(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】選択的にアクセス可能な口閉じマスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543929
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 US2023061207
(87)【国際公開番号】W WO2023147323
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522014220
【氏名又は名称】スナップ シーパップ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヘザリントン,スチュアート
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211CA02
3B211CB00
3B211CC01
3B211CE01
3B211CE02
3B211CE03
(57)【要約】
口閉じマスクは、マスクを着用者の顔に接着させる接着材が裏側面に配置される可撓性シートを含む。ポートは、前記シートの一部を通って画定される。前記ポートは、当該ポートが覆われていないときに着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする。
保持フランジは、前記ポートに接着して前記可撓性シート上に配置されている。シールは、前記保持フランジに選択的に係合し、前記シールと前記保持フランジとが係合するときに前記ポートへのアクセスを制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを着用者の顔に接着させる接着材が裏側面に配置される可撓性シートと、
シートの一部を通って画定されるポートであって、当該ポートが覆われていないときに着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする、ポートと、
前記ポートに隣接して前記可撓性シート上に配置される保持フランジと、
前記保持フランジに選択的に係合するシールであって、当該シールと前記保持フランジとが係合するときに前記ポートへのアクセスを制限する、シールとを備える、口閉じマスクアセンブリ。
【請求項2】
前記保持フランジは、前記可撓性シートの表側面の一部に配置される、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項3】
前記保持フランジと前記シールとは、選択的な係合を可能にするために磁気的に引き付けられる、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項4】
前記シールは磁石アセンブリを含み、
前記磁石アセンブリは、前記シール内に取り付けられた複数の磁石を備え、
前記磁石の各々は、
前記保持フランジと磁気的に係合する部分を有し、
前記シール内に取り付けられ隣接して配置される磁石の極性と反対の極性を有するように配置される、請求項3に記載のマスクアセンブリ。
【請求項5】
前記保持フランジは磁石アセンブリを含み、
前記磁石アセンブリは、前記シールと磁気的に係合する部分を有する、請求項3に記載のマスクアセンブリ。
【請求項6】
前記シールは磁石アセンブリを含み、前記保持フランジは鉄材料を含む、請求項3に記載のマスクアセンブリ。
【請求項7】
前記シールは鉄系材料を含み、前記保持フランジは磁石アセンブリを含む、請求項3に記載のマスクアセンブリ。
【請求項8】
前記シールと前記保持フランジとは、引力磁石アセンブリを含む、請求項3に記載のマスクアセンブリ。
【請求項9】
前記シールと前記保持フランジとは、選択的に動作可能に結合されている、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項10】
前記シールと前記保持フランジとは、面ファスナーアセンブリにより選択的に動作可能に結合される、請求項9に記載のマスクアセンブリ。
【請求項11】
前記シールは、前記ポートと流体連通する通路を画定するエンクロージャを備える、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項12】
前記シールは、一方向バルブ、および、一方向の流出を他方向の流出より多く制限するバルブのうちの1つをさらに備える、請求項11に記載のマスクアセンブリ。
【請求項13】
前記シールは、前記通路および前記ポートを通るアクセスを制限するために、前記通路内に受容されるインサートをさらに備える、請求項11に記載のマスクアセンブリ。
【請求項14】
前記インサートはメッシュまたはフィルター材料を担持する、請求項11に記載のマスクアセンブリ。
【請求項15】
前記シールは、着用者が前記保持フランジから前記シールを選択的に係合解除するためのタブを含む、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項16】
表側面と、対向する裏側面とを有する可撓性シートと、
