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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】高品質石英ルツボの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20250117BHJP
   C30B 15/10 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C30B29/06 502B
C30B15/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544419
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2022119998
(87)【国際公開番号】W WO2023178955
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210306859.X
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406521
【氏名又は名称】錦州佑▲シン▼石英科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINZHOU YOUXIN QUARTZ TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】West Sea Industry Park,Eco&Tech Development District Jinzhou,Liaoning 121007,China
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】陳曼
(72)【発明者】
【氏名】李宗輝
(72)【発明者】
【氏名】朱▲剣▼
(72)【発明者】
【氏名】王也
(72)【発明者】
【氏名】王震
(72)【発明者】
【氏名】張治強
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077EG01
4G077PD01
(57)【要約】
本発明は、高品質石英ルツボの製造方法に関し、溶製方法は、真空アーク法を採用し、黒鉛電極の位置移動及び各位置における滞留時間は、以下の条件を満し:金型の上口の端面の位置を零点とし、黒鉛電極の末端が零点以上で+とし、零点以下で-とし、黒鉛電極の初期位置が+0.10~0.30倍のルツボの外径であり、滞留時間が≧2分であり、その後、階段移動法に従って位置を順次に降下させ、1つの位置ごとを降下して一定時間を滞留して、少なくとも3回移動した後に底部研磨位置に達し、底部研磨位置が黒鉛電極が到達する最低位置であり且つルツボ初品の内部に入り、ルツボ底部から300-550mm離れており、当該位置において、黒鉛電極が滞留してルツボの底部に高温研磨及び揮発除去を行い、その後、仕上げステージまで上昇し、該仕上げステージは+0.05~0.07倍のルツボ外径であり、該位置で石英ルツボの内壁上部を高温研磨及び揮発除去する。本発明は、石英ルツボ透明層の純度の向上、耐高温変形性能などの向上に用いられる。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高品質石英ルツボの製造方法であって、前記製造方法は、真空アーク法を採用し、以下のステップを含み、
高純度の石英砂原料をルツボ金型内に入れ、成形装置によって石英砂原料を金型の内面に均一に成形してルツボ初品を成形し、その後、ルツボ金型全体をアーク溶製炉内に移し、黒鉛電極によって高温アークを放出して石英砂を溶製させ、最後に急冷して石英ルツボブランクを形成し、黒鉛電極を用いて高温アークを放出する過程において、黒鉛電極の高さ方向における位置移動及び各位置における滞留時間を制御し、以下の条件を満たすようにする、
金型の上口の端面の位置を零点とし、黒鉛電極の末端が零点以上で+と記され、零点以下で-と記され、溶製過程において、黒鉛電極の初期位置が+0.10~0.30倍のルツボの外径であり、滞留時間が≧2分であり、その後、階段移動法に従って位置を順次に降下させ、1つの位置ごとを降下して一定時間を滞留して、黒鉛電極が当該対応する位置の対応する期間に高温アークを継続的に放出してルツボ初品を溶製し、少なくとも3回移動した後に底部研磨位置に達し、底部研磨位置が黒鉛電極が到達する最低位置であり且つルツボの内部に入り、ルツボ底部から300-550mm離れており、底部の研磨位置において、黒鉛電極が所定時間を滞留してルツボの底部に高温研磨及び揮発除去を行い、
黒鉛電極は、底部研磨位置から離れた後に仕上げステージまで上昇し、該仕上げステージは+0.05~0.07倍のルツボ外径であり、この位置で石英ルツボの内壁上部を高温研磨及び揮発除去する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
溶製過程全体において、黒鉛電極の移動は、初期位置、第2位置、第3位置、第4位置、第5位置、底部研磨位置及び仕上げステージを含み、ここで、初期位置から底部研磨位置までは段階的に降下し且つ各位置において一定時間を滞留する、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
黒鉛電極の各位置の滞留時間は、初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4-0.5tであり、第4位置の滞留時間が0.1-0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2-0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、tが目標石英ルツボの総溶製時間である、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
