(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】腹腔鏡外科手術器具先端保持器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20250117BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20250117BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B90/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024563182
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 US2023060250
(87)【国際公開番号】W WO2023133519
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524262665
【氏名又は名称】モジュラー サージカル, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524259610
【氏名又は名称】ピーターソン, ブライス イー.
(71)【出願人】
【識別番号】524259621
【氏名又は名称】ペレス, デイビッド ダブリュー.
(71)【出願人】
【識別番号】524259632
【氏名又は名称】キャロル, ミッチェル ケー.
(71)【出願人】
【識別番号】524262676
【氏名又は名称】ベルソン, アミール
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブライス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ペレス, デイビッド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】キャロル, ミッチェル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン, アミール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160GG24
4C160NN01
4C160NN03
4C160NN11
(57)【要約】
器具先端保持器は、展開機構と、展開機構に結合されたいくつかの器具搬送器とを含む。各器具搬送器は、器具アクセス端部と、基端部とを有し、展開機構は、複数の器具搬送器を線形または他の細長い配置から並列クラスタに選択的に再構成するように適合されている。展開機構は、器具搬送器を連結し、拘束から解放されるとそれらを並列クラスタに折りたたむばね取り付け構造であることができる。代替として、展開機構は、膨張させられると、器具搬送器を並列クラスタに配置する膨張可能構造であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具先端カセットであって、前記器具先端カセットは、
展開機構と、
前記展開機構に結合された複数の器具搬送器と
を備え、
各搬送器は、器具アクセス端部と、基端部とを有し、
前記展開機構は、前記複数の器具搬送器を線形配置から並列クラスタに選択的に再構成するように適合されている、器具先端カセット。
【請求項2】
前記複数の器具搬送器のうちの少なくともいくつかの中に除去可能に設置された外科手術作業先端をさらに備えている、請求項1に記載の器具先端カセット。
【請求項3】
前記器具搬送器は、管状本体、典型的に、円筒形本体を備えている、請求項1または2に記載の器具先端カセット。
【請求項4】
前記器具搬送器が拘束されていないときに前記器具搬送器の並列クラスタの中心領域を占有するように構成されたハブセグメントをさらに備えている、請求項1-3に記載の器具先端カセット。
【請求項5】
前記ハブに取り付けられたマニピュレータセグメントをさらに備えている、請求項4に記載の器具先端カセット。
【請求項6】
前記器具搬送器および前記ハブのうちの少なくとも1つは、各々、少なくとも1つの磁気要素を備え、前記ハブ上の前記少なくとも1つの磁気要素は、前記少なくとも1つの器具搬送器上の前記磁気要素を引き付け、前記複数の器具搬送器を前記並列クラスタ構成に保持しながら、限定された変位が前記器具搬送器からの器具先端の除去および戻りを促進することを可能にするように構成されている、請求項4-5に記載の器具先端カセット。
【請求項7】
前記ハブは、その周辺の周りに軸方向ファセットを備え、各ファセットは、前記器具搬送器のうちの1つの上の第1の平坦表面に係合するように構成されている、請求項4-6に記載の器具先端カセット。
【請求項8】
前記複数の器具搬送器は、(1)120°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う3つの器具搬送器と、(2)90°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う4つの器具搬送器と、(3)72°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う5つの器具搬送器と、(4)60°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う6つの器具搬送器と、(5)51.4°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う7つの器具搬送器と、(6)45°の間隔を有するばね軸方向ファセットを伴う8つの器具搬送器とのうちの1つを備えている、請求項7に記載の器具システム。
【請求項9】
各器具搬送器は、第1の平坦表面の両側に対称的に配置され、前記器具搬送器が前記並列クラスタ構成にあるとき、隣接する搬送器とぴったり組み合わさるように構成された2つの追加の平坦表面を備えている、請求項7-8に記載の器具先端カセット。
【請求項10】
前記展開機構は、個々の器具搬送器の前記基端部を隣接する搬送器の前記器具アクセス端部取り付けるばね要素を備え、隣接する搬送器上の前記ばね要素は、円周方向にオフセットされており、それによって、前記ばね要素は、拘束されていないとき、前記器具搬送器に前記並列クラスタに折りたたませる、請求項1-8に記載の器具先端カセット。
【請求項11】
前記ばね部材は、拘束されていないときにU字形状を有する2つの脚部を備え、第1の脚部は、1つの器具搬送器の基端部に取り付けられ、第2の脚部は、隣接する搬送器の基端部に取り付けられている、請求項10に記載の器具先端カセット。
【請求項12】
前記ハブは、前記複数の器具搬送器が拘束状態から解放されると、前記シャトルセグメントの周辺の周りで前記並列クラスタに折りたたむように構成されたU字形状ばねによって前記第1の器具搬送器の前記基端部に取り付けられている、請求項4-11に記載の器具先端カセット。
【請求項13】
前記複数の器具搬送器を直線化し、外科手術部位まで送達するための通路を有するオーバ管をさらに備えている、請求項1-12に記載の器具先端カセット。
【請求項14】
前記展開機構は、膨張可能構造を備え、前記複数の器具搬送器は、前記膨張可能構造が収縮させられていると、軸方向に整列することができ、前記膨張可能構造が膨張させられていると、前記並列クラスタに配置されるであろう、請求項1-8に記載の器具先端カセット。
【請求項15】
前記膨張可能構造は、リングまたはディスクを備えている、請求項14に記載の器具先端カセット。
【請求項16】
前記膨張可能構造は、スポークを伴う開放リングを備え、器具先端保持器が、前記スポークの半径方向に内向きの端部に取り付けられている、請求項15に記載の器具先端カセット。
【請求項17】
個々の器具搬送器または器具搬送器の群は、前記ハブから離れるように変位させられ、前記器具搬送器によって搬送される器具へのアクセスを促進するように構成されている、請求項4-9に記載の器具先端カセット。