前記可撓性シートの前記裏側面に配置される接着材と、
面ファスナーアセンブリのループ型布地部分であって、前記可撓性シートの前記表側面に配置されるループ型布地部分と、
シートの一部を通って画定されたポートであって、覆われていないときに着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする、ポートと、
面ファスナーアセンブリのフック型布地部分を備えるシールであって、前記シールの前記フック型布地部分は、前記ループ型布地部分と選択的に係合し、前記シールが前記ポートを覆って前記ポートからのアクセスを制限する、シールと、を備える、口閉じマスクアセンブリ。
【請求項17】
前記シールは、前記ポートと流体連通する通路を画定するエンクロージャを備える、請求項16に記載のマスクアセンブリ。
【請求項18】
前記シールは、一方向バルブ、および、一方向の流出を他方向の流出より多く制限するバルブのうちの1つをさらに備える、請求項17に記載のマスクアセンブリ。
【請求項19】
前記シールは、前記通路および前記ポートを通る流れを制限するために、前記通路内に受容されるインサートをさらに備える、請求項17に記載のマスクアセンブリ。
【請求項20】
前記シートの前記フック型布地部分は、前記ポートを完全に覆い、そこからのアクセスを防止する、請求項17に記載のマスクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は2020年1月25日に出願された米国仮特許出願第62/302,741号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示の主題は、口閉じマスクに関し、特に、睡眠中に着用者の口を覆って使用し、マスクを外すことなく着用者の口にアクセスできる、選択的にアクセス可能な口閉じマスクに関する。
【0003】
〔背景〕
いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、成人の20%近くが罹患している。個人とその睡眠パートナーに不快感を与えるだけでなく、これらの症状が原因で重大な、そして致命的な医学的結果をもたらすことさえある。
【0004】
このような呼吸困難は、呼吸プロセスにおけるいくつかの異なる圧力ポイントまたは抵抗によって引き起こされ得る。これらの抵抗には、鼻、軟口蓋、舌の後ろの部分、喉頭蓋などが含まれる。これらの抵抗のどれかがいびきの原因となる可能性があり、同時に複数の抵抗を有することが呼吸困難の原因となっている人もいる。
【0005】
いびきにはさらに、喫煙、肥満、飲酒、運動不足、加齢など、さまざまな要因がある。これらはすべて、上気道の全般的な筋緊張に悪影響を及ぼし、気道の閉塞を招く。
【0006】
いびき及びOSAに対処するための1つのアプローチは、着用者が鼻で呼吸するように口を密閉することであった。これは一般的に、着用者の唇および/または顔の一部を密閉する感圧接着マスクで実現される。マスクは主に1回限りの使用となる。したがって、着用者が夜中に目を覚まして水分を摂取したり、誰かと話したりする場合、マスクを外して別のマスクを付け直さなければならないことが多い。
【0007】
したがって、着用者がマスクを外さずに水分を摂取したり、誰かと話したりできるようにするといった、上述の欠点に対処する改良を提供することは有益であろう。
〔発明の概要〕
【0008】
当該概要が提供される目的は、以下の詳細な説明においてさらに詳述される概念を、簡略化された形態において、紹介することである。当該概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別する意図は有さず、また、特許請求される主題の範囲を限定するものとして解釈されるべきでもない。
【0009】
本明細書では、着用者がマスクを取り外すことなく水分を摂取したり会話したりできるように選択的にアクセス可能な口閉じマスクが提供される。様々な実施形態によれば、口閉じマスクは、裏側面(back facing surface)に接着材を有する可撓性シートを備え、当該接着材は、マスクを着用者の顔に接着するように構成される。可撓性シートはさらに、シートの一部を通って(貫通して)画定されたポートを備え、当該ポートは、ポートが覆われていないときに着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする。口閉じマスクはまた、ポートに隣接して可撓性シート上に配置される保持フランジを備える。口閉じマスクはさらに、保持フランジと選択的に係合するシールを備え、シールと保持フランジとが係合するときにポートへのアクセスを制限する。
【0010】
1つ以上の実施形態によれば、保持フランジは、可撓性シートの表側面(front facing surface)の一部に配置される。
【0011】
