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特表2025-502538高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物
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  • 特表-高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物 図1
  • 特表-高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物 図2
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  • 特表-高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物 図4
  • 特表-高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物 図5
  • 特表-高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】高炉スラグ微粉末、アルカリスルフェート活性化剤及びPCE型減水性ポリマーを含む、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/08 20060101AFI20250117BHJP
   C04B 14/06 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 14/10 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 18/10 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 18/167 20230101ALI20250117BHJP
   C04B 24/16 20060101ALI20250117BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C04B28/08
C04B14/06 Z
C04B14/10 Z
C04B14/28
C04B18/08 Z
C04B18/10 B
C04B18/14 Z
C04B18/167
C04B24/16
C04B24/26 B
C04B24/26 E
C04B24/26 F
C04B24/26 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544795
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2023051974
(87)【国際公開番号】W WO2023144288
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22305083.2
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522395978
【氏名又は名称】エコセム マテリアルズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523224752
【氏名又は名称】エコール ノーマル シュペリウール パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】ECOLE NORMALE SUPERIEURE PARIS-SACLAY
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・フルアン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルタ・アルファニ
(72)【発明者】
【氏名】モヘンド・シャウーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・プランク
(72)【発明者】
【氏名】レイ・レイ
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MD02
4G112MD03
4G112MD04
4G112PA02
4G112PA04
4G112PA06
4G112PA10
4G112PA26
4G112PA27
4G112PA28
4G112PA30
4G112PB29
4G112PB31
4G112PB32
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含む、特にビル建設及び土木工事向けのレディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物であって、バインダー組成物(B)が、(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBSを除く少なくとも1つの水硬性バインダー、(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材を含み、減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
[ここで、---はモノマー単位の結合部位を表し、モノマー単位Aの量は、0~40mol%であり、モノマー単位Bの量は、25~95mol%であり、モノマー単位Cの量は、5~50mol%であり、モノマー単位Dの量は、0~25mol%である]を含むコポリマーであり、前記レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物が、規格NF EN 206に準拠したクラスS3、S4及びS5の1つに分類される、レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリ及び/又はアルカリ土類スルフェート活性化剤(C)、水(D)、並びに少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含む、特にビル建設及び土木工事向けの、湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物であって、前記バインダー組成物(B)が、
(b5)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b6)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b7)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b8)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物が、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうちの1つに分類され、かつ
前記減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化1】
- 単位B
【化2】
- 単位C
【化3】
- 単位D
【化4】
[式中、
【化5】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーである、
湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物。
【請求項2】
前記湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物が、前記の量の水(D)をすべて添加した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたまま保たれる、請求項1に記載の湿式レディミックスコンクリート又はモルタル組成物。
【請求項3】
減水性ポリマーが、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性である、請求項1又は2に記載の湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物。
【請求項4】
前記アルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bが、0.001~0.15に含まれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物。
【請求項5】
補助セメント系材料(b3)が、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、又はそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/または、フィラー材(b4)が、粉砕された石灰石、粉砕されたドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物から得られた硬化したコンクリート又はモルタル。
【請求項7】
規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうちの1つに分類される湿式コンクリート又は湿式モルタル組成物を製造する方法であって、同時か否かにかかわらず、別々にか否かにかかわらず、
