(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】薄膜成膜用炉心管、薄膜成膜法、および処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20250117BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20250117BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20250117BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 C
H01L21/316 X
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543982
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2022134122
(87)【国際公開番号】W WO2023138210
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210081260.0
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524210024
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (リンガン) インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ACM RESEARCH (LINGANG) , INC.
【住所又は居所原語表記】BUILDING C, NO. 888 HUANHU WEST SECOND ROAD, NANHUI NEW TOWN, LIN-GANG SPECIAL AREA OF CHINA (SHANGHAI) PILOT FREE TRADE ZONE Shanghai 201303 CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】523404767
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ACM RESEARCH KOREA CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#402, Hyundai City Plaza, 2106 Gyeongchung-daero, Bubal-eup, Icheon-si, Gyeonggi-do REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】523404778
【氏名又は名称】クリーンチップ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEANCHIP TECHNOLOGIES LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat/Rm K 15/F, Mg Tower, 133 Hoi Bun Road, Kwun Tong Kl Hong Kong China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ドンチョン
(72)【発明者】
【氏名】シェン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ツァ
(72)【発明者】
【氏名】パク ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ダーハイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シァオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ショオナ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、プロセスチューブと、プロセスチューブ内に配置され、プロセスチューブの長さ方向に沿って多層支持部材が設けられたウェハボートと、プロセスチューブ内に配置され、プロセスチューブの長さ方向に沿って多層のガス供給孔が設けられたガス供給管とを含む薄膜成膜用炉心管を開示する。プロセスチューブの側壁には、長さ方向に沿って多層の排気孔が配置されており、ガス供給孔の分布領域は、プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少し、排気孔の分布領域は、プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。これにより、各層のガス供給孔のガス供給量と各層の排気孔のガス排出量とを同一にし、各層の基板上に堆積される薄膜の均一性を一定に保つことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜成膜用炉心管であって、
プロセスチューブと、
前記プロセスチューブ内に配置されており、多層支持部材が前記プロセスチューブの長さ方向に沿って設けられ多層の基板を支持するウェハボートと、
前記プロセスチューブ内に配置されており、多層のガス供給孔が前記プロセスチューブの長さ方向に沿って設けられているガス供給管であって、各層の複数のガス供給孔が各層の前記基板に対応して各層の前記基板にプロセスガスを供給するガス供給管と、
前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って前記プロセスチューブの側壁に配置されており、各層の複数の排気孔が各層の前記基板に対応している多層の排気孔と、を備えており、
各層の複数の前記ガス供給孔のガス供給量、および各層の複数の前記排気孔のガス排気量がそれぞれ同じになるように、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっており、かつ前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている、薄膜成膜用炉心管。
【請求項2】
各層の前記排気孔はスリット孔であり、各層の前記ガス供給孔と対向し、各層の前記スリット孔の高さは同じであり、各層の前記スリット孔の長さは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項3】
各層の複数の前記排気孔は複数の小孔であり、各層の前記ガス供給孔と対向している、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項4】
各層の複数の前記排気孔は複数のスリット孔であり、各層の複数の前記スリット孔は前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項5】
各層の複数の前記排気孔は同じサイズであり、各層の複数の前記排気孔の数は、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する、請求項3または4に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項6】
各層の複数の前記排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項3または4に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項7】
前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する複数の前記スリット孔の長さは、前記ガス供給孔から遠ざかるように徐々に長くなる、請求項4に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項8】
各層の複数の前記スリット孔のサイズは、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項7に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項9】
前記プロセスチューブの円周に沿って均一に分布する複数組の前記ガス供給管を備える、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項10】
各層の複数の前記ガス供給孔は複数の小孔であり、同じサイズであり、各層の複数の前記ガス供給孔の数は、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項11】
各層の複数の前記ガス供給孔は複数の小孔であり、各層の複数の前記ガス供給孔の数は同じであり、各層の複数の前記ガス供給孔のサイズは、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項12】
各層の前記ガス供給孔はスリット孔であり、各層の前記ガス供給孔の長さは、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項13】
