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特表2025-502543手動式医療器具のシャフト又は手動式医療器具のためのシャフト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】手動式医療器具のシャフト又は手動式医療器具のためのシャフト
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544879
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2023051398
(87)【国際公開番号】W WO2023144036
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022101885.7
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ バーク
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン グリム
(72)【発明者】
【氏名】リリアン キリンガー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL04
4C160LL09
4C160NN07
4C160NN08
4C160NN23
(57)【要約】
本開示は、手動医療器具(42)、好ましくは低侵襲の外科器具の/のためのシャフト(1)であって、近位シャフト部(2)と、近位シャフト部(2)に対して回転する過程で傾斜する遠位シャフト部(4)と、シャフト(1)内に配置され、近位シャフト部(2)から遠位シャフト部(4)へ回転運動を伝達する歯車セット(7)とを備えるシャフト(1)に関する。歯車セット(7)は、回転運動を遠位シャフト部(4)へ伝達する管状の伝達要素(18)を備える。伝達コンポーネント/要素(18)は、2つの軸方向に離間した接続部と、複数の凹部(32)が形成されている中央屈曲部分とを有する管状片であり、これらの凹部は、周方向および管の長手方向の両方で離間しており、略卵形/楕円形であり、周方向に延び、先細の凹部端部を有し、中央屈曲部が平面に展開されたときに斜めの凹部パターンが生じるように互いに対して配置されいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ハンド器具(42)、好ましくは低侵襲の外科用器具の/ためのシャフト(1)であって、
近位シャフト部(2)と、前記近位シャフト部(2)に対して回転することによって傾斜する遠位シャフト部(4)と、
前記シャフト(1)内に配置される歯車列(7)であって、前記近位シャフト部(2)内の前記歯車列(7)の回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達する歯車列(7)と、を備え、
前記歯車列(7)は、前記回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達し、両シャフト部(2、4)間の傾斜を可能にする管状の伝達コンポーネント/要素(18)を備え、
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、2つの軸方向に離間した端部(26、28)と中央屈曲部(31)とを有する管状片を有するか、または管状片であり、
前記中央屈曲部(31)には、先細りの凹部端部を有し、前記周方向および前記管長手方向に離間しており、前記周方向に延びる複数の略長円形/楕円形の凹部(32)が形成されており、
前記凹部は、前記中央屈曲部(31)が前記平面に展開されたときに斜めの凹部パターンとなるように、互いに対して配置されていることを特徴とする、シャフト(1)。
【請求項2】
軸方向に離間した前記凹部(32)は、重複部(38)において、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記周方向で重複しており、
前記重複部(38)の長さは、好ましくは、前記凹部(32)の長さの3分の1であることを特徴とする、請求項1に記載のシャフト(1)。
【請求項3】
前記重複部(38)は、前記凹部(32)の最大厚さの領域を画定することを特徴とする、請求項2に記載のシャフト(1)。
【請求項4】
前記伝達コンポーネント/要素(18)の近位端部(26)は、ブッシュ(14)に回転的に固定されて接続されており、
前記ブッシュ(14)は、前記近位シャフト部(2)内の前記歯車列(7)から前記伝達要素(18)へ前記回転運動を伝達することを特徴とする、請求項1から3の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項5】
前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記近位端部(26)には、複数の長手方向スリット(34)が設けられており、
複数の前記長手方向スリット(34)は、前記近位端部(26)で開口しており、各々が、前記ブッシュ(14)から半径方向に突出するラッチノーズ(36)を受容するように設けられ、構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のシャフト(1)。
【請求項6】
前記歯車列(7)は、前記ブッシュ(14)と、中空輪(8)と、ピニオン(10)とを備え、
前記ピニオンは、前記中空輪(8)によって駆動され、
前記ブッシュ(14)は、軸方向で前記ピニオン(10)に固定接続されていることを特徴とする、請求項4または5に記載のシャフト(1)。
【請求項7】
前記ブッシュ(14)は、圧入によって前記ピニオン(10)に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載のシャフト(1)。
【請求項8】
前記近位シャフト部(2)は、前記近位シャフト部(2)の外管(6)内に固定配置されている偏心ロックスリーブ(12)を有し、