【請求項18】
前記個々の器具搬送器または器具搬送器の群は、プッシャ等の展開機構との係合によって、前記ハブから離れるように変位させられるように構成されている、請求項17に記載の器具先端カセット。
【請求項19】
前記ハブに取り付けられたテザーをさらに備え、前記テザーは、器具先端カセット展開および支持器具による捕捉に先立って器具搬送器の前記並列クラスタを一時的に支持するように、および/または作業部位から前記器具先端カセットを除去するように構成されている、請求項1-18に記載の器具先端カセット。
【請求項20】
器具先端カセット送達システムであって、前記器具先端カセット送達システムは、
請求項1-19のいずれか1項に記載の前記器具先端カセットと、
近位端および遠位端を伴うシャフトを有する器具先端カセット展開および支持器具と、
前記シャフトの近位端におけるハンドルと
を備え、
前記シャフトの前記遠位端は、前記器具先端カセットのハブに取り外し可能に係合するように構成されている、器具先端カセット送達システム。
【請求項21】
前記展開および支持器具は、前記マニピュレータセグメントに係合し、前記ハブ内の磁石を前記器具先端カセットの前記器具搬送器内の磁石と選択的に整列させることおよび不整列にすることを行い、前記並列クラスタ配置を形成することおよび解放することを行うように構成されている、請求項20に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項22】
前記ハブ内の前記磁石は、軸方向に平行移動するように搭載され、前記カセットマニピュレータは、プッシャまたはプラーを備え、前記プッシャまたはプラーは、前記ハブ磁石を前記器具先端保持器磁石と整列するように、整列から外れるように移動させる、請求項21に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項23】
前記マニピュレータセグメントは、プラーケーブルを備え、前記ハブ磁石は、ばね搭載され、それによって、プラーケーブルは、前記カセットマニピュレータが前記ハブに取り付けられたままで、前記ハブ磁石と器具先端保持器磁石とを整列させるように張力を加えることができる、請求項22に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項24】
前記マニピュレータセグメントと前記ハブとは、自在継手を介して接続されている、請求項20-23に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項25】
前記自在継手は、前記マニピュレータセグメントの前記遠位端および前記ハブの近位端に位置している、請求項24に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項26】
前記展開および支持器具は、往復運動可能先端を備えている、請求項20に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項27】
前記往復運動可能先端は、遠位に前進させられると、組織を穿刺するように構成されている、請求項26に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項28】
前記往復運動可能先端は、前記カセットがその並列クラスタ配置にあるとき、前記器具先端カセットに係合するように、および前記器具先端カセットを解放するように構成されている、請求項26または27に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項29】
前記展開および支持器具は、1つ以上のプッシャをさらに備え、前記1つ以上のプッシャは、個々の器具搬送器または器具搬送器の群を前記シャフトから離れるように変位させ、前記器具搬送器によって搬送されている外科手術器具へのアクセスを促進するように構成されている、請求項20-28に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項30】
少なくとも1つの外科手術器具駆動部をさらに備え、前記少なくとも1つの外科手術器具駆動部は、
近位端および遠位端を伴うシャフトと、
前記シャフトの前記近位端におけるハンドルと
を備え、
前記シャフトの前記遠位端は、前記器具先端カセットによって搬送される個々の外科手術器具先端に取り外し可能に係合し、それらを動作させるように構成されている、請求項20-29に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項31】
前記少なくとも1つの外科手術器具駆動部は、前記シャフトの前記遠位端における往復運動可能先端を備えている、請求項30に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項32】
前記往復運動可能先端は、遠位に前進させられると、組織を穿刺するように構成されている、請求項31に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項33】
前記往復運動可能先端は、個々の外科手術器具に取り外し可能に係合し、前記個々の外科手術器具を動作させるように構成されている、請求項30-32に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項34】
第1の相互係止部をさらに備え、前記第1の相互係止部は、前記外科手術器具先端が前記器具搬送器から除去されるとき、前記シャフトからの前記先端の係合解除を防止するように構成されている、請求項20-33に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項35】
器具先端カセットであって、前記器具先端カセットは、前記外科手術器具先端が前記器具駆動部と係合されていないとき、前記器具搬送器からの前記器具先端の喪失を防止するように構成された第2の相互係止部をさらに備えている、器具先端カセット。
【請求項36】
各器具搬送器は、磁気要素を備えている、請求項20-35に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項37】
前記器具搬送器のうちの少なくとも1つは、ラッチ機構を備え、前記ラッチ機構は、前記ハブに選択的に係合し、全ての前記器具搬送器を前記クラスタ構成に維持しながら、限定された変位が前記器具搬送器からの器具先端の除去および戻りを促進することを可能にするように構成されている、請求項20-35に記載の器具先端カセット送達システム。
【請求項38】
外科手術器具を外科手術作業空間に送達する方法であって、前記方法は、
端端で接合された複数の器具搬送器を含む器具先端カセットを提供することと、
前記複数の器具搬送器が線形化配置にある間に器具先端カセットを前記外科手術作業部位に経皮的に導入することと、
前記複数の器具搬送器が前記外科手術作業空間内にある間に前記複数の器具搬送器を前記線形化配置から並列クラスタに再構成することと、
前記複数の器具搬送器が前記外科手術作業空間内で前記並列クラスタ配置にとどまっている間に個々の器具搬送器から外科手術器具を取り出すことおよび戻すことと
を含む、方法。
【請求項39】
前記外科手術作業空間内にある間に前記複数の器具搬送器を前記並列クラスタ配置から前記線形化配置に再構成することと、
前記複数の器具搬送器が前記線形化配置にある間に前記外科手術作業部位から前記器具先端カセットを経皮的に除去することと