少なくとも一つの第一吸引口が前記プロセスチューブ内に配置される、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項14】
少なくとも一つの第二吸引口が前記プロセスチューブの外側に配置される、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項15】
少なくとも一組の高周波電極が前記プロセスチューブの内側または外側に配置されており、少なくとも一組の高周波電極には二つの絶縁スリーブが付いている、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項16】
前記プロセスチューブの外側にあるスリーブであるライナーチューブと、
前記ライナーチューブの外側にあるスリーブであって、前記ライナーチューブを加熱するための加熱アセンブリと、をさらに備える、請求項1に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項17】
少なくとも一組の高周波電極が前記ライナーチューブの外側に配置されている、請求項16に記載の薄膜成膜用炉心管。
【請求項18】
化学気相成長法(CVD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法であって、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスガスを堆積させて各層の基板面に薄膜を形成するステップ2と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔を通じて余分なプロセスガスを排気するステップ3であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分なガスがガスポンプによって排出されるステップ3と、を備える薄膜成膜方法。
【請求項19】
化学気相成長法(CVD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法であって、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給するステップ1であって、ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
高周波電極によって前記プロセスガスをプラズマに解離させ、前記プラズマを堆積させて各層の前記基板面に薄膜を形成するステップ2と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔を通じて余分なプロセスガスを排気するステップ3であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分なガスがガスポンプによって排出されるステップ3と、を備える、薄膜成膜方法。
【請求項20】
原子層堆積法(ALD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法であって、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第一プロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、第一プロセスガスを各層の基板面に吸着させるステップ2であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、かつ多層の前記排気孔を通じて余分な第一プロセスガスを排気し、それによって各層の基板の排気量が同じとなり、前記余分な第一プロセスガスがガスポンプを通じて排出されるステップ2と、
前記ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ3と、
多層の前記ガス供給孔を通じて、前記プロセスチューブの長さ方向に沿って、下から上に向かって第二プロセスガスを各層の基板に供給するステップ4であって、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じとなるステップ4と、
前記第二プロセスガスを各層の前記基板面に吸着させた前記第一プロセスガスと反応させて各層の前記基板面に膜を形成し、余りの前記第二プロセスガスを各層の複数の前記排気孔を通じて排気するステップ5であって、これにより各層の前記基板の排気量が同一となり、前記余りの第二プロセスガスがガスポンプによって排気されるステップ5と、
ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ6と、
各層の前記基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返すステップ7と、を備える薄膜成膜方法。
【請求項21】
原子層堆積法(ALD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法であって、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第一プロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、前記第一プロセスガスを各層の前記基板面に吸着させるステップ2であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、かつ多層の前記排気孔を通じて余分な前記第一プロセスガスを排気し、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分な第一プロセスガスがガスポンプを通じて排気されるステップ2と、
前記ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ3と、
高周波電極の作用により第二プロセスガスを第二プラズマに解離し、多層の前記ガス供給孔を通じて前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって第二プラズマを各層の基板に供給するステップ4であって、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じとなるステップ4と、
前記第二プラズマを各層の前記基板面に吸着させた前記第一プロセスガスと反応させて各層の前記基板面に膜を形成し、余りの前記第二プラズマを各層の複数の前記排気孔を通じて排出するステップ5であって、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余りの第二プラズマがガスポンプによって排出されるステップ5と、
前記ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ6と、
各層の前記基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返すステップ7と、を備える薄膜成膜方法。
【請求項22】
ステップ1で前記第一プロセスガスを供給する際に高周波電源をオンにし、前記第一プロセスガスを前記ガス供給管に供給する前に高周波電極の作用により前記第一プロセスガスを第一プラズマに解離させ、多層の前記ガス供給孔を通じて前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって前記第一プラズマを各層の前記基板に供給することで、前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量を同一とする、請求項21に記載の原子層堆積法(ALD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法。
【請求項23】
加工される部品を保持するための保持装置と、
前記保持装置の上に配置されており、前記部品を穿孔するための穿孔装置と、
前記穿孔装置に電気的に接続されている制御装置であって、前記穿孔装置は当該制御装置の作用により前記部品の長さ方向に沿って移動可能であり、また、前記穿孔装置の穿孔位置および/または穿孔サイズを制御することで前記部品における複数の孔の分布領域が部品の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるようにするように構成されている制御装置と、
前記保持装置に接続されており、前記部品を回転駆動するための駆動装置と、を備える処理装置。
【請求項24】
前記保持装置の両端に着脱可能に配置された、加工される前記部品をクランプするためのクランプ構造をさらに備える、請求項23に記載の処理装置。
【請求項25】
長さ方向に沿って多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔の分布領域がガス供給管の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっていることで、下から上に向かってガスを供給する際に、各層の複数の前記ガス供給孔のガス供給量が同じとなる、薄膜成膜用炉心管のガス供給管。
【請求項26】
薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブであって、当該プロセスチューブの側壁には長さ方向に沿って多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔の分布領域がプロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっていることで、各層の複数の前記排気孔の排気量が同じとなる、薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項27】
各層の前記排気孔はスリット孔であり、各層の前記スリット孔の高さは同じであり、各層の前記スリット孔の長さは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる、請求項26に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項28】
各層の複数の前記排気孔は複数の小孔で同じサイズであり、各層の複数の前記排気孔の数が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する、請求項26に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項29】
各層の複数の前記排気孔は複数の小孔であり、各層の複数の前記排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項26に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項30】
各層の複数の前記排気孔は複数のスリット孔であり、各層の複数の前記スリット孔は前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する、請求項26に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項31】
各層の複数の前記排気孔のサイズは同じであり、各層の複数の前記排気孔の数は前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する、または、各層の複数の前記排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項30に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項32】
前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する複数の前記スリット孔のサイズが異なる、請求項30に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【請求項33】
各層の複数の前記スリット孔のサイズが、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる、請求項32に記載の薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造の技術分野に関し、特に薄膜成膜用炉心管、薄膜成膜法、および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のサイズが小さくなるにつれ、より大きな基板領域上に薄膜を成膜する技術がますます必要になっている。より均一な組成および厚さを持つ半導体薄膜の成膜は、高品質の半導体装置の製造にとって非常に重要である。現在、半導体薄膜を成膜する方法として、炉心管を用いた化学気相成長法(CVD:chemical vapor deposition)および炉心管を用いた原子層堆積法(ALD:atomic layer deposition)が巨大な市場シェアを占める。
【0003】
従来の炉心管を用いた低圧化学気相成長(LPCVD:low pressure chemical vapor deposition)プロセスでは、二つ以上の揮発性ガス前駆体が成膜すべき薄膜の基板面で、反応および解離する。しかし、従来の炉心管を用いた成膜処理では、ガス流分布、基板温度、基板圧力、ガス流量などのさまざまな要因に関連する。プロセス中にこれらの要因が変化すると、成膜された膜の品質がばらつき、装置の不良につながる。
【0004】
現在、縦型の炉心管を用いた原子層堆積法(ALD)にも、ガス供給管へのガスの注入が不均一であるという欠陥がある。また、炉心管内のプロセスチューブの設計が、ガス前駆体の基板面への均一な分布を妨げるという欠陥につながりやすい。基板面におけるガス前駆体の均一な分布を実現するために、縦型の炉心管を用いたガス供給管およびプロセスチューブの設計を改善することが特に重要である。
【0005】
結論として、上記の課題を解決するには、炉心管の新しい設計を提案する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記の従来技術の欠点を鑑みて、従来技術の縦型炉心管において基板面へのプロセスガスの分布が不均一になる課題を解決するために用いられる、薄膜成膜用炉心管を提供することを目的とする。
【0007】
上記の目的、およびその他の関連する目的を達成するために、本発明は薄膜成膜用炉心管を提供する。本発明の薄膜成膜用炉心管は、
プロセスチューブと、
前記プロセスチューブ内に配置されており、多層支持部材が前記プロセスチューブの長さ方向に沿って設けられ多層の基板を支持するウェハボートと、
前記プロセスチューブ内に配置されており、多層のガス供給孔が前記プロセスチューブの長さ方向に沿って設けられているガス供給管であって、各層の複数のガス供給孔が各層の前記基板に対応して各層の前記基板にプロセスガスを供給するガス供給管と、
前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って前記プロセスチューブの側壁に配置されており、各層の複数の排気孔が各層の前記基板に対応している多層の排気孔と、を備えており、
各層の複数の前記ガス供給孔のガス供給量、および各層の複数の前記排気孔のガス排気量がそれぞれ同じであるように、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっており、かつ前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態において、各層の前記排気孔はスリット孔であり、各層の前記ガス供給孔と対向している。また、各層の前記スリット孔の高さは同じであり、各層の前記スリット孔の長さは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる。
【0009】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は複数の小孔であり、各層の前記ガス供給孔と対向している。
【0010】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は複数のスリット孔であり、各層の複数の前記スリット孔は前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する。
【0011】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は同じサイズであり、各層の複数の前記排気孔の数は、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。
【0012】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する複数の前記スリット孔の長さは、前記ガス供給孔から遠ざかるように徐々に長くなる。
【0014】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記スリット孔のサイズは、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記プロセスチューブの円周に沿って均一に分布する複数組の前記ガス供給管を備える。
【0016】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記ガス供給孔は複数の小孔であり、同じサイズである。また、各層の複数の前記ガス供給孔の数は、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。
【0017】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記ガス供給孔は複数の小孔であり、各層の複数の前記ガス供給孔の数は同じであり、各層の複数の前記ガス供給孔のサイズは、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0018】
本発明の一実施形態において、各層の前記ガス供給孔はスリット孔であり、各層の前記ガス供給孔の長さは、前記ガス供給管の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる。
【0019】
本発明の一実施形態において、少なくとも一つの第一吸引口が前記プロセスチューブ内に配置されている。