異なる規格石英ルツボによって、黒鉛電極の各位置における滞留時間は、外径24インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4tであり、第4位置の滞留時間が0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が14-16分間であり、
外径26インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間の合計は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.15tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が17-19分間であり、
外径28インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.25tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が22-26分間であり、
外径32インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.5tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が28-32分間である、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
黒鉛電極は、移動過程において、位置ごとにおける位置決め精度が±5mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
溶製過程全体において、真空度が-0.093Mpa~-0.1Mpaに制御され、黒鉛電極のパワーが500-2000KWである、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
外径24インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが750-850KWであり、外径が26インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが850-950KWであり、外径が28インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1000-1100KWであり、外径が32インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1300-1400KWである、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記黒鉛電極の移動過程において、各位置の溶製が終了する時、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、黒鉛電極の表面に堆積した揮発物をパージ除去する、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
底部研磨位置と第5位置との間の高さの差が100mm以上である、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1-9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造される、ことを特徴とする高品質石英ルツボ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶を製造する技術分野に関し、具体的には、チョクラルスキー法(Czochralski、以下、CZチョクラルスキー法と略す)によりシリコン単結晶を製造する際に用いられる石英ルツボの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶は、シリコン系半導体材料や太陽電池セルの製造に最も主要な素材の一つである。シリコン単結晶は、主にCZチョクラルスキー法により得られる。CZチョクラルスキー法では、多結晶シリコン原料を石英ルツボ内に置き、溶製状シリコン融液を加熱し、ロッドが種結晶を降下させてシリコン融液に接触させ、その後、ゆっくりと種結晶を引き上げてシリコン単結晶インゴットを形成する。石英ルツボは一般的に2層構造であり、内壁は気泡を含まない透明層であり、外壁は気泡含有量が多い非透明層である。内壁はシリコン融液と接触するため、高温状態において、内壁に気泡が存在すると、シリコン融液によって気泡が浸食されて破裂し、割れた破片がシリコン融液に溶解すると、シリコン単結晶の歩留まりや品質に影響を与える。外壁は、ヒータからの熱を均一に散乱させる必要があるため、所定数及び大きさの気泡が必要となり、そしてシリコン融液を均一に加熱する。シリコン溶液に唯一に接触する材料としては、石英ルツボの品質がシリコン単結晶の品質に大きく影響する。例えば、石英ルツボの内壁の気泡の含有量、石英ルツボの純度、石英ルツボの耐高温変形性能などである。
【0003】
石英ルツボの製造は、一般に真空アーク法により製造される。この方法を採用する場合、高純度の石英砂原料を黒鉛金型又は金属金型内に入れ、成形装置により石英砂原料を金型の内面に均一に成形し、次に高温アーク(一般に三相アーク炉3本の黒鉛電極である)により石英砂を3000℃以上の高温で溶製し、最後に急冷により石英(ガラス)ルツボを形成する。真空アーク法で石英ルツボを製造する過程において、アークの温度は石英ルツボの品質に大きく影響し、例えばルツボの内壁の気泡の含有量、純度、耐高温変形性能、ガラス化の程度などが挙げられ、そのため、如何にアークの制御を最適化するかは重要である。
【0004】