少なくとも1つの骨材(A)、
バインダー組成物(B)、
少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、
水(D)、及び
少なくとも1つの減水性ポリマー(E)
を混合室中に導入するステップを含み、
前記バインダー組成物(B)が、
(b5)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b6)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b7)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b8)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化6】
- 単位B
【化7】
- 単位C
【化8】
- 単位D
【化9】
[式中、
【化10】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
前記湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物が、混合室中に上記の量のA、B、C、D及びEをすべて導入した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたままで保たれる、方法。
【請求項8】
減水性ポリマーが、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bが、0.001~0.15に含まれる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
補助セメント系材料(b3)が、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、又はそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/または、フィラー材(b4)が、粉砕された石灰石、粉砕されたドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物を規格NF EN 206に準拠した単一のスランプフロークラスに少なくとも2時間のあいだ維持する方法であって、前記組成物が、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、
前記バインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化11】
- 単位B
【化12】
- 単位C
【化13】
- 単位D
【化14】
[式中、
【化15】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
前記の少なくとも2時間の期間が、混合室中に上記の量のA、B、C、D及びEがすべて導入されてから始まり、かつ
前記の単一のスランプフロークラスが、S3、S4、又はS5である、方法。
【請求項12】
減水性ポリマーが、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bが、0.001~0.15に含まれる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
補助セメント系材料(b3)が、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、活性化された再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/または、フィラー材(b4)が、粉砕された石灰石、粉砕されたドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
硬化した低炭素GGBS含有バインダー系コンクリート又はモルタル組成物に、硬化した100%OPCバインダー系コンクリート又はモルタル組成物の初期圧縮強度値に匹敵する初期圧縮強度値を付与する方法であって、
低炭素GGBS含有バインダー系コンクリート又はモルタル組成物の湿式前駆体P1が、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、
前記バインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記湿式前駆体P1が、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうちの1つに分類され、
前記湿式P1が、混合室中に上記の量の成分A、B、C、D及びEをすべて導入した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたまま保たれており、
100%OPCバインダー系コンクリート又はモルタル組成物の湿式前駆体P2が、P1と同じ成分(A)、(D)、(E)を含み、ここで、(A)、100%OPC、(D)及び(E)はP1の(A)、(B)、(D)及び(E)と同じ濃度であり、かつ、C/100%OPCバインダー比はP1のC/B比と同じであり、
前記方法が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化16】
- 単位B
【化17】
- 単位C
【化18】
- 単位D
【化19】
[式中、
【化20】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーである減水性ポリマー(E)を使用するステップで構成される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、促進効果及び少なくとも1つの減水性ポリマー流動化効果をもたらす、少なくとも1つのアルカリスルフェートを含むレディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物又はプレキャストコンクリート組成物に関する。
【0002】
更に詳細には、本発明は、減水性ポリマーを含むレディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物のためのアルカリスルフェート活性化剤で活性化された高炉スラグ微粉末(Ground Granulated Blast Furnace Slag, GGBS)を含む低炭素バインダーに関する。
【背景技術】
【0003】
相当量の高炉スラグ微粉末(GGBS)を含む補助セメント系材料(Supplementary cementitious material, SCM)、例えばモルタル及びコンクリートは、普通ポルトランドセメント製造が大量の二酸化炭素排出によって環境に強く悪い影響を与えるのでますます使用されるようになっている。セメントの製造は、キルン中、非常に高温(1450℃)における原料のか焼時に、石灰石の脱炭酸(式(1))により、本質的にCOを発生する。
CaCO (s) → CaO (s) + CO (g)
(式(1))
【0004】
更に、二酸化炭素は、セメントキルンを加熱するために必要とされる化石燃料の燃焼の結果として放出される。粉砕での追加の排出を加えることによって、ポルトランドセメント1トン当たりCOほぼ1トンが得られる。全体的に見て、セメント産業は、地球規模の二酸化炭素排出量の約7~9%の原因である。
【0005】
更に、所望の初期段階の機械的特性を有するモルタル又はコンクリートを製造するために、相当量のSCMを含有するバインダーに促進剤を添加することが一般に必要とされる。これらの代替バインダーの強度発現を促進するために、活性化剤がしばしば使用される。活性化剤は、SCM含有バインダーの強度発現に有利なアルカリ状態を引き起こす化合物である。活性化剤は、それらのカチオンとしてナトリウム又はカリウムを有し、それらのアニオンとしてヒドロキシド、シリケート、スルフェート、チオシアネート又はカーボネートを最も一般的に有する化合物である。GGBS及び他のSCM、例えばメタカオリン、クレイ(か焼されているか又はか焼されていない)、ポゾラン性材料を含む、低炭素アルカリ活性化バインダーは、充分な時間のあいだ、良好な加工性を有するのに必要なレオロジーに相当しない初期の流動性及びオープンタイムに関して、レオロジーの問題を示す。これは、主にアルカリ活性化の追加及び水添加後の溶液中の高可溶性スルフェートの存在によるものである。
【0006】
アルカリ活性化の例には、硫酸ナトリウムなどの塩がある。いくつかの硬セッコウ、特に極めて可溶性の硬セッコウは、ポーラ溶液(poral solution)中の可溶性スルフェートの高く且つ速い存在を導くことができ、アルカリ塩の存在下と同じレオロジーの問題を引き起こしうる。これらの硬セッコウ(主に、サーマル硬セッコウ)は、高伝導率、高pH及び高ゼータ電位を特徴とする。
【0007】
それにもかかわらず、アルカリ及び可溶性スルフェートの添加は、100%OPC組成物と比肩しうる低炭素バインダー系組成物に対して初期の強度を押し上げ、圧縮強度値を達成することを可能にする。
【0008】
減水性ポリマーは、規格NF EN 206において定義された所望のコンシステンシークラスを考慮してコンクリートの流動性を増大させるために使用される。リグニンスルホネートポリマー、メラミンスルホネートポリマー、ナフタレンスルホネートポリマー、ポリカルボン酸エーテルポリマー(PCE)、ポリオキシエチレンホスホネート、ホスフェート、ビニルコポリマーのような流動化剤/高性能流動化剤ともよばれる普通の減水剤は、アルカリスルフェート活性化が組成物に添加される場合には、それほど有効ではない。
