(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】超音波を用いた筋肉の質評価システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543409
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 KR2023000480
(87)【国際公開番号】W WO2023140558
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007853
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月13日にオンライン開催された韓国東洋診断学会で発表されたスライド資料 令和4年1月17日に掲載された韓国東洋診断学会についてのウェブ記事(https://www.akomnews.com/bbs/board.php?bo_table=news&wr_id=47667)
(71)【出願人】
【識別番号】524274152
【氏名又は名称】ドングク ユニバーシティ ワイズキャンパス インダストリー アカデミー コオペレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】DONGGUKUNIVERSITY WISE CAMPUS INDUSTRY-ACADEMY COOPERATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】123,Dongdae-ro,Gyeongju-si,Gyeongsangbuk-do 38066 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソンユン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD01
4C601DD10
4C601DD18
4C601EE14
4C601JB31
4C601JB49
4C601JB50
4C601KK14
(57)【要約】
本発明は、超音波を用いた筋肉の質評価システムおよび方法に関するものであり、より詳細には、低価のA-mode超音波探触子を活用して対象者の超音波信号を測定し、これに基づいて筋肉の質を評価するシステムおよび方法に関するものである。本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムは、超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信部と、前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理部と、前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出部と、前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析部と、を含んでもよい。本発明の一実施例によると、B-mode超音波装置を用いた筋肉の質評価と同一の正確性を有しながらも、筋肉の質評価に必要となる費用が節減されるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信部と、
前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理部と、
前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出部と、
前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析部と、を含む超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項2】
前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項3】
前記信号処理部は、
時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して反射信号を具現することを特徴とする、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項4】
前記信号処理部は、
前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリング部と、
前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理部と、をさらに含む、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項5】
前記フィルターリング部は、
前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とする、請求項4に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項6】
前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とする、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項7】
前記分析部は、
前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出し、前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出することを特徴とする、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項8】
前記分析部は、
前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換部と、
前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出部と、をさらに含む、請求項1に記載の超音波を用いた筋肉の質評価システム。
【請求項9】
超音波送受信部が超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信ステップと、
信号処理部が前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理ステップと、
ピーク抽出部が前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出ステップと、
分析部が前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析ステップと、を含む、超音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項10】
前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載の音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項11】
前記反射信号は、
時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して具現されることを特徴とする、請求項9に記載の超音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項12】
前記信号処理ステップは、
フィルターリング部が前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリングステップと、
スムージング処理部が前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理ステップと、をさらに含む、請求項9に記載の超音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項13】
前記フィルターリングステップは、
前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とする、請求項12に記載の音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項14】
