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特表2025-502526てんかんにおける突然の予期せぬ死に関連する疾患を治療するためのセロトニン5-HT1A受容体アゴニストの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】てんかんにおける突然の予期せぬ死に関連する疾患を治療するためのセロトニン5-HT1A受容体アゴニストの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20250117BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/08
A61K31/506
A61K31/445
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544648
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2023051732
(87)【国際公開番号】W WO2023144166
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/303,372
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/586,477
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518455985
【氏名又は名称】ニューロリクシス
【氏名又は名称原語表記】NEUROLIXIS
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100231902
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 李花
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ニューマン-タンクレディ
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.バーニー
(72)【発明者】
【氏名】カリールラーマン アブドゥルラザク
(72)【発明者】
【氏名】シン タオ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZC021
4C084ZC022
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086BC42
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA06
4C086ZC02
(57)【要約】
本出願は、選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することによる、てんかんにおける突然の予期せぬ死のリスクの増加に関連する疾患、例えば、脆弱X症候群などの治療及び予防に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5又はDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患からなる群から選択されるてんかんにおける突然の予期せぬ死(SUDEP)に関連する疾患の治療又は予防の方法であって、そのような疾患に罹患している患者において治療有効量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、方法。
【請求項2】
SUDEPが起こる疾患に罹患している患者に治療有効量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、発作の治療又は予防の方法。
【請求項3】
前記患者が、FRM1遺伝子機能不全を示す、請求項1又は2に記載の治療の方法。
【請求項4】
前記患者が、脆弱X症候群、レット症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群及びアンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5及びDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患からなる群から選択される疾患に罹患している、請求項2に記載の治療の方法。
【請求項5】
前記患者が、脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群及び大田原症候群からなる群から選択される疾患に罹患している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記5-HT1A受容体アゴニストが、バイアス5-HT1A受容体アゴニストである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記5-HT1A受容体アゴニストが、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Zは、-(CH-Y)-Ar基を表し、
nは、0又は1であり、
Yは、-CH-、-NH-、-S-又は-O-から選択され、及び
Arは、1つ以上のC1~C6アルキル基によって任意選択的に置換された5~10員環アリール又はヘテロアリール環を表す)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(I)の化合物が、式(IA):
【化2】
のNLX-101(F-15599としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(I)の化合物が、式(II):
【化3】
(式中、
Xは、F及びClから選択され、
Yは、請求項5で定義され、及び
Arは、フェニル及びN含有6員単環式ヘテロアリール基から選択され、任意選択的に1つ以上のC1~C6アルキル基によって置換されている)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)の化合物が、