前記ブッシュ(14)は、前記偏心ロックスリーブ(12)内で、回転可能かつ前記近位シャフト部(2)の中心軸に対して中心をずらして取り付けられていることを特徴とする、請求項4から7の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項9】
前記伝達コンポーネント/要素(18)の遠位端部(28)は、調整ブッシュ(16)に強固に接続されており、
前記調整ブッシュ(16)は、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達することを特徴とする、請求項1から8の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項10】
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、前記調整ブッシュ(16)の内側に溶接されていることを特徴とする、請求項9に記載のシャフト(1)。
【請求項11】
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、前記2つのシャフト部(2,4)が直線構成位置にあるときに、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記近位端部(26)が前記近位シャフト部(2)の前記中心軸に平行となり、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記遠位端部(28)が前記遠位シャフト部(4)の前記中心軸に対して22.5度の角度となるように、22.5度の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項1から10の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項12】
外周が5.6mm未満であることを特徴とする、請求項1から11の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項13】
前記伝達コンポーネント/要素(18)は単一部品として形成されていることを特徴とする、請求項1から12の1つに記載のシャフト(1)。
【請求項14】
請求項1から13の1つに記載のシャフト(1)と、近位ハンドピース(44)とを備える医療用ハンド器具(42)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用ハンド器具のシャフト又は医療用ハンド器具のためのシャフトおよび医療用ハンド器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、医療用ハンド器具のための角度付きシャフトが知られている。このタイプの医療用ハンド器具は、例えば、低侵襲手術で使用されるドリルやフライスカッタである。これらは通常、本開示の主題のように、器具シャフトが取り付けられるか又は取り付け可能なハンドルを有する。シャフト内には駆動系または動力系が収容されており、この駆動系または動力系が、好ましくはハンドル内の駆動源/モータユニットからシャフトの遠位端部にあるエフェクタ(フライスカッタ、ドリル)へトルクを伝達する。
【0003】
外科的処置において、器具の設置スペースや取り扱い易さは重要な役割を果たす。特に、器具シャフトの遠位エフェクタが設けられている部分は、可能な限り省スペースでアクティブに屈曲可能であるべきである(作動機構によって意図的に実施される)。
【0004】
この目的のために、例示的なシャフトは、遠位シャフト部と近位シャフト部を有する。遠位シャフト部は、その長手方向軸を中心として近位シャフト部に対して回転可能である。これら2つのシャフト部の対向する支持面が、シャフトの長手方向軸に対して90°ではない角度で同じように傾むいている/傾斜しているので、遠位シャフト部を回転させることによって、遠位シャフト部が近位シャフト部に対して傾けられる又は真っ直ぐにされる。このようにして、ハンド器具の使用時に、医療用ハンド器具のシャフト、ひいてはエフェクタを、ハンドルに対して傾斜させることができる。
【0005】
遠位シャフト部を回転させることによって近位シャフト部に対して遠位シャフト部を傾斜させるためには、回転運動または回転が近位シャフト部から遠位シャフト部へ伝達される必要がある。このために、シャフト内に歯車列が設けられており、この歯車列は、近位シャフト部では回転可能に取り付けられており、遠位シャフト部では回転不能に取り付けられている。そのため、シャフトが傾けられた時点で、歯車列のうちの適切なシャフト回転機構を介して遠位シャフト部へトルクが伝達される必要があり、このシャフト回転機構も屈曲可能/傾斜可能でなければならない。したがって、シャフト回転機構は、同時に屈曲可能な/偏向可能なシャフトの部分において、必要なねじり剛性を有するコンポーネントまたは構造を必要とする。さらに、シャフトの外周は可能な限り小さいほうがよく、シャフトは、できる限り正確に遠位シャフト部を回転させることができる、つまり傾斜させることができるものであるべきである。また、シャフト内部には、エフェクタ自体の駆動系のための十分なスペースが必要とされる。
【0006】
本願出願人の内部先行技術は可撓性のバネ板を提案しており、このバネ板は、前述のコンポーネントまたは構造として、バネ板の一端に球体を有する。可撓性バネ板は近位シャフト部と遠位シャフト部とを接続しており、これらのシャフト部は互いに回転するように構成されている。球体は、軸方向に移動可能かつ回転を伝達するように、一方のシャフト部の溝に挿入されている。球体とは反対側のバネ板の端は、もう一方のシャフト部に強固に接続されている。一方のシャフト部が回転すると、バネ板がその回転を伝達する。ただし、バネ板は、遠位シャフト部と共に、近位シャフト部に対して傾斜する/よじれるように屈曲することもできる。
【0007】