【0009】
一般に、減水性ポリマーはその役割を果たすことができず、コンクリート又はモルタルは、期待したほど流動的でも実際的でもない。なぜなら、アルカリ硫酸塩は、一般にその効率を低減することによってポリマー溶解を低減するからである。
【0010】
国際公開第2021/204384号(A1)は、コスモトロピックイオン(kosmotropic ion)を含む少なくとも1つのアルカリ性活性化剤、少なくとも1つの減水性ポリマー、及びカオトロピックイオン(chaotripic ion)を含む少なくとも1つの塩から構成される性能向上添加剤であって、バインダーの水和を促進し、それらの流動性を増大させる性能向上添加剤を開示している。カオトロピックイオンは、アルカリ性促進剤(コスモトロピックイオン)の添加後に、系の流動性及びそのオープンタイムを管理することを可能にする。
【0011】
カオトロピックイオンの添加は、アルカリ活性化された低炭素バインダーを含むコンクリート及びモルタルにおいて、可溶な/可溶化されたスルフェートによって引き起こされる普通の減水剤の不活性化の問題に対して、実際のところ非常に有効な解決策である。それにもかかわらず、この解決策は通常のプロセス処理においていくつかの変更を必要とするので、作業現場で実施することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2021/204384号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、SCM及び活性化剤を用いて作られたあらゆる種類の代替バインダー組成物に適していることができる、上記の解決策と異なる解決策を有することは有益なことになる。
【0014】
これとの関連において、本発明は、以下の目的の少なくとも1つを果たすことによって、上記の問題及び/又は必要性の少なくとも1つに対処することを目的とする。
【0015】
-O1- SCMを用いて作られ、且つ活性化剤で活性化され、少なくとも1つの一般的な減水性ポリマーで流動化された代替バインダー組成物を含むレディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物又はプレキャストコンクリート組成物を提供すること。
【0016】
-O2- 硬化前に湿潤状態において適切なレオロジーを有し、かつ硬化後に良好な機械的特性、特に良好な初期強度を有する、GGBSを含み且つ低炭素のレディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物又はプレキャストコンクリート組成物を提供すること。
【0017】
-O3- 湿式のGGBSを含み且つ低炭素のコンクリート又は産業用モルタル組成物を硬化前に流動化させ、硬化後に強度発現を促進させるための効率的な方法であって、前記組成物が少なくとも1つのアルカリ性スルフェート促進剤を含む、方法を提供すること。
【0018】
-O4- GGBS及び場合によっては他の補助セメント系材料、並びに/又はフィラー材を含むバインダー組成物を流動化させ、且つ湿式モルタル及びコンクリートを流動化させる方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の側面において、本発明は、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリ及び/又はアルカリ土類スルフェート活性化剤(C)、水(D)、並びに少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含む、特にビル建設及び土木工事向けの湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物であって、
前記のバインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(Ground Granulated Blast Furnace Slag, GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記の湿式レディミックスコンクリート、若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物が、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4、及びS5のうち1つに分類され、且つ
前記の減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化1】
- 単位B
【化2】
- 単位C
【化3】
- 単位D
【化4】
[式中、
【化5】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n、及びyは、独立に、7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N、又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーである、
湿式レディミックスコンクリート、若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物に関する。
【0020】
第2の側面において、本発明は、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4、及びS5のうちの1つに分類される湿式コンクリート組成物又は湿式モルタル組成物を調製する方法であって、同時か否かにかかわらず、別々か否かにかかわらず、
- 少なくとも1つの骨材(A)、
- バインダー組成物(B)、
- 少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、
- 水(D)、及び
- 少なくとも1つの減水性ポリマー(E)
を混合室中に導入するステップを含み、
前記のバインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化6】
- 単位B
【化7】
- 単位C
【化8】
- 単位D
【化9】
[式中、
【化10】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に、7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
前記湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物が、混合室中で全ての上記の量のA、B、C、D及びEを導入した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたままである、方法に関する。
【0021】
第3の側面において、本発明は、湿式コンクリート組成物又は湿式産業用モルタル組成物を規格NF EN 206に準拠した単一のスランプフロークラスに少なくとも2時間のあいだ維持する方法であって、前記の組成物が、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、
前記のバインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記の減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化11】
- 単位B
【化12】
- 単位C
【化13】
- 単位D
【化14】
[式中、
【化15】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に、7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
少なくとも2時間の期間が、混合室中に全ての上記の量のA、B、C、D及びEが導入されてから始まり、且つ
単一のスランプフロークラスが、S3、S4、又はS5である、方法に関する。
【0022】
第4の側面において、本発明は、硬化した低炭素GGBS含有バインダー系コンクリート又はモルタル組成物に、硬化した100%OPCバインダー系コンクリート又はモルタル組成物の初期圧縮強度値と比肩しうる初期圧縮強度値を付与する方法であって、
低炭素GGBS含有バインダー系コンクリート又はモルタル組成物の湿式前駆体P1が、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、
前記のバインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記の湿式前駆体P1が、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4、及びS5の1つに分類され、かつ
前記の湿式前駆体P1が、混合室中に全ての上記の量の成分A、B、C、D、及びEを導入した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたままであり、