【化4】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヒト患者において0.1~10mg/日の用量で前記選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、てんかんにおける突然の予期せぬ死(Sudden Unexpected Death in Epilepsy、SUDEP)に関連する疾患、例えば、脆弱X症候群(Fragile X Syndrome、FXS)などの治療的処置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発作又はてんかん発作は、脳内のニューロン活動が異常に過剰であるか又は同期しているために生じる症状の期間である。てんかんの致命的な合併症は、SUDEPを引き起こす可能性があり、SUDEPは、毒性学的又は解剖学的な死因を伴わない、てんかんを有する人の突然かつ不測の非外傷性かつ非溺死として定義される。全ての発作がSUDEPをもたらすわけではない。特定の発作タイプ又は特定の患者で起こる発作は、SUDEPのリスク増加に関連し得ると仮定されている。
【0003】
SUDEPに関連する発作は、典型的には、特定の疾患において起こる。
【0004】
それらの中に、FMR1遺伝子の変異によって引き起こされ、脳の発達に重要なFMRPタンパク質の機能喪失を引き起こす稀な遺伝性障害である脆弱X症候群(FXS)がある。FXSの対象は、感覚過敏症及びてんかん発作への傾向を含む様々な症状に悩まされる。
【0005】
FMRP機能を欠くトランスジェニックマウス(すなわち、FMR1ノックアウトマウス)は、FXSのモデルであり、聴原性発作(すなわち、大きな騒音によって誘発される発作)を起こしやすく、これが長引くと死に至る。
【0006】
SUDEPをもたらす可能性があるSCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5及びDEPDC5遺伝子における突然変異も存在する。
【0007】
発作に関連する他の疾患としては、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(myoclonic astatic epilepsy、MAE)、及びレノックス・ガストー症候群が挙げられる。
【0008】
したがって、SUDEPに関連する疾患を治療するための新規候補を提供することが望ましい。SUDEPを治療するための新規候補を提供することもまた望ましい。
【0009】
脳神経生物学の観点からすると、発作とセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン:5-HT)受容体との間の関係が確立されている。しかしながら、5-HT1Aを含むセロトニン受容体の特定のサブタイプの役割については議論がある。
【0010】
実際、以前の報告は、野生型齧歯類(すなわち、てんかんに対する感受性をもたらす遺伝的異常に罹患していない)における発作に対する5-HT1A受容体アゴニスト(すなわち、5-HT1A受容体を活性化するリガンド)の効果に関しては、相反しており:一部のレポートでは増加を示しているが、他のレポートでは減少を示している:
【0011】
研究は、発作に対する8-OH-DPAT、二重5-HT1A/5-HT受容体アゴニストの活性に関する相反した結果を報告した(Yang et al Neurosci Bull.2014 Jun;30(3):401-8.doi:10.1007/s12264-013-1396-x.Epub 2014 Jan 15.PMID:24429728;Fujii et al Yakubutsu Seishin Kodo.1991 Feb;11(1):29-35.PMID:1831945)。更に、8-OH-DPATを、FMR1ノックアウトマウスにおいて、電気生理学的試験及び細胞試験で試験したところ、その効果は5-HT受容体によって媒介されるが、5-HT1A受容体によっては媒介されないことが見出された(Costa et al.Biol Psychiatry.2012 Dec 1;72(11):924-33.doi:10.1016/j.biopsych.2012.06.008.Epub 2012 Jul 18.PMID:22817866)。
【0012】
Obniskaらは、抗けいれん活性を有する5-HT1A/5-HT化合物を報告したが、これらの化合物が、アゴニスト又はアンタゴニストであるかどうかは不明である(Pharmacol Rep.2005 May-Jun;57(3):336-44.PMID:15985716)。更に、その著者らは、他の5-HT1A/5-HTリガンドが、抗けいれん活性と、それらのセロトニン作動性特性との間に相関関係を示さないことも報告した(Pharmacol Rep.2005 May-Jun;57(3):336-44.PMID:15985716)。
【0013】
最近、一部の著者らは、5-HT1A受容体アゴニストとして作用するビラゾドンが、ヒトにおいて発作を誘発することを報告した(McKean et al.Pharmacotherapy.2015 Mar;35(3):e6-8.doi:10.1002/phar.1549.PMID:25809181)。
【0014】
したがって、発作における5-HT1A受容体の役割、より具体的には、SUDEPに関連する発作に対する選択的5-HT1A受容体アゴニストの起こり得る影響に関して明確なコンセンサスはない。
【0015】
国際公開第2016/138138号はまた、5-HT2A及び5-HT2B受容体に結合するが、5-HT1A受容体に有意に結合しない5-HT受容体アゴニストによるてんかんの治療も開示している。いずれにしても、この特許には選択的5-HT1Aアゴニストについての言及はない。
【0016】
全体として、セロトニンは、FXSなどの疾患における発作の病態生理学において重要であると考えることができるが、5-HT1A受容体に関して確立された役割は実証されておらず、選択的5-HT1A受容体アゴニストの効果は、FXS又はSUDEPに関連する他の疾患の前臨床モデルについて調査されていない。