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の器具搬送器を前記線形化配置から前記並列クラスタに再構成することは、拘束から前記器具先端カセットを解放することを含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の器具搬送器を前記線形化配置から前記並列クラスタに再構成することは、力を前記器具先端カセットに加え、前記再構成を生じさせることを含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の器具搬送器が前記並列クラスタ構成をとった後、器具先端カセット展開および支持器具を用いて前記器具先端カセットを捕捉することをさらに含む、請求項38-41に記載の方法。
【請求項43】
前記器具先端カセット展開および支持器具は、前記器具先端カセットを導入するために使用されるそれとは別の経皮的通路を通して経皮的に導入される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の器具搬送器が前記並列クラスタ構成をとった後、外科手術器具に係合し、それを個々の器具搬送器から除去するために外科手術器具駆動部を操作することをさらに含む、請求項38-43に記載の方法。
【請求項45】
前記外科手術器具駆動部は、前記器具先端カセットおよび/または前記器具先端カセット展開および支持器具を導入するために使用されるそれとは別の経皮的通路を通して経皮的に導入される、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が参照することによって本明細書に組み込まれる2022年1月10日に出願された米国仮出願第63/298,157号(代理人整理番号第42369-708.101号)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイスおよび方法に関する。より具体的に、本発明は、腹腔鏡および内視鏡手技における使用のための外科手術器具先端保持器に関し、単一の器具シャフトが、複数の交換可能な外科手術器具先端と共に使用され得る。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡、内視鏡、および他の低侵襲的外科手術手技は、広く採択されており、多くの観血外科手術手技に取って代わっている。腹腔鏡手技は、腹部または胸部等の体腔内で実施され、腔部の中へのアクセスを提供する小切開部、トロカール、または他の入口部位を介して組織を通して外科手術器具のシャフトを導入することに依拠する。腹腔鏡手技では、シャフトは、腹腔鏡カメラを使用して腔部内の術野を視認しながら外科手術プロトコルを実施するために、器具またはエンドエフェクタを操作する。腹腔鏡および他の低侵襲性手技を実施することにおける1つの欠点は、限定された数のアクセス点を通して器具を頻繁に交換する必要性である。
【0004】
吹送された腹部または胸部等の術野の中に複数の外科手術器具先端を導入し、続いて、単一または限定された数の器具シャフト上で器具を交換すること、したがって、アクセス点を通して完全な器具を除去し交換する必要性を回避することによって、腹腔鏡および他の低侵襲性手技の効率を向上させることが提案されている。そのような外科手術器具交換システムおよび手順が、例えば、共有に係る米国特許公開第2013/0150871号(特許文献1)および第2015/0216515号(特許文献2)(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0005】
米国特許公開第2015/0216515号は、吹送された腹部、胸部、または他の術野内での複数の器具の導入、保持、および交換を促進するためのカセットと称される、器具先端保持器の使用を説明する。器具カセットは、5つまでの関節運動式セグメントを含み、それらの大半または全ては、展開可能な器具先端保持器を搬送し、それらのうちの1つは、外部取り付けセグメントであり得る。器具カセットは、直線化された構成において切開部またはポートを通して導入され、安定化のために湾曲させられ、外部取り付けセグメントに取り付けられたマニピュレータを使用して、組織表面上に設置されるか、または胸部の上側壁に対して引っ張られる。腹腔鏡および他の低侵襲性手技を実施することにおいて機能的であり、かなりの利点を有するが、米国特許公開第2013/0150871号および第2015/0216515号に開示される設計は、第1世代設計であり、改良された使い易さ、設計単純性、信頼性、コンパクトさ等を有する追加のおよび代替的設計を提供することが、有利であろう。これらの目的の少なくともいくつかは、以降において説明および請求される発明によって達成されるであろう。
【0006】
米国特許公開第2013/0150871号および第2015/0216515号が、上で説明されている。米国特許第5,925,002号、第6,309,397号、第8,747,394号、第8,858,538号、第7,492,116号、および米国公開第2003/0114731号、第2005/0043718号、第U.S.2005/0165449号、第U.S.2005/0209607号、第U.S.2006/0020287号、第U.S.2006/0041273号、第U.S.2007/0198000号、第U.S.2008/0021274号、第U.S.2008/0108871号、第U.S.2008/0147096号、第US.2008/0167672号、第U.S.2008/0275480号、第U.S 2009/0005638号、第U.S 2009/0005635号、第U.S.2009/0182193号、第U.S.2010/0016855号、第U.S.2010/0057078号、第U.S.2010/ 0188493号、第U.S.2011/0087267号、第U.S.2012/0083826号、第U.S.2012/01322450号、第U.S.2013/0066304号、および第U.S.2013/0211196号も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0150871号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0216515号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の側面において、本発明は、展開機構と、複数の器具搬送器とを備えている器具先端保持器またはカセットを提供する。器具搬送器は、展開機構に結合され、各器具搬送器は、器具アクセス端部と、基端部とを有する。展開機構は、複数の器具搬送器を術野への先端保持器の導入およびそれからの除去のために有用である線形または別な方法で直線化された配置から、各器具搬送器内の器具先端にアクセスするために有用である並列クラスタに選択的に再構成するように適合される。
【0009】
「並列クラスタ」とは、複数の器具搬送器の縦軸が、並列配置、典型的に、中心軸に対して対称的パターンに保持されることを意味する。通常、必ずしもというわけではないが、器具搬送器は、中心軸に対して直角の平面内で整列させられたアクセス端部と基端部とを有し、それによって、並列クラスタは、器具アクセス端部が円筒物の一端における円形周辺内に存在し、基端部が円筒物の他端における円形周辺内に存在する略円筒形配置を有する。断面周辺は、通常、円形であろうが、他の事例では、それらは、楕円形、多角形等であり得る。
【0010】
器具搬送器の線形または直線化された配置は、特に、腹部または胸部術野の中へのアクセスポートを通した器具先端保持器アセンブリの低侵襲的導入のために好適である薄型外形を有する。器具先端保持器は、術野への導入の後に並列クラスタ配置に再構成されることができ、並列クラスタ配置は、特に、術野内に存在する間、器具先端保持器の個々の器具搬送器からの個々の外科手術器具先端の除去およびそれへの戻りのために好適である。展開機構は、下でより詳細に説明されるであろうように、典型的に、器具先端保持器アセンブリが、外科医によって、器具先端保持器が設置されることと並行して、またはその後に導入されるマニピュレータ、吹送器、または他の器具を使用して遠隔で再構成されることを可能にするであろう。