前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とする、請求項9に記載の音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項15】
前記分析ステップは、
前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出するステップおよび
前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出するステップをさらに含む、請求項9に記載の音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項16】
前記分析ステップは、
フーリエ変換部が前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換ステップと、
脂肪化程度算出部が前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出ステップと、をさらに含む、請求項9に記載の音波を用いた筋肉の質評価方法。
【請求項17】
請求項9ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法を具現するためのプログラムが記録されたコンピューターで読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いた筋肉の質評価システムおよび方法に関するものであり、より詳細には、低価のA-mode超音波探触子を活用して対象者の超音波信号を測定し、これに基づいて筋肉の質を評価するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、本発明の一実施例に係る筋肉の質を説明するための図である。
【0003】
図1を参照すると、本発明に係る筋肉の質(Muscle Quality)は、筋肉の脂肪化程度を意味する。肝臓に脂肪がたまる脂肪肝のように筋肉に脂肪が蓄積される現象を筋脂肪症(または、筋肉脂肪化)といい、筋肉脂肪化が進行されるほど筋肉の質は低下する。
図1(a)は筋肉の質が相対的に低い状態を示し、
図1(b)は筋肉の質が相対的に高い状態を示す。
【0004】
質のよい筋肉を多く持っている人ほど糖尿病や高血圧などの発生危険が低く、代謝的に健康な確率が高いという研究結果によって、個々人が代謝的に健康であるか否かを確認するための指標として筋肉の質を測定および評価できるシステムの開発が要求されている実情である。
【0005】
超音波(Ultrasound)とは、人が聞くことができる可聴周波数範囲以上の高い周波数を有する音波を意味する。超音波映像(Ultrasonography)とは、音響抵抗(acoustic impedance)の差がある組職でパルス波を人体内に透過させて反射する信号をコンピューターで増幅、変換して映像に示したものである。
【0006】
超音波映像装置は、被検者の身体の対象部位に超音波を送受信して得た反射信号を映像化する装置をいい、映像表示方法によってA(amplitude)-mode、B(brightness)-mode、M(motion)-mode、D(doppler)-modeに区分される。
【0007】
A-modeは、B-modeに比べて正確性に劣り、従来の超音波映像装置には、B-modeの映像表示方法が主に使用されていた。
【0008】
しかし、B-mode超音波映像装置は、映像イメージを出力するための構成が必須であるが、このような映像イメージ出力部は高価な装備の場合が多い。そこで、超音波を用いて人体の筋肉の状態を分析するためには、被検者が高価な装備を購買するか相対的に高価な装備の購入が容易な病院などを訪問してこそ超音波を用いた筋肉状態の診断が可能であるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の問題点を解決するために、本発明は、A-mode超音波装置を用いて筋肉の質評価が可能な超音波を用いた筋肉の質評価システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例として、超音波を用いた筋肉の質評価システムが提供される。
【0011】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムは、超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信部と、前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理部と、前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出部と、および前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析部を含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記信号処理部は、時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して反射信号を具現することを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記信号処理部は、前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリング部と、および前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理部と、をさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記フィルターリング部は、前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。
【0016】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。
【0017】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記分析部は、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出し、前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出することを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記分析部は、前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換部と、前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出部と、をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の一実施例として、超音波を用いた筋肉の質評価方法が提供される。
【0020】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法は、超音波送受信部が超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信ステップと、信号処理部が前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理ステップと、ピーク抽出部が前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出ステップと、分析部が前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析ステップと、を含んでもよい。
【0021】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記反射信号は、時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して具現されることを特徴とすることができる。
