(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/13 20210101AFI20250117BHJP
A61M 60/221 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/242 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/422 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/82 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/824 20210101ALI20250117BHJP
A61M 60/81 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
A61M60/13
A61M60/221
A61M60/237
A61M60/242
A61M60/422
A61M60/82
A61M60/824
A61M60/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544652
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2023051729
(87)【国際公開番号】W WO2023144164
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】グラウヴィンケル マリウス
(72)【発明者】
【氏名】キーセリッツ エレン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC03
4C077CC04
4C077EE01
4C077FF04
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077PP16
4C077PP24
(57)【要約】
本発明は、血液ポンプ、特に血管内血液ポンプに関する。血液ポンプは、通路によって接続された血流入口および血流出口を有するポンプハウジングと、前記ポンプハウジング内に配置されたインペラと、インペラを駆動するように構成された駆動ユニット26とを備え、駆動ユニット26はステータ66を備え、ポンプハウジングは、1つの軸方向端部にカテーテル取付部32と、別の軸方向端部にインペラ支持部102とを有する駆動ユニットケーシング22を備え、ステータ66は、駆動ユニットケーシング22内に配置され、駆動ユニットケーシング22は、ポッティング材114で少なくとも部分的に充填される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプ(10)、特に血管内血液ポンプであって、
通路(18)によって接続された血流入口(14)および血流出口(16)を有するポンプハウジング(12)と、
前記ポンプハウジング(12)内に配置されたインペラ(20)と、
前記インペラ(20)を駆動するように構成された駆動ユニット(26)と
を備え、前記駆動ユニット(26)は、ステータ(66)を備え、
前記ポンプハウジング(12)は、1つの軸方向端部にカテーテル取付部(32)を有し、別の軸方向端部にインペラ支持部(102)を有する駆動ユニットケーシング(22)を備え、
前記ステータ(66)は、前記駆動ユニットケーシング(22)内に配置され、
前記駆動ユニットケーシング(22)は、ポッティング材(114)で少なくとも部分的に充填されることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記ポッティング材(114)は、前記インペラ支持部(102)に接触し、
前記ポッティング材(114)は、好ましくは、エポキシ樹脂、好ましくは、エポキシ樹脂と金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムとの混合物、好ましくは、EpoTek(登録商標)301およびAl
2O
3粉末の混合物を、好ましくは、1:1.5の比率で備えることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記インペラ支持部(102)は、フィルム状部分(106)と突出ピン(108)とを備え、前記突出ピン(108)は、前記インペラ(20)を回転可能に支持するように構成されることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記フィルム状部分(106)は、60μm~80μmの厚さ、好ましくは70μmの厚さを有することを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項5】
請求項3または4に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記突出ピン(108)は、前記フィルム状部分(106)と一体的に形成されることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記突出ピン(108)の中心軸は、前記インペラ(20)の回転軸(X)と同心であることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項に記載の血液ポンプ(10)であって、
丸みを帯びた移行部(112)は、前記フィルム状部分(106)と前記突出ピン(108)との間に設けられることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の血液ポンプ(10)であって、
少なくとも1つの補強部材(116)は、前記インペラ支持部(102)から前記カテーテル取付部(32)の方向に突出し、前記補強部材(116)は、好ましくは、前記駆動ユニットケーシング(22)の内部へ突出し、前記ポッティング材(114)は、好ましくは、前記少なくとも1つの補強部材(116)を取り囲むことを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記少なくとも1つの補強部材(116)は、前記インペラ(20)の前記回転軸(X)と同心であることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記インペラ(20)は、一次血流を確立するように構成された少なくとも1つの一次ブレード(54)を有し、前記インペラ(20)は、ケーシング側の端部(62)を有し、
前記ケーシング側の端部(62)は、前記駆動ユニットケーシング(22)のほうを向いており、
複数の二次ブレード(64)は、二次血流を確立するように構成された前記ケーシング側の端部(62)上に設けられることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記インペラ(20)は回転軸(X)を有し、前記二次ブレード(64)の各々は、前記回転軸(X)に対して非半径方向に延在することを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項12】
請求項10または11に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記二次ブレード(64)の各々は、基点(BP)と終点(EP)とを有し、
前記基点(BP)は基本円(BC)上に位置し、前記終点(EP)は終了円(EC)上に位置し、
前記基本円(BC)および前記終了円(EC)は、共通の中心点(CCP)と同心であり、
前記二次ブレード(64)のうちのいずれか1つの前記基点(BP)および前記終点(EP)を接続する直線(SL)は、前記共通の中心点(CCP)を通って延びていないことを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記複数の二次ブレード(64)の各々は、前記それぞれの直線(SL)に対して湾曲していることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記駆動ユニットケーシング(22)の前記カテーテル取付部(32)は、前記血液ポンプ(10)のカテーテル(30)の螺旋状部材(38)をねじ係合するように構成された外周面上にねじ切り構造(36)を備えることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【請求項15】
請求項14に記載の血液ポンプ(10)であって、
前記血液ポンプ(10)は、螺旋状部材(38)を有するカテーテル(30)を備え、
前記カテーテル(30)は、前記螺旋状部材(38)が前記ねじ切り構造(36)をねじ係合するという点で、前記カテーテル取付部(32)に取り付けられ、
前記螺旋状部材(38)は、好ましくはニチノールコイルであることを特徴とする血液ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液ポンプに関する。特に、本発明は、患者の血管内の血流をサポートするために患者の血管内に経皮的に挿入するための血管内血液ポンプに関する。血液ポンプはまた、心臓内血液ポンプまたは任意の他の種類の心室補助装置であってもよい。
【背景技術】
【0002】
さまざまな血管ポンプは、例えば、軸流血液ポンプ、遠心(すなわち放射流)血液ポンプ、または血流が軸方向力および半径方向力によって生じる混合型血液ポンプなどの従来技術で知られている。そのような血管ポンプは、心臓から動脈、例えば大動脈内への血流をサポートするために患者の心臓内に導入することができる。血液ポンプは、カテーテル処置などによって、血管系を介して心臓手術中に経皮的に導入することができる。血液ポンプが配置された後、血液は、血液ポンプによって左心室から大動脈内へ送り出され、適切な全身血流を回復させる。したがって、血液ポンプは、典型的には、通路によって接続された血流入口および血流出口を有するポンプハウジングと、前記ポンプハウジング内に配置されたインペラの形態のポンプ要素と、インペラを駆動するように構成された駆動ユニットとを備える。合致する血液ポンプは、例えば、国際公開第2021/043776(A1)号で知られている。
【0003】
国際公開第2021/043776(A1)号に開示されている血液ポンプは、インペラを非接触で駆動するように構成された駆動ユニットを備える。したがって、インペラは、ステータ内の電気的に磁化された領域に隣接して配置された磁石を備えるという点で(in that)、ステータに磁気的に結合されている。インペラの磁石とステータ内の磁化された領域との間の引力に基づいて、回転をインペラに伝達することができる。特に、制御された方法で制御ユニットがステータに適切な電圧を印加するという点で、インペラを回転させるステータ内に回転磁界が設けられる。
【0004】