【0011】
本発明の器具先端保持器は、典型的に、複数の器具搬送器のうちの少なくともいくつかの中に除去可能に設置されるもう1つ多くの外科手術作業先端をさらに備えているであろう。外科手術器具先端は、通常、患者の中への器具先端保持器の導入に先立って、器具搬送器の中に設置されるであろうが、いくつかの事例では、手技が開始した後に外科手術器具先端を導入/およびまたは交換することが、可能であり得る。個々の器具搬送器は、通常、円筒形本体等の管状本体を備えているであろうが、多くの場合、下でより詳細に説明されるように、並列クラスタを形成することを促進するような平坦表面、すなわち、ファセットを有するであろう。
【0012】
好ましい側面において、本発明の器具先端保持器またはカセットは、器具搬送器が拘束されていない、すなわち、下でより詳細に説明されるように、並列クラスタに自由に自己組立するとき、または組み立てられるときに並列クラスタの中心領域を占有するように構成されたハブセグメントをさらに備え得る。ハブは、典型的に、マニピュレータに除去可能に取り付けられるようにさらに、構成される。マニピュレータは、器具先端保持器のハブに予め取り付けられ得るか、または、器具先端保持器が導入される前または後であるが、初期の線形配置の器具搬送器の所望の並列クラスタへの再構成に先立って、術野の中に別個に導入され得る。
【0013】
いくつかの例では、器具搬送器およびハブの各々は、1つ以上の磁気要素を備え得、ハブ上の磁気要素は、器具搬送器上の磁気要素を引き付け、器具搬送器をそれらの並列クラスタ構成に保持または安定化させながら、限定された変位が器具搬送器からの器具先端の除去および戻りを促進することを可能にするように構成される。
【0014】
他の例では、器具搬送器のうちの1つ以上は、ハブに選択的に係合し、全ての器具搬送器をクラスタ構成に維持しながら、1つ以上の器具搬送器(典型的に、ばねまたは他の結合要素によって上部において接合された一対の器具搬送器)の限定された変位が、器具搬送器からの器具先端の除去および戻りを促進することを可能にするように構成されたフック、錠鍵配置、スナップ等の機械式ラッチ機構を備え得る。好ましい事例では、磁気要素およびラッチ機構の両方が、使用され、磁石が、初期の整列を提供し、ラッチが、器具搬送器が変位させられ、外科手術器具が除去され、個々の搬送器に戻されるとき、クラスタ構成を安定させるであろう。
【0015】
いくつかの例では、個々の器具搬送器または器具搬送器の群は、ハブから離れるように変位させられ、器具搬送器によって搬送される器具へのアクセスを促進するように構成され得る。例えば、個々の器具搬送器または器具搬送器の群は、シャフトの上またはそれを通して前進させられ得るワイヤ、リボン、または他の細長い体、典型的に、可撓性要素等のプッシャとの係合によって、ハブから離れるように変位させられるように構成され得る。
【0016】
いくつかの例では、器具先端カセットは、ハブに取り付けられ、器具先端カセット展開および支持器具による捕捉に先立って器具搬送器の並列クラスタを一時的に支持するように構成されたテザーをさらに備え得る。
【0017】
いくつかの事例では、展開および支持器具は、往復運動可能先端を備え得る。往復運動可能先端は、典型的に、遠位に前進させられると、組織を穿刺するように構成されるであろう。他の事例では、往復運動可能先端は、本明細書に下で詳細に説明されるように、器具先端保持器を係止、係止解除、操作、および別な方法でそれと相互作用するように構成され得る。例えば、往復運動可能先端は、該カセットがその並列クラスタ配置にあるときに器具先端カセットに係合し、それを解放するように構成され得る。
【0018】
多くの事例では、ハブは、各平坦面が、器具搬送器のうちの1つ上の第1の平坦表面に係合するように構成された状態で、その周辺の周りに軸方向に配置される平坦面またはファセットを備えている。例えば、複数の器具搬送器は、(1)120°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う3つの器具搬送器と、(2)90°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う4つの器具搬送器と、(3)72°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う5つの器具搬送器と、(4)60°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う6つの器具搬送器と、(5)51.4°の間隔を有する軸方向ファセットを伴う7つの器具搬送器と、(6)45°の間隔を有するばね軸方向ファセットを伴う8つの器具搬送器とのうちのいずれか1つを備え得る。多くの場合、各器具搬送器は、第1の平坦表面の両側に対称的に配置され、器具搬送器が並列クラスタ構成にあるとき、隣接する器具搬送器とぴったり組み合わさるように構成された2つの追加の平坦表面を備えているであろう。
【0019】
展開機構は、様々な構造のうちのいずれか1つを有し得る。例えば、自己組立式展開機構は、隣接する搬送器の器具アクセス端部および基端部を連結するばね要素を備え得る隣接する搬送器上のばね要素は、典型的に、円周方向にオフセットされており、それによって、ばね要素は、拘束されていないとき、器具搬送器に並列クラスタに折りたたませる。好ましい事例では、ばね部材は、拘束されていないときにU字形状を有する2つの脚部を備え得、第1の脚部は、1つの器具搬送器の基端部または器具アクセス端部に取り付けられ、第2の脚部は、隣接する搬送器の基端部または器具アクセス端部に取り付けられる。
【0020】
ばね要素との組み合わせにおいて使用されるハブが、典型的に、複数の器具搬送器が拘束状態から解放されるとハブの周辺の周りに並列クラスタに折りたたむように構成されたU字形状ばねによって第1の器具搬送器の基端部に取り付けられる。
【0021】
そのような自己組立式器具先端保持器は、典型的に、半径方向拘束を加え、器具搬送器を患者への送達のために概して直線化されたまたは別な方法で細長い構成に維持するように構成され、典型的に、複数の器具搬送器を受け取り、直線化し、それらを外科手術部位に送達するための通路を有する直線のオーバ管を備えているある構造、機能性、または他の手段を要求するであろう。直線のオーバ管の使用は、概して好ましいが、ある事例では、オーバ管は、偏向がその細長い構成にある器具先端保持器の導入および/または除去に干渉しないであろう限り、低曲率または他の非線形性を有し得る。
【0022】
他の事例では、展開機構は、膨張可能構造を備え得る膨張可能構造が器具先端保持器の送達および除去のために収縮させられると、複数の器具搬送器は、直線化されるか、または軸方向に引き延ばされること、すなわち、略軸方向に整列させられることができる。膨張可能構造は、膨張可能構造が患者内の展開部位において膨張させられるときに選択され、並列クラスタに配置されるように構成された幾何学形状を有するであろう。
【0023】
具体的事例では、膨張可能構造は、リングまたはディスクを備え得る。例えば、膨張可能構造は、多くの場合、半径方向に内向きに突出するスポークまたはフィンガを伴い、器具先端保持器が、スポークまたはフィンガの半径方向に内向きの端部に取り付けられたC字形状を伴う開放リングを備え得る。
【0024】
なおもさらなる側面において、本発明は、支持/解放器具とともに前述に説明される器具先端保持器のうちのいずれかを含む器具先端送達システムを提供する。支持/解放器具は、近位端と、遠位端とを有するシャフトと、シャフトの近位端におけるハンドルとを備えている。シャフトの遠位端は、器具先端保持器、典型的に、ハブに取り付けられたマニピュレータセグメントに取り外し可能に係合するように構成される。
【0025】