しかしながら、この構造では、必要なトルクを遠位シャフト部へ伝達できないことが判明した。そこで、他の実施形態が提案されたが、様々な理由から、いずれも遠位シャフト部と近位シャフト部との間のシャフト回転機構として適したものではなかった。例えば、可撓性のシリコンチューブも検討されたが、これでは、近位シャフト部内の歯車列から遠位シャフト部へ必要なトルクを伝達することができない。蛇腹状の金属チューブやラビリンス状の凹部を有する金属チューブも提案された。しかしながら、いずれの実施形態も、抵抗が非常に小さい角度偏向を達成するのに十分な柔軟性があるということが証明されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような問題に鑑み、本開示の目的は、前述の機能原理に従って傾斜可能であり、外周が小さく、かつ、傾斜した状態でも、確実かつ反応よく近位シャフト部から遠位シャフト部への回転運動を伝達する、医療用ハンド器具のための器具シャフトを提供することである。さらに、傾斜運動は、可能な限り滑らかであるべきである。
【0009】
この目的は、本開示によれば、請求項1の特徴を有する医療用ハンド器具のためのシャフトによって達成される。この目的はさらに、請求項15の特徴を有する医療用ハンド器具によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本開示は、近位シャフト部と遠位シャフト部とを有する、医療用ハンド器具、好ましくは低侵襲型の外科用器具の/ためのシャフトに関する。遠位シャフト部は、近位シャフト部に対して回転し、好ましくはシャフトの長手方向に対して同じように傾斜する端部ベアリング面に起因して、傾斜するし、真っ直ぐにもなる。トルク伝達コンポーネント/要素を有する歯車列は、特に、シャフト内の遠位シャフト部と近位シャフト部の傾斜機構接触領域に設けられており、歯車列は、近位シャフト部内の歯車列から遠位シャフト部へ回転運動または回転を伝達する。したがって、歯車列は、回転運動を遠位シャフト部へ伝達し、2つのシャフト部間の傾斜を可能にする管状の伝達コンポーネント/要素を有する。本開示によれば、管状の伝達コンポーネント/要素は、複数のスロット状の楕円凹部を有し、これらの凹部の各々は、先端部を有し、伝達コンポーネント/要素の周方向に延びている。さらに、凹部は、コンポーネントの長手方向に離間する複数の平面上に配置されており、隣接する2つの平面上の凹部が周方向で互いにオフセットするように、各平面上で周方向に離間して配置されている。
【0011】
換言すれば、伝達コンポーネント/要素は、軸方向に離間した2つの接続部/端部と、複数の略長円形/楕円形の周方向スリットを有する中央屈曲部とを有する管状片からなり、スリットは、先細のスリット端を有し、周方向および管の長手方向に離間しており、中央屈曲部が平面に展開されたときに斜めのスリットパターンが形成されるように互いに配置されている。
【0012】
遠位シャフト部は、シャフトの長手方向軸を中心として近位シャフト部に対して回転可能である。互いに対向する遠位シャフト部の端面と近位シャフト部の端面の各々は、シャフトの長手方向軸に対して作用角度を有する。遠位シャフト部が近位シャフト部に対して回転すると、遠位シャフト部は、近位シャフト部に対して2つの(等しい)作用角度だけ傾斜する。遠位シャフト部を回転させるのに必要な回転運動/回転は、近位シャフト部内の歯車列によって、好ましくは近位シャフト部上の調整輪によって生じる。回転は、近位シャフト部内の歯車列と伝達要素/コンポーネントとによって遠位シャフト部へ伝達される。伝達要素/コンポーネントは、実質的に、管状外壁を有する(可撓性の)金属管または金属スリーブである。金属管/金属スリーブの管状壁は、複数の細長い楕円形の凹部/切込み/切欠き/スリットを備える。長円形/楕円形の細長い凹部の両端は先細りになっている。凹部は、管状壁の周方向に延びており、周方向および長手方向の両方で互いに隣り合い、離間するように配置されている。凹部は、長手方向に離間している凹部が、細長い凹部の長手方向、すなわち周方向で(完全にではなく)部分的に互いに交差/重複するように、周方向に互いにオフセットされている。重複する凹部は、重複部を形成する。重複部は、凹部の長手方向または管状壁の周方向における凹部の長さよりも小さい/短い。
【0013】
本開示によるシャフトは、以下の利点を有する。
【0014】
凹部によって、可撓性の伝達要素が形成される。伝達要素は、管状壁において連続的な中実材料の割合が高いので、要求されるねじり剛性を有し、さらに、特に周方向スリットが先細りの長円/楕円形状をしているので、要求される柔軟性も有する。特許請求の範囲に記載される形状の剛性のおかげで、薄肉の金属管や鋼管を使用することが可能なので、伝達要素の外周を小さくすることができる。これは、例えば、エフェクタ用の動力系を収容するためのシャフト内の設置スペースの観点で有利である。凹部の構成のおかげで、伝達要素は、高いねじり剛性を有するとともに、優れた屈曲性をも有する。伝達要素/コンポーネントでは材料が直接分断されないので、伝達要素/コンポーネントは高い剛性を有する。
【0015】
長円形/楕円形の凹部は、伝達要素をあらゆる角度で圧縮することを可能にする。したがって、伝達要素はあらゆる方向で可撓性を有する。凹部が重複するということは、(連続する)中央クロスピースがないことを意味する。これにより、伝達要素はバネ効果を有する。楕円形の凹部は、伝達要素の破断挙動も改善する。ノッチ応力は、直線状の凹部の尖った縁部よりも楕円形の凹部の方が低い。
【0016】
本開示の有利なさらなる実施形態は、添付の従属請求項の主題である。
【0017】
本開示の任意の態様によれば、伝達要素の管状外壁は、伝達要素が長手方向に屈曲できるように切り欠かれている。伝達要素はねじり剛性も有する。遠位シャフト部を曲げることにより、伝達要素がその長手方向にアーチ状に曲がる。したがって、伝達要素がその長手方向軸に屈曲可能であると有利である。伝達要素はまた、歯車列から遠位シャフト部へ回転を伝達する。したがって、伝達要素はトルクを伝達する。したがって、伝達要素のねじり剛性が高いことは有利である。