【0017】
NLX-101(F-15599としても知られている)は、国際公開第03/106449号に開示されている。これは、セロトニン5-HT1A受容体を高度に選択的に標的とする化合物であり、前臨床及び臨床研究において試験されている。その化合物は、5-HT1A受容体を、他のシグナル伝達経路とは対照的に、特定の細胞内シグナル伝達経路、特に、ERK1/2リン酸化を、優先的に活性化するように方向付ける、「バイアスのある(バイアス型)アゴニズム(biased agonism)」として知られる特徴的な特性を有する。NLX-101のバイアスアゴニスト特性は、特定の脳領域の活性化に関連している(Llado-Pelfort et al J Pharmacol.2010 Aug;160(8):1929-40.doi:10.1111/j.1476-5381.2010.00738.x.PMID:20649591)。
【0018】
Levitt et al J.Appli.Physiol.115:1626-1633,2013は、NLX-101がレット症候群のマウスモデルにおいて呼吸異常を改善することを報告している。それにもかかわらず、SUDEPに対するNLX-101の起こり得る効果は調査されていない。
【発明の概要】
【0019】
本発明者らは、今回、NLX-101がFMR1ノックアウトマウスにおいて聴原性発作を予期外に減少させることを見出し、選択的5-HT1A受容体アゴニストが、FXS、及びSUDEPに関連する他の疾患を治療するのに有用であり得ることを確立した。
【0020】
したがって、本発明は、発作、脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5又はDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患からなる群から選択されるSUDEPに関連する疾患の治療又は予防の方法を提供し、
その方法は、治療有効量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを、そのような疾患に罹患している患者に投与することを含む。
【0021】
本発明はまた、SUDEPが起こる疾患に罹患している患者に治療有効量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、発作を治療又は予防する方法も提供する。
【0022】
一実施形態によれば、SUDEPが起こる当該疾患としては、脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、レット症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5又はDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患が挙げられる。
【0023】
より好ましくは、当該疾患は、脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群及び大田原症候群から選択される。
【0024】
特に、本発明者らは、角膜電気刺激によって誘導されるてんかん発作の2つの広く使用されているモデルを使用して、NLX-101が、野生型(すなわち、非トランスジェニック)マウスにおいていかなる抗発作活性も示さないことを見出した。対照的に、同様の用量範囲にわたってFMR1ノックアウトマウスにおける聴原性強直間代発作モデルにおいて試験した場合、NLX-101は、発作を強力かつ有効に低減し、75パーセントを超えるマウスを死亡から保護した。
【0025】
野生型マウスにおける角膜の電気的に誘導された発作に対してNLX-101の効果がないということは、この化合物には抗発作活性が一般的に欠如していることを示唆している。結果として、トランスジェニックFMR1マウスにおける聴原性発作に対するNLX-101の抗発作活性は予期外であり、特定の発作型、特に、SUDEPに関連する発作型に対する選択的5-HT1A受容体アゴニストの活性を示唆している。
【0026】
FMR1ノックアウトマウスにおける発作及び死亡を減少させるNLX-101の能力は、5-HT1A受容体におけるNLX-101の非常に選択的なアゴニスト特性から生じ得る。更に、ERK1/2リン酸化の活性化についてのそのバイアスアゴニスト活性は、その抗発作特性及び抗SUDEP特性に寄与し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「SUDEPに関連する」とは、一般的な患者集団と比較した場合に、一般的な患者集団よりも、代表的には少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%多くSUDEPのリスクが増加し得る疾患を指す。このようなリスクの増加は、特定の発作型が該当する場合があり、かつ/又はそれらは特定の患者集団で起こり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、健康障害を指し、定義された理由を有する確立された医学的状態と、症候群、(すなわち)必ずしも同一の原因を有し得ない症状の集合との両方を包含する。
【0029】
このような疾患の治療には、原因の除去及び/又は症状の軽減が含まれる。
【0030】
一実施形態によれば、5-HT1A受容体アゴニストは、選択的なバイアス5-HT1A受容体アゴニストである。
【0031】
好ましい実施形態によれば、選択的5-HT1A受容体アゴニストは、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Zは、-(CH-Y)-Ar基を表し、
nは、0又は1であり、
Yは、-CH-、-NH-、-S-又は-O-から選択され、及び
