、ユーザのトラクションを最適化する。従来、スタッド又はクリートは、選手が走ったり、旋回(接地した足を軸にして回転)したりする際に地面に部分的に埋め込まれ、又はそうでない場合は地面をグリップすることによって、選手のトラクションを向上させる。
【0003】
基本的な用語では、典型的な滑り止め付き又はスタッド付きの靴は、長手方向軸を備えるソールユニットを含み、長手方向軸は、靴の遠位端(足前部)から近位端(足後部)まで、一般的には靴の中心線に沿って延びて、靴を外側半分と内側半分に分けている。複数のクリートがソールの底部に固定されることで、クリートはソールから外側に突出し、地面の支持面に係合して部分的に埋め込まれるか、又はしっかりとグリップするように構成される。本明細書で使用されるとき、「クリート」は、個別の突出形状を有するクリート又はスタッドを意味し、それはプレート又はウェブの固定された、又は取り外し不可能な延長部として、あるいは取り外され/交換され得る延長部としてソールの底部から突出する。クリートは、通常、(アメリカン)フットボール又はサッカーのシューズ又はブーツなどの運動用履物、及び天然芝又は人工芝などの一般的に柔らかい競技面で使用される同様の履物で見られる。クリート及び類似の構造は更に、ゴルフシューズなどの他のスポーツシューズ、又は強化されたトラクションが必要とされ得る非運動靴に使用されてもよい。
【0004】
従来周知の滑り止め付き運動靴は、走っているときに選手のトラクションを向上させるが、それらはまた選手の膝及び足首の靭帯を負傷するリスクも高める。より具体的には、滑り止め付き運動靴は地面に部分的に埋め込まれるか、又はしっかりと地面をグリップするため、選手の下肢にかかる横方向内向きの力が、通常、選手の下肢を内方向に偏向させる。しかし、これらの従来周知の運動靴のクリートは地面をグリップし、この横方向内向きの動きに抵抗するため、負傷が発生する可能性があり、また実際に発生する。特定の種類の負傷、例えば、靭帯、軟骨、及びその他の軟部組織への負傷は、選手に永久的な損傷を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主題は、簡潔に表現すると、選択された力を受けて偏向、変形、変位、又はその他の方法で移動することによって、あるいは地面と係合している間にラジアルラインの周りでクリートの動きを容易にすることによって力を消散させる、複数のクリートシステム、クリート、又はプレート構造を有する履物製品のソール部分に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの可能な実施形態では、本発明の主題は、一般的に靴のソール部分に関する。ソール部分は、ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムを含む。各クリートシステムは、ソールユニット上に配置されたクリートを有し、各クリートは、地面に係合するためのヘッド部分と、ソールユニット上に配置されたベース部分とを有している。各クリートは、エラストマ構造と関連付けられ、エラストマ構造は、十分な横方向の負荷がかかると偏向され、又は変形し、それによってクリートが横方向に偏向され、又は変形するのを可能にする。
【0008】
前述の、又は他の実施形態では、各クリートシステムは、本体部分の下に配置されたヘッド部分を有してもよく、ヘッド部分は本体部分よりも比較的硬く、選択された地面を突き刺すのに適しており、本体部分は、運動使用又は屋外使用で通常、遭遇する高負荷の下で横方向に偏向可能又は変形可能なエラストマ材料で作製され、ここでベース部分は、長円形又は細長いプロファイルを有して、横方向の負荷の下で異方性変形を可能にする。
【0009】
前述の、又は他の実施形態では、クリートシステム又はクリートは、略放射状のパターンで配置され得る。
【0010】
前述の、又は他の実施形態では、クリートは細長い弧状の形状を有してもよい。
【0011】
前述の、又は他の実施形態では、クリートシステム内の各クリートには、ソールプレート上に配置され、各クリートのキャビティの中に下向きに延びるアンカがあり、エラストマ構造は、アンカの周囲又はアンカの選択された側面と、キャビティの壁との間に配置され、これによって、クリートは、力に応じたエラストマ材料の圧縮に基づいて、十分な横方向の力を受けて、アンカ上及びソールプレートに対して自由に移動する。
【0012】
前述の、又は他の実施形態では、ソールプレートは、下部プレート及び上部プレートを含み得て、それらはエラストマ構造を介して互いに対して横方向に移動し、これによってクリートシステムの横方向の移動を引き起こすように構成される。
【0013】
前述の、又は他の実施形態では、エラストマ構造は、エラストマパッドであってもよく、下部プレートと上部プレートとの間に配置され、一方又は両方のプレートに相互接続され、エラストマパッドの変形により、プレートの相対的な動きを可能にする。
【0014】
前述の、又は他の実施形態では、複数のエラストマ支柱要素が下部プレートと上部プレートの間に配置され得て、一方又は両方のプレートに動作可能に相互接続され、エラストマ支柱の変形によりプレートの相対的な動きが可能になる。
【0015】
前述の、又は他の実施形態では、ソールユニットは、旋回点を備えて構成され得て、旋回点の周囲を、ソールユニット又はその中のプレートが放射状経路で移動し得る。
【0016】
前述の、又は他の実施形態では、旋回は、プレートと中間エラストマパッドとをまたぐピン要素を配設し、下部プレートを上部プレートに対して旋回可能にすることで達成され得る。
【0017】
前述の、又は他の実施形態では、下部プレートと上部プレートは、異なる硬度を有し得ることで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、スペーサは弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けるとその表面を変形させる。
【0018】
別の可能な一般的な実施形態では、本発明の主題は、ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムを含む靴のソール部分に関する。各クリートシステム又はクリートは、エラストマ構造を有するか、又はそれと関連し、エラストマ構造は十分な横方向の負荷を受けると、クリートが横方向及び/又は垂直方向に移動するのを可能にする。ソールプレートは、互いに対して移動するように構成された下部プレートと上部プレートを含み、それによって横方向及び/又は垂直方向の移動が供給される。また、下部プレートと上部プレートは、異なる硬度を有することで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、スペーサはプレートの弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けるとその表面を変形させる。
【0019】
前述の、又は他の実施形態では、各クリートシステムは、上部分とベース部分を有し、ベース部分はソールプレートに固定され、上部分はソールプレートの表面と略直交する線に沿ってセグメント化され、各セグメントは十分な力を受けて弾性的に横方向に変位可能である。
【0020】
前述の、又は他の実施形態では、セグメントの変位方向を制御するために、セグメントは、溝又はスロット内に配置され得て、それは、セグメントの変位の方向及び/又は範囲を異方性によって制御する側壁を備えて構成される。
【0021】
前述の、又は他の実施形態では、クリートシステムは放射状パターンで配置されてもよく、クリートはパターンのラジアルラインに沿って偏向するように構成されてもよい。
【0022】
前述の、又は他の実施形態では、ソールプレート上に第1の複数のクリートシステムが配置され、ソールプレート上に第2の複数のクリートシステムが配置され得て、第1の複数のクリートシステムは、クリートシステムの配置によって画定される点を中心に旋回するように構成され、第2の複数のクリートシステムは、第1の複数のクリートシステムの旋回動作の妨害を避けるように構成される。
【0023】
前述の、又は他の実施形態では、第1の複数のクリートのクリートは、第2の複数のクリートのクリートよりも高くてもよく、第1の複数のクリートは、選択された旋回点の周囲に配置される。
【0024】
前述の、又は他の実施形態では、選択された旋回点は、ユーザの第1中足骨頭又はその付近に対応するソールプレート上の位置にあり得る。
【0025】
前述の、又は他の実施形態では、ソール部分は足前部であってもよい。
【0026】
前述の、又は他の実施形態では、ソール部分は、第1中足骨頭に対応する位置又はその付近に旋回点を有するように構成され得る。
【0027】
別の可能な一般的な実施形態では、本発明の主題は、複数のクリートシステムを有する靴のソール部分に関する。各クリートシステムには、地面に係合するヘッド部分と、そこから延びるポスト部分とを有するクリートがあり、ポスト部分の端部はソール部分のソールプレートに係合する。ソール部分は、ソールプレート部分に凹状又は凸状のレセプタクル部分を含む。クリートポスト部分は、補完的な凸状又は凹状形状を有する部分を含み、それは剪断力に応じて凹状又は凸状のレセプタクル部分と旋回可能に係合する。また、1つ以上のエラストマ要素が、クリートシステムに含まれ、クリートヘッド部分及び/又はポストと係合して横方向の剪断力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、力が除去されるとクリートを中立位置に戻す。
【0028】
前述の、又は他の実施形態では、エラストマ要素は、クリートの変形又は偏向を方向的に制御するように構成及び/又は配置され得る。
【0029】
前述の、又は他の実施形態では、クリートシステムは、クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に靴の外側又は内側の一方に向かって変形又は偏向するのを異方性によって可能にするように構成されてもよい。
【0030】
前述の、又は他の実施形態では、ソール部分は、ソールプレートに凸状部を含み得て、クリートヘッド部分に凹状部を含み得て、凸状部と凹状部は剪断力の下で旋回可能に係合可能である。
【0031】
前述の、又は他の実施形態では、凸状部は、クリート部分が通過するチャネルを含み、チャネルは、クリートポスト部分の所定の移動量を規定する。
【0032】
前述の、又は他の実施形態では、少なくとも1つのエラストマ要素がチャネル内に配置され得て、エラストマ要素はポスト及び凸状部と動作可能に係合して、偏向又は変形の程度を制御する。
【0033】
前述の、又は他の実施形態では、クリートポストはソールプレートのチャネル内に配置されてもよく、エラストマ要素はチャネル内でクリートポストに隣接して配置されることで、クリートポスト及びソールプレートに動作可能に係合する。
【0034】
前述の、又は他の実施形態では、エラストマ要素はクリートポストの周囲に配置されたリングであってもよい。
【0035】
前述の、又は他の実施形態では、レセプタクルは、少なくとも部分的にソールのチャネル内に配置され得て、エラストマ要素は、チャネル内にあるレセプタクルの部分に隣接して配置されることで、レセプタクル及びソールプレートに動作可能に係合する。
【0036】
前述の、又は他の実施形態では、クリートポストはソールプレートのチャネル内に配置され得て、エラストマ要素はチャネル内でクリートポストに隣接して配置されることで、クリートポスト及びソールプレートに動作可能に係合する。
【0037】
前述の、又は他の実施形態では、クリートヘッドとソールプレートとの間の動作可能なインタフェースにおいて、インタフェース領域におけるクリートヘッドとソール部分の一方又は両方は、エラストマ部分であり得る。前述の、又は他の実施形態では、インタフェースにおけるエラストマ要素は、クリートヘッドのエラストマベース部分であってもよい。前述の、又は他の実施形態では、インタフェースにおけるエラストマ要素は、ソールプレートのエラストマベース部分であってもよい。
