(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】半導体デバイス、半導体モジュール、および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543522
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2022087411
(87)【国際公開番号】W WO2023138873
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュダーラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】モーン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チュンレイ
(57)【要約】
一実施形態において、半導体デバイス(1)は、・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面(20)に上部コンタクト領域(21)を備えている半導体チップ(2)と、・上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域(31)を有している上部コンタクト領域(21)に電気的に接触した第1電気配線層(3)と、・第1電気配線層(3)の上部コンタクト領域(21)から遠い側に位置し、上部コンタクト領域(31)に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域(42)を有しており、第2コンタクト領域(42)は外部コンタクト領域として構成されている第2電気配線層(4)と、を備え、第2コンタクト領域(42)のうちの少なくとも1つは、チップ上面(20)の上面図において見て、上部コンタクト領域(21)のうちの割り当てられた1つとは異なる形状である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面(20)に上部コンタクト領域(21)を備えている半導体チップ(2)と、
・前記上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域(31)を有している前記上部コンタクト領域(21)に電気的に接触した第1電気配線層(3)と、
・前記第1電気配線層(3)の前記上部コンタクト領域(21)から遠い側に位置し、前記上部コンタクト領域(31)に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域(42)を有しており、前記第2コンタクト領域(42)は外部コンタクト領域として構成されている第2電気配線層(4)と、
・前記第1電気配線層(3)と前記第2電気配線層(4)との間に位置し、前記第1電気配線層(3)および前記第2電気配線層(4)に電気的に接続され、第3コンタクト領域(53)を有している少なくとも1つの第3電気配線層(5)と
を備えており、
・前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの少なくとも1つは、前記上部コンタクト領域(21)のうちの割り当てられた上部コンタクト領域とは異なる形状とされ、
・前記半導体チップ(2)は、パワー金属-絶縁体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator field-effect transistor)またはパワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)であり、
・前記第1、第2、および第3配線層(3、4、5)は、いずれの場合も誘電体材料で作られた絶縁層(61、62、63)によって互いに隔てられ、
・前記第2コンタクト領域(42)のうちの第1の第2コンタクト領域が、前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの第2の第2コンタクト領域の周囲に完全に延びている、半導体デバイス(1)。
【請求項2】
前記第2コンタクト領域(42)のうちの少なくとも1つが、前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記割り当てられた上部コンタクト領域(21)の完全に外側に位置する、先行する請求項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項3】
前記チップ上面(20)の上面図において見て前記半導体デバイス(1)の全体サイズが前記チップ上面(20)のサイズの130%以下であり、かつ前記半導体デバイス(1)が正確に1つの半導体チップ(2)を備えるようなチップサイズパッケージである、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項4】
それぞれ前記第1電気配線層(3)と前記第2電気配線層(4)との間に位置し、前記第1電気配線層(3)および前記第2電気配線層(4)に電気的に接続された少なくとも2つの前記第3電気配線層(5)
を備え、
前記第1コンタクト領域(31)から出発して前記第2コンタクト領域(42)に向かって、それぞれの割り当てられた前記第3コンタクト領域(53)の形状が、第3電気配線層(5)から第3電気配線層(5)へと前記第2コンタクト領域(42)により類似するようになる、先行する請求項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項5】
前記絶縁層(61、62、63)の厚さが、いずれの場合も100μm以下であり、
電気貫通コンタクト(71、72、73)が、前記絶縁層(61、62、63)の各々を貫いて延び、前記貫通コンタクト(71、72、73)は、前記電気配線層(3、4、5)のうちの隣り合う電気配線層を電気的に接続する、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項6】
前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの少なくとも1つが、前記それぞれの第2コンタクト領域(42)のサイズの最大10%について、前記上部コンタクト領域(21)のうちの任意の1つに重なる、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項7】
前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記少なくとも1つが、前記それぞれの上部コンタクト領域(21)の完全に外側に位置する、先行する請求項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項8】
前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第1の第2コンタクト領域が、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第2の第2コンタクト領域の周囲を同軸に延び、前記上部コンタクト領域(41、42)のうちの前記第1の上部コンタクト領域および前記第2の上部コンタクト領域が、点対称の形状であり、同じ点対称の中心を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項9】
前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第2の第2コンタクト領域に割り当てられた前記上部コンタクト領域(21)が、前記チップ上面(20)の縁部に位置する、先行する請求項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項10】
前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの第3の第2コンタクト領域が、L字形であり、前記第2コンタクト領域(42)のうちの第4の第2コンタクト領域が、長方形であり、前記第2電気配線層(4)の角部における前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第3の第2コンタクト領域の切り欠き内に位置し、
前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第4の第2コンタクト領域に割り当てられた前記上部コンタクト領域(21)は、前記チップ上面(20)の長手方向の縁部の中央部分に位置する、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項11】
前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの第5の第2コンタクト領域および第6の第2コンタクト領域が、互いに平行に延びる長方形であり、
やはり前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第5の第2コンタクト領域に割り当てられた前記上部コンタクト領域(21)は、U字形であり、前記チップ上面(20)の4つの縁部のすべてに隣接して位置し、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第6の第2コンタクト領域に割り当てられた前記上部コンタクト領域(21)は、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第6の第2コンタクト領域の外側に位置する、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項12】