【0023】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記信号処理ステップは、フィルターリング部が前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリングステップと、スムージング処理部が前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理ステップと、をさらに含んでもよい。
【0024】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記フィルターリングステップは、前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。
【0025】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。
【0026】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記分析ステップは、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出するステップおよび前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出するステップをさらに含んでもよい。
【0027】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記分析ステップは、フーリエ変換部が前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換ステップと、脂肪化程度算出部が前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出ステップと、をさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の一実施例として、前述の方法を具現するためのプログラムが記録されたコンピューターで読取可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によると、B-mode超音波装置を用いた筋肉の質評価と同一の正確性を有しながらも、筋肉の質評価に必要となる費用が節減されるという利点がある。
【0030】
本開示で得られる効果は、以上で言及された効果に制限されず、言及していないまた他の効果は、下記の記載から本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る筋肉の質を説明するための図である。
【
図2】
図2は、B-mode超音波映像装置とA-mode超音波映像装置の映像表示方法の違いを示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る信号処理部200のブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る信号処理部200の信号処理過程を図式化したものである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係る分析部400の筋肉の質評価過程を図式化したものである。
【
図7】
図7は、本発明のまた他の一実施例に係る分析部400のブロック図である。
【
図8】
図8は、本発明のまた他の一実施例に係るフーリエ変換部410の短時間フーリエ変換過程を図式化したものである。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の実施のための最善の形態
本発明の一実施例として、超音波を用いた筋肉の質評価システムが提供される。
【0033】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムは、超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信部と、前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理部と、前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出部と、および前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析部と、を含んでもよい。
【0034】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とすることができる。
【0035】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記信号処理部は、時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して反射信号を具現することを特徴とすることができる。
【0036】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記信号処理部は、前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリング部と、前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理部と、をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記フィルターリング部は、前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。
【0038】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。
【0039】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記分析部は、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出し、前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出することを特徴とすることができる。
【0040】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムで、前記分析部は、前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換部と、前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出部と、をさらに含んでもよい。
【0041】
本発明の一実施例として、超音波を用いた筋肉の質評価方法が提供される。
【0042】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法は、超音波送受信部が超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信する超音波送受信ステップと、信号処理部が前記複数の反射音を用いて反射信号を具現する信号処理ステップと、ピーク抽出部が前記反射信号からピークを抽出するピーク抽出ステップと、分析部が前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価する分析ステップと、を含んでもよい。
【0043】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記超音波送受信部は、少なくとも一つ以上であることを特徴とすることができる。
【0044】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記反射信号は、時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して具現されることを特徴とすることができる。
【0045】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記信号処理ステップは、フィルターリング部が前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリングステップと、スムージング処理部が前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理ステップと、をさらに含んでもよい。