国際公開第2021/043776(A1)号に開示された血液ポンプのインペラは、ステータが配置されたポンプハウジングの一部を通って到達するピン状部材上で支持されている。ピン状部材は、ポンプハウジングの軸方向に延在する壁部の穴の中で支持され、ハウジングに対してインペラを回転可能に支持する軸受の一部をさらに構成する。したがって、インペラの回転中、力は、軸方向に延在する壁部に作用することができ、軸方向に延在する壁部は、損傷のリスクなしに力を吸収することができるように設計する必要がある。国際公開第2021/043776(A1)号のポンプハウジングが損傷を防ぐために十分頑丈であるという事実があるとしても、一般的に、血液ポンプの全体的なサイズを縮小することが望ましい。したがって、本発明の目的は、血液ポンプのコンパクトな設計につながる、インペラの回転によって引き起こされる可能性のある力を吸収するための代替的な解決策を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による血液ポンプは、上述の血液ポンプに対応するものであってもよい。したがって、血液ポンプは、血管内血液ポンプまたは心臓内血液ポンプであってもよい。第1の態様によれば、血液ポンプは、通路によって接続された血流入口および血流出口を有するポンプハウジングと、ポンプ要素、特にインペラと、インペラを駆動するように構成された駆動ユニットとを備える。駆動ユニットはステータを備え、ポンプハウジングは、1つの軸方向端部にカテーテル取付部を有し、別の軸方向端部にインペラ支持部を有する駆動ユニットケーシングを備える。ステータは、駆動ユニットケーシング内に配置され、駆動ユニットケーシングは、ポッティング材で少なくとも部分的に充填される。ポッティング材は、内部でインペラ支持部を補強し、インペラ支持部は、厚みを薄くすることができる。全体として、これにより、血液ポンプの設計がよりコンパクトになる。これに関連して、本明細書で使用されている「少なくとも部分的に」または「部分的に」という用語は、それぞれ、部分的という意味と、全体的または完全という意味の両方があることに言及しなければならない。
【0006】
ポッティング材は、インペラ支持部に接触することができる。好ましくは、ポッティング材は、半径方向全体において、インペラ支持部に接触する。ポッティング材は、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。好ましくは、ポッティング材は、エポキシ樹脂と金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムとの混合物である。好ましくは、ポッティング材は、EpoTek(登録商標)301およびAl2O3粉末の混合物である。好ましくは、1:1.5の比率でEpoTek(登録商標)301およびAl2O3粉末が使用される。好ましくは、ポッティング材は、FDA認証されている。
【0007】
好ましくは、インペラ支持部は、フィルム状部分と突出ピンとを備え、突出ピンは、インペラを回転可能に支持するように構成される。突出ピンは、好ましくは、ステータから離れる方向に突出する。突出ピンは、フィルム状部分と一体的に形成されてもよい。好ましくは、突出ピンの中心軸は、インペラの回転軸と同心である。したがって、インペラの回転によって発生する力は、突出ピンによって吸収され、フィルム状部分に伝達され、フィルム状部分は、ポッティング材によって補強される。したがって、発生した力は、ポッティング材によって吸収され、分散される。
【0008】
フィルム状部分は、60μm~80μmの厚さ、好ましくは70μmの厚さを有することができる。インペラ支持部がポッティング材によって補強されることにより、フィルム状部分は、厚みを比較的薄くすることができるため、血液ポンプの全体的なサイズを縮小することになる。
【0009】
好ましくは、丸みを帯びた移行部は、フィルム状部分と突出ピンとの間に設けられる。丸みを帯びた移行部は、突出ピンの下部から円周方向にかつ半径方向に延在する滑らかな継続部分である。丸みを帯びた移行部は、インペラの回転中にフィルム状部分で誘発される機械的応力を低減する。
【0010】
一実施形態では、少なくとも1つの補強部材は、インペラ支持部からカテーテル取付部の方向に突出する。好ましくは、補強部材は、駆動ユニットケーシングの内部へ突出する。補強部材は、突出ピンの主軸およびインペラの回転軸と同心の中心軸を有していてもよい。補強部材は、ステータの半径方向内側に少なくとも部分的に配置することができる。補強部材は、ステータを通って軸方向に全体的に延在していてもよい。もちろん、補強部材は、ステータ内で終端するように軸方向拡張部を有することもできる。補強部材は、インペラ支持部と一体的に形成されていてもよく、または、インペラ支持部から分離していてもよい。補強部材は、ピン状部材であってもよい。好ましくは、ポッティング材は、フィルム状部分がさらに補強および強化されるように補強部材を取り囲むことができる。
【0011】
一実施形態では、インペラは、一次血流を確立するように構成された少なくとも1つの一次ブレードを有し、インペラは、ケーシング側の端部を有する。ケーシング側の端部は、駆動ユニットケーシングのほうを向いており、複数の二次ブレードは、二次血流を確立するように構成されたケーシング側の端部上に設けることができる。二次血流は、例えば、極めて重要な領域を冷却するか、またはすすぐために、血液ポンプの極めて重要な領域を通って方向付けられてもよい。特に、二次血流は、ハウジングに対してインペラを回転可能に支持する軸受を少なくとも部分的にすすぎ、冷却するように確立することができる。したがって、二次血流は、それ以外では血液ポンプの正しい機能を損なうかもしれない血液凝固および血液粒子の沈殿をさらに抑制する。
【0012】
好ましくは、インペラは回転軸を有し、二次ブレードの各々は、インペラの回転軸に対して非半径方向に延在する。好ましくは、二次ブレードの各々は、基点と終点とを有し、基点は基本円上に位置し、終点は終了円上に位置する。基本円および終了円は、共通の中心点と同心であり、二次ブレードのうちのいずれか1つの基点および終点を接続する直線は、共通の中心点を通って延びていない。基点は、二次ブレードの各々の半径方向の最も内側の点であってもよく、終点は、二次ブレードの各々の半径方向の最も外側の点であってもよい。好ましくは、複数の二次ブレードの各々は、それぞれの直線に対して湾曲している。したがって、二次ブレードは、回転軸から半径方向に延在していないが、ケーシング側の端部から見た場合に、湾曲した形状を有する。特定の形状によって、インペラのケーシング側の端部とインペラ支持部との間の半径方向の間隙が軸方向に最小化される。
【0013】
一実施形態では、複数の第3のブレードは、インペラのケーシング側の端部上に設けられてもよい。第3のブレードの各々は、二次ブレードとは異なる形状を有していてもよい。
【0014】
一実施形態では、駆動ユニットケーシングのカテーテル取付部は、血液ポンプのカテーテルの螺旋状部材をねじ係合するように構成された外周面上にねじ切り構造を備える。好ましくは、血液ポンプは、螺旋状部材を有するカテーテルを備え、カテーテルは、螺旋状部材がねじ切り構造をねじ係合するという点で、カテーテル取付部に取り付けることができる。螺旋状部材は、好ましくはニチノールコイルである。したがって、カテーテルは、ねじ切り構造上にそれをねじ込む際に、ポンプハウジングに容易に取り付けることができる。カテーテルは、補助手段によって、例えば、接着剤によって、さらに固定することができる。
【0015】
前述の概要および好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本開示を例証する目的で、図面を参照する。しかしながら、本開示の範囲は、図面に開示された特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図1の血液ポンプのカテーテル取付部の詳細な概略図である。
【
図5】
図1の血液ポンプの部分的な概略断面図である。
【
図6】
図1の血液ポンプのインペラの概略側面図である。
【
図8】インペラの代替的な実施形態の概略背面図である。
【
図9】
図1の血液ポンプの駆動ユニットケーシングおよび駆動ユニットの概略断面図である。
【
図10】
図1の血液ポンプのステータおよび絶縁アセンブリの概略分解図である。
【
図11】
図9の駆動ユニットケーシングのインペラ支持部の代替的な実施形態の概略断面図である。
【
図13】ピボット軸受の代替的な実施形態の概略詳細図である。
【
図14】ピボット軸受のさらなる代替的な実施形態の概略詳細図である。
【
図15】ピボット軸受のさらなる代替的な実施形態の概略詳細図である。
【
図16】第2のピボット軸受部材の概略詳細図である。
【
図17】第2のピボット軸受部材の代替的な実施形態の概略詳細図である。
【
図18】第2のピボット軸受部材のさらなる代替実施形態の概略詳細図である。
【
図19】ピボット軸受のさらなる代替的な実施形態の断面としての概略詳細図である。
【
図21】
図19の第1のピボット軸受部材および第2のピボット軸受部材の概略詳細図である。
【
図23】ラジアル軸受のさらなる概略詳細図である。
【
図24】ラジアル軸受の第2のラジアル軸受部材の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
血液ポンプおよびポンプハウジング
最初に
図1、
図2および
図4を参照すると、血液ポンプ10の概略斜視図および概略側面図が示されている。この実施形態では、血液ポンプ10は、カテーテルポンプとしても知られる血管内ポンプである。血液ポンプ10は、通路18によって接続された血流入口14および血流出口16を有するポンプハウジング12を備える(例えば、
図5参照)。ここで、血流出口16は、ポンプハウジング12の円周に沿って均等に分布する複数の開口部で構成される。ポンプハウジング12は、駆動ユニットケーシング22およびインペラケーシング24と、ポンプハウジング12内すなわちインペラケーシング24内に配置されたインペラ20とで構成される。駆動ユニットケーシング22およびインペラケーシング24は、チタンまたはチタン合金でできており、チタンまたはチタン合金は、高い機械的強度を提供するので、薄い厚さの駆動ユニットケーシング22およびインペラケーシング24の製造が可能になる。さらに、チタンは、生体適合性にも優れている。駆動ユニットケーシング22およびインペラケーシング24は、例えば接着により接続される。血流入口14および血流出口16は、いずれもインペラケーシング24上に設けられている。駆動ユニット26(例えば、
図9参照)は、駆動ユニットケーシング22内に配置されている。駆動ユニット26の特徴は、以下により詳細に説明される。
【0018】
インペラケーシング24は、駆動ユニットケーシング22の反対側の軸方向端部にカニューレ取付部28を備える。カニューレ取付部28は、従来の方法でカニューレ(図示せず)を受容するように構成される。カテーテル30は、駆動ユニットケーシング22のカテーテル取付部32に取り付けられる。カテーテル30が除去された状態の
図3の詳細図に示すように、カテーテル取付部32は、その外周面に、実質的に雄ねじに相当するねじ切り構造36を有する管状部34を備える。ねじ切り構造36は、血液ポンプ10のカテーテル30のニチノールコイル38の形態で、螺旋状部材にねじ係合するように構成される。特に、カテーテル30のニチノールコイル38は、カテーテル30をポンプハウジング12に取り付けるために、ねじ切り構造36上にねじ込まれる。
【0019】
インペラ