正確に1つの半導体チップ(2)を備え、
すべての前記第2コンタクト領域(42)を合わせた全体サイズが、前記チップ上面(20)のサイズよりも大きい、先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項13】
・前記第1、第2、および第3電気配線層(2、3、4)の厚さが、いずれの場合も20μm以上200μm以下であり、
・前記電気貫通コンタクト(71、72、73)の直径が、いずれの場合も20μm以上200μm以下である、
少なくとも請求項5に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項14】
・先行する請求項のいずれか1項に記載の少なくとも1つの半導体デバイス(1)と、
・電気キャリア(11)と
を備えており、
前記第2コンタクト領域(42)は、前記電気キャリア(11)の電気接触面(12)に接続されている、半導体モジュール(10)。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の半導体デバイス(1)を製造するための方法であって、
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、前記チップ上面(20)に前記上部コンタクト領域(21)を備えている前記半導体チップ(2)を用意することと、
・前記上部コンタクト領域(21)上に、前記絶縁層のうちの第1絶縁層(61)のための前記誘電体材料を適用することと、
・前記第1絶縁層(61)を貫いて第1電気貫通コンタクト(71)を形成し、前記第1絶縁層(61)上に、前記上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた前記第1コンタクト領域(31)を有する前記第1電気配線層(3)を形成することと、
・前記第1電気配線層(3)上に、前記絶縁層のうちの第2絶縁層(62)のための前記誘電体材料を適用することと、
・前記第2絶縁層(62)を貫いて第2電気貫通コンタクト(72)を形成し、前記第2絶縁層(62)上に、前記上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられ、前記半導体デバイス(1)の前記外部コンタクト領域として構成される前記第2コンタクト領域(42)を有する前記第2電気配線層(4)を形成することと
を含み、
前記第2コンタクト領域(42)のうちの少なくとも1つは、前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記上部コンタクト領域(21)のうちの前記割り当てられた1つとは異なる形状である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体デバイスおよびそのような半導体デバイスを備える半導体モジュールが提供される。そのような半導体デバイスを製造するための方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2 988 328号明細書が、パワー半導体モジュールに言及している。
【0003】
独国特許出願公開第10 2014 218 240号明細書が、プリント回路基板に統合されたパワーデバイスを開示している。
【0004】
独国特許出願公開第10 2015 115999号明細書、米国特許出願公開第2010/0078789号明細書、米国特許第8 975 732号明細書、独国実用新案第20 2011 110547号明細書、および欧州特許出願公開第3 534 394号明細書が、電気デバイスに言及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、比較的高い電圧で使用することができる半導体デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、とりわけ、独立請求項に定義されるとおりの半導体デバイス、半導体モジュール、および方法によって達成される。例示的なさらなる発展が、従属請求項の主題を構成する。
【0007】
例えば、半導体デバイスは、絶縁体内に少なくとも1つの中間電気配線層を備え、少なくとも1つの中間電気配線層は、半導体チップのチップ上部コンタクト領域と、半導体デバイスの外部接触のための第2コンタクト領域との間に位置する。
【0008】
少なくとも1つの中間電気配線層により、第2コンタクト領域の形状を、チップ上部コンタクト領域の形状とは無関係に設計することができる。さらに、チップ上部コンタクト領域と半導体デバイスの外面との間の距離を、増加させることができる。したがって、半導体デバイスに高電圧を提供することができ、第2コンタクト領域を、半導体デバイスの電気的接続のために多様なやり方で設計することができる。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、半導体デバイスは、
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面に上部コンタクト領域を備えている半導体チップと、
・上部コンタクト領域に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域を有している上部コンタクト領域に電気的に接触した第1電気配線層と、
・第1電気配線層の上部コンタクト領域から遠い側に位置し、上部コンタクト領域に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域を有しており、第2コンタクト領域は外部コンタクト領域として構成されている第2電気配線層と
を備え、
第2コンタクト領域のうちの少なくとも1つは、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つとは異なる形状である。
【0010】
例えば、少なくとも1つの半導体チップは、以下の群、すなわち金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator-semiconductor field-effect transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:gate turn-off thyristor)、ゲート転流サイリスタ(GCT:gate commutated thyristor)、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET:junction gate field-effect transistor)、およびダイオードから選択される。複数の半導体チップが存在する場合、すべての半導体チップが同じ種類であってもよいし、異なる種類の半導体チップが存在してもよい。
【0011】
例えば、半導体デバイスは、例えばハイブリッド車両またはプラグイン電気車両などの車両や、通勤電車などの鉄道においても、バッテリからの直流を電動機のための交流に変換するパワーデバイスである。
【0012】
例えば、半導体チップ、したがって半導体デバイスは、少なくとも0.6kV、または少なくとも1.2kV、あるいは少なくとも1.6kVの最大電圧に合わせて構成される。これに代え、あるいは加えて、半導体チップ、したがって半導体デバイスは、少なくとも1A、または少なくとも20A、あるいは少なくとも50Aの最大電流に合わせて構成され、最大電流は、最大1000Aまたは最大200Aであってもよい。
【0013】
例えば、第1電気配線層は、チップ上面に隣接する電気配線層である。チップ上面と第1電気配線層との間に、1つまたは複数の電気絶縁層が存在する。この絶縁層を貫いて、電気貫通コンタクトが、半導体チップの上部コンタクト領域を第1コンタクト領域に接触させる。第1コンタクト領域は、少なくとも1つの電気絶縁層上に適用された構造化メタライゼーション層であってよい。
【0014】
同様に、第1電気配線層と第2電気配線層との間に少なくとも1つの電気絶縁層が存在し、電気貫通コンタクトが、少なくとも1つの電気絶縁層を貫いて延びる。第2電気配線層は、半導体デバイスの外面に適用された最も上方の電気配線層である。例えば、第2電気配線層は、最も上方の電気絶縁層上に適用されたさらなる構造化メタライゼーション層である。したがって、第2電気配線層は、チップ上面から最も遠い電気配線層である。第2コンタクト領域によって、半導体デバイスを、例えば回路基板へと外部に接触させることができる。
【0015】