【0038】
別の可能な一般的な実施形態では、本発明の主題は、クリートシステムを有する履物製品に関する。履物は、着用者の足を受け入れるように構成されたアッパと、地面に係合するようにアッパに結合されたソールユニットとを含む。ソールユニットは、ソールユニットの地面に向く表面から突出する複数のクリートを有する。各クリートは、クリートを含むクリートシステム内にある。クリートは、ヘッド部分とベース部分とを有する。クリートは、ポストに係合され、ポストは、クリートに固定又は取り外し可能に固定された第1の端部と、ソールユニットのプレート部分に固定又は取り外し可能に固定された第2の端部とを有する。クリートは、(i)プレート部分に対するポストの第2の端部の旋回、及び(ii)クリートのベースとソールユニットの地面に向く表面との係合による旋回及び/又は変形動作によって、横方向に偏向可能である。
【0039】
前述の、又は他の実施形態では、偏向能は、ポストの第2の端部とプレートとに関連付けられた補完的な凸状面と凹状面の旋回によって支援され得る。
【0040】
前述の、又は他の実施形態では、凹状面/凸状面は、ポストとプレート部分に含まれるレセプタクルとに関連付けられ得る。
【0041】
前述の、又は他の実施形態では、凹状面/凸状面は、プレート部分に含まれるレセプタクルとプレート部分の側壁とに関連付けられ得る。
【0042】
前述の、又は他の実施形態では、偏向能は、クリートのベースとソールユニットの地面に向く表面とに関連付けられた補完的な凸状面と凹状面の旋回によって支援され得る。
【0043】
前述の、又は他の実施形態では、偏向能は、クリートのベース部分及び/又はベース部分に隣接するソールユニットの取り付け部分の変形によって支援され得る。
【0044】
他の可能な一般的な実施形態では、本発明の主題は、前述の実施形態のいずれかを作製する方法に関する。例えば、1つの可能な方法では、本発明の主題は、以下のステップを含むソールプレートを作製する方法に関し、そのステップは、地面に係合するヘッド部分を有し、そこから靴のソール部分用のソールプレートに係合する端部を有するベース又はポスト部分が延在するクリートを供給するステップであって、凹状又は凸状のレセプタクル部分がソールプレート部分に含まれ、クリートポスト又はベース部分が、剪断力に応じて凹状又は凸状のレセプタクル部分と旋回可能に係合する補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んでいるステップと、クリートシステム内に、クリートヘッド部分及び/又はポストと係合する1つ以上のエラストマ要素を供給して、横方向の剪断力に応じた変形又は偏向の程度を制御し、力が除去されるとクリートを中立位置に戻すステップである。
【0045】
別の可能な一般的な実施形態では、本発明の主題は、ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムを含む靴のソール部分に関するものであり、各クリートシステムはクリート本体を有し、クリート本体の側面には1つ以上のバットレスが配置され、少なくとも1つのバットレスがクリート本体の偏向能又は変形能を制限する。バットレスは、選択された横方向又は垂直方向におけるクリート本体の偏向能又は変形能を制限しない選択された変更ができるように、及び/又は選択的に取り外して異なる偏向特性又は変形特性を有する異なるクリートと交換できるように構成される。
【0046】
前述の、又は他の実施形態では、バットレスは、クリートの偏向又は変形の方向制御を行う選択された変更ができるように構成され得る。
【0047】
前述の、又は他の実施形態では、クリートシステムは、クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主にソール部分の外側又は内側の一方に向かって異方性の偏向又は変形を生じるように構成され得る。
【0048】
前述の、又は他の実施形態では、各変更可能なバットレスは、選択された変更ができるようにクリートを切断する方法をユーザに示す割線を含む。
【0049】
本発明の主題による様々な実施形態は、以下の詳細な説明及び図面でより詳細に説明される。添付の特許請求項は、この文献で最初に出願されたとおり、又はその後修正されたとおり、本明細書において、直接記載されたかのように、この発明の概要セクションに組み込まれる。上記は、本発明の主題の実施形態及び特徴の網羅的なリストであることを意図するものではない。当業者は、図面と併せて以下の詳細な説明から他の実施形態及び特徴を理解することができる。添付の図は、先行技術を示すものとして明記されていない限り、本発明の主題による実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】代表的な滑り止め付き運動靴の側面図を示す(右足用の靴が示され、左足用の靴は鏡像になる)。
【
図2A】
図1の運動靴で使用され得るクリートシステムの立面断面図を模式的に示しており、クリートは中立で無負荷の状態である。
【
図2B】クリートが所定の横方向の負荷を受けて、所定の方向に、靴底に対して所定の角度で偏向される、
図2Aのクリートを示す。
【
図3】滑り止め付き靴のソールユニットに含まれ得るクリート取り付け領域の単独平面斜視図を示す。
【
図4】
図3の取り付け領域に取り付けられ得る取り外し可能なクリートの立面側面斜視図を示す。
【
図5】クリートシステムにおけるクリートの偏向能を制限し、クリートの中心への復帰を支援するとともに、またクリートハウジングへのごみの侵入に対して靴を密閉する弾性要素の平面斜視図を示す。
【
図6】
図1の運動靴に使用され得る代替クリートシステムの立面断面図を概略的に示しており、クリートは中立で無負荷の状態である。
【
図7】
図1の運動靴に使用され得る別の代替クリートシステムの立面断面図を概略的に示しており、クリートは中立で無負荷の状態である。
【
図8】
図1の運動靴で使用され得る別の代替クリートシステムの立面断面図を概略的に示しており、クリートは中立で無負荷の状態である。
【
図9】
図1の運動靴で使用され得る別の代替クリートシステムの立面断面図を概略的に示しており、クリートは中立で無負荷の状態である。
【
図10】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの底面図である。
【
図11】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図を示す。
【
図11A】
図11のクリートシステムのクリートの長軸に沿った単独の断面図である。
【
図11B】
図11のクリートシステムのクリートの直交短軸に沿った単独の断面図である。
【
図12】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図である。
【
図12A】
図12のクリートシステムの、図示された湾曲の中心線に沿った単独の断面図である。
【
図13】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図である。
【
図14】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットを備えた靴の別の実施形態の側面図である。
【
図14C】
図14Bと同じであるが、横方向の負荷がかかっている状態を示す図である。
【
図15】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットを備えた靴の別の実施形態の側面図である。
【
図16】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図である。
【
図17】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図である。
【
図17A】
図17の表示線に沿ったクリートシステムの単独の断面図である。
【
図18】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットを備えた靴の別の実施形態の側面図である。
【
図19】1セットの偏向可能又は変形可能なクリートシステムを具体化したソールユニットの別の実施形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の主題及びその特徴による代表的な実施形態は、
図1~
図19に示されており、同じ又は概ね類似の特徴は共通の参照番号を共有し得る。図面は説明目的であり、必ずしも縮尺通りではない。
図10~19本発明の主題の様々な他の可能な実施形態を示す。(実施形態の主要図には図番号が付けられ、実施形態又はその一部分の追加図にはアルファベットのラベル、例えば、
図10A、10B、...を含む)。
【0052】
本発明の主題は、一般的に、クリートにかかる所定の大きさの剪断力に応じてクリートの横方向の変形又は偏向を可能にするクリートシステムに関する。特定の実施形態では、クリートシステムは、凹状又は凸状のレセプタクル部分を靴のソールアセンブリのソールプレート部分に含み、クリートは、剪断力に応じて凹状のレセプタクル部分と旋回可能に係合する補完的な凸状又は凹状形状を有するポスト部分を含む。エラストマ要素は、システムに含まれ、クリートヘッド及び/又はポストと係合して変形又は偏向の程度を制御し、力が除去されるとクリートを中立位置に戻す。いくつかの実施形態では、エラストマ要素は、クリートの変形又は偏向を方向的に制御するように構成及び/又は配置される。例えば、クリートシステムは、主に靴の外側又は内側の一方に向かって偏向を異方性によって可能にするように構成され得る。
【0053】
図1は、アッパ2と、アッパの下方に連結されたソールユニット3とを有する運動靴1を示す。ソールユニットは、靴の遠位端(足前部)から靴の近位端(足後部)まで延びる長手方向軸を有する。(本明細書で使用される参照番号は、共通構造の一般的な指標であり得るが、図及び本文から明らかなように、詳細は図ごとに異なる場合がある。)ソールユニットは、複数の構成要素を有し得て、インソール、ストロベル又はその他のラスティングボード、ミッドソール又はその他のクッション要素、剛体又は半剛体のプレート(例えば、プラスチック、硬いエラストマなどのポリマ、半剛性のボード、炭素繊維又はグラスファイバなどの複合材、熱硬化性材料、金属、皮革など)、及び/又はアウトソールのいずれか1つ以上を含んでいる。このような材料は、足の全長と幅、又はその一部分に対応し得る。このような構成要素は、当業者によく知られている。適切なプラスチック及びエラストマは、熱可塑性ポリマ及び熱弾性ポリマを含む。
【0054】
靴は、複数の離隔されたクリート又はスタッド12をソールユニット3に備えたクリートシステム10を含んでおり、クリートはソールユニットの底部から外側に突出する。クリートは、柔軟な地面支持面に埋め込まれるか、又はそれを把持するように適合され、選手又は他のユーザのトラクションを向上させる。複数のクリートの一部は、ソールユニットの足前部セクションに配置され、一部はソールユニットの足後部セクションに配置される。クリートは、ソールユニット3の取り付け領域20に、ねじ付きポストを使用して取り外し可能に取り付けられ得る。靴のクリートの数、それらのサイズと形状、及びそれらの間隔と配置は、当業界でよく知られているように、大幅に変更できる。1つ以上のクリートは、偏向可能であり得る。すべてのクリートが偏向可能である必要はない。例えば、偏向可能なクリートは靴の足前部領域にのみ含まれ、足後部領域には含まれない場合がある。更に、偏向可能なクリートの一部は、偏向の方向及び/又は角度に関して他のものと異なる偏向であり得る。クリート及びソールユニットへのそれらの取り付けの詳細については、以下に提示する。
【0055】
図2A~
図2Bは、複数の偏向可能なクリート12を有するクリートシステム10の1つの可能な例を示す。システムは、ソールユニット3の取り付け領域20にそれぞれクリート12を含む。