【0018】
本開示のさらなる任意の態様によれば、重複部において複数の凹部が重なっており、重複部の長さは、好ましくは、凹部の長さの3分の1である。この重複によって、高いねじり剛性と高い屈曲性が保証される。
【0019】
本開示のさらなる任意の態様によれば、重複部は、凹部の最大厚さを有する領域ではなく、凹部の端部領域に位置している。これにより、複数の凹部を互いに近接して配置することができるので、伝達要素の屈曲性または可撓性を改善/向上させることができる。
【0020】
伝達コンポーネント/要素の近位端部は、歯車列の中空輪によって駆動されるピニオンに接続されたブッシュに回転可能に固定されていることが好ましい。ブッシュは、伝達コンポーネント/要素を駆動し、歯車列の回転運動を伝達コンポーネント/要素へ伝達する。これにより、近位シャフト部内の歯車列からのトルクが、中空輪、ピニオン、およびブッシュを介して伝達コンポーネント/要素へ伝達される。そして、伝達コンポーネント/要素は、近位シャフト部から遠位シャフト部へトルクを伝達することができる。このように、簡単で故障に強いトルク伝達を提供することができる。
【0021】
本開示のさらなる任意の態様によれば、伝達要素の近位端/近位端部は、歯車列の回転運動/回転を伝達要素へ伝達するブッシュに回転可能に固定されている。管状の伝達要素は、遠位端/遠位端部と近位端/近位端部とを有する。その後、回転は伝達要素を介して遠位シャフト部へ伝達される。
【0022】
本開示のさらなる任意の態様によれば、伝達要素の近位端には、近位端面に向かって開口した複数の細長い穴または長手方向スリットが設けられており、これらの穴/スリットは、好ましくは直径方向で対向しており、各々が、ブッシュの周壁から半径方向内側へ突出するブッシュのノーズまたは係止ノーズを受容するように設けられ、構成されている。長手方向スリットは、突出する係止ノーズが細長い穴と係合するように構成され、形成されており、近位端で開口している。これにより、係止ノーズは、細長い穴内で軸方向に動くことができるとともに、固定される/半径方向に動くことができない、または周方向で回転的に固定される。このように、ねじ付きケーブルの回転が伝達要素へ伝達され、接続は静的に決定される。
【0023】
本開示のさらなる任意の態様によれば、歯車列は、近位シャフト部の中心軸に対して中心をずらして配置されたピニオンと噛み合い係合する中空輪を有し、ピニオンは、軸方向に配置されたブッシュに固定接続されている。中空輪は、調整輪に動作的に接続されているので、調整輪を介して駆動される。従って、調整輪によって生じる歯車列の回転は、ピニオンを介して中空輪からブッシュへ伝達され、ブッシュからブッシュに回転可能に固定されている伝達要素/コンポーネントへ伝達される。
【0024】
本開示のさらなる任意の態様によれば、ブッシュは圧入によってピニオンに接続されている。これにより、ブッシュとピニオンとが回転方向に固定され、好ましくは軸方向に固定される。
【0025】
本開示のさらなる任意の態様によれば、歯車列は、近位シャフト部の外管内に配置される偏心ロックスリーブを有しており、ブッシュは、偏心ロックスリーブ内で回転的に取り付けられている。したがって、偏心ロックスリーブは、軸方向に延びる、偏心した軸受穴を有しており、ブッシュは、軸受穴内に摺動可能に取り付けられている。偏心ロックスリーブがあることによって、ブッシュ、ひいては伝達要素は、近位シャフト部の外管のちょうど中心には配置されない。ブッシュと伝達要素のこの非中心配置により、管状の伝達要素内で案内される遠位エフェクタのための動力系が長距離にわたって屈曲されるので、屈曲による負荷が小さい。
【0026】
本開示のさらなる任意の態様によれば、伝達要素/コンポーネントの遠位端は、調整ブッシュに固定接続されており、調整ブッシュは、伝達要素の回転運動を、シャフト先端を有するか又はシャフト先端を構成する遠位シャフト部へ伝達する。伝達要素が調整ブッシュに固定接続されていることによって、近位シャフト部内の歯車列の回転が、伝達要素によって遠位シャフト部へ伝達される。調整ブッシュは、好ましくは、軸方向に延びる、偏心配置されたピンを有し、このピンは、遠位シャフト部と形状嵌合的に係合し、調整ブッシュと共に回転する、つまり遠位シャフト部を回転させる。
【0027】
本開示のさらなる任意の態様によれば、伝達要素は調整ブッシュの内面に溶接されている。溶接によって、回転方向の固定接続が実現される。
【0028】
本開示のさらなる任意の態様によれば、近位シャフト部が遠位シャフト部に対して直線構成位置にあるとき、伝達要素は近位シャフト部に対して22.5°傾斜している。遠位シャフト部は、伝達要素を回転軸として回転するとき、近位シャフト部に対して45°傾斜することができる。これは、伝達要素を22.5°曲げることによって可能となる。
【0029】
本開示のさらなる任意の態様によれば、シャフトの外周は5.6mm未満である。この小さなシャフト外周は、伝達要素の構成によって実現される。凹部の構成により、必要なねじり剛性と小径とを備えた屈曲可能な伝達要素を実現することができる。
【0030】
本開示のさらなる任意の態様によれば、伝達要素は単一部品として形成されている。例えば、平らな金属薄板において凹部を斜めパターンで打ち抜き、その薄板を管状の伝達要素へと成形し、場合によっては溶接する。単一部品構成とは、伝達要素の個々の要素間にヒンジや接続リンクなどが必要でないことを意味する。これにより、組み立てコストを削減できる。
【0031】