アーク温度の制御において、黒鉛電極の位置移動(電極の末端位置が金型の上口端面に対する位置)は、電流が一定の場合(パワーデバイスが変わらない場合)、石英ルツボの製造品質を大きく向上させることができる。しかしながら、現在、石英ルツボを製造する過程における電極の位置移動が、一般的に固定位置溶製法(本願では固定移動法又はFixed Type Methodと呼ばれ、FT法と略称する)を採用する。FT法の黒鉛電極の位置移動は固定であり、黒鉛電極の消耗に対して定期的に降下補償(電極の損失を補償するために1段分降下する)し、同時に電流の大きさを調整するだけで石英ルツボの生産品質を改善する。しかしながら、実際の生産において、電流の大きさを調整するだけで石英ルツボの品質を改善することは非常に限られており、且つ生産設備は、その構成ハードウェアを組み上げると、耐えられる電流の大きさが限られているため、大電流を交換することにより、ルツボの生産品質を改善することが困難であり、またハードウェアを変更して設備を再構築するコストも非常に高額である。これまで、石英ルツボの品質を向上させる生産方法は、未だ業界の研究者が解決すべき課題である。
【発明の概要】
【0005】
(1)解決すべき技術的問題
【0006】
従来技術の上記欠点、不足に鑑みて、本発明は、高品質石英ルツボの製造方法を提供し、この方法は、主に黒鉛電極の位置移動及び各位置の時間配分を制御することにより高品質石英ルツボを製造し、ルツボに適応する耐高温強度を向上させ、透明層の純度を向上させ、ルツボの内壁の気泡を減少させることなどにより、固定移動において電流を変化させてルツボの品質を改善する従来技術に関連する技術問題を解決する。
【0007】
(2)技術方案
【0008】
上記目的を達成するために、本発明が採用する主な技術方案は以下を含む。
【0009】
第1方面によれば、本発明は、高品質石英ルツボの製造方法を提供し、前記製造方法は、真空アーク法を採用し、以下のステップを含む。
【0010】
高純度の石英砂原料をルツボ金型内に入れ、成形装置によって石英砂原料を金型の内面に均一に成形してルツボ初品を成形し、その後、ルツボ金型全体をアーク溶製炉内に移し、黒鉛電極によって高温アークを放出して石英砂を溶製させ、最後に急冷して石英ルツボブランクを形成し、黒鉛電極を用いて高温アークを放出する過程において、黒鉛電極の高さ方向における位置移動及び各位置における滞留時間を制御し、以下の条件を満たすようにする。
【0011】
金型の上口の端面の位置を零点とし、黒鉛電極の末端が零点以上で+と記され、零点以下で-と記され、溶製過程において、黒鉛電極の初期位置が+(0.10~0.30)倍のルツボの外径であり、滞留時間が≧2分であり、その後、階段移動法に従って位置を順次に降下させ、1つの位置ごとを降下して一定時間を滞留して、黒鉛電極が当該対応する位置の対応する期間に高温アークを継続的に放出してルツボ初品を溶製し、少なくとも3回移動した後に底部研磨位置に達し、底部研磨位置が黒鉛電極が到達する最低位置であり且つルツボの内部に入り(位置が負である)、ルツボ底部から300-550mm離れており、底部の研磨位置において、黒鉛電極が所定時間を滞留してルツボの底部に高温研磨及び揮発除去を行い、
【0012】
黒鉛電極は、底部研磨位置から離れた後に仕上げステージまで上昇し、該仕上げステージは+(0.05~0.07)倍のルツボ外径であり、この位置で石英ルツボの内壁上部を高温研磨及び揮発除去する。
【0013】
ここで、初期位置から底部研磨位置までの移動回数が3回である場合、隣接する2つの位置の間の高さの差が≧50mmであり、初期位置から底部研磨位置までの移動回数が3回より大きい場合、2つのステップの間の高さの差が≧50mmである必要はない。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、溶製過程全体において、黒鉛電極の移動は、初期位置、第2位置、第3位置、第4位置、第5位置、底部研磨位置及び仕上げステージを含み、ここで、初期位置から底部研磨位置までは段階的に降下し且つ各位置において一定時間を滞留する。
【0015】
本発明の好ましい実施例によれば、黒鉛電極の各位置の滞留時間は、初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4-0.5tであり、第4位置の滞留時間が0.1-0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2-0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、tが目標石英ルツボの総溶製時間である。
【0016】
本発明の好ましい実施例によれば、異なる規格石英ルツボによって、黒鉛電極の各位置における滞留時間は、外径24インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4tであり、第4位置の滞留時間が0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が14-16分間であり、好ましくは15分間であり、
【0017】
外径26インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間の合計は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.15tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が17-19分間であり、好ましくは18分間であり、
【0018】
外径28インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.25tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が22-26分間であり、好ましくは24分間であり、
【0019】
外径32インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.4tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が28-32分間であり、好ましくは30分間である。