いくつかの事例では、支持/解放器具およびマニピュレータセグメントは、ハブ内の磁石と器具先端保持器の器具搬送器内の磁石を選択的に整列させることおよび不整列にすることを行い、並列クラスタ配置を形成することおよび解放することを行うように構成される。例えば、ハブ内の磁石は、軸方向に平行移動するように搭載され得、支持/解放器具および/またはマニピュレータセグメントは、ハブ磁石を器具搬送器磁石と整列し、整列から外れるように移動させるためのプッシャ(pusher)またはプラー(puller)を備え得る。具体的例では、マニピュレータセグメントは、プラーケーブルを備え、ハブ磁石は、ばね搭載され、それによって、プラーケーブルは、カセットマニピュレータがハブに取り付けられたままで、ハブおよび器具先端保持器磁石を整列させるように張力を加えることができる。支持/解放器具は、平行移動可能ロッド等のアクチュエータを含み、それは、マニピュレータセグメントに係合し、ユ-ザが所望に応じて磁石整列をシフトさせることを可能にする。
【0026】
具体的例では、マニピュレータセグメントおよびハブは、自在継手を介して接続され得、自在継手は、典型的に、マニピュレータセグメントの遠位端およびハブの近位端に位置する。
【0027】
いくつかの事例では、本発明の器具先端カセット送達システムは、先端が器具搬送器から除去されるときにシャフトからの外科手術器具先端の係合解除を防止するように構成された第1の相互係止部をさらに備え得る。
【0028】
いくつかの事例では、本発明の器具先端カセット送達システムは、器具先端が器具駆動部と係合されていないときに器具搬送器からの外科手術器具先端の喪失を防止するように構成された第2の相互係止部をさらに備え得る。
【0029】
さらに別の側面において、本発明は、外科手術器具を外科手術作業空間に送達する方法を提供する。方法は、端端で接合された複数の器具搬送器を含む器具先端カセットを提供することを含み得る。器具先端カセットは、複数の器具搬送器が線形化配置にある間に外科手術作業部位に経皮的に導入される。複数の器具搬送器が、外科手術作業空間内にある間に線形化配置から並列クラスタに再構成され、外科手術器具が、複数の器具搬送器が外科手術作業空間内で並列クラスタ配置にとどまっている間に個々の器具搬送器から取り出され、そこに戻されることを可能にする。
【0030】
いくつかの事例では、方法は、外科手術作業空間内にある間に複数の器具搬送器を並列クラスタ配置から線形化配置に再構成することをさらに含み得る。器具先端カセットは、複数の器具搬送器が線形化配置にある間に外科手術作業部位から経皮的に除去され得る。
【0031】
いくつかの事例では、複数の器具搬送器を線形化配置から並列クラスタに再構成することは、拘束から器具先端カセットを解放することを含み得る。
【0032】
いくつかの事例では、複数の器具搬送器を線形化配置から並列クラスタに再構成することは、力を器具先端カセットに加え、再構成を生じさせることを含み得る。
【0033】
いくつかの事例では、方法は、複数の器具搬送器が並列クラスタ構成をとった後、器具先端カセット展開および支持器具を用いて器具先端カセットを捕捉することをさらに含み得る。
【0034】
典型的に、器具先端カセット展開および支持器具は、器具先端カセットを導入するために使用されるそれとは別の経皮的通路を通して経皮的に導入される。
【0035】
いくつかの事例では、方法は、複数の器具搬送器が並列クラスタ構成をとった後、外科手術器具に係合し、それを個々の器具搬送器から除去するように外科手術器具駆動部を操作することをさらに含み得る。
【0036】
典型的に、外科手術器具駆動部は、器具先端カセットおよび/または器具先端カセット展開および支持器具を導入するために使用されるそれとは別の経皮的通路を通して経皮的に導入される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の原理に従って構築される関節運動式器具搬送器の並列クラスタの第1の実施形態の図である。
【0038】
【
図2】
図2は、器具搬送器クラスタのハブに取り外し可能に固定された本発明のマニピュレータ器具を図示する。
【0039】
【
図3】
図3は、器具搬送器クラスタに接続される本発明のマニピュレータ器具およびハブを示す斜視図である。
【0040】
【
図4】
図4は、個々の器具搬送器が患者の中への経皮的導入のために好適な様式において端端で接合され、直線化されまたは細長い構成にある本発明の器具搬送器クラスタを図示する。
【0041】
【
図5】
図5は、本発明の原理内にある患者に送達されるときに拘束から解放されるときに器具搬送器を折りたたむばね取り付け機構を示す一対の隣接する搬送器の分解図である。
【0042】
【
図6】
図6は、本発明の原理による器具搬送器が並列クラスタに形成されるときの安定化磁気アレイ内の磁石の相対位置を示すハブを包囲する器具搬送器の配置の概略図である。
【0043】
【
図7-1】
図7A-7Eは、本発明の原理による器具クラスタアレイの解放および自己折りたたみのステップを図示する。
【
図7-2】
図7A-7Eは、本発明の原理による器具クラスタアレイの解放および自己折りたたみのステップを図示する。
【0044】
【
図8】
図8は、本発明の原理による膨張可能構造上の器具搬送器の並列クラスタの第2の実施形態の図である。
【0045】
【
図9】
図9および10は、それぞれ、部分的に膨張および収縮させられた構成における膨張可能構造とともに示される
図8の器具搬送器実施形態を図示する。
【
図10】
図9および10は、それぞれ、部分的に膨張および収縮させられた構成における膨張可能構造とともに示される
図8の器具搬送器実施形態を図示する。
【0046】
【
図11】
図11および12は、それぞれ、収縮および膨張させられた構成においてより詳細な状態にある
図9および10の膨張可能支持構造である。
【
図12】
図11および12は、それぞれ、収縮および膨張させられた構成においてより詳細な状態にある
図9および10の膨張可能支持構造である。
【0047】
【
図13】
図13は、使用の間に
図8の器具搬送器実施形態を安定化させることに役立つために使用され得る磁気ハブを図示する。
【0048】
【
図14】
図14-16は、
図13の磁気ハブから器具搬送器を選択的に解放するための詰込機構を図示する。
【
図15】
図14-16は、
図13の磁気ハブから器具搬送器を選択的に解放するための詰込機構を図示する。
【
図16】
図14-16は、
図13の磁気ハブから器具搬送器を選択的に解放するための詰込機構を図示する。
【0049】
【
図17】
図17は、近位端および遠位端を伴うシャフトを有する器具先端カセット展開および支持器具と、近位端における展開ハンドルとを図示する。
【0050】
【0051】
【
図18】
図18は、
図17の器具先端カセット展開および支持器具の展開ハンドルの拡大図である。
【0052】
【
図19】
図19A-19Bは、異なる動作設定を示す
図17の器具先端カセット展開および支持器具の展開ハンドルの詳細図である。
【0053】
【
図20-1】
図20A-20Dは、
図17の器具先端カセット展開および支持器具のシャフトの遠位端の拡大図である。
【
図20-2】
図20A-20Dは、
図17の器具先端カセット展開および支持器具のシャフトの遠位端の拡大図である。
【0054】
【
図21】
図21Aおよび21Bは、
図17の器具先端カセット展開および支持器具の遠位端によって係合および捕捉されているときのその並列クラスタ構成にある本発明の器具先端カセットを示す。
【0055】
【
図22】
図22Aおよび22Bは、ラッチ機構が、個々の器具搬送器がハブに掛止されていない開放構成(
図22A)、および個々の器具搬送器がハブに掛止されている閉鎖構成(
図22B)にあるその並列クラスタ構成にある本発明の器具先端カセットを示す。
【0056】
【0057】
【
図24】
図24Aおよび24Bは、異なる器具搬送器を器具搬送器カセットクラスタから半径方向に偏向させ、搬送器からの外科手術器具の除去を促進するプッシャを示す、詳細図である。