換言すれば、医療用ハンド器具、好ましくは低侵襲の外科用器具の/のためのシャフトは、近位シャフト部と、近位シャフト部に対して回転することで傾斜する遠位シャフト部と、シャフト内に配置される歯車列であって、近位シャフト部内の歯車列の回転運動を遠位シャフト部へ伝達する歯車列とを備え、歯車列は、回転運動を遠位シャフト部へ伝達し、両シャフト部間の傾斜を可能にする管状の伝達コンポーネント/要素を備え、伝達コンポーネント/要素は、2つの軸方向に離間した端部と中央屈曲部とを有する管状片を備えるか、または管状片であり、伝達コンポーネント/要素の近位端部(26)は、歯車列の中空輪によって駆動されるピニオンに接続されたブッシュに回転的に固定されており、ブッシュは、歯車列の回転運動を伝達コンポーネント/要素へ伝達する伝達コンポーネント/要素を駆動し、先細の凹部端を有する複数の略長円形/楕円形の凹部であって、周方向および管長手方向に離間して配置され、周方向に延びる凹部が、中央屈曲部に形成されており、凹部は、中央屈曲部が平面に展開されたときに斜めの凹部パターンとなるように、互いに対して配置されてる。
【0032】
伝達コンポーネント/要素の近位端部に複数の長手方向スリットが設けられており、これらのスリットは、近位端部で開口しており、各々がブッシュから半径方向に突出するラッチノーズを受容するように設けられ、構成されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0033】
歯車列が、ブッシュと、中空輪と、ピニオンとを備え、ピニオンが中空輪によって駆動されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0034】
ブッシュが圧入によってピニオンに接続されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0035】
軸方向に離間した凹部が、重複部において伝達コンポーネント/要素の周方向で重複し、重複部の長さが、好ましくは凹部の長さの3分の1であるように、シャフトが設計されていてよい。
【0036】
重複部が凹部の最大厚さ領域を画定するように、シャフトが設計されていてよい。
【0037】
近位シャフト部が偏心ロックスリーブを有し、偏心ロックスリーブが近位シャフト部の外管内に固定配置されており、偏心ロックスリーブ内で、ブッシュが、近位シャフト部の中心軸に対して回転可能かつ中心をずらして取り付けられるように、シャフトが設計されていてよい。
【0038】
伝達コンポーネント/要素の遠位端が、伝達コンポーネント/要素の回転運動を遠位シャフト部へ伝達する調整ブッシュに強固に接続されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0039】
伝達コンポーネント/要素が調整ブッシュの内部に溶接されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0040】
2つのシャフト部が直線構成位置にあるときに、伝達コンポーネント/要素は22.5°の角度で傾斜しており、伝達コンポーネント/要素の近位端部が近位シャフト部の中心軸と平行になり、伝達コンポーネント/要素の遠位端部が遠位シャフト部の中心軸に対して22.5°の角度で傾斜するように、シャフトが設計されていてよい。
【0041】
外周が5.6mm未満となるようにシャフトが設計されていてよい。
【0042】
伝達コンポーネント/要素が単一部品として形成されるように、シャフトが設計されていてよい。
【0043】
本開示の目的は、先の態様の1つによるシャフトと近位ハンドピースとを備える医療用ハンド器具によっても達成される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本開示による医療用ハンドピースのシャフトの縦断面を示す。
図2】本開示の第1実施形態による伝達要素の等角図を示す。
図3】第1実施形態による伝達要素を調整ブッシュと共に示す。
図4】本開示によるシャフトの断面を示す。
図5】ピニオンに接続されたブッシュの等角図を示す。
図6】本開示による直線状のシャフトの縦断面を示す。
図7】本開示による傾斜したシャフトの縦断面を示す。
図8】本開示の第1実施形態による、複数の凹部を有する伝達要素が展開された状態の上面図を示す。
図9】本開示の第2実施形態による伝達要素の側面図を示す。
図10】本開示の第3実施形態による伝達要素の側面図を示す。
図11】本開示の第4実施形態による伝達要素の側面図を示す。
図12】本開示の第5実施形態による伝達要素の側面図を示す。
図13】本開示によるハンド器具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示の実施形態を、添付の図に基づいて以下に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、本開示による(器具)シャフト1の縦断面を示す。シャフト1は、近位シャフト部2および遠位シャフト部4を有する。近位シャフト部2は外管6を有する。シャフト1の外管6内には、歯車列7が配置されている。歯車列7は、中空輪8と、ピニオン10と、偏心ロックスリーブ12と、ブッシュ14とを有する。中空輪8は、外管6内に配置されており、手動で操作され得る調整輪(図示せず)によって駆動される。中空輪8の内側ギア歯がピニオン10の外側ギア歯と噛み合っていることによって、中空輪8がピニオン10を駆動する。ピニオン10は、(図5に示すように)軸方向でブッシュ14に強固に接続されており、ブッシュ14は、偏心ロックスリーブ12内に配置されているので、近位シャフト部の中心軸に対して中心がずれて配置されている。歯車列7は、調整ブッシュ16と伝達コンポーネント/要素18とをさらに有する。
【0047】
遠位シャフト部4は遠位シャフト先端部20を有する。調整ブッシュ16は、調整ブッシュ16の中心軸に対して中心をずらして配置され、調整ブッシュ16の遠位方向に軸方向に延びるピン22を有する。ピン22は、遠位シャフト部4の近位端に形状嵌合的に係合している。したがって、調整ブッシュ16と遠位シャフト先端部20とは、遠位シャフト部4を介して互いに回転的に固定されている。伝達要素18は、調整ブッシュ16とブッシュ14とを軸方向に接続している。従って、歯車列7、特に伝達要素18は、調整輪(図示せず)からの回転を遠位シャフト部4へ伝達する。シャフト先端部20に取り付けられたエフェクタ24(例えば、フライスカッタまたはドリル)のための駆動系が、近位シャフト部2および遠位シャフト部4の内部に設けられており、駆動系または動力系が、歯車列7を介して、特に伝達要素18、ピニオン10、および中空輪8を介して、部分的に中央で案内される。