【0046】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記フィルターリングステップは、前記超音波送受信部と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。
【0047】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。
【0048】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記分析ステップは、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出するステップおよび前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出するステップをさらに含んでもよい。
【0049】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法で、前記分析ステップは、フーリエ変換部が前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理をするフーリエ変換ステップと、脂肪化程度算出部が前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出ステップと、をさらに含んでもよい。
【0050】
本発明の一実施例として、前述の方法を具現するためのプログラムが記録されたコンピューターで読取可能な記録媒体が提供される。
【0051】
以下では、添付の図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略しており、明細書全体にかけて類似の部分に対しては類似の図面符号を付する。
【0052】
本明細書で使用される用語に対して簡略に説明し、本発明に対して具体的に説明する。
【0053】
本発明で使用される用語は、本発明での機能を考慮しながらできる限り現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは、当分野に携わる技術者の意図または判例、新しい技術の出現などによって変わり得る。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあって、この場合、当該発明の説明部分で詳しくその意味を記載する。したがって、本発明で使用される用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般にわたった内容に基づいて定義されなければならない。
【0054】
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含む可能性があることを意味する。また、明細書に記載された「~部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアで具現されるかハードウェアとソフトウェアの結合で具現することができる。また、明細書全体である部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、「その中間に他の素子を挟んで」連結されている場合も含む。
以下、添付の図面を参考にして、本発明を詳しく説明する。
【0055】
図2は、B-mode超音波映像装置とA-mode超音波映像装置の映像表示方法の違いを示す。
【0056】
図2を参照すると、B-mode超音波映像装置は、対象体に超音波を送受信して得た反射信号を変換し、
図2(a)に示されたような映像イメージとして出力する。これに対し、A-mode超音波映像装置は、対象体に超音波を送受信して得た反射信号を変換し、
図2(b)に示されたように信号形態で出力が可能である。
【0057】
本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムは、対象体から反射した反射音を
図2(b)に示されたような信号形態の出力を用いて筋肉の質を評価する。以下では、本発明に係るシステムが筋肉の質を評価する過程に関して詳しく説明する。
【0058】
図3は、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムのブロック図である。
【0059】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価システムは、超音波送受信部100、信号処理部200、ピーク抽出部300および分析部400を含んでもよい。
【0060】
前記超音波送受信部100は、超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信することができる。すなわち、前記超音波送受信部100は、超音波の発信と受信を同時に行う。実施例によって、前記超音波送受信部100は水晶、電機石、セラミックなどで製造することができる。
【0061】
実施例によって、前記超音波送受信部100は、少なくとも一つ以上であることを特徴とすることができる。例えば、超音波送受信部100は、3個のA-mode超音波探触子として具現することができ、筋肉の質評価の目標地点でそれぞれ超音波を送受信するか、特定の部位(例えば、対象体の肩など)に一定の間隔に配置され、超音波を送受信することができる。
【0062】
前記信号処理部200は、複数の反射音を用いて反射信号を具現することができる。このとき、前記反射信号は、時間軸上に複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して具現されることを特徴とすることができる。
【0063】
前記ピーク抽出部300は、反射信号からピーク(Peak)を抽出することができる。ここで、ピーク(peak)とは、特定の時点の反射音の強度が周辺時点の反射音の強度に比べて相対的に大きい場合を意味し、反射音の強度は、超音波が通過する物質のインピーダンスの差に正比例する。
【0064】
このとき、身体を構成する物質間のインピーダンスの差は、反射音の強度は筋肉と脂肪との境界面で最も大きい。したがって、反射信号で反射音の強度が相対的に大きい地点すなわち、ピーク(peak)が発生する地点を抽出すると、筋肉と脂肪との境界面の位置が分かる。実施例によって、前記ピーク抽出部300は、Savizky-Golayフィルターを通じて具現することができる。
【0065】
前記分析部400は、ピーク(peak)を用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価することができる。ここで、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。しかし、これに限定されるものではなく、人体を構成する物質であればいずれも含まれてもよい。
【0066】
図4は、本発明の一実施例に係る信号処理部200のブロック図である。
【0067】
図5は、本発明の一実施例に係る信号処理部200の信号処理過程を図式化したものである。
【0068】
図4および
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る信号処理部200は、フィルターリング部210およびスムージング処理部220をさらに含んでもよい。
【0069】
前記フィルターリング部210は、反射信号をフィルターリング処理することができる。すなわち、フィルターリング部210は、反射信号をフィルターリング処理し、反射信号に含まれたノイズを除去するか信号を増幅させることができる。ここで、ノイズとは、脂肪と筋肉との境界に関する情報を除いたすべての情報を意味するものであってもよい(
図5(a)ないし
図5(c)参照)。実施例によって、前記フィルターリング部210は、帯域フィルター(Band-pass filter)または二乗フィルター(Squared filter)で具現することができる。
【0070】
実施例によって、前記フィルターリング部210は、前記超音波送受信部100と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。前記スムージング処理部220は、反射信号をスムージング処理することができる。ここで、スムージング(smoothing)処理とは、反射信号に含まれた主なパターンに対する信号のみを抽出することであり、反射信号に含まれた細かいピークを除去するのを意味することができる(