1つ以上の実施形態によれば、保持フランジとシールとは、選択的な係合を可能にするために磁気的に引き付けられる。さらなる実施形態によれば、保持フランジに磁気的に引き付けられるシールは、シール内に取り付けられた複数の磁石を備える磁石アセンブリを含む。追加の実施形態において、磁石の各々は、保持フランジと磁気的に係合する部分を有し、複数の磁石の各々が、シール内に取り付けられ隣接して配置される磁石の極性と反対の極性を有するように配置される。さらなる実施形態によれば、シールに磁気的に引き付けられる保持フランジは、保持フランジ内に取り付けられた複数の磁石を備える磁石アセンブリを含む。追加の実施形態において、磁石の各々は、シールと磁気的に係合する部分を有し、複数の磁石の各々が、保持フランジ内に取り付けられ隣接して配置される磁石の極性と反対の極性を有するように配置される。
【0012】
1つ以上の実施形態によれば、シールは磁石アセンブリを含み、保持フランジは鉄リングを含む。
【0013】
1つ以上の実施形態によれば、シールは鉄系材料を含み、保持フランジは磁石アセンブリを含む。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、シールと保持フランジとは、引力磁石アセンブリ(attractive magnet assemblies)を含む。
【0015】
1つ以上の実施形態によれば、シールと保持フランジとは、選択的に動作可能に結合される。
【0016】
1つ以上の実施形態によれば、シールと保持フランジとは、面ファスナーアセンブリと選択的に動作可能に結合される。
【0017】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、ポートと流体連通する通路を画定するエンクロージャを備える。
【0018】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、一方向バルブ、または、一方向の流出(流通)(flowthrough)を他方向の流出より多く制限するバルブを備える。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、通路及びポートを通るアクセスを制限するために、通路内に受容されるインサートを備える。
【0020】
1つ以上の実施形態によれば、インサートはメッシュまたはフィルター材料を担持する。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、着用者が保持フランジからシールを選択的に係合解除するためのタブを含む。
【0022】
様々な実施形態によれば、口閉じマスクは、表側面と、対向する裏側面とを有し、裏側面に接着材を有する可撓性シートを備える。可撓性シートは、面ファスナーアセンブリのループ型布地部分であって、表側面に配置されるループ型布地部分をさらに備える。可撓性シートは、シートの一部を通って画定されたポートをさらに備え、当該ポートは、ポートが覆われていないときに患者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする。口閉じマスクは、面ファスナーアセンブリのフック型布地部分を備えるシールをさらに備える。当該シールのフック型布地部分は、ループ型布地部分に選択的に係合し、シールがポートを覆ってポートからのアクセスを制限する。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、ポートと流体連通する通路を画定するエンクロージャを備える。
【0024】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、一方向バルブ、または、一方向の流出を他方向の流出より多く制限するバルブを備える。
【0025】
1つ以上の実施形態によれば、シールは、通路及びポートを通るアクセスを制限するために、通路内に受容されるインサートを備える。
【0026】
1つ以上の実施形態によれば、シールのフック型布地部分は、ポートを完全に覆い、そこからのアクセスを防止する。
【0027】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの側面図である。
【0028】
図2は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの上面斜視図である。
【0029】
図3は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの底面斜視図である。
【0030】
図4は、
図1の実施形態による、シールが選択的に外された口閉じマスクの側面図である。
【0031】
図5は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、マスクを着用する着用者がストローを通して飲料を飲むことができるようにシールが係合解除された口閉じマスクの側面図である。
【0032】
図6は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態によるマスクの上面斜視分解図であり、エンクロージャは、その中の別個の磁石を示すために透明であり、シールは、バルブおよびタブを有するエンクロージャを含む。
【0033】