例えば、第2コンタクト領域の少なくとも1つまたは一部または全部は、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域のうちのそれぞれに割り当てられた上部コンタクト領域とは異なる形状である。第2コンタクト領域の少なくとも1つまたは一部または全部が、第1コンタクト領域のうちのそれぞれに割り当てられた第1コンタクト領域とは異なる形状であることも可能である。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、1つまたは複数の第3電気配線層をさらに備える。少なくとも1つの第3電気配線層は、第1電気配線層と第2電気配線層との間に位置する。さらに、少なくとも1つの第3電気配線層は、とくには隣接する追加の絶縁層を貫いて延びる電気貫通コンタクトによって、第1電気配線層および第2電気配線層のそれぞれに電気的に接続される。少なくとも1つの第3電気配線層は、例えば、少なくとも1つの追加の構造化メタライゼーション層によって形成された第3コンタクト領域を備える。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、チップ上面から出発して、半導体チップの上部コンタクト領域-電気貫通コンタクトを有する絶縁層-第1電気配線層の第1コンタクト領域-電気貫通コンタクトを有する絶縁層-第2電気配線層の第2コンタクト領域、の並びが存在する。N個の第3電気配線層が存在する場合、半導体チップの上部コンタクト領域-電気貫通コンタクトを有する絶縁層-第1電気配線層の第1コンタクト領域-N回の(電気貫通コンタクトを有する絶縁層-第3電気配線層の第3コンタクト領域)-電気貫通コンタクトを有する絶縁層-第2電気配線層の第2コンタクト領域、の並びが存在し、Nは1以上の自然数である。とくには、N=1またはN=2またはN=3である。例えば、1≦N≦20、1≦N≦5、2≦N≦5が当てはまる。
【0018】
例えば、各々の電気配線層の間、ならびに上部コンタクト領域と第1電気配線層との間に、正確に1つの電気絶縁層が存在する。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、上部コンタクト領域または第1コンタクト領域から出発して、第2コンタクト領域に向かって、それぞれ割り当てられたコンタクト領域の形状が、例えば第3電気配線層から第3電気配線層へと、最終的には第2コンタクト領域に向かって、第2コンタクト領域により類似するようになる。したがって、中間電気配線層の形状を、第2コンタクト領域を近似するように徐々に変化させることができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、上部コンタクト領域の数は、各々の電気配線層におけるコンタクト領域の数と同じである。換言すると、チップから第2コンタクト領域まで、コンタクト領域の数は変化しない。例えば、上部コンタクト領域から始まって第2コンタクト領域まで、電気配線層から電気配線層へと、コンタクト領域の1対1の割り当てが存在できる。例えば、1つの配線層のコンタクト領域が、いずれの場合も1つまたは複数の電気貫通コンタクトによって、隣接する配線層のコンタクト領域に電気的に接続される。上部コンタクト領域および第1コンタクト領域についても同様である。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、配線層の間および上部コンタクト領域と第1配線層との間の絶縁層の厚さは、いずれの場合も最大200μmまたは最大120μmである。これに代え、あるいは加えて、前記厚さは、少なくとも10μmまたは少なくとも50μmまたは少なくとも80μmである。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、配線層の少なくとも1つまたはいくつかまたは各々は、1つ、2つ、または3つ以上のコンタクト領域を含む。
【0023】
異なる配線層のコンタクト領域を、それらのサイズに応じて互いに割り当てることが可能である。例えば、最大の上部コンタクト領域は、最大の第1コンタクト領域、最大の第2コンタクト領域、および最大の第3コンタクト領域(存在する場合)に割り当てられ、最小の上部コンタクト領域は、最小の第1コンタクト領域、最小の第2コンタクト領域、および最小の第3コンタクト領域(存在する場合)に割り当てられ、以下同様である。これらの割り当ては、1対1の割り当てであってよい。
【0024】
例えば、最小の上部コンタクト領域ならびに最小の第2コンタクト領域は、ゲートコンタクトである。「小」および「大」は、例えば、それぞれのコンタクト領域の面積含有量、すなわち、例えば、それぞれのメタライゼーションが適用された領域のサイズを指す。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、チップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの少なくとも1つが、それぞれの第2コンタクト領域のサイズの最大20%または最大10%または最大5%について、上部コンタクト領域のうちの任意の1つに重なる。すなわち、それぞれの第2コンタクト領域と、割り当てられた上部コンタクト領域とが、上面図において見て、大きくは重ならない。これは、第2コンタクト領域のうちの正確に1つ、または第2コンタクト領域のうちのいくつか、または第2コンタクト領域のすべてに当てはまり得る。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、チップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの前記少なくとも1つが、それぞれの上部コンタクト領域の完全に外側に位置する。すなわち、それぞれの第2コンタクト領域と、割り当てられた上部コンタクト領域とが、分離しており、したがって、上面図において見て、まったく重ならない。これは、第2コンタクト領域のうちの正確に1つ、または第2コンタクト領域のうちのいくつか、または第2コンタクト領域のすべてに当てはまり得る。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域が、チップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域の周りを部分的に、または完全に延びる。したがって、上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域は、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域によって完全に囲まれ得る。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域が、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域の周りに同軸に延びる。したがって、それぞれの第2コンタクト領域は、上面図において見て、回転対称および/または点対称の様相に配置される。このような同軸設計により、低い寄生インダクタンス、ならびに遮蔽の改善および浮遊容量の抑制を達成することができる。
【0029】
第2コンタクト領域のうちの第1および第2の第2コンタクト領域が同軸に配置されるということは、例えば、上部コンタクト領域のうちの第1の上部コンタクト領域および第2の上部コンタクト領域が、点対称の形状であり、同じ点対称の中心を有することを意味する。これに代え、あるいは加えて、これは、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域および第2の第2コンタクト領域が、上面図において見て、同じ基本形状、例えば長方形または正方形または六角形または八角形または円形を有し、これらの基本形状が、同じやり方で配向され、例えば共通の点対称の中心を通る同じ直線に、対応する角部を有することを意味し得る。第2コンタクト領域のうちの第1および第2の第2コンタクト領域の周囲の線を、均一な膨張によって互いにマッピングすることが可能である。
【0030】
例えば、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域は、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域の周りのフレームであり、ソースまたはエミッタ外部コンタクトパッドであってよい。例えば、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域は、第2コンタクト領域のうちの最大の第2コンタクト領域である。したがって、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域は、最小の外部コンタクトパッドであってよく、ゲートコンタクトパッドであってよい。
【0031】