【0020】
本発明の好ましい実施例によれば、黒鉛電極は、移動過程において、位置ごとにおける位置決め精度が±5mmである。
【0021】
本発明の好ましい実施例によれば、溶製過程全体において、真空度が-0.093Mpa~-0.1Mpaに制御され、黒鉛電極のパワーが500-2000KWである。
【0022】
本発明の好ましい実施例によれば、外径24インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが750-850KWであり、外径が26インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが850-950KWであり、外径が28インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1000-1100KWであり、外径が32インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1300-1400KWである。
【0023】
本発明の好ましい実施例によれば、前記黒鉛電極の移動過程において、各位置の溶製が終了する時、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、黒鉛電極の表面に堆積した揮発物をパージ除去する。
【0024】
本発明の好ましい実施例によれば、底部研磨位置(又は底付き位置、即ち、黒鉛電極が到達する最低位置でもある)と第5位置との間の高さの差は100mm以上である。
【0025】
本発明の好ましい実施例によれば、製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0026】
本発明の黒鉛電極の移動はPLCモジュールプログラムによって制御される。
【0027】
第2方面によれば、本発明は、上記のいずれかの実施例の製造方法を用いて製造された高品質石英ルツボを提供する。
【0028】
(3)有益効果
【0029】
本発明は、黒鉛電極の初期位置を正確に制御することと、次に段階移動法により底部研磨位置まで順次降下させる(位置が負である)ことにより、各位置における滞留時間(高温アークを放出する時間)に合わせて石英ルツボの品質を大幅に改善することができ、石英ルツボの内壁の気泡を減少させ、ルツボの透明層の純度を向上させ、耐高温変形性能を向上させ、結晶成長過程におけるルツボの壁面のダレ率を減少させることなどを含み、CZチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造の歩留まり及び生産品質の向上に支援を提供する。
【0030】
固定移動法に比べて、本発明は、単純に黒鉛電極の作動電流を増加させることによってルツボの品質を改善するものではなく、石英ルツボ設備を生産する各ハードウェアを変更することなく、より大きな柔軟性があり、多種の仕様のルツボの製作に適する。初期位置から底部の研磨位置まで少なくとも3回降下させて黒鉛電極をルツボの内部に到達させてルツボ底部に近接させ、溶製過程全体において黒鉛電極がルツボ初品の内部の中心に徐々に接近し、各位置の電極の滞留時間の割り当てに合わせてルツボの内部表面には、直壁面、弧状の過度部位および底部などの各箇所に均一に熱が分配され、局所的にさらに高温の集中処理を受け、ルツボの内面に含まれる不純物を高温で揮発させ、ルツボの透明層の純度を高め、さらにシリコン単結晶の品質を保証する。黒鉛電極が最も低い位置に到達してルツボの底部を高温で研磨した後、ルツボ金型の上方を仕上げステージまで移動させて上昇させ、ルツボの開口上部を処理して、揮発後に再びルツボの内壁上部に堆積した不純物を除去する。比較により、本発明は、ルツボの内壁表面の不純物の含有量を効果的に低減し、ルツボの耐高温変形性能を向上させ、結晶成長過程におけるルツボの壁面のダレ率を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】石英ルツボの構造模式図である。
図2】高温アーク溶製法を使用して石英ルツボを製造する模式図である。
図3】高温アーク溶製法を使用して石英ルツボを製造する過程において、黒鉛電極の初期位置、零点位置を示す図である。
図4】実施例1において、26インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図5】実施例2において、26インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図6】実施例3において、26インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図7】実施例4において、24インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図8】実施例5において、28インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図9】実施例6において、32インチの石英ルツボを製造する時の黒鉛電極の移動位置図と各位置における時間配分を示す図である。
図10】CZ法によるシリコン単結晶製造後の石英ルツボの端面のダレ状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明をより良く解釈するために、以下、図面を参照して、具体的な実施形態により、本発明を詳細に説明する。
【0033】
図1に示すように、石英ルツボの模式図であり、内側の透明層1と外側の非透明層2とを含む。透明層1は、シリコン融液に直接接している。透明層1は、直壁面Hと、弧状の過度面Lと、底面Wとを有する。
【0034】