【0056】
クリート12は、地面に係合するヘッド部分14と、ソールユニットに隣接して位置するベース部分15を含む。ポスト16は、ヘッド部分から延在し、取り付け領域でレセプタクルに係合する端部分18を有する。一般的に、ポストは、意図された使用の条件で通常、遭遇する圧縮力を受けても撓むことのない金属又はその他の構造的に堅固な材料で作製される。(ポスト部分は単に「ポスト」と呼ばれてもよい。)
図2A~
図2Bの例では、ポストは、ヘッド部分の雌ねじと係合するねじ付き部材であってもよい。ポストは、ヘッド又はソールユニットにプレフィックスされ得る。ポストは、剛構造であってよく、又は実質的に剛体であるが、圧縮力、張力、又は曲げ力を受けて所望の程度に弾性変形し得るものであってもよい。
【0057】
ソールユニットの取り付け領域20は、クリートをソールユニットに固定するための堅固な材料、例えば、剛な又は堅固なプレート構造22であってもよい。図示の例では、ソールユニットは、比較的剛性の高いソールプレート22を、少なくともクリートが取り付けられる領域に含む。図示のソールプレートは、固定された凹状のレセプタクル部分24を含む。(他の実施形態では、レセプタクル部分は凸状であってもよい。)レセプタクルの開いた側面は、靴の底部から離れた方を向く。クリートポストの端部分18は、レセプタクルの凹状面と補完的な凸状形状を有するセクション25を含む。それによって、凸状構造は、横方向の力に応じて凹状のレセプタクル部分24に旋回可能に係合し得て、クリート12を任意の所望の方向に偏向させることができる。様々な材料は、本明細書で説明するソールプレートを作製するために使用され得る。例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱可塑性エラストマ、ガラス複合材、ガラス繊維入りナイロンを含むナイロン、ばね鋼、炭素繊維、セラミック、又はフォーム若しくはゴム材料(例えば、限定するものではないが、ショアAデュロメータ硬度が約50~70(ASTM D2240-05(2010)標準試験方法を使用)若しくはアスカーC硬度が65~85(硬度試験JIS K6767(1976)を使用)のフォーム又はゴム)は、ソールプレートに使用され得る。他の天然及び合成材料もまた、ソールユニットについて上で説明したように適している場合がある。
【0058】
適切な取り付け領域又は他のソールプレート部分は、TPU、ナイロン、ペバックス、及び複合材を含む。同様に、クリートは、このような材料、及び当業者に周知の他の多くの材料から、全体的又は部分的に作製され得る。
【0059】
偏向の程度又は角度を制御するために、1つ以上の弾性エラストマ要素26がクリートシステムに含まれて、クリートヘッド部分及び/又はポスト16と係合して、横方向の力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、力が除去されるとクリートを中立位置に戻す。エラストマ要素は、クリートの偏向又は変形の範囲を制御する弾性バンパとして機能する。通常、エラストマ要素は、成形可能なポリマ材料、例えば天然又は合成のゴム又はゴムのような材料である。しかし、それらはまた、機械的ばね、例えば圧縮ばねであり得る。エラストマ要素は、クリートシステムの他の構成要素に直接又は間接的に動作可能に結合された個別の構造であってもよい。それらはまた、異なる材料特性を有する材料を共成形するなどによって、他の構成要素と一体構造に統合され得る。
【0060】
図2A~
図2Bの実施形態では、偏向能は、環状のエラストマ要素26によって支援される。エラストマ要素は、ポスト端部分18とソールプレート22との間に介在し、これらの構成要素に動作可能に結合される。図に示すように、ソールプレートは、チャネル又はその他のキャビティ30を含み、それはポストよりも幅が広く、エラストマ要素の圧縮時にポストと、関連するクリートの移動又は自由な遊びの程度を画定する。この実施形態では、エラストマ要素は、キャビティの壁の間の隙間を占める。
【0061】
図2Bに示すように、力を受けると、エラストマ要素は横方向の負荷の下で変形して、ポストとクリートの偏向を支援する。この例では、エラストマ要素は環状であり、ソールプレートの補完的な円形チャネルの中に収まるため、クリートは、360°のどの向きにも、所定の角度まで偏向し得て、この例の場合では、約12°(ソールプレートに対するポストの角度)まで偏向し得る。
【0062】
他の場合では、キャビティは、偏向の方向と程度を制限する方向性チャネルであり得る。例えば、チャネルは、長手方向軸が、靴の外側と内側の間、つまり靴の横方向軸に向いた楕円形であり得る。チャネルは、その長手方向軸に沿って所定の量の自由な遊びを許容し、靴の横方向軸に沿って異なる量の自由な遊びを許容するようにサイズと形状を決めることができる。例えば、靴の長手方向軸に沿って自由な遊びが殆どないか全くなく、靴の横方向軸に沿ってかなりの自由な遊びがある場合がある。
【0063】
図2A~
図2Bの実施形態では、ソールプレート22は、ソールの外向き側の取り付け領域の上に突出又は凸状の領域28を有する。凸状の表面は、クリートの底部の補完的な凹状面30と旋回可能に係合するように構成される。
【0064】
図3は、滑り止め付き靴のソールユニットに含まれ得るクリート取り付け領域を単独で示す平面斜視図を示す。
【0065】
図4は、
図3の取り付け領域に取り付けられ得る取り外し可能なクリートの立面側面斜視図を示す。
【0066】
図5は、クリートの偏向能を制限し、クリートシステムの中心への復帰を支援するとともに、靴を密閉して、クリートハウジングの中に異物、不要なごみが侵入しないようにもする弾性要素の平面斜視図を示す。
【0067】
図6~
図9は、本発明の主題のバリエーションを示す。これらの代替実施形態では、クリートシステムは、
図3に示すような雌ねじ付きレセプタクルと、
図4に示すような固定されたねじ付きポスト要素を備えたクリートを使用する。
【0068】
図6の実施形態では、ポスト116は、クリート112に固定された部分と、クリートからレセプタクル124の補完的なねじ領域に延びるねじ部分とを有する。レセプタクルは、凸状のフランジ部分125を、ソールプレート122の凹状部分127と係合する側面に有する。ソールプレートは、キャビティ又はチャネル130を含み、それはポストと、関連するクリートの自由な遊びの範囲を画定する。弾性のあるエラストマ要素126は、ポストとキャビティの側壁との間に介在して、ポストとクリートの偏向の範囲を制御する。クリートの底部はまた、弾性のある弾性変形可能な材料の性質を持つ環状のエラストマ要素226を含むことで、横方向の力に応じて偏向を支援する。
【0069】
ソールプレートは、剛体ワッシャ又は金属プレート132を用いて、クリートの底部に接する部分が補強され得る。クリートの剛体部分と弾性変形可能な部分は、異なる共成形ポリマ材料で形成された一体構造であり得る。又は、それらは、接着又は他の方法で一緒に固定された個別の構造であり得る。クリートの中に挿入するポストの部分は、例えば、インサート成形、ねじ留め、化学結合又は熱結合などによって、クリートに固定又は取り外し可能に固定され得る。ソールプレート122の内側と外側にあるエラストマ要素126及び226の配置に基づいて、クリートは異なる方向に揺動し得る。エラストマ要素226が一方の側に圧縮変形されると、クリートのポストとクリートの軸線はその側に傾く。ポストの反対側では、レセプタクルフランジ125がエラストマ要素126上に下方に移動し、エラストマ要素126は対向する側に向けて圧縮変形する。特に、実施形態のエラストマ要素の配置はまた、クリートに対する長手方向又は垂直方向の圧縮力を和らげることを可能にする。
【0070】
図7の実施形態は、
図6の実施形態に類似する。1つの違いは、エラストマ要素126をクリートのポスト216とソールプレート222のキャビティ230の壁との間に介在させる代わりに、エラストマ要素326がレセプタクル224の外壁とキャビティ壁との間に配置されることである。レセプタクルとポストが一体構造で互いに物理的に結合されているため、大きな機能的差はない。別の違いは、クリートの底部分が変形可能である代わりに、ソールプレートが、クリート212の底部に隣接して当接する弾性変形可能なエラストマ要素426を含むことである。この場合、要素は周方向に取り囲んでおらず、ソールプレート222の選択された側にある。これにより、クリートとポストがその側へ、反対側からの横方向の力を受けて異方性の偏向をする。
【0071】
図8は、
図6~
図7の実施形態に類似した別の代替実施形態を示す。1つの違いは、ポスト316がねじ要素を介してクリート312に取り外し可能に固定されることである。ポストは、雄ねじを備えたクリート係合部分317を含み、補完的な雌ねじを備えたレセプタクル319に螺合される。レセプタクルは、クリートにインサート成形されてもよい。別の違いは、ソールプレートに固定されるポスト316の反対側の端部分325が、工具、例えば、ねじ回し、六角レンチ、スタードライバなどを係合するための窪みを備えた丸いボルトヘッドを有することである(
図2Aの実施形態は、同様に構成された端部分を有するポスト16とともに示される)。ソールプレート322の外向きの側は、
図7の実施形態と同様に、クリートヘッドのベースと変形可能に係合する一体に成形されたエラストマ要素526を含む。
図8の実施形態では、エラストマ要素626はポスト316に直接結合されない。ポストは、ソールプレートのレセプタクル324を介してソールプレートに旋回可能に固定される。エラストマ要素626は、ソールプレートのレセプタクルと周囲の壁との間に介在する。したがって、レセプタクル、ポスト及びクリートは互いに結合され、横方向の力を受けると一体として偏向する。
【0072】
図9の実施形態は、ソールプレート422に一体化されたエラストマ要素526を有する代わりに、エラストマ要素726が
図6の実施形態のようにクリートのベースに一体化されることを除いて同じである。
【0073】
したがって、前述の開示から、エラストマ要素の異なる配置がクリートシステム構成要素に直接又は間接的に結合されて、横方向の力の下での偏向を可能にし得ることが理解できる。
【0074】
競技中に、剪断力(横方向の力)が加わると、選手を負傷させる可能性があり、特に選手の膝及び足首の関節、軟骨、腱、及び靭帯を負傷させる可能性がある。又は、このような力は、関節、軟骨、腱、又は靭帯にストレスを生じる場合があり、それは靴の緩衝システムによって軽減され得る。
【0075】
図2Bに示すように、所定の横方向の内向きの力に応じて、クリート12は、360°の範囲の任意の向きに、又は360°のうち選択された範囲、例えば、靴の外側及び/又は内側のみに旋回することによって撓む。
【0076】
図1の靴を見ると、右足用の靴である(左足用の靴は鏡像で、図示されず)。クリートの遠位側又は足前部側は、0°又は360°と見なされ得て、クリートの近位側又は足後部側は180°と見なされ得る。靴の外側又は右側は90°であってもよく、内側又は左側は270°であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、右足用の靴を基準点として使用して、クリートは靴の外側及び/又は靴の内側に向く方向、すなわち、0~180°(外側)の方向及び/又は180°から360°(内側)の方向へ偏向し得る。いくつかの実施形態では、靴の長手方向の線に沿った偏向は、殆どないか、全くない場合がある。例えば、偏向能は、90°±45°及び/又は270°±45°の範囲に制限され得る。
【0078】
これまで、偏向の方向について説明してきた。クリートは、ソールユニットの底部に対して角度をなす垂直軸線(