図7Aは、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、ワッシャ形状の鉄アセンブリ保持フランジと、磁気的引力を有するエンクロージャのワッシャ形状の磁石アセンブリ底部とを有する。
【0034】
図7Bは、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、磁気的引力を有するワッシャ形状の磁石アセンブリ保持フランジと、ワッシャ形状の鉄アセンブリ底部とを有する。
【0035】
図7Cは、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、ワッシャ形状の保持フランジおよびワッシャ形状の底部を有するエンクロージャは、両方とも磁石アセンブリであり磁気吸引力を有する。
【0036】
図8は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、可撓性シートの表側面に貼付された面ファスナーのループ型部分と、ポートへのアクセスを制限するためにループ型部分に選択的に係合するシールとしての面ファスナーのフック型部分とを有する。
【0037】
図9は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、可撓性シートおよびシールのエンクロージャに貼付されたワッシャ形状の面ファスナー部分を有する。
【0038】
〔詳細な説明〕
以下に、本発明の実施例における技術的解決策が、本発明の実施例に係る図面に関連して、明確かつ包括的に示されている。明確に、以下に示された実施例は実施例の一部にすぎず、本発明の全ての実施例ではない。概して、本明細書の図面に示され、示された本発明の実施例の構成要素は、様々な構成に従って配置され、設計されることができる。したがって、以下の図面に提供される本発明の実施例の詳細な説明は、本発明の特許請求される範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の選択された実施例を表すものに過ぎない。本発明の実施例に基づいて、発明のための労力なしに当業者によって得られ得る他の実施例の全ては、本発明の保護の範囲内にある。
【0039】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることも、または開示された実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形を加え得ることが、当業者には明らかであろう。実施形態の原理、実用的な応用、または市場で見出される技術に対する技術的改良を最もよく説明するように、または当業者が本明細書において開示される実施形態を理解することを可能にするように、本明細書において使用される用語は、選択された。
【0040】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段、または機能部材とステップとにおける、対応する構造、材料、動作、および等価物は、明確に特許請求される場合は、他の特許請求される部材と組合せて機能を遂行するための、任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であることも、または開示された形態に限定されることも意図されていない。当業者には、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形を加え得ることが、明らかであろう。本発明の原理および実用的な応用を最もよく説明するために、また、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態について、本発明を理解することを可能にするために、実施形態は選択され、説明された。
【0041】
〔詳細な説明〕に照らして、これら、およびほかの変更を本開示に加えることができる。上記の説明は本開示の特定の実施形態を説明し、企図される最良の形態を説明するが、上記がどれほど詳細にテキストに現れるかに関わらず、本教示は多くの方法で実施されることが可能である。システムの詳細は、その実施の詳細においてかなり変化し得るが、当該システムの詳細は、本明細書に開示される主題によって依然として包含される。上述のように、本開示の特定の特徴または態様を説明する際に使用される特定の用語は、その用語が関連付けられる本開示の任意の特定の特性、特徴、または態様に限定されるように、本明細書において用語が再定義されることを、暗示するものと解釈されるべきではない。概して、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の実施形態の〔詳細な説明〕の項においてそのような用語が明示的に定義されない限りは、本開示を明細書に開示された特定の実施形態に限定するものと、解釈されるべきではない。したがって、本開示の実際の範囲は、開示された実施形態のみならず、特許請求の範囲の下において、本開示を実行または実施するすべての同等の方法も包含する。