図2に示すように、図2は、従来技術において、高温アーク溶製法を使用して石英ルツボを製造する模式図である。従来技術において、黒鉛電極3がルツボの金型の内部に入り、黒鉛電極3が高温アークを放出して石英原料を溶製する。黒鉛電極3が高温アークを放出する過程における損耗に伴い、黒鉛電極3は絶えずに移動するが、黒鉛電極下部末端とルツボ底部との距離は、溶製過程全体において一定である。当該技術は、本出願において固定移動法として定義されてもよい。固定移動は、黒鉛電極の下部末端から金型の開口上端面(零点)までの距離が変わらないことを意味する。
【0035】
図3に示すように、本発明は、従来技術において、黒鉛電極の下部末端の位置を変更することによって石英ルツボの溶製過程における熱量の分配を改善し、具体的には、金型開口の上端面に対する黒鉛電極の下部末端の距離(以下、単に黒鉛電極の位置という)を段階的に変化させることである。黒鉛電極位置を変更する過程において、本発明は、PLCモジュールプログラムによって制御される段階的に降下するモードを採用する。黒鉛電極がルツボの内部に達してルツボの底部を高温に研磨する場合、この位置を底部研磨位置と呼ぶ。前記段階的に降下することは、2層の意味を含み、第1層は黒鉛電極の位置が絶えず降下することであり、第2層が各位置に一定時間滞留して、該時間内に黒鉛電極が高温アークを持続的に放出してルツボを加熱溶製及び高温揮発除去して不純物を除去することを意味する。高温アーク放出時に、温度は3000-3600度に達することができ、一部の金属不純物がこの温度で揮発することによって、ルツボの透明層1を清浄化し、シリコン単結晶の生産品質を保証する。石墨電極は、底部研磨位置の作業が終了した後、金型の開口の上方に再び上昇し、ルツボの内壁上部に堆積した不純物を高温に揮発させる(底部の研磨時に、一部の不純物が揮発して温度が降下する箇所に堆積し直す)。溶製が完了した後、冷却して石英ルツボブランクを得り、さらに切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0036】
図3に示すように、金型の上口端面位置を零点とし、黒鉛電極の末端が零点上方で+と記され、零点の下方で-と記される。具体的には、本発明の方案は以下の通りである。
【0037】
溶製過程において、黒鉛電極の初期位置が+(0.10~0.30)倍のルツボの外径であり、滞留時間が≧2分であり、その後、階段移動法に従って位置を順次に降下させ、1つの位置ごとに一定時間滞留して、黒鉛電極が当該対応する位置の対応する期間に高温アークを継続的に放出してルツボ初品を溶製し、少なくとも3回移動した後に底部研磨位置に達し、底部研磨位置が黒鉛電極が到達する最低位置であり且つルツボの内部に入り(位置が負である)、ルツボ底部から300-550mm離れており、底部の研磨位置において、黒鉛電極が所定時間滞留してルツボの底部に高温研磨及び揮発除去を行い、
【0038】
黒鉛電極は、底部研磨位置から離れた後に仕上げステージまで上昇し、該仕上げステージは+(0.05~0.07)倍のルツボ外径であり、この位置で石英ルツボの内壁上部を高温研磨及び揮発除去する。
【0039】
溶製過程全体において、黒鉛電極の移動は、初期位置、第2位置、第3位置、第4位置、第5位置、底部研磨位置及び仕上げステージを含み、ここで、初期位置から底部研磨位置までは段階的に降下し且つ各位置において一定時間を留まり、各位置における黒鉛電極の位置決め精度は±5mmである。
【0040】
好ましくは、黒鉛電極の各位置の滞留時間は、初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4-0.5tであり、第4位置の滞留時間が0.1-0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2-0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、tが目標石英ルツボの総溶製時間である。
【0041】
さらに、異なる規格石英ルツボによって、黒鉛電極の各位置における滞留時間は、外径24インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和が0.4tであり、第4位置の滞留時間が0.2tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が14-16分間であり、好ましくは15分間であり、
【0042】
外径26インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間の合計は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.15tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.2tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が17-19分間であり、好ましくは18分間であり、
【0043】
外径28インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.45tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.25tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が22-26分間であり、好ましくは24分間であり、
【0044】
外径32インチの石英ルツボ:初期位置と第2位置及び第3位置の滞留時間との和は0.4tであり、第4位置の滞留時間が0.1tであり、第5位置の滞留時間が0.1tであり、底部研磨位置の滞留時間が0.3tであり、仕上げステージの滞留時間が0.1tであり、総溶製時間が28-32分間であり、好ましくは30分間である。
【0045】
好ましくは、溶製過程全体において、真空度が-0.093Mpa~-0.1Mpaに制御され、黒鉛電極のパワーが500-2000KWである。
【0046】