図9の軸線Aなど)を有する。一般に、垂直軸は底部の表面の平面に対して垂直になる。クリートが特定の方向に偏向すると、クリートのソールユニットに対する垂直軸線が変化する。力と、クリートアセンブリに組み込まれた偏向に対する所定の力に応じて、クリートは、靴の運動使用中に人間が通常、遭遇する力に応じて、0°から45°まで変位するように設計され得る。いくつかの実施形態では、クリートは、2~20°まで偏向され得て、いくつかの実施形態では、クリートは5~20°まで偏向され得て、いくつかの実施形態では、クリートは12°±3°まで偏向され得る。
【0079】
前述の開示から、
図1~
図9のすべてのバリエーションは、ソールユニットに接続するポストに取り付けられたスタッド又はクリートに基づくことが理解され得る。地面に向く側とは反対側のソールプレートの側で、又はソールプレート内で、クリート及び/又はそのレセプタクルは、旋回する(ピボット、スイベル、又は別の方法でアイテム間の相対回転を可能にするという意味で広く使用される)一端部を有し、その結果、クリートは、補完的で湾曲した、好ましくは低摩擦のベアリング面を使用して、ソールの地面に向く表面に対して偏向又は変形する。ソールの地面に向く側では、クリートのベースもまた、同様の補完的な湾曲したベアリング面を使用して、又はクリートのベース及び/又はソールプレート(又は別のソール表面)の当接領域に組み込まれた変形可能な要素を介して、旋回可能又は変形可能である。他の実施形態では、クリートのベースは固定点の中心にあるのではなく、移動可能であり得て、例えば、クリート全体はソールに対して垂直のままであるが、横方向の力を受けて中心点から横方向に移動する。
【0080】
図10~
図19は、本発明の主題による、偏向可能又は変形可能なクリートの更なる実施形態を示す。
図10は、ソールユニット3上の調整可能なクリート又はスタッドシステム10を示す。各システムは、クリート本体512と、クリート本体512の垂直側面部分に配置され、ソールユニットの底部まで延びる1つ以上の関連するバットレス部分513を含む。クリート本体上の1つ以上のバットレスは、サポートが少なくなるように変更可能であり、それによって関連するクリート本体は、より一層、偏向可能又は変形可能となる。
【0081】
他の様々な実施形態と同様に、クリート本体は、先細りの形状を有していてもよく、この例では円錐台形状である。バットレスのベース部分515は、ソールユニットに接続されてもよく、接続されなくてもよいが、いずれの場合も、少なくとも変更前は、サポートを提供するためにソールユニットに確実に押し付けられることになる。
【0082】
図示の実施形態では、クリートシステムは、履物の足前部と足中部に配置されているが、他の実施形態では、ソールユニットの足前部、足中部、及び/又は足後部のいずれか1つ以上に配置され得る(本明細書で開示されている任意の他の実施形態の場合も概ねそうである)。一般に、クリートは、1つ以上のバットレスのサポートを減らすことで、偏向能を調整している。偏向の方向性は、ユーザによって変更されるバットレスを選択することにより調整可能である。
【0083】
1つの可能な実施形態では、クリート本体512は、従来の硬質プラスチッククリートよりも剛性の低い材料で作られているため、バットレスなしでもある程度の偏向能を有する。例えば、本体は、アスカー40Aからアスカー90A(柔らかいゴムから非常に硬いプラスチック)又はそのあたりの範囲のいずれかの点のデュロメータを有するプラスチック又はエラストマであり得る。バットレスは、比較的剛性の高い材料、例えばアスカー40Aからアスカー55Dのデュロメータ硬さを有する熱可塑性プラスチックである。これによって、バットレスの比較的高い剛性により、本体部分の偏向能が制限される。他の実施形態では、クリート本体及び/又はバットレスは、熱可塑性プラスチックで作製される必要がない。例えば、クリート本体は、
図1~
図9の実施形態につい上述したように、エラストマシステムによって偏向可能な金属又はその他の剛構造であり得る。
【0084】
図示の実施形態では、バットレスは、クリート本体とソールプレートとの間に物理的にまたがってクリート本体を支えるフィンのような要素である。フィンは、クリート本体の全長に沿って、又は長さの一部分に沿って配置され得る。クリート本体の長さは、4mmから10mm(又はそのあたりの範囲のいずれかの点)であり得て、フィンのウェブの厚さは1mmから3mm(又はそのあたりの範囲のいずれかの点)であり得る。図示のように、フィンは、ソールユニットのベースからクリート本体のヘッドに向かって下向きに先細りになる三角形の形状を有する。他の形状、例えば直線又は曲線も可能である。バットレスは、クリート本体の調整可能な偏向又は変形を供給し得るのみでなく、地面を突き刺し、又はそうでない場合はトラクションのために地面に係合する特徴部であってもよい。
【0085】
一体型のクリート/バットレス構造に加えて、バットレスはクリート本体から取り外し可能であってもよい。例えば、本体は、フィン状のバットレスの側面と係合するためのスロットを有し得る。他の実施形態では、接続には、ねじ又は他の周知の締結システムを用いてもよい。バットレスを取り外し可能にすることにより、様々な条件又は状況に合わせて調整する必要がある場合に、バットレスを交換して、ユーザにより多くの調整オプションを提供し得る。同様の利点は、クリートシステム10全体を取り外し可能及び交換可能にすることによって達成される。
【0086】
クリートシステムは、ソールユニットと一体構造となり、例えば、共成形であるが、様々なデュロメータを用いて、示された機能を供給し得る。又は、クリートシステムは個別のアイテムであり得て、それは、一般に周知であるように、例えば、ねじ付きポストシステムを使用して、ソールユニットと統合される。
【0087】
任意の所与のバットレスは、1つ以上の割線517を有し得て、バットレスは、複数の部分に分割され得て、1つの部分が別の部分に対して自由に移動する。
【0088】
バットレスは、クリート本体の周囲のどこにでも配置され得て、その結果、本体がバットレスの方向に偏向することが制限される。図示の実施形態では、4つのバットレスがそれぞれ隣のバットレスから90°離れる。したがって、クリート本体は、360°にわたって偏向することが制限される。一般に、クリートシステム10のいずれを見ても、1対の対向する遠位-近位バットレスがあり、ソールユニットの長手方向の線に概ね沿った前後方向の偏向が制限され、また、第2の対の対向する外側-内側バットレスがあり、クリート本体の長手方向の動きを制限する。しかし、図からわかるように、所与のクリートシステムでは、対向するバットレスの対は、ソールユニットの長手方向軸と横方向軸に対して横切る方向に配置されている場合がある。図示の実施形態では、クリート本体の周囲に均等間隔で配置された4つのバットレスを示すが、より多く、又はより少ないバットレスが使用されてもよい。例えば、横方向の偏向を調整するために、1つのバットレスがクリート本体の外側又は内側に配置される必要があるのみである。
【0089】
クリートシステムの調整可能性は、1つ以上のバットレス上の1つ以上の割線を変更して、バットレスによる支えを弱めるか又は除去する切断領域を作成することによって達成され得る。割線は、バットレスの表面にある物理的な特徴、例えばノッチ、溝、又は一連の窪み若しくは穿孔であり得て、バットレスを1つ以上の部分に切断又はそうでない場合は分離することを容易にする脆弱性を作り出す。分離のラインは、直線、曲線、又はその他の非直線経路であり得る。例えば、クリートシステム10の単独図である
図10Aでは、割線517は、ユーザが切るか(はさみアイコンで示されるように)、又は他の方法で切断して、バットレス513を上部分513Aと下部分513Bに分離し得る。バットレスの側面に割線を設ける利点の1つは、クリート本体のヘッド部分が構造上そのままで地面と係合することである。更に、割線をバットレス内に収めて供給して、クリートの本体まで延ばさないことによって、クリートの本体はそのまま残り、過度に弱化されない。(ただし、割線をクリート本体に使用できない、又は使用すべきでないということではない。)
【0090】
バットレスの表面への物理的な割れ目に加えて、割れ目は、バットレスの表面にユーザが切断を作成し得る位置を示す線を印刷するなどの視覚的なマーキングであってもよい。
【0091】
複数の割線は、所与のバットレスに設けられて、様々なユーザ選択と効果を可能にし得る。例えば、上部又は浅い割線が設けられることで、制限された偏向を可能にし得て、又は下部又は深い割線が設けられて、より大きな、又は完全に無制限の偏向を可能にし得る。ユーザは、どのクリートシステムを変更するかを選択するのみでなく、所与のクリートシステム上の1つ以上の割線のどれを切断するか、又は切断の深さを選択することにより、履物を調整し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、クリートシステムが回転可能であることで、バットレスは任意の方向に配向され得る。この利点の1つは、所与のクリート本体に割線を備えた複数のバットレスの必要性を排除し得ることである。例えば、クリート本体は、4つの離隔されたバットレスを有し得て、横方向又は横方向-内側方向の偏向を供給するために、1つ又は2つのバットレスがそれぞれ割線を有しさえすればよい。
【0093】
横方向の偏向が調整され得るのみでなく、垂直方向(長手方向)の偏向が、バットレスをクリート本体のヘッド又は先端領域の周囲から切り取るか、又はそうでない場合は取り除いてそれを露出させることで設けられ得る。垂直方向の偏向の程度は、バットレスがないクリート本体のヘッド部分の量を変えることによって制御され得て、それによってクリート本体の垂直方向の偏向能を制限しない。クリートの位置はまた、変更されて、カスタムプロファイルを作成し得る。
【0094】
偏向可能又は変形可能なクリートの特定の方向は、特定の所与の活動又は動きに対して、より優れた、又はより適切なトラクションをもたらし得る。例えば、野球やゴルフでは、クリートが左右(内側/外側)又は回転方式で変形して、打撃/バッティング/スイング中の足のねじり動作を支援することが望まれる場合がある。フットボールでは、特定のスキルポジションでは、左右の動き(カット)に対して遅延トラクションが必要であり、長手方向の動きに対してより直接的なパワー伝達が必要になる場合がある。
【0095】
図11は、複数のクリートシステム10をソールユニット3のソールプレート22上に配置した、偏向可能又は変形可能なクリートシステムの別の実施形態を示す。この実施形態では、クリートシステムは、ヘッド部分114とベース部分115を有するクリート12からなる。ベース部分は、クリートをソールプレート又は他のソールユニット構造に接続する。ヘッド部分114は通常、剛材料であり、従来のクリート及びスタッドと同様に、地面に係合してトラクションを供給し、硬い地面にいくらか突き刺さるのに適する。例えば、それは熱可塑性又は硬いエラストマ材料であり得る。ベース部分は、エラストマ材料であり、運動又は屋外での使用で通常、遭遇する高負荷の下で横方向に偏向することができる。
【0096】
少なくともベース部分115は、横方向の負荷の下で異方性変形を可能にする長円形又は細長いプロファイルを有する。長円形の形状を考慮すると、クリートシステム10は、クリートシステムの横方向軸上でより容易に偏向し、これは、横方向軸の方が長手方向軸よりも狭いためである。図示の実施形態では、長円形構造は六角形である。ヘッド部分もまた、ベース部分の底部と同心の六角形の形状である。
【0097】
図11A~
図11Bは、負荷がかかっていないときのクリートシステム10の断面を示し、
図11Cは、横方向の負荷(クリートシステムの横方向軸、つまり長壁に対して直交する方向の軸を通して加えられる力)がかかったときの
図11Bの断面を示す。クリートシステムは、加えられた負荷の方向に偏向することがわかる。クリートシステムの長手方向軸を通して加えられる同様の負荷は、偏向に対して比較的抵抗力がある。(図面のすべてのこのような図では、特に断りがない限り、クリートヘッドは垂直方向の負荷、例えばクリートシステムを備えた靴を履いている人の負荷を受けているものと想定される。)