Arは、1つ以上のC1~C6アルキル基によって任意選択的に置換された5~10員環アリール又はヘテロアリール環を表す)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つからなる群から選択される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、鎖中に約1個~約6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であり得る脂肪族炭化水素基を意味し、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、アルコキシを含む、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で、任意選択的に置換され得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルが挙げられる。
【0033】
「アリール」は、5個~約10個の炭素原子、好ましくは約6個~約10個の炭素原子の芳香族単環式又は二環式環系を意味する。例示的なアリール基としては、フェニル又はナフチルが挙げられる。
【0034】
「ヘテロアリール」とは、約5個~約10個の原子、好ましくは約5個~約10個の炭素原子の芳香族単環式又は二環式環系を意味し、環系中の原子の1つ以上は、炭素以外のヘテロ元素(複数可)、例えば、窒素、酸素又は硫黄である。環系の環の好ましい環サイズとしては、約5個~約6個の環原子が挙げられる。ヘテロアリールの前の接頭辞としてのアザ、オキサ又はチアの指定は、少なくとも窒素、酸素又は硫黄原子がそれぞれ環原子として存在することを明確に示している。ヘテロアリールの窒素原子は、塩基性窒素原子であってもよく、対応するN-オキシドに任意選択的に酸化されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピラジニル、チエニル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、チエノピリジル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、ベンゾアザインドール、1,2,4-トリアジニル、ベンズチアゾリル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、1,3,4-チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル及びトリアゾリルが挙げられる。好ましいヘテロアリール基としては、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニルが挙げられる。
【0035】
好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物は、密接に関連し、かつERK1/2リン酸化の活性化に対して同様のバイアスアゴニスト特性も示す以下の化合物(IA)及び(II):
式(IA)のNLX-101:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つ、及び
式(II):
【化3】
(式中、
Xは、F及びClから選択され、
Yは、-CH-、-NH-、-S-、又は-O-から選択され、及び
Arは、フェニル及びN含有6員単環式ヘテロアリール基(N-containing 6-membered monocyclic heteroaryl groups)から選択され、任意選択的に1つ以上のC1~C6アルキル基によって置換されていてもよい)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つ、
から選択される。
【0036】
一実施形態によれば、式(II)において:
Xは、F及びClから選択され、及び
その基である
【化4】
は:
【化5】
からなる群から選択される。
【0037】
更なる実施形態によれば、式(II)において:
X=F、
Y=-O-、及び
Arは:
【化6】
からなる群から選択される。
【0038】
特定の実施形態によれば、式(II)の化合物は:
【化7】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つから選択されることができる。
【0039】
式(II)の化合物、セロトニン5-HT1A受容体に対するそれらの高い選択性、ERK1/2リン酸化に対するそれらのバイアスアゴニズムプロファイル及びそれらの合成は、Sniecikowska et al.Journal of Medicinal Chemistry,2019,62,2750-2771,PMID 30721053に開示されている。
【0040】
一実施形態によれば、化合物は、それらの遊離塩基の形態であり得るか、又はあるいは薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、シュウ酸塩、二塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トシル酸塩、サリチル酸塩、スルホン酸塩又は安息香酸塩などの形態であり得る。
【0041】
本明細書に記載の状態の治療を必要とする対象を特定することは、十分に当業者の能力及び知識の範囲内である。当業者である臨床医は、臨床試験、身体検査、遺伝子検査及び病歴/家族歴を使用することによって、そのような治療を必要とする対象を容易に特定することができる。これらの対象は、典型的には、SUDEPに関連する疾患、例えば、発作、脆弱X症候群(FXS)、レット症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群及びアンジェルマン症候群などに罹患しているか、又はFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5若しくはDEPDC5遺伝子機能不全に関連する病気に罹患している。
【0042】
一実施形態によれば、SUDEPに関連する疾患に罹患している患者は、FRM1遺伝子機能不全を示し得る。
【0043】
化合物の実際の投与量レベルは、特有の組成物及び投与方法について所望の治療応答を得るのに有効な活性成分の量が得られるように変化し得る。したがって、選択される投与量レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の治療期間及び他の因子、例えば、患者の状態に依存する。