100%OPCバインダー系コンクリート又はモルタル組成物の湿式前駆体P2が、P1と同じ成分(A)、(D)、(E)を含み、(A)、100%OPC、(D)、及び(E)はP1の(A)、(B)、(D)、及び(E)と同じ濃度であり、且つ、C/100%OPCバインダーの比は、P1のC/B比と同じであり、
前記の方法が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化16】
- 単位B
【化17】
- 単位C
【化18】
- 単位D
【化19】
[ここで、
【化20】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立的に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に、7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーである減水性ポリマー(E)を使用することから構成される、
方法に関する。
【0023】
一般定義
本文の用語によれば、以下の非限定的定義を考慮に入れなければならない。
【0024】
「バインダー」は、1つ又は複数の水硬性バインダー及び場合によっては1つ又は複数の補助セメント系材料及び場合によっては1つ又は複数のフィラー材から構成された材料を指す。
【0025】
「水硬性バインダー」は、水と反応することによって硬化する材料を指す。ここでその用語は、純粋な普通ポルトランドセメント、及びカルシウムアルミネートセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、ビーライトセメント、高炉スラグ微粉末、転炉スラグ、取鍋スラグ、超硫酸化セメント、水硬性石灰、セメントキルンダスト、又はそれらの混合物を用いて作られた標準化セメントを指す。
【0026】
「補助セメント系材料」は、潜在水硬性又はポゾラン活性によりバインダーの強度に寄与する材料を指す。ここでその用語は、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、活性白土、シリカヒューム、転炉スラグ、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、活性化再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物を指す。
【0027】
「フィラー材」は、バインダーにおける主要な役割が化学的というよりむしろ物理的なものである材料を指す。フィラーは細孔空間を占有し、エネルギー集約性がより小さいので、水硬性バインダー及び補助セメント系材料の代わりとして使用される。ここでその用語は、粉砕石灰石、粉砕ドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物を指す。
【0028】
「スラグ」は、鉱石の製錬又は精錬のあいだに金属から分離された石質廃棄物を表す。
【0029】
「GGBS」又は「GGBFS」:高炉スラグ微粉末、これは、高炉スラグ、高炉水砕スラグ(Granulated Blast Furnace Slag, GBFS)、高炉水砕スラグ粉末、及び高炉スラグ細骨材と同等である。。
【0030】
「セメント」は、モルタル又はコンクリートを作るのに使用のために作られた粉末物質を意味すると理解される。それは、鉱物バインダー、場合によっていずれの有機化合物も含まない鉱物バインダーである。その鉱物バインダーとしては、普通ポルトランドセメント、ポルトランドスラグセメント、ポルトランドシリカヒュームセメント、ポルトランドポゾラナセメント、ポルトランドフライアッシュセメント、ポルトランド焼成頁岩セメント、ポルトランド石灰石セメント、ポルトランド複合セメント、高炉スラグセメント、超硫酸化セメント、カルシウムアルミネートセメント、ポゾラニックセメント、及び複合セメントが挙げられる。
【0031】
「モルタル」は、バインダー、及び骨材、例えば砂から構成された材料を指す。
【0032】
「コンクリート」は、バインダー、及び骨材、例えば砂や(細かな)砂利から構成された材料を指す。
【0033】
「乾燥質量」は、材料の(外部から水も別の溶液も添加していない)自然な状態での質量である。
【0034】
「見掛け粘度」は、流体に加えられたせん断応力をせん断速度で割った商であり、せん断速度に依存する非ニュートン流体の粘度を国際単位系(IS)で表現するために使用され、見掛け粘度は、パスカル秒(Pa・s)で表される。
【0035】
「CEM X」は、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠したセメントのクラスを表す。
【0036】
「オープンタイム」は、モルタル又はコンクリートが処理可能な時間の長さである。
【0037】
「初期強度」は、モルタル又はコンクリートの全ての成分を混合した後、最初の24時間後における前記のモルタル又はコンクリートの機械的強度に相当する。
【0038】
「比肩しうる」とは、2つの値の差が最大でも10%であることを意味する。
【0039】
スルフェート又は硬セッコウを指す場合の「可溶性」は、前記のスルフェート又は硬セッコウが10g/Lの濃度で水に可溶化された場合、得られた溶液が少なくとも10のpHを有することを意味する。
【0040】
「ポーラ溶液」(poral solution)は、細孔の内側の間隙溶液液相に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、圧縮強度を時間の関数として表した棒グラフである。
図2図2は、1.5% NaSO、及び1.6% Tempo 12(従来からあるPCE、黒色)又は0.5% Marla RB 1050との混和物を添加した2つのCEM III/BコンクリートのAbramsコーンを報告しているグラフである。図2は、プレキャスト用途に対しAbramsコーンによって行われたレオロジー測定の結果を示す。室温は、プレキャスト用途の対して悪化した状態をシミュレーションするために、標準の研究室条件より高かった(25~26℃)。
図3図3は、圧縮強度を時間の関数として表した棒グラフである。
図4図4は、1.5% NaSOを添加し、異なる高性能流動化剤の組合せを補助したCEM III/Bに基づくMBEについてAbramsミニコーンでの延展を表すグラフである。
図5図5は、1.5% NaSOを添加し、異なる高性能流動化剤の組合せを補助したCEM III/Bに基づくMBEについてAbramsミニコーンでの延展を表すグラフである。
図6図6は、硫酸ナトリウムの存在下でHPEG PCEについて、応力対せん断速度の測定値を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
レディミックスコンクリート若しくはモルタル又はプレキャストコンクリート組成物
湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物、特にビル建設及び土木工事向けのものは、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、
前記のバインダー組成物(B)は、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
前記の湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物は、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4、及びS5の1つに分類され、
前記の減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化21】
- 単位B
【化22】
- 単位C
【化23】
- 単位D
【化24】
[式中、
【化25】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に、7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーである。
【0043】
有利なことには、前記の湿式レディミックスコンクリート又はモルタル組成物は、さまざまな量の水(D)を添加した後、少なくとも2時間のあいだ、同じスランプフロークラスに分類されたままである。
【0044】
骨材(A)
骨材は、砂、砂利、砕石、スラグ(未破砕)、再生コンクリート及びジオシンセティック骨材を含めた、建設において使用される粒子材料の大分類を含む。それらは、強度を全複合材料に付与する補強材として役立つ。
【0045】
上記の骨材に加えて、レディミックス組成物は、フィラー、例えば、石英、石灰石、又はクレイ、及びそれらの混合物に基づくフィラー、並びにパーライト、珪藻土、膨張雲母(バーミキュライト)及び発泡砂、及びそれらの混合物等の軽量フィラーも含むことができる。
【0046】
これらのフィラーの全含有量は、好ましくは骨材(A)の総質量の0.1質量%~10質量%の範囲に含まれる。
【0047】
バインダー組成物(B)
本発明によれば、バインダー組成物(B)は、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含む。
【0048】