【0020】
本発明の一実施形態において、少なくとも一つの第二吸引口が前記プロセスチューブの外側に配置されている。
【0021】
本発明の一実施形態において、少なくとも一組の高周波電極が前記プロセスチューブの内側または外側に配置されており、少なくとも一組の高周波電極には二つの絶縁スリーブが付いている。
【0022】
本発明の一実施形態において、
前記プロセスチューブの外側にあるスリーブであるライナーチューブと、
前記ライナーチューブの外側にあるスリーブであり、前記ライナーチューブを加熱するための加熱アセンブリと、をさらに備える。
【0023】
本発明の一実施形態において、少なくとも一組の高周波電極が前記ライナーチューブの外側に配置されている。
【0024】
本発明はさらに、化学気相成長法(CVD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法を提供する。本発明の方法は、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスガスを堆積させて各層の基板面に薄膜を形成するステップ2と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔を通じて余分なプロセスガスを排気するステップ3であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域前記がプロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分なガスがガスポンプによって排出されるステップ3と、を備える。
【0025】
本発明はさらに、化学気相成長法(CVD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法を提供する。本発明の方法は、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給するステップ1であって、ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
高周波電極によって前記プロセスガスをプラズマに解離させ、前記プラズマを堆積させて各層の前記基板面に薄膜を形成するステップ2と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔を通じて余分なプロセスガスを排気するステップ3であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分なガスがガスポンプによって排出されるステップ3と、を備える。
【0026】
本発明はさらに、原子層堆積法(ALD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法を提供する。本発明の方法は、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第一プロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられており、第一プロセスガスを各層の基板面に吸着させるステップ2であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、かつ多層の前記排気孔を通じて余分な第一プロセスガスを排気し、それによって各層の基板の排気量が同じとなり、前記余分な第一プロセスガスがガスポンプを通じて排出されるステップ2と、
前記ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ3と、
多層の前記ガス供給孔を通じて、前記プロセスチューブの長さ方向に沿って、下から上に向かって第二プロセスガスを各層の基板に供給するステップ4であって、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じとなるステップ4と、
前記第二プロセスガスを各層の前記基板面に吸着させた前記第一プロセスガスと反応させて各層の前記基板面に膜を形成し、余りの前記第二プロセスガスを各層の複数の前記排気孔を通じて排気するステップ5であって、これにより各層の前記基板の排気量が同一となり、前記余りの第二プロセスガスがガスポンプによって排気されるステップ5と、
ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ6と、
各層の前記基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返すステップ7と、を備える。
【0027】
本発明はさらに、原子層堆積法(ALD)に基づく炉心管を用いた薄膜成膜方法を提供する。本発明の方法は、
複数の基板をウェハボートの多層支持部材に搭載し、その後前記ウェハボートをプロセスチューブ内に搭載し、前記プロセスチューブ内のガス供給管の側壁には多層のガス供給孔が設けられており、多層の前記ガス供給孔を介して前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第一プロセスガスを供給するステップ1であって、前記ガス供給管における複数の前記ガス供給孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように設定され、それにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じであるようになるステップ1と、
前記プロセスチューブの側壁に多層の前記排気孔が設けられており、第一プロセスガスを各層の前記基板面に吸着させるステップ2であって、前記プロセスチューブの側壁における複数の前記排気孔の分布領域が前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるように構成されており、かつ多層の前記排気孔を通じて余分な前記第一プロセスガスを排気し、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余分な第一プロセスガスがガスポンプを通じて排気されるステップ2と、
前記ガス供給管を通じてパージガスを供給し、前記プロセスチューブ内をパージするステップ3と、
高周波電極の作用により第二プロセスガスを第二プラズマに解離し、多層の前記ガス供給孔を通じて前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって第二プラズマを各層の基板に供給するステップ4であって、それによって前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じとなるステップ4と、
前記第二プラズマを各層の前記基板面に吸着させた前記第一プロセスガスと反応させて各層の前記基板面に膜を形成し、余りの前記第二プラズマを各層の複数の前記排気孔を通じて排出するステップ5であって、それによって各層の前記基板の排気量が同じとなり、前記余りの第二プラズマがガスポンプによって排出されるステップ5と、
ガス供給管を通じてパージガスを供給し、プロセスチューブ内をパージするステップ6と、
各層の前記基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返すステップ7と、を備える。
【0028】
本発明の一実施形態において、ステップ1で前記第一プロセスガスを供給する際に高周波電源をオンにし、前記第一プロセスガスを前記ガス供給管に供給する前に高周波電極の作用により前記第一プロセスガスを第一プラズマに解離させ、多層の前記ガス供給孔を通じて前記プロセスチューブの長さ方向に沿って下から上に向かって前記第一プラズマを各層の前記基板に供給する。また、これにより前記プロセスチューブ内の各層の前記基板へのガス供給量が同じとなる。
【0029】
本発明はさらに処理装置を備える。
本発明の処理装置は、
加工される部品を保持するための保持装置と、
前記保持装置の上に配置されており、前記部品を穿孔するための穿孔装置と、
前記穿孔装置に電気的に接続されている制御装置であって、前記穿孔装置は当該制御装置の作用により前記部品の長さ方向に沿って移動可能であり、また、前記穿孔装置の穿孔位置および/または穿孔サイズを制御することで前記部品における複数の孔の分布領域が部品の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなるようにするように構成されている制御装置と、
前記保持装置に接続されており、前記部品を回転駆動するための駆動装置と、を備える。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記保持装置の両端に着脱可能に配置されており、加工される複数の前記部品をクランプするためのクランプ構造をさらに備える。
【0031】
本発明はさらに、薄膜成膜用炉心管のガス供給管を提供する。
本発明のガス供給管には長さ方向に沿って多層の前記ガス供給孔が設けられており、多層のガス供給孔の分布領域がガス供給管の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている。これにより、下から上に向かってガスを供給する際に、各層の複数の前記ガス供給孔のガス供給量が同じとなる。