図5は、
図4に示す線A-Aに沿った部分断面を示している。ここで、インペラケーシング24およびインペラ20のみが断面で示されている。インペラ20は、インペラケーシング24内に配置され、軸受装置40、42によって回転軸X(
図4参照)を中心に回転可能であるという点で、通路18に沿って血液を運搬するように構成される。回転軸Xは、ポンプハウジング12の中心軸と一致する。ここで、軸受装置40、42は、ピボット軸受40の形態の第1の軸受40と、ラジアル軸受42の形態の第2の軸受42とを備える。インペラ20は、その内部に軸受収容部44を有する本体56を備える。ピボット軸受40は、以下により詳細に説明されるように、軸受収容部44内に部分的に配置される。ピボット軸受40により、ポンプハウジング12に対するインペラ20の一定量のピボット運動が可能になる。
【0020】
ラジアル軸受42は、インペラケーシング24のクラウン46で支持されている。クラウン46は、血流入口14に隣接して設けられており、複数の接続アーム50によってインペラケーシング24の内周面に接続された中央管状部48を備える。この実施形態では、合計3つの接続アーム50が設けられ、それらは、クラウン46の中央管状部48の円周に沿って均等に分布している。もちろん、2つのみ、または3つを超える接続アーム50が設けられることも考えられる。
【0021】
インペラ20は、一方の軸方向端部、すなわち駆動ユニットケーシング22のほうに向いている端部に、複数の磁石52を備える。インペラ20の回転は、以下により詳細に説明されるように、インペラ20に磁気的に結合された駆動ユニット26によって引き起こされる。
【0022】
インペラ20が回転軸Xを中心に回転するとき、血液は、血流入口14から通路18を介して血流出口16へ運搬される。したがって、少なくとも1つの一次ブレード54は、インペラ20の本体56の外周面から螺旋状に突出している。この実施形態では、2つの一次ブレード54が設けられる。一次ブレード54は、通路18に沿って一次血流を生じさせる。
【0023】
インペラ20は、通路18を軸受収容部44と接続する少なくとも1つの開口部58をさらに備える。ここで、2つの開口部58は、いずれも、インペラ20の本体56の外周面に設けられた入口60を備えて、設けられている。
図5および
図6に示すように、入口60は、一次ブレード54の軸方向拡張部内に円周方向に設けられている。言い換えれば、一次ブレード54の少なくとも一部は、インペラ20の本体56の円周方向に、入口60に隣接して設けられている。各開口部58は、ピボット軸受40のほうに向いている中心軸CAを有する。
【0024】
さらに、インペラは、駆動ユニットケーシング22のほうに向いているケーシング側の端部62を有する(
図7参照)。複数の二次ブレード64は、ケーシング側の端部62から、駆動ユニットケーシング22の方向に突出している。二次ブレード64は、二次血流を生じさせる。二次ブレード64は、インペラ20の回転軸Xに対して非半径方向に延在する。
【0025】
図7に示す実施形態に関して、二次ブレード64はそれぞれ、基本円BC(BC:base circle)上に位置する基点BP(BP:base point)と、終了円EC(EC:end circle)上に位置する終点EP(EP:end point)とを有する(
図7では、基点BPおよび終点EPは、二次ブレード64のうちの1つについてのみ示されている)。基点BPは、二次ブレード64の半径方向の最も内側の点であり、終点EPは、二次ブレード64の半径方向の最も外側の点である。基本円BCおよび終了円ECは、共通の中心点CCP(CCP:common center point)を有し、中心点CCPを通って回転軸Xが伸びている。二次ブレード64の各々の基点BPと終点EPとを接続する直線SL(SL:straight line)は、共通の中心点CCPを通って伸びていない。したがって、複数の二次ブレード64の各々は、直線SLに対して湾曲している。
【0026】
図8は、二次メインブレード64と追加の二次補助ブレード65とを備える代替的な実施形態を示す。二次補助ブレード65は、二次メインブレード64と比較して半径方向により短く、インペラ20のケーシング側の端部62の半径方向外側端部の円周上にあるように設けられる。
【0027】
駆動ユニットおよび駆動ユニットケーシング
ここで
図9および
図10を参照すると、駆動ユニット26がより詳細に説明される。上述のように、駆動ユニット26は、駆動ユニットケーシング22内に配置される(
図9参照)。駆動ユニット26は、ステータ66と絶縁アセンブリ68とを備える。駆動ユニット22は、インペラ20の磁石52と相互作用してインペラ20を回転軸Xの周りで回転させる回転磁界を設けるように構成される。
【0028】
したがって、ステータ66は、複数のポスト70と、ポスト70の周りに配置された複数のコイル巻線72とを備える。複数のポスト70は、インペラ20の回転軸Xに対して平行に配置される。コイル巻線72は、制御要素(例えば、プリント回路基板74)によって順次制御され、既知の方法で回転磁界を生成する。磁束を強化するために、ステータ66は、カテーテル側の端部78上、すなわち、組み立て状態において駆動ユニットケーシング22のカテーテル取付部32に向いているステータ66の側部上に設けられたバックプレート76をさらに備える。
【0029】
さらに、ステータ66は、半径方向に延在するバックボーン脚部82を有するバックボーン80を備える。バックボーン脚部82は、複数のポスト70のうちの1つを隣接するポストから離間させ、したがって、バックボーン脚部82の数は、ポスト70の数に等しい。バックボーン脚部82は、ポスト70を互いに円周方向に離間させる。ここで、バックボーン80は、星形である。ステータ66の組み立て状態において、バックボーン80は、バックプレート76とコイル巻線72との間に挟まれる。複数のポスト70、バックプレート76、およびバックボーン80は、電磁鋼などの軟磁性材料、または適切な合金、好ましくはコバルト鋼で構成される。好ましくは、複数のポスト70、バックプレート76およびバックボーン80は、同一の材料で構成される。図示の実施形態では、6つのポスト70が設けられているが、ポスト70の数は、もちろん、これに限定されない。
【0030】
絶縁アセンブリ68は、スペーサ84と、フロントプレート86と、フロントシート88とを備える。スペーサ84およびフロントプレート86は、スペーサアセンブリ90を構成していると考えられてもよい。スペーサ84は、円周方向および軸方向に延在する管状部92を有する。駆動ユニット26の組み立て状態において、スペーサ84は、ステータ66のカテーテル側の端部78上に設けられ、その結果、バックプレート76およびバックボーン80は、スペーサ84の半径方向内側に位置する。特に、バックプレート76の外周面およびバックボーン脚部82の各々の外周面は、スペーサ84の管状部92の内周面に接触する。管状部92の外周面は、駆動ユニットケーシング22の内面、特に、駆動ユニットケーシング22の内周面に当接する。スペーサ84の直径は、ステータ66の直径よりも大きい。さらに、プリント回路基板74は、
図9に示すように、スペーサ84によって部分的に収容される。
【0031】
フロントプレート86は、中央部分94と、リング形状の外側部分96とを備える。中央部分94および外側部分96は、フロントプレート脚部98によって接続されている。フロントプレート脚部98の数は、ポスト70の数に等しい。フロントプレート86がステータ66のインペラ側の端部100に、すなわち、駆動ユニット26の組み立て状態においてインペラ20に面する端部に設けられているという点で、フロントプレート脚部98は、ポスト70を互いに円周方向に離間させる。フロントプレート86は、スペーサ84の直径と同一の直径を有し、その結果、外側部分96の外周面は、駆動ユニットケーシング22の内周面に接触する。したがって、スペーサ84およびフロントプレート86は、駆動ユニットケーシング22の内周面からステータ66を半径方向に離間させ、その結果、ステータ66の任意の部分または部材と、駆動ユニットケーシング22との間には半径方向の接触はない。
【0032】
さらに、フロントシート88は、ステータ66と駆動ユニットケーシング22との間の軸方向の接触を抑制するように、ステータ66のインペラ側の端部100を覆う。特に、フロントシート88は、ステータ66と、駆動ユニットケーシング22のインペラ支持部102との間の接触を抑制する。フロントシート88は、約3~9μm、好ましくは約6μmの厚さを有する箔状部材である。
【0033】
スペーサ84、フロントプレート86およびフロントシート88は、非着磁性材料でもある非導電性材料で作られている。好ましくは、スペーサ84、フロントプレート86およびフロントシート88は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)のような熱可塑性材料でできている。
【0034】
さらに、絶縁アセンブリ68は、複数の収縮要素104を備える。特に、複数のポスト70の各々は、ポスト70とそれぞれのポスト70を取り囲むコイル巻線72との間の直接的な接触を抑制するように、収縮要素104のうちの1つによって円周方向に取り囲まれている。言い換えれば、収縮要素104は、それぞれのポスト70をそれぞれのコイル巻線72から電気的に分離する。
図10に示すように、収縮要素104が、ポスト70の軸方向拡張部全体に沿って延在することは不要である。むしろ、収縮要素104がそれぞれのポスト70の軸方向拡張部の約50%以上に沿って延在する場合は十分である。この実施形態では、収縮要素104は、ポリエステルで構成された熱収縮スリーブである。
【0035】
本質的に、絶縁アセンブリ68は、ステータ66と駆動ユニットケーシング22の任意の部分との間の接触が回避されるという点で、漏電を大幅に抑制する。さらに、絶縁アセンブリ68のさまざまな部材の寸法を適合させる際に、さらなる特性を調整することができる。さらに、フロントプレート86およびフロントシート88を一体型の単一部材として提供することも可能である。
【0036】
漏電を低減する能力をさらに高めるために、駆動ユニットケーシング22の内面は、ダイアモンドライクカーボン(DLC)などの適切なコーティングによって部分的または完全にコーティングすることができる。さらに、ステータ66全体を円周方向に取り囲むさらなる収縮要素を設けることができる。さらに、または代わりに、ステータ66は、ダイアモンドライクカーボン(DLC)などの適切なコーティングによって円周方向にコーティングすることができる。さらに、複数のポスト70、バックプレート76、およびバックボーン80は、非導電性材料、特にDLCで部分的または完全にコーティングすることができる。
【0037】
インペラ支持部102は、管状部材104と、フィルム状部分106と、突出ピン108とを備える。インペラ支持部は、駆動ユニットケーシング22の一方の部分であり、例えば、接着または圧入により、他方の部分に接続される。特に、管状部材104は、駆動ユニットケーシング22の別の部分の接続部110に接続される。
【0038】