バインダー組成物(B)は、100% GGBS(b1)から作られることができる。いくつかの実施形態では、バインダー組成物(B)は、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー(b2)も含む。これらの実施形態では、b2の含有量は、バインダー組成物(B)の総質量の0.1質量%~60質量%、好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の3質量%~55質量%、より好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の5質量%~50質量%の範囲に含まれる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明によるレディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物は、補助セメント系材料(b3)を含む。有利なことには、b3は、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの実施形態では、b3の含有量は、バインダー組成物(B)の総質量の0.1質量%~90質量%、好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の5質量%~80質量%、より好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の10質量%~70質量%の範囲に含まれる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明によるレディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物は、1つ又は複数のフィラー材(b4)を含む。有利なことには、b4は、粉砕石灰石、粉砕ドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの実施形態では、b4の含有量は、バインダー組成物(B)の総質量の0.1質量%~60質量%、好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の3質量%~55質量%、より好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の5質量%~50質量%の範囲に含まれる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明によるレディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物は、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー(b2)並びに/又は補助セメント系材料(b3)、並びに/又は1つ若しくは複数のフィラー材(b4)を含む。言い換えれば、バインダー組成物(B)は、GGBS(b1)、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー(b2)並びに補助セメント系材料(b3)の混合物、又はGGBS(b1)、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー(b2)並びに1つ若しくは複数のフィラー材(b4)の混合物、又はGGBS(b1)、補助セメント系材料(b3)及び1つ若しくは複数のフィラー材(b4)の混合物、又はGGBS(b1)、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー(b2)、補助セメント系材料(b3)及び1つ若しくは複数のフィラー材(b4)の混合物とすることができる。これらの実施形態では、b1の全含有量は、バインダー組成物(B)の総質量の20質量%~95質量%、好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の30質量%~90質量%、より好ましくはバインダー組成物(B)の総質量の50質量%~80質量%の範囲に含まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、バインダー組成物(B)は、有利なことには、好ましくは以下に列挙したものから選択される材料、特に以下のものから選択される機能性添加剤である1つ又はいくつかの他の成分で強化(enriched)されている。
【0053】
<保水剤>
保水剤は、硬化前に混合水を保持する能力を有する。水は、そうして湿式ペースト配合物中に捕捉されて、結合を改善する。ある程度、水は、支持体によって、より少なく吸収される。
【0054】
保水剤は、好ましくは、変性セルロース、変性グアー、変性セルロースエーテル及び/若しくはグアーエーテル並びにそれらの混合物を含む群、より好ましくはメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチル-セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
<レオロジー調整剤>
利用可能なレオロジー調整剤(「増粘剤」ともよばれる)は、好ましくは、クレイ、デンプンエーテル、セルロースエーテル及び/又はガム(例えば、ウェランガムキサンタン、ジウタンガム、サクシノグリカン)、変性多糖、好ましくは加工デンプンエーテルのうちの変性多糖、ポリビニル性アルコール、ポリアクリルアミド、クレイ、セピオライト、ベントナイト、並びにそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらで構成される群から選択され、より好ましくはクレイ、ベントナイト、モンモリロナイトの群において選択される。
【0056】
<消泡剤/アンチフォーム>
利用可能な消泡剤は、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ジフェニルオキシドスルホネート、アセチレンジオール、アミン、及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらで構成される群において選択される。
【0057】
<殺生物剤>
利用可能な殺生物剤は、好ましく、酸化亜鉛などの鉱物酸化物及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらで構成される群において選択される。
【0058】
<顔料>
利用可能な顔料は、好ましくは、TiO、酸化鉄、及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらのみで構成される群において選択される。
【0059】
<難燃剤>
組成物の耐火性の増大及び/又は燃え拡がる速度の減少を可能にする実現可能な難燃剤(又は防炎剤)は、好ましくは以下のものを含む群、より好ましくはそれらのみで構成される群の中で選択される:
・ 鉱物、好ましくは水酸化アルミニウム[Al(OH)、ATH]、水酸化マグネシウムMDH、ハイドロマグネサイト、水和物、赤リン、及びホウ素化合物、好ましくはボレート、
・ 有機ハロゲン化合物、好ましくは有機塩素、より好ましくは例えば、クロレンド酸(chlorendic acid)誘導体及び塩素化パラフィン;有機臭素、例えば、デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)、デカブロモジフェニルエタン、
・ ポリマー臭素化化合物、好ましくは、臭素化ポリスチレン、臭素化カーボネートオリゴマー(BCO)、臭素化エポキシオリゴマー(BEO)、テトラブロモフタル酸無水物、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、及びヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、
・ アンチモン、好ましくは五酸化物及び亜アンチモン酸ナトリウム、
・ 有機リン化合物、好ましくは、有機ホスフェート、TPP、RDP、BPADP、リン酸トリ-o-クレシル、
・ ホスホネート、好ましくはDMMP及びホスフィネート、
・ TMCP及びTDCPなどのクロロホスフェート。
【0060】
<空気連行剤>
空気連行剤(界面活性剤)は、有利なことには、天然樹脂、硫酸化又はスルホン化化合物、合成洗浄剤、有機脂肪酸、ベタイン及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらのみから構成される群、好ましくはリグニンスルホネート、脂肪酸の塩基性石けん及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらのみから構成される群、より好ましくはスルホネートオレフィン、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらのみから構成される群のなかから選択される。
【0061】
<遅延剤>
遅延剤は、有利なことには、酒石酸及びその塩:ナトリウム又はカリウム塩、クエン酸及びその塩:ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、タルトレート及びそれらの混合物を含む群、より好ましくはそれらのみから構成される群のなかから選択される。
・ 繊維
・ 分散体粉末
・ 湿潤剤
・ ポリマー樹脂
・ 錯化剤
・ ポリオールに基づく乾燥収縮低減剤。
【0062】
これらの任意選択である他の成分の全含有量は、好ましくは、バインダー画分の総質量の0.001質量%~10質量%の範囲に含まれる。
【0063】