好ましくは、外径24インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが750-850KWであり、外径が26インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが850-950KWであり、外径が28インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1000-1100KWであり、外径が32インチの石英ルツボを溶製する場合、黒鉛電極のパワーが1300-1400KWである。
【0047】
好ましくは、前記黒鉛電極の移動過程において、各位置の溶製が終了する時、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、黒鉛電極の表面に堆積した揮発物をパージ除去する。
【0048】
好ましくは、底部研磨位置(又は底付き位置、即ち、黒鉛電極が到達する最低位置でもある)と第5位置との間の高さの差は100mm以上である。
【0049】
以下、本発明の好ましい実施例を参照して本発明の特徴及び効果を説明する。特に指定がない限り、以下の実施例において、原料はいずれも同一バッチの石英原料であり、高純度石英砂の純度が≧99.99%である。
【0050】
実施例1
【0051】
本実施例は、外径26インチの石英ルツボを製造するための高品質石英ルツボの製造方法を提供し、真空アーク法を採用し、製造ステップは以下の通りである。
【0052】
(1)ルツボ金型内に高純度石英砂粉を均一に混合し、成形し、
【0053】
(2)成形後の金型をアーク溶製炉内に搬入し、
【0054】
(3)金型の開上端面位置を零点とし、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の移動は、図4に示すように、石英ルツボを溶製する。図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に3min滞留し、第2位置に3min滞留し、第3位置に3min滞留し、第4位置に1.8min滞留し、第5の位置に1.8min滞留し、底部研磨位置に3.6min滞留し(ルツボ底部から310mm離れる)、仕上げステージに1.8min滞留する。
【0055】
溶製過程において、黒鉛電極の出力は900KWであり、各位置における精度は±5mmであり、真空度は-0.093MPa~-0.1Mpaに制御され、各ステップの位置での溶製が終了すると、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、堆積した揮発物をパージ除去する。
【0056】
(4)溶製終了後、石英ルツボは冷却されて炉から取り出されし、石英ルツボブランクの製造を完成し、
【0057】
(5)製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0058】
実施例2
【0059】
本実施例は、実施例1に基づいて、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の移動は、図5に示すように、石英ルツボを溶製する。図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に3min滞留し、第2位置に2min滞留し、第3位置に3.1min滞留し、第4位置に2.7min滞留し、第5の位置に1.8min滞留し、底部研磨位置に3.6min滞留し(ルツボ底部から300mm離れる)、仕上げステージに1.8min滞留する。
【0060】
実施例3
【0061】
本実施例は、実施例1に基づいて、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の走行は、図6に示すように、石英ルツボを溶製する。図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に3min滞留し、第2位置に2min滞留し、第3位置に2.2min滞留し、第4位置に3.6min滞留し、第5の位置に1.8min滞留し、底部研磨位置に3.6min滞留し(ルツボ底部から350mm離れる)、仕上げステージに1.8min滞留する。
【0062】
比較例1
【0063】
本実施例は、固定移動法により外径26インチの石英ルツボを製造し、製造ステップは以下の通りである。
【0064】
(1)ルツボ金型内に高純度石英砂粉を均一に混合し、石英原料が実施例1と同じバッチ原料とする。
【0065】
(2)成形後の金型をアーク溶製炉内に搬入し、
【0066】
(3)黒鉛電極を-150mmに位置決めし、黒鉛電極の出力を900KW、真空度を-0.093MPa~-0.1Mpaに制御し、3分間おきに黒鉛電極に対してブローアウトを行い、堆積した揮発物をパージ除去する。黒鉛電極の損耗に伴って石墨電極を適応的に下向きに移動させ、黒鉛電極の下部末端から金型の開口上端面までの距離を-150mm(ルツボ底部から310mmに離れる)に維持する。
【0067】
(4)溶製終了後、石英ルツボは冷却されて炉から取り出されし、石英ルツボブランクの製造を完成し、
【0068】
(5)製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0069】
実施例4
【0070】
本実施例は、外径24インチの石英ルツボを製造するための高品質石英ルツボの製造方法を提供し、真空アーク法を採用し、製造ステップは以下の通りである。
【0071】
(1)ルツボ金型内に高純度石英砂粉を均一に混合し、成形し、
【0072】
(2)成形後の金型をアーク溶製炉内に搬入し、
【0073】
(3)金型の開上端面位置を零点とし、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の移動は、図7に示すように、石英ルツボを溶製し、図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に2min滞留し、第2位置に2min滞留し、第3位置に2min滞留し、第4位置に3min滞留し、第5の位置に1.5min滞留し、底部研磨位置に3min滞留し(ルツボ底部から340mm離れる)、仕上げステージに1.5min滞留する。