【0042】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書において開示される主題が関係する当業者に、一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似、または同等の任意の方法、装置、および材料が、本明細書に開示される主題の実施または試験において使用され得るが、代表的な方法、装置、および材料がここに記載される。
【0043】
長年の特許法慣例に従い、「a」、「an」及び「the」という用語は、特許請求の範囲を含む本明細書において使用される場合、「1以上」を意味する。したがって、例えば、「装置」への言及は、複数の前記装置の意味を含む、という具合である。
【0044】
別段の示唆がない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される構成要素、状態などの量を表すすべての数字は、すべての場合において、「約」という語によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、それに反する示唆がない限り、本明細書に開示される主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0045】
本明細書において、「約」という用語は、質量、重量、時間、体積、濃度、および/またはパーセンテージの値または量を指す場合、開示される一括案および方法において適切である変動、すなわち、一部の実施形態においては特定の量から+/-20%、一部の実施形態おいては特定の量から+/-10%、一部の実施形態おいては特定の量から+/-5%、一部の実施形態においては特定の量から+/-1%、一部の実施形態では特定の量から+/-0.5%、および一部の実施形態では特定の量から+/-0.1%の、変動を包含し得る。
【0046】
本開示の主題の様々な実施形態は、マスク10自体を取り外すことなく、ポート16を介して着用者の口にアクセスすることを可能にし得る、顔に装着される口閉じマスクアセンブリ10(以下、「マスク」と特定する)を対象とする。マスク10を装着するために接着材14が使用され、ほとんどの接着材14の特性により、マスクを取り外すと、一般に、接着材の品質が低下し、着用者の口の周りの顔にしっかりと接着する能力が低下する。実際、ほとんどの口閉じマスクは、一般に、取り外すと、別の新しいマスクの再装着が必要になる。
【0047】
添付の図に示されるものを含む様々な実施形態は、いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)などの睡眠中に関連する呼吸の問題を緩和するのを促進することによって睡眠補助装置として機能するマスク10を対象とする。様々な実施形態において、
図1および
図3に示すように、マスク10は、表側面、および対向する裏側面を有する可撓性シート12を含む。当該裏側面は接着材14をその上に有する。このような実施形態では、接着材14は、マスク10を着用者の顔に接着するために設けられる。実施形態では、接着材14は感圧性であり、一般に、着用者に接着するのに十分な「タック」を有する一方で、着用者がマスク10を使用し終わったときにマスク10を痛みなく取り外すことができ、それによってマスク10を使い捨てにし、1回限りの使用とすることができる。様々な実施形態において、シートは、非限定的な例として、布、織布および不織布、紙、ガーゼ、ならびにポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、およびポリエステルなどのポリマーを含む任意の適切な材料で作ることができる。さらに、特定の実施形態では、マスク10は、接着材14を変化させるなどして、1回限りの装着および取り外しを超えるように構成できることが予見される。実際、複数回使用する実施形態の変形例では、マスク10は、接着材14を覆うための取り外し可能に取り付けられたプロテクタ、またはマスク10を保管できるようにするためのケースも含む。少なくとも1つの実施形態では、マスク10は、着用者がシート12に貼り付ける別の新しい接着材層を含む。新しい接着材層は、予め使用された接着材14を覆い、(シート12と新しい接着材層とを含むことになる)マスク10を着用者に固定するための新しい未使用の接着材を含む。
【0048】
さらなる実施形態では、
図1および
図3で特定されるように、マスク10は、マスク10が装着されたときに着用者の口の外側と内側との間のアクセスを可能にするためにシート12の一部を通して画定されるポート16を含む。実施形態では、ポート16は円形の切り抜き、すなわち穴である。しかしながら、ポート16には任意の所望の形状または適切な形状が採用され得ることが予見される。
図5に示すように、ポート16は、ポート16が覆われていないときに着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にするように構成されており、着用者がマスク10を取り外すことなく会話および/または飲み物を飲むことを可能にする。特定の実施形態では、マスク10は、
図1、
図3、
図4、および