【0032】
本発明はさらに、薄膜成膜用炉心管のプロセスチューブを提供する。
本発明のプロセスチューブの側壁には長さ方向に沿って多層の排気孔が設けられており、多層の前記排気孔の分布領域がプロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている。これにより、各層の複数の前記排気孔の排気量が同じとなる。
【0033】
本発明の一実施形態において、各層の前記排気孔はスリット孔であり、各層の前記スリット孔の高さは同じであり、各層の前記スリット孔の長さは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる。
【0034】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は複数の小孔であり、同じサイズである。また、各層の複数の前記排気孔の数は、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。
【0035】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は複数の小孔であり、各層の前記複数の排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0036】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔は複数のスリット孔であり、各層の複数の前記スリット孔は前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する。
【0037】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記排気孔のサイズは同じであり、各層の複数の前記排気孔の数は前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。または、各層の複数の前記排気孔の数は同じであり、各層の複数の前記排気孔のサイズは前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記プロセスチューブの側壁の円上に位置する複数の前記スリット孔のサイズは異なる。
【0039】
本発明の一実施形態において、各層の複数の前記スリット孔のサイズは、前記プロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。
【0040】
上述のように、本発明の薄膜成膜用炉心管は、従来技術に比べて以下の有益な効果を有する。
【0041】
本発明の成膜用炉心管において、ガス供給管に多層のガス供給孔が設けられており、プロセスチューブの側壁に多層の排気孔が設けられている。複数のガス供給孔の分布領域はプロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっており、複数の排気孔の分布領域はプロセスチューブの側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている。これにより、プロセスチューブ内の各層の複数のガス供給孔のガス供給量が同じとなり、各層の複数の排気孔の排気量が同じとなり、プロセスチューブ内の各層の基板上に成膜される薄膜の均一性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態の炉心管の概略図を示す。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、複数の高周波電極のない第一実施形態の、
図1の炉心管のAA’位置およびBB’位置の上面図を示す。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ、複数の高周波電極がプロセスチューブ内に追加されている第一実施形態の、
図1の炉心管のAA’位置およびBB’位置の上面図を示す。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、複数の高周波電極がプロセスチューブ外に追加されている第一実施形態の、
図1の炉心管のAA’位置およびBB’位置の上面図を示す。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ、複数の高周波電極がライナーチューブ外に追加されている第一実施形態の、
図1の炉心管のAA’位置およびBB’位置の上面図を示す。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第一実施形態のガス供給管における多層のガス供給孔の概略図を示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明によって提供される複数のガス供給孔の様々な形状の概略図を示す。
【
図6C】
図6Cは、本発明の別の実施形態のガス供給管における多層のガス供給孔の概略図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第二実施形態の炉心管の概略図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第三実施形態の炉心管の概略図を示す。
【
図9A】
図9Aは、本発明の第四実施形態の炉心管の概略図を示す。
【
図10】
図10A、10B、および10Cは、それぞれ、本発明によって提供される数組のガス供給管の上面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第八実施形態の供給ガス開閉器の概略ロジック図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第九実施形態の処理装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、具体的な実施例を通じて本発明の実施形態を説明する。当業者は、本明細書に開示された内容から本発明のその他の利点や効果を容易に理解することができる。本発明は、その他の異なる具体的な実施形態によって実施または適用することもできる。本明細書の詳細は、本発明の趣旨から逸脱することなく、異なる見解および応用に基づいて修正または変更することもできる。
【0044】
図1~
図12を参照されたい。なお、本実施形態で提供される図面は、本発明の基本的な概念を概略的に示しているにすぎないことに留意するべきである。図面は実際の実施における部品の数、形状、およびサイズに合わせて描かれてはおらず、本発明に関連する部品のみを示しているにすぎない。実際の実施における各部品の形状、数、および割合は任意に変更することができ、部品のレイアウトもより複雑にすることができる。
【0045】
第一実施形態
本発明は薄膜成膜用炉心管を提供する。具体的には、
図1、
図2A、および
図6Aに示すように、炉心管は、プロセスチューブ1と、ウェハボートと、ガス供給管2と、ライナーチューブ3と、加熱アセンブリ4とを有する。ウェハボートは、多層の基板(添付の図面には図示せず)を支持するために、プロセスチューブ1の長手方向に沿って、多層支持部材と共にプロセスチューブ1内に配置されている。ガス供給管2はプロセスチューブ1内に配置されている。ガス供給管2には、プロセスチューブ1の長さ方向に沿って多層のガス供給孔201が設けられている。各層の複数のガス供給孔201は各層の基板と対応しており、各層の基板にプロセスガスを供給する。炉心管は一つ以上のガス供給管2を有することができる。また、プロセス要件に応じて対応する数のガス供給管2が設けられる。例えば、SiON膜を成長させる場合は三種類のプロセスガスが使用されるので、三つのガス供給管2が設けられる。各種類のプロセスガスは、一つのガス供給管に対応する。SiN膜を成長させる場合は二種類のプロセスガスが使用されるため、二つのガス供給管2が設けられる。プロセスチューブ1の側壁には、その長さ方向に沿って複数の層の排気孔101が設けられている。各層の複数の排気孔101は、各層の基板に対応している。複数のガス供給孔201の分布領域は、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている。また、複数の排気孔101の分布領域は、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなっている。ここで、複数のガス供給孔201の分布領域とは、一つ以上のガス供給孔201の面積の合計である。ガス供給管2の長さ方向に沿った各位置において、複数のガス供給孔201の分布領域とは、その位置におけるガス供給管2の周方向における一つ以上のガス供給孔201の面積の合計である。同様に、複数の排気孔101の分布領域とは、一つ以上の排気孔101の面積の合計である。プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿った各位置において、複数の排出孔101の分布領域とは、その位置におけるプロセスチューブ1の周方向における一つ以上の排出孔101の面積の合計である。この設計により、各層の複数のガス供給孔201のガス供給量が同じとなり、かつ各層の複数のガス排出孔101のガス置換量が同じとなることで、各層の基板におけるガスが均一に分布し、結果として各層の基板に成膜された膜の均一性が得られる。ライナーチューブ3はプロセスチューブ1の外側にあるスリーブである。加熱アセンブリ4は、ライナーチューブ3の外側に配置され、ライナーチューブ3を加熱する。