【0048】
図2は、第1実施形態による伝達要素18を示す。伝達要素18は、実質的に、軸方向で部分的に可撓性を有する管であり、近位端/近位端部または接続部26と、遠位端/遠位端部または接続部28とを有する。管状伝達要素18の管壁30は、軸方向中央屈曲部31において、多数/複数の楕円形の細長い凹部32を有する。凹部32は、ほぼ楕円形の隙間/スリットの形状を有しており、凹部の端部は先細りになっている。凹部32は、管状伝達要素18の周方向を長手方向として延びており、伝達要素18の端部26、28のそれぞれから長手方向に離間しており、近位端/近位端部26の方向にオフセットしている。凹部32は、伝達要素18の長手方向または軸方向で互いに離間しており、かつ伝達要素の周方向で互いにオフセットしているので、管壁が平面で傾斜したときに凹部32の斜めパターンが生じる。凹部32の構成については、以下で詳細に説明する。
【0049】
伝達要素18の近位端26は、2つの対向する細長い穴/長手方向スリット34を有する。長手方向スリット34は、伝達要素18の長手方向に延びている。すなわち、長手方向スリット34は、凹部32を有する中央屈曲部31の方へ延びているが、中央屈曲部31からは離間している。
【0050】
図3は、遠位端28で調整ブッシュ16に接続されている状態の伝達要素18を示す。伝達要素18は、好ましくは調整ブッシュ16に溶接されている。調整ブッシュ16は、実質的に金属リングである。リングの内径は伝達要素18の直径とほぼ同じであり、伝達要素18はリングの内側に接続されている。ピン22は、調整ブッシュ16の遠位面に設けられている。ピン22は、遠位シャフト部4に形状嵌合的に係合する。伝達要素18が回転すると、調整ブッシュ16も回転する。すると、ピン22は、遠位シャフト部4を介して遠位シャフト先端部20を共回転させる。このようにして、伝達要素18は、近位シャフト部2内の歯車列7の回転を遠位シャフト部4へ伝達する。
【0051】
図4は、シャフト1の断面を示す。伝達要素18は、ブッシュ14内で回転的に固定されている。伝達要素18は、軸方向に動くことができる。半径方向において、ブッシュ14の半径方向に突出するラッチノーズ36が、伝達要素18の長手方向スリット34に係合する。突出するラッチノーズ36は、ブッシュ14の回転を伝達要素18へ伝達する。図5に示すように、ブッシュ14はピニオン10に強固に接続されている。ラッチノーズ36は、互いに対向しており、ブッシュ14の周壁から半径方向内側へ突出している。ブッシュ14は、好ましくは干渉嵌合によってピニオン10に接続されている。ブッシュ14は、近位シャフト部2の外管6内にあるスペーサスリーブまたはスペーサである偏心ロックスリーブ12内に取り付けられている。
【0052】
図6は、シャフト1の縦断面を示す。この図では、シャフト1は直線状である。伝達要素18の近位端/近位端部26がブッシュ14に強固に接続されており、遠位端/遠位端部28が調整ブッシュ16の内側に強固に接続されている様子が示されている。この構成により、ピニオン10からブッシュ14を介して伝達要素18へトルクが伝達され、さらに調整ブッシュ16および遠位シャフト部4へトルクが伝達される。図7は、屈曲したシャフト1の縦断面を示す。図6と比較すると、ピン22を有する調整ブッシュ16がその長手方向軸を中心として180°回転していることが分かる。したがって、遠位シャフト先端部20も180°回転している。遠位シャフト部4および近位シャフト部2の外管6の端面が傾斜していることによって、遠位シャフト部4は、その長手方向軸を中心とする回転と同時に、近位シャフト部2に対して傾斜する。この位置では、遠位シャフト部4と近位シャフト部2は、互いに45°の角度をなしている。
【0053】
図8は、伝達要素18のシート/外管/カバー材30を平面に展開した状態を示している。伝達要素18は複数の凹部32を有する。凹部32は、楕円形であり、伝達要素18の長手方向に対して横方向に、すなわち管状伝達要素18の周方向に延びている。伝達要素18は、重複部38を有し、重複部38では、凹部32が、その長手方向、すなわち管状伝達要素18の周方向で互いに重複している。重複部38の長さは、凹部32の大きい範囲よりも小さい。重複部38の長さは、好ましくは凹部の長さの3分の1である。
【0054】
以下では、凹部32の形状に関する変形例について、図9図12を参照して説明する。
【0055】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態による伝達要素18の側面図を示す。この図から分かるように、接続要素の長手方向での凹部の厚さは、軸方向に離間した凹部間の材料クロスピースが厚くなる(または薄くなる)ように選択されてよい。つまり、スリットの数や個々のスリットの軸方向の間隔が同じであっても、凹部/スリットの幅を選択することによって、曲げ剛性を実質的に調整できるということである。図9では、スリット幅が小さいので、軸方向に隣接するスリット間のクロスピース幅は大きい。
【0056】
(第3実施形態)
図9とは対照的に、図10は、第2実施形態よりも楕円形の凹部32の幅が伝達要素の軸方向に大きい(したがって、中央クロスピースが小さい)第3実施形態による伝達要素18の側面図を示す。これにより、凹部32の両側のノッチ応力が低減される。さらに、凹部32の周方向の長さが短くなっており、周方向で離間する楕円凹部32間に十分な肉厚が確保されている。
【0057】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態による伝達要素18の側面図を示す。第4実施形態では、楕円形の凹部32の周方向の長さが長くなっている。これにより、凹部32の重複を大きくすることができ、伝達要素18は可撓性を得る。一方、凹部32の厚さは小さくなっている。これにより、個々の凹部32間に十分な肉厚が確保されている。したがって、ノッチ応力は大きくなる。このように、第4実施形態は、第3実施形態とは正反対である。