図5(d)参照)。
【0071】
図6は、本発明の一実施例に係る分析部400の筋肉の質評価過程を図式化したものである。
【0072】
図6を参照すると、本発明の一実施例に係る分析部400は、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出し、前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出することを特徴とすることができる。例えば、第1のピーク(a)と第2のピーク(b)間の間隔を基準に筋肉層を探知し、筋肉の厚さを算出することができ、対象体の全体体積に対する筋肉の厚さを基準に筋肉の質(MQ、Muscle Quality)を算出することができる。
【0073】
図7は、本発明のまた他の一実施例に係る分析部400のブロック図である。
【0074】
図8は、本発明のまた他の一実施例に係るフーリエ変換部410の短時間フーリエ変換過程を図式化したものである。
【0075】
図7を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る分析部400は、フーリエ変換部410および脂肪化程度算出部420をさらに含んでもよい。
【0076】
図8(a)は、超音波送受信部100によって受信した反射音を用いて信号処理部200が具現した反射信号を、
図8(b)は、フィルターリング部210によってフィルターリング処理され、ノイズが除去された反射信号を、
図8(c)は、フーリエ変換部410によって短時間フーリエ変換処理された反射信号である。
【0077】
図8を参照すると、前記フーリエ変換部410は、前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理を行うことができる。
【0078】
ここで、フーリエ変換(FT、Fourier Transform)とは、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換することを意味する。すなわち、本発明に係る分析部400は、時間領域の反射信号をフーリエ変換処理して周波数領域に変換して周波数領域で反射信号を観測することができる。これは、A-mode超音波は、反射して戻った超音波のエネルギーを測定するものであるので、エネルギー観測手段であるパワースペクトル密度(Power Spectral Density)のPowerを観測するためである。
【0079】
短時間フーリエ変換(STFT)とは、時間領域の信号を短い時間単位で分割した後、フーリエ変換処理することを意味する。短時間フーリエ変換は、時間領域-周波数領域別のパワーを観測するものであり、超音波は時間の意味を有する時系列データであるので、本発明に係る分析部400は、反射信号が周波数ごとにどの時間帯で変化するのかを観測することができる。
【0080】
前記脂肪化程度算出部420は、短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出することができる。
【0081】
実施例によって、前記脂肪化程度算出部420は、短時間フーリエ変換処理した反射信号を正規化(Normalization)し、正規化した反射信号で筋肉の振幅値の総合計を正規化した反射信号の振幅値の総合計で割った値を筋肉の質(MQ、Muscle Quality)として評価することができる。ここで、筋肉の振幅値は、実験を通じて蓄積されたデータによって特定することができる。
【0082】
本発明の一実施例に係る方法に関しては、前述のシステムに対する内容を適用することができる。以下で、方法に関して前述のシステムに対する内容と同一の内容については説明を省略する。
【0083】
図9は、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法のフローチャートである。
【0084】
図9を参照すると、本発明の一実施例に係る超音波を用いた筋肉の質評価方法は、超音波送受信ステップ(S100)、信号処理ステップ(S200)、ピーク抽出ステップ(S300)および分析ステップ(S400)を含んでもよい。
【0085】
前記超音波送受信ステップ(S100)では、超音波送受信部100が超音波を対象体に送信し、前記対象体から反射する複数の反射音を受信することができる。実施例によって、前記超音波送受信部100は、少なくとも一つ以上で具現することができる。
【0086】
前記信号処理ステップ(S200)では、信号処理部200が前記複数の反射音を用いて反射信号を具現することができる。実施例によって、前記反射信号は、時間軸上に前記複数の反射音の強度を振幅の大きさで表示して具現されることを特徴とすることができる。
【0087】
実施例によって、前記信号処理ステップ(S200)は、フィルターリング部210が前記反射信号をフィルターリング処理するフィルターリングステップ(S210)およびスムージング処理部220が前記反射信号をスムージング処理するスムージング処理ステップ(S220)をさらに含んでもよい。
【0088】
実施例によって、前記フィルターリングステップ(S210)は、前記超音波送受信部100と前記対象体との接触面で発生する反射音によって具現された接触-反射信号を除去することを特徴とすることができる。
【0089】
前記ピーク抽出ステップ(S300)では、ピーク抽出部300が前記反射信号からピークを抽出することができる。
【0090】
前記分析ステップ(S400)では、分析部400が前記ピークを用いて前記対象体を構成する物質の割合を算出し、これに基づいて筋肉の質を評価することができる。実施例によって、前記物質は、筋肉、骨または脂肪を含むことを特徴とすることができる。
【0091】
実施例によって、前記分析ステップ(S400)は、前記反射信号に含まれた複数のピーク間の間隔を抽出するステップ(S411)および前記間隔を基準に脂肪または筋肉の厚さを算出するステップ(S412)をさらに含んでもよい。
【0092】
また他の実施例によって、前記分析ステップ(S400)は、フーリエ変換部410が前記反射信号に短時間フーリエ変換(STFT、Short Time Fourier Transform)処理を行うフーリエ変換ステップ(S421)および脂肪化程度算出部420が前記短時間フーリエ変換処理した反射信号を分析して筋肉の脂肪化程度を算出する脂肪化程度算出ステップ(S422)をさらに含んでもよい。
【0093】
一方、前述の方法は、コンピューターで実行できるプログラムとして作成可能で、コンピューターで読み取り可能な記録媒体を用いて前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピューターで具現することができる。また、前述の方法で使用されたデータの構造は、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に様々な手段を通じて記録することができる。前記コンピューターで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック(磁気)記憶媒体(例えば、ROM、RAM、USB、フロッピーディスク、ハードディスクなど)、光学的読取媒体(例えば、CD-ROM、DVDなど)のような記憶媒体を含む。
【0094】
前述の本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく他の具体的な形態で容易に変形が可能であることを理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例はあらゆる面で例示的なものであって、限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一形態として説明されている各構成要素は分散して実施することもでき、同様に分散したものとして説明されている構成要素も結合された形態で実施することができる。
【0095】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、およびその均等概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【国際調査報告】