【0046】
第一実施形態において、
図1に示すように、各層の複数の排気孔101はスリット孔であり、各層の複数のスリット孔101の高さは同じであり、各層の複数のスリット孔101の長さはプロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる。
図2Aに示すように、各層の複数の排気孔101は、各層の複数のガス供給孔201と対向するように配置されている。
図2Aおよび
図2Bに示すAA’方向およびBB’方向の上面図から分かるように、各層の複数のスリット孔101の長さは、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなっている。また、プロセスチューブ1の上部位置AA’におけるスリット孔101の開口角度αは、プロセスチューブ1の下部位置BB’におけるスリット孔101の開口角度βよりも大きい。その結果、複数の排気孔101の分布領域は、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。各層の基板の排気量が均一となるようにガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量が同じとなる。
【0047】
図2Aおよび
図2Bに示すように、少なくとも一つの第一吸引口102がプロセスチューブ1内に配置されている。原子層堆積法(ALD)により成膜処理を行う場合、ガスポンプで余りのプロセスガスを排気した後、パージガスを流してプロセスチューブ1内をパージする必要がある。このとき、第一吸引口102に接続されたガスポンプを開き、第一吸引口102を通じてパージガスを速やかに抽出することができるため、処理効率が向上する。プロセスチューブ1の内周に沿って均一に分布した、複数の第一吸引口102を設けることができる。
【0048】
少なくとも一つの第二吸引口103がプロセスチューブ1の外側に配置されている。プロセスチューブ1の外周に沿って均一に分布した、複数の第二吸引口103を設けることができる。化学気相成長法(CVD)や原子層堆積法(ALD)による成膜処理が行われる場合、プロセスチューブ1内の余りのプロセスガスは、第二吸引口103を通じてガスポンプによって排気される。したがって、化学気相成長法(CVD)により成膜処理を行う場合は、第二吸引口103のみを設けて第一吸引口102を省略することができる。原子層堆積法(ALD)により薄膜成膜処理を行う場合は、第二吸引口103のみを設けることができる。処理効率を向上させるために、第一吸引口102をさらに設けることが好ましい。
【0049】
本発明のその他の実施形態において、
図3Aおよび
図3Bに示すように、一組の高周波電極5がプロセスチューブ1の内側に設けられている。また、二つの絶縁スリーブ6が、その一組の高周波電極5の外側にそれぞれ付いている。このうち、絶縁スリーブ6の材料を、石英、シリコン、アルミナまたはその他のセラミックス、または炭化珪素のいずれかとすることができる。RF電極(高周波電極)の周波数を10~30MH
Z、定格電力を0.5~5kW、印加電力を0.1~3kWとすることができる。
【0050】
本発明の別の実施形態において、
図4Aおよび
図4Bに示すように、一組の高周波電極5がプロセスチューブ1の外側に設けられている。また、二つの絶縁スリーブ6がその一組の高周波電極5の外側にそれぞれ付いている。絶縁スリーブ6の材料を、石英、シリコン、アルミナ、その他のセラミックス、または炭化珪素のいずれかとすることができる。
【0051】
本発明のまた別の実施形態において、
図5Aおよび
図5Bに示すように、一組の高周波電極5がライナーチューブ3の外側に設けられている。
【0052】
第一実施形態において、
図6Aに示すように、ガス供給管2の各層の複数のガス供給孔201は複数の小孔であり、各層の複数の小孔201のサイズは同じである。各小孔のサイズはd1である。また、各層の複数の小孔201の数は、ガス供給管2の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少している。その結果、複数のガス供給孔201の分布領域は、ガス供給管2の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。供給ガスは下から上に向かって供給されるため、ガス供給管2の下側のガス流量がガス供給管2の上側のガス流量よりも大きくなる。結果として、各層の基板へのガス供給が不均一になる。したがって、各層の複数のガス供給孔201の複数の小孔の数がガス供給管2の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少し、それによって各層の基板に供給されるガスの量が同じとなる。
【0053】
本発明のその他の実施形態において、各層の複数のガス供給孔201は複数の小孔であり、各層の複数のガス供給孔201の複数の小孔の数は同じであり、各層の複数のガス供給孔201の複数の小孔のサイズはガス供給管2の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。これにより、各層の基板に供給されるガスの量が同じとなる。
【0054】
図6Bに示すように、各層の複数のガス供給孔201の複数の小孔の形状を、正方形、円形、楕円形、三角形、四辺形、台形、五角形、および多角形孔等のいずれかとすることができる。
【0055】
本発明のまた別の実施形態において、
図6Cに示すように、各層の複数のガス供給孔201はスリット孔であり、各層のスリット孔201の長さは、ガス供給管2の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に短くなる。また、ガス供給管2の上端に位置するスリット孔201の長さはd2であり、ガス供給管2の中央に位置するスリット孔201の長さはd3であり、ガス供給管2の下端に位置するスリット孔201の長さはd4であり、d2>d3>d4となっている。これにより、各層の基板に供給されるガスの量が等しくなる。
【0056】
要約すると、ガス供給管2は、プロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって、各層の基板にガスを均一な量になるように供給することで、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同じとなるようにする。
【0057】
第二実施形態
図7に示すように、第二実施形態は、以下の点で第一実施形態と異なる薄膜成膜用炉心管を提供する。
【0058】
各層の複数の排気孔101は複数の小孔であり、各層の複数のガス供給孔201と対向するように配置されている。
図7に示すように、各層の複数の排気孔101の複数の小孔のサイズは同じであり、各層の複数の排気孔101の複数の小孔の数はプロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。その結果、複数の排気孔101の分布領域は、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。つまり、各層の複数の排気孔101の複数の小孔のサイズは同じであり、プロセスチューブ1の側壁の上部に位置する各層の複数の排気孔101の複数の小孔の密度は、プロセスチューブ1の側壁の下部に位置する各層の複数の排気孔101の複数の小孔の密度よりも大きい。本実施形態も、各層の基板から排気されるガスの量が均一となるような排気法を用いてガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同じとすることを目的とする。
【0059】
本実施形態のその他の設定は第一実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0060】
第三実施形態
図8に示すように、第三実施形態は、以下の点で第一実施形態から区別される薄膜成膜用炉心管を提供する。
【0061】
各層の複数の排気孔101は複数の小孔であり、各層の複数のガス供給孔201と対向するように配置されている。
図8に示すように、各層の複数の排気孔101の複数の小孔の数は同じであり、各層の複数の排気孔101の複数の小孔のサイズはプロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。その結果、複数の排気孔101の分布領域は、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなる。ここで、プロセスチューブ1の側壁の上部に位置する各層の複数の排気孔101の複数の小孔のサイズd5は、プロセスチューブ1の側壁の下部に位置する各層の複数の排気孔101の複数の小孔のサイズd6よりも大きい。本実施形態も、各層の基板から排気されるガスの量が均一となるような排気法を用いてガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同じとすることを目的とする。