【0058】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態による伝達要素18の側面図を示す。凹部32間の中央クロスピース40は全て同じ肉厚を有する。これにより、ノッチ応力を増加させることなく、伝達要素18の可撓性を高めることができる。
【0059】
伝達要素18の壁の厚さは、好ましくは0.2mmである。伝達要素18の外周は、好ましくは2.5mmである。伝達要素18は鋼1.4301で作られていることが好ましい。伝達要素18はニチノールのような形状記憶合金で作られていることがさらに好ましい。これにより、可撓性と寸法安定性が向上する。伝達要素18を、例えば、伝達可能なトルクを増大させる、1.4197などの高性能鋼合金から作ることも考えられる。
【0060】
図13は、シャフト1とハンドピース44とを備える、本開示によるハンド器具42を示す。ハンド器具42は、例えば、ドリルまたはフライスカッタである。
【符号の説明】
【0061】
1 :シャフト
2 :近位シャフト部
4 :遠位シャフト部
6 :外管
7 :歯車列
8 :中空輪
10 :ピニオン
12 :偏心ロックスリーブ
14 :ブッシュ
16 :調整ブッシュ
18 :伝達要素
20 :遠位シャフト先端部
22 :ピン
24 :フライスカッタ
26 :伝達要素の近位端
28 :伝達要素の遠位端
30 :伝達要素の外壁
31 :中央屈曲部
32 :凹部
34 :長手方向スリット
36 :ラッチノーズ
38 :重複部
40 :中央クロスピース
42 :ハンド器具
44 :ハンドピース

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ハンド器具(42)の/ためのシャフトであって、
近位シャフト部と、前記近位シャフト部に対して回転することによって傾斜する遠位シャフト部と
前記シャフト内に配置される歯車列であって、前記近位シャフト部内の前記歯車列の回転運動を前記遠位シャフト部へ伝達する歯車列と、を備え、
前記歯車列は、前記回転運動を前記遠位シャフト部へ伝達し、両シャフト部間の傾斜を可能にする管状の伝達コンポーネント/要素を備え、
前記伝達コンポーネント/要素は、2つの軸方向に離間した端部と中央屈曲部とを有する管状片を有するか、または管状片であり、
前記中央屈曲部には、先細りの凹部端部を有し、前記周方向および前記管長手方向に離間しており、前記周方向に延びる複数の略長円形/楕円形の凹部が形成されており、
前記凹部は、前記中央屈曲部が前記平面に展開されたときに斜めの凹部パターンとなるように、互いに対して配置されていることを特徴とする、シャフト。
【請求項2】
軸方向に離間した前記凹部は、重複部において、前記伝達コンポーネント/要素の前記周方向で重複していることを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項3】
前記重複部の前記長さは、前記凹部の長さの3分の1であることを特徴とする、請求項2に記載のシャフト。
【請求項4】
前記重複部は、前記凹部の最大厚さの領域を画定することを特徴とする、請求項2に記載のシャフト。
【請求項5】
前記伝達コンポーネント/要素の近位端部は、ブッシュに回転的に固定されて接続されており、
前記ブッシュは、前記近位シャフト部内の前記歯車列から前記伝達要素へ前記回転運動を伝達することを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項6】
前記伝達コンポーネント/要素の前記近位端部には、複数の長手方向スリットが設けられており、
複数の前記長手方向スリットは、前記近位端部で開口しており、各々が、前記ブッシュから半径方向に突出するラッチノーズを受容するように設けられ、構成されていることを特徴とする、請求項に記載のシャフト。
【請求項7】
前記歯車列は、前記ブッシュと、中空輪と、ピニオンとを備え、
前記ピニオンは、前記中空輪によって駆動され、
前記ブッシュは、軸方向で前記ピニオンに固定接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のシャフト。
【請求項8】
前記ブッシュは、圧入によって前記ピニオンに接続されていることを特徴とする、請求項に記載のシャフト。
【請求項9】
前記近位シャフト部は、前記近位シャフト部の管内に固定配置されている偏心ロックスリーブを有し、
前記ブッシュは、前記偏心ロックスリーブ内で、回転可能かつ前記近位シャフト部の中心軸に対して中心をずらして取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載のシャフト。
【請求項10】
前記伝達コンポーネント/要素の遠位端部は、調整ブッシュに強固に接続されており、
前記調整ブッシュは、前記伝達コンポーネント/要素の前記回転運動を前記遠位シャフト部へ伝達することを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項11】
前記伝達コンポーネント/要素は、前記調整ブッシュの内側に溶接されていることを特徴とする、請求項10に記載のシャフト。
【請求項12】
前記伝達コンポーネント/要素は、前記2つのシャフト部が直線構成位置にあるときに、前記伝達コンポーネント/要素の前記近位端部が前記近位シャフト部の前記中心軸に平行となり、前記伝達コンポーネント/要素の前記遠位端部が前記遠位シャフト部の前記中心軸に対して22.5度の角度となるように、22.5度の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項13】
外周が5.6mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項14】