【0098】
クリートベース部分115は、アコーディオンのような構造を有するエラストマ材料のコア領域34を含み得て、圧縮された高さを超えて弾性的に伸びることができ、それによってより広い範囲の偏向を可能にする。アコーディオン構造は、硬いコードを示し、最初は弛んでいて、クリートの動きを、ある所定の偏向限界で、すなわち弛みが解消されたときに制限する。
【0099】
図12は、複数のクリートシステム10をソールユニット3のソールプレート22上に配置した、偏向可能又は変形可能なクリートシステムの別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、クリートシステムは、ヘッド部分214、ベース部分215及びポスト部分216を備えたクリート12からなる。ヘッド部分は基本的にキャップである。ヘッド部分の下に配置されたベース部分は、エラストマ又はその他の圧縮可能な材料826を含むキャビティを画定する。ベース部分は、ソールプレート上での動きを可能にするように構成される。ソールプレートに接続されたポスト又はその他のアンカ216は、ソールプレートから圧縮可能な材料の中に延在する。アンカは、フレア状又はフランジ状の上部分218を有する。クリートは、アンカが材料826に埋め込まれ、その材料がクリート10に封入されることによってアンカ上に保持される。フレア状部分は、より良い埋め込みのために接触表面積を増大する。クリートは、アバットメントレッジ36を含み、それはベースセクションのキャビティに水平方向に突出して材料826を保持するのに役立つ。図示の実施形態では、エラストマ構造は、アンカのすべての側面の周囲に示されるが、他の実施形態では、選択した側面に配置されてもよく、又は間隔を空けて複数のセクションに配置されてもよい。
【0100】
図示のように、この実施形態のクリートシステム10は、それ自体、凸状側面と凹状側面を有する細長い弧状の要素である。いくつかは、ソールユニットの足前部に配置され、凹状側面が内側を向き、概ね端から端の(ただし離隔した)パターンで放射状(円形)の経路を画定する。すべてのクリートが経路内にあるわけではない。見てわかるように、あるクリートシステムは、その経路の外側が遠位にあり、あるクリートシステムはその経路の外側が近位にある。すべてのクリートシステムは、概ね、ユーザの足が円形パターンの中心の周りに旋回できるように位置決め及び配置され、その中心は足前部の中心又はその付近にある。
【0101】
略円形の経路上のクリートシステム10の配置に基づき、それらは、
図12の矢印で示されるように、地面上で放射状又は円弧状の経路で回転し得る。
図12A(無負荷状態のクリートシステム)と
図12B(負荷状態のクリートシステム)を見ると、アンカ216上のクリート12の自由な遊びに基づいて、クリートは、
図12Bに示す力矢印で表示するように、クリートの長壁に加えられる横方向の力に応じて横方向に偏向し得て、また、加えられた力の方向へのクリート12の移動が示される。圧縮可能な材料は、復帰力を適用して、力が除去されると、クリートシステムを
図12Aの無負荷状態に戻す。
【0102】
図13は、ソールユニット3上の偏向可能又は変形可能なクリートシステムの別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、ソールプレート22には、複数の異なるクリートシステム10.1、10.2、10.3が配置されている。各クリートシステムは、一般に取り外し可能であることで、ソールユニットは、異なる偏向能のクリートシステムを用いて調整可能である。この実施形態では、クリートシステムは、
図10の説明で上述したような1つ以上のバットレスを含むクリートを有する。この場合、クリート12.1、12.2、12.3は、従来のクリートシステムと同様の、又は他の実施形態で前述したような、ねじ付きポストシステムに基づいて取り外し可能である。この場合、クリートは、ソールプレート22に配置されたポスト16にねじ込まれる。
図13Aに示すように、1つのクリート、例えばクリート12.1は、より少ないバットレスを有するか、又はバットレスを有さずに別のクリート、例えばクリート12.3よりも剛性の低い材料で作られて、偏向可能性又は変形可能性の相対的な違いを供給し得る。クリートがバットレスを有していない他の実施形態では、それらは異なる材料で作られるか、又は偏向可能性又は変形可能性の相対的な違いを供給する異なる構造又はプロファイルを有してもよい。
図13Bは、
図13の代表的なクリートシステムの斜視図を示す。
【0103】
特定の実施形態では、ポストの周りに取り付けられたクリートとポストの両方が、偏向可能又は変形可能である。クリートは、比較的剛性が高いことで、ポストの動きを制限する。しかし、クリートは、一般的にポストと一緒に曲がる。異なるクリートは、ポストに対して異なる効果を有し、例えば、剛性に影響を与え、又は選択された方向への偏向可能性若しくは変形可能性を供給する。
【0104】
図14は、複数のクリートシステム10がソールユニット3のソールプレート22上に配置された、偏向可能又は変形可能なクリートシステムの別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、複数のクリート12が、複数の座標軸の方向に変形するように構成された変形可能なソールプレート22に接続されることで、その表面のクリートは横方向、長手方向、垂直方向に(つまり、XYZ軸のいずれかに沿って)偏向する。図示のように、クリートは、ソールユニットの足前部の周りに放射状パターンで配置され、
図11の実施形態のクリートが配置されているのと同様である。この例では、クリートは厳密には弧形ではないが、同様の形状である。この場合、クリートはエルボ形状で、片側に頂点があり、反対側は開いた角度になっている。
【0105】
ソールプレート22は、クリート12が配置されている下部プレート38、上部プレート40、及び下部プレートと上部プレートを動作可能に相互接続する変形可能な支柱要素42からなる。プレートは、図示のように、一般的に平行な平面にある。支柱要素は、力を受けて変形可能又は偏向可能であり、上部プレートと下部プレートが、X、Y、Z軸に沿って加えられた力の正味の方向に、互いに対して変位するのを可能にする。
【0106】
図示の実施形態では、支柱要素は、
図14Aに示すように、放射状パターンに配置された薄くて細長いエラストマ要素である。これらは、ソールユニットの足前部に円形又は放射状パターンで配置される。各支柱要素は、一端部が足足部の縁部に又はその近くに配置され、足前部の形状(水平面のプロファイル)を集合的に画定し、また、前足部分の中心部分領域に向かって延びる反対側の縁部があり、複数のその支柱端部が円形領域44を画定する(水平面のプロファイルも参照)。言い換えると、各支柱は、円の周辺から足前部の縁部に向かって放射状となる。
【0107】
多くの場合、ソールユニットを調整して、第1中足骨頭又はその周囲で旋回を生じることが適切である。図示のように、円形は足前部の内側に向かってオフセットされて、第1中足骨頭と一致するようになる。これは、放射状構造の(仮想)中心を足前部の回転中心の下に配置するということである。回転中心は、第1中足骨頭の下に存在しても(存在しなくても)よい。この放射状配置により、ソールユニットを調整して、下部プレートが上部プレートに対して放射状に動くことを可能にする一方、横方向及び長手方向の動きを制限する。特に、変形は、時計回りと反時計回りで対称になってもよく、ならなくてもよい。
【0108】
図14Bは、
図14Aに示す断面線に沿った断面図である。これは、無負荷状態のソールユニットを示す。図示のように、支柱42は、下部プレートと上部プレートの間に直交して配置される。(プレートは、前述のように、熱可塑性プラスチックなどの剛体又は半剛体のプレート材料であり得る。)
【0109】
図14Cは、負荷が
図14及び
図14Aの力矢印に従って加えられたソールユニットを示す。図示のように、負荷が加わると、支柱は横方向に移動し、上部プレート(靴の足入れ部分とともに)は、加えられた力の方向に下部プレート上で横方向に移動する。
【0110】
上記は、支柱及びそれらのサイズと形状が決定される、可能な実施形態の1つにすぎない。当業者は、本明細書の教示から、下部プレートと上部プレートの調整された変位を可能にする他の多くの構成が本明細書の教示から可能であることを認識するであろう。例えば、プレートを動作可能に相互接続する細長い要素の代わりに、プレートが、柱、ピラー、球状要素、又はプレート間に離隔された他の個別の形状などの他の幾何学的形状によって動作可能に相互接続される。更に、細長い要素は直線である必要はなく、曲線であってもよく、又は他の非直線経路を有していてもよい。
【0111】
図15は、
図14に類似した実施形態を示す。この例では、支柱をソールプレート22の下部プレート38と上部プレート40との間に配置する代わりに、エラストマパッド142が、下部プレートと上部プレートとの間に配置され、これらを動作可能に相互接続する。エラストマパッドは、略平面構造であり、少なくとも水平面(X軸、Y軸)内でプレートを変位させることを可能にし、必要に応じて圧縮可能であり、それによって垂直方向(Z軸)の変位が可能となる。
図14の実施形態のように、下部プレートを上部プレートに対して放射状に移動することを可能にするために、ソールユニット3は旋回点44を含む。旋回動作は、プレート38、40、及び中間エラストマパッドにまたがるピン要素46を設けることによって達成され得て、プレート38がプレート40に対して旋回することを可能にする。ピンの1つの端部は、プレートの1つに固定され得て、別の端部は回転のために別のプレートの開口部内で自由になる。例えば、ピン要素46の上端部は、下部プレート38の開口部内で自由になる上端部で上部プレート40に固定され得る。ピンは、一端部又は両端部にフランジ構造を有して、当接プレートの表面に係合し得る。
【0112】
エラストマパッド142は、均一な厚さであってもよく、又は厚さが異なっていてもよい。図示の実施形態では、エラストマパッド142は足前部の外側及び内側の縁部から下方に向かって厚さが先細りとなる。遠位端から近位端までの厚さも異なっていてもよい。例えば、図示のように、足前部の遠位端は近位端よりも薄くてもよい。
【0113】
図14~
図15に示されたエラストマパッドは、ソールユニットの足前部と同じ範囲に広がる。しかし、他の実施形態では、パッドは足中部又は足前部にまで広がり得る。又は、パッドが足前部を部分的にのみ覆う場合もある。
【0114】
また、パッドは、連続構造又は不連続構造であり得る。連続構造では、途切れない表面を有するシート状の材料となる。不連続構造では、周辺に穴又はその他の穿孔部がある略平面構造となり、例えば、穿孔構造又はウェブ構造である。
【0115】
更に、エラストマパッドは、平面又は平滑ではない表面を有し得る。例えば、パッドは、波状形状又はその他の形状を、パッドの周辺内で、パッドの両面のうちの一方が、規則的又は不規則な間隔で有し、一般的なベース水平ベース面より上又は下に隆起し得る。(
図14の支柱もまた、パッドと同様に、様々な厚さ及び表面プロファイルを有し得る。)
【0116】
図16は、複数のクリートシステム10がソールユニット3のソールプレート22上に配置された、偏向可能又は変形可能なクリートシステムの別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、複数のクリート112は、少なくとも垂直方向(Z軸)に変形可能なクリート取り付け領域120を備えて構成されたソールプレート22に接続される。ソールプレート22は、(1)エラストマ領域、クリート取り付け領域120、及び比較的剛な領域121からなる下部プレート138と、(2)上部プレート140とを含むシステムである。
【0117】