アルカリスルフェート活性化剤(C)
一般に、アルカリスルフェート活性化剤(C)は、対カチオンがナトリウム、カリウム、又はリチウムである塩の形であるが、ポーラ溶液における可溶性スルフェートの高く速い存在を導くことができ、アルカリ硫酸塩の存在下と同じレオロジー問題を引き起こす、硬セッコウ、特に極めて可溶性の硬セッコウがいくつか存在する。これらの硬セッコウ(主に、サーマル硬セッコウ)は、高伝導率、高pH及び高ゼータ電位を特徴とする。本発明の意味では、アルカリスルフェート活性化剤(C)としては、水に10g/Lの濃度で可溶化された場合に少なくとも10のpHを導く硬セッコウが挙げられる。
【0064】
一般に、本発明による湿式レディミックスコンクリート若しくはモルタル組成物、又は湿式プレキャストコンクリート組成物では、前記のアルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bは、0.001~0.15の範囲に含まれる。
【0065】
水(D)
有利なことには、水と水硬性バインダー組成物の質量比(D/B)は、0.08~1.0、好ましくは0.25~0.9の範囲に含まれ、より好ましくは以下の範囲を含む群、有利なことには、以下の範囲のみで構成される群において選択される:[0.25 ; 0.35[ ; [0.35 ; 0.45[ ; [0.45 ; 0.6[ ; [0.6 ; 0.9]。
【0066】
減水性ポリマー(E)
本発明によれば、減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位を含むコポリマーである:
- 単位A
【化26】
- 単位B
【化27】
- 単位C
【化28】
- 単位D
【化29】
[式中、
【化30】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40mol%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95mol%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50mol%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25mol%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状鎖である]。
【0067】
実施形態では、モノマー単位Aの量、モノマー単位Bの量、モノマー単位Cの量、モノマー単位Dの量の総計は、100モル%である。
【0068】
別の実施形態では、減水性ポリマー(E)は、少なくとも別のモノマー単位を最大20モル%の量で含む。好ましくは、少なくとも別のモノマー単位は、PCEに含まれているモノマーのいずれとも共重合することができる任意の不飽和モノマーの重合によって生じる。ただし、得られたポリマーはSika(登録商標)によって製造されたViscoCrete(登録商標) Tempo 12であることはできないことを条件とする。
【0069】
好ましくは、モノマー単位Aの量は、5~35モル%、より好ましくは10~30モル%、更により好ましくは15~25モル%である。
【0070】
好ましくは、モノマー単位Bの量は、25~95モル%、より好ましくは35~80モル%、更により好ましくは45~65モル%である。
【0071】
好ましくは、モノマー単位Cの量は、5~50モル%、より好ましくは15~40モル%、更により好ましくは20~30モル%である。
【0072】
好ましくは、モノマー単位Dの量は、0~25モル%、より好ましくは5~20モル%、更により好ましくは10~15モル%である。
【0073】
減水性ポリマー(E)がホスフェート官能基を含む実施形態では、カルボン酸モノマーに由来する構成単位の少なくとも一部分がホスフェートで置換されている。
【0074】
減水性ポリマー(E)がホスホネート官能基を含む実施形態では、カルボン酸モノマーに由来する構成単位の少なくとも一部分がホスホネートで置換されている。
【0075】
好ましくは、減水性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性である。
【0076】
好ましくは、減水性ポリマーは、5000g・mol-1~300000g・mol-1に含まれる質量による分子量を有する。
【0077】
好ましくは、減水性ポリマーの含有量は、バインダー組成物(B)の0.05~3質量%に含まれる。
【0078】
実施形態では、減水性ポリマー(E)はHPEGである。HPEGは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸モノマー、ω-ヒドロキシ-α-メタリルポリ(エチレングリコール)マクロモノマー又はω-メトキシ-α-メタリルポリ(エチレングリコール)に由来するコポリマーである。
【0079】
この実施形態では、減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位を含むコポリマーである:
- 単位B
【化31】
- 単位C
【化32】
- 単位D
【化33】
[式中、
【化34】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素であり、
は、メチルであり、
は、結合であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]。
【0080】
この実施形態では、好ましくは、モノマー単位Bの量は、25~95mol%、より好ましくは35~80mol%、更により好ましくは45~65mol%であり、モノマー単位Cの量は、5~50mol%、より好ましくは15~40mol%、更により好ましくは20~30mol%であり、モノマー単位Dの量は、1~25mol%、より好ましくは5~20mol%、更により好ましくは10~15mol%である。
【0081】
別の実施形態では、減水性ポリマー(E)はAPEGである。APEGは、A-B-A-B型のブロックコポリマーであり、A単一体はマレイン酸モノマーに由来し、B単一体はω-ヒドロキシ-α-アリルポリ(エチレングリコール)マクロモノマーに由来する。
【0082】
この実施形態では、減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位を含むコポリマーである:
- 単位A
【化35】
- 単位B
【化36】
- 単位C
【化37】
- 単位D
【化38】
[式中、
【化39】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素であり、
は、メチルであり、
は、結合であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]。
【0083】
この実施形態では、好ましくは、モノマー単位Aの量は、5~35モル%、より好ましくは10~30モル%、更により好ましくは15~25モル%であり、好ましくは、モノマー単位Bの量は、25~95モル%、より好ましくは35~80モル%、更により好ましくは45~65モル%であり、モノマー単位Cの量は、5~50モル%、より好ましくは15~40モル%、更により好ましくは20~30モル%であり、モノマー単位Dの量は、1~25モル%、より好ましくは5~20モル%、更により好ましくは10~15モル%である。
【0084】
別の実施形態では、減水性ポリマー(E)はVPEGである。VPEGはビニルエーテル系PCEである。
【0085】
この実施形態では、減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位を含むコポリマーである:
- 単位B
【化40】
- 単位C
【化41】
- 単位D
【化42】
[式中、
【化43】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素であり、
は、結合であり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]。
【0086】
この実施形態では、好ましくは、モノマー単位Bの量は、25~95モル%、より好ましくは35~80モル%、更により好ましくは45~65モル%であり、モノマー単位Cの量は、5~50モル%、より好ましくは15~40モル%、更により好ましくは20~30モル%であり、モノマー単位Dの量は、1~25モル%、より好ましくは5~20モル%、更により好ましくは10~15モル%である。
【0087】
別の実施形態では、減水性ポリマー(E)はIPEGである。IPEGは、アクリル酸モノマー及びイソプレノールポリ(エチレングリコール)マクロモノマーに由来するコポリマーである。
【0088】
この実施形態では、減水性ポリマー(E)は、以下のモノマー単位を含むコポリマーである:
- 単位B
【化44】
- 単位C
【化45】
- 単位D
【化46】
[式中、
【化47】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素であり、
は、エチルであり、
は、結合であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素又はメチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]。