【0044】
治療有効量は、当業者である担当診断医によって、従来の技術の使用によって、及び類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定することができる。治療有効量を決定する際には、担当診断医によって、いくつもの因子が考慮され、その因子としては、対象の種;その大きさ、年齢、及び一般的健康状態;関与する特定の疾患;疾患の関与の程度又は重症度;個々の対象の応答;投与される特定の化合物;投与様式;投与された製剤の生物学的利用能特性;選択された投与レジメン;併用薬の使用;及び他の関連状況が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
所望の生物学的効果を達成するために必要とされる化合物の量は、投与されるべき薬物の処方のタイプ、疾患のタイプ、患者の疾患状態及び投与経路を含むいくつもの因子に依存して変化する。
【0046】
一般的に言えば、投与される薬物の好ましい投与量は、疾患又は障害の進行のタイプ及び程度、特有の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的生物学的有効性、及び化合物賦形剤の配合、及びその投与経路などの変数に依存する可能性が高い。
【0047】
選択的5-HT1A受容体アゴニストの1日用量は、一般に、ヒト患者において0.1mg/日~10mg/日、より詳しくは0.5~3mg/日で含まれ得る。
【0048】
更なる実施形態によれば、本発明の方法はまた、典型的には発作の治療又は予防において投与される、1つ以上の更なる活性成分の投与も含む。
【0049】
選択的5-HT1A受容体アゴニストは、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と混合することによって、医薬組成物に製剤化することができる。
【0050】
組成物は、単位剤形で都合よく投与することができ、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.;Gennaro,A.R.,Ed.;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2000に記載されているように、製薬業界でよく知られている方法のいずれかによって調製され得る。
【0051】
選択的5-HT1A受容体アゴニストは、様々な投与経路、例えば、経口;皮下、筋肉内、静脈内を含む非経口;舌下、局所(topical);局部(local);気管内;鼻腔内;経皮又は直腸などの投与経路によって投与されることができ、活性成分は、1つ又は2つの医薬組成物において、薬学的に許容される賦形剤又はビヒクルと組み合わされる。
【0052】
特に、非経口投与に好適な製剤は無菌であり、非経口投与に好適な製剤としては、エマルジョン、懸濁液、水性及び非水性注射溶液が挙げられ、それらは、懸濁化剤及び増粘剤及び酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び対象とするレシピエントの血液と、製剤とを等張にし、かつ好適に調整されたpHを有する溶質を含み得る。局所適用のために、本発明の組成物は、クリーム、ゲル、軟膏又はローションとして使用され得る。
【0053】
本発明によれば、適切な製剤での経口投与が有利に使用される。患者に経口投与するのに好適な製剤としては、各々が所定量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを含む、軟ゼラチン又は硬ゼラチンなどのカプセル剤、錠剤などの個別単位が挙げられる。それらのものとしてはまた、粉末、顆粒、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、又は水中油型液体エマルジョン若しくは油中水型液体エマルジョンも挙げられる。胃腸耐性製剤は、経口製剤に関して、特に、デュロキセチンに関して企図される。
【0054】
「薬学的に」又は「薬学的に許容される」とは、必要に応じて、動物、すなわちヒトに投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、又は他の不都合な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」としては、特に、希釈剤、アジュバント、キャリア、又はビヒクルが挙げられる。そのような活性成分を医薬活性物質のために使用することは、当該分野で周知である。
【0056】
本発明の文脈において、「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」という用語は、本明細書で使用される場合、そのような用語が適用される障害若しくは状態、又はそのような障害若しくは状態の1つ以上の症状の進行を逆転、緩和、若しくは阻害、又はそれらを予防することを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「予防(prevention)」は、状態の予防法(prophylaxis)を指し、特に、当該状態が生じるリスクを減少させること、又は状態が生じる程度を減少させることを目的とする。
【0058】
「治療有効量」とは、所望の治療効果をもたらすのに有効な本発明による化合物/医薬組成物の量を意味している。
【0059】
本発明によれば、「患者」又は「それを必要とする患者」という用語は、上記障害に罹患している又は罹患している可能性があるヒト又は非ヒト哺乳動物を対象としている。好ましくは、対象はヒトである。
【0060】
化合物は、単位剤形で投与されてもよく、「単位用量」という用語は、患者に投与することができ、かつ容易に取り扱い、及び包装することができ、活性化合物それ自体又は1つ若しくは2つの薬学的に許容される組成物としてのいずれかを含む物理的及び化学的に安定な単位用量のままの単回用量を意味している。
【0061】