プレートの組み合わせは、ソールユニットにスプリングボード、つまりばね圧縮効果を生じるように機能する。ユーザの足と地面との間の十分な垂直力又は圧縮力は、プレートを収束させる。収束の程度は、反作用する地面の力に依存する。地面が柔らかいほど、反力は低下し、収束は少なくなり、地面が硬いほど、地面の力は大きくなり、収束は多くなる。したがって、各クリートは、遭遇する表面の性質に適応し、従来のシステムよりも最適に力を消散でき、従来のシステムでは、クリートが硬いプレートに取り付けられており、クリートが様々な地面に個別に従うことができない。以下でより詳しく説明するように、下部プレートと上部プレートは異なる硬さを有することで、1つのプレートが別のプレートに対して、圧縮負荷を受けると弾性変形する。プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、スペーサは弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けるとその表面を変形させる。負荷が取り除かれると、ソールプレートシステムは、蓄積されたエネルギーを消散させ、プレートを元の状態に戻す。
【0118】
図16のソールユニットをより詳しく見ると、下部プレート138の露出した取り付け領域120は、下部プレート138の周辺領域121よりも弾性の高い材料で作製され得る。これは、クリートが弾性プレート(フィルム)に取り付けられているということである。クリートは、硬い表面に遭遇すると、窪み、又は引き込まれる。
【0119】
取り付け領域に配置されるクリート112は、地面に係合してトラクションを供給するのに適した、従来型の硬いプラスチック又はエラストマであり得る。しかし、従来のクリートとは異なり、本発明の主題のこの実施形態によるクリートは、チャネル415を含み、これは上部プレート140の下面に配置されたポスト416を受け入れる。ポストは、ポスト及びクリートの垂直(長手方向)軸に沿ってチャネル内でスライド可能である。ポストとチャネルは、補完的な密着フィットで構成されているように示される。この例では、ポストとチャネルは円筒形プロファイルを有する。圧縮力を受けると、ポストはチャネル内に下向きに移動する。チャネルは、閉じた端部又はその他の当接面を有して、ポストの移動を制限する。この場合、当接面はクリートの端部ヘッドにあるか、その近くにある。
【0120】
図16Aは、無負荷状態のソールプレート22を示す。この状態では、上部プレート140のスペーサ部分48が、上部プレート140を下部プレート138からオフセットする。スペーサは、上部プレート140の下面の突出領域であり得る。
図16Bは、力矢印で示されるように、負荷がかかったソールプレート22を示す。十分な負荷がかかると、スペーサ48は、下部プレート138の上面に係合し、それを下方に変形させる。この実施形態の上部プレートは、剛構造又は半剛構造であり、下部プレートは、少なくともクリート取り付け領域では、弾性構造である(ユーザが静止した姿勢にあるとき、変形を制限するのに十分ないくらかの支持剛性がまだある場合がある)。スペーサは、一般的な上部プレートの材料と同じ材料又は異なる材料で形成され得る。これらは、対応する、下にある下部プレート部分を、十分な力、例えば動的使用時に遭遇する力を受けて変形させるのに十分な硬度を有する。
【0121】
図14~
図16の実施形態の教示によれば、エラストマ要素は、上部プレートと下部プレートとの間に配置され得て、及び/又は、ソールプレートの一方又は両方は、少なくともクリート取り付け領域にエラストマ部分を有して、下部プレートに配置されたクリートの調整された変位を可能にし得る。前述の実施形態とは異なり、そのようなプレート又はエラストマ部分上の任意の1つ又は複数のクリートは、下部プレート又はエラストマ部分の動きと同時に偏向するか、又は変位することになる。
【0122】
米国特許第6,516,540号は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用されており、剪断力下で変形する履物用要素について説明する。これらの要素は、3次元的に変形するように特別に設計される。したがって、要素は、垂直方向に変形する(つまり、地面に対して足に向かって垂直に圧縮する)とともに、水平方向にも変形する(つまり、地面に対して平行な平面で剪断又は変形する)場合がある。このように、これらの要素は、足の衝撃エネルギーを消散させ、同時にこれら3方向の力の伝達を減らし、着用者の足、足首、膝、背中、及び関節にかかる全体的なストレスと負担を減らす。しかし、米国特許第6,516,540号では、平行な上部プレートと下部プレートの使用、又は滑り止め付き若しくはスタッド付きの履物に使用するためにその要素を適応させる方法については、教示も示唆もされていない。本明細書の教示を利用すると、米国特許第6,516,540号に開示された構造及び材料が、本明細書に開示される本発明の主題に適合するのに、どのように適切であり得るかが理解されるであろう。
【0123】
図17は、ソールユニット3上の偏向可能又は変形可能なクリートシステムの更に別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、ソールプレート22は、その上に複数のクリートシステム10が配置されている。この実施形態では、各クリート12は、上部分とベース部分を有する。ベース部分は、ソールプレート22に固定される。上部分は、ソールプレートの表面に対して略直交する線に沿ってセグメント化される。各セグメント12.1、12.2、12.3...12.xは、十分な力がかかると横方向に変位可能である。クリートベースには、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の任意の数のセグメントが配置され得る。セグメントは互いに接してもよく、又は離隔されるが十分に近接して、集合的に、静的負荷又は軽い力がかかったときに単一のクリート構造のように機能し得る。十分な力が加わると、セグメントは加えられた力と反対方向に変位可能である。
【0124】
図示のとおり、クリートは略放射状パターンで配置され、
図17の破線で示すように、クリートは放射状経路に沿って配置されて、放射状経路内を移動され得る。セグメントの変位方向を制御するために、セグメントは、偏向の方向及び/又は範囲を異方性によって制御する溝又はスロットに配置され得る。例えば、
図17Aは、溝50に配置されたクリート12の断面を示す。クリート12の長さは、溝の長さよりも短い。溝は、対向する側壁を有する。第1の側壁51は、セグメント12.1に対して、又は近接して配置される。したがって、セグメントは、その側壁の方向に変位することが阻止され、他のセグメントも、一緒に圧縮配置されているため、同様に変位を阻止される。他方、対向する第2の側壁52は、最も近い端部セグメント12.xから離隔される。したがって、そのセグメントと側壁との間には隙間があり、そのためセグメント12.xとすべての他のセグメントは、
図17Bの矢印で示されるように、反対方向への十分な力に応じて側壁に向かって変位され得る。変位の程度は、隙間のサイズによって制御される。側壁は、
図17Bに示すように角度を付けることができ、その結果、セグメントは、セグメント12.xが側壁52に接すると、折れ曲がり、又はバンチングすることなく、互いに平行に、整然と積み重ねられる。これは、特定のトルクに達した後のトラクションを減らすということである。クリートの高さが低いことと、クリートの角度が低いことは、両方ともトルクの低減に寄与する。
【0125】
図18は、ソールユニット3上の偏向可能又は変形可能なクリートシステムの更に別の可能な実施形態を示す。この実施形態では、ソールプレート22は、ソールプレートの足前部に配置された複数の異なるクリートシステム12.1及び12.2を有する。1つのセットのクリートは、クリートの配置によって画定された点を中心に旋回するように構成され、別のセットは、旋回動作を妨げないように構成されている。例えば、3つのクリート12.2は、均等に離隔され、選択された旋回点144の周囲に配置され、この旋回点は、この例では、第1中足骨頭又はその付近に対応するように構成される。クリート12.2は、クリート12.1よりも長い。この配置は、クリート12.2による地面との接触に都合が良く、短い方のクリート12.1は接触が減少するか、又は接触がなくなるため、クリート12.2の放射状配置によって画定される旋回点の周囲で旋回が生じる。旋回点を画定するクリートは、3つより多い、例えば、4、5、6、7、8以上の数になる場合がある。それらの形状は様々であり得る。例えば、
図19は、ソールユニット3上のクリートの放射状パターンを示す。この実施形態のクリート12は、
図18のピラー状のクリートとは対照的に、細長い弧状の形状を有する。
【0126】
図19はまた、本発明の主題の他の態様を示す。クリート12.1の外側放射状パターンがある。ソールユニット3にはクリート12.2の内側放射状パターンもあり、旋回点144が内側パターンの中心に画定される。クリート12.2は、クリート12.1よりも長くてもよい。
【0127】
内側と外側の放射状パターンによって、パターンのクリートの長さにおける差の有無にかかわらず、
図19と
図19Aの長い方の力矢印で示されるように放射状の動きが可能になり、一方、
図19Aの短い力矢印で示されるように横方向と長手方向の動きが制限される。図示のように、弧状のクリートは、上部から底部に向かって先細りになる。これにより、狭い上部54は地面に突き刺さるように構成される。また、それらは、図示のように、先細りの側壁56を有してもよく、したがって、より容易に地面に切り込み、回転し得る。
【0128】
以上のことから、本発明の主題は、運動用履物、又はその他の高いトラクションの履物に有利なソールユニット及びクリートシステムを提供し、靴の性能及び安全性を履物にかかる力に応じて向上させ得ることがわかる。
【0129】
当業者であれば、本発明の主題の性質を説明するために説明し、図示した部品及び動作の詳細、材料、及び配置には多くの変更及び変形が可能であり、そのような変更及び変形は、本明細書に含まれる教示及び請求項の趣旨及び範囲から逸脱しないことを認識するであろう。
【0130】
本明細書に引用されているすべての特許及び非特許文献は、あらゆる目的においてその全体が参照により本明細書に援用される。
【0131】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、「及び」又は「又は」と、「及び」及び「又は」を意味する。更に、本明細書で引用されている任意及びすべての特許及び非特許文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0132】
特定の例に関連して上記で説明した原理は、他の例のいずれか1つ以上に関連して説明した原理と組み合わせられ得る。したがって、この詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、この開示を検討した後、当業者は、本明細書で説明した様々な概念を使用して考案され得る多種多様なシステムを理解するであろう。更に、当業者は、本明細書で開示された例示的な実施形態が、開示された原理から逸脱することなく、様々な構成に適応され得ることを理解するであろう。
【0133】
開示された実施形態のこれまでの説明は、当業者が開示された革新を行う又は使用できるようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求された発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることを意図したものではなく、特許請求の文言と一致する完全な範囲が付与されるべきであり、ここで、冠詞「a」又は「an」の使用などによる単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味するものではなく、「1つ以上」を意味することを意図する。
【0134】