図6に示されるように、ポート16の周囲に、可撓性シート12によって担持される保持フランジ20を含んでもよい。保持フランジ20については、以下により詳細に説明する。
【0049】
様々な実施形態において、シール22は、保持フランジ20と選択的に係合するように構成され、それにより、シールと保持フランジとが係合するとき、ポート16へのアクセスを制限する。したがって、シール22は、空気または液体の流通を制限する。実施形態では、
図1~
図6に示すように、シール22は、円筒形のエンクロージャである。しかしながら、任意の所望のまたは適切な構成形状が採用され得ることが予見される。特定の実施形態では、
図1~4、
図6、および
図7に示すように、保持フランジ20およびシール22は、選択的な係合を可能にするために磁気的に引き付けられる。したがって、シール22をマスク10に選択的に係合させて、着用者が睡眠中に着用者の口の内側と外側との間のアクセスを防止することができる。さらに、シール22はマスク10から選択的に取り外すことができ、マスク10を取り外すことなく着用者の口の内側と外側との間のアクセスを可能にする。
図5に示すように、シール22の選択的な係合により、着用者は、ストローを通して液体を飲んだり、話したりするためにマスク10を取り外す必要がなくなる。
【0050】
特定の実施形態では、
図1に示すように、シール22は、その中に取り付けられた複数の別個の磁石24を有する磁石アセンブリを備え、保持フランジ20は、磁気的引力を有する物質(鉄系金属など)を備える。実際、一実施形態では、
図6に示すように、シール22は、8個の別個の磁石24を備え得る。さらに、実施形態では、別個の磁石24は、保持フランジ20に係合するように構成された部分(その端部など)を有してもよい。特定の実施形態では、磁気的引力および係合を可能にするように構成された別個の磁石24の端部の極性は、近接または隣接する別個の磁石の端部の極性と反対の極性を有する。それにより、シール22の磁石アセンブリは、磁気的引力を有する保持フランジ20により確実に固定されてもよい。
【0051】
上記および図には、別個の磁石の特定の数および構成が記載されているが、任意の所望のまたは適切な数、または構成が使用され得ることが予見される。実際、特定の実施形態では、シール22および保持フランジの一方または両方は、
図7A~7Cに示すワッシャのような、閉じた円板の形状をした単一の磁石を有する磁石アセンブリであってもよい。さらに、上記では、シール22が磁石アセンブリを備え、保持フランジ20が鉄アセンブリを備える(
図7Aに示すような)実施形態を提供したが、他の実施形態では、
図7Bに示すように、保持フランジ20は磁石アセンブリとしてもよく、シール22は鉄アセンブリとしてもよい。さらに、他の実施形態では、
図7Cに示すように、保持フランジ20およびシール22の両方が、引力磁石アセンブリを備えてもよい。実際、少なくとも1つの実施形態では、
図7Cに示すように、保持フランジ20およびシール22の両方が互いに引き付け合う閉じた円板のワッシャ形状の磁石を備えてもよい。
【0052】
他の実施形態では、
図8および
図9に示すように、保持フランジ20およびシール22は、面ファスナーアセンブリのような他のファスナーオプションを介して動作可能に結合され得る。実際、少なくとも1つの実施形態では、
図9に示すように、保持フランジ20は、面ファスナーアセンブリのループ型布地部分を有し、シール22は、その一部に配置され、フランジのループ型布地部分に係合するように構成された面ファスナーアセンブリのフック型布地部分を有してもよい。さらに、他の実施形態では、
図8に示すように、シート12の表側面は、その上に配置された面ファスナーアセンブリのループ型布地部分を有し、シール22自体は、ポート16を覆い、そこからのアクセスを制限する形状および大きさの面ファスナーアセンブリのフック型布地部分を備えてもよい。追加の実施形態では、
図3に示すように、シール22は、着用者がシール22をより容易に把持して取り外すことができるようにするためのタブ36をさらに備えてもよい。
【0053】
様々な実施形態において、
図1、
図2、および
図6に示すように、シール22は、ポート16と流体連通する通路30を画定するエンクロージャ28を備える。追加の実施形態では、
図2、
図5、および
図6に示すように、通路30は、バルブ26、例えば一方向バルブ、または一方向の流出を他方向の流出より多く制限するあるいは空気流を全体的に制限する他のバルブを備えてもよい。
【0054】
様々な実施形態において、
図5に示すように、シール22は、通路30およびポート16を通るアクセスを制限するために、通路30内に受容されるインサート32をさらに含む。特定の実施形態において、
図5に示すように、インサート32は、締り嵌めのために構成され、テーパ形状または締り嵌めを提供するための類似のものを含み得る。さらなる実施形態では、インサート32は、その中に一体化されたバルブ26またはフィルターアセンブリを含む。代替の実施形態では、
図5に示すように、インサート32が通路30内に締り嵌めされる前に、メッシュ34が通路30内に配置されてもよい。
【0055】
実施形態では、