【0058】
【
図25】
図25は、近位端および遠位端を伴うシャフトと、近位端における展開ハンドルとを有する外科手術器具駆動部を図示する。
【0059】
【
図26-1】
図26A-26Dは、異なる動作設定を示す
図25の外科手術器具駆動部器具の展開ハンドルの詳細図である。
【
図26-2】
図26A-26Dは、異なる動作設定を示す
図25の外科手術器具駆動部器具の展開ハンドルの詳細図である。
【0060】
【
図27-1】
図27A-27Eは、異なる構成に示される
図25の外科手術器具駆動部のシャフトの遠位端の拡大図である。
【
図27-2】
図27A-27Eは、異なる構成に示される
図25の外科手術器具駆動部のシャフトの遠位端の拡大図である。
【0061】
【
図28】
図28A-28Cは、外科手術器具に係合し、器具搬送器からそれを除去する外科手術器具駆動部の遠位先端を示す。
【0062】
【
図29】
図29Aおよび29Bは、外科手術器具駆動部によって作動させられている外科手術器具を示す。
【0063】
【
図30】
図30Aおよび30Bは、外科手術器具が器具搬送器の外側にあるときに外科手術器具が器具駆動部から偶発的に落下されることを防止する安全係止機構を示す。
【0064】
【
図31】
図31Aおよび31Bは、外科手術器具を器具搬送器内に保持し、外科手術器具駆動部によって作動させられ、器具が搬送器から除去されることを可能にする器具保持機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
(参照による組み込み)
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照することによって組み込まれるように具体的かつ個々に示された場合と同程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0066】
(発明の詳細な説明)
図1に示されるように、器具搬送器アレイ10が、個々の器具搬送器12a-12fの並列クラスタとして形成される。6つの個々の器具搬送器が、図示されるが、アレイ内の搬送器の数は、2~10のどれにでも、またはさらに大きい数に変動し得る。アレイ内の個々の器具搬送器12は、それらが典型的に細長いハブ14によって画定される中心軸の周りにまとめられ得るように、または「クラスタ化」され得るように、構成される。そのようにクラスタ化されると、器具搬送器12の各々の器具アクセス端部20は、ハブ14の上部に隣接して、円形または他の規則的パターンにおいて配置される。器具アクセス端部は、開放しているか、または、別な方法で、器具搬送器12の中の外科手術器具先端へのアクセスを可能にするように構成される。搬送器の具体的構造は、重要ではなく、本発明の一部を形成しない。本発明の器具搬送器アレイと一緒に有用である例示的設計は、共同所有の公開特許出願第US2015/0216515号(その全開示は、参照することによって本明細書の前述に組み込まれている)に見られ得る。各器具搬送器12の基端部22も同様に、ハブの下側端部に円形または他の規則的パターンにおいて配置される。下でより詳細に説明されるであろうように、ハブ14は、個々の器具搬送器12と相互作用し、それを安定化させるように配置される。
【0067】
ハブ14は、典型的に、
図2および3に示されるように、マニピュレータセグメント16に接続され、マニピュレータセグメント16は、支持/解放器具30に取り外し可能に係合するように構成された。好ましい例では、マニピュレータセグメント16の遠位端が、自在継手18によって、ハブ14の近位端に取り付けられる。自在継手18によってもたらされる移動の自由度は、マニピュレータセグメント16の開放近位端24を通して導入される支持/解放器具30の係合および取り付けを促進する。
【0068】
ハブ14は、典型的に、平坦面または「ファセット」36を備えている周辺を伴う管状本体34を有し、平坦面またはファセット36は、器具搬送器12がハブと整列させられると、個々の器具搬送器12に係合する。ハブ14は、磁気シャトル38も搬送し、磁気シャトル38は、ばね40に対して遠位の側においてに固定され、ばね40は、次に、管状本体34の閉鎖遠位端に固定され、それによって、シャトルがばねからの付勢の下でハブ内部内で平行移動することを可能にする。下でより詳細に説明されるであろうように、磁気シャトル38は、個々の磁石44(
図6)を搬送し、個々の磁石44は、個々の器具搬送器12上の磁石50(
図4)と整列することによって、器具が搬送器から除去されるとき、それに戻されるとき、器具搬送器アレイを安定化させることに役立ち得る。
【0069】
支持/解放器具30内のロッド43が、器具30が
図2に示されるように開放端24を通してマニピュレータセグメントに取り付けられると、マニピュレータセグメント16内のケーブル42に結合する。ロッド43は、器具30上の3リングアクチュエータ46を使用して近位に後退させられ、ケーブル42を近位に引き寄せ、ばね40を圧縮し、磁石44を個々の搬送器12上の磁石50と整列させ得る。磁石の整列が、
図3に破線で示されるような比較的にゆるんだ構成から、
図3に実線で示されるようなより締まったクラスタに、12個の器具搬送器のクラスタを詰めるであろう。
【0070】
器具搬送器アレイ10は、
図4において、患者への送達のために好適な直線化された、または細長い構成に示される。搬送器アレイは、典型的に、送達管60(
図7A-7E)内に保持され、送達管60は、個々の器具搬送器12を半径方向に拘束し、直線化する。器具搬送器12の隣接する対は、典型的に、ばね要素によって画定される関節運動式接続を有し、関節運動式接続は、拘束から解放されると、隣接する器具搬送器に互いに対して折りたたませる。例えば、ハブ14の底部15が、第1の器具搬送器12aの底部22に接続され得る。第1の器具12aの上部20が、次に、第2の器具搬送器12bの上部20に接続され得る。残りの器具搬送器も、同様に連結され、構造が、
図4に図示される、直線化された構成から
図1に示されるクラスタ化構成に展開すること可能にする。
【0071】
ここで
図5を参照すると、隣接する器具搬送器12aと12bとが、破線で示されるようなU字形状に事前形成された板ばね56によって接合される。板ばね56は、
図5の底部に示されるように、器具搬送器12aおよび12bが軸方向に整列させられるか、または別な方法で引き延ばされているとき、その平坦化構成(実線)にあるであろう。拘束から解放されると、ばね56は、そのU字形状に逆戻りし、器具搬送器12aおよび12bが矢印62および64によって示されるように折りたたむようにするであろう。
【0072】
ここで
図6を参照すると、器具搬送器12a-12fは、典型的に、ハブ14上の平坦表面36に係合するように構成された少なくとも1つの平坦表面52を有するであろう。52の平坦表面上の磁石50は、磁気シャトル38の磁石44の方に向けられなければならない。接近した整列にあるとき、磁石44と磁石50との間の引力は、器具搬送器12をより締まったクラスタに引き寄せるであろう。支持/解放器具30のアクチュエータ46が磁気シャトル38を平行移動させ、磁石を整列から外れるように位置変更するために使用されると、磁気引力は、減らされ、個々の器具搬送器12aにより高い自由度を可能にし、より高い自由度は、搬送器の引寄のために必要であり得、個々の搬送器内に保持される外科手術器具先端にアクセスするとき、有用であり得る。
【0073】
ここで
図7A-7Eを参照すると、胸部、腹部、または他の患者体腔への器具搬送器アレイ10の送達が、説明されるであろう。器具搬送器アレイ10は、最初に、管状拘束部60内のその直線化された細長い構成に拘束される。
図7Aに示されるように、ハブ14およびマニピュレータセグメント16は、最初に、管状拘束部60から遠位方向に前進させられ、他の第1の器具搬送器12aをハブ14に接続するばねが、ハブを