開示全体にわたって説明されている様々な実施形態の要素と構造的及び機能的に同等であり、当業者に周知であるか、又は後に知られるようになるすべての要素は、本明細書で説明され、特許請求されている特徴に包含されることが意図される。更に、本明細書で開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関係なく、公衆に提供されることを意図していない。特許請求の要素は、その要素が「するための手段」又は「するためのステップ」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法の下で「手段プラス機能(a means plus function)」の特許請求として解釈されることはない。
【0135】
発明者は、以下の特許請求の範囲及び趣旨に含まれるすべてを主張する権利を含め、本明細書に開示された主題に対するすべての権利を保有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクリートシステムを有する、靴のソール部分であって、
地面に係合するヘッド部分と、
前記ヘッド部分から延び、端部が前記ソール部分のソールプレートに係合するポスト部分とを有するクリートを有する各クリートシステムと、
前記ソールプレー
トの凹状又は凸状のレセプタクル部分であって、補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んだ、前記クリート
の前記ポスト部分が、剪断力に応じて旋回可能に係合する、凹状又は凸状のレセプタクル部分と、
前記クリートシステムに含まれ、前記クリート
の前記ヘッド部分及び/又は前記ポスト
部分と係合して横方向の剪断力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、前記
剪断力が除去されると前記クリートを中立位置に戻す、1つ以上のエラストマ要素と、
を備えるソール部分。
【請求項2】
前記エラストマ要素は、前記クリート
の変形又は偏向を方向的に制御するように構成及び/又は配置される、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項3】
前記クリートシステムは、前記クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に前記靴の外側又は内側の一方に向かって変形又は偏向するのを異方性によって可能にするように構成される、請求項
2に記載のソール部分。
【請求項4】
前記ソールプレートに凸状
部、前記クリート
の前記ヘッド部分に凹状部を更に備え、前記凸状部と
前記凹状部は前記剪断力の下で旋回可能に係合可能である、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項5】
前記凸状部は、前記クリート部分が通るチャネルを含み、前記チャネルは、前記クリート
の前記ポスト部分の所定の移動量を規定する、請求項
4に記載のソール部分。
【請求項6】
1つ以上の
前記エラストマ要素が前記チャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記ポスト
部分及び
前記凸状部と動作可能に係合して、偏向又は変形の前記程度を制御する、請求項
5に記載のソール部分。
【請求項7】
前記クリート
の前記ポスト
部分は前記ソールプレートのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記チャネル内で
前記ポスト
部分に隣接して配置されることで、
前記ポスト
部分及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項8】
前記エラストマ要素は、前記クリート
の前記ポスト
部分の周囲に配置されたリングを含む、請求項
7に記載のソール部分。
【請求項9】
前記レセプタクル
部分は、少なくとも部分的に前記ソール
部分のチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は
、前記レセプタクル
部分の
、前記チャネル内にある部分に隣接して配置されることで、前記レセプタクル
部分及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項10】
前記クリート
の前記ヘッド
部分と前記ソールプレートとの間の動作可能なインタフェースにおいて、前記インタフェースの領域における前
記ヘッド
部分と
前記ソール部分の一方又は両方は、エラストマ部分を含む、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項11】
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記クリート
の前記ヘッド
部分のエラストマベース部分を含む、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項12】
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記ソールプレートのエラストマベース部分を含む、請求項
1に記載のソール部分。
【請求項13】
クリートシステムを有する履物製品であって、
着用者の足を受け入れるように構成されたアッパと、地面に係合するように前記アッパに結合されたソールユニットとを備え、前記ソールユニットは、前記ソールユニットの地面に向く表面から突出する複数のクリートを有し、各クリートは、前記クリートシステム内にあり、
前記クリートシステムは、
ヘッド部分とベース部分とを有する前記クリートを含み、前記クリートは、ポストに結合され、前記ポストは、前記クリートに固定又は取り外し可能に固定された第1の端部と、前記ソールユニットのプレート部分に固定又は取り外し可能に固定された第2の端部とを有し、前記クリートは、(i)前記プレート部分に対する前記ポストの前記第2の端部の旋回、及び(ii)前記クリートの前記ベース
部分と前記ソールユニットの地面に向く表面との係合による旋回及び/又は変形動作によって、横方向に偏向可能であ
り、
前記クリートシステムに含まれる1つ以上のエラストマ要素が、前記クリートの前記ヘッド部分及び/又は前記ポストと係合して横方向の剪断力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、前記剪断力が除去されると前記クリートを中立位置に戻す、
履物製品。
【請求項14】
前記
クリートの偏向能は、前記ポストの前記第2の端部と前記プレートとに関連付けられた補完的な凸状面と凹状面の旋回によって支援される、請求項
13に記載の履物製品。
【請求項15】
前記
クリートの偏向能は、前記ポストと前記プレート部分に含まれるレセプタクルとに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項
13に記載の履物製品。
【請求項16】
前記
クリートの偏向能は、前記プレート部分に含まれるレセプタクルと前記プレート部分の側壁とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項
13に記載の履物製品。
【請求項17】
前記
クリートの偏向能は、前記クリートの前記ベース
部分と前記ソールユニット
の地面に向く表面とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、請求項
13に記載の履物製品。
【請求項18】
前記
クリートの偏向
能は、前記クリートの前記ベース部分及び/又は前記ベース部分に隣接する前記ソールユニットの取り付け部分の変形によって支援される、請求項
14に記載の履物製品。
【請求項19】
ソールプレートを作製する方法であって、
地面に係合するヘッド部分を有し、
前記ヘッド部分から靴のソール部分用の
前記ソールプレートに係合する端部を有するポスト又はベース部分が延在するクリートを供給するステップと、
凹状又は凸状のレセプタクル部分が前記ソールプレー
ト内にあり、前記クリートの
前記ポスト又は
前記ベース部分が、剪断力に応じ
て凹状又は凸状の
前記レセプタクル部分と旋回可能に係合する補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んでいるステップと、
前記クリートシステム内に、前記クリート
の前記ヘッド部分及び/又は前記ポストと係合する1つ以上のエラストマ要素を供給して、横方向の剪断力に応じた変形又は偏向の程度を制御し、前記
剪断力が除去されると前記クリートを中立位置に戻すステップと、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
発明者は、以下の特許請求の範囲及び趣旨に含まれるすべてを主張する権利を含め、本明細書に開示された主題に対するすべての権利を保有する。
<付記>
(構成1)
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステムは、前記ソールユニット上に配置されたクリートを含み、各クリートは、地面に係合するためのヘッド部分と、前記ソールユニット上に配置されたベース部分とを有し、各クリートは、エラストマ構造と関連付けられ、前記エラストマ構造は、十分な横方向の負荷がかかると偏向され、又は変形し、それによって前記クリートが横方向に偏向され、又は変形することが可能になる、クリートシステム、
を備えるソール部分。
(構成2)
各クリートシステムは、本体部分よりも比較的硬くて前記本体部分の下に配置され、選択された地面を突き刺すのに適しているヘッド部分を有し、前記本体部分は、運動使用又は屋外使用で通常、遭遇する高負荷の下で横方向に偏向可能又は変形可能なエラストマ材料で作製され、ここで前記ベース部分は、長円形又は細長いプロファイルを有して、横方向の負荷の下で異方性変形を可能にする、上記(構成1)に記載のソール部分。
(構成3)
前記クリートシステム又はクリートは、略放射状のパターンで配置される、上記(構成1)に記載のソール部分。
(構成4)
前記クリートは細長い弧状の形状を有す、上記(構成3)に記載のソール部分。
(構成5)
各クリートには、前記ソールプレート上に配置されて、前記クリートの各々のキャビティの中に下向きに延びるアンカがあり、前記エラストマ構造は、前記アンカの周囲又は前記アンカの選択された側面と前記キャビティの前記壁との間に配置され、これによって、前記クリートは、十分な横方向の力に応じた前記エラストマ材料の圧縮に基づいて、前記力を受けて、前記アンカ上及び前記ソールプレートに対して自由に移動する、上記(構成1)~(構成4)のいずれか1つに記載のソール部分。
(構成6)
前記ソールプレートは、下部プレート及び上部プレートを含み、それらは前記エラストマ構造を介して互いに対して横方向に移動し、これによって前記クリートシステムの横方向の移動を引き起こすように構成される、上記(構成1)~(構成4)のいずれか1つに記載のソール部分。
(構成7)
前記エラストマ構造は、エラストマパッドであって、前記下部プレートと前記上部プレートとの間に配置され、一方又は両方のプレートに相互接続されるエラストマパッドを含み、前記エラストマパッドの変形により、前記プレートの相対的な動きを可能にする、上記(構成6)に記載のソール部分。
(構成8)
複数のエラストマ支柱要素が前記下部プレートと前記上部プレートとの間に配置され、一方又は両方のプレートに動作可能に相互接続され、前記エラストマ支柱の変形により前記プレートの前記相対的な動きが可能になる、上記(構成6)に記載のソール部分。
(構成9)
前記ソールユニットは、旋回点を備えて構成され、前記旋回点の周囲を、前記ソールユニット又はその中のプレートが放射状経路で移動し得る、上記(構成1)~(構成4)のいずれか1つに記載のソール部分。
(構成10)
前記旋回は、前記プレートと中間エラストマパッドとをまたぐピン要素を配設し、前記下部プレートを前記上部プレートに対して旋回可能にすることで達成される、上記(構成9)に記載のソール部分。