適切な単位剤形は、経口形態、舌下、頬側、気管内、眼内、鼻腔内形態、吸入による、局所、経皮、皮下、筋肉内又は静脈内、及び直腸形態及びインプラントを含む。
【0062】
上述した代替的な実施形態は、相互に排他的ではなく、互いに加えて考慮され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明を、添付の図面に関連して説明する。
【0064】
図1】野生型マウスにおける発作の2つのモデルにおけるNLX-101の抗発作活性の欠如を示している図である。
図2】FRM1トランスジェニックマウスにおける強直間代発作(tonic-clonic seizure、TCS)及び死亡率のNLX-101による用量依存的減少を示している図である(ns:有意ではない、***p<0.001、****p<0.0001、ログランク(Mantel-Cox)検定)。
【実施例
【0065】
本発明は、以下の例示的な実施例を参照することによって更に理解されよう。
【0066】
方法
野生型マウスにおける角膜電気刺激(Corneal Electrical Stimulation、CES)によって誘導される発作
実験は、National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)Epilepsy Therapy Screening Program(https://panache.ninds.nih.gov/TestDescription/Test6HZ)に従って実行された。CES試験は、野生型雄CF-1マウスを使用して実行された。発作は、角膜電極を介して送達される低周波(6Hz、0.2ミリ秒矩形パルス)、長時間(3秒)、44mAの電流(動物の97%において発作を発生させる電流の2倍)によって誘導された(Barton ME,Klein BD,Wolf HH,White HS.Pharmacological characterization of the 6Hz psychomotor seizure model of partial epilepsy.Epilepsy Res.2001;47:217-27)。角膜電極を配置する直前に、0.9%生理食塩水溶液中の0.5%テトラカイン塩酸塩の液滴(麻酔/電解液)を、眼に適用した。マウスにおける発作は、最初の瞬間的な気絶、その直後のあごクローヌス、前肢クローヌス、感覚毛の単収縮(twitching of the vibrissae)、及び「挙尾(Straub tail)」を特徴とする。1分の観察期間内にこの行動を示さない動物は、発作から「保護された」と考えられる。
【0067】
CESモデルにおける抗発作活性についての試験を、4匹の雄マウス/用量/時点で実施する。6つの用量のNLX-101(0.02、0.06、0.5、1及び2mg/kg、腹腔内(i.p.))及び2つの時点(薬物投与後30及び120分)で試験した。
【0068】
最大電気ショック発作(Maximal Electroshock Seizure、MES)試験において誘発される発作
実験は、National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS) Epilepsy Therapy Screening Program(https://panache.ninds.nih.gov/TestDescription/TestMES)に従って実行された。MES試験は、野生型雄マウスを使用して実行された。MESは、全身性強直間代発作のモデルであり、脳内の全ての神経回路が最大限に活性であるときに、発作拡散を予防する化合物の能力を示す指標を提供する(White HS,Johnson M,Wolf HH,Kupferberg HJ.The early identification of anticonvulsant activity:role of the maximal electroshock and subcutaneous pentylenetetrazol seizure models.Ital J Neurol sci.1995;16:73-7)。これらの発作は再現性が高く、ヒトの発作と電気生理学的に一致する。発作は、角膜電極を通して送達される短時間(0.2秒)にわたる50mAの高周波(60Hz)交流電流によって誘発された。刺激の前に、角膜を、局所麻酔のための0.5%テトラカイン塩酸塩及び導電性を改善するための0.9%生理食塩水で潅注した。MESによって誘発される発作は、前肢及び後肢の強直性伸展と、その後に続く前肢及び後肢の間代性活動の短いエピソードを特徴とする。動物は、発作の後肢強直性伸筋成分の消失した時点で、MES誘導性発作から「保護された」とみなされる。MESモデルにおける抗発作活性についての試験を、4匹の雄マウス/用量/時点で実施する。6つの用量のNLX-101(0.02、0.06、0.5、1及び2mg/kg i.p.)及び2つの時点(薬物投与後30及び120分)で試験した。
【0069】
FMR1トランスジェニックマウスにおける聴原性強直間代発作(TCS)
FMR1ノックアウト(KO)マウスを交配し、生後21日目(P21)に離乳させ、全てのマウスをP21~P23の間に試験した。NLX-101を、0.6、1.2、1.8及び2.4mg/kg i.p.の用量で投与した。対照FMR1 KOマウスには生理食塩水を与えた。マウスを聴覚刺激に供する10分前に、NLX-101又は生理食塩水を注射した。
【0070】
事後のビデオ分析で各マウスを区別するために、薬物又は生理食塩水の投与前にマウスを色分けした。次いで、マウス(最大4匹/ケージ)を蓋付きケージに入れ、10分後、スピーカーを蓋の上に置き、ケージを音減衰ブース(Gretch-Ken Inc.,OR)に入れた。聴覚刺激は、2~8kHzの周波数で上下に連続的に交互に変化する周波数変調スイープであり、105~110dBの強度で15分間行われた。この手順は、5分間の馴化(音刺激なし)から始まり、合計20分間続けた。全20分間の手順を、オフライン分析のためにビデオに記録した。
【0071】