【0089】
この実施形態では、好ましくは、モノマー単位Bの量は、25~95モル%、より好ましくは35~80モル%、更により好ましくは45~65モル%であり、モノマー単位Cの量は、5~50モル%、より好ましくは15~40モル%、更により好ましくは20~30モル%であり、モノマー単位Dの量は、1~25モル%、より好ましくは5~20モル%、更により好ましくは10~15モル%である。
【0090】
湿式コンクリート又は湿式モルタル組成物を調製する方法
本発明は、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうち1つに分類される湿式コンクリート又は湿式モルタル組成物を調製する方法であって、同時か否かにかかわらず、別々か否かにかかわらず、
少なくとも1つの骨材(A)、
バインダー組成物(B)、
少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、
水(D)、及び
少なくとも1つの減水性ポリマー(E)
を混合室に導入するステップを含み、
バインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化48】
- 単位B
【化49】
- 単位C
【化50】
- 単位D
【化51】
[式中、
【化52】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
前記湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物が、混合室中に上記の量のA、B、C、D及びEをすべて導入してから少なくとも2時間のあいだ同じスランプフロークラスに分類されたままである、方法にも関する。
【0091】
本発明による方法で得られた、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうちの1つに分類される湿式コンクリート又は湿式モルタル組成物の成分は、上記の箇所「レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物」に記載した特徴以外は同じ特徴を有する。
【0092】
特に、本発明による方法では、減水性ポリマー(E)は、アニオン性、カチオン性又は双性イオン性である。
【0093】
特に、本発明による方法では、前記アルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bは、0.001~0.15に含まれる。
【0094】
特に、本発明による方法では、補助セメント系材料(b3)は、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、又はそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/或いはフィラー材(b4)は、粉砕石灰石、粉砕ドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0095】
湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物を規格NF EN 206に記載されているEN 12350-2に準拠して測定された単一のスランプフロークラスに少なくとも2時間の間維持する方法
本発明は、湿式コンクリート又は湿式産業用モルタル組成物を規格NF EN 206に準拠した単一のスランプフロークラスに少なくとも2時間のあいだ維持する方法であって、前記組成物が、少なくとも1つの骨材(A)、バインダー組成物(B)、少なくとも1つのアルカリスルフェート活性化剤(C)、水(D)、及び少なくとも1つの減水性ポリマー(E)を含み、バインダー組成物(B)が、
(b1)高炉スラグ微粉末(GGBS)、
(b2)任意選択により場合によって、規格EN 197-1及びEN 197-5に準拠した、GGBS以外の少なくとも1つの水硬性バインダー、
(b3)任意選択により場合によって、1つ又は複数の補助セメント系材料、並びに
(b4)任意選択により場合によって、1つ又は複数のフィラー材
を含み、
減水性ポリマー(E)が、以下のモノマー単位:
- 単位A
【化53】
- 単位B
【化54】
- 単位C
【化55】
- 単位D
【化56】
[式中、
【化57】
は、モノマー単位の結合部位を表し、
モノマー単位Aの量は、0~40モル%であり、
モノマー単位Bの量は、25~95モル%であり、
モノマー単位Cの量は、5~50モル%であり、
モノマー単位Dの量は、0~25モル%であり、
及びRは独立に水素又はメチルであり、
は、結合、メチル、又はエチルであり、
は、結合、-CHCHO-、-CHCHOCHCHO-、又は-CHCHCHCHO-であり、
は、-(CHCHO)-R、-(CH(CH)CHO)-R、又は-(CHCHOCH(CH)CHO)-Rであり、
m、n及びyは、独立に7~100に含まれる整数であり、
は、水素、メチルであり、
は、水素、メチル、又は-CHCOOHであり、
は、-OH、-OCHOH、-OCHCHOH、-OCHCHCHOH、-OCHCH(CH)CHOH、-OCHCHCHCHOH、-NHR、ホスフェート官能基を有する基、ホスホネート官能基を有する基、又はスルホネート官能基を有する基であり、
は、2~12個の炭素原子、及び結局は1個又は複数のヘテロ原子、好ましくはO、N又はSを含む飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状鎖である]
を含むコポリマーであり、
少なくとも2時間の期間が、混合室中に上記の量のA、B、C、D及びEがすべて導入されてから始まり、
単一のスランプフロークラスが、S3、S4又はS5である、方法に更に関する。
【0096】
本発明による方法が適用される、規格NF EN 206に準拠したスランプフロークラスS3、S4及びS5のうちの1つに分類される湿式コンクリート又は湿式モルタル組成物の成分は、上記の箇所「レディミックスコンクリート若しくはモルタル、又はプレキャストコンクリート組成物」に記載された特徴以外は同じ特徴を有する。
【0097】
特に、本発明による方法においては、減水性ポリマー(E)は、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性である。
【0098】
特に、本発明による方法においては、前記アルカリスルフェート活性化剤(C)のバインダー組成物(B)に対する質量比C/Bは、0.001~0.15のあいだに含まれる。
【0099】
特に、本発明による方法では、補助セメント系材料(b3)は、フライアッシュ、機械的若しくは熱的に活性化されたクレイ、シリカヒューム、天然ポゾラン性材料、籾殻灰、又はそれらの混合物からなる群から選択され、かつ/或いはフィラー材(b4)は、粉砕石灰石、粉砕ドロマイト、大理石粉、ケイ砂、再生コンクリート細骨材、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【実施例
【0100】
コンクリートの組成及び試験:
成型後コンクリートの主なパラメータを以下に列挙する。
・ 5つの骨材のサイズ範囲を用いて最適化した顆粒骨格(Dmax=20mm)
・ 350kg/mのCEM III/B(70% GGBS+30% CEM I)
・ 水の、バインダーに対する比は0.45である(骨材からの吸水を考慮している)
・ NaSOを硬化促進剤としてバインダー含有量の1.5質量%で添加
・ コンクリートを規格NF EN 12390-2に準拠して成型し、養生した。
【0101】
規格NF EN 12350-2に準拠して、Abramsコーンを用いてスランプ試験を実現した。30分ごとに試験を行って、スランプを最大1時間30分モニタリングした。毎回新たな試験の前に、コンクリートを30秒間混合した。
【0102】
圧縮強度試験を、立方体鋳型(10×10×10cm)で、規格NF EN 12390-3に準拠して実現した。圧縮強度の結果は、試験の材齢当たり3つの立方体試料を粉砕することによって得られた平均値であった。
【0103】
モルタルの組成及び試験:
モルタル製造において使用した骨材は、NF EN 196-1に則って粒径0~2mmの標準化された石英砂であった。バインダー(セメント+GGBS)の質量を、550gで一定に維持した。顆粒と砂の比(砂に対する顆粒の比)、及び水とバインダーの比(バインダーに対する水の比)をそれぞれ2.45及び0.35に設定した。混合手順は、NF EN 196-1に従った。
【0104】
比較スランプ試験を、コーンを用いて実施し、その割合はすべて、NF EN 12350-2に準拠してAbramsコーンの半分と一致する。コンクリート手順に関して、モルタルを、3つの同じ層になるようにコーンに入れた。各層を25ストロークの圧縮棒で圧縮した。スランプ試験を同じモルタルで30分ごとに繰り返して、そのオープンタイムを評価した。毎回新しいスランプ試験の前に、NF EN 196-1に準拠して遊星型ミキサーを用いて、モルタルを高速で30秒混合した。スランプ試験を終えるとすぐに、モルタルをその混合のためのボール状容器に再導入し、湿った布で覆った。
【0105】
圧縮強度試験のために、4×4×16cmの金型中でモルタルをキャスト成型した。40×40mmの接触表面を備えたプレス機を、2.4kN/秒の負荷速度で使用した。結果は、3つの値の平均であった。
【0106】