図7Bに示される位置に折りたたむことを可能にする。器具搬送器アレイ10が、管状拘束部60から遠位に前進させられ続けるにつれて、連続する器具搬送器12bおよび12cが、
図7Cおよび7Dに示されるように、解放され、自己折りたたみすることを可能にされるであろう。最後の器具搬送器12eが、拘束から解放された後、器具搬送器アレイ10は、
図7Eに示される、クラスタアレイ構成をとるであろう。
【0074】
ここで
図8-10を参照すると、器具搬送器アレイ70の代替実施形態は、複数の器具搬送器78を支持するための膨張可能構造72を備えている。器具搬送器アレイ70は、典型的に、構造の「背骨」を形成するC字形状の外側膨張可能本体74と、複数のスポークまたはフィンガとを含み、複数のスポークまたはフィンガは、
図7Aに示されるように、膨張可能支持構造が完全に膨張させられていると、C字形状の膨張可能本体74から半径方向に内向きに突出する。膨張ライン80が、器具搬送器アレイが患者の中に設置された後の膨張を可能にするために提供される。スポークまたはフィンガ76の各々は、個々の器具搬送器78を支持する。膨張させられていないとき、
図9および10に示されるように、膨張可能構造72は、送達および除去のために直線化されていること、または引き延ばされていることができる。典型的に、膨張可能構造72の寸法および器具搬送器78のそれは、収縮させられた膨張可能構造72の端部に張力が加えられると、器具搬送器が軸方向に整列することを可能にするために十分なクリアランスを隣接する器具搬送器間に提供するように選定される。そのような整列は、器具搬送器が端端で置かれ、搬送器アレイ70の外形を最小化し、送達および除去を促進することを可能にする。
【0075】
ここで
図11および12を参照すると、膨張可能支持構造72の好ましい設計が、
図11において膨張させられていない状態で、
図12において完全に膨張させられた状態で示される。個々のスポークまたはフィンガ76の長さは、
図12に最良に見られるように、変動し、湾曲の程度が膨張させられた構造の一端に向かうほど増加することを可能にする。
【0076】
図8-11における膨張可能支持部72は、さらなる構造を伴うことなく使用され得るが、多くの場合、追加の支持特徴または構成要素を提供することが、望ましいであろう。例えば、
図13に示されるように、ハブ90が、器具搬送器が膨張構造72によって支持されている間、器具搬送器88のアレイの中心領域に位置付けられ得る。ハブ90は、従来のばね連結実施形態における場合のように搬送器88に機械的に連結されず、典型的に、器具搬送器が膨張可能構造72によって支持されている間、器具搬送器88の整列およびクラスタ化を改良するための磁気安定化のみを提供するであろう。
【0077】
図13に見られるように、ハブは、その基端部において、器具搬送器88の底部における磁石94と整列し得る複数の磁石92を有するであろう。磁石対92/94が、仮想ヒンジとしての機能を果たすことができ、仮想ヒンジは、個々の器具搬送器88が、
図13に示されるように外向きに旋回することを可能にする。加えて、または代替として、磁石96が、器具搬送器88の上側部分上の磁石98と整列するように、ハブ90の本体上に提供され得る。磁性体対96/98は、クラスタのクラスタ化を改良しながら、依然として、外科手術器具先端を除去するとき、戻すときの器具搬送器の旋回を可能にするであろう。
【0078】
通常、ハブ90は、アレイが患者から除去され得る前に、器具アレイ70から係合解除される必要があるであろう。そのような係合解除を促進するために、複数のピン100が、
図14-16に見られるように、ハブ90の底部の近傍に位置し得る。ピン10は、最初に、ハブ本体内に形成されたレセプタクル106の中に後退させられている。ピストン102が、ハブ内の中心通路内で往復運動するように搭載され、ピストン102は、円錐形表面104を有する。ピストン102が、
図15に示されるように、その上向き位置にあるとき、ピン102は、ハブ90の外側表面内で後退させられたままである。しかしながら、ピストン102を下向きに押すことによって、円錐形表面104は、
図16に示されるように、ピン102に係合し、ピンを外向きに移動させる。ピン103のそのような外向き移動は、
図14に示されるように、個々の器具搬送器88の下側端部に係合し、それを変位させ、器具搬送器88とハブ90との間の磁気結合を中断させるであろう。
【0079】
図17および18は、近位端204、遠位端206を伴うシャフト202と、近位端における展開ハンドル208とを有する器具先端カセット展開および支持器具200を図示する。シャフト202は、
図17Aに見られるような、三角形断面を有し、下で説明されるように、三角形の角における3つの通路210が、プッシャ234を搬送する。中心通路212が、下で説明されるように、中心部材をスライド可能に受け取るように構成される。展開ハンドル208は、ハンドルグリップ214と、モード選択器216と、トロカールフラグ218と、トロカール係止解除部220と、3つのスライダ222(そのうちの2つのみが、
図18において視認可能である)とを含む。
【0080】
図17、18、および20Aに示されるように、器具先端カセット展開および支持器具200は、その「安全」モードにあり、穿刺先端230が、後退させられている。「穿刺」モードに入るために、トロカール係止解除部220は、
図19Aおよび20Aに示されるように、プッシャ234を後退させるために側方に移動させられ、トロカールフラグ218は、
図19Bに示されるように、
図20Bに示されるように、穿刺先端230をクラムシェルタイプノーズコーン232を通して前進させるために跳ね上げられる。モード選択器216は、次いで、下でより詳細に説明されるように、器具先端カセット200を捕捉および解放するために穿刺先端230を軸方向に位置付けるために使用され得、スライダ222は、プッシャ234を前進および後退させるために使用される。
【0081】
図21Aおよび21Bは、並列クラスタ構成における器具搬送器242を伴う器具先端カセット240を示し、器具先端カセット240は、
図17の器具先端カセット展開および支持器具200の遠位端によって係合および捕捉されている。器具先端カセット240の構造は、概して、上で説明されるようなものであり、器具搬送器242は、ハブ244上に保持され、ばね246によって接合されている。テザー248が、器具先端カセット240が器具先端カセット展開および支持器具200によって係合および捕捉されるとき、器具先端カセット240を吊り下げ、操作するために提供される。
【0082】
前述の実施形態を参照して説明されるように、本発明の器具搬送器は、クラスタ形成の後、ハブに磁気的に結合され得る。ここで説明されている器具先端カセット240は、典型的に、フックとして形成された機械的ラッチ250を含み、機械的ラッチ250は、クラスタの自由な遠位器具搬送器242’をハブ242に接続する(すなわち、ハブ242から最の遠い連結されたチェーン内の器具搬送器)。
図22Aに示されるように、ラッチ250は、開放されている、すなわち、自由な遠位器具搬送器242’から係合解除されている。ラッチは、
図22Bにおいて、その閉鎖構成、すなわち、係合構成において示される。
【0083】
図23Aおよび23Bは、器具先端カセット240の下側部分の断面図を提供する。フック250が、ハブ242の壁に旋回可能に取り付けられ、スライドするシャトル252によって係合されるように構成される。トロカール先端232が、器具先端カセット展開および支持器具200が器具先端カセット240を捕捉した後、シャフト202の遠位端から前進させられ、シャトル連結部256を前進させ、シャトル252にフック250に係合させ、それを
図23Aに示される位置から