大きな聴覚刺激を受けたFMR1ノックアウトマウスの典型的な行動としては、強直間代発作(TCS:マウスが後肢伸展を伴ってケージ底に横たわる)、及び呼吸停止による死亡(深い呼吸ガス(a deep respiratory gasp)及び耳介の弛緩を呈する)が挙げられる。
【0072】
(刺激開始から)TCSの発生及び死亡までの潜伏時間をストップウォッチ(精度:1秒)で記録した。生存分析を使用して、ログランク検定によってTCS又は死亡の確率を分析した。
【0073】
その結果を、図1及び図2に示す。
【0074】
野生型マウスにおいて、NLX-101は、広範囲の用量(0.02~2mg/kg i.p.)にわたって、注射後30分及び120分で、最大電気ショック発作(MES)試験における発作の発生に影響を及ぼさなかった(左パネル)。角膜電気的刺激(CES)発作試験(右パネル)において、NLX-101は、試験した最高用量で4匹のマウスのうち1匹のみにおいて、かつ1つの時点(注射後30分)のみにおいて発作の出現を減少させた。MES及びCES試験におけるNLX-101の最小活性は、それが抗発作活性を有さないことを示唆している(図1)。
【0075】
対照的に、NLX-101は、1.8及び2.4mg/kgで有意な効果を伴って、強直間代発作を示すFMR1ノックアウトマウスの割合を用量依存的に減少させた(左パネル)。NLX-101はまた、1.2、1.8及び2.4mg/kgの用量で有意な効果を伴って、死亡したFMR1ノックアウトマウスの数を用量依存的に減少させた(右パネル)。各実験群は、14又は16匹のマウスからなっていた(その半分は雄であり、半分は雌であった)。これらのデータは、NLX-101が、FMR1ノックアウトマウスにおいて強い抗発作及び抗SUDEP活性を示すことを示唆している(図2)。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群、アンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5又はDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患からなる群から選択されるてんかんにおける突然の予期せぬ死(SUDEP)に関連する疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、選択的5-HT1A受容体アゴニストの使用
【請求項2】
SUDEPが起こる疾患に罹患している患者に治療有効量の選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、発作の治療又は予防のための医薬の製造における、選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項3】
前記患者が、FRM1遺伝子機能不全を示す、請求項1又は2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用。
【請求項4】
前記患者が、脆弱X症候群、レット症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群、大田原症候群及びアンジェルマン症候群、ミオクロニー失立てんかん(MAE)、レノックス・ガストー症候群、及びFMR1、SCN1A、SCN1B、SCN8A、SCN2A、GNB5、KCNA1、CDKL5及びDEPDC5遺伝子機能不全に関連する疾患からなる群から選択される疾患に罹患している、請求項2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項5】
前記患者が、脆弱X症候群、ドラベ症候群、ギラン・バレー症候群及び大田原症候群からなる群から選択される疾患に罹患している、請求項1又は2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項6】
前記5-HT1A受容体アゴニストが、バイアス5-HT1A受容体アゴニストである、請求項1又は2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項7】
前記5-HT1A受容体アゴニストが、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Zは、-(CH-Y)-Ar基を表し、
nは、0又は1であり、
Yは、-CH-、-NH-、-S-又は-O-から選択され、及び
Arは、1つ以上のC1~C6アルキル基によって任意選択的に置換された5~10員環アリール又はヘテロアリール環を表す)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項8】
前記式(I)の化合物が、式(IA):
【化2】
のNLX-101(F-15599としても知られる)、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つである、請求項7に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項9】
前記式(I)の化合物が、式(II):
【化3】
(式中、
Xは、F及びClから選択され、
Yは、請求項で定義され、及び
Arは、フェニル及びN含有6員単環式ヘテロアリール基から選択され、任意選択的に1つ以上のC1~C6アルキル基によって置換されている)
の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つである、請求項7に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項10】
前記式(I)の化合物が、
【化4】
又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはエステルのうちの1つから選択される、請求項9に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【請求項11】
ヒト患者において0.1~10mg/日の用量で前記選択的5-HT1A受容体アゴニストを投与することを含む、請求項1又は2に記載の選択的5-HT 1A 受容体アゴニストの使用
【国際調査報告】