フィルム状部分106は、絶縁アセンブリ68のフロントシート88に接触することができる。フィルム状部分106は、わずか約60~80μm、好ましくは70μmの厚さを有する。突出ピン108は、フィルム状部分106から、インペラ20に向かう方向に突出している。突出ピン108の主軸は、回転軸Xと同心である。この実施形態では、丸みを帯びた滑らかな移行部112がフィルム状部分106と突出ピン108との間で形成されて、インペラ20の回転中の機械的応力を低減するという点で、突出ピン108は、フィルム状部分106と一体的に形成されている。突出ピン108は、以下により詳細に説明されるように、ピボット軸受40の一部、すなわち第2のピボット軸受部材120をさらに支持する。第2のピボット軸受部材120は、突出ピン108に接着または圧入することができる。
【0039】
フィルム状部分106が比較的薄い厚さであるため、フィルム状部分106の機械的安定性は、インペラ支持部102の管状部材104の機械的安定性ほど高くない。したがって、駆動ユニットケーシング22は、ポッティング材114で少なくとも部分的に充填される。特に、ポッティング材114は、ステータ66および絶縁アセンブリ68を覆うことができ、したがって、少なくともインペラ支持部102とプリント回路基板74との間で駆動ユニットケーシング22を充填することができる。ポッティング材114は、応力亀裂などのリスクを低減するために、駆動ユニットケーシング22の内部からフィルム状部分106を補強する。
【0040】
インペラ支持部102をさらに補強するために、
図11に示すように、インペラ支持部102の代替的な実施形態である補強部材116を設けることができる。補強部材116は、インペラ支持部102のフィルム状部分106から、ステータ66に向かう方向に突出する。この実施形態では、補強部材116は、フィルム状部分106と一体的に形成されたピン状部材である。血液ポンプ10の組み立て状態において、補強部材116は、ステータ66内に突出し、ポッティング材114によって取り囲まれる。したがって、ポッティング材114は、フィルム状部分106をさらに硬くし、補強する。
【0041】
この実施形態では、ポッティング材114は、好ましくは、FDA認証を有する材料である。好ましくは、ポッティング材は、エポキシ樹脂と金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムとの混合物である。例えば、EpoTek(登録商標)301およびAl2O3粉末の混合物を使用することができる。好ましくは、1:1.5の比率のEpoTek(登録商標)301およびAl2O3粉末が使用される。
【0042】
軸受装置
次に、軸受装置40、42が、より詳細に説明される。
【0043】
まず、
図12を参照すると、ピボット軸受40の形態の第1の軸受40が説明されている。ピボット軸受40は、第1のピボット軸受部材118である第1の軸受部材と、第2のピボット軸受部材120である第2の軸受部材とを備える。第1のピボット軸受部材118は、インペラ20に取り付けられる。特に、第1のピボット軸受部材118は、インペラ20の軸受収容部44内に配置される。第2のピボット軸受部材120は、突出ピン108の軸方向端部に収容される。第1のピボット軸受部材118は、軸受収容部44に接着または圧入することができる。第2のピボット軸受部材120は、突出ピン108に接着または圧入することができる。
【0044】
第1のピボット軸受部材118は、凸面を有する球状部を有する第1の当接部122を備える。
図12に示す実施形態では、球状部124は、第1のピボット軸受部材118のピン状支持要素128に接続されたボール126の一部である。この実施形態では、ボール126は、取付ピン130によって支持要素128に固定されるが、球状部124は、例えば
図13または
図14に示すように、支持要素128と一体的に形成することもできる。
【0045】
第2のピボット軸受部材120は、凹面を有する第1の球状キャップ134を有する第2の当接部132を備える。第1の球状キャップ134は、第1のキャロット(calotte)であってもよい。第1の当接部122は、球状部124が第1の球状キャップ134に接触するという点で、第2の当接部132に当接する。球状部124と第1の球状キャップ134との間の接触は、球状部124が第1の球状キャップ134の第2の半径よりも小さい第1の半径を有することができるため、点接触であってもよい。点接触により、インペラ20の回転中の全体的な摩耗および機械的応力を低減することができる。
【0046】
図15に示す代替的な実施形態では、ボール126は、支持要素128に固定されず、支持要素128の軸方向端部に設けられる第2の球状キャップ136内で支持される。第2の球状キャップ136はまた、球状部124またはボール126のそれぞれの第1の半径よりも大きい第3の半径を有する凹面を備える。したがって、ボール126と第2の球状キャップ136との間の接触はまた、点接触であってもよく、これによって、再び、インペラ20の回転中の機械的応力を低減することができる。
【0047】
図13による代替的な実施形態に示すように、第1の当接部122は、第1の当接部122の円周に沿って均等に分布する複数の第1の切り欠き138を備えることができる。図示のように、第1の切り欠き138は、支持要素128の軸方向拡張部に平行な軸方向拡張部を有する。さらに、第1の切り欠き138の各々は、第1の当接部122から支持要素128の別の軸方向端部に向かって先細になっている。特に、第1の切り欠き138は、インペラ20の回転軸Xと同心である支持要素128の中心軸に向かって傾斜している。
【0048】
図16~
図18では、第2のピボット軸受部材120の代替的な実施形態が示される。
図17および
図18に示す実施形態の第2の当接部132は、第2の切り欠き140を備えることができるが、
図16に示す実施形態の当接部132は、いかなる切り欠きも備えていない。
図17による実施形態では、第2の切り欠き140は、第2の当接部132の円周に沿って均等に分布している。第2の切り欠き140の軸方向拡張部は、第2のピボット軸受部材120の中心軸に対して非平行であるが、後者は、インペラ20の回転軸Xと同心である。
【0049】
図18に示す代替的な実施形態では、第2の切り欠き140は、第2のピボット軸受部材120の中心軸に平行な軸方向拡張部を有する。さらに、
図18に示す実施形態の第2の切り欠き140は、軸方向拡張部に沿って先細になっており、第2のピボット軸受部材120の中心軸に対して傾斜していてもよい。
【0050】
図示の実施形態では、合計3つの第1の切り欠き138および3つの第2の切り欠き140が設けられている。しかしながら、第1の当接部122と第2の当接部132とでは、切り欠きの数は、異なっていてもよい。さらに、3つより多いまたは少ない第1の切り欠き138および第2の切り欠き140が設けられてもよい。さらに、第1の当接部122および第2の当接部132のうちの一方のみが切り欠きを備えることも可能である。
【0051】
第1の切り欠き138および第2の切り欠き140は、インペラ20が回転するときに血流を促進することを目的としており、その結果、ピボット軸受40は、冷却され得る。さらに、第1の切り欠き138および第2の切り欠き140は、ピボット軸受40のすすぎ能力を改善し、したがって、血液粒子の蓄積、すなわち、血液凝固を防ぐ。
【0052】
上述のように、インペラ20は、ピボット軸受40のほうを向いている中心軸CAを有する開口部60を備える。特に、開口部60の中心軸CAは、それぞれ第1の当接部122または第2の当接部132のほうを向いている。したがって、開口部60を通った後の血液は、第1の当接部122と第2の当接部132との間の接触領域を冷却してすすぐように、第1の当接部122と第2の当接部132との間の接触領域に向かって方向付けられる。
【0053】
冷却をさらに強めるために、第1のピボット軸受部材118内の第1の中空部分142を設けることが可能である(
図14参照)。第1の中空部分142は、第1のピボット軸受部材118の材料よりも高い熱伝導率を有する材料で充填される。図示の実施形態では、ピン状の第1の冷却部材144は、第1の中空部分142内に配置される。第1の冷却部材144は、インペラ20が回転するときに第1の当接部122内で発生した熱の一部を吸収し、その熱をインペラ20の軸方向拡張部に沿って供給する。
【0054】
第2のピボット軸受部材120は、第2の中空部分146を備えることができる。第2の中空部分146は、第2のピボット軸受部材120の材料よりも高い熱伝導率を有する材料で充填される。図示の実施形態では、ピン状の第2の冷却部材148は、第2の中空部分146内に配置される。第2の冷却部材148は、インペラ20が回転するときに第2の当接部132内で発生した熱の一部を吸収し、その熱を突出ピン108の軸方向拡張部に沿って供給する。
【0055】
第1のピボット軸受部材118は、炭化ケイ素(SIC)、アルミナ強化ジルコニア(ATZ)、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)または酸化アルミニウム(Al2O3)から選択された第1のセラミック材料で、全体的または部分的に構成することができる。あるいは、第1のピボット軸受部材118は、超硬合金のような金属材料で、全体的または部分的に構成することができる。金属材料は、さらに第1のセラミック材料でコーティングすることができる。金属材料または第1のセラミック材料は、さらにDLCでコーティングすることができる。DLCコーティングは、ホウ素ドープDLC膜を含むことができる。ホウ素ドープDLC膜は、非ホウ素ドープDLC中間層上に配置されて、接着性を向上させることができる。あるいは、第1のピボット軸受部材118は、全体的または部分的にダイアモンドで構成することができる。
【0056】
第2のピボット軸受部材120は、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3から選択された第2のセラミック材料で、全体的または部分的に構成することができる。さらに、第2のピボット軸受部材120は、超硬合金のような金属材料で、全体的または部分的に構成することができる。金属材料は、さらに第2のセラミック材料でコーティングすることができる。金属材料または第2のセラミック材料は、さらにDLCでコーティングすることができる。DLCコーティングは、ホウ素ドープDLC膜を含むことができる。ホウ素ドープDLC膜は、非ホウ素ドープDLC中間層上に配置されて、接着性を向上させることができる。あるいは、第2のピボット軸受部材120は、全体的または部分的にダイアモンドで構成することができる。
【0057】
ボール126が設けられる場合、ボールは、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3から選択された第3のセラミック材料で、全体的または部分的に構成することができる。さらに、ボール126は、超硬合金のような金属材料で、全体的または部分的に構成することができる。金属材料は、さらに第3のセラミック材料でコーティングすることができる。金属材料または第3のセラミック材料は、さらにDLCでコーティングすることができる。DLCコーティングは、ホウ素ドープDLC膜を含むことができる。ホウ素ドープDLC膜は、非ホウ素ドープDLC中間層上に配置されて、接着性を向上させることができる。あるいは、ボール126は、全体的または部分的にダイアモンドで構成することができる。