HPEGを用いた試験の例
【0107】
例1(改善された初期流動性)- 0及び1%のNa SO に基づくCENモルタルの試験(w/b 0.4))
組成:
・ 45% GGBS-35% OPC-20% 石灰石フィラーを含むバインダー 450g
・ CEN砂 1350g
・ 0~1%のNaSO
減水性ポリマー:バインダーに対して0.06~0.45%。
【0108】
HPEG挙動を、(EN 197-5に示されているように)新しいCEM VIフォーミュラ同様の組成物で試験し、Sika(登録商標)によって製造された従来型のPCE ViscoCrete(登録商標) Tempo 12と比較した。
【0109】
HPEG生成物は、系を分散させるのにより効率的である(同じレオロジー特性のための分散の必要性がより少ない)。
【0110】
HPEGは、この百分率では初期(early age)の圧縮強度に影響しなかったが、ViscoCrete(登録商標) Tempo 12は、図1に示すように有害な影響を有する。
【0111】
【表1】
【0112】
例2(改善された初期流動性)
初期流動性のために硫酸ナトリウム活性化を使用することによって、70% GGBS及び30% CEM Iをバインダーとして用いる、普通PCEを用いたコンクリートにおけるバインダーの試験(コンクリートS4クラス)。
以下の例では、硫酸ナトリウム+普通PCEに代えてHPEG、の組合せ
【0113】
コンクリートS4スランプフローのための組成物:
・ 70% GGBS-30% OPCを含むバインダー 350kg/m
・ PSD/Dmax=22.5mmの最適化された骨材
・ W/B≦0.45
・ 1.5%のNaSO
・ 減水性ポリマー:Marla(登録商標)によって製造されたPCE Viscocrete(登録商標) Tempo 12又はHPEG RB1050(登録商標)(バインダーに対する添加量)
【0114】
図2は、プレキャスト用途に対してAbramsコーンによって行われたレオロジー測定の結果を示す。室温は、プレキャスト用途について悪化した状態をシミュレートするために、標準の研究室条件より高かった(25~26℃)。
【0115】
コンクリート用途にSika Viscocrete(登録商標) Tempo 12のようなPCE型普通減水性ポリマーを添加することによって、通常の用途に対して非常に高い添加量(バインダーに対して1.6%)にもかかわらず、S4コンクリートクラスに対応する初期流動性であるスランプ20±1cmを得ることができない。これは、初期流動性を強く悪化させるGGBS活性化としての硫酸ナトリウムの添加が原因である。
【0116】
ViscoCrete(登録商標) Tempo 12組成物についてのAbramsのコーン測定は、第1の測定(t0+9分)で16.5cmであり、次いでコンクリートを約30分間保持した後、60分以降強く硬化した。実際に、この減水性ポリマーは、アルカリスルフェートに対して特に頑強であるというわけではなく、初期にも、オープンタイムに関しても、満足できるスランプを可能にしない。
【0117】
バインダーに対して0.5%という非常に低い添加量でしか添加しなかった、RB 1050(登録商標)のようなHPEG型の減水性ポリマーの添加により、T0+7分において、24.5cmのスランプが得られた。したがって、HPEGに基づくRB 1050(登録商標)減水性ポリマーは、活性化剤として硫酸ナトリウムを含有する系の粘度を低減するのに有望である。
【0118】
図3に示すように、コンクリート試験体について2日及び28日目に測定された機械的強度(圧縮強度)に対して、HPEG添加によるいかなる悪影響も認められなかった。
【0119】
実施例3-RMX用途のような長いオープンタイム用途に対するモルタルの試験
組成(T=20℃):
・ 70% GGBS-30% OPCを含むバインダー = 550g
・ 砂 EN 196-1 = 1350g
・ W/B = 0.35
・ 1.5% NaSO
・ 減水性ポリマー:後述の通り
【0120】
いくつかの減水性ポリマーを試験し、更に2つの組合せも試験し、実際には、1つは初期流動性のために、かつ、1つはオープンタイムのために、2種の減水性ポリマーを組み合わせることはコンクリート用途において非常に一般的である。
【0121】
図4では、以下の減水性ポリマーを用いたレオロジー結果を比較している。
・ 0.25%のRB 1050(登録商標)(初期流動性のためのHPEG型)
・ 0.60%のViscoCrete(登録商標) Tempo 12(初期流動性のためのPCE型)
・ 0.20%のRB 1050(登録商標)+0.10%のMarlaによって製造されたPC 1901(登録商標)(より長い作業性のためのHPEG型)
・ 0.15%のRB 1050(登録商標)+0.20%のPC 1901(登録商標)
・ 0.15%のRB 1050(登録商標)+0.30%のSika(登録商標)によって製造されたTempoFlow(登録商標) 464(より長い作業性のためのPCE型)
【0122】
ViscoCrete(登録商標) Tempo 12を用いたモルタルは、延展(spread)が2時間にわたって減少が少ないモルタルであるが、得られた平均延展(average spread)は、対応するS4型流動性コンクリートのためには低すぎる。
【0123】
初期に最も流動性のモルタルは、0.25%のRB 1050(登録商標)単独を用いて混合されたものである。わずかな浸出が初期に現れ、したがって既にViscoCrete(登録商標) Tempo 12よりはるかに低い添加量を更に低減することができる。一方で、この混合物は、良好なレオロジー維持をもたらさず、延展値が30分と60分の間において強く低下し、350mmから270mmになり、次いで90分において150mmになる。
【0124】
図4に示すように、RB 1050(登録商標)及びPC 1901(登録商標)の組合せは、良好な初期流動性を有することを可能にし、オープンタイムを改善する(白丸の曲線)。PC 1901(登録商標)及びRB 1050(登録商標)の組合せを含むモルタルは、RB 1050を含むがPC 1901を含まないモルタルよりも低い初期延展を示すが、延展は、経時的な低下はより小さく、より長いオープンタイムを与えるものである(白丸対黒丸)。
【0125】
0.15%のRB 1050(登録商標)+0.30%のTempoflow(登録商標) 464の組合せは、延展の維持を達成することもできなかった。このことは、アルカリスルフェートが使用される場合、その組合せは効果的でないことを裏付けている。
【0126】
初期流動性のためのRB1050(登録商標)及び維持のためのPC 1901(登録商標)という複数のHPEG Marla減水性ポリマーの組合せに焦点を合わせることによって、第2の一連の試験を実施した。
【0127】
図5は、70%のGGBS-30% OPCを含むバインダーをベースにし、1.5%のNaSOが添加され、さらに以下のさまざまな減水性ポリマーの組合せが添加されたモルタルについてのAbramsミニコーンを示す。
・ 0.20% RB 1050(登録商標)+0.10% PC 1901(登録商標)(第1の一連の試験-図4
・ 0.20% RB 1050(登録商標)+0.15% PC 1901(登録商標)
・ 0.20% RB 1050(登録商標)+0.20% PC 1901(登録商標)
【0128】
同じ量のRB 1050(登録商標)の場合、PC 1901(登録商標)の増量は、実際にこれらのモルタルの良好なレオロジーを2時間にわたって維持することを可能にしたことが観察された。
【0129】
実施例4 - ペースト中で活性化された硫酸ナトリウムにおけるHPEG有効性
組成:
以下に基づくバインダーを用いて、ペーストを調製した。
25% GGBS
15% CEM I
30% SCMポゾラン
30%の2つのフィラー:20% Durcal(登録商標) 65、10% Betocarb(登録商標)F-SL
【0130】
使用された水の粉末に対する比は0.40を用い、これは、レオロジーのいかなる差異も大きく見えるように、かつ、より悪いレオロジー状態になるように選択した。
・ 硫酸ナトリウム = 0%又は2% bwp(バインダーに対する質量百分率)
・ 減水性ポリマー:Sikaによって製造されたHPEG RB-1050(登録商標)及びPCE Sika Viskocrete 125 P(粉末形態)
【0131】
すべてのペーストを、同じ試験手順にかけた。
【0132】
粉末を200rpmで30秒間均質化した後に、水及び減水性ポリマーを添加した。これらの添加後に、ペーストを150rpmで30秒間、及び650rpmで1分混合した。混合レオロジー手順を使用して、レオロジー的挙動の進展を追跡した。レオメータに入れたら、ペーストを、せん断速度が0.1秒-1から100秒-1まで変動するサイクルに3回かけた。フロースイープの各測定の間に、非破壊法として20分の小振幅振動試験を行った。ここで提示する場合、見掛け粘度は、せん断速度及び0.1秒-1のせん断速度における降伏応力の最後の2点間で測定される。試験は全体で約60分続く。
【0133】
降伏応力(図6)に関して、HPEG RB-1050(登録商標)は、時間ゼロと60分後のあいだ、硫酸ナトリウムが存在するために降伏応力の変化が少なくなったことを示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】