【0062】
本実施形態のその他の設定は第一実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0063】
第四実施形態
図9A及び9Bに示すように、第四実施形態は、以下の点で第二実施形態または第三実施形態から区別される薄膜成膜用炉心管を提供する。
【0064】
図9Aに示すように、各層の排気孔101は複数の小さな孔である。
図9Bに示すように、各層の排気孔101は、プロセスチューブ1の側壁の円上に配置されている。
【0065】
ある実施形態において、各層の複数の排気孔101の数は同じであり、各層の複数の排気孔101のサイズはプロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。別の実施形態において、各層の複数の排気孔101のサイズは同じであり、各層の複数の排気孔101の数はプロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に減少する。
【0066】
図9Bは、
図9AのCC’位置における断面図であり、プロセスチューブ1の側壁の円上に配置された複数のスリット孔101の長さが、ガス供給孔201の近くからガス供給孔201から離れる方向に向かって徐々に増加する。ガス供給孔201に近いスリット孔101の長さl1は、ガス供給孔201から遠いスリット孔101の長さl2よりも短い。
【0067】
図8に示す第三実施形態は、
図9A及び
図9Bに示す第四実施形態と組み合わせることができる。すなわち、各層の排気孔101のサイズが、プロセスチューブ1の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって徐々に小さくなり、プロセスチューブ1の側壁の円上に位置する複数のスリット孔101の長さが、ガス供給孔201の近くからガス供給孔201から離れる方向に向かって徐々に大きくなる。各層の基板から排気されるガスの量が均一となるような排気法を用いてガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同じとすることも目的である。
【0068】
第四実施形態では、
図10A~
図10Cに示すように、本発明の炉心管は複数組のガス供給管を備え、前記複数組のガス供給管2はプロセスチューブ1の円周に沿って均一に分布している。高周波電極5が数組設けられ、これら数組の高周波電極5は数組のガス供給管2に対応して設けられる。
【0069】
図10Aに示すように、一組のガス供給管2と、一組の高周波電極5とが設けられる。
図10Bに示すように、二組のガス供給管2はプロセスチューブ1の両側に対称に配置され、二組の高周波電極5が二組のガス供給管2に対応して設けられる。
図10Cに示すように、三組のガス供給管2はプロセスチューブ1の円周に沿って均一に配置され、隣接する二組のガス供給管2間の角度は120度である。高周波電極5は、三組のガス供給管2に対応して三組設けられている。
【0070】
本実施形態のその他の設定は第二実施形態または第三実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0071】
第五実施形態
本発明はまた、上記第一実施形態から第四実施形態の炉心管に基づいて実現される、炉心管を用いた化学気相成長法(CVD)に基づく薄膜成膜方法を提供する。具体的には、薄膜成膜の方法は以下のステップを含む。
ステップ1:ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に搭載し、均一なガス供給量のガス供給方法を採用して、ガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給し、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となるようにする。
ステップ2:各層の基板表面上で薄膜成膜プロセスが実行される。
ステップ3:プロセスチューブ1の側壁に複数の排気孔101を設け、各層の基板の排気量を均一にする排気方法により、複数の排気孔101から余りのプロセスガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同一にし、余りのプロセスガスをガスポンプで排出する。
【0072】
本発明の炉心管を用いた化学気相成長法(CVD)による薄膜成膜方法を、基板上でのシリコン酸化物の形成を例に挙げて以下に説明する。ただし、実施形態はさまざまな形で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0073】
ステップ10では、ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、その後、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に載置する。プロセスチューブ1内の温度は700℃~800℃であり、均一なガス供給量のガス供給方式を採用して、流量0~1slmのプロセスガスSiH2Cl2と流量0~1slmのプロセスガスN2Oが、ガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に供給され、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となるようにする。
ステップ20:プロセスガスSiH2Cl2とプロセスガスN2Oとを堆積させて各層の基板表面に薄膜を形成する。
ステップ30:プロセスチューブ1の側壁に複数の排気孔101を設け、各層の基板の排気量を均一にする排気方法により、複数の排気孔101から余りのプロセスガスSiH2Cl2およびプロセスガスN2Oを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同一とし、余りのプロセスガスSiH2Cl2およびプロセスガスN2Oをガスポンプで排出する。
【0074】
第六実施形態
本発明はまた、上記第一実施形態から第四実施形態の炉心管に基づいて実現される、炉心管を用いた化学気相成長法(CVD)に基づく薄膜成膜方法を提供する。具体的には、薄膜成膜の方法は以下のステップを含む。
ステップ1:ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に搭載し、均一なガス供給量のガス供給方法を採用して、ガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板にプロセスガスを供給し、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となるようにする。
ステップ2:プロセスガスを高周波電極5の作用によりプラズマに解離し、続いて各層の基板表面に薄膜が堆積する。
ステップ3:プロセスチューブ1の側壁に複数の排気孔101を設け、各層の基板の排気量を均一にする排気方法により、複数の排気孔101から余りのプロセスガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同一にし、余りのプロセスガスをガスポンプで排出する。
【0075】
第七実施形態
本発明はまた、上記第一実施形態から第四実施形態の炉心管に基づいて実現される、炉心管を用いた原子層堆積法(ALD)に基づく薄膜成膜方法を提供する。具体的には、薄膜成膜方法は以下のステップを含む。
ステップ1:ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に搭載し、均一なガス供給量のガス供給方法により、ガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第一プロセスガスを供給し、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となるようにする。
ステップ2:第一プロセスガスを各層の基板の表面に吸着させ、プロセスチューブ1の側壁に多層排気孔101を設け、余分な第一プロセスガスを多層排気孔101から排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量が等しくなるようにし、余分な第一プロセスガスをガスポンプから排出する。
ステップ3:一番目のガス供給管2を通じてパージガスを供給し、プロセスチューブ1の内部をパージする。
ステップ4:均一なガス供給量のガス供給方法により、二番目のガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に第二プロセスガスを供給し、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となるようにする。
ステップ5:第二プロセスガスを各層の基板面に吸着させた第一プロセスガスと反応させて各層の基板面に膜を形成し、余りの第二プロセスガスを各層の複数の排気孔を通じて排気することにより各層の基板の排気量が同一となり、余りの第二プロセスガスがガスポンプによって排気される。
ステップ6:二番目のガス供給管2を通じてパージガスを供給し、プロセスチューブ1の内部をパージする。