【0074】
溶製過程において、黒鉛電極の出力は800KWであり、各位置における精度は±5mmであり、真空度は-0.093MPa~-0.1Mpaに制御され、各ステップの位置での溶製が終了すると、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、堆積した揮発物をパージ除去する。
【0075】
(4)溶製終了後、石英ルツボは冷却されて炉から取り出されし、石英ルツボブランクの製造を完成し、
【0076】
(5)製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0077】
実施例5
【0078】
本実施例は、外径28インチの石英ルツボを製造するための高品質石英ルツボの製造方法を提供し、真空アーク法を採用し、製造ステップは以下の通りである。
【0079】
(1)ルツボ金型内に高純度石英砂粉を均一に混合し、成形し、
【0080】
(2)成形後の金型をアーク溶製炉内に搬入し、
【0081】
(3)金型の開上端面位置を零点とし、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の移動は、図8に示すように、石英ルツボを溶製し、図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に3.6min滞留し、第2位置に3.6min滞留し、第3位置に3.6min滞留し、第4位置に2.4min滞留し、第5の位置に2.4min滞留し、底部研磨位置に6min滞留し(ルツボ底部から420mm離れる)、仕上げステージに2.4min滞留する。
【0082】
溶製過程において、黒鉛電極の出力は1050KWであり、各位置における精度は±5mmであり、真空度は-0.093MPa~-0.1Mpaに制御され、各ステップの位置での溶製が終了すると、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、堆積した揮発物をパージ除去する。
【0083】
(4)溶製終了後、石英ルツボは冷却されて炉から取り出されし、石英ルツボブランクの製造を完成し、
【0084】
(5)製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0085】
実施例6
【0086】
本実施例は、外径32インチの石英ルツボを製造するための高品質石英ルツボの製造方法を提供し、真空アーク法を採用し、製造ステップは以下の通りである。
【0087】
(1)ルツボ金型内に高純度石英砂粉を均一に混合し、成形し、
【0088】
(2)成形後の金型をアーク溶製炉内に搬入し、
【0089】
(3)金型の開上端面位置を零点とし、PLCプログラムによって制御される黒鉛電極の移動は、図9に示すように、石英ルツボを溶製し、図において、黒鉛電極は合計7つの位置で作動し、初期位置に4min滞留し、第2位置に4min滞留し、第3位置に4min滞留し、第4位置に3min滞留し、第5の位置に3min滞留し、底部研磨位置に9min滞留し(ルツボ底部から500mm離れる)、仕上げステージに3min滞留する。
【0090】
溶製過程において、黒鉛電極の出力は1400KWであり、各位置における精度は±5mmであり、真空度は-0.093MPa~-0.1Mpaに制御され、各ステップの位置での溶製が終了すると、黒鉛電極に対してブローアウトを行い、堆積した揮発物をパージ除去する。
【0091】
(4)溶製終了後、石英ルツボは冷却されて炉から取り出されし、石英ルツボブランクの製造を完成し、
【0092】
(5)製造された石英ルツボブランクは、切断、検査、洗浄、乾燥、パッケージ入庫を順次行う。
【0093】
実施例で製造した石英ルツボに対して性能比較を行い、CZ法により1本のシリコン単結晶を製造する(時間100hを要する)と、石英ルツボのダレ状況と石英ルツボ透明層における不純物元素の含有量とを比較する。
【0094】
実施例1-6及び比較例1の石英ルツボ内部透明層1を取り、原子吸光法により最内側不純物元素含有量を検出し、以下の表に示す。
【0095】
不純物元素含有量 ppm
【0096】
上記の比較から分かるように、本発明の実施例1-6で製造された石英ルツボの内側透明層1の表面不純物の含有量はより低く、より純粋であり、引き上げによるシリコン単結晶の製造過程において不純物の導入が減らし、シリコン単結晶の製品品質を保証する。また、実施例1-6の石英ガラスルツボは検出され、表面にクラックがなく、凹みがなく、目視で気泡及び凸の点がない。
【0097】
図10に示すように、CZ法により石英ルツボをシリコン単結晶の製造に使用した後、高温溶製により不可避的にダレ現象が生じる。製造過程において、石英ルツボを黒鉛ルツボ内に配置して位置決めし、石英ルツボ内に純粋なシリコン融液を収容する。1本のシリコン単結晶を生産した後、実施例1の石英ルツボのダレの高さは3.6mm、比較例1は8.8mmである。これにより、比較例1で製造された石英ルツボは、耐高温変形性能が劣っていたが、本発明が提供する技術案は、この問題を改善することができる。
【0098】
最後に、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、これに限定されるものではなく、前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したにもかかわらず、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正し、又はその中の一部又は全部の技術的特徴に対して均等な置換を行い、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から離脱させないことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】