したがって、第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域および第2の第2コンタクト領域によって、半導体デバイスの異なる外部電気コンタクト領域を実現することができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域が、チップ上面の上面図において見て、チップ上面の縁部に位置する。したがって、上部コンタクト領域が、非点対称の様相で配置される一方で、第2コンタクト領域は、点対称の様相で配置されてよい。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、チップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの第3の第2コンタクト領域は、L字形であり、第2コンタクト領域のうちの第4の第2コンタクト領域は、長方形であり、例えば第2電気配線層の角部における第2コンタクト領域のうちの第3の第2コンタクト領域の切り欠き内に位置する。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2コンタクト領域のうちの第4の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域は、チップ上面の長手方向の縁部などの縁部の中央部分に位置する。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、チップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの第5の第2コンタクト領域および第6の第2コンタクト領域は、互いに平行に延びる長方形である。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、やはりチップ上面の上面図において見て、第2コンタクト領域のうちの第5の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域は、U字形であり、チップ上面の4つの縁部のすべてに隣接して位置し、第2コンタクト領域のうちの第6の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域は、第2コンタクト領域のうちの第6の第2コンタクト領域の外側に位置する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、上部コンタクト領域は、対称なやり方で配置される。例えば、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域に関して1つまたは2つの鏡面対称の軸線が存在する。代案として、上部コンタクト領域は、非対称なやり方で、すなわち、とくには鏡面対称性または点対称性を持たずに、配置されてよい。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体デバイスは、チップサイズパッケージである。これは、半導体デバイスの全体サイズが、チップ上面の上面図において見て、チップ上面のサイズの130%以下または120%以下であることを意味し得る。これに代え、あるいは加えて、これは、半導体デバイスが正確に1つの半導体チップを備えることを意味し得る。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、すべての第2コンタクト領域を合わせた全体サイズは、上部コンタクト領域の全体サイズまたはチップ上面のサイズよりも大きい。このように、少なくとも1つの中間配線層を有することにより、上部コンタクト領域の第2コンタクト領域へと向かうファンアウト(fan-out)および/または拡張を達成することができる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気配線層および/または上部コンタクト領域の厚さは、いずれの場合も少なくとも1μmまたは少なくとも20μmまたは少なくとも40μmである。あるいは、前記厚さは、最大200μmまたは最大100μmである。上部コンタクト領域を、第1および第3コンタクト領域よりも薄くし、第2コンタクト領域を、第1および第3コンタクト領域よりも厚くすることが可能である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気貫通コンタクトの直径は、いずれの場合も20μm以上200μm以下である。例えば、この直径は約0.1mmである。
【0042】
半導体モジュールがさらに提供される。半導体モジュールは、上述の実施形態のうちの少なくとも1つに関連して示されたとおりの半導体デバイスを備える。したがって、半導体モジュールの特徴は、半導体デバイスについても開示され、逆もまた同様である。
【0043】
少なくとも一実施形態において、半導体モジュールは、1つまたは複数の半導体デバイスと、電気キャリアとを備える。第2コンタクト領域は、電気キャリアの電気接触面または熱接触面の少なくとも一方に接続される。
【0044】
半導体デバイスを製造するための方法が、さらに提供される。本方法によって、上述の実施形態のうちの少なくとも1つに関連して示したとおりの半導体デバイスが生み出される。したがって、半導体デバイスの特徴は、本方法についても開示され、逆もまた同様である。
【0045】
少なくとも1つの実施形態において、本方法は、半導体デバイスを製造するためのものである。本方法は、以下のステップ、すなわち
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面に上部コンタクト領域を備えている半導体チップを用意するステップ、
・上部コンタクト領域上に、第1絶縁層用の誘電体材料を適用するステップ、
・第1絶縁層を貫いて第1電気貫通コンタクトを形成し、第1絶縁層上に、上部コンタクト領域に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域を有する第1電気配線層を形成するステップ、
・随意により、第1電気配線層上に少なくとも1つの第3絶縁層用の少なくとも1つの誘電体材料を適用し、少なくとも1つの第3絶縁層を貫いて第3電気貫通コンタクトを形成し、第3絶縁層上に、第1コンタクト領域に電気的に割り当てられた第3コンタクト領域を有する少なくとも1つの第3電気配線層を形成するステップ、
・第1電気配線層上または最も上方の第3電気配線層(存在する場合)上に、第2絶縁層用の誘電体材料を適用するステップ、および
・第2絶縁層を貫いて第2電気貫通コンタクトを形成し、第2絶縁層上に、上部コンタクト領域に電気的に割り当てられ、半導体デバイスの外部コンタクト領域として構成される第2コンタクト領域を有する第2電気配線層を形成するステップ
を、例えば上述の順序にて含み、
第2コンタクト領域のうちの少なくとも1つは、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つとは異なる形状である。
【0046】
少なくとも1つの実施形態において、本方法は、半導体デバイスを製造するためのものである。本方法は、以下のステップ、すなわち
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面に上部コンタクト領域を備えている半導体チップを用意するステップ、
・半導体チップ上に、絶縁層、ならびに第1電気配線層、第2電気配線層、および少なくとも1つの第3電気配線層を適用するステップ
を、例えば上述の順序にて含み、
・第1電気配線層は、上部コンタクト領域に電気的に接触し、上部コンタクト領域に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域を有しており、
・第2電気配線層は、第1電気配線層の上部コンタクト領域から遠い側に位置し、上部コンタクト領域に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域を有しており、第2コンタクト領域は外部コンタクト領域として構成されており、
・少なくとも1つの第3電気配線層は、第1電気配線層と第2電気配線層との間に位置し、第1電気配線層および第2電気配線層に電気的に接続され、第3コンタクト領域を有しており、
・半導体チップは、パワー金属-絶縁体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator field-effect transistor)またはパワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)であり、
・第1、第2、および第3配線層は、いずれの場合も誘電体材料で各々作られた絶縁層のうちの1つによって互いに隔てられており、
・第2コンタクト領域のうちの少なくとも1つは、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つとは異なる形状であり、
・上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つとは異なる形状である第2コンタクト領域のうちの第1の第2コンタクト領域は、チップ上面の上面図において見て、上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つとは異なる形状である第2コンタクト領域のうちの第2の第2コンタクト領域の周囲を完全に延びている。
【0047】
本明細書に記載の半導体デバイスおよび半導体モジュールによれば、上部コンタクト領域の形状と第2コンタクト領域などの外部電気コンタクト領域の形状とが、対応している必要がない。したがって、半導体チップの特性にとって最適であるように上部コンタクト領域を設計することが可能になる一方で、第2コンタクト領域ならびに中間コンタクト領域を、利用可能な物理的空間などの用途の背景の特定の要件に従って、きわめて独立して設計することができる。したがって、幾何学的な考慮事項、例えば電圧、電流、および絶縁に関する電気的な考慮事項、ならびに熱伝導および熱のやり取りなどの熱的な考慮事項を、同時に考慮に入れることができる。例えば、第2コンタクト領域の同軸設計により、低い寄生インダクタンス、ならびに遮蔽の改善、浮遊容量の抑制の向上、および/または浮遊インダクタンスの低減を達成することができる。したがって、第2コンタクト領域のうちの少なくとも1つを、上部コンタクト領域のうちの割り当てられた1つと比較して異なる形状とすることによって、中間の第1電気配線層を持たず、おそらくは第3電気配線層も持たない場合には不可能である多態様の最適化を、達成することができる。