ステップ7:各層の基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返す。
【0076】
原子層堆積法(ALD)プロセスは、主にシリコン酸化物、シリコン窒化物、金属原子層堆積その他のプロセスを含む。本発明の炉心管を用いた原子層堆積法(ALD)による薄膜成膜方法を、窒化シリコンを例に挙げて以下に示す。
【0077】
ステップ10では、ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、その後、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に載置する。プロセスチューブ1内の温度は400℃~650℃であり、一番目のガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に流量0~3slmのプロセスガスSi2Cl6またはSiH2Cl2が供給されるため、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給は同一となる。
ステップ20では、各層の基板表面にSi2Cl6またはSiH2Cl2を吸着させ、プロセスチューブ1の側壁に複数の排気孔101を設け、各層の基板から均一に排気される排気方式により、複数の排気孔101から余りのプロセスガスSi2Cl6またはSiH2Cl2を排気することで、各層の基板の排気量が同一となるようにし、余りのプロセスガスSi2Cl6またはSiH2Cl2をガスポンプで排出する。
ステップ30では、一番目のガス供給管2を介してパージガス窒素を供給し、流量1~15slmでプロセスチューブ1の内部をパージする。
ステップ40では、均一なガス供給量を有するガス供給方法により、流量0~5slmのプロセスガスNH3を、プロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって二番目のガス供給管2を介して各層の基板に供給することで、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量を同一にする。
ステップ50では、プロセスガスNH3が各層の基板表面に吸着されたSi2Cl6またはSiH2Cl2と化学反応して、各層の基板表面にシリコン窒化膜が形成され、各層の基板から均一に排気される排気方式により、余りのプロセスガスNH3を多層排気孔101から排気することで、各層の基板の排気量が同一となり、余りのプロセスガスNH3がガスポンプで排出される。
ステップ60では、二番目のガス供給管2を通じてパージガス窒素を供給してプロセスチューブ1の内部をパージする。窒素の流量は1~15slmである。
ステップ70では、各層の基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ10~60を繰り返す。
【0078】
上記方法によれば、本発明の炉心管を用いて原子層堆積法(ALD)に基づいてシリコン酸窒化物薄膜を堆積する際、プロセスチューブ1内の温度は400℃~650℃であり、第一プロセスガスを流量0~3slmのSi2Cl6またはSiH2Cl2とし、第二プロセスガスを流量0~5slmのNH3とし、第三プロセスガスを流量0~5slmのN2Oとすることができる。
【0079】
上記の方法によれば、本発明の炉心管を原子層堆積法(ALD)に基づくシリコン酸化物薄膜の堆積に使用する場合、プロセスチューブ1内の温度は200℃~600℃であり、第一プロセスガスを流量0~3slmのSi2Cl6とし、第二プロセスガスを流量0~5slmのH2Oとすることができる。
【0080】
上記の方法によれば、本発明の炉心管を原子層堆積法(ALD)に基づくアルミナ薄膜成膜に使用する場合、プロセスチューブ1内の温度は300℃~600℃であり、第一プロセスガスを流量0~1slmのTiCl4とし、第二プロセスガスを流量0~5slmのO3とすることができる。
【0081】
上記方法によれば、本発明の炉心管を用いて原子層堆積法(ALD)により窒化チタン薄膜を堆積する場合、プロセスチューブ1内の温度は300℃~600℃であり、第一プロセスガスを流量0~1slmのTiCl4とし、第二プロセスガスを流量0~5slmのNH3とすることができる。
【0082】
第八実施形態
図11に示すように、本発明はまた、上記第一実施形態から第四実施形態の複数の炉心管に基づいて実現される、複数の炉心管を用いた原子層堆積法(ALD)に基づく薄膜成膜方法を提供する。具体的には、薄膜成膜の方法は以下のステップを含む。
ステップ1:ウェハボートの多層支持部材上に複数の基板を載置し、その後、ウェハボートをプロセスチューブ1の内部に載置する。
図11に示すように、時間t1において、均一ガス供給方式によって第一プロセスガスが一番目のガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上へ各層の基板に供給されることで、プロセスチューブ1内の各層の基板へのガス供給量が同一となる。
ステップ2:第一プロセスガスを各層の基板表面に吸着させ、プロセスチューブ1の側壁に複数の排気孔101を設け、各層の基板の排気量を均一にする排気方法により、複数の排気孔101から余りの第一プロセスガスを排気することで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量を同一にし、余りの第一プロセスガスをガスポンプで排出する。
ステップ3:
図11に示すように、時間t2において一番目のガス供給管2からパージガスを供給し、プロセスチューブ1の内部をパージする。
ステップ4:
図11に示すように、時間t3において、第二プロセスガスを高周波電極5の作用により第二プラズマに解離し、第二プラズマを均一供給の供給方式により二番目のガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に供給することで、プロセスチューブ1内の各層の基板への供給が同一となる。
ステップ5:第二プラズマが各層の基板表面に吸着された第一プロセスガスと反応して各層の基板表面に薄膜を形成し、各層の基板の排気量を均一にする排気方法により、余りの第二プラズマが各層の排気孔101から排気されることで、プロセスチューブ1内の各層の基板の排気量が均一となり、余りの第二プラズマがガスポンプにより排出される。
ステップ6:
図11に示すように、時間t4において二番目のガス供給管2からパージガスを供給し、プロセスチューブ1の内部をパージする。
ステップ7:各層の基板面に成膜された膜が一定の厚さに達するまで、上記のステップ1~6を繰り返す。
【0083】
別の実施形態では、上記ステップ1において、第一のプロセスガスが供給されるときに高周波電力をオンにする。第一プロセスガスが一番目のガス供給管2に供給される前に、高周波電極5の作用により第一プロセスガスは第一プラズマに解離される。第一プラズマを均一供給の供給方式によりガス供給管2を介してプロセスチューブ1の長さ方向に沿って下から上に向かって各層の基板に供給することで、プロセスチューブ1内の各層の基板への供給が同一となる。
【0084】
第九実施形態
図12に示すように、第一実施形態から第八実施形態で説明したプロセスチューブ1およびガス供給管2の穿孔技術が比較的複雑であるため、本発明は上記プロセスチューブ1およびガス供給管2を加工するための処理装置も提供する。プロセスチューブ1およびガス供給管2の材質は、石英またはシリコンカーバイドであってもよい。
【0085】
処理装置は、保持装置100と、穿孔装置300と、制御装置400と、駆動装置500とを備える。保持装置100は加工される部品を保持するために使用される。保持装置100の上には、部品を穿孔するための穿孔装置300が設けられている。制御装置400は穿孔装置300に電気的に接続されており、穿孔装置300は制御装置400の動作により部品の長さ方向に沿って移動可能である。制御装置400は、穿孔装置300の穿孔位置および/または穿孔サイズを制御し、部品の側壁の長さ方向に沿って上から下に向かって部品上の孔の分布領域が徐々に減少するように構成される。駆動装置500は保持装置100に接続されており、部品を回転駆動する。
【0086】
一実施形態において、穿孔装置300はレーザー装置であってもよい。
【0087】
一実施形態において、保持装置100はプロセスチューブ1を保持するために使用され、プロセスチューブ1は保持装置100上のスリーブである。処理装置は、保持装置100の両端に着脱可能に配置され、小型の加工対象部品をクランプするためのクランプ構造200も備えている。本実施形態では、クランプ構造200は、ガス供給管2をクランプするために用いられる。
【0088】
本発明は、上記実施形態及び関連図面を通じて関連技術を具体的かつ詳細に開示しており、当業者が適宜実施することができる。しかしながら、上記の説明は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。構成要素の数を変更したもの、あるいは、ここに記載されている構成要素を同等の要素へ置換したものも、本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】