【0058】
第1のセラミック材料、第2のセラミック材料、および第3のセラミック材料は、異なっていても同一であってもよい。表1に示す以下の材料の組合せは、熱伝達、摩耗、摩擦、すすぎ能力、血液粒子の付着防止に関して特に適していることが証明されている。
【表1】
【0059】
好ましくは、第1のピボット軸受部材118の第1のセラミック材料は、ZTAであり、第2のピボット軸受部材120の第2のセラミック材料は、ATZである。
【0060】
上述のように、第1の冷却部材144および第2の冷却部材148は、第1のピボット軸受部材118および第2のピボット軸受部材120のそれぞれの材料よりも高い熱伝導率を有する材料でできている。特に、第1の冷却部材144および第2の冷却部材148は、銀、銀合金、銅、または銅合金のいずれかでできている。
【0061】
もちろん、第1のピボット軸受部材118が球状部124を備え、第2のピボット軸受部材120が第1の球状キャップ134を備えることを上述で説明したが、第1のピボット軸受部材118が第1の球状キャップを備え、第2のピボット軸受部材120が球状部を備えるという点で、配置がねじられてもよい。合致する実施形態は、
図19~
図21に示され、以下で説明される。
【0062】
図19および
図20に示すように、第1のピボット軸受部材118は、凹面を有する第1の当接部122、すなわち、第1の球状キャップ134または第1のキャロットのそれぞれを備えることができる。したがって、第2のピボット軸受部材120は、凸面を有する第2の当接部132、すなわち、球状部124を備えることができる。
【0063】
支持要素128は、第1の当接部122から延在するスロット149を備える。第1の当接部122に面する支持要素128の端部で、スロット149は、支持要素128の直径全体にわたって延在し、したがって、第1の球状キャップ134を2つの部分に分割する(
図21参照)。
【0064】
スロット149は、第1のピボット軸受部材118および/または支持要素128の回転により、スロット149の一方の側面からスロットの他方の側面へのポンプ作用が生じるように構成される。スロット149は、2つの平行な側面によって区切られる。好ましくは、2つの側面は、互いに平行である、かつ/または支持要素128の中間面に平行である。スロット149は、スロット149の全長にわたり、支持要素128の直径全体にわたって延在していない。第1の当接部122に面するスロット149の第1のセクションでは、スロット149は、支持要素128の直径全体にわたって延在する(
図19および
図21参照)。したがって、スロット149は、スロット149の第1のセクションでは、支持要素128の両側面に延在する。スロット149の第2のセクションでは、スロットは、支持要素128の一方の側面にのみ延在する。特に、スロットのスロット幅は、第1の当接部122から離れる方向に徐々に狭くなる。
【0065】
支持要素128は、第1の当接部122からラジアル軸受42に向かって軸方向に先細になっている。特に、支持要素128の直径は、スロット149の軸方向拡張部に沿って、より大きい。もちろん、支持要素128は、円筒形状を有していてもよい。
【0066】
さらに、開口部60の中心軸CAは、スロット149のほうに向いている。インペラ20の回転中に、血液は、開口部60を通って軸受収容部44に入り、スロット149内を第2のピボット軸受部材120に向かって誘導される。接触領域は、第1の当接部122および第2の当接部132の接触領域内の支持要素128の側面上のスロット149を出るときに冷却され、すすがれる。
【0067】
好ましくは、
図19~
図21に示す実施形態では、第1のピボット軸受部材118の第1のセラミック材料は、ATZであり、第2のピボット軸受部材120の第2のセラミック材料は、ZTAである。
【0068】
さらに、第1の当接部122は、ダイアモンドコーティングでコーティングすることができる。この点に関して、第2の当接部132も、ダイアモンドコーティングでコーティングすることができる。ダイアモンドコーティングは、化学蒸着(CVD)ダイアモンドコーティングであってもよい。ダイアモンドコーティングは、上述のようなセラミック材料上に直接塗布されてもよい。もちろん、ダイアモンドコーティングは、それぞれ別の材料、例えば、チタン、チタン合金またはステンレス鋼でできた第1の当接部122または第2の当接部132上にも塗布されてもよい。
【0069】
次に、ラジアル軸受42が、より詳細に説明される。
【0070】
図22は、ラジアル軸受42を斜視図および部分切断図でより詳細に示す。ラジアル軸受42は、第1のラジアル軸受部材150および第2のラジアル軸受部材152を備える。第1のラジアル軸受部材150は、クラウン46のほうに向いているインペラ20の軸方向端部に配置される。第1のラジアル軸受部材150は、インペラ20に接着または圧入することができる。第1のラジアル軸受部材150は、おおよそ円筒形であり、円周方向の突起部の形態でカラー154を備える。さらに、第1のラジアル軸受部材150は、第1のラジアル軸受部材150の外周面に沿って円周方向に均等に分布する第3の切り欠き156を備える。
【0071】
図22から理解できるように、第3の切り欠き156は、第1のラジアル軸受部材150の中心軸に平行ではない軸方向拡張部を有し、第1のラジアル軸受部材150の中心軸は、インペラ20の回転軸Xと同心である。図示の実施形態では、合計2つの第3の切り欠き156が設けられる。
【0072】
インペラ20の本体56の外周面はまた、第3の切り欠き156を滑らかに延長する対応するインペラ切り欠き158を備える。カラー154は、ステータ66に向かう軸方向において第1のラジアル軸受部材150の軸方向の移動を制限するように、インペラ20の本体56に当接する。
【0073】
第2のラジアル軸受部材152は、クラウン46の中央管状部48に配置されたリング形状の部材である(
図22および
図23参照)。第2のラジアル軸受部材152は、クラウン46の中央管状部48に接着または圧入することができる。
図24に示すように、第2のラジアル軸受部材152は、第2のラジアル軸受部材152の周りに円周方向に均等に設けられた複数の第4の切り欠き160を備える。図示のように、第4の切り欠き160は、第2のラジアル軸受部材152を通って半径方向に延在し、第4の切り欠き160の開口端部は、インペラ20のほうに向いている。この実施形態では、3つの第4の切り欠き160が設けられている。第4の切り欠き160の各々の円周方向拡張部は、第1の軸受部材150の第3の切り欠き156の間の円周方向の距離よりも小さく、第1の軸受部材150が、ラジアル軸受42の組み立て状態において、第2の軸受部材152によって安全に支持されることを保証する。
【0074】
第3の切り欠き156、インペラ切り欠き158、および第4の切り欠き160は、インペラ20が回転するときに、それぞれの切り欠きに沿って血流の一部を方向付けることによって、ラジアル軸受を冷却するために設けられる。これにより、ラジアル軸受42の領域内での血液粒子の蓄積がさらに防がれる。
【0075】
さらに、カラー154は、ラジアル軸受42の組み立て状態において、第2のラジアル軸受部材152に接触しない。むしろ、間隙Gが、血液ポンプ10の通常の動作状態の間、カラー154と第2のラジアル軸受部材152との間に軸方向に形成される(
図23参照)。インペラ20が血流入口14から血流出口16へ血液を運搬するように回転するときでさえ、ステータ66とインペラ20の磁石52との間の引力によって、カラー154と第2のラジアル軸受部材152との間の接触はない。言い換えれば、引力は、回転時にインペラ20が軸方向に移動しないように、ステータ66の方向に作用する。しかしながら、カラー154は、故障の場合に、インペラ20のステータ66から離れる方向への軸方向の移動を制限するための緊急停止部を形成する。
【0076】
第1のラジアル軸受部材150および第2のラジアル軸受部材152は、セラミック材料、金属材料またはダイアモンドで構成することができる。セラミック材料は、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3であってもよい。第1のラジアル軸受部材150および第2のラジアル軸受部材152のセラミック材料は、同一であっても異なっていてもよい。さらに、セラミック材料は、第1のラジアル軸受部材150および/または第2のラジアル軸受部材152が金属材料、特に超硬合金でできているとき、コーティングとして提供されてもよい。さらに、金属材料またはセラミック材料は、DLCでコーティングされてもよい。DLCコーティングは、ホウ素ドープDLC膜を含むことができる。ホウ素ドープDLC膜は、非ホウ素ドープDLC中間層上に配置されて、接着性を向上させることができる。以下の材料の組合せ、すなわち、SICおよびSIC、ATZおよびAl2O3、ATZおよびZTA、ならびに、DLCでコーティングされたATZおよびZTAは、特に好ましいことが分かっている。
【0077】
好ましくは、第1のラジアル軸受部材150のセラミック材料は、ZTAであり、第2のラジアル軸受部材152のセラミック材料は、ATZである。
【0078】
さらに、第1のラジアル軸受部材150は、ダイアモンドコーティングでコーティングされてもよい。この点に関して、第2のラジアル軸受部材152も、ダイアモンドコーティングでコーティングされてもよい。ダイアモンドコーティングは、化学蒸着(CVD)ダイアモンドコーティングであってもよい。ダイアモンドコーティングは、上述のようなセラミック材料上に直接塗布されてもよい。もちろん、ダイアモンドコーティングはまた、それぞれ別の材料、例えば、チタン、チタン合金またはステンレス鋼でできた第1のラジアル軸受部材150または第2のラジアル軸受部材152上に塗布されてもよい。
【0079】
一般的に、セラミック材料をDLCでコーティングすることは、例えば、摩耗によりDLCコーティングが損傷したり除去されたりする場合であっても、軸受装置40、42の緊急走行特性が比較的高いという利点がある。一般的に、ダイアモンドコーティングは、耐摩耗性が高く、生体適合性が高いという利点がある。
【0080】
血液ポンプの機能
プリント回路基板74を備える制御装置は、インペラ20が回転軸Xの周りを回転するようにインペラ20の磁石52と協働するような既知の方法で、ステータ66内の回転磁界を生成する。これにより、インペラ20の一次ブレード54は、血流入口14から通路18を介して血流出口16への一次血流を生じさせる。一次血流の一部は、第3の切り欠き156、インペラ切り欠き158および第4の切り欠き160に沿ったラジアル軸受42に沿って方向付けられ、ラジアル軸受42の冷却およびすすぎを行い、ラジアル軸受42の領域内で血液粒子が蓄積するのを防ぐ。
【0081】