【0048】
本明細書に記載の半導体デバイス、半導体モジュール、および方法を、図面を参照して、例示的な実施形態によって、以下でさらに詳細に説明する。個別の図中の同一の要素は、同じ参照番号で示されている。しかしながら、要素間の関係は、縮尺どおりには示されておらず、むしろ個々の要素は、理解を助けるために誇張して示されている場合がある。
【0049】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】改良版の半導体デバイスの概略の上面図である。
【
図2】
図1の半導体デバイスの概略の断面図である。
【
図3】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の断面図である。
【
図4】
図3の半導体デバイスの垂直な概略の上面図である。
【
図5】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の上面図である。
【
図6】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の上面図である。
【
図7】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の上面図である。
【
図8】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の上面図である。
【
図9】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の上面図である。
【
図10】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の断面図である。
【
図11】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の断面図である。
【
図12】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の概略の断面図である。
【
図13】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の種々の概略の断面図である。
【
図14】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の種々の概略の断面図である。
【
図15】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の種々の概略の断面図である。
【
図16】本明細書に記載の半導体デバイスの例示的な実施形態の種々の概略の断面図である。
【
図17】本明細書に記載の半導体デバイスを備える半導体モジュールの例示的な実施形態の概略の側面図である。
【
図18】本明細書に記載の半導体デバイスを製造するための方法の例示的な実施形態の概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1および
図2に、改良版の半導体デバイス9が示されている。改良版の半導体デバイス9は、絶縁体6に埋め込まれた半導体チップ2を備える。チップ上面20において、半導体チップ2は、上部コンタクト領域21を備える。横方向、すなわちチップ上面20と平行な方向において、半導体チップ2は、絶縁体6の絶縁埋設部60に埋め込まれている。
【0052】
上部コンタクト領域21から出発して、第1電気貫通コンタクト71が、絶縁体6の第1絶縁層61を貫いて延びている。貫通コンタクト71によって、上部コンタクト領域21は、絶縁体6の本体上面66に位置する第1電気配線層3の第1コンタクト領域31に電気的に接続される。一選択肢として、半導体チップ2は、基板8上に適用され、基板8の側面が、絶縁体6と接触することができる。
【0053】
チップスケールパッケージング(略して、CSP:chip-scale packaging)が、従来からのプリント回路基板(PCB:printed circuit board)の製造に由来し、元々は主に消費者向け電子機器の小型かつ異種のマイクロ電子コンポーネントおよび/または光学コンポーネントの統合(システムインパッケージ(SiP:System in Package)とも呼ばれる)のために着想されてきた。しかしながら、
図1に示されるようなパッケージは、例えば0.6kVを超える高電圧に適合しない。
【0054】
チップスケールパッケージングは、熱の除去が改善され、ワイヤボンディングが不要であり、寄生がより少ないなど、TO状パッケージ、QFNパッケージ、および他の表面実装パッケージを超える種々の利点を提供でき、クリーンルーム不要の組み立てなど、パワーモジュールの組み立てへの代替ルートを提供することができる。このような埋め込み型のソリューションのもう1つの重要な利点は、ボンドパッドとも呼ばれるコンタクト領域をファンアウトさせ、必要に応じて任意の形状および複雑さの多層の信号経路を統合するための設計の自由度である。これにより、低インダクタンスの相互接続を実現し、センサおよびコントローラを多数のI/Oチャネルと統合し、両面冷却設計にも有益な平坦なレイアウトおよび/または幾何学的形状をもたらすワイヤボンドを必要としない超小型パッケージを実現することを、可能にすることができる。最後に、このような技術の発展は、現在の半導体パワーモジュールのバリューチェーンに影響を与える可能性があり、すなわち、チップ製造業者がこの技術を採用し、パワーモジュールの設計および組み立てにおける現在の技術水準が存続不可能になる可能性がある。
【0055】
CSPの1つの明白な利点は、チップパッドコンタクトをファンアウトさせることができることである。しかしながら、ワンメタルのプリパッケージでは、
図1に示されるように、ファンアウトレイアウトが、チップコンタクトパッド、すなわち上部コンタクト領域21のレイアウトによって制約される。例えば、CSP上部メタライゼーションが、チップコンタクトパッドと重なり合わなければならない。したがって、CSP上部メタライゼーションのレイアウトが、任意であることができない(パワーモジュールの設計時にCSPコンポーネントの配置に充分な柔軟性があるように、CSP上部メタライゼーションのレイアウトが任意であることが望ましい)。さらに、例えばゲートコンタクトパッドの拡大が、通常は、ドレイン/エミッタコンタクト領域が減少し、したがって半導体チップの電流容量が減少するという犠牲を伴う。
【0056】
これらの制限を克服するために、本明細書に記載の半導体デバイス1は、
図3および
図4を参照すると、上部コンタクト領域21と最上部の第2電気配線層4との間に位置する少なくとも1つの中間配線層を備える。このように、多層プリパッケージを使用して、上部メタライゼーションのレイアウトが任意であるCSPコンポーネントが生み出される。これを、複数の埋め込みおよび積層ステップによって行うことができる。このような解決策は、半導体チップ2の有効領域を減少させることなく、したがって電流容量を減少させることなく、所望のファンアウトを達成する。
【0057】
高電圧の用途においては、封止材の厚さ、および多層構造の場合の各々の絶縁層が、阻止電圧に耐えるように適切に設計されなければならない。このような要件を、内部および上部金属パッドがチップの終端領域を横切らず、コンポーネントがさらに封止される場合に緩和することができる。
【0058】
このようにして、少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成された半導体チップ2を備える半導体デバイス1が提供され、半導体チップ2は、チップ上面20に上部コンタクト領域21を有し、複数の電気貫通コンタクト71、72、73が、上部コンタクト領域21に電気的に接続される。半導体チップ2および電気貫通コンタクト71、72、73は、電気絶縁性の絶縁体6内に埋め込まれ、電気貫通コンタクト71、72、73は、チップ上面20から遠ざかる方向に絶縁体6を貫通して延びる。少なくとも1つの中間配線3、5が、半導体チップ2から離れて上部コンタクト領域21の側に存在し、電気貫通コンタクト71、72、73に電気的に接触する。
【0059】
配線層3、4、5は、ゲート-ソース-ドレインのようなチップ終端とも呼ばれる上部コンタクト領域間の短絡を回避するように設計されている。
【0060】
図3および
図4によれば、上部コンタクト領域21の上に第1絶縁層61が存在し、第1絶縁層61上に第1電気配線層3が適用されている。この第1電気配線層3に、第2絶縁層62が続き、第2絶縁層62上に、第2電気コンタクト領域42を有する第2電気配線層4が適用されている。第2電気配線層4の第2コンタクト領域42が、絶縁体6から表出する本体上面66の唯一のコンタクト領域であることが可能である。しかしながら、選択肢として、半導体チップ2は、例えば銅をベースとするリードフレームである基板8に電気的に接触することが可能である。したがって、絶縁体6から表出する部分は、基板8および第2コンタクト領域42のみであってよい。
【0061】
図3は、
図4の一点鎖線に沿った断面図を示している。
図3および