図23Bに示されるそれまで旋回させ、フック250は、自由な遠位器具搬送器242’上のフック留め金252を捕捉する。フック250に係合することに先立って、整列磁石262aおよび262bが、自由な遠位器具搬送器242をハブ242に対して事前に位置付ける。磁石262aは、ハブ242上にあり、磁石262bは、自由な遠位器具搬送器242’上にある。
【0084】
図24Aおよび24Bは、器具搬送器カセットクラスタ240から器具搬送器242を半径方向に偏向させ、器具搬送器からの外科手術器具の除去を促進するプッシャ234を示す詳細図である。既に説明されたように、ハンドル208上のスライダ222が、3つのプッシャ234の各々を選択的に前進させるために使用され、プッシャ234のうちの各1つは、次に、器具搬送器のその対を半径方向に外向きに偏向させるために、ばね246によって接合された一対の器具搬送器242に係合するように構成される。その位置において、外科手術器具搬送器は、下で詳細に説明されるように、外科手術器具駆動部300によって係合されることができる。
【0085】
外科手術器具駆動部300が、
図25に図示され、近位端304、遠位端306を有するシャフト302と、近位端における展開ハンドル308とを含む。展開ハンドル308は、モード選択器310と、固定グリップ312と、親指レバー314と、トロカールフラグ316とをさらに含む。ラチェット機構318が、ラチェット選択器320に結合され、親指レバー314の動作を制御する。
【0086】
図26Aに示されるように、モード選択器310が、外科手術器具駆動部300が、駆動部の全ての機構が無効化される「安全」モードにある第1の位置にある。
図26Bに示されるように、モード選択器310を回転させることによって、ラチェット選択器320および親指レバー314が、「器具作動」モードにおいて有効化される。モード選択器310を「器具作動モード」に回転させることによって、穿刺先端230もまた、
図27Cに示される状態に前進させられ、次いで、
図27Dに示されるように回転させられる。このアクションは、例えば、ノーズコーン330を器具先端350のシャンクまたはシャフト部分内の空洞の中に押し込み、かつ器具先端顎状部352を作動させるシャトル内で先端を係止するように前進および回転させることによって、外科手術器具駆動部300の遠位端306を器具先端350にドッキングさせる(
図29Aおよび29B)。
【0087】
器具作動モードにおいて、穿刺先端334が、
図27B-27Eに示されるように、遠位に前進および回転させられ得る。親指レバー314はさらに、
図27C-27に示されるように、作動させられる器具まで遠位に前進させられ、例えば、
図29Aおよび29Bに示されるように、外科手術器具先端350内の顎状部352を開閉し得る。
【0088】
ラチェット318およびラチェット選択器320は、
図26Cおよび26Dにそれぞれ示されるように、係合され、一時的に係合解除される。ラチェット318が、係合されているとき、親指レバー314は、閉鎖されることのみ可能である。ラチェット選択器320は、選択器がもはや押されなくなると、一時的オフ位置(
図26D)からオン位置(
図26C)に自動的に戻るようにばね負荷されている。
【0089】
図27A-27Eは、異なる構成で示された
図25の器具駆動部300のシャフト302の遠位端306の拡大図である。
図26Aに示されるように、外科手術器具駆動部300は、穿刺先端334がノーズコーン330の背後に後退させられている、安全モードにある。穿刺先端334は、
図27Bに示されるように、既に説明されたようにハンドル308の親指レバー314を使用して、前進させられ得る。穿刺先端334を前進させるために、トロカールフラグ316は、
図26Dおよび27Dに破線で示されるように、「跳ね上げられた」位置になければならない。穿刺先端334が
図27Bに示される位置にある状態で、器具駆動部は、別個のカニューレの使用を伴うことなく、患者の腹部を通して経皮的に導入され得る。
【0090】
図27D-27Eに示されるように、ハンドル308の親指レバー314はさらに、外科手術器具先端が外科手術器具駆動部300の上に装填されると、穿刺先端334を前進させ、それらの外科手術器具先端を動作させるために操作され得る。
【0091】
図28A-28Cは、外科手術器具350に係合し、それを器具搬送器242から除去する外科手術器具駆動部300のノーズコーン330を示す。
【0092】
図29Aおよび29Bは、外科手術器具駆動部300によって作動させられている外科手術器具先端350を示す。例えば、外科手術器具先端350の顎状部352が、
図27D(顎状部が、閉鎖されている)および27E(顎状部が、開放している)に示されるように、駆動部300の穿刺先端334を前進および後退させることによって、作動させられ得る。
【0093】
図30Aおよび30Bは、外科手術器具が器具搬送器の外側にあるとき、外科手術器具が器具駆動部から偶発的に落とされることを防止する安全係止機構を示す。外科手術器具先端350が、器具搬送器242(図示せず)から除去されると、一対のばね負荷されたノーズコーン留め金338が、ノーズコーン330上の一対の留め金溝332に係合する(
図30A)。これらの留め金は、外科手術器具駆動部300のシャフト302からの外科手術器具先端350の偶発的係合解除を防止する。外科手術器具先端350が、器具搬送器に戻されると、各ノーズコーン留め金338の外側端部338aが、内向きに押され、ノーズコーン330上の留め金溝332から留め金の両端を除去する(
図30B)。したがって、器具駆動部330は、先端が器具搬送器の中に設置されるように戻されると、外科手術器具先端350から引き出されることができる。
【0094】
図31Aおよび31Bは、使用中ではないとき、外科手術器具350を器具搬送器(図示せず)内に保持するように構成された一対の器具保持タブ342を備えている、器具保持機構を示す。器具保持機構は、特定の器具がある手技のために必要とされるとき、外科手術器具駆動部300によって、器具が搬送器から除去されることを可能にするように作動させられ得る。外科手術器具駆動部300のノーズコーン330が、外科手術器具先端350の開放端の中に導入された後、カムローブ336が、一対の延長部344間の位置まで前進させられる。器具保持タブ342の外側先端が、半径方向外向き位置にあり、外科手術器具先端の基部の壁内のスロット(図示せず)に係合し、外科手術器具搬送器からの器具先端の偶発的係合解除を防止する。
図31Bに示されるように、カムローブ336を90°回転させることによって、延長部334が、半径方向に外向きに移動し、器具保持タブ342に係合し、それを回転させるようにさせられ、タブの自由端が半径方向に内向きに移動し、スロットから係合解除することを引き起こす。器具保持タブ342が、スロットから係合解除されると、外科手術器具先端は、器具搬送器から除去され得る。
【0095】
器具先端カセット展開および支持器具200および外科手術器具駆動部300の両方の前述の実施形態は、組織穿刺先端の前進を可能にするような、分割されたノーズコーンを採用するが、他の実施形態(図示せず)では、後退可能な鋭い部分を有する螺旋状先端が、分割可能なノーズコーンまたは他の保護部を伴わずに使用され得る。そのような螺旋状先端は、経皮的アクセス(穿孔対穿刺/延伸)のためにより容易な組織穿通を提供し、潜在的に、器具およびカセットへのよりロバストな接続を可能にし得る。
【0096】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が、例として提供されるにすぎないことが、当業者に明白であろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。以下の請求項が、本発明の範囲を定義すること、およびこれらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造が、それによって網羅されることが意図される。
【国際調査報告】