図5に示すように、シール22がマスク10から選択的に嵌合解除されて、着用者がストローで飲めるようにする。その後、シール22はマスク10に選択的に再係合され、装着が終わるとマスク10の所望の機能が再び確立される。
【0056】
特定の実施形態では、マスク10は、表側面と、対向する裏側面とを有する可撓性シート12を備える。実施形態では、表側面は、面ファスナーアセンブリのループ型布地部分を含む。
【0057】
対向する裏側面は、その上に配置された接着材14を有する。
【0058】
様々な図の好ましい実施形態に関連して実施形態が説明されたが、他の同様の実施形態が使用されてもよく、またはそこから逸脱することなく同じ機能を実行するために、説明された実施形態に対して修正および追加が行われてもよいことを理解されたい。従って、開示される実施形態は、任意の単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に従って、広さ及び範囲において解釈されるべきである。
【0059】
図面及びこれらの説明において表現又は暗示される任意の寸法は、例示的な目的のために提供される。従って、図面及びこれらの説明の範囲内のすべての実施形態は、そういった例示的な寸法に従ってなされるわけではない。図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。従って、図面及びこれらの説明の範囲内のすべての実施形態は、図面の相対的な寸法に関する図面の明らかなスケールに従ってなされるわけではない。しかしながら、各図面について、少なくとも1つの実施形態は、図面の明らかな相対的スケールに従って作成される。
【0060】
別途規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法、装置、および材料が、本明細書に開示される主題の実施または試験において使用され得るが、代表的な方法、装置、および材料がここで記載される。
【0061】
長年の特許法慣例に従い、用語「a」、「an」、および「the」は、特許請求の範囲を含む本願明細書において使用される場合、「1つ以上」を指す。したがって、例えば、「デバイス(a device)」への言及は、複数のそのような装置を含むことができ、以下同様である。
【0062】
本発明の様々な実施形態の記述は例示の目的のために提示されているが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は実施形態の原理、市場で見出されるテクノロジーに対する実用的な適用または技術的改良を最もよく説明するために、または他の当業者が本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの側面図である。
【
図2】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの上面斜視図である。
【
図3】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、いびき及び睡眠時無呼吸を治療するための口閉じマスクの底面斜視図である。
【
図4】
図1の実施形態による、シールが選択的に外された口閉じマスクの側面図である。
【
図5】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による、マスクを着用する着用者がストローを通して飲料を飲むことができるようにシールが係合解除された口閉じマスクの側面図である。
【
図6】本明細書に開示される1つ以上の実施形態によるマスクの上面斜視分解図であり、エンクロージャは、その中の別個の磁石を示すために透明であり、シールは、バルブおよびタブを有するエンクロージャを含む。
【
図7A】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、ワッシャ形状の鉄アセンブリ保持フランジと、磁気的引力を有するエンクロージャのワッシャ形状の磁石アセンブリ底部とを有する。
【
図7B】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、磁気的引力を有するワッシャ形状の磁石アセンブリ保持フランジと、ワッシャ形状の鉄アセンブリ底部とを有する。
【
図7C】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、ワッシャ形状の保持フランジおよびワッシャ形状の底部を有するエンクロージャは、両方とも磁石アセンブリであり磁気吸引力を有する。
【
図8】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、可撓性シートの表側面に貼付された面ファスナーのループ型部分と、ポートへのアクセスを制限するためにループ型部分に選択的に係合するシールとしての面ファスナーのフック型部分とを有する。
【
図9】本明細書に開示される1つ以上の実施形態による口閉じマスクの側面図であり、当該マスクは、可撓性シートおよびシールのエンクロージャに貼付されたワッシャ形状の面ファスナー部分を有する。
【国際調査報告】