図4によれば、矩形の第2コンタクト領域42のうちの小さい方は、上部コンタクト領域21のうちのより小さい上部コンタクト領域21と接続されるが、上面図で見ると、この上部コンタクト領域21と重なり合わない。これは、チップ上面20と平行な電流経路を提供する絶縁体6内に配置された第1電気配線層3によって可能にされる。したがって、第2コンタクト領域42の形状は、上部コンタクト領域21の形状から大きく独立している。
【0062】
例えば、半導体チップ2は、10A以上かつ/または100A以下の電流に合わせて構成された対応するパワーMOSFETまたはパワーIGBTである。これに代え、あるいは加えて、半導体チップ2、したがって半導体デバイス1は、少なくとも1.2kVまたは少なくとも1.5kVの電圧に合わせて構成される。
【0063】
選択肢として、上部コンタクト領域21のうちの大きい方は、上面図で見たときに、└┘またはUのような形状である。上部コンタクト領域21のうちの小さい方は、└┘またはUの脚部の間に位置する。上部コンタクト領域21の配置は、例えば、鏡面対称の少なくとも1つの軸線を有することができる。
図4において、上部コンタクト領域21は、斜線の領域として象徴化されており、理解を容易にするために半導体チップ2も概略的に示されているが、中間配線層3は
図4には示されていない。
【0064】
例えば、チップ上面20は、少なくとも5mm×5mmかつ/または最大15mm×15mmのサイズを有する。これに代え、あるいは加えて、チップ上面20に垂直な半導体チップ2の厚さは、少なくとも100μmかつ/または最大1mmであり、例えば300μm~500μmである。
【0065】
例えば、電気貫通コンタクト71、72、73は、金属化された孔であり、あるいは金属ブロックでもある。コンタクト領域21、31、42、53ごとに、とくにはそれぞれのコンタクト領域21、31、42、53がどのようなサイズおよび電流に合わせて構成されるかに応じて、ただ1つまたは複数の電気貫通コンタクト71、72、73が存在できる。貫通コンタクト71、72、73が、金属化された孔である場合、貫通コンタクト71、72、73の直径は、例えば50μm~200μmであり、貫通コンタクト71、72、73が、金属ブロックである場合、貫通コンタクト71、72、73は、より大きな横方向の広がりを有することができる。そのような金属ブロックを、焼結またははんだ付けなど、対応するコンタクト領域21、31、42、53に接合することができる。
【0066】
貫通コンタクト71、72、73の高さは、関連する絶縁層61、62、63、65の高さに対応し得る。例えば、貫通コンタクト71、72、73は、銅または銅合金から作られる。
【0067】
図3および
図4の半導体デバイスは、2つの上部コンタクト領域21を備え、したがって電気配線層3、4の各々に2つのコンタクト領域31、42を備えるが、これに代えて、上部コンタクト領域21が1つだけ存在し、したがって電気配線層3、4の各々にコンタクト領域31、42が1つだけ存在してもよく、あるいは少なくとも3つの上部コンタクト領域21が存在し、したがって電気配線層3、4の各々に少なくとも3つのコンタクト領域31、42が存在する。さらに、上部コンタクト領域21の数が、電気配線層3、4の各々におけるコンタクト領域31、42の数と同じであることは、厳密には必須ではないが、好ましい。電気コンタクト領域21、31、42に加えて、選択肢として、冷却を改善するために熱コンタクト領域(図示せず)が存在することができ、これらの熱コンタクト領域は、電気的な機能を有する必要はない。これらの態様は、任意の組み合わせにて、他のすべての実施形態にも適用可能である。
【0068】
他の点では、
図1および
図2と同じ内容が
図3および
図4にも適用可能であり、逆もまた同様である。
【0069】
図5に、
図4と同様に、半導体デバイス1の別の実施形態が示されている。
図5によれば、第2コンタクト領域42は、同軸な様相に配置される。したがって、第2コンタクト領域42のうちの第1の第2コンタクト領域は、チップ上面20の上面図において見ると、第2コンタクト領域42のうちの第2の第2コンタクト領域の周りを完全に囲んでいる。これにより、第2コンタクト領域42のうちの第1の第2コンタクト領域および第2の第2コンタクト領域は、第2電気配線層4に属し、外部電気コンタクトパッドとして共通の平面内に配置可能である。図示されている以外に、第2電気配線層4のさらなる第2コンタクト領域42が、外部電気コンタクトパッドとして存在することができる。
【0070】
例えば、第2コンタクト領域42のうちの第2の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域21は、チップ上面20の縁部に位置し、これらのコンタクト領域21、42の重なり合いが、少しだけであってもよい。第2コンタクト領域42のうちの第1の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域21は、やはりチップ上面20の上面図において見て、└┘またはU字形であってよい。
【0071】
上面図において見ると、第2コンタクト領域42の形状に関して鏡面対称の2つまたは4つの軸線が存在し得る。例えば、第2コンタクト領域42のうちの外側の第1の第2コンタクト領域のトラック幅は、チップ上面20の最大縁部長さの少なくとも10%かつ/または最大40%に相当することができる。第2コンタクト領域42のうちの内側の第2の第2コンタクト領域42の縁部長さは、例えば、チップ上面20の最大縁部長さの少なくとも20%かつ/または最大60%である。
【0072】
他の点では、
図1~
図4と同じ内容が
図5にも適用可能であり、逆もまた同様である。
図6によれば、チップ上面20の上面図において見て、第2コンタクト領域42のうちの大きい方の第3の第2コンタクト領域は、L字形であり、第2コンタクト領域42のうちの小さい方の第4の第2コンタクト領域は、長方形または正方形であり、第2コンタクト領域42のうちの第3の第2コンタクト領域の切り欠き内に位置する。例えば、第2コンタクト領域42のうちの第4の第2コンタクト領域は、第2電気配線層4の角部に位置する。
【0073】
例えば、上部コンタクト領域21は、
図4および
図5と同様に形作られる。したがって、第2コンタクト領域42のうちの小さい方の第4の第2コンタクト領域は、上部コンタクト領域21のうちの割り当てられた小さい方の上部コンタクト領域と重なり合いを持たなくてもよい。
図6に示される他に、上部コンタクト領域21のうちの小さい方が、第2コンタクト領域42のうちの第3の第2コンタクト領域によって部分的に、または完全に覆われることも可能である。
【0074】
他の点では、
図1~
図5と同じ内容が
図6にも適用可能であり、逆もまた同様である。
図7によれば、チップ上面20の上面図において見て、第2コンタクト領域42のうちの第5の第2コンタクト領域および第6の第2コンタクト領域が、長方形であり、互いに平行に延びてよい。これらの第2コンタクト領域42は、異なるサイズを有することができる。例えば、上部コンタクト領域21は、
図4~
図6と同様に形作られる。
【0075】
したがって、やはりチップ上面20の上面図において見て、第2コンタクト領域42のうちの第5の第2コンタクト領域に割り当てられたより大きな上部コンタクト領域21は、└┘またはU字形であってよく、チップ上面20の4つの縁部のすべてに隣接して位置することができ、第2コンタクト領域42のうちの第6の第2コンタクト領域に割り当てられた上部コンタクト領域21は、第2コンタクト領域42のうちの第6の第2コンタクト領域の外側に位置する。したがって、第2コンタクト領域42のうちの第6の第2コンタクト領域と、割り当てられた上部コンタクト領域21とが、重なりを持たず、あるいはわずかにしか重ならない。
【0076】
他のすべての実施形態と同様に、すべての第2コンタクト領域42を合わせた全体サイズを、チップ上面20のサイズよりも大きくすることができる。
【0077】
他の点では、
図1~
図6と同じ内容が
図7にも適用可能であり、逆もまた同様である。
図8に、第2コンタクト領域42のうちの中央の第2の第2コンタクト領域が、第2コンタクト領域42のうちの最大の第2コンタクト領域であることが示されている。第2コンタクト領域42のうちの第2の第2コンタクト領域は、例えば、エミッタパッドまたはソースパッドであり、これに対応して、第2コンタクト領域42のうちの周囲の第1の第2コンタクト領域は、全体としてより小さい面積含有量を有し、ゲートコンタクトパッドであってよい。例えば、第2コンタクト領域42のうちの外側の第1の第2コンタクト領域のトラック幅は、チップ上面20の最大縁部長さの少なくとも2%かつ/または最大15%に相当することができる。第2コンタクト領域42のうちの内側の第2の第2コンタクト領域の縁部長さは、例えば、チップ上面20の最大縁部長さの少なくとも60%かつ/または最大95%である。
【0078】
例えば、上部コンタクト領域21は、
図4~
図8と同様に形作られる。第2コンタクト領域42のうちの第2の第2コンタクト領域は、上面図において見て、正方形の形状であってよい。
【0079】
他の点では、
図1~
図7と同じ内容が
図8にも適用可能であり、逆もまた同様である。