インペラ20の二次ブレード64は、二次血流を生じさせ、血液は、通路18から開口部60を通って軸受収容部44内に引き込まれる。そこでは、二次血流は、第1の切り欠き138および第2の切り欠き140(設けられている場合)か、またはスロット149のいずれかに沿って誘導され、ピボット軸受40の冷却およびすすぎを行い、ピボット軸受40の領域内で血液粒子が蓄積するのを防ぐ。次いで、二次血流は、インペラ20とインペラ支持部102との間に形成された空間を通って軸受収容部44から出て、血流出口16を通って血液ポンプ10から出る。
【0082】
例示的な実装形態
既に説明したように、本明細書に記載の技術は、さまざまな方法で実装することができる。その点に関して、前述の開示は、以下の例示的な実装形態に記載されているシステム、方法、ならびに、それらの組合せおよび部分的組合せを含むが、これらに限定されないことを意図している。好ましい実施形態は、以下のパラグラフで説明される。
A1 通路によって接続された血流入口および血流出口を有するポンプハウジングと、前記ポンプハウジング内に配置されたインペラと、インペラを駆動するように構成された駆動ユニットとを備えることを特徴とする、血液ポンプ、特に血管内血液ポンプ。
A2 パラグラフA1に記載の血液ポンプであって、ポンプハウジングが駆動ユニットケーシングを備え、駆動ユニットが駆動ユニットケーシング内に配置され、駆動ユニットがステータと絶縁アセンブリとを備え、絶縁アセンブリが漏電を防ぐように構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A3 パラグラフA2に記載の血液ポンプであって、絶縁アセンブリが、ステータと駆動ユニットケーシングとの間の接触を抑制するために、ステータを駆動ユニットケーシングから離間させるように構成されたスペーサアセンブリを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A4 パラグラフA3に記載の血液ポンプであって、スペーサアセンブリが、駆動ユニットケーシングの内面、特に駆動ユニットケーシングの内周面からステータを半径方向に離間させるように構成されたスペーサを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A5 パラグラフA4に記載の血液ポンプであって、ステータが、インペラから離れるほうを向いているカテーテル側の端部を有し、スペーサがリング形状であり、管状部を有し、管状部が少なくとも部分的に円周方向に延在し、スペーサは、ステータがスペーサの管状部の半径方向内側に部分的に配置されるようにステータのカテーテル側の端部に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A6 パラグラフA5に記載の血液ポンプであって、スペーサの管状部が駆動ユニットケーシングの内面に当接することを特徴とする血液ポンプ。
A7 パラグラフA5またはA6に記載の血液ポンプであって、ステータがステータのカテーテル側の端部に接触するバックプレートを備え、バックプレートがスペーサの管状部の半径方向内側に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A8 パラグラフA3~A7のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、駆動ユニットがプリント回路基板をさらに備え、プリント回路基板が、スペーサアセンブリの半径方向内部に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A9 パラグラフA2~A8のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、絶縁アセンブリが、ステータと駆動ユニットケーシングとの間の接触を抑制するために、駆動ユニットケーシングからステータを離間させるように構成されたフロントプレートを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A10 パラグラフA9に記載の血液ポンプであって、ステータが、複数のポストと、ポストの周りに配置されたコイル巻線とを備え、フロントプレートが、中央部分と外側部分とを有し、複数のフロントプレート脚部が、中央部分とリング形状の外側部分との間に延在することを特徴とする血液ポンプ。
A11 パラグラフA10に記載の血液ポンプであって、フロントプレート脚部が、複数のポストの各々を隣接するポストから円周方向に離間させるように構成され、複数のポストが、リング形状の外側部分の半径方向内側に部分的に配置され、外側部分が好ましくはリング形状であることを特徴とする血液ポンプ。
A12 パラグラフA1~A11のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ステータが複数のポストとポストの周りに配置されたコイル巻線とを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A13 パラグラフA10~A12のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ステータが、半径方向に延在するバックボーン脚部を有するバックボーンを備え、バックボーン脚部が複数のポストの各々を隣接するポストから円周方向に離間させるように好ましくは構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A14 パラグラフA10~A13のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、絶縁アセンブリが、複数の収縮要素を備え、複数のポストの各々が、収縮要素のうちの1つによって少なくとも部分的に取り囲まれることを特徴とする血液ポンプ。
A15 パラグラフA2~A14のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ステータが、インペラのほうに向いているインペラ側の端部を有し、絶縁アセンブリがフロントシートをさらに備え、フロントシートが、ステータと駆動ユニットケーシングとの間の接触を抑制するように、ステータのインペラ側の端部を覆うことを特徴とする血液ポンプ。
A16 パラグラフA2~A15のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、絶縁アセンブリが、非導電性材料で少なくとも部分的に構成され、絶縁アセンブリが、非導電性材料で好ましくは全体的に構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A17 パラグラフA16に記載の血液ポンプであって、非導電性材料が、熱可塑性材料、好ましくはポリアリールエーテルケトンであり、非導電性材料が、好ましくはポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする血液ポンプ。
A18 パラグラフA1~A17のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、駆動ユニットケーシングが、チタンまたはチタン合金でできていることを特徴とする血液ポンプ。
A19 パラグラフA1~A18のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、駆動ユニットケーシングの内面が、非導電性コーティング、特に、ダイアモンドライクカーボン(DLC)で少なくとも部分的にコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A20 パラグラフA1~A19のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ステータが、収縮要素によって円周方向に少なくとも部分的に取り囲まれ、かつ/または、ステータが、非導電性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A21 パラグラフA1~A20のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、血液ポンプが、インペラを回転可能に支持する軸受装置をさらに備え、軸受装置が、第1の軸受部材と第2の軸受部材とを備える少なくとも1つの軸受を備え、第1の軸受部材が第1の当接部を備え、第2の軸受部材が第2の当接部を備え、第1の当接部が、第1のセラミック材料を備え、または第1のセラミック材料で構成され、かつ/または、第2の当接部が、第2のセラミック材料を備え、または第2のセラミック材料で構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A22 パラグラフA21に記載の血液ポンプであって、第1のセラミック材料が、第2のセラミック材料とは異なるか、または第1のセラミック材料が第2のセラミック材料と同一であることを特徴とする血液ポンプ。
A23 パラグラフA21またはA22に記載の血液ポンプであって、第1の軸受部材が、第1のセラミック材料で全体的に構成され、かつ/または、第2の軸受部材が、第2のセラミック材料で全体的に構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A24 パラグラフA21またはA22に記載の血液ポンプであって、第1の当接部が、第1のセラミック材料でコーティングされた金属材料、特に、超硬合金で構成され、かつ/または、第2の当接部が、第2のセラミック材料でコーティングされた金属材料、特に超硬合金で構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A25 パラグラフA21~A24のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1の当接部が、ダイアモンドライクカーボン(DLC)でコーティングされ、かつ/または、第2の当接部が、ダイアモンドライクカーボン(DLC)でコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A26 パラグラフA21~A25のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1のセラミック材料が、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3から選択されることを特徴とする血液ポンプ。
A27 パラグラフA21~A26のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第2のセラミック材料が、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3から選択されることを特徴とする血液ポンプ。