前記伝達コンポーネント/要素は単一部品として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシャフト。
【請求項15】
請求項1に記載のシャフトと、近位ハンドピースとを備える医療用ハンド器具。
【請求項16】
前記医療用ハンド器具は、低侵襲の外科用器具であることを特徴とする、請求項15に記載の医療用ハンド器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図13は、シャフト1とハンドピース44とを備える、本開示によるハンド器具42を示す。ハンド器具42は、例えば、ドリルまたはフライスカッタである。
下記する項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
医療用ハンド器具(42)、好ましくは低侵襲の外科用器具の/ためのシャフト(1)であって、
近位シャフト部(2)と、前記近位シャフト部(2)に対して回転することによって傾斜する遠位シャフト部(4)と、
前記シャフト(1)内に配置される歯車列(7)であって、前記近位シャフト部(2)内の前記歯車列(7)の回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達する歯車列(7)と、を備え、
前記歯車列(7)は、前記回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達し、両シャフト部(2、4)間の傾斜を可能にする管状の伝達コンポーネント/要素(18)を備え、
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、2つの軸方向に離間した端部(26、28)と中央屈曲部(31)とを有する管状片を有するか、または管状片であり、
前記中央屈曲部(31)には、先細りの凹部端部を有し、前記周方向および前記管長手方向に離間しており、前記周方向に延びる複数の略長円形/楕円形の凹部(32)が形成されており、
前記凹部は、前記中央屈曲部(31)が前記平面に展開されたときに斜めの凹部パターンとなるように、互いに対して配置されていることを特徴とする、シャフト(1)。
(項目2)
軸方向に離間した前記凹部(32)は、重複部(38)において、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記周方向で重複しており、
前記重複部(38)の長さは、好ましくは、前記凹部(32)の長さの3分の1であることを特徴とする、項目1に記載のシャフト(1)。
(項目3)
前記重複部(38)は、前記凹部(32)の最大厚さの領域を画定することを特徴とする、項目2に記載のシャフト(1)。
(項目4)
前記伝達コンポーネント/要素(18)の近位端部(26)は、ブッシュ(14)に回転的に固定されて接続されており、
前記ブッシュ(14)は、前記近位シャフト部(2)内の前記歯車列(7)から前記伝達要素(18)へ前記回転運動を伝達することを特徴とする、項目1から3の1つに記載のシャフト(1)。
(項目5)
前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記近位端部(26)には、複数の長手方向スリット(34)が設けられており、
複数の前記長手方向スリット(34)は、前記近位端部(26)で開口しており、各々が、前記ブッシュ(14)から半径方向に突出するラッチノーズ(36)を受容するように設けられ、構成されていることを特徴とする、項目4に記載のシャフト(1)。
(項目6)
前記歯車列(7)は、前記ブッシュ(14)と、中空輪(8)と、ピニオン(10)とを備え、
前記ピニオンは、前記中空輪(8)によって駆動され、
前記ブッシュ(14)は、軸方向で前記ピニオン(10)に固定接続されていることを特徴とする、項目4または5に記載のシャフト(1)。
(項目7)
前記ブッシュ(14)は、圧入によって前記ピニオン(10)に接続されていることを特徴とする、項目6に記載のシャフト(1)。
(項目8)
前記近位シャフト部(2)は、前記近位シャフト部(2)の外管(6)内に固定配置されている偏心ロックスリーブ(12)を有し、
前記ブッシュ(14)は、前記偏心ロックスリーブ(12)内で、回転可能かつ前記近位シャフト部(2)の中心軸に対して中心をずらして取り付けられていることを特徴とする、項目4から7の1つに記載のシャフト(1)。
(項目9)
前記伝達コンポーネント/要素(18)の遠位端部(28)は、調整ブッシュ(16)に強固に接続されており、
前記調整ブッシュ(16)は、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記回転運動を前記遠位シャフト部(4)へ伝達することを特徴とする、項目1から8の1つに記載のシャフト(1)。
(項目10)
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、前記調整ブッシュ(16)の内側に溶接されていることを特徴とする、項目9に記載のシャフト(1)。
(項目11)
前記伝達コンポーネント/要素(18)は、前記2つのシャフト部(2,4)が直線構成位置にあるときに、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記近位端部(26)が前記近位シャフト部(2)の前記中心軸に平行となり、前記伝達コンポーネント/要素(18)の前記遠位端部(28)が前記遠位シャフト部(4)の前記中心軸に対して22.5度の角度となるように、22.5度の角度で傾斜していることを特徴とする、項目1から10の1つに記載のシャフト(1)。
(項目12)
外周が5.6mm未満であることを特徴とする、項目1から11の1つに記載のシャフト(1)。
(項目13)
前記伝達コンポーネント/要素(18)は単一部品として形成されていることを特徴とする、項目1から12の1つに記載のシャフト(1)。
(項目14)
項目1から13の1つに記載のシャフト(1)と、近位ハンドピース(44)とを備える医療用ハンド器具(42)。
【国際調査報告】