図9によれば、第2コンタクト領域42のうちの内側の第2の第2コンタクト領域が、比較的小さく、例えば、上面図において見て、半導体デバイス1の全体サイズの最大10%または5%である。したがって、第2コンタクト領域42のうちの周囲の第1の第2コンタクト領域が、本体上面66のほぼ全体を覆うことができる。例えば、第2コンタクト領域42のうちの内側の第2の第2コンタクト領域は、ゲートコンタクトパッドである。この同軸設計において、ゲートコンタクトパッドを中央に置くことによって、例えばエミッタまたはソースコンタクトパッドである外側の層コンタクト領域42を最大化し、寄生インダクタンスを低くすることができる。同じことを、すべての中間配線層3、5についても適用することができる。
【0080】
上面図において見て、第2コンタクト領域42のうちの第2の第2コンタクト領域が、割り当てられた上部コンタクト領域21と重ならないことが可能である。
【0081】
他の点では、
図8と同じ内容が
図9にも適用可能であり、逆もまた同様である。
図10の実施形態に、第1電気配線層3のすべての第1コンタクト領域31が、第1絶縁層61の上の共通の平面内に位置することが示されている。さらに、選択肢として、横方向における第1コンタクト領域31の周囲に、さらなる絶縁層65が存在する。したがって、さらなる絶縁層65は、第1絶縁層61と第2絶縁層62との間に位置する。
【0082】
図10によれば、基板8は絶縁体6に埋め込まれていないが、基板8の側面に絶縁体6が存在しなくてもよい。基板8は、はんだなどの接続手段81によって半導体チップに接続される。基板8は、例えば、ヒートシンクまたはリードフレームである。このような構成は、他のすべての実施形態にも存在することができる。図面を簡単にするために、
図10においては、コンタクト領域31、42のうちの1つだけが明示的に示されていることに留意されたい。
【0083】
図10に示した内容とは対照的に、
図11によれば、異なる上部コンタクト領域21に割り当てられた第1コンタクト領域31が、1つの平面内には位置せず、むしろチップ上面20に垂直な方向にオフセットされる。したがって、第1コンタクト領域31のうちの1つに各々が割り当てられた2つのさらなる絶縁層65が重なり合って存在することができる。追加の選択肢として、接続手段81に割り当てられたさらなる絶縁層65も存在することができる。
【0084】
【0085】
図12に、半導体デバイス1が2つ以上の中間層を備えること、すなわち、第1電気配線層3に加えて、第1電気配線層3と第2電気配線層4との間に位置する少なくとも1つの第3電気配線層5が存在することが示されている。
図12の例では、互いに重なり合った2つの第3電気配線層5が存在するが、第3電気配線層3が1つだけ存在することや、少なくとも3つの第3電気配線層5が存在することも可能である。
【0086】
図12において、中間配線層3、4は、
図10と同様に構成され、したがって特定の配線層3、4のすべてのコンタクト領域31、53は、共通の平面内に位置する。しかしながら、第1および第3配線層3、4の一方におけるコンタクト領域31、53をチップ上面20に垂直な方向に変位させることができるように、
図11による構成も可能である。
【0087】
このような少なくとも1つの第3電気配線層5は、他のすべての実施形態にも存在することができる。
【0088】
さらに、選択肢として、中間電気配線層3、5は、互いに異なるコンタクト領域31、53のパターンを有することができる。したがって、上部コンタクト領域21から始まって、それぞれ割り当てられたコンタクト領域31、53は、それぞれ割り当てられたコンタクト領域31、53が関連する第2コンタクト領域42に近づくほど、それぞれ割り当てられた第2コンタクト領域42により似た形に作られる。
【0089】
中間配線層3、5のメタライゼーションを、最上部の第2電気配線層4よりも薄くすることが可能である。例えば、第1および/または第3コンタクト領域31,53の厚さが、30μm~70μmである一方で、第2コンタクト領域42の厚さは、80μm~200μmである。同じことが、他のすべての実施形態においても可能である。
【0090】
他の点では、
図1~
図11と同じ内容が
図12にも適用可能であり、逆もまた同様である。
【0091】
図13~
図16に、半導体デバイス1の別の実施形態が、断面図によって示されている。この場合、半導体デバイス1は、第3電気配線層5を1つ備える。
図12の実施形態と同様に、中間層3、5は、第2コンタクト領域42の形状へと向かう上部コンタクト領域21の形状のより緩やかな変化を達成することができるように、異なる形状を有する。
【0092】
したがって、
図13を参照すると、上部コンタクト領域21を、例えば
図5~
図7のような形状にすることができる。次に、
図14を参照すると、
図13と比較して、第1電気配線層3の第1コンタクト領域31のうちの小さい方が、半導体デバイス1の中心に向かって延びている。
【0093】
次に、
図15を参照すると、
図14と比較して、第3コンタクト領域53のうちの小さい方が、中央にシフトしており、第3コンタクト領域53のうちの大きい方が、第3コンタクト領域53のうちの小さい方を取り囲んでいる。しかしながら、第3コンタクト領域53のうちの小さい方は、依然として中心から外れて配置されている。最後に、
図16を参照すると、第3コンタクト領域53のうちの小さい方が、第3コンタクト領域53のうちの大きい方によって対称な様相で取り囲まれている。
【0094】
このような第2コンタクト領域42の形状へと向かうコンタクト領域の形状の緩やかな変化は、他のすべての例示的な実施形態にも存在できる。
【0095】
【0096】
図17に、半導体モジュール10が示されている。半導体モジュール10は、例えば
図1~
図16のいずれか1つに示されるような1つまたは複数の半導体デバイス1を備える。半導体モジュール10は、回路基板などの電気キャリア11をさらに備える。電気キャリア11は、例えばはんだ付けまたは焼結によって第2コンタクト領域42が取り付けられる接触面12を有する。
【0097】
接触面12および割り当てられた第2コンタクト領域42は、同じサイズであってよく(半導体デバイス1のうちの中央の半導体デバイスを参照)、あるいは接触面12は、割り当てられた第2コンタクト領域42よりも大きくても、小さくてもよい(それぞれ半導体デバイス1のうちの左側および右側の半導体デバイスを参照)。
【0098】
さらなる選択肢として、半導体モジュール10は、冷却器13を備える。冷却器13を、少なくとも1つの半導体デバイス1の基板8に取り付けることができる。これにより、少なくとも1つの半導体デバイス1の両方の主面にヒートシンクを設けることができ、冷却が改善され、より大きな電流を扱うことが可能になる。
【0099】
最後に、
図18を参照すると、半導体デバイスを製造するための方法が概略的に示されている。
【0100】
第1方法ステップS1において、上部コンタクト領域42を有する半導体チップ1が提供される。このステップにおいて、例えば、随意による絶縁埋設部60がすでに存在する。
【0101】
次に、方法ステップS2において、第1絶縁層31が設けられ、第1電気貫通コンタクト71が生成される。
【0102】
方法ステップS3において、第1電気配線層3が形成され、第1コンタクト領域31は、すべてが同じ平面内にあってよく(
図10を参照)、あるいは第1コンタクト領域31は、さらなる絶縁層65を使用することによって順々に形成される(
図11を参照)。さらなる絶縁層65の厚さは、例えば、関連する第1コンタクト領域31の厚さに相当する。
【0103】
方法ステップS4において、第2絶縁層62が設けられ、第2電気貫通コンタクト72が形成される。さらなる絶縁層65が存在する場合、第2電気貫通コンタクト72は、さらなる絶縁層65も貫通して延びてもよい。
【0104】
次に、方法ステップS5において、第2コンタクト領域42が、例えばめっきによって形成される。
【0105】
選択肢として、方法ステップS3と方法ステップS4との間に実行される方法ステップS6および方法ステップS7が存在できる。方法ステップS6において、第3絶縁層63が形成され、第3電気貫通コンタクト73が設けられる。方法ステップS7において、第3電気配線層5が設けられる。方法ステップS6およびS7について、第3電気配線層5の数に応じて、さまざまな回数の繰り返しが可能である。
【0106】
したがって、CSP半導体デバイス1は、例えば以下の一連のステップ、すなわち
i)半導体チップを、銅製リードフレームなどの基板8上に、例えば焼結によって接合するステップと、
ii)銅箔および/またはプリプレグを積層し、プリプレグを切断すること、あるいは代替のプロセスとしてエポキシ圧縮成形を行うことによって、半導体チップ1を埋め込み、随意により基板8も埋め込むステップと、
iii)例えばビア穿孔によって電気貫通コンタクトを形成するステップと、
iv)銅の電気めっきおよび構造化により、それぞれの電気配線層を生成するステップと
によって製造される。
【0107】
プリプレグ箔の厚さが、CSPが耐えることができる最大電圧を規定すると考えられる。標準的な材料は、FR4およびエポキシであり、これらは100μmあたり約2kVの破壊電界を有する。安全マージンを含めて、1.2kVの半導体デバイス1の適切な埋め込みは、典型的には、半導体チップ1とソースまたはゲート電位の上面層との間に、厚さ100μmの絶縁層61、62、63、65を必要とする。しかしながら、技術的な制限、すなわち厚い絶縁層または多層の絶縁層の積層および穿孔、ならびにそのような深いビア構造のためのコンフォーマルなめっきが、例えば0.6kVを上回る高い電圧へのCSPの展開を妨げてきた。本明細書に提示した半導体デバイス1の多層構造によれば、例えば絶縁層の厚さを増やすことで、より高い電圧を実現することができる。