A28 パラグラフA21~A27のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1の軸受部材が、少なくとも部分的にダイアモンドで構成されるか、第2の軸受部材が、少なくとも部分的にダイアモンドで構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A29 パラグラフA1~A19のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、血液ポンプが、インペラを回転可能に支持する軸受装置をさらに備え、軸受装置が、第1の軸受部材と第2の軸受部材とを備える第1の軸受を少なくとも備え、第1の軸受部材が第1の当接部を備え、第2の軸受部材が第2の当接部を備え、第1の当接部がDLCでコーティングされ、かつ/または、第2の当接部がDLCでコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A30 パラグラフA25~A29のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、DLCコーティングが、ホウ素ドープDLC膜を備えるか、またはホウ素ドープDLC膜から成ることを特徴とする血液ポンプ。
A31 パラグラフA30のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、DLCコーティングがDLC中間層を含み、ホウ素ドープDLC膜がDLC中間層上に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A32 パラグラフA30またはA31に記載の血液ポンプであって、ホウ素ドープDLC膜が、0.01~0.4、好ましくは0.03~0.1、最も好ましくは0.03のホウ素対炭素の比を含むことを特徴とする血液ポンプ。
A33 パラグラフA1~A19のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、血液ポンプが、インペラを回転可能に支持する軸受装置をさらに備え、軸受装置が、第1の軸受部材と第2の軸受部材とを備える第1の軸受を少なくとも備え、第1の軸受部材が第1の当接部を備え、第2の軸受部材が第2の当接部を備え、第1の当接部がダイアモンドコーティングでコーティングされ、かつ/または、第2の当接部がダイアモンドコーティングでコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A34 パラグラフA33に記載の血液ポンプであって、ダイアモンドコーティングが、化学蒸着(CVD)ダイアモンドコーティング、または高圧高温(HPHT)ダイアモンドコーティングであることを特徴とする血液ポンプ。
A35 前述のパラグラフA21~A34のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1の当接部が、第2の当接部に少なくとも部分的に接触することを特徴とする血液ポンプ。
A36 パラグラフA35に記載の血液ポンプであって、第1の当接部と第2の当接部との間の接触が点接触であることを特徴とする血液ポンプ。
A37 パラグラフA21~A36のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1の軸受部材が支持要素とボールとを備え、支持要素が第1の当接部を備え、ボールが第1の当接部および第2の当接部に当接することを特徴とする血液ポンプ。
A38 パラグラフA37に記載の血液ポンプであって、ボールが、第3のセラミック材料を含むか、または第3のセラミック材料で構成され、第3のセラミック材料が、SIC、ATZ、ZTAまたはAl2O3から選択されることを特徴とする血液ポンプ。
A39 パラグラフA37に記載の血液ポンプであって、ボールが、金属材料、特に超硬合金を含むか、または金属材料、特に超硬合金で構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A40 パラグラフA37~A39のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ボールが、ダイアモンドライクカーボン(DLC)でコーティングされることを特徴とする血液ポンプ。
A41 パラグラフA37に記載の血液ポンプであって、ボールがダイアモンドを含むか、またはダイアモンドで構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A42 パラグラフA21~A41のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1の軸受部材が、第1の軸受部材の材料よりも高い熱伝導率を有する材料で充填された第1の中空部分を備え、かつ/または、第2の軸受部材が、第2の軸受部材の材料よりも高い熱伝導率を有する材料で充填された第2の中空部分を備え、高い熱伝導率を有する材料が、好ましくは、銀、銀合金、銅、銅合金、およびダイアモンドのうちの1つであることを特徴とする血液ポンプ。
A43 パラグラフA21~A42のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、軸受装置が第1の軸受と第2の軸受とを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A44 パラグラフA43に記載の血液ポンプであって、第1の軸受がピボット軸受であり、第2の軸受がラジアル軸受であることを特徴とする血液ポンプ。
A45 パラグラフA1~A44のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、血液ポンプが、インペラを回転可能に支持する軸受装置をさらに備え、軸受装置が、少なくとも1つのピボット軸受を備えることを特徴とする血液ポンプ。
A46 パラグラフA45に記載の血液ポンプであって、ピボット軸受が、第1のピボット軸受部材と第2のピボット軸受部材とを備え、第1のピボット軸受部材が、第2のピボット軸受部材に対して枢動可能であり、第1のピボット軸受部材が第1の当接部を備え、第2のピボット軸受部材が第2の当接部を備え、第1のピボット軸受部材の第1の当接部が、第2のピボット軸受部材の第2の当接部に少なくとも部分的に接触することを特徴とする血液ポンプ。
A47 パラグラフA46に記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材の第1の当接部と、第2のピボット軸受部材の第2の当接部との間の接触が点接触であることを特徴とする血液ポンプ。
A48 パラグラフA46またはA47に記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材の第1の当接部が球状部を備え、第2のピボット軸受部材の第2の当接部が第1の球状キャップを備え、球状部が球状キャップに当接することを特徴とする血液ポンプ。
A49 パラグラフA48に記載の血液ポンプであって、第1の球状キャップが第1のキャロットであることを特徴とする血液ポンプ。
A50 パラグラフA48またはA49に記載の血液ポンプであって、第1の球状キャップが凹面を有する、かつ/または、球状部が凸面を有することを特徴とする血液ポンプ。
A51 パラグラフA48~A50のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、球状部が第1の半径を有し、第1の球状キャップが第2の半径を有し、第2の半径が第1の半径よりも大きいことを特徴とする血液ポンプ。
A52 パラグラフA48~A50のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材が、支持要素とボールとを備え、ボールが支持要素に当接し、球状部を備えることを特徴とする血液ポンプ。
A53 パラグラフA52に記載の血液ポンプであって、支持要素が第3の半径を有する第2の球状キャップを備え、ボールが第2の球状キャップに当接し、第3の半径が第1の半径よりも大きいことを特徴とする血液ポンプ。
A54 パラグラフA53に記載の血液ポンプであって、第2の球状キャップが第2のキャロットであることを特徴とする血液ポンプ。
A55 パラグラフA53またはA54に記載の血液ポンプであって、第2の球状キャップが凹面を有することを特徴とする血液ポンプ。
A56 パラグラフA52~A55のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ボールが支持要素に固定されることを特徴とする血液ポンプ。
A57 パラグラフA46~A56のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材の第1の当接部が、少なくとも1つの第1の切り欠き、好ましくは、第1の当接部の円周に沿って均等に分布する複数の第1の切り欠きを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A58 パラグラフA46~A57のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第2のピボット軸受部材の第2の当接部は、少なくとも1つの第2の切り欠き、好ましくは、第2の当接部の円周に沿って均等に分布する複数の第2の切り欠きを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A59 パラグラフA58に記載の血液ポンプであって、少なくとも1つの第2の切り欠きの軸方向拡張部が、第2のピボット軸受部材の主軸に非平行であり、少なくとも1つの第2の切り欠きの軸方向拡張部が第2のピボット軸受部材の主軸に平行であることを特徴とする血液ポンプ。
A60 パラグラフA46に記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材が、第1の当接部から延在するスロットを備えることを特徴とする血液ポンプ。
A61 パラグラフA60に記載の血液ポンプであって、スロットが、第1のピボット軸受部材の第1の当接部を2つの部分に分割することを特徴とする血液ポンプ。
A62 パラグラフA60またはA61に記載の血液ポンプであって、スロットは、第1のピボット軸受部材の回転により、スロットの一方の側からスロットの他方の側へのポンプ作用が生じるように構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A63 パラグラフA60~A62のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、a)スロットが2つの平行側面によって区切られ、2つの側面が、好ましくは、互いに対して平行、かつ/もしくは、支持要素の中間面に対して平行であり、および/または、
b)スロットが、スロットの全長にわたり、支持要素の直径全体にわたって延在していないことを特徴とする血液ポンプ。
A64 パラグラフA46~A63のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、インペラが、その内側に軸受収容部と、通路を軸受収容部と接続する少なくとも1つの開口部とを備え、ピボット軸受が軸受収容部内に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A65 パラグラフA64に記載の血液ポンプであって、開口部が第2のピボット軸受部材の第2の当接部のほうに向いている中心軸を有することを特徴とする血液ポンプ。