(構成11)
前記下部プレートと前記上部プレートは、異なる硬度を有することで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、前記プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、前記スペーサは弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けると前記表面を変形させる、上記(構成6)に記載のソール部分。
(構成12)
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステム又はクリートは、エラストマ構造を有するか、又はエラストマ構造と関連し、前記エラストマ構造は十分な横方向の負荷を受けると前記クリートが横方向及び/又は垂直方向に移動するのを可能にし、前記ソールプレートは、互いに対して移動するように構成された下部プレートと上部プレートを含み、これによって前記横方向及び/又は垂直方向の移動を供給する、複数のクリートシステムを備え、
ここで、前記下部プレートと上部プレートは、異なる硬度を有することで、圧縮負荷の下で一方のプレートが他方のプレートに対して弾性変形し、前記プレートの対向する表面は、1つ以上のスペーサによって分離され、前記スペーサはプレートの弾性変形可能な表面に係合して、負荷を受けると前記表面を変形させる、
ソール部分。
(構成13)
各クリートシステムは、上部分とベース部分を有し、前記ベース部分は前記ソールプレートに固定され、前記上部分は前記ソールプレートの前記表面と略直交する線に沿ってセグメント化され、各セグメントは十分な力を受けて弾性的に横方向に変位可能である、上記(構成1)に記載のソール部分。
(構成14)
前記セグメントの変位の方向を制御するために、前記セグメントは、溝又はスロット内に配置され得て、前記溝又はスロットは、前記セグメントの変位の前記方向及び/又は範囲を異方性によって制御する側壁を備えて構成される、上記(構成13)に記載のソール部分。
(構成15)
前記クリートシステムは放射状パターンで配置され、前記クリートは前記パターンのラジアルラインに沿って偏向するように構成される、上記(構成13)又は(構成14)に記載のソール部分。
(構成16)
ソールプレート上に第1の複数のクリートシステムが配置され、前記ソールプレート上に第2の複数のクリートシステムが配置され、前記第1の複数のクリートシステムは、クリートシステムの前記配置によって画定される点を中心に旋回するように構成され、前記第2の複数のクリートシステムは、前記第1の複数のクリートシステムの前記旋回動作の妨害を避けるように構成される、上記(構成1)に記載のソール部分。
(構成17)
前記第1の複数のクリートに属する前記クリートは、前記第2の複数のクリートに属する前記クリートよりも高さが高く、前記第1の複数のクリートは、選択された旋回点の周囲に配置される、上記(構成16)に記載のソール部分。
(構成18)
前記選択された旋回点は、ユーザの第1中足骨頭又はその付近に対応する前記ソールプレート上の位置にある、上記(構成17)に記載のソール部分。
(構成19)
前記ソール部分は足前部を含む、上記(構成1)、(構成6)又は(構成12)に記載のソール部分。
(構成20)
前記ソール部分は、前記第1中足骨頭に対応する位置又はその付近に旋回点を有するように構成される、上記(構成19)に記載のソール部分。
(構成21)
複数のクリートシステムを有する、靴のソール部分であって、
地面に係合するヘッド部分と、そこから延び、端部が前記ソール部分のソールプレートに係合するポスト部分とを有するクリートを有する各クリートシステムと、
前記ソールプレート部分の凹状又は凸状のレセプタクル部分であって、補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んだ前記クリートポスト部分が、剪断力に応じて旋回可能に係合する、凹状又は凸状のレセプタクル部分と、
前記クリートシステムに含まれ、前記クリートヘッド部分及び/又は前記ポストと係合して横方向の剪断力に応じて変形又は偏向の程度を制御し、前記力が除去されると前記クリートを中立位置に戻す、1つ以上のエラストマ要素と、
を備えるソール部分。
(構成22)
前記エラストマ要素は、前記クリートの前記変形又は偏向を方向的に制御するように構成及び/又は配置される、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成23)
前記クリートシステムは、前記クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に前記靴の外側又は内側の一方に向かって変形又は偏向するのを異方性によって可能にするように構成される、上記(構成22)に記載のソール部分。
(構成24)
前記ソールプレートに凸状部と、前記クリートヘッド部分に凹状部を更に備え、前記凸状部と凹状部は前記剪断力の下で旋回可能に係合可能である、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成25)
前記凸状部は、前記クリート部分が通るチャネルを含み、前記チャネルは、前記クリートポスト部分の所定の移動量を規定する、上記(構成24)に記載のソール部分。
(構成26)
少なくとも1つのエラストマ要素が前記チャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記ポスト及び凸状部と動作可能に係合して、偏向又は変形の前記程度を制御する、上記(構成25)に記載のソール部分。
(構成27)
前記クリートポストは前記ソールプレートのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記チャネル内で前記クリートポストに隣接して配置されることで、前記クリートポスト及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成28)
前記エラストマ要素は、前記クリートポストの周囲に配置されたリングを含む、上記(構成27)に記載のソール部分。
(構成29)
前記レセプタクルは、少なくとも部分的に前記ソールのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は、前記チャネル内にある前記レセプタクルの前記部分に隣接して配置されることで、前記レセプタクル及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成30)
前記クリートポストは前記ソールプレートのチャネル内に配置され、前記エラストマ要素は前記チャネル内で前記クリートポストに隣接して配置されることで、前記クリートポスト及び前記ソールプレートに動作可能に係合する、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成31)
前記クリートヘッドと前記ソールプレートとの間の動作可能なインタフェースにおいて、前記インタフェースの領域における前記クリートヘッドとソール部分の一方又は両方は、エラストマ部分を含む、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成32)
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記クリートヘッドのエラストマベース部分を含む、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成33)
前記インタフェースにおける前記エラストマ要素は、前記ソールプレートのエラストマベース部分を含む、上記(構成21)に記載のソール部分。
(構成34)
クリートシステムを有する履物製品であって、
着用者の足を受け入れるように構成されたアッパと、地面に係合するように前記アッパに結合されたソールユニットとを備え、前記ソールユニットは、前記ソールユニットの地面に向く表面から突出する複数のクリートを有し、各クリートは、前記クリートシステム内にあり、
前記クリートシステムは、
ヘッド部分とベース部分とを有する前記クリートを含み、前記クリートは、ポストに結合され、前記ポストは、前記クリートに固定又は取り外し可能に固定された第1の端部と、前記ソールユニットのプレート部分に固定又は取り外し可能に固定された第2の端部とを有し、前記クリートは、(i)前記プレート部分に対する前記ポストの前記第2の端部の旋回、及び(ii)前記クリートの前記ベースと前記ソールユニットの地面に向く表面との係合による旋回及び/又は変形動作によって、横方向に偏向可能である、
履物製品。
(構成35)
前記偏向能は、前記ポストの前記第2の端部と前記プレートとに関連付けられた補完的な凸状面と凹状面の旋回によって支援される、上記(構成1)又は(構成34)に記載の履物製品。
(構成36)
前記偏向能は、前記ポストと前記プレート部分に含まれるレセプタクルとに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、上記(構成1)又は(構成34)に記載の履物製品。
(構成37)
前記偏向能は、前記プレート部分に含まれるレセプタクルと前記プレート部分の側壁とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、上記(構成1)又は(構成34)に記載の履物製品。
(構成38)
前記偏向能は、前記クリートの前記ベースと前記ソールユニットの地面に向く表面とに関連付けられた補完的な凹状面と凸状面の旋回によって支援される、上記(構成1)又は(構成34)に記載の履物製品。
(構成39)
前記偏向能は、前記クリートの前記ベース部分及び/又は前記ベース部分に隣接する前記ソールユニットの取り付け部分の変形によって支援される、上記(構成35)に記載の履物製品。
(構成40)
ソールプレートを作製する方法であって、
地面に係合するヘッド部分を有し、そこから靴のソール部分用のソールプレートに係合する端部を有するポスト又はベース部分が延在するクリートを供給するステップと、
凹状又は凸状のレセプタクル部分が前記ソールプレート部分内にあり、前記クリートポスト又はベース部分が、剪断力に応じて前記凹状又は凸状のレセプタクル部分と旋回可能に係合する補完的な凸状又は凹状形状を有するセクションを含んでいるステップと、
前記クリートシステム内に、前記クリートヘッド部分及び/又は前記ポストと係合する1つ以上のエラストマ要素を供給して、横方向の剪断力に応じた変形又は偏向の程度を制御し、前記力が除去されると前記クリートを中立位置に戻すステップと、
を含む、方法。
(構成41)
靴のソール部分であって、
ソールプレート上に配置された複数のクリートシステムであって、各クリートシステムはクリート本体を有し、前記クリート本体の側面には1つ以上のバットレスが配置され、少なくとも1つのバットレスが前記クリート本体の偏向能又は変形能を制限し、前記バットレスは、選択された横方向又は垂直方向における前記クリート本体の前記偏向能又は変形能を制限しない選択された変更ができるように、及び/又は選択的に取り外して異なる偏向特性又は変形特性を有する異なるクリートと交換できるように構成される、複数のクリートシステム、
を備えるソール部分。
(構成42)
前記バットレスは、前記クリートの前記偏向又は変形の方向制御を行う選択された変更ができるように構成される、上記(構成41)に記載のソール部分。
(構成43)
前記クリートシステムは、前記クリートに作用する所定の大きさの剪断力に応じて、主に前記ソール部分の外側又は内側の一方に向かって異方性の偏向又は変形を生じるように構成される、上記(構成42)に記載のソール部分。
(構成44)
各変更可能なバットレスは、前記選択された変更ができるように前記クリートを切断する方法をユーザに示す割線を含む、上記(構成41)~(構成43)のいずれか1つに記載のソール部分。
【国際調査報告】