【0108】
図中に示されているコンポーネントは、とくに指示されない限り、好ましくは直接的または間接的に一方が他方の上になるように指定された順序で続く。図中で接触していない層は、好ましくは互いに離間している。線が互いに平行に描かれている場合、対応する表面は、互いに平行に配向されていることが好ましい。同様に、別段の指示がない限り、描かれたコンポーネントの互いに対する位置は、図中で正確に再現されている。
【0109】
ここで説明した発明は、実施形態に基づく説明によって限定されるものではない。むしろ、本発明は、任意の新規な特徴だけでなく、とくには請求項における特徴の任意の組み合わせを含む特徴の任意の組み合わせも、たとえこの特徴またはこの組み合わせ自体が請求項または例示的な実施形態に明示的には示されていなくても包含する。
【0110】
本特許出願は、欧州特許出願第2215 2939.9号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0111】
参照符号
1 半導体デバイス
2 半導体チップ
20 チップ上面
21 上部コンタクト領域
3 第1電気配線層
31 第1コンタクト領域
4 第2電気配線層
42 第2コンタクト領域
5 第3電気配線層
53 第3コンタクト領域
6 絶縁体
60 絶縁埋設部
61 第1絶縁層
62 第2絶縁層
63 第3絶縁層
65 さらなる絶縁層
66 本体上面
71 第1電気貫通コンタクト
72 第2電気貫通コンタクト
73 第3電気貫通コンタクト
8 基板
81 接続手段
9 改良版の半導体デバイス
10 半導体モジュール
11 電気キャリア
12 接触面
13 冷却器
S. 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され、チップ上面(20)に上部コンタクト領域(21)を備えている半導体チップ(2)と、
・前記上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域(31)を有している前記上部コンタクト領域(21)に電気的に接触した第1電気配線層(3)と、
・前記第1電気配線層(3)の前記上部コンタクト領域(21)から遠い側に位置し、前記上部コンタクト領域(
21)に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域(42)を有しており、前記第2コンタクト領域(42)は外部コンタクト領域として構成されている第2電気配線層(4)と、
・前記第1電気配線層(3)と前記第2電気配線層(4)との間に位置し、前記第1電気配線層(3)および前記第2電気配線層(4)に電気的に接続され、第3コンタクト領域(53)を有している少なくとも1つの第3電気配線層(5)と
を備えており、
・半導体デバイス(1)は、チップサイズパッケージであり、
・前記半導体チップ(2)は、パワー金属-絶縁体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator field-effect transistor)またはパワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)であり、
・前記第1
電気配線層(3)、
前記第2
電気配線層(4)、および
前記第3
電気配線層
(5)は、いずれの場合も誘電体材料で作られた絶縁層(61、62、63)によって互いに隔てられ、
前記絶縁層(61、62、63)を貫いて電気貫通コンタクト(71、72、73)が形成され、
・
前記上部コンタクト領域(21)のうちの前記電気的に割り当てられた1つとは異なる形状である前記第2コンタクト領域(42)のうちの第1の第2コンタクト領域が、前記チップ上面(20)の上面図において見て、
同軸の様相で、前記上部コンタクト領域(21)のうちの前記電気的に割り当てられた前記1つとは異なる形状である前記第2コンタクト領域(42)のうちの第2の第2コンタクト領域の周囲に完全に延びて
おり、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第1の第2コンタクト領域および前記第2の第2コンタクト領域が、回転対称に、および/または点対称に配置される、半導体デバイス(1)。
【請求項2】
それぞれ前記第1電気配線層(3)と前記第2電気配線層(4)との間に位置し、前記第1電気配線層(3)および前記第2電気配線層(4)に電気的に接続された少なくとも2つの前記第3電気配線層(5)
を備え、
前記第1コンタクト領域(31)から出発して前記第2コンタクト領域(42)に向かって、それぞれの割り当てられた前記第3コンタクト領域(53)の形状が、第3電気配線層(5)から第3電気配線層(5)へと前記第2コンタクト領域(42)により類似するようになる
、請求項
1に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項3】
前記絶縁層(61、62、63)の厚さが、いずれの場合も100μm以下であ
る、請求項1または2に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項4】
前記チップ上面(20)の上面図において見て前記半導体デバイス(1)の全体サイズが前記チップ上面(20)のサイズの130%以下であり、これにより、前記半導体デバイス(1)が正確に1つの半導体チップ(2)を備え、
すべての前記第2コンタクト領域(42)を合わせた全体サイズが、前記チップ上面(20)のサイズよりも大きい、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項5】
・
前記第1電気配線層(3)、前記第2電気配線層(4)、および前記第3電気配線層(5)の厚さが、いずれの場合も20μm以上200μm以下であり、
・前記電気貫通コンタクト(71、72、73)が、前記絶縁層(61、62、63)の各々を貫いて延び、前記電気貫通コンタクト(71、72、73)は、前記第1電気配線層(3)、前記第2電気配線層(4)、および前記第3電気配線層(5)のうちの隣り合う電気配線層を電気的に接続し、
・前記電気貫通コンタクト(71、72、73)の直径が、いずれの場合も20μm以上200μm以下である、
少なくとも請求項
3に記載の半導体デバイス(1)。
【請求項6】
・
請求項1または2に記載の少なくとも1つの半導体デバイス(1)と、
・電気キャリア(11)と
を備えており、
前記第2コンタクト領域(42)は、前記電気キャリア(11)の電気接触面(12)に接続されている、半導体モジュール(10)。
【請求項7】
請求項1
または2に記載の半導体デバイス(1)を製造するための方法であって、
・少なくとも0.6kVの電圧に向けて構成され
、チップ上面(20)
に上部コンタクト領域(21)を備えてい
る半導体チップ(2)を用意することと、
・前記
半導体チップ(2)上に、
絶縁層(61、62、63)、第1電気配線層(3)、第2電気配線層(4)および少なくとも1つの第3電気配線層(5)を適用することと、
を含み、
・前記半導体デバイス(1)は、チップサイズパッケージであり、
・前記第1電気配線層(3)は、上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた第1コンタクト領域(31)を有している前記上部コンタクト領域(21)に電気的に接触し、
・前記第2電気配線層(4)は、前記第1電気配線層(3)の前記上部コンタクト領域(21)から遠い側に位置し、前記上部コンタクト領域(21)に電気的に割り当てられた第2コンタクト領域(42)を有しており、前記第2コンタクト領域(42)は外部コンタクト領域として構成され、
・前記少なくとも1つの第3電気配線層(5)は、前記第1電気配線層(3)と前記第2電気配線層(4)との間に位置し、前記第1電気配線層(3)および前記第2電気配線層(4)に電気的に接続され、第3コンタクト領域(53)を有し、
・前記半導体チップ(2)は、パワー金属-絶縁体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator field-effect transistor)またはパワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)であり、
・前記第1電気配線層(3)、前記第2電気配線層(4)、および前記第3電気配線層(5)は、いずれの場合も誘電体材料で作られた絶縁層(61、62、63)の一つによって互いに隔てられ、前記絶縁層(61、62、63)を貫いて電気貫通コンタクト(71、72、73)が形成され、
・
前記上部コンタクト領域(21)のうちの前記電気的に割り当てられた1つとは異なる形状である前記第2コンタクト領域(42)のうちの第1の第2コンタクト領域が、前記チップ上面(20)の上面図において見て、前記上部コンタクト領域(21)のうちの前記電気的に割り当てられた1つとは異なる形状である前記第2コンタクト領域(42)のうちの第2の第2コンタクト領域の周囲に完全に延びており、前記第2コンタクト領域(42)のうちの前記第1の第2コンタクト領域および前記第2の第2コンタクト領域が、回転対称に、および/または点対称に配置される、方法。
【国際調査報告】