A66 パラグラフA64またはA65に記載の血液ポンプであって、インペラが、本体と、本体の外周面から螺旋状に突出している少なくとも1つの一次ブレードとを備え、開口部が、本体の外周面上に設けられた入口を備え、少なくとも1つの一次ブレードの少なくとも一部が、本体の円周方向に入口に接して配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A67 パラグラフA66に記載の血液ポンプであって、入口が少なくとも1つの一次ブレードの軸方向拡張部内で円周方向に配置されることを特徴とする血液ポンプ。
A68 パラグラフA46~A67のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、第1のピボット軸受部材がインペラに取り付けられ、第2のピボット軸受部材がポンプハウジングに取り付けられることを特徴とする血液ポンプ。
A69 パラグラフA45~A68のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、軸受装置が、少なくとも1つのラジアル軸受をさらに備え、ピボット軸受が、インペラの1つのポイントにおいてハウジングに対してインペラを回転可能に支持し、ラジアル軸受が、インペラの別のポイントにおいてハウジングに対してインペラを回転可能に支持し、駆動ユニットが、ハウジングに対してインペラを回転可能に駆動するように構成された非接触電磁駆動ユニットであり、駆動ユニットが、インペラ上に引力をさらに確立することを特徴とする血液ポンプ。
A70 パラグラフA69に記載の血液ポンプであって、引力が、血流入口から離れる方向に確立され、その結果、軸方向力がラジアル軸受に作用しないことを特徴とする血液ポンプ。
A71 パラグラフA59またはA70に記載の血液ポンプであって、ラジアル軸受が、第1のラジアル軸受部材と第2のラジアル軸受部材とを備え、第1のラジアル軸受部材がインペラに取り付けられ、第2のラジアル軸受部材がポンプハウジングに取り付けられ、第1のラジアル軸受部材がカラーを備え、カラーが第1のラジアル軸受部材の外周面から少なくとも部分的に円周方向に延在し、カラーが第2のラジアル軸受部材に隣接して設けられ、間隙が、カラーと第2のラジアル軸受部材との間に軸方向に形成されることを特徴とする血液ポンプ。
A72 パラグラフA71に記載の血液ポンプであって、軸方向力がカラーに作用しないことを特徴とする血液ポンプ。
A73 パラグラフA71またはA72に記載の血液ポンプであって、カラーが、ハウジングに対するインペラの軸方向の移動を制限する緊急当接カラーであることを特徴とする血液ポンプ。
A74 パラグラフA45~A73のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ピボット軸受部材が、接着および/もしくは圧入によって取り付けられ、かつ/または、ラジアル軸受部材が、接着および/もしくは圧入によって取り付けられることを特徴とする血液ポンプ。
A75 パラグラフA1~A74のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、血液ポンプがステータをさらに備え、ポンプハウジングが、1つの軸方向端部にカテーテル取付部と、別の軸方向端部にインペラ支持部とを有する駆動ユニットケーシングを備え、ステータが駆動ユニットケーシング内に配置され、駆動ユニットケーシングが、ポッティング材で少なくとも部分的に充填されることを特徴とする血液ポンプ。
A76 パラグラフA75に記載の血液ポンプであって、ポッティング材が、インペラ支持部に接触することを特徴とする血液ポンプ。
A77 パラグラフA76に記載の血液ポンプであって、ポッティング材が、エポキシ樹脂、好ましくは、エポキシ樹脂と酸化アルミニウムとの混合物、好ましくは、EpoTek(登録商標)301とAl2O3の粉末との混合物を、好ましくは1:1.5の割合で含むことを特徴とする血液ポンプ。
A78 パラグラフA75~A77のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、インペラ支持部が、フィルム状部分と突出ピンとを備え、突出ピンがインペラを回転可能に支持するように構成されることを特徴とする血液ポンプ。
A79 パラグラフA78に記載の血液ポンプであって、フィルム状部分が、60μm~80μmの厚さ、好ましくは70μmの厚さを有することを特徴とする血液ポンプ。
A80 パラグラフA78またはA79に記載の血液ポンプであって、突出ピンがフィルム状部分と一体的に形成されていることを特徴とする血液ポンプ。
A81 パラグラフA78~A80のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、突出ピンの中心軸が、インペラの回転軸と同心であることを特徴とする血液ポンプ。
A82 パラグラフA78~A81のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、丸みを帯びた移行部が、フィルム状部分と突出ピンとの間に設けられることを特徴とする血液ポンプ。
A83 パラグラフA75~A82のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、少なくとも1つの補強部材が、インペラ支持部からカテーテル取付部の方向に突出し、補強部材が、好ましくは駆動ユニットケーシングの内部へ突出することを特徴とする血液ポンプ。
A84 パラグラフA83に記載の血液ポンプであって、補強部材が軸方向に突出し、ポッティング材がフィルム状部分を硬くすることを特徴とする血液ポンプ。
A85 パラグラフA83またはA84に記載の血液ポンプであって、ポッティング材が、少なくとも1つの補強部材を取り囲むことを特徴とする血液ポンプ。
A86 パラグラフA83~A85のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、少なくとも1つの補強部材が、インペラの回転軸と同心であることを特徴とする血液ポンプ。
A87 パラグラフA1~A86のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ポンプハウジングが駆動ユニットケーシングを備え、インペラが、一次血流を確立するように構成された少なくとも1つの一次ブレードを有し、インペラがケーシング側の端部を有し、ケーシング側の端部が駆動ユニットケーシングのほうを向いており、複数の二次ブレードが、二次血流を確立するように構成されたケーシング側の端部上に設けられることを特徴とする血液ポンプ。
A88 パラグラフA87に記載の血液ポンプであって、インペラが回転軸を有し、二次ブレードの各々が回転軸に対して非半径方向に延在することを特徴とする血液ポンプ。
A89 パラグラフA87またはA88に記載の血液ポンプであって、二次ブレードの各々が基点と終点とを有し、基点が基本円上に位置し、終点が終了円上に位置し、基本円および終了円が、共通の中心点と同心であり、二次ブレードのうちのいずれか1つの基本円および終了円を接続する直線が、中心点を通って伸びていないことを特徴とする血液ポンプ。
A90 パラグラフA89に記載の血液ポンプであって、複数の二次ブレードの各々が、それぞれの直線に対して湾曲していることを特徴とする血液ポンプ。
A91 パラグラフA1~A90のいずれか1つに記載の血液ポンプであって、ポンプハウジングがカテーテル取付部を備え、カテーテル取付部が、血液ポンプのカテーテルの螺旋状部材をねじ係合するように構成された外周面上にねじ切り構造を備えることを特徴とする血液ポンプ。
A92 パラグラフA91に記載の血液ポンプであって、血液ポンプが螺旋状部材を有するカテーテルを備え、カテーテルは、螺旋状部材がねじ切り構造とねじ係合するという点で、カテーテル取付部に取り付けられ、螺旋状部材が、好ましくはニチノールコイルであることを特徴とする血液ポンプ。
【0083】
本明細書で使用されるように、「およそ」、「約」、「実質的に」および類似の用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者により受け入れられている共通の用法と調和する、広い意味を持つことが意図されている。これらの用語は、提供される精密な数値範囲にそれらの特徴の範囲を限定することなく、説明される特定の特徴を記述するのを可能にすることを意図していることが、本開示を検討する当業者に理解されるべきである。したがって、これらの用語は、説明される主題の非実質的または取るに足らない修正または変更が、本開示の範囲内に入るとみなされることを示しているとして解釈されるべきである。本明細書で使用されるように、「少なくとも部分的に」または「部分的に」という用語は、それぞれ、部分的という意味と、全体的または完全という意味の両方がある。
【符号の説明】
【0084】
10 血液ポンプ、 12 ポンプハウジング、 14 血流入口、 16 血流出口、 18 通路、 20 インペラ、 22 駆動ユニットケーシング、 24 インペラケーシング、 26 駆動ユニット、 28 カニューレ取付部、 30 カテーテル、 32 カテーテル取付部、 34 カテーテル取付部の管状部、 36 ねじ切り構造、 38 螺旋状部材/ニチノールコイル、 40 第1の軸受/ピボット軸受、 42 第2の軸受/ラジアル軸受、 44 軸受収容部、 46 クラウン、 48 クラウンの中央管状部、 50 接続アーム、 52 磁石、 54 一次ブレード、 56 インペラの本体、 58 開口部、 60 入口、 62 インペラのケーシング側の端部、 64 二次ブレード、 65 二次補助ブレード、 66 ステータ、 68 絶縁アセンブリ、 70 ポスト、 72 コイル巻線、 74 制御装置/プリント回路基板、 76 バックプレート、 78 ステータのカテーテル側の端部、80 バックボーン、 82 バックボーン脚部、 84 スペーサ、 86 フロントプレート、 88 フロントシート、 90 スペーサアセンブリ、 92 スペーサの管状部、 94 フロントプレートの中央部分、 96 フロントプレートの外側部分、 98 フロントプレート脚部、 100 ステータのインペラ側の端部、 102 インペラ支持部、 104 インペラ支持部の管状部材、 106 フィルム状部分、 108 突出ピン、 110 接続部、 112 移行部、 114 ポッティング材、 116 補強部材、 118 第1の軸受部材/第1のピボット軸受部材、 120 第2の軸受部材/第2のピボット軸受部材、 122 第1の当接部、 124 球状部、 126 ボール、 128 支持要素、 130 取付ピン、 132 第2の当接部、 134 第1の球状キャップ/第1のキャロット、 136 第2の球状キャップ/第2のキャロット、 138 第1の切り欠き、 140 第2の切り欠き、 142 第1の中空部分、 144 第1の冷却部材、 146 第2の中空部分、 148 第2の冷却部材、 149 スロット、 150 第1のラジアル軸受部材、 152 第2のラジアル軸受部材、 154 カラー、 156 第3の切り欠き、 158 インペラ切り欠き、 160 第4の切り欠き、 X 回転軸、 CA 開口部の中心軸、 CCP 共通の中心点、 BP 基点、 BC 基本円、 EP 終点、 EC 終了円、 G 間隙、 SL 直線